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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141396
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】導電パターン転写用シート
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/259 20210101AFI20241003BHJP
   A61B 5/265 20210101ALI20241003BHJP
【FI】
A61B5/259
A61B5/265
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053005
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109793
【弁理士】
【氏名又は名称】神谷 惠理子
(72)【発明者】
【氏名】二宮 直哉
(72)【発明者】
【氏名】小出 史代
(72)【発明者】
【氏名】荒牧 晋司
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127LL02
4C127LL15
4C127LL22
(57)【要約】
【課題】 溶媒を用いて導電パターンを転写する転写用シートにおいて、転写用溶媒として水を用いても、欠けの導電パターンを高い歩留まりで転写できる転写用シートを提供する。
【解決手段】 前記導電パターン転写用シートは、少なくとも水不溶性網状基材上に、水溶性樹脂を主成分とするメッシュ層が積層されていて、該メッシュ層上に導電性物質部を有する積層体であり、前記水不溶性網状基材の開口率は55~70%であり、前記水不溶性網状基材の表面構成材料の表面張力と、前記水溶性樹脂の水溶液の表面張力との差異が20mN/m以上である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を用いて、対象物表面に導電パターンを転写する導電パターン転写用シートであって、
前記導電パターン転写用シートは、少なくとも水不溶性網状基材上に、水溶性樹脂を主成分とするメッシュ層が積層されていて、該メッシュ層上に導電性物質部を有する積層体であり、
前記水不溶性網状基材の開口率は55~70%であり、
前記水不溶性網状基材の表面構成材料の表面張力と、前記水溶性樹脂の水溶液の表面張力との差異が20mN/m以上である導電パターン転写用シート。
【請求項2】
前記水不溶性網状基材の表面構成材料は、表面張力30mN/m以下の第1の水不溶性高分子である請求項1に記載の導電パターン転写用シート。
【請求項3】
前記第1の水不溶性高分子は、フッ素系樹脂又はシリコーン樹脂である請求項2に記載の導電パターン転写用シート。
【請求項4】
前記水不溶性網状基材は、前記第1の水不溶性高分子の繊維又は糸条体で構成された織布または不織布である請求項2に記載の導電パターン転写用シート。
【請求項5】
前記織布または不織布は、繊維径50μm~500μm、目付20g/cm~250g/cmである請求項4に記載の導電パターン転写用シート。
【請求項6】
前記織布または不織布は、目開き100μm~2mmである請求項4に記載の導電パターン転写用シート。
【請求項7】
前記水不溶性網状基材は、第2の水不溶性高分子からなる網状基体の表面に、前記第1の水不溶性高分子がコーティングされたものである請求項2に記載の導電パターン転写用シート。
【請求項8】
前記水溶性樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂である請求項1に記載の導電パターン転写用シート。
【請求項9】
前記メッシュ層は、ポリビニルアルコール系樹脂のナノファイバの集合体である請求項8に記載の導電パターン転写用シート。
【請求項10】
対象物表面に導電パターンを形成する方法であって、
請求項1~9のいずれか1項に記載の導電パターン転写用シートを、前記導電性物質部が前記対象物に当接するように、前記対象物表面に載置する工程;
前記導電パターン転写用シートの前記水不溶性網状基材の側から水を適用する工程;及び
水の適用後に、前記網状基材を剥離する工程
を含む導電パターンの形成方法。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項に記載の導電パターン転写用シートと、水を押圧により離水可能に含浸した転写補助部材とを含む導電パターン転写キット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写により電極や導電回路等の導電パターンを転写できる導電パターン転写用シートに関し、さらに詳述すると、皮膚表面に導電パターンを転写するのに好適な転写シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のウエアラブルデバイスの発展に伴い、人体の皮膚表面に、直接、導電回路や電極を形成する研究が進んでいる。
