(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141821
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】物品搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/30 20060101AFI20241003BHJP
B65G 47/68 20060101ALI20241003BHJP
B65G 47/71 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B65G47/30 L
B65G47/68 Z
B65G47/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053665
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000226976
【氏名又は名称】日清食品ホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岡嶋 邦彦
【テーマコード(参考)】
3F070
3F081
【Fターム(参考)】
3F070AA06
3F070AA07
3F070AA12
3F070BC01
3F070BD01
3F070BD05
3F070EB01
3F070EB07
3F081AA47
3F081BC01
3F081BD01
3F081BD17
3F081BD24
3F081BF11
3F081CC00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数の物品群を並列に搬送する複数の搬送路を有する上流側の搬送路と、当該上流側の搬送路と交差する複数の搬送路を有するタイプにおいて、上流側から並列に搬送されてくる物品群の数が下流側の搬送路の数よりも大きく、かつその整数倍ではない場合に、これらの上流側から搬送される物品群を下流側の搬送路に均一な個数として搬送可能な搬送装置を開発する。
【解決手段】上流側の搬送路1から搬送されてくる物品群について下流側の搬送路11に対して供給する物品Mの個数を一定間隔で変動させて振り分けることによって、上流側から搬送される物品群について、下流側の搬送路に供給する個数を均一として供給可能な物品搬送装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品群を並列に搬送する複数の搬送路を有する上流側の搬送路と、当該上流側の搬送路と交差する複数の搬送路を有する下流側の搬送路とを備え、
前記上流側の並列に搬送される物品群の個数が下流側の搬送路の数よりも大きく、かつその整数倍ではない場合において、
前記上流側の搬送路から搬送されてくる物品群について下流側の搬送路に対して供給する個数を一定間隔で変動させて振り分けることによって、上流側から搬送される物品群を下流側の搬送路に供給する個数を均一として供給可能な物品搬送装置。
【請求項2】
前記上流側の搬送路が複数の物品群を同時に搬送する搬送路である請求項1に記載の物品振分搬送装置。
【請求項3】
前記下流側の搬送路に対する供給個数の一定間隔での変動が、異なる下流搬送路に交差するように設置され、かつ、隣接する上流搬送路の境界に面する物品を、当該物品が搬送される下流搬送路とは異なる下流搬送路に移載することによって行われる請求項1又は2に記載の物品搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等の製造ラインにおいて利用される物品搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品等の物品を大量生産する場合、当該物品をコンベアにより順次搬送することが必要になる。また、単位時間当たりの製造個数を向上させるために複数個の食品等の物品を同時に並列に搬送することも多い。
一方、食品等の物品の製造ラインにおいては、当該食品に対して所定の処理(加熱、冷却、焼成、加湿、加温、乾燥、蒸煮等)を施すために別工程に移行する必要がある場合がある。
【0003】
このような場合において、上流側の並列に搬送されてくる複数の食品を同時に所定の処理することが、処理能力の関係等から困難な場合があり、上流搬送路と交差する下流側の搬送路に所定個数ごとに振り分けて搬送することが必要な場合も生じていた。
ここで、上流側から搬送される物品群を下流側の搬送路に振り分けて供給する個数を均一にしようとした場合、並列に搬送されてくる物品群の個数が、振り分ける搬送路の数の整数倍であれば、振分けに困難性はそれほど生じない。
