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特開2024-141996積層体、画像表示装置及び、粘着シート
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  • 特開-積層体、画像表示装置及び、粘着シート 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024141996
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】積層体、画像表示装置及び、粘着シート
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/12 20060101AFI20241003BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20241003BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20241003BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B32B7/12
C09J7/38
C09J133/00
B32B27/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053921
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079382
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123928
【弁理士】
【氏名又は名称】井▲崎▼ 愛佳
(74)【代理人】
【識別番号】100136308
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100207295
【弁理士】
【氏名又は名称】寺尾 茂泰
(72)【発明者】
【氏名】中尾 武
(72)【発明者】
【氏名】陳 媛
(72)【発明者】
【氏名】吉川 秀次郎
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AK25B
4F100AL05B
4F100AR00A
4F100AR00C
4F100AT00A
4F100AT00C
4F100BA03
4F100CA30B
4F100CB05B
4F100GB41
4F100JA05B
4F100JB15B
4F100JK07A
4F100JK07B
4F100JK07C
4F100JK10A
4F100JL13B
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
4J004AA10
4J004AB01
4J004DB02
4J004FA08
4J040DF061
4J040JA09
4J040JB09
4J040LA10
4J040MA10
4J040MB03
4J040MB09
(57)【要約】
【課題】優れた耐衝撃性を有する積層体の提供を目的とする。
【解決手段】第1の部材上に、粘着剤層を介して第2の部材を備える積層体であって、前記第1の部材の貯蔵弾性率(E1)が、前記第2の部材の貯蔵弾性率(E2)よりも低く、前記粘着剤層が、アクリル系共重合体(A)を含有する粘着剤組成物(I)から形成される粘着剤層であり、かつ、衝撃解析ソフトを用い衝撃解析プログラム(1)により求められる、第1の部材に及ぶ最大圧力が18MPa以下である、積層体。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材上に、粘着剤層を介して第2の部材を備える積層体であって、
前記第1の部材の貯蔵弾性率(E1)が、前記第2の部材の貯蔵弾性率(E2)よりも低く、
前記粘着剤層が、アクリル系共重合体(A)を含有する粘着剤組成物(I)から形成される粘着剤層であり、かつ、衝撃解析ソフトを用い以下の衝撃解析プログラム(1)により求められる、第1の部材に及ぶ最大圧力が18MPa以下である、積層体。
<衝撃解析プログラム(1)>
(解析モデル)
試験体、試験体に衝撃を与えるためのインパクター及び、試験体を設置する支持台を含むモデル
(試験体)
第1部材、粘着剤層、並びに第2部材が、この順に積層した積層体
(物性値の設定)
(1)試験体
・第1の部材
厚み:120μm
弾性率:5GPa
ポアソン比:0.2
材料モデル:弾性体モデル
・第2の部材
厚み:560μm
弾性率:70GPa
ポアソン比:0.2
材料モデル:弾性体モデル
・粘着剤層
厚み:50~100μm
ポアソン比:0.493
材料モデル:超弾性体モデル
(2)支持台
厚み:1000μm
弾性率:75GPa
ポアソン比:0.2
材料モデル:弾性体モデル
(3)インパクター
球の材質:鉄
重さ:0.5kg
(4)試験条件
インパクターの落下高さ:30cm(自然落下;初速度0)
インパクターの落下面:第2部材側表面
試験温度:25℃
【請求項2】
第1の部材上に、粘着剤層を介して第2の部材を備える積層体であって、
前記第1の部材の貯蔵弾性率(E1)が、第2の部材の貯蔵弾性率(E2)よりも低く、
前記粘着剤層が、アクリル系共重合体(A)を含有する粘着剤組成物(I)から形成される粘着剤層であり、かつ、衝撃解析ソフトを用い以下の衝撃解析プログラム(2)により求められる、第1の部材への圧縮変位が8mm3以下である、積層体。
<衝撃解析プログラム(2)>
(解析モデル)
試験体、試験体に衝撃を与えるためのインパクター及び、試験体を設置する支持台を含むモデル
(試験体)
第1部材、粘着剤層、並びに第2部材が、この順に積層した積層体
(物性値の設定)
(1)試験体
・第1の部材
厚み:120μm
弾性率:5GPa
ポアソン比:0.2
材料モデル:弾性体モデル
・第2部材
厚み:560μm
弾性率:70GPa
ポアソン比:0.2
材料モデル:弾性体モデル
・粘着剤層
厚み:50~100μm
ポアソン比:0.493
材料モデル:超弾性体モデル
(2)支持台
厚み:1000μm
弾性率:75GPa
ポアソン比:0.2
材料モデル:弾性体モデル
(3)インパクター
球の材質:鉄
重さ:0.5kg
(4)試験条件
インパクターの落下高さ:30cm(自然落下;初速度0)
インパクターの落下面:第2部材側表面
試験温度:25℃
【請求項3】
前記粘着剤層の、周波数1Hzの剪断モードでの動的粘弾性測定により得られる25℃における貯蔵剪断弾性率(G'(25))が5kPa以上100kPa以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
前記粘着剤層のゲル分率が30%以上95%以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項5】
前記粘着剤層の、周波数1Hzの剪断モードでの動的粘弾性測定により得られる、Tanδの極大値で定義されるガラス転移温度(Tg)が-20℃以上である、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項6】
前記粘着剤組成物(I)が、ラジカル重合性化合物(B)及び光重合開始剤(C)を含む、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項7】
前記光重合開始剤(C)が、炭素-炭素二重結合を有するラジカル重合性官能基及びラジカルを発生させる構造を分子内に有する光重合開始剤(C1)を含む、請求項6に記載の積層体。
【請求項8】
前記積層体の厚みが1000μm以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項9】
前記第1の部材及び、第2の部材が、表面保護パネル、タッチセンサー、画像表示パネル、カラーフィルター、偏光フィルムおよび位相差フィルムからなる群から選択される画像表示装置構成部材である、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項10】
前記第1の部材が、画像表示パネルであり、前記第2の部材が表面保護パネルである、請求項9に記載の積層体。
【請求項11】
請求項9に記載の積層体を備えた画像表示装置。
【請求項12】
第1の部材と前記第1の部材より貯蔵弾性率(E’)が高い第2の部材を貼合一体化するための粘着シートであって、以下の衝撃解析プログラム(1)により求められる、第1の部材に及ぶ最大圧力が18MPa以下となる粘着シート。
<衝撃解析プログラム(1)>
(解析モデル)
試験体、試験体に衝撃を与えるためのインパクター及び、試験体を設置する支持台を含むモデル
(試験体)
第1の部材、粘着剤層、並びに第2の部材が、この順に積層した積層体
(物性値の設定)
(1)試験体
・第1の部材
厚み:120μm
弾性率:5GPa
ポアソン比:0.2
材料モデル:弾性体モデル
・第2部材
厚み:560μm
弾性率:70GPa
ポアソン比:0.2
材料モデル:弾性体モデル
・粘着剤層
厚み:50~100μm
ポアソン比:0.493
材料モデル:超弾性体モデル
(2)支持台
厚み:1000μm
弾性率:75GPa
ポアソン比:0.2
材料モデル:弾性体モデル
(3)インパクター
球の材質:鉄
重さ:0.5kg
(4)試験条件
インパクターの落下高さ:30cm(自然落下;初速度0)
インパクターの落下面:第2の部材側表面
試験温度:25℃
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体、画像表示装置及び、粘着シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置の視認性を向上させるために、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)またはエレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等の画像表示パネルと、その前面側(視認側)に配置する保護パネルやタッチパネル部材との間の空隙を、粘着剤や接着剤等の樹脂で充填し、入射光や表示画像からの出射光の空気層界面での反射を抑えることが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、透明両面粘着シートの少なくとも片側に、画像表示装置構成部材が積層してなる構成を備えた画像表示装置用構成積層体の製造方法として、紫外線によって1次架橋した粘着シートを画像表示装置構成部材に貼合後、画像表示装置構成部材を介して粘着シートに紫外線照射し2次硬化させる方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、表示およびタッチパネルに有用な粘着シートとして、紫外線架橋性部位を有する(メタ)アクリル共重合物を含む感圧性接着剤シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4971529号公報
【特許文献2】特許第6062740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末は、落下や衝撃に対する耐性が強いことが重要である。
近年、これら携帯端末の省電力化、軽量化及び薄型化のニーズに伴い、画像表示パネルとして、従来の液晶パネルに代わり、有機ELが広く普及しつつある。加えて、展示用のデジタルサイネージなど、上記携帯端末に限らず今後ますます日常の幅広い用途で大小さまざまなサイズと用途で有機ELパネルの需要が格段に高まると予想される。
有機ELは、画像表示装置を構成する部材点数が液晶パネルより少なくて済む半面、衝撃が加わった場合に破損しやすい問題がある。また、画像表示装置は、表面保護部材の薄膜化が進み、結果として画面を守るものが少なくなってきている。
かかる問題は画像表示装置の薄型化、高精細化が進むほど顕著となり、画像表示装置構成部材の貼合に用いられる粘着剤層には、部材を貼り合わせた後の積層体において、衝撃が加わっても衝撃を吸収し、部材の破損を防ぐ耐衝撃性がより一層求められている。
【0007】
引用文献1及び2に記載の発明は、従前の画像表示装置構成部材を用いた積層体について検討されたものであり、耐衝撃性については考慮されていなかった。
【0008】
そこで、本発明ではこのような背景下において、優れた耐衝撃性を有する積層体及び、これを用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、本発明は、以下の態様を有する。
[1] 第1の部材上に、粘着剤層を介して第2の部材を備える積層体であって、
前記第1の部材の貯蔵弾性率(E1)が、前記第2の部材の貯蔵弾性率(E2)よりも低く、
前記粘着剤層が、アクリル系共重合体(A)を含有する粘着剤組成物(I)から形成される粘着剤層であり、かつ、衝撃解析ソフトを用い以下の衝撃解析プログラム(1)により求められる、第1の部材に及ぶ最大圧力が18MPa以下である、積層体。
<衝撃解析プログラム(1)>
(解析モデル)
試験体、試験体に衝撃を与えるためのインパクター及び、試験体を設置する支持台を含むモデル
(試験体)
第1部材、粘着剤層、並びに第2部材が、この順に積層した積層体
(物性値の設定)
(1)試験体
・第1の部材
厚み:120μm
弾性率:5GPa
ポアソン比:0.2
材料モデル:弾性体モデル
・第2の部材
厚み:560μm
弾性率:70GPa
