(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141930
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】廃棄物処理システム及び廃棄物処理方法
(51)【国際特許分類】
B29B 17/04 20060101AFI20241003BHJP
B29B 17/02 20060101ALI20241003BHJP
B02C 13/04 20060101ALI20241003BHJP
B02C 23/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B29B17/04
B29B17/02
B02C13/04
B02C23/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053812
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】521297587
【氏名又は名称】UBE三菱セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100211052
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 大輔
(72)【発明者】
【氏名】丸尾 恒範
(72)【発明者】
【氏名】今田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】安部 健剛
(72)【発明者】
【氏名】表 誠治
(72)【発明者】
【氏名】霜出 修
(72)【発明者】
【氏名】藤田 郁夫
【テーマコード(参考)】
4D065
4D067
4F401
【Fターム(参考)】
4D065AA01
4D065EB02
4D065EB14
4D065ED13
4D065ED22
4D065EE07
4D065EE08
4D067EE04
4D067EE14
4D067GA10
4D067GA16
4F401AA27
4F401AB10
4F401BA13
4F401CA14
4F401CA17
4F401CA22
4F401CB24
4F401CB26
4F401CB35
(57)【要約】
【課題】廃棄物を安定的に処理する。
【解決手段】
一側面に係る廃棄物処理システムは、廃プラスチックを含む廃棄物を破砕する破砕機と、破砕機によって破砕された廃棄物を貯留する貯蔵タンクと、貯蔵タンクから廃棄物を排出するスクリュコンベアを有する排出装置と、を備え、スクリュコンベアは、軸線周りに回転可能な軸部と軸部の外周面に取り付けられた羽根部とを含み、スクリュコンベアの軸部及び羽根部の表面には、軸部及び羽根部の耐摩耗性よりも高い耐摩耗性を有する硬化層が形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチックを含む廃棄物を破砕する破砕機と、
前記破砕機によって破砕された前記廃棄物を貯留する貯蔵タンクと、
前記貯蔵タンクから前記廃棄物を排出するスクリュコンベアを有する排出装置と、
を備え、
前記スクリュコンベアは、軸線周りに回転可能な軸部と前記軸部の外周面に取り付けられた羽根部とを含み、
前記スクリュコンベアの前記軸部及び前記羽根部の表面には、前記軸部及び前記羽根部の耐摩耗性よりも高い耐摩耗性を有する硬化層が形成されている、廃棄物処理システム。
【請求項2】
前記破砕機によって破砕された前記廃棄物から異物を除去する選別装置を更に備える、請求項1に記載の廃棄物処理システム。
【請求項3】
前記廃棄物の搬送方向において前記破砕機の上流側に設けられ、前記廃棄物を破砕する粗破砕機と、
前記粗破砕機によって破砕された前記廃棄物を前記破砕機に向けて搬送する第1搬送装置と、
を更に備える、請求項1又は2に記載の廃棄物処理システム。
【請求項4】
前記破砕機は、前記廃棄物に打撃を加えて前記廃棄物を破砕するハンマ装置と、前記ハンマ装置を駆動する駆動源と、前記駆動源の負荷を検出する負荷検出装置とを含み、
前記駆動源の負荷が基準値を超えたときに、前記破砕機への前記廃棄物の投入量が減少するように前記第1搬送装置を制御する制御装置を更に備える、請求項3に記載の廃棄物処理システム。
【請求項5】
前記破砕機は、前記廃棄物を破砕するハンマ装置を収容する破砕室と前記破砕室に連通する異物排出路とを画成する筐体と、前記破砕室と前記異物排出路との間に設けられた異物排出ゲートとを含み、
前記異物排出ゲートは、前記破砕室から前記異物排出路への前記廃棄物の移動を規制する閉位置と、前記破砕室から前記異物排出路への前記廃棄物の移動を許容する開位置との間で移動可能である、請求項1又は2に記載の廃棄物処理システム。
【請求項6】
前記破砕機によって破砕された前記廃棄物を搬送する第2搬送装置と、
前記第2搬送装置から移載された前記廃棄物を前記貯蔵タンクに向けて搬送する第3搬送装置と、
前記第2搬送装置と前記第3搬送装置との間に設けられた移載装置と、
を更に備え、
前記移載装置は、前記廃棄物を前記第2搬送装置から前記第3搬送装置に移載する移載シュートと、前記廃棄物を系外に排出する排出シュートと、移載位置と排出位置との間で移動可能なダンパとを含み、
前記ダンパは、前記移載位置に配置されたときに前記移載シュートを介して前記廃棄物を前記第2搬送装置から前記第3搬送装置に移載させ、前記排出位置に配置されたときに前記廃棄物を前記排出シュートに案内する、請求項5に記載の廃棄物処理システム。
【請求項7】
前記異物排出ゲートが前記閉位置に配置されたときに前記ダンパが前記移載位置に配置され、前記異物排出ゲートが前記開位置に配置されたときに前記ダンパが前記排出位置に配置されるように、前記ダンパを制御する制御装置を更に備える、請求項6に記載の廃棄物処理システム。
【請求項8】
廃プラスチックを含む廃棄物を破砕機に投入する工程と、
前記破砕機のハンマ装置で前記廃棄物に打撃を加えて前記廃棄物を破砕する工程と、
破砕された前記廃棄物を貯蔵タンクに搬送する工程と、