【0004】
しかし、並列に搬送されてくる物品群の個数が、振り分ける搬送路の数の整数倍でない場合、その振分けが困難となる。
このようなコンベアにおける物品の振り分けについては例えば、以下の特許文献1に示すような技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【0006】
一方、上記の先行技術は一列(直列に)連続的に供給されてくる物品群の振分に関する技術であって、複数の並列に搬送されてくる物品群を振り分けるタイプのものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明者らは、複数の物品群を並列に搬送する複数の搬送路を有する上流側の搬送路と、当該上流側の搬送路と交差する複数の搬送路を有するタイプにおいて、上流側から並列に搬送されてくる物品群の数が下流側の搬送路の数よりも大きく、かつその整数倍ではない場合に、これらの上流側から搬送される物品群を下流側の搬送路に均一な個数として搬送可能な形態について検討し、これを解決する方法を検討した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らの鋭意研究の結果、複数の物品群を並列に搬送する(隣接した)複数の搬送路を有する上流側の搬送路と、当該上流側の搬送路と交差する複数の搬送路を有する下流側の搬送路とを備え、
前記上流側の並列に搬送される物品群の個数が下流側の搬送路の数よりも大きく、かつその整数倍ではない場合において、
前記上流側の搬送路から並列に搬送されてくる物品群について下流側の搬送路に対して供給する個数を一定間隔で変動させて振り分けることによって、上流側から搬送される物品群を下流側の搬送路に供給する個数を均一として供給可能とすることができることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本願第一の発明は、
“ 複数の物品群を並列に搬送する複数の搬送路を有する上流側の搬送路と、当該上流側の搬送路と交差する複数の搬送路を有する下流側の搬送路とを備え、
前記上流側の並列に搬送される物品群の個数が下流側の搬送路の数よりも大きく、かつその整数倍ではない場合において、
前記上流側の搬送路から搬送されてくる物品群について下流側の搬送路に対して供給する個数を一定間隔で変動させて振り分けることによって、上流側から搬送される物品群を下流側の搬送路に供給する個数を均一として供給可能な物品搬送装置。 “、である。
【0010】
次に、本発明は、前記上流側の搬送路において、複数の物品群を同時に搬送する場合において好適に利用することができる。
すなわち、本願第二の発明は、
“前記上流側の搬送路が複数の物品群を同時に搬送する搬送路である請求項1に記載の物品振分搬送装置。”、である。
【0011】
次に、本発明において、前記下流側の搬送路に対する供給個数を一定間隔で変動させる場合については、異なる下流搬送路に交差するように設置され、隣接する上流搬送路であって、かつ、これらの上流搬送路の境界に面する物品を、当該物品が搬送されている下流搬送路とは異なる下流搬送路に移載することによって実施することが好ましい。
すなわち、本願第三の発明は、
“前記下流側の搬送路に対する供給個数の一定間隔での変動が、異なる下流搬送路に交差するように設置され、かつ、隣接する上流搬送路の境界に面する物品を、当該物品が搬送される下流搬送路とは異なる下流搬送路に移載することによって行われる請求項1又は2に記載の物品搬送装置。”、である。
【発明の効果】
【0012】
本発明を利用することで、複数の物品群を並列に搬送する搬送路を有する上流側の搬送路と、当該上流側の搬送路と交差する複数の搬送路を有する下流側の搬送路とを備え、
前記上流側の並列に搬送される物品群の個数が下流側の搬送路の数よりも大きく、かつその整数倍ではない場合においても、上流側から搬送される物品群を下流側の搬送路に供給する個数を均一として供給を可能とすることができる
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の物品搬送装置の第一の実施態様を示した斜視模式図である。
【
図2】本発明の物品搬送装置の第一の実施態様を示した平面模式図である。
【
図3】本発明の物品搬送装置の第一の実施態様の改変タイプを示した斜視模式図である。
【
図4】本発明の物品搬送装置の第一の実施態様の改変タイプを示した斜視模式図である。
【
図5】本発明の物品搬送装置における“交差”の状態を示す平面模式図である。
【
