(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141644
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】レンズ装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/10 20210101AFI20241003BHJP
G03B 9/02 20210101ALI20241003BHJP
【FI】
G02B7/10 E
G03B9/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053407
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001988
【氏名又は名称】弁理士法人小林国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 義孝
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼ 裕美
【テーマコード(参考)】
2H044
2H080
【Fターム(参考)】
2H044EE01
2H080AA21
2H080AA38
2H080AA78
2H080BB07
(57)【要約】
【課題】絞り口径を確実に可変させ、且つ光軸方向における寸法を小さくして小型化を図ることが可能なレンズ装置を提供する。
【解決手段】レンズ装置12は、Z方向に移動可能な少なくとも1つのレンズ群22と、絞り羽根45を有する絞り機構27と、カム筒42の回転に連動してレンズ群22及び絞り機構27をZ方向に移動する第1駆動機構28と、絞り羽根45を動作させる絞り操作リング29とを、備え、絞り操作リング29の連動部58は、レンズ群22及び絞り機構27のZ方向の移動により、カム筒42の内側に位置する第1位置と、カム筒42の外側に位置する第2位置との間で移動可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸方向に移動可能な少なくとも1つの移動レンズ群と、
絞り羽根を有する絞り機構と、
第1カム部材の回転に連動して前記移動レンズ群及び前記絞り機構を前記光軸方向に移動する第1駆動機構と、
前記絞り羽根を動作させる第2駆動機構とを、備え、
前記第2駆動機構の連動部は前記光軸方向の移動により、前記第1カム部材の内側に位置する第1位置と、前記第1カム部材の外側に位置する第2位置との間で移動可能である、レンズ装置。
【請求項2】
前記絞り機構は、
前記絞り羽根と、
前記絞り羽根を動作させる第2カム部材と、
前記第2カム部材に備えられた連結部材とを有し、
前記第2駆動機構は、
前記連動部を備えた絞り操作リングを有し、
前記連動部は、前記絞り操作リングの回転と連動して回転することにより、前記連結部材を介して前記第2カム部材に回転を伝達し、前記絞り羽根を動作させる、請求項1に記載のレンズ装置。
【請求項3】
被写体側から順に、前記絞り機構、前記移動レンズ群、及び前記絞り操作リングが配置された、請求項2に記載のレンズ装置。
【請求項4】
前記第1カム部材は、第1カム溝を有し、
前記第1カム溝は、前記移動レンズ群及び前記絞り機構の前記移動に作用する溝である、請求項3に記載のレンズ装置。
【請求項5】
前記第1カム部材は、第1カム溝と第2カム溝を有し、
前記第1カム溝は、前記絞り機構について前記移動に作用する溝であり、
前記第2カム溝は、前記移動レンズ群について前記移動に作用する溝であり、
前記移動レンズ群を保持するレンズ群保持枠を有し、
前記レンズ群保持枠は、前記連動部が貫通する穴部を有する、請求項3に記載のレンズ装置。
【請求項6】
前記絞り操作リングは、円環部と、前記連動部とを備え、
前記連動部は、前記円環部から被写体側に突出する突出部を含む請求項3に記載のレンズ装置。
【請求項7】
前記突出部は、前記光軸方向に延在する摺動溝を備え、
前記連結部材は、前記摺動溝と摺動する連結ピンを有する請求項6に記載のレンズ装置。
【請求項8】
前記連結部材は、前記連結ピンの回りに設けられた摺動ローラを備え、
前記連結ピンは、前記摺動ローラを介して前記摺動溝と摺動する請求項7に記載のレンズ装置。
【請求項9】
前記連結部材は、前記光軸方向に延在する連結ピンを有し、
前記突出部は、前記光軸方向の寸法が、前記連結ピンよりも短く、前記連結ピンと摺動する摺動溝を有する請求項6に記載のレンズ装置。
【請求項10】
前記絞り機構は、複数の前記絞り羽根を揺動可能に支持する支持部材を有し、
前記第2カム部材は、前記絞り操作リングから前記連動部及び前記連結部材を介して伝達された回転により、複数の前記絞り羽根を同期して揺動させる請求項2に記載のレンズ装置。
【請求項11】
前記第2カム部材は、前記絞り羽根をガイドする複数のガイド部を有し、
複数の前記絞り羽根は、円環状に配置され、前記ガイド部のガイドに従って揺動することにより絞り口径が可変する請求項10に記載のレンズ装置。
【請求項12】
前記絞り機構、前記移動レンズ群、前記第1駆動機構、及び前記第2駆動機構を保持するレンズ鏡筒本体と、
前記絞り操作リングに対して前記移動レンズ群とは反対側の位置で、前記レンズ鏡筒本体に着脱自在に装着され、固定レンズ群を保持するアクセサリー部材とを備える請求項1ないし11のいずれか1項に記載のレンズ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1記載のレンズ鏡筒は、固定筒と、固定筒の内側に設けられた回転筒と、可動部と、可動部を回転筒の周方向に回転させることにより絞り口径を変更する可変絞り装置と、を備えている。回転筒は、固定筒に対して周方向に回転することにより内部のレンズを光軸方向に移動させて変倍を行なう。可変絞り装置は、回転筒の周方向への回転により光軸方向に移動する。可動部を回転させると、可動部と一体に又は連結して設けられている絞り制御部材が回転する。これにより、可変絞り装置の各絞り羽根が揺動して絞り口径が拡縮する。
【0003】
特許文献2記載のカメラの絞り装置は、撮影レンズの鏡枠に対し、回転可能に保持される絞り設定環と、鏡枠に対して回動し得るように保持され、一端が絞り機構に連結され、他端が鏡枠の端面付近に延出している絞り連動部材とを備え、絞り設定環には、絞り連動部材の他端と当接して撓ませる斜面部と、斜面部に隣り合う位置で、斜面部によって撓んだ絞り連動部材の他端と係合して絞り機構を絞り設定環に連結させる絞り連結用係合溝が形成されている。
【0004】