回転可能な軸部と前記軸部の外周面に取り付けられた羽根部とを有するスクリュコンベアによって、前記貯蔵タンク内の前記廃棄物を前記貯蔵タンクから排出する工程であり、前記スクリュコンベアの前記軸部及び前記羽根部の表面には、前記軸部及び前記羽根部の耐摩耗性よりも高い耐摩耗性を有する硬化層が形成されている、該工程と、
を含む、廃棄物処理方法。
【請求項9】
前記ハンマ装置の駆動源の負荷を検出する工程と、
前記駆動源の負荷が基準値を超えたときに、前記破砕機に対する前記廃棄物の投入量を減少させる工程と、
を更に含む、請求項8に記載の廃棄物処理方法。
【請求項10】
前記破砕機は、前記ハンマ装置を収容する破砕室と前記破砕室に連通する異物排出路とを画成する筐体と、前記破砕室と前記異物排出路との間に設けられた異物排出ゲートとを含み、
前記異物排出ゲートは、前記破砕室から前記異物排出路への前記廃棄物の移動を規制する閉位置と、前記破砕室から前記異物排出路への前記廃棄物の移動を許容する開位置と、の間で移動可能であり、
前記異物排出ゲートが前記開位置に配置されたときに、前記破砕機から排出された前記廃棄物を系外に排出する工程を更に含む、請求項8又は9に記載の廃棄物処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、廃棄物処理システム及び廃棄物処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境負荷を低減するために、廃棄物に含まれる廃プラスチックを化石燃料の代替燃料として工場等(セメントの焼成炉等)で使用する試みが行われている。例えば、特許文献1は、廃プラスチックを含む廃棄物を風力選別する風力選別機と、風力選別された軽量分の廃棄物を粗破砕する粗破砕機と、粗破砕された廃棄物から金属を除去する磁選機と、金属が除去された軽量分の廃棄物を微破砕する微破砕機と、微破砕された廃棄物を貯留する貯蔵タンクと、貯蔵タンクから排出された廃棄物をバーナー吹込み用の燃料としてセメント焼成設備の仮焼炉に搬送する輸送装置とを備える処理装置について記載されている。
【0003】
また、引用文献2には、金属、木材及びプラスチックを含む廃棄物に衝撃を与えて破砕し、破砕された廃棄物から金属を除去し、金属が除去された破砕物を更に粉砕してから高炉に吹込み燃料として供給する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-194860号公報
【特許文献2】特開2005-211843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、リサイクル燃料として使用可能な廃プラスチックの需要が増加している。したがって、異物の混入が少ない良質な廃プラスチックだけでなく、自動車又は家電由来のシュレッダーダストのように、金属、土石等の異物を含む廃棄物から廃プラスチックを回収して有効活用することが望ましい。しかしながら、異物が混入する廃棄物を処理する場合には、廃棄物を処理する過程で異物が廃棄物処理システムの設備に衝突し、設備に損傷を与える恐れがある。設備の損傷は、廃棄物処理システムの処理を停止させる原因となる。
【0006】
したがって、本開示は、廃棄物を安定的に処理可能な廃棄物処理システム及び廃棄物処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一側面に係る廃棄物処理システムは、廃プラスチックを含む廃棄物を破砕する破砕機と、破砕機によって破砕された廃棄物を貯留する貯蔵タンクと、貯蔵タンクから廃棄物を排出するスクリュコンベアを有する排出装置と、を備え、スクリュコンベアは、軸線周りに回転可能な軸部と軸部の外周面に取り付けられた羽根部とを含み、スクリュコンベアの軸部及び羽根部の表面には、軸部及び羽根部の耐摩耗性よりも高い耐摩耗性を有する硬化層が形成されている。
【0008】
破砕機によって破砕された廃棄物に金属等の異物が混入している場合には、貯蔵タンクから当該廃棄物を排出するときに、異物がスクリュコンベアに接触してスクリュコンベアの軸部及び羽根部を摩耗させる恐れがある。スクリュコンベアが摩耗すると、スクリュコンベアの搬送能力が低下する。その結果、貯蔵タンクから廃棄物を排出できなくなり、システムの稼動が停止する恐れがある。これに対し、本側面に係る廃棄物処理システムでは、スクリュコンベアの回転軸及び羽根部の表面に耐摩耗性を有する硬化層が形成されているので、スクリュコンベアの摩耗が抑制される。したがって、廃棄物処理システムの稼働停止が抑制され、安定的に廃棄物を処理することが可能となる。
【0009】
一態様では、廃棄物処理システムは、破砕機によって破砕された廃棄物から異物を除去する選別装置を更に備えていてもよい。本態様では、破砕物から異物が除去されるので、スクリュコンベアの摩耗をより効果的に抑制することができる。
【0010】
一態様では、廃棄物処理システムは、廃棄物の搬送方向において破砕機の上流側に設けられ、廃棄物を破砕する粗破砕機と、粗破砕機によって破砕された廃棄物を破砕機に向けて搬送する第1搬送装置と、を更に備えてもよい。例えば廃棄物が圧縮されて梱包されている場合には、粗破砕機によって廃棄物を粗破砕してから、当該廃棄物を破砕機を用いて破砕することにより、廃棄物を安定的に破砕することができる。
【0011】
一態様では、破砕機は、廃棄物に打撃を加えて廃棄物を破砕するハンマ装置と、ハンマ装置を駆動する駆動源と、駆動源の負荷を検出する負荷検出装置とを含み、駆動源の負荷が基準値を超えたときに、破砕機への廃棄物の投入量が減少するように第1搬送装置を制御する制御装置を更に備えてもよい。廃棄物に多量の異物が混入している場合や、破砕機に過剰な廃棄物が投入された場合には、破砕機が過負荷になり、破砕機の稼動が停止する恐れがある。これに対し、本態様では、ハンマ装置を駆動する駆動源の負荷が基準値を超えたときに、破砕機への廃棄物の投入量を減少させているので、駆動源を安定的に稼動させることが可能となる。
【0012】
