(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141980
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】通信装置及び負荷回路の駆動方法
(51)【国際特許分類】
G06F 1/26 20060101AFI20241003BHJP
G06F 1/3228 20190101ALI20241003BHJP
G06F 1/3287 20190101ALI20241003BHJP
G06F 1/28 20060101ALI20241003BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G06F1/26 303
G06F1/3228
G06F1/3287
G06F1/28
H02J7/00 302C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053897
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【弁理士】
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】内田 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】西浦 憲
【テーマコード(参考)】
5B011
5G503
【Fターム(参考)】
5B011DA07
5B011DA12
5B011DA13
5B011EA10
5B011GG03
5B011JB10
5B011KK03
5B011LL11
5G503AA08
5G503BA04
5G503BB02
5G503BB03
5G503BB06
5G503CA08
5G503CB06
5G503CC08
5G503DA02
5G503DA18
5G503EA06
(57)【要約】
【課題】設置後の短時間に大量のデータを取得することを可能とする。
【解決手段】本発明の通信装置は、環境発電素子と、予め所定の電力を保持している第1の蓄電素子と、前記環境発電素子が発電した電力によって充電可能な第2の蓄電素子と、制御部を備える負荷回路と、を備える。前記制御部は、前記負荷回路の動作開始後のデータ収集期間においては前記第1の蓄電素子の電力によって前記負荷回路を動作させ、前記データ収集期間の後の通常動作期間においては前記第2の蓄電素子の電力によって前記負荷回路を動作させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境発電素子と、
予め所定の電力を保持している第1の蓄電素子と、
前記環境発電素子が発電した電力によって充電可能な第2の蓄電素子と、
制御部を備える負荷回路と、
を備え、
前記制御部は、前記負荷回路の動作開始後のデータ収集期間においては前記第1の蓄電素子の電力によって前記負荷回路を動作させ、前記データ収集期間の後の通常動作期間においては前記第2の蓄電素子の電力によって前記負荷回路を動作させる、通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信装置において、
前記第1の蓄電素子の電圧及び前記第2の蓄電素子の電圧を監視する電圧監視回路をさらに備え、
前記制御部は、前記第1の蓄電素子の電圧が前記第2の蓄電素子の電圧より小さくなると、前記通信装置を前記データ収集期間から前記通常動作期間に移行させる、通信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の通信装置において、
前記負荷回路は、前記通信装置が設置された環境の物理量のデータを検出可能なセンサをさらに備え、
前記制御部は、
前記データ収集期間に取得した前記物理量のデータに基づいて、異常判定をするための閾値及び異常判定をするための条件の少なくともいずれか一方を算出し、
前記通常動作期間においては、前記センサが検出した前記物理量のデータを前記閾値又は前記条件と対比して前記異常判定を実行する、通信装置。
【請求項4】
請求項3に記載の通信装置において、
前記センサは、前記データ収集期間においては、前記通常動作期間よりも短い時間間隔で前記物理量のデータを検出する、通信装置。
【請求項5】
請求項3に記載の通信装置において、
前記第1の蓄電素子が予め保持している前記所定の電力は、前記制御部が前記センサから前記物理量のデータを所定量取得し、前記閾値及び前記条件の少なくともいずれか一方を算出することを可能とする電力である、通信装置。
【請求項6】
請求項1に記載の通信装置において、
前記制御部は、前記通常動作期間において、前記第2の蓄電素子の電力に加えて前記第1の蓄電素子の電力も用いて前記負荷回路を動作させる、通信装置。
【請求項7】
請求項1に記載の通信装置において、
前記通常動作期間は、動作モードよりも低い消費電力で一定期間待機するスリープモードを含み、
前記第2の蓄電素子は、前記データ収集期間及び前記スリープモードにおいて充電される、通信装置。
【請求項8】
請求項1に記載の通信装置において、
前記第1の蓄電素子は、1次蓄電素子又は2次蓄電素子であり、