例えば、国際公開2020/241685号公報(特許文献1)では、転写により導電回路を皮膚表面に形成できるナノメッシュ積層体が提案されている。
このナノメッシュ積層体は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の疎水性熱可塑性樹脂の網状基材を使用し、かかる基材上に、エレクトロスピニング法によりPVAナノファイバを主成分とするナノメッシュを形成し、さらに、このナノメッシュ上に、導電回路となる導電性金属等をコートしたものである。
【0003】
かかるナノメッシュ積層体を、導電性金属側を皮膚表面に押し当て、かかる状態で、網状基材側から水やアルコールを適用すると、水やアルコールが網状基材の空孔を透過して、ナノメッシュ層に到達する。PVAナノファイバで構成されているナノメッシュ層は、水やアルコールに溶解するため、溶解により生成したPVA溶液のゲル状物が接着剤として作用し、皮膚上に、メッシュ状の導電性金属、すなわち導電回路を転写・固定できる。転写固定後、網状基材を剥離すると、皮膚表面には、PVA溶液のゲル状物により固定された導電回路が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/241685号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、施術される被験者においては、アルコール刺激に過敏な被験者もいるため、転写のために適用する液体(転写用溶媒)としては、アルコール又はアルコール水溶液よりも水を使用することの要望が大きい。
【0006】
特許文献1の実施例3では、ポリプロピレン製の網状基材を用いたPVAナノメッシュ積層体を、被験者の皮膚上に載置し、水のみを含ませた脱脂綿を網状基材の上から押しあてることで、金線を転写したことが記載されている。
【0007】
しかしながら、実施例3と同様に施術しても、被験者によっては、金線がうまく転写されない場合があることが判明した。特に電気回路のような細い線パターンを転写した場合、転写されたパターンが崩れているなどの転写不良が生じやすい傾向がある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、水を用いて導電パターンを転写した場合であっても、精密に転写できる導電パターン転写用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、アルコール(水溶液)を用いて転写した場合には、上記問題が生じなかったことから、転写精度のばらつきの原因は、使用する液体の種類と関係があるとして、種々検討した。その結果、被験者の肌の状態、被験者の体温などによっても転写精度がばらつくこと、および、転写不良の場合はメッシュ積層体に形成された導電回路の一部が転写されずに、メッシュ積層体の網状基材側に残存していることがわかった。
【0010】
さらに検討を進めた結果、PVA水溶液と網状基材との接着力と、皮膚とPVA水溶液との接着力との差異が、皮膚の状態によって相違するため、被験者により転写精度がばらつくと考えた。
そして、PVAアルコール溶液またはアルコール水溶液の場合には、皮膚とPVAアルコール溶液またはアルコール水溶液との接着力における皮膚の状態の個体差によるばらつきよりも、網状基材との接着力に対する差異の方がはるかに大きいために、皮膚状態の個体差による転写不良が発生しにくくなるという結論に達し、本発明に到達した。
【0011】
すなわち、本発明の導電パターン転写用シートは、以下の態様を有する。
[1]
水を用いて、対象物表面に導電パターンを転写する導電パターン転写用シートであって、
前記導電パターン転写用シートは、少なくとも水不溶性網状基材上に、水溶性樹脂を主成分とするメッシュ層が積層されていて、該メッシュ層上に導電性物質部を有する積層体であり、
前記水不溶性網状基材の開口率は55~70%であり、
前記水不溶性網状基材の表面構成材料の表面張力と、前記水溶性樹脂の水溶液の表面張力との差異が20mN/m以上である導電パターン転写用シート。
【0012】
[2]
前記水不溶性網状基材の表面構成材料は、表面張力30mN/m以下の第1の水不溶性高分子である[1]に記載の導電パターン転写用シート。
【0013】
[3]
前記第1の水不溶性高分子は、フッ素系樹脂又はシリコーン樹脂である[2]に記載の導電パターン転写用シート。
【0014】
[4]
前記水不溶性網状基材は、前記第1の水不溶性高分子の繊維又は糸条体で構成された織布または不織布である[2]又は[3]に記載の導電パターン転写用シート。
【0015】
[5]
