(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141925
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】粉粒体分級装置
(51)【国際特許分類】
B07B 1/22 20060101AFI20241003BHJP
B07B 1/54 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B07B1/22 Z
B07B1/54 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053806
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】521297587
【氏名又は名称】UBE三菱セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100211052
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 大輔
(72)【発明者】
【氏名】沖原 洋佑
(72)【発明者】
【氏名】横田 健三
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼砂 玲音
(72)【発明者】
【氏名】宮下 裕之
(72)【発明者】
【氏名】表 誠治
【テーマコード(参考)】
4D021
【Fターム(参考)】
4D021AA15
4D021AB02
4D021AC01
4D021CA11
4D021DB11
4D021DB14
4D021DB20
4D021EA10
(57)【要約】
【課題】粉粒体を安定的に分級する。
【解決手段】
一側面に係る粉粒体分級装置は、粉粒体用の搬送路を画成するスクリーンドラムであり、所定の粒径以下の粉粒体を通過させる多数の孔を有する、該スクリーンドラムと、スクリーンドラム内に軸線に沿って配置され、スクリーンドラムと共に軸線周りに回転して粉粒体を搬送路に沿って搬送するスクリュコンベアと、スクリーンドラムを収容するケーシングと、スクリュコンベアの回転に応じてスクリーンドラムに衝撃を加える打撃装置と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体用の搬送路を画成するスクリーンドラムであり、所定の粒径以下の前記粉粒体を通過させる多数の孔を有する、該スクリーンドラムと、
前記スクリーンドラム内に軸線に沿って配置され、前記スクリーンドラムと共に前記軸線周りに回転して前記粉粒体を前記搬送路に沿って搬送するスクリュコンベアと、
前記スクリーンドラムを収容するケーシングと、
前記スクリュコンベアの回転に応じて前記スクリーンドラムに衝撃を加える打撃装置と、
を備える、粉粒体分級装置。
【請求項2】
前記打撃装置は、前記スクリーンドラムと前記スクリュコンベアとの間で延在するガイド部材と、前記スクリュコンベアの回転に応じて前記ガイド部材に沿って移動して前記スクリュコンベア及び前記スクリーンドラムに衝撃を加える球体とを含む、請求項1に記載の粉粒体分級装置。
【請求項3】
前記スクリーンドラムは、枠体と、前記枠体に固定され、前記多数の孔を有するスクリーンとを含み、
前記スクリュコンベアは、前記軸線に沿って延在する回転軸と、前記回転軸の外周面に取り付けられた羽根部とを含み、
前記ガイド部材は、前記枠体と前記回転軸との間で延在する、請求項2に記載の粉粒体分級装置。
【請求項4】
前記打撃装置を含む複数の打撃装置を備え、
前記複数の打撃装置は、前記スクリーンドラムの周方向において互いに異なる位置で前記スクリーンドラムに衝撃を加える、請求項1又は2に記載の粉粒体分級装置。
【請求項5】
前記打撃装置は、
前記スクリーンドラムの外周面から突出し、前記外周面に対して段差を形成する凸部と、
前記軸線に平行な回転軸周りに回転可能なローラと、
前記ローラを前記スクリーンドラムの外周面に付勢する付勢部材と、
