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特開2024-141249フレキシブルコンテナ開袋機、及びフレキシブルコンテナの開袋方法
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  • 特開-フレキシブルコンテナ開袋機、及びフレキシブルコンテナの開袋方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141249
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】フレキシブルコンテナ開袋機、及びフレキシブルコンテナの開袋方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B65B69/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023052783
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】521297587
【氏名又は名称】UBE三菱セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100212026
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真生
(72)【発明者】
【氏名】沖原 洋佑
(72)【発明者】
【氏名】横田 健三
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼砂 玲音
(72)【発明者】
【氏名】三好 麻香
(72)【発明者】
【氏名】宮下 裕之
(72)【発明者】
【氏名】表 誠治
【テーマコード(参考)】
3E058
【Fターム(参考)】
3E058AA04
3E058BA05
3E058CA03
3E058DA10
3E058EA01
3E058FA01
3E058FA05
3E058FA09
3E058FA20
3E058GA05
(57)【要約】
【課題】開袋作業の効率化を図る。
【解決手段】フレキシブルコンテナ開袋機は、中央部分が上方に突出するように配置された上向きの刃と、前記刃の上端から上方に向かって延びるガイド針と、を有し、フレキシブルコンテナの底部を切り開くことが可能なカッター部と、前記カッター部を支持する第1支持体と、複数のバネを介して前記第1支持体を支持する第2支持体と、前記カッター部における振動を発生させる振動発生機と、を備える。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部分が上方に突出するように配置された上向きの刃と、前記刃の上端から上方に向かって延びるガイド針と、を有し、フレキシブルコンテナの底部を切り開くことが可能なカッター部と、
前記カッター部を支持する第1支持体と、
複数のバネを介して前記第1支持体を支持する第2支持体と、
前記カッター部における振動を発生させる振動発生機と、を備える、フレキシブルコンテナ開袋機。
【請求項2】
前記振動発生機は、上下方向に沿った振動と、横方向に沿った振動と、を発生させるように構成されている、請求項1に記載のフレキシブルコンテナ開袋機。
【請求項3】
前記カッター部、前記第1支持体、及び前記第2支持体を収容するケーシングを更に備え、
前記第2支持体は、1以上の防振ゴムを介して前記ケーシングに設置されている、請求項1又は2に記載のフレキシブルコンテナ開袋機。
【請求項4】
前記カッター部は、中央部分が上方に突出するように配置された上向きの1以上の刃を更に有する、請求項1又は2に記載のフレキシブルコンテナ開袋機。
【請求項5】
前記カッター部、前記第1支持体、及び前記第2支持体を収容し、下端部から内容物を排出可能なケーシングと、
前記ケーシングの下端部に設置されたグリズリと、を更に備え、
前記グリズリの目の大きさが、100mmよりも大きい、請求項1又は2に記載のフレキシブルコンテナ開袋機。
【請求項6】
前記フレキシブルコンテナの底部の径をL1とし、前記刃の平面視における幅をL2としたときに、L2/L1が、1.0以上である、請求項1又は2に記載のフレキシブルコンテナ開袋機。
【請求項7】
前記フレキシブルコンテナの容量(m)に対する内容物の重さ(kg)の比が、500以上である、請求項1又は2に記載のフレキシブルコンテナ開袋機。
【請求項8】
前記フレキシブルコンテナの内容物が、農業系副産物、食品系副産物、汚泥、又は、廃石膏である、請求項1又は2に記載のフレキシブルコンテナ開袋機。
【請求項9】
底部に補強バンドが設けられ、内容物が収容された状態の処理対象のフレキシブルコンテナを、請求項1又は2に記載のフレキシブルコンテナ開袋機まで運搬する工程と、
前記フレキシブルコンテナ開袋機を用いて、前記処理対象のフレキシブルコンテナの底部を切り開いて開袋する工程と、を含む、フレキシブルコンテナの開袋方法。
【請求項10】
内袋を有し、内容物が収容された状態の処理対象のフレキシブルコンテナを、請求項1又は2に記載のフレキシブルコンテナ開袋機まで運搬する工程と、
前記フレキシブルコンテナ開袋機を用いて、前記処理対象のフレキシブルコンテナの底部を切り開いて開袋する工程と、を含む、フレキシブルコンテナの開袋方法。
【請求項11】
底部に排出口を有し、当該排出口が閉じられて内容物が収容された状態の処理対象のフレキシブルコンテナを、請求項1又は2に記載のフレキシブルコンテナ開袋機まで運搬する工程と、
