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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142124
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】高周波半導体スイッチ回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/693 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H03K17/693 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054144
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099818
【弁理士】
【氏名又は名称】安孫子 勉
(72)【発明者】
【氏名】村越 康則
【テーマコード(参考)】
5J055
【Fターム(参考)】
5J055AX12
5J055AX28
5J055BX03
5J055BX04
5J055CX03
5J055CX24
5J055DX22
5J055DX83
5J055EX02
5J055EY01
5J055EY10
5J055EY21
5J055EZ12
5J055EZ13
5J055EZ22
5J055GX01
5J055GX06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】低い制御信号電圧であっても、低損失、高アイソレーション特性を維持可能とする高周波半導体スイッチ回路を提供する。
【解決手段】高周波半導体スイッチ回路には、第1の制御信号VCTL1及び第2の制御信号VCTL2を基に、第1のRFFET1及び第2のRFFET2のドレイン、ソースに対するバイアス電圧を生成し出力するバイアス電圧生成回路50が設けられ、第1の制御信号及び第2の制御信号の組み合わせに応じて、第1のRFFET及び第2のRFFET、第1のSHFET11及び第2のSHFET12の動作制御がなされて、高周波入出力共通端子40と第1の高周波入出力個別端子41及び第2の高周波入出力個別端子42間の導通、非導通を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波入出力共通端子と第1の高周波入出力個別端子との間に高周波スイッチ用第1の電界効果トランジスタが、前記高周波入出力共通端子と第2の高周波入出力個別端子との間に高周波スイッチ用第2の電界効果トランジスタが、それぞれ直列接続されて設けられる一方、
前記第1の高周波入出力個別端子とグランドとの間にシャント用第1の電界効果トランジスタが、前記第2の高周波入出力個別端子とグランドとの間にシャント用第2の電界効果トランジスタが、それぞれ直列接続されて設けられ、外部から入力される第1及び第2の制御信号により、前記高周波入出力共通端子と第1及び第2の高周波入出力個別端子との間の導通、非導通を制御可能に構成されてなる高周波半導体スイッチ回路において、
前記第1及び第2の制御信号を基に、前記高周波スイッチ用第1及び第2の電界効果トランジスタのドレイン、ソースに対するバイアス電圧を生成、出力するバイアス電圧生成回路と、
前記第1の制御信号が入力されると共に、前記第2の制御信号が電源電圧として入力されて、前記第1の制御信号の反転信号を出力する第1のインバータと、
前記第2の制御信号が入力されると共に、前記第1の制御信号が電源電圧として入力されて、前記第2の制御信号の反転信号を出力する第2のインバータとが設けられ、
前記高周波スイッチ用第1の電界効果トランジスタのゲートには、前記第1のインバータの出力が、前記高周波スイッチ用第2の電界効果トランジスタのゲートには、前記第2のインバータの出力が、それぞれ印加され、
前記シャント用第1の電界効果トランジスタのゲートには、前記第1の制御信号が、前記シャント用第2の電界効果トランジスタのゲートには、前記第2の制御信号が、それぞれ印加され、
前記第1及び第2の制御信号の組み合わせに応じて、前記高周波入出力共通端子と第1及び第2の高周波入出力個別端子との間の導通、非導通が制御可能に構成されてなることを特徴とする高周波半導体スイッチ回路。
【請求項2】
前記高周波スイッチ用第1及び第2の電界効果トランジスタには、ノーマリオン形の電界効果トランジスタが、前記シャント用第1及び第2の電界効果トランジスタには、ノーマリオフ形の電界効果トランジスタが、それぞれ用いられてなることを特徴とする請求項1記載の高周波半導体スイッチ回路。
【請求項3】
高周波入出力共通端子と第1の高周波入出力個別端子との間に高周波スイッチ用第1の電界効果トランジスタが、前記高周波入出力共通端子と第2の高周波入出力個別端子との間に高周波スイッチ用第2の電界効果トランジスタが、それぞれ直列接続されて設けられる一方、
前記第1の高周波入出力個別端子とグランドとの間にシャント用第1の電界効果トランジスタが、前記第2の高周波入出力個別端子とグランドとの間にシャント用第2の電界効果トランジスタが、それぞれ直列接続されて設けられ、外部から入力される第1及び第2の制御信号により、前記高周波入出力共通端子と第1及び第2の高周波入出力個別端子との間の導通、非導通を制御可能に構成されてなる高周波半導体スイッチ回路において、
前記第1及び第2の制御信号を基に、前記高周波スイッチ用第1及び第2の電界効果トランジスタのドレイン、ソースに対するバイアス電圧を生成、出力するバイアス電圧生成回路と、
前記第1の制御信号が入力されると共に、前記第2の制御信号が電源電圧として入力されて、前記第1の制御信号の反転信号を出力する第1のインバータと、
前記第2の制御信号が入力されると共に、前記第1の制御信号が電源電圧として入力されて、前記第2の制御信号の反転信号を出力する第2のインバータとが設けられ、