ポアソン比:0.2
材料モデル:弾性体モデル
・粘着剤層
厚み:50~100μm
ポアソン比:0.493
材料モデル:超弾性体モデル
(2)支持台
厚み:1000μm
弾性率:75GPa
ポアソン比:0.2
材料モデル:弾性体モデル
(3)インパクター
球の材質:鉄
重さ:0.5kg
(4)試験条件
インパクターの落下高さ:30cm(自然落下;初速度0)
インパクターの落下面:第2部材側表面
試験温度:25℃
[2] 第1の部材上に、粘着剤層を介して第2の部材を備える積層体であって、
前記第1の部材の貯蔵弾性率(E1)が、第2の部材の貯蔵弾性率(E2)よりも低く、
前記粘着剤層が、アクリル系共重合体(A)を含有する粘着剤組成物(I)から形成される粘着剤層であり、かつ、衝撃解析ソフトを用い以下の衝撃解析プログラム(2)により求められる、第1の部材への圧縮変位が8mm3以下である、積層体。
<衝撃解析プログラム(2)>
(解析モデル)
試験体、試験体に衝撃を与えるためのインパクター及び、試験体を設置する支持台を含むモデル
(試験体)
第1部材、粘着剤層、並びに第2部材が、この順に積層した積層体
(物性値の設定)
(1)試験体
・第1の部材
厚み:120μm
弾性率:5GPa
ポアソン比:0.2
材料モデル:弾性体モデル
・第2部材
厚み:560μm
弾性率:70GPa
ポアソン比:0.2
材料モデル:弾性体モデル
・粘着剤層
厚み:50~100μm
ポアソン比:0.493
材料モデル:超弾性体モデル
(2)支持台
厚み:1000μm
弾性率:75GPa
ポアソン比:0.2
材料モデル:弾性体モデル
(3)インパクター
球の材質:鉄
重さ:0.5kg
(4)試験条件
インパクターの落下高さ:30cm(自然落下;初速度0)
インパクターの落下面:第2部材側表面
試験温度:25℃
[3] 前記粘着剤層の、周波数1Hzの剪断モードでの動的粘弾性測定により得られる25℃における貯蔵剪断弾性率(G'(25))が5kPa以上100kPa以下である、[1]又は[2]に記載の積層体。
[4] 前記粘着剤層のゲル分率が30%以上95%以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の積層体。
[5] 前記粘着剤層の、周波数1Hzの剪断モードでの動的粘弾性測定により得られる、Tanδの極大値で定義されるガラス転移温度(Tg)が-20℃以上である、[1]~[4]のいずれかに記載の積層体。
[6] 前記粘着剤組成物(I)が、ラジカル重合性化合物(B)及び光重合開始剤(C)を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の積層体。
[7] 前記光重合開始剤(C)が、炭素-炭素二重結合を有するラジカル重合性官能基及びラジカルを発生させる構造を分子内に有する光重合開始剤(C1)を含む、[6]に記載の積層体。
[8] 前記積層体の厚みが1000μm以下である、[1]~[7]のいずれかに記載の積層体。
[9] 前記第1の部材及び、第2の部材が、表面保護パネル、タッチセンサー、画像表示パネル、カラーフィルター、偏光フィルムおよび位相差フィルムからなる群から選択される画像表示装置構成部材である、[1]~[8]のいずれかに記載の積層体。
[10] 前記第1の部材が、画像表示パネルであり、前記第2の部材が表面保護パネルである、[9]に記載の積層体。
[11] [9]又は[10]に記載の積層体を備えた画像表示装置。
[12] 第1の部材と前記第1の部材より貯蔵弾性率(E’)が高い第2の部材を貼合一体化するための粘着シートであって、以下の衝撃解析プログラム(1)により求められる、第1の部材に及ぶ最大圧力が18MPa以下となる粘着シート。
<衝撃解析プログラム(1)>
(解析モデル)
試験体、試験体に衝撃を与えるためのインパクター及び、試験体を設置する支持台を含むモデル
(試験体)
第1の部材、粘着剤層、並びに第2の部材が、この順に積層した積層体
(物性値の設定)
(1)試験体
・第1の部材
厚み:120μm
弾性率:5GPa
ポアソン比:0.2
材料モデル:弾性体モデル
・第2部材
厚み:560μm
弾性率:70GPa
ポアソン比:0.2
材料モデル:弾性体モデル
・粘着剤層
厚み:50~100μm
ポアソン比:0.493
材料モデル:超弾性体モデル
(2)支持台
厚み:1000μm
弾性率:75GPa
ポアソン比:0.2
材料モデル:弾性体モデル
(3)インパクター
球の材質:鉄
重さ:0.5kg
(4)試験条件
インパクターの落下高さ:30cm(自然落下;初速度0)
インパクターの落下面:第2の部材側表面
試験温度:25℃
【発明の効果】
【0010】
本発明の積層体は、所定の衝撃解析方法により算出される、衝撃が加わった際の部材に及ぶ最大圧力が18MPa以下となる粘着剤層を備える。また、本発明の積層体は、所定の衝撃解析方法により算出される、衝撃が加わった際の部材の圧縮変位が8mm3以下となる粘着剤層を備える。そのため、耐衝撃性に優れ、画像表示装置、とりわけ有機EL画像表示装置に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明で用いた衝撃試験モデルを説明するための図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の一例について詳細に説明する。但し、本発明が、次に説明する実施形態に限定されるものではない。
なお、本発明において「フィルム」とは、シート、フィルム、テープを概念的に包含するものである。
また、画像表示パネル、保護パネル等のように「パネル」と表現する場合、板体、シート及びフィルムを包含するものである。
【0013】
本発明において、「x~y」(x,yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「x以上y以下」の意と共に、「好ましくはxより大きい」あるいは「好ましくはyより小さい」の意も包含するものである。
また、「x以上」(xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはxより大きい」の意を包含し、「y以下」(yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはyより小さい」の意も包含するものである。
さらに、「x及び/又はy(x,yは任意の構成)」とは、x及びyの少なくとも一方を意味するものであって、xのみ、yのみ、x及びy、の3通りを意味するものである。 そして、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを包括する意味であり、「(メタ)アクリレート」とはアクリレート及びメタクリレートを包括する意味であり、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及びメタクリロイルを包括する意味である。
また、本発明において、「主成分」とは、その材料の特性に大きな影響を与える成分の意味であり、その成分の含有量は、通常、材料全体の40質量%以上であり、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
【0014】
本発明の一実施形態に係る積層体(以下、「本積層体1」と称する)は、第1の部材上に、粘着剤層を介して第2の部材を備える積層体であって、前記第1の部材の貯蔵弾性率(E1)が、前記第2の部材の貯蔵弾性率(E2)よりも低く、前記粘着剤層が、アクリル系共重合体(A)を含有する粘着剤組成物(I)から形成される粘着剤層であり、かつ、衝撃解析ソフトを用い後述する衝撃解析プログラム(1)により求められる、第1の部材に及ぶ最大圧力が18MPa以下である。
また、本発明の他の実施形態に係る積層体(以下、「本積層体2」と称する)は、第1の部材上に、粘着剤層を介して第2の部材を備える積層体であって、前記第1の部材の貯蔵弾性率(E1)が、第2の部材の貯蔵弾性率(E2)よりも低く、前記粘着剤層が、アクリル系共重合体(A)を含有する粘着剤組成物(I)から形成される粘着剤層であり、かつ、衝撃解析ソフトを用い後述する衝撃解析プログラム(2)により求められる、第1の部材への圧縮変位が8mm3以下である。
以下、本積層体1及び、本積層体2(以下、単に「本積層体」と称する場合がある)について説明する。
【0015】
〔第1の部材、第2の部材〕
本積層体で用いる第1の部材は、貯蔵弾性率(E1)が、第2の部材の貯蔵剪断弾性率(E2)よりも低いものである。
【0016】
前記第1の部材の貯蔵弾性率(E1)は、通常0.5~250GPaであり、好ましくは1~200GPa、特に好ましくは2~100GPaである。
また、前記第2の部材の貯蔵弾性率(E2)は、第1の部材の貯蔵弾性率(E1)よりも高いものであり、通常30~500GPaであり、好ましくは40~300GPa、特に好ましくは50~200GPaである。
【0017】
また、第2の部材の貯蔵弾性率(E2)と第1の部材の貯蔵弾性率(E1)との差〔(E2)-(E1)〕は、通常5~400GPaであり、好ましくは10~200GPa、特に好ましくは20~100GPaである。
【0018】
前記貯蔵弾性率(E1)及び、(E2)は、例えば、超音波パルス法(JIS R1602:1995)や、JIS K 7244-4:1999に準拠して、粘弾性スペクトロメーター「DVA-200(アイティー計測制御社製)」を用いて測定(測定モード:引張、周波数:10Hz、歪み:0.1%、温度範囲:-100~300℃、加熱速度:3℃/min)し、20℃の貯蔵弾性率を測定すること等により求められる。
【0019】
前記第1の部材、第2の部材としては、例えばフラットパネル画像表示装置構成部材や、湾曲部を有する画像表示装置構成部材、フレキシブル画像表示装置構成部材等の画像表示装置構成部材として用いられるものが好ましい。すなわち、本積層体は、画像表示装置構成用であることが好ましい。
具体的な前記第1の部材、第2の部材としては、例えば液晶ディスプレイや、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、表面保護パネル(表面保護フィルム)、偏光板、偏光子、位相差フィルム、バリアフィルム、視野角補償フィルム、輝度向上フィルム、コントラスト向上フィルム、拡散フィルム、半透過反射フィルム、電極フィルム、透明導電性フィルム、金属メッシュフィルム、タッチセンサーフィルム等を挙げることができる。第1の部材、第2の部材は、第1の部材の貯蔵弾性率(E1)が、第2の部材の貯蔵弾性率(E2)よりも低くなるように、これらのうちの2つ選択すればよい。なかでも、第1の部材及び、第2の部材は、表面保護パネル、タッチセンサー、画像表示パネル、カラーフィルター、偏光フィルム及び、位相差フィルムからなる群から選択される画像表示装置構成部材であることが好ましく、特に好ましくは、第1の部材が画像表示パネルであり、第2の部材が表面保護パネルである。
【0020】
前記第1の部材、第2の部材の厚みは、通常10~250μmであり、好ましくは25~200μm、特に好ましくは35~190μmである。
【0021】
〔粘着剤層〕
本積層1が備える粘着剤層は、Ansys社製、LS-DYNA(衝撃解析ソフト)を用い以下の衝撃解析プログラム(1)により求められる、前記第1の部材に及ぶ最大圧力が18MPa以下である。
そして、本積層体2が備える粘着剤層は、Ansys社製、LS-DYNA(衝撃解析ソフト)を用い以下の衝撃解析プログラム(2)により求められる、前記第1の部材への圧縮変位が8mm3以下である。
【0022】
<衝撃解析プログラム(1)>
(解析モデル)
試験体、試験体に衝撃を与えるためのインパクター及び、試験体を設置する支持台を含むモデル
(試験体)
第1部材、粘着剤層、並びに第2部材が、この順に積層した積層体
(物性値の設定)
(1)試験体
・第1の部材
厚さ:120μm
弾性率:5GPa
ポアソン比:0.2
材料モデル:弾性体モデル
・第2の部材
厚み:560μm
弾性率:70GPa
ポアソン比:0.2
材料モデル:弾性体モデル
・粘着剤層
厚み:50~100μm
ポアソン比:0.493
材料モデル:超弾性体モデル
(2)支持台
厚み:1000μm
弾性率:75GPa
ポアソン比:0.2
材料モデル:弾性体モデル
(3)インパクター
球の材質:鉄
重さ:0.5kg
(4)試験条件
インパクターの落下高さ:30cm(自然落下;初速度0)
インパクターの落下面:第2部材側表面
試験温度:25℃
【0023】
<衝撃解析プログラム(2)>
(解析モデル)
試験体、試験体に衝撃を与えるためのインパクター及び、試験体を設置する支持台を含むモデル
(試験体)
第1部材、粘着剤層、並びに第2部材が、この順に積層した積層体
(物性値の設定)
(1)試験体
・第1の部材
厚み:120μm
弾性率:5GPa
ポアソン比:0.2
材料モデル:弾性体モデル
・第2部材
厚み:560μm
弾性率:70GPa
ポアソン比:0.2
材料モデル:弾性体モデル
・粘着剤層
厚み:50~100μm
ポアソン比:0.493
材料モデル:超弾性体モデル
(2)支持台
厚み:1000μm
弾性率:75GPa
ポアソン比:0.2
材料モデル:弾性体モデル
(3)インパクター
球の材質:鉄
重さ:0.5kg
(4)試験条件
インパクターの落下高さ:30cm(自然落下;初速度0)
インパクターの落下面:第2部材側表面
試験温度:25℃
【0024】
