(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141688
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】印刷物
(51)【国際特許分類】
B41M 3/14 20060101AFI20241003BHJP
B41M 3/06 20060101ALI20241003BHJP
B42D 25/337 20140101ALI20241003BHJP
B42D 25/324 20140101ALI20241003BHJP
【FI】
B41M3/14
B41M3/06 Z
B42D25/337
B42D25/324
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053477
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】303017679
【氏名又は名称】独立行政法人 国立印刷局
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 紀子
(72)【発明者】
【氏名】松本 祥伸
【テーマコード(参考)】
2C005
2H113
【Fターム(参考)】
2C005HB02
2C005HB07
2C005HB10
2H113AA06
2H113BA01
2H113BA03
2H113BA05
2H113BB02
2H113BB07
2H113BB22
2H113CA39
(57)【要約】
【課題】インキのあふれやにじみをなくし、模様としての視認性の低下を防止することができる印刷物を提供する。
【解決手段】本発明の印刷物は、基材1の表面の少なくとも一部に、複数の画線10によって形成される模様2が印刷される印刷物であって、模様2を形成する画線10として、所定の画線幅で所定長さを有する第1画線11と第2画線12とを有し、第1画線11の第1画線方向X1と第2画線12の第2画線方向X2とが異なり、第1画線11と第2画線12とは、模様2としての接続点3を有し、接続点3にインキにじみ防止部4を形成したことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面の少なくとも一部に、複数の画線によって形成される模様が印刷される印刷物であって、
前記模様を形成する前記画線として、所定の画線幅で所定の長さを有する第1画線と第2画線とを有し、
前記第1画線の第1画線方向と前記第2画線の第2画線方向とが異なり、
前記第1画線と前記第2画線とは、前記模様としての接続点を有し、
前記接続点にインキにじみ防止部を形成した
ことを特徴とする印刷物。
【請求項2】
前記第1画線と前記第2画線が交差することで前記接続点が形成され、
前記第1画線又は前記第2画線の一部を間引くことで、前記インキにじみ防止部を形成した
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷物。
【請求項3】
前記第1画線の端部を前記第2画線に接続することで前記接続点が形成され、
前記第1画線の前記端部を間引くことで、前記インキにじみ防止部を形成した
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷物。
【請求項4】
前記第1画線を第1画線幅D1、前記第2画線を第2画線幅D2、前記インキにじみ防止部の形成範囲を直径D3の仮想円とすると、
前記仮想円の前記直径D3を前記第1画線幅D1以上、又は前記仮想円の前記直径D3を前記第2画線幅D2以上とした
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷物。
【請求項5】
前記第2画線が前記第1画線よりも印刷方向前方に位置する場合には、
前記第1画線の前記印刷方向前方に前記インキにじみ防止部を形成し、
前記仮想円の前記直径D3を前記第1画線幅D1以上とした
ことを特徴とする請求項4に記載の印刷物。
【請求項6】
前記接続点において、前記第1画線と前記第2画線とが90度未満の角度で接続される場合には、90度未満の前記角度となる前記第1画線と前記第2画線との前記接続点を円弧状とすることで、前記インキにじみ防止部を形成した
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行券、株券、有価証券、通行券、パスポート、カード等の印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
銀行券、株券、有価証券、通行券、パスポート、カード等の印刷物では、偽造や改ざん防止策は重要である。
