(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142027
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】固定化触媒及びそれを用いた製造方法
(51)【国際特許分類】
B01J 31/26 20060101AFI20241003BHJP
C07C 45/29 20060101ALI20241003BHJP
C07C 47/54 20060101ALI20241003BHJP
C07C 47/198 20060101ALI20241003BHJP
C07C 47/02 20060101ALI20241003BHJP
C07C 49/78 20060101ALI20241003BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
B01J31/26 Z
C07C45/29
C07C47/54
C07C47/198
C07C47/02
C07C49/78
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023053978
(22)【出願日】2023-03-29
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2019年度国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「機能性化学品の連続精密生産プロセス技術の開発/機能性化学品の連続精密生産プロセス技術の開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願。
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000000169
【氏名又は名称】クミアイ化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100189131
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 拓郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147289
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100182486
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 正展
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 開
(72)【発明者】
【氏名】小野澤 俊也
(72)【発明者】
【氏名】増田 光一郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 修
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一彦
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA04
4G169AA11
4G169BA02A
4G169BA02B
4G169BA32A
4G169BE01A
4G169BE19A
4G169BE20A
4G169BE32A
4G169BE37A
4G169BE38A
4G169CB19
4G169DA06
4G169EA01X
4G169EA01Y
4G169EA02X
4G169EA02Y
4G169EB18X
4G169EB18Y
4G169EC03Y
4G169EC14Y
4G169EC15Y
4G169FA01
4G169FA02
4G169FB05
4H006AA02
4H006AC44
4H006AC45
4H006BA51
4H006BA55
4H006BA60
4H006BA81
4H006BA85
4H006BE02
4H039CA62
4H039CC20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シリカ担体を用いた新規なTEMPO固定化触媒、並びに該触媒を使用したアルコール化合物からアルデヒド化合物又はケトン化合物を製造する方法を提供する。
【解決手段】シリカ担体と式(1)の構造を含む化合物:
AはH、C1-C4アルキル、又は式(2)の置換基、nは1~6から選択される整数、**はシリカ担体側との結合部位、Zは、式(3)等で表される置換基である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカ担体と式(1)の構造を含む化合物:
【化1】
ここで、Aは水素原子、C1-C4アルキル、又は式(2)の置換基であり:
nは1~6から選択される整数であり、
**はシリカ担体側との結合部位であり
【化2】
ここで、mは1~6から選択される整数であり、
**はシリカ担体側との結合部位であり、
*
3は隣接する窒素原子との結合部位であり、
Zは、式(3)の置換基であるか、又は式(4)の置換基である:
【化3】
ここで、Qは水素原子又はC1-C4アルキルであり、
*
1はシリカ担体側のケト基の炭素原子との結合部位であり、
*
2はシリカ担体と逆側のTEMPOとの結合部位であり、
【化4】
*
1はシリカ担体側のケト基の炭素原子との結合部位であり、
*
2はシリカ担体と逆側のTEMPOとの結合部位である。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、
nは2~4から選択される整数であり、
Aは、水素原子、メチル又は式(2)の置換基であり、
【化2】
ここで、**はシリカ担体側との結合部位であり、
*
3は隣接する窒素原子との結合部位であり、
mは2~4から選択される整数であり、
Zは、式(3)の置換基であるか、又は式(4)の置換基である化合物:
【化3】
ここで、Qは水素原子又はメチルであり、
*
1はシリカ担体側のケト基の炭素原子との結合部位であり、
*
2はシリカ担体と逆側のTEMPOとの結合部位であり、
【化4】
*
1はシリカ担体側のケト基の炭素原子との結合部位であり、
*
2はシリカ担体と逆側のTEMPOとの結合部位である。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物であって、
nは3であり、
Aは、水素原子、メチル又は式(2)の置換基であり、
【化2】
ここで、**はシリカ担体側との結合部位であり、
*
3は隣接する窒素原子との結合部位であり、
mは3であり、
Zは、式(3)の置換基であるか、又は式(4)の置換基である化合物:
【化3】
ここで、Qは水素原子又はメチルであり、
*
1はシリカ担体側のケト基の炭素原子との結合部位であり、
*
2はシリカ担体と逆側のTEMPOとの結合部位であり、
【化4】
*
1はシリカ担体側のケト基の炭素原子との結合部位であり、
*
2はシリカ担体と逆側のTEMPOとの結合部位である。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物であって、
nは3であり、
Aは、水素原子又はメチルであり、
Zは、式(3)の置換基であるか、又は式(4)の置換基である化合物:
【化3】
ここで、Qは水素原子又はメチルであり、
*
1はシリカ担体側のケト基の炭素原子との結合部位であり、
*
2はシリカ担体と逆側のTEMPOとの結合部位であり、
【化4】
*
1はシリカ担体側のケト基の炭素原子との結合部位であり、
*
2はシリカ担体と逆側のTEMPOとの結合部位である。
【請求項5】
請求項1に記載の化合物であって、
nは3であり、
Aは、水素原子であり、
Zは、式(3)の置換基である化合物:
【化3】
ここで、Qは水素原子又はメチルであり、
*
1はシリカ担体側のケト基の炭素原子との結合部位であり、
*
2はシリカ担体と逆側のTEMPOとの結合部位である。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物であって、
nは3であり、
Aは水素原子又はメチルであり、
Zは、式(4)の置換基である化合物:
【化4】
*
1はシリカ担体側のケト基の炭素原子との結合部位であり、
*
2はシリカ担体と逆側のTEMPOとの結合部位である。
【請求項7】
請求項1に記載の化合物であって、
nは3であり、
Aは式(2)の置換基である:
【化2】
ここで、**はシリカ担体側との結合部位であり、
*
3は隣接する窒素原子との結合部位であり、
mは3であり、
Zは、式(4)の置換基である化合物:
【化4】
*
1はシリカ担体側のケト基の炭素原子との結合部位であり、
*
2はシリカ担体と逆側のTEMPOとの結合部位である。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物であって、シリカ担体としてのシリカゲルの平均粒子径が1μm~500μmである化合物。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の化合物を使用し、アルコール化合物から対応するアルデヒド化合物又はケトン化合物を製造する方法。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか1項に記載の化合物を使用し、酸素を使用する、アルコール化合物から対応するアルデヒド化合物又はケトン化合物を製造する方法。
【請求項11】
請求項1から8のいずれか1項に記載の化合物を使用する、酸素及び硝酸を使用する、アルコール化合物から対応するアルデヒド化合物又はケトン化合物を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカ担体を用いた新規な固定化触媒、及びそれを用いた製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬、食品添加物、農薬、プラスチック材料などの有機化合物を製造する有機合成反応は、工業的には、反応槽の中で原料などを含む混合物を攪拌しながら化学反応を進行させるバッチ式の製造方法が主流である。一方、他の方法として、原料などを含む溶液を連続的に流しながら化学反応を行う流通式反応による合成も試みられている。近年、流通式反応は注目を集めている。
【0003】
流通式反応は、不均一系触媒を用いる反応にも適用できる。その方法の一つは、流路に配置されたカラム内に触媒を充填し、そこに原料などを含む溶液を通すことで反応を行うことができる。この方法の欠点としては、触媒の失活による反応効率の低下及び単体として樹脂を用いることが挙げられる。
【0004】
不均一系触媒を用いた流通式の反応効率の向上のために、従来から様々な触媒が検討されている。
CN112159515A(特許文献1)は、ポリマーに2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル、すなわちTEMPOを固定化させた触媒を開示する。CN114653400A(特許文献2)は、樹脂にTEMPOを固定化させた触媒を開示する。しかしながら、一般的に、樹脂は有機溶媒に膨潤するため、悪影響がある。加えて、CN112159515A(特許文献1)に記載の触媒を用いる場合、不安定な亜硝酸tert-ブチルを用いる必要があった。
Chemistry A European Journal, 2011, 17, 6056-6060(非特許文献1)は、酸化鉄をシリカでコーティングし、そこにTEMPOを固定化した触媒を開示する。しかし、この触媒を用いる場合もまた、不安定な亜硝酸tert-ブチルを用いる必要があった。