前記フレキシブルコンテナ開袋機を用いて、前記処理対象のフレキシブルコンテナの底部を切り開いて開袋する工程と、を含む、フレキシブルコンテナの開袋方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フレキシブルコンテナ開袋機、及びフレキシブルコンテナの開袋方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フレキシブルコンテナバッグ開袋機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-329135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、開袋作業の効率化に有用なフレキシブルコンテナ開袋機、及びフレキシブルコンテナの開袋方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1]中央部分が上方に突出するように配置された上向きの刃と、前記刃の上端から上方に向かって延びるガイド針と、を有し、フレキシブルコンテナの底部を切り開くことが可能なカッター部と、前記カッター部を支持する第1支持体と、複数のバネを介して前記第1支持体を支持する第2支持体と、前記カッター部における振動を発生させる振動発生機と、を備える、フレキシブルコンテナ開袋機。
【0006】
[2]前記振動発生機は、上下方向に沿った振動と、横方向に沿った振動と、を発生させるように構成されている、上記[1]に記載のフレキシブルコンテナ開袋機。
【0007】
[3]前記カッター部、前記第1支持体、及び前記第2支持体を収容するケーシングを更に備え、前記第2支持体は、1以上の防振ゴムを介して前記ケーシングに設置されている、上記[1]又は[2]に記載のフレキシブルコンテナ開袋機。
【0008】
[4]前記カッター部は、中央部分が上方に突出するように配置された上向きの1以上の刃を更に有する、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載のフレキシブルコンテナ開袋機。
【0009】
[5]前記カッター部、前記第1支持体、及び前記第2支持体を収容し、下端部から内容物を排出可能なケーシングと、前記ケーシングの下端部に設置されたグリズリと、を更に備え、前記グリズリの目の大きさが、100mmよりも大きい、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載のフレキシブルコンテナ開袋機。
【0010】
[6]前記フレキシブルコンテナの底部の径をL1とし、前記刃の平面視における幅をL2としたときに、L2/L1が、1.0以上である、上記[1]~[5]のいずれか1つに記載のフレキシブルコンテナ開袋機。
【0011】
[7]前記フレキシブルコンテナの容量(m)に対する内容物の重さ(kg)の比が、500以上である、上記[1]~[6]のいずれか1つに記載のフレキシブルコンテナ開袋機。
【0012】
[8]前記フレキシブルコンテナの内容物が、農業系副産物、食品系副産物、汚泥、又は、廃石膏である、上記[1]~[7]のいずれか1つに記載のフレキシブルコンテナ開袋機。
【0013】
[9]底部に補強バンドが設けられ、内容物が収容された状態の処理対象のフレキシブルコンテナを、上記[1]~[8]のいずれか1つに記載のフレキシブルコンテナ開袋機まで運搬する工程と、前記フレキシブルコンテナ開袋機を用いて、前記処理対象のフレキシブルコンテナの底部を切り開いて開袋する工程と、を含む、フレキシブルコンテナの開袋方法。
【0014】
[10]内袋を有し、内容物が収容された状態の処理対象のフレキシブルコンテナを、上記[1]~[8]のいずれか1つに記載のフレキシブルコンテナ開袋機まで運搬する工程と、前記フレキシブルコンテナ開袋機を用いて、前記処理対象のフレキシブルコンテナの底部を切り開いて開袋する工程と、を含む、フレキシブルコンテナの開袋方法。
【0015】
[11]底部に排出口を有し、当該排出口が閉じられて内容物が収容された状態の処理対象のフレキシブルコンテナを、上記[1]~[8]のいずれか1つに記載のフレキシブルコンテナ開袋機まで運搬する工程と、前記フレキシブルコンテナ開袋機を用いて、前記処理対象のフレキシブルコンテナの底部を切り開いて開袋する工程と、を含む、フレキシブルコンテナの開袋方法。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、開袋作業の効率化に有用なフレキシブルコンテナ開袋機、及びフレキシブルコンテナの開袋方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、開袋機を備える回収システムの一例を示す模式図である。
図2図2は、開袋機の内部構成の一例を模式的に示す側面図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、開袋機に含まれる一部の部材の一例を模式的に示す上面図である。
図4図4は、フレキシブルコンテナと刃との寸法関係の一例を示す模式図である。
図5図5(a)は、補強バンド付きフレキシブルコンテナの一例を示す写真である。図5(b)は、内袋付きフレキシブルコンテナの一例を示す模式図である。
図6図6は、底部に排出口が設けられたフレキシブルコンテナの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。一部の図面には、X軸、Y軸、及びZ軸で規定される直交座標系が示される。以下の説明では、Z軸が上下方向に対応し、X軸及びY軸が水平方向に対応する。
【0019】
[回収システム・フレキシブルコンテナ開袋機]
最初に、一実施形態に係るフレキシブルコンテナ開袋機を備える回収システムについて説明する。図1に示される回収システム1は、フレキシブルコンテナの底部を切り開いて、フレキシブルコンテナから内容物を回収するシステムである。すなわち、回収システム1による作業対象物(以下、「ワークWf」という。)は、フレキシブルコンテナである。ワークWfは、例えば樹脂製の袋であり、可撓性を有する。
【0020】
ワークWfは、廃棄物等の内容物を収容可能であり、例えば、内容物を輸送するために用いられる。回収システム1においてワークWfに対して所定の作業を行う際、ワークWfには内容物が収容されている。ワークWfは、フレキシブルコンテナバック、コンテナバック、フレコンバック、フレコン、トン袋、トンバック、又はトンパックと称される場合もある。回収システム1は、例えば、ワークWf内に収容された廃棄物等の内容物を処理(処分、リサイクル、又は他の製品の原料として利用等)する設備内に設置される。