一態様では、破砕機は、廃棄物を破砕するハンマ装置を収容する破砕室と破砕室に連通する異物排出路とを画成する筐体と、破砕室と異物排出路との間に設けられた異物排出ゲートとを含み、異物排出ゲートは、破砕室から異物排出路への廃棄物の移動を規制する閉位置と、破砕室から異物排出路への廃棄物の移動を許容する開位置との間で移動可能であってもよい。本態様では、異物排出ゲートを開位置に配置することにより、破砕機によって破砕されなかった異物を異物排出路から排出することができる。
【0013】
一態様では、廃棄物処理システムは、破砕機によって破砕された廃棄物を搬送する第2搬送装置と、第2搬送装置から移載された廃棄物を貯蔵タンクに向けて搬送する第3搬送装置と、第2搬送装置と第3搬送装置との間に設けられた移載装置と、を更に備え、移載装置は、廃棄物を第2搬送装置から第3搬送装置に移載する移載シュートと、廃棄物を系外に排出する排出シュートと、移載位置と排出位置との間で移動可能なダンパとを含み、ダンパは、移載位置に配置されたときに移載シュートを介して廃棄物を第2搬送装置から第3搬送装置に移載させ、排出位置に配置されたときに廃棄物を排出シュートに案内してもよい。本態様では、ダンパを排出位置に配置することにより、排出シュートを介して当該廃棄物を廃棄物処理システムの系外に排出することができる。
【0014】
一態様では、異物排出ゲートが閉位置に配置されたときにダンパが移載位置に配置され、異物排出ゲートが開位置に配置されたときにダンパが排出位置に配置されるように、ダンパを制御する制御装置を更に備えてもよい。異物排出ゲートが開位置であるときに、ダンパが排出位置に配置されるように制御する制御装置を更に備えていてもよい。異物排出ゲートが開位置に配置されている場合には、破砕機から破砕されなかった異物が排出される。この場合に、ダンパを排出位置に配置することにより、破砕機から排出された異物を系外に排出することができる。
【0015】
一側面に係る廃棄物処理方法は、廃プラスチックを含む廃棄物を破砕機に投入する工程と、破砕機のハンマ装置で廃棄物に打撃を加えて廃棄物を破砕する工程と、破砕された廃棄物を貯蔵タンクに搬送する工程と、回転可能な軸部と軸部の外周面に取り付けられた羽根部とを有するスクリュコンベアによって、貯蔵タンク内の廃棄物を貯蔵タンクから排出する工程であり、スクリュコンベアの軸部及び羽根部の表面には、軸部及び羽根部の耐摩耗性よりも高い耐摩耗性を有する硬化層が形成されている、該工程と、を含む。
【0016】
上述のように、一側面に係る廃棄物処理方法によれば、廃棄物を安定的に処理することが可能となる。
【0017】
一態様では、ハンマ装置の駆動源の負荷を検出する工程と、駆動源の負荷が基準値を超えたときに、破砕機に対する廃棄物の投入量を減少させる工程と、を更に含んでもよい。本態様では、駆動源の負荷が基準値を超えたときに、破砕機への廃棄物の投入量が減少されるので、安定的に廃棄物を破砕することができる。
【0018】
一態様では、破砕機は、ハンマ装置を収容する破砕室と破砕室に連通する異物排出路とを画成する筐体と、破砕室と異物排出路との間に設けられた異物排出ゲートとを含み、異物排出ゲートは、破砕室から異物排出路への廃棄物の移動を規制する閉位置と、破砕室から異物排出路への廃棄物の移動を許容する開位置と、の間で移動可能であり、異物排出ゲートが開位置に配置されたときに、破砕機から排出された廃棄物を系外に排出する工程を更に含んでいてもよい。異物排出ゲートが開位置に配置されたときに、破砕機から排出された廃棄物を系外に排出することにより、異物が貯蔵タンクへ搬送されることを防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、廃棄物を安定的に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】一実施形態に係る廃棄物処理システムを概略的に示す図である。
【
図6】一実施形態に係る廃棄物処理方法を示すフローチャートである。
【
図7】廃棄物処理システムの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[本開示の実施形態の例示]
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において同一要素には同一符号が付され、重複する説明は省略される。図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率及び角度等は図面に記載のものに限定されない。なお、本明細書中の「上流」又は「下流」との用語は、廃棄物の搬送方向を基準としたものである。
【0022】
図1を参照して、一実施形態に係る廃棄物処理システムについて説明する。
図1は、一実施形態に係る廃棄物処理システム1を概略的に示す図である。なお、
図1中の矢印は、廃棄物Wの搬送方向を表している。
【0023】
廃棄物処理システム1は、廃棄物Wを処理して当該廃棄物Wから廃プラスチックPを回収する。廃棄物Wは、例えば自動車由来のシュレッダーダスト、家電由来のシュレッダーダスト又は都市ゴミであり、廃プラスチックP及び異物Fを含んでいる。廃プラスチックPは、可燃性の合成樹脂であり、化石燃料の代替燃料として使用される。異物Fは、金属片、土石又は木材等である。
【0024】
図1に示すように、廃棄物処理システム1は、第1破砕機(粗破砕機)2、第2破砕機(破砕機)3、選別装置4、貯蔵タンク5、排出装置6、搬送装置Cv1,Cv2,Cv3,Cv4,Cv5、及び、制御装置10を備えている。第1破砕機2は、圧縮して梱包された廃棄物Wを粗破砕する粗破砕機である。第1破砕機2は、例えば二軸せん断式破砕機である。二軸せん断式破砕機は、互いに平行に延在する一対の回転軸を有し、当該一対の回転軸に取り付けられたカッターにより、廃棄物Wを引き裂いて破砕する。なお、第1破砕機2は、一軸せん断式破砕機であってもよい。
【0025】
搬送装置(第1搬送装置)Cv1は、第1破砕機2と第2破砕機3との間に配置され、第1破砕機2によって粗破砕された廃棄物Wを第2破砕機3に向けて搬送する。搬送装置Cv1は、例えばベルトコンベアである。搬送装置Cv1は、第1破砕機2によって粗破砕された廃棄物Wをフィーダ7に移載する。フィーダ7は、振動フィーダであり、搬送装置Cv1によって搬送された廃棄物Wを第2破砕機3に投入する。