特許文献3記載のレンズ鏡筒は、複数枚の羽根部材と、羽根部材の一方の面から突出した軸をそれぞれ回動自在に支持する複数の支持部を有する支持環と、各羽根部材の他方の面から突出したフォロアにそれぞれ係合する複数の絞りカム部と、光軸に略平行するかたちで絞り連動レバーが連結されるレバー連結部とを有する駆動環とからなる虹彩絞り機構を有し、駆動環には、レバー連結部として絞り連動レバーを取り囲むように保持するレバー保持ボスが突設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5620861号公報
【特許文献2】実公昭61-39380号公報
【特許文献3】特開平11-287940号公報
【発明の概要】
【0006】
本開示の技術にかかる一つの実施形態は、絞り口径を確実に可変させ、且つ光軸方向における寸法を小さくして小型化を図ることが可能なレンズ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の技術に係る一つの態様のレンズ装置は、移動レンズ群と、絞り機構と、第1駆動機構と、第2駆動機構とを、備え、第2駆動機構の連動部は光軸方向の移動により、第1カム部材の内側に位置する第1位置と、第1カム部材の外側に位置する第2位置との間で移動可能である。移動レンズ群は、光軸方向に移動可能な少なくとも1つの移動レンズ群である。絞り機構は、絞り羽根を有する。第1駆動機構は、第1カム部材の回転に連動して移動レンズ群及び絞り機構を光軸方向に移動する。第2駆動機構は、絞り羽根を動作させる。
【0008】
絞り機構は、絞り羽根と、絞り羽根を動作させる第2カム部材と、第2カム部材に備えられた連結部材とを有し、第2駆動機構は、連動部を備えた絞り操作リングを有し、連動部は、絞り操作リングの回転と連動して回転することにより、連結部材を介して第2カム部材に回転を伝達し、絞り羽根を動作させることが好ましい。
【0009】
被写体側から順に、絞り機構、移動レンズ群、及び絞り操作リングが配置されたことが好ましい。
【0010】
第1カム部材は、第1カム溝を有し、第1カム溝は、移動レンズ群及び絞り機構の移動に作用する溝であることが好ましい。
【0011】
第1カム部材は、第1カム溝と第2カム溝を有し、第1カム溝は、絞り機構について移動に作用する溝であり、第2カム溝は、移動レンズ群について移動に作用する溝であり、
移動レンズ群を保持するレンズ群保持枠を有し、レンズ群保持枠は、連動部が貫通する穴部を有することが好ましい。
【0012】
絞り操作リングは、円環部と、連動部とを備え、連動部は、円環部から被写体側に突出する突出部を含むことが好ましい。
【0013】
突出部は、光軸方向に延在する摺動溝を備え、連結部材は、摺動溝と摺動する連結ピンを有することが好ましい。
【0014】
連結部材は、連結ピンの回りに設けられた摺動ローラを備え、連結ピンは、摺動ローラを介して摺動溝と摺動することが好ましい。
【0015】
連結部材は、光軸方向に延在する連結ピンを有し、突出部は、光軸方向の寸法が、連結ピンよりも短く、連結ピンと摺動する摺動溝を有することが好ましい。
【0016】
絞り機構は、複数の絞り羽根を揺動可能に支持する支持部材を有し、第2カム部材は、絞り操作リングから連動部及び連結部材を介して伝達された回転により、複数の絞り羽根を同期して揺動させることが好ましい。
【0017】
第2カム部材は、絞り羽根をガイドする複数のガイド部を有し、複数の絞り羽根は、円環状に配置され、ガイド部のガイドに従って揺動することにより絞り口径が可変することが好ましい。
【0018】
絞り機構、移動レンズ群、第1駆動機構、及び第2駆動機構を保持するレンズ鏡筒本体と、絞り操作リングに対して移動レンズ群とは反対側の位置で、レンズ鏡筒本体に着脱自在に装着され、固定レンズ群を保持するアクセサリー部材とを備えることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態のレンズ装置を備えるテレビカメラの概略図である。
【
図2】第1実施形態のレンズ装置の要部断面図である。
【
図3】絞り機構及び移動レンズ群の分解斜視図である。
【
図4】絞り羽根及びカム板の構成を示す背面側斜視図である。
【
図5】絞り羽根、支持部材、及びカム板の構成を示す正面側斜視図である。
【
図6】絞り羽根が揺動することにより、絞り口径が最大値の状態(A)と、絞り口径が最小値の状態(B)との間で可変することを示す説明図である。
【
図7】第1駆動機構、第2駆動機構、及び絞り機構を示す斜視図である。
【
図8】絞り機構及び絞り操作リングの構成を示す背面側斜視図である。
【
図9】カム板及び絞り操作リングの動作を説明する説明図であり、連動部が第1位置にある状態(A)と、第2位置にある状態(B)とを示す説明図である。
【
図10】絞り操作リングからカム板に回転が伝達される連動部周辺の構成を示す背面側斜視図である。
【
図11】本発明のレンズ装置の要部断面図であり、連動部が第1位置にある状態(A)と、第2位置にある状態(B)の要部断面図である。
【
図12】第2実施形態におけるカム板及び絞り操作リングの構成を示す背面側斜視図である。
【
図13】第2実施形態における絞り操作リングからカム板に回転が伝達される連動部周辺の構成を示す背面側斜視図である。
【
図14】第2実施形態のレンズ装置の要部断面図であり、連動部が第1位置にある状態(A)と、第2位置にある状態(B)の要部断面図である。
【
図15】第3実施形態におけるカム板及び絞り操作リングの構成を示す背面側斜視図である。
【
図16】第3実施形態における絞り操作リングからカム板に回転が伝達される連動部周辺の構成を示す背面側斜視図である。
【
図17】第4実施形態のレンズ装置の要部断面図である。
【
図18】第4実施形態の第1駆動機構、第2駆動機構、及び絞り機構を示す斜視図である。
【
図19】第4実施形態におけるカム板、レンズ群保持枠、及び絞り操作リングの構成を示す背面側斜視図である。
【
図20】第4実施形態のレンズ装置の要部断面図であり、連動部が第1位置にある状態(A)と、第2位置にある状態(B)の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
[テレビカメラの概略構成]
図1に示すように、テレビカメラ11は、レンズ装置12と、カメラ本体13とを備える。レンズ装置12は、カメラ本体13に着脱自在に取り付けられており、他のレンズ装置12との交換が可能になっている。テレビカメラ11は、本発明に係るレンズ装置を備える撮像装置の一例である。テレビカメラ11は、例えば、放送用又は業務用に用いられ、三脚等の架台14に設置して使用される。
【0021】
[レンズ装置の概略構成]
