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特開2024-142076廃プラスチック混合物の製造方法、及び廃プラスチックのリサイクル方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142076
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】廃プラスチック混合物の製造方法、及び廃プラスチックのリサイクル方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/06 20060101AFI20241003BHJP
   C08J 11/10 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C08J11/06 ZAB
C08J11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054060
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000183646
【氏名又は名称】出光興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】半田 智彦
(72)【発明者】
【氏名】児玉 瞬
(72)【発明者】
【氏名】平松 義文
(72)【発明者】
【氏名】赤司 信二
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AA09
4F401AA10
4F401BA02
4F401BA03
4F401BA04
4F401CA70
4F401CB14
4F401DB01
(57)【要約】
【課題】多種の廃プラスチックを同一のリサイクル装置で熱分解でき、かつリサイクル装置を安定的に稼働させることができる廃プラスチック混合物の製造方法を提供すること。
【解決手段】廃プラスチックのリサイクル条件と相関する1以上の性状に基づいて設定された第1分類基準に従って、n種の廃プラスチックを複数の群に分類する第1分類工程と、前記廃プラスチックのリサイクル条件に応じた混合基準に従って、前記第1分類工程ST-1で分類された複数の群の中から、合計で2種以上の廃プラスチックを選択し、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率を調整して混合することで、熱分解用の廃プラスチック混合物を得る混合工程ST-Mと、を有し、nは2以上の整数である、熱分解用の廃プラスチック混合物の製造方法。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチックのリサイクル条件と相関する1以上の性状に基づいて設定された第1分類基準に従って、n種の廃プラスチックを複数の群に分類する第1分類工程と、
前記廃プラスチックのリサイクル条件に応じた混合基準に従って、前記第1分類工程で分類された複数の群の中から、合計で2種以上の廃プラスチックを選択し、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率を調整して混合することで、熱分解用の廃プラスチック混合物を得る混合工程と、を有し、
nは2以上の整数である、
廃プラスチック混合物の製造方法。
【請求項2】
前記廃プラスチックのリサイクル条件と相関する前記1以上の性状に基づいて設定された第2分類基準に従って、前記第1分類工程で複数の群に分類された前記廃プラスチックをさらに複数の群に分類する第2分類工程をさらに有し、
前記混合工程は、前記廃プラスチックのリサイクル条件に応じた混合基準に従って、前記第1分類工程で分類された複数の群、及び前記第2分類工程で分類された複数の群の中から、合計で2種以上の廃プラスチックを選択し、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率を調整して混合することで、熱分解用の廃プラスチック混合物を得る工程であり、
前記第1分類基準と前記第2分類基準とは互いに異なる、
請求項1に記載の廃プラスチック混合物の製造方法。
【請求項3】
前記第1分類工程を1回目の分類工程とし、前記第2分類工程を2回目の分類工程とする場合、さらにm回目までの分類工程を有し、
3回目又は3回目からm回目までに実施される複数の分類工程は、それぞれ独立に、前記廃プラスチックのリサイクル条件と相関する前記1以上の性状に基づいて設定された第k分類基準に従って、1つ前に実施される分類工程で複数の群に分類された前記廃プラスチックをさらに複数の群に分類する工程であり、
前記混合工程は、前記廃プラスチックのリサイクル条件に応じた混合基準に従って、1回目からm回目までの分類工程で分類された複数の群の中から、合計で2種以上の廃プラスチックを選択し、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率を調整して混合することで、熱分解用の廃プラスチック混合物を得る工程であり、
mは4以上の整数であり、
kは3以上の整数であり、
前記第k分類基準は、前記第1分類基準及び前記第2分類基準とは互いに異なり、
前記第k分類基準が複数存在する場合、複数の前記第k分類基準は互いに異なる、
請求項2に記載の廃プラスチック混合物の製造方法。
【請求項4】
前記リサイクル条件は、前記廃プラスチックの種類、及び前記廃プラスチック中に含まれる不純物からなる群から選択される1以上である、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の廃プラスチック混合物の製造方法。
【請求項5】
前記性状は、
n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれるポリプロピレン系プラスチック及びポリエチレン系プラスチックの合計の含有量、
n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる酸素原子の含有量、
n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる塩素原子の含有量、
n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる窒素原子の含有量、及び
n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる無機物の含有量からなる群から選択される1以上である、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の廃プラスチック混合物の製造方法。
【請求項6】
前記第1分類基準は、
n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれるポリプロピレン系プラスチック及びポリエチレン系プラスチックの合計の含有量が50質量%以上であるか否か、
n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる酸素原子の含有量が5質量%以下であるか否か、
n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる塩素原子の含有量が5質量%以下であるか否か、
n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる窒素原子の含有量が5質量%以下であるか否か、及び
n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる無機物の含有量が10質量%以下であるか否かのうち、少なくともいずれかの分類基準である、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の廃プラスチック混合物の製造方法。
【請求項7】
前記混合工程は、前記混合基準として、前記廃プラスチック混合物中のポリプロピレン系プラスチック及びポリエチレン系プラスチックの合計の含有量が50質量%以上になるように、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率をそれぞれ調整して混合する工程である、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の廃プラスチック混合物の製造方法。