【0026】
第2破砕機3は、フィーダ7から投入された廃棄物Wを細破砕する細破砕機である。第2破砕機3は、打撃を加えて廃棄物Wを破砕する回転ハンマ式の破砕機である。
【0027】
図2は、第2破砕機3を概略的に示す断面図である。
図2に示すように、第2破砕機3は、筐体11、ハンマ装置12、スクリーン13及び異物排出ゲート14を備えている。筐体11は、その内部に破砕室21及び異物排出路22を画成する。破砕室21は、廃棄物Wを破砕するための空間である。異物排出路22は、廃棄物Wに含まれる異物Fを排出するための通路である。
【0028】
筐体11は、投入口21a及び排出口21bを有している。投入口21aは、破砕室21の上部に設けられ、破砕室21に連通している。廃棄物Wは、フィーダ7から投入口21aを介して破砕室21に投入される。排出口21bは、破砕室21に連通するように、破砕室21の下部に設けられている。ハンマ装置12によって破砕された廃棄物Wは、排出口21bを通して排出される。
【0029】
ハンマ装置12は、破砕室21内に配置され、破砕室21内で廃棄物Wを破砕する。ハンマ装置12は、回転軸25、ロータ26及び複数のハンマ27を含んでいる。回転軸25は、破砕室21内で回転可能に支持されている。ロータ26は、円筒形状を有し、回転軸25の外周を覆うように回転軸25の軸線方向に延在している。ロータ26は、回転軸25に固定され、回転軸25と一体的に回転する。
【0030】
複数のハンマ27は、ロータ26の外周面から径方向に突出するように、ロータ26に固定されている。複数のハンマ27は、例えば金属製であり、ロータ26の周方向に所定の間隔で配列されている。複数のハンマ27は、回転軸25の軸線方向にも所定の間隔で配列されていてもよい。
【0031】
ハンマ装置12の回転軸25には、駆動源28が接続されている。駆動源28は、例えば電動モータであり、回転軸25を軸線周りに回転させる。駆動源28が駆動すると、複数のハンマ27が回転軸25周りに回転し、破砕室21内の廃棄物Wに衝突して打撃を加える。廃棄物Wは、複数のハンマ27が衝突することにより破砕される。
【0032】
スクリーン13は、破砕室21内でハンマ装置12と排出口21bとの間に配置されている。スクリーン13は、ハンマ27の先端の回転軌跡に沿って湾曲する板状体である。スクリーン13は、複数の貫通孔13aを有する。貫通孔13aは、例えば、35mm×70mm程度の長方形状を呈していてもよい。ハンマ装置12を用いて破砕された廃棄物Wのうち複数の貫通孔13aの寸法よりも小さな廃棄物Wは、複数の貫通孔13aを通過して排出口21bから排出される。排出口21bから排出された廃棄物Wは、搬送装置Cv2に向けて落下する。換言すれば、廃棄物Wは、ハンマ装置12によって貫通孔13aの寸法よりも小さな寸法になるまでスクリーン13を通過できず、破砕室21内に留められる。
【0033】
異物排出路22は、ハンマ装置12の打撃では破砕されない異物Fをスクリーン13を迂回して第2破砕機3から排出する。
図2に示すように、異物排出路22は略L字状を呈し、異物排出路22の上端は破砕室21に連通している。異物排出路22の下端には、排出口22aが形成されている。排出口22aは、異物排出路22から異物Fを排出する。
【0034】
異物排出ゲート14は、破砕室21と異物排出路22との間に配置されている。異物排出ゲート14は、筐体11内に配置された回転軸14aに連結されている。回転軸14aは、ハンマ装置12の回転軸25に平行に延在し、筐体11の内部で回転可能に支持されている。回転軸14aには、不図示の駆動源が接続され、当該駆動源の駆動によって回転軸14aが回転する。
【0035】
異物排出ゲート14は、回転軸14aの回転に応じて回転軸25を中心に旋回する。異物排出ゲート14は、回転軸25を中心に旋回することにより、閉位置P1と開位置P2との間で移動する。異物排出ゲート14が閉位置P1に配置されている場合には、破砕室21と異物排出路22との間に異物排出ゲート14が介在し、破砕室21と異物排出路22との連通が遮断される。その結果、破砕室21から異物排出路22への廃棄物Wの移動が規制される。一方、異物排出ゲート14が開位置P2に配置されている場合には、破砕室21と異物排出路22とが連通される。その結果、破砕室21から異物排出路22への廃棄物Wの移動が許容される。異物排出ゲート14の開閉は、制御装置10によって制御される。
【0036】
第2破砕機3は、ハンマ装置12の駆動源28の負荷を検出する負荷検出装置29を更に備えている。廃棄物Wに多量の異物が混入している場合や、廃棄物Wの投入量が多い場合には、ハンマ装置12の回転抵抗力が大きくなり、第2破砕機3の負荷が増加する。負荷検出装置29は、駆動源28の負荷を検出して、検出した負荷を示す情報を制御装置10に送信する。駆動源28が電動モータである場合には、負荷検出装置29は、駆動源28の負荷電流を駆動源28の負荷として検出する。
【0037】
再び
図1を参照する。搬送装置Cv2,Cv3,Cv4は、第2破砕機3から排出された廃棄物Wを搬送する。具体的には、搬送装置Cv2は、第2破砕機3の下方に配置され、第2破砕機3の排出口21b及び排出口22aから排出された廃棄物Wを受け、搬送方向の下流に搬送する。搬送装置(第2搬送装置)Cv3は、搬送方向において搬送装置Cv2の下流側に配置され、搬送装置Cv2から移載された廃棄物Wを搬送方向の下流に搬送する。搬送装置(第3搬送装置)Cv4は、搬送方向において搬送装置Cv3の下流側に配置され、搬送装置Cv3から移載された廃棄物Wを貯蔵タンク5へ搬送する。搬送装置Cv2は、例えば振動コンベアである。搬送装置Cv3,Cv4は、例えばベルトコンベアである。
【0038】
一実施形態では、搬送装置Cv3と搬送装置Cv4との間には、廃棄物Wを搬送装置Cv3から搬送装置Cv4に移載する移載装置30が設けられていてもよい。