前記第2の蓄電素子は、2次蓄電素子である、通信装置。
【請求項9】
請求項8に記載の通信装置において、
前記1次蓄電素子は、乾電池、リチウム電池、ボタン電池、水電池及び空気電池のいずれかであり、
前記2次蓄電素子は、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ナトリウム電池及びニッケル水素電池のいずれかである、通信装置。
【請求項10】
環境発電素子と、予め所定の電力を保持している第1の蓄電素子と、前記環境発電素子が発電した電力によって充電可能な第2の蓄電素子と、負荷回路と、を備える通信装置における負荷回路の駆動方法であって、
前記負荷回路の動作開始後のデータ収集期間においては前記第1の蓄電素子の電力によって前記負荷回路を動作させるステップと、
前記データ収集期間の後の通常動作期間において前記第2の蓄電素子の電力によって前記負荷回路を動作させるステップと、
を含む、負荷回路の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置及び負荷回路の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IoT(Internet of Things)のシステムにおいて、工場などでセンサが取得したデータを活用することが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1は、流体を処理する配管ラインにおいて取得したデータを活用して、配管ラインの運転条件を管理する技術を開示している。
【0004】
IoTのシステムにおいて、工場などでデータを取得する場合、センサを備える通信装置を工場などに設置し、センサが取得したデータを用いて異常判定を行う場合がある。
【0005】
この場合、発電することができる環境発電素子を通信装置が備えていると、環境発電素子によって発電した電力によって通信装置を動作させることができるため、外部から電力を供給しなくても継続的に異常判定を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
異常判定を行う場合、通信装置を設置した後に、その環境で通信装置のセンサが取得したデータに基づいて異常判定をするための閾値などを設定すると、通信装置の癖、通信装置の設置状況などを考慮した精度の高い異常判定を行うことができる。
【0008】
通信装置を設置した後に、その環境で通信装置のセンサが取得したデータに基づいて閾値などを設定するためには、設置後の短時間に大量のデータを取得し、取得した大量のデータに基づいて閾値などを設定することが望ましい。しかしながら、環境発電素子の発電電力は小さいため、大量のデータを取得するために必要な電力を短時間に発電することは困難である。
【0009】
例えば、環境発電素子の発電電力が数100マイクロワットである場合、この発電電力に基づいて実際に利用可能な電流は、10マイクロアンペア程度であることも多い。この場合、必要なデータの取得に長い時間がかかってしまう。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上述した課題を解決し、設置後の短時間に大量のデータを取得することを可能とする通信装置及び負荷回路の駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明によれば、下記[1]~[10]の通信装置又は負荷回路の駆動方法が提供される。
【0012】
[1]環境発電素子と、
予め所定の電力を保持している第1の蓄電素子と、
前記環境発電素子が発電した電力によって充電可能な第2の蓄電素子と、
制御部を備える負荷回路と、
を備え、
前記制御部は、前記負荷回路の動作開始後のデータ収集期間においては前記第1の蓄電素子の電力によって前記負荷回路を動作させ、前記データ収集期間の後の通常動作期間においては前記第2の蓄電素子の電力によって前記負荷回路を動作させる、通信装置。
このような構成とすることで、設置後の短時間に大量のデータを取得することができる。
【0013】
[2]上記[1]に記載の通信装置において、
前記第1の蓄電素子の電圧及び前記第2の蓄電素子の電圧を監視する電圧監視回路をさらに備え、
前記制御部は、前記第1の蓄電素子の電圧が前記第2の蓄電素子の電圧より小さくなると、前記通信装置を前記データ収集期間から前記通常動作期間に移行させる、通信装置。
このような構成とすることで、第1の蓄電素子が枯渇する前に第2の蓄電素子に動力を切り替え、安定して通信装置を動作させることができる。
【0014】
[3]上記[1]又は[2]に記載の通信装置において、
前記負荷回路は、前記通信装置が設置された環境の物理量のデータを検出可能なセンサをさらに備え、
前記制御部は、
前記データ収集期間に取得した前記物理量のデータに基づいて、異常判定をするための閾値及び異常判定をするための条件の少なくともいずれか一方を算出し、
前記通常動作期間においては、前記センサが検出した前記物理量のデータを前記閾値又は前記条件と対比して前記異常判定を実行する、通信装置。