通常、2つの部材を貼合した積層体が衝撃を受けた場合、その衝撃は、衝撃を受ける面(衝突面)の裏側部材にまで及び、直接衝撃を受けていない面も破損する恐れがある。
そこで、本発明者らは、粘着層を介して2つの部材を貼合した積層体において、粘着剤層の衝撃エネルギーの緩和作用が最大となるように種々の解析検討を行い、部材に及ぶ最大圧力又は部材への圧縮変位を特定範囲とすることにより、粘着剤層の衝撃エネルギーの緩和作用が最大となることを見出した。
前記粘着剤層の衝撃エネルギーの緩和作用は、衝撃が様々な方向に進む衝撃波として部材上で干渉して合成波となるため、定量的な要因切り分けは困難であるが、定性的には以下のメカニズムで発現するものと考えられる。
積層体が衝撃を受けた際、衝撃点を中心として積層体が垂直方向に撓む結果、垂直方向の変形により衝撃エネルギーが緩和される(垂直方向の衝撃緩和)。
また、衝撃エネルギーが面内方向に伝達することで、応力集中を減少させて広範囲に分散させることによっても、衝撃エネルギーを緩和する効果が期待できる(面内方向の衝撃緩和)。
前記垂直方向の衝撃緩和は、粘着剤層の貯蔵弾性率が低い程寄与が大きい。一方、前記面内方向の衝撃緩和は、粘着剤層の貯蔵弾性率が高い程寄与が大きい。したがって、高い衝撃緩和作用を享受するために、本積層体が備える粘着剤層は、前記背反事象を考慮した、最適な貯蔵弾性率範囲とする必要がある。
かかる事情のもと鋭意検討した結果、衝撃エネルギーを極小とできる最適な範囲が存在することを見出した。また、本解析プログラムの要件を満たすことで、前述のメカニズムに基づく、耐衝撃性に優れた積層体とできることを見出した。
【0025】
本積層1が備える粘着剤層は、前述の衝撃解析プログラム(1)により求められる、第1の部材に及ぶ最大圧力が18MPa以下であり、好ましくは17MPa以下、特に好ましくは16MPa以下である。第1の部材に及ぶ最大圧力を前記範囲とすることにより、本積層体1は耐衝撃性に優れたものとなる。
【0026】
また、本積層体2が備える粘着剤層は、衝撃解析プログラム(2)により求められる、第1の部材への圧縮変位が8mm3以下であり、好ましくは7mm3以下、特に好ましくは6mm3以下である。第1の部材への圧縮変位を前記範囲とすることにより、本積層体2は耐衝撃性に優れたものとなる。
【0027】
このような、前記衝撃解析プログラム(1)により求められる第1の部材に及ぶ最大圧力が特定範囲である粘着剤層、又は、前記衝撃プログラム(2)により求められる第1部材への圧縮変位が特定範囲である粘着剤層は、アクリル系共重合体(A)を含有する粘着剤組成物(I)から形成されるものである。以下、粘着剤組成物(I)に含まれる各成分について説明する。
【0028】
〔アクリル系共重合体(A)〕
前記アクリル系共重合体(A)は、通常、アルキルの炭素数が3以上のアルキル基を有する(メタ)アクリレート(a1)〔以下、「アルキル(メタ)アクリレート(a1)」と称する場合がある〕由来の構造部位を含むものである。なかでも、本発明で用いるアクリル系共重合体(A)は、アルキル(メタ)アクリレート(a1)由来の構造部位及び、水酸基含有(メタ)アクリレート(a2)由来の構造部位を有することが好ましい。
このようなアクリル系共重合体(A)は、通常アルキル(メタ)アクリレート(a1)及び、水酸基含有(メタ)アクリレート(a2)を含む共重合成分を重合して得られるものである。
【0029】
また、前記アクリル系共重合体(A)は、前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)由来の構造部位及び、水酸基含有(メタ)アクリレート(a2)由来の構造部位の他に、例えば、アルキルの炭素数が1、2のアルキル基を有する(メタ)アクリレート及び、ビニルエステル系モノマーからなる群から選択される少なくとも1種の共重合性モノマー(a3)〔以下、「共重合性モノマー(a3)」と称する〕由来の構造部位、官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a4)由来の構造部位、その他の共重合性モノマー(a5)由来の構造部位等を有していてもよい。
すなわち、前記共重合成分には、アルキル(メタ)アクリレート(a1)、水酸基含有(メタ)アクリレート(a2)以外の成分、例えば共重合性モノマー(a3)、官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a4)、その他の共重合性モノマー(a5)等が含まれていてもよい。
また、前記アクリル系共重合体(A)は、粘着物性の点から、カルボキシ基含有(メタ)アクリレート由来の構造部位を含まないことが好ましい。
【0030】
〔アルキル(メタ)アクリレート(a1)〕
前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)としては、例えばn-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリート、n-ノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n-トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イコシル(メタ)アクリレート、ヘンイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等の直鎖アルキル(メタ)アクリレート;イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソイコシル(メタ)アクリレート等の分岐アルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0031】
これらのなかでも、粘着性や耐衝撃性の点から直鎖アルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
また、粘着性と形状安定性のバランスをとる観点から、アルキルの炭素数が3~18のアルキル基、さらには3~16のアルキル基、特には3~12のアルキル基、殊には3~8のアルキル基を有する直鎖、分岐アルキル(メタ)アクリレートが好ましい。具体的には、例えばn-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
また、アルキル(メタ)アクリレート(a1)は、低温における貯蔵剪断弾性率(G')の増加を抑えて高い柔軟性を得る観点から、特にアクリレートであることが好ましい。
【0032】
アクリル系共重合体(A)に対する、アルキル(メタ)アクリレート(a1)由来の構造部位の含有量は、低温における貯蔵剪断弾性率(G')の増加を抑える点で、アクリル系共重合体(A)の通常40~95質量%であり、好ましくは45~90質量%、特に好ましくは50~85質量%である。アルキル(メタ)アクリレート(a1)由来の構造部位の含有量が前記下限値以上であると低温における貯蔵剪断弾性率(G')の増加を抑えられ、上限値以下であると粘着性等その他の物性と両立できる点から好ましい。
【0033】
〔水酸基含有(メタ)アクリレート(a2)〕
前記水酸基含有(メタ)アクリレート(a2)としては、例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレングリコール構造を有する(メタ)アクリレート、2-アクリロイルロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸等の1級水酸基含有(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有(メタ)アクリレート;2,2-ジメチル2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上併せて用いることができる。
【0034】
前記水酸基含有(メタ)アクリレート(a2)のなかでも、低温における貯蔵剪断弾性率(G')を低減するという点で、炭素数1~10、さらには1~6、殊には2~4のヒドロキシアルキル基を有する水酸基含有(メタ)アクリレート、例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が好ましく、特には1級水酸基含有(メタ)アクリレート、例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましく、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0035】
また、水酸基含有(メタ)アクリレート(a2)として、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを用いる場合、その割合〔2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート〕は質量基準で、95/5~30/70であることが好ましく、さらには90/10~40/60、特には85/15~45/65、殊には80/20~50/50であることが好ましい。2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが少なすぎると粘着剤として用いた際の粘着力が低下し、多すぎると粘着剤として用いた際の折り曲げ耐久性が低下する傾向がある。
【0036】
なお、前記水酸基含有モノマー(a2)としては、水酸基含有モノマー(a2)に不純物として含まれるジ(メタ)アクリレートの含有割合が少ないもの程好ましく、具体的には、0.5質量%以下のものを用いることが好ましく、特に好ましくは0.2質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下のものである。
【0037】
アクリル系共重合体(A)に対する、水酸基含有モノマー(a2)由来の構造部位の含有量は、アクリル系共重合体(A)の通常5~60質量%であり、好ましくは8~45質量%、特に好ましくは10~35質量%、さらに好ましくは11~30質量%、殊に好ましくは12~25質量%である。
かかる含有量が少なすぎると粘着剤として用いた際の耐湿熱性が低下する傾向があり、多すぎるとアクリル系樹脂(A)の自己架橋反応が起こりやすくなり、耐熱性が低下する傾向がある。
【0038】
〔共重合性モノマー(a3)〕
本発明においては、共重合成分として、さらに共重合性モノマー(a3)を含有することが、凝集力向上、さらには粘着剤とした際の粘着力向上の点から好ましい。
【0039】
前記共重合性モノマー(a3)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル等が挙げられる。これらの共重合性モノマー(a3)は単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。なかでも、粘着剤として使用した場合の凝集力向上の点から、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートが好ましく、エチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0040】
アクリル系共重合体(A)が共重合性モノマー(a3)由来の構造部位を含有する場合、その含有量は、アクリル系共重合体(A)の通常1~70質量%であることが好ましく、特に好ましくは3~60質量%、さらに好ましくは5~45質量%である。かかる共重合性モノマー(a3)の含有量が少なすぎると、粘着剤として使用した場合の粘着力が低下する傾向があり、多すぎるとアクリル系共重合体(A)の分子量が小さい場合に粘着剤として使用すると耐久性が低下する傾向がある。
【0041】
また、共重合性モノマー(a3)として、メチル(メタ)アクリレート及び/又はエチル(メタ)アクリレートを用いる場合、アクリル系共重合体(A)に対するメチル(メタ)アクリレート及び/又はエチル(メタ)アクリレート由来の構造部位の含有量は、アクリル系共重合体(A)の通常5~40質量%であり、好ましくは7~30質量%、さらに好ましくは10~25質量%である。メチル(メタ)アクリレート及び/又はエチル(メタ)アクリレート由来の構造部位の含有量が多すぎると、粘度上昇により加工時のハンドリング性が低下する傾向があり、少なすぎると粘着剤として使用した際に粘着力が低下する傾向がある。
【0042】
〔官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a4)〕
本発明においては、アクリル系共重合体(A)の共重合成分として官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a4)(但し、前記水酸基含有モノマー(a2)を除く。)を必要に応じて用いることができる。
【0043】
前記官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a4)としては、例えば窒素原子を有する官能基含有モノマー、アセトアセチル基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー等が挙げられる。
これらのなかでも、凝集力や架橋促進作用を付与する点で、窒素原子を有する官能基含有モノマーが好ましく、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマーがより好ましく、アミノ基含有モノマーが特に好ましい。
【0044】