図7】本発明の物品搬送装置の第一の実施態様における昇降ストッパー(A)及び昇降移動バー(B)を示した斜視模式図である。
【
図8】本発明の物品搬送装置の第一の実施態様における基本状態(移載が無い場合)における物品の振分状態を示した斜視模式図である。(A)→(B)→(C)→(D)の順に進行する。
【
図9】本発明の物品搬送装置の第一の実施態様における一つの物品を移載する場合における物品の振分状態を示した斜視模式図である。(A)→(B)→(C)→(D)の順に進行する。
【
図10】本発明の物品搬送装置の第一の実施態様における二つの物品を移載する場合における物品の振分状態を示した斜視模式図である。(A)→(B)→(C)→(D)の順に進行する。
【
図11】本発明の物品搬送装置の第二の実施態様を示した平面模式図である。
【
図12】本発明の物品搬送装置の第三の実施態様を示した平面模式図である。
【
図13】本発明の物品搬送装置の第四の実施態様を示した平面模式図である。
【
図14】本発明の物品搬送装置の第五の実施態様を示した平面模式図である。
【符号の説明】
【0014】
1 上流搬送路
3 第一上流搬送路
5 第二上流搬送路
7 第三上流搬送路
9 仕切り部材
11 下流搬送路
13 第一下流搬送路
15 第二下流搬送路
17 第三下流搬送路
19 物品供給口
23 第一固定ストッパー
25 第二固定ストッパー
27 第三固定ストッパー
31 第一昇降ストッパー
33 第一昇降移動バー
35 第二昇降ストッパー
37 第二昇降移動バー
39 支持体
41 可動板
51 第四上流搬送路
53 第四下流搬送路
55 第四固定ストッパー
61 物品搬送装置
M 物品
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態について説明する。
本願第一の発明は、
“複数の物品群を並列に搬送する(隣接した)搬送路を有する上流側の搬送路と、当該上流側の搬送路と交差する複数の搬送路を有する下流側の搬送路とを備え、
前記上流側の並列に搬送される物品群の個数が下流側の搬送路の数よりも大きく、かつその整数倍ではない場合において、
前記上流側の搬送路から搬送されてくる物品群について下流側の搬送路に対して供給する個数を一定間隔で変動させて振り分けることによって、上流側から搬送される物品群を下流側の搬送路に供給する個数を均一として供給可能な物品搬送装置。
“、である。
以下、本願発明の内容について第一の実施態様を交えながら説明する。
図1は、本発明の第一の実施態様を示した斜視模式図である。
【0016】
〇 本発明における搬送される物品
本発明にいう物品Mとは種々の態様を含む、特に本発明においては物品として食品に好適に適用できる。尚、この場合、食品そのものや食品が収納された容器(容器に入れられた食品)も含むことは勿論である。
例えば、加熱、蒸煮、冷凍等の加工すべき食品を容器に収納した状態のものを本発明における物品とすることができる。
【0017】
〇 物品搬送装置
本発明の物品搬送装置61は種々の生産ラインで使用することができる。特に、上流側の搬送路から複数の物品Mが並列に複数供給されてくる場合において、これらの物品Mを複数の下流側の搬送路に順次供給する場合に好適に利用することができる。
例えば、上流側から並列に供給される複数の食品を個別に包装するために、複数の下流側の搬送路に分けて搬送する場合や、特定の加工処理を施すために複数の下流側の搬送路に分けて搬送する場合が挙げられる。
また、上述の食品については食品そのものや当該食品が収納された容器の場合も可能である。
【0018】
〇 複数の物品群を並列に搬送する(隣接した)複数の搬送路を有する上流側の搬送路
本発明における上流側の搬送路(上流搬送路1)は、複数の物品群を並列に搬送する搬送路をいい、当該搬送路は複数の搬送路(第一上流搬送路3、第二上流搬送路5、第三上流搬送路7)を有する。尚、本発明において上流側からの物品の供給個数については、特に限定されるものではないが、概ね100~500個/分程度の供給スピードとして、上流側の搬送路から供給することが可能である。
次に、本発明の第一の実施態様においては、
図1に示すように上流側において、並行に8個の物品が同時に搬送されているタイプを示している。
また、
図2は
図1のタイプにおける平面模式図を示したものである。
【0019】
次に、本発明の第一の実施態様においては、上流側の搬送路については、第一上流搬送路3、第二上流搬送路5、第三上流搬送路7の3つの搬送路から形成されている。第一上流搬送路3から2個、第二上流搬送路5から3個、第三上流搬送路7から3個の物品が供給されている。
尚、上記の態様以外にも例えば、