前記織布または不織布は、繊維径50μm~500μm、目付20g/cm~250g/cmである[4]に記載の導電パターン転写用シート。
【0016】
[6]
前記織布または不織布は、目開き100μm~2mmである[4]に記載の導電パターン転写用シート。
【0017】
[7]
前記水不溶性網状基材は、水不溶性材料からなる網状基体の表面に、前記第1の水不溶性高分子がコーティングされたものである[2]又は[3]に記載の導電パターン転写用シート。
【0018】
[8]
前記水溶性樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂である[1]~[7]のいずれかに記載の導電パターン転写用シート。
【0019】
[9]
前記メッシュ層は、ポリビニルアルコール系樹脂のナノファイバの集合体である[8]に記載の導電パターン転写用シート。
【0020】
[10]
対象物表面に導電パターンを形成する方法であって、
[1]~[9]のいずれかに記載の導電パターン転写用シートを、前記導電性物質部が前記対象物に当接するように、前記対象物表面に載置する工程;
前記導電パターン転写用シートの前記水不溶性網状基材の側から水を適用する工程;及び
水の適用後に、前記網状基材を剥離する工程
を含む導電パターンの形成方法。
【0021】
[11]
[1]~[9]のいずれかに記載の導電パターン転写用シートと、水を押圧により離水可能に含浸した転写補助部材とを含む導電パターン転写キット。
【発明の効果】
【0022】
本発明の導電パターン転写用シートは、メッシュ層を構成する親水性樹脂の水溶液は、網状基材の表面に対する濡れ性が乏しいので、転写用溶媒として水を用いても、転写後の網状基材の剥離性がよく、導電パターンの転写性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の転写用シートの一実施形態の構成を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態の転写用シートの使用方法を説明するための模式図である。
図3】本発明の一実施形態の転写用シートの使用方法の他の実施例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0025】
〔導電パターン転写用シート〕
本発明の導電パターン転写用シートは、水を用いて、対象物表面に導電パターンを転写する導電パターン転写用シートであって、前記導電パターン転写用シートは、少なくとも水不溶性網状基材上に、水溶性樹脂を主成分とするメッシュ層が積層されていて、該メッシュ層上に導電性物質部を有する積層体であり、
前記水不溶性網状基材の開口率が55~70%であり、
前記水不溶性網状基材の表面構成材料の表面張力と、前記水溶性樹脂の水溶液の表面張力との差異が20mN/m以上である導電パターン転写用シートである。
【0026】
図1は、本発明の転写用シートの一実施形態の構成を示す模式図である。
当該転写用シートは、少なくとも網状基材1上に、水溶性樹脂を主成分とするメッシュ層2が積層されていて、該メッシュ層2上に導電性物質部3を有する積層体である。以下、各層について、詳述する。
【0027】
(1)網状基材
網状基材1は、少なくとも表面が水不溶性高分子、好ましくは疎水性樹脂で構成されていて、水溶性樹脂を溶解するための水が透過できる連通孔となる開口部を有するシート状物である。通常、水不溶性材料からなる繊維又は糸条体で構成された織布または不織布で構成される。ここで用いられる糸条体は、モノフィラメント、マルチフィラメントのいずれでもよい。また、織布の場合、織り方は特に限定しない。
なお、網状基材の少なくとも表面を構成する水不溶性高分子を第1の水不溶性高分子(第1水不溶性高分子)と称することがある。
【0028】
シート面に対する開口部の占有割合、すなわち開口率55~70%で、シートを構成する繊維間間隙又は織布における糸条体間の間隙が開口部(目開き)となる。
【0029】
前記第1水不溶性高分子は、メッシュ層2を構成する水溶性樹脂の水溶液の表面張力よりも20mN/m以上小さい表面張力を有する。後述するように、メッシュ層2を構成する水溶性樹脂としては、一般に、PVA系樹脂が使用され、水溶性樹脂が溶解した水溶液濃度は、0.1~5%程度であることから、表面材料の表面張力は30mN/m以下、好ましくは25mN/m以下、より好ましくは23mN/m以下の材料であることが好ましい。
【0030】
第1水不溶性高分子としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、パーフルオロエチレン-プロペンコポリマー(FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン-クロロトリフロオロエチレンコポリマー等のフッ素系樹脂;主鎖がシロキサン結合で構成されているシリコーン樹脂などが挙げられる。
