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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014115
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】識別部材、検出装置、および移動体
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20240125BHJP
【FI】
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116721
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】工藤 宏一
(72)【発明者】
【氏名】片山 紘
(72)【発明者】
【氏名】高橋 泰史
(72)【発明者】
【氏名】南木 晋
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA02
5H301AA09
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301EE04
5H301EE13
5H301GG08
5H301GG09
(57)【要約】
【課題】識別部材を多数用意しなくても、多くの行先を指示することができる識別部材、検出装置、および移動体を提供する。
【解決手段】本発明は、搬送する物体を識別する識別部材であって、前記物体の側面に前記識別部材を取り付ける取付部と、前記識別部材内における前記物体の行先の表示領域を示す領域マークと、前記表示領域内において前記行先毎に区切られた複数の領域のいずれかに貼り付ける指示マークと、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送する物体を識別する識別部材であって、
前記物体の側面に前記識別部材を取り付ける取付部と、
前記識別部材内における前記物体の行先の表示領域を示す領域マークと、
前記表示領域内において前記行先毎に区切られた複数の領域のいずれかに貼り付ける指示マークと、
を有する識別部材。
【請求項2】
前記指示マークは、前記領域に貼り付く磁石を有する、請求項1に記載の識別部材。
【請求項3】
前記指示マークは、前記領域とは色が異なる、請求項1または2に記載の識別部材。
【請求項4】
前記表示領域は、矩形の領域であり、
前記領域マークは、前記表示領域の少なくとも3角に設けられるファインダパターンを有する、請求項1に記載の識別部材。
【請求項5】
前記複数の領域のそれぞれは、個別の磁石を有し、前記指示マークが有する磁石が吸着される、請求項1記載の識別部材。
【請求項6】
搬送する物体を識別する識別部材を撮影する撮影部と、
前記撮影部により撮影した画像から前記識別部材を検出する検出部と、
を備え、
前記識別部材は、
前記物体の側面に前記識別部材を取り付ける取付部と、
前記識別部材内における前記物体の行先の表示領域を示す領域マークと、
前記表示領域内において前記行先毎に区切られた複数の領域のいずれかに貼り付ける指示マークと、
を有する検出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の検出装置と、
前記検出部による前記識別部材の検出結果に基づいて、前記行先を算出する算出部と、
前記算出部により算出された前記行先への移動体の移動を制御する移動制御部と、
を備える移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、識別部材、検出装置、および移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
小売店では、補充商品がカゴ車(搬送対象物)で納品されることが多いが、トラックから降ろされた補充商品を店舗内の商品棚の近くまで搬送する「引き込み」という作業がある。補充商品の入ったカゴ車は、重量が重く、屋外から店舗内への通路は必ずしも平たんではないため、カゴ車を人手で運ぶ作業は負荷の高い作業となっていた。
【0003】
そこで、カゴ車に再帰反射テープを使った識別部材を取り付け、レーザレンジファインダ(LRF)等で水平方向にレーザスキャンしたときの高反射部の変化パターンによってIDを認識し、識別部材が取り付けられたカゴ車の目的地を指示する技術が開示されている。
【0004】
特許文献1には、搬送対象物の角度検出の精度向上、遠距離から搬送対象物の角度を検出できる自律移動装置を提供する目的で、所定の場所に置かれたカゴ車に、認識用のマーカが表示されたIDパネルを取り付ける技術が開示されている。ここで、マーカには、帯状部材の再帰反射テープ等を用いて、カゴ車の識別番号情報(ID情報)、搬送位置等の搬送先情報、搬送の優先度情報がコード化されている。また、カゴ車の識別番号情報(ID情報)は、テーブル参照等によって認識することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の識別部材は、取り外し可能な識別部材をカゴ車に取り付け、AGV(Automatic Guided Vehicle)がレーザセンサで識別部材を読み取ることで目的地または接続目標として判断することを実現しているが、目的地が変わる度に識別部材を取り替えたり、目的地が多くなると目的地の数だけ識別部材を用意したりしなければならない。