【0021】
ワークWfの内容物は、例えば、農業系副産物、食品系副産物、汚泥、又は、廃石膏等の廃棄物である。農業系副産物の例としては、堆肥、及び肉骨粉が挙げられる。食品系副産物の例としては、灰白土が挙げられる。ワークWfに収容されている廃棄物は、粉状であってもよく、粒状物であってもよく、廃石膏ボードであってもよい。回収システム1は、開袋機10と、搬送装置92と、集塵機94と、ダクト96と、を備える。
【0022】
開袋機10(フレキシブルコンテナ開袋機)は、作業対象であるワークWfに対する開袋作業を行う装置である。開袋機10は、ワークWfの底部を開袋(破袋)することで、そのワークWfの内容物を、下流に位置する搬送装置92に排出する。開袋機10の詳細については後述する。
【0023】
搬送装置92は、開袋機10から排出された内容物を所定の位置まで搬送する装置である。搬送装置92は、例えば、スクリューフィーダーを含む。搬送装置92には、開袋機10からの内容物を受け入れる投入口と、内容物をシステム外へ排出する排出口とが設けられている。
【0024】
集塵機94は、開袋機10の内部から、粉塵及びダスト等の塵を集める装置である。集塵機94は、例えば、開袋機10の内部からの塵をボックス内に集める。集塵機94は、バクフィルタ及び吸引装置を含んでもよい。ダクト96は、開袋機10の内部と集塵機94とを接続する。
【0025】
開袋機10は、ワークWfの底部を切り開いて、ワークWfから内容物を取り出す開袋作業の少なくとも一部を自動で実行する。開袋機10は、作業員等と協働しながら、ワークWfに対する開袋作業を実行してもよい。開袋機10は、種々のワークWfそれぞれに対して開袋作業を順に実行してもよい。種々のワークWfの間では、フレキシブルコンテナの種別(寸法及び材質等の仕様)が異なる。開袋機10は、種々のワークWfが搬入されても、開袋作業を行うことが可能となるように構成されている。
【0026】
図2には、側方から見た場合の開袋機10の内部構成が模式的に示されている。図3(a)及び図3(b)それぞれには、開袋機10の一部の部材に関する模式的な上面図が示されている。図4には、ワークWf及び開袋機10の一部の部材の寸法関係を表す模式図が示されている。図2に示されるように、開袋機10は、ケーシング12と、解体部20とを備える。
【0027】
ケーシング12は、解体部20等を収容し、ワークWfに対する開袋作業を行うための内部空間(以下、「空間S」と表記する。)を形成する部材である。ケーシング12は、縦長の筒形状を有する。上下方向に直交する方向(X-Y平面)でのケーシング12の開口部分の形状は、四角形であってもよい。ケーシング12の上端部には、ワークWfを空間Sに搬入するための搬入口12aが設けられており、ケーシング12の下端部には、ワークWfの内容物を搬送装置92に排出するための排出口12bが設けられている。平面視(上方から見ること)において、搬入口12aの面積は、排出口12bの面積よりも大きい。
【0028】
ケーシング12の上部分13aでは、X-Y平面での開口部分の面積が、上下方向の位置によらず略一定となっている。ケーシング12の下部分13bでは、X-Y平面での開口部分の面積が、下方に向かうにつれて、小さくなっている。ケーシング12の下部分13bの内面の少なくとも一部は、例えば、ケーシング12の中心軸に近づくように傾斜している。ケーシング12の中心軸は、平面視での搬入口12aの中心を通り、上下方向に沿って延びる仮想的なラインである。一例では、平面視での排出口12bの形状は、水平な一方向であるX軸方向に延びる長方形である。
【0029】
解体部20は、ケーシング12内の空間Sにおいて、内容物がワークWfから排出されるようにワークWfの底部の少なくとも一部を解体するユニットである。解体部20は、カッター部30と、設置部40とを備える。カッター部30は、空間Sにおいて、設置部40を介してケーシング12に固定されている。
【0030】
カッター部30は、ワークWfの底部を切り開くことが可能なユニットである。ワークWfの底部が切り開かれることで、ワークWfの内容物が底部から排出される。カッター部30は、例えば、刃32aと、刃32bと、ガイド針34と、を有する。カッター部30に含まれる各部材は、ケーシング12内に収容されている。
【0031】
刃32a及び刃32bは、一体に形成されていてもよい。刃32a及び刃32bそれぞれは、板状に形成されており、上下方向に起立した状態で設置されている。図3(a)に示されるように、平面視において、刃32a及び刃32bは、十字状を呈している。なお、図3(a)では、分かりやすさのために、刃32a及び刃32bにハッチングが付されている。
【0032】
刃32aに着目した場合、刃32aは、Y-Z平面に沿って延在している。図2に示されるように、刃32aは、中央部分が上方に突出するように配置された上向きの刃である。上向きの刃32aでは、その刃先(鋭利な部分)が上を向く。刃32aの板厚方向(X軸方向)から見て、刃32aは、三角形状を有する。刃32aの刃先は、三角形の2つの斜辺に相当する縁に形成されている。斜辺は、水平方向に対して傾斜している辺である。刃32aの刃先は、山型であり、その頂点部分は、例えば、ケーシング12の中心軸に位置する。刃32aの板厚方向から見て、刃32aの刃先は、頂点部分の左右両側それぞれにおいて、ケーシング12に近づくにつれて下方に向かうように傾斜している。
【0033】
刃32bに着目した場合、刃32bは、X-Z平面に沿って延在している。刃32bは、刃32aと同様に形成されており、中央部分が上方に突出するように配置された上向きの刃である。上向きの刃32bでは、その刃先が上を向く。刃32bの板厚方向(Y軸方向)から見て、刃32bは、三角形状を有する。刃32bでは、刃先が、三角形の2つの斜辺に相当する縁に形成されている。刃32bの刃先は、山型であり、その頂点部分は、例えば、ケーシング12の中心軸に位置する。刃32bの板厚方向から見て、刃32bの刃先は、頂点部分の左右両側それぞれにおいて、ケーシング12に近づくにつれて下方に向かうように傾斜している。