これらのうち、特に表面張力が小さい、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂が好ましく、より好ましくはポリテトラフルオロエチレンである。
【0031】
網状基材1は、基材1の表面材料の表面張力が、メッシュ層2を構成する水溶性樹脂の水溶液の表面張力よりも20mN/m以上小さいという要件を充足することができればよい。
したがって、網状基材1全体が上記第1水不溶性高分子で構成される場合の他、水不溶性材料からなる網状基体(本体部)の表面に、前記第1水不溶性高分子がコーティングされたものであってもよい。
【0032】
網状基材の本体部と表面部との材料が異なる場合、本体部を構成する水不溶性材料は、第1水不溶性高分子のように、表面張力を小さくする必要はないので、広範な水不溶性材料を使用することができる。例えば、第1水不溶性高分子で例示したフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂の他、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;アクリル系樹脂等の合成樹脂を用いることができる。さらに、綿、麻等のセルロース系高分子;ウール等の動物性高分子;キチン、キトサン、ヒアルロン酸等の多糖類などの天然高分子を用いることができる。
なお、ここで用いることができる水不溶性高分子は第1水不溶性高分子とは区別されるものである。以下、網状基材の本体部と表面部との材料が異なる場合の、本体部を構成する水不溶性高分子を第2水不溶性高分子と称することがある。
【0033】
また、網状基材1が、本体部のシート又は織布または不織布に第1水不溶性高分子をコーティングしたものである場合、前記本体部として、上記第2の水不溶性高分子からなる繊維又は糸条体で構成された織布または不織布を用いることができる。
例えば、第2水不溶性高分子の織布または不織布に、第1水不溶性高分子をコーティングしたものが挙げられる。具体的には、オレフィン樹脂やポリエステル等の織布または不織布に、例えば、フッ素系樹脂又はシリコーン樹脂をコーティングしたものが挙げられる。
【0034】
網状基材1の連通孔の割合(開口率)は、50%~80%、好ましくは55~75%である。開口率が高くなりすぎると、網状基材1の強度が低下しすぎて、メッシュ層2の保持力が不十分となる他、いわゆる腰がないシート状物となり、取り扱い性が低下する。一方、開口率が小さくなりすぎると、水の透過率、透過量、透過スピードが低下し、メッシュ層2を溶解するのに時間がかかり、ひいては、導電パターンの転写、固定に時間がかかる。
特に、網状基材1の表面は、上記のように表面張力が小さい材料(第1水不溶性高分子)で構成されていることから、開口率が不十分な場合、または開口部のサイズが小さくなりすぎると、適用した転写用溶媒の水が、網状基材表面で水滴となり、開口部を透過しにくくなる。
【0035】
開口部の平均サイズ(又は目開き)は、特に限定しないが、網状基材の表面は、水に対する濡れ性が低い材料で形成されていることとの関係で、通常目開き100μm以上、好ましくは200μm以上である。個々の空孔サイズが大きくなりすぎると、網状基材の強度低下、ナノファイバを均質に支持することが困難となるので、開口部のサイズ(目開き)は、2mm以下、好ましくは1mm以下とすることが好ましい。
【0036】
なお、開口部のサイズ(目付)、開口率は、織布または不織布を構成する繊維径又は糸条体の太さ、メッシュ数等により調整できる。
【0037】
開口部の形状は、特に限定せず、60°千鳥型、角千鳥型、並列型、長丸穴千鳥型、長丸穴並列型、角穴千鳥型、角穴並列型、六角形60°千鳥型、長角穴千鳥型、長角穴並列型などが挙げられる。メッシュ層2との密着性から角穴並列型が好ましい。
【0038】
本明細書において開口率とは、網状基材を平面的にとらえた際の、単位面積に占める空隙部の面積比率を意味し、開口部のパターンが規則的なものの場合には、そのパターンに基づき計算により開口率を求めることができる。織布または不織布の場合、繊維径又は糸条体の太さ、目付、メッシュ数等により開口率を算出できる。
【0039】
開口部が不規則パターンの場合、網状基材をデジタルマイクロスコープで観察し、デジタル処理によって開口部のパターンを2値化することで、開口率を求めることができる。例えば、倍率10倍の光学顕微鏡にて、そのパターンを2値化して取り込み、全体の面積に対する開口部の割合を計算することにより求めることができる。2値化を行うための1グリッドの大きさとしては、0.1mm×0.1mm程度の範囲で測定すればよい。また、特にその開口部のパターンが不規則なものであれば、1cm×1cmの範囲を倍率10倍程度とした画像を撮り、0.1mm×0.1mmを1グリッドとして、開口部の割合を求めることで、開口率を得ることができる。
なお、開口部のパターンが不規則な場合、開口率に代えて、透水率又は透水速度を指標として用いてもよい。