を含む、請求項1に記載の粉粒体分級装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、粉粒体分級装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉粒体を分級するための装置として、特許文献1に記載のスクリーンコンベアが知られている。特許文献1に記載のスクリーンコンベアは、粉粒体を低位から高位に搬送する上段スクリュコンベアと、粉粒体を高位から低位に搬送する下段スクリュコンベアと、上段スクリュコンベアと下段スクリュコンベアとの間に配置されたスクリーンとを備えている。当該上段スクリュコンベアは、スクリーンを通過しなかった大粒径の粉粒体を第1排出口へ搬送し、当該下段スクリュコンベアは、スクリーンを通過した小粒径の粉粒体を第2排出口へ搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記スクリーンコンベアでは、粉粒体がスクリーンを閉塞してスクリーンに目詰まりを発生させることがある。当該スクリーンは、上段スクリュコンベアと下段スクリュコンベアとの間に配置されているので、外部から上段スクリュコンベア又は下段スクリュコンベアを叩いても、スクリーンに衝撃が伝わらず、スクリーンの目詰まりを解消することは困難である。スクリーンの目詰まりは、スクリーンコンベアの連続的な運転を妨げる。
【0005】
そこで本開示は、粉粒体を安定的に分級することが可能な粉粒体分級装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面に係る粉粒体分級装置は、粉粒体用の搬送路を画成するスクリーンドラムであり、所定の粒径以下の粉粒体を通過させる多数の孔を有する、該スクリーンドラムと、スクリーンドラム内に軸線に沿って配置され、スクリーンドラムと共に軸線周りに回転して粉粒体を搬送路に沿って搬送するスクリュコンベアと、スクリーンドラムを収容するケーシングと、スクリュコンベアの回転に応じてスクリーンドラムに衝撃を加える打撃装置と、を備える。
【0007】
上述した粉粒体分級装置は、スクリュコンベアの回転に応じて打撃装置からスクリーンドラムに衝撃が加えられる。スクリーンドラムに衝撃を加えることにより、スクリーンドラムに付着した粉粒体が脱落し、スクリーンドラムの目詰まりが解消される。その結果、粉粒体分級装置の連続的な運転が可能になり、粉粒体を安定的に分級することができる。
【0008】
一態様では、打撃装置は、スクリーンドラムとスクリュコンベアとの間で延在するガイド部材と、スクリュコンベアの回転に応じてガイド部材に沿って移動してスクリュコンベア及びスクリーンドラムに衝撃を加える球体とを含んでもよい。本態様では、スクリュコンベアの回転に伴ってガイド部材が軸線周りに回転すると、重力によってガイド部材に沿って球体が移動し、スクリュコンベア及びスクリーンドラムに衝撃が加えられる。その結果、スクリーンドラムの目詰まりを解消することができる。
【0009】
一態様では、スクリーンドラムは、金属製の枠体と、枠体に取り付けられた多数の孔を有するスクリーンとを含み、スクリュコンベアは、軸線に沿って延在する回転軸と、回転軸の外周面に取り付けられた羽根部とを含み、ガイド部材は、枠体と回転軸との間で延在してもよい。ガイド部材が枠体と回転軸との間で延在することにより、スクリュコンベアの回転に応じて、ガイド部材に沿って球体が移動してスクリーンドラムの枠体に衝撃が加えられる。その結果、スクリーンドラムの目詰まりを解消することができる。
【0010】
一態様では、粉粒体分級装置は、打撃装置を含む複数の打撃装置を備え、複数の打撃装置は、スクリーンドラムの周方向において互いに異なる位置でスクリーンドラムに衝撃を加えてもよい。本態様では、スクリーンドラムの周方向において互いに異なる位置でスクリーンドラムに衝撃を加えているので、スクリーンドラムの目詰まりをより効果的に解消することができる。
【0011】
一態様では、打撃装置は、スクリーンドラムの外周面から突出し、外周面に対して段差を形成する凸部と、軸線に平行な回転軸周りに回転可能なローラと、ローラをスクリーンドラムの外周面に付勢する付勢部材と、を含んでもよい。ローラがスクリーンドラムの外周面に付勢されることにより、スクリーンドラムの回転に応じて凸部を乗り超えたローラがスクリーンドラムの外周面に衝突する。ローラの衝突による衝撃によって、スクリーンドラムに付着した粉粒体が脱落し、スクリーンドラムの目詰まりを解消することができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、安定的に粉粒体を搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態に係る分級装置を概略的に示す図である。
【
図2】スクリーンドラムを概略的に示す斜視図である。