【請求項8】
前記混合工程は、前記混合基準として、前記廃プラスチック混合物中の酸素原子の含有量が5質量%以下になるように、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率をそれぞれ調整して混合する工程である、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の廃プラスチック混合物の製造方法。
【請求項9】
前記混合工程は、前記混合基準として、前記廃プラスチック混合物中の塩素原子の含有量が5質量%以下になるように、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率をそれぞれ調整して混合する工程である、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の廃プラスチック混合物の製造方法。
【請求項10】
前記混合工程は、前記混合基準として、前記廃プラスチック混合物中の窒素原子の含有量が5質量%以下になるように、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率をそれぞれ調整して混合する工程である、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の廃プラスチック混合物の製造方法。
【請求項11】
前記混合工程は、前記混合基準として、前記廃プラスチック混合物中の無機物の含有量が10質量%以下になるように、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率をそれぞれ調整して混合する工程である、
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の廃プラスチック混合物の製造方法。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の廃プラスチック混合物の製造方法で製造された廃プラスチック混合物を熱分解することで生成する、分解ガス及び分解油の少なくとも一方を得る工程を有し、
前記分解ガスは、リサイクルガスとして利用され、
前記分解油は、リサイクル油として利用される、
廃プラスチックのリサイクル方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃プラスチック混合物の製造方法、及び廃プラスチックのリサイクル方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックは頑丈で腐食性がないことから、投棄された使用済みプラスチック(廃プラスチック)による海洋汚染が世界的な課題となっている。廃プラスチックは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、及びポリ塩化ビニル(PVC)の4大汎用樹脂を主体として多様なプラスチックが排出されている。
廃プラスチックの処理問題が深刻化する中、廃プラスチックを熱分解してオレフィンガス及び分解油などを回収するケミカルリサイクルが注目されており、そのケミカルリサイクル方法及びリサイクル装置について様々な検討がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、廃プラスチックからポリオレフィン系プラスチックとそれ以外のプラスチックとを分離する前処理工程と、前記分離されたポリオレフィン系プラスチックを熱分解により気化させる加熱分解工程と、前記加熱分解工程で得られた熱分解ガスを珪酸塩触媒の存在下で加熱分解して、水素及び炭素数2~4の低級炭化水素からなる気相成分と、芳香族炭化水素を主成分とする液相成分を生成させる触媒分解工程と、該触媒分解工程を出た気相成分から水素を分離して炭素数2~4の低級炭化水素を得る工程、並びに前記触媒分解工程で得られた液相成分をベンゼン、トルエン、キシレンを主体とする芳香族炭化水素に分離する工程とを有する廃プラスチックのケミカルリサイクル方法が開示されている。このケミカルリサイクル方法は、前記触媒分解工程が複数の触媒分解槽を使用して触媒分解、触媒再生及び必要に応じて待機の工程を順次繰り返すことを特徴とする。
また、特許文献2には、ケミカルリサイクル品に加工されてケミカルリサイクルされる使用済みプラスチックを前記ケミカルリサイクル品に加工する前に、前記使用済みプラスチックを素材リサイクルするように前記使用済みプラスチックから素材リサイクル品を製造する素材リサイクル品製造方法が開示されている。この素材リサイクル品製造方法は、前記素材リサイクルを行なう前に、前記素材リサイクル品及び前記ケミカルリサイクル品の用途を確定する工程と、前記確定した両リサイクル品の用途に基づいて、前記両リサイクル品の用途に使用可能な範囲まで前記使用済みプラスチックから有害な元素又は物質を除去する工程を含んでいる。
【0004】
また、プラスチックのリサイクル効率を向上させるための検討もなされている。
例えば、特許文献3には、廃プラスチックを原料としてプラスチック製品を製造し、それを使用後に回収するものにおいて、前記廃プラスチックに含まれている所定物質の含有量(含有量の範囲を含む)に対応する識別情報が前記プラスチック製品と共に付加され、前記使用後のプラスチック製品を再リサイクル用として受け容れることを特徴とするプラスチック製品の回収容器が開示されている。
また、特許文献4には、使用後は廃棄して再利用される製品の使用後の廃棄処理方法を、製造時にその製品の構造に基づいて選定し、その選定された廃棄処理方法を該製品に表示しておくことを特徴とするリサイクルの処理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-154517号公報
【特許文献2】特開2004-161014号公報
【特許文献3】特開2004-075162号公報
【特許文献4】特開1996-323337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のリサイクル方法では、前処理工程において、廃プラスチックからポリオレフィン系プラスチックと、それ以外のプラスチック(ハロゲン元素を含むプラスチックなど)とに分離した後、ポリオレフィン系プラスチックを加熱分解することで熱分解ガスを生成する。特許文献2に記載の素材リサイクル品製造方法では、素材リサイクル品及びケミカルリサイクル品の用途に使用可能な範囲まで、使用済みプラスチックから予め有害な元素又は物質を除去した後、素材リサイクルを行う。
近年のケミカルリサイクルにおいては、多種の廃プラスチックを同一のリサイクル装置で熱分解でき、かつリサイクル装置を安定的に稼働させることが求められている。
特許文献3には、廃プラスチックに含まれる含有量などの識別情報をプラスチック製品に付加することが記載され、特許文献4には、使用後の廃棄処理方法を予めプラスチック製品に表示することが記載されているが、どちらの文献も、多種の廃プラスチックを同一のリサイクル装置で熱分解することについて何ら着目していない。
【0007】
本発明は、多種の廃プラスチックを同一のリサイクル装置で熱分解でき、かつリサイクル装置を安定的に稼働させることができる廃プラスチック混合物の製造方法、及び廃プラスチックのリサイクル方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]廃プラスチックのリサイクル条件と相関する1以上の性状に基づいて設定された第1分類基準に従って、n種の廃プラスチックを複数の群に分類する第1分類工程と、前記廃プラスチックのリサイクル条件に応じた混合基準に従って、前記第1分類工程で分類された複数の群の中から、合計で2種以上の廃プラスチックを選択し、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率を調整して混合することで、熱分解用の廃プラスチック混合物を得る混合工程と、を有し、nは2以上の整数である、廃プラスチック混合物の製造方法。
【0009】
