特開 2024-141399 医用画像診断装置および医用画像診断装置の制御方法

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024141399

(43)【公開日】2024-10-10

(54)【発明の名称】医用画像診断装置および医用画像診断装置の制御方法

(51)【国際特許分類】

   A61B 8/14 20060101AFI20241003BHJP

   A61B 6/00 20240101ALI20241003BHJP

【ＦＩ】

A61B8/14

A61B6/00 370

A61B6/00 330Z

【審査請求】未請求

【請求項の数】10

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023053009

(22)【出願日】2023-03-29

(71)【出願人】

【識別番号】306037311

【氏名又は名称】富士フイルム株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100152984

【弁理士】

【氏名又は名称】伊東 秀明

(74)【代理人】

【識別番号】100148080

【弁理士】

【氏名又は名称】三橋 史生

(72)【発明者】

【氏名】宮地 幸哉

【テーマコード（参考）】

4C093

4C601

【Ｆターム（参考）】

4C093AA08

4C093CA35

4C093DA06

4C093EC15

4C093EE30

4C093FA06

4C093FF35

4C601BB09

4C601DD08

4C601EE09

4C601EE11

4C601GB03

4C601KK25

4C601KK31

4C601LL33

(57)【要約】

【課題】被検体に対する検査の精度を向上できる医用画像診断装置および医用画像診断装置の制御方法を提供する。
【解決手段】医用画像診断装置は、超音波プローブ（１８）と、圧迫板の表面に沿って超音波プローブ（１８）を移動させるプローブ移動装置（１９）と、圧迫板（１２）により圧迫された乳房に対し、超音波プローブ（１８）を用いて乳房の超音波データを取得する超音波データ取得部（２０）と、放射線画像を表示するモニタ（１６）と、放射線画像上に表示され、乳房の断層を表す超音波画像の位置を指定する超音波画像取得ラインを生成するライン生成部（２２）と、超音波画像取得ラインに対応して取得された超音波データに基づいて超音波画像取得ラインにおける超音波画像を生成する超音波画像生成部（２３）とを備え、超音波画像がモニタ（１６）に表示される。
【選択図】 図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

被検体の乳房を圧迫板により圧迫した状態の前記乳房の放射線画像を取得する医用画像診断装置であって、
前記圧迫板の表面に接触するように配置された超音波プローブと、
前記圧迫板の表面に沿って前記超音波プローブを移動させるプローブ移動装置と、
前記圧迫板により圧迫された前記乳房に対し前記プローブ移動装置により移動する前記超音波プローブを用いて超音波の送受信を行うことにより定められた撮影領域における前記乳房の超音波データを取得する超音波データ取得部と、
前記放射線画像を表示するモニタと、
前記モニタに表示された前記放射線画像上に重畳表示され且つ前記乳房の断層を表す超音波画像の位置を指定する超音波画像取得ラインを生成するライン生成部と、
前記ライン生成部により生成された前記超音波画像取得ラインに対応して前記超音波データ取得部により取得された前記超音波データに基づいて前記超音波画像取得ラインの位置における超音波画像を生成する超音波画像生成部と
を備え、
前記超音波画像生成部により生成された前記超音波画像が前記モニタに表示される医用画像診断装置。

【請求項2】

前記ライン生成部は、前記放射線画像上においてユーザにより指定された位置に前記超音波画像取得ラインを生成する請求項１に記載の医用画像診断装置。

【請求項3】

前記超音波データ取得部は、前記定められた撮影領域を前記放射線画像に対応させて前記モニタに表示し、
前記ライン生成部は、前記定められた撮影領域内において前記ユーザにより指定された位置に前記超音波画像取得ラインを生成する請求項２に記載の医用画像診断装置。

【請求項4】

前記超音波プローブは、複数の振動子が配列された振動子アレイを有し、
前記ライン生成部は、前記複数の振動子の配列方向に沿って延びる直線状の前記超音波画像取得ラインを生成し、
前記超音波画像取得ラインは、前記ユーザの指定により前記複数の振動子の前記配列方向に直交する方向に移動可能に前記モニタに表示される請求項２に記載の医用画像診断装置。

【請求項5】

前記超音波画像取得ラインは、前記ユーザの指定により回転可能に前記モニタに表示される請求項４に記載の医用画像診断装置。

【請求項6】

前記放射線画像に基づいて病変疑い領域を検出する病変検出部を備え、
前記ライン生成部は、前記病変検出部により検出された前記放射線画像の前記病変疑い領域に位置する前記超音波画像取得ラインを生成する請求項１に記載の医用画像診断装置。

【請求項7】

前記超音波画像生成部は、前記超音波画像取得ラインの近傍における複数の前記超音波画像を生成し、
前記複数の前記超音波画像が前記モニタに表示される請求項６に記載の医用画像診断装置。

【請求項8】

前記超音波データ取得部は、前記超音波プローブを走査することにより前記定められた撮影領域内のすべての範囲における前記乳房の前記超音波データが取得されるように前記プローブ移動装置を駆動制御する駆動制御部を含む請求項１に記載の医用画像診断装置。

【請求項9】

前記超音波画像生成部は、３次元超音波画像を生成する請求項１に記載の医用画像診断装置。

【請求項10】

被検体の乳房を圧迫板により圧迫した状態の前記乳房の放射線画像を取得する医用画像診断装置の制御方法であって、
前記圧迫板の表面に接触するように超音波プローブを配置し、
前記圧迫板の表面に沿って前記超音波プローブを移動させ、
前記圧迫板により圧迫された前記乳房に対し前記超音波プローブを用いて超音波の送受信を行うことにより定められた撮影領域における前記乳房の超音波データを取得し、
前記放射線画像をモニタに表示し、
取得される超音波画像の位置を表す超音波画像取得ラインを生成し且つ前記モニタに表示された前記放射線画像上に重畳表示し、
前記超音波画像取得ラインに対応して取得された前記超音波データに基づいて前記超音波画像取得ラインの位置における超音波画像を生成し、
生成された前記超音波画像を前記モニタに表示する
医用画像診断装置の制御方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、被検体の乳房の検査を行う医用画像診断装置および医用画像診断装置の制御方法に関する。