前記アミノ基含有モノマーとしては、例えばアミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート等の第1級アミノ基含有(メタ)アクリレート;t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の第2級アミノ基含有(メタ)アクリレート;エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等の第3級アミノ基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0045】
前記アミド基含有モノマーとしては、例えば(メタ)アクリルアミド;N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N'-メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のN-アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-エチルメチルアクリルアミド、N,N-ジアリル(メタ)アクリルアミド等のN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド;N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド;N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-(n-ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド等のアルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0046】
前記アセトアセチル基含有モノマーとしては、例えば、2-(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート等が挙げられる。
【0047】
前記イソシアネート基含有モノマーとしては、例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートやそれらのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0048】
前記グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリルグリシジル等が挙げられる。
【0049】
これらの官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a4)は、単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0050】
アクリル系共重合体(A)が、官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a4)由来の構造部位を有する場合、その含有量は、アクリル系共重合体(A)の通常30質量%以下であり、好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、殊に好ましくは5質量%以下である。官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a4)由来の構造部位の含有量が多すぎるとアクリル系共重合体(A)の耐熱性が低下する傾向がある。なお、下限は、通常0.1質量%、好ましくは1質量%である。
【0051】
〔その他の共重合性モノマー(a5)〕
本発明においては、アクリル系共重合体(A)の共重合成分として、その他の共重合性モノマー(a5)を必要に応じて用いることができる。
【0052】
前記その他の共重合性モノマー(a5)としては、例えばメトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキレングリコール骨格を有する(メタ)アクリレートや、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物(メタ)アクリレート等の芳香族系(メタ)アクリル酸エステル系モノマーや、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α-メチルスチレン、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、N-アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等のモノマーが挙げられる。これらは1種又は2種以上併せて用いることができる。
【0053】
また、アクリル系共重合体(A)の高分子量化を目的とする場合には、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等のエチレン性不飽和基を2つ以上有する化合物等を少量併用することもできる。この際、これらのエチレン性不飽和基を2つ以上有する化合物は反応性が高く、アクリル系共重合体(A)の重合成分として用いた際に未反応で残存することは通常ないものである。なお、使用量が多すぎるとこれらのエチレン性不飽和基を2つ以上有する化合物が未反応で残存することとなり、アクリル系共重合体(A)がゲル化する傾向がある。
【0054】
アクリル系共重合体(A)がその他の共重合モノマー(a5)由来の構造部位を含有する場合、その含有量は、アクリル系共重合体(A)の通常50質量%以下であり、好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。前記その他の共重合性モノマー(a5)の含有割合が多すぎると耐熱性が低下したり、粘着力が低下する傾向がある。なお、下限は、通常0.1質量%、好ましくは1質量%である。
【0055】
前記アクリル系共重合体(A)は、前記の共重合成分を適宜選択し、重合することにより得ることができる。
【0056】
前記アクリル系共重合体(A)を重合する方法としては、例えば、溶液重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合等の従来公知の方法が挙げられ、なかでも、溶液重合が、安全に、安定的に、任意のモノマー組成でアクリル系共重合体(A)を製造できる点で好ましい。
以下、本発明で用いられるアクリル系共重合体(A)の好ましい製造方法の一例を示す。
【0057】
まず、有機溶剤中に、前記の共重合成分、重合開始剤を混合あるいは滴下し、溶液重合してアクリル系共重合体溶液を得る。
【0058】
[有機溶剤]
前記重合反応に用いられる有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、N-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類等が挙げられる。これらは1種又は2種以上併せて用いることができる。これらの溶剤のなかでも、酢酸エチルが好ましい。
【0059】
[重合開始剤]
前記重合反応に用いられる重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤であるアゾ系重合開始剤や過酸化物系重合開始剤等を用いることができ、アゾ系重合開始剤としては、例えば2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、(1-フェニルエチル)アゾジフェニルメタン、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等が挙げられ、過酸化物系重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t-ブチルペルオキシピバレート、t-ヘキシルペルオキシピバレート、t-ヘキシルペルオキシネオデカノエート、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、ジイソブチリルペルオキシド等が挙げられる。これらは1種又は2種以上併せて用いることができる。なかでも、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)が好ましい。
【0060】
前記重合開始剤の使用量は、共重合成分100質量部に対して、通常0.001~10質量部であり、好ましくは0.1~8質量部、特に好ましくは0.5~6質量部、さらに好ましくは1~4質量部、殊に好ましくは1.5~3質量部、最も好ましくは2~2.5質量部である。前記重合開始剤の使用量が少なすぎると、アクリル系共重合体(A)の重合率が低下し、残存モノマーが増加したり、アクリル系共重合体(A)の重量平均分子量が高くなる傾向がある。使用量が多すぎると、後記のアクリル系共重合体(A)のゲル化が発生する傾向がある。
【0061】
[重合条件等]
溶液重合の重合条件については、従来公知の重合条件にしたがって重合すればよく、例えば、溶剤中に、重合成分、重合開始剤を混合あるいは滴下し所定の重合条件にて重合することができる。
【0062】
前記重合反応における重合温度は、通常40~120℃であるが、本発明においては、安定的に反応できる点から50~90℃が好ましく、特に好ましくは55~75℃、さらに好ましくは60~70℃である。重合温度が高すぎるとアクリル系共重合体(A)がゲル化しやすくなる傾向があり、低すぎると重合開始剤の活性が低下するため、重合率が低下し、残存モノマーが増加する傾向がある。
【0063】
また、重合反応における重合時間(後述の追い込み加熱を行う場合は、追い込み加熱開始までの時間)は特に制限はないが、最後の重合開始剤の添加から0.5時間以上であることが好ましく、特に好ましくは1時間以上、さらに好ましくは2時間以上、殊に好ましくは5時間以上である。重合時間の上限は通常72時間である。
なお、重合反応は、除熱がしやすい点で溶剤を還流しながら行うことが好ましい。
【0064】
前記アクリル系共重合体(A)の製造においては、残存重合開始剤の量を低減させるため、追い込み加熱により、重合開始剤を加熱分解させることが好ましい。
【0065】
前記追い込み加熱温度は、前記重合開始剤の10時間半減期温度より高い温度で行うことが好ましく、具体的には通常40~150℃であり、ゲル化抑制の点から55~130℃であることが好ましく、特に好ましくは75~95℃である。追い込み加熱温度が高すぎると、アクリル系共重合体(A)が黄変する傾向があり、低すぎると重合成分や重合開始剤が残存し、アクリル系共重合体(A)の経時安定性や熱安定性が低下する傾向がある。
かくして、アクリル系共重合体(A)を得ることができる。
【0066】
また、アクリル系共重合体(A)は、側鎖に光活性部位、例えば重合性炭素二重結合基が導入されていてもよい。これにより粘着剤組成物の架橋効率を高めることができ、より短時間で粘着剤組成物を架橋することができ生産性を上げることができる。
【0067】
アクリル系共重合体(A)の側鎖に重合性炭素二重結合基を導入する方法としては、例えば上述した水酸基含有(メタ)アクリレート(a2)や官能基含有エチレン性不飽和モノマー(a4)を含む共重合体を作製し、その後、これらの官能基と反応しうる官能基と重合性炭素二重結合基とを有する化合物を、重合性炭素二重結合基の活性を維持したまま縮合又は付加反応させる方法を挙げることができる。
【0068】
これらの官能基の組み合わせとしては、エポキシ基(グリシジル基)とカルボキシ基、アミノ基とカルボキシ基、アミノ基とイソシアネート基、エポキシ基(グリシジル基)とアミノ基、水酸基とエポキシ基、水酸基とイソシアネート基等を挙げることができる。これらの官能基の組み合わせの中でも、反応制御のし易さから水酸基とイソシアネート基との組み合わせが好ましい。なかでも共重合体が水酸基を有し、前記化合物がイソシアネート基を有する組み合わせが好適である。
【0069】
重合性炭素二重結合基を有するイソシアネート化合物としては、上述した2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートやそれらのアルキレンオキサイド付加物等を挙げることができる。
【0070】
前記官能基と反応しうる官能基と重合性炭素二重結合基とを有する化合物の含有量は、粘着性や応力緩和性を向上させる観点から、アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下、特に好ましくは0.1質量部以下である。なお、下限値は通常0質量部である。
【0071】
アクリル系共重合体(A)の水酸基価は、30mgKOH/g以上が好ましく、50mgKOH/g以上がより好ましく、70mgKOH/g以上が特に好ましい。また、水酸基価の上限は、通常150mgKOH/gであり、好ましくは120mgKOH/gである。なお、前記水酸基価は、重合に用いた単量体の組成比からビニル系重合体1gに含まれる遊離の水酸基量を求め、これをアセチル化するために必要な酢酸を中和するのに要する水酸化カリウム量(単位mg)を計算することで求めることができる。
【0072】
アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、低温における貯蔵剪断弾性率(G')の増加を抑える点から-20℃以下であることが好ましく、より好ましくは-23℃以下、さらに好ましくは-25℃以下、特に好ましくは-30℃以下である。なお、高温における貯蔵剪断弾性率低下による糊はみだし等の懸念から、ガラス転移温度(Tg)の下限値は通常-50℃である。