偽造や改ざん防止策の一つとして、幾何学模様を多様化した図柄をデザインに用いる方法があり、代表的な例として、
図5に示すような、証券印刷物等のデザインに広く用いられる地紋(
図5(a))、彩紋模様(
図5(b))及びレリーフ模様(
図5(c))等があり、これらを組み合わせて印刷物の図柄を形成している。
しかし、これらの模様は複数の画線から形成されていることから、画線同士が接する箇所で印刷インキのあふれ・にじみが生じると画線間の間隙がつぶれてしまい、視認性が悪くなってしまう。
同様の課題を解決する先行技術として、文字のつぶれを防止するために画線を細くする技術がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のように画線を細くするだけでは、地紋、彩紋模様、及びレリーフ模様では、画線同士が接する箇所で印刷インキのあふれ・にじみが生じてしまう。
【0005】
本発明は、インキのあふれやにじみをなくし、模様としての視認性の低下を防止することができる印刷物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の印刷物は、基材1の表面の少なくとも一部に、複数の画線10によって形成される模様2が印刷される印刷物であって、前記模様2を形成する前記画線10として、所定の画線幅で所定長さを有する第1画線11と第2画線12とを有し、前記第1画線11の第1画線方向X1と前記第2画線12の第2画線方向X2とが異なり、前記第1画線11と前記第2画線12とは、前記模様2としての接続点3を有し、前記接続点3にインキにじみ防止部4を形成したことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の印刷物において、前記第1画線11又は前記第2画線12の一部を間引くことで、前記インキにじみ防止部4を形成したことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3記載の本発明は、請求項2に記載の印刷物において、前記第1画線11の端部を前記第2画線12に接続することで前記接続点3が形成され、前記第1画線11の前記端部を間引くことで、前記インキにじみ防止部4を形成したことを特徴とする。
【0009】
また、請求項4記載の本発明は、請求項1に記載の印刷物において、前記第1画線11を第1画線幅D1、前記第2画線12を第2画線幅D2、前記インキにじみ防止部4の形成範囲を直径D3の仮想円とすると、前記仮想円の前記直径D3を前記第1画線幅D1以上、又は前記仮想円の前記直径D3を前記第2画線幅D2以上としたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項5記載の本発明は、請求項4に記載の印刷物において、前記第2画線12が前記第1画線11よりも印刷方向前方YFに位置する場合には、前記第1画線11の前記印刷方向前方YFに前記インキにじみ防止部4を形成し、前記仮想円の前記直径D3を前記第1画線幅D1以上としたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項6記載の本発明は、請求項1に記載の印刷物において、前記接続点3において、前記第1画線11と前記第2画線12とが90度未満の角度で接続される場合には、90度未満の前記角度となる前記第1画線11と前記第2画線12との前記接続点3を円弧状とすることで、前記インキにじみ防止部4を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の印刷物によれば、模様としての接続点にインキにじみ防止部を形成することで、インキのあふれやにじみをなくし、模様としての視認性の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】本発明の他の実施例による印刷物を示す概念図
【
図3】本発明の更に他の実施例による印刷物を示す概念図
【
図4】印刷方向とインキにじみ防止部との関係を説明する概念図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施の形態による印刷物は、模様を形成する画線として、所定の画線幅で所定長さを有する第1画線と第2画線とを有し、第1画線の第1画線方向と第2画線の第2画線方向とが異なり、第1画線と第2画線とは、模様としての接続点を有し、接続点にインキにじみ防止部を形成したものである。本実施の形態によれば、模様としての接続点にインキにじみ防止部を形成することで、インキのあふれやにじみをなくし、模様としての視認性の低下を防止することができる。