【背景技術】

【0002】

従来から、被検体の乳房に対して、いわゆる放射線撮影装置を用いた放射線画像の撮影と、いわゆる超音波診断装置を用いた超音波画像の撮影を行うことによる検査が行われている。このような検査において、医師等のユーザは、通常、放射線画像を確認することで乳房において病変が疑われる領域を把握し、病変が疑われる領域の超音波画像を確認することで、被検体の検査を行う。

【0003】

この際にユーザは、放射線画像を正確に読影し、且つ、放射線画像に写る病変疑い領域の超音波画像を正確に撮影することが求められるが、熟練度が低いユーザにとっては困難なことがあった。そこで、ユーザが放射線画像に写る病変疑い領域の超音波画像を容易に確認できるように、特許文献１の技術が開発されている。特許文献１は、いわゆる磁気センサ等のセンサ装置等により検出された超音波プローブの位置に基づいて、放射線画像上で指定された領域に対応する位置で撮影された超音波画像を特定することを開示している。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特開２０１４－０１４４８９号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

しかしながら、特許文献１の技術では、放射線画像はいわゆる圧迫板により乳房を圧迫した状態で撮影されるのに対し、超音波画像は乳房が圧迫板により圧迫されていない状態で撮影されるため、放射線画像上の領域と超音波画像の位置合わせの精度が十分に確保されないことがあった。そのため、放射線画像上の位置に正確に対応する超音波画像を取得することが困難であり、正確な検査を行うことが困難な場合があった。

【0006】

本発明はこのような従来の問題点を解消するためになされたものであり、被検体に対する検査の精度を向上できる医用画像診断装置および医用画像診断装置の制御方法を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0007】

以下の構成によれば、上記目的を達成できる。
〔１〕 被検体の乳房を圧迫板により圧迫した状態の乳房の放射線画像を取得する医用画像診断装置であって、
圧迫板の表面に接触するように配置された超音波プローブと、
圧迫板の表面に沿って超音波プローブを移動させるプローブ移動装置と、
圧迫板により圧迫された乳房に対しプローブ移動装置により移動する超音波プローブを用いて超音波の送受信を行うことにより定められた撮影領域における乳房の超音波データを取得する超音波データ取得部と、
放射線画像を表示するモニタと、
モニタに表示された放射線画像上に重畳表示され且つ乳房の断層を表す超音波画像の位置を指定する超音波画像取得ラインを生成するライン生成部と、
ライン生成部により生成された超音波画像取得ラインに対応して超音波データ取得部により取得された超音波データに基づいて超音波画像取得ラインの位置における超音波画像を生成する超音波画像生成部と
を備え、
超音波画像生成部により生成された超音波画像がモニタに表示される医用画像診断装置。
〔２〕 ライン生成部は、放射線画像上においてユーザにより指定された位置に超音波画像取得ラインを生成する〔１〕に記載の医用画像診断装置。
〔３〕 超音波データ取得部は、定められた撮影領域を放射線画像に対応させてモニタに表示し、
ライン生成部は、定められた撮影領域内においてユーザにより指定された位置に超音波画像取得ラインを生成する〔２〕に記載の医用画像診断装置。
〔４〕 超音波プローブは、複数の振動子が配列された振動子アレイを有し、
ライン生成部は、複数の振動子の配列方向に沿って延びる直線状の超音波画像取得ラインを生成し、
超音波画像取得ラインは、ユーザの指定により複数の振動子の配列方向に直交する方向に移動可能にモニタに表示される〔２〕に記載の医用画像診断装置。
〔５〕 超音波画像取得ラインは、ユーザの指定により回転可能にモニタに表示される〔４〕に記載の医用画像診断装置。
〔６〕 放射線画像に基づいて病変疑い領域を検出する病変検出部を備え、
ライン生成部は、病変検出部により検出された放射線画像の病変疑い領域に位置する超音波画像取得ラインを生成する〔１〕に記載の医用画像診断装置。
〔７〕 超音波画像生成部は、超音波画像取得ラインの近傍における複数の超音波画像を生成し、
複数の超音波画像がモニタに表示される〔６〕に記載の医用画像診断装置。
〔８〕 超音波データ取得部は、超音波プローブを走査することにより定められた撮影領域内のすべての範囲における乳房の超音波データが取得されるようにプローブ移動装置を駆動制御する駆動制御部を含む〔１〕～〔７〕のいずれかに記載の医用画像診断装置。
〔９〕 超音波画像生成部は、３次元超音波画像を生成する〔１〕～〔８〕のいずれかに記載の医用画像診断装置。
〔１０〕 被検体の乳房を圧迫板により圧迫した状態の乳房の放射線画像を取得する医用画像診断装置の制御方法であって、
圧迫板の表面に接触するように超音波プローブを配置し、
圧迫板の表面に沿って超音波プローブを移動させ、
圧迫板により圧迫された乳房に対し超音波プローブを用いて超音波の送受信を行うことにより定められた撮影領域における乳房の超音波データを取得し、
放射線画像をモニタに表示し、
取得される超音波画像の位置を表す超音波画像取得ラインを生成し且つモニタに表示された放射線画像上に重畳表示し、
超音波画像取得ラインに対応して取得された超音波データに基づいて超音波画像取得ラインの位置における超音波画像を生成し、
生成された超音波画像をモニタに表示する
医用画像診断装置の制御方法。

