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特開2024-141877シリカ粒子の製造方法、シリカゾルの製造方法、研磨組成物の製造方法、研磨方法、半導体ウェハの製造方法及び半導体デバイスの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141877
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】シリカ粒子の製造方法、シリカゾルの製造方法、研磨組成物の製造方法、研磨方法、半導体ウェハの製造方法及び半導体デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/152 20060101AFI20241003BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20241003BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C01B33/152 B
B24B37/00 H
H01L21/304 622B
H01L21/304 622D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053734
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】京谷 智裕
【テーマコード(参考)】
3C158
4G072
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158CB01
3C158CB10
3C158DA02
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
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3C158ED05
3C158ED06
3C158ED10
3C158ED15
3C158ED24
3C158ED28
4G072AA28
4G072BB05
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4G072EE01
4G072GG03
4G072HH30
4G072JJ38
4G072PP01
4G072RR05
4G072RR12
4G072UU01
5F057AA03
5F057AA21
5F057AA28
5F057BA11
5F057BB03
5F057BB05
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5F057BB26
5F057BB27
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5F057BB33
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5F057DA03
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5F057EA01
5F057EA07
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5F057EA16
5F057EA17
5F057EA29
5F057EA33
5F057EA40
5F057FA37
(57)【要約】
【課題】粒子径が10nm~200nmの主粒子と粒子径が主粒子の1/2以下の微粒子が混在しているシリカ粒子を製造する方法を提供する。
【解決手段】テトラアルコキシシランを加水分解反応及び縮合反応させることにより、粒子径が10nm~200nmの主粒子と、粒子径が主粒子の1/2以下の微粒子が混在しているシリカ粒子を製造する方法であって、該加水分解反応及び縮合反応の反応終了時の反応液のアルカリ触媒の濃度を、0.75質量%以下とする、シリカ粒子の製造方法。前記シリカ粒子の製造方法を含むシリカゾルの製造方法。得られたシリカゾルを用いて研磨組成物を製造する研磨組成物の製造方法。前記研磨組成物を用いて研磨する工程を有する研磨方法。前記研磨方法を含む半導体ウェハの製造方法。前記研磨方法を含む半導体デバイスの製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テトラアルコキシシランを加水分解反応及び縮合反応させることにより、粒子径が10nm~200nmの主粒子と、粒子径が主粒子の1/2以下の微粒子が混在しているシリカ粒子を製造する方法であって、
該加水分解反応及び縮合反応の反応終了時の反応液のアルカリ触媒の濃度を、0.75質量%以下とする、シリカ粒子の製造方法。
【請求項2】
水を含む溶液(A)に、テトラアルコキシシランを含む溶液(B)及び水を含む溶液(C)を添加して、前記テトラアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応を行う、請求項1に記載のシリカ粒子の製造方法。
【請求項3】
前記加水分解反応及び縮合反応の反応温度が、20℃~50℃である、請求項1に記載のシリカ粒子の製造方法。
【請求項4】
前記シリカ粒子中の主粒子と微粒子の存在比率が個数比で1:99~99:1である、請求項1に記載のシリカ粒子の製造方法。
【請求項5】
以下の工程(1)及び工程(2)のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載のシリカ粒子の製造方法。
工程(1):前記加水分解反応及び縮合反応により得られたシリカ粒子の分散液を濃縮する工程
工程(2):前記加水分解反応及び縮合反応により得られたシリカ粒子の分散液を濃縮し、分散媒を添加する工程
【請求項6】
請求項1に記載のシリカ粒子の製造方法を含む、シリカゾルの製造方法。
【請求項7】
前記シリカゾル中のシリカ粒子の濃度が、3質量%~50質量%である、請求項6に記載のシリカゾルの製造方法。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載のシリカゾルの製造方法で得られたシリカゾルを用いて研磨組成物を製造する、研磨組成物の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の研磨組成物を用いて研磨する工程を有する、研磨方法。
【請求項10】
請求項9に記載の研磨方法を含む、半導体ウェハの製造方法。
【請求項11】
請求項9に記載の研磨方法を含む、半導体デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカ粒子の製造方法、シリカゾルの製造方法、研磨組成物の製造方法、研磨方法、半導体ウェハの製造方法及び半導体デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属や無機化合物等の材料の表面を研磨する方法として、研磨液を用いた研磨方法が知られている。中でも、半導体用のプライムシリコンウェハや再生シリコンウェハの最終仕上げ研磨、及び、半導体デバイス製造時の層間絶縁膜の平坦化、金属プラグの形成、埋め込み配線形成等の化学的機械的研磨(CMP)では、その表面状態が半導体特性に大きく影響するため、これらの部品の表面や端面は、極めて高精度に研磨されることが要求されている。