【0005】
【0006】
Angew. Chem. Int. Ed. 2007, 46, 7210(非特許文献2)は、メソ細孔シリカゲルの一種であるSBA-15を用いて合成したTEMPO触媒を開示する。しかし、この触媒を用いる場合、亜硝酸ナトリウム及び相間移動触媒(nBu4NBr、すなわちTBAB)を用いる必要があり、反応条件が煩雑であった。
【0007】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】中国特許出願公開第112159515号明細書
【特許文献2】中国特許出願公開第114653400号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Chemistry A European Journal, 2011, 17, 6056-6060
【非特許文献2】Angew. Chem. Int. Ed. 2007, 46, 7210.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記した従来技術における1以上の欠点又は問題を解決することができる触媒が望まれていた。具体的には、担体としての樹脂を用いない触媒及び簡単な反応条件に適用できる触媒の開発が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような状況に鑑み、本発明者らが鋭意研究した結果、アミド結合を有するリンカーを用いて、TEMPOをシリカゲルに固定化させた新規な化合物(すなわち新規な触媒)を用いることで、上記の課題が解決できることを見出した。本発明者はこの知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、一つの態様では、本発明は以下の通りである。
〔1〕シリカ担体と式(1)の構造を含む化合物:
【化3】
ここで、Aは水素原子、C1-C4アルキル、又は式(2)の置換基であり:
nは1~6から選択される整数であり、
**はシリカ担体側との結合部位であり
【化4】
ここで、mは1~6から選択される整数であり、
**はシリカ担体側との結合部位であり、
*
3は隣接する窒素原子との結合部位であり、
Zは、式(3)の置換基であるか、又は式(4)の置換基である:
【化5】
ここで、Qは水素原子又はC1-C4アルキルであり、
*
1はシリカ担体側のケト基の炭素原子との結合部位であり、
*
2はシリカ担体と逆側のTEMPOとの結合部位であり、
【化6】
*
1はシリカ担体側のケト基の炭素原子との結合部位であり、
*
2はシリカ担体と逆側のTEMPOとの結合部位である。
〔2〕
〔1〕に記載の化合物であって、
nは2~4から選択される整数であり、
Aは、水素原子、メチル又は式(2)の置換基であり、
【化7】
ここで、**はシリカ担体側との結合部位であり、
*
3は隣接する窒素原子との結合部位であり、
mは2~4から選択される整数であり、
Zは、式(3)の置換基であるか、又は式(4)の置換基である化合物:
【化8】
ここで、Qは水素原子又はメチルであり、
*
1はシリカ担体側のケト基の炭素原子との結合部位であり、
*
2はシリカ担体と逆側のTEMPOとの結合部位であり、
【化9】
*
1はシリカ担体側のケト基の炭素原子との結合部位であり、
*
2はシリカ担体と逆側のTEMPOとの結合部位である。
〔3〕
〔1〕に記載の化合物であって、
nは3であり、
Aは、水素原子、メチル又は式(2)の置換基であり、
【化10】
ここで、**はシリカ担体側との結合部位であり、
*
3は隣接する窒素原子との結合部位であり、
mは3であり、
Zは、式(3)の置換基であるか、又は式(4)の置換基である化合物:
【化11】
ここで、Qは水素原子又はメチルであり、
*
1はシリカ担体側のケト基の炭素原子との結合部位であり、
*
2はシリカ担体と逆側のTEMPOとの結合部位であり、
【化12】
*
1はシリカ担体側のケト基の炭素原子との結合部位であり、
*
2はシリカ担体と逆側のTEMPOとの結合部位である。
〔4〕
〔1〕に記載の化合物であって、
nは3であり、
Aは、水素原子又はメチルであり、
Zは、式(3)の置換基であるか、又は式(4)の置換基である化合物:
【化13】
ここで、Qは水素原子又はメチルであり、
*
1はシリカ担体側のケト基の炭素原子との結合部位であり、
*
2はシリカ担体と逆側のTEMPOとの結合部位であり、
【化14】
*
1はシリカ担体側のケト基の炭素原子との結合部位であり、
*
2はシリカ担体と逆側のTEMPOとの結合部位である。
〔5〕
〔1〕に記載の化合物であって、
nは3であり、
Aは、水素原子であり、
Zは、式(3)の置換基である化合物:
【化15】
ここで、Qは水素原子又はメチルであり、
*
1はシリカ担体側のケト基の炭素原子との結合部位であり、
*
2はシリカ担体と逆側のTEMPOとの結合部位である。
〔6〕
〔1〕に記載の化合物であって、
nは3であり、
Aは水素原子又はメチルであり、
Zは、式(4)の置換基である化合物:
【化16】
*
1はシリカ担体側のケト基の炭素原子との結合部位であり、
*
2はシリカ担体と逆側のTEMPOとの結合部位である。
〔7〕
〔1〕に記載の化合物であって、
nは3であり、
Aは式(2)の置換基である:
【化17】
ここで、**はシリカ担体側との結合部位であり、
*
3は隣接する窒素原子との結合部位であり、
mは3であり、
Zは、式(4)の置換基である化合物:
【化18】
*
1はシリカ担体側のケト基の炭素原子との結合部位であり、
*
2はシリカ担体と逆側のTEMPOとの結合部位である。
〔8〕
〔1〕から〔7〕のいずれか1項に記載の化合物であって、シリカ担体としてのシリカゲルの平均粒子径が1~500μmである化合物。
〔9〕
〔1〕から〔7〕のいずれか1項に記載の化合物であって、シリカ担体としてのシリカゲルの平均粒子径が3~30μmである化合物。
〔10〕
〔1〕から〔9〕のいずれか1項に記載の化合物を使用し、管型流通式反応器を使用する、アルコール化合物から対応するアルデヒド化合物又はケトン化合物を製造する方法。
〔11〕
〔1〕から〔9〕のいずれか1項に記載の化合物を使用し、アルコール化合物から対応するアルデヒド化合物又はケトン化合物を製造する方法。
〔12〕
〔1〕から〔9〕のいずれか1項に記載の化合物を使用し、酸素を使用する、アルコール化合物から対応するアルデヒド化合物又はケトン化合物を製造する方法。
〔13〕
〔1〕から〔9〕のいずれか1項に記載の化合物を使用し、酸素及び硝酸を使用する、アルコール化合物から対応するアルデヒド化合物又はケトン化合物を製造する方法。〔14〕
〔1〕から〔9〕のいずれか1項に記載の化合物を使用し、亜硝酸アルカリ金属を使用しない、アルコール化合物から対応するアルデヒド化合物又はケトン化合物を製造する方法。
〔15〕
〔1〕から〔9〕のいずれか1項に記載の化合物を使用し、亜硝酸アルカリ金属を使用しない、アルコール化合物から対応するアルデヒド化合物又はケトン化合物を製造する方法。
〔16〕
〔10〕から〔15〕のいずれか1項に記載の方法であって、アルコール化合物が式(11)の化合物であり、対応するアルデヒド化合物又はケトン化合物が式(12)の化合物である製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、新規な化合物が提供される。
本発明によれば、上記した従来技術における1以上の欠点又は問題を解決することができる。具体的には、本発明の化合物(すなわち触媒)は、担体としての樹脂を用いない。さらに、本発明の化合物は、簡単な反応条件に適用できる触媒である。
【0014】
本発明によれば、前記の化合物を触媒として用いて酸化反応を行うことができる。加えて、本発明の化合物を固定化触媒として用いて、流通式により連続的に酸化反応を行うことができる。さらに、本発明の触媒は長時間の流通反応においても高い反応転化率が維持されることを見出された。本発明の化合物(すなわち触媒)は、触媒寿命が長いため、工業的に有利である。本発明の触媒は、流通式反応に使用することにより、環境適合性、反応効率及び安全性に優れた、効率がよい合成に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の触媒を用いた反応装置の概要を模式的に示したものである。本発明の触媒を用いた反応を実施するための反応装置の一例の模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の触媒を用いた反応装置を使用した反応の一例を具体的に模式図で示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0017】
本明細書において用いられる用語及び記号について以下に説明する。
【0018】
本明細書中、用語「含む("comprising/comprise(s)"、"including"及び"containing")」、並びに「有する(having)」は、特に断りのない限り、非限定的な用語として解釈される(すなわち、「含むが、これらに限定されない」を意味する)。例えば、明示された以外の構造及び置換基を含んでもよい。
【0019】
本明細書中、非限定的な用語「含む(comprise(s)/comprising)」は、限定的な用語「からなる(consist(s) of/consisting of)」にそれぞれ任意に置き換えることができる。
【0020】
本明細書中、語句「シリカ担体と式(1)の構造を含む化合物」は語句「シリカ担体と式(1)の構造を含む触媒」に任意に置き換えることができる。これは類似の語句にも適用できる。
【0021】
本明細書中、用語「構造」は語句「置換基」に独立して任意に置き換えることができる。これは類似の語句にも適用できる。
【0022】
本明細書中、用語「置換基」は語句「構造」に独立して任意に置き換えることができる。これは類似の語句にも適用できる。
【0023】
そうでないと明示しない限り、本明細書において用いられる全ての技術的および科学的用語および略語は、本開示が属する当業者に通常理解されるものと同じ意味を有する。
【0024】
ハロゲン原子の例は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子を含む。
【0025】
(Ca-Cb)は、炭素原子数がa~b個であることを意味する。例えば、「(C1-C4)アルキル」の「(C1-C4)」は、アルキルの炭素原子数が1~4であることを意味する。本明細書では、「Ca~Cb」は、「置換基を有していてもよい」および「置換されていてもよい」の「置換基」の炭素数を含まない。例えば、「置換基を有していてもよいC1~C12アルキル基」の「C1~C12」は、「置換基を有していてもよい」の「置換基」の炭素数を含まない。例えば、「置換されていてもよいC1~C12アルキル基」の「C1~C12」は、「置換されていてもよい」の「置換基」の炭素数を含まない。
【0026】
本明細書中、「アルキル」のような一般的用語は、ブチル及びtert-ブチルのような直鎖及び分枝鎖の両方を含むと理解される。しかしながら、「ブチル」のような具体的な用語が使用された場合は、これは「ノルマルブチル」、すなわち「n-ブチル」に対して特異的である。言い換えれば、具体的な用語「ブチル」は直鎖の「ノルマルブチル」を意味する。そして「tert-ブチル」のような分枝鎖異性体は、意図した場合に具体的に言及される。