【
図6】別の実施形態に係る分級装置を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において同一要素には同一符号が付され、重複する説明は省略される。図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率及び角度等は図面に記載のものに限定されない。なお、本明細書中の「上」又は「下」との用語は、重力方向を基準としたものである。
【0015】
図1を参照して、一実施形態に係る分級装置について説明する。
図1は、一実施形態に係る分級装置1を概略的に示す図である。なお、
図1中の矢印は、粉粒体Pの搬送方向を表している。
【0016】
分級装置1は、粉粒体Pを搬送しながら分級する粉粒体分級装置である。典型的には、粉粒体Pは、セメント粉末、石膏粉末、クリンカ粉末、石灰石粉末、その他のセメント原料等である。例えばセメントは、所定の粒径以下のセメント原料を調合し、調合されたセメント原料を焼成して製造される。分級装置1は、所定の粒径より大きな粉粒体を取り除くために、粉粒体Pから所定の粒径以下の粉粒体を篩い分ける。
【0017】
図1に示すように、分級装置1は、スクリーンドラム10、スクリュコンベア20、ケーシング30及び複数の打撃装置40を備えている。スクリーンドラム10は、軸線AXを中心軸線とする略円筒形状を有し、その内部に粉粒体Pの搬送路10pを画成する。スクリーンドラム10は、軸線AX周りに回転可能なようにケーシング30内で支持されている。
【0018】
スクリーンドラム10は、第1端部13及び第2端部14を有し、第1端部13と第2端部14との間で軸線AXに沿って延在している。スクリーンドラム10の第1端部13には供給口15が形成され、スクリーンドラム10の第2端部14には排出口16が形成されている。粉粒体Pは、不図示の供給経路を通って供給口15からスクリーンドラム10内に供給される。
【0019】
図2は、スクリーンドラム10を概略的に示す斜視図である。
図2に示すように、スクリーンドラム10は、金属製の枠体11と、当該枠体11に固定されたスクリーン12とを有する。枠体11は、スクリーンドラム10の外縁に沿って設けられており、複数の開口部を形成する。スクリーン12は、当該複数の開口部を覆うように配置された金網であり、スクリーンドラム10の外周面に沿って設けられている。スクリーン12は、所定の粒径以下の粉粒体P1を通過させる多数の孔18を有している。多数の孔18の寸法は、分級すべき粉粒体P1の粒径に応じて設定される。限定されるものではないが、孔18の目開きは、例えば0.3mm~2.0mmである。一実施形態では、孔18の目開きは、搬送路10pの下流側に向かうにつれて小さくなっていてもよい。
【0020】
図1に示すように、スクリュコンベア20は、スクリーンドラム10内に配置され、軸線AXに沿って延在している。スクリュコンベア20は、スクリーンドラム10内で軸線AX周りに回転して、スクリーンドラム10内の粉粒体Pを搬送路10pに沿って搬送する。
図1に示すように、スクリュコンベア20は、回転軸21及び羽根部22を含んでいる。
【0021】
回転軸21は、スクリーンドラム10内に配置され、軸線AXに沿って延在している。回転軸21は、軸線AX周りに回転可能なようにスクリーンドラム10内で支持されている。羽根部22は、回転軸21の外周面に固定され、軸線AXに沿った方向に螺旋状に延在している。羽根部22は、回転軸21の回転に伴って回転軸21と一体的に回転する。後述するように、スクリュコンベア20は、複数の打撃装置40を介してスクリーンドラム10に連結されている。したがって、スクリュコンベア20の回転に伴って、スクリーンドラム10はスクリュコンベア20と一体的に軸線AX周りに回転する。
【0022】
回転軸21には、駆動源23に接続されている。駆動源23は、例えば電動モータであり、スクリュコンベア20を回転させる駆動力を回転軸21に供給する。駆動源23の駆動力によって回転軸21が軸線AX周りに回転すると、スクリーンドラム10内の粉粒体Pが羽根部22によって搬送路10pに沿って第1端部13から第2端部14に向けて搬送される。
【0023】
搬送路10pに沿って粉粒体Pが搬送される過程で、粉粒体Pのうち所定の粒径以下の粉粒体P1は、スクリーンドラム10に形成された多数の孔18を通ってスクリーンドラム10の外部に落下する。一方、粉粒体Pのうち所定の粒径よりも大きな粉粒体P2は、多数の孔18を通過せず、スクリーンドラム10の第2端部14まで搬送される。第2端部14まで搬送された粉粒体P2は、排出口16から不図示の排出経路を通って分級装置1の外部に排出される。