【発明の効果】

【0008】

本発明は、医用画像診断装置が、圧迫板の表面に接触するように配置された超音波プローブと、圧迫板の表面に沿って超音波プローブを移動させるプローブ移動装置と、圧迫板により圧迫された乳房に対しプローブ移動装置により移動する超音波プローブを用いて超音波の送受信を行うことにより定められた撮影領域における乳房の超音波データを取得する超音波データ取得部と、放射線画像を表示するモニタと、モニタに表示された放射線画像上に重畳表示され且つ乳房の断層を表す超音波画像の位置を指定する超音波画像取得ラインを生成するライン生成部と、ライン生成部により生成された超音波画像取得ラインに対応して超音波データ取得部により取得された超音波データに基づいて超音波画像取得ラインの位置における超音波画像を生成する超音波画像生成部とを備え、超音波画像生成部により生成された超音波画像がモニタに表示されるため、被検体に対する検査の精度を向上できる。

【図面の簡単な説明】

【0009】

【図1】本発明の実施の形態１に係る医用画像診断装置の構成を示すブロック図である。

【図2】本発明の実施の形態１に係る医用画像診断装置の外観の例を模式的に示す図である。

【図3】本発明の実施の形態１における超音波データ取得部の構成を示すブロック図である。

【図4】本発明の実施の形態１におけるプローブ移動装置の例を示す図である。

【図5】放射線画像上に重畳表示された超音波画像取得ラインの例を示す図である。

【図6】本発明の実施の形態１における超音波画像生成部の構成を示すブロック図である。

【図7】モニタにおける放射線画像および超音波画像の表示例を示す図である。

【図8】本発明の実施の形態１に係る医用画像診断装置の動作を示すフローチャートである。

【図9】放射線画像上に重畳表示された超音波画像取得ラインの他の例を示す図である。

【図10】超音波画像取得ラインの可動範囲の表示例を示す図である。

【図11】モニタにおける放射線画像、超音波画像および乳房の模型図の表示例を示す図である。

【図12】本発明の実施の形態２に係る医用画像診断装置の構成を示すブロック図である。

【発明を実施するための形態】

【0010】

以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「～」を用いて表される数値範囲は、「～」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「同一」、「同じ」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。

【0011】

実施の形態１
図１に本発明の実施の形態１に係る医用画像診断装置の構成を示す。医用画像診断装置は、放射線源１１、圧迫板１２および放射線検出器１３を備えている。圧迫板１２に圧迫板駆動部１４が接続されている。放射線検出器１３に、表示制御部１５およびモニタ１６が順次接続されている。また、放射線検出器１３に放射線画像メモリ１７が接続されている。

【0012】

また、医用画像診断装置は超音波プローブ１８を備えている。超音波プローブ１８に、プローブ移動装置１９が接続されている。また、超音波プローブ１８に超音波データ取得部２０および超音波データメモリ２１が順次接続されている。また、医用画像診断装置はライン生成部２２を備えている。ライン生成部２２は表示制御部１５に接続している。超音波データメモリ２１およびライン生成部２２に超音波画像生成部２３が接続されている。超音波画像生成部２３に、表示制御部１５および超音波画像メモリ２４が接続されている。

【0013】

また、放射線源１１、放射線検出器１３、圧迫板駆動部１４、表示制御部１５、放射線画像メモリ１７、超音波プローブ１８、プローブ移動装置１９、超音波データ取得部２０、超音波データメモリ２１、ライン生成部２２、超音波画像生成部２３および超音波画像メモリ２４に、本体制御部２５が接続されている。本体制御部２５に入力装置２６が接続されている。また、表示制御部１５、超音波データ取得部２０、ライン生成部２２、超音波画像生成部２３および本体制御部２５により、医用画像診断装置用のプロセッサ２７が構成されている。

【0014】

また、医用画像診断装置は、例えば図２に示すように、圧迫板１２の直下に位置する撮影台２８を備えている。撮影台２８には検査時に被検体の乳房が配置される撮影面２８Ａが形成されている。また、撮影台２８は放射線検出器１３を内蔵している。撮影台２８は、例えばカーボン材料等により形成され、放射線源１１から発せられる放射線Ｒを透過する。撮影台２８を透過した放射線Ｒは放射線検出器１３に到達する。

【0015】

医用画像診断装置は、アーム部２９、軸部３０および基台３１を有している。アーム部２９は基台３１によって上下方向（高さ方向）に移動可能に保持される。軸部３０は、アーム部２９を基台３１に連結する。アーム部２９は、軸部３０を回転軸として基台３１に対して回転することができる。

【0016】

放射線源１１は、本体制御部２５の制御の下で管電圧が印加されることにより放射線Ｒを発する。本体制御部２５の制御の下で、軸部３０を回転軸としてアーム部２９を基台３１に対して回転することにより、放射線源１１の傾き角度を変更し、放射線源１１から発せられる放射線Ｒの照射方向を調整できる。