図3に示すように物品一個づつごと個別にそれぞれの上流搬送路を設けてもよい。
さらに、各搬送路については、搬送路の数がいずれの場合においても
図4に示すように仕切り部材9によって仕切りを設けてもよいことは勿論である。
【0020】
〇 当該上流側の搬送路と交差する複数の搬送路を有する下流側の搬送路
本発明においては、上流搬送路1は下流側の搬送経(下流搬送路11)と交差する。本発明の第一の実施態様においては、
図1に示すように上流側の各搬送路(3、5、7)は、そのコンベア端において、当該搬送路と交差する下流側の搬送路(13、15、17)を有している。
尚、本発明における“交差”とは、より詳細には
図5に示すように上流搬送路の進行方向に対して下流搬送路が交わる状態を示していることをいう。
【0021】
図1の本願第一の実施態様においては、紙面左端の2個の物品を搬送する第一上流搬送路3のコンベア端がそれと交差する第一下流搬送路13のコンベアに連続している。
また、紙面中央の3個の物品を搬送する第二上流搬送路5のコンベア端がそれと交差する第二下流搬送路15のコンベアに連続している。
さらに、紙面右端の3個の物品を搬送する第三上流搬送路7のコンベア端がそれと交差する第三下流搬送路17のコンベアに連続している。
また、各下流搬送路では物品群を一列として、直列に搬送している。
【0022】
〇 前記上流側の並列に搬送される物品群の個数が下流側の搬送路の数よりも大きく、かつその整数倍ではない
本発明においては、前記上流側の搬送路において並列に搬送される物品群の個数が下流側の搬送路の数よりも大きく、かつその整数倍ではない場合を対象とする。
これは例えば、本発明の比較例となるが、例えば、
図6に示すように上流側の搬送路から搬送される物品の個数が9個でこれを3つの下流搬送路に振り分けるのであれば、
図6に示すように均等に分けた個数(3個)ごとに対応する下流搬送路(13、15、17)に供給する構成することで問題なく振り分けることができる。
【0023】
一方、例えば、
図1及び
図2に示すように、8個の物品を3つの下流搬送路(13、15、17)に振り分ける場合、
図6の場合のように均等に振り分けることができず、本発明は、このような場合で好適に適用できる。
尚、本発明においては、他の態様として、上流側の搬送路から搬送される物品個数と下流搬送路の数について想定されるパターンは概ね以下の表1に示すような態様が挙げられる
【0024】
【0025】
〇 前記上流側の搬送路から搬送されてくる物品群について下流側の搬送路に対して供給する個数を一定間隔で変動させて振り分ける
本発明においては、上流側の搬送路1から搬送されてくる物品群Mについて下流側の搬送路11に対して供給する個数を一定間隔で変動させて振り分けることのよって、上流側から搬送される物品群を下流側の搬送路に供給する個数を均一として供給可能とすることができる。
【0026】
本発明の第一の実施態様では、
図1、2に示すように、8個の物品群を並列に搬送するタイプを示しており、当該8個について上流側の搬送路1として、第一上流搬送路3、第二上流搬送路5、第三上流搬送路7の3つの上流搬送路が設けられている。各搬送路は、第一上流搬送路3が2個、第二上流搬送路5が3個、第三上流搬送路7が3個の物品を搬送している。
【0027】
尚、当該上流搬送路1のさらに上流側は、
図2に示すように物品の供給口19となっており、当該供給口19より並列に所定間隔をおいて同時に8個の物品が並列に供給される態様となっている。
次に、第一上流搬送路3のコンベア端に連続して、第一上流搬送路3の搬送方向と交差する方向に搬送する第一下流搬送路13が設けられている。当該第一下流搬送路13についてはコンベアにより物品を一列(直列に)搬送する形態となっている。
また、第一上流搬送路3から搬送される物品群は第一上流搬送路3のコンベア端を乗り越えて、第一下流搬送路13に到達するように構成されており、さらに第一下流搬送路13の側面には、物品が第一下流搬送路13を乗り越えてはみ出すことを防止するために、第一固定ストッパー23が設けられている。
【0028】
次に、第二上流搬送路5、第二下流搬送路15、第二固定ストッパー25についても同様に設けられている。さらに第三上流搬送路7、第三下流搬送路17、第三固定ストッパー27についても同様に設けられている。
次に、第二上流搬送路5のコンベア端であって第一下流搬送路側の上方には、第一昇降ストッパー31と、第一昇降移動バー33が設置されており、後に詳細を記載するが、第二上流搬送路5の第一上流搬送路3との境界側にもっとも近い物品について第二上流搬送路5から第一下流搬送路13への移載を実現できるように構成されている。