このような構成とすることで、データ収集期間に取得した物理量のデータに基づいて、異常判定をするための閾値及び異常判定をするための条件の少なくともいずれか一方を算出することができる。また、通常動作期間において、異常判定を実行することができる。
【0015】
[4]上記[1]から[3]のいずれか一項に記載の通信装置において、
前記センサは、前記データ収集期間においては、前記通常動作期間よりも短い時間間隔で前記物理量のデータを検出する、通信装置。
このような構成とすることで、データ収集期間においては、短時間に大量のデータを検出することができる。
【0016】
[5]上記[1]から[4]のいずれか一項に記載の通信装置において、
前記第1の蓄電素子が予め保持している前記所定の電力は、前記制御部が前記センサから前記物理量のデータを所定量取得し、前記閾値及び前記条件の少なくともいずれか一方を算出することを可能とする電力である、通信装置。
このような構成とすることで、第1の蓄電素子が予め保持している所定の電力で、閾値及び条件の少なくともいずれか一方を算出することができる。
【0017】
[6]上記[1]から[5]のいずれか一項に記載の通信装置において、
前記制御部は、前記通常動作期間において、前記第2の蓄電素子の電力に加えて前記第1の蓄電素子の電力も用いて前記負荷回路を動作させる、通信装置。
このような構成とすることで、通常動作期間において、第1の蓄電素子の電力も活用することができる。
【0018】
[7]上記[1]から[6]のいずれか一項に記載の通信装置において、
前記通常動作期間は、動作モードよりも低い消費電力で一定期間待機するスリープモードを含み、
前記第2の蓄電素子は、前記データ収集期間及び前記スリープモードにおいて充電される、通信装置。
このような構成とすることで、通常動作期間のスリープモードにおいて、第2の蓄電素子を充電することができる。
また、第2の蓄電素子が十分に充電され、かつ第1の蓄電素子が2次蓄電素子を利用している場合は、第1の蓄電素子の充電を行ってもよい。
【0019】
[8]上記[1]から[7]のいずれか一項に記載の通信装置において、
前記第1の蓄電素子は、1次蓄電素子又は2次蓄電素子であり、
前記第2の蓄電素子は、2次蓄電素子である、通信装置。
【0020】
[9]上記[1]から[8]のいずれか一項に記載の通信装置において、
前記1次蓄電素子は、乾電池、リチウム電池、ボタン電池、水電池及び空気電池のいずれかであり、
前記2次蓄電素子は、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ナトリウム電池及びニッケル水素電池のいずれかである、通信装置。
【0021】
[10]環境発電素子と、予め所定の電力を保持している第1の蓄電素子と、前記環境発電素子が発電した電力によって充電可能な第2の蓄電素子と、負荷回路と、を備える通信装置における負荷回路の駆動方法であって、
前記負荷回路の動作開始後のデータ収集期間においては前記第1の蓄電素子の電力によって前記負荷回路を動作させるステップと、
前記データ収集期間の後の通常動作期間において前記第2の蓄電素子の電力によって前記負荷回路を動作させるステップと、
を含む、負荷回路の駆動方法。
このような構成とすることで、設置後の短時間に大量のデータを取得することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、設置後の短時間に大量のデータを取得することを可能とする通信装置及び負荷回路の駆動方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係る通信装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】データ収集期間及び通常動作期間を説明する図である。
【
図3】通常動作期間における動作モード及びスリープモードを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。各図において共通の構成部には、同一の符号を付している。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る通信装置10の概略構成を示すブロック図である。
【0026】
通信装置10は、IoTのシステムにおいて用いられる装置である。通信装置10は、例えば工場などに設置されて、通信装置10が設置されている環境の異常判定を行うことができる。通信装置10は、異常判定をした結果の情報を、情報を収集しているサーバに送信することができる。サーバは、様々な場所に設置されている複数の通信装置10から異常判定の結果の情報を取得することにより、どの場所において異常が発生しているかを検知することができる。
【0027】
通信装置10は、環境発電素子11と、電圧調整回路12と、第1の蓄電素子13と、第2の蓄電素子14と、電圧監視回路15と、負荷回路16とを備える。
【0028】
環境発電素子11は、通信装置10が設置されている場所の外部環境中のエネルギーを利用して発電することができる素子である。環境発電素子11は、例えば、熱電変換素子であってよい。環境発電素子11が熱電変換素子である場合、環境発電素子11は、例えば、カーボンナノチューブ(CNT:Carbon Nanotube)を用いた熱電変換素子であってよい。