【0015】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態における印刷物であって、第1画線又は第2画線の一部を間引くことで、インキにじみ防止部を形成したものである。本実施の形態によれば、第1画線又は第2画線の一部を間引くことで、接続点でのインキのあふれやにじみをなくすことができる。
【0016】
本発明の第3の実施の形態は、第2の実施の形態における印刷物であって、第1画線の端部を第2画線に接続することで接続点が形成され、第1画線の端部を間引くことで、インキにじみ防止部を形成したものである。本実施の形態によれば、第1画線の端部を間引くことで、接続点でのインキのあふれやにじみをなくすことができる。
【0017】
本発明の第4の実施の形態は、第1の実施の形態における印刷物であって、第1画線を第1画線幅D1、第2画線を第2画線幅D2、インキにじみ防止部の形成範囲を直径D3の仮想円とすると、仮想円の直径D3を第1画線幅D1以上、又は仮想円の直径D3を第2画線幅D2以上としたものである。本実施の形態によれば、インキにじみ防止部の形成範囲を直径D3の仮想円とし、この仮想円の直径D3を第1画線幅D1以上、又は仮想円の直径D3を第2画線幅D2以上とすることで、接続点でのインキのあふれやにじみをなくすことができる。
【0018】
本発明の第5の実施の形態は、第4の実施の形態における印刷物であって、第2画線が第1画線よりも印刷方向前方に位置する場合には、第1画線の印刷方向前方にインキにじみ防止部を形成し、仮想円の直径D3を第1画線幅D1以上としたものである。本実施の形態によれば、繰り返し印刷によりインキの残渣が蓄積されやすい印刷方向前方に、仮想円の直径D3を第1画線幅D1以上とするインキにじみ防止部を形成することで、接続点でのインキのあふれやにじみをなくすことができる。
【0019】
本発明の第6の実施の形態は、第1の実施の形態における印刷物であって、接続点において、第1画線と第2画線とが90度未満の角度で接続される場合には、90度未満の角度となる第1画線と第2画線との接続点を円弧状とすることで、インキにじみ防止部を形成したものである。本実施の形態によれば、円弧状とするインキにじみ防止部を形成することで、繰り返し印刷によるインキの残渣を蓄積しにくくし、インキの残渣が蓄積されても、インキの残渣による影響を受けにくくすることができる。
【実施例0020】
本発明の一実施例による印刷物を説明する。
図1は本発明の一実施例による印刷物を示す概念図であり、
図1(a)は本実施例の印刷物を示す平面図、
図1(b)は模様としての接続点を示す同印刷物の要部平面図、
図1(c)は同印刷物の模様2としての接続点3に形成したインキにじみ防止部4を示す同印刷物の要部平面図、
図1(d)は
図1(c)に示す接続点3におけるインキにじみ防止部4の拡大図である。
【0021】
本実施例の印刷物は、例えば、紙幣、パスポート、又は身分証明書等の印刷物、又はキャッシュカード等のカードであり、基材1には紙やプラスチックが用いられる。
図1(a)に示すように、本実施例の印刷物は、基材1の表面の少なくとも一部に模様2が印刷される。
【0022】
図1(b)に示すように、模様2は複数の画線10によって形成され、画線10は模様2としての接続点3を有している。なお、
図1(b)では、複数の接続点3を有しているが、代表例として1つだけを接続点3として表示している。
【0023】
そして、
図1(c)に示すように、接続点3にはインキにじみ防止部4を形成している。
【0024】
図1(d)を用いて、以下にインキにじみ防止部4について説明する。
【0025】
図1(d)では、模様2を形成する画線10として、所定の第1画線幅D1で所定長さを有する第1画線11と、所定の第2画線幅D2で所定長さを有する第2画線12とを示している。第1画線11の第1画線方向X1と第2画線12の第2画線方向X2とは異なる。
【0026】
第1画線11の端部を第2画線12に接続することで、
図1(b)に示す、模様2としての接続点3が形成されている。
【0027】
インキにじみ防止部4は、第1画線11の端部を間引くことで形成している。すなわち、第1画線11の一部を間引くことでインキにじみ防止部4を形成している。
【0028】
なお、本発明における「間引く」とは上述のように、本来形成される画線の一部を除去することをいう。
【0029】
インキにじみ防止部4の形成範囲は、直径D3の仮想円内としている。本実施例では、300μm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは60μm以下の画線幅の画線10によって形成される模様2を対象としており、このような微細な画線幅の画線10を対象とする場合には、仮想円の直径D3は第1画線幅D1以上とすることが好ましい。