また、同様に第三上流搬送路7のコンベア端であって第二下流搬送路側の上方には、第二昇降ストッパー35と、第二昇降移動バー37が設置されており、後に詳細を記載するが、第三上流搬送路7の第二上流搬送路5との境界側にもっとも近い物品について第三上流搬送路7から第二下流搬送路15への移載を実現できるように構成されている。
【0029】
ここで、第一及び第二昇降ストッパー31、35については、
図1については、その主要部分のみを示しているが、実際には、当該昇降ストッパーは、
図7(A)に示すように上部に設けられた支持体39に連結されており、公知の制御機構によって昇降ストッパーは可動板41が必要に応じて上下に伸縮が可能となっている。
また、第一及び第二昇降移動バー33、37は、当該昇降移動バー本体が下流搬送路の搬送方向前後方向に所定間隔内を移動可能となっているとともに、可動板41が必要に応じて上下に伸縮が可能となっている。
【0030】
より具体的には、昇降移動バーは、可動板41の伸縮が可能であるとともに、支持体39の下部に装着されたレール上に連結されており、よって
図7(B)に示すように所定間隔内を往復移動が可能となっており、可動板41で物品Mを押し運ぶことによって物品Mを移載できるように構成されている。
【0031】
次に“下流側の搬送路に対して供給する個数を一定間隔で変動させて振り分ける”場合について
図1及び
図2に示す本願第一の実施態様を例に具体的に説明する。
図8は、移載を行わない場合(以下、“基本状態”という)において、上流搬送路1(第一上流搬送路3、第二上流搬送路5、第三上流搬送路7)から下流搬送路11(第一下流搬送路13、第二下流搬送路15、第三下流搬送路17)に物品の供給状態について示したものである。基本状態においては、第一昇降ストッパー31及び第二昇降ストッパー35、第一昇降移動バー33及び第二昇降移動バー37ともに稼働しない場合を示している。
【0032】
この場合においては、第一上流搬送路3において搬送される2個の物品がそのまま第一下流搬送路13に供給される。また同様に第二上流搬送路5においては搬送される3個の物品がそのまま第二下流搬送路15に供給される。さらに、同様に第三上流搬送路7においては搬送される3個の物品がそのまま第三下流搬送路17に供給される。そして、基本状態における下流搬送路への供給個数は、第一下流搬送路:第二下流搬送路:第三下流搬送=2:3:3となる。
次に
図9は、前記の基本状態における搬送形態から、第二上流搬送路から第一下流搬送路に一個の物品を移載する形態を示している。
【0033】
すなわち、第二上流搬送路5の紙面左側に隣接する第一上流搬送路3との境界に面する第二上流搬送路5の一物品Mが、基本状態においては第二下流搬送路15に供給されるところ、これとは異なる下流搬送路である第一下流搬送路13に移載させる態様を示している。
具体的には、当該物品Mが第二下流搬送路15に近づく際に、第一昇降ストッパー31と第一昇降移動バー33の可動板41が伸長して、第一昇降ストッパー31の可動板41は当該物品Mが第二下流搬送路15に供給されるのを阻止する。また、第一昇降移動バー33の可動板41は当該物品Mを押し運び、第一下流搬送路13の側に移動することで、当該物品Mを強制的に第一下流搬送路13に移載する。
また、物品の移載動作が完了すると、第一昇降ストッパー31の可動板41は上方に戻り、第一昇降移動バー33は元の位置に移動するともに、可動板41も上方に戻る。
本移載動作によって下流搬送路への搬送個数は、第一下流搬送路:第二下流搬送路:第三下流搬送=3:2:3となる。
【0034】
次に
図10は、前記の基本状態における搬送形態から、第二上流搬送路5から第一下流搬送路13に一つの物品Mを移載するとともに、第三上流搬送路7から第二下流搬送路15に一つの物品Mを移載する形態を示している。
【0035】
先に記載した基本状態においては、第二上流搬送路5の紙面左側に隣接する第一上流搬送路3との境界に面する第二上流搬送路5の一物品Mが第二下流搬送路15に供給されるが、本形態ではこれとは異なり第一下流搬送路13に移載させる。
具体的には、当該物品Mが第二下流搬送路15に近づく際に、第一昇降ストッパー31と第一昇降移動バー33の可動板41が伸長して、第一昇降ストッパー31の可動板41は当該物品Mが第二下流搬送路15に供給されるのを阻止する。また、第一昇降移動バー31の可動板41は当該物品Mを押し運び、第一下流搬送路13の側に移動することで、当該物品Mを強制的に第一下流搬送路13に移載する。
また、物品の移載動作が完了すると、第一昇降ストッパー31の可動板41は上方に戻り、第一昇降移動バー33は元の位置に移動するともに、可動板41も上方に戻る。