【0040】
織布または不織布の場合、糸条体の繊維径の好ましい下限は50μm、好ましい上限は500μmである。上記糸条体の繊維径が50μm未満であると、織布または不織布としてのコシが損なわれ、メッシュ支持体としての必要十分な強度を確保することが困難な傾向にある。一方、500μmを超えると、繊維または糸条体の間隙に該当する個々の開口部のサイズを適切な範囲に調節することが困難となる。
【0041】
織布または不織布の目付量は、上記開口率を確保できる量であり、使用する糸条体の種類、製織、編成方法により異なるが、通常、好ましい下限は20g/m、好ましい上限は250g/mである。
【0042】
網状基材1の厚みは、通常10μm以上、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上であり、通常500μm以下、好ましくは400μm以下、より好ましくは300μm以下である。分厚くなりすぎると、水の通過距離が長くなるため、透水性低下の原因となる。薄くなりすぎると、メッシュ支持層としての強度が不十分となり、転写シートの取り扱い性が低下する。
【0043】
(2)メッシュ層
メッシュ層2は、水溶性樹脂のナノファイバ2aの集合体で構成される。
前記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドなどの合成高分子や、ゼラチン、プルラン、水溶性コラーゲンなどの天然高分子及びその化学変性高分子(但し、増粘性多糖類を除く)が挙げられる。
これらのうち、好ましくはポリビニルアルコール系樹脂であり、メッシュ層を構成するナノファイバ2aの製造のしやすさなどの点から、ポリビニルアルコール系樹脂を50重量%超、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上含有することが好ましい。
【0044】
前記PVA系樹脂としては、未変性PVAの他、カルボキシル基含有PVA、スルホ基含有PVA、アセトアセチル基含有PVA、側鎖に1,2-ジオール構造などを有する変性PVAが挙げられる。中でも生体への適合性の点で、未変性PVAが好ましい。
【0045】
PVA系樹脂は、ビニルエステル系モノマーを重合して得られるビニルエステル系樹脂をケン化して得られる、ビニルアルコール構造単位を主体とする樹脂であり、ケン化度相当のビニルアルコール構造単位とケン化されずに残存したビニルエステル構造単位から構成される。変性PVAの場合、ビニルアルコール構造単位とビニルエステル構造単位とさらにそれ以外の構造単位を有する。
【0046】
上記PVA系樹脂の平均重合度は、300以上であることが好ましく、350以上であることがより好ましく、400以上がさらに好ましく、500以上が特に好ましい。この範囲とすることで、メッシュの強度が向上する。一方3500以下であることが好ましく、3000以下がより好ましく、2500以下が更に好ましく、2300以下が特に好ましい。この範囲とすることで、PVA系樹脂を容易に製造することができる。なお、本実施形態において、PVA系樹脂の平均重合度は、JIS K 6726に準拠する方法で求めた平均重合度を用いるものとする。
【0047】
PVA系樹脂のケン化度は、水溶性の観点から、70~100モル%であることが好ましく、70~95モル%がより好ましく、70~92モル%が更に好ましく、70~90モル%が特に好ましい。なお、本実施形態において、PVA系樹脂のケン化度は、JIS K 6726に準拠する方法で求められた値とする。
【0048】
以上のようなPVA系樹脂の水溶液の表面張力は、PVA系樹脂の分子量やメッシュ層の目付量にもよるが、一般に適用される水量との関係から、水溶液濃度は0.1~5%程度であり、水溶液の表面張力は、40~55mN/m、好ましくは45~53mN/m程度である。
【0049】
メッシュ層2を構成するナノファイバ2aの繊維径は、50nm以上が好ましく、より好ましくは100nm以上、より好ましくは200nm以上、特に好ましくは300nm以上である。また、通常1000nm以下であり、好ましくは900nm以下、より好ましくは800nm以下、さらに好ましくは600nm以下、特に好ましくは500nm以下である。かかる繊維径とすることで、溶媒に対する溶解性も担保でき、転写用シートにおけるメッシュ層としての耐久性が高くなり、導電性物質部3の支持層としての役割を果たすことができる。
【0050】
メッシュ層2は、通常、エレクトロスピニング法(電界紡糸法)、メルトブロー法、海島溶融紡糸法等により形成することができる。
エレクトロスピニング法によるメッシュ層2の形成は周知の手段によって行うことができる。水溶性高分子材料を溶解した溶液(紡糸液)をシリンジに充填し、シリンジのノズルと導電性のコレクターとの間に高電圧を印加して、溶液をジェット状に飛散させ、飛散の過程で溶媒が揮発することで、ナノファイバがコレクターに堆積される。
