(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141158
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】冷凍食品用包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20241003BHJP
B65D 33/01 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B65D81/34 U
B65D33/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052649
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000226976
【氏名又は名称】日清食品ホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】粟田 浩昭
【テーマコード(参考)】
3E013
3E064
【Fターム(参考)】
3E013BB13
3E013BC04
3E013BC14
3E013BD13
3E013BE01
3E013BF06
3E013BF22
3E013BF32
3E013BF62
3E013BG15
3E013BG17
3E064AB23
3E064BA27
3E064BA28
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC08
3E064BC18
3E064FA01
3E064FA03
3E064HD02
3E064HE03
(57)【要約】
【課題】電子レンジなどで加熱調理しても内圧によって包装袋が破袋せず、かつ、積載しても重さで破袋しないような冷凍食品用包装袋を提供することを目的とする。また、別の課題として、包装袋内の内容物によって、内圧の解除が制限されない冷凍食品用包装袋を提供することを目的とする。
【解決手段】相対するシール辺20Aを備えた冷凍食品用包装袋1であって、少なくとも一方のシール辺には接着部22と袋の内外に連通した非接着部24とが存在し、非接着部24は、袋内側の口径w1が袋外側の口径w2よりも広くなっていることを特徴とする冷凍食品用包装袋。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対するシール辺を備えた冷凍食品用包装袋であって、
少なくとも一方のシール辺には接着部と袋の内外に連通した非接着部とが存在し、
非接着部は、袋内側の口径が袋外側の口径よりも広くなっている、冷凍食品用包装袋。
【請求項2】
2つの非接着部が接着部を挟んで鏡対称に配置されている、請求項1記載の冷凍食品用包装袋。
【請求項3】
接着部を挟んで鏡対称に配置された2つの非接着部および鏡対称の基準となった接着部を基本構成単位とし、当該基本構成単位が少なくとも2以上隣り合ってシール辺に設けられている、請求項1記載の冷凍食品用包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍食品用包装袋に関する。より詳しくは、破袋防止及び蒸気抜き用の孔を備えた冷凍食品用包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食生活や生活スタイルなどの変化に伴い、様々な食品が販売されている。なかでも冷凍食品は、調理の手軽さ、味や品質が良いことから、消費者に受け入れられ順調に売り上げを伸ばしている。
【0003】
冷凍食品の調理方法としては、包装袋のまま電子レンジなどで加熱調理するタイプと、冷凍食品又は冷凍食品が載ったトレーを包装袋から取り出してから電子レンジなどで加熱調理するタイプが一般的である。前者は主に米飯物、水分含量の多い食材、点心など蒸らしを必要とするものに多い調理方法である。後者は、揚げ物など蒸らしを必要としないものに多い調理方法である。
【0004】
包装袋のまま調理する場合、冷凍食品から発生する水蒸気などによって包装袋の内圧が高まるため、包装袋には内圧を解除するための蒸気排出孔の設置が必要となる。蒸気排出孔としては、(1)フィルム同士の接着の一部に脆弱部を設け、内圧が高まったときに優先して当該脆弱部が剥がれることで蒸気排出孔として機能させるもの、(2)予めフィルムの一部にハーフカットを入れておき、内圧が高まったときに当該カット部が割けて蒸気排出孔となるもの、(3)フィルムにあらかじめ蒸気排出孔を設け、当該孔を塞ぐように別部材でシールした後、調理時に当該別部材を取り除いて加熱する方法などが知られている。
【0005】
一方で、製品製造時、包装袋内の空気はある程度は排出されてから封がなされるが、必ずしも真空になっているわけではない。そのため、製品を積載して陳列すると、下にある包装袋は、包装袋内の空気が少ない場合であっても上からの重圧によって破袋してしまう場合がある。とくに、重量のある炒飯などの米飯品ではその傾向が高い。そのため、炒飯などの包装袋には、シール部に破袋防止用として内外ともに同じ口径の連通孔があらかじめ設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-094206号公報