前記高周波スイッチ用第1の電界効果トランジスタのゲートには、前記第1の制御信号が、前記高周波スイッチ用第2の電界効果トランジスタのゲートには、前記第2の制御信号が、それぞれ印加され、
前記シャント用第1の電界効果トランジスタのゲートには、前記第1のインバータの出力が、前記シャント用第2の電界効果トランジスタのゲートには、前記第2のインバータの出力が、それぞれ印加され、
前記第1及び第2の制御信号の組み合わせに応じて、前記高周波入出力共通端子と第1及び第2の高周波入出力個別端子との間の導通、非導通が制御可能に構成されてなることを特徴とする高周波半導体スイッチ回路。
【請求項4】
前記高周波スイッチ用第1及び第2の電界効果トランジスタには、ノーマリオフ形の電界効果トランジスタが、前記シャント用第1及び第2の電界効果トランジスタには、ノーマリオン形の電界効果トランジスタが、それぞれ用いられてなることを特徴とする請求項3記載の高周波半導体スイッチ回路。
【請求項5】
シャント用第3及び第4の電界効果トランジスタが直列接続されて設けられ、
前記シャント用第3の電界効果トランジスタのドレインは、前記高周波スイッチ用第1及び第2の電界効果トランジスタと前記高周波入出力共通端子との相互の接続点に接続され、前記シャント用第3の電界効果トランジスタのソースと前記シャント用第4の電界効果トランジスタのドレインは相互に接続され、前記シャント用第4の電界効果トランジスタのソースは、グランドに接続される一方、
前記シャント用第3の電界効果トランジスタのゲートには、前記第1の制御信号が、前記シャント用第4の電界効果トランジスタのゲートには、前記第2の制御信号が、それぞれ印加されてなることを特徴とする請求項1記載の高周波半導体スイッチ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信機器に用いられる高周波半導体スイッチ回路に係り、特に、低消費電力、低制御電圧における低損失、高アイソレーション特性の実現を図ったものに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の高周波半導体スイッチ回路としては、例えば、図15に示されたような構成を有するものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。
以下、図15を参照しつつ、かかる従来回路について説明する。
この従来回路は、電界効果トランジスタ(以下、説明の便宜上、「FET」と称する)を用いて、高周波入出力共通端子TCと第1及び第2の高周波入出力個別端子間T1,T2における選択的な開閉成を可能に構成されたスイッチ回路である。
【0003】
すなわち、高周波入出力共通端子TCと第1の高周波入出力個別端子T1の間には、第1の高周波スイッチ用FET(図15においては「SW1A」と表記)61が、高周波入出力共通端子TCと第2の高周波入出力個別端子T2の間には、第2の高周波スイッチ用FET(図15においては「SW2A」と表記)62が、それぞれ直列接続されて設けられている。
また、第1の高周波入出力個別端子T1とグランドとの間には、第1のシャント用FET(図15においては「SW1B」と表記)63が、第2の高周波入出力個別端子T2とグランドとの間には、第2のシャント用FET(図15においては「SW2B」と表記)64が、それぞれ設けられている。
【0004】
かかる従来回路においては、第1及び第2の高周波スイッチ用FET61,62、並びに、第1及び第2のシャント用FET63,64の動作制御のために外部から入力される2つの制御信号VCTL1,VCTL2を基に、回路駆動に必要な電源電圧などの補助電圧を生成する補助電圧生成回路SV-GENが設けられている。
すなわち、補助電圧生成回路SV-GENは、制御信号VCTL1,VCTL2を基に、2つのインバータINV1,INV2に対する補助電源電圧VREGを生成、出力すると共に、第1及び第2の高周波スイッチ用FET61,62と高周波入出力共通端子TCとの接続点に供給される補助バイアス電圧VBIASを生成、出力可能に構成されている。
【0005】
かかる構成において、スイッチ切り替え動作は、良く知られているように制御信号VCTL1,VCTL2のそれぞれの論理の組み合わせによって行われるようになっている。
例えば、高周波入出力共通端子TCと第1の高周波入出力個別端子T1を導通状態とする場合、第1の高周波スイッチ用FET61をオン状態、第2の高周波スイッチ用FET62をオフ状態とすると共に、第1のシャント用FET63をオフ状態、第2のシャント用FET64をオン状態とするように、第1の制御信号VCTL1を論理値Lowに相当する電圧(例えば、0V)に設定する一方、第2の制御信号VCTL2を論理値Highに相当する電圧(例えば、3.3V)に設定する。
【0006】
その結果、第1の高周波スイッチ用FET61を介して高周波入出力共通端子TCと第1の高周波入出力個別端子T1が導通状態となる一方、第2の高周波スイッチ用FET62がオフ状態となる。また、同時に、第2のシャント用FET64がオン状態となり第2の高周波入出力個別端子T2が接地されて、第2の高周波スイッチ用FET62から漏れた高周波信号が反射されるため、第2の高周波入出力個別端子T2における信号が抑圧され、高アイソレーションが確保される。
【0007】
図18には、制御信号VCTL1,VCTL2の論理の組み合わせに対する、高周波入出力共通端子の接続先と、各FETの動作状態を纏めた説明図が示されており、上述の動作は、図18に示された表の(2)の場合に相当する。
なお、他の制御信号VCTL1,VCTL2の論理の組み合わせに対する動作については、上述した動作に準じて説明できるもので、良く知られている動作であるので、ここでの詳細な説明を省略する。
【0008】
ところで、上述のような従来回路における回路動作に必要とされる補助電圧生成回路において、先の補助電源電圧VREGや補助バイアス電圧VBIASは、制御信号VCTL1,VCTL2のいずれかの論理値Highに相当する電圧を基に生成する必要があるが、回路を実現するためには、例えば、ダイオードやソースフォロアを用いた回路構成が採られることが多い。
