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特開2024-140817ウェブロールの製造装置及び製造方法
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  • 特開-ウェブロールの製造装置及び製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140817
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ウェブロールの製造装置及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/195 20060101AFI20241003BHJP
   B65H 23/00 20060101ALI20241003BHJP
   B65H 18/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B65H23/195
B65H23/00
B65H18/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052162
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平野 祐哉
(72)【発明者】
【氏名】幸本 壮悟
【テーマコード(参考)】
3F055
3F104
3F105
【Fターム(参考)】
3F055BA25
3F104DA29
3F105BA01
3F105CC01
3F105DA01
3F105DA55
3F105DA61
3F105DB11
3F105DB19
3F105DC11
3F105DC17
(57)【要約】
【課題】バンド等の欠陥の発生を十分に低減することができる、ウェブロールの製造装置及び製造方法を提供する。
【解決手段】搬送経路に沿って搬送される長尺のウェブを巻取り、ウェブロールを製造する製造装置であって、ウェブロールを形成する巻取り機、計測装置、応力計算装置、工程制御装置、及び機械学習装置を備え、前記機械学習装置は、前記工程制御装置による操作変数の設定値情報と、前記巻取り完了までの間の内部応力の計算値情報を記録することにより取得した、これらの情報の組を元に、前記内部応力の計算値が前記巻取り完了までの間前記限度範囲内となる前記操作変数の前記要件を求め、且つ、前記ウェブロールにおける巻き外観を評価することにより取得した、前記内部応力の計算値と前記巻き外観の評価結果との組を元に、前記限度範囲の妥当性を評価しフィードバック調整する、機械学習装置である製造装置。そのような製造を行う製造方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路に沿って搬送される長尺のウェブを巻取り、ウェブロールを製造する製造装置であって、
前記搬送経路の終末において前記ウェブを巻取りウェブロールを形成する巻取り機、
前記搬送経路の、前記巻取り機よりも上流に設けられた計測装置であって、前記ウェブ全幅において前記ウェブの張力を計測し張力情報を取得する張力計、前記ウェブ全幅において前記ウェブの厚みを計測し厚み情報を取得する厚み計、及び前記ウェブ全幅において前記ウェブの歪みを計測し歪み情報を取得する歪み計を含む計測装置、
前記巻取り機による巻取りの過程において、前記張力情報、前記厚み情報及び前記歪み情報に基づき前記ウェブロールにおける円周方向内部応力及び半径方向内部応力の計算値を求める応力計算装置、
前記円周方向内部応力の計算値、前記半径方向内部応力の計算値、又はこれらの両方が、前記巻取り機による巻取り完了までの間に、設定された限度範囲外となると予測された場合、前記計算値が前記巻取り完了までの間前記限度範囲内となるよう、操作変数を調整する工程制御装置、及び
前記円周方向内部応力の計算値及び前記半径方向内部応力の計算値が前記巻取り完了までの間前記限度範囲内となるよう調整するための前記操作変数の要件を求める機械学習装置、を備え、
前記機械学習装置は、
前記巻取り機、前記計測装置、前記応力計算装置、及び前記工程制御装置により前記ウェブロールを形成し、且つ、前記工程制御装置による操作変数の設定値情報と、前記巻取り完了までの間の前記円周方向内部応力の計算値及び前記半径方向内部応力の計算値情報を記録することにより取得した、これらの情報の組を元に、前記円周方向内部応力の計算値及び前記半径方向内部応力の計算値が前記巻取り完了までの間前記限度範囲内となる前記操作変数の前記要件を求め、且つ、
前記巻取り機、前記計測装置、前記応力計算装置、及び前記工程制御装置により前記ウェブロールを形成し、且つ、前記ウェブロールにおける巻き外観を評価することにより取得した、前記円周方向内部応力の計算値及び前記半径方向内部応力の計算値と前記巻き外観の評価結果との組を元に、前記限度範囲の妥当性を評価しフィードバック調整する、機械学習装置である、