【0003】
このような精密研磨においては、シリカ粒子を含む研磨組成物が採用されており、その主成分である砥粒として、コロイダルシリカが広く用いられている。コロイダルシリカは、その製造方法の違いにより、四塩化珪素の熱分解によるもの(ヒュームドシリカ等)、水ガラス等の珪酸アルカリの脱イオンによるもの、アルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応(一般に「ゾルゲル法」と称される)によるもの等が知られている。
【0004】
シリカ粒子の製造方法に関し、これまで多くの検討がなされてきた。
例えば、特許文献1及び2には、アルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応によりシリカ粒子を製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-060217号公報
【特許文献2】特開2018―108924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、研磨組成物に使用されるシリカ粒子は均一な粒子径であることがほとんどであり、製造方法の多くも、一度の加水分解反応及び縮合反応では粒子径の分布の狭いシリカ粒子を製造することしか開示していない。しかしながら、粒子径が均一なシリカ粒子は、粒子径の小さなシリカ粒子と粒子径の大きなシリカ粒子を混在しているものに比べて、研磨対象との密着性が悪く、平坦加工性に劣ることや研磨組成物とした時に平均的な機械強度が高くなりすぎて、高スクラッチになるといった課題が生じる。
【0007】
特許文献1に開示されているシリカ粒子の製造方法は、粒子径の揃ったシリカ粒子を得ることを目的としており、粒度分布の狭いシリカ粒子しか得られない。また、特許文献2に開示されるシリカ粒子の製造方法は、得られるシリカ粒子の粒度分布についてそもそも記載がなく、一度の加水分解及び縮合反応で粒子径の異なるシリカ粒子を製造する方法について何ら記載されていない。
【0008】
このように、従来のシリカ粒子の製造方法では、粒子径が均一なシリカ粒子しか得られず、従来の細孔を有するシリカ粒子の製造方法は、研磨に用いたときに研磨対象との密着性が悪く、平坦加工性に劣ることや研磨組成物とした時に平均的な機械強度が高くなりすぎて、高スクラッチになるといった課題が十分に解決するに至っていなかった。
【0009】
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、粒子径が10nm~200nmの主粒子と粒子径が主粒子の1/2以下の微粒子が混在しているシリカ粒子を製造することができる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、粒子径が10nm~200nmの主粒子と粒子径が主粒子の1/2以下の微粒子が混在しているシリカ粒子を1回の加水分解反応及び縮合反応で直接製造することができる方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明の要旨は、以下の通りである。
[1]テトラアルコキシシランを加水分解反応及び縮合反応させることにより、粒子径が10nm~200nmの主粒子と、粒子径が主粒子の1/2以下の微粒子が混在しているシリカ粒子を製造する方法であって、
該加水分解反応及び縮合反応の反応終了時の反応液のアルカリ触媒の濃度を、0.75質量%以下とする、シリカ粒子の製造方法。
[2]水を含む溶液(A)に、テトラアルコキシシランを含む溶液(B)及び水を含む溶液(C)を添加して、前記テトラアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応を行う、[1]に記載のシリカ粒子の製造方法。
[3]前記加水分解反応及び縮合反応の反応温度が、20℃~50℃である、[1]又は[2]に記載のシリカ粒子の製造方法。
[4]前記シリカ粒子中の主粒子と微粒子の存在比率が個数比で1:99~99:1である、[1]~[3]のいずれかに記載のシリカ粒子の製造方法。
[5]以下の工程(1)及び工程(2)のうち少なくとも一つを含む、[1]~[4]のいずれかに記載のシリカ粒子の製造方法。
工程(1):前記加水分解反応及び縮合反応により得られたシリカ粒子の分散液を濃縮する工程。
工程(2):前記加水分解反応及び縮合反応により得られたシリカ粒子の分散液を濃縮し、分散媒を添加する工程。
[6][1]~[5]のいずれかに記載のシリカ粒子の製造方法を含む、シリカゾルの製造方法。
[7]前記シリカゾル中のシリカ粒子の濃度が、3質量%~50質量%である、[6]に記載のシリカゾルの製造方法。
[8][6]又は[7]に記載のシリカゾルの製造方法で得られたシリカゾルを用いて研磨組成物を製造する、研磨組成物の製造方法。
[9][8]に記載の研磨組成物を用いて研磨する工程を有する、研磨方法。
[10][9]に記載の研磨方法を含む、半導体ウェハの製造方法。
[11][9]に記載の研磨方法を含む、半導体デバイスの製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明のシリカ粒子の製造方法及びシリカゾルの製造方法によれば、粒子径の小さなシリカ粒子と粒子径の大きなシリカ粒子が混在しているシリカ粒子及びシリカゾルを、加水分解反応及び縮合反応により直接製造することができる。
また、このようなシリカゾルを含む研磨組成物を用いて研磨することにより、被研磨体の平坦加工性の向上及びスクラッチの低減を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明について詳述するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。尚、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いる。
【0014】
(シリカ粒子の製造方法)
本発明のシリカ粒子の製造方法は、テトラアルコキシシランを加水分解反応及び縮合反応させることにより、粒子径が10nm~200nmの主粒子(以下、単に「主粒子」と称す場合がある。)と、粒子径が主粒子の1/2以下の微粒子(以下、単に「微粒子」と称す場合がある。)が混在しているシリカ粒子を製造する方法であって、該加水分解反応及び縮合反応の反応終了時の反応液のアルカリ触媒の濃度を、0.75質量%以下とすることを特徴とする。
本発明のシリカ粒子の製造方法の具体的な方法としては特に制限はないが、加水分解反応及び縮合反応の制御性に優れることから、本発明に係るテトラアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応は、水を含む溶液(A)に、テトラアルコキシシランを含む溶液(B)及び水を含む溶液(C)を添加して行うことが好ましい。
【0015】
<主粒子と微粒子>
本発明におけるテトラアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応で製造されるシリカ粒子(以下、「本発明のシリカ粒子」と称す場合がある。)は、粒子径が10nm~200nmの主粒子と、粒子径が主粒子の1/2以下の微粒子が混在しているシリカ粒子である。