【0024】
ケーシング30は、上面31、側面32及び底面33を含み、その内部にスクリーンドラム10を収容している。ケーシング30の底面33には、粉粒体Pから分級された粉粒体P1を排出する排出口35が形成されている。底面33は、多数の孔18を通過してスクリーンドラム10から落下した粉粒体P1を排出口35に案内するように傾斜していてもよい。
【0025】
複数の打撃装置40は、スクリーンドラム10の目詰まりを解消するために、スクリュコンベア20の回転に応じてスクリーンドラム10に衝撃を加える。
図3は、例示的な打撃装置40を示す斜視図である。
図3に示すように、打撃装置40は、複数のガイド部材41、球体42、第1筒体43及び第2筒体44を有している。
【0026】
複数のガイド部材41の各々は、軸線AXに垂直な軸線Zに沿って延在している。軸線Zの延在方向は、スクリーンドラム10の径方向に平行である。すなわち、複数のガイド部材41は、スクリーンドラム10とスクリュコンベア20との間でスクリーンドラム10の径方向に延在する。複数のガイド部材41の一端は、第1筒体43に連結されている。複数のガイド部材41の他端は、第2筒体44に連結されている。複数のガイド部材41は、軸線Z周りの周方向に配列され、複数のガイド部材41の内側には軸線Zに沿って延在する球体42用の通路45が形成される。
【0027】
球体42は、スクリュコンベア20の回転に応じてスクリーンドラム10及びスクリュコンベア20に衝撃を加える金属球である。球体42は、軸線Z周りの周方向において互いに隣接する2つのガイド部材41間の間隔よりも大きな直径を有し、複数のガイド部材41によって画成された通路45内に配置されている。言い換えれば、複数のガイド部材41は、軸線Zに対する放射方向の外側から球体42を包囲している。球体42は、スクリュコンベア20の回転に伴って打撃装置40が軸線AX周りに回転することにより、複数のガイド部材41に沿って通路45内で移動する。
【0028】
第1筒体43は、軸線Zを中心とする略円筒形状を呈し、球体42の直径よりも大きな直径の開口を有している。第1筒体43には、金属製のブラケット46が連結されている。ブラケット46は、溶接又はボルト締結等によりスクリーンドラム10の枠体11に連結される。その結果、打撃装置40がスクリーンドラム10に連結される。
【0029】
第2筒体44は、軸線Zを中心とする略円筒形状を呈している。第2筒体44の下部は、閉塞されている。第1筒体43には、金属製のブラケット47が連結されている。ブラケット47は、溶接等によりスクリュコンベア20の回転軸21に連結される。これにより、軸線Zがスクリーンドラム10の径方向に向けられた状態で、打撃装置40がスクリーンドラム10及びスクリュコンベア20に連結される。
【0030】
一実施形態では、複数の打撃装置40は、軸線AX周りの周方向において互いに異なる位置でスクリーンドラム10に連結されていてもよい。
図4は、
図1のIV-IV線に沿った概略的な断面図である。なお、説明の便宜上、
図4では、スクリュコンベア20の羽根部22を省略して図示している。
【0031】
複数の打撃装置40のうち3つの打撃装置40A,40B,40Cを1セットの打撃装置40としたときに、
図4に示すように、1セットの打撃装置40A,40B,40Cは、軸線AX周りの周方向において120°ずつずれた位置に配置されている。1セットの打撃装置40A,40B,40Cの各々は、軸線Zがスクリーンドラム10の径方向に向けられた状態でスクリーンドラム10及びスクリュコンベア20に連結されている。
【0032】
図1に示すように、複数の打撃装置40は、複数セットの打撃装置40を含み、複数セットの打撃装置40は、軸線AXに沿った方向において互いに間隔を空けて配置されていてもよい。
【0033】
上述したように、スクリーンドラム10とスクリュコンベア20は複数の打撃装置40によって互いに連結されているため、スクリュコンベア20が回転すると、スクリーンドラム10はスクリュコンベア20と共に軸線AX周りに回転する。スクリュコンベア20の回転により、スクリーンドラム10内の粉粒体Pは搬送路10pに沿って第1端部13から第2端部14へ搬送される。粉粒体Pが搬送される過程で、粉粒体Pのうち所定の粒径以下の粉粒体P1は、スクリーンドラム10に形成された多数の孔18を通過してケーシング30の底面33に落下し、排出口35から排出される。