【特許文献2】特開2019-112094号公報
【0007】
しかしながら、連通孔を備えた包装袋であっても、次のような問題があった。例えば、連通孔の口径が広いと連通孔から米飯がこぼれてしまうといった問題が生じる。一方で、連通孔の口径を狭いと米飯によって連通孔が詰まりやすくなり、連通孔が機能しなくなる場合がある。また、米飯が詰まらなくても、フィルム同士の距離が近くなるためにフィルム同士が水滴などでくっつきやすく、連通孔として機能が低下する場合がある。さらに、包装袋のまま加熱調理をした場合、口径が狭いほど蒸気抜けが悪いため、破袋しやすくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の課題は、電子レンジなどで加熱調理しても内圧によって包装袋が破袋せず、かつ、積載しても重さで破袋しないような冷凍食品用包装袋を提供することを目的とする。また、別の課題として、包装袋内の内容物によって、内圧の解除が制限されない冷凍食品用包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題解決のため、本発明の冷凍食品用包装袋は、相対するシール辺を備えた冷凍食品用包装袋であって、少なくとも一方のシール辺には接着部と袋の内外に連通した非接着部とが存在し、非接着部は、袋内側の口径が袋外側の口径よりも広くなっていることを特徴とする。
【0010】
上記構成において、2つの非接着部が接着部を挟んで鏡対称に配置されていることが好ましい。また、接着部を挟んで鏡対称に配置された2つの非接着部および鏡対称の基準となった接着部を基本構成単位とし、当該基本構成単位が少なくとも2以上隣り合ってシール辺に設けられていることが好ましい。
【0011】
かかる構成によれば、非接着部における袋内側の口径を袋外側の口径よりも広くすることで、内容物の外部への流出を防ぎつつ、電子レンジで加熱した際には確実に内圧を解除し、包装袋の破袋を防ぐことができる。また、鏡対称とすることで、袋外部から内部への空気の流入を安定して行うことができるため、安定した起立性を確保することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電子レンジなどで加熱調理しても内圧によって包装袋が破袋せず、かつ、積載しても重さで破袋しないような冷凍食品用包装袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態にかかる冷凍食品用包装袋の平面図であって、(a)は表面側から見た図、(b)は裏面側から見た図である。
【
図2】本実施形態にかかる冷凍食品用包装袋の説明図であって、
図1におけるX方向から見た図である。
【
図3】本実施形態にかかる冷凍食品用包装袋説明図であって、
図1における破線部の部分拡大図である。
【
図4】
図1における破線部の部分拡大図において、他の形状を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。ここで、
図1は本実施形態にかかる冷凍食品用包装袋を表す説明図であって、(a)は表面側を、(b)は裏面側をそれぞれ表す。
図2は、本実施形態にかかる冷凍食品用包装袋の断面図を表す。
図3は、後述する非接着部のその他の形状を説明するための説明図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態にかかる冷凍食品用包装袋1は、平面視矩形状で、左右両側に設けられたシール部20、裏面側に設けられた合掌部30、下縁16に設けられた折込部40を備えている。
【0016】
本発明の冷凍食品用包装袋1の製造に用いるフィルムは、主にプラスチックの積層フィルムを用いるが、例えば基材フィルムにシーラント層を積層したような構成である。基材フィルムとシーラント層とは、それぞれを単独のフィルムまたは樹脂層で構成してもよいが、積層フィルムなどの積層体で構成することもできる。
【0017】
いずれにしても内容物を電子レンジで加熱するために用いるものであり、内容物の種類によっても多少異なるが、100℃程度の耐熱性、耐熱水性などを備えていることが好ましい。
【0018】
具体的には、基材フィルムとしては、2軸延伸ナイロンフィルム(ONフィルム)、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)、2軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)などが引張り強度、耐熱性などの性能、および加工性に優れるため好適に使用でき、これらの単独または積層フィルムを使用することができる。
【0019】