【0027】
接頭語「n-」、「s-」及び「sec-」、「i-」、「t-」及び「tert-」、「neo-」、「c-」及び「cyc-」、「o-」、「m-」、並びに「p-」は、それらの以下の通常の意味を有する:ノルマル、セカンダリー(「s-」及び「sec-」)、イソ、ターシャリー(「t-」及び「tert-」)、ネオ、シクロ(「c-」及び「cyc-」)、オルト、メタ、並びにパラ。
【0028】
本明細書中、以下の略語が使用されることがある:
「Me」はメチルを意味する。
「Et」はエチルを意味する。
「Pr」、「n-Pr」及び「Pr-n」はプロピル(すなわち、ノルマルプロピル)を意味する。
「i-Pr」及び「Pr-i」はイソプロピルを意味する。
「Bu」、「n-Bu」及び「Bu-n」はブチル(すなわち、ノルマルブチル)を意味する。
「s-Bu」及び「Bu-s」はsec-ブチルを意味する。
「i-Bu」及び「Bu-i」はイソブチルを意味する。
「t-Bu」及び「Bu-t」はtert-ブチルを意味する。
「Pen」、「n-Pen」および「Pen-n」はペンチル(すなわち、ノルマルペンチル)を意味する。
「Hex」、「n-Hex」および「Hex-n」はヘキシル(すなわち、ノルマルヘキシル)を意味する。
「c-Pr」および「Pr-c」はシクロプロピルを意味する。
「c-Bu」および「Bu-c」はシクロブチルを意味する。
「c-Pen」および「Pen-c」はシクロペンチルを意味する。
「c-Hex」および「Hex-c」はシクロヘキシルを意味する。
「Ph」はフェニルを意味する。
「Bn」はベンジルを意味する。
「Ac」はアセチル(CH3CO-)を意味する。
TEMPOは2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシルを意味する。
DMAPは4-ジメチルアミノピリジンを意味する。
EDC・HClは1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩を意味する。
DCMはジクロロメタンを意味する。
DCEはジクロロエタンを意味する。
【0029】
(C1-C6)アルキルは、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキルを意味する。(C1-C6)アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等を含むが、これらに限定されない。
【0030】
(C1-C4)アルキルは、1~4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキルを意味する。(C1-C4)アルキルの例は、上記の(C1-C6)アルキルの例のうちの適切な例である。
【0031】
(C1-C3)アルキル及び類似の表現は、同様に理解される、
【0032】
(C1-C12)アルキルは、1~12個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキルを意味する。(C1-C12)アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ラウリル等を含むが、これらに限定されない。
【0033】
炭化水素基は、例えば、アルキル基、アルキニル基、アルケニル基等の直鎖又は分岐鎖状の炭化水素基;シクロアルキル基等の環状炭化水素基;フェニル、ナフチル基などの芳香族炭化水素基;又は、それらの基で置換された炭化水素基を含むが、これらに限定されない。
炭化水素基の好ましい例としては、C1-C12アルキル基、C6-C12芳香族炭化水素基、C6-C12芳香族炭化水素基で置換されたC1-C12アルキル基を挙げることができる。
【0034】
C6-C12芳香族炭化水素基は、6~12個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基を意味する。C6-C12芳香族炭化水素基の例は、フェニル、ビフェニル、ナフタレン-1-イル、又はナフタレン-2-イル等を含むが、これらに限定されない。
【0035】
本明細書中、語句「置換基を有していてもよい」及び語句「置換されていてもよい」における「置換基」については、それらが化学的に許容され、本発明の効果を示す限りは、特に制限はない。
【0036】
本明細書中、語句「置換基を有していてもよい」及び語句「置換されていてもよい」に関する「置換基」の例は、置換基群(a)から独立して選択される1以上の置換基(好ましくは1~4個の置換基、より好ましくは1~3個の置換基)を含むが、これらに限定されない。
【0037】
置換基群(a)は、ハロゲン原子、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルコキシ、(C3-C6)シクロアルキル、フェニル及びフェノキシからなる群であり、好ましくは(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルコキシ及びフェニルからなる群であり、より好ましくはメチル、メトキシ及びフェニルからなる群である。
【0038】
本明細書中、シリカ担体側は、シリカ担体(SiO2)と、シリル基がシリカ担体に結合している構造である。具体的には、例えば、式(13)、式(14)又は式(15)の構造が挙げられる(**は結合部位を示す)。
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
式(13)、式(14)又は式(15)中、Me(メチル)は、(C1-C4)アルキルであってもよく、メチルまたはエチルであってもよい。
【0043】
本明細書中、シリカ担体側との結合部位とは、式(13)、式(14)又は式(15)に示すシリカ担体に結合したシリル基と結合する結合部位(**)である。
【0044】
シリカ担体側のケト基の炭素原子との結合部位とは、式(16)に示すケト基を有する炭素原子と結合する結合部位(*1)である。シリカ担体と逆側のTEMPOとの結合部位とは、式(17)に示すTEMPOと結合する結合部位(*2)である。
【0045】
【0046】
【0047】
一つの態様では、シリカ担体と式(1)の構造を含む化合物の具体例としては、以下の表1~表2に示す化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
【0049】
【0050】
もう一つの態様では、シリカ担体と式(1)の構造を含む化合物の具体例としては、以下の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない:
化合物番号1
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
(式(1)の化合物の製造方法)
以下に、式(1)の化合物の製造方法について説明する。しかしながら、式(1)の化合物の製造方法は、これらの方法に限定されるものではない。
【0057】
下記の反応スキームに示される方法に従って、式(1)の化合物を製造することができる。
【0058】
【化29】
(上記反応スキーム中、n、A、Z及び**は上記の通りである。)
【0059】
(工程1)
(式(1)の化合物の製造方法)
式(1)の化合物の一つの製造方法について説明する。下記の反応スキームに示すように、式(5)の化合物を式(10)の4-アミノTEMPOと反応させることにより、式(1)の化合物を製造することができる。
【0060】
【化30】
(上記反応スキーム中、n、A、Z及び**は上記の通りである。)
【0061】
(工程1の式(5)の化合物)
式(5)の化合物は、公知の化合物であり、公知の化合物から公知の方法に準じて製造することができる。
【0062】
式(5)の化合物の好ましい例は、以下の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない:
【0063】
【0064】
【0065】
(工程1の式(10)の化合物)
式(10)の化合物は、公知の化合物であり、公知の化合物から公知の方法に準じて製造することができる。
【0066】
(工程1の式(10)の化合物の使用量)
式(10)の化合物の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。収率、副生成物抑制、経済効率等の観点から、式(5)の化合物に対して、通常は1当量以上、好ましくは1~10当量、より好ましくは1~5当量であるが、使用量は当業者により適切に調整されることができる。1当量未満の量では、未反応の式(5)の化合物が残存する。10当量を超える量は、注目すべき向上を反応収率に与えない。
【0067】
(工程1の縮合剤化合物)
工程1の反応に使用される縮合剤の好ましい例は、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスファート(HATU)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)、1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DDC)、1,3-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1,1’-カルボニルジイミダゾール、ヘキサフルオロリン酸1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム(BOP)、ヘキサフルオロリン酸(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム(PuBOP)、ジフェニルリン酸アジド(DPPA)等が挙げられ、より好ましくは、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)、1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DDC)、1,3-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)等が挙げられる。
【0068】
(工程1の添加剤)
工程1の反応は、添加剤の存在下又は非存在下で行うことができる。添加剤を使用するか否かは、当業者が適切に決定することができる。添加剤の好ましい例は、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)を含むが、これに限定されない。
【0069】
工程1の反応に使用される溶媒の好ましい例は、アミド類、アルキル尿素類、スルホキシド類、スルホン類、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、芳香族炭化水素誘導体類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、および任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、
より好ましくはアミド類、アルキル尿素類、ケトン類、ニトリル類、芳香族炭化水素誘導体類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、および任意の割合のそれらの任意の組み合わせを含む。
【0070】