製造装置。
【請求項2】
前記張力計及び歪み計が、搬送面を有する浮上搬送装置の前記搬送面に設けられた微差圧計を含む、請求項1に記載の製造装置。
【請求項3】
前記操作変数が、前記巻取り機の巻取張力、前記搬送経路に設けられたニップロールの接圧、前記搬送経路に設けられた延伸機の延伸倍率、搬送経路近傍に設けられた加熱装置温度、前記ウェブの製膜厚み、前記ウェブの製膜厚みの変動周期、前記巻取り機の近傍に設けられた巻取りサクションの減圧度、又はこれらの2以上の組み合わせである、請求項1又は2に記載の製造装置。
【請求項4】
前記厚み計が、トラバーススキャン方式又はラインスキャン方式の膜厚計である、請求項1又は2に記載の製造装置。
【請求項5】
前記工程制御装置が、前記円周方向内部応力の計算値、前記半径方向内部応力の計算値、又はこれらの両方が、前記巻取り機による巻取り完了までの間に、設定された限度範囲外となると予測した場合に、操作者に警告を通知する通知装置をさらに備える、請求項1又は2に記載の製造装置。
【請求項6】
搬送経路に沿って搬送される長尺のウェブを巻取り、ウェブロールを製造する製造方法であって、
前記搬送経路の終末において前記ウェブを巻取りウェブロールを形成する巻取り工程、
前記搬送経路の、前記巻取り工程よりも上流において行う計測工程であって、前記ウェブ全幅において前記ウェブの張力を計測し張力情報を取得する張力計測工程、前記ウェブ全幅において前記ウェブの厚みを計測し厚み情報を取得する厚み計測工程、及び前記ウェブ全幅において前記ウェブの歪みを計測し歪み情報を取得する歪み計測工程を含む、計測工程、
前記巻取り工程の過程において、前記張力情報、前記厚み情報及び前記歪み情報に基づき前記ウェブロールにおける円周方向内部応力及び半径方向内部応力の計算値を求める応力計算工程、
前記円周方向内部応力の計算値、前記半径方向内部応力の計算値、又はこれらの両方が、前記巻取り工程の完了までの間に、設定された限度範囲外となると予測された場合、前記計算値が前記巻取り工程の完了までの間前記限度範囲内となるよう、操作変数を調整する変数制御工程、及び
前記円周方向内部応力の計算値及び前記半径方向内部応力の計算値が前記巻取り工程の完了までの間前記限度範囲内となるよう調整するための前記操作変数の要件を、機械学習により求める要件決定工程、を含み、
前記要件決定工程は、
前記巻取り工程、前記計測工程、前記応力計算工程、及び前記変数制御工程により前記ウェブロールを形成し、且つ、前記変数制御工程における前記操作変数の設定値情報と、前記巻取り工程完了までの間の前記円周方向内部応力の計算値及び前記半径方向内部応力の計算値情報を記録することにより取得した、これらの情報の組を元に、前記円周方向内部応力の計算値及び前記半径方向内部応力の計算値が前記巻取り工程の完了までの間前記限度範囲内となる前記操作変数の前記要件を、機械学習により求める工程であり、且つ、
前記製造方法はさらに、
前記巻取り工程、前記計測工程、前記応力計算工程、及び前記変数制御工程により前記ウェブロールを形成し、且つ、前記ウェブロールにおける巻き外観を評価することにより取得した、前記円周方向内部応力の計算値及び前記半径方向内部応力の計算値と前記巻き外観の評価結果との組を元に、前記限度範囲の妥当性を機械学習により評価しフィードバック調整する、限度範囲調整工程を含む、
製造方法。
【請求項7】
前記張力計測工程及び歪み計測工程が、搬送面を有する浮上搬送装置の前記搬送面に設けられた微差圧計により圧力を測定することを含む、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記操作変数が、前記巻取り工程における巻取張力、前記搬送経路に設けられたニップロールの接圧、前記搬送経路に設けられた延伸機の延伸倍率、搬送経路近傍に設けられた加熱装置温度、前記ウェブの製膜厚み、前記ウェブの製膜厚みの変動周期、前記巻取り工程を行う巻取り機の近傍に設けられた巻取りサクションの減圧度、又はこれらの2以上の組み合わせである、請求項6又は7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記厚み計測工程が、トラバーススキャン方式又はラインスキャン方式の膜厚計による計測である、請求項6又は7に記載の製造方法。
【請求項10】
前記変数制御工程において、前記円周方向内部応力の計算値、前記半径方向内部応力の計算値、又はこれらの両方が、前記巻取り工程の完了までの間に、設定された限度範囲外となると予測した場合に、操作者に警告を通知する通知工程をさらに含む、請求項6又は7に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺状のフィルム等の、ウェブロールの製造装置及び製造方法に関し、具体的には、ウェブをロールの形状とした際の不具合の発生を低減することができる、ウェブロールの製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルム等のウェブ状の成形物は、効率的な製造を行うため長尺状のウェブとして連続的に成形し、さらにそれを巻取ってウェブロールの形態とすることが一般的に行われる。ウェブをウェブロールの形態とすることにより、保管及び運搬を容易にすることができる。