【0034】
ガイド針34は、刃32aの上端から上方に向かって延びるように形成された針(針部材)である。刃32aの上端は、刃32aの上方に位置する頂点部分であり、刃32bの上端でもある。ガイド針34の上端は尖っており、ガイド針34は、ワークWfの底部に穴を形成することが可能となるように形成されている。カッター部30に対してワークWfが上方から当てられると、ガイド針34の少なくとも一部がワークWfの底部を貫通する。
【0035】
開袋(破袋)の頻度にもよるが、例えば、3ヶ月に1回の頻度で、刃32a及び刃32bの刃研ぎを行うことが好ましい。これにより、刃32a及び刃32aが、適切な切れ味を保つことができる。山型の刃32a及び刃32bは、中央部分よりも一方側の半分を1枚の刃(中央部分に近づくにつれて上方に向かうように傾斜した刃先を有する1枚の刃)とすると、4枚の刃ということもできる。例えば、合計4枚の刃でカッター部30を構成する場合、1年に1回のサイクルでメンテナンスをすることになる。
【0036】
カッター部30のガイド針34によってワークWfの底部に穴が形成されると、その穴の縁に対して、刃32a及び刃32bそれぞれの山型の刃先が当たる。これにより、上記穴の縁を起点として、刃32a及び刃32bによってワークWfの底部を裂く(切り裂く)ことができる。なお、上述した開袋機10と集塵機94とを接続するダクト96の開袋機10における吸い込み口は、刃32a及び刃32bに対応する高さ位置に設けられいる。集塵機94によって、ワークWfの底部が排出される内容物の一部が、ケーシング12の上端から排出されるのを抑制することができる。
【0037】
図4を用いて、刃32aとワークWfとの寸法関係の一例を説明する。図4において、「L1」は、ワークWfの底部の径を表す。ワークWfが丸型のフレキシブルコンテナである場合、ワークWfの側部は円筒状であり、L1は、ワークWfの底部の直径である。ワークWfが角型のフレキシブルコンテナである場合、ワークWfの側部は四角形の角筒状であり、L1は、ワークWfの四角形の底部における1辺の長さである。L1は、カタログ又は仕様書において記載される設計値(カタログ値)で定義される。L1の最大値は、例えば、1100mm程度である。
【0038】
図4において、「L2」は、刃32aの平面視における幅を表す。刃32aの平面視における幅は、刃32aの延在方向における一端から他端までの直線距離で定義される。板厚方向から刃32aを見て、刃32aが三角形状を有する場合、その三角形の水平な底辺の長さが、L2に相当する。L2/L1は、1.0以上であってもよい。すなわち、L2が、L1以上であってもよい。L2は、L1よりも大きくてもよい。L2/L1を1.0以上に設定することで、ワークWfの種類又は状態によって、開袋作業に要する時間が増加する懸念を解消できる。L2は、1100mm以上、1150mm以上、又は1200mm以上であってもよい。L2は、1300mm以下、1280mm以下、又は1260mmであってもよい。L2は、一例では、1100mm~1300mm、又は1200mm~1260mmである。
【0039】
上述したように、刃32aは、その頂点部分の両側それぞれにおいて、傾斜した状態の上向きの刃先を有している。図4において、「L3」は、頂点部分の一方の側方に位置する刃先の長さを表す。L3は、刃先(縁部分)のうちのガイド針34に最も近い点と、ガイド針34から最も遠い点との間の直線距離で定義される。L3は、800mm以上、820mm以上、又は840mm以上であってもよい。L3は、950mm以下、930mm以下、又は910mm以下であってもよい。L3は、一例では、800mm~950mm、又は840mm~910mmである。
【0040】
図4において、「θ」は、刃32aの刃先の水平面からの角度を表す。図4に示される例では、刃32aの底辺に相当する縁が水平であるので、θは、刃32aの底辺からの刃先の角度に相当する。刃32aによるワークWfの底部の切断を容易にする観点から、θは、30°以上、35°以上、又は40°以上であってもよい。解体部20の上下方向での寸法を小さくする観点から、θは、60°以下、55°以下、又は、50°以下である。θは、一例では、30°~60°、又は40°~50°である。なお、刃32bが、刃32aと略同一の寸法及び角度を有していてもよい。
【0041】
ワークWfに収容されている内容物が少ないと、ガイド針34によってワークWfに穴を開けた後に、内容物が外側に寄ってしまい、刃32a及び刃32bによって、ワークWfの底部を裂くことが難しくなる場合があるとの知見が得られた。そのため、ワークWfの容量(m)に対する内容物の重さ(kg)の比が、500(kg/1m)以上であってもよい。ワークWfの容量(m)に対する内容物の重さ(kg)の比は、550(kg/1m)以上、600(kg/1m)以上、又は、700(kg/1m)以上であってもよい。ワークWfの運搬の容易さの観点から、ワークWfの容量(m)に対する内容物の重さ(kg)の比は、1500(kg/1m)以下、1300(kg/1m)以下、又は1100(kg/1m)以下であってもよい。
【0042】
ワークWfの容量(m)に対する内容物の重さ(kg)の比は、ワークWfに収容されている内容物の全重量(kg)を、ワークWfの容量(m)で除算することで求められる。ワークWfの容量は、カタログ又は仕様書において記載される設計値(カタログ値)で定義される。ワークWfの容量が、1m(1000L)である場合、内容物が収容された状態のワークWfの重さは、500kg~1500kg、又は500kg~1100kgであってもよい。ワークWfの容量が、0.5m(500L)である場合、内容物が収容された状態のワークWfの重さは、250kg~750kg、又は250kg~550kgであってもよい。