ここで、主粒子の粒子径、微粒子の粒子径とは、後掲の実施例の項に記載される方法で測定されるHeywood径であって、Heywood径の個数分布図を作製したときに、10nm~200nmの範囲に入るピークのうち、最も大きな粒子径の位置にあるピークを主粒子の粒子径とする。
また、この主粒子の粒子径の1/2以下の範囲にある最も大きな粒子径の位置にあるピークを微粒子の粒子径とする。
【0016】
また、本発明のシリカ粒子は、このような主粒子と微粒子の存在比率が個数比で1:99~99:1の範囲であることが好ましく、より好ましくは5:95~95:5であり、更に好ましくは10:90~90:10である。
このように主粒子と微粒子の存在比率のバランスに優れていることで、主粒子と微粒子を含むことによる研磨時の平坦加工性の向上やスクラッチの低減といった効果をより効果的に得ることができる。
ここで、主粒子と微粒子の存在比率は、後掲の実施例の項に記載のHeywood径の測定で作製されたHeywood径の個数分布図において、主粒子の粒子径としたピークと、微粒子の粒子径としたピークとの中間の位置を求め、それよりも大粒子径の範囲を主粒子の存在個数とし、それよりも小粒子径の範囲を微粒子の存在個数とし、この存在個数の比率を存在比率とする。
【0017】
以下に、本発明のシリカ粒子の製造方法の好適な実施形態である、水を含む溶液(A)に、テトラアルコキシシランを含む溶液(B)及び水を含む溶液(C)を添加して、テトラアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応を行う方法に従って、本発明のシリカ粒子の製造方法を説明するが、本発明のシリカ粒子の製造方法は、テトラアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応で、主粒子と微粒子が混在している本発明のシリカ粒子を製造することができる方法であればよく、本発明のシリカ粒子の製造方法は何ら以下の方法に限定されない。
【0018】
<溶液(A)>
溶液(A)は、水を含むものであり、溶液(A)が水を含むことで、テトラアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応を進行させることができる。
溶液(A)は、水とアルカリ触媒を含むことがテトラアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応の反応速度を高めることができ、好ましい。
【0019】
溶液(A)中のアルカリ触媒としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、アンモニア、尿素、エタノールアミン、テトラメチル水酸化アンモニウム等が挙げられる。これらのアルカリ触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのアルカリ触媒の中でも、触媒作用に優れ、粒子形状を制御しやすく、金属不純物の混入を抑制することができ、揮発性が高く加水分解反応及び縮合反応後の除去性に優れることから、アンモニアが好ましい。
【0020】
溶液(A)は、テトラアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応を進行させることができることから、水を含むことが好ましい。
【0021】
溶液(A)は、反応液中でのテトラアルコキシシランの分散性に優れることから、水以外の溶媒を含むことが好ましい。
溶液(A)中の水以外の溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコールや、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン、酢酸エチル等のエステルなどが挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの溶媒の中でも、テトラアルコキシシランを溶解しやすく、加水分解反応及び縮合反応で用いるものと副生するものとが同一で、製造上の利便性に優れることから、アルコールが好ましく、メタノール、エタノールがより好ましく、メタノールが更に好ましい。
【0022】
溶液(A)中のアルカリ触媒の濃度は、溶液(A)100質量%中、0.5質量%~2.0質量%が好ましく、0.6質量%~1.5質量%がより好ましい。溶液(A)中のアルカリ触媒の濃度が上記下限値以上であると、シリカ粒子の凝集を抑制し、得られる分散液中のシリカ粒子の分散安定性に優れる。また、溶液(A)中のアルカリ触媒の濃度が上記上限値以下であると、反応が過度に速く進行せず、反応制御性に優れる。
【0023】
溶液(A)中の水の濃度は、溶液(A)100質量%中、3質量%~90質量%が好ましく、5質量%~50質量%がより好ましい。溶液(A)中の水の濃度が上記下限値以上であると、加水分解反応で生成するケイ酸の反応液中での分散性に優れる。また、溶液(A)中の水の濃度が上記上限値以下であると、反応液中でのテトラアルコキシシランの分散性に優れる。
【0024】
溶液(A)中の水以外の溶媒の濃度は、アルカリ触媒と水の残部とすることが好ましい。
【0025】
<溶液(B)>
溶液(B)は、テトラアルコキシシランを含む。
溶液(B)中のテトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のアルコキシ基の炭素数が1~12のテトラアルコキシシランが挙げられる。これらのテトラアルコキシシランは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのテトラアルコキシシランの中でも、加水分解反応が速く、未反応物が残留し難く、生産性に優れ、安定なシリカゾルを容易に得ることができることから、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましく、テトラメトキシシランがより好ましい。
【0026】
溶液(B)は、反応液中でのテトラアルコキシシランの分散性に優れることから、溶媒を含むことが好ましい。
溶液(B)中の溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコールや、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン、酢酸エチル等のエステルなどが挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの溶媒の中でも、加水分解反応及び縮合反応で用いるものと副生するものとが同一で、製造上の利便性に優れることから、アルコールが好ましく、メタノール、エタノールがより好ましく、メタノールが更に好ましい。
【0027】
溶液(B)中のテトラアルコキシシランの濃度は、溶液(B)100質量%中、60質量%~95質量%が好ましく、70質量%~90質量%がより好ましい。溶液(B)中のテトラアルコキシシランの濃度が上記下限値以上であると、用いる溶媒の量を低減することができ、シリカ粒子の生産性に優れる。また、溶液(B)中のテトラアルコキシシランの濃度が上記上限値以下であると、反応液中でのテトラアルコキシシランの分散性に優れる。
【0028】