【0036】
また、これと同様に、第三上流搬送路7の紙面左側に隣接する第二上流搬送路5との境界に面する第三上流搬送路7の一物品Mが、基本状態においては第三下流搬送路17に供給されるところ、これとは異なる下流搬送路である、第二下流搬送路15に移載される。
具体的には、当該物品Mが第三下流搬送路17に近づく際に、第二昇降ストッパー35と第二昇降移動バー37の可動板41が伸長して、第二昇降ストッパー35の可動板41は当該物品が第三下流搬送路17に供給されるのを阻止する。また、第二昇降移動バー37の可動板41は当該物品Mを押し運び、第二下流搬送路15の側に移動することで、当該物品Mを強制的に第二下流搬送路15に移載する。
また、物品の移載動作が完了すると、第二昇降ストッパー35の可動板41は上方に戻り、第二昇降移動バー37は元の位置に移動するともに、可動板41も上方に戻る。
【0037】
本移載動作によって下流搬送路への搬送個数は、第一下流搬送路:第二下流搬送路:第三下流搬送=3:3:2となる。
尚、上記の各状態の繰り返しの順については特に限定されないことは勿論である。
【0038】
そして、上記のように、基本形態(
図8)、基本形態から一個移載する形態(
図9)及び基本状態から二個移載する形態(
図10)の3つの形態を繰り返して実施することで、各下流搬送路に供給する物品の個数を均一にすることが可能となる。
さらに、本発明を利用することによって上流側搬送路における生産速度と下流側搬送路における生産速度を変更することなく生産することも可能となる。
また、本願発明は上記の第一の実施態様に限定されるものではなく、例えば、
図11に示すような第二の実施形態でも可能である。本実施形態においては第二下流搬送路の向きを第一の実施態様とは逆としている。
さらに、例えば、
図12に示すような第三の実施形態でも可能である。
【0039】
すなわち、
図12の第三の実施形態では、第一の状態として、第一昇降ストッパー31及び第一昇降移動バー33のみを動作させて、第一下流搬送:第二下流搬送路:第三下流搬送路への供給個数を3:3:2とし、次に、第二の状態として、第一昇降ストッパー31及び第一昇降移動バー33、並びに第二昇降ストッパー35及び第二昇降移動バー37の両方を動作させて、第一下流搬送:第二下流搬送路:第三下流搬送路への供給個数を3:2:3とする。さらに、第三の状態として、第二昇降ストッパー35及び第二昇降移動バー37のみを動作させて、第一下流搬送:第二下流搬送路:第三下流搬送路への供給個数を2:3:3とする。このように第一の状態~第三の状態を繰り返して実施することで、各下流搬送路に供給する物品の個数を均一にすることが可能となる。
【0040】
尚、各状態の繰り返しの順については特に限定されないことは勿論である。
さらに、
図12の第三の実施態様に近似する実施形態として、
図13に示す第四の実施態様も可能である
【0041】
第四の実施形態においては、昇降ストッパーと昇降移動バーの配置の位置が上述した他の実施態様とは異なっている。すなわち、第一、第三下流搬送路(13、17)に載った物品はその搬送方向に流れて行ってしまうため、第二下流搬送路15の側に昇降移動バーを移動させることで物品を第二下流搬送路15に移載することができる。このような態様によっても各下流搬送路に供給する物品の個数を均一にすることが可能となる。
【0042】
また、上記の各実施態様においては、上流側搬送路の搬送個数が8個、下流側の搬送路の数が3の場合を示した。本発明はこのような実施態様に限定されるものではなく、表1に示すように種々の態様が可能である。
例えば、
図14に示す第五の実施態様においては、10個の物品を4つの上流コンベアで搬送し、下流で4つの下流コンベアで搬送する実施形態を例示している。
【0043】
図14の第五の実施態様においては、移載を行わない状態を基本状態とすると、基本状態 → 第一昇降ストッパー31及び第一昇降移動バー33を作動 → 第二昇降ストッパー35及び第二昇降移動バー37を作動 → 第一昇降ストッパー31及び第一昇降移動バー33、並びに第二昇降ストッパー35及び第二昇降移動バー37の両方を作動、の4つのパターンによって、第一下流搬送路:第二下流搬送路:第三下流搬送路:第四下流搬送路の各搬送路に供給する物品の個数を、2:3:3:2 → 3:2:3:2 → 2:3:2:3 → 3:2:2:3 となる。
よって、上記の4つのパターンを繰り返すことで、各下流搬送路に均一に物品を供給することが可能となる。尚、各状態の繰り返しの順については特に限定されないことは勿論である。