レンズ装置12は、レンズ群21~23と、レンズ群保持枠24~26と、絞り機構27と、第1駆動機構28と、絞り操作リング29と、レンズ鏡筒31とを備える。レンズ群21~23は、レンズ鏡筒31の内部に配置され、撮像レンズ32を構成する。なお、撮像レンズ32の構成は、これに限らず、レンズ群21~23以外のレンズ群を備える構成でもよい。レンズ群保持枠24~26は、レンズ群21~23をそれぞれ保持する。
【0022】
レンズ鏡筒31の後端部は、レンズ側マウント33が設けられている(
図2参照)。レンズ側マウント33は、カメラ本体13の本体側マウント34に着脱可能に装着される。これにより、撮像レンズ32が被写体光を集光し、カメラ本体13の内部に配置された撮像素子35に被写体像が結像される。カメラ本体13には、撮像素子35の他に、信号処理部36、カメラ本体制御部37等が設けられている。カメラ本体制御部37の制御により撮像素子35及び信号処理部36が動作する。これにより、撮像素子35に結像された被写体像が電気信号に変換され、撮像素子35で得られた電気信号が信号処理部36により所要の信号処理を施されて映像信号が生成される。信号処理部36により生成された映像信号は、テレビ放送等のために外部に出力され、又は記憶装置(図示せず)に記憶される。
【0023】
レンズ群22は、特許請求の範囲における移動レンズ群に相当する。レンズ群22は、例えば、変倍レンズ群である。レンズ群22及び絞り機構27は、後述するように、第1駆動機構28により、撮像レンズ32のZ方向に移動する。Z方向は、撮像レンズ32の光軸Lと平行な方向であり、特許請求の範囲における光軸方向に相当する。また、以下では、光軸Lを中心とする周方向をR方向とし、光軸Lと直交する径方向をY方向とする。絞り機構27は、後述する絞り羽根45を有し、絞り操作リング29により動作する。
【0024】
レンズ群21は、例えば、フォーカスレンズ群である。レンズ群21は、レンズ群保持枠24に保持され、レンズ鏡筒31の内部、且つ絞り機構27及びレンズ群22よりも被写体側に取り付けられている。レンズ群23は、レンズ群保持枠26に保持され、絞り機構27及びレンズ群22よりも像面側、具体的には、後述するエクステンダ装置43の内部に取り付けられている。なお、像面側とは、レンズ装置12がカメラ本体13と結合した場合に、撮像レンズ32に対して撮像素子35が位置する側である。
【0025】
図2に示すように、レンズ鏡筒31は、固定筒41と、カム筒42と、エクステンダ装置43とを備える。固定筒41及びカム筒42は、後述するように、レンズ鏡筒31の構成と第1駆動機構28の構成とを兼ねる。なお、レンズ鏡筒31の構成としてはこれに限らず、固定筒41、カム筒42、及びエクステンダ装置43以外の部品を備えてもよい。また、固定筒41は、特許請求の範囲におけるレンズ鏡筒本体に相当する。
【0026】
エクステンダ装置43は、レンズ群23及びレンズ群保持枠26を内部に保持するアクセサリー部材である。レンズ群23は、特許請求の範囲における固定レンズ群に相当する。エクステンダ装置43は、絞り操作リング29に対してレンズ群22とは反対側、すなわち像面側の位置で、固定筒41に対して着脱自在に装着される。また、エクステンダ装置43としては、固定レンズ群としてのレンズ群23及びレンズ群保持枠26を保持する構成に限らず、レンズ装置12の倍率を1倍と所定倍に切り替える切り替え機構を備える構成にしてもよい。
【0027】
[絞り機構の構成]
図3に示すように、絞り機構27は、レンズ群保持枠25を介してレンズ群22と一体に設けられている。絞り機構27は、複数の絞り羽根45と、支持部材46と、カム板47とを備える。複数の絞り羽根45は、すべて同じ形状である。各絞り羽根45は、同一円周上に一定の間隔をもって配置され、かつ、隣り合う絞り羽根45が互いに重なるように円環状に配置される。このように配置された絞り羽根45は、全体として遮光部48を形成する。なお、
図3では、絞り機構27が解放状態、すなわち、遮光部48の内径である絞り口径48Aが最大の状態を示している。また、
図3以降では、9つの絞り羽根45を有する例を示しているが、本発明はこれに限らず、2つ以上の絞り羽根45があればよい。
【0028】
図4に示すように、絞り羽根45は、全体として円弧形状を有し、軸部45Aと、カムピン45Bとを備える。軸部45A及びカムピン45Bは、一定の間隔を置いて配置されている。軸部45Aは、絞り羽根45における被写体側の面45C(
図5参照)から突出している。カムピン45Bは、絞り羽根45における像面側の面45D(
図4参照)から突出している。
【0029】
支持部材46は、遮光部48と同軸上、且つ遮光部48の被写体側に配置される。支持部材46は、受け板部46Aと、枠部46Bとを備える。枠部46Bは、円環状の枠体である。受け板部46Aは、枠部46Bの先端側すなわち被写体側を塞ぐ板状に形成されている。受け板部46Aは、開口部46Cを有している。開口部46Cは、絞り口径48Aが最大の状態よりも大きい内径に形成されている。
【0030】
受け板部46Aは、開口部46Cの周囲に、複数の軸受け部46Dを有する。軸受け部46Dは、絞り羽根45の軸部45Aの位置に合わせてそれぞれ設けられている。軸受け部46Dは、軸部45Aと嵌合する。これにより、支持部材46は、複数の絞り羽根45を揺動可能に支持する。絞り羽根45は、後述するカム溝47Aのガイドに従って軸部45Aを中心に揺動する。
【0031】
枠部46Bは、複数の雌ネジ部46Eが形成されている。雌ネジ部46Eは、枠部46Bの周長さをN(Nは2以上の自然数)等分、例えば3等分した各位置にそれぞれ配置されている。雌ネジ部46Eは、後述するカムフォロワ51と締結する。
【0032】
カム板47は、特許請求の範囲における第2カム部材に相当する。カム板47は、遮光部48と同軸上、且つ遮光部48の像面側に配置される。カム板47は、支持部材46の内部に配置される。具体的には、カム板47は、枠部46Bの内周面と回転可能に嵌合し、絞り操作リング29から回転が伝達され、絞り羽根45を動作させる。
【0033】
図5に示すように、カム板47は、複数のカム溝47Aを有する。カム溝47Aは、特許請求の範囲におけるガイド部に相当し、絞り羽根45と対面する位置、すなわち、カム板47における被写体側の面47Bに形成されている。カム溝47Aは、絞り羽根45のカムピン45Bとそれぞれ嵌合する。なお、
図5に示す例では、カム板47は、絞り羽根45と同じ数である9つのカム溝47Aを有する。カム板47が光軸Lを中心に回転すると、カム溝47Aがカムピン45Bをガイドする。カムピン45Bがカム溝47Aのガイドに従って移動すると、カム板47が絞り羽根45を揺動させる。複数の絞り羽根45は、カム板47の回転により同期して揺動することにより、絞り口径48Aが可変する。