[2]前記廃プラスチックのリサイクル条件と相関する前記1以上の性状に基づいて設定された第2分類基準に従って、前記第1分類工程で複数の群に分類された前記廃プラスチックをさらに複数の群に分類する第2分類工程をさらに有し、前記混合工程は、前記廃プラスチックのリサイクル条件に応じた混合基準に従って、前記第1分類工程で分類された複数の群、及び前記第2分類工程で分類された複数の群の中から、合計で2種以上の廃プラスチックを選択し、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率を調整して混合することで、熱分解用の廃プラスチック混合物を得る工程であり、前記第1分類基準と前記第2分類基準とは互いに異なる、
前記[1]に記載の廃プラスチック混合物の製造方法。
【0010】
[3]前記第1分類工程を1回目の分類工程とし、前記第2分類工程を2回目の分類工程とする場合、さらにm回目までの分類工程を有し、3回目又は3回目からm回目までに実施される複数の分類工程は、それぞれ独立に、前記廃プラスチックのリサイクル条件と相関する前記1以上の性状に基づいて設定された第k分類基準に従って、1つ前に実施される分類工程で複数の群に分類された前記廃プラスチックをさらに複数の群に分類する工程であり、前記混合工程は、前記廃プラスチックのリサイクル条件に応じた混合基準に従って、1回目からm回目までの分類工程で分類された複数の群の中から、合計で2種以上の廃プラスチックを選択し、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率を調整して混合することで、熱分解用の廃プラスチック混合物を得る工程であり、mは4以上の整数であり、kは3以上の整数であり、前記第k分類基準は、前記第1分類基準及び前記第2分類基準とは互いに異なり、前記第k分類基準が複数存在する場合、複数の前記第k分類基準は互いに異なる、
前記[2]に記載の廃プラスチック混合物の製造方法。
【0011】
[4]前記リサイクル条件は、前記廃プラスチックの種類、及び前記廃プラスチック中に含まれる不純物からなる群から選択される1以上である、
前記[1]から[3]のいずれか一項に記載の廃プラスチック混合物の製造方法。
【0012】
[5]前記性状は、n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれるポリプロピレン系プラスチック及びポリエチレン系プラスチックの合計の含有量、n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる酸素原子の含有量、n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる塩素原子の含有量、n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる窒素原子の含有量、及びn種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる無機物の含有量からなる群から選択される1以上である、前記[1]から[4]のいずれか一項に記載の廃プラスチック混合物の製造方法。
【0013】
[6]前記第1分類基準は、n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれるポリプロピレン系プラスチック及びポリエチレン系プラスチックの合計の含有量が50質量%以上であるか否か、n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる酸素原子の含有量が5質量%以下であるか否か、n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる塩素原子の含有量が5質量%以下であるか否か、n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる窒素原子の含有量が5質量%以下であるか否か、及びn種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる無機物の含有量が10質量%以下であるか否かのうち、少なくともいずれかの分類基準である、
前記[1]から[5]のいずれか一項に記載の廃プラスチック混合物の製造方法。
【0014】
[7]前記混合工程は、前記混合基準として、前記廃プラスチック混合物中のポリプロピレン系プラスチック及びポリエチレン系プラスチックの合計の含有量が50質量%以上になるように、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率をそれぞれ調整して混合する工程である、
前記[1]から[6]のいずれか一項に記載の廃プラスチック混合物の製造方法。
【0015】
[8]前記混合工程は、前記混合基準として、前記廃プラスチック混合物中の酸素原子の含有量が5質量%以下になるように、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率をそれぞれ調整して混合する工程である、
前記[1]から[7]のいずれか一項に記載の廃プラスチック混合物の製造方法。
【0016】
[9]前記混合工程は、前記混合基準として、前記廃プラスチック混合物中の塩素原子の含有量が5質量%以下になるように、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率をそれぞれ調整して混合する工程である、
前記[1]から[8]のいずれか一項に記載の廃プラスチック混合物の製造方法。
【0017】
[10]前記混合工程は、前記混合基準として、前記廃プラスチック混合物中の窒素原子の含有量が5質量%以下になるように、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率をそれぞれ調整して混合する工程である、
前記[1]から[9]のいずれか一項に記載の廃プラスチック混合物の製造方法。
【0018】
[11]前記混合工程は、前記混合基準として、前記廃プラスチック混合物中の無機物の含有量が10質量%以下になるように、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率をそれぞれ調整して混合する工程である、
前記[1]から請求項[10]のいずれか一項に記載の廃プラスチック混合物の製造方法。
【0019】
[12]前記[1]から[11]のいずれか一項に記載の廃プラスチック混合物の製造方法で製造された廃プラスチック混合物を熱分解することで生成する、分解ガス及び分解油の少なくとも一方を得る工程を有し、前記分解ガスは、リサイクルガスとして利用され、前記分解油は、リサイクル油として利用される、廃プラスチックのリサイクル方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によれば、多種の廃プラスチックを同一のリサイクル装置で熱分解でき、かつリサイクル装置を安定的に稼働させることができる廃プラスチック混合物の製造方法、及び廃プラスチックのリサイクル方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A】第1実施形態に係る製造方法の一例を示すブロック図。
図1B】第1実施形態に係る製造方法の一例を説明するための図。
図2】第2実施形態に係る製造方法の一例を示すブロック図。
図3A】第2実施形態に係る製造方法の別の一例を示すブロック図。
図3B】第2実施形態に係る製造方法の別の一例を説明するための図。
図4】変形例1に係る製造方法の一例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前に記載される数値を下限値とし、「~」の後に記載される数値を上限値として含む範囲を意味する。
【0023】
〔第1実施形態〕
〔廃プラスチック混合物の製造方法〕
第1実施形態に係る廃プラスチック混合物の製造方法(以下、本実施形態に係る製造方法とも称する)は、廃プラスチックのリサイクル条件と相関する1以上の性状に基づいて設定された第1分類基準に従って、n種の廃プラスチックを複数の群に分類する第1分類工程と、前記廃プラスチックのリサイクル条件に応じた混合基準に従って、前記第1分類工程で分類された複数の群の中から、合計で2種以上の廃プラスチックを選択し、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率を調整して混合することで、熱分解用の廃プラスチック混合物を得る混合工程と、を有する。nは2以上の整数である。