【0003】
しかしながら、ウェブロールの巻取りに欠陥が発生し、それがウェブの品質を損ねる場合がある。かかる巻取りの欠陥は、ウェブの面積が大きく、且つウェブに高い品質が求められる場合に問題となる。特に、製品たるウェブが表示装置等の光学装置、並びに太陽電池及び二次電池等の精密機械の構成要素として用いるための樹脂フィルム等のフィルムである場合、かかる巻取りの欠陥が製品の品質を損ない大きな問題となる。
【0004】
かかる巻取りの欠陥の一つとして、「バンド」と呼ばれる欠陥がある。バンドは、ロール幅方向の特定の位置において、他の部分と異なる径の箇所が生じる不具合であり、通常は、ロール幅方向の特定の位置において凸状の膨らみが生じた状態で出現する。このようなバンドは、ウェブの幅方向の厚みの不均一、及びウェブの歪曲によって発生しうる。バンドが発生すると、ウェブに歪み、押し痕、擦り傷等の不具合が発生する。
【0005】
かかるバンド等の欠陥を抑制するための手段として、欠陥の発生を示唆する何等かの変数を元に、巻取りの条件を調整することが検討されている。例えば、特許文献1では、ウェブの巻取り時の環境温度の変化等の変数を元にウェブロールにおける温度分布を演算し、それに基づいてロールの内部応力を演算し、それに基づいて、ウェブの巻取り張力を最適化することで、欠陥を低減することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-188221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の技術による欠陥の低減では、欠陥発生の低減は未だ不十分であり、さらなる欠陥発生の低減が求められている。
【0008】
したがって、本発明の目的は、バンド等の欠陥の発生を十分に低減することができる、ウェブロールの製造装置及び製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明者は検討を行い、その結果、巻取りに際しての張力、ウェブ厚み、及び歪みを変数としてモニターし、それらに基づいて内部応力を計算し、欠陥の発生を抑制するための内部応力の限度範囲及びかかる内部応力を限度範囲内に制御するためのウェブ巻取りにおける操作変数の要件を機械学習により求め、操作変数を調整することで、より良好に欠陥を低減することを着想した。
【0010】
加えて、本発明者はさらに、ウェブの巻取りよりも上流の搬送経路において、浮上搬送装置を設け、さらにその搬送面に微差圧計を設け、かかる微差圧計の圧力の変動を元にウェブの張力及び歪みをモニタすることにより、ウェブの巻取りに悪影響を与えずに張力及び歪みを正確に把握することができ、それにより上に述べた内部応力の計算をより正確に行うことができることを、併せて着想した。本発明は、これらの着想に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は以下の通りである。
【0011】
(1) 搬送経路に沿って搬送される長尺のウェブを巻取り、ウェブロールを製造する製造装置であって、
前記搬送経路の終末において前記ウェブを巻取りウェブロールを形成する巻取り機、
前記搬送経路の、前記巻取り機よりも上流に設けられた計測装置であって、前記ウェブ全幅において前記ウェブの張力を計測し張力情報を取得する張力計、前記ウェブ全幅において前記ウェブの厚みを計測し厚み情報を取得する厚み計、及び前記ウェブ全幅において前記ウェブの歪みを計測し歪み情報を取得する歪み計を含む計測装置、
前記巻取り機による巻取りの過程において、前記張力情報、前記厚み情報及び前記歪み情報に基づき前記ウェブロールにおける円周方向内部応力及び半径方向内部応力の計算値を求める応力計算装置、
前記円周方向内部応力の計算値、前記半径方向内部応力の計算値、又はこれらの両方が、前記巻取り機による巻取り完了までの間に、設定された限度範囲外となると予測された場合、前記計算値が前記巻取り完了までの間前記限度範囲内となるよう、操作変数を調整する工程制御装置、及び
前記円周方向内部応力の計算値及び前記半径方向内部応力の計算値が前記巻取り完了までの間前記限度範囲内となるよう調整するための前記操作変数の要件を求める機械学習装置、を備え、
前記機械学習装置は、
前記巻取り機、前記計測装置、前記応力計算装置、及び前記工程制御装置により前記ウェブロールを形成し、且つ、前記工程制御装置による操作変数の設定値情報と、前記巻取り完了までの間の前記円周方向内部応力の計算値及び前記半径方向内部応力の計算値情報を記録することにより取得した、これらの情報の組を元に、前記円周方向内部応力の計算値及び前記半径方向内部応力の計算値が前記巻取り完了までの間前記限度範囲内となる前記操作変数の前記要件を求め、且つ、