【0043】
図2に戻り、設置部40は、空間Sにおいて、カッター部30をケーシング12に対して固定するユニットである。設置部40は、例えば、第1支持体42と、第2支持体44と、複数のバネ46と、複数の防振ゴム48と、を有する。設置部40に含まれる各部材は、ケーシング12内に収容されている。
【0044】
第1支持体42は、カッター部30を支持する部材である。第1支持体42には、例えば、刃32a及び刃32bの下端部が接続されている。第1支持体42に対して、刃32a及び刃32bの下端部が、溶接等によって接合されていてもよい。第1支持体42は、カッター部30を支持でき、且つ、ワークWfの底部から排出された内容物を下方に通過させることができるように形成されている。
【0045】
第1支持体42は、例えば、図3(a)に示されるように、外枠部42aと、複数の梁部42bとを含む。外枠部42aは、内部に開口を有するように環状に形成された部分である。外枠部42aによる開口は、四角形であってもよい。平面視において、外枠部42aの外縁と、ケーシング12の内壁との間には、若干の隙間が設けられている。複数の梁部42bは、外枠部42aの開口内に位置し、外枠部42aの内縁同士を接続するように形成された部分である。一例では、Y軸方向に延びる3本の梁部42bが、X軸方向に間隔を空けて並んで配置されている。外枠部42aの一部と梁部42bの一部とによって形成される開口部分を、ワークWfの底部から排出された内容物が通過する。
【0046】
図2に示されるように、第2支持体44は、複数のバネ46を介して第1支持体42を支持する部材である。第2支持体44は、複数のバネ46を介して第1支持体42を支持でき、且つ、ワークWfの底部から排出された内容物を下方に通過させることができるように形成されている。第2支持体44は、第1支持体42と同様に形成されてもよい。すなわち、第2支持体44は、外枠部と、複数の梁部とを含んでもよい。平面視において、第1支持体42の外枠部42aの少なくとも一部が、第2支持体44の外枠部の少なくとも一部と重なっていてもよい。平面視において、第1支持体42の梁部42bの少なくとも一部が、第2支持体44の1つの梁部の少なくとも一部と重なっていてもよい。
【0047】
複数のバネ46は、上下方向において、第1支持体42と第2支持体44との間に配置されている。複数のバネ46は、互いに同種のバネであり、各バネ46は、例えば、圧縮コイルバネである。各バネ46の上端が、第1支持体42の下面に固定されており、各バネ46の下端が、第2支持体44の上面に固定されている。一例では、複数のバネ46は、第1支持体42の外枠部42aの下面と、第2支持体44の外枠部の上面との間を接続する(図3(a)を参照)。なお、複数のバネ46の本数、及び、各バネ46の強度は、想定されるワークWf(内容物を含むワークWf)の重量に応じて設定される。
【0048】
複数の防振ゴム48は、第2支持体44とケーシング12との間に設けられている。言い換えると、第2支持体44は、複数の防振ゴム48を介してケーシング12に設置されている。複数の防振ゴム48は、カッター部30における振動がケーシング12に伝達するのを抑制する機能を有する。すなわち、各防振ゴム48は、カッター部30において発生する振動を吸収する機能を有する。カッター部30における振動については、後述する。
【0049】
例えば、ケーシング12は、その側壁の内面から内部に突出する複数のリブ14を有している。一例では、ケーシング12の側壁(ケーシング本体)と各リブ14とは、溶接によって互いに固定されている。複数のリブ14それぞれの上面に、1つの防振ゴム48が配置されている。第2支持体44と複数のリブ14との間に複数の防振ゴム48が配置された状態で、第2支持体44、防振ゴム48、及びリブ14が、1本のボルト(1組のボルト及びナット)を用いて、ずれないように固定されている。防振ゴム48の中央部分には、ボルト締結用の通し穴が設けられている。
【0050】
開袋機10は、振動発生機50を備える。振動発生機50は、カッター部30における振動を発生させる装置である。刃32a及び刃32bを含むカッター部30と、第1支持体42とは、複数のバネ46を介して支持されている。そのため、振動発生機50によってカッター部30に振動が発生すると、刃32a及び刃32bによるワークWfの底部を切る(裂く)動作が促進される。
【0051】
振動発生機50は、カッター部30における振動を発生させることが可能であれば、どのように配置されてもよい。例えば、振動発生機50は、第1支持体42と第2支持体44との間に配置されている。振動発生機50は、ガイド針34の鉛直下方に位置していてもよい。振動発生機50のケーシングが、第1支持体42の下面に固定され、且つ、第2支持体44の上面に固定されてもよい。
【0052】
振動発生機50は、上下方向に沿った振動と、横方向に沿った振動と、を発生させるように構成されていてもよい。横方向は、X-Y平面における任意の一方向(水平な一方向)である。振動発生機50は、X-Y平面における2以上の横方向それぞれに、振動を発生させてもよい。振動発生機50は、ユーラスバイブレータ(ユーラスモータ)を含んでもよい。ユーラスバイブレータは、モータの軸の両端部に設けられたアンバランスウェイトを回転させることで、振動を発生させる。
【0053】
振動発生機50は、外部からの指示に基づいて、振動を発生させる状態と、振動を発生させない状態とに切り替えられてもよい。例えば、ケーシング12の外に設けられたスイッチに対する作業員の操作によって、振動発生機50の動作状態がオン又はオフに切り替えられる。
【0054】
上述したように、ケーシング12の下端部には排出口12bが設けられている。開袋機10は、グリズリ60を備える。グリズリ60は、ケーシング12の下端部(排出口12bの近傍)に設置されている。グリズリ60は、水平な一方向に並ぶ複数のバー(グリズリバー)を有する。排出口12bが、X軸方向に延びる長方形状に形成されている場合、グリズリ60の複数のバーは、X軸方向に沿って所定間隔で並んで配置されている。