本実施形態に係る製造方法で製造される廃プラスチック混合物は、リサイクル装置(例えば熱分解炉など)で熱分解され、リサイクル可能な分解ガス及び分解油の少なくとも一方を生成し得る。
以下、リサイクル可能な分解ガスをリサイクルガスと称し、リサイクル可能な分解油をリサイクル油と称することがある。
リサイクルガス及びリサイクル油の少なくとも一方は、各種プラントで精製された後、各種用途で利用(リサイクル)される。
また、本実施形態に係る製造方法で製造される廃プラスチック混合物をリサイクル装置で熱分解することで生成した分解ガスを燃焼させ、その燃焼熱を各種用途に利用することもできる。同様に、前記廃プラスチック混合物を熱分解することで生成した分解油を分解残渣(例えばチャーなど)と共に燃焼させ、その燃焼熱を各種用途に利用することもできる。
以下、燃焼熱として利用される分解ガスを「燃焼熱用のリサイクルガス」と称し、燃焼熱として利用される分解油を「燃焼熱用のリサイクル油」と称することがある。
【0024】
廃プラスチックのリサイクル装置(例えば熱分解炉など)を安定的に稼働させるためには、装置に導入する廃プラスチックの性状をできる限り均質に保つことが必要である。しかしながら、実際の廃プラスチックは、種類が多岐にわたり、廃棄の過程で様々なプラスチックが混ざり合うため、その性状は不均一である。また、廃プラスチックの性状は、排出元によっても異なる。そのため、従来、リサイクル装置に導入される廃プラスチックは、排出元を限定するなどの方法により、原料スペックに適合した廃プラスチックのみを選択してリサイクル装置に導入されていた。
原料スペックに適合した廃プラスチックとは、リサイクル装置のスペック(仕様)に適合した性状を有する廃プラスチックであることを意味する。そのため、原料スペックに適合した廃プラスチックは、リサイクル装置の種類によって異なる。
【0025】
本発明者らは、n種の廃プラスチックを、性状に基づく第1分類基準に従って、グレード別の廃プラスチック群に分類し(第1分類工程)、続く混合工程において、そのグレード別に分類された複数の廃プラスチック群の中から、2種以上の廃プラスチックを選択して特定の比率で混合することにより、リサイクル装置の原料スペックに適合し、かつ性状が均質に保持された廃プラスチック混合物が得られることを見出した。
リサイクル装置には、このような性状が均質に保持された廃プラスチック混合物が導入されるため、リサイクル装置を安定的に稼働させることができる。
また、本実施形態に係る混合工程では、グレード別に分類された複数の廃プラスチック群の中から、例えば、原料スペックを満たす廃プラスチック(以下、性状G1の廃プラと称する)と、原料スペックを満たさない廃プラスチック(以下、性状G2の廃プラと称する)とを選択し、各廃プラスチックの比率を調整して混合することができる。そのため、例えば、性状G1及び性状G2の廃プラの比率に差を設けて(性状G1の廃プラの比率>性状G2の廃プラの比率)、性状G1の廃プラと、性状G2の廃プラとを混合することで、原料スペックを満たす廃プラスチック混合物を得ることができる。
このように、本実施形態に係る製造方法では、グレード別に分類された複数の廃プラスチック群の中から、グレードが異なる廃プラスチックを選択し、その混合比率を調整することで、本来、単品では原料スペックを外れて処理できなかった廃プラスチック(上記の場合、性状G2の廃プラ)を、原料スペックを満たす廃プラスチック混合物としてリサイクル装置で処理することが可能になる。
よって、本実施形態によれば、多種の廃プラスチックを同一のリサイクル装置で熱分解でき、かつリサイクル装置を安定的に稼働させることができる廃プラスチック混合物の製造方法が実現される。
【0026】
リサイクル装置においては、本実施形態に係る製造方法で製造された「廃プラスチック混合物」を熱分解することで生成した分解ガスまたは分解油及び分解残渣を燃焼装置で燃焼させ、その燃焼熱を前記リサイクル装置で利用することがある。つまり、前記分解ガスを「燃焼熱用のリサイクルガス」として利用し、前記分解油を分解残渣と共に「燃焼熱用のリサイクル油」として利用することがある。
前記分解ガスを「燃焼熱用のリサイクルガス」として利用する場合、前記分解油はリサイクル油として利用されることが好ましい。
前記分解油を分解残渣と共に「燃焼熱用のリサイクル油」として利用する場合、前記分解ガスはリサイクルガスとして利用されることが好ましい。
このようなリサイクル装置を用いる場合、本実施形態に係る混合工程は、態様1又は態様2の方法で実施することが好ましい。
【0027】
(態様1)
態様1に係る混合工程は、例えば、(1)廃プラスチック混合物を熱分解する際に、目的とする成分(例えば軽質オレフィン)を主成分とする分解ガスを特定量生成させ、かつ(2)分解ガス中の不純物が特定量以下(例えば5質量%以下)であるという前記(1)~(2)の混合基準に従って、複数の廃プラスチック群の中から、2種以上の廃プラスチックを選択して各廃プラスチックの混合比率を調整する。
【0028】
(態様2)
態様2に係る混合工程は、例えば、(1S)廃プラスチック混合物を熱分解する際に、目的とする分解油を分解残渣と共に特定量生成させ、かつ(2S)分解油中の不純物が特定量以下(例えば5質量%以下)であるという前記(1S)~(2S)の混合基準に従って、複数の廃プラスチック群の中から、2種以上の廃プラスチックを選択して各廃プラスチックの混合比率を調整する。分解油中の不純物としては、例えば、有機塩素化合物(クロロベンゼンなど)及び有機窒素化合物(ベンゾニトリルなど)が挙げられる。
態様1または態様2に係る混合工程で得られる廃プラスチック混合物を熱分解すると、「燃焼熱用のリサイクルガス」または「燃焼熱用のリサイクル油」が特定量生成するので、この燃焼熱用のリサイクルガスまたはリサイクル油を燃焼させる燃焼装置内での燃焼状態を安定化することができる。また、燃焼装置で発生した燃焼熱を、廃プラスチック混合物を熱分解する際の熱量として利用することができる。リサイクル装置には、前記燃焼熱が供給されるため、リサイクル装置を効率よく稼働させることができる。
【0029】
本実施形態に係る製造方法の各工程について説明する。
【0030】
<第1分類工程>
第1分類工程は、廃プラスチックのリサイクル条件と相関する1以上の性状に基づいて設定された第1分類基準に従って、n種の廃プラスチックを複数の群に分類する工程である。
本実施形態に係る製造方法において、nは2以上の整数であれば実施可能である。nは、3以上であってもよく、5以上であってもよく、10以上であってもよく、20以上であってもよく、50以上であってもよい。
一方、廃プラスチック原料を一定の品質に管理するという観点から、nは、小さい方(すなわち取り扱う廃プラスチックの種類が少ない方)が好ましい。そのため、nの上限は、好ましくは500以下であり、より好ましくは400以下であり、さらに好ましくは300以下であり、さらに好ましくは200以下であり、さらに好ましくは100以下である。
廃プラスチック原料を一定の品質に管理しつつ、多種の廃プラスチックを処理する観点から、nは、通常50以上300以下であり、好ましくは50以上200以下であり、より好ましくは50以上100以下である。
第1分類工程において、リサイクル条件とは、リサイクル装置のスペック(仕様)に該当する。リサイクル条件と相関するとは、リサイクル装置のスペックと相関することを意味する。
本実施形態に係る製造方法において、リサイクル条件は、廃プラスチックの種類、及び廃プラスチック中に含まれる不純物からなる群から選択される1以上であることが好ましい。廃プラスチック中に含まれる不純物としては、例えば、酸素原子、塩素原子、窒素原子及び無機物などが挙げられる。
【0031】
(R1)リサイクル装置が、リサイクルガスとして軽質オレフィン含有ガスを生成する熱分解炉である場合、前記リサイクル条件に相関する廃プラスチックの種類は、ポリプロピレン系プラスチック及びポリエチレン系プラスチックの少なくとも一方である。
【0032】