図16には、補助電源電圧VREGを生成する生成回路の回路構成例が、図17には、補助バイアス電圧VBIASを生成する生成回路の回路構成例が、それぞれ示されており、以下、これらの図を参照しつつ、それぞれの回路について説明する。
【0009】
最初に、図16に例示された補助電源電圧VREGの生成回路は、各々の制御信号VCTL1,VCTL2と補助電源電圧VREGの出力側との間に、それぞれ一つのダイオードが設けられると共に、補助電源電圧VREGの出力側とグランドとの間に、2つのダイオードが直列接続されて設けられた構成となっている。
かかる構成においては、制御信号VCTL1,VCTL2のいずれか、又は、双方が論理値Highに相当する電圧(例えば3.3V)となった場合、この電圧から、ダイオードのオン電圧(例えばVf=0.8V)分だけ電圧降下した電圧(例えば2.5V)が補助電源電圧VREGとして得られるものとなっている。
【0010】
次に、図17に例示された補助バイアス電圧VBIASの生成回路は、各々の制御信号VCTL1,VCTL2とグランドとの間に、それぞれ3つのダイオードが直列接続されて設けられると共に、制御信号VCTL1,VCTL2が印加されるダイオードに対して、ソースフォロアのFETが、それぞれ設けられた構成となっている。
【0011】
かかる構成においては、制御信号VCTL1,VCTL2のいずれか、又は、双方が論理値Highに相当する電圧(例えば3.3V)となった場合、ダイオードのオン電圧(Vf=0.8V)とFETのしきい値電圧(例えばVth=0.7V)分だけ電圧降下した電圧(例えば1.8V)が補助バイアス電圧VBIASとして得られるようになっている。
【0012】
図19には、上述した従来回路におけるバイアス電圧を説明する説明図が示されており、以下、その内容について説明する。
第1及び第2の高周波スイッチ用FET61,62は、オン状態の場合、上述した補助バイアス電圧VBIASと、インバータINV1,INV2から出力される論理値HIghに相当する電圧、すなわち上述した補助電源電圧VREGとの差分の電圧VREG-VBIAS(例えば0.7V)が、ゲート・ソース間に供給される(図19参照)。なお、図19において、「オンスイッチ」は、オン状態のFETを、「オフスイッチ」は、オフ状態のFETを、それぞれ意味するものとする。
【0013】
一方、第1及び第2の高周波スイッチ用FET61,62は、オフ状態の場合、補助バイアス電圧VBIASと、インバータINV1,INV2から出力される論理値Lowに相当する電圧、すなわちグランドレベルGNDとの差分の電圧GND-VBIAS(例えば-1.8V)が、ゲート・ソース間に供給される(図19参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特許第5330560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、従来回路における上述のような補助電圧生成回路にあっては、ダイオードやソースフォロアに起因する電圧降下の発生が回避できないため、スイッチFETの性能劣化が生じてしまうという問題がある。
とりわけ、近時においては、制御信号電圧として、1.8Vといった低い電圧が多用される傾向にあり、その場合、先の補助電源電圧VREGが低下するため、スイッチFETの特性劣化がより顕著となってしまう。
【0016】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、低い制御信号電圧であっても、低損失、高アイソレーション特性を維持可能とした高周波半導体スイッチ回路を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記本発明の目的を達成するため、本発明に係る高周波半導体スイッチ回路は、
高周波入出力共通端子と第1の高周波入出力個別端子との間に高周波スイッチ用第1の電界効果トランジスタが、前記高周波入出力共通端子と第2の高周波入出力個別端子との間に高周波スイッチ用第2の電界効果トランジスタが、それぞれ直列接続されて設けられる一方、
前記第1の高周波入出力個別端子とグランドとの間にシャント用第1の電界効果トランジスタが、前記第2の高周波入出力個別端子とグランドとの間にシャント用第2の電界効果トランジスタが、それぞれ直列接続されて設けられ、外部から入力される第1及び第2の制御信号により、前記高周波入出力共通端子と第1及び第2の高周波入出力個別端子との間の導通、非導通を制御可能に構成されてなる高周波半導体スイッチ回路において、
前記第1及び第2の制御信号を基に、前記高周波スイッチ用第1及び第2の電界効果トランジスタのドレイン、ソースに対するバイアス電圧を生成、出力するバイアス電圧生成回路と、
前記第1の制御信号が入力されると共に、前記第2の制御信号が電源電圧として入力されて、前記第1の制御信号の反転信号を出力する第1のインバータと、
前記第2の制御信号が入力されると共に、前記第1の制御信号が電源電圧として入力されて、前記第2の制御信号の反転信号を出力する第2のインバータとが設けられ、
前記高周波スイッチ用第1の電界効果トランジスタのゲートには、前記第1のインバータの出力が、前記高周波スイッチ用第2の電界効果トランジスタのゲートには、前記第2のインバータの出力が、それぞれ印加され、
前記シャント用第1の電界効果トランジスタのゲートには、前記第1の制御信号が、前記シャント用第2の電界効果トランジスタのゲートには、前記第2の制御信号が、それぞれ印加され、
