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特開2024-141508無線給電カプラ、送電用カプラ及び受電用カプラ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141508
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】無線給電カプラ、送電用カプラ及び受電用カプラ
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/05 20160101AFI20241003BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H02J50/05
H02J7/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053203
(22)【出願日】2023-03-29
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和五年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的イノベーション創造プログラム「IoE社会のエネルギーシステム B2 WPTシステムへの応用を見据えたIoE共通基盤技術」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】鶴谷 直樹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 広行
(72)【発明者】
【氏名】武脇 広和
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA06
5G503GB09
(57)【要約】
【課題】簡素な構成で、LC共振回路の共振周波数をより広い範囲で手軽に変更できる無線給電カプラ、送電側カプラ及び受電側カプラを提供すること。
【解決手段】無線給電カプラ100は、所定の間隔を空けて配置される第1電極11及び第2電極12と、第1電極11及び第2電極12のそれぞれと電気的に接続される第1コイル部51と、を有する送電用LC共振回路10と、所定の間隔を空けて配置される第3電極21及び第4電極22と、第3電極21及び第4電極22のそれぞれと電気的に接続される第2コイル部と、を有する受電用LC共振回路20と、を備え、第1電極11と第3電極21とが対向し、第2電極12と第4電極22とが対向した状態で、送電用カプラ1から受電用カプラ2に無線で電力伝送し、第1コイル部51は送電側ケース30から独立して着脱可能であり、第2コイル部は受電側ケース40から独立して着脱可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電用LC共振回路と、該送電用LC共振回路を収容する送電側ケースと、を有する送電用カプラと、受電用LC共振回路と、該受電用LC共振回路を収容する受電側ケースと、を有する受電用カプラと、を備え、前記送電用LC共振回路と前記受電用LC共振回路とが電界共鳴することで、前記送電用カプラから前記受電用カプラに無線で電力伝送する無線給電カプラであって、
前記送電用LC共振回路は、
所定の間隔を空けて配置される第1電極及び第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極のそれぞれと電気的に接続される第1コイル部と、を有し、
前記受電用LC共振回路は、
所定の間隔を空けて配置される第3電極及び第4電極と、
前記第3電極及び前記第4電極のそれぞれと電気的に接続される第2コイル部と、を有し、
前記第1電極と前記第3電極とが対向し、前記第2電極と前記第4電極とが対向した状態で、前記送電用カプラから前記受電用カプラにワイヤレスで電力伝送し、
前記第1コイル部は前記送電側ケースから独立して着脱可能であり、
前記第2コイル部は前記受電側ケースから独立して着脱可能である無線給電カプラ。
【請求項2】
前記送電側ケースは、
前記送電用LC共振回路が配置され、開口部を有する導電性の送電側ベース部と、
前記送電側ベース部に取り付けられる送電側絶縁カバーと、を有し、
前記第1コイル部は、
前記送電側ベース部に着脱可能な第1導電性平板に支持され、
前記送電側ベース部に前記第1導電性平板が取り付けられることで、前記開口部を介して前記送電側ケース内に配置され、
前記受電側ケースは、
前記受電用LC共振回路が配置され、開口部を有する導電性の受電側ベース部と、
前記受電側ベース部に取り付けられる受電側絶縁カバーと、を有し、
前記第2コイル部は、
前記受電側ベース部に着脱可能な第2導電性平板に支持され、
前記受電側ベース部に前記第2導電性平板が取り付けられることで、前記開口部を介して前記受電側ケース内に配置される請求項1に記載の無線給電カプラ。
【請求項3】
前記第1コイル部は、
第1共振用コイルと、
該第1共振用コイルを支持するとともに、前記第1導電性平板に対して着脱可能に接続される第1樹脂パイプと、を有し、
第1金属部材を介して前記第1電極に接続されるとともに、第2金属部材を介して前記第2電極に接続され、
前記第2コイル部は、
第2共振用コイルと、
該第2共振用コイルを支持するとともに、前記第2導電性平板に対して着脱可能に接続される第2樹脂パイプと、を有し、
第3金属部材を介して前記第3電極に接続されるとともに、第4金属部材を介して前記第4電極に接続される請求項2に記載の無線給電カプラ。
【請求項4】
前記第1コイル部は、
第1共振用コイルと、
該第1共振用コイルを支持するとともに、前記第1導電性平板に固定された第1樹脂部材に支持される第1樹脂パイプと、を有し、
第1金属部材を介して前記第1電極に接続されるとともに、第2金属部材を介して前記第2電極に接続され、
前記第2コイル部は、
第2共振用コイルと、該第2共振用コイルを支持するとともに、前記第2導電性平板に固定された第2樹脂部材に支持される第2樹脂パイプと、を有し、
第3金属部材を介して前記第3電極に接続されるとともに、第4金属部材を介して前記第4電極に接続される請求項2に記載の無線給電カプラ。
【請求項5】
前記第1コイル部は、ネジが挿通される第1貫通孔を有する第1金属部材を介して前記第1電極に接続されるとともに、ネジが挿通される第2貫通孔を有する第2金属部材を介して前記第2電極に接続され、
前記第1電極は、少なくとも前記第1導電性平板側の面に前記ネジと螺合する第1螺合部を有し、
前記第1金属部材と前記第1電極とは、前記ネジが前記第1貫通孔に挿通された状態で、前記第1電極に設けられた前記第1螺合部と螺合することで互いに接続され、
前記第2電極は、少なくとも前記第1導電性平板側の面に前記ネジと螺合する第2螺合部を有し、
前記第2金属部材と前記第2電極とは、前記ネジが前記第2貫通孔に挿通された状態で、前記第2電極に設けられた前記第2螺合部と螺号することで互いに接続され、
前記第1導電性平板には、前記第1貫通孔の軸方向視で前記第1貫通孔及び前記第1螺合部に重なる位置に第1開口部と、前記第2貫通孔の軸方向視で前記第2貫通孔及び前記第2螺合部に重なる位置に第2開口部と、が形成され、
前記第2コイル部は、ネジが挿通される第3貫通孔を有する第3金属部材を介して前記第3電極に接続されるとともに、ネジが挿通される第4貫通孔を有する第4金属部材を介して前記第4電極に接続され、
前記第3電極は、少なくとも前記第2導電性平板側の面に前記ネジと螺合する第3螺合部を有し、
前記第3金属部材と前記第3電極とは、前記ネジが前記第3貫通孔に挿通された状態で、前記第3電極に設けられた前記第3螺合部と螺合することで互いに接続され、
前記第4電極は、少なくとも前記第2導電性平板側の面に前記ネジと螺合する第4螺合部を有し、
前記第4金属部材と前記第4電極とは、前記ネジが前記第4貫通孔に挿通された状態で、前記第4電極に設けられた前記第4螺合部と螺号することで互いに接続され、
前記第2導電性平板には、前記第3貫通孔の軸方向視で前記第3貫通孔及び前記第3螺合部に重なる位置に第3開口部と、前記第4貫通孔の軸方向視で前記第4貫通孔及び前記第4螺合部に重なる位置に第4開口部と、が形成される請求項2に記載の無線給電カプラ。
【請求項6】
前記第1コイル部は、第1金属部材を介して前記第1電極に接続されるとともに、第2金属部材を介して前記第2電極に接続され、
前記第1電極は、前記送電側ベース部に向かって延出し、前記第1金属部材を挟持可能な一対の第1延出部を有し、