図3は、移載装置30の一例を示している。
図3に示すように、移載装置30は、移載シュート31、排出シュート32及びダンパ33を含んでいる。
【0039】
移載シュート31は、上部開口31a及び下部開口31bを有する筒状を呈し、搬送装置Cv3の終端と搬送装置Cv4の始端との間に配置されている。移載シュート31の側面には、排出口31cが形成されている。搬送装置Cv3の終端まで搬送された廃棄物Wは、上部開口31aから移載シュート31に投入され、下部開口31bを通って搬送装置Cv4に移載される。排出シュート32は、移載シュート31の排出口31cに連結されている。排出シュート32は、移載シュート31の排出口31cから排出された廃棄物Wを回収ボックス35へ案内する。
【0040】
ダンパ33は、移載シュート31内に設けられ、廃棄物Wの搬送方向を切り替える。ダンパ33は、移載シュート31内で回転可能に支持された回転軸33aに連結されている。回転軸33aは、不図示の駆動源に接続され、当該駆動源の駆動によって軸線周りに回転する。ダンパ33は、回転軸33aの回転に伴って回転軸33aを中心に旋回することにより、移載位置P3と排出位置P4との間で移動可能である。移載位置P3は、廃棄物Wの移載経路に重ならない位置である。また、ダンパ33が移載位置P3に配置されている場合には、ダンパ33は排出口31cを閉鎖する。したがって、ダンパ33が移載位置P3に配置されている場合には、搬送装置Cv3の終端まで搬送された廃棄物Wは、移載シュート31を通って搬送装置Cv4に移載される。
【0041】
これに対し、排出位置P4は、廃棄物Wの移載経路に重なる位置である。すなわち、ダンパ33が排出位置P4に配置されている場合には、ダンパ33は、移載シュート31の上部開口31aと下部開口31bとの間に介在する。ダンパ33が排出位置P4に配置されている場合には、搬送装置Cv3の終端まで搬送された廃棄物Wは、ダンパ33に沿って排出口31cに向けて案内され、排出シュート32を通って回収ボックス35に回収される。回収ボックス35に回収された廃棄物Wは、廃棄物処理システム1の系外に排出される。上記のように、移載装置30は、ダンパ33を移載位置P3又は排出位置P4に配置することにより、廃棄物Wの搬送方向を搬送装置Cv4又は系外に切り替える。なお、ダンパ33の位置は、制御装置10によって制御される。
【0042】
選別装置4は、第2破砕機3によって破砕された廃棄物Wから異物を除去する。
図1に示すように、第2破砕機3から排出された廃棄物Wには、廃プラスチックPだけでなく、金属等の異物Fが含まれていることがある。選別装置4は、搬送装置Cv3上の廃棄物Wから異物Fを選別し、回収タンク8に回収する。例えば、選別装置4としては、磁力によって廃棄物Wに含まれる金属を分離する磁力選別機が用いられる。選別装置4は、渦電流を利用して金属を分離する過電流選別機であってもよい。なお、廃棄物Wから土石を分離する場合には、風力選別器を使用してもよい。選別装置4によって異物Fが除去された廃棄物Wは、上述した移載装置30を通って搬送装置Cv4に移載される。搬送装置Cv4は、搬送装置Cv3から移載された廃棄物Wを貯蔵タンク5に向けて搬送する。
【0043】
貯蔵タンク5は、搬送装置Cv4から搬送された廃棄物Wを貯留する。貯蔵タンク5に貯留される廃棄物Wは、廃プラスチックPを主体とし、所定の寸法に破砕された燃料として使用可能な廃棄物である。貯蔵タンク5の上部には廃棄物Wの上部開口が形成され、貯蔵タンク5の底部には廃棄物Wを排出する下部開口が形成されている。
【0044】
排出装置6は、貯蔵タンク5に貯留された廃棄物Wを当該貯蔵タンク5から排出する。
図4は、排出装置6を部分的に破断して示す図である。
図4に示すように、排出装置6は、ケーシング41、垂直回転軸42及びスクリュコンベア43を備えている。ケーシング41は、垂直軸線Zに沿って延在する筒形状を有し、その内部に排出通路50を画成している。排出通路50は、垂直軸線Zに沿って延在している。
【0045】
ケーシング41は、貯蔵タンク5の内部に配置された上部ケーシング41aと、貯蔵タンク5の外部に配置された下部ケーシング41bとを含んでいる。上部ケーシング41aは、垂直軸線Z周りに回転可能に下部ケーシング41bに支持されている。上部ケーシング41aの側面には、排出通路50に連通する投入口50aが形成されている。下部ケーシング41bの下端には、排出通路50に連通する排出口50bが形成されている。
【0046】
垂直回転軸42は、排出通路50内に配置され、垂直軸線Zに沿って延在している。垂直回転軸42は、垂直軸線Z周りに回転可能に支持されている。垂直回転軸42の上端は、連結部材48を介して上部ケーシング41aに連結されている。
【0047】
垂直回転軸42には、駆動源51が接続されている。駆動源51は、例えば電動モータであり、垂直軸線Z周りに回転させる駆動力を垂直回転軸42に供給する。駆動源51の駆動によって垂直回転軸42が垂直軸線Z周りに回転すると、上部ケーシング41aが垂直軸線Z周りに回転する。
【0048】
スクリュコンベア43は、貯蔵タンク5の内部で垂直軸線Zに垂直な水平軸線AXに沿って延在している。
図4に示すように、スクリュコンベア43は、軸部44及び羽根部45を含んでいる。軸部44は、鋼、ステンレス、アルミニウム等の金属によって構成され、水平軸線AXに沿って延在している。軸部44の基端部は、投入口50aから上部ケーシング41aの内部に挿入され、一対の軸受によって水平軸線AX周りに回転可能なように上部ケーシング41aに支持されている。軸部44の先端部は、上部ケーシング41aの外側に配置されている。
【0049】
羽根部45は、軸部44の周囲に螺旋状に設けられている。羽根部45は、鋼、ステンレス、アルミニウム等の金属によって構成され、軸部44の外周面に固定されている。羽根部45は、軸部44の回転に伴って軸部44と一体的に回転する。
図4に示すように、羽根部45は、表面45a及び裏面45bを有している。表面45aは、軸部44の基端部側に向けられた面であり、スクリュコンベア43が水平軸線AX周りに回転したときに貯蔵タンク5内の廃棄物Wを投入口50aに向けて搬送する搬送面である。裏面45bは、軸部44の先端部側に向けられた面であり、表面45aの反対側に設けられている。