前記第1及び第2の制御信号の組み合わせに応じて、前記高周波入出力共通端子と第1及び第2の高周波入出力個別端子との間の導通、非導通が制御可能に構成されてなるものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、制御信号の反転を行うインバータの電源電圧として、制御信号を用いるように構成し、高周波スイッチ用第1及び第2の電界効果トランジスタのオン・オフを制御できるようにする一方、制御信号を基に電界効果トランジスタのバイアス電圧を生成するよう構成することで、従来と異なり、インバータの電源電圧を生成するためのダイオードやソースフォロアを用いる必要がなくなり、これらの使用による電圧降下の影響を確実に回避できるため、低い制御電圧でも挿入損失やアイソレーション特性を劣化させることがなく、外部電源の供給を要することなく、2つの制御信号を用いて高周波入出力共通端子と第1及び第2の高周波入出力個別端子との間の導通、非導通を制御可能な高周波半導体スイッチ回路を提供することができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態における高周波半導体スイッチ回路の第1の回路構成例を示す回路図である。
図2図1に示された第1の回路構成例において用いられるインバータの回路構成例を示す回路図である。
図3図1に示された第1の回路構成例において用いられるバイアス電圧生成回路の回路構成例を示す回路図である。
図4図1に示された第1の回路構成例の回路動作を説明する説明図である。
図5図1に示された第1の回路構成例におけるFETのバイアス電圧を説明する説明図である。
図6図1に示された第1の回路構成例の入力周波数に対する挿入損失の変化特性例を示す特性線図である。
図7図1に示された第1の回路構成例の入力周波数に対するアイソレーションの変化特性例を示す特性線図である。
図8】本発明の実施の形態における高周波半導体スイッチ回路の第2の回路構成例を示す回路図である。
図9図8に示された第2の回路構成例の回路動作を説明する説明図である。
図10】本発明の実施の形態における高周波半導体スイッチ回路の第3の回路構成例を示す回路図である。
図11図10に示された第3の回路構成例の回路動作を説明する説明図である。
図12】本発明の実施の形態における高周波半導体スイッチ回路の第4の回路構成例を示す回路図である。
図13図12に示された第4の回路構成例の入力周波数に対するアイソレーションの変化特性例を示す特性線図である。
図14図12に示された第4の回路構成例の回路動作を説明する説明図である。
図15】従来の高周波半導体スイッチ回路の一回路構成例を示す回路図である。
図16図15に示された従来回路に用いられる補助電圧生成回路において補助電源電圧VREGを生成する生成回路の回路構成例を示す回路図である。
図17図15に示された従来回路に用いられる補助電圧生成回路において補助バイアス電圧VBIASを生成する生成回路の回路構成例を示す回路図である。
図18図15に示された従来回路の回路動作を説明する説明図である。
図19図15に示された従来回路におけるFETのバイアス電圧を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図14を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態における高周波半導体スイッチ回路の第1の回路構成例について、図1を参照しつつ説明する。なお、以下の説明においては、電界効果トランジスタを、説明の便宜上「FET」と称する。
第1の回路構成例における高周波半導体スイッチ回路は、高周波スイッチ用第1及び第2のFET(図1においては、それぞれ「SW1A」、「SW2A」と表記)1,2と、シャント用第1及び第2のFET(図1においては、それぞれ「SW1B」、「SW2B」と表記)11,12と、第1及び第2のインバータ(図1においては、それぞれ「INV1」、「INV2」と表記)5,6と、バイアス電圧生成回路(図1においては「V-GEN」と表記)50とを主たる構成要素として構成されたものとなっている。
【0021】
かかる高周波半導体スイッチ回路は、高周波入出力共通端子(図1においては「RFC」と表記)40と第1及び第2の高周波入出力個別端子(図1においては、それぞれ「RF1」、「RF2」と表記)41,42との間の接続状態を、後述するように第1及び第2の制御信号VCTL1,VCTL2の論理の組み合わせに応じて複数に切り替え可能に構成されてなるものである。
【0022】
以下、具体的な回路構成ついて説明する。
まず、この第1の回路構成例において、高周波スイッチ用第1及び第2のFET(以下、説明の便宜上、それぞれ「第1のRFFET」、「第2のRFFET」と称する)1,2、並びに、シャント用第1及び第2のFET(以下、説明の便宜上、それぞれ「第1のSHFET」、「第2のSHFET」と称する)11,12には、ノーマリオン形FETが用いられている。
第1のRFFET1のドレイン及び第1のSHFET11のドレインは、共に第1のDCカットコンデンサ21を介して第1の高周波入出力個別端子41に接続されている。
【0023】
また、第1のRFFET1のソースは、第2のRFFET2のソースと共に、第3のDCカットコンデンサ23を介して高周波入出力共通端子40に接続されている。
そして、第2のRFFET2のドレインは、第2のDCカットコンデンサ22を介して第2の高周波入出力個別端子42に接続されている。
さらに、第1のSHFET11のソースは、第4のDCカットコンデンサ24を介して、第2のSHFET12のソースは、第5のDCカットコンデンサ25を介して、共にグランドに接続されている。
【0024】
また、バイアス電圧生成回路50には、第1の制御端子43を介して第1の制御信号VCTL1が、第2の制御端子44を介して第2の制御信号VCTL2が、それぞれ入力されるようになっている。
バイアス電圧生成回路50は、これら第1及び第2の制御信号VCTL1,VCTL2を基に、後述するようにバイアス電圧を生成し、バイアス調整抵抗器30を介して第1及び第2のRFFET1,2のソース同士の接続点に印加されるようになっている。
【0025】
また、第1の制御端子43は、第2のインバータ6の電源端子、及び、第1のインバータ5の入力段に、それぞれ接続されると共に、シャント用第1のゲート抵抗器33を介して第1のSHFET11のゲートに接続されており、これらに第1の制御信号VCTL1が印加されるようになっている。