【0034】
図6(A)に示すように、複数の絞り羽根45は、絞り口径48Aが最大値Dmaxの状態から、カム板47の回転により同期して揺動することにより、
図6(B)に示すように、絞り口径48Aが最小値Dminの状態となる。このように、カム板47の回転により、絞り口径48Aを拡縮させることができる。
【0035】
カム板47は、連結部材49が一体に設けられている(
図4参照)。連結部材49は、カム溝47Aとは反対側、すなわち、カム板47における像面側の面47Cから突出している。連結部材49は、連結ピン49Aを備える。連結ピン49Aは、連結部材49の像面側端部からY方向における外側に突出する(
図4参照)。連結部材49は、後述する連動部58から絞り操作リング29の回転が伝達されて絞り羽根45を動作させる。
【0036】
レンズ群保持枠25は、支持部材46と結合される。具体的には、レンズ群保持枠25の外径が、枠部46Bの内径に合わせて形成されており、レンズ群保持枠25は、支持部材46の内周面、且つカム板47の像面側の位置に固定される(
図2参照)。なお、レンズ群保持枠25は、円弧状の穴部25Aを有する(
図8参照)。連結部材49は、穴部25Aを貫通する。穴部25Aは、絞り操作リング29から回転が伝達された連結部材49が移動する場合、連結部材49の移動を妨げないように形成されている。
【0037】
[第1駆動機構の構成]
図7に示すように、第1駆動機構28は、固定筒41と、カム筒42と、複数のカムフォロワ51と、変倍操作リング52とを備える。固定筒41は、エクステンダ装置43、レンズ側マウント33、及び本体側マウント34を介してカメラ本体13に固定される。固定筒41は、カムフォロワ51が摺動する直進溝54を有する。固定筒41の外周面には、変倍操作リング52が回転可能に嵌合している。
【0038】
カムフォロワ51は、一端に雄ネジ部51Aが形成されている。カムフォロワ51は、支持部材46の外周に取り付けられる。具体的には、カムフォロワ51は、雄ネジ部51Aが雌ネジ部46Eに螺合することにより、支持部材46にネジ締結される。
【0039】
カム筒42は、複数の第1カム溝53が形成されている。第1カム溝53は、カム筒42においてR方向及びZ方向に延在している。第1カム溝53は、支持部材46の雌ネジ部46E、及びカムフォロワ51の位置に合わせており、例えば光軸Lを中心にして120°の等角度間隔で形成されている。また、カム筒42は、図示しない連結部を介して変倍操作リング52と連結している。変倍操作リング52が固定筒41に対して回転されることにより連動してカム筒42が回転する。
【0040】
固定筒41は、カムフォロワ51が摺動する直進溝54を有する。直進溝54は、固定筒41の内周面に配置され、Z方向に延在している。直進溝54は、第1カム溝53と同様に、雌ネジ部46E、及びカムフォロワ51の位置に合わせており、例えば光軸Lを中心にして120°の等角度間隔で形成されている。
【0041】
支持部材46に取り付けられたカムフォロワ51は、カム筒42の第1カム溝53を貫通して、固定筒41の直進溝54に挿入される。直進溝54は、R方向におけるカムフォロワ51の移動を規制し、Z方向の移動を許容する。これにより、レンズ群22及び絞り機構27は、レンズ鏡筒31の内部に保持され、且つZ方向に移動可能となっている。
【0042】
第1カム溝53は、レンズ群22及び絞り機構27のZ方向における移動に作用する溝である。具体的には、カム筒42が回転する場合、第1カム溝53がカムフォロワ51を押圧する。上述したように、カムフォロワ51は、直進溝54によりR方向の移動が規制されているため、第1カム溝53からの押圧によりZ方向に移動する。これにより、カムフォロワ51が取り付けられた絞り機構27と、絞り機構27と一体に設けられたレンズ群22とがZ方向に移動する。このように、第1駆動機構28は、カム筒42の回転に連動してレンズ群22及び絞り機構27がZ方向に移動することをガイドする。
【0043】
なお、カム筒42が回転する場合、カム筒42の回転に連動してZ方向に移動するレンズ群としては、レンズ群22だけではなく、レンズ群21の全部又は一部が移動してもよい。また、この場合、レンズ群21の全部又は一部は、カム筒42に設けられた第1カム溝53とは、異なるカム溝のガイドにより移動することが好ましい。
【0044】
[第2駆動機構の構成]
絞り操作リング29は、特許請求の範囲における第2駆動機構に相当する。
図8に示すように、絞り操作リング29は、円環部55と、突出部56とを備える。円環部55は、固定筒41の像面側端部に配置され、固定筒41の外周面に対して回転可能に嵌合している(
図2及び
図7参照)。すなわち、Z方向において、被写体側から順に、絞り機構27、レンズ群22、及び、絞り操作リング29が配置されている。
【0045】
突出部56は、円環部55と一体に設けられており、円環部55の回転と連動して回転する。突出部56は、連結部材49を介してカム板47に回転を伝達する。また、円環部55は、固定筒41とエクステンダ装置43(
図2参照)との間に位置しており、Z方向の移動が規制されている。
【0046】
図9(A)及び
図9(B)に示すように、突出部56は、円環部55から被写体側に突出する第1突出部56Aと、像面側に突出する第2突出部56Bとを備える。第1突出部56A及び第2突出部56Bは、Z方向に延在する摺動溝57を有する。摺動溝57は、連結部材49の連結ピン49Aと摺動する。摺動溝57は、Z方向における寸法が、レンズ群22がZ方向に移動するストロークに合わせた寸法となっている。
【0047】
図10に示すように、突出部56のうち、連結部材49に回転を伝達する部分が、特許請求の範囲における連動部に相当する。本実施形態では、突出部56のうち、連結ピン49Aと摺動する部分、すなわち摺動溝57の一部が連動部58である。なお、連動部58としてはこれに限らず、絞り操作リング29の回転をカム板47に伝達する構成であればよく、摺動溝57の一部に加えて連結ピン49Aまでを含めて連動部58としてもよい。
【0048】
絞り機構27は、上述したように、カム筒42の回転に連動してZ方向に移動する。すなわち、絞り機構27を構成するカム板47もZ方向に移動する。一方、絞り操作リング29は、Z方向の移動が規制されている。このため、カム板47がZ方向に移動した場合、カム板47と絞り操作リング29との相対位置が変化する。これに対して、カム板47の連結ピン49Aと、絞り操作リング29の摺動溝57とが摺動可能に設けられているため、カム板47がZ方向に移動しても、絞り操作リング29の回転をカム板47に伝達することができる。上述したように、カム板47が回転することにより絞り羽根45が動作して絞り口径48Aが可変する。