工程1の反応に使用される溶媒の好ましい具体例は、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルイミダゾリジノン(DMI)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、ジメチルスルホン、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジ-tert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、メチル-tert-ブチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン(DME)、ジグリム(diglyme)、アセトン、エチルメチルケトン、イソプロピルメチルケトン、イソブチルメチルケトン(MIBK)、アセトニトリル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ジクロロメタン、および任意の割合のそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。
【0071】
工程1の反応に使用される溶媒のより好ましい具体例は、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、N-メチルピロリドン(NMP)、アセトン、エチルメチルケトン、イソプロピルメチルケトン、イソブチルメチルケトン(MIBK)、アセトニトリル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタンおよび任意の割合のそれらの任意の組み合わせを含む。
【0072】
(工程1の溶媒の使用量)
工程1の反応に使用される溶媒の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。反応効率および操作の容易さ等の観点から、式(5)の化合物1モルに対して、通常0(ゼロ)~10L(リットル)、好ましくは0.01~10L、さらに好ましくは0.1~5Lであるが、使用量は、当業者により適切に調整されることができる。2種以上の溶媒の組み合わせを使用するときは、2種以上の溶媒の割合は、反応が進行する限りは、いずれの割合でもよい。
【0073】
(工程1の反応温度)
反応温度は、特に制限されない。収率、副生成物抑制、経済効率等の観点から、より具体的には、例えば、反応速度と生成物の安定性等の観点から、通常は-20(マイナス20)~200℃、好ましくは-20~150℃、より好ましくは0~120℃、さらに好ましくは20~100℃である。
【0074】
(工程1の反応時間)
反応時間は、特に制限されない。収率、副生成物抑制、経済効率等の観点から、0.5~72時間、0.5時間~48時間、好ましくは1~36時間、1時間~24時間であるが、反応時間は当業者により適切に調整されることができる。
【0075】
(工程2)
(式(7)の化合物の製造方法)
式(7)の化合物の一つの製造方法について説明する。下記の反応スキームに示すように、式(6)の化合物を式(10)の4-アミノTEMPOと反応させることにより、式(7)の化合物を製造することができる。
【0076】
【0077】
(工程2の式(6)の化合物)
式(6)の化合物は、公知の化合物であり、公知の化合物から公知の方法に準じて製造することができる。
【0078】
(工程2の式(10)の化合物)
式(10)の化合物は、公知の化合物であり、公知の化合物から公知の方法に準じて製造することができる。
【0079】
(工程2の式(10)の化合物の使用量)
式(10)の化合物の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。収率、副生成物抑制、経済効率等の観点から、式(6)の化合物に対して、通常は1当量以上、好ましくは1~10当量、より好ましくは1~5当量であるが、使用量は当業者により適切に調整されることができる。1当量未満の量では、未反応の式(6)の化合物が残存する。10当量を超える量は、注目すべき向上を反応収率に与えない。
【0080】
(工程2の溶媒)
工程2の反応に使用される溶媒の好ましい例は、アミド類、アルキル尿素類、スルホキシド類、スルホン類、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、芳香族炭化水素誘導体類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、および任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、
より好ましくはアミド類、アルキル尿素類、ケトン類、ニトリル類、芳香族炭化水素誘導体類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、および任意の割合のそれらの任意の組み合わせを含む。
【0081】
工程2の反応に使用される溶媒の好ましい具体例は、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルピロリドン(NMP)、N,N’-ジメチルイミダゾリジノン(DMI)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、ジメチルスルホン、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジ-tert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、メチル-tert-ブチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン(DME)、ジグリム(diglyme)、アセトン、エチルメチルケトン、イソプロピルメチルケトン、イソブチルメチルケトン(MIBK)、アセトニトリル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ジクロロメタン、および任意の割合のそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。
【0082】
工程2の反応に使用される溶媒のより好ましい具体例は、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、N-メチルピロリドン(NMP)、アセトン、エチルメチルケトン、イソプロピルメチルケトン、イソブチルメチルケトン(MIBK)、アセトニトリル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタンおよび任意の割合のそれらの任意の組み合わせを含む。
【0083】
(工程2の溶媒の使用量)
工程2の反応に使用される溶媒の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。反応効率および操作の容易さ等の観点から、式(6)の化合物1モルに対して、通常0(ゼロ)~10L(リットル)、好ましくは0.01~10L、さらに好ましくは0.1~5Lであるが、使用量は、当業者により適切に調整されることができる。2種以上の溶媒の組み合わせを使用するときは、2種以上の溶媒の割合は、反応が進行する限りは、いずれの割合でもよい。
【0084】
(工程2の反応温度)
反応温度は、特に制限されない。収率、副生成物抑制、経済効率等の観点から、より具体的には、例えば、反応速度と生成物の安定性等の観点から、通常は-20(マイナス20)~200℃、好ましくは-20~150℃、より好ましくは0~150℃、さらに好ましくは20~150℃である。
【0085】
(工程2の反応時間)
反応時間は、特に制限されない。収率、副生成物抑制、経済効率等の観点から、0.5~72時間、0.5時間~48時間、好ましくは1~36時間、1時間~24時間であるが、反応時間は当業者により適切に調整されることができる。
【0086】
(工程3)
(式(9)の化合物の製造方法)
式(9)の化合物の一つの製造方法について説明する。下記の反応スキームに示すように、式(8)の化合物をシリカゲルと反応させることにより、式(9)の化合物を製造することができる。
【0087】
【化34】
(上記反応スキーム中、n、A及び**は上記の通りである。)
【0088】
(工程3の式(8)の化合物)
式(8)の化合物は、公知の化合物であり、公知の化合物から公知の方法に準じて製造することもできる。
【0089】
式(8)の化合物の好ましい例は、3-(トリメトキシシリル)プロパン-1-アミン、N-メチル-3-(トリメトキシシリル)プロパン-1-アミン、N-エチル-3-(トリメトキシシリル)プロパン-1-アミン、N-プロピル-3-(トリメトキシシリル)プロパン-1-アミン、ビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)アミン、を含む。
【0090】
(工程3のシリカゲル)
シリカゲルは、反応が可能であれば特に制限はないが、一つの態様では、シリカゲルの粒子径の例としては、1~500μm、2~400μm、2~300μm、好ましくは、2~500μm、3~400μm、3~300μmが挙げられる。具体的な製品は、富士シリシア株式会社製のCARiACT Q-3、CARiACT Q-6、CARiACT Q-10、CARiACT Q-15、CARiACT Q-30、CARiACT Q-50などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0091】
(工程3のシリカゲルの使用量)
シリカゲルの使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。収率、副生成物抑制、経済効率等の観点から、式(8)の化合物の重量(g)に対して、通常は1倍以上、好ましくは1~100倍、より好ましくは1~50倍であるが、使用量は当業者により適切に調整されることができる。
【0092】
(工程3の溶媒)
工程3の反応に使用される溶媒の好ましい例は、アミド類、アルキル尿素類、スルホキシド類、スルホン類、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、芳香族炭化水素誘導体類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、および任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、より好ましくはアミド類、アルキル尿素類、ケトン類、ニトリル類、芳香族炭化水素誘導体類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、および任意の割合のそれらの任意の組み合わせを含む。
【0093】
工程3の反応に使用される溶媒の好ましい具体例は、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルピロリドン(NMP)、N,N’-ジメチルイミダゾリジノン(DMI)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、ジメチルスルホン、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジ-tert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、メチル-tert-ブチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン(DME)、ジグリム(diglyme)、アセトン、エチルメチルケトン、イソプロピルメチルケトン、イソブチルメチルケトン(MIBK)、アセトニトリル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ジクロロメタン、および任意の割合のそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。