【0029】
環境発電素子11は、熱電変換素子に限らず任意の発電素子であってよく、例えば、太陽光によって発電する発電素子、振動によって発電する発電素子などであってもよい。
【0030】
環境発電素子11は、発電した電力を電圧調整回路12に供給する。
【0031】
電圧調整回路12は、環境発電素子11から供給される電力の電圧を調整する。通常、負荷回路16を動作させるためには、2.4V以上、好ましくは3V以上が求められる場合が多いが、環境発電素子11から生じる電圧は、それより大きい場合も小さい場合もある。電圧調整回路12は、環境発電素子11から供給される電力の電圧を調整し、負荷回路16を動作させることが可能な電圧にする。環境発電素子11から得られる電圧が1Vの場合、電圧調整回路12は、環境発電素子11から供給される電圧を、例えば3V以上まで昇圧する。
【0032】
電圧調整回路12は、環境発電素子11から供給される電力の電圧を調整すると、第2の蓄電素子14に電力を供給し、第2の蓄電素子14を充電する。電圧調整回路12は、第2の蓄電素子14に安定的に電流を送り続けて、第2の蓄電素子14を充電することができる。
【0033】
第1の蓄電素子13は、予め所定の電力を保持している蓄電素子である。第1の蓄電素子13は、予め所定の電力を保持しているため、環境発電素子11が発電を開始する前から、負荷回路16に電力を供給して負荷回路16を動作させることができる。
【0034】
第1の蓄電素子13は、1次蓄電素子及び2次蓄電素子のいずれであってもよい。第1の蓄電素子13が1次蓄電素子である場合、第1の蓄電素子13は、例えば、乾電池、リチウム電池、ボタン電池、水電池、空気電池などであってよい。第1の蓄電素子13が2次蓄電素子である場合、第1の蓄電素子13は、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ナトリウム電池、ニッケル水素電池などであってよい。第1の蓄電素子13は、コンデンサであってもよい。第1の蓄電素子13がコンデンサである場合、第1の蓄電素子13は、リチウムイオンキャパシタ、スーパーキャパシタなどであってよい。
【0035】
第1の蓄電素子13が2次蓄電素子である場合、第1の蓄電素子13は、予め充電されている。このように予め充電されていることにより、第1の蓄電素子13は、環境発電素子11が発電を開始する前から、予め所定の電力を保持していることができる。
【0036】
第2の蓄電素子14は、環境発電素子11が発電した電力によって充電可能な蓄電素子である。環境発電素子11が発電した電力は電圧調整回路12に供給され、電圧調整回路12は、電圧を調整して第2の蓄電素子14に供給する。このようにして、第2の蓄電素子14は、環境発電素子11が発電した電力によって充電される。
【0037】
第2の蓄電素子14は、2次蓄電素子である。第2の蓄電素子14は、例えば、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ナトリウム電池、ニッケル水素電池などであってよい。第2の蓄電素子14は、コンデンサであってもよい。第2の蓄電素子14がコンデンサである場合、第2の蓄電素子14は、リチウムイオンキャパシタ、スーパーキャパシタなどであってよい。
【0038】
電圧監視回路15は、第1の蓄電素子13の電圧及び第2の蓄電素子14の電圧を監視する回路である。電圧監視回路15は、第1の蓄電素子13及び第2の蓄電素子14の電圧を監視することが可能な任意の構成の回路であってよい。電圧監視回路15は、第1の蓄電素子13及び第2の蓄電素子14の電圧を監視し、第1の蓄電素子13の電圧及び第2の蓄電素子14の電圧を制御部162に出力する。
【0039】
負荷回路16は、通信装置10が設置されている環境においてセンサデータを取得し、中継器又はサーバ等に送信したり、外部命令を受信して動作したりすることができる回路である。
【0040】
負荷回路16は、センサ161と、制御部162と、記憶部163と、通信部164とを備える。
【0041】
センサ161は、通信装置10が設置された環境の物理量のデータを検出可能である。センサ161は、異常判定を行うために必要な物理量を検出可能な任意のセンサであってよい。センサ161が検出する物理量は、例えば、温度、音波、ガス濃度、照度、圧力などであってよい。
【0042】
制御部162は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)などの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。
【0043】
制御部162は、通信装置10全体及び通信装置10の各ブロックを制御する。制御部162の機能の詳細については後述する。
【0044】