【0055】
図3(b)には、平面視でのグリズリ60及び排出口12bの一部が模式的に示されている。分かりやすさのために、グリズリ60にハッチングが付されている。グリズリ60は、例えば、2本の支持バー62と、複数のグリズリバー64とを含む。2本の支持バー62それぞれは、X軸方向に沿って延びており、2本の支持バー62は、Y軸方向において間隔を空けて並んでいる。2本の支持バー62は、固定部を介して、ケーシング12の内壁のうちの排出口12bの近傍に位置する部分に固定されてもよい。
【0056】
複数の(例えば、3本以上の)グリズリバー64それぞれは、Y軸方向に延びており、2本の支持バー62の間に配置されている。複数のグリズリバー64は、X軸方向に沿って並んでおり、所定の間隔で配置されている。支持バー62同士の間の直線距離は、互いに隣り合うグリズリバー64同士の間の直線距離よりも大きくてもよい。
【0057】
グリズリ60の目の大きさは、100mmよりも大きくてもよい。グリズリ60の目の大きさ(網目の大きさ)は、120mm以上、140mm以上、160mm以上、又は、180mm以上であってもよい。グリズリ60の目の大きさは、例えば、互いに隣り合うグリズリバー64同士の間の直線距離で定義される。一例では、グリズリ60の目の大きさは、110mm~250mm、120mm~240mm、又は、140mm~230mmである。
【0058】
グリズリ60の目の大きさを100mm超に設定することで、内容物に含有される水分の量に起因して、グリズリ60上に内容物の一部が残る可能性が低減される。なお、グリズリ60の目の大きさが100mm超、120mm以上、140mm以上、160mm以上、又は180mmに設定されても、ワークWfの底部を開袋した際に落下し得るワークWfの一部(例えば、補強バンドの一部)が、排出口12bから搬送装置92に排出され難いことが確認された。
【0059】
[フレキシブルコンテナの開袋方法]
続いて、開袋機10を備える回収システム1を用いて実行されるワークWfの開袋方法について説明する。この開袋方法では、開袋機10において、種々のワークWfに対する開袋作業が順に実行されてもよい。開袋機10で開袋作業が順に行われる種々のワークWfでは、内容物が共通していてもよい。以下の説明では、開袋機10によって開袋作業が行われる対象のワークWfのことを「処理対象のワークWf」と称する。
【0060】
ワークWfの開袋方法は、例えば、第1工程と、第2工程と、を含む。第1工程は、処理対象のワークWfを、回収システム1の開袋機10まで運搬する工程である。第1工程では、例えば、開袋機10のケーシング12の上方まで、処理対象のワークWfが運ばれる。第1工程では、吊り治具が設けられたフォークリフトを作業員が操作することで、ワークWfの運搬が行われてもよい。作業員は、上記吊り治具によってワークWfの吊り紐を持ち上げて支持するように、フォークリフトを操作してもよい。
【0061】
第2工程は、処理対象のワークWfを開袋機10内(ケーシング12内の空間S)に投入して、ワークWfの底部を切り開くことで、ワークWfから内容物を排出する工程である。第2工程では、例えば、作業員が、フォークリフトを操作することで、処理対象のワークWfを空間Sに投入して、処理対象のワークWfの底部がガイド針34に当たるように、処理対象のワークWfを下方へ移動させる。作業員は、処理対象のワークWfの底部に貫通した穴が形成される程度に、フォークリフトの操作により、処理対象のワークWfを下に移動させる。作業員は、第2工程を実行する前に、振動発生機50によりカッター部30における振動の発生を開始させてもよい。
【0062】
作業員は、ガイド針34により処理対象のワークWfの底部に穴を開けた後も、フォークリフトの操作により、処理対象のワークWfを保持した状態を維持する。ガイド針34により穴が形成された後は、カッター部30が振動しているので、刃32a及び刃32bによって、上記穴を起点として、処理対象のワークWfの底部が切り開かれる。これにより、処理対象のワークWfの底部から、内容物が下方に排出される。作業員は、内容物の排出が終了した後に、フォークリフトの操作により、底部が破れ、内容物が排出された後の処理対象のワークWfを上方へ移動させて、空の処理対象のワークWfを回収する。
【0063】
第2工程において処理対象のワークWfの底部から排出された後の内容物は、搬送装置92に導入される。搬送装置92によって、内容物は、所定の位置まで搬送される。処理対象のワークWfを開袋する作業が行われている最中では、集塵機94によって、ダクト96を介して空間Sで発生する塵が回収される。
【0064】
図5(a)及び図5(b)のそれぞれには、処理対象のワークWfの一例が示されている。図5(a)に示されるように、処理対象のワークWfの底部102には、1本以上の補強バンド104が設けられてもよい。処理対象のワークWfにおいて、底部102に補強バンド104が設けられていても、開袋機10ではカッター部30が振動するため、底部102を切り開くことができない可能性が低減される。開袋機10で処理される種々のワークWfのうちの一部のワークが、補強バンド付きのフレキシブルコンテナであってもよい。
【0065】
図5(b)に示されるように、処理対象のワークWfは、外袋112と、内袋114とを含んでもよい。内袋114は、外袋112の内部に設けられる。この場合、処理対象のワークWfは、2重の袋(バック)であるといえる。例えば、内容物に含まれる粒子が細かい場合、又は、内容物に多くの水分が含まれる場合に、内袋付きのフレキシブルコンテナが用いられる。処理対象のワークWfが2重の袋によって構成されていても、開袋機10ではカッター部30が振動するため、ワークWfの底部を切り開くことができない可能性が低減される。開袋機10で処理される種々のワークWfのうちの一部のワークが、内袋付きのフレキシブルコンテナであってもよい。
【0066】