前記巻取り機、前記計測装置、前記応力計算装置、及び前記工程制御装置により前記ウェブロールを形成し、且つ、前記ウェブロールにおける巻き外観を評価することにより取得した、前記円周方向内部応力の計算値及び前記半径方向内部応力の計算値と前記巻き外観の評価結果との組を元に、前記限度範囲の妥当性を評価しフィードバック調整する、機械学習装置である、
製造装置。
(2) 前記張力計及び歪み計が、搬送面を有する浮上搬送装置の前記搬送面に設けられた微差圧計を含む、(1)に記載の製造装置。
(3) 前記操作変数が、前記巻取り機の巻取張力、前記搬送経路に設けられたニップロールの接圧、前記搬送経路に設けられた延伸機の延伸倍率、搬送経路近傍に設けられた加熱装置温度、前記ウェブの製膜厚み、前記ウェブの製膜厚みの変動周期、前記巻取り機の近傍に設けられた巻取りサクションの減圧度、又はこれらの2以上の組み合わせである、(1)又は(2)に記載の製造装置。
(4) 前記厚み計が、トラバーススキャン方式又はラインスキャン方式の膜厚計である、(1)~(3)のいずれか1項に記載の製造装置。
(5) 前記工程制御装置が、前記円周方向内部応力の計算値、前記半径方向内部応力の計算値、又はこれらの両方が、前記巻取り機による巻取り完了までの間に、設定された限度範囲外となると予測した場合に、操作者に警告を通知する通知装置をさらに備える、(1)~(4)のいずれか1項に記載の製造装置。
(6) 搬送経路に沿って搬送される長尺のウェブを巻取り、ウェブロールを製造する製造方法であって、
前記搬送経路の終末において前記ウェブを巻取りウェブロールを形成する巻取り工程、
前記搬送経路の、前記巻取り工程よりも上流において行う計測工程であって、前記ウェブ全幅において前記ウェブの張力を計測し張力情報を取得する張力計測工程、前記ウェブ全幅において前記ウェブの厚みを計測し厚み情報を取得する厚み計測工程、及び前記ウェブ全幅において前記ウェブの歪みを計測し歪み情報を取得する歪み計測工程を含む、計測工程、
前記巻取り工程の過程において、前記張力情報、前記厚み情報及び前記歪み情報に基づき前記ウェブロールにおける円周方向内部応力及び半径方向内部応力の計算値を求める応力計算工程、
前記円周方向内部応力の計算値、前記半径方向内部応力の計算値、又はこれらの両方が、前記巻取り工程の完了までの間に、設定された限度範囲外となると予測された場合、前記計算値が前記巻取り工程の完了までの間前記限度範囲内となるよう、操作変数を調整する変数制御工程、及び
前記円周方向内部応力の計算値及び前記半径方向内部応力の計算値が前記巻取り工程の完了までの間前記限度範囲内となるよう調整するための前記操作変数の要件を、機械学習により求める要件決定工程、を含み、
前記要件決定工程は、
前記巻取り工程、前記計測工程、前記応力計算工程、及び前記変数制御工程により前記ウェブロールを形成し、且つ、前記変数制御工程における前記操作変数の設定値情報と、前記巻取り工程完了までの間の前記円周方向内部応力の計算値及び前記半径方向内部応力の計算値情報を記録することにより取得した、これらの情報の組を元に、前記円周方向内部応力の計算値及び前記半径方向内部応力の計算値が前記巻取り工程の完了までの間前記限度範囲内となる前記操作変数の前記要件を、機械学習により求める工程であり、且つ、
前記製造方法はさらに、
前記巻取り工程、前記計測工程、前記応力計算工程、及び前記変数制御工程により前記ウェブロールを形成し、且つ、前記ウェブロールにおける巻き外観を評価することにより取得した、前記円周方向内部応力の計算値及び前記半径方向内部応力の計算値と前記巻き外観の評価結果との組を元に、前記限度範囲の妥当性を機械学習により評価しフィードバック調整する、限度範囲調整工程を含む、
製造方法。
(7) 前記張力計測工程及び歪み計測工程が、搬送面を有する浮上搬送装置の前記搬送面に設けられた微差圧計により圧力を測定することを含む、(6)に記載の製造方法。
(8) 前記操作変数が、前記巻取り工程における巻取張力、前記搬送経路に設けられたニップロールの接圧、前記搬送経路に設けられた延伸機の延伸倍率、搬送経路近傍に設けられた加熱装置温度、前記ウェブの製膜厚み、前記ウェブの製膜厚みの変動周期、前記巻取り工程を行う巻取り機の近傍に設けられた巻取りサクションの減圧度、又はこれらの2以上の組み合わせである、(6)又は(7)に記載の製造方法。
(9) 前記厚み計測工程が、トラバーススキャン方式又はラインスキャン方式の膜厚計による計測である、(6)~(8)のいずれか1項に記載の製造方法。