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、識別部材を多数用意しなくても、多くの行先を指示することができる識別部材、検出装置、および移動体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、搬送する物体を識別する識別部材であって、前記物体の側面に前記識別部材を取り付ける取付部と、前記識別部材内における前記物体の行先の表示領域を示す領域マークと、前記表示領域内において前記行先毎に区切られた複数の領域のいずれかに貼り付ける指示マークと、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、識別部材を多数用意しなくても、多くの行先を指示することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施の形態にかかる搬送システムを適用することが想定される物流倉庫の一例を示す説明図である。
図2図2は、第1の実施の形態にかかる無人搬送車の構成の一例を示す図である。
図3図3は、第1の実施の形態にかかるカゴ車の構成の一例を示す図である。
図4図4は、第1の実施の形態にかかる無人搬送車により認識する識別部材の一例を説明するための図である。
図5図5は、第1の実施の形態にかかる無人搬送車が有するコントローラのハードウェア構成図である。
図6図6は、第1の実施の形態にかかる無人搬送車が有するコントローラの機能構成の一例を示す図である。
図7図7は、第1の実施の形態にかかる制御システムにおける無人搬送車の制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8図8は、第2の実施の形態にかかる無人搬送車により認識する識別部材の一例を示す図である。
図9図9は、第2の実施の形態にかかる無人搬送車により認識する識別部材の他の例を示す図である。
図10図10は、第3の実施の形態にかかる無人搬送車により認識する識別部材の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、識別部材、検出装置、および移動体の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる搬送システムを適用することが想定される物流倉庫の一例を示す説明図である。図1は、物流倉庫1000を天井側から見た床面を平面図として示している。図1に示されたXY平面が床面と並行な面であり、Z軸が高さ方向を示している。図1に示す物流倉庫1000において、出庫エリアA1は、荷卸しされた荷物を整列しておく場所が想定される。駐車エリアA2は、エレベータ等で他階へ移送する場合のエレベータ前エリアが想定される。また、走行エリアA3は、図1中の矢印によって出庫エリアA1と駐車エリアA2との往復経路を示す場所が想定される。
【0012】
本実施の形態にかかる搬送システムは、図1に示すように、無人搬送車1を制御して、カゴ車2等の搬送する物体(搬送対象物)を自動搬送する。本実施の形態では、無人搬送車1は、カゴ車2等の搬送対象物を自動接続および自動切り離しが可能な牽引型の無人搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)である。
【0013】
無人搬送車1の走行エリアA3は、ライン認識による誘導方式とする。また、無人搬送車1は、認識したラインの横にある番地マーク(エリアマーク)52を検出して、エリアを判断する。また、無人搬送車1は、駐車エリアA2では、ガイドテープを使用しない自己位置認識による車庫入れ動作を行う。
【0014】
無人搬送車1の走行エリアA3は、光学式または磁気式の走行ラインが床に敷設されており、無人搬送車1は走行ライン51上をトレースして走行する。無人搬送車1の出庫エリアA1および駐車エリアA2の手前には、番地マーク52が敷設されており、どのエリアに来たかを認識可能である。プログラムでは、エリア毎に動作をしてできるようになっている。出庫エリアA1では、無人搬送車1に対するカゴ車2等の搬送対象物の接続動作、駐車エリアA2では、カゴ車2の車庫入れ動作を行う。
【0015】
本実施の形態においては、出庫エリアA1と駐車エリアA2とが走行ライン51のすぐ横にある構成である。無人搬送車1は、走行ライン51を走行したまま、出庫エリアA1または駐車エリアA2のエリア内の探索を行う。駐車エリアA2内に搬送対象となるカゴ車2を見つけたら、走行ライン51上からカゴ車2への連結動作に移行する。また、駐車エリアA2に対しても、走行ライン51上から空き番地を探索して、カゴ車2の車庫入れ動作を行う。
【0016】
駐車エリアA2の走行ライン51を挟んで向かい側には、LRF(Laser Range Finder)が検知できる位置に再帰反射テープ53が何箇所か設置されており、再帰反射テープの設置情報をもとに、無人搬送車1は、自己位置の推定を行う。
【0017】