【0049】
図9(A)に示すように、カム板47の連結ピン49Aは、連動部58である摺動溝57の被写体側端部57Aと摺動する状態から、カム板47がZ方向に移動することにより、
図9(B)に示すように、連動部58である摺動溝57の像面側端部57Bと摺動する状態となる。このように、カム板47は、連結ピン49Aと摺動溝57とが摺動する範囲内で、Z方向に移動することができる。
【0050】
[第1駆動機構及び第2駆動機構の動作]
以下、本実施形態のレンズ装置12の作用について説明する。上述したように、変倍操作リング52が光軸Lを中心に回転操作された場合、変倍操作リング52と連結されたカム筒42が回転し、カム筒42の回転に連動してレンズ群22、及び絞り機構27がZ方向に移動する。
図11(A)に示すように、連動部58が第1位置にある場合(連動部58が
図9(A)に示す位置と同じ位置)、連動部58は、摺動溝57の被写体側端部57Aであり、この位置では、カム筒42の内側に位置する。なお、ここでいう内側とは、具体的には、Z方向及びY方向ともにカム筒42の内側に連動部58の全てが位置するという意味である。
【0051】
一方、
図11(B)に示すように、連動部58が第2位置にある場合(連動部58が
図9(B)に示す位置と同じ位置)、連動部58は、摺動溝57の像面側端部57Bであり、この位置では、カム筒42の外側に位置する。なお、ここでいう外側とは、具体的には、Y方向は問わず、Z方向においてカム筒42の外側に、連動部58の少なくとも一部が位置するという意味であり、本実施形態では、連動部58は、Y方向においてカム筒42の内側に位置し、Z方向においてカム筒42の外側に位置する。このように、連動部58は、レンズ群22及び絞り機構27のZ方向における移動により第1位置と、第2位置との間で移動可能である。そして、このように、第1位置及び第2位置の間で移動する連動部58が、絞り操作リング29の回転をカム板47に伝達し、絞り口径48Aを確実に可変させることができる。
【0052】
以上のように、本発明のレンズ装置12では、絞り操作リング29の回転を伝達する連動部58が、カム筒42の内側に位置する第1位置と、カム筒42の外側に位置する第2位置の間で移動する。これにより、レンズ鏡筒31のZ方向における寸法を小さくしつつ、レンズ群22を十分なストロークで動かすことができる。もし、仮に従来のレンズ装置のように、レンズ群をカム筒の内部だけで動かした場合、レンズ鏡筒全体の寸法が大きくなるが、本発明ではそのようなことがない。
【0053】
連動部58は、絞り操作リング29の回転と連動して回転することにより、連結部材49を介してカム板47に回転を伝達し、絞り羽根45を確実に動作させることができる。すなわち、絞り口径48Aを確実に可変させることができる。また、被写体側から順に、絞り機構27、レンズ群22、および絞り操作リング29が配置されているため、これらの部品が効率良く配置され、Z方向におけるレンズ鏡筒31の寸法をさらに小さくすることができる。また、カム筒42の第1カム溝53は、レンズ群22および絞り機構27のZ方向における移動に作用する溝であるから、Z方向におけるレンズ鏡筒31の寸法をさらに小さくすることができる。
【0054】
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、Y方向に突出する連結ピンを含む連結部材と、連結ピンと摺動する摺動部を有する連動部とを備える構成を例示しているが、本発明はこれに限らず、以下で説明する第2実施形態では、Z方向に延在する連結ピンを含む連結部材と、Z方向の寸法が連結ピンよりも短く、連結ピンと摺動する摺動溝を有する連動部とを備える構成とする。
【0055】
図12に示すように、本実施形態におけるカム板61は、連結部材62が一体に設けられている。カム板61は、特許請求の範囲における第2カム部材に相当する。カム板61について、連結部材62以外の構成は、上記第1実施形態におけるカム板47と同様の構成である。なお、カム板61及び絞り操作リング63以外の構成は、上記第1実施形態のレンズ装置12と同様の構成であり、以下では、同符号を用いて説明を省略する。
【0056】
カム板61は、上記第1実施形態におけるカム板47と同様に、遮光部48と同軸上、且つ遮光部48の像面側に配置される。カム板61は、上記第1実施形態におけるカム板47と同様に、カム溝47Aが形成されている。これにより、絞り操作リング63から回転が伝達された場合、カム溝47Aの作用により絞り羽根45を動作させる。
【0057】
連結部材62は、カム板61の像面側の面61AからY方向に突出する連結ピンを含む。
図12に示す例では、連結部材62の全てが連結ピンである。連結ピンである連結部材62は、Z方向における寸法が、レンズ群22がZ方向に移動するストロークに合わせた寸法となっている。
【0058】
絞り操作リング63は、特許請求の範囲における第2駆動機構に相当する。絞り操作リング63は、円環部65と、突出部66とを備える。円環部65は、固定筒41の像面側端部に配置され、固定筒41の外周面に対して回転可能に嵌合している。Z方向における絞り操作リング63の配置は、上記第1実施形態における絞り操作リング29の配置と同様であり、被写体側から順に、絞り機構27、レンズ群22、及び、絞り操作リング63が配置されている。
【0059】
突出部66は、円環部65から被写体側に突出する。突出部66は、円環部65と一体に設けられており、円環部65の回転と連動して回転する。突出部66は、Z方向の寸法が連結部材62よりも短い摺動溝67を有する。
図13に示すように、摺動溝67は、連結部材62と摺動する。これにより、連結部材62及び摺動溝67を介して絞り操作リング63の回転がカム板61に伝達される。なお、本実施形態では、連動部68は、絞り操作リング29の回転をカム板47に伝達する構成であり、連結部材62及び摺動溝67を含めて連動部68である。
【0060】
以下、本実施形態のレンズ装置の作用について説明する。変倍操作リング52が光軸Lを中心に回転操作された場合、変倍操作リング52と連結されたカム筒42が回転し、カム筒42の回転に連動してレンズ群22、及び絞り機構27がZ方向に移動する。
図14(A)に示すように、連動部68が第1位置にある場合、連動部68は、カム筒42の内側に位置する。なお、ここでいう内側とは、具体的には、Z方向及びY方向ともにカム筒42の内側に連動部68の全てが位置するという意味である。
【0061】
一方、