前記第2電極は、前記送電側ベース部に向かって延出し、前記第2金属部材を挟持可能な一対の第2延出部を有し、
前記第2コイル部は、第3金属部材を介して前記第3電極に接続されるとともに、第4金属部材を介して前記第4電極に接続され、
前記第3電極は、前記受電側ベース部に向かって延出し、前記第3金属部材を挟持可能な一対の第3延出部を有し、
前記第4電極は、前記受電側ベース部に向かって延出し、前記第4金属部材を挟持可能な一対の第4延出部を有する請求項2に記載の無線給電カプラ。
【請求項7】
前記送電側ケースの前記送電側ベース部は、平板状であり、
前記送電側絶縁カバーは、箱状であり、前記送電用LC共振回路の周囲を覆うように前記送電側ベース部に取り付けられ、
前記受電側ケースの前記受電側ベース部は、平板状であり、
前記受電側絶縁カバーは、箱状であり、前記受電用LC共振回路の周囲を覆うように前記受電側ベース部に取り付けられる請求項2に記載の無線給電カプラ。
【請求項8】
前記送電側ケースの前記送電側ベース部は、一面が開放された箱状であり、
前記送電側絶縁カバーは、前記送電側ベース部の開放面を塞ぐように前記送電側ベース部に取り付けられ、
前記受電側ケースの前記受電側ベース部は、一面が開放された箱状であり、
前記受電側絶縁カバーは、前記受電側ベース部の開放面を塞ぐように前記受電側ベース部に取り付けられる請求項2に記載の無線給電カプラ。
【請求項9】
送電用LC共振回路と、該送電用LC共振回路を収容する送電側ケースと、を有し、受電用カプラに無線で電力伝送する送電用カプラであって、
前記送電用LC共振回路は、
所定の間隔を空けて配置される第1電極及び第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極のそれぞれと電気的に接続される第1コイル部と、を有し、
前記第1コイル部は前記送電側ケースから独立して着脱可能である送電用カプラ。
【請求項10】
前記送電側ケースは、
前記送電用LC共振回路が配置され、開口部を有する導電性の送電側ベース部と、
前記送電側ベース部に取り付けられる送電側絶縁カバーと、を有し、
前記第1コイル部は、
前記送電側ベース部に着脱可能な第1導電性平板に支持され、
前記送電側ベース部に前記第1導電性平板が取り付けられることで、前記開口部を介して前記送電側ケース内に配置される請求項9に記載の送電用カプラ。
【請求項11】
前記第1コイル部は、
第1共振用コイルと、
該第1共振用コイルを支持するとともに、前記第1導電性平板に対して着脱可能に接続される第1樹脂パイプと、を有し、
第1金属部材を介して前記第1電極に接続されるとともに、第2金属部材を介して前記第2電極に接続される請求項10に記載の送電用カプラ。
【請求項12】
前記第1コイル部は、
第1共振用コイルと、
該第1共振用コイルを支持するとともに、前記第1導電性平板に固定された第1樹脂部材に支持される第1樹脂パイプと、を有し、
第1金属部材を介して前記第1電極に接続されるとともに、第2金属部材を介して前記第2電極に接続される請求項10に記載の送電用カプラ。
【請求項13】
前記第1コイル部は、ネジが挿通される第1貫通孔を有する第1金属部材を介して前記第1電極に接続されるとともに、ネジが挿通される第2貫通孔を有する第2金属部材を介して前記第2電極に接続され、
前記第1電極は、少なくとも前記第1導電性平板側の面に前記ネジと螺合する第1螺合部を有し、
前記第1金属部材と前記第1電極とは、前記ネジが前記第1貫通孔に挿通された状態で、前記第1電極に設けられた前記第1螺合部と螺合することで互いに接続され、
前記第2電極は、少なくとも前記第1導電性平板側の面に前記ネジと螺合する第2螺合部を有し、
前記第2金属部材と前記第2電極とは、前記ネジが前記第2貫通孔に挿通された状態で、前記第2電極に設けられた前記第2螺合部と螺号することで互いに接続され、
前記第1導電性平板には、前記第1貫通孔の軸方向視で前記第1貫通孔及び前記第1螺合部に重なる位置に第1開口部と、前記第2貫通孔の軸方向視で前記第2貫通孔及び前記第2螺合部に重なる位置に第2開口部と、が形成される請求項10に記載の送電用カプラ。
【請求項14】
前記第1コイル部は、第1金属部材を介して前記第1電極に接続されるとともに、第2金属部材を介して前記第2電極に接続され、
前記第1電極は、前記送電側ベース部に向かって延出し、前記第1金属部材を挟持可能な一対の第1延出部を有し、
前記第2電極は、前記送電側ベース部に向かって延出し、前記第2金属部材を挟持可能な一対の第2延出部を有する請求項10に記載の送電用カプラ。
【請求項15】
前記送電側ケースの前記送電側ベース部は、平板状であり、
前記送電側絶縁カバーは、箱状であり、前記送電用LC共振回路の周囲を覆うように前記送電側ベース部に取り付けられる請求項10に記載の送電用カプラ。
【請求項16】
前記送電側ケースの前記送電側ベース部は、一面が開放された箱状であり、
前記送電側絶縁カバーは、前記送電側ベース部の開放面を塞ぐように前記送電側ベース部に取り付けられる請求項10に記載の送電用カプラ。
【請求項17】
受電用LC共振回路と、該受電用LC共振回路を収容する受電側ケースと、を有し、送電用カプラから無線で伝送される電力を受電する受電用カプラであって、
前記受電用LC共振回路は、
所定の間隔を空けて配置される第3電極及び第4電極と、
前記第3電極及び前記第4電極のそれぞれと電気的に接続される第2コイル部と、を有し、
前記第2コイル部は前記受電側ケースから独立して着脱可能である受電用カプラ。
【請求項18】
前記受電側ケースは、
前記受電用LC共振回路が配置され、開口部を有する導電性の受電側ベース部と、
前記受電側ベース部に取り付けられる受電側絶縁カバーと、を有し、
前記第2コイル部は、
前記受電側ベース部に着脱可能な第2導電性平板に支持され、
前記受電側ベース部に前記第2導電性平板が取り付けられることで、前記開口部を介して前記受電側ケース内に配置される請求項17に記載の受電用カプラ。
【請求項19】
前記第2コイル部は、
第2共振用コイルと、
該第2共振用コイルを支持するとともに、前記第2導電性平板に対して着脱可能に接続される第2樹脂パイプと、を有し、
第3金属部材を介して前記第3電極に接続されるとともに、第4金属部材を介して前記第4電極に接続される請求項18に記載の受電用カプラ。
【請求項20】
前記第2コイル部は、
第2共振用コイルと、該第2共振用コイルを支持するとともに、前記第2導電性平板に固定された第2樹脂部材に支持される第2樹脂パイプと、を有し、
第3金属部材を介して前記第3電極に接続されるとともに、第4金属部材を介して前記第4電極に接続される請求項18に記載の受電用カプラ。
【請求項21】
前記第2コイル部は、ネジが挿通される第3貫通孔を有する第3金属部材を介して前記第3電極に接続されるとともに、ネジが挿通される第4貫通孔を有する第4金属部材を介して前記第4電極に接続され、
前記第3電極は、少なくとも前記第2導電性平板側の面に前記ネジと螺合する第3螺合部を有し、
前記第3金属部材と前記第3電極とは、前記ネジが前記第3貫通孔に挿通された状態で、前記第3電極に設けられた前記第3螺合部と螺合することで互いに接続され、
前記第4電極は、少なくとも前記第2導電性平板側の面に前記ネジと螺合する第4螺合部を有し、
前記第4金属部材と前記第4電極とは、前記ネジが前記第4貫通孔に挿通された状態で、前記第4電極に設けられた前記第4螺合部と螺号することで互いに接続され、
前記第2導電性平板には、前記第3貫通孔の軸方向視で前記第3貫通孔及び前記第3螺合部に重なる位置に第3開口部と、前記第4貫通孔の軸方向視で前記第4貫通孔及び前記第4螺合部に重なる位置に第4開口部と、が形成される請求項18に記載の受電用カプラ。
【請求項22】
前記第2コイル部は、第3金属部材を介して前記第3電極に接続されるとともに、第4金属部材を介して前記第4電極に接続され、
前記第3電極は、前記受電側ベース部に向かって延出し、前記第3金属部材を挟持可能な一対の第3延出部を有し、
前記第4電極は、前記受電側ベース部に向かって延出し、前記第4金属部材を挟持可能な一対の第4延出部を有する請求項18に記載の受電用カプラ。
【請求項23】
前記受電側ケースの前記受電側ベース部は、平板状であり、
前記受電側絶縁カバーは、箱状であり、前記受電用LC共振回路の周囲を覆うように前記受電側ベース部に取り付けられる請求項18に記載の受電用カプラ。
【請求項24】
前記受電側ケースの前記受電側ベース部は、一面が開放された箱状であり、