また、第2の制御端子44は、第1のインバータ5の電源端子、及び、第2のインバータ6の入力段に、それぞれ接続されると共に、シャント用第2のゲート抵抗器34を介して第2のSHFET12のゲートに接続されており、これらに第2の制御信号VCTL2が印加されるようになっている。
【0026】
一方、第1のインバータ5の出力端子は、スイッチ用第1のゲート抵抗器31を介して第1のRFFET1のゲートに、第2のインバータ6の出力端子は、スイッチ用第2のゲート抵抗器32を介して第2のRFFET2のゲートに、それぞれ接続されている。
【0027】
図2には、第1及び第2のインバータ5,6を構成する基本的な回路構成例が示されており、以下、同図を参照しつつ、その回路構成例について説明する。
この回路構成例において、第1及び第2のインバータ5,6は、いわゆるCMOSインバータ回路により構成されたものとなっている。
すなわち、第1及び第2のインバータ5,6は、P型MOSトランジスタ15とN型MOSトランジスタ16を用いて、次述するように構成されている。
まず、P型MOSトランジスタ15のゲートとN型MOSトランジスタ16のゲートは、相互に接続されて入力段を構成し、第1の制御信号VCTL1又は第2の制御信号VCTL2が印加されるようになっている。
【0028】
また、P型MOSトランジスタ15のソースには、電源電圧が印加される一方、N型MOSトランジスタ16のソースは、グランドに接続されている。
さらに、P型MOSトランジスタ15のドレインとN型MOSトランジスタ16のドレインとが接続されて出力段を構成し、入力信号の論理を反転した信号が出力されるようになっている。
【0029】
次に、図3には、バイアス電圧生成回路50の具体的な回路構成例が示されており、以下、同図を参照しつつ、その回路構成例について説明する。
この回路構成例において、バイアス電圧生成回路50は、電圧生成回路用第1及び第2のFET51,52を主たる構成要素として構成されたものとなっている。
まず、この回路構成例において、電圧生成回路用第1及び第2のFET51,52には、ノーマリオフ形FETが用いられている。
【0030】
この電圧生成回路用第1及び第2のFET51,52は、それぞれ、ドレインとゲートが接続されて、いわゆるダイオード接続状態に設けられており、電圧生成回路用第1のFET51のドレインには第1の制御信号VCTL1が、電圧生成回路用第2のFET52のドレインには第2の制御信号VCTL2が、それぞれ印加されるようになっている。
【0031】
また、電圧生成回路用第1のFET51のソースには、電圧生成回路用第1の抵抗器55の一端が、電圧生成回路用第2のFET52のソースには、電圧生成回路用第2の抵抗器56の一端が、それぞれ接続されている。
一方、電圧生成回路用第1及び第2の抵抗器55,56の他端は、相互に接続されると共に、電圧生成回路用第3の抵抗器57を介してグランドに接続されている。
そして、上述した電圧生成回路用第1及び第2の抵抗器55,56の他端と電圧生成回路用第3の抵抗器57との接続点は出力段として、後述するバイアス電圧VBIASが出力されるようになっている。
【0032】
次に、上記回路構成における回路動作について説明する。
最初に、第1の制御信号VCTL1が論理値Highに相当するハイ論理電圧VH(例えば、3.3V)、第2の制御信号VCTL2が論理値Lowに相当するロー論理電圧VL(例えば、0.0V)となった場合の回路動作について説明する。
まず、第1の制御信号VCTL1のハイ論理電圧VHにより、第1のSHFET11のゲートが直接充電される。
また、第2の制御信号VCTL2のロー論理電圧VLにより、第2のSHFET12のゲートが直接充電される。
【0033】
また、バイアス電圧生成回路50により、第1及び第2のRFFET1,2のドレイン、ソースは、バイアス電圧VBIASとなるようバイアスされる。
さらに、第1のインバータ5は、第1の制御信号VCTL1のハイ論理電圧VHが入力される一方、電源端子には第2の制御信号VCTL2のロー論理電圧VLが入力される。
先に述べたように、インバータ5,6を構成するN型MOSトランジスタ(図2参照)のしきい値電圧Vth以上であれば、N型MOSトランジスタがオン状態となるため、第2の制御信号VCTL2はロー論理電圧VLであるが、第1のインバータ5の出力電圧は、ロー論理電圧VL(例えば、0.0V)となって、第1のRFFET1のゲートを充電する。
【0034】
また、第2のインバータ6は、第2の制御信号VCTL2のロー論理電圧VLが入力される一方、電源端子には第1の制御信号VCTL1のハイ論理電圧VHが入力される。
このため、第2のインバータ6の出力電圧は、ハイ論理電圧VHとなって、第2のRFFET2のゲートを充電する。
【0035】
ここで、第1のRFFET1のゲート・ソース間電圧は、図5に示されたように、ゲート電圧がロー論理電圧VL(0.0V)、ソース電圧がバイアス電圧VBIAS(1.8V)なので、VL-VBIAS(-1.8V)<Vthとなり、第1のRFFET1はオフ状態となる。
一方、第2のRFFET2のゲート・ソース間電圧は、図5に示されたように、ゲート電圧がハイ論理電圧VH(3.3V)、ソース電圧がバイアス電圧VBIAS(1.8V)なので、VH-VBIAS(1.5V)>Vthとなり、第2のRFFET2はオン状態になる。
なお、図5において、「オンスイッチ」は、オン状態のFETを、「オフスイッチ」は、オフ状態のFETを、それぞれ意味するものとする。
【0036】
また、第1のSHFET11のゲート・ソース間電圧は、図5に示されたように、ゲート電圧がハイ論理電圧VH(3.3V)、ソース電圧がバイアス電圧VBIAS(1.8V)なので、VH-VBIAS(1.5V)>Vthとなり、第1のSHFET11はオン状態になる。
さらに、第2のSHFET12のゲート・ソース間電圧は、図5に示されたように、ゲート電圧がロー論理電圧VL(0.0V)、ソース電圧がバイアス電圧VBIAS(1.8V)なので、VL-VBIAS(-1.8V)<Vthとなり、第2のSHFET12はオフ状態になる。