【0073】
本発明において、ガラス転移温度(Tg)は、動的粘弾性測定装置を用いて、動的粘弾性を周波数1Hzの剪断モードにて測定した際の損失正接(tanδ)が最大となった温度を読み取ることにより求められる。
例えば、アクリル系共重合体(A)を、直径8mmの円柱体(高さ1.0mm)に成型し、これを粘弾性測定装置(T.A.Instrμments社製、「DHR 2」)を用いて、以下の測定条件下で、損失正接(tanδ)を測定することができる。
(測定条件)
・測定治具:Φ8mmパラレルプレート
・歪み:0.1%
・周波数:1Hz
・測定温度:-50~80℃
・昇温速度:5℃/分
【0074】
アクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、凝集力の高い粘着剤組成物が得られる観点から、40万以上であることが好ましく、より好ましくは50万以上、さらに好ましくは55万以上である。
また、アクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)の上限値は、取り扱い性や均一撹拌性の点から、150万以下であることが好ましく、より好ましくは120万以下、さらに好ましくは110万以下である。
【0075】
本発明において、重量平均分子量(Mw)は、例えば以下のようにして求めることができる。
(重量平均分子量の測定方法)
4mgのアクリル系共重合体(A)に対して、テトラヒドロフラン(THF)12mLを用いて溶解させたものを測定試料とし、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)分析装置(東ソー社製「HLC-8320GPC」)を用いて、下記の条件で分子量分布曲線を測定することで、重量平均分子量(Mw)を求めることができる。
・ガードカラム:TSKguardcolμmnHXL
・分離カラム:TSKgelGMHXL(4本)
・温度:40℃
・注入量:100μL
・ポリスチレン換算
・溶媒:THF
・流速:1.0mL/分
【0076】
前記アクリル系共重合体(A)の含有量は、粘着剤組成物(I)の通常10~75質量%であり、好ましくは12~73質量%、より好ましくは20~71質量%、特に好ましくは30~69質量%である。
【0077】
前記粘着剤組成物(I)は、耐衝撃性に優れる点から、ラジカル重合性化合物(B)及び、光重合開始剤(C)を含むことが好ましい。
【0078】
〔ラジカル重合性化合物(B)〕
前記ラジカル重合性化合物(B)としては、例えば単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは単独で又は2種以上併せて用いることができる。なかでも、単官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。
【0079】
[単官能(メタ)アクリレート]
前記単官能(メタ)アクリレートとしては、単官能(メタ)アクリル系モノマーや、単官能(メタ)アクリル系オリゴマーが挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。
また、前記単官能(メタ)アクリレートは、耐衝撃性に優れる点から、アルキレングリコール骨格を有することが好ましい。
【0080】
前記アルキレングリコール骨格としては、低温における貯蔵剪断弾性率を低下させる観点から、炭素数2~10、更には2~8、特には2~6、殊には2~4のアルキレン鎖を有するアルキレングリコール骨格が好ましく、とりわけエチレングリコール骨格、プロピレングリコール骨格、ブチレングリコール骨格等が好ましく、より好ましくはプロピレングリコール骨格である。
【0081】
前記単官能(メタ)アクリル系モノマーとしては、前記アルキレングリコール骨格を有する単官能(メタ)アクリレートモノマーの他、アルキレングリコール骨格を有する(メタ)アクリレートモノマー以外の単官能(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
【0082】
前記アルキレングリコール骨格を有する(メタ)アクリレートモノマー以外の単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレートが挙げられ、具体的にはn-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート及び、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0083】
前記単官能(メタ)アクリル系オリゴマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられ、耐衝撃性の点から、アルキレングリコール骨格を有することが好ましい。
【0084】
具体的には、例えば下記一般式(1)で示されるアルキレングリコール骨格を有する単官能(メタ)アクリル系オリゴマーが挙げられる。
CH2=CR1-COO-R2-Y-(R3O)k-R4 ・・・(1)
式中、R1は水素またはメチル基を表す。R2及びR4は独立して、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数2~10のアルケニル基を表す。Yはウレタン結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、アミド結合、ウレア結合の何れかから選択される結合基である。R3はエチレン基又はプロピレン基であるアルキレン基を表す。
したがって、(R3O)kは[(C24O)r(C36O)s]と表すことができる。rは0又は1以上の整数であり、sは0又は1以上の整数であり、r+s=kである。[(C24O)r(C36O)s]において、オキシエチレン構造(C24O)とオキシプロピレン構造(C36O)が併存する場合は、ランダム型であってもブロック型であってもよい。
kは(R3O)の繰り返し単位、つまり(C24O)rと(C36O)sとの合計繰り返し単位数であるr+sを表す、1~500の整数である。。
【0085】
前記一般式(1)の正数「k」は、衝撃を受けた場合であっても形状が回復しやすい復元性を付与しつつ、低温における貯蔵剪断弾性率を低下させて耐衝撃性を得る観点から、10~500であることが好ましく、より好ましくは100~450、さらに好ましくは200~400である。
【0086】
なかでも、アルキレングリコール骨格を有する単官能(メタ)アクリル系オリゴマーは、ウレタン結合を有する単官能ウレタン(メタ)アクリレートであることが、耐衝撃性に優れる点から好ましい。
【0087】
前記アルキレングリコール骨格を有する単官能ウレタン(メタ)アクリレートは高極性でかつ鎖長が長いため、ポリマー鎖が絡み合うことで高い復元性(耐衝撃性)が得られる傾向があり、また、分子回転性の高いオキシプロピレン構造を有するため低い貯蔵剪断弾性率が得られる傾向があることから、特に有効である。
【0088】
[多官能(メタ)アクリレート]
前記多官能(メタ)アクリレートとしては、多官能(メタ)アクリル系モノマーや多官能(メタ)アクリル系オリゴマーが挙げられる。
前記多官能(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリングリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリプロポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペングリコールのε-カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0089】
前記多官能(メタ)アクリル系オリゴマーとしては、例えば多官能ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマー、多官能エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー、多官能ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、多官能ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマー等の多官能(メタ)アクリル系オリゴマーを挙げることができる。
【0090】
前記多官能(メタ)アクリレートを用いた場合には、架橋剤としても作用することとなる。
【0091】
前記ラジカル重合性化合物(B)は、衝撃を受けた際の復元性を維持しつつ、低温における貯蔵剪断弾性率を低下させる観点から、ホモ重合した時の重合体のガラス転移温度が-40℃以下であることが好ましく、より好ましくは-45℃以下、さらに好ましくは-50℃以下である。
前記ラジカル重合性化合物(B)は、高温における貯蔵剪断弾性率低下による糊はみだし等の懸念からから、ホモ重合した時の重合体のガラス転移温度が-80℃以上であることが好ましく、より好ましくは-75℃以上、さらに好ましくは-70℃以上である。
【0092】
前記ラジカル重合性化合物(B)の重量平均分子量(Mw)は、衝撃を受けた際の復元性を維持しつつ、低温における貯蔵剪断弾性率を低下させる観点から、3.0万以下であることが好ましく、より好ましくは2.8万以下、さらに好ましくは2.5万以下である。
また、前記ラジカル重合性化合物(B)の重量平均分子量(Mw)の下限値は、衝撃を受けた際の復元性を維持しつつ、ブリードアウトによる粘着性低下を防ぐ観点から、0.3万以上であることが好ましく、より好ましくは0.4万以上、さらに好ましくは0.5万以上である。
なお、アルキレングリコール骨格を有するラジカル重合性化合物(B)の重量平均分子量(Mw)は、前記アクリル系共重合体(A)で説明した「重量平均分子量の測定方法」に準じて求めることができる。
【0093】
前記ラジカル重合性化合物(B)を用いる場合、その含有量は、アクリル系共重合体(A)100質量部に対し、通常10~100質量部であり、好ましくは20~90質量部であり、特に好ましくは40~80質量部である。ラジカル重合性化合物(B)の含有量を前記範囲とすることにより、耐衝撃性に優れた粘着剤層にすることができる傾向がある。
【0094】
また、前記多官能(メタ)アクリレートを架橋剤として用いる場合、その含有量は、アクリル系共重合体(A)100質量部に対し、通常10~100質量部であり、好ましくは20~90質量部であり、特に好ましくは40~80質量部である。多官能(メタ)アクリレートの含有量を前記範囲とすることにより、フレキシブル性に優れた粘着シートとすることができる傾向がある。
【0095】
〔光重合開始剤(C)〕
前記光重合開始剤(C)は、活性エネルギー線によってラジカルを発生する化合物であれば特に限定されない。
光重合開始剤は、ラジカル発生機構によって大きく2つに分類される。より具体的には、開始剤自身の単結合を開裂分解してラジカルを発生させることができる開裂型光重合開始剤と、励起した開始剤が系中の水素供与体から水素を引き抜くことによってラジカルを発生させることができる水素引抜型光重合開始剤と、に大別される。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。
前記開裂型光重合開始剤は、高い感光性を有する点で好ましい。
一方、水素引抜型光重合開始剤は、光分解生成物を生じない点及び、水素引抜反応により、前記アクリル系重合体(A)を架橋構造に取り込むことができる点で好ましい。
【0096】
前記水素引抜型光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、2-ベンゾイル安息香酸メチル、4-[(4-メチルフェニル)チオ]ベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシエトキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシ-4’-ブロモベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシエトキシ-4’-ブロモベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシエトキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシ-4’-ブロモベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシエトキシ-4’-ブロモベンゾフェノン等の分子間水素引抜型光重合開始剤;メチルベンゾイルフォルメイト、ベンゾイル蟻酸メチル、オキシフェニル酢酸-2-(2-オキソ-2-フェニルーアセトキシ-エトキシ)エチルエステル、オキシフェニル酢酸-2-(2-ヒドロキシ-エトキシ)エチルエステル等の分子内水素引抜型光重合開始剤等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。
【0097】