前記受電側絶縁カバーは、前記受電側ベース部の開放面を塞ぐように前記受電側ベース部に取り付けられる請求項18に記載の受電用カプラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線給電カプラ、送電用カプラ及び受電用カプラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や電気自動車などの普及に伴い、無線で電力を供給する無線電力伝送システムの開発が積極的になされている。例えば送電側と受電側にLC共振回路を形成し、電界や磁界等によって、送電側から受電側に無線で電力を送電する技術が知られている。この無線伝送では、電力の伝送効率を最適化させることが重要である。
【0003】
例えば特許文献1には、送電用LC共振回路と受電用LC共振回路とをそれぞれ収容するように構成されたシールドケースの電位が接地電位となるように調整することで、送電用電極と受電用電極とが非平行に対向配置された場合に、コモンモード電流を抑制できる技術が記載されている。特許文献2には、電力伝送の状態に応じて、送電用LC回路及び受電用LC回路の少なくとも一方に電気的に接続される調整コイルのインダクタンスを変更させる技術が記載されている。特許文献3には、送電側コイルと並列に接続され、受電側コイルとは磁界結合していないダミーコイルのインダクタンスと送電側コイルのインダクタンスの比に対し、ダミーコイルに流れる電流と送電側コイルに流れる電流との差電流を検出し、周波数調整を可能とする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-176591号公報
【特許文献2】特開2019-176592号公報
【特許文献3】特開2019-162023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のように、電極間の距離や面積を変えて容量を調整して伝送効率を向上させることが可能であるものの、その調整はカプラの電極構造に制限されるため、容量を大きく変更することが難しい。特許文献2及び3では、コイルのインダクタンスを調整することで共振周波数を調整できるものの、インダクタンス可変回路やダミーコイルなどの部材が必要になり、装置をより簡素化するという点で改善の余地がある。
【0006】
本発明は、簡素な構成で、LC共振回路の共振周波数をより広い範囲で手軽に変更できる無線給電カプラ、送電側カプラ及び受電側カプラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)無線給電カプラは、送電用LC共振回路と、該送電用LC共振回路を収容する送電側ケースと、を有する送電用カプラと、受電用LC共振回路と、該受電用LC共振回路を収容する受電側ケースと、を有する受電用カプラと、を備え、前記送電用LC共振回路と前記受電用LC共振回路とが電界共鳴することで、前記送電用カプラから前記受電用カプラに無線で電力伝送する無線給電カプラであって、前記送電用LC共振回路は、所定の間隔を空けて配置される第1電極及び第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極のそれぞれと電気的に接続される第1コイル部と、を有し、前記受電用LC共振回路は、所定の間隔を空けて配置される第3電極及び第4電極と、前記第3電極及び前記第4電極のそれぞれと電気的に接続される第2コイル部と、を有し、前記第1電極と前記第3電極とが対向し、前記第2電極と前記第4電極とが対向した状態で、前記送電用カプラから前記受電用カプラにワイヤレスで電力伝送し、前記第1コイル部は前記送電側ケースから独立して着脱可能であり、前記第2コイル部は前記受電側ケースから独立して着脱可能である。
【0008】
(2)(1)に記載の無線給電カプラにおいて、前記送電側ケースは、前記送電用LC共振回路が配置され、開口部を有する導電性の送電側ベース部と、前記送電側ベース部に取り付けられる送電側絶縁カバーと、を有し、前記第1コイル部は、前記送電側ベース部に着脱可能な第1導電性平板に支持され、前記送電側ベース部に前記第1導電性平板が取り付けられることで、前記開口部を介して前記送電側ケース内に配置され、前記受電側ケースは、前記受電用LC共振回路が配置され、開口部を有する導電性の受電側ベース部と、前記受電側ベース部に取り付けられる受電側絶縁カバーと、を有し、前記第2コイル部は、前記受電側ベース部に着脱可能な第2導電性平板に支持され、前記受電側ベース部に前記第2導電性平板が取り付けられることで、前記開口部を介して前記受電側ケース内に配置される。
【0009】
(3)(2)に記載の無線給電カプラにおいて、前記第1コイル部は、第1共振用コイルと、該第1共振用コイルを支持するとともに、前記第1導電性平板に対して着脱可能に接続される第1樹脂パイプと、を有し、第1金属部材を介して前記第1電極に接続されるとともに、第2金属部材を介して前記第2電極に接続され、前記第2コイル部は、第2共振用コイルと、該第2共振用コイルを支持するとともに、前記第2導電性平板に対して着脱可能に接続される第2樹脂パイプと、を有し、第3金属部材を介して前記第3電極に接続されるとともに、第4金属部材を介して前記第4電極に接続される。
【0010】
(4)(2)に記載の無線給電カプラにおいて、前記第1コイル部は、第1共振用コイルと、該第1共振用コイルを支持するとともに、前記第1導電性平板に固定された第1樹脂部材に支持される第1樹脂パイプと、を有し、第1金属部材を介して前記第1電極に接続されるとともに、第2金属部材を介して前記第2電極に接続され、前記第2コイル部は、第2共振用コイルと、該第2共振用コイルを支持するとともに、前記第2導電性平板に固定された第2樹脂部材に支持される第2樹脂パイプと、を有し、第3金属部材を介して前記第3電極に接続されるとともに、第4金属部材を介して前記第4電極に接続される。
【0011】
(5)(2)~(4)のいずれか1つに記載の無線給電カプラにおいて、前記第1コイル部は、ネジが挿通される第1貫通孔を有する第1金属部材を介して前記第1電極に接続されるとともに、ネジが挿通される第2貫通孔を有する第2金属部材を介して前記第2電極に接続され、前記第1電極は、少なくとも前記第1導電性平板側の面に前記ネジと螺合する第1螺合部を有し、前記第1金属部材と前記第1電極とは、前記ネジが前記第1貫通孔に挿通された状態で、前記第1電極に設けられた前記第1螺合部と螺合することで互いに接続され、前記第2電極は、少なくとも前記第1導電性平板側の面に前記ネジと螺合する第2螺合部を有し、前記第2金属部材と前記第2電極とは、前記ネジが前記第2貫通孔に挿通された状態で、前記第2電極に設けられた前記第2螺合部と螺号することで互いに接続され、前記第1導電性平板には、前記第1貫通孔の軸方向視で前記第1貫通孔及び前記第1螺合部に重なる位置に第1開口部と、前記第2貫通孔の軸方向視で前記第2貫通孔及び前記第2螺合部に重なる位置に第2開口部と、が形成され、前記第2コイル部は、ネジが挿通される第3貫通孔を有する第3金属部材を介して前記第3電極に接続されるとともに、ネジが挿通される第4貫通孔を有する第4金属部材を介して前記第4電極に接続され、前記第3電極は、少なくとも前記第2導電性平板側の面に前記ネジと螺合する第3螺合部を有し、前記第3金属部材と前記第3電極とは、前記ネジが前記第3貫通孔に挿通された状態で、前記第3電極に設けられた前記第3螺合部と螺合することで互いに接続され、前記第4電極は、少なくとも前記第2導電性平板側の面に前記ネジと螺合する第4螺合部を有し、前記第4金属部材と前記第4電極とは、前記ネジが前記第4貫通孔に挿通された状態で、前記第4電極に設けられた前記第4螺合部と螺号することで互いに接続され、前記第2導電性平板には、前記第3貫通孔の軸方向視で前記第3貫通孔及び前記第3螺合部に重なる位置に第3開口部と、前記第4貫通孔の軸方向視で前記第4貫通孔及び前記第4螺合部に重なる位置に第4開口部と、が形成される。
【0012】
(6)(2)~(4)のいずれか1つに記載の無線給電カプラにおいて、前記第1コイル部は、第1金属部材を介して前記第1電極に接続されるとともに、第2金属部材を介して前記第2電極に接続され、前記第1電極は、前記送電側ベース部に向かって延出し、前記第1金属部材を挟持可能な一対の第1延出部を有し、前記第2電極は、前記送電側ベース部に向かって延出し、前記第2金属部材を挟持可能な一対の第2延出部を有し、前記第2コイル部は、第3金属部材を介して前記第3電極に接続されるとともに、第4金属部材を介して前記第4電極に接続され、前記第3電極は、前記受電側ベース部に向かって延出し、前記第3金属部材を挟持可能な一対の第3延出部を有し、前記第4電極は、前記受電側ベース部に向かって延出し、前記第4金属部材を挟持可能な一対の第4延出部を有する。