(10) 前記変数制御工程において、前記円周方向内部応力の計算値、前記半径方向内部応力の計算値、又はこれらの両方が、前記巻取り工程の完了までの間に、設定された限度範囲外となると予測した場合に、操作者に警告を通知する通知工程をさらに含む、(6)~(9)のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、バンド等の欠陥の発生を十分に低減することができる、ウェブロールの製造装置及び製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の製造装置及びそれを用いた本発明の製造方法の一例を概略的に示した側面図である。
図2図2は、図1の領域R1を拡大して示す部分側面図である。
図3図3は、図1の領域R2を拡大して示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
【0015】
本願において、「長尺」のウェブとは、幅に対して、5倍以上の長さを有するウェブをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するウェブをいう。長尺のウェブの長さの上限は、特に制限は無く、例えば、幅に対して10万倍以下としうる。
【0016】
(製造装置及び製造方法の概要)
本発明の製造装置は、搬送経路に沿って搬送される長尺のウェブを巻取り、ウェブロールを製造する製造装置である。図1は、本発明の製造装置及びそれを用いた本発明の製造方法の一例を概略的に示した側面図であり、図2は、図1の領域R1を拡大して示す部分側面図であり、図3は、図1の領域R2を拡大して示す部分斜視図である。
【0017】
本発明の製造装置は、搬送経路の終末においてウェブを巻取りウェブロールを形成する巻取り機、搬送経路の、巻取り機よりも上流に設けられた計測装置であって、ウェブ全幅においてウェブの張力を計測し張力情報を取得する張力計、ウェブ全幅においてウェブの厚みを計測し厚み情報を取得する厚み計、及びウェブ全幅においてウェブの歪みを計測し歪み情報を取得する歪み計を含む計測装置、巻取り機による巻取りの過程において、張力情報、厚み情報及び歪み情報に基づきウェブロールにおける円周方向内部応力及び半径方向内部応力の計算値を求める応力計算装置、円周方向内部応力の計算値、半径方向内部応力の計算値、又はこれらの両方が、巻取り機による巻取り完了までの間に、設定された限度範囲外となると予測された場合、計算値が巻取り完了までの間限度範囲内となるよう、操作変数を調整する工程制御装置、及び 円周方向内部応力の計算値及び半径方向内部応力の計算値が巻取り完了までの間限度範囲内となるよう調整するための操作変数の要件を求める機械学習装置を備える。
【0018】
上に述べた本発明の製造装置の構成要素のうち、図1で図示されているのは巻取り機及び計測装置のみであり、他は図示を省略している。図1の例では、製造装置100は、矢印A1で示す方向にウェブ11を搬送する搬送経路を有する。搬送経路においてウェブ11は、ガイドロール111~113及び浮上搬送装置121~122により支持された状態で搬送される。
【0019】
搬送経路の終末には巻取り機131が設けられる。巻取り機131は、矢印A2方向に回転することにより、ウェブ11を巻取り、ウェブロール12を形成する。図1の例では、タッチロール149で、巻取られるウェブ11を巻取り機131の回転軸方向へ加圧した状態で巻取りを行う。この例では、ウェブ11は、透明なフィルムである。
【0020】
(計測装置:計測工程)
本発明の製造装置において、計測装置は、張力計、厚み計及び歪み計を含み、これらにより、ウェブ全幅においてウェブの張力を計測し張力情報を取得する張力計測工程、ウェブ全幅においてウェブの厚みを計測し厚み情報を取得する厚み計測工程、及びウェブ全幅においてウェブの歪みを計測し歪み情報を取得する歪み計測工程を行い、張力情報、厚み情報及び歪み情報を取得する。
【0021】
張力計、厚み計及び歪み計は、別々の種の3種以上の装置であってもよく、2種又は1種の装置であってもよい。例えば、張力情報及び歪み情報の両方を取得できる機能を有する張力/ひずみ計と、厚み計とを組み合わせて、計測装置を構成してもよい。あるいは、複数の装置が協同して、張力計、厚み計及び歪み計のうちのいずれか1つ以上の機能を奏するものであってもよい。
【0022】
図1図3の例では、浮上搬送装置121と組み合わせて設けられた厚み計141、浮上搬送装置121の下流であって浮上搬送装置122の上流である位置のガイドロール111と組み合わせて設けられた張力計142、浮上搬送装置122と組み合わせて設けられた圧力センサ143、及び圧力センサ143に接続された微差圧算出装置144によって、張力情報、厚み情報及び歪み情報を取得する。圧力センサ143に接続された微差圧算出装置144は、これらの組み合わせにより微差圧計を構成する。
【0023】