溶液(B)中の溶媒の濃度は、溶液(B)100質量%中、5質量%~40質量%が好ましく、10質量%~30質量%がより好ましい。溶液(B)中の溶媒の濃度が上記下限値以上であると、反応液中でのテトラアルコキシシランの分散性に優れる。また、溶液(B)中の溶媒の濃度が上記上限値以下であると、用いる溶媒の量を低減することができ、シリカ粒子の生産性に優れる。なお、溶液(B)中の溶媒の濃度は、通常、溶液(B)のテトラアルコキシシランの残部であることが好ましい。
【0029】
<溶液(C)>
溶液(C)は水を含む。
溶液(C)が水を含むことで、反応液の組成変動を小さくすることができる。
【0030】
溶液(C)は、水と共にアルカリ触媒を含むことがテトラアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応の反応速度を高めることができ、好ましい。
溶液(C)中のアルカリ触媒としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、アンモニア、尿素、エタノールアミン、テトラメチル水酸化アンモニウム等が挙げられる。これらのアルカリ触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。溶液(C)中のアルカリ触媒は溶液(A)中のアルカリ触媒と同種のアルカリ触媒が好ましく、溶液(A)におけると同様に、これらのアルカリ触媒の中でも、触媒作用に優れ、粒子形状を制御しやすく、金属不純物の混入を抑制することができ、揮発性が高く加水分解反応及び縮合反応後の除去性に優れることから、アンモニアが好ましい。
【0031】
溶液(C)は、水以外の溶媒を含んでいてもよく、水以外の溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコールなどが挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの溶媒の中でも、加水分解反応及び縮合反応で用いるものと副生するものとが同一で、製造上の利便性に優れることから、アルコールが好ましいが、溶液(C)はテトラアルコキシシランの加水分解反応を進行させることができることから、溶媒として水のみを含むことが好ましい。
【0032】
溶液(C)中のアルカリ触媒の濃度は、溶液(C)100質量%中、0.5質量%~10質量%が好ましく、1質量%~6質量%がより好ましい。溶液(C)中のアルカリ触媒の濃度が上記下限値以上であると、シリカ粒子の凝集を抑制し、得られる分散液中のシリカ粒子の分散安定性に優れる。また、溶液(C)中のアルカリ触媒の濃度が上記上限値以下であると、反応が過度に速く進行せず、反応制御性に優れる。
【0033】
溶液(C)中の水の濃度は、溶液(C)100質量%中、90質量%~99.5質量%が好ましく、94質量%~95質量%がより好ましい。溶液(C)中の水の濃度が上記下限値以上であると、加水分解反応で生成するケイ酸の反応液中での分散性に優れる。また、溶液(C)中の水の濃度が上記上限値以下であると、反応液中でのテトラアルコキシシランの分散性に優れる。
【0034】
<溶液(A)への溶液(B)と溶液(C)の添加>
溶液(A)に対する溶液(B)と溶液(C)の添加量は、各溶液のアルカリ触媒濃度やテトラアルコキシシラン濃度等によっても異なるが、溶液(A)25質量%~45質量%に対して、溶液(B)40質量%~60質量%と溶液(C)5質量%~25質量%を合計で100質量%となるように添加して、反応液の水の濃度及び加水分解反応及び縮合反応終了時の反応液のアルカリ触媒濃度が後述の濃度となるようにすることが、反応液中でのテトラアルコキシシラン及び中間生成物であるケイ酸の分散性に優れる観点及び主粒子と微粒子が混在している本発明のシリカ粒子を効率的に製造する観点から好ましく、溶液(A)の30質量%~40質量%に対して、溶液(B)45質量%~55質量%と溶液(C)10質量%~20質量%を合計で100質量%となるように添加することがより好ましい。
【0035】
溶液(A)への溶液(B)と溶液(C)の添加速度には特に制限はないが、溶液(A)に対して溶液(B)と溶液(C)を同時に、100分~200分程度の時間をかけて等速で添加することが好ましい。
【0036】
<反応条件>
溶液(A)に溶液(B)と溶液(C)を添加して行うテトラアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応の反応温度(反応液の温度)は、20℃~50℃が好ましく、25℃~45℃がより好ましい。反応温度が上記下限値以上であると、反応が過度に遅く進行せず、制御性に優れる。また、反応温度が上記上限値以下であると、加水分解反応速度と縮合反応速度のバランスに優れる。
【0037】
加水分解反応及び縮合反応の反応系内の水の濃度は、反応中に大きく変化しないようにすることが好ましい。これは、工程(1)を通して水の濃度が変化すると、中間生成物であるケイ酸の反応液中での分散性が変わり、シリカ粒子の粒径制御性が損なわれるためである。水の濃度の変化率は75%以下とすることが好ましく、50%以下とすることがより好ましい。
ここで反応系内の反応液とは、溶液(A)、溶液(B)及び溶液(C)の混合液に相当する。
【0038】
本発明のシリカ粒子の製造方法では、加水分解反応及び縮合反応の反応系内のアルカリ触媒の濃度を、加水分解反応及び縮合反応終了時の反応液中のアルカリ触媒の濃度として、反応液100質量%中、0.75質量%以下とする。このアルカリ触媒濃度が0.75質量%を超えると、粒子径が10nm~200nmの主粒子と、粒子径が主粒子の1/2以下の微粒子が混在しているシリカ粒子を製造することはできない。粒子径が10nm~200nmの主粒子と、粒子径が主粒子の1/2以下の微粒子が混在しているシリカ粒子をより効率的に製造する観点から、加水分解反応及び縮合反応終了時の反応液のアルカリ触媒濃度は0.75質量%以下が好ましく、0.70質量%以下がより好ましい。一方、反応液中のアルカリ触媒濃度が過度に低いと、シリカ粒子の凝集、得られるシリカ粒子の分散液中のシリカ粒子の分散安定性の低下を引き起す場合があることから、加水分解反応及び縮合反応終了時の反応液中のアルカリ触媒濃度は0.10質量%以上が好ましく、より好ましくは0.30質量%以上、更に好ましくは0.50質量%以上である。
なお、本発明において、加水分解反応及び縮合反応の反応終了時の反応液のアルカリ触媒濃度を0.75質量%以下とすることで、粒子径が10nm~200nmの主粒子と、粒子径が主粒子の1/2以下の微粒子が混在しているシリカ粒子を製造することができるメカニズムの詳細については明らかではないが、アルカリ触媒濃度が0.75質量%以下と、通常より低めのアルカリ触媒濃度であるため、シリカの微粒子の溶解を防ぎ、微粒子の長期間での安定性に優れることによると考えられる。
【0039】
<工程(1)・工程(2)>
本発明のシリカ粒子の製造方法は、不必要な成分を除去し、必要な成分を添加することができることから、上記テトラアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応工程後に、更に、以下の工程(1)又は工程(2)を含むことが好ましい。
工程(1):テトラアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応で得られたシリカ粒子の分散液を濃縮する工程