図6には、処理対象のワークWfの一例が示されている。図6に示されるように、処理対象のワークWfは、底部102に排出口118を有し、排出口118が閉じられた状態で内容物を収容してもよい。図6では、内容物が収容されていない状態のワークWfが示されている。排出口118は、底部102の中央部分に設けられてもよい。ワークWfは、排出口118の開口縁に接続され、外に延びる部分119(例えば、内袋の一部)を有してもよい。例えば、部分119には、不図示の紐が一体に形成されており、その紐によって部分119を縛ることで、排出口118が閉じられてワークWfが内容物を収容可能な状態となる。部分119が紐で縛られた状態で、開袋機10によって処理される。処理対象のワークWfの底部102に紐で縛られた部分があっても、開袋機10ではカッター部30が振動するため、ワークWfの底部102を切り開くことができない可能性が低減される。開袋機10で処理される種々のワークWfのうちの一部のワークが、排出口付きのフレキシブルコンテナであってもよい。
【0067】
[試作品による評価]
カッター部30の寸法が異なる2種類の試作品を製作したうえで、種々のワークWfを用いて開袋に要する時間を評価した。一方の試作品(以下、「試作品1」という。)では、L2を570mmとし、L3を400mmとし、θを45°とした。他方の試作品(以下、「試作品2」という。)では、L2を1230mmとし、L3を870mmとし、θを45°とした。評価に用いた種々のワークWfにおいて、L1の最大値が1100mmであった。すなわち、試作品1では、処理対象のワークWfによっては、L2/L1が1.0よりも小さい場合があった。
【0068】
試作品1及び試作品2のいずれの場合でも、設置部40及び振動発生機50は、同じものを用いた。設置部40では、12本のバネ46を用いた。1つのバネ46の仕様に関して、最大荷重は96kgであり、取付時のバネの全長は170mmであり、線径は8mmであり、たわみ量は6mm/1ピッチであり、巻き数は10であった。振動発生機50として、ユーラステクノ社製の型式KEE-9-4Bを用いた。振動発生機50内のモータの回転数を1700rpmに設定し、振動力を900kgfに設定した。また、振動発生機50により、カッター部30において上下方向の振動と横方向の振動とを発生させた。
【0069】
試作品1を用いた評価では、処理対象のワークWfのL1が刃32aのL2よりも大きい場合、ワークWfから内容物を取り出すまでの作業時間が3分程度であった。一方、試作品2を用いた評価では、試作品1を用いた場合に3分程度の作業時間を要した寸法と同程度の寸法を有するワークWfが処理対象であっても、上記作業時間が10秒~60秒程度であった。ワークWfをケーシング12内に投入して下方に移動させた際に開袋が進まない場合もあり、その場合には、作業員は、フォークリフトの操作により、処理対象のワークWfを持ち上げて、再度落下させることを繰り返し行った。試作品2を用いた場合、試作品1を用いた場合に比べて、処理対象のワークWfを上下させる回数が減少した。また、試作品2を用いた場合では、処理対象のワークWfが、補強バンド付きフレキシブルコンテナであっても、また、内袋付けフレキシブルコンテナであっても、上記作業時間が、30秒~60秒程度であった。なお、試作品1及び試作品2とは異なりカッター部30で振動を発生ないと、内容物を取り出すまでに更に作業時間を要した。
【0070】
[変形例]
以上に説明した開袋機10及び開袋機10を用いた開袋方法は、一例であり、適宜変更可能である。カッター部30は、刃32a及び刃32bのいずれか一方を備えていなくてもよく、刃32a及び刃32bに加えて、刃32aと同様に形成された1以上の刃を備えてもよい。刃32a及び刃32bの少なくとも一方の延在方向が、X軸方向及びY軸方向に対して傾斜していてもよい。
【0071】
上述したように、1つの刃32aを中央部分で左右に半分に分けると、1つの刃32aには、中央部分に近づくにつれて上方に向かうように傾斜した刃先を有する刃が2枚含まれる。4枚の刃(刃32a及び刃32b)は、図3(a)に示されるように、平面視において十字状を呈していてもよいが、例えば、4枚の刃(刃32a及び刃32b)に対して1枚の刃を更に設けて、平面視において星状を呈する5枚の刃が設けられてもよい。この場合、4枚の刃(刃32a及び刃32b)が仮に補強バンドに当たってしまっても、1枚の別の刃によって、より確実に、底部を切り開くことができる。その結果、内容物を取り出す際の効率を向上させることができる。
【0072】
一体に形成された1つの防振ゴムを介して、第2支持体44がケーシング12に対して固定されてもよい。すなわち、第2支持体44は、1以上の防振ゴムを介して、ケーシング12に設置されていればよい。以上に説明した種々の例のうちの1つの例において、他の例で説明した事項の少なくとも一部が組み合わされてもよい。
【0073】
[本開示のまとめ]
ワークWfの内容物の一例として、廃石膏ボードが挙げられる。廃石膏ボードの処理設備において、廃石膏ボードはフレキシブルコンテナに入れられて、受入されている。受け入れられた廃石膏ボード入りのフレキシブルコンテナは、開袋(破袋)され、ホッパーに廃石膏ボードが投入される。この開袋作業では、従来、例えば、2人の作業員がホッパー上部開口部分に体をせり出して、手動カッターでフレキシブルコンテナの底部を切り裂いたり、又は、フレキシブルコンテナの底部における排出口締めロープを緩めたりして、開袋が行われていた。また、内容物の流動性が悪い場合には、底部からの排出を促すために手動でフレキシブルコンテナを揺らすなどの作業を行う必要があった。そのため、フレキシブルコンテナの開袋の作業効率、及び作業安全性(例えば、ホッパーへの落下リスクなど)の向上を図りたいという要望があった。
【0074】