図14(B)に示すように、連動部68が第2位置にある場合、連動部68は、カム筒42の外側に位置する。なお、ここでいう外側とは、具体的には、Y方向は問わず、Z方向においてカム筒42の外側に、連動部68の少なくとも一部が位置するという意味である。本実施形態では、Y方向においてカム筒42の内側に連動部68が位置し、Z方向において、連動部68の少なくとも一部である連結部材62が位置する。このように、連動部68は、レンズ群22及び絞り機構27のZ方向における移動により第1位置と、第2位置との間で移動可能である。そして、このように、第1位置及び第2位置の間で移動する連動部68が、絞り操作リング63の回転をカム板47に伝達し、絞り口径48Aを確実に可変させることができる。
【0062】
以上のように、本実施形態のレンズ装置では、絞り操作リング63の回転を伝達する連動部68が、カム筒42の内側に位置する第1位置と、カム筒42の外側に位置する第2位置の間で移動する。これにより、レンズ鏡筒31のZ方向における寸法を小さくしつつ、レンズ群22を十分なストロークで動かすことができる。
【0063】
連動部68は、絞り操作リング63の回転と連動して回転することにより、連結部材62を介してカム板61に回転を伝達し、絞り羽根45を確実に動作させることができる。すなわち、絞り口径48Aを確実に可変させることができる。また、本実施形態のレンズ装置では、カム板61及び絞り操作リング63以外の構成は、上記第1実施形態と同様であることから、上記第1実施形態のレンズ装置12と同様の効果を得ることができる。
【0064】
[第3実施形態]
上記第1及び第2実施形態では、連結ピンを含む連結部材と、連結ピンと摺動する摺動部を有する連動部とを備え、連結ピンと摺動部とが直接的に摺動する構成を例示しているが、本発明はこれに限らず、以下で説明する第3実施形態では、連結部材として、連結ピンと、摺動ローラとを備え、連結ピンは、摺動ローラを介して摺動溝と摺動する構成とする。
【0065】
図15に示すように、本実施形態におけるカム板71は、連結部材72が一体に設けられている。カム板71は、特許請求の範囲における第2カム部材に相当する。カム板71について、連結部材72以外の構成は、上記第1実施形態におけるカム板47と同様の構成である。なお、カム板71及び絞り操作リング73以外の構成は、上記第1実施形態のレンズ装置12と同様の構成であり、以下では、同符号を用いて説明を省略する。
【0066】
カム板71は、上記第1実施形態におけるカム板47と同様に、遮光部48と同軸上、且つ遮光部48の像面側に配置される。カム板71は、上記第1実施形態におけるカム板47と同様に、カム溝47Aが形成されている。これにより、絞り操作リング73から回転が伝達された場合、カム溝47Aの作用により絞り羽根45を動作させる。
【0067】
連結部材72は、カム板71における像面側の面71Aから突出している。連結部材72は、連結ピン72Aと、摺動ローラ72Bとを備え、摺動ローラ72Bは、連結ピン72Aの回りに設けられている。連結ピン72Aは、連結部材72の像面側端部からY方向における外側に突出する。連結ピン72AのY方向における外側端部には、抜け止め部72Cが設けられており、摺動ローラ72BのY方向における移動を規制する。摺動ローラ72Bは、例えば、樹脂から形成される円筒状のローラ部材である。
【0068】
絞り操作リング73は、特許請求の範囲における第2駆動機構に相当する。絞り操作リング73は、円環部75と、突出部76とを備える。円環部75は、固定筒41の像面側端部に配置され、固定筒41の外周面に対して回転可能に嵌合している。Z方向における絞り操作リング73の配置は、上記第1実施形態における絞り操作リング29の配置と同様であり、被写体側から順に、絞り機構27、レンズ群22、及び、絞り操作リング73が配置されている。
【0069】
突出部76は、円環部75と一体に設けられており、円環部75の回転と連動して回転する。突出部76は、円環部75から被写体側に突出する第1突出部76Aと、像面側に突出する第2突出部76Bとを備える。第1突出部76A及び第2突出部76Bは、Z方向に延在する摺動溝77を有する。摺動溝77は、Z方向における寸法が、レンズ群22がZ方向に移動するストロークに合わせた寸法となっている。
【0070】
図16に示すように、カム板71の連結ピン72Aは、摺動ローラ72Bを介して摺動溝77と摺動する。このように摺動ローラ72Bを介することで、連結ピン72Aと摺動溝77との間にある隙間を小さくすることができる。すなわち、絞り操作リング73の回転を確実にカム板71に伝達し、絞り羽根45を動作させることができる。
【0071】
本実施形態における連動部78としては、突出部76のうち、摺動ローラ72Bと摺動する部分、すなわち摺動溝77の一部を含める。なお、連動部78としてはこれに限らず、摺動溝77の一部に加えて連結ピン72A、摺動ローラ72Bまでを含めて連動部78としてもよい。
【0072】
上述したように、本実施形態のレンズ装置の構成は、摺動ローラ72Bを備え、摺動ローラ72Bを介して連結ピン72Aが摺動溝77と摺動すること以外の構成は、上記第1実施形態のレンズ装置12と同様の構成である。よって、本実施形態のレンズ装置では、上記第1実施形態のレンズ装置12と同様に、絞り操作リング29の回転を伝達する連動部78が、カム筒42の内側に位置する第1位置と、カム筒42の外側に位置する第2位置の間で移動する。これにより、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0073】
[第4実施形態]
上記第1~第3実施形態では、第1カム部材としてのカム筒42は、第1カム溝53を有し、第1カム溝53が、レンズ群22および絞り機構27の移動に作用する構成を例示しているが、本発明はこれに限らず、以下で説明する第4実施形態では、第1カム部材は、第1カム溝と第2カム溝とを有し、第1カム溝は、絞り機構の移動に作用し、第2カム溝は、レンズ群の移動に作用する構成とする。
【0074】
図17に示すように、本実施形態のレンズ装置80は、レンズ群81~85と、レンズ群保持枠86~90と、絞り機構91と、第1駆動機構92と、絞り操作リング93と、レンズ鏡筒94とを備える。なお、上記第1実施形態におけるレンズ装置12と同様の部品等からなる場合は、同符号を付して説明を省略する。
【0075】
レンズ群81~85は、レンズ鏡筒94の内部に配置され、撮像レンズ95を構成する。なお、撮像レンズ95の構成は、これに限らず、レンズ群81~85以外のレンズ群を備える構成でもよい。レンズ群保持枠86~90は、レンズ群81~85をそれぞれ保持する。
【0076】