【0013】
(7)(2)~(6)のいずれか1つに記載の無線給電カプラにおいて、前記送電側ケースの前記送電側ベース部は、平板状であり、前記送電側絶縁カバーは、箱状であり、前記送電用LC共振回路の周囲を覆うように前記送電側ベース部に取り付けられ、前記受電側ケースの前記受電側ベース部は、平板状であり、前記受電側絶縁カバーは、箱状であり、前記受電用LC共振回路の周囲を覆うように前記受電側ベース部に取り付けられる。
【0014】
(8)(2)~(6)のいずれか1つに記載の無線給電カプラにおいて、前記送電側ケースの前記送電側ベース部は、一面が開放された箱状であり、前記送電側絶縁カバーは、前記送電側ベース部の開放面を塞ぐように前記送電側ベース部に取り付けられ、前記受電側ケースの前記受電側ベース部は、一面が開放された箱状であり、前記受電側絶縁カバーは、前記受電側ベース部の開放面を塞ぐように前記受電側ベース部に取り付けられる。
【0015】
(9)送電用カプラは、送電用LC共振回路と、該送電用LC共振回路を収容する送電側ケースと、を有し、受電用カプラに無線で電力伝送する送電用カプラであって、前記送電用LC共振回路は、所定の間隔を空けて配置される第1電極及び第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極のそれぞれと電気的に接続される第1コイル部と、を有し、前記第1コイル部は前記送電側ケースから独立して着脱可能である。
【0016】
(10)(9)に記載の送電用カプラにおいて、前記送電側ケースは、前記送電用LC共振回路が配置され、開口部を有する導電性の送電側ベース部と、前記送電用LC共振回路の周囲を覆うように前記送電側ベース部に取り付けられる送電側絶縁カバーと、を有し、前記第1コイル部は、前記送電側ベース部に着脱可能な第1導電性平板に支持され、前記送電側ベース部に前記第1導電性平板が取り付けられることで、前記開口部を介して前記送電側ケース内に配置される。
【0017】
(11)(9)に記載の送電用カプラにおいて、前記第1コイル部は、第1共振用コイルと、該第1共振用コイルを支持するとともに、前記第1導電性平板に対して着脱可能に接続される第1樹脂パイプと、を有し、第1金属部材を介して前記第1電極に接続されるとともに、第2金属部材を介して前記第2電極に接続される。
【0018】
(12)(9)に記載の送電用カプラにおいて、前記第1コイル部は、第1共振用コイルと、該第1共振用コイルを支持するとともに、前記第1導電性平板に固定された第1樹脂部材に支持される第1樹脂パイプと、を有し、第1金属部材を介して前記第1電極に接続されるとともに、第2金属部材を介して前記第2電極に接続される。
【0019】
(13)(9)~(12)のいずれか1つに記載の送電用カプラにおいて、前記第1コイル部は、ネジが挿通される第1貫通孔を有する第1金属部材を介して前記第1電極に接続されるとともに、ネジが挿通される第2貫通孔を有する第2金属部材を介して前記第2電極に接続され、前記第1電極は、少なくとも前記第1導電性平板側の面に前記ネジと螺合する第1螺合部を有し、前記第1金属部材と前記第1電極とは、前記ネジが前記第1貫通孔に挿通された状態で、前記第1電極に設けられた前記第1螺合部と螺合することで互いに接続され、前記第2電極は、少なくとも前記第1導電性平板側の面に前記ネジと螺合する第2螺合部を有し、前記第2金属部材と前記第2電極とは、前記ネジが前記第2貫通孔に挿通された状態で、前記第2電極に設けられた前記第2螺合部と螺号することで互いに接続され、前記第1導電性平板には、前記第1貫通孔の軸方向視で前記第1貫通孔及び前記第1螺合部に重なる位置に第1開口部と、前記第2貫通孔の軸方向視で前記第2貫通孔及び前記第2螺合部に重なる位置に第2開口部と、が形成される。
【0020】
(14)(9)~(12)のいずれか1つに記載の送電用カプラにおいて、前記第1コイル部は、第1金属部材を介して前記第1電極に接続されるとともに、第2金属部材を介して前記第2電極に接続され、前記第1電極は、前記送電側ベース部に向かって延出し、前記第1金属部材を挟持可能な一対の第1延出部を有し、前記第2電極は、前記送電側ベース部に向かって延出し、前記第2金属部材を挟持可能な一対の第2延出部を有する。
【0021】
(15)(9)~(14)のいずれか1つに記載の送電用カプラにおいて、前記送電側ケースの前記送電側ベース部は、平板状であり、前記送電側絶縁カバーは、箱状であり、前記送電用LC共振回路の周囲を覆うように前記送電側ベース部に取り付けられる。
【0022】
(16)(9)~(14)のいずれか1つに記載の送電用カプラにおいて、前記送電側ケースの前記送電側ベース部は、一面が開放された箱状であり、前記送電側絶縁カバーは、前記送電側ベース部の開放面を塞ぐように前記送電側ベース部に取り付けられる。
【0023】
(17)受電用カプラは、受電用LC共振回路と、該受電用LC共振回路を収容する受電側ケースと、を有し、送電用カプラから無線で伝送される電力を受電する受電用カプラであって、前記受電用LC共振回路は、所定の間隔を空けて配置される第3電極及び第4電極と、前記第3電極及び前記第4電極のそれぞれと電気的に接続される第2コイル部と、を有し、前記第2コイル部は前記受電側ケースから独立して着脱可能である。
【0024】
(18)(17)に記載の受電用カプラにおいて、前記受電側ケースは、前記受電用LC共振回路が配置され、開口部を有する導電性の受電側ベース部と、前記受電側ベース部に取り付けられる受電側絶縁カバーと、を有し、前記第2コイル部は、前記受電側ベース部に着脱可能な第2導電性平板に支持され、前記受電側ベース部に前記第2導電性平板が取り付けられることで、前記開口部を介して前記受電側ケース内に配置される。
【0025】
(19)(18)に記載の受電用カプラにおいて、前記第2コイル部は、第2共振用コイルと、該第2共振用コイルを支持するとともに、前記第2導電性平板に対して着脱可能に接続される第2樹脂パイプと、を有し、第3金属部材を介して前記第3電極に接続されるとともに、第4金属部材を介して前記第4電極に接続される。
【0026】
(20)(18)に記載の受電用カプラにおいて、前記第2コイル部は、第2共振用コイルと、該第2共振用コイルを支持するとともに、前記第2導電性平板に固定された第2樹脂部材に支持される第2樹脂パイプと、を有し、第3金属部材を介して前記第3電極に接続されるとともに、第4金属部材を介して前記第4電極に接続される。
【0027】
(21)(18)~(20)のいずれか1つに記載の受電用カプラにおいて、前記第2コイル部は、ネジが挿通される第3貫通孔を有する第3金属部材を介して前記第3電極に接続されるとともに、ネジが挿通される第4貫通孔を有する第4金属部材を介して前記第4電極に接続され、前記第3電極は、少なくとも前記第2導電性平板側の面に前記ネジと螺合する第3螺合部を有し、前記第3金属部材と前記第3電極とは、前記ネジが前記第3貫通孔に挿通された状態で、前記第3電極に設けられた前記第3螺合部と螺合することで互いに接続され、前記第4電極は、少なくとも前記第2導電性平板側の面に前記ネジと螺合する第4螺合部を有し、前記第4金属部材と前記第4電極とは、前記ネジが前記第4貫通孔に挿通された状態で、前記第4電極に設けられた前記第4螺合部と螺号することで互いに接続され、前記第2導電性平板には、前記第3貫通孔の軸方向視で前記第3貫通孔及び前記第3螺合部に重なる位置に第3開口部と、前記第4貫通孔の軸方向視で前記第4貫通孔及び前記第4螺合部に重なる位置に第4開口部と、が形成される。
【0028】
(22)(18)~(20)のいずれか1つに記載の受電用カプラにおいて、前記第2コイル部は、第3金属部材を介して前記第3電極に接続されるとともに、第4金属部材を介して前記第4電極に接続され、前記第3電極は、前記受電側ベース部に向かって延出し、前記第3金属部材を挟持可能な一対の第3延出部を有し、前記第4電極は、前記受電側ベース部に向かって延出し、前記第4金属部材を挟持可能な一対の第4延出部を有する。
【0029】
(23)(18)~(22)のいずれか1つに記載の受電用カプラにおいて、前記受電側ケースの前記受電側ベース部は、平板状であり、前記受電側絶縁カバーは、箱状であり、前記受電用LC共振回路の周囲を覆うように前記受電側ベース部に取り付けられる。
【0030】