記憶部163は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限定されない。記憶部163は、通信装置10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部163は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、各種データなどを記憶していてよい。
【0045】
通信部164は、無線通信に対応可能な通信モジュールを含む。通信部164は、情報を収集しているサーバ、データを中継する中継器又は外部端末などと無線通信により通信可能である。外部端末とは、パーソナルコンピュータ、モバイル通信端末、ゲートウェイ端末などである。
【0046】
続いて、通信装置10の動作について説明する。
【0047】
通信装置10は、設置された後、しばらくの間はデータ収集期間として動作し、その後、通常動作期間として動作する。データ収集期間は、異常判定を行うための閾値又は異常判定を行うための条件を算出するために、センサ161が検出した物理量のデータを所定量収集するための期間である。通常動作期間は、データ収集期間に収集した物理量のデータに基づいて算出した閾値又は条件に基づいて、異常判定を行う期間である。
【0048】
図2に、データ収集期間及び通常動作期間の様子を示す。
【0049】
図2に示す例においては、時間t0において、データ収集期間が開始する。時間t0は、工場などの所定の場所に通信装置10が設置され、ユーザによる操作などによって、データ収集を開始した時間である。時間t1は、データ収集期間から通常動作期間に移行した時間である。制御部162は、第1の蓄電素子13の電圧が第2の蓄電素子14の電圧より小さくなると、通信装置10をデータ収集期間から通常動作期間に移行させる。
【0050】
(データ収集期間)
まず、データ収集期間における通信装置10の動作について説明する。
【0051】
工場などの所定の場所に通信装置10が設置され、ユーザによる所定の操作などを受け付けると、通信装置10は、データ収集期間としての動作を開始する。ユーザによる所定の操作は、例えば、通信装置10に設けられた、データ収集期間としての動作を開始させるためのスイッチを押す操作などであってよい。また、環境発電素子11が発電を開始することで自発的に動作を開始してもよい。
【0052】
このとき、第2の蓄電素子14は十分な電力が充電されていない場合があるが、第1の蓄電素子13は、予め所定の電力を保持している。第1の蓄電素子13が予め保持している電力によって、負荷回路16の動作は開始される。
【0053】
制御部162は、負荷回路16の動作が開始した後、データ収集期間の間は第1の蓄電素子13の電力によって、負荷回路16を動作させる。
【0054】
データ収集期間において、センサ161は、通信装置10が設置されている環境の物理量のデータを、所定の時間間隔で検出する。データ収集期間においてセンサ161が物理量のデータを検出する時間間隔は、通常動作期間においてセンサ161が物理量のデータを検出する時間間隔よりも短い時間間隔である。第1の蓄電素子13が所定の電力として十分な電力を保持しているため、このように短い時間間隔で、センサ161は物理量のデータを検出することができる。なお、ここで収集したデータは記憶部163に全部又は一部を記憶してもよいし、記憶部163には保存せず都度サーバ、中継器、外部端末などに送信してもよい。
【0055】
制御部162は、センサ161が検出した物理量のデータをセンサ161から取得する。制御部162は、所定のタイミングでセンサ161を駆動してセンサ情報を取得し、通信部164を介して結果を送信する。制御部162は、異常判定を行うための閾値又は異常判定を行うための条件を算出するために十分な所定量の物理量のデータを取得すると、取得した物理量のデータに基づいて、異常判定をするための閾値及び異常判定をするための条件の少なくともいずれか一方を算出する。所定量の物理量のデータは、例えば、数100回分のデータ、数1000回分のデータなどであってよい。また、閾値又は条件の算出を制御部162で行ってもよいし、サーバ又は外部端末などで行ってもよい。
【0056】
制御部162は、異常判定を行うための閾値を算出する場合、例えば、取得した物理量のデータの平均値、分散値などに基づいて、閾値を算出してよい。
【0057】
異常判定を行うための条件は、例えば、センサ161が温度を検出するセンサである場合、検出した温度を時系列分析することによって算出した条件であってよい。この場合、制御部162は、標準的なトレンドの範囲によって、異常判定を行うための条件を設定してよい。
【0058】
上述のようなデータ収集期間における通信装置10の動作は、第1の蓄電素子13が予め保持している所定の電力で実行することができる。すなわち、第1の蓄電素子13が予め保持している所定の電力は、センサ161が所定量の物理量のデータを検出し、制御部162がセンサ161から所定量の物理量のデータを取得し、閾値又は条件を算出するために必要な量のデータを送信したり、制御部162が異常判定をするための閾値及び異常判定をするための条件の少なくともいずれか一方を算出したりすることを可能とするのに十分な電力である。
【0059】