【0017】

圧迫板駆動部１４は、本体制御部２５の制御の下で、圧迫板１２を上下方向に移動する。

【0018】

圧迫板１２は、撮影台２８の撮影面２８Ａ上に配置された被検体の乳房を、撮影台２８との間で挟み込むことによって、被検体の乳房を圧迫する。また、圧迫板１２は、後述するように、超音波プローブ１８が接触する上面１２Ａを有する。圧迫板１２は、乳房の圧迫における位置合わせ、乳房の圧迫状態の確認を行うために透明であることが好ましく、放射線Ｒおよび超音波に対する透過性に優れた材料によって形成される。圧迫板１２の材料として、例えば、ポリメチルペンテン（ＰＭＰ：Polymethylpentene）、ポリカーボネート（ＰＣ：Polycarbonate）、アクリル、ポリプロピレン（ＰＰ：Polypropylene）およびポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ：Polyethylene Terephthalate）等の樹脂材料を用いることができる。特に、ポリメチルペンテンは剛性が低く且つ伸縮性および可撓性に優れ、超音波の反射率に影響する音響インピーダンスが人体（乳房）に近いため、圧迫板１２の材料として適している。

【0019】

放射線画像を撮影する際には、被検体の乳房が圧迫板１２により圧迫されている状態で、放射線源１１から放射線Ｒが発せられる。放射線Ｒは、圧迫板１２、被検体の乳房および撮影台２８を透過して放射線検出器１３に到達する。

【0020】

放射線検出器１３は、被検体の乳房を透過した放射線Ｒを検出し、検出した放射線Ｒに基づいて被検体の乳房の放射線画像データを生成する。以下では、放射線画像データを単に放射線画像と呼ぶ。放射線検出器１３の種類は特に限定されず、例えば、放射線Ｒを光に変換し且つ変換した光を電荷に変換する、いわゆる間接変換方式の放射線検出器であってもよく、放射線Ｒを直接電荷に変換する直接変換方式の放射線検出器であってもよい。

【0021】

放射線画像メモリ１７は、本体制御部２５の制御の下で、放射線検出器１３により生成された放射線画像を保存する。放射線画像メモリ１７としては、例えば、フラッシュメモリ、ＨＤＤ（Hard Disk Drive：ハードディスクドライブ）、ＳＳＤ（Solid State Drive：ソリッドステートドライブ）、ＦＤ（Flexible Disk：フレキシブルディスク）、ＭＯディスク（Magneto-Optical disk：光磁気ディスク）、ＭＴ（Magnetic Tape：磁気テープ）、ＲＡＭ（Random Access Memory：ランダムアクセスメモリ）、ＣＤ（Compact Disc：コンパクトディスク）、ＤＶＤ（Digital Versatile Disc：デジタルバーサタイルディスク）、ＳＤカード（Secure Digital card：セキュアデジタルカード）、または、ＵＳＢメモリ（Universal Serial Bus memory：ユニバーサルシリアルバスメモリ）等の記録メディア等を用いることができる。

【0022】

表示制御部１５は、本体制御部２５の制御の下で、放射線検出器１３により生成された放射線画像データ等に対して所定の処理を施してモニタ１６に表示する。

【0023】

モニタ１６は、表示制御部１５の制御の下で、放射線画像等を表示するものであり、例えば、ＬＣＤ（Liquid Crystal Display：液晶ディスプレイ）、有機ＥＬディスプレイ（Organic Electroluminescence Display）等のディスプレイ装置を有している。

【0024】

本体制御部２５は、予め記憶している制御プログラム等に基づいて、医用画像診断装置における各部の制御を行う。
入力装置２６は、ユーザの入力操作を受付けるものであり、例えば、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッド、および、モニタ１６に重ねて配置されたタッチセンサ等の装置により構成される。

【0025】

超音波プローブ１８は、図３に示すように振動子アレイ４１を有し、被検体の乳房を圧迫している圧迫板１２の表面に接触するように配置された状態で、振動子アレイ４１から被検体の体内に向けて超音波ビームの送受信を行うことにより被検体内を走査する。

【0026】

超音波プローブ１８の振動子アレイ４１は、１次元または２次元に配列された複数の超音波振動子を有している。これらの超音波振動子は、それぞれ超音波データ取得部２０から供給される駆動信号に従って超音波を送信すると共に、被検体からの超音波エコーを受信して、超音波エコーに基づく信号を出力する。各超音波振動子は、例えば、ＰＺＴ（Lead Zirconate Titanate：チタン酸ジルコン酸鉛）に代表される圧電セラミック、ＰＶＤＦ（Poly Vinylidene Di Fluoride：ポリフッ化ビニリデン）に代表される高分子圧電素子およびＰＭＮ－ＰＴ（Lead Magnesium Niobate-Lead Titanate：マグネシウムニオブ酸鉛－チタン酸鉛固溶体）に代表される圧電単結晶等からなる圧電体の両端に電極を形成することにより構成される。

【0027】

プローブ移動装置１９は、圧迫板１２の表面に沿った定められた撮影領域において、超音波プローブ１８を移動させる。プローブ移動装置１９は、例えば、超音波プローブ１８を医用画像診断装置の上下方向（高さ方向）に移動して圧迫板１２の上面１２Ａに超音波プローブ１８を接触させる図示しないプローブ高さ調節部と、図４に示すように、定められた第１方向Ｄ１に沿って延び且つ超音波プローブ１８が第１方向Ｄ１において移動可能に取り付けられる第１ガイドＧ１と、第１方向Ｄ１に直交する定められた第２方向Ｄ２に沿って延び且つ第１ガイドＧ１が第２方向Ｄ２において移動可能に取り付けられる第２ガイドＧ２を有することができる。プローブ移動装置１９は、第２ガイドＧ２に沿って第１ガイドＧ１を移動させ且つ第１ガイドＧ１に沿って超音波プローブ１８を移動させることにより、超音波プローブ１８を圧迫板１２の表面に沿って２次元的に移動させることができる。