【0034】
次に、
図5(a)~(c)を参照して、複数の打撃装置40の動作について説明する。
図5(a)に示すように、スクリュコンベア20と共にスクリーンドラム10が回転方向Rに回転すると、スクリーンドラム10及びスクリュコンベア20に連結された1セットの打撃装置40A,40B,40Cが軸線AX周りに回転する。なお、スクリュコンベア20の回転速度は、球体42に作用する遠心力が重力よりも小さくなるように調整される。
【0035】
図5(b)に示すように、スクリュコンベア20の回転方向Rへの回転によって、打撃装置40Aの第1筒体43が第2筒体44よりも上方に配置されると、重力によって打撃装置40Aの球体42が複数のガイド部材41に沿ってスクリュコンベア20に向けて移動し、第2筒体44を介してスクリュコンベア20の回転軸21に衝突する。その結果、回転軸21に衝撃が加えられる。同様に、打撃装置40B,40Cの球体42も、打撃装置40B,40Cの軸線Zの向きに応じた方向に移動する。
【0036】
スクリュコンベア20が回転方向Rへ更に回転し、
図5(c)に示すように、打撃装置40Aの第1筒体43が第2筒体44よりも下方に配置されると、重力によって打撃装置40Aの球体42が複数のガイド部材41に沿ってスクリーンドラム10に向けて移動し、スクリーンドラム10の枠体11に衝突する。その結果、スクリーンドラム10の枠体11に衝撃が加えられる。スクリーンドラム10に衝撃が加えられることで、スクリーンドラム10に付着した粉粒体Pが脱落して、スクリーンドラム10の目詰まりが解消される。同様に、打撃装置40B,40Cの球体42も、スクリーンドラム10の回転に応じて、数のガイド部材41に沿って移動し、スクリーンドラム10の周方向において互いに異なる位置でスクリーンドラム10に衝撃を加える。
【0037】
以上説明したように、上述した分級装置1では、スクリュコンベア20の回転に応じて複数の打撃装置40によってスクリーンドラム10に衝撃を加えることにより、スクリーンドラム10の目詰まりを解消することができる。その結果、スクリーンドラム10の目詰まりによる分級装置1の運転停止を防止することができ、粉粒体Pを安定的に分級することが可能となる。
【0038】
また、複数の打撃装置40の球体42は、スクリュコンベア20の回転に応じて、重力によって複数のガイド部材41に沿って移動するため、スクリュコンベア20の駆動源23とは別の駆動源を用いることなく、スクリーンドラム10に衝撃を加えることができる。したがって、分級装置1の部品点数の増加を防ぎつつ、スクリーンドラム10の目詰まりを解消することができる。
【0039】
なお、上述した分級装置1では、複数の打撃装置40の球体42をスクリーンドラム10に衝突させることでスクリーンドラム10の目詰まりを解消しているが、球体42を用いずにスクリーンドラム10に衝撃を加えてもよい。以下、
図6を参照して、別の実施形態に係る分級装置について説明する。
【0040】
図6は、別の実施形態に係る分級装置1Aを概略的に示す断面図である。以下の説明では、上述した分級装置1との相違点について主に説明し、重複する説明は省略する。
【0041】
図6に示すように、分級装置1Aは、打撃装置40に代えて打撃装置50を備えている点で分級装置1と相違する。打撃装置50は、凸部51、ローラ52及び付勢部材53を備えている。
【0042】
凸部51は、スクリーンドラム10の外周面10a上に設けられ、当該外周面10aから径方向に突出している。凸部51は、略三角形状の断面形状を有している。凸部51は、スクリーンドラム10の外周面10aに対して滑らかに傾斜する傾斜面54と、外周面10aと傾斜面54との間に段差を形成する段差面55とを有している。スクリーンドラム10の径方向における凸部51の厚みは、回転方向Rの下流側に向かうにつれて大きくなっている。
【0043】
ローラ52は、スクリーンドラム10の外周面に接触している。ローラ52は、軸線AXに平行に延びる回転軸52a周りに回転可能であり、スクリーンドラム10が軸線AX周りに回転したときにスクリーンドラム10の外周面10a上を転動する。
【0044】