レンズ鏡筒94の後端部は、レンズ側マウント33が設けられている。レンズ群83は、特許請求の範囲における移動レンズ群に相当する。レンズ群83は、例えば、変倍レンズ群である。あるいは、レンズ群82、83を含めて変倍レンズ群としてもよい。レンズ群82、83及び絞り機構91は、後述するように、第1駆動機構92により、撮像レンズ95のZ方向に移動する。絞り機構91は、絞り羽根45を有し、絞り操作リング93により動作する。
【0077】
レンズ群81は、例えば、フォーカスレンズ群である。レンズ群81は、レンズ群保持枠86に保持され、レンズ鏡筒94の内部、且つレンズ群82、及び絞り機構91よりも被写体側に取り付けられている。レンズ群84は、固定レンズ群である。レンズ群84は、レンズ群保持枠89に保持され、絞り機構91及びレンズ群83よりも像面側、具体的には、絞り操作リング93の内部に取り付けられている。さらに、レンズ群85は、レンズ群保持枠90に保持され、レンズ群84よりも像面側、具体的には、エクステンダ装置43の内部に取り付けられている。
【0078】
レンズ鏡筒94は、固定筒101と、カム筒102と、エクステンダ装置43とを備える。固定筒101及びカム筒102は、レンズ鏡筒94の構成と第1駆動機構92の構成とを兼ねる。なお、レンズ鏡筒94の構成としてはこれに限らず、固定筒101、カム筒102、及びエクステンダ装置43以外の部品を備えてもよい。また、固定筒101は、特許請求の範囲におけるレンズ鏡筒本体に相当する。
【0079】
絞り機構91は、レンズ群保持枠87を介してレンズ群82と一体に設けられている。絞り機構91は、複数の絞り羽根45と、支持部材103(
図18参照)と、カム板104(
図19参照)とを備える。レンズ群保持枠87は、支持部材103の被写体側の位置に固定される。
【0080】
図18に示すように、支持部材103は、外周面に複数の雌ネジ部103Aが形成されている。雌ネジ部103Aは、後述するカムフォロワ111と締結する。支持部材103は、上記第1実施形態における支持部材46と同様に、絞り羽根45からなる遮光部48の被写体側に配置され、複数の絞り羽根45を揺動可能に支持する。
【0081】
図19に示すように、カム板104は、連結部材105が一体に設けられている。カム板104は、特許請求の範囲における第2カム部材に相当する。カム板104は、上記第2実施形態におけるカム板61と同様の構成である。なお、これに限らず、上記第1及び第3実施形態におけるカム板47、71と同様の構成でもよい。カム板104は、上記第1~第3実施形態におけるカム板47、61、71と同様に、遮光部48の像面側に配置され、支持部材103の内部に配置される。カム板104は、絞り操作リング93から回転が伝達され、絞り羽根45を動作させる。
【0082】
連結部材105は、上記第2実施形態における連結部材62と同様に、カム板104の像面側の面104AからY方向に突出する連結ピンを含む。
図17~
図20に示す例では、連結部材105の全てが連結ピンである。連結ピンである連結部材105は、Z方向における寸法が、絞り機構91がZ方向に移動するストロークに合わせた寸法となっている。
【0083】
絞り操作リング93は、特許請求の範囲における第2駆動機構に相当する。絞り操作リング93は、円環部106と、突出部107とを備える。円環部106は、固定筒101の像面側端部に配置され、固定筒101の外周面に対して回転可能に嵌合している。Z方向における絞り操作リング93の配置は、上記第1実施形態における絞り操作リング29の配置と同様であり、被写体側から順に、絞り機構91、レンズ群83、及び、絞り操作リング93が配置されている。
【0084】
図19に示すように、突出部107は、円環部106から被写体側に突出する。突出部107は、円環部106と一体に設けられており、円環部106の回転と連動して回転する。突出部107は、Z方向の寸法が連結部材105よりも短い摺動溝108を有する。摺動溝108は、連結部材105と摺動する。これにより、連結部材105及び摺動溝108を介して絞り操作リング93の回転がカム板104に伝達される。なお、本実施形態では、連動部は、絞り操作リング93の回転をカム板104に伝達する構成であり、連結部材105及び摺動溝108を含めて連動部109(
図20(A)及び
図20(B)参照)である。
【0085】
レンズ群83及びレンズ群保持枠88は、Z方向における位置が、絞り機構91と絞り操作リング93の間に位置する。このため、レンズ群保持枠88は、連結部材105が貫通する円弧状の穴部88Aを有する。穴部88Aは、絞り操作リング93から回転が伝達された連結部材105が移動する場合、連結部材105の移動を妨げないように形成されている。なお、レンズ群84を保持するレンズ群保持枠89にも、レンズ群保持枠88と同様に円弧状の穴部89A(
図17参照)を有している。レンズ群保持枠88は、支持部材103と同様に、複数の雌ネジ部88Bが形成されている。雌ネジ部88Bは、後述するカムフォロワ112と締結する。
【0086】
第1駆動機構92は、固定筒101と、カム筒102と、複数のカムフォロワ111と、複数のカムフォロワ112と、変倍操作リング52とを備える。固定筒101は、エクステンダ装置43、レンズ側マウント33、及び本体側マウント34を介してカメラ本体13に固定される。固定筒101は、カムフォロワ111、112が摺動する直進溝115を有する。固定筒101の外周面には、変倍操作リング52が回転可能に嵌合している。
【0087】
カムフォロワ111は、一端に雄ネジ部111Aが形成されている。カムフォロワ111は、支持部材103の外周に取り付けられる。具体的には、カムフォロワ111は、雄ネジ部111Aが雌ネジ部103Aに螺合することにより、支持部材103にネジ締結される。
【0088】
カム筒102は、複数の第1カム溝113、及び複数の第2カム溝114が形成されている。第1カム溝113は、カム筒102においてR方向及びZ方向に延在している。第1カム溝113は、支持部材103の雌ネジ部103A、及びカムフォロワ111の位置に合わせている。
【0089】
第2カム溝114は、第1カム溝113よりもZ方向における像面側に位置する。第2カム溝114は、カム筒102においてR方向及びZ方向に延在している。第2カム溝114は、レンズ群保持枠88の雌ネジ部88B、及びカムフォロワ112の位置に合わせている。また、カム筒102は、図示しない連結部を介して変倍操作リング52と連結している。変倍操作リング52が固定筒41に対して回転されることにより連動してカム筒102が回転する。
【0090】