また、シーラント層(熱接着性樹脂層)には、ポリプロピレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂のほか、条件によっては線状低密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン、エチレン-αオレフィン共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、アイオノマーなども使用することができ、これらの単体、または混合物、添加剤を含む樹脂を使用することができる。只、これらの中でも易裂性を有する線状低密度ポリエチレンは、耐熱性、熱接着性、開封性など総合的な性能に優れるため特に好ましく使用できる。
【0020】
基材フィルムにシーラント層を積層する方法は、従来公知の方法を用いることができ、例えば、シーラント層の樹脂をインフレーション成形法で予めフィルム状に成形しておいて、これを基材フィルムにドライラミネーション法、または押し出しラミネーション法で貼り合わせて積層してもよく、また、基材フィルム面にシーラント層の樹脂を押し出しコートして積層してもよい。只、基材フィルムとシーラント層との接着強度や接着部の耐熱性を高くするためには、ポリウレタン系などの2液硬化型接着剤を使用するドライラミネーション法で積層することが好ましい。
【0021】
なお、本実施形態では矩形状であるが、四隅が直角だけでなく、四隅が面取りされて、外に凸の円弧状または曲線状となっていてもよい。
【0022】
本実施形態の冷凍食品用包装袋1は、
図2に示すように、連続する1枚の包装材料で構成されており、1枚の包装材料の端縁かつシーラント層同士を重ね合わせることで裏面14側に合掌部30を形成している。また、冷凍食品用包装袋1の下縁16には、冷凍食品用包装袋1の下縁16を袋内部方向に向かって折り込むことで折込部40が形成されている。冷凍食品用包装袋1の下縁16から折込部の折返し42までの距離は10~40mmが好ましい。
【0023】
本実施形態の冷凍食品用包装袋1は、左右両側のシール部20A及び冷凍食品用包装袋1の下側角部に設けられた第2シール部20Bからなるシール部20を備える。
図1に示すように、シール部20Aは左右の両端部において上縁14から下縁16に亘って設けられている。これにより、表面11と裏面12との間に冷凍食品などの内容物を収容する収容空間が形成される。シール部20Aの形成方法としては、熱溶着、超音波接着など、既存の方法であれば特に制限されない。本実施形態では左右一対の帯状で設けられている。なお、折込部40におけるシール部は、折込部40が二股に分かれるようにシールされている。
【0024】
図3に示すように、本実施形態の冷凍食品用包装袋1は、シール部20Aの一部に接着部22と非接着部24が存在する。本実施形態においては、表面11側から見て、右側シール部の中央よりやや下側に設けられている。非接着部24が破袋防止用の孔として機能する。また、破袋防止用の孔は蒸気排出孔としても機能する。
【0025】
図3に示すように、非接着部24は二つの接着部22によって形成された領域と言える。つまり、非接着部24の一辺は接着部の一辺であり、非接着部の他のもう一辺は他の接着部の一辺である。
【0026】
本実施形態において、冷凍食品用包装袋1の内外における非接着部24の幅は異なっていることが特徴である。内側における非接着部24の幅をw1、外側における非接着部24の幅をw2とした場合、w1>w2であることを特徴とする。すなわち、非接着部24は内側から外側に向かって縮径している。内容物にもよるが米飯の場合には、w1の範囲としては4~7mmが、w2の範囲としては2~5mmが好ましい。非接着部24の形状の一例としては、
図3に示すように、包装袋の内側からシール辺の幅方向の途中までw1の径のままで非接着部24が設けられたのち、w2まで縮径し、w2の径のまま包装袋の外側まで連通した構造が挙げられる。これにより、シール部の途中で段差が設けられた形状となっている。また本実施形態以外の非接着部24の形状としては、
図4に示す形状が挙げられる。
【0027】
また、本実施形態の冷凍食品用包装袋1は、
図3に示すように接着部22を基軸22bとしてシール部20Aの上下のいずれかの方向に、非接着部24が鏡対称に配置されていることが好ましい。このとき、鏡対称に配置された非接着部24の間にある接着部22が基軸22bとなる。接着部22および非接着部24の形状は特に制限されない。例えば、基軸22bとなる接着部22の形状は正方形、長方形、二等辺三角形、等脚台形が好ましい。また、非接着部24の辺のうち、基軸22bとなる接着部22とは異なる接着部22aの形状としては、段差状、直線または斜線であることが好ましい。なお、非接着部の形状は鏡対称でなくても良いが鏡対称であることが好ましい。
【0028】
さらに、基軸22bとなった接着部22および鏡対称に配置された2つの非接着部24を基本構成単位Mとしたとき、本実施形態では当該基本構成単位Mが少なくとも2以上隣り合って同一シール辺上に設けられていることがさらにより好ましい。連続する基本構成単位Mの数としては2以上4以下であることが好ましい。5以上設けるにはスペースが必要なこと、これ以上設けても効果に差が出ないこと、また現実的でないためである。基本構成単位M同士の間隔としては1~30mm程度開けることが好ましい。この間隔とすることで、フィルムの収縮などによって非接着部24の口が常に開いた状態となるため、蒸気排出や破袋防止に効果的である。一方、間隔が30mm以上であっても機能上問題ないが、5~15mm程度の範囲内であることがより効果的である。