図2は、第1の実施の形態にかかる無人搬送車の構成の一例を示す図である。図2に示すように、無人搬送車1は、装置本体である無人搬送車本体部100、磁気センサ3、検出装置の一例であるコントローラ4、電力源(バッテリ)6、動力モータ7、モータドライバ8、測域センサ9、連結装置10、ID認識部11、駆動車輪71、および従動車輪72等を備える。測域センサ9は、無人搬送車1の周辺環境を認識する。
【0018】
ID認識部11は、カメラ等を有し、カゴ車2に取り付けられた識別部材21(図3参照)を撮影する撮影部の一例である。ここで、識別部材21は、搬送する物体の一例であるカゴ車2を識別可能とする識別標識である。
【0019】
本実施の形態にかかる搬送システムでは、無人搬送車1の走行可能な経路の床面に磁気テープを設置し、磁気センサ3を用いて磁気テープを検出することにより無人搬送車1が走行可能な経路上に位置していることを認識することができる。床面にテープを設置する誘導方式としては、磁気テープを用いる構成(磁気式)に限らず、光学テープを用いる構成(光学式)としてもよい。光学テープを用いる場合は、磁気センサ3の代わりに反射センサまたはイメージセンサ等が利用できる。
【0020】
また、本実施形態の搬送システムでは、二次元あるいは三次元地図と測域センサ9の検出結果との照合によって自己位置を認識する自律走行を行うことができる。測域センサ9は、物体にレーザ光を照射してその反射光から物体までの距離を測定する走査式のレーザ距離センサ(LRF:レーザレンジファインダ)である。以降において、測域センサ9をLRF9と表記する場合がある。
【0021】
なお、無人搬送車1と周囲の物体との間の距離の検出結果と、二次元あるいは三次元地図と、の照合によって自己位置の認識に用いるセンサとしては、ステレオカメラまたはデプスカメラ等も利用できる。
【0022】
無人搬送車1は、磁気センサ3または測域センサ9の検出結果に基づいてコントローラ4がモータドライバ8を介して動力モータ7の駆動を制御し、動力モータ7が駆動車輪71を回動駆動し、かつ従動車輪72を従動回転することで無人搬送車1が自律走行を行う。電力源6は、動力モータ7に対して電力を供給する。連結装置10は、カゴ車2と無人搬送車1とを連結させる。
【0023】
図3は、第1の実施の形態にかかるカゴ車の構成の一例を示す図である。本実施の形態では、カゴ車2は、図3に示すように、カゴ部20を保持する底板22と、四角形状の底板22の四隅に配置されたキャスター23と、カゴ部20の側面に配置された識別部材21(IDパネル等)と、を備える。
【0024】
図4は、第1の実施の形態にかかる無人搬送車により認識する識別部材の一例を説明するための図である。識別部材21は、搬送対象物(カゴ車2等)に取り付けられ、当該搬送対象物を識別可能とする部材である。識別部材21には、行先(目的地)の一例である搬送エリア(例えば、駐車エリアA2)の情報が含まれている。
【0025】
識別部材21は、作業指示書に近い形で、作業者が目的地を確認しやすいようにすることが好ましい。識別部材21は、その裏面にフック21aを取り付ける等して、カゴ車2等の搬送対象物に取り付け易くすることが好ましい。すなわち、フック21aは、カゴ車2の側面に識別部材21を取り付ける取付部の一例である。本実施の形態では、識別部材21は、フック21aによりカゴ車2に取り付けられているが、これに限定するものではなく、マグネット等で、カゴ車2の金属のフレームに張り付くようにしたり、カゴ車2にフレームを付けて当該フレームに識別部材21を差し込んで取り付けたりするような形態でも良い。
【0026】
識別部材21のパネルの中には、識別部材21内の表示領域21eを示す領域マーク21bが設けられる。すなわち、領域マーク21bは、識別部材21内におけるカゴ車2の行先の表示領域21eを示す領域マークの一例である。例えば、領域マーク21bには、図4に示すように、黒の四角い枠線を領域マークとして使用しても良い。領域マーク21bには、カメラ等のID認識部11で撮影した画像からその特徴を抽出しやすい色または形のマークを用いることが好ましい。
【0027】
また、識別部材21のパネルの中には、指示マーク21cが含まれる。指示マーク21cは、識別部材21内の表示領域内の予め決めた場所(座標位置)に付けられるマークであり、搬送対象物(カゴ車2)の行先(目的地)を指示する。具体的には、指示マーク21cは、識別部材21内の表示領域21e内において行先毎に区切られた複数の領域21fのいずれかに貼り付く指示マークの一例である。これにより、1つの識別部材21によって、カゴ車2の複数の行先を指示することが可能となるので、カゴ車2に複数の行先がある場合に、多くの種類の識別部材21を用意および保管する必要がなく、行先を指示する作業を容易化することができる。
【0028】
指示マーク21cは、複数の領域21fのいずれかに貼り付く磁石を有していても良い。また、指示マーク21cは、その色が、カゴ車2の行先毎に区切られた複数の領域21fと異なっていても良い。これにより、識別部材21が貼り付けられた領域21fと、指示マーク21cと、の識別を容易にすることができる。本実施の形態では、指示マーク21cには、磁石を使う例を示すが、識別部材21に対して取り外しが可能な物であればこれに限定するものではなく、例えば、軽い粘着部材であっても良いし、マジックテープ(登録商標)等も利用できる。
【0029】