【0037】
したがって、第1の制御信号VCTL1が論理値Highに相当するハイ論理電圧VH、第2の制御信号VCTL2が論理値Lowに相当するロー論理電圧VLとなった場合、高周波入出力共通端子40は、第1の高周波入出力個別端子41から分離され、第2の高周波入出力個別端子42に接続されることとなる。
図4には、第1の回路構成例の高周波半導体スイッチ回路における主要部の動作状態等を説明する説明図が示されており、同図の(1)の列は、上述のように第1の制御信号VCTL1が論理値Highに相当するハイ論理電圧VH、第2の制御信号VCTL2が論理値Lowに相当するロー論理電圧VLとなった場合における、回路主要部の動作状態等を表している。
【0038】
次に、第1の制御信号VCTL1が論理値Lowに相当するロー論理電圧VL(例えば、0.0V)、第2の制御信号VCTL2が論理値Highに相当するハイ論理電圧VH(例えば、3.3V)となった場合の回路動作について説明する(図4(2)参照)。
まず、第1の制御信号VCTL1のロー論理電圧VLにより、第1のSHFET11のゲートが直接充電され、また、第2の制御信号VCTL2のハイ論理電圧VHにより、第2のSHFET12のゲートが直接充電される。
【0039】
また、バイアス電圧生成回路50により、第1及び第2のRFFET1,2のドレイン、ソースは、バイアス電圧VBIASとなるようバイアスされる。
さらに、第1のインバータ5は、第1の制御信号VCTL1のロー論理電圧VLが入力される一方、電源端子には第2の制御信号VCTL2のハイ論理電圧VHが入力される。このため、第1のインバータ5の出力電圧は、ハイ論理電圧VHとなって、第1のRFFET1のゲートを充電する。
【0040】
また、第2のインバータ6は、第2の制御信号VCTL2のハイ論理電圧VHが入力される一方、電源端子には第1の制御信号VCTL1のロー論理電圧VLが入力される。先に述べたように、インバータ5,6を構成するN型MOSトランジスタ(図2参照)のしきい値電圧Vth以上であれば、N型MOSトランジスタがオン状態となるため、第2のインバータ6の出力電圧は、ロー論理電圧VL(例えば、0.0V)となって、第2のRFFET2のゲートを充電する。
【0041】
ここで、第1のRFFET1のゲート・ソース間電圧は、図5に示されたように、ゲート電圧がハイ論理電圧VH(3.3V)、ソース電圧がバイアス電圧VBIAS(1.8V)なので、VH-VBIAS(1.5V)>Vthとなり、第1のRFFET1はオン状態となる。
また、第2のRFFET2のゲート・ソース間電圧は、図5に示されたように、ゲート電圧がロー論理電圧VL(0.0V)、ソース電圧がバイアス電圧VBIAS(1.8V)なので、VL-VBIAS(-1.8V)<Vthとなり、第2のRFFET2はオフ状態となる。
【0042】
一方、第1のSHFET11のゲート・ソース間電圧は、図5に示されたように、ゲート電圧がロー論理電圧VL(0.0V)、ソース電圧がバイアス電圧VBIAS(1.8V)なので、VL-VBIAS(-1.8V)<Vthとなり、第1のSHFET11はオフ状態になる。
また、第2のSHFET12のゲート・ソース間電圧は、図5に示されたように、ゲート電圧がハイ論理電圧VH(3.3V)、ソース電圧がバイアス電圧VBIAS(1.8V)なので、VH-VBIAS(1.5V)>Vthとなり、第2のSHFET12はオン状態になる。
【0043】
したがって、第1の制御信号VCTL1がロー論理電圧VL、第2の制御信号VCTL2がハイ論理電圧VHとなった場合、高周波入出力共通端子40は第1の高周波入出力個別端子41に接続され、高周波入出力共通端子40と第1の高周波入出力個別端子41間が導通状態となる。一方、高周波入出力共通端子40は第2の高周波入出力個別端子42から分離されることとなる。すなわち、換言すれば、高周波入出力共通端子40と第2の高周波入出力個別端子42間は、非導通状態となる。
なお、第1の制御信号VCTL1が論理値Low、第2の制御信号VCTL2が論理値Highの場合の、上述した回路動作における主要部の動作状態等を纏めたものが図4(2)に示されている。
【0044】
最後に、第1及び第2の制御信号VCTL1,VCTL2が共に、論理値Highに相当するハイ論理電圧VH(例えば、3.3V)となった場合の回路動作について説明する(図4(3)参照)。
まず、第1の制御信号VCTL1のハイ論理電圧VHにより、第1のSHFET11のゲートが直接充電される。
また、バイアス電圧生成回路50により、第1及び第2のRFFET1,2のドレイン、ソースがバイアス電圧VBIASとなるようバイアスされる。
【0045】
さらに、第1の制御信号VCTL1のハイ論理電圧VHは、第1のインバータ5に入力される一方、この第1のインバータ5の電源端子には第2の制御信号VCTL2のハイ論理電圧VHが入力される。このため、第1のインバータ5の出力電圧は、ロー論理電圧VL(例えば、0.0V)となって、第1のRFFET1のゲートを充電する。
また、第2の制御信号VCTL2のハイ論理電圧VHにより、第2のSHFET12のゲートが直接充電される。
【0046】
またさらに、第2の制御信号VCTL2のハイ論理電圧VHは、第2のインバータ6に入力される一方、この第2のインバータ6の電源端子には第1の制御信号VCTL1のハイ論理電圧VHが入力される。このため、第2のインバータ6の出力電圧は、ロー論理電圧(例えば、0.0V)VLとなって、第2のRFFET2のゲートを充電する。
【0047】
ここで、第1のRFFET1のゲート・ソース間電圧は、図5に示されたように、ゲート電圧がロー論理電圧VL(0.0V)、ソース電圧がバイアス電圧VBIAS(1.8V)なので、VL-VBIAS(-1.8V)<Vthとなり、第1のRFFET1はオフ状態になる。