前記分子間水素引抜型光重合開始剤のなかでも、4-メチルベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノンや、炭素-炭素二重結合を有するラジカル重合性官能基を分子内に有する光重合開始剤(C1)、例えば4-アクリロイルオキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシエトキシ-4’-メトキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシベンゾフェノンが好ましく、4-メチルベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシベンゾフェノンがより好ましい。前記炭素-炭素二重結合を有するラジカル重合性官能基を分子内に有する光重合開始剤(C1)は、光反応後に重合構造に取り込まれることで、光重合開始剤(C)のブリードアウトを抑制するとともに、粘着シートの凝集力を向上させることができる傾向がある。
また、分子内水素引抜型光重合開始剤は、系中の水素供与体のみならず、自身もラジカル発生の起点となりうる点で好ましく、メチルベンゾイルフォルメイトがより好ましい。
【0098】
本発明においては、光重合開始剤(C)として、分子間水素引抜型光重合開始剤及び、分子内水素引抜型光重合開始剤を含むことが、粘着シートの凝集力を高める観点から好ましい。
【0099】
前記開裂型光重合開始剤としては、例えば2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパノン)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキサイドや、それらの誘導体等を挙げることができる。
【0100】
前記光重合開始剤(C)の含有量は、アクリル系共重合体(A)100質量部に対して通常0.1~10質量部、なかでも0.5~6質量部、そのなかでも1~4質量部であることが好ましい。かかる含有量が前記下限値以上であると硬化不良を防げる傾向があり、前記上限値以下であると粘着剤組成物から析出する等の溶液安定性の低下を抑えやすく、脆化や着色の問題を抑制しやすい傾向がある。
【0101】
〔熱架橋剤〕
前記粘着剤組成物(I)には、架橋密度をより向上して長期信頼性を改善する点から熱架橋剤を含有してもよい。
かかる熱架橋剤としては、例えばイソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤が挙げられる。これらのなかでもアクリル系共重合体との反応性に優れる点で、イソシアネート系架橋剤を用いることが好ましい。
【0102】
前記熱架橋剤の含有量は、通常アクリル系共重合体(A)100質量部に対して通常5~40質量部、好ましくは10~30質量部である。
【0103】
〔その他の成分〕
前記粘着剤組成物(I)は、「その他の成分」として、本発明の効果を損なわない限度で必要に応じて、例えばシランカップリング剤、紫外線吸収剤、防錆剤、粘着付与樹脂、酸化防止剤、光安定化剤、金属不活性化剤、老化防止剤、吸湿剤、防錆剤、無機粒子等の各種の添加剤を適宜含有させることが可能である。
また、必要に応じて、三級アミン系化合物、四級アンモニウム系化合物、ラウリル酸スズ化合物等の反応触媒を適宜含有してもよい。
これらは1種又は2種以上併せて用いることができる。
【0104】
[シランカップリング剤]
前記粘着剤組成物(I)は、シランカップリング剤を含有することが耐久性の点から好ましい。
前記シランカップリング剤は、構造中に反応性官能基と、ケイ素原子と結合したアルコキシ基をそれぞれ1つ以上含有する有機ケイ素化合物である。
【0105】
前記反応性官能基としては、例えばエポキシ基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、イソシアネート基が挙げられ、これらの中でも、耐久性のバランスの点からエポキシ基、メルカプト基が好ましい。
【0106】
前記ケイ素原子と結合したアルコキシ基としては、耐久性と保存安定性の点から炭素数1~8のアルコキシ基を含有することが好ましく、特に好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。
なお、シランカップリング剤は、反応性官能基及びケイ素原子と結合したアルコキシ基以外の有機置換基、例えばアルキル基、フェニル基等を有していてもよい。
【0107】
前記シランカップリング剤としては、例えば3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のシラン化合物であるモノマー型のエポキシ基含有シランカップリング剤や、前記シラン化合物の一部が加水分解縮重合したり、前記シラン化合物とメチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル基含有シラン化合物が共縮合したシラン化合物であるオリゴマー型エポキシ基含有シランカップリング剤;
3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のシラン化合物であるモノマー型のメルカプト基含有シランカップリング剤や、前記シラン化合物の一部が加水分解縮重合したり、前記シラン化合物とメチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル基含有シラン化合物が共縮合したシラン化合物であるオリゴマー型メルカプト基含有シランカップリング剤;
3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤;
N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;
3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカップリング剤;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基含有シランカップリング剤等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0108】
これらのなかでも、耐久性に優れる点から、エポキシ基含有シランカップリング剤、メルカプト基含有シランカップリング剤が好ましく用いられ、なかでもエポキシ基含有シランカップリング剤が好ましく、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
【0109】
シランカップリング剤の含有量としては、(メタ)アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、0.005~10質量部であることが好ましく、特に好ましくは0.01~5質量部、さらに好ましくは0.05~1質量部である。含有量がかかる範囲内であれば、耐久性が向上する傾向がある。
【0110】
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ベンゾオキサジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、1種又は2種以上併せて用いることができる。
【0111】
紫外線吸収剤を用いる場合、その含有量としては、アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、0.01~20質量部であることが好ましく、特に好ましくは0.1~15質量部、さらに好ましくは0.5~10質量部である。かかる含有量が前記下限値以上であると耐光信頼性が向上する傾向があり、前記上限値以下であると耐黄変性が向上する傾向がある。
【0112】
(防錆剤)
防錆剤としては、例えばトリアゾール類、ベンゾトリアゾール類等が好ましく、光学部材が腐食するのを防止することができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
防錆剤を用いる場合、その含有量は、アクリル系共重合体(A)100質量部に対して0.01~5質量部であることが好ましく、なかでも0.1~3質量部であることが好ましい。
【0113】
前記その他の成分の含有量は、アクリル系共重合体(A)100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、特に好ましくは1質量部以下、さらに好ましくは0.5質量部以下である。かかる含有量が多すぎるとアクリル系共重合体との相溶性が低下し、耐久性が低下する傾向がある。
【0114】
粘着剤組成物(I)は、アクリル系共重合体(A)、好ましくはラジカル重合性化合物(B)、光重合開始剤(C)、必要に応じてさらに熱架橋剤やその他の成分をそれぞれ所定量混合することにより調製される。
【0115】
<粘着剤層の製造方法>
次に、粘着剤層の製造方法について説明する。
但し、以下の説明は、粘着剤層を製造する方法の一例であり、前記粘着剤層はかかる製造方法により製造されるものに限定されるものではない。
【0116】
前記粘着剤層は、粘着剤組成物(I)から形成されるものであり、通常、前記粘着剤組成物(I)を調製し、これをシート状に成形し、架橋すなわち重合反応させて硬化させ、必要に応じて適宜加工を施することにより製造される。すなわち、前記粘着剤層は、粘着シートであることが好ましい。
【0117】
前記粘着剤組成物(I)を調製する際は、前記各成分を、温度調節可能な混練機(例えば一軸押出機、二軸押出機、プラネタリーミキサー、二軸ミキサー、加圧ニーダー等)を用いて混練すればよい。
なお、各成分を混練する際、酸化防止剤等の各種添加剤は、予め樹脂と共にブレンドしてから混練機に供給してもよいし、予め全ての材料を溶融混合してから供給してもよいし、添加剤のみを予め樹脂に濃縮したマスターバッチを作製し供給してもよい。
【0118】
粘着剤組成物(I)をシート状に成形する方法としては、公知の方法、例えばウェットラミネーション法、ドライラミネート法、Tダイを用いる押出キャスト法、押出ラミネート法、カレンダー法やインフレーション法、射出成形、注液硬化法等を採用することができる。なかでも、シートを製造する場合は、ウェットラミネーション法、押出キャスト法、押出ラミネート法が好適である。
【0119】
また、粘着剤組成物(I)の硬化は、活性エネルギー線を照射することにより行うことができ、粘着剤組成物(I)の成形体、例えばシート体に成形したものに、活性エネルギー線を照射することにより、粘着シートを製造することができる。なお、活性エネルギー線の照射の他に、加熱してさらに硬化を図ることもできる。
【0120】
また、活性エネルギー線の照射エネルギー、照射時間、照射方法等に関しては特に限定されず、光重合開始剤(C)を活性化させてモノマー成分を重合できればよい。
光重合開始剤(C)として水素引抜型光重合開始剤(c1)を用いた場合、アクリル系重合体(A)からも水素引抜反応を起こして、アクリル系重合体(A)が架橋構造に取り込まれ、架橋点が多い架橋構造を形成することができる。
したがって、前記粘着シートは、水素引抜型光重合開始剤(c1)を用いて硬化してなるものが好ましい。
【0121】
前記活性エネルギー線照射における活性エネルギー線としては、例えば遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線、可視光線等の光線、X線、α線、β線、γ線、電子線、プロトン線、中性子線等の電離性放射線が挙げられる。なかでも、光学装置構成部材へのダメージ抑制や反応制御の観点から紫外線が好適である。また、硬化速度、照射装置の入手のしやすさ、価格等からも、紫外線照射による硬化が有利である。
【0122】
紫外線照射の光源としては、150~450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、カーボンアークランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、LED等を用いることが挙げられる。なかでも、高圧水銀ランプを用いることが好ましい。
【0123】
活性エネルギー線照射量(積算光量)としては、硬化の点から、0.03~3J/cm2が好ましく、より好ましくは0.1~2J/cm2、さらに好ましくは0.3~1.5J/cm2の条件で行われる。
【0124】
また、前記粘着シートの少なくとも片面には、ブロッキング防止や異物付着防止の観点から、離型フィルムを設けることもできる。
すなわち、前記粘着シートは、粘着剤組成物からなる粘着剤層(前記粘着シート)の片面又は両面に、離型フィルムを積層してなる構成を備えた離型フィルム付き粘着シート(粘着シート積層体)として提供することもできる。
【0125】
前記粘着シートの両面に離型フィルムを設ける場合は、相対的に剥離力の低い軽剥離フィルムと、相対的に剥離力の高い重剥離フィルムが積層された積層体構成とするのが好ましい。
両面に離型フィルムを設けた離型フィルム付き粘着シートの使用時には、まず、一方の離型フィルム(軽剥離フィルム)を剥離して粘着シートの一方の面を露出させて、部材シート又はフレキシブル画像表示装置構成部材(第1部材とする)との貼り合わせを行い、他方の離型フィルム(重剥離フィルム)を剥離して露出した粘着シートの他方の面に、部材シート又はフレキシブル画像表示装置構成部材(第2部材とする)を貼り合わせればよい。
【0126】
かかる離型フィルムとしては、公知の離型フィルムを適宜用いることができる。
離型フィルムの材質としては、例えばポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、アクリルフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、フッ素樹脂フィルム等のフィルムに、シリコーン樹脂等の離型剤を塗布して離型処理したものや、離型紙等を適宜選択して用いることができる。