【0094】
工程3の反応に使用される溶媒のより好ましい具体例は、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、N-メチルピロリドン(NMP)、アセトン、エチルメチルケトン、イソプロピルメチルケトン、イソブチルメチルケトン(MIBK)、アセトニトリル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタンおよび任意の割合のそれらの任意の組み合わせを含む。
【0095】
(工程3の溶媒の使用量)
工程3の反応に使用される溶媒の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。反応効率および操作の容易さ等の観点から、式(8)の化合物1モルに対して、通常0(ゼロ)~10L(リットル)、好ましくは0.01~10L、さらに好ましくは0.1~5Lであるが、使用量は、当業者により適切に調整されることができる。2種以上の溶媒の組み合わせを使用するときは、2種以上の溶媒の割合は、反応が進行する限りは、いずれの割合でもよい。
【0096】
(工程3の反応温度)
反応温度は、特に制限されない。収率、副生成物抑制、経済効率等の観点から、より具体的には、例えば、反応速度と生成物の安定性等の観点から、通常は-20(マイナス20)~200℃、好ましくは-20~150℃、より好ましくは0~150℃、さらに好ましくは20~150℃である。
【0097】
(工程3の反応時間)
反応時間は、特に制限されない。収率、副生成物抑制、経済効率等の観点から、0.5~72時間、0.5時間~48時間、好ましくは1~36時間、1時間~24時間であるが、反応時間は当業者により適切に調整されることができる。
【0098】
(工程4)
(式(1)の化合物の製造方法)
式(1)の化合物の別の製造方法について説明する。下記の反応スキームに示すように、式(7)の化合物を式(9)の化合物と反応させることにより、式(3)の化合物を製造することができる。
【0099】
【化35】
(上記反応スキーム中、n、A、Z及び**は上記の通りである。)
【0100】
(工程4の式(7)の化合物)
式(7)の化合物は、公知の化合物から公知の方法に準じて製造することができる。
【0101】
(工程4の式(9)の化合物)
式(9)の化合物は、公知の化合物から公知の方法に準じて製造することができる。
【0102】
(工程4の式(9)の化合物の使用量)
式(9)の化合物の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。収率、副生成物抑制、経済効率等の観点から、式(7)の化合物の重量(g)に対して、通常は1倍以上、好ましくは1~10倍、より好ましくは1~5倍であるが、使用量は当業者により適切に調整されることができる。1倍未満の量では、未反応の式(7)の化合物が残存する。10倍を超える量は、注目すべき向上を反応収率に与えない。
【0103】
(工程4の縮合剤化合物)
工程4の反応に使用される縮合剤の好ましい例は、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロリン酸塩(COMU)、HATU、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)、1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DDC)、1,3-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1,1’-カルボニルジイミダゾール、ヘキサフルオロリン酸1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム(BOP)、ヘキサフルオロリン酸(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム(PuBOP)、ジフェニルリン酸アジド(DPPA)等が挙げられ、より好ましくは、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロリン酸塩(COMU)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)、1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DDC)、1,3-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)等が挙げられる。
【0104】
(工程4の添加剤)
工程4の反応は、添加剤の存在下又は非存在下で行うことができる。添加剤を使用するか否かは、当業者が適切に決定することができる。添加剤の好ましい例は、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)を含むが、これに限定されない。
【0105】
工程4の反応に使用される溶媒の好ましい例は、アミド類、アルキル尿素類、スルホキシド類、スルホン類、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、芳香族炭化水素誘導体類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、および任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、より好ましくはアミド類、アルキル尿素類、ケトン類、ニトリル類、芳香族炭化水素誘導体類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、および任意の割合のそれらの任意の組み合わせを含む。
【0106】
工程4の反応に使用される溶媒の好ましい具体例は、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルピロリドン(NMP)、N,N’-ジメチルイミダゾリジノン(DMI)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、ジメチルスルホン、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジ-tert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、メチル-tert-ブチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン(DME)、ジグリム(diglyme)、アセトン、エチルメチルケトン、イソプロピルメチルケトン、イソブチルメチルケトン(MIBK)、アセトニトリル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ジクロロメタン、および任意の割合のそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。
【0107】
工程4の反応に使用される溶媒のより好ましい具体例は、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、N-メチルピロリドン(NMP)、アセトン、エチルメチルケトン、イソプロピルメチルケトン、イソブチルメチルケトン(MIBK)、アセトニトリル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタンおよび任意の割合のそれらの任意の組み合わせを含む。
【0108】
(工程4の溶媒の使用量)
工程4の反応に使用される溶媒の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。反応効率および操作の容易さ等の観点から、式(7)の化合物1モルに対して、通常0(ゼロ)~10L(リットル)、好ましくは0.01~10L、さらに好ましくは0.1~5Lの範囲であるが、使用量は、当業者により適切に調整されることができる。2種以上の溶媒の組み合わせを使用するときは、2種以上の溶媒の割合は、反応が進行する限りは、いずれの割合でもよい。
【0109】
(工程4の反応温度)
反応温度は、特に制限されない。収率、副生成物抑制、経済効率等の観点から、より具体的には、例えば、反応速度と生成物の安定性等の観点から、通常は-20(マイナス20)~200℃、好ましくは-20~150℃、より好ましくは0~150℃、さらに好ましくは20~150℃である。
【0110】
(工程4の反応時間)
反応時間は、特に制限されない。収率、副生成物抑制、経済効率等の観点から、0.5~72時間、0.5時間~48時間、好ましくは1~36時間、1時間~24時間であるが、反応時間は当業者により適切に調整されることができる。
【0111】
(固定化触媒を用いた酸化反応)
【0112】
【化36】
(式中、n、A、Z及び**は上記で定義した通りであり;R
1は1以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、R
2は水素原子又は炭化水素基である。)である触媒。
【0113】
(式(12)の化合物の製造方法)
出発化合物(原料化合物)として、式(11)の化合物を使用する。
【0114】
(原料)
原料として、式(11)の化合物を使用する。式(11)の化合物は公知の化合物であるか、又は公知の化合物から公知の方法に準じて製造することができる。
式(11)のR1は、好ましくは1以上の置換基を有していてもよい(C1-C12)アルキルであり、R2は好ましくは水素原子または(C1-C4)アルキルである。
式(11)の化合物の具体的な例は、以下を含むが、これらに限定されない;メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、5-メチル-2-ヘキサノール、1-オクタノール、2-オクタノール、1-ノナノール、2-ノナノール、1-デカノール、2-デカノール、1-ウンデカノール、2-ウンデカノール、1-ドデカノール(ラウリルアルコール)、2-ドデカノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、3-エトキシ-3-メチルブタノール、3-メチル-3-プロポキシブタノール、3-イソプロポキシ-3-メチルブタノール、3-ブトキシ-3-メチルブタノール、3-イソブトキシ-3-メチルブタノール、3-(sec-ブトキシ)-3-メチルブタノール、3-(ベンジルオキシ)-3-メチルブタノール、ベンジルアルコール、1-フェニルエタノール、フェネチルアルコール(2-フェニルエタノール)等。
【0115】
(酸素)