また、第2のRFFET2のゲート・ソース間電圧は、図5に示されたように、ゲート電圧がロー論理電圧VL(0.0V)、ソース電圧がバイアス電圧VBIAS(1.8V)なので、VL-VBIAS(-1.8V)<Vthとなり、第2のRFFET2はオフ状態になる。
【0048】
一方、第1のSHFET11のゲート・ソース間電圧は、図5に示されたように、ゲート電圧がハイ論理電圧VH(3.3V)、ソース電圧がバイアス電圧VBIAS(1.8V)なので、VH-VBIAS(1.5V)>Vthとなり、第1のSHFET11はオン状態になる。
また、第2のSHFET12のゲート・ソース間電圧は、図5に示されたように、ゲート電圧がハイ論理電圧VH(3.3V)、ソース電圧がバイアス電圧VBIAS(1.8V)なので、VH-VBIAS(1.5V)>Vthとなり、第2のSHFET12はオン状態になる。
【0049】
したがって、第1及び第2の制御信号VCTL1,VCTL2が、共にハイ論理電圧VHとなった場合、高周波入出力共通端子40は、第1の高周波入出力個別端子41から分離されると共に、第2の高周波入出力個別端子42からも分離されることとなる。
なお、第1及び第2の制御信号VCTL1,VCTL2が共に、論理値Highの場合の、上述した回路動作における主要部の動作状態等を纏めたものが図4(3)に示されている。
このように、第1の回路構成例における高周波半導体スイッチ回路は、外部から電源電圧の供給を要することなく、2つの制御信号VCTL1,VCTL2を制御することで、高周波入出力共通端子40と第1及び第2の高周波入出力個別端子41,42間における接続又は非接続状態、換言すれば、導通状態又は非導通状態(以下、説明の便宜上「スイッチ接続状態」と称する)を3通りに制御可能となっている。
【0050】
先に説明した従来回路(図15参照)においては、高周波スイッチ用第1及び第2のFET61,62、並びに、第1及び第2のシャント用FET63,64のオン状態のゲート・ソース間電圧の、補助電圧生成回路SV-GENによる電圧降下による低下(例えば、0.7V)が回避できなかった(図19参照)。
これに対して、本発明の実施の形態における高周波半導体スイッチ回路におけるゲート・ソース間電圧は、上述のように大きく確保でき(例えば、1.5V)、そのため、従来に比してスイッチの損失が抑制されるものとなっている。
【0051】
図6には、本発明の実施の形態における高周波半導体スイッチ回路の入力周波数変化に対する挿入損失特性を示す特性線図が示されており、以下、同図について説明する。
最初に、図6において、横軸は入力信号の周波数を、縦軸は挿入損失を、それぞれ示している。
【0052】
図6において、実線の特性線は、上述した第1の回路構成例における高周波半導体スイッチ回路の入力信号の周波数変化に対する挿入損失の変化特性を示す特性線である。
また、同図には、従来回路(図15参照)の同様な特性が点線の特性線で示されている。
両者を比較すれば、本発明の実施の形態における高周波半導体スイッチ回路においては、従来回路に比して挿入損失特性が大きく改善されていることが確認できる。
【0053】
図7には、本発明の実施の形態における高周波半導体スイッチ回路の入力周波数変化に対するアイソレーション特性を示す特性線図が示されており、以下、同図について説明する。
最初に、図7において、横軸は入力信号の周波数を、縦軸はアイソレーションを、それぞれ示している。
【0054】
図7において、実線の特性線は、上述した第1の回路構成例における高周波半導体スイッチ回路の入力信号の周波数変化に対するアイソレーションの変化特性を示す特性線である。
また、同図には、従来回路(図15参照)の同様な特性が点線の特性線で示されている。
両者を比較すれば、本発明の実施の形態における高周波半導体スイッチ回路においては、従来回路に比してアイソレーション特性は、ほぼ同等の特性であることが確認できる。つまり、本発明の実施の形態における高周波半導体スイッチ回路においては、アイソレーション特性を劣化させることなく、挿入損失特性を大きく改善することができる。
【0055】
次に、第2の回路構成例について、図8を参照しつつ説明する。
なお、図1に示された第1の回路構成例と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
最初に、この第2の回路構成例は、高周波スイッチ用第1及び第2のFET1,2にノーマリオン形FETを、シャント用第1及び第2のFET11,12にノーマリオフ形FETを、それぞれ用い、後述するように4通りのスイッチ動作状態を実現可能としたものである。
【0056】
この第2の回路構成例は、4つのスイッチ動作状態を実現するための回路動作は、後述するように第1の回路構成例の場合と異なる点があるものの、基本的な回路は、図1に示された第1の回路構成例と同一であるので、以下、異なる回路動作を中心に説明する。
この第2の回路構成例における4通りのスイッチ動作状態の内、3つは、第1の回路構成例で説明したスイッチ動作状態と同様であるので、以下、第1の回路構成例では設定されない、第1及び第2の制御信号VCTL1,VCTL2が共に論理値Lowである場合の回路動作について説明する。
【0057】
なお、図9には、先に第1の回路構成例で説明した図4の説明図と同様の図が示されており、同図(1)乃至(3)は、図4(1)乃至(3)と同一の内容である。
そして、図9(4)には、以下に説明する第1及び第2の制御信号VCTL1,VCTL2が、共に論理値Lowである場合の主要部の動作状態等が示されている。
以下、この場合の回路動作について具体的に説明する。
まず、第1及び第2の制御信号VCTL1,VCTL2が、共にロー論理電圧VL(0.0V)でるため、第1及び第2のRFFET1,2、並びに、第1及び第2のSHFET11,12のすべてのノードの電圧がロー論理電圧VL(0.0V)となる。
【0058】
したがって、ノーマリオフ形FETを用いた第1及び第2のSHFET11,12はオフ状態に、ノーマリオン形FETを用いた第1及び第2のRFFET1,2は、オン状態となる。