工程(2):テトラアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応で得られたシリカ粒子の分散液を濃縮し、分散媒を添加する工程
【0040】
工程(2)のシリカ粒子の分散液の濃縮と分散媒の添加とはいずれを先に行ってもよい。
【0041】
シリカ粒子の分散液を濃縮する方法は特に限定されず、例えば、加熱濃縮法、膜濃縮法などが挙げられる。
加熱濃縮法によってシリカ粒子の分散液を濃縮するには、該分散液を常圧下、又は減圧下で加熱濃縮すればよい。
膜濃縮法によってシリカ粒子の分散液を濃縮するには、限外濾過法による膜分離が好ましい。ここで用いる限外濾過膜の分画分子量は、分散液中のシリカ粒子の粒径に合わせてシリカ粒子を濾過分離して濃縮できるものを選択する。
限外濾過膜の材質としては、ポリスルホン、ポリアクリルニトリル、焼結金属、セラミック、カーボンなどが挙げられる。限外濾過膜の形態としては、スパイラル型、チューブラー型、中空糸型等が挙げられる。
【0042】
また、シリカ粒子の分散液に添加する分散媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコールなどが挙げられる。これらの分散媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの分散媒の中でも、シリカ粒子との親和性に優れることから、水、アルコールが好ましく、水がより好ましい。
【0043】
本発明では、必要に応じて、上記工程(1)又は工程(2)を行うことで、本発明のシリカ粒子の製造方法により、シリカ粒子濃度3質量%~50質量%のシリカ粒子の分散液、特に、シリカ粒子濃度4質量%~40質量%のシリカ粒子の水分散液を得ることが好ましい。
【0044】
(シリカ粒子の物性)
本発明のシリカ粒子の製造方法により製造される本発明のシリカ粒子の平均1次粒子径は、5nm~100nmが好ましく、10nm~60nmがより好ましい。シリカ粒子の平均1次粒子径が5nm以上であると、シリカゾルの保存安定性に優れる。また、シリカ粒子の平均1次粒子径が100nm以下であると、シリコンウェハに代表される被研磨体の表面粗さや傷を低減でき、シリカ粒子の沈降を抑制することができる。
【0045】
シリカ粒子の平均1次粒子径は、BET法により測定する。具体的には、比表面積自動測定装置を用いてシリカ粒子の比表面積を測定し、下記式(1)を用いて平均1次粒子径を算出する。
平均1次粒子径(nm)=6000/(比表面積(m/g)×密度(g/cm))
・・・ (1)
【0046】
シリカ粒子の平均1次粒子径は、公知の条件・方法により、所望の範囲に設定することができる。
【0047】
本発明のシリカ粒子の平均2次粒子径は、10nm~200nmが好ましく、20nm~100nmがより好ましい。シリカ粒子の平均2次粒子径が10nm以上であると、研磨後の洗浄における粒子等の除去性に優れ、シリカゾルの保存安定性に優れる。シリカ粒子の平均2次粒子径が200nm以下であると、研磨時のシリコンウェハに代表される被研磨体の表面粗さや傷を低減でき、研磨後の洗浄における粒子等の除去性に優れ、シリカ粒子の沈降を抑制することができる。
【0048】
シリカ粒子の平均2次粒子径は、DLS法(動的光散乱法)により測定する。具体的には、動的光散乱粒子径測定装置を用いて測定する。
【0049】
シリカ粒子の平均2次粒子径は、公知の条件・方法により、所望の範囲に設定することができる。
【0050】
本発明のシリカ粒子のcv値は、10~50が好ましく、15~40がより好ましく、20~35が更に好ましい。シリカ粒子のcv値が下限値以上であると、シリコンウェハに代表される被研磨体に対する研磨レートに優れ、生産性に優れる。また、シリカ粒子のcv値が上記上限値以下であると、研磨時のシリコンウェハに代表される被研磨体の表面粗さや傷を低減でき、研磨後の洗浄における粒子等の除去性に優れる。
【0051】
シリカ粒子のcv値は、動的光散乱粒子径測定装置を用いてシリカ粒子の平均2次粒子径を測定し、下記式(2)を用いて算出する。
cv値=(標準偏差(nm)/平均2次粒子径(nm))×100 ・・・ (2)
【0052】
本発明のシリカ粒子の会合比は、1.0~4.0が好ましく、1.1~3.0がより好ましい。シリカ粒子の会合比が下限値以上であると、シリコンウェハに代表される被研磨体に対する研磨レートに優れ、生産性に優れる。また、シリカ粒子の会合比が上記上限値以下であると、研磨時のシリコンウェハに代表される被研磨体の表面粗さや傷を低減でき、シリカ粒子の凝集を抑制することができる。
【0053】
シリカ粒子の会合比は、前述の測定方法にて測定した平均1次粒子径と前述の測定方法にて測定した平均2次粒子径とから、下記式(3)を用いて算出される。
会合比=平均2次粒子径/平均1次粒子径 ・・・ (3)
【0054】
本発明のシリカ粒子の表面シラノール基密度は、0.1個/nm~10個/nmが好ましく、0.5個/nm~7.5個/nmがより好ましく、2.0個/nm~7.0個/nmが更に好ましい。シリカ粒子の表面シラノール基密度が0.1個/nm以上であると、シリカ粒子が適度な表面反発を有し、シリカゾルの分散安定性に優れる。また、シリカ粒子の表面シラノール基密度が10個/nm以下であると、シリカ粒子が適度な表面反発を有し、シリカ粒子の凝集を抑制することができる。
【0055】
シリカ粒子の表面シラノール基密度は、シアーズ法により測定する。具体的には、下記に示す条件で測定、算出する。
【0056】
シリカ粒子1.5gに相当するシリカゾルを採取し、純水を加えて液量を90mLにする。25℃の環境下、pHが3.6になるまで0.1mol/Lの塩酸水溶液を加え、塩化ナトリウム30gを加え、純水を徐々に加えながら塩化ナトリウムを完全に溶解させ、最終的に試験液の総量が150mLになるまで純水を加え、試験液を得る。
得られた試験液を自動滴定装置に入れ、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、pHが4.0から9.0になるのに要する0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の滴定量A(mL)を測定する。
下記式(4)を用いて、シリカ粒子1.5gあたりのpHが4.0から9.0になるのに要した0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の消費量V(mL)を算出し、下記式(5)を用いて、シリカ粒子の表面シラノール基密度ρ(個/nm)を算出する。
V=(A×f×100×1.5)/(W×C) ・・・ (4)
A:シリカ粒子1.5gあたりのpHが4.0から9.0になるのに要した0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の滴定量(mL)
f:用いた0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の力価
C:シリカゾル中のシリカ粒子の濃度(質量%)
W:シリカゾルの採取量(g)
ρ=(B×N)/(1018×M×SBET) ・・・ (5)