本発明の反応は酸素の存在下で行われる。酸素は、酸素含有ガス(例えば、純酸素および空気のような混合された気体を含む)として用いられても良く、及び酸素発生剤(例えば、硝酸)として用いられてもよく、それらの組み合わせとして用いられてもよい。従って、本発明の方法は、酸素含有ガス(例えば、純酸素、空気)及び酸素発生剤(例えば、硝酸)からなる群より選択される少なくとも1種(好ましくは1種~3種、より好ましくは1種又は2種)を導入し、反応させることを含んでよい。酸素含有ガスとしては、酸素又は空気を不活性ガス(例えば、窒素、炭酸ガス、アルゴン、好ましくは窒素、炭酸ガス、より好ましくは窒素)で希釈して使用することもできる。
【0116】
(酸素濃度)
導入される酸素濃度は、反応が進行する限りは、いずれの濃度でもよい。しかしながら、収率、副生成物抑制、経済効率等の観点から、好ましくは1体積%~100体積%、より好ましくは5体積%~100体積%である。硝酸などの酸素発生剤から発生する酸素の濃度も前記と同じであってもよい。
【0117】
(硝酸)
硝酸の濃度は当業者が適切に選択することができる。硝酸としては硝酸水溶液を使用することが好ましい。硝酸水溶液における硝酸の濃度は特に制限はないが、好ましくは0.1~100%、より好ましくは1~100%、更に好ましくは10~90%、更に好ましくは30~80%である。
【0118】
硝酸は、触媒の一部(例えば、共触媒(co-catalyst)、助触媒(promotor))であってもよく、酸化剤であってもよく、酸素発生剤であってもよく、それらの複数であってもよい。
硝酸の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。しかしながら、収率、副生成物の抑制、経済効率の観点から、一つの態様では、式(1)の化合物又は式(11)の化合物(アルコール化合物)1モルに対して、通常0.01モル~1モル、好ましくは0.02モル~0.7モル、より好ましくは0.03モル~0.5モル、さらに好ましくは、0.05~0.3モルである。
(溶媒)
反応が進行する限りは、酸化反応の溶媒は特に限定されない。安価な溶媒を使用することできる。加えて、本発明の触媒を用いる酸化反応では、CN112159515A(特許文献1)の酸化反応で用いられる特殊な溶媒を必要としない。具体的には、溶媒としてベンゾトリフオリドを使用しないで、反応を行うことができる。
【0119】
酸化反応の溶媒の好ましい例は、アミド類、アルキル尿素類、スルホキシド類、スルホン類、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、エステル類、芳香族炭化水素誘導体類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、および任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、
より好ましくはアミド類、アルキル尿素類、ケトン類、ニトリル類、エステル類、芳香族炭化水素誘導体類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、および任意の割合のそれらの任意の組み合わせを含む。
【0120】
酸化反応の溶媒の好ましい具体例は、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルピロリドン(NMP)、N,N’-ジメチルイミダゾリジノン(DMI)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、ジメチルスルホン、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジ-tert-ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、メチル-tert-ブチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン(DME)、ジグリム(diglyme)、アセトン、エチルメチルケトン、イソプロピルメチルケトン、イソブチルメチルケトン(MIBK)、アセトニトリル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ジクロロメタン、および任意の割合のそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。
【0121】
酸化反応の溶媒のより好ましい具体例は、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、N-メチルピロリドン(NMP)、アセトン、エチルメチルケトン、イソプロピルメチルケトン、イソブチルメチルケトン(MIBK)、アセトニトリル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、
トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタンおよび任意の割合のそれらの任意の組み合わせを含む。
【0122】
(流通式反応)
流通式反応は、原料を連続して供給し、連続して反応を行い、反応混合物を連続して回収する反応である。一つの態様では、流通式反応は、管型流通式反応器を用いた反応であり、触媒混合物は管型の反応器に充填される。
一つの態様では、流通式反応器は、流通式反応器の温度を制御する温度制御手段が設けられていてもよく、例えば、加熱及び/又は冷却のための温度制御部が設けられていてもよい。温度制御部は適切な如何なるものであってもよく、温度制御部の例は、バス及びジャケット等を包含する。
温度制御部の設定温度の例としては、15℃~100℃、20℃~80℃、25℃~60℃、25℃~50℃、25℃~40℃、30℃~60℃、30℃~50℃、40℃~60℃、好ましくは25℃~80℃である。
また、流通式反応器の材質の例としては、原料物質、溶媒に侵されないものであれば特に制限はなく、例えば、金属(例えば、チタン、ニッケル、ステンレス、ハステロイCなどの各種合金等)、樹脂(例えば、フッ素樹脂等)、ガラス(例えば、シリコン、石英等)、磁器(例えば、コージェライト、セラミックス等)等が挙げられる。
【0123】
一つの態様では、管型流通式反応器は、液状又は気液状の混合物を連続して流通させることができるものであればよく、管の断面の形状は円管状、角管状、多角形管状、楕円管状等のいずれであってもよく、これらの形状を組み合わせたものであってもよいが、好ましくはカラム(円管)状である。
管に原料を供給するため又は反応混合物を回収するための経路には特に制限はないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はエチレン-テトラフルオロエチレンポリマー(ETFE)製チューブ、金属製チューブなどにより接続することができる。
管型流通式反応器における管の形状としては特に制限はなく、例えば、直線状であってもよいし、曲線状であってもよいし、コイル状であってもよい。好ましい形状としては、例えば、直線状の管型反応器が挙げられる。また、管は1本であってもよいが、2本以上の複数の管を適当な間隔で規則的又は不規則的に束ねたものであってもよい。
また、管型反応器を直列に接続して用いてもよい。水素ガスの導入は、管の初めから導入してもよく、管の途中から導入してもよい。
【0124】
一つの態様では、流通式反応器は、背圧を制御するための背圧制御手段が設けられていてもよい。例えば、触媒を充填した管の出口側の流路に背圧弁を設けることで背圧を制御することができる。
一つの態様では、流通式反応器は、流通式反応器の圧力を測定する圧力測定手段が設けられていてもよく、例えば、触媒を充填した管の入口側と出口側の双方に圧力計を設けられていてもよい。
一つの態様では、流通式反応器は、必要に応じて、混合器を有していてもよい。混合器は、気体と液体又は液体と液体など2種以上の流体を連続的に混合できる機能を有するものであれば特に制限はなく、例えば、Y字型混合器、T字型混合器、十字型混合器、パイプライン型混合器(スタティックミキサー等を含むラインミキサー)等が挙げられる。
管型反応器における管の等価直径の例としては、液状又は気液状の混合物が連続して流通することができる大きさであれば特に制限はないが、高い反応効率及び圧力損失の低減のために、一本の管について5mm以上であることが好ましい。好ましい等価直径の例としては、一本の管について5mm~150mm、5mm~100mm、5mm~50mm、より好ましくは10mm~150mm、10mm~100mm、10mm~50mm、10mm~30mmである。
本明細書において「等価直径(De)」とは、次の式で定義される値である。
De = 4・Af/Wp
(式中、Afは流路断面積を示し、Wpは濡れ縁長さを示す。)
例えば、半径rの円管状の管の等価直径は、
De = 4・πr2/2πr
= 2r
となる。
管型反応器における管の長さは、管の等価直径、流速及び反応に必要な時間を考慮して適宜設定することができる。
【0125】
管型反応器は、触媒に加え、充填剤を添加してもよい。充填剤を添加した場合、充填剤を添加しない場合と比較して、圧力を制御することができる。また、菅型反応器から触媒の流出を防ぐことができるという利点がある。このような充填剤としては、溶媒、触媒と反応または溶解しないものであれば使用することができる。具体的な例として、好ましくはアルミナ、ガラスビーズ、セルロース、セライト、PTFEより好ましくはセライトおよびPTFEである。
【0126】
管型反応器の充填剤の配合量は、当業者が適切に決定することができる。具体的な充填剤の配合量は、触媒に対して、好ましくは30~500体積%、より好ましくは50~400体積%、さらに好ましくは100~300体積%である。
【0127】
送液する基質濃度の例としては、0.1~5.0mol/L、0.1~3.0mol/L、0.1~2.0mol/L、0.1~1.5mol/Lであるが、当該基質濃度は当業者が適切に調整することができる。
【0128】
管型反応容器は温度制御部(例えば、バス、ジャケット等)により加温することができる。
温度制御部(例えば、バス、ジャケット等)の設定温度の例としては、15℃~100℃、20℃~80℃、25℃~60℃、25℃~50℃、25℃~40℃、30℃~60℃、30℃~50℃、40℃~60℃、好ましくは25℃~80℃である。
背圧弁により背圧を制御できる。
入口側の圧力の例としては、0.1MPa~10MPa、0.2~5MPa、0.2~1MPa、好ましくは0.4~1.0MPaである。
【0129】
別段に示されない限り、本明細書で使用される量、大きさ、濃度、反応条件などの特徴を表す数字は、用語「約」によって修飾されると理解される。いくつかの態様では、開示された数値は、報告された有効数字の桁数と、通常の丸め手法を適用して解釈される。いくつかの態様では、開示された数値は、それぞれの試験測定方法に見られる標準偏差から必然的に生じる誤差を含むと解釈される。
【0130】
本明細書中、室温は15℃から30℃である。
【0131】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これら実施例によって何ら限定されない。
【0132】
本明細書中、実施例及び比較例の分析には、次の機器及び条件を用いた。
【0133】
管:テフゼル(登録商標)チューブ(ETFE) 1.0×1.58mm(1/16")
管型反応器:カラム型フローリアクター シンプルフロー MCR-1000型 (eyela-chiller.jp)
分析機器:
比表面積・細孔分布測定装置:BELSORP MAX G マイクロトラック・ベル株式会社 MicrotracMRB
高分解能質量分析(EI-MS):JEOL JMS-700