(24)(18)~(22)のいずれか1つに記載の受電用カプラにおいて、前記受電側ケースの前記受電側ベース部は、一面が開放された箱状であり、前記受電側絶縁カバーは、前記受電側ベース部の開放面を塞ぐように前記受電側ベース部に取り付けられる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、簡素な構成で、LC共振回路の共振周波数をより広い範囲で手軽に変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】第1実施形態に係る無線給電カプラを示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る無線給電カプラの送電用カプラを示す平面図である。
図3】第1実施形態に係る無線給電カプラの送電用カプラを示す底面図である。
図4図2に示す送電用カプラの矢印A-A線に沿った断面図である。
図5図4に示す送電用カプラにおいて送電用コイルユニットが装着される前の状態を示す図である。
図6図2に示す送電用カプラを矢印B-B線に沿って切断した状態を示す図であり、第1金属部材及びその周囲を示す拡大断面図である。
図7】第2実施形態に係る無線給電カプラの送電用カプラを示す図であって、図6に対応する図である。
図8】第3実施形態に係る無線給電カプラの送電用カプラの第1導電性平板、第1コイル部、第1金属部材及び第2金属部材を示す拡大斜視図である。
図9】第4実施形態に係る無線給電カプラの送電用カプラを示す図であって、図4に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態に係る無線給電カプラについて説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものでない。また、以下の説明において参照する各図は、本開示の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、及び位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。即ち、本発明は、各図で例示された形状、大きさ、及び位置関係のみに限定されるものでない。
【0034】
まず、第1実施形態に係る無線給電カプラ100の全体的な構成について図1を参照しながら説明する。図1は、無線給電カプラ100を示す斜視図である。
【0035】
無線給電カプラ100は、送電用LC共振回路10を有する送電用カプラ1と、受電用LC共振回路20を有する受電用カプラ2を備える。送電用カプラ1は、所定の間隔を空けて配置される第1電極11及び第2電極12を有し、受電用カプラ2は、所定の間隔を空けて配置される第3電極21及び第4電極22を有する。送電用カプラ1に電源が接続され、受電用カプラ2に負荷が接続される場合、第1電極11と第3電極21とが対向し、第2電極12と第4電極22とが対向した状態で、送電用LC共振回路10と受電用LC共振回路20とが電界共鳴する。この電界共鳴により、送電用カプラ1から受電用カプラ2に無線で電力が伝送される。負荷とは、例えば蓄電池であり、産業機器や携帯電子機器等に採用されている。産業機器としては、電気自動車、携帯電子機器としては、ラップトップパソコン、スマートフォン、携帯音楽プレーヤ等が挙げられる。
【0036】
次に、送電用カプラ1の構成について図1図6を参照しながら説明する。図2は、送電用カプラ1の平面図である。図3は、送電用カプラ1の底面図である。図4は、図2に示す送電用カプラ1の矢印A-A線に沿った断面図である。図5は、図4に示す送電用カプラにおいて送電用コイルユニット50が装着される前の状態を示す図である。図6は、図2に示す送電用カプラ1を矢印B-B線に沿って切断した状態を示す図であり、第1金属部材53及びその周囲を示す拡大断面図である。なお、図1図3では、送電側ケース30を二点鎖線で示している。
【0037】
送電用カプラ1は、図1に示すように送電用LC共振回路10と、送電用LC共振回路10を収容する送電側ケース30と、を備える。
【0038】
送電側ケース30は、送電側ベース部31と、送電側絶縁カバー32と、を有する。送電側ベース部31は、平板状に形成される導電性の部材である。送電側ベース部31には、送電用LC共振回路10が配置される。送電側ベース部31は、送電用LC共振回路10の後述する接地電極としても機能する。送電側ケース30は、その中心付近に厚み方向に貫通する開口部311が形成される。
【0039】
送電側絶縁カバー32は、箱状であり、送電側ベース部31に取り付けられる。送電側絶縁カバー32は、天板321と天板321の縁部から送電側ベース部31側に延出する側板322を有する。送電側絶縁カバー32は、その側板322の内側の面が送電側ベース部31の端縁に接触するとともに、送電側ベース部31に配置されるLC共振回路10の周囲を覆うように送電側ベース部31に取り付けられる。
【0040】
送電用LC共振回路10は、第1電極11と、第2電極12と、第1無給電電極13と、第2無給電電極14と、接地電極と、送電用コイルユニット50と、を備える。
【0041】
第1電極11と第2電極12とは、送電側絶縁カバー32の天板321と対向し、互いに所定の間隔を空けて配置される。具体的には、第1電極11と第2電極12とは、同一平面上に所定の間隔を空けて並ぶように配置される。受電用カプラ2の第3電極21及び第4電極22も第1電極11及び第2電極12と同様の構成である。電源から送電用カプラ1に電力が伝送されると、第1電極11と受電用カプラ2の第3電極21との間で容量が形成され、第2電極12と受電用カプラ2の第4電極22との間で容量が形成される。
【0042】
第1電極11は、少なくとも送電側ベース部31側である底面111にネジ4と螺合する第1螺合部112を有する。第1電極11の底面111には、後述する第1金属部材33がネジ4を介して着脱可能に接続される。
【0043】
第1無給電電極13は、第1電極11と送電側ベース部31との間に、第1電極11及び送電側ベース部31のそれぞれと対向するように配置される。第1電極11と第1無給電電極13とは、複数の第1導電性可変長部材131によって接続される。第1電極11と第1無給電電極13とは、第1導電性可変長部材131を通して導通される。
【0044】
第2電極12は、少なくとも送電側ベース部31側である底面121にネジ4と螺合する第2螺合部122を有する。第2電極12の底面121には、後述する第2金属部材34がネジ4を介して着脱可能に接続される。
【0045】
第2無給電電極14は、第2電極12と送電側ベース部31との間に、第2電極12及び送電側ベース部31のそれぞれと対向するように配置される。第2電極12と第2無給電電極14とは、複数の第2導電性可変長部材141によって接続される。第2電極12と第2無給電電極14とは、第2導電性可変長部材141を通して導通される。
【0046】
接地電極は、送電側ベース部31の少なくとも第1無給電電極13側の表面と第2無給電電極14側の表面によって構成され、接地されている。接地電極は、第1無給電電極13と対向し、容量を形成する。また接地電極は、第2無給電電極14と対向し、容量を形成する。
【0047】
本実施形態では、第1無給電電極13又は第2無給電電極14と接地電極との距離は、調整機構(図示省略)によって変化させることができる。即ち、第1無給電電極13又は第2無給電電極14と接地電極との間に生じる容量は、変化させることができる。即ち、容量の変更可能な可変容量が形成される。調整機構は、第1無給電電極13又は第2無給電電極14と接地電極との距離を変化させることができる機構であれば特に限定されない。例えば第1無給電電極13と接地電極とを結んで回転可能で、かつ接地電極と螺合している螺旋棒と、螺旋棒と固着し、かつ第1無給電電極13と係合する係合部材と、を有し、螺旋棒の締緩により第1無給電電極13と接地電極との距離を調整する構成であってもよい。
【0048】
送電用コイルユニット50は、第1コイル部51等を有する。第1コイル部51は、送電側ケース30内に収容され、第1電極11及び第2電極12のそれぞれと電気的に接続される。この第1コイル部51のインダクタンスと、受電用カプラ2の後述する第2コイル部61のインダクタンス、第1電極11と第3電極21の間に形成される容量、第2電極12と第4電極22との間に形成される容量等によって、送電用カプラ1から受電用カプラ2に無線で電力を伝送可能な共振回路が形成される。
【0049】