B:Vから算出したシリカ粒子1.5gあたりのpHが4.0から9.0になるのに要した水酸化ナトリウム量(mol)
:アボガドロ数(個/mol)
M:シリカ粒子量(1.5g)
BET:平均1次粒子径の算出の際に測定したシリカ粒子の比表面積(m/g)
【0057】
尚、前記シリカ粒子の表面シラノール基密度の測定、算出方法は、「G.W.Sears,Jr.,Analytical Chemistry,Vol.28,No.12,pp.1981-1983(1956).」、「羽場真一, 半導体集積回路プロセス用研磨剤の開発,高知工科大学博士論文,pp.39-45,2004年3月」、「特許第5967118号公報」、「特許第6047395号公報」を参考にした。
【0058】
シリカ粒子の表面シラノール基密度は、アルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応の条件を調整することで、所望の範囲に設定することができる。
【0059】
本発明のシリカ粒子の金属不純物含有率は、5ppm以下が好ましく、2ppm以下がより好ましい。
【0060】
半導体デバイスのシリコンウェハの研磨において、金属不純物が被研磨体の表面に付着、汚染することで、ウェハ特性に悪影響を及ぼすと共に、ウェハ内部に拡散して品質が劣化するため、このようなウェハによって製造された半導体デバイスの性能が著しく低下する。
また、シリカ粒子に金属不純物が存在すると、酸性を示す表面シラノール基と金属不純物とが配位的な相互作用が発生し、表面シラノール基の化学的性質(酸性度等)を変化させたり、シリカ粒子表面の立体的な環境(シリカ粒子の凝集のしやすさ等)を変化させたり、研磨レートに影響を及ぼす。
【0061】
シリカ粒子の金属不純物含有率は、高周波誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)により測定する。具体的には、シリカ粒子0.4g含むシリカゾルを正確に量り取り、硫酸とフッ酸を加え、加温、溶解、蒸発させ、残存した硫酸滴に総量が正確に10gとなるよう純水を加えて試験液を作成し、高周波誘導結合プラズマ質量分析装置を用いて測定する。対象の金属は、ナトリウム、カリウム、鉄、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、コバルト、クロム、銅、マンガン、鉛、チタン、銀、ニッケルとし、これらの金属の含有率の合計を金属不純物含有率とする。
【0062】
シリカ粒子の金属不純物含有率は、アルコキシシランを主原料として加水分解反応及び縮合反応を行ってシリカ粒子を得ることで、5ppm以下とすることができる。
水ガラス等の珪酸アルカリの脱イオンによる方法では、原料由来のナトリウム等が残存するため、シリカ粒子の金属不純物含有率を5ppm以下とすることが極めて困難である。
【0063】
シリカ粒子の形状としては、例えば、球状、鎖状、繭状(こぶ状や落花生状とも称される)、異形状(例えば、疣状、屈曲状、分岐状等)等が挙げられる。これらのシリカ粒子の形状の中でも、研磨時のシリコンウェハに代表される被研磨体の表面粗さや傷を低減させたい場合は、球状が好ましく、シリコンウェハに代表される被研磨体に対する研磨レートをより高めたい場合は、異形状が好ましい。
【0064】
本発明のシリカ粒子は、機械的強度、保存安定性に優れることから、細孔を有しないことが好ましい。
シリカ粒子の細孔の有無は、窒素を吸着ガスとした吸着等温線を用いたBET多点法解析により確認する。
【0065】
本発明のシリカ粒子中の主粒子はHeywood径が10nm~150nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは20nm~100nmであり、更に好ましくは25nm~90nmである。主粒子のHeywood径が10nm以上であると、シリカゾルや研磨組成物中のシリカ粒子の凝集を抑制することができ、シリカゾルや研磨組成物の保存安定性に優れる。また、主粒子のHeywood径が150nm以下であると、シリコンウェハに代表される被研磨体に対する研磨レートに優れる。
【0066】
また、本発明のシリカ粒子中の微粒子はHeywood径が0.1nm~75nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは1nm~50nmであり、更に好ましくは5nm~45nmである。微粒子のHeywood径が0.1nm以上であると、シリカゾルや研磨組成物中のシリカ粒子の凝集を抑制することができ、シリカゾルや研磨組成物の保存安定性に優れる。また、微粒子のHeywood径が75nm以下であると、シリコンウェハに代表される被研磨体に対する研磨レートに優れる。
【0067】
(シリカゾルの製造方法)
本発明のシリカゾルの製造方法は、本発明のシリカ粒子の製造方法を含む。
【0068】
シリカゾルは、本発明のシリカ粒子の製造方法で得られたシリカ粒子の分散液をそのまま用いてもよく、得られたシリカ粒子の分散液中の成分のうち、不必要な成分の除去や必要な成分の添加をして製造してもよい。
【0069】
シリカゾルは、シリカ粒子及び分散媒を含むことが好ましい。
シリカゾル中の分散媒は、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコールなどが挙げられる。これらのシリカゾル中の分散媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのシリカゾル中の分散媒の中でも、シリカ粒子との親和性に優れることから、水、アルコールが好ましく、水がより好ましい。
【0070】
シリカゾル中のシリカ粒子の含有率は、シリカゾル全量100質量%中、3質量%~50質量%が好ましく、4質量%~40質量%がより好ましく、5質量%~30質量%が更に好ましい。シリカゾル中のシリカ粒子の含有率が3質量%以上であると、シリコンウェハに代表される被研磨体に対する研磨レートに優れる。また、シリカゾル中のシリカ粒子の含有率が50質量%以下であると、シリカゾルや研磨組成物中のシリカ粒子の凝集を抑制することができ、シリカゾルや研磨組成物の保存安定性に優れる。
【0071】
シリカゾル中の分散媒の含有率は、シリカゾル全量100質量%中、50質量%~97質量%が好ましく、60質量%~96質量%がより好ましく、70質量%~95質量%が更に好ましい。シリカゾル中の分散媒の含有率が50質量%以上であると、シリカゾルや研磨組成物中のシリカ粒子の凝集を抑制することができ、シリカゾルや研磨組成物の保存安定性に優れる。また、シリカゾル中の分散媒の含有率が97質量%以下であると、シリコンウェハに代表される被研磨体に対する研磨レートに優れる。
【0072】
シリカゾル中のシリカ粒子や分散媒の含有率は、得られたシリカ粒子の分散液中の成分のうち、不必要な成分を除去し、必要な成分を添加することで、所望の範囲に設定することができる。
【0073】
シリカゾルは、シリカ粒子及び分散媒以外に、その性能を損なわない範囲において、必要に応じて、酸化剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、pH緩衝剤、界面活性剤、キレート剤、抗菌殺生物剤等の他の成分を含んでもよい。
特に、シリカゾルの保存安定性に優れることから、シリカゾル中に抗菌殺生物剤を含ませることが好ましい。