フーリエ変換赤外分光光度計(IR);Shimadzu IRSpirit(分析法;ATR法)
ガスクロマトグラフ(GC):Shimadzu GC2014、検出方法:FID、Column:DB-1
元素分析装置:Perkin Elmer, 2400IIシリーズ CHNS/O アナライザ
【0134】
実施例1
触媒14の製造
【0135】
【0136】
300mL4つ口フラスコにジクロロメタン(100mL)、ACD-Silicagel(MB-100-75-200、富士シリシア社)(20.0g)、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(2.30g、12.0mmol、150mol%)、4-ジメチルアミノピリジン(49mg、0.4mmol、5.0mol%)及び4-アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル(1.37g、8.0mmol、100mol%)を加え、室温下17時間反応させた。その後、固体を濾過し、アセトン(100mL)、精製水(100mL)、0.1M塩酸水溶液(100mL)、アセトン(100mL)で順次固体を洗浄し、乾燥した。このようにして20.5gの桃色粉末を得た。
原料のACD-Silicagel及び得られた粉末(固体)の各種分析を行った。分析の結果は以下の通りであった;
ACD-Silicagel;
元素分析: C:5.95% H:0.99% N:1.04%
触媒14;
元素分析: C: 9.38% H: 1.61% N: 2.04%
比表面積(BET法):256m2/g
平均細孔径(BJH法):4.89nm
【0137】
実施例2
4-(N-メチル)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルの製造
【0138】
【0139】
200mLフラスコに1,2-ジクロロエタン(60mL)、4-オキソ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル(5.11g、30.0mmol、100mol%)、メチルアミン塩酸塩(3.04g、45.0mmol、150mol%)、トリアセトキシボロハイドライド(9.54g、45.0mmol、150mol%)、酢酸(1.80g、45.0mmol、150mol%)を加え、室温で23.0時間反応させた。その後、精製水(30mL)を加えて反応を停止させた。有機層と水層を分離し、その後有機層を0.5M塩酸水溶液で3回抽出し、先ほどの水層と合わせた。4M水酸化ナトリウム水溶液を用いて、合わせた水層のpHを14に調整した後、ジクロロメタンでこの水層を3回抽出した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を留去した。このようにして目的生成物4.10g(74.0%)を赤色液体として得た。
【0140】
実施例3
触媒17の製造
【0141】
【0142】
100mLフラスコにジクロロメタン(50mL)、ACD-Silicagel(MB-100-75-200, 富士シリシア社)(5.0g)、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(661mg、3.45mmol、150mol%)、4-ジメチルアミノピリジン(14mg、0.115mmol, 5.0mol%)、トリエチルアミン(349mg、3.45mmol、150mol%)及び4-メチルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル(453mg、2.3mmol、100mol%)を加え、室温下16時間反応させた。その後、固体を濾過し、アセトン(30mL)、精製水(30mL)、0.1M塩酸水溶液(30mL)、アセトン(30mL)で順次固体を洗浄し、乾燥した。このようにして5.02gの桃色粉末を得た。
原料のACD-Silicagel及び得られた固体の各種分析を行った。分析の結果は以下の通りであった;
ACD-Silicagel;
元素分析: C:5.95% H:0.99% N:1.04%
触媒17;
元素分析:C:7.40% H:1.33% N:1.47%
比表面積(BET法):228m2/g
平均細孔径(BJH法):6.75nm
【0143】
実施例4
4-(m-カルボキシフタルイミドイル)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルの製造
【0144】
【0145】
200mLフラスコにN,N’-ジメチルアセトアミド(60mL)、4-アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(5.14g、30.0mmol、100mol%)、4-カルボキシフタル酸無水物(6.34g、33.0mmol、110mol%)を加え、120℃で6.5時間反応させた。その後、反応混合物を室温まで冷却し、精製水(120mL)を加えた。生じた粉体を濾過し、精製水(160mL)で洗浄後、60℃で減圧乾燥を行い,8.87g(85.6%)の黄色粉末を得た。生成物の高分解能質量分析(EI-MS)及びIR分析の結果は以下の通りであった。
EI-MS:Calcd.(M+):345.1450 found :345.1447
IR(ATR, cm-1):423.42、528.19、569.82、601.39、729.14、782.24、1099.44、1373.59、1709.45
【0146】
実施例5
プロピルアミノ担持シリカQ-10(Loaded on Silica Q-10)の製造
【0147】
【0148】
300mL4つ口フラスコにトルエン(50mL)、CARiACT Q-10(10.0g, 富士シリシア社)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(1.25g、7.0mmol)を加え、110℃で16.5時間反応させた。その後、反応混合物を室温まで冷却して、固体を濾過し、アセトン(40mL)で洗浄し、乾燥した。このようにして10.9gの白色粉末を得た。
【0149】
実施例6
触媒28(Loaded on Silica Q-10)の製造
【0150】
【0151】
50mLフラスコにジクロロメタン(10mL)、Q-10プロピルアミノシリカゲル(1.00g)、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(288mg、1.5mmol、150mol%)、4-ジメチルアミノピリジン(6.1mg、0.05mmol、5.0mol%)及び4-(m-カルボキシフタルイミドイル)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(346mg、1.0mmol、100mol%)を加え、室温下16時間反応させた。その後、固体を濾過し、アセトン(20mL)、精製水(20mL)、0.1M塩酸水溶液(20mL)、アセトン(20mL)で順次固体を洗浄し、乾燥した。このようにして1.08gの桃色粉末を得た。
得られた固体の各種分析を行った。分析の結果は以下の通りであった;
元素分析 : C:8.67% H:1.23% N:1.52%
比表面積(BET法):238m2/g
平均細孔径(BJH法):9.76nm
【0152】
実施例7
プロピルメチルアミノ担持シリカQ-10(Loaded on Silica Q-10)の製造
【0153】
【0154】
200mLフラスコにトルエン(100mL)、CARiACT Q-10(20.0g、富士シリシア社)、3-メチルアミノ-プロピルトリメトキシシラン(1.93g、10.0mmol)を加え、110℃で4時間反応させた。その後、反応混合物を室温まで冷却して、固体を濾過し、アセトン(40mL)で洗浄し、乾燥した。このようにして22.0gの白色粉末を得た。
【0155】
また、上記の条件を基にシリカゲルの種類を変更したプロピルメチルアミノ担持シリカQ-Xの製造をそれぞれ行った。結果は表3に示す。
【0156】
【0157】
実施例11
触媒29(Loaded on Silica Q-10)の製造
【0158】
【0159】
50mLフラスコにN, N-ジメチルアセトアミド(10mL)、Q-10プロピルメチルアミノシリカゲル(1.00g)、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロリン酸塩(300mg、0.7mmol、100mol%)、トリエチルアミン(142mg、1.4mmol、200mol%)及び4-(m-カルボキシフタルイミドイル)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(242mg、0.7mmol、100mol%)を加え、室温下19.5時間反応させた。その後、固体を濾過し、アセトン(20mL)、精製水(20mL)、0.1M塩酸水溶液(20mL)、アセトン(20mL)で順次固体を洗浄し、乾燥した。このようにして1.16gの桃色粉末を得た。
得られた固体の各種分析を行った。分析の結果は以下の通りであった;
元素分析: C:8.57% H:1.28% N:1.36%
【0160】
また、上記の条件を基にシリカゲルの種類を変更した4-(m-カルボキシフタルイミドイル)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル担持シリカQ-X(Loaded on Silica Q-X)の製造をそれぞれ行った。結果は表4に示す。
【0161】
【0162】
実施例15
ビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ担持シリカQ-10(Loaded on Silica Q-10)の製造
【0163】
【0164】
300mL4つ口フラスコにトルエン(50mL)、CARiACT Q-10(10.0g、富士シリシア社)、ビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)アミン(1.71g、5.0mmol)を加え、110℃で20時間反応させた。その後、反応混合物を室温まで冷却して、固体を濾過し、アセトン(50mL)で洗浄し、乾燥した。このようにして11.3gの白色粉末を得た。
【0165】
また、上記の条件を基にシリカゲルの種類を変更したビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ担持シリカQ-X(Loaded on Silica Q-X)の製造をそれぞれ行った。結果は表5に示す。
【0166】
【0167】
実施例19
触媒30((Loaded on Silica Q-10)
の製造
【0168】
【0169】
50mLフラスコにN, N-ジメチルアセトアミド(20mL)、ビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ担持シリカQ-10(2.00g)、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロリン酸塩(600mg、1.4mmol、100mol%)、トリエチルアミン(284mg、2.8mmol、200mol%)及び4-(m-カルボキシフタルイミドイル)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(483mg、1.4mmol、100mol%)を加え、室温下17.5時間反応させた。その後、固体を濾過し、アセトン(20mL)、精製水(20mL)、0.1M塩酸水溶液(20mL)、アセトン(20mL)で順次固体を洗浄し、乾燥した。このようにして2.24gの桃色粉末を得た。