【0029】
基本構成単位Mごとの非接着部24の形状は、他の基本構成単位M中の非接着部24の形状と同一であってもよいしが異なるものを組み合わせても良い。
【0030】
さらに、本実施形態の冷凍食品用包装袋1は、左右両辺のシール部20Aからそれぞれ下縁に向かって伸びた第2シール部20Bを備えている。第2シール部20Bを設けることで、包装袋の底面が舟形形状となり、容器の隅にある米粒などの冷凍食品を集めやすくなる。なお、第2シール部20Bは必須の構成ではなく、冷凍食品の内容に応じて設けないようにすることもできる。
【0031】
第2シール部20Bの一端は左右両辺のシール部20A上にあり、折込部40の折返し42と左右シール部20Aとの交点または交点よりもやや下側とすることが好ましい。また、第2シール部20Bの他端は下縁16上にあり、左右シール部20Aおよび下縁16によって第2シール部20Bを斜辺とする略直角三角形が形成される位置であれば特に制限されない。このとき、第2シール部20B以外の辺の長さとしては、同一か、左右両辺のシール部20Aを辺とする方が長いことが好ましい。なお、第2シール部20Bは線として設けられてもよいし、面として設けられてもよい。なお面として設けるとは、左右シール部20A、下縁16および第2シール部20Bで囲まれた略直角三角形の内側もシールした状態を指す。
【0032】
本実施形態の冷凍食品用包装袋1では面として設けた場合を例に示す。第2シール部20Bは、表面11および裏面12それぞれ2か所設けられており、表面11および裏面12の相対する第2シール部20B同士が接着されていることが好ましい。これにより、安定して起立することができるため、加熱調理後に冷凍食品用包装袋を皿として用いることができる(
図5参照)。
【0033】
本実施形態の冷凍食品用包装袋1は、合掌部30よりも上側に開封開始部50を備えていることが好ましい。開封開始部50とは、加熱調理後に包装袋を開封するためのものである。開封開始部50の形状としては、左右シール部20Aの少なくともいずれかに設けられた切り欠きや、開封を補助するための補助線、またはこれらの組み合わせなどが挙げられる。このうち、本実施形態においては、包装袋の下端と平行(地面と水平)に開封できる開封補助線を開封開始部50として備えていることが好ましい。開封開始部50は表面11および裏面12の基材層のうち、相対する位置にそれぞれ設けられていればよい。また開封開始線としては特に制限されず、公知の方法を用いて設けることができる。具体例としては、キズ加工線、ハーフカット線、レーザー加工線などが挙げられる。また、直線カットフィルムを適用することもできる。
【実施例0034】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0035】
基材層としてPETおよびシーラント層としてPEからなるシートを加工し、
図1の形状の包装袋を製造した。袋のサイズは縦175mm×横170mmとし、下縁から折返しまでの距離は35mmとした。また、下縁から合掌部の付け根までの距離は75mmとした。さらに第2シール部は面で形成し、表面側と裏面側それぞれの相対する第2シール部同士を接着した。なお、破袋防止孔および/または蒸気排出孔として機能する非接着部の位置及び形状は各実験例の通りとした。
【0036】
(実験例1)
非接着部を表面側から見て右側シール部に設けた。非接着部の形状は
図3に示す形状とした。袋内側の口径を4.5mm、袋外側の口径を3mmとし、シール部の途中で縮径する形状とした。基軸となる接着部の幅は1mmとした。また、基本構成単位数は1とした。
【0037】
(実験例2)
非接着部を表面側から見て右側シール部に設けた。非接着部の形状は
図3に示す形状とした。袋内側の口径を4.5mm、袋外側の口径を3mmとし、シール部の途中で縮径する形状とした。基軸となる接着部の幅は1mmとした。また、基本構成単位数を2とし、基本構成単位同士の間隔は7mmとした。
【0038】
(実験例3)
非接着部を表面側から見て右側シール部に設けた。非接着部の形状は
図4(b)に示すテーパー形状とした。袋内側の口径を5mm、袋外側の口径を3mmとし、シール部の内側から外側に向かって漸減する形状とした。基軸となる接着部は底辺2mmの二等辺三角形状とした。また、基本構成単位数を2とし、基本構成単位同士の間隔は10mmとした。
【0039】
(実験例4)
同一口径からなる非接着部を左右両端のシール部にそれぞれ1つずつ設けたこと以外は、実験例1と同じである。なお、口径は3mmとした。
【0040】
(実験例5)
口径を5mmとしたこと以外は、実験例4と同じである。
【0041】
(実験例6)
非接着部の形状をテーパー状とした。袋内側の口径を5mm、袋外側の口径を3mmとし、シール部の内側から外側に向かって漸減する形状としたこと以外は、実験例4と同じである。
【0042】
(実験例7)
袋内側の口径を10mmとしたこと以外は、実験例6と同じである。