【0051】
上記のようにして形成されるメッシュ層2は、ナノファイバ2aが、それらの交点において結合しているか、又はナノファイバ2aどうしが絡み合うことで、シート状の形態を保持することが可能となる。
【0052】
エレクトロスピニング法で形成したナノファイバからなるシートを、コレクターから剥離して網状基材上に積層してもよいし、エレクトロスピニング装置において、コレクター上に網状基材1をセットすることで、直接、網状基材1上に、メッシュ層2を積層形成することができる。
【0053】
ナノファイバ2aの繊維径は、エレクトロスピニング法においては、例えばメッシュ層製造時に用いる紡糸液の濃度によって調整できる。紡糸液中の水溶性樹脂の濃度の増加と共に繊維径は太くなる。また、メルトブロー法においては、例えばメッシュ層製造時に用いる紡糸液の吐出量によって調整できる。紡糸液の吐出量の増加に伴って繊維径は太くなる傾向にある。
【0054】
なお、メッシュ層2を構成する成分として、水溶性樹脂の他、必要に応じて、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール、あるいはこれらのアルキレンオキサイド付加物等の可塑剤;多糖類、ガム等の発酵多糖類、デンプン、デキストリン等のグルコース類等の増粘剤を含んでもよい。ただし、これらの添加剤の含有量は、メッシュ層2を構成する水溶性樹脂の水溶液の表面張力を過度に低下させない程度、水溶性に影響しない程度の量とすることが好ましく、具体的には、メッシュ層の10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下である。
【0055】
メッシュ層2の厚みは、目的に応じて適宜設定すればよく、特段限定されないが、通常0.1μm以上であり、1μm以上であってよく、また通常100μm以下であり、80μm以下であってよい。
【0056】
以上のような材料で構成されるメッシュ層2は、水により溶解し、乾燥により固化して、水溶性樹脂のゲル状物となる。
水溶性樹脂のゲル状物における水溶性樹脂濃度は、後述する使用方法で適用した水量、水溶性樹脂の種類にもよるが、通常、0.1~5%程度となる。
水溶性樹脂の水溶液の表面張力は、水溶性樹脂の種類、水溶液濃度にもよるが、通常40~60mN/mである。PVA系樹脂の場合、0.1~5%、好ましくは0.3~1%水溶液となる量が一般に用いられ、得られるPVA系樹脂の水溶液の表面張力は45mN/m~50mN/m程度である。
したがって、網状基材の表面とメッシュ層を構成する水溶性樹脂の水溶液の表面張力の差は、20mN/m以上、好ましくは25mN/m、より好ましくは28mN/mを達成することができる。
【0057】
(3)導電性物質部
導電性物質部3は、対象物表面に形成される電極や導電回路などの導電パターンに対応する。導電性物質部3に用いられる導電性物質としては、通常、白金、銀、塩化銀、銅、チタン、パラジウム、クロム又はコバルト等の金属あるいはその合金、カーボン(炭素)等の導電性材料である。
ITO(酸化インジウムスズ)、酸化ニッケル、酸化スズ、酸化インジウム、インジウム-ジルコニウム酸化物(IZO)、酸化チタン、又は酸化亜鉛等の導電性金属酸化物;ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングしたPEDOT:PSSや、ポリチオフェン誘導体にパラトルエンスルホン酸をドーピングしたPEDOT:PTS、ポリピロール又はポリアニリン等にヨウ素等をドーピングした導電性高分子材料を用いてもよい。これらのうち、生体への適用を考慮すると、金、カーボン、チタン、PEDOT:PSS、およびPEDOT:PTSを用いることも可能である。
【0058】
導電性物質部3の形成方法は特に限定されず、ドライプロセス又は塗布法により形成される。ドライプロセスとしては、蒸着、スパッタリング、CVDなどが用いられる。このうち、蒸着により導電性物質部(又は層)を形成することが最も簡単である。塗布法に特段の制限はないが、具体的には、ワイヤーバーコート法、ブレードコート法、ダイコート法、スリットダイコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、パイプドクター法、含浸・コート法、カーテンコート法、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット等が挙げられる。
【0059】
導電性物質部3の厚みは特段限定されないが、通常5nm以上であり、10nm以上であってよく、また通常2μm以下であり、1μm以下であってもよく、500nm以下であってもよい。
【0060】
(4)その他の層
なお、本発明の導電パターン転写用シートは、以上のような網状基材上に、メッシュ層が積層されていて、該メッシュ上に導電性物質部を有する積層体を最小構成単位として含んでいればよい。必要に応じて、網状基材、及び/又は導電物質部の表面に、さらに保護層(図示せず)が積層されていてもよい。