【0074】
抗菌殺生物剤としては、例えば、過酸化水素、アンモニア、第四級アンモニウム水酸化物、第四級アンモニウム塩、エチレンジアミン、グルタルアルデヒド、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、亜塩素酸ナトリウム等が挙げられる。これらの抗菌殺生物剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの抗菌殺生物剤の中でも、シリカゾルとの親和性に優れることから、過酸化水素が好ましい。
抗菌殺生物剤は、一般に殺菌剤と言われるものも含む。
【0075】
シリカゾル中の抗菌殺生物剤の含有率は、シリカゾル全量100質量%中、0.0001質量%~10質量%が好ましく、0.001質量%~1質量%がより好ましい。シリカゾル中の抗菌殺生物剤の含有率が0.0001質量%以上であると、シリカゾルの保存安定性に優れる。シリカゾル中の抗菌殺生物剤の含有率が10質量%以下であると、シリカゾルの本来の性能を損なわない。
【0076】
シリカゾルのpHは、6.0~8.0が好ましく、6.5~7.8がより好ましい。シリカゾルのpHが6.0以上であると、分散安定性に優れ、シリカ粒子の凝集を抑制することができる。また、シリカゾルのpHが8.0以下であると、シリカ粒子の溶解を防ぎ、長期間の保存安定性に優れる。
シリカゾルのpHは、pH調整剤を添加することで、所望の範囲に設定することができる。
【0077】
(研磨組成物の製造方法)
本発明のシリカ粒子の製造方法で得られたシリカ粒子及び本発明のシリカゾルの製造方法で得られたシリカゾルは、研磨組成物として好適に用いることができる。
本発明の研磨組成物の製造方法は、本発明のシリカゾルの製造方法で製造されたシリカゾルを用いて研磨組成物(以下、「本発明の研磨組成物」と称す場合がある。)を製造する方法である。
本発明の研磨組成物は、前述したシリカゾル及び水溶性高分子を含むことが好ましい。
【0078】
水溶性高分子は、シリコンウェハに代表される被研磨体に対する研磨組成物の濡れ性を高める。水溶性高分子は、水親和性の高い官能基を保有する高分子であることが好ましく、この水親和性の高い官能基とシリカ粒子の表面シラノール基との親和性が高く、研磨組成物中でより近傍にシリカ粒子と水溶性高分子とが安定して分散する。そのため、シリコンウェハに代表される被研磨体への研磨の際、シリカ粒子と水溶性高分子との効果が相乗的に機能する。
【0079】
水溶性高分子としては、例えば、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン骨格を有する共重合体、ポリオキシアルキレン構造を有する重合体等が挙げられる。
【0080】
セルロース誘導体としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、加水分解処理を施したヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
ポリビニルピロリドン骨格を有する共重合体としては、例えば、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとのグラフト共重合体等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン構造を有する重合体としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体等が挙げられる。
【0081】
これらの水溶性高分子は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの水溶性高分子の中でも、シリカ粒子の表面シラノール基との親和性が高く、相乗的に作用して被研磨体の表面に良好な親水性を与えることから、セルロース誘導体が好ましく、ヒドロキシエチルセルロースがより好ましい。
【0082】
水溶性高分子の質量平均分子量は、1,000~3,000,000が好ましく、5,000~2,000,000がより好ましく、10,000~1,000,000が更に好ましい。水溶性高分子の質量平均分子量が1,000以上であると、研磨組成物の親水性が向上する。また、水溶性高分子の質量平均分子量が3,000,000以下であると、シリカゾルとの親和性に優れ、シリコンウェハに代表される被研磨体に対する研磨レートに優れる。
【0083】
水溶性高分子の質量平均分子量は、ポリエチレンオキサイド換算で、0.1mol/LのNaCl溶液を移動相とする条件で、サイズ排除クロマトグラフィーにより測定する。
【0084】
研磨組成物中の水溶性高分子の含有率は、研磨組成物全量100質量%中、0.02質量%~10質量%が好ましく、0.05質量%~5質量%がより好ましい。研磨組成物中の水溶性高分子の含有率が0.02質量%以上であると、研磨組成物の親水性が向上する。また、研磨組成物中の水溶性高分子の含有率が10質量%以下であると、研磨組成物調製時のシリカ粒子の凝集を抑制することができる。
【0085】
研磨組成物は、シリカゾル及び水溶性高分子以外に、その性能を損なわない範囲において、必要に応じて、塩基性化合物、研磨促進剤、界面活性剤、親水性化合物、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、pH緩衝剤、界面活性剤、キレート剤、抗菌殺生物剤等の他の成分を含んでもよい。
特に、シリコンウェハに代表される被研磨体の表面に化学的な作用を与えて化学的研磨(ケミカルエッチング)ができ、シリカ粒子の表面シラノール基との相乗効果により、シリコンウェハに代表される被研磨体の研磨速度を向上させることができることから、研磨組成物中に塩基性化合物を含ませることが好ましい。
【0086】
塩基性化合物としては、例えば、有機塩基性化合物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属炭酸塩、アンモニア等が挙げられる。これらの塩基性化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの塩基性化合物の中でも、水溶性が高く、シリカ粒子や水溶性高分子との親和性に優れることから、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウムが好ましく、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウムがより好ましく、アンモニアが更に好ましい。
【0087】
研磨組成物中の塩基性化合物の含有率は、研磨組成物全量100質量%中、0.001質量%~5質量%が好ましく、0.01質量%~3質量%がより好ましい。研磨組成物中の塩基性化合物の含有率が0.001質量%以上であると、シリコンウェハに代表される被研磨体の研磨速度を向上させることができる。また、研磨組成物中の塩基性化合物の含有率が5質量%以下であると、研磨組成物の安定性に優れる。
【0088】
研磨組成物のpHは、8.0~12.0が好ましく、9.0~11.0がより好ましい。研磨組成物のpHが8.0以上であると、研磨組成物中のシリカ粒子の凝集を抑制することができ、研磨組成物の分散安定性に優れる。また、研磨組成物のpHが12.0以下であると、シリカ粒子の溶解を抑制することができ、研磨組成物の安定性に優れる。