応力計算装置による応力計算工程の実施に有用な情報を取得する観点から、張力情報、厚み情報及び歪み情報は、ウェブの長手方向及び幅方向にわたって分布する測定点のそれぞれにおける情報の集合としうる。図1図3の例では、厚み計141は、ウェブの長手方向及び幅方向にわたって分布する測定点のそれぞれにおける厚み情報を取得しうる装置であり、張力計142、圧力センサ143及び微差圧算出装置144は、これらが協同して、ウェブの長手方向及び幅方向にわたって分布する測定点のそれぞれにおける張力情報及び歪み情報を取得する装置である。
【0024】
図2に拡大して示す通り、浮上搬送装置121は、上流側浮上搬送装置121A及び下流側浮上搬送装置121Bの対で構成されている。上流側浮上搬送装置121A及び下流側浮上搬送装置121Bは、その搬送面121AS及び121BSから、気体を噴出しうる機構を有している。この機構により、上流側浮上搬送装置121A及び下流側浮上搬送装置121Bは、搬送されるウェブ11を、下側から非接触的に支持する。
【0025】
厚み計141は、光源141L及びカメラ141Cを備える。光源141Lは上流側浮上搬送装置121A及び下流側浮上搬送装置121Bの間に設けられ、ウェブ11の全幅にわたって延長する構造を有する発光体である。カメラ141Cは搬送されるウェブ11の上側に設けられ、光源141Lからの光を、ウェブ11の全幅にわたって連続的に撮影しうる機構を有している。
【0026】
ウェブ11のように、厚み数十μm程度の透明体であるフィルムの厚みの計測においては、光干渉を用いる方法を採用しうる。具体的には、光源141Lからウェブ11へ入射し、そのまま反対側のカメラ141C側へ出射した光と、入射後にウェブ11の光源側の界面及びカメラ側での界面での反射を経てからカメラ141C側へ出射した光とが、干渉することにより、カメラ141Cで観察される光の波長ごとの強度が変化する。この現象を利用してウェブ11の光学厚みを求め、これを光の屈折率で除することにより、ウェブ11の実厚みを求めうる。したがって、光源141Lが発光し、ウェブ11を透過する光源からの光をカメラ141Cが連続的に撮影し、撮影された映像中の各位置における光における干渉を経時的に解析することにより、ラインスキャンを行うことができる。即ち、搬送されるウェブ11の長手方向及び幅方向の両方にわたって分布する測定点のそれぞれにおける厚み情報の取得を、幅方向に延長する線上において同時に行いうる。
【0027】
厚みの測定は、上に述べた通り可視光等の光の干渉を利用した測定の他に、吸光度による測定で行うこともできる。吸光度の測定は、可視光線で行うこともでき、赤外光等の、可視光以外の光線で行うこともできる。視覚上透明であり可視光の吸光度が低いが赤外光の吸光度が高い材料のウェブの場合、赤外光による測定が適している。また、上に述べた光干渉による厚みの測定がラインスキャンに適している一方、吸光度による測定は、トラバーススキャンによっても好適に行いうる。即ち、一つの測定点において厚み計測を行う装置を、ウェブ幅方向に往復させて、幅方向全体にわたる計測を行うトラバーススキャン方式の装置による測定を行いうる。
【0028】
図3に拡大して示す通り、ガイドロール111は、軸部材111Xにより回転可能に支持されており、張力計142は、軸部材111Xに設けられたひずみ計であり、ウェブ11により軸部材111Xに負荷される圧力を検出しうる機構を有している。この機構により、張力計142は、ウェブ11全体に負荷された、ウェブ長手方向に沿った張力を検出しうる。
【0029】
浮上搬送装置122は、搬送面122Sを有している。浮上搬送装置122は、搬送面122Sから気体を噴出しうる機構を有している。この機構により、浮上搬送装置122は、搬送されるウェブ11を、下側から非接触的に支持する。圧力センサ143は、図3に概略的に示す通り、浮上搬送装置122の搬送面122Sの中央線122Cに沿って多数配列される。
【0030】
図3の例では、5つの圧力センサ143のみを模式的に示しているが、実際には、これより多数の圧力センサを配列しうる。これらの圧力センサ143と、それらに接続された微差圧算出装置144により、ウェブ11の幅方向にわたる、搬送面122Sにおける気体の圧力を測定することができる。
【0031】
搬送面122Sから気体が噴出されることにより、搬送面122Sとウェブ11との間の空間において、装置周囲の気圧より高い圧力の領域が構成されるが、その圧力は、ウェブ11の幅方向において常に均一であるとは限らず、その圧力にはばらつきが生じうる。その圧力はまた、経時的にも常に均一であるとは限らず、したがってウェブ11の長手方向においても、中央線122C上に位置した時点に負荷された圧力についてばらつきが生じうる。
【0032】
かかるウェブ11の長手方向及び幅方向にわたる圧力の分布と、張力計142により検出されたウェブ11全体に負荷された張力についての情報から、ウェブ11の長手方向及び幅方向の両方にわたって分布する測定点のそれぞれにおける、ウェブ長手方向に負荷された張力情報を取得しうる。
【0033】