【0061】
保護層としては、使用前に容易に剥離することができるプラスチックフィルム、紙、織布または不織布などを用いることができる。
【0062】
〔使用方法〕
本発明の導電性物質部の転写方法、代表的には、被験者の皮膚上に、導電パターンを転写、形成する方法について、説明する。
【0063】
図2は、図1に示す実施形態の転写用シート10を用いて、対象物の一例である腕21の表面に、導電パターン13を形成する方法のフローを示した工程図である。
【0064】
転写用シート10を、導電物質部3側が、対象物21の表面(皮膚)に当接するように載置する(図2(1))。
次いで、網状基材1の側から、転写用溶媒となる水を適用する。適用方法は、水をスプレーしてもよいし、水を含んだ転写補助部材を、網状基材に当接、押し当てることによって行ってもよい。図2(2)では、網状基材1の上方から、水をスプレーしている。図2(2)において、23は、スプレーされた水を表している。
図3は、水を含んだ転写補助部材24を用いて、水を適用する場合を示している。
【0065】
メッシュ層2を構成する水溶性樹脂のナノファイバ2aが溶解し、水溶性樹脂のゲル状物12が皮膚表面21上に固着する。水溶性樹脂のゲル状物12が接着剤として作用することで、メッシュ層2上の導電性物質部3が導電パターン13として、対象物21の表面(皮膚表面)に固着、形成される。ゲル状物12の固化が確認できたら、網状基材1を剥離すればよい(図2(3))。メッシュ層2を構成する水溶液樹脂と皮膚の親和性(濡れ性)の方が、網状基材1の表面材料と水溶性樹脂水溶液との親和性よりも大きいので、網状基材表面から、水溶性樹脂水溶液は皮膚表面に移行し、網状基材1との界面にて剥離することができる。
【0066】
このようにして、水溶性樹脂のゲル状物12が導電性金属部3とともに皮膚上に転写され、固化する。すなわち、導電パターンに対応するメッシュ状の導電性物質部が皮膚表面に形成される。
【0067】
なお、導電パターン転写用シート及びその使用方法について、対象物として人体の皮膚を例に説明したが、対象物は、人体の皮膚に限定されない。例えば、ガラス板、プラスチックフィルムなどを対象物として、導電回路や電極等の導電パターンを転写する転写用シートとして本発明の導電パターン転写用シートを用いることができる。この場合の転写方法としては、上記使用方法を適用することができる。
【0068】
〔導電パターン転写キット〕
本発明の導電パターン転写キットは、本明細書に開示された導電パターン転写用シートと、転写用溶媒となる水を押圧により離水可能に含浸した転写補助部材を含むものである。
【0069】
転写補助部材としては、水を転写に必要な量だけ離水可能に含浸できるものであればよく、綿、ナイロン、ポリエステル織布、ポリエステル不織布などがあげられる。
【0070】
導電パターン転写キットは、導電パターン転写用シートが、当該シートを用いた転写操作に必要十分な適正量の水を離水可能に含浸された転写補助部材との組合せとして使用者に提供されるので、転写用溶媒としての水量を使用者が計量する必要がないという点で便利である。
【実施例0071】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲が実施例の記載により限定されないことはいうまでもない。なお、実施例中「部」、「%」とあるのは特に断りのない限り重量基準である。
【0072】
〔網状基材〕
以下に示すように、表面材質が異なる3種類の網造基材(3cm×5cm)を用いた。
ここに示す表面張力は、平面とした場合(開口率0%)の表面張力である。
開口率は、糸条体間の距離を開口部(目開き)として、メッシュ数(インチ間の糸条体の本数)と繊維径(μm)により算出した。
【0073】
・網状基材A:
ポリテトラフルオロエチレン糸条体(径250μm)の角穴並列型網シート(目開き766μm、メッシュ数25本/インチ)、開口率:57%
・網状基材B:
ポリプロピレン糸条体(径440μm)の角穴並列型網シート(目開きは710μm、メッシュ数23本/インチ)、開口率63%
・網状基材C
網状基材B(開口率63%)の表面に、スリーボンド社製のシリコーン系金属離型剤(パンドー39D)をスプレー塗布した。
・網状基材D:
ポリプロピレン糸条体(径100μm)の角穴並列型網シート(目開きは106μm、メッシュ数119本/インチ)、開口率26%
・網状基材E:
網状基材D(開口率26%)の表面に、スリーボンド社製のシリコーン系金属離型剤(パンドー39D)をスプレー塗布した。
【0074】
〔転写用シートの作製及び導電性物質部の転写〕
(1)メッシュ層の形成
PVA(未変性、ケン化度88モル%、4重量%水溶液粘度47.8mPa・s)100部及びグリセリン20部を純水に溶解させ、8重量%のPVA水溶液を調製し、紡糸液とした。