その中でも、ポリエステルフィルム、さらにその中でもポチエチレンテレフタレート(PET)フィルム、特に2軸延伸PETフィルムが、透明性、機械強度、耐熱性、柔軟性などに優れている点で好ましい。前記基材に、シリコーン樹脂を主成分とする硬化型シリコーン系離型剤を硬化してなる離型層を設けた離型フィルムを使用することができる。
【0127】
一般的にフレキシブル性に優れた粘着シートを離型フィルム付き粘着シートとした場合、離型フィルムの剥離力が高いと、粘着シートが柔軟であるため、離型フィルムを剥離する際に粘着シートが変形して剥離痕がつきやすい傾向がある。
このため、フレキシブル性に優れた粘着シートに用いる離型フィルム、特に軽剥離フィルムは、従来、汎用的に使用していた軽剥離タイプの離型フィルムより、さらに軽い力で剥離できる剥離フィルムが好ましい。
【0128】
しかし、離型フィルムの軽剥離化のために、離型剤層の厚みを厚くすると、使用する離型剤の種類によっては、離型剤層由来の成分が粘着シートの表面に転着して、粘着シートの信頼性を損なう場合がある。このため、離型フィルムとしては、粘着シートからの離型性が良好であり、かつ、粘着シートへの離型剤の移行性が少ないことが好ましい。
【0129】
粘着シートと離型フィルムとの剥離力は、1.5~0.05N/cmが好ましく、1.2~0.06N/cmがより好ましく、1.0~0.07N/cmがさらに好ましい。離型フィルムと粘着シートの剥離力は、試験速度:300m/分の180°剥離試験による測定値である。前記範囲であれば、前記粘着シートから離型フィルムを剥離する際の剥離痕を防ぐことができる。
【0130】
また、粘着シートから離型フィルムを剥離して露出した粘着面の、蛍光X線分析装置を用いて測定したケイ素原子のピーク強度は、100cps以下であるのが好ましい。ピーク強度が100cps以下であれば、粘着シート表面に移行した離型剤により、粘着シートを画像表示装置構成用積層体としたときの信頼性を損なうことがなく好ましい。かかる観点から、該ピーク強度は90cps以下であるのがより好ましく、80cps以下であるのがさらに好ましく、70cps以下であるのが殊に好ましい。なお下限は通常0cpsである。
【0131】
離型フィルムの厚みは、特に制限されない。なかでも、例えば加工性及びハンドリング性の観点からは、10~250μmであることが好ましく、そのなかでも25~200μm、そのなかでも35~190μmであることがさらに好ましい。
【0132】
また、必要に応じて、エンボス加工や種々の凹凸(円錐や角錐形状や半球形状等)加工を行ってもよい。また、各種部材シートへの粘着性を向上させる目的で、表面にコロナ処理、プラズマ処理及びプライマー処理等の各種表面処理を行ってもよい。
【0133】
さらに、前記粘着シートの製造方法の別の実施態様として、粘着剤組成物(I)を適切な溶剤に溶解させ、各種コーティング手法を用いて実施することもできる。
コーティング手法を用いた場合、前記の活性エネルギー線照射による硬化の他、熱硬化させることにより、粘着シートを得ることもできる。コーティングの場合、粘着シートの厚みは塗工厚みと塗工液の固形分濃度によって調整できる。
【0134】
例えば、粘着剤組成物(I)を溶剤に溶解した後、離型フィルムにコーティングして乾燥し、活性エネルギー線照射により硬化し、粘着シートを形成することができる。さらに、必要に応じて離型フィルムを積層してもよい。この場合、離型フィルムにコーティングして乾燥し、活性エネルギー線照射により硬化し、その上に離型フィルムを積層してもよいし、また、離型フィルムにコーティングして乾燥し、離型フィルムを積層した後、活性エネルギー線照射により硬化し粘着シートを形成してもよい。
【0135】
かかる溶剤としては、粘着剤組成物を溶解させるものであれば特に限定されることなく、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、メタノール、エタノール、プロピルアルコール等のアルコール系溶剤が挙げられる。これらは1種又は2種以上併せて用いることができる。なかでも、溶解性、乾燥性、価格等の点から酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、トルエンが好ましく、特に酢酸エチルが好適に用いられる。
【0136】
溶剤の含有量としては、乾燥性から、アクリル系重合体(A)100質量部に対して、600質量部以下が好ましく、500質量部以下がより好ましく、400質量部以下がさらに好ましく、300質量部以下が特に好ましい。一方、1質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましく、100質量部以上がさらに好ましく、150質量部以上が特に好ましい。
【0137】
コーティング方法としては、例えばロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スクリーン印刷、バーコーティング等の慣用の方法により行なうことができる。
【0138】
前記乾燥後における粘着剤組成物(I)中の溶剤含有量としては1質量%以下となることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下であり、最も好ましくは0質量%である。
【0139】
乾燥温度としては、通常40~150℃であり、より好ましくは45~140℃、さらに好ましくは50~130℃、特に好ましくは55~120℃である。前記温度範囲であると、離型フィルムの熱変形を抑えつつ、効率的かつ比較的安全に溶剤を除去できる。
【0140】
乾燥時間としては、通常1~30分間であり、より好ましくは3~25分間、さらに好ましくは5~20分間である。前記時間範囲であると、効率的かつ十分に溶剤を除去できる。
【0141】
乾燥方法としては、例えば乾燥機、熱ロールによる乾燥、フィルムに熱風を吹き付ける乾燥等が挙げられる。なかでも、乾燥機を用いることが均一かつ容易に乾燥できる点から好ましい。これらは1種又は2種以上併せて用いることができる。
【0142】
(厚み)
前記粘着シート(粘着層)の厚みは、特に制限されるものではなく、その厚みが10μm以上であれば、ハンドリング性が良好であり、また、厚みが1000μm以下であれば、前記粘着シートの薄型化に寄与することができる。
よって、前記粘着シートの厚みは、10μm以上であることが好ましく、なかでも15μm以上、特に20μm以上、さらに25μm以上であることがより好ましい。
一方、上限に関しては、1000μm以下であることが好ましく、なかでも500μm以下、特に250μm以下、さらに100μm以下、殊には75μm以下であることがさらに好ましい。
【0143】
前記粘着シートは、粘着剤組成物(I)から形成されてなる粘着剤層のみからなる単層シートであっても、他の粘着剤層が複数積層されている複層シートであってもよい。
【0144】
<粘着シート(粘着剤層)の物性>
前記粘着シート(粘着剤層)は、次のような物性を有することができる。
【0145】
(貯蔵剪断弾性率)
前記粘着シートの周波数1Hzの剪断モードで動的粘弾性測定により得られる、25℃の貯蔵剪断弾性率(G'(25℃))は、5kPa以上100kPa以下であることが好ましい。25℃の貯蔵剪断弾性率(G'(25℃))が100kPa以下であることにより、積層体の折り曲げ時の層間応力を小さくすることができ、第1の部材、第2の部材のデラミや割れを抑制することができる。
かかる観点から、25℃の貯蔵剪断弾性率(G'(25℃))は、90kPa以下であることが好ましく、80kPa以下であることがより好ましく、70kPa以下であることが特に好ましい。
なお、前記粘着シートの貯蔵剪断弾性率(G'(25℃))の下限値に関しては、糊はみだし防止及び、粘着シートの形状維持の観点から、5kPa以上であることが好ましい。
【0146】
前記粘着シートの周波数1Hzの剪断モードで動的粘弾性測定により得られる、-20℃の貯蔵剪断弾性率(G'(-20℃))は、通常1000kPa以下であり、400kPa以下であることが好ましく、300kPa以下であることが特に好ましく、250kPa以下であることが一層好ましい。
なお、前記粘着シートの貯蔵剪断弾性率(G'(-20℃))の下限値に関しては、高温における貯蔵剪断弾性率とのバランスから、50kPa以上であることが好ましい。
【0147】
前記粘着シートの貯蔵剪断弾性率(G'(-20℃))が前記範囲であることで、例えば前記粘着シートを部材シートに貼着して、積層体或いは画像表示装置用積層体を形成した際、特に低温から高温において、積層体又は画像表示装置用積層体の折り曲げ時の層間応力を小さくすることができ、部材シート又はフレキシブル画像表示装置構成部材のデラミや割れを抑制することができる。
【0148】
前記粘着シートの周波数1Hzの剪断モードで動的粘弾性測定により得られる、-30℃の貯蔵剪断弾性率(G'(-30℃))は、1200kPa以下であることが好ましく、1000kPa以下であることがさらに好ましく、800kPa以下であることがさらに好ましく、700kPa以下であることが特に好ましく、500kPa以下であることが一層好ましい。
なお、前記粘着シートの貯蔵剪断弾性率(G'(-30℃))の下限値に関しては、高温における貯蔵剪断弾性率とのバランスから、100kPa以上であることが好ましい。
【0149】
前記粘着シートの貯蔵剪断弾性率(G'(-30℃))が前記範囲であることで、粘着シートを第1の部材、第2の部材に貼着して、積層体を形成した際、特に低温から高温において、積層体の折り曲げ時の層間応力を小さくすることができ、第1の部材、第2の部材のデラミや割れを抑制することができる傾向がある。
【0150】
前記粘着シートは、高い粘着性が得られる観点から、周波数1Hzの剪断モードで動的粘弾性測定により得られる、60℃の貯蔵剪断弾性率(G'(60℃))が、50kPa以下であることが好ましく、40kPa以下であることがさらに好ましく、35kPa以下であることが特に好ましく、30kPa以下であることが一層好ましい。
なお、貯蔵剪断弾性率(G'(60℃))の下限値は、糊はみだし防止及び、粘着シートの形状維持の観点から、1kPa以上であることが好ましい。
【0151】
前記粘着シートは、高い粘着性が得られる観点から、周波数1Hzの剪断モードで動的粘弾性測定により得られる、80℃の貯蔵剪断弾性率(G'(80℃))が、30kPa以下であることが好ましく、25kPa以下であることがさらに好ましく、20kPa以下であることが特に好ましく、15kPa以下であることが一層好ましい。
なお、貯蔵剪断弾性率(G'(80℃))の下限値に関しては、糊はみだし防止及び、粘着シートの形状維持の観点から、1kPa以上であることが好ましい。
【0152】
(損失正接(tanδ)の極大点及び、ガラス転移温度(Tg))
前記粘着シートは、周波数1Hzの剪断モードで、動的粘弾性測定により得られる損失正接(tanδ)の極大点が、-20℃以上であることが好ましく、-15℃以上にあることがさらに好ましく、-10℃以上にあることが特に好ましく、-5℃以上にあることが一層好ましい。また、上限値は、通常40℃である。
当該損失正接(tanδ)の極大点は、ガラス転移温度(Tg)と解釈することができ、ガラス転移温度(Tg)が前記範囲にあることで、粘着シートの貯蔵剪断弾性率(G'(25℃))を5kPa以上100kPa以下に調整しやすくなる傾向がある。
【0153】
周波数1Hzの剪断モードで動的粘弾性測定により得られる損失正接(tanδ)の変曲点が1点のみ観察される場合、言い換えれば、tanδ曲線が単峰山形状を呈する場合、ガラス転移温度(Tg)が単一であるとみなすことができる。
【0154】
損失正接(tanδ)の「極大点」とは、tanδ曲線におけるピーク値、すなわち微分した際に正(+)から負(-)に変化する変曲点の中で、所定範囲或いは全体範囲において最大の値を持つ点の意味である。
【0155】
(損失正接(tanδ))
前記粘着シートは、周波数1Hzの剪断モードで、動的粘弾性測定により得られる、25~60℃における損失正接(tanδ)が0.18以上であることが好ましく、0.20以上であることがより好ましく、0.25以上であることが特に好ましい。上限値は、通常1である。25~60℃における損失正接(tanδ)が前記数値以上であると、耐衝撃性に優れる。
【0156】
種々の温度における貯蔵剪断弾性率G'及び損失正接(tanδ)は、レオメータを用いて測定することができる。
【0157】
貯蔵剪断弾性率(G')及び損失正接(tanδ)は、粘着剤組成物(I)に含まれる成分(例えば前記のアクリル系共重合体(A)や、ラジカル重合性化合物(B)等)の種類及び、その重量平均分子量等を調整したり、さらに粘着シートのゲル分率等を調整したりすることによって、前記範囲に調整することができる。但し、この方法に限定されるものではない。
【0158】
(ゲル分率)
前記粘着シートのゲル分率は、95%以下が好ましく、より好ましくは90%以下、さらに好ましくは85%以下である。前記粘着シートのゲル分率が前記数値以下であることにより、フレキシブル部材に対する粘着力を高めることができる。また、下限は、30%以上が好ましく、より好ましくは40%以上、特に好ましくは50%以上である。ゲル分率が前記下限値以上であることにより、形状を十分に保持することができる傾向がある。
【0159】
前記ゲル分率は、例えば以下のように測定される。