これに対して、以上に説明した開袋機(10)は、中央部分が上方に突出するように配置された上向きの刃(32a)と、刃(32a)の上端から上方に向かって延びるガイド針(34)と、を有し、フレキシブルコンテナ(Wf)の底部を切り開くことが可能なカッター部(30)と、カッター部(30)を支持する第1支持体(42)と、複数のバネ(46)を介して第1支持体(42)を支持する第2支持体(44)と、カッター部(30)における振動を発生させる振動発生機(50)と、を備える。
【0075】
上述の開袋機では、刃とガイド針とを有するカッター部を支持する支持体が複数のバネを介して支持され、カッター部における振動を発生する振動発生機が設けられる。そのため、カッター部に対して、フレキシブルコンテナを落下させると、ガイド針によって底部に穴が開けられ、カッター部での振動により、フレキシブルコンテナを支持している間に、上記穴を起点として底部が切り裂かれる。また、カッター部を振動させることで、種々のフレキシブルコンテナが作業対象として投入されても、短い作業時間で開袋作業を行うことできる。従って、以上に説明した開袋機は、作業効率を向上させるのに有用である。また、作業員が排出を促す作業、及び底部を開く作業を直接行う必要がないので、作業安全性の向上にも有用である。
【0076】
以上に説明した開袋機(10)において、振動発生機(50)は、上下方向に沿った振動と、横方向に沿った振動と、を発生させるように構成されていてもよい。この場合、カッター部における振動に起因して、カッター部の刃により底部を切り開くことが、より促進される。従って、作業効率を向上させるのに更に有用である。
【0077】
以上に説明した開袋機(10)は、カッター部(30)、第1支持体(42)、及び第2支持体(44)を収容するケーシング(12)を更に備えてもよい。第2支持体(44)は、1以上の防振ゴム(48)を介してケーシング(12)に設置されている。この場合、カッター部において発生する振動が、ケーシングに伝達し難い。従って、振動に起因したケーシングの損傷を抑制することができる。
【0078】
以上に説明した開袋機(10)において、カッター部(30)は、中央部分が上方に突出するように配置された上向きの1以上の刃(32b)を更に有してもよい。この場合、2以上の上向きの刃(32a,32b)によって、カッター部30が構成されるので、1つの上向き刃が設けられる場合に比べて、カッター部の刃により底部を切り開く動作が、より促進される。従って、作業効率を向上させるのに更に有用である。
【0079】
以上に説明した開袋機(10)は、カッター部(30)、第1支持体(42)、及び第2支持体(44)を収容し、下端部から内容物を排出可能なケーシング(12)と、ケーシング(12)の下端部に設置されたグリズリ(60)と、を更に備えてもよい。グリズリ(60)の目の大きさが、100mmよりも大きくてもよい。この場合、フレキシブルコンテナの内容物が、グリズリを形成するグリズリバー上に残ってしまう可能性を低減できる。
【0080】
以上に説明した開袋機(10)において、フレキシブルコンテナ(Wf)の底部の径をL1とし、刃(32a,32b)の平面視における幅をL2としたときに、L2/L1が、1.0以上であってもよい。この場合、カッター部の刃が、フレキシブルコンテナの底部の端まで到達するので、開袋作業に要する時間をより短縮することができる。
【0081】
以上に説明した開袋機(10)において、フレキシブルコンテナ(Wf)の容量(m)に対する内容物の重さ(kg)の比が、500以上であってもよい。この場合、ガイド針が底部に穴を開けた後に、内容物が外側に寄って、刃による底部が裂けない可能性を低減できる。
【0082】
以上に説明した開袋機(10)において、フレキシブルコンテナ(Wf)の内容物が、農業系副産物、食品系副産物、汚泥、又は、廃石膏であってもよい。これらの廃棄物を内容物として収容したフレキシブルコンテナの開袋、及び内容物の排出では、コスト及び時間を要しており、農業事業者、及び流通業者等の課題になっている。以上に説明した開袋機は、この課題を解消するのに資するものである。
【0083】
以上に説明したフレキシブルコンテナの開袋方法は、底部(102)に補強バンド(104)が設けられ、内容物が収容された状態の処理対象のフレキシブルコンテナ(Wf)を、開袋機(10)まで運搬する工程と、開袋機(10)を用いて、処理対象のフレキシブルコンテナ(Wf)の底部(102)を切り開いて開袋する工程と、を含んでもよい。上記開袋する工程が実行される際、開袋機では、カッター部において振動を発生させるので、補強バンド付きフレキシブルコンテナが処理対象であっても、短い作業時間で開袋作業を行うことができる。
【0084】
以上に説明したフレキシブルコンテナの開袋方法は、内袋(114)を有し、内容物が収容された状態の処理対象のフレキシブルコンテナ(Wf)を、開袋機(10)まで運搬する工程と、開袋機(10)を用いて、処理対象のフレキシブルコンテナ(Wf)の底部を切り開いて開袋する工程と、を含んでもよい。上記開袋する工程が実行される際、開袋機では、カッター部において振動を発生させるので、内袋付きフレキシブルコンテナが処理対象であっても、短い作業時間で開袋作業を行うことができる。
【0085】
以上に説明したフレキシブルコンテナの開袋方法は、底部(102)に排出口(118)を有し、当該排出口(118)が閉じられて内容物が収容された状態の処理対象のフレキシブルコンテナ(Wf)を、開袋機(10)まで運搬する工程と、開袋機(10)を用いて、処理対象のフレキシブルコンテナ(Wf)の底部(102)を切り開いて開袋する工程と、を含んでもよい。上記開袋する工程が実行される際、開袋機では、カッター部において振動を発生させるので、排出口付きフレキシブルコンテナが処理対象であっても、短い作業時間で開袋作業を行うことができる。
【符号の説明】
【0086】
1…回収システム、10…開袋機、12…ケーシング、20…解体部、30…カッター部、32a,32b…刃、L2…幅、34…ガイド針、40…設置部、42…第1支持体、44…第2支持体、46…バネ、48…防振ゴム、50…振動発生機、60…グリズリ、Wf…ワーク、L1…径。
図1
図2
図3
図4
図5
図6