この紡糸液4mlを、エレクトロスピニング装置のシリンジ中に投入し、シリンジ先端のノンベベル針24G1ピン、または4ピン(テルモ社製)に電極を取り付け、コレクター上に表1に示す網状基材をセットし、エレクトロスピニングによりメッシュ層(目付量1.7g/m)を形成した。エレクトロスピニング装置の設定は以下の通りである。
【0075】
<設定条件>
Target speed:5m/min
Traverse speed:16cm/min
シリンジ speed:0.064mm/min
電圧:18kV
成膜時間:75min
【0076】
(2)導電性物質部(層)の形成
上記にて形成したメッシュ層上に、0.5mm×30mmの開口部を設けたメタルマスクを載置した状態で、ULVAC社真空蒸着機EX-400により、厚さ100nmの金薄膜(導電性物質層)を形成した。
【0077】
(3)導電性物質部の転写
上記方法に基づいて作製した転写用シートNo.1~5を、導電性物質部(層)が皮膚表面に当接するように載置し、次いで、約23℃の屋内環境において網状基材の上から滅菌処理水を含浸した綿(転写補助部材)を約5分間押し当てた。その後、転写補助部材である綿を離し、ブロワーを使用して30秒ほど風乾させた後、網状基材を剥離した。
【0078】
被験者5名について、各々2回転写処理を行い、転写後の剥がしやすさ、形成された導電パターンの外観、剥がした後の網状基材表面における糊残り(PVA系樹脂層及び導電性金属部の残存状態)を目視で観察し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
【0079】
〇:網状基材に糊残りはなく、転写された導電パターンに断線などの乱れがない。
△:被験者によっては、網状基材に糊残りが認められ、転写された導電パターンも、崩れた部分があった。
×:メッシュ層の水溶が不十分で、転写作業自体ができない被験者が存在した。また、転写できても、転写された導電パターンには欠け等がある不完全なものであった。
【0080】
なお、PVA水溶液の表面張力は、0.5%のPVA水溶液の表面張力49.7mN/mとして、網状基材の表面材料の表面張力との差を求めた。
【0081】
参考例については、水にかえて、水(20%)-エタノール(80%)混合液を含ませた綿を、転写補助部材として使用し、メッシュ層を溶解させた。なお、PVAの水-エタノール混合液の表面張力は28.5mN/mであり、表1の表面張力差には、PVAの水-エタノール混合液の表面張力との差が記載されている。
【0082】
【表1】
【0083】
転写シートNo.3、4は、いずれも網状基材の表面材料とメッシュ層の水溶性樹脂水溶液(PVA水溶液)との表面張力差が20mN/m未満である。網状基材表面とある程度の親和性を有したためか、剥がした後の網状基材には糊残り及びこれに伴う導電性物質部の残存が認められた。結果として、皮膚表面に形成された導電パターンは、部分的欠けが存在する不完全なものであった。
【0084】
一方、No.1,2では、いずれも網状基材の表面材料とメッシュ層の水溶性樹脂水溶液(PVA水溶液)との表面張力差が20mN/m以上である。ナノファイバが水溶してなるPVA水溶液は、網状基材表面から皮膚表面に移行し、これに伴って、導電性物質部の全部が移行でき、皮膚表面に欠けがない、所期の導電パターンを転写することができた。
【0085】
No.5は、網状基材の表面材料がNo.2と同様であり、水溶性樹脂水溶液の表面張力の差は20mN/m以上であったが、網状基材の目開きが小さいため、転写用溶媒としての水が十分に透過できず、結果として、メッシュ層の溶解が不十分な状態となり、接着剤としての役割を十分に果たすことができなかった。
【0086】
参考例は、転写用溶媒として、水-エタノール混合液を用いた場合である。転写用シートの構成は、No.4と同じであるが、メッシュ層の溶解により生成されるPVAアルコール水溶液としての表面張力が28.5mN/mと低く、表面張力差としても9mN/mと低かった。PVAのアルコール水溶液は、皮膚に対する濡れ性が高いことから、結果として、網状基材からメッシュ層全体が剥離し、欠けのない導電パターンを形成できたと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の導電パターン転写用シートは、転写精度を損なうことなく、転写用溶媒として水を用いることができるので、使用環境の観点、さらには導電パターンの転写対象物が人体であってもアレルギー等の心配なく、利用することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 網状基材
2 メッシュ層
2a ナノファイバ
3 導電性金属部
10 転写用シート
13 導電パターン
21 対象物(皮膚)
23 水スプレー
24 転写補助部材
図1
図2
図3