付勢部材53は、スクリーンドラム10の外部に配置され、ケーシング30に固定されている。付勢部材53は、板バネ等の弾性部材であり、スクリーンドラム10の外周面10a上でローラ52を支持している。付勢部材53は、ローラ52をスクリーンドラム10の外周面10aに付勢している。
【0045】
図7(a),(b)を参照して、打撃装置50の動作について説明する。分級装置1Aのスクリーンドラム10が回転方向Rに回転すると、ローラ52は、スクリーンドラム10の外周面10a上を転動し、
図7(a)に示すように、凸部51の傾斜面54に乗り上げる。ローラ52が凸部51に乗り上げると、ローラ52が上方に移動し、付勢部材53に弾性エネルギーが蓄積される。スクリーンドラム10が回転方向Rに更に回転してローラ52が凸部51を乗り越えると、
図7(b)に示すように、付勢部材53の弾性エネルギーが解放されローラ52がスクリーンドラム10の外周面10aに衝突する。その結果、スクリーンドラム10に衝撃が加えられ、スクリーンドラム10の目詰まりが解消される。
【0046】
上述した分級装置1Aでも、スクリュコンベア20の回転に応じて打撃装置50によってスクリーンドラム10に衝撃を加えることにより、スクリーンドラム10の目詰まりを解消させることができる。したがって、粉粒体Pを安定的に分級することが可能である。特に、
図3に示す打撃装置40では、スクリーンドラム10の直径が小さい場合には球体42の落下距離が小さくなるため、スクリーンドラム10に加えられる衝撃が小さくなる。これに対し、打撃装置50によれば、スクリーンドラム10の直径が小さい場合であっても、スクリーンドラム10に十分な衝撃を加えることが可能である。
【0047】
以上、種々の実施形態に係る分級装置について説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形態様を構成可能である。すなわち、上述した実施形態は例示説明を目的とするものであり、本発明の範囲を制限するものではないことに留意すべきである。
【0048】
例えば、上述した分級装置1は複数の打撃装置40を備えているが、分級装置1は少なくとも1つの打撃装置40を備えていればよい。少なくとも1つの打撃装置40を備えていれば、スクリーンドラム10に衝撃を加えて目詰まりを解消させることができる。また、打撃装置40は、スクリーンドラム10の枠体11ではなく、スクリーン12に衝撃を加えてもよい。
【0049】
本開示は以下の内容を含む。
[1] 粉粒体用の搬送路を画成するスクリーンドラムであり、所定の粒径以下の前記粉粒体を通過させる多数の孔を有する、該スクリーンドラムと、
前記スクリーンドラム内に軸線に沿って配置され、前記スクリーンドラムと共に前記軸線周りに回転して前記粉粒体を前記搬送路に沿って搬送するスクリュコンベアと、
前記スクリーンドラムを収容するケーシングと、
前記スクリュコンベアの回転に応じて前記スクリーンドラムに衝撃を加える打撃装置と、
を備える、粉粒体分級装置。
[2] 前記打撃装置は、前記スクリーンドラムと前記スクリュコンベアとの間で延在するガイド部材と、前記スクリュコンベアの回転に応じて前記ガイド部材に沿って移動して前記スクリュコンベア及び前記スクリーンドラムに衝撃を加える球体とを含む、[1]に記載の粉粒体分級装置。
[3] 前記スクリーンドラムは、枠体と、前記枠体に固定され、前記多数の孔を有するスクリーンとを含み、
前記スクリュコンベアは、前記軸線に沿って延在する回転軸と、前記回転軸の外周面に取り付けられた羽根部とを含み、
前記ガイド部材は、前記枠体と前記回転軸との間で延在する、[2]に記載の粉粒体分級装置。
[4] 前記打撃装置を含む複数の打撃装置を備え、
前記複数の打撃装置は、前記スクリーンドラムの周方向において互いに異なる位置で前記スクリーンドラムに衝撃を加える、[1]~[3]の何れか一項に記載の粉粒体分級装置。
[5] 前記打撃装置は、
前記スクリーンドラムの外周面から突出し、前記外周面に対して段差を形成する凸部と、
前記軸線に平行な回転軸周りに回転可能なローラと、
前記ローラを前記スクリーンドラムの外周面に付勢する付勢部材と、
を含む、[1]に記載の粉粒体分級装置。
【符号の説明】
【0050】
10…スクリーンドラム、10a…外周面、10p…搬送路、11…枠体、12…スクリーン、18…多数の孔、20…スクリュコンベア、21…回転軸、22…羽根部、30…ケーシング、40,40A,40B,40C,50…打撃装置、41…ガイド部材、42…球体、51…凸部、52…ローラ、53…付勢部材、AX…軸線、P,P1,P2…粉粒体。