【0028】

なお、圧迫板１２の表面に沿った定められた撮影領域は、例えば、予め決められることができ、医師等のユーザにより入力装置２６を介して指定することもできる。

【0029】

なお、図４では２本の第２ガイドＧ２に１本の第１ガイドＧ１が移動可能に取り付けられ且つ超音波プローブ１８が第１ガイドＧ１に取り付けられているが、例えば２本の第１ガイドＧ１に１本の第２ガイドＧ２が取り付けられ且つ超音波プローブ１８が第２ガイドＧ２に取り付けられてもよい。

【0030】

プローブ移動装置１９は、例えば、入力装置２６を介したユーザの入力操作に基づいて超音波プローブ１８を移動させることができる。また、医用画像診断装置は、超音波プローブ１８を走査することにより定められた撮影領域内のすべての範囲における乳房Ｂの超音波データが取得されるように、プローブ移動装置１９を駆動制御する図示しない駆動制御部を備えることもできる。この場合に、プローブ移動装置１９は、駆動制御部の制御の下で自動的に超音波プローブ１８を移動できる。

【0031】

超音波データ取得部２０は、圧迫板１２により圧迫された状態の乳房に対してプローブ移動装置１９により移動する超音波プローブ１８を用いて超音波の送受信を行うことにより、定められた撮影領域における乳房の超音波データを取得する。超音波データ取得部２０は、図３に示すように、振動子アレイ４１に接続されるパルサ４２と、振動子アレイ４１から順次直列に接続される増幅部４３、ＡＤ（Analog to Digital）変換部４４およびビームフォーマ４５を有している。

【0032】

パルサ４２は、例えば、複数のパルス発生器を含んでおり、本体制御部２５からの制御信号に応じて選択された送信遅延パターンに基づいて、振動子アレイ４１の複数の超音波振動子から送信される超音波が超音波ビームを形成するようにそれぞれの駆動信号を、遅延量を調節して複数の超音波振動子に供給する。このように、振動子アレイ４１の超音波振動子の電極にパルス状または連続波状の電圧が印加されると、圧電体が伸縮し、それぞれの超音波振動子からパルス状または連続波状の超音波が発生して、それらの超音波の合成波から、超音波ビームが形成される。

【0033】

送信された超音波ビームは、例えば、被検体の部位等の対象において反射され、超音波プローブ１８の振動子アレイ４１に向かって伝搬する。このように振動子アレイ４１に向かって伝搬する超音波エコーは、振動子アレイ４１を構成するそれぞれの超音波振動子により受信される。この際に、振動子アレイ４１を構成するそれぞれの超音波振動子は、伝搬する超音波エコーを受信することにより伸縮して、電気信号である受信信号を発生させ、これらの受信信号を増幅部４３に出力する。

【0034】

増幅部４３は、振動子アレイ４１を構成するそれぞれの超音波振動子から入力された信号を増幅し、増幅した信号をＡＤ変換部４４に送信する。ＡＤ変換部４４は、増幅部４３から送信された信号をデジタルの受信データに変換する。ビームフォーマ４５は、ＡＤ変換部４４から受け取った各受信データに対してそれぞれの遅延を与えて加算することにより、いわゆる受信フォーカス処理を行う。この受信フォーカス処理により、ＡＤ変換部４４で変換された各受信データが整相加算され且つ超音波エコーの焦点が絞り込まれた超音波データが取得される。

【0035】

超音波データメモリ２１は、本体制御部２５の制御の下で、超音波データ取得部２０により生成された超音波データを保存する。超音波データメモリ２１としては、例えば、フラッシュメモリ、ＨＤＤ、ＳＳＤ、ＦＤ、ＭＯディスク、ＭＴ、ＲＡＭ、ＣＤ、ＤＶＤ、ＳＤカード、または、ＵＳＢメモリ等の記録メディア等を用いることができる。

【0036】

ライン生成部２２は、例えば図５に示すように、モニタ１６に表示された放射線画像Ａ上に重畳表示され且つ被検体の乳房Ｂの断層を表す超音波画像の位置を指定する超音波画像取得ラインＬを生成する。この際に、ライン生成部２２は、振動子アレイ４１の複数の振動子の配列方向に沿って延びる直線状の超音波画像取得ラインＬを生成できる。また、ライン生成部２２は、例えば放射線画像Ａ上において入力装置２６を介して医師等のユーザにより指定された位置に超音波画像取得ラインＬを生成できる。超音波画像取得ラインＬは、例えば、入力装置２６を介したユーザの入力操作により、放射線画像Ａの縦方向に移動できる。

【0037】

図５では、放射線画像Ａにおける横方向に沿って延びる超音波画像取得ラインＬが放射線画像Ａ上に重畳され、その超音波画像取得ラインＬが放射線画像Ａの縦方向に移動する例が説明されているが、例えば、放射線画像Ａにおける縦方向に沿って延びる超音波画像取得ラインＬが放射線画像Ａ上に重畳され、その超音波画像取得ラインＬが放射線画像Ａの横方向に移動することもできる。

【0038】

超音波画像生成部２３は、ライン生成部２２により生成された超音波画像取得ラインＬに対応して超音波データ取得部２０により取得された超音波データに基づいて、放射線画像Ａ上の超音波画像取得ラインＬの位置における超音波画像を生成する。より具体的に、超音波画像生成部２３は、超音波プローブ１８がプローブ移動装置１９により移動されながら圧迫板１２により圧迫された状態の被検体の乳房Ｂを連続的に走査することによって得られた、定められた撮影領域における超音波データのうち、放射線画像Ａ上の超音波画像取得ラインＬの位置で得られた超音波データに基づいて、超音波画像取得ラインＬの位置の乳房Ｂの断層を表す超音波画像を生成できる。