また、識別部材21は、領域マーク位置決め部材21dを有する。領域マーク位置決め部材21dは、領域マーク21bが決められた位置(領域21f)に取り付けられるように当該位置を規制するための部材である。指示マーク21cとして磁石を使用する場合には、領域マーク位置決め部材21dには、鉄板を使うことができる。また、指示マーク21cが、マジックテープ(登録商標)の場合は、マジックテープ(登録商標)の対になる部材を領域マーク位置決め部材21dとして用いても良い。
【0030】
図5は、第1の実施の形態にかかる無人搬送車が有するコントローラのハードウェア構成図である。図5に示されているように、コントローラ4は、コンピュータによって構築されており、図5に示されているように、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、データバス510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0031】
これらのうち、CPU501は、コントローラ4全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出しまたは書き込みを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、または画像等の各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F509は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。データバス510は、図5に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスまたはデータバス等である。
【0032】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示等の入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択および実行、処理対象の選択、カーソルの移動等を行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出しまたは書き込みを制御する。なお、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出しまたは書き込み(記憶)を制御する。
【0033】
図6は、第1の実施の形態にかかる無人搬送車が有するコントローラの機能構成の一例を示す図である。本実施の形態では、無人搬送車1のコントローラ4は、検出部111と、算出部112と、移動制御部113と、を備える。本実施の形態では、CPU501が、RAM503を作業領域として用いて、ROM502に記憶されるプログラムを実行することにより、検出部111と、算出部112と、移動制御部113と、を実現しても良い。
【0034】
検出部111は、ID認識部11により撮影した画像から、識別部材21を検出する。
【0035】
算出部112は、検出部111による識別部材21の検出結果に基づいて、搬送対象物の一例であるカゴ車2の行先(目的地)を算出する。具体的には、算出部112は、検出部111により検出される識別部材21に含まれる領域マーク21bに基づいて、表示領域21eを抽出する。次いで、算出部112は、抽出された表示領域21eから指示マーク21cを検出する。そして、算出部112は、検出した指示マーク21cが貼り付けられた領域21fに対応する行先を、カゴ車2の行先として算出する。
【0036】
移動制御部113は、無人搬送車1の移動を制御する移動制御部の一例であり、算出部112により算出した行先への無人搬送車1の移動を制御する。
【0037】
図7は、第1の実施の形態にかかる制御システムにおける無人搬送車の制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。無人搬送車1が本線(走行エリアA3)の走行を開始すると(ステップS701)、コントローラ4の移動制御部113は、磁気センサ3を用いて、番地マーク52を検知して、出庫エリアA1に来たかを検知する(ステップS702)。
【0038】
無人搬送車1が出庫エリアA1に来たことを検知した場合(ステップS702:Yes)、移動制御部113は、出庫エリアA1への無人搬送車1の進入動作を行う(ステップS703)。次に、コントローラ4は、磁気センサ3および測域センサ9等を用いて、搬送対象のカゴ車2を選定する(ステップS704)。次いで、コントローラ4は、連結装置10を制御して、無人搬送車1に対してカゴ車2を接続する(ステップS705)。その際、コントローラ4の検出部111は、ID認識部11により撮影した画像から、カゴ車2に取り付けられた識別部材21を検出する。次いで、コントローラ4の算出部112は、検出部111による識別部材の検出結果に基づいて、カゴ車2の行先を算出する。
【0039】
その後、移動制御部113は、無人搬送車1に対するカゴ車2の接続が検知されると(ステップS706:Yes)、本線(走行エリアA3)に無人搬送車1を合流させ(ステップS707)、かつ無人搬送車1を本線で走行させる(ステップS708)。次いで、移動制御部113は、磁気センサ3を用いて、番地マーク52を検知して、カゴ車2の行先の番地(駐車エリアA2)に来たか否かを判断する(ステップS709)。