研磨組成物のpHは、pH調整剤を添加することで、所望の範囲に設定することができる。
【0089】
研磨組成物は、本発明のシリカゾルの製造方法で得られたシリカゾル、水溶性高分子、及び、必要に応じて、他の成分を混合することで得られるが、保管、運搬を考慮し、一旦高濃度で調製し、研磨直前に水等で希釈してもよい。
【0090】
(研磨方法)
本発明の研磨方法は、本発明のシリカゾルの製造方法で得られたシリカゾルを含む本発明の研磨組成物を用いて研磨する方法である。
具体的な研磨の方法としては、例えば、シリコンウェハの表面を研磨パッドに押し付け、研磨パッド上に本発明の研磨組成物を滴下し、シリコンウェハの表面を研磨する方法が挙げられる。
【0091】
(半導体ウェハの製造方法)
本発明の半導体ウェハの製造方法は、本発明の研磨方法を含む方法であり、具体的な研磨方法は、前述した通りである。
半導体ウェハとしては、例えば、シリコンウェハ、化合物半導体ウェハ等が挙げられる。
【0092】
(半導体デバイスの製造方法)
本発明の半導体デバイスの製造方法は、本発明の研磨方法を含む方法であり、具体的な研磨方法は、前述した通りである。
【0093】
(用途)
本発明のシリカ粒子の製造方法で得られたシリカ粒子、本発明のシリカゾルの製造方法で得られたシリカゾル、本発明の研磨組成物の製造方法で得られた研磨組成物は、研磨用途に好適に用いることができる。
例えば、シリコンウェハ等の半導体材料の研磨、ハードディスク基板等の電子材料の研磨、集積回路を製造する際の平坦化工程における研磨(化学的機械的研磨)、フォトマスクや液晶に用いる合成石英ガラス基板の研磨、磁気ディスク基板の研磨、Si、Cu、W、Ti、Cr、Co、Zr、Hf、Mo、Ta、Ru、Au、Pt、又はAg等の金属;前記金属の酸化物、窒化物、シリサイド等の金属化合物の研磨等に用いることができる。中でもシリコンウェハの研磨や化学的機械的研磨に特に好適に用いることができる。
【実施例0094】
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
【0095】
(平均1次粒子径の測定)
実施例及び比較例で得られたシリカゾルを150℃で乾燥し、比表面積自動測定装置「BELSORP-MR1」(機種名、マイクロトラック・ベル株式会社)を用いて、シリカ粒子の比表面積を測定した。求められた比表面積から、下記式(1)を用いて平均1次粒子径を算出した。
平均1次粒子径(nm)=6000/(比表面積(m/g)×密度(g/cm))
・・・(1)
【0096】
(平均2次粒子径・cv値の測定)
実施例及び比較例で得られたシリカゾルにおけるシリカ粒子の平均2次粒子径を、動的光散乱粒子径測定装置「ゼーターサイザーナノZS」(機種名、マルバーン社製)を用いて測定し、下記式(2)を用いてcv値を算出した。
cv値=(標準偏差(nm)/平均2次粒子径(nm))×100・・・(2)
【0097】
(会合比の算出)
測定した平均1次粒子径と平均2次粒子径とから、下記式(3)を用いて会合比を算出した。
会合比=平均2次粒子径/平均1次粒子径・・・(3)
【0098】
(主粒子と微粒子のHeywood径及び存在比率)
実施例及び比較例で得られたシリカゾルにおけるシリカ粒子を電界放射型走査電子顕微鏡「S-5200」(機種名、日立ハイテク社製)にて画像を撮った後、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「Mac-View」(ソフト名、マウンテック社製)にて主粒子と微粒子のHeywood径を測定し、その個数分布を元に存在比率を算出した。
【0099】
[実施例1]
テトラメトキシシラン75質量%とメタノール25質量%とを混合した溶液(B)と1.7質量%アンモニア水溶液の溶液(C)とをそれぞれ調液した。
温度計、攪拌機、供給管及び留出ラインを備えた反応槽に、予めメタノール、純水及びアンモニアを混合した溶液(A)を仕込んだ。溶液(A)中のメタノールの濃度を84質量%、溶液(A)中の水の濃度を15質量%、溶液(A)中のアンモニアの濃度を1.0質量%とした。
【0100】
反応液の温度を35℃に保持したまま、溶液(A)36質量%に、溶液(B)51質量%及び溶液(C)13質量%を、150分間かけてそれぞれ等速で添加し、シリカ粒子の含有率が約15質量%のシリカ粒子の分散液を得た。このとき、反応終了時の反応液(シリカ粒子の分散液)のアンモニア濃度が0.59質量%であることを確認した。
その後、反応液の温度を上げることにより濃縮した後、水を添加してメタノールを水で置換した。
これを濾過し、シリカ濃度が約20質量%のシリカ粒子の水分散液を得た。
【0101】
[実施例2]
実施例1と同様に、溶液(B)、溶液(C)、及び溶液(A)を調液した。
反応液の温度を35℃に保持したまま、溶液(A)36質量%に、溶液(B)51質量%及び溶液(C)13質量%を、120分間かけてそれぞれ等速で添加し、シリカ粒子の含有率が約15質量%のシリカ粒子の分散液を得た。このとき、反応終了時の反応液(シリカ粒子の分散液)アンモニア濃度が0.59質量%であることを確認した。
その後、反応液の温度を上げることにより濃縮した後、水を添加してメタノールを水で置換した。
これを濾過し、シリカ濃度が約20質量%のシリカ粒子の水分散液を得た。
【0102】
[実施例3]
実施例1と同様に溶液(B)と溶液(A)を調液した。
また、1.4質量%アンモニア水溶液の溶液(C)を調液した。
反応液の温度を39℃に保持したまま、溶液(A)36質量%に、溶液(B)51質量%及び溶液(C)13質量%を、150分間かけてそれぞれ等速で添加し、シリカ粒子の含有率が約15質量%のシリカ粒子の分散液を得た。このとき、反応終了時の反応液(シリカ粒子の分散液)アンモニア濃度が0.59質量%であることを確認した。
その後、反応液の温度を上げることにより濃縮した後、水を添加してメタノールを水で置換した。
これを濾過し、シリカ濃度が約20質量%のシリカ粒子の水分散液を得た。
【0103】
[比較例1]
実施例1と同様に溶液(B)と溶液(A)を調液した。
また、3.1質量%アンモニア水溶液の溶液(C)を調液した。
反応液の温度を37℃に保持したまま、溶液(A)35質量%に、溶液(B)51質量%及び溶液(C)14質量%を、150分間かけてそれぞれ等速で添加し、シリカ粒子の含有率が約15質量%のシリカ粒子の分散液を得た。このとき、反応終了時の反応液(シリカ粒子の分散液)のアンモニア濃度が0.78質量%であることを確認した。
その後、反応液の温度を上げることにより濃縮した後、水を添加することでメタノールを水で置換した。
これを濾過し、シリカ濃度が約15質量%のシリカ粒子の水分散液を得た。
【0104】
得られたシリカ粒子の水分散液の評価結果を、表1に示す。
【0105】
【表1】
【0106】
表1より明らかなように、実施例1~3では、反応終了時の反応液のアンモニア濃度が0.75質量%以下であり、1回の加水分解反応及び縮合反応で、粒子径が10nm~200nmの主粒子と、粒子径が主粒子の1/2以下の微粒子が混在しているシリカ粒子を製造することができた。
一方、比較例1では、反応終了時の反応液のアンモニア濃度が0.75質量%を超えるため、製造されたシリカ粒子は、主粒子のみのシリカ粒子であった。