ここで、電源から供給される電力を効率よく負荷に伝えるためには、商用電源である電源からの電力の周波数に共振周波数を合わせる必要がある。具体的には、送電用カプラ1は、AC/DC電源部と高周波電源部を介して商用電源に接続される。商用電源から供給される交流電力は、AC/DC電源部によって直流に変換され、高周波電源部により、直流から所定の高周波信号が生成され、生成後の高周波信号が送電用カプラ1に送信される。所定の高周波信号の周波数としては、例えば85kHz、400kHz、6.78MHz、13.56MHz、27.12MHz等が挙げられる。無線給電カプラ100のLC共振回路の共振周波数をこの高周波信号の周波数に合わせる必要がある。共振周波数は、容量を変更することで調整できるものの、その調整は無線給電カプラ100の電極の構造に制限されるため、容量を大きく変更することが難しい。一方で、第1コイル部51や第2コイル部61のインダクタンスを変更することで共振周波数を調整することもできる。しかし、通常、コイル部は送電側ケース等の筐体に収容されており、コイル部を取り出して調整や変更するのに手間がかかる。簡素な構成で、LC共振回路の共振周波数をより広い範囲で手軽に変更することを可能とすることが本発明の一実施形態の目的である。
【0050】
次に、送電用コイルユニット50の詳細について説明する。送電用コイルユニット50は、第1コイル部51と、第1コイル部51が支持され、送電側ベース部31に着脱可能な第1導電性平板52と、第1金属部材53と、第2金属部材54と、を有する。
【0051】
第1コイル部51は、第1共振用コイル511と、第1共振用コイル511を支持する第1樹脂パイプ512と、を備える。第1樹脂パイプ512は、ネジ5を介して第1導電性平板52に着脱可能に接続される。
【0052】
第1金属部材53及び第2金属部材54は、樹脂部材等を介して第1導電性平板52に支持される。第1金属部材53及び第2金属部材54は、第1導電性平板52とは電気的に導通していない。第1金属部材53及び第2金属部材54は、第1導電性平板52において、第1コイル部51と接触して電気的に接続可能な位置に配置される。第1金属部材53と第2金属部材54とは、互いに間隔を空けて配置される。
【0053】
第1金属部材53は、ネジ4が挿通される第1貫通孔531を有する。第1金属部材53と第1電極11は、ネジ4が第1貫通孔531に挿通された状態で、第1電極11に設けられた第1螺合部112と螺合することで互いに接続される。
【0054】
第2金属部材54は、ネジ4が挿通される第2貫通孔541を有する。第2金属部材54と第2電極12は、ネジ4が第2貫通孔541に挿通された状態で、第2電極12に設けられた第2螺合部122と螺合することで互いに接続される。
【0055】
このように、第1コイル部51は、第1電極11に接続された第1金属部材53と第2電極12に接続された第2金属部材54に接続される。即ち、第1コイル部51は、第1金属部材53を介して第1電極11に接続され、第2金属部材54を介して第2電極12に接続される。
【0056】
第1導電性平板52は、送電側ベース部31に着脱可能な板状部材である。第1導電性平板52は、送電側ベース部31の開口部311よりも大きい平板状の基部521と、基部521から突出し、その輪郭が開口部311の内周面と略同じであり、開口部311に嵌合可能である支持台522と、を有する。
【0057】
基部521の縁部側には、ネジ4が挿通される貫通孔527が形成される。送電側ベース部31の送電用LC共振回路10が配置されている面とは反対側の面の開口部311の周辺には、ネジ4が螺合する螺合部312が形成される。第1導電性平板52の支持台522を開口部311に嵌合させ、ネジ4が貫通孔527に挿通された状態で、送電側ベース部31に設けられた螺合部312と螺合することで、第1コイル部51が支持される第1導電性平板52を送電側ベース部31に取り付けることができる。即ち、第1コイル部51は、送電側ケース30から独立して着脱可能である。第1コイル部51は、送電側ベース部31に第1導電性平板52が取り付けられることで、開口部311を介して送電側ケース30内に配置される。
【0058】
第1導電性平板52は、その厚み方向に貫通する第1開口部523及び第2開口部524を有する。第1開口部523は、第1導電性平板52が送電側ベース部31に取り付けられた状態で、第1貫通孔531の軸方向視で第1貫通孔531及び前記第1螺合部112に重なる位置に形成される。第2開口部524は、第1導電性平板52が送電側ベース部31に取り付けられた状態で、第2貫通孔532の軸方向視で第2貫通孔532及び第2螺合部122に重なる位置に形成される。
【0059】
例えば、この第1開口部523からドライバ等を挿通し、第1貫通孔531に挿通された状態で第1螺合部112に螺合されたネジ4を緩めて第1金属部材53と第1電極11との接続を解除することができる。反対に第1導電性平板52が送電側ベース部31に取り付けられた状態であっても、第1開口部523を介してドライバで第1金属部材53を第1電極11に接続することができる。この構成により、第1導電性平板52が送電側ベース部31に取り付けられた状態であっても、第1電極11や第2電極12から第1コイル部51を容易に着脱できる。
【0060】
ここで、本実施形態に係る送電用カプラ1とは異なり、第1コイル部51がそれを収容する送電側ケース30から独立して着脱可能ではない送電用カプラでは、LC共振回路のインダクタンスを調整するためには、多くの工程を要することになる。例えば、送電用カプラ1から送電側絶縁カバー32を取り外す工程、ネジ4等で固定された第1電極11や第2電極12等の受電用カプラ2の第3電極21及び第4電極22との間で容量を形成する電極を取り外す工程、第1コイル部51を露出させる工程、第1コイル部51と送電側ケース30との間の接続を外す工程、第1コイル部51を変更する工程、第1コイル部51を送電側ケース30に取り付ける工程、第1電極11や第2電極12等の電極を取り付ける工程、送電側絶縁カバー32を取り付ける工程等が必要である。
【0061】
これに対して本実施形態では、第1コイル部51がそれを収容する送電側ケース30から独立して着脱可能であるので、LC共振回路のインダクタンスを調整するための工程を削減できる。具体的には、送電側ベース部31から第1導電性平板52を取り外すことで、送電側絶縁カバー32や第1電極11、第2電極12を取り外すことができ、また送電側ケース30から第1コイル部51を取り外すことができる。そして、例えば第1導電性平板52に支持される第1コイル部51を異なるインダクタンスのものに変更し、再度第1導電性平板52を送電側ベース部31に取り付けて第1コイル部51を第1電極11や第2電極12と接続することで共振周波数を調整できる。
【0062】
次に、受電用カプラ2について説明する。受電用カプラ2は、受電用LC共振回路20と、受電側ケース40と、を備える。受電用カプラ2のLC共振回路20及び受電側ケース40の構成は、電力を受電する点等を除き同様な構成であるので、その説明を省略する。なお、受電側ケース40の受電側ベース部41は送電側ベース部31に対応し、受電側絶縁カバー42は送電側絶縁カバー32に対応する構成である。受電用LC共振回路20の第3電極21は第1電極11に対応し、第4電極22は第2電極12に対応し、第3無給電電極は第1無給電電極13に対応し、第4無給電電極は第2無給電電極14に対応し、送電用コイルユニット50は受電用コイルユニットに対応する。また、受電用コイルユニットの第2コイル部は第1コイル部51に対応し、第1導電性平板52は第2導電性平板に対応し、第1金属部材53は第3金属部材に対応し、第2金属部材54は第4金属部材に対応する。また第1共振用コイル511は、第2共振用コイルに対応し、第1樹脂パイプ512は、第2樹脂パイプに対応する。
【0063】
次に、第2実施形態に係る無線給電カプラ100について説明する。図7は、第2実施形態に係る無線給電カプラ100の送電用カプラ1を示す図であって、図6に対応する図である。なお、以下の説明において、第1実施形態と同じ構成については詳細な説明を省略する。
【0064】
第2実施形態に係る無線給電カプラ100は、送電用LC共振回路10及び送電側ケース30を有する送電用カプラ1と受電用LC共振回路20及び受電側ケース40を有する受電用カプラ2を備える。
【0065】
第2実施形態の無線給電カプラ100の詳細な説明について送電用カプラ1を例に説明する。第2実施形態の送電用カプラ1は、第1実施形態の送電用カプラ1とは第1電極11、第2電極12、第1金属部材53、第2金属部材54、第1導電性平板52の構成が主に異なる。