(R2)リサイクル装置が、リサイクルガスとしてテレフタル酸含有ガスを生成する熱分解炉である場合、前記リサイクル条件に相関する廃プラスチックの種類は、ポリエチレンテレフタレート系プラスチックである。
【0033】
(R3)リサイクル装置が、リサイクルガスとしてスチレン含有ガスを生成する熱分解炉である場合、前記リサイクル条件に相関する廃プラスチックの種類は、ポリスチレン系プラスチックである。
【0034】
(R4)リサイクル装置が、リサイクルガスとしてメチルメタクリレート含有ガスを生成する熱分解炉である場合、前記リサイクル条件に相関する廃プラスチックの種類は、(メタ)アクリル系プラスチックである。(メタ)アクリルは、アクリル又はメタクリルを意味する。
【0035】
(R5)リサイクル装置が、リサイクル油を生成する熱分解炉である場合、前記リサイクル条件に相関する廃プラスチックの種類は、ポリプロピレン系プラスチック及びポリエチレン系プラスチック及びポリスチレン系プラスチックの少なくともいずれかである。
【0036】
第1分類工程において、前記性状は、廃プラスチック混合物を熱分解することで生成するリサイクルガスまたはリサイクル油の種類により異なるが、n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる、リサイクルガスまたはリサイクル油の種類に由来するプラスチックの含有量、n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる酸素原子の含有量、n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる塩素原子の含有量、n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる窒素原子の含有量、及びn種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる無機物の含有量からなる群から選択される1以上であることが好ましい。
【0037】
以下では、リサイクル装置が、リサイクルガスとして軽質オレフィン含有ガスを生成する熱分解炉である場合の好ましい態様について説明する。
リサイクル装置が前記(R2)~前記(R4)である場合の好ましい態様は、前記(R1)の好ましい態様と同様であるため、以下の記載中、「ポリプロピレン系プラスチック及びポリエチレン系プラスチック」を、前記(R2)の場合は、「ポリエチレンテレフタレート系プラスチック」に置き換えることができ、前記(R3)の場合は、「ポリスチレン系プラスチック」に置き換えることができ、前記(R4)の場合は、「(メタ)アクリル系プラスチック」に置き換えることができる。
リサイクル装置が前記(R5)である場合の好ましい態様も、リサイクル装置が、リサイクルガスとして軽質オレフィン含有ガスを生成する熱分解炉である場合の好ましい態様を援用できる。
【0038】
本実施形態に係る製造方法において、前記性状は、n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれるポリプロピレン系プラスチック及びポリエチレン系プラスチックの合計の含有量、n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる酸素原子の含有量、n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる塩素原子の含有量、n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる窒素原子の含有量、及びn種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる無機物の含有量からなる群から選択される1以上であることが好ましい。
【0039】
酸素原子の含有量は、酸素分析計(elementar社製、品番vario EL cube)を用いて測定される。
塩素原子の含有量は、下記の分析機器を用いて燃焼イオンクロマトグラフィー法により測定される。
(分析機器)
・燃焼部:日東精工アナリテック社製、品番AQF-2100H
・イオンクロマトグラフィー部:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、品番Dionex Integrion RFIC
・窒素原子の含有量は、CHN計(elementar社製、品番:vario EL cube)を用いて測定される。
無機物の含有量は、JIS K2272(1998)に記載の灰分試験法に従って測定される。
【0040】
本実施形態に係る製造方法において、前記第1分類基準は、
(C1)n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれるポリプロピレン系プラスチック及びポリエチレン系プラスチックの合計の含有量が50質量%以上であるか否か、
(C2)n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる酸素原子の含有量が5質量%以下であるか否か、
(C3)n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる塩素原子の含有量が5質量%以下であるか否か、
(C4)n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる窒素原子の含有量が5質量%以下であるか否か、及び
(C5)n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる無機物の含有量が10質量%以下であるか否かのうち、少なくともいずれかの分類基準であることが好ましい。
【0041】
前記(C1)の第1分類基準は、
n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれるポリプロピレン系プラスチック及びポリエチレン系プラスチックの合計の含有量が75質量%以上であるか否かの分類基準であることがより好ましい。
ポリプロピレン系プラスチック及びポリエチレン系プラスチックの合計の含有量が75質量%以上であると、軽質オレフィンガスの生成量が多くなり、かつ分解油及び分解残渣が少量生成する。
一方、ポリプロピレン系プラスチック及びポリエチレン系プラスチックの合計の含有量が75質量%未満であると、軽質オレフィンガスの生成量が少なくなり、かつ分解油及び分解残渣が多く生成する。
前述の通り、生成した分解油及び分解残渣は、「燃焼熱用のリサイクル油」として利用でき、この燃焼熱用のリサイクル油を燃焼装置で燃焼することで発生した燃焼熱を、廃プラスチックを熱分解する際の熱量として利用することができる。
よって、分解油及び分解残渣(燃焼熱用のリサイクル油)の燃焼により発生した燃焼熱を、廃プラスチック混合物を熱分解する際の熱量として利用する場合、軽質オレフィンガスの生成量を確保しつつ、分解油及び分解残渣を適度に生成させることが必要である。このような場合、本実施形態に係る混合工程は、第1分類基準に従い分類された「ポリプロピレン系プラスチック及びポリエチレン系プラスチックの合計の含有量が75質量%以上の廃プラスチック」と「当該合計の含有量が75質量%未満の廃プラスチック」のバランスを考慮して両者(グレードが異なる廃プラスチック)の混合比率を調整することが好ましい。
グレードが異なる廃プラスチックの混合比率を調整して混合することで、分解油及び分解残渣を燃焼させる燃焼装置の燃焼状態を安定に保つことができ、かつ分解油及び分解残渣の燃焼により発生した燃焼熱をリサイクル装置へ安定して供給することができる。
【0042】
酸素原子の含有量が5質量%超え10質量%以下を原料スペックの基準とした場合、前記(C2)の第1分類基準は、
n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる酸素原子の含有量が5質量%以下であるか否か、前記酸素原子の含有量が5質量%超え10質量%以下であるか否か、前記酸素原子の含有量が10質量%超え15質量%以下であるか否かの分類基準であってもよい。
酸素原子の含有量が5質量%以下である廃プラスチックは、不純物としての酸素原子の濃度が低いため、通常、原料スペックの範囲内であり、かつ品質が良好であるとみなすことができる。