【0050】
スクリュコンベア43の軸部44には、駆動源52が接続されている。駆動源52は、例えば電動モータであり、スクリュコンベア43を水平軸線AX周りに回転させる駆動力を軸部44に供給する。駆動源52の駆動によって軸部44が水平軸線AX周りに回転すると、スクリュコンベア43が水平軸線AX周りに回転し、貯蔵タンク5内の廃棄物Wが羽根部45の表面45aによって投入口50aに向けて押圧される。
【0051】
図5は、水平軸線AXに沿ったスクリュコンベア43の断面図である。
図5に示すように、スクリュコンベア43の軸部44及び羽根部45の表面には、高い耐摩耗性を有する硬化層46が形成されている。硬化層46は、スクリュコンベア43の軸部44及び羽根部45の硬度よりも高い硬度を有している。例えば、硬化層46は、HRC60以上のロックウェル硬度を有する。これにより、硬化層46の耐摩耗性が軸部44及び羽根部45の耐摩耗性よりも高められる。一実施形態では、
図5に示すように、硬化層46は、軸部44の外周面及び及び羽根部45の表面45aに形成され、羽根部45の裏面45bには形成されていなくてもよい。
【0052】
上述した硬化層46は、硬化肉盛溶接によってスクリュコンベア43の軸部44及び羽根部45の表面に合金を溶着することで形成される。硬化層46は、炭素(C)及びクロム(Cr)を含む特殊鋼によって構成されてもよい。例えば、硬化層46は、3.0%~7.0%の炭素、及び、20%~30%のクロムを含む。なお、硬化層46は、シリコン及びマンガンを更に含んでもよい。スクリュコンベア43の軸部44及び羽根部45の表面に硬化層46が形成されることにより、スクリュコンベア43の摩耗が抑制される。
【0053】
図4を参照して、排出装置6の動作について説明する。貯蔵タンク5内から廃棄物Wを排出する場合には、駆動源51及び駆動源52が作動される。駆動源51が作動され、垂直回転軸42が垂直軸線Z周りに回転すると、上部ケーシング41aが垂直軸線Z周りに回転する。それに伴い、スクリュコンベア43は垂直軸線Z周りの周方向に旋回する。また、駆動源52の作動によって、スクリュコンベア43は、水平軸線AX周りに回転する。
【0054】
スクリュコンベア43が水平軸線AX周りに回転すると、貯蔵タンク5内の廃棄物Wは、羽根部45の表面45aに押圧され、上部ケーシング41aの投入口50aへ移動する。上部ケーシング41aの投入口50aから排出通路50に流入した廃棄物Wは、排出通路50を通って下部ケーシング41bの排出口50bから排出される。このとき、スクリュコンベア43が、垂直軸線Z周りの周方向に旋回しながら貯蔵タンク5内の廃棄物Wを水平軸線AXに沿って搬送することにより、貯蔵タンク5内の廃棄物Wが偏りなく排出される。
【0055】
図1を再び参照する。搬送装置Cv5は、貯蔵タンク5から排出された廃棄物Wを受け、廃棄物処理システム1の外部の設備である焼成炉100に供給する。焼成炉100は、例えばセメント製造装置のキルンであり、廃棄物Wを化石燃料の代替燃料として利用してセメント原料を製造する。
【0056】
制御装置10は、プロセッサ、記憶部、入力装置、表示装置等を備えるコンピュータであり、廃棄物処理システム1の全体の動作を制御する機能を有する。制御装置10の記憶部には、制御装置10で実行される各種処理をプロセッサにより制御するための制御プログラムが格納されている。制御装置10は、第1破砕機2、第2破砕機3、選別装置4、排出装置6、移載装置30、及び、搬送装置Cv1,Cv2,Cv3,Cv4,Cv5と通信可能に接続されている。制御装置10は、第1破砕機2、第2破砕機3、選別装置4、排出装置6、移載装置30、及び、搬送装置Cv1,Cv2,Cv3,Cv4,Cv5に制御信号を送出して、これらの装置の動作を制御する。
【0057】
例えば、制御装置10は、負荷検出装置29からハンマ装置12の駆動源28の負荷を示す情報を取得し、駆動源28の負荷が基準値を超えたときに、第2破砕機3に対する廃棄物Wの投入量を減少させる制御を行う。例えば、制御装置10は、駆動源28の負荷電流が基準値を超えたときに、搬送装置Cv1の搬送速度を低下させ、第2破砕機3への廃棄物Wの投入量を減少させる。なお、制御装置10は、第1破砕機2の動作を停止させることで第2破砕機3への廃棄物Wの投入量を減少させてもよい。第2破砕機3への廃棄物Wの投入量が減少することにより、駆動源28が過負荷になることが防止され、第2破砕機3を安定的に稼動させることが可能となる。
【0058】
また、制御装置10は、移載装置30のダンパ33を回転軸33a周りに旋回させて、廃棄物Wの搬送方向を切り替える制御を行う。例えば、制御装置10は、第2破砕機3の異物排出ゲート14が閉位置P1に配置されているときには、ダンパ33が移載位置P3に配置されるように回転軸33aの回転角を制御する。第2破砕機3の異物排出ゲート14が閉位置P1に配置されている場合には、ハンマ装置12によって破砕され、スクリーン13の貫通孔13aを通過した廃棄物Wが第2破砕機3から排出される。このとき、ダンパ33が移載位置P3に配置されることにより、破砕された廃棄物Wは、搬送装置Cv3から搬送装置Cv4に移載され、貯蔵タンク5へ搬送される。
【0059】
一方、制御装置10は、第2破砕機3の異物排出ゲート14が開位置P2に配置されているときには、ダンパ33が排出位置P4に配置されるように回転軸33aの回転角を制御する。第2破砕機3の異物排出ゲート14が開位置P2に配置されている場合には、ハンマ装置12によって破砕されなかった異物Fが、異物排出路22を通って第2破砕機3から排出される。このとき、ダンパ33が排出位置P4に配置されることにより、第2破砕機3から排出された異物Fは、貯蔵タンク5に送られずに排出シュート32を通って廃棄物処理システム1の系外に排出される。
【0060】