【0039】

超音波画像生成部２３は、図６に示すように、信号処理部４６、ＤＳＣ（Digital Scan Converter：デジタルスキャンコンバータ）４７および画像処理部４８が順次直列に接続された構成を有している。

【0040】

信号処理部４６は、超音波データメモリ２１から読み出した超音波データに対し、本体制御部２５により設定される音速値を用いて超音波の反射位置の深度に応じて距離による減衰の補正を施した後、包絡線検波処理を施すことにより、被検体内の組織に関する断層画像情報であるＢモード画像信号を生成する。

【0041】

ＤＳＣ４７は、信号処理部４６で生成されたＢモード画像信号を通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号に変換（ラスター変換）する。
画像処理部４８は、ＤＳＣ４７から入力されるＢモード画像信号に階調処理等の各種の必要な画像処理を施した後、Ｂモード画像信号を表示制御部１５および超音波画像メモリ２４に送出する。以降は、画像処理部４８により画像処理が施されたＢモード画像信号を、超音波画像と呼ぶ。

【0042】

表示制御部１５は、例えば図７に示すように、放射線検出器１３により生成され且つライン生成部２２により生成された超音波画像取得ラインＬが重畳された放射線画像Ａと、放射線画像Ａ上の超音波画像取得ラインＬに対応する超音波画像Ｕを、モニタ１６において一緒に表示できる。超音波画像Ｕは、放射線画像Ａ上の超音波画像取得ラインＬの位置に正確に対応しているため、医師等のユーザは、超音波画像Ｕと、超音波画像取得ラインＬが重畳された放射線画像Ａとを確認することにより、被検体の乳房Ｂに関して正確に検査を行うことができる。

【0043】

超音波画像メモリ２４は、本体制御部２５の制御の下で、超音波画像生成部２３により生成された超音波画像Ｕを保存する。超音波画像メモリ２４としては、例えば、フラッシュメモリ、ＨＤＤ、ＳＳＤ、ＦＤ、ＭＯディスク、ＭＴ、ＲＡＭ、ＣＤ、ＤＶＤ、ＳＤカード、または、ＵＳＢメモリ等の記録メディア等を用いることができる。

【0044】

表示制御部１５、超音波データ取得部２０、ライン生成部２２、超音波画像生成部２３および本体制御部２５を有するプロセッサ２７は、ＣＰＵ（Central Processing Unit：中央処理装置）、および、ＣＰＵに各種の処理を行わせるための制御プログラムから構成されるが、ＦＰＧＡ（Field Programmable Gate Array：フィードプログラマブルゲートアレイ）、ＤＳＰ（Digital Signal Processor：デジタルシグナルプロセッサ）、ＡＳＩＣ（Application Specific Integrated Circuit：アプリケーションスペシフィックインテグレイテッドサーキット）、ＧＰＵ（Graphics Processing Unit：グラフィックスプロセッシングユニット）、または、その他のＩＣ（Integrated Circuit：集積回路）を用いて構成されてもよく、もしくはそれらを組み合わせて構成されてもよい。

【0045】

また、プロセッサ２７の表示制御部１５、超音波データ取得部２０、ライン生成部２２、超音波画像生成部２３および本体制御部２５は、部分的にあるいは全体的に１つのＣＰＵ等に統合させて構成されることもできる。

【0046】

次に、図８のフローチャートを用いて実施の形態１に係る医用画像診断装置の動作の例を説明する。以下では、図８のフローチャートの動作が開始される前に被検体の乳房Ｂの放射線画像Ａが既に撮影されており、被検体の乳房Ｂが、放射線画像Ａの撮影に引き続いて圧迫板１２により圧迫されている状態であるとする。

【0047】

まず、ステップＳ１において、プローブ移動装置１９は、超音波プローブ１８を医用画像診断装置の高さ方向に沿って移動して、圧迫板１２の上面１２Ａに接触するように超音波プローブ１８を配置する。

【0048】

ステップＳ２において、プローブ移動装置１９は、被検体の乳房Ｂを圧迫している圧迫板１２の上面１２Ａに沿った定められた撮影領域において超音波プローブ１８を移動する。この際に、プローブ移動装置１９は、例えば、入力装置２６を介したユーザの指示に基づいて定められた撮影領域内で超音波プローブ１８を移動できる。また、例えば医用画像診断装置がプローブ移動装置１９を駆動制御する図示しない駆動制御部を備えている場合に、プローブ移動装置１９は、駆動制御部により、定められた撮影領域内のすべての範囲における超音波データが取得されるように超音波プローブ１８を自動的に移動できる。

【0049】

ステップＳ３において、超音波データ取得部２０は、圧迫板１２により圧迫された被検体の乳房Ｂに対してプローブ移動装置１９により移動する超音波プローブ１８を用いて超音波の送受信を行うことにより乳房Ｂの超音波データを取得する。

【0050】

ステップＳ４において、本体制御部２５は、定められた撮影領域における超音波データの取得が完了したか否かを判定する。本体制御部２５は、例えば、定められた撮影領域のすべての範囲における超音波データが取得されていない場合に超音波データの取得が完了していないと判定し、定められた撮影領域のすべての範囲における超音波データが取得された場合に超音波データの取得が完了したと判定できる。

【0051】

現時点では定められた撮影領域のすべての範囲における超音波データが取得されていないため、超音波データの取得が完了していないと判定され、ステップＳ２に戻る。ステップＳ２においてプローブ移動装置１９が圧迫板１２の上面１２Ａに沿って超音波プローブ１８を移動し、ステップＳ３で超音波データ取得部２０が超音波データを取得し、ステップＳ４で超音波データの取得が完了したか否かが判定される。