酸素原子の含有量が5質量%超え10質量%以下である廃プラスチックは、原料スペックの範囲内であり、品質が確保されているとみなすことができる。
酸素原子の含有量が10質量%超え15質量%以下である廃プラスチックは、原料スペックの範囲外であり、従来は、リサイクル装置で処理されない廃プラスチックである。
よって、混合工程において、例えば、第1分類基準に従い分類された「酸素原子の含有量が5質量%以下である廃プラスチック」と「酸素原子の含有量が5質量%超え10質量%以下である廃プラスチック」と「酸素原子の含有量が10質量%超え15質量%以下である廃プラスチック」のバランスを考慮して廃プラスチックの混合比率を調整することで、従来、単品では原料スペックを外れて処理できなかった廃プラスチック(上記の場合、酸素原子の含有量が10質量%超え15質量%以下の廃プラスチック)を処理することが可能になる。
【0043】
塩素原子の含有量が5質量%超え10質量%以下を原料スペックの基準とした場合、前記(C3)の第1分類基準は、
n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる塩素原子の含有量が5質量%以下であるか否か、前記塩素原子の含有量が5質量%超え10質量%以下であるか否か、前記塩素原子の含有量が10質量%超え15質量%以下であるか否かの分類基準であってもよい。
【0044】
窒素原子の含有量が5質量%超え10質量%以下を原料スペックの基準とした場合、前記(C4)の第1分類基準は、
n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる窒素原子の含有量が5質量%以下であるか否か、前記窒素原子の含有量が5質量%超え10質量%以下であるか否か、前記窒素原子の含有量が10質量%超え15質量%以下であるか否かの分類基準であってもよい。
【0045】
無機物の含有量が10質量%超え20質量%以下を原料スペックの基準とした場合、前記(C5)の第1分類基準は、
n種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる無機物の含有量が10質量%以下であるか否か、前記無機物の含有量が10質量%超え20質量%以下であるか否か、前記無機物の含有量が20質量%超え30質量%以下であるか否かの分類基準であってもよい。
【0046】
<第2分類工程>
本実施形態に係る製造方法において、前記廃プラスチックのリサイクル条件と相関する前記1以上の性状に基づいて設定された第2分類基準に従って、前記第1分類工程で複数の群に分類された前記廃プラスチックをさらに複数の群に分類する第2分類工程をさらに有することが好ましい。
この場合、前記混合工程は、前記廃プラスチックのリサイクル条件に応じた混合基準に従って、前記第1分類工程で分類された複数の群、及び前記第2分類工程で分類された複数の群の中から、合計で2種以上の廃プラスチックを選択し、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率を調整して混合することで、熱分解用の廃プラスチック混合物を得る工程である。前記第1分類基準と前記第2分類基準とは互いに異なる。
第2分類工程におけるリサイクル条件は、廃プラスチックの種類、及び廃プラスチック中に含まれる不純物からなる群から選択される1以上であることが好ましい。
第2分類工程における第2分類基準としては、例えば、前述の第1分類基準として例示した中から選択することができる。ただし、第1分類基準と第2分類基準とは互いに異なる。
本実施形態に係る製造方法が、第2分類工程を有することにより、第1分類工程のみを有する場合に比べ、より多くのグレード別に分類された複数の廃プラスチック群の中から、2種以上の廃プラスチックを選択することができる。これにより、原料スペックにより適合し、かつ性状がより均質に保持された廃プラスチック混合物が得られる。
【0047】
<混合工程>
混合工程は、前記廃プラスチックのリサイクル条件に応じた混合基準に従って、前記第1分類工程で分類された複数の群の中から、合計で2種以上の廃プラスチックを選択し、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率を調整して混合することで、熱分解用の廃プラスチック混合物を得る工程である。
混合工程において、リサイクル条件に応じた混合基準とは、リサイクル装置のスペック(仕様)を満たすための混合条件を意味する。
混合工程で用いる混合装置は、公知の混合装置、及び公知の前処理設備を用いることができる。
【0048】
本実施形態に係る製造方法において、前記混合工程は、前記混合基準として、前記廃プラスチック混合物中のポリプロピレン系プラスチック及びポリエチレン系プラスチックの合計の含有量が50質量%以上になるように、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率をそれぞれ調整して混合する工程であることが好ましい。
前記混合工程は、前記混合基準として、前記廃プラスチック混合物中のポリプロピレン系プラスチック及びポリエチレン系プラスチックの合計の含有量が、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上になるように、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率をそれぞれ調整して混合する工程であることが好ましい。
【0049】
本実施形態に係る製造方法において、前記混合工程は、前記混合基準として、前記廃プラスチック混合物中の酸素原子の含有量が5質量%以下になるように、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率をそれぞれ調整して混合する工程であることが好ましい。
前記混合工程は、前記混合基準として、前記廃プラスチック混合物中の酸素原子の含有量が、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下になるように、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率をそれぞれ調整して混合する工程であることが好ましい。
【0050】
本実施形態に係る製造方法において、前記混合工程は、前記混合基準として、前記廃プラスチック混合物中の塩素原子の含有量が5質量%以下になるように、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率をそれぞれ調整して混合する工程であることが好ましい。
前記混合工程は、前記混合基準として、前記廃プラスチック混合物中の塩素原子の含有量が、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下になるように、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率をそれぞれ調整して混合する工程であることが好ましい。
【0051】
本実施形態に係る製造方法において、前記混合工程は、前記混合基準として、前記廃プラスチック混合物中の窒素原子の含有量が5質量%以下になるように、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率をそれぞれ調整して混合する工程であることが好ましい。
前記混合工程は、前記混合基準として、前記廃プラスチック混合物中の窒素原子の含有量が、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下になるように、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率をそれぞれ調整して混合する工程であることが好ましい。
【0052】
本実施形態に係る製造方法において、前記混合工程は、前記混合基準として、前記廃プラスチック混合物中の無機物の含有量が10質量%以下になるように、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率をそれぞれ調整して混合する工程であることが好ましい。