電圧監視回路15は、データ収集期間及び通常動作期間の少なくとも一方の期間において、第1の蓄電素子13の電圧及び第2の蓄電素子14の電圧を監視している。制御部162は、電圧監視回路15から、第1の蓄電素子13の電圧及び第2の蓄電素子14の電圧を取得している。制御部162は、第1の蓄電素子13の電圧が第2の蓄電素子14の電圧より小さくなると、電源を第1の蓄電素子13から第2の蓄電素子14に切り替える。
【0060】
異常判定を行うための閾値又は異常判定を行うための条件の算出が完了すると、制御部162は、データ収集期間から通常動作期間に移行させる。移行は、サーバ又は外部端末などからコマンドを送信することで実施してもよい。また、制御部162が閾値又は条件を算出する場合は、算出したことを持って自発的に実施してもよい。あるいは、電圧監視回路15が第1の蓄電素子13の電圧が第2の蓄電素子14の電圧より小さくなったことをもって実施してもよい。
【0061】
(通常動作期間)
続いて、通常動作期間における通信装置10の動作について説明する。
【0062】
制御部162は、データ収集期間から通常動作期間に移行すると、第2の蓄電素子14の電力によって負荷回路16を動作させる。第2の蓄電素子14は、データ収集期間において十分に充電されているため、通常動作期間に移行したときには、負荷回路16に電力を供給して負荷回路16を動作させることができる。
【0063】
図3を参照して、通常動作期間における通信装置10の動作について説明する。通常動作期間は、
図3に示すように、動作モード及びスリープモードを含む。
【0064】
動作モードにおいては、センサ161は、通信装置10が設置されている環境の物理量のデータを検出する。
【0065】
制御部162は、所定のタイミングでセンサ161、記憶部163、通信部164を駆動する。また、制御部162は、センサ161から取得した物理量のデータを、異常判定をするための閾値又は異常判定をするための条件と対比して異常判定を実行してもよい。異常判定をするための閾値又は異常判定をするための条件は、データ収集期間において制御部162が算出した、異常判定をするための閾値又は異常判定をするための条件である。また、制御部162は、データ通信量を低減するために、データ圧縮を行ってもよい。
【0066】
制御部162は、データ取得又は異常判定を実行すると、結果を、通信部164を介してサーバ、中継器、外部端末などに無線で送信する。
【0067】
制御部162は、所定のアルゴリズムで結果を送信すると、スリープモードに移行する。スリープモードにおいては、センサ161、制御部162、通信部164は動作せず、負荷回路16は、ほとんど電力を消費しない。
【0068】
第2の蓄電素子14は、環境発電素子11が発電する電力によって、スリープモードの間に充電される。環境発電素子11が発電する電力は大きな電力ではないが、スリープモードの期間は長い期間であるため、第2の蓄電素子14は、スリープモードの間に、次の動作モードを実行するために十分な電力を充電することができる。
【0069】
図3に示すように、通常動作期間おいて、通信装置10は、動作モードとスリープモードとを交互に繰り返し実行する。
【0070】
なお、通常動作期間においては、第2の蓄電素子14の電力によって負荷回路16を動作させるとして説明したが、第2の蓄電素子14の電力だけでなく、第2の蓄電素子14の電力に加えて第1の蓄電素子13の電力も用いて負荷回路16を動作させてもよい。第1の蓄電素子13の電圧が第2の蓄電素子14の電圧より小さくなったとしても、第1の蓄電素子13の電力は、まだ負荷回路16を動作させるために利用可能だからである。
【0071】
このように、本実施形態に係る通信装置10は、予め所定の電力を保持している第1の蓄電素子13と、環境発電素子11が発電した電力によって充電可能な第2の蓄電素子14という2つの蓄電素子を備えている。そして、制御部162は、データ収集期間においては第1の蓄電素子13の電力によって負荷回路16を動作させ、通常動作期間においては第2の蓄電素子14の電力によって負荷回路16を動作させる。これにより、データ収集期間においては、予め所定の電力を保持している第1の蓄電素子13の電力によって、通信装置10を設置した後の短時間に大量のデータを取得することができる。
【0072】
前述したところは本発明の一実施形態を示したにすぎず、特許請求の範囲において、種々の変更を加えてもよいことは言うまでもない。
【0073】
例えば、本実施形態においては、通信装置10が工場に設置されている場合を例に挙げて説明したが、これは一例であり、通信装置10が設置される場所は工場に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明によれば、設置後の短時間に大量のデータを取得することを可能とする通信装置及び負荷回路の駆動方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0075】
10 通信装置
11 環境発電素子
12 電圧調整回路
13 第1の蓄電素子
14 第2の蓄電素子
15 電圧監視回路
16 負荷回路
161 センサ
162 制御部
163 記憶部
164 通信部