【0066】
第1電極11は、所定の間隔を空けてその底面111に形成される一対の第1延出部113を有する。一対の第1延出部113は、底面111から送電側ベース部31に向かって延出し、第1金属部材53を挟持可能に構成される。
【0067】
第2電極12は、所定の間隔を空けてその底面121に形成される一対の第2延出部を有する。一対の第2延出部は、底面121から送電側ベース部31に向かって延出し、第2金属部材54を挟持可能である。
【0068】
第1金属部材53は、一対の第1延出部113の間に嵌合可能な寸法及び形状に形成される。本実施形態の第1金属部材53は、第1貫通孔531を有していない。
【0069】
第2金属部材54は、一対の第2延出部(図示省略)の間に嵌合可能な寸法及び形状に形成される。本実施形態の第2金属部材54は、第2貫通孔541を有していない。
【0070】
本実施形態の第1導電性平板52は、その厚み方向に貫通する第1開口部523を有していない点が第1実施形態の第1導電性平板52とは異なる。
【0071】
第2実施形態によれば、例えば第1金属部材53を一対の第1延出部113の間に押し込むことや第1金属部材53を引き抜くことで、第1金属部材53と第1電極11の接続及び接続の解除を容易に行うことができる。よって、第1金属部材53及び第2金属部材54を介して第1電極11及び第2電極12に第1コイル部51を容易に着脱することができる。
【0072】
次に、第3実施形態に係る無線給電カプラ100について説明する。図8は、第2実施形態の送電用カプラ1の第1導電性平板52、第1コイル部51、第1金属部材53及び第2金属部材54を示す拡大斜視図ある。なお、以下の説明において、第1実施形態と同じ構成については詳細な説明を省略する。
【0073】
第3実施形態に係る無線給電カプラ100は、送電用LC共振回路10及び送電側ケース30を有する送電用カプラ1及び受電用LC共振回路20及び受電側ケース40を有する受電用カプラ2を備える。
【0074】
第3実施形態の無線給電カプラ100の詳細な構成について送電用カプラ1を例に説明する。第3実施形態の送電用カプラ1は、第1実施形態の送電用カプラ1とは送電用コイルユニット50の第1コイル部51を支持する第1導電性平板52の構成が主に異なる。
【0075】
第1導電性平板52には、第1コイル部51が配置される側の面に一対の第1樹脂部材525が固定されている。
【0076】
一対の第1樹脂部材525は、互いに所定の間隔を空けて送電側絶縁カバー32の天板321に向かって延出するように配置される。一対の第1樹脂部材525のそれぞれには、第1樹脂パイプ512の両端部側の径に対応し、第1樹脂パイプ512を嵌合可能な嵌合溝526が形成される。即ち、第1樹脂パイプ512は、第1樹脂部材525を介して第1導電性平板52に着脱可能に接続される。
【0077】
第3実施形態によれば、例えば、嵌合溝526に第1樹脂パイプ512を着脱することで、第1導電性平板52に支持される第1コイル部51を異なるものに取り換えることができるので、共振周波数を調整するためのインダクタンスの変更を容易に行うことができる。
【0078】
次に、第4実施形態に係る無線給電カプラ100について説明する。図9は、第4実施形態に係る無線給電カプラ100の送電用カプラ1を示す図であって、図4に対応する図である。なお、以下の説明において、第1実施形態と同じ構成については詳細な説明を省略する。
【0079】
第4実施形態に係る無線給電カプラ100は、送電用LC共振回路10及び送電側ケース30を有する送電用カプラ1及び受電用LC共振回路20及び受電側ケース40を有する受電用カプラ2を備える。
【0080】
第4実施形態の無線給電カプラ100の詳細な構成について送電用カプラ1を例に説明する。第4実施形態の送電用カプラ1は、第1実施形態の送電用カプラ1とは送電側ケース30の構成が主に異なる。
【0081】
送電側ケース30は、送電側ベース部31と、送電側ベース部31に取り付けられる送電側絶縁カバー32と、を有する。
【0082】
本実施形態の送電側ベース部31は、一面が開放された箱状に形成される導電性の部材である。送電側ベース部31は、送電用LC共振回路10が配置される底板313と、底板313の縁部から送電側ベース部31側に立ち上がる側板314と、底板313と対向する位置に形成される開口である開放面315とを有する。底板313は、送電用LC共振回路10の接地電極としても機能する。底板313は、その中心付近に厚み方向に貫通する開口部311が形成される。側板314は、送電用LC共振回路10の周囲を囲うように形成される。
【0083】
送電側絶縁カバー32は、略平板状であり、送電側ベース部31の開放面315を覆うように取り付けられる。送電側絶縁カバー32は、天板321と、天板321の縁部から突出し、送電側ベース部31の側板314と嵌合可能な嵌合突出部323を有する。送電側絶縁カバー32は、その嵌合突出部323の内側の面が送電側ベース部31の側板314の外側の面に接触するように送電側ベース部31に取り付けられる。
【0084】
以上説明した実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
【0085】
上記実施形態に係る無線給電カプラ100は、送電用LC共振回路10と、該送電用LC共振回路10を収容する送電側ケース30と、を有する送電用カプラ1と、受電用LC共振回路20と、該受電用LC共振回路20を収容する受電側ケース40と、を有する受電用カプラ2と、を備え、送電用LC共振回路10と受電用LC共振回路20とが電界共鳴することで、送電用カプラ1から受電用カプラ2に無線で電力伝送する無線給電カプラ100であって、送電用LC共振回路10は、所定の間隔を空けて配置される第1電極11及び第2電極12と、第1電極11及び第2電極12のそれぞれと電気的に接続される第1コイル部51と、を有し、受電用LC共振回路20は、所定の間隔を空けて配置される第3電極21及び第4電極22と、第3電極21及び第4電極22のそれぞれと電気的に接続される第2コイル部と、を有し、第1電極11と第3電極21とが対向し、第2電極12と第4電極22とが対向した状態で、送電用カプラ1から受電用カプラ2に無線で電力伝送し、第1コイル部51は送電側ケース30から独立して着脱可能であり、第2コイル部は受電側ケース40から独立して着脱可能である。
【0086】
これにより、送電側ケース30及び受電側ケース40から第1コイル部51及び第2コイル部を独立して着脱可能な構成であるので、送電用LC共振回路10又は受電用LC共振回路20が収容されたケースから第1コイル部51及び第2コイル部のみを取り出すことや取り付けることができる。このため、例えばケースの絶縁カバーの開閉やケース内の電極の取り外し等の作業が不要となり、工程数をかけずにインダクタンスの異なるコイルへの変更やコイルの巻き数の調整等を行うことが可能となる。よって、簡素な構成で、LC共振回路10、20の共振周波数をより広い範囲で手軽に変更できる。
【0087】
また上記実施形態に係る無線給電カプラ100は、送電側ケース30は、送電用LC共振回路10が配置され、開口部311を有する導電性の送電側ベース部31と、送電側ベース部31に取り付けられる送電側絶縁カバー32と、を有し、第1コイル部51は、送電側ベース部31に着脱可能な第1導電性平板52に支持され、送電側ベース部31に第1導電性平板52が取り付けられることで、開口部311を介して送電側ケース30内に配置され、受電側ケース40は、受電用LC共振回路20が配置され、開口部を有する導電性の受電側ベース部41と、受電側ベース部に取り付けられる受電側絶縁カバー42と、を有し、第2コイル部は、受電側ベース部に着脱可能な第2導電性平板に支持され、受電側ベース部に第2導電性平板が取り付けられることで、開口部を介して受電側ケース内に配置される。
【0088】
これにより、ケースの絶縁カバーを取り外すことなく、ケースの送電側ベース部31や受電側ベース部41から平板とともにコイルを取り出すことができるので、より手軽にインダクタンスを変更して共振周波数を調整することができる。
【0089】
上記実施形態に係る無線給電カプラ100において、第1コイル部51は、第1共振用コイル511と、該第1共振用コイル511を支持するとともに、第1導電性平板52に対して着脱可能に接続される第1樹脂パイプ512と、を有し、第1金属部材53を介して第1電極11に接続されるとともに、第2金属部材54を介して第2電極12に接続され、第2コイル部は、第2共振用コイルと、該第2共振用コイルを支持するとともに、第2導電性平板に対して着脱可能に接続される第2樹脂パイプと、を有し、第3金属部材を介して第3電極に接続されるとともに、第4金属部材を介して第4電極に接続される。