前記混合工程は、前記混合基準として、前記廃プラスチック混合物中の無機物の含有量が、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは6質量%以下になるように、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率をそれぞれ調整して混合する工程であることが好ましい。
【0053】
本実施形態に係る製造方法の一例について、図1A及び図1Bを用いて説明する。
図1Aは、本実施形態に係る製造方法の一例を示すブロック図である。図1Bは、本実施形態に係る製造方法の一例を説明するための図である。
【0054】
図1A及び図1Bに示す廃プラスチック混合物の製造方法は、第1分類工程ST-1と、第2分類工程ST-2と、混合工程ST-Mと、を有する。
図1Bには、n種の廃プラスチックの一例として、9種の廃プラスチックが示されている。
第1分類工程ST-1は、9種の廃プラスチックのそれぞれに含まれるポリプロピレン系プラスチック及びポリエチレン系プラスチックの合計の含有量が75質量%以上であるか否かの第1分類基準に従って、9種の廃プラスチックを、性状A(前記合計の含有量が75質量%以上)の廃プラ群と、性状B(前記合計の含有量が75質量%未満)の廃プラ群と、に分類する。
第2分類工程ST-2は、9種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる酸素原子の含有量が5質量%以下であるか否か、酸素原子の含有量が5質量%超え10質量%以下であるか否か、酸素原子の含有量が10質量%超え15質量%以下であるか否かの第2分類基準に従って、
性状Aの廃プラ群(4種)を、性状A1(前記酸素原子の含有量が5質量%以下)の廃プラ群と、性状B1(前記酸素原子の含有量が5質量%超え10質量%以下)の廃プラ群と、性状C1(前記酸素原子の含有量が10質量%超え15質量%以下)の廃プラ群と、に分類し、かつ性状Bの廃プラ群(5種)を、性状Aの廃プラ群と同様に、性状A1の廃プラ群と、性状B1の廃プラ群と、性状C1の廃プラ群と、に分類する。
【0055】
図1A及び図1Bの場合、混合工程ST-Mにおける、廃プラスチックのリサイクル条件に応じた混合基準は、例えば、「廃プラスチック混合物中のポリプロピレン系プラスチック及びポリエチレン系プラスチックの合計の含有量が60質量%以上かつ酸素原子の含有量が5質量%以下」とする。この場合、混合工程ST-Mは、当該混合基準に従って、第2分類工程ST-2で分類された、複数の性状A1~性状C1の廃プラ群の中から、例えば、廃プラB-1を比率1(30質量%)、廃プラA-1又は廃プラC-1を比率2(30質量%)、廃プラC-2を比率3(20質量%)、廃プラA-2を比率4(0質量%)、廃プラC-3又は廃プラZ-1を比率5(10質量%)、及び廃プラB-2又はD-3を比率6(10質量%)で混合する。なお、混合工程ST-Mにおいて、廃プラA-1及び廃プラC-1を両方選択して、その合計比率を比率2としてもよい。比率5及び比率6も同様である。
得られた廃プラスチック混合物は、リサイクル装置のスペックに適合するように、廃プラスチック混合物中のポリプロピレン系プラスチック及びポリエチレン系プラスチックの合計の含有量が60質量%以上かつ酸素原子の含有量が5質量%以下に調整されている。
なお、前記混合工程ST-Mにおける各廃プラの混合比率は図1Bに限定されない。
【0056】
〔第2実施形態〕
第2実施形態に係る廃プラスチック混合物の製造方法(以下、第2実施形態に係る製造方法とも称する)は、第1実施形態に係る製造方法に対し、第3分類工程又は第3分類工程よりも多くの分類工程を有すること以外、第1実施形態と同様である。
第2実施形態では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項の説明については同一の符号を付す等により、その説明を省略または簡略化する。
【0057】
図2は、第2実施形態に係る製造方法の一例を示すブロック図である。
第2実施形態に係る製造方法は、前記第1分類工程を1回目の分類工程ST-11とし、前記第2分類工程を2回目の分類工程ST-21とする場合、さらにm回目までの分類工程ST-m1を有する。図2中、3回目の分類工程をST-31と表記する。
この場合、3回目又は3回目からm回目までに実施される複数の分類工程は、それぞれ独立に、前記廃プラスチックのリサイクル条件と相関する前記1以上の性状に基づいて設定された第k分類基準に従って、1つ前に実施される分類工程で複数の群に分類された前記廃プラスチックをさらに複数の群に分類する工程である。
前記混合工程ST-M2は、前記廃プラスチックのリサイクル条件に応じた混合基準に従って、1回目からm回目までの分類工程で分類された複数の群の中から、合計で2種以上の廃プラスチックを選択し、前記2種以上の廃プラスチックの混合比率を調整して混合することで、熱分解用の廃プラスチック混合物を得る工程である。
mは4以上の整数である。kは3以上の整数である。
前記第k分類基準は、前記第1分類基準及び前記第2分類基準とは互いに異なる。
前記第k分類基準が複数存在する場合、複数の前記第k分類基準は互いに異なる。
【0058】
3回目又は3回目からm回目までに実施される複数の分類工程におけるリサイクル条件は、廃プラスチックの種類、及び廃プラスチック中に含まれる不純物からなる群から選択される1以上であることが好ましい。
3回目又は3回目からm回目までに実施される複数の分類工程における第k分類基準としては、例えば、前述の第1分類基準として例示した中から選択することができる。ただし、第1分類基準から第(k-1)分類基準は互いに異なる分類基準である。
【0059】
第2実施形態に係る製造方法は、第3分類工程又は第3分類工程より多くの分類工程をさらに有するので、n種の廃プラスチックがより多くのグレード別の廃プラスチック群に分類され、その分類された複数の廃プラスチック群の中から、2種以上の廃プラスチックを選択することができる。これにより、原料スペックにより適合し、かつ性状がより均質に保持された廃プラスチック混合物が得られる。
【0060】
図3Aは、第2実施形態に係る製造方法の別の一例を示すブロック図である。
図3Bは、第2実施形態に係る製造方法の別の一例を説明するための図である。
【0061】
図3A及び図3Bに示す廃プラスチック混合物の製造方法は、第1分類工程ST-10と、第2分類工程ST-20と、第3分類工程ST-30と、混合工程ST-M1と、を有する。
図3Bには、n種の廃プラスチックの一例として、15種の廃プラスチックが示されている。
第1分類工程ST-10は、15種の廃プラスチックのそれぞれに含まれるポリプロピレン系プラスチック及びポリエチレン系プラスチックの合計の含有量が75質量%以上であるか否かの第1分類基準に従って、15種の廃プラスチックを、性状A(前記合計の含有量が75質量%以上)の廃プラ群と、性状B(前記合計の含有量が75質量%未満)の廃プラ群と、に分類する。
第2分類工程ST-20は、15種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる酸素原子の含有量が5質量%以下であるか否か、酸素原子の含有量が5質量%超え10質量%以下であるか否か、酸素原子の含有量が10質量%超え15質量%以下であるか否かの第2分類基準に従って、性状Aの廃プラ群(8種)を、性状A1(前記酸素原子の含有量が5質量%以下)の廃プラ群と、性状B1(前記酸素原子の含有量が5質量%超え10質量%以下)の廃プラ群と、性状C1(前記酸素原子の含有量が10質量%超え15質量%以下)の廃プラ群と、に分類し、かつ性状Bの廃プラ群(7種)を、性状Aの廃プラ群と同様に、性状A1の廃プラ群と、性状B1の廃プラ群と、性状C1の廃プラ群と、に分類する。
第3分類工程ST-30は、15種の廃プラスチックのそれぞれに含まれる塩素原子の含有量が5質量%以下であるか否か、塩素原子の含有量が5質量%超え10質量%以下であるか否か、塩素原子の含有量が10質量%超え15質量%以下であるか否かの第3分類基準に従って、性状Aから分類された性状A1~C1の廃プラ群を、性状A2(前記塩素原子の含有量が5質量%以下)の廃プラ群と、性状B2(前記塩素原子の含有量が5質量%超え10質量%以下)の廃プラ群と、性状C2(前記塩素原子の含有量が10質量%超え15質量%以下)の廃プラ群と、にそれぞれ分類する。