得られた固体の元素分析を行った。分析の結果は以下の通りであった;
元素分析: C:8.33% H:1.30% N:1.21%
【0170】
また、上記の条件を基にシリカゲルの種類を変更した4-(m-カルボキシフタルイミドイル)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル担持シリカQ-X(Loaded on Silica Q-X)の製造をそれぞれ行った。結果は表6に示す。シリカゲルの重さに対する試薬の比率は実施例19と同一である。
【0171】
【0172】
実施例22
触媒30(Loaded on Silica Q-15)の製造
【0173】
【0174】
50mLフラスコにN, N-ジメチルアセトアミド(50mL)、ビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ担持シリカQ-15(5.00g)、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロリン酸塩(1.50g、3.5mmol、100mol%)、トリエチルアミン(354mg、3.5mmol、100mol%)及び4-(m-カルボキシフタルイミドイル)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(1.21g、3.5mmol、100mol%)を加え、室温下17.5時間反応させた。その後、固体を濾過し、アセトン(50mL)、精製水(50mL)、0.1M塩酸水溶液(50mL)、アセトン(50mL)で順次固体を洗浄し、乾燥した。このようにして5.26gの桃色粉末を得た。
得られた固体の各種分析を行った。分析の結果は以下の通りであった;
元素分析: C:7.69% H:1.19% N:1.16%
比表面積(BET法):200m2/g
平均細孔径(BJH法):11.8nm
【0175】
参考例1
触媒13の製造
【0176】
【0177】
50mLフラスコにジクロロメタン(20mL)、カルボン酸末端ポリスチレン(500mg)、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(230mg、1.2mmol、100mol%)、4-ジメチルアミノピリジン(7.3mg、0.06mmol、5.0mol%)及び4-アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(206mg、1.2mmol、100mol%)を加え、室温下18時間反応させた。その後、メタノール(10mL)で反応を停止させ、固体を濾過し、アセトン(20mL)、精製水(20mL)、0.1M塩酸水溶液(20mL)、アセトン(20mL)で順次固体を洗浄し、乾燥した。このようにして541.6mgの橙色粉末を得た。
得られた固体の元素分析を行った。分析の結果は以下の通りであった;
元素分析: C:79.6% H:8.0% N:4.2%
【0178】
参考例2
触媒Aの製造
【0179】
【化49】
50mLフラスコにN-メチルピロリドン(7mL)、水素化ナトリウム(130mg、60w%、3.24mmol、150mol%)を加え、0℃に冷却して窒素雰囲気下に置換した。その後、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(372mg、2.16mmol、100mol%)を加えて30分反応させた。続けて、メリフィールドレジン(984.6mg)を加えて反応液を室温まで昇温させ、16時間反応させた。その後、メタノール(10mL)で反応を停止させ、固体を濾過し、アセトン(20mL)、精製水(20mL)、0.1M塩酸水溶液(20mL)、アセトン(20mL)、ヘキサン(20mL)で順次固体を洗浄し、乾燥した。このようにして1.20gの橙色粉末を得た。
【0180】
実施例23
3-メトキシ-3-メチルブタナールの製造
【0181】
【0182】
15mL試験管に69%硝酸(9.1 mg、0.1 mmol、10.0 mol%)、触媒14(100 mg)及び0.5Mの3-メトキシ-3-メチルブタノール酢酸ブチル溶液(2.0 mL、1.0 mmol、100 mol%)を加え、空気雰囲気下(開放系)にて60℃で4.5時間反応させた。その後、反応混合物のGC分析(内部標準法)を行い、収率を算出した。結果は以下の通りであった。
3-メトキシ-3-メチルブタナール(目的生成物;MMBA):72.5%、
3-メトキシ-3-メチルブタノール(原料):19.4%
【0183】
また、上記の条件を基に異なる触媒を用いて3-メトキシ-3-メチルブタナールの製造をそれぞれ行った。結果は表7に示す。
【0184】
【0185】
実施例32
3-メトキシ-3-メチルブタナールの製造
【0186】
【0187】
15mL試験管に酢酸ブチル(2mL)、69%硝酸(9.1 mg、0.1 mmol、10.0 mol%)、触媒14(100 mg)及び3-メトキシ-3-メチルブタノール(118.2 mg、1.0 mmol、100 mol%)を加え、空気雰囲気下(開放系)にて60℃で23時間反応させた。その後、反応混合物のGC分析(面積百分率)を行った。分析の結果は以下の通りであった。
3-メトキシ-3-メチルブタナール(目的生成物;MMBA):91.4%、
3-メトキシ-3-メチルブタン酸(副生成物):6.1%
3-メトキシ-3-メチルブタノール(原料):N.D.。
【0188】
実施例33
ベンズアルデヒドの製造
【0189】
【0190】
15mL試験管に酢酸ブチル(2mL)、69%硝酸(9.1 mg、0.1 mmol、10.0 mol%)、触媒14(100 mg)及びベンジルアルコール(108.1 mg、1.0 mmol、100 mol%)を加え、空気雰囲気下(開放系)にて60℃で3時間反応させた。その後、反応混合物のGC分析(面積百分率)を行った。分析の結果は以下の通りであった。
ベンズアルデヒド(目的生成物):100%、
ベンジルアルコール(原料):N.D.。
【0191】
実施例34
アセトフェノンの製造
【0192】
【0193】
15mL試験管に酢酸ブチル(2mL)、69%硝酸(9.1 mg、0.1 mmol、10.0 mol%)、触媒14(100 mg)及び1-フェニルエタノール(122.2 mg、1.0 mmol、100 mol%)を加え、空気雰囲気下(開放系)にて60℃で6時間反応させた。その後、反応混合物のGC分析(面積百分率)を行った。分析の結果は以下の通りであった。
アセトフェノン(目的生成物):99.5%、
1-フェニルエタノール(原料):N.D.。
【0194】
実施例35
1-オクタナールの製造
【0195】
【0196】
30mLフラスコに酢酸ブチル(2mL)、69%硝酸(9.1 mg、0.1 mmol、10.0 mol%)、触媒14(100 mg)及び1-オクタノール(130.2 mg、1.0 mmol、100 mol%)を加え、酸素雰囲気下に置換した。反応器を60℃に加熱し6.0時間反応させた後、反応混合物のGC分析(面積百分率)を行った。分析の結果は以下の通りであった。
1-オクタナール(目的生成物):85.6%、
1-オクタンカルボン酸(副生物):8.2%
1-オクタノール(原料):1.6%。
【0197】
実施例36
3-メトキシ-3-メチルブタナールの製造
【0198】
【0199】
100mLのメスフラスコに3-メトキシ-3-メチルブタノール(7.38g、62.5 mmol、100 mol%)、69%硝酸(856mg、9.38 mmol、15 mol%)を加え、酢酸ブチルにより希釈して0.625Mの3-メトキシ-3-メチルブタノール溶液を調製した。これを原料溶液として用いた。
SUS製円筒型カラム(内径1cm×長さ5cm)にフィルターを装着し、触媒14(782mg)とセライト545(1.20g)の混合物を充填した。これを触媒カラム(フローリアクター、すなわち反応管)として用いた。カラム温度を50℃に昇温後、0.5MPaで原料溶液を流速0.04mL/minで、及び空気ガスを5.33mL/minでカラム中に供給した。10時間後に反応管の出口に取り付けられた圧力調整弁の出口から反応混合物を採取し、反応混合物のGC分析(内部標準法)を行った。分析の結果は以下の通りであった。
3-メトキシ-3-メチルブタナール(目的生成物):81.7%
3-メトキシ-3-メチルブタノール(原料):12.5%
【0200】
実施例37
3-メトキシ-3-メチルブタナールの製造
【0201】
【0202】
100mLのメスフラスコに3-メトキシ-3-メチルブタノール(7.38g、62.5 mmol、100 mol%)、69%硝酸(571mg、6.25 mmol、10 mol%)を加え、酢酸ブチルにより希釈して0.625Mの3-メトキシ-3-メチルブタノール溶液を調製した。これを原料溶液として用いた。
SUS製円筒型カラム(内径1cm×長さ5cm)にフィルターを装着し、触媒28-Q-10(667mg)とセライト545(1.31g)の混合物を充填した。これを触媒カラム(フローリアクター、すなわち反応管)として用いた。カラム温度を50℃に昇温後、0.5MPaで原料溶液を流速0.04mL/minで、及び空気ガスを5.33mL/minでカラム中に供給した。10時間後に反応管の出口に取り付けられた圧力調整弁の出口から反応混合物を採取し、反応混合物のGC分析(内部標準法)を行った。分析の結果は以下の通りであった。
3-メトキシ-3-メチルブタナール(目的生成物):71.9%
3-メトキシ-3-メチルブタノール(原料):16.8%
【0203】
実施例38
3-メトキシ-3-メチルブタナールの製造
【0204】
【0205】
250mLのメスフラスコに3-メトキシ-3-メチルブタノール(8.86g、75.0 mmol、100 mol%)、69%硝酸(685mg、7.5 mmol、10 mol%)を加え、酢酸ブチルにより希釈して0.30Mの3-メトキシ-3-メチルブタノール溶液を調製した。これを原料溶液として用いた。
SUS製円筒型カラム(内径1cm×長さ5cm)にフィルターを装着し、触媒30-Q-15(902mg)とセライト545(902mg)の混合物を充填した。これを触媒カラム(フローリアクター、すなわち反応管)として用いた。カラム温度を50℃に昇温後、0.5MPaで原料溶液を流速0.04mL/minで、及び空気ガスを5.33mL/minでカラム中に供給した。10時間後に反応管の出口に取り付けられた圧力調整弁の出口から反応混合物を採取し、反応混合物のGC分析(内部標準法)を行った。分析の結果は以下の通りであった。
3-メトキシ-3-メチルブタナール(目的生成物):76.3%
3-メトキシ-3-メチルブタノール(原料):8.4%
【産業上の利用可能性】
【0206】
本発明により、新規な化合物(すなわち触媒)が提供される。特に、本発明により、効率のよい流通式反応を行うための触媒が提供される。本発明の触媒を用いた流通式反応は、経済的であり、触媒の寿命が長いため工業的に有利である。加えて、高価な貴金属および取り扱いが難しい特殊な試薬を使用しないで製造することができる。従って、本発明の化合物は、安価に調製することができる。
従って、本発明は高い産業上の利用可能性を有する。