【0090】
これにより、コイルを支持する樹脂パイプが導電性平板から着脱可能であるので、コイルの巻き数の調整やコイルの変更をより手軽に行うことができる。
【0091】
上記実施形態に係る無線給電カプラ100において、第1コイル部51は、第1共振用コイル511と、該第1共振用コイル511を支持するとともに、第1導電性平板52に固定された第1樹脂部材525に支持される第1樹脂パイプ512と、を有し、第1金属部材53を介して第1電極11に接続されるとともに、第2金属部材54を介して第2電極12に接続され、第2コイル部は、第2共振用コイルと、該第2共振用コイルを支持するとともに、第2導電性平板に固定された第2樹脂部材に支持される第2樹脂パイプと、を有し、第3金属部材を介して第3電極に接続されるとともに、第4金属部材を介して第4電極に接続される。
【0092】
これにより、コイルを支持する樹脂パイプを導電性平板から着脱可能であるとともに、樹脂部材を介して樹脂パイプを導電性平板に着脱できるので、コイルの巻き数の調整やコイルの変更をより手軽に行うことができるとともに、コイルを支持する樹脂パイプの導電性平板への着脱が容易になる。
【0093】
上記実施形態に係る無線給電カプラ100において、第1コイル部51は、ネジ4が挿通される第1貫通孔531を有する第1金属部材53を介して第1電極11に接続されるとともに、ネジ4が挿通される第2貫通孔532を有する第2金属部材54を介して第2電極12に接続され、第1電極11は、少なくとも送電側ベース部31側の面にネジ4と螺合する第1螺合部112を有し、第1金属部材53と第1電極11とは、ネジ4が第1貫通孔531に挿通された状態で、第1電極11に設けられた第1螺合部112と螺合することで互いに接続され、第2電極12は、少なくとも送電側ベース部31側の面にネジ4と螺合する第2螺合部122を有し、第2金属部材54と第2電極12とは、ネジ4が第2貫通孔541に挿通された状態で、第2電極12に設けられた第2螺合部122と螺号することで互いに接続され、第1導電性平板52には、第1貫通孔531の軸方向視で第1貫通孔531及び第1螺合部112に重なる位置に第1開口部523と、第2貫通孔541の軸方向視で第2貫通孔541及び第2螺合部122に重なる位置に第2開口部524と、が形成され、第2コイル部は、ネジ4が挿通される第3貫通孔を有する第3金属部材を介して第3電極21に接続されるとともに、ネジ4が挿通される第4貫通孔を有する第4金属部材を介して第4電極22に接続され、第3電極21は、少なくとも受電側ベース部41側の面にネジ4と螺合する第3螺合部を有し、第3金属部材と第3電極21とは、ネジ4が第3貫通孔に挿通された状態で、第3電極21に設けられた第3螺合部と螺合することで互いに接続され、第4電極22は、少なくとも受電側ベース部41側の面にネジ4と螺合する第4螺合部を有し、第4金属部材と第4電極22とは、ネジ4が第4貫通孔に挿通された状態で、第4電極22に設けられた第4螺合部と螺号することで互いに接続され、第2導電性平板には、第3貫通孔の軸方向視で第3貫通孔及び第3螺合部に重なる位置に第3開口部と、第4貫通孔の軸方向視で第4貫通孔及び第4螺合部に重なる位置に第4開口部と、が形成される。
【0094】
これにより、例えば第1コイル部51を支持する第1導電性平板52が送電側ベース部31に取り付けられている状態であっても、第1開口部523からドライバ等を挿通し、
ネジ4を緩めて第1金属部材53と第1電極11との接続を解除することやネジ4を締め付けて第1金属部材53を第1電極11に接続することができる。よって、第1導電性平板52が送電側ベース部31に取り付けられた状態であっても、第1電極11や第2電極12から第1コイル部51を容易に着脱できる。
【0095】
上記実施形態に係る無線給電カプラ100において、第1コイル部51は、第1金属部材53を介して第1電極11に接続されるとともに、第2金属部材54を介して第2電極12に接続され、第1電極11は、送電側ベース部31に向かって延出し、第1金属部材53を挟持可能な一対の第1延出部113を有し、第2電極12は、送電側ベース部31に向かって延出し、第2金属部材54を挟持可能な一対の第2延出部を有し、第2コイル部は、第3金属部材を介して第3電極21に接続されるとともに、第4金属部材を介して第4電極22に接続され、第3電極21は、受電側ベース部41に向かって延出し、第3金属部材を挟持可能な一対の第3延出部を有し、第4電極22は、受電側ベース部41に向かって延出し、第4金属部材を挟持可能な一対の第4延出部を有する。
【0096】
これにより、例えば第1金属部材53を一対の第1延出部113の間に押し込むことや第1金属部材53を引き抜くことで、第1金属部材53と第1電極11の接続及び接続の解除を容易に行うことができる。例えば第1金属部材53及び第2金属部材54が第1導電性平板52に支持されている場合、第1導電性平板52の送電側ケース30への取り付けに伴い、第1導電性平板52が送電側ケース30側に押し込まれ、第1金属部材53と第1電極11を接続でき、第1導電性平板52の送電側ケース30からの取り外しに伴い、第1導電性平板52が送電側ケース30から離れ、第1金属部材43と第1電極11の接続を解除できる。よって、第1金属部材53及び第2金属部材54を介して第1電極11及び第2電極12に第1コイル部51を容易に着脱することができる。
【0097】
上記実施形態に係る無線給電カプラ100において、送電側ケース30の送電側ベース部31は、平板状であり、送電側絶縁カバー32は、箱状であり、送電用LC共振回路10の周囲を覆うように送電側ベース部31に取り付けられ、受電側ケース40の受電側ベース部41は、平板状であり、受電側絶縁カバー42は、箱状であり、受電用LC共振回路20の周囲を覆うように受電側ベース部41に取り付けられる。
【0098】
これにより、平板状の送電側ベース部31又は受電側ベース部41にLC共振回路が配置されているので、送電側絶縁カバー32又は受電側絶縁カバー42を取り外した場合にLC共振回路の調整をより容易に行うことができる。
【0099】
上記実施形態に係る無線給電カプラ100において、送電側ケース30の送電側ベース部31は、一面が開放された箱状であり、送電側絶縁カバー32は、送電側ベース部31の開放面315を塞ぐように送電側ベース部31に取り付けられ、受電側ケース40の受電側ベース部41は、一面が開放された箱状であり、受電側絶縁カバー42は、受電側ベース部41の開放面を塞ぐように受電側ベース部41に取り付けられる。
【0100】
これにより、箱状に形成された導電性の送電側ベース部31及び受電側ベース部41にLC共振回路の周囲が囲まれているので、LC共振回路を外部のノイズ等からより確実に保護できる。
【0101】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0102】
上記実施形態では、送電用LC共振回路10が第1無給電電極13と、第2無給電電極14と、接地電極とを備え、受電用LC共振回路20が第3無給電電極と、第4無給電電極と、接地電極とを備えていたが、これらを備えない構成であってもよい。即ち、送電用LC共振回路10は第1電極11、第2電極12、第1コイル部51等によって構成され、受電用LC共振回路20は第3電極21、第4電極22、第2コイル部等によって構成され、それぞれ可変容量が形成されていない構成であってもよい。
【0103】
また上記実施形態では、第1導電性平板52は、送電側ベース部31の開口部311よりも大きい平板状の基部521と、開口部311に嵌合可能である支持台522と、を有していたが、基部521を有しない構成であってもよい。そして、ネジを用いずに第1導電性平板52全体を送電側ベース部31の開口部311に嵌合させることで、送電側ケース30に着脱可能な構成であってもよい。
【符号の説明】
【0104】
1 送電用カプラ
2 受電用カプラ
10 送電用LC共振回路
11 第1電極
12 第2電極
20 受電用LC共振回路
21 第3電極
22 第4電極
30 送電側ケース
40 受電側ケース
51 第1コイル部
100 無線給電カプラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9