【0030】
図1(d)に示すように、第2画線12が第1画線11よりも印刷方向前方YFに位置する場合には、第1画線11の印刷方向前方YFにインキにじみ防止部4を形成する。
【0031】
本発明の他の実施例による印刷物を説明する。
【0032】
図2は本発明の他の実施例による印刷物を示す概念図であり、
図2(a)は本実施例の印刷物を示す平面図、
図2(b)は模様2としての接続点3を示す同印刷物の要部平面図、
図2(c)は同印刷物の模様2としての接続点3に形成したインキにじみ防止部4を示す同印刷物の要部平面図、
図2(d)は
図2(c)に示す接続点3におけるインキにじみ防止部4の拡大図である。
【0033】
本実施例の印刷物は、例えば、紙幣、パスポート、又は身分証明書等の印刷物、又はキャッシュカード等のカードであり、基材1には紙やプラスチックが用いられる。
【0034】
図2(a)に示すように、本実施例の印刷物は、基材1の表面の少なくとも一部に模様2が印刷される。
【0035】
図2(b)に示すように、模様2は複数の画線10によって形成され、画線10は模様2としての接続点3を有している。なお、
図2(b)では、複数の接続点3を有しているが、代表例として1つだけを接続点3として表示している。
【0036】
そして、
図2(c)に示すように、接続点3にはインキにじみ防止部4を形成している。
【0037】
図2(d)を用いて、以下にインキにじみ防止部4について説明する。
【0038】
図2(d)では、模様2を形成する画線10として、所定の第1画線幅D1で所定長さを有する第1画線11と、所定の第2画線幅D2で所定長さを有する第2画線12とを示している。第1画線11の第1画線方向X1と第2画線12の第2画線方向X2とは異なる。
【0039】
第1画線11の端部を第2画線12に接続することで、
図2(b)に示す、模様2としての接続点3が形成されている。
【0040】
インキにじみ防止部4は、第1画線11の端部を間引くことで形成している。すなわち、第1画線11の一部を間引くことでインキにじみ防止部4を形成している。
【0041】
インキにじみ防止部4の形成範囲は、直径D3の仮想円内としている。本実施例では、300μm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは60μm以下の画線幅の画線10によって形成される模様2を対象としており、このような微細な画線幅の画線10を対象とする場合には、仮想円の直径D3は第1画線幅D1以上とするとともに第2画線幅D2以上としている。
【0042】
図2(d)に示すように、第2画線12が第1画線11よりも印刷方向前方YFに位置する場合には、第1画線11の印刷方向前方YFにインキにじみ防止部4を形成する。
【0043】
本発明の他の実施例による印刷物を説明する。
【0044】
図3は本発明の他の実施例による印刷物を示す概念図であり、
図3(a)は本実施例の印刷物を示す平面図、
図3(b)は模様2としての接続点3を示す同印刷物の要部平面図、
図3(c)は同印刷物の模様2としての接続点3に形成したインキにじみ防止部4を示す同印刷物の要部平面図、
図3(d)は
図3(c)に示す接続点3におけるインキにじみ防止部4の拡大図である。
【0045】
本実施例の印刷物は、例えば、紙幣、パスポート、又は身分証明書等の印刷物及びキャッシュカード等のカードであり、基材1には紙やプラスチックが用いられる。
【0046】
図3(a)に示すように、本実施例の印刷物は、基材1の表面の少なくとも一部に模様2が印刷される。
【0047】
図3(b)に示すように、模様2は複数の画線10によって形成され、画線10は模様2としての接続点3を有している。なお、
図3(b)では、複数の接続点3を有しているが、代表例として1つだけを接続点3として表示している。
【0048】
そして、
図3(c)に示すように、接続点3にはインキにじみ防止部4を形成している。
【0049】
図3(d)を用いて、以下にインキにじみ防止部4について説明する。
【0050】
図3(d)では、模様2を形成する画線10として、所定の第1画線幅D1で所定長さを有する第1画線11と、所定の第2画線幅D2で所定長さを有する第2画線12とを示している。第1画線11の第1画線方向X1と第2画線12の第2画線方向X2とは異なる。
【0051】
第1画線11の端部を第2画線12に接続することで、
図3(b)に示す、模様2としての接続点3が形成されている。
【0052】
接続点3において、第1画線11と第2画線12とが90度未満の角度で接続される場合には、インキにじみ防止部4は、90度未満の角度となる第1画線11と第2画線12との接続点3を円弧状とすることで形成する。
【0053】