固定筒101は、カムフォロワ111、112が摺動する直進溝115を有する。直進溝115は、固定筒101の内周面に配置され、Z方向に延在している。支持部材103に取り付けられたカムフォロワ111は、カム筒102の第1カム溝113を貫通して、固定筒101の直進溝115に挿入される。
【0091】
レンズ群保持枠88に取り付けられたカムフォロワ112は、カム筒102の第2カム溝114を貫通して、固定筒101の直進溝115に挿入される。直進溝115は、R方向におけるカムフォロワ111、112の移動を規制し、Z方向の移動を許容する。これにより、レンズ群82、絞り機構91、及びレンズ群83は、レンズ鏡筒94の内部に保持され、且つZ方向に移動可能となっている。
【0092】
第1カム溝113は、絞り機構91についてZ方向における移動に作用する溝である。具体的には、カム筒102が回転する場合、第1カム溝113がカムフォロワ111を押圧する。上述したように、カムフォロワ111は、直進溝115によりR方向の移動が規制されているため、第1カム溝113からの押圧によりZ方向に移動する。これにより、カムフォロワ111が取り付けられた絞り機構91と、絞り機構91と一体に設けられたレンズ群82とがZ方向に移動する。
【0093】
第2カム溝114は、レンズ群83についてZ方向における移動に作用する溝である。具体的には、カム筒102が回転する場合、第2カム溝114がカムフォロワ112を押圧する。上述したように、カムフォロワ112は、直進溝115によりR方向の移動が規制されているため、第2カム溝114からの押圧によりZ方向に移動する。これにより、カムフォロワ112が取り付けられ、レンズ群保持枠88に保持されたレンズ群82がZ方向に移動する。このように、第1駆動機構92は、カム筒102の回転に連動してレンズ群83及び絞り機構91がZ方向に移動することをそれぞれガイドする。
【0094】
なお、第1カム溝113及び第2カム溝114は、R方向及びZ方向における寸法が同じ場合、絞り機構91及びレンズ群82と、レンズ群83とを同じピッチ、すなわちカム筒102の回転量当たりの移動量が同じ分だけZ方向に移動させることができる。なお、これに限らず、第1カム溝113及び第2カム溝114は、R方向及びZ方向における寸法が異なってもよい。この場合、絞り機構91及びレンズ群82と、レンズ群83とを異なるピッチ、すなわち回転量当たりの移動量が異なるようにZ方向に移動させることができる。
【0095】
以下、本実施形態のレンズ装置80の作用について説明する。変倍操作リング52が光軸Lを中心に回転操作された場合、変倍操作リング52と連結されたカム筒102が回転し、カム筒102の回転に連動してレンズ群82、絞り機構91、及びレンズ群83がZ方向に移動する。
図20(A)に示すように、連動部109が第1位置にある場合、連動部109は、カム筒102の内側に位置する。なお、ここでいう内側とは、具体的には、Z方向及びY方向ともにカム筒102の内側に連動部109の全てが位置するという意味である。
【0096】
一方、
図20(B)に示すように、連動部109が第2位置にある場合、連動部109は、カム筒102の外側に位置する。なお、ここでいう外側とは、具体的には、Y方向は問わず、Z方向においてカム筒102の外側に、連動部109の少なくとも一部が位置するという意味である。本実施形態では、Y方向においてカム筒102の内側に連動部109が位置し、Z方向において、連動部109の少なくとも一部である連結部材105が位置する。このように、連動部109は、第1位置と、第2位置との間で移動可能である。そして、第1位置及び第2位置の間で移動する連動部109が、絞り操作リング93の回転をカム板104に伝達し、絞り口径48Aを確実に可変させることができる。これにより、レンズ鏡筒94のZ方向における寸法を小さくしつつ、絞り機構91、及びレンズ群83を十分なストロークで動かすことができる。以上のように、本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0097】
本発明は、上記各実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、上記各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0098】
なお、本発明は、テレビカメラに限らず、レンズ装置を備える構成であればよく、デジタルカメラ、携帯電話機、スマートフォン等の撮像装置に適用可能である。また、撮像装置に限らず、プロジェクタ等の表示装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0099】
11 テレビカメラ
12 レンズ装置
13 カメラ本体
14 架台
21~23 レンズ群
24~26 レンズ群保持枠
25A 開口部
27 絞り機構
28 第1駆動機構
29 絞り操作リング
31 レンズ鏡筒
32 撮像レンズ
33 レンズ側マウント
34 本体側マウント
35 撮像素子
36 信号処理部
37 カメラ本体制御部
41 固定筒
42 カム筒
43 エクステンダ装置
45 絞り羽根
45A 軸部
45B カムピン
45C 被写体側の面
45D 像面側の面
46 支持部材
46A 受け板部
46B 枠部
46C 開口部
46D 軸受け部
46E 雌ネジ部
47、61、71 カム板
47A カム溝
47B 被写体側の面
47C 像面側の面
48 遮光部
48A 絞り口径
49 連結部材
49A 連結ピン
51 カムフォロワ
51A 雄ネジ部
52 変倍操作リング
53 第1カム溝
54 直進溝
55 円環部
56 突出部
56A 第1突出部
56B 第2突出部
57 摺動溝
57A 被写体側端部
57B 像面側端部
58 連動部
61A 像面側の面
62 連結部材
63 絞り操作リング
65 円環部
66 突出部
67 摺動溝
68 連動部
71A 像面側の面
72 連結部材
72A 連結ピン
72B 摺動ローラ
72C 抜け止め部
73 絞り操作リング
75 円環部
76 突出部
76A 第1突出部
76B 第2突出部
77 摺動溝
78 連動部
80 レンズ装置
81~85 レンズ群
82、83 レンズ群
86~90 レンズ群保持枠
88A 穴部
88B 雌ネジ部
89A 同様に円弧状の穴部
91 絞り機構
92 第1駆動機構
93 絞り操作リング
94 レンズ鏡筒
95 撮像レンズ
101 固定筒
102 カム筒
103 支持部材
103A 雌ネジ部
104 カム板
104A 像面側の面
105 連結部材
106 円環部
107 突出部
108 摺動溝
109 連動部
111、112 カムフォロワ
111A、112A 雄ネジ部
113 第1カム溝
114 第2カム溝
115 直進溝
Dmax 最大値
Dmin 最小値
L 光軸