【0040】
カゴ車2の行先の番地に到着した場合(ステップS709:Yes)、移動制御部113は、駐車エリアA2への無人搬送車1の進入動作を行う(ステップS710)。次に、コントローラ4は、測域センサ9を用いて、駐車エリアA2内の空き車庫をスキャン(検出)する(ステップS711)。そして、移動制御部113は、検出した空き車庫の中から、カゴ車2を駐車する番地を選定し(ステップS712)、選定した番地へのカゴ車2の車庫入れを行う(ステップS713)。その後、移動制御部113は、再び、無人搬送車1を本線へ合流させ、出庫エリアA1へ戻す(ステップS714)。
【0041】
このように、第1の実施の形態にかかる制御システムによれば、1つの識別部材21によって、カゴ車2の複数の行先を指示することが可能となるので、カゴ車2に複数の行先がある場合に、多くの種類の識別部材21を用意および保管する必要がなく、行先を指示する作業を容易化することができる。
【0042】
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、領域マークとしてQRコード(登録商標)等のファインダパターンを用いる例である。以下の説明では、第1の実施の形態と同様の構成については説明を省略する。
【0043】
図8は、第2の実施の形態にかかる無人搬送車により認識する識別部材の一例を示す図である。本実施の形態では、識別部材800は、領域マーク801としてQRコード(登録商標)を有する。第1の実施の形態では、領域マーク801として黒の四角い枠線を用いた場合、識別部材800内において間違った場所を表示領域21eとして検出する可能性がある。そこで、本実施の形態では、領域マーク801としてQRコード(登録商標)を用いる。具体的には、識別部材21は、矩形の表示領域21eを有する。そして、領域マーク801は、当該矩形の表示領域21eの少なくとも3つの角に設けられるQRコード(登録商標)とすることにより、識別部材800内の表示領域21eを誤検出することを抑制する。
【0044】
図9は、第2の実施の形態にかかる無人搬送車により認識する識別部材の他の例を示す図である。本実施の形態では、識別部材900は、領域マーク901としてファインダパターンを有しても良い。ファインダパターンは、QRコード(登録商標)で使われている2重の四角いマークである。ファインダパターンは、縦、横、斜めに関わらず、中心を通る直線でスキャンしたときに、黒と白のパターンが1:1:2:1:1になるため、画像処理によってパターンを探し出しやすいという利点がある。
【0045】
このように、第2の実施の形態にかかる制御システムによれば、ID認識部11によって識別部材800内の表示領域21eを識別し易くなるので、識別部材800内の表示領域21eを誤検出することを抑制できる。
【0046】
(第3の実施の形態)
本実施の形態は、領域マーク位置決め部材として磁石を用いる例である。以下の説明では、第1の実施の形態と同様の構成については説明を省略する。
【0047】
図10は、第3の実施の形態にかかる無人搬送車により認識する識別部材の一例を示す図である。本実施の形態では、識別部材1001は、領域マーク位置決め部材1002として磁石を用いても良い。例えば、識別部材1001は、領域マーク901および指示マーク21cが印刷(プリント出力)された表面と、領域マーク位置決め部材1002としての磁石が配置される台紙(例えば、プラスチックの板)と、を貼り合わせた部材であっても良い。
【0048】
領域マーク位置決め部材1002として用いる磁石は、指示マーク21cを取り付け可能な予め設定された位置(領域21f)毎に個別に設けられ、当該予め設定された位置に指示マーク21cの磁石が吸着される。すなわち、識別部材1001の表示領域21eを区切った複数の領域21fのそれぞれが、個別の磁石(領域マーク位置決め部材1002)を有し、指示マーク21cが有する磁石が吸着される。
【0049】
このように、第3の実施の形態にかかる制御システムによれば、作業者が識別部材21に指示マーク21cを貼り付けた際に当該指示マーク21cの貼り付け位置がずれて行先が誤検出されることを防止できる。
【0050】
上記で説明した実施の形態の各機能は、一または複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサ、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【符号の説明】
【0051】
1 無人搬送車
2 カゴ車
3 磁気センサ
4 コントローラ
6 バッテリ
7 動力モータ
8 モータドライバ
9 測域センサ
10 連結装置
11 ID認識部
21 識別部材
21a フック
21b 領域マーク
21c 指示マーク
21d 領域マーク位置決め部材
21e 表示領域
21f 領域
71 駆動車輪
72 従動車輪
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】特開2020-155131号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10