【0052】

このようにして、ステップＳ４で超音波データの取得が完了したと判定されるまでステップＳ２～ステップＳ４の処理が繰り返され、超音波プローブ１８が圧迫板１２の上面１２Ａに沿って移動しながら被検体の乳房Ｂの超音波データが順次取得される。
ステップＳ４で超音波データの取得が完了したと判定されると、ステップＳ５に進む。

【0053】

ステップＳ５において、表示制御部１５は、圧迫板１２により圧迫された状態で放射線検出器１３により生成された被検体の乳房Ｂの放射線画像Ａをモニタ１６に表示する。

【0054】

ステップＳ６において、ライン生成部２２は、図５に示すように、被検体の乳房Ｂの断層を表す超音波画像Ｕの放射線画像Ａ上の位置を指定する超音波画像取得ラインＬを生成する。

【0055】

ステップＳ７において、表示制御部１５は、ステップＳ５でモニタ１６に表示された放射線画像Ａ上に、ステップＳ６で生成された超音波画像取得ラインＬを重畳して表示する。ユーザは、入力装置２６を介して、放射線画像Ａ上の超音波画像取得ラインＬを平行移動できる。

【0056】

ステップＳ８において、超音波画像生成部２３は、ステップＳ７で放射線画像Ａ上に表示された超音波画像取得ラインＬの位置に対応して、ステップＳ２～ステップＳ４の繰り返しで取得された超音波データに基づいて、放射線画像Ａ上の超音波画像取得ラインＬの位置における超音波画像Ｕを生成する。このようにして生成された超音波画像Ｕは、放射線画像Ａ上の超音波画像取得ラインＬの位置と正確に対応している。

【0057】

最後に、表示制御部１５は、例えば図７に示すように、ステップＳ７で超音波画像取得ラインＬが重畳された放射線画像Ａと、ステップＳ８で生成された超音波画像Ｕをモニタ１６において一緒に表示する。モニタ１６に表示された超音波画像Ｕは放射線画像Ａ上の超音波画像取得ラインＬの位置に正確に対応しているため、医師等のユーザは、超音波画像Ｕと、超音波画像取得ラインＬが重畳された放射線画像Ａとを確認することにより、被検体の乳房Ｂに関して正確に検査を行うことができる。

【0058】

このようにしてステップＳ９の処理が完了すると、図８のフローチャートに従う医用画像診断装置の動作が完了する。

【0059】

以上から、本発明の実施の形態１の医用画像診断装置によれば、超音波プローブ１８が圧迫板１２の表面に接触するように配置され、プローブ移動装置１９が、圧迫板１２の表面に沿って超音波プローブ１８を移動させ、超音波データ取得部２０が、圧迫板１２により圧迫された被検体の乳房Ｂに対して超音波の送受信を行うことにより定められた撮影領域における乳房Ｂの超音波データを取得し、ライン生成部２２が、乳房Ｂの断層を表す超音波画像Ｕの放射線画像Ａ上の位置を指定する超音波画像取得ラインＬを生成し、超音波画像生成部２３が、超音波画像取得ラインＬに対応する超音波データに基づいて、放射線画像Ａ上の超音波画像取得ラインＬの位置における超音波画像Ｕを生成することにより、ユーザが、放射線画像Ａ上の超音波画像取得ラインＬの位置に正確に対応する超音波画像Ｕを観察できるため、被検体に対する検査の精度を向上できる。

【0060】

なお、超音波データ取得部２０および超音波画像生成部２３が超音波プローブ１８とは独立して医用画像診断装置内に設けられることが説明されているが、超音波プローブ１８は、超音波データ取得部２０および超音波画像生成部２３を含むこともできる。

【0061】

また、ライン生成部２２により生成される超音波画像取得ラインＬは、例えば図９に示すように、入力装置２６を介したユーザの指定により回転可能にモニタ１６に表示されることもできる。この場合でも、超音波画像生成部２３は、放射線画像Ａの縦方向および横方向に対して傾斜して延びる直線状の超音波画像取得ラインＬの位置の断層を表す超音波画像Ｕを生成する。そのため、ユーザは、放射線画像Ａ上における任意の直線状の超音波画像取得ラインＬの位置の断層を表す超音波画像Ｕを確認して、被検体の検査を正確に行うことができる。

【0062】

また、超音波画像生成部２３は、放射線画像Ａ上の超音波画像取得ラインＬの位置に対応する超音波画像Ｕだけでなく、放射線画像Ａ上の超音波画像取得ラインＬの近傍の複数の位置における複数の超音波画像Ｕを生成することもできる。この場合に、表示制御部１５は、超音波画像生成部２３により生成された複数の超音波画像Ｕをモニタ１６に表示する。ユーザは、複数の超音波画像Ｕを確認することにより、超音波画像取得ラインＬの位置の周辺の組織構造をも確認できるため、検査の精度を向上できる。なお、表示制御部１５は、複数の超音波画像Ｕに対応する範囲を放射線画像Ａ上に重畳して表示することもできる。これにより、ユーザは、表示されている複数の超音波画像Ｕが表す乳房Ｂの断層の位置を容易に把握できる。

【0063】

また、超音波画像生成部２３は、定められた撮影領域のすべての範囲で取得された超音波データに基づいて、被検体の乳房Ｂの３次元超音波画像をさらに生成することもできる。この場合に、表示制御部１５は、超音波画像生成部２３により生成された３次元超音波画像をモニタ１６に表示できる。ユーザは、超音波画像取得ラインＬに対応する超音波画像Ｕの他に３次元超音波画像を確認することにより、乳房Ｂの３次元的な内部構造を確認できるため、検査の精度を向上できる。