さらに、制御装置10は、排出装置6を制御して、貯蔵タンク5内の廃棄物Wを排出する制御を行う。例えば、制御装置10は、焼成炉100に代替燃料として供給すべき廃棄物Wの量に応じて、垂直回転軸42及びスクリュコンベア43の回転速度を制御し、貯蔵タンク5から排出される廃棄物Wの量を調整する。
【0061】
次に、
図1及び
図6を参照して、一実施形態に係る廃棄物処理方法について説明する。
図6は、一実施形態に係る廃棄物処理方法を示すフローチャートである。廃棄物処理方法は、廃棄物処理システム1の制御装置10が廃棄物処理システム1の各部を制御することによって実行される。なお、
図6に示す工程ST1~工程ST14は、所定の周期で繰り返し実行される。また、初期状態では、第2破砕機3の異物排出ゲート14は閉位置P1に配置され、移載装置30のダンパ33は移載位置P3に配置されているものとする。
【0062】
一実施形態に係る廃棄物処理方法では、まず圧縮されて梱包された廃棄物Wが第1破砕機2に投入される(工程ST1)。第1破砕機2に投入された廃棄物Wは、第1破砕機2によってせん断され、破砕される(工程ST2)。第1破砕機2によって破砕された廃棄物Wは、搬送装置Cv1上に排出され、搬送装置Cv1によって第2破砕機3に向けて搬送される(工程ST3)。
【0063】
搬送装置Cv1に搬送された廃棄物Wは、フィーダ7を介して第2破砕機3の投入口21aに投入される。投入口21aから投入された廃棄物Wは、破砕室21内で回転するハンマ装置12によって打撃が加えられ、更に破砕される(工程ST4)。ハンマ装置12によって所定の寸法よりも小さく破砕された廃棄物Wは、スクリーン13の貫通孔13aを通過して排出口21bから搬送装置Cv2上に排出される。
【0064】
ここで、第2破砕機3の稼働中に、負荷検出装置29によって第2破砕機3の駆動源28の負荷が検出され、検出された第2破砕機3の負荷が第1基準値以上であるか否かが判定される(工程ST5)。第2破砕機3の負荷が第1基準値以下であると判定された場合には、第2破砕機3への廃棄物Wの投入量が維持される(工程ST6)。
【0065】
第2破砕機3で破砕された廃棄物Wは、搬送装置Cv2から搬送装置Cv3に移載される。次に、選別装置4によって搬送装置Cv3上の廃棄物Wから異物Fが分離され、除去される(工程ST7)。廃棄物Wから分離された異物Fは、回収タンク8に回収される。異物Fが除去された廃棄物Wは、搬送装置Cv4によって搬送され、貯蔵タンク5内に投入される(工程ST8)。
【0066】
次に、排出装置6によって必要量の廃棄物Wが貯蔵タンク5から排出される(工程ST9)。廃棄物Wを貯蔵タンク5から排出するために、制御装置10は、駆動源51及び駆動源52を制御して、スクリュコンベア43を垂直軸線Z周りに旋回させると共に、スクリュコンベア43を水平軸線AX周りに回転させる。これにより、貯蔵タンク5内の廃棄物Wが貯蔵タンク5から排出される。
【0067】
次に、貯蔵タンク5から排出された廃棄物Wが搬送装置Cv5によって搬送され、焼成炉100に供給される(工程ST10)。このようにして、破砕された廃棄物Wが代替燃料として利用される。
【0068】
一方、工程ST5において、第2破砕機3の負荷が第1基準値よりも大きいと判定された場合には、第1破砕機2の運転を停止し、或いは、搬送装置Cv1の搬送速度を低下させることにより、第2破砕機3への廃棄物Wの投入量を減少させる(工程ST11)。
【0069】
次に、第2破砕機3の駆動源28の負荷が第2基準値以下であるか否かが判定される(工程ST12)。第2基準値は、例えば第1基準値以上の値である。第2破砕機3の負荷が第2基準値以下である場合には、工程ST6の処理に移行する。
【0070】
一方、駆動源28の負荷が第2基準値よりも大きい場合には、破砕室21内にハンマ装置12で破砕することができない異物Fが溜まっている可能性がある。そこで、駆動源28の負荷が第2基準値よりも大きい場合には、制御装置10は、異物排出ゲート14を回転軸14a周りに旋回させ、異物排出ゲート14を開位置P2に移動させる(工程ST13)。異物排出ゲート14を開位置P2に移動させると、ハンマ装置12の回転に伴って破砕室21内の異物Fが異物排出路22を通って第2破砕機3の排出口22aから排出される。第2破砕機3から搬送装置Cv2に排出された異物Fは、搬送装置Cv3に移載される。
【0071】
次に、制御装置10は、移載装置30のダンパ33を排出位置P4に移動させる(工程ST14)。これにより、搬送装置Cv3に搬送された異物Fは、搬送装置Cv4に移載されずに排出シュート32を通って回収ボックス35に回収される。回収ボックス35に回収された異物Fは、廃棄物処理システム1の系外に排出される。
【0072】
選別装置4によって廃棄物Wから異物Fを除去した場合であっても、貯蔵タンク5に貯留される廃棄物Wには微小な金属粉や土石等の異物Fが混入していることがある。廃棄物Wに異物Fが混入していると、貯蔵タンク5から廃棄物Wを排出するときに、スクリュコンベア43の軸部44及び羽根部45が摩耗し、スクリュコンベア43の搬送能力が低下することがある。スクリュコンベア43の搬送能力が低下すると、貯蔵タンク5から廃棄物Wを排出できなくなり、廃棄物処理システム1の稼動が停止する恐れがある。
【0073】
これに対し、上述した廃棄物処理システム1では、スクリュコンベア43の軸部44及び羽根部45の表面に耐摩耗性を有する硬化層46が形成されているので、スクリュコンベア43の摩耗を抑制することができる。したがって、廃棄物処理システム1の停止が抑制され、安定的に廃棄物Wを処理することが可能となる。
【0074】
以上、種々の実施形態に係る廃棄物処理システム及び廃棄物処理方法について説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形態様を構成可能である。すなわち、上述した実施形態は例示説明を目的とするものであり、本発明の範囲を制限するものではないことに留意すべきである。
【0075】
例えば、
図1に示す廃棄物処理システム1は、第1破砕機2及び第2破砕機3を用いて二段階で廃棄物Wを破砕しているが、廃棄物処理システム1は、必ずしも第1破砕機2を備えていなくてもよい。例えば、