インキにじみ防止部4は、直径D3の仮想円に沿った円弧状としている。仮想円の直径D3は、あらかじめ所定値に設定しておく。そして、接続点3において、第1画線11と第2画線12とが90度未満の角度で接続される場合には、直径D3の仮想円に沿った円弧状を形成するように画線10に丸みを付加する。本実施例では、300μm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは60μm以下の画線幅の画線10によって形成される模様2を対象としており、このような微細な画線幅の画線10を対象とする場合には、仮想円の直径D3は第1画線幅D1以上又は第2画線幅D2以上とすることが好ましい。
【0054】
図4は印刷方向とインキにじみ防止部との関係を説明する概念図であり、
図4(a)は印刷方向を示す概念図、
図4(b)は模様2としての接続点3を示す概念図、
図2(c)は接続点3に形成するインキにじみ防止部4を示す概念図、
図4(d)は
図4(c)とは異なるインキにじみ防止部4を示す概念図である。
【0055】
図4(a)に示すように、本実施例の印刷物は、凸版印刷、凹版印刷、又は平版印刷のように、基材1が版胴21と圧胴22との間を移動することで印刷される。図示のように、基材1が左方向に移動する場合には、印刷方向Yは左方向である。
【0056】
図4(b)に示すように、模様2を形成する画線10として、所定の第1画線幅D1で所定長さを有する第1画線11と、所定の第2画線幅D2で所定長さを有する第2画線12とがあり、第1画線11と第2画線12とは、模様2としての接続点3を有している。
【0057】
第1画線11の端部を第2画線12に接続することで、
図4(b)に示す、模様2としての接続点3が形成されている。
【0058】
第1画線11の第1画線方向X1は印刷方向Yであり、第2画線12の第2画線方向X2は印刷方向Yに垂直な方向である。
【0059】
図4(c)又は
図4(d)に示すように、接続点3にはインキにじみ防止部4を形成している。インキにじみ防止部4は、第2画線12が第1画線11よりも印刷方向前方YFに位置するため、第1画線11の印刷方向前方YFに形成する。
【0060】
図4(c)では、インキにじみ防止部4は、第1画線11の端部を間引くことで形成している。すなわち、第1画線11の一部を間引くことでインキにじみ防止部4を形成している。
【0061】
図4(d)では、インキにじみ防止部4は、第2画線12の一部を間引くことでインキにじみ防止部4を形成している。
【0062】
インキにじみ防止部4の形成範囲は、直径D3の仮想円内としている。本実施例では、300μm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは60μm以下の画線幅の画線10によって形成される模様2を対象としており、このような微細な画線幅の画線10を対象とする場合には、仮想円の直径D3は第1画線幅D1以上とするとともに第2画線幅D2以上とすることが好ましい。
【0063】
なお、本実施例では、第1画線11及び第2画線12は、同一画線幅で図示しているが、一部について異なる画線幅としてもよい。
【0064】
また、画線10は、サイン波、三角波、鋸波、矩形波等の波線や、円形状、多角形状、文字形状であっても線状に構成したものであってもよい。
【0065】
以上のように本実施例によれば、模様2としての接続点3にインキにじみ防止部4を形成することで、インキのあふれやにじみをなくし、模様2としての視認性の低下を防止することができる。
【0066】
また、本実施例によれば、インキにじみ防止部4を、第1画線11又は第2画線12の一部を間引くことで、接続点3でのインキのあふれやにじみをなくすことができる。
【0067】
また、本実施例によれば、第1画線11の端部を間引いてインキにじみ防止部4を形成することで、接続点3でのインキのあふれやにじみをなくすことができる。
【0068】
また、本実施例によれば、インキにじみ防止部4の形成範囲を直径D3の仮想円とし、この仮想円の直径D3を第1画線幅D1以上、又は仮想円の直径D3を第2画線幅D2以上とすることで、接続点3でのインキのあふれやにじみをなくすことができる。
【0069】
また、本実施例によれば、繰り返し印刷によりインキの残渣が蓄積されやすい印刷方向前方YFに、仮想円の直径D3を第1画線幅D1以上とするインキにじみ防止部4を形成することで、接続点3でのインキのあふれやにじみをなくすことができる。
【0070】
また、本実施例によれば、円弧状とするインキにじみ防止部4を形成することで、繰り返し印刷によるインキの残渣を蓄積しにくくし、インキの残渣が蓄積されても、インキの残渣による影響を受けにくくすることができる。