加えて、ウェブ11の長手方向及び幅方向にわたって分布する測定点における圧力の情報から、それぞれの測定点におけるウェブ11の歪みを求め、歪み情報を取得することができる。
【0034】
張力計、厚み計及び歪み計のうち、透明なフィルムについての厚み計は、上に述べた厚み計141のように、搬送経路中において非接触的且つ連続的な計測を行うことができる装置が一般的に使用されている。一方、張力計及び歪み計、特にウェブの幅方向全体にわたる張力の分布及び歪みの分布については、搬送経路中において非接触的且つ連続的な計測を行うことが困難であった。
【0035】
ここで、図1及び図3に示す例のように、張力計及び歪み計が、搬送面を有する浮上搬送装置の搬送面に設けられた圧力センサを含む微差圧計により測定される場合、張力の分布及び歪みの分布についても、搬送経路中において非接触的且つ連続的な計測を行うことが可能となる。これにより、ウェブロールの巻取りに悪影響を与えることなく、張力の分布及び歪みの分布についての詳細な情報を得ることができ、その結果、内部応力の計算をより精密に行うことができ、より有効な欠陥発生の低減を達成することができる。
【0036】
(応力計算装置:応力計算工程)
本発明の製造装置において、応力計算装置は、計測装置及び計測工程により求められた張力情報、厚み情報、及び歪み情報に基づき、ウェブロールにおける円周方向内部応力及び半径方向内部応力の計算値を求める応力計算工程を行う。応力計算装置、機械学習装置及び工程制御装置は、図1図3には図示していないが、これらは、計測装置及び工程制御の対象となる装置に接続され、計測装置からの情報を自動的に取得して利用し、工程制御のための信号を出力できるよう構成されたコンピュータ、及び当該コンピュータにインストールされたプログラムを含むシステムとしうる。
【0037】
図1図3の例では、張力情報、厚み情報、及び歪み情報のそれぞれは、ウェブの長手方向及び幅方向にわたって分布する測定点における情報の集合であり、当該ウェブが巻取られてなるウェブロールにおいては、かかる張力、厚み及び歪みを維持されていると仮定しうる。張力、厚み及び歪みは、測定後巻取りまでの工程において変動する可能性が考えられるが、測定の時点でのこれらについての情報は、ウェブロール内における張力、厚み及び歪みをある程度反映した情報であるものとして利用可能である。
【0038】
張力情報、厚み情報、及び歪み情報に基づいた内部応力の計算は、既知の計算方法により行いうる。具体的には、特開2017-100850号公報、特開2012-188221号公報、及び橋本巨他著「Optimum Winding Tension and Nip-load into Wound Webs for Protecting Wrinkles and Slippage」、財団法人日本機械学会刊行、Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing, Vol. 4 (2010) No. 1 pp.238-248に記載された計算方法を適宜適用して行いうる。
【0039】
(工程制御装置:変数制御工程)
本発明の製造装置において、工程制御装置は、応力計算装置により計算された円周方向内部応力の計算値、半径方向内部応力の計算値、又はこれらの両方が、巻取り工程の完了までの間に設定された限度範囲外となると予測された場合、これらの計算値が巻取り工程の完了までの間限度範囲内となるよう、ウェブロール製造における操作変数を調整する、変数制御工程を行う装置である。
【0040】
ここで、操作変数とは、ウェブロールの製造の工程における、製造装置を構成する装置の操作にかかる変数である。操作変数の具体例としては、巻取り機の巻取張力、搬送経路に設けられたニップロールの接圧、搬送経路に設けられた延伸機の延伸倍率、搬送経路近傍に設けられた加熱装置温度、ウェブの製膜厚み、ウェブの製膜厚みの変動周期、巻取り機の近傍に設けられた巻取りサクションの減圧度、又はこれらの2以上の組み合わせとしうる。
【0041】
工程制御装置は、応力計算装置による応力の計算値が限度範囲外となると予測されることを検出し、それに対応して、操作変数を変更することを、製造装置を構成する他の装置に指示する信号を出力する装置としうる。例えば、操作変数としての巻取り機の巻取り張力を調整する場合、巻取り機を駆動するモーターを制御する回路に接続された、張力調整装置としうる。
【0042】
(機械学習装置:要件決定工程及び限度範囲調整工程)
本発明の製造装置において、機械学習装置は、機械学習による要件決定工程及び限度範囲調整工程を行う。
【0043】
要件決定工程は、円周方向内部応力の計算値及び半径方向内部応力の計算値が、巻取り工程の完了までの間において限度範囲内となるよう調整するための操作変数の要件を、機械学習により求める工程である。
【0044】