図7に示すように、圧縮されていない廃棄物Wを処理する場合には、搬送装置Cv1上に廃棄物Wを直接載置して第2破砕機3に向けて搬送し、第2破砕機3に投入してもよい。
【0076】
また、選別装置4は、搬送方向において第2破砕機3と貯蔵タンク5との間に配置されているが、選別装置4は、第1破砕機2と第2破砕機3との間に配置されていてもよい。なお、第2破砕機3を用いて異物Fの大部分を除去することが可能な場合には、廃棄物処理システム1は、必ずしも選別装置4を備えていなくてもよい。制御装置10は、第2破砕機3の負荷が基準値よりも大きい場合に、搬送装置Cv1及び異物排出ゲート14の一方のみを制御してもよい。
【0077】
図5に示す実施形態では、軸部44の外周面及び及び羽根部45の表面45aのみに硬化層46が形成されているが、硬化層46は羽根部45の裏面45bにも形成されていてもよい。なお、上述した種々の実施形態は、矛盾のない範囲で組み合わせることが可能である。
【0078】
本開示は以下の内容を含む。
[1]廃プラスチックを含む廃棄物を破砕する破砕機と、
前記破砕機によって破砕された前記廃棄物を貯留する貯蔵タンクと、
前記貯蔵タンクから前記廃棄物を排出するスクリュコンベアを有する排出装置と、
を備え、
前記スクリュコンベアは、軸線周りに回転可能な軸部と前記軸部の外周面に取り付けられた羽根部とを含み、
前記スクリュコンベアの前記軸部及び前記羽根部の表面には、前記軸部及び前記羽根部の耐摩耗性よりも高い耐摩耗性を有する硬化層が形成されている、廃棄物処理システム。
[2]前記破砕機によって破砕された前記廃棄物から異物を除去する選別装置を更に備える、[1]に記載の廃棄物処理システム。
[3]前記廃棄物の搬送方向において前記破砕機の上流側に設けられ、前記廃棄物を破砕する粗破砕機と、
前記粗破砕機によって破砕された前記廃棄物を前記破砕機に向けて搬送する第1搬送装置と、
を更に備える、[1]又は[2]に記載の廃棄物処理システム。
[4]前記破砕機は、前記廃棄物に打撃を加えて前記廃棄物を破砕するハンマ装置と、前記ハンマ装置を駆動する駆動源と、前記駆動源の負荷を検出する負荷検出装置とを含み、
前記駆動源の負荷が基準値を超えたときに、前記破砕機への前記廃棄物の投入量が減少するように前記第1搬送装置を制御する制御装置を更に備える、[3]に記載の廃棄物処理システム。
[5]前記破砕機は、廃棄物を破砕するハンマ装置を収容する破砕室と前記破砕室に連通する異物排出路とを画成する筐体と、前記破砕室と前記異物排出路との間に設けられた異物排出ゲートとを含み、
前記異物排出ゲートは、前記破砕室から前記異物排出路への前記廃棄物の移動を規制する閉位置と、前記破砕室から前記異物排出路への前記廃棄物の移動を許容する開位置との間で移動可能である、[1]~[4]の何れか一項に記載の廃棄物処理システム。
[6]前記破砕機によって破砕された前記廃棄物を搬送する第2搬送装置と、
前記第2搬送装置から移載された前記廃棄物を前記貯蔵タンクに向けて搬送する第3搬送装置と、
前記第2搬送装置と前記第3搬送装置との間に設けられた移載装置と、
を更に備え、
前記移載装置は、前記廃棄物を前記第2搬送装置から前記第3搬送装置に移載する移載シュートと、前記廃棄物を系外に排出する排出シュートと、移載位置と排出位置との間で移動可能なダンパとを含み、
前記ダンパは、前記移載位置に配置されたときに前記移載シュートを介して前記廃棄物を前記第2搬送装置から前記第3搬送装置に移載させ、前記排出位置に配置されたときに前記廃棄物を前記排出シュートに案内する、[5]に記載の廃棄物処理システム。
[7]前記異物排出ゲートが前記閉位置に配置されたときに前記ダンパが前記移載位置に配置され、前記異物排出ゲートが前記開位置に配置されたときに前記ダンパが前記排出位置に配置されるように、前記ダンパを制御する制御装置を更に備える、[6]に記載の廃棄物処理システム。
[8]廃プラスチックを含む廃棄物を破砕機に投入する工程と、
前記破砕機のハンマ装置で前記廃棄物に打撃を加えて前記廃棄物を破砕する工程と、
破砕された前記廃棄物を貯蔵タンクに搬送する工程と、
回転可能な軸部と前記軸部の外周面に取り付けられた羽根部とを有するスクリュコンベアによって、前記貯蔵タンク内の前記廃棄物を前記貯蔵タンクから排出する工程であり、前記スクリュコンベアの前記軸部及び前記羽根部の表面には、前記軸部及び前記羽根部の耐摩耗性よりも高い耐摩耗性を有する硬化層が形成されている、該工程と、
を含む、廃棄物処理方法。
[9]前記ハンマ装置の駆動源の負荷を検出する工程と、
前記駆動源の負荷が基準値を超えたときに、前記破砕機に対する前記廃棄物の投入量を減少させる工程と、
を更に含む、[8]に記載の廃棄物処理方法。
[10]前記破砕機は、前記ハンマ装置を収容する破砕室と前記破砕室に連通する異物排出路とを画成する筐体と、前記破砕室と前記異物排出路との間に設けられた異物排出ゲートとを含み、
前記異物排出ゲートは、前記破砕室から前記異物排出路への前記廃棄物の移動を規制する閉位置と、前記破砕室から前記異物排出路への前記廃棄物の移動を許容する開位置と、の間で移動可能であり、
前記異物排出ゲートが前記開位置に配置されたときに、前記破砕機から排出された前記廃棄物を系外に排出する工程を更に含む、[8]又は[9]に記載の廃棄物処理方法。
【符号の説明】
【0079】
1…廃棄物処理システム、2…第1破砕機(粗破砕機)、3…第2破砕機(破砕機)、4…選別装置、5…貯蔵タンク、6…排出装置、10…制御装置、11…筐体、12…ハンマ装置、14…異物排出ゲート、21…破砕室、22…異物排出路、28…駆動源、29…負荷検出装置、30…移載装置、31…移載シュート、32…排出シュート、33…ダンパ、43…スクリュコンベア、44…軸部、45…羽根部、45a…表面、46…硬化層、Cv1…搬送装置(第1搬送装置)、Cv3…搬送装置(第2搬送装置)、Cv4…搬送装置(第3搬送装置)、F…異物、P…廃プラスチック、P1…閉位置、P2…開位置、P3…移載位置、P4…排出位置、W…廃棄物。