【0064】

また、本体制御部２５は、入力装置２６を介してユーザにより移動される放射線画像Ａ上の超音波画像取得ラインＬの可動範囲を、超音波画像Ｕの定められた撮影範囲に制限できる。この際に、表示制御部１５は、図１０に示すように可動範囲ＲＭをモニタ１６に表示できる。ユーザは、超音波画像取得ラインＬの可動範囲ＲＭを明確に把握できるため、超音波画像取得ラインＬの位置を円滑に決定できる。

【0065】

また、本体制御部２５は、入力装置２６を介したユーザの指示に基づいて、放射線画像Ａにおける超音波画像取得ラインＬの可動範囲ＲＭを設定することもできる。何らかの原因により、不鮮明な超音波画像Ｕが生成される領域が存在する場合に、その領域を除くように超音波画像取得ラインＬの可動範囲ＲＭを設定することにより、鮮明な超音波画像Ｕを生成してモニタ１６に表示できる。

【0066】

また、表示制御部１５は、例えば図１１に示すように、超音波画像取得ラインＬ１が重畳された被検体の乳房Ｂの模型図Ｐをモニタ１６に表示することもできる。ユーザは、入力装置２６を介して模型図Ｐに重畳された超音波画像取得ラインＬ１の位置を移動できる。この場合に、表示制御部１５は、模型図Ｐ上の超音波画像取得ラインＬ１の位置に対応して放射線画像Ａ上の超音波画像取得ラインＬ２の位置を移動させる。超音波画像生成部２３は、放射線画像Ａ上の超音波画像取得ラインＬ２の位置に対応する超音波画像Ｕを生成し、表示制御部１５は、この超音波画像Ｕをモニタ１６に表示する。

【0067】

ユーザは、放射線画像Ａ上の超音波画像取得ラインＬ２を直接移動させるよりも容易に、模型図Ｐ上の超音波画像取得ラインＬ１を移動できるため、被検体の検査をより円滑に進めることができる。

【0068】

実施の形態２
医用画像診断装置は、放射線画像Ａから、いわゆる腫瘤を含む病変の存在が疑われる病変疑い領域を検出することもできる。

【0069】

図１２に、本発明の実施の形態２の医用画像診断装置の構成を示す。実施の形態２の医用画像診断装置は、図１に示す実施の形態１の医用画像診断装置において、病変検出部５１をさらに備え、本体制御部２５の代わりに本体制御部２５Ａを備えている。

【0070】

実施の形態２の医用画像診断装置において、放射線検出器１３に病変検出部５１が接続されている。病変検出部５１は、ライン生成部２２および本体制御部２５Ａに接続している。また、表示制御部１５、超音波データ取得部２０、ライン生成部２２、超音波画像生成部２３、本体制御部２５Ａおよび病変検出部５１により、実施の形態２の医用画像診断装置用のプロセッサ２７Ａが構成されている。

【0071】

病変検出部５１は、放射線検出器１３により生成された放射線画像Ａに基づいて病変疑い領域を検出する。病変検出部５１は、例えば、いわゆるテンプレートマッチング、AdaBoost、SVMまたはSIFT等の特徴量を利用した画像解析技術、または、深層学習等の機械学習技術を利用して学習された機械学習モデル等を用いて病変疑い領域を検出できる。ここで用いられる機械学習モデルは、乳房Ｂの多数の放射線画像Ａにおける病変部を学習した学習済みモデルである。

【0072】

ライン生成部２２は、病変検出部５１により検出された放射線画像Ａにおける病変疑い領域に位置する超音波画像取得ラインＬを自動的に生成する。
超音波画像生成部２３は、放射線画像Ａにおける病変疑い領域上に位置する超音波画像取得ラインＬに対応する超音波画像Ｕを生成する。

【0073】

一般的に、被検体の乳房Ｂを撮影した放射線画像Ａでは、病変疑い領域と乳腺領域がいずれも高輝度の領域として描出されるため、ある程度の熟練度を有するユーザでないと病変疑い領域の位置を正確に判断することが困難な場合があった。実施の形態２の医用画像診断装置によれば、ユーザが放射線画像Ａを確認して病変疑い領域の位置を判断しなくても、病変疑い領域を容易に検出し、さらに、放射線画像Ａに写る病変疑い領域の超音波画像Ｕをも容易に取得できる。そのため、被検体に対する検査の精度を向上できる。

【符号の説明】

【0074】

１１ 放射線源、１２ 圧迫板、１２Ａ 上面、１３ 放射線検出器、１４ 圧迫板駆動部、１５ 表示制御部、１６ モニタ、１７ 放射線画像メモリ、１８ 超音波プローブ、１９ プローブ移動装置、２０ 超音波データ取得部、２１ 超音波データメモリ、２２ ライン生成部、２３ 超音波画像生成部、２４ 超音波画像メモリ、２５，２５Ａ 本体制御部、２６ 入力装置、２７，２７Ａ プロセッサ、２８ 撮影台、２８Ａ 撮影面、２９ アーム部、３０ 軸部、３１ 基台、４１ 振動子アレイ、４２ パルサ、４３ 増幅部、４４ ＡＤ変換部、４５ ビームフォーマ、４６ 信号処理部、４７ ＤＳＣ、４８ 画像処理部、５１ 病変検出部、Ａ 放射線画像、Ｂ 乳房、Ｇ１ 第１ガイド、Ｇ２ 第２ガイド、Ｄ１ 第１方向、Ｄ２ 第２方向、Ｌ，Ｌ１，Ｌ２ 超音波画像取得ライン、Ｐ 模型図、Ｒ 放射線、ＲＭ 可動範囲、Ｕ 超音波画像。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】