そのような操作変数の要件は、操作変数の変更と、それによる内部応力の計算値の変動との関係から求めうる。即ち、巻取り工程、計測工程、応力計算工程、及び変数制御工程によりウェブロールを形成し、且つ、変数制御工程における操作変数の設定値情報と、巻取り工程完了までの間の円周方向内部応力の計算値及び半径方向内部応力の計算値情報を記録することにより取得し、これらの情報の多数の組を学習データセットとして機械学習を行い、その結果として、円周方向内部応力の計算値及び半径方向内部応力の計算値が巻取り工程の完了までの間限度範囲内となる操作変数の要件を求めうる。
【0045】
学習データセットは、本発明の製造装置による製造工程の立ち上げ時には、それに先立つウェブロールの予備的製造を行い、当該予備的製造において測定されたデータから取得しうる。また、本発明の製造方法の実施に際して測定されたデータから追加的に学習データセットを取得して、取得後のさらなる製造において当該学習データセットによる追加的な機械学習の結果をフィードバックして利用しうる。
【0046】
限度範囲調整工程は、巻取り機、計測装置、応力計算装置、工程制御装置及び機械学習装置により、巻取り工程、計測工程、応力計算工程、及び変数制御工程を行いウェブロールを形成し、且つ、ウェブロールにおける巻き外観を評価することにより取得した、円周方向内部応力の計算値及び半径方向内部応力の計算値と巻き外観の評価結果の組を元に、限度範囲の妥当性を評価しフィードバック調整する工程である。
【0047】
より具体的には、本発明の製造装置による製造工程の立ち上げ時には、それに先立つウェブロールの予備的製造を行い、製造されたウェブロールの各々について、バンドなどの欠陥が発生したか否かを、目視評価などにより評価し評価結果を得て、当該評価結果と、当該評価結果にかかるウェブロール製造に際しての円周方向内部応力の計算値及び半径方向内部応力の計算値とを組として、多数のウェブロールについての多数の組を取得し、それらを学習データセットとして機械学習を行い、その結果として、バンドなどの欠陥の発生を抑制するための初期的な限度範囲を求めうる。
【0048】
さらに、限度範囲として当該初期的限度範囲を設定した上で、本発明の製造方法を実施し、製造されたウェブロールの全部または一部について、欠陥が発生したか否かを評価し評価結果を得て、さらに多数の、内部応力の計算値と巻き外観の評価結果の組を取得し、それらを学習データセットとしてさらに機械学習を行い、その結果として、バンドなどの欠陥の発生を抑制するための限度範囲の妥当性を評価し、初期的限度範囲が妥当ではなく、より妥当な限度範囲が存在すると評価された場合、限度範囲をより妥当な値に調整した上で、ウェブロールの製造をさらに行うことができる。
【0049】
限度範囲は、円周方向内部応力及び半径方向内部応力を変数とする理論式により定められた範囲としうる。具体的には、当該理論式に、計算工程で求められた円周方向内部応力及び半径方向内部応力を代入し、理論式の要件を満たす場合は限度範囲内であり、満たさない場合は限度範囲外であると規定しうる。
【0050】
本発明では、このように、様々な操作変数と内部応力の計算値との相関を機械学習により求め、さらに内部応力の制御と巻き外観の評価との相関を機械学習により求め、それらを制御することによりバンドなどの欠陥の発生を抑制するための制御を達成することができる。
【0051】
(任意の構成要素及び変形例)
本発明の製造装置及び本発明の製造方法は、上に述べた具体例に限られず、さらに任意の構成要素を追加しうる。また、上に述べた具体例に変形を加えうる。
【0052】
例えば、工程制御装置は、円周方向内部応力の計算値、半径方向内部応力の計算値、又はこれらの両方が、巻取り機による巻取り完了までの間に、設定された限度範囲外となると予測した場合に、操作者に警告を通知する通知装置をさらに備え、これにより、そのような警告を通知する通知工程を行いうる。かかる通知を受けた操作者は、製造の状況を判断した上で、前記工程制御装置による制御を補助する操作、製造の工程を中止する操作などを適宜選択して行いうる。
【0053】
図1に示した例では、巻き取り機131へのウェブの巻取りは、タッチロール149を伴ったタッチ巻きにより行っているが、本発明はこれに限られず、タッチロールに代えて、巻き取られるウェブロール12を加圧しない位置に設けられたギャップロールを用いて、ギャップ巻きを行うこともできる。
【符号の説明】
【0054】
11:ウェブ
12:ウェブロール
100:製造装置
111:ガイドロール
111X:軸部材
112:ガイドロール
113:ガイドロール
121:浮上搬送装置
121A:上流側浮上搬送装置
121AS:搬送面
121B:下流側浮上搬送装置
121BS:搬送面
122:浮上搬送装置
122C:中央線
122S:搬送面
131:巻取り機
141:厚み計
141C:カメラ
141L:光源
142:張力計
143:圧力センサ
144:微差圧算出装置
149:タッチロール
R1:領域
R2:領域
図1
図2
図3