予め質量を測定した本粘着シートと150メッシュのSUS製金網を準備する。次に本粘着シートをSUS製金網で包み、23℃で酢酸エチル中に24時間浸漬する。その後70℃で4.5時間乾燥させ、SUS製金網ごと質量を測定し、そこからSUS製金網の質量を引くことにより、金網中に残存した不溶解の本粘着シートの質量(浸漬後質量)を求める。そして、酢酸エチル浸漬前における本粘着シートの質量(浸漬前質量)に対する、金網中に残存した不溶解の本粘着シートの質量(浸漬後質量)の百分率をゲル分率(%)として算出する。
【0160】
(粘着力)
前記粘着シートは、23℃における対ポリイミド粘着力(P(23℃))が、通常3.5N/cm以上であり、3.6N/cm以上が好ましく、3.8N/cm以上がより好ましく、4.0N/cm以上がさらに好ましい。
また、60℃における対ポリイミド粘着力(P(60℃))は、通常1.4N/cm以上であり、1.5N/cm以上であるのがより好ましく、1.6N/cm以上であるのがさらに好ましく、1.7N/cm以上であるのが特に好ましい。対ポリイミド粘着力が、上記を満たす粘着シートは幅広い温度域において粘着性に優れ、積層体を折り曲げてもデラミネーションが起こりにくいため、耐久性に優れる傾向がある。
前記粘着力は、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
【0161】
(透明性、ヘイズ)
前記粘着シートは、目視観察にて透明性を有するものであり、透明性は各成分が均一に相溶していることを示すものである。
【0162】
また、前記粘着シートは、全光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることが特に好ましい。前記粘着シートの全光線透過率が前記数値以上であることにより、画像表示装置用の用途に好適に使用することができる傾向がある。
【0163】
さらに、前記粘着シートは、ヘイズが5%以下であることが好ましく、4%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが特に好ましい。
前記粘着シートのヘイズが前記数値以下であることにより、画像表示装置用の用途に好適に使用することができる傾向がある。
【0164】
なお、前記粘着シートの全光線透過率、ヘイズを前記範囲にするためには、前記粘着シートが有機粒子等の粒子を含まないことが好ましい。
【0165】
<本積層体の製造方法>
本積層体は、前記第1の部材と前記第2の部材とを、前記粘着シートを介して積層させることにより得られる。
【0166】
また、本積層体は、前記粘着剤組成物(I)を調製し、これを第1の部材及び/又は第2の部材上にコーティングし、当該粘着剤組成物(I)を硬化させ、粘着剤層を有する第1の部材及び/又は第2の部材を貼合させることにより得ることもできる。
【0167】
本積層体の厚みは、1000μm以下であることが好ましく、より好ましくは900μm以下、特に好ましくは800μm以下である。
【0168】
<<画像表示装置>>
本発明の実施形態の一例に係る画像表示装置(以下、「本画像表示装置」と称することがある。)は、本積層体を備えるものである。例えば、本積層体を、他の画像表示装置構成部材に積層することで、本積層体を備えた本画像表示装置を形成することができる。
【0169】
(画像表示装置構成部材)
前記他の画像表示装置構成部材としては、例えば有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ等のフレキシブルディスプレイ、カバーレンズ(カバーフィルム)、偏光板、偏光子、位相差フィルム、バリアフィルム、視野角補償フィルム、輝度向上フィルム、コントラスト向上フィルム、拡散フィルム、半透過反射フィルム、電極フィルム、透明導電性フィルム、金属メッシュフィルム、タッチセンサーフィルム等を挙げることができる。これらは単独でもしくは2種以上を併せて用いてもよい。
【0170】
本画像表示装置用は、本積層体を備えるため、耐衝撃性に優れたものとすることができる。
【実施例0171】
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、例中、「部」とあるのは、質量基準を意味する。
【0172】
[実施例1]
2-エチルへキシルアクリレート60部、ブチルアクリレート15部、メチルアクリレート5部及び、2-ヒドロキシエチルアクリレート20部を共重合してなる、アクリル系共重合体(重量平均分子量:77万)100部に対し、ラジカル重合性化合物としてオキシプロピレン構造を含有する単官能ウレタンアクリレート(AGC社製)75部、光重合開始剤として4-メチルベンゾフェノンと2,4,6-トリメチルベンゾフェノンの混合物(「Esacure TZT」、IGM社製)2部、シランカップリング剤として3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(「KBM403」、信越シリコーン社製)0.5部及び、溶剤として酢酸エチルを均一混合し、粘着剤組成物溶液を得た。
【0173】
前記粘着剤組成物溶液を、重剥離フィルム(三菱ケミカル社製、シリコーン剥離処理ポリエステルフィルム、厚み100μm)上に、乾燥後の厚みが70μmとなるようコーティングした。コーティング後、温度90℃に加熱した乾燥機内に入れて7分間保持し、粘着剤組成物が含有する溶剤を揮発乾燥させた。
さらに、溶剤を乾燥させた当該粘着剤組成物の表面に、軽剥離フィルム(三菱ケミカル社製、シリコーン剥離処理ポリエステルフィルム、厚み50μm)を積層した積層体を形成し、高圧水銀ランプを用いて、前記離型フィルムを介して前記粘着剤組成物に対して、波長365nmの積算光量が1000mJ/cm2となるよう紫外線照射して粘着剤組成物を硬化し、離型フィルム付粘着シートを得た。
また、第1の部材としてポリイミドフィルム(厚さ25μm、弾性率(E’)2GPa)、第2の部材としてUTG(厚さ50μm、弾性率(E’)70GPa)を準備した。前記離型フィルム付粘着シートから、軽剥離フィルムを取り除き、露出した粘着面を第1の部材に貼り合わせた。その後、重剥離フィルムを取り除き、露出した粘着面を第2の部材に貼り合わせ積層体を得た。
【0174】
[比較例1]
2-エチルへキシルアクリレート27部、メチルアクリレート20部、メチルメタクリレート9部、イソブチルアクリレート38部及び、N-ビニルピロリドン6部が共重合してなる、アクリル系共重合体(重量平均分子量:25万)100部に対し、ラジカル重合性化合物としてポリプロピレングリコール♯400ジアクリレート(新中村化学社製、「NKエステル APG-400」)1.5部、光重合開始剤としてメチルベンゾイルフォルメイト(IGM社製「Omnirad MBF」)1.75部及び、4-メタリロイルオキシベンゾフェノン0.75部、シランカップリング剤として3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(「KBM403」、信越シリコーン社製)0.2部、溶剤としての酢酸エチルを均一混合し、粘着剤組成物溶液を得た。
【0175】
前記粘着剤組成物溶液を、重剥離フィルム(三菱ケミカル社製、シリコーン剥離処理ポリエステルフィルム、厚み100μm)上に、乾燥後の厚みが75μmとなるようコーティングした。コーティング後、温度90℃に加熱した乾燥機内に入れて7分間保持し、粘着剤組成物が含有する溶剤を揮発乾燥させた。
さらに、溶剤を乾燥させた当該粘着剤組成物の表面に、軽剥離フィルム(三菱ケミカル社製、シリコーン剥離処理ポリエステルフィルム、厚み50μm)を積層した積層体を形成し、高圧水銀ランプを用いて、前記離型フィルムを介して前記粘着剤組成物に対して、波長365nmの積算光量が2250mJ/cm2となるよう紫外線照射して粘着剤組成物を硬化し、離型フィルム付粘着シートを得た。
また、第1の部材としてポリイミドフィルム(厚さ25μm、弾性率(E’)2GPa)、第2の部材としてUTG(厚さ50μm、弾性率(E’)70GPa)を準備した。前記離型フィルム付粘着シートから、軽剥離フィルムを取り除き、露出した粘着面を第1の部材に貼り合わせた。その後、重剥離フィルムを取り除き、露出した粘着面を第2の部材に貼り合わせ積層体を得た。
【0176】
上記得られた実施例、比較例及び参考例について、それぞれ前記の測定法及び評価方法に従い、測定及び評価した結果を下記表1に示す。
【0177】
<弾性率(E’)>
実施例及び比較例で作製した離型フィルム付粘着シートから離型フィルムを取り除き、粘着シートを複数層積層することで厚み1.0mmの積層体とした。
得られた粘着シートの積層体から、直径8mmの円柱体(高さ1.0mm)を打ち抜き、これをサンプルとした。
かかるサンプルについて、粘弾性測定装置(T.A.Instruments社製、製品名「DHR 2」)を用いて、以下の測定条件下で、動的粘弾性の温度分散を測定した。
得られた動的粘弾性の温度分散データから、25℃における貯蔵剪断弾性率(G')を読み取り、次式に代入して弾性率(E’)を求めた。
弾性率(E’)=2G'×(1+ν)
ここで、νはポアソン比(0.493)である。
(測定条件)
・測定治具:Φ8mmパラレルプレート
・歪み:0.1%
・周波数:1Hz
・測定温度:-60~100℃
・昇温速度:5℃/分
【0178】
<最大圧力、圧縮変位(解析)>
Ansys社製 LS-DYNA(衝撃解析ソフト)を用いて、以下の衝撃解析プログラムに、実施例及び比較例で作製した粘着剤層の弾性率(E’)を設定値として用いた、衝撃解析モデルを作製し、これの衝撃解析を行い、第1部材に及ぶ最大圧力及び、第1部材への圧縮変位を求めた。
【0179】
(解析モデル)
モデリングソフトとしてAnsys社製 LS-DYNAを使用し、図1に示す衝撃試験モデル(試験体、試験体に衝撃を与えるためのインパクター及び、試験体を設置する床面を含むモデル)を作成した。なお試験体は、第1部材、実施例及び比較例で作製した粘着剤層、並びに第2部材が、この順に積層した積層体を解析モデルとした。
【0180】
(物性値の設定)
試験体、支持台、インパクター及び、試験条件について、以下の記載のように設定した。
(1)試験体
・第1部材
厚さ:120um
弾性率:5GPa
ポアソン比:0.2
材料モデル:弾性体モデル
・第2部材
厚さ:560um
弾性率:70GPa
ポアソン比:0.2
材料モデル:弾性体モデル
・粘着剤層
実施例で作製した粘着剤層の厚み及び弾性率値を設定値として用いた。
ポアソン比:0.493
(2)支持台
厚み:1000um
弾性率:75GPa
ポアソン比:0.2
材料モデル:弾性体モデル
(3)床面
材質:剛性床
摩擦係数:0.5
(4)インパクター
球の材質:鉄
重さ:0.5kg
(5)試験条件
インパクターの落下高さ:30cm(自然落下;初速度0)
インパクターの落下面:第2部材側表面
試験温度:25℃
【0181】
<衝撃吸収性(実測)>
実施例で作製した粘着シートから離型フィルムを取り除き、露出した粘着面に厚さ25μmのポリイミドフィルムを、ハンドローラーを用いてロール圧着した。残る離型フィルムを取り除き、露出した粘着面に、感圧紙(富士フィルム株式会社製 MSタイプ)を貼付して、衝撃吸収率測定用サンプルを作製した。
石定盤の上に、前記サンプルを、ポリイミドフィルム側が上側となるよう設置し、サンプルの中心の上方50mmの高さから、重さ2gのステンレススチール製ボールを自由落下させた。ポリイミドフィルム及び粘着剤層を介して落球衝撃を受けた感圧紙について、富士フィルム株式会社製のプレスケール圧力画像解析システム「FPD-8010J」を用いて、受けた最大圧力の数値(P1)を読み取った。
【0182】
また、参考例として、感圧紙(富士フィルム株式会社製 MSタイプ)表面に、上方50mmの高さから、重さ2gのステンレススチール製ボールを自由落下させた。粘着剤層を介さず直接落球衝撃を受けた感圧紙について、富士フィルム株式会 社製のプレスケール圧力画像解析システム「FPD-8010J」を用いて、受けた最大応力の数値(P0)を読み取った。
直接落球衝撃を受けた場合の最大圧力(P0)及び、粘着剤層を介した場合の最大圧力(P1)の値を下記式に代入して、衝撃吸収率(%)を算出した。
衝撃吸収率(%)=100×(P0-P1)/P0
衝撃吸収性について、前記衝撃吸収率が5%以上のものを○(Good)、5%未満のものを×(Poor)と判定した。
【0183】
【表1】
【0184】
実施例の粘着シート(粘着剤層)を用いた積層体は、衝撃解析プログラムにより求められる最大圧力が18MPa以下、圧縮変位が8mm3以下であり、実際の落球試験において、優れた衝撃吸収性を示した。
一方比較例の粘着シート(粘着剤層)を用いた積層体は、衝撃解析プログラムにより求められる最大圧力及び圧縮変位の値が所定範囲になく、実際の落球試験においても衝撃吸収性に劣るものであった。
したがって、これらの結果から、前記衝撃解析プログラムにより求められる上記指標が、実際の耐衝撃性に対して高い整合性をもつことは明らかである。
そのため、実施例1の積層体は、耐衝撃性に優れるものである。
【産業上の利用可能性】
【0185】
本発明の積層体は、耐衝撃性に優れることから、画像表示装置、とりわけ有機EL画像表示装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0186】
1 粘着剤層
2 第1の部材
3 第2の部材
4 支持台
5 インパクター
図1