【0043】
(実験例8)
非接着部を表面側から見て右側シール部に設けた。非接着部の形状およびサイズは実験例2と同じである。実験例2との違いは、実験例2は非接着部が鏡対称に設けられているのに対し、実験例8では鏡対称ではなく横並びの状態で設けられている点である。それ以外の条件については実験例2と同じである。
【0044】
(実験例9)
非接着部を表面側から見て右側シール部に設けた。非接着部は3mmの同一口径からなり、基軸となる接着部を基準に鏡対称に配置されている。基軸となる接着部の幅は1.5mmとした。また、基本構成単位数を2とし、基本構成単位同士の間隔は10mmとした。
【0045】
各実験例における包装袋に250gの冷凍炒飯を入れ、封をした後、次の条件で試験を行った。なお、各試験において各実験例のサンプル数はn=3で行った。
【0046】
(破袋確認試験)
包装袋の表面側が上となるように寝かした状態で、500Wで5分10秒間加熱を行った。目視で破袋していないか確認を行った。
〇:破袋なし
△:1つ又は2つの包装袋で破袋が発生した
×:すべての包装袋で破袋が発生した
【0047】
(自立性試験)
包装袋の表面側が上となるように寝かした状態で、500Wで4分10秒間加熱を行った。加熱後、包装袋の上縁の角部を持ち、内容物を折込部側に集め、包装袋が自立するかについて確認を行った。
〇:すべての包装袋で自立した
△:1つ又は2つの包装袋で自立しなかった
×:すべての包装袋で自立しなかった
【0048】
(こぼれの確認試験)
袋の角部持ち、冷凍状態の内容物を非接着部側に集めた。角部を持った状態で、上下に袋を10回揺らし、非接着部から内容物がこぼれるかについて確認を行った。なお、揺らしたときの袋の上下における移動距離は5cmとした。
〇:内容物のこぼれは発生しなかった
△:1つ又は2つの包装袋でこぼれが発生した
×:すべての包装袋でこぼれが発生した
【0049】
試験の結果を表1,2に示す。
【0050】
【0051】
【0052】
破袋性試験の結果に着目すると、同一口径である実験例4,5,9のみ破袋が発生していることが分かる。一方、包装袋の内側の口径を外側の口径よりも広くした実験例では、全ての包装袋で破袋が発生していなかった。このことから、包装袋の内外において口径を変えることで内圧の解除が効果的に機能し、破袋防止効果が高まることが示唆された。
【0053】
次に自立性試験の結果に着目すると、非接着部が2つある実験例1,4~7において、非接着部が離れて設けられている実験例4~7は自立性がなかった。具体的には、加熱調理後、包装袋内が陰圧になってしまうことで包装袋が前屈みのような折れ曲がった形状で固定された。その結果、安定性が欠如し、自立できない結果となった。折れ曲がった形状で固定された理由としては、非接着部から包装袋外部の空気が包装袋内部に流入しなかったためと考えられる。これに対して、非接着部が横並びで配置されている実験例1は、自立性を有していた。このことから、非接着部を横並びで配置することで、包装袋外部の空気が包装袋内部に流入しやすくなるものと推察された。
【0054】
一方、基本構成単位が2つある場合であっても、自立性について異なる結果となった。具体的には、実験例2,3は自立性があったのに対し、実験例8,9では自立性がないという結果となった。実験例2,3,9はいずれも接着部を基準に鏡対称に非接着部が配置された形状である。しかしながら、実験例9では基本構成単位が1つしかない実験例4~7と同じく包装袋が前屈みのような折れ曲がった形状で固定されてしまった。このことから、同一口径である非接着部を鏡対称に配置し、なおかつ基本構成単位を2つにしても非接着部から包装袋外部の空気が包装袋内部に流入しづらいことが示唆された。
【0055】
続いて、実験例2と実験例8とを比較すると、両者の違いは非接着部が鏡対称に配置されているか否かである。試験の結果、実験例8も包装袋が前屈みのような折れ曲がった形状で固定されてしまっていた。このことから、包装体内外で口径を変えた場合であっても、包装袋外部から内部に空気を流入させるためには非接着部が鏡対称に配置されていることが重要であることが示唆された。実験例2,3は、非接着部が鏡対称に配置され、かつ、基本構成単位を2つ以上有していることから、包装袋外部から内部に空気を流入しやすく、自立性が向上したものと考えられる。
以上のことから、自立性を確保するためには、包装袋内外で口径の異なる非接着部を鏡対称に横並びで配置することが重要であることが明らかとなった。
【0056】
最後にこぼれ試験の結果について着目すると、実験例5,7を除き良好な結果が得られた。実験例5においてこぼれが発生した要因としては、口径が同一口径であり、また米粒の短径よりも広い5mmであったことから、米粒が通過しやすかったためと考えられる。実験例7でこぼれが発生したのは、袋内側の口径が10mmと広く、非接着部に米粒が集まりやすくなったためと考えられる。ここで、実験例6と実験例7とは包装袋内部の口径の違いのみである。したがって、包装袋内部の口径としては広すぎない方がよく、広すぎるとこぼれが発生しやすくなることが示唆された。