性状Bから分類された性状A1~C1の廃プラ群も同様に、性状A2の廃プラ群と、性状B2の廃プラ群と、性状C2の廃プラ群と、にそれぞれ分類する。
【0062】
図3A及び図3Bの場合、混合工程ST-M1における、廃プラスチックのリサイクル条件に応じた混合基準は、「廃プラスチック混合物中のポリプロピレン系プラスチック及びポリエチレン系プラスチックの合計の含有量が60質量%以上、かつ酸素原子及び塩素原子の含有量が共に5質量%以下」とする。この場合、混合工程ST-M1は、当該混合基準に従って、第3分類工程ST-30で分類された、複数の性状A2~性状C2の廃プラ群の中から、例えば、廃プラB-1を比率11、廃プラA-3を比率13、廃プラB-3を比率14、廃プラA-1を比率15、廃プラC-1を比率16、廃プラB-4又は廃プラD-1を比率17、廃プラC-2を比率19、廃プラB-2を比率20、廃プラA-2を比率22、廃プラD-2を比率23、廃プラZ-1を比率24、廃プラC-3を比率25、廃プラA-4を比率26及び廃プラD-3を比率28で混合する。比率11、比率13~比率17、比率19~比率20、比率22~比率26及び比率28は、混合基準により任意(0質量%以上)に設定されるが、全比率の合計は100質量%である。なお、混合工程ST-M1において、廃プラB-4及び廃プラD-1を両方選択して、その合計比率を比率17としてもよい。
得られた廃プラスチック混合物は、リサイクル装置のスペックに適合するように、廃プラスチック混合物中のポリプロピレン系プラスチック及びポリエチレン系プラスチックの合計の含有量が60質量%以上、かつ酸素原子及び塩素原子の含有量が共に5質量%以下に調整されている。
【0063】
〔第3実施形態〕
〔廃プラスチックのリサイクル方法〕
第3実施形態に係る廃プラスチックのリサイクル方法(以下、第3実施形態に係るリサイクル方法とも称する)は、前記実施形態に係る製造方法のいずれかの製造方法で製造された廃プラスチック混合物を熱分解することで生成する、分解ガス及び分解油の少なくとも一方を得る工程を有し、前記分解ガスは、リサイクルガスとして利用され、前記分解油は、リサイクル油として利用される。
前記得る工程で生成された分解ガス及び分解油は、分解ガスのみをリサイクルガスとして利用してもよいし、分解油のみをリサイクル油として利用してもよいし、分解ガスをリサイクルガスとして利用し、かつ分解油をリサイクル油として利用してもよい。
前記得る工程で生成された分解ガスは、各種プラントで精製された後、各種用途で利用される。前記得る工程で生成された分解ガスは、前述の「燃焼熱用のリサイクルガス」として利用してもよい。
前記得る工程で生成された分解油は、各種プラントで精製された後、各種用途で利用される。前記得る工程で生成された分解油は、分解残渣と共に、前述の「燃焼熱用のリサイクル油」として利用してもよい。
前記得る工程で生成された分解ガスを「燃焼熱用のリサイクルガス」として利用する場合、前記分解油はリサイクル油として利用されることが好ましい。
前記得る工程で生成された分解油を分解残渣と共に「燃焼熱用のリサイクル油」として利用する場合、前記分解ガスはリサイクルガスとして利用されることが好ましい。
【0064】
第3実施形態に係るリサイクル方法では、リサイクル装置の仕様に適合した性状を有する廃プラスチック混合物を熱分解するため、性状が均質に保持された分解ガス、分解油、または分解ガス及び分解油の両方が得られる。よって、性状が均質に保持された分解ガスを「リサイクルガス」または「燃焼熱用のリサイクルガス」として利用でき、性状が均質に保持された分解油を「リサイクル油」または「燃焼熱用のリサイクル油」として利用できる。
第3実施形態に係るリサイクル方法において、前記得る工程で生成された分解ガスは、軽質オレフィン含有ガスであることが好ましい。
【0065】
本発明は、前記実施形態に限定されない。本発明は、本発明の目的を達成できる範囲での変形及び改良等を含むことができる。
【0066】
〔実施形態の変形例〕
〔変形例1〕
第1実施形態の一例として説明した混合工程ST-M、及び第2実施形態の一例として説明した混合工程ST-M1においては、最後(m回目)の分類工程で分類された複数の廃プラスチック群の中から合計で2種以上の廃プラスチックを選択したが、廃プラスチックの選択方法はこれに限定されない。
混合工程においては、1回目からm回目までに実施される複数の分類工程で分類された複数の廃プラスチック群の中から、合計で2種以上の廃プラスチックを選択することができる。m回目とは、図1A及び図1Bの場合は2回目であり、図3A及び図3Bの場合は3回目に相当する。
変形例1に係る製造方法の一例について図4を用いて説明する。
変形例1に係る製造方法において、第1分類工程ST-1は、第1実施形態に係る第1分類工程ST-1と同義である。変形例1に係る第2分類工程ST-2Xは、第1分類工程ST-1で分類された性状Aの廃プラ群(4種)を、第1実施形態で説明した第2分類基準に従って、性状A1の廃プラ群と、性状B1の廃プラ群と、性状C1の廃プラ群とに分類するが、第1分類工程ST-1で分類された性状Bの廃プラ群(5種)を分類しない。この点以外は、第1実施形態に係る第2分類工程ST-2と同様である。
変形例1に係る混合工程ST-MXは、第1実施形態で説明した混合基準に従って、第2分類工程ST-2Xで分類された複数の性状A1~性状C1の廃プラ群、及び第1分類工程ST-1で分類された性状Bの廃プラ群の中から、例えば、廃プラB-1を比率1X、廃プラA-1又は廃プラC-1を比率2X、廃プラC-2を比率3X、及び性状Bの廃プラ群のいずれかの廃プラを比率4Xで混合する。比率1X~比率4Xは、混合基準により任意(0質量%以上)に設定されるが、全比率の合計は100質量%である。
なお、混合工程ST-MXにおいて、廃プラA-1及び廃プラC-1を両方選択して、その合計比率を比率2Xとしてもよいし、性状Bの廃プラ群の中からいずれか2種以上の廃プラを選択して、その合計比率を比率4Xとしてもよい。
得られた廃プラスチック混合物は、リサイクル装置のスペックに適合するように、少なくとも、廃プラスチック混合物中のポリプロピレン系プラスチック及びポリエチレン系プラスチックの合計の含有量が調整される。
【0067】
前述の実施形態で用いるポリプロピレン系プラスチック及びポリエチレン系プラスチックについて説明する。
ポリプロピレン系プラスチックとは、ポリプロピレン系重合体を主成分とするプラスチックであり、ポリエチレン系プラスチックとは、ポリエチレン系重合体を主成分とするプラスチックである。
主成分とは、それぞれのプラスチックを構成する成分のうち、最も割合が大きい成分のことを意味する。例えば、ポリプロピレン系重合体を主成分とするプラスチックの場合の主成分とは、当該プラスチックの全量に対し、50質量%以上がポリプロピレン系重合体であることを意味し、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
ポリプロピレン系重合体としては、例えば、プロピレン単独重合体、及びプロピレンと他のモノマーとの共重合体(例えばプロピレン-オレフィン共重合体など)が挙げられる。
ポリエチレン系重合体としては、例えば、エチレン単独重合体(例えば、低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンなど)、及びエチレンと他のモノマーとの共重合体(例えば、ABS樹脂及びエチレン-オレフィン共重合体など)が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係る廃プラスチック混合物の製造方法は、多種の廃プラスチックを同一のリサイクル装置で熱分解できるので産業上の利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0069】
ST-1,ST-10,ST-11…第1分類工程、ST-2,ST-20,ST-21,ST-2X…第2分類工程、ST-30,ST-31…第3分類工程、ST-M,ST-M1,ST-M2,ST-MX…混合工程。


図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4