その結果、高周波入出力共通端子40は、第1の高周波入出力個別端子41に接続されると共に、第2の高周波入出力個別端子42にも接続されることとなる(図9(4)参照)。
このように、第2の回路構成例においては、外部から電源電圧の供給を要することなく、2つの制御信号VCTL1,VCTL2を制御することで、4通りのスイッチ接続状態を実現することが可能となっている。
【0059】
次に、第3の回路構成例について、図10に示された回路図及び図11に示された説明図を参照しつつ説明する。
ここで、図11は、この第3の回路構成例における主要部の動作状態等を説明する説明図であって、先に図9で説明したと同様な説明図である。
なお、図1に示された第1の回路構成例と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
【0060】
この第3の回路構成例は、まず、第1及び第2のRFFET1,2にノーマリオフ形FETを、第1及び第2のSHFET11,12にノーマリオン形FETを、それぞれ用いると共に、次述するように第1及び第2のインバータ5,6の出力先を、第2の回路構成例の場合と逆にした点が第2の回路構成例と異なるもので、他の回路構成については、第2の回路構成例と基本的に同様のものである。
【0061】
以下、具体的に説明すれば、まず、第1の制御端子43は、スイッチ用第1のゲート抵抗器31を介して第1のRFFET1のゲートに接続されると共に、第2のインバータ6の電源端子、及び、第1のインバータ5の入力段に接続されており、それぞれ第1の制御信号VTCL1が印加されるようになっている。
また、第2の制御端子44は、スイッチ用第2のゲート抵抗器32を介して第2のRFFET2のゲートに接続されると共に、第1のインバータ5の電源端子、及び、第2のインバータ6の入力段に接続されており、それぞれ第2の制御信号VTCL2が印加されるようになっている。
【0062】
また、第1のインバータ5の出力端子は、シャント用第1のゲート抵抗器33を介して第1のSHFET11のゲートに、第2のインバータ6の出力端子は、シャント用第2のゲート抵抗器34を介して第2のSHFET12のゲートに、それぞれ接続されている。
【0063】
この第3の回路構成例は、先に述べたように、第1及び第2のRFFET1,2にノーマリオフ形FETが、第1及び第2のSHFET11,12にノーマリオン形FETが、それぞれ用いられているが、これは、第2の回路構成例における使用トランジスタの種類を逆にしたものと捉えることができる。
すなわち、第2の回路構成例においては、第1及び第2のRFFET1,2にノーマリオン形FETが、第1及び第2のSHFET11,12にノーマリオフ形FETが、それぞれ用いられている。
そして、先に述べたように、この第3の回路構成例は、第1及び第2のインバータ5,6の出力先を、第2の回路構成例の場合と逆にした構成であるため、第1及び第2の制御信号VCTL1,VCTL2に対する回路動作は、次述するように第2の回路構成例と逆の関係となる。
【0064】
すなわち、まず、この第3の回路構成例において、第1の制御信号VCTL1が論理値High、第2の制御信号VCTL2が論理値Lowの場合の回路動作は、第2の回路構成例において、第1の制御信号VCTL1が論理値Low、第2の制御信号VCTL2が論理値Highの場合の回路動作と同一である(図9(2)及び図11(1)参照)。
また、この第3の回路構成例において、第1の制御信号VCTL1が論理値Low、第2の制御信号VCTL2が論理値Highの場合の回路動作は、第2の回路構成例において、第1の制御信号VCTL1が論理値High、第2の制御信号VCTL2が論理値Lowの場合の回路動作と同一である(図9(1)及び図11(2)参照)。
【0065】
さらに、この第3の回路構成例において、第1及び第2の制御信号VCTL1,VCTL2が共に論理値Highの場合の回路動作は、第2の回路構成例において、第1及び第2の制御信号VCTL1,VCTL2が共に論理値Lowの場合の回路動作と同一である(図9(4)及び図11(3)参照)。
またさらに、この第3の回路構成例において、第1及び第2の制御信号VCTL1,VCTL2が共に論理値Lowの場合の回路動作は、第2の回路構成例において、第1及び第2の制御信号VCTL1,VCTL2が共に論理値Highの場合の回路動作と同一である(図9(3)及び図11(4)参照)。
このように、第3の回路構成例は、第2の回路構成例同様、外部から電源電圧の供給を要することなく、2つの制御信号VCTL1,VCTL2を制御することで、4通りのスイッチ接続状態を実現することが可能となっている。
【0066】
次に、第4の回路構成例について、図12に示された回路図を参照しつつ説明する。
なお、図1に示された第1の回路構成例と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
この第4の回路構成例は、図1に示された第1の回路構成例に、さらに、第3及び第4のSHFET(図12においては、それぞれ「SW3B」、「SW4B」と表記)13,14が付加された構成を有するものである。
【0067】
以下、具体的に説明する。
まず、この第4の回路構成例において、第3及び第4のSHFET13,14には、ノーマリオン形FETが用いられている。
第3及び第4のSHFET13,14は、次述するように高周波入出力共通端子40とグランドとの間に直列接続されて設けられている。
すなわち、第3のSHFET13のドレインは、第1及び第2のRFFET1,2と第3のDCカットコンデンサ23との相互の接続点に接続され、そのソースは、第4のSHFET14のドレインに接続されている。そして、第4のSHFET14のソースは、第6のDCカットコンデンサ26を介してグランドに接続されている。
【0068】
また、第3のSHFET13のゲートは、シャント用第3のゲート抵抗器35を介して第1の制御端子43に、第4のSHFET14のゲートは、シャント用第4のゲート抵抗器36を介して第2の制御端子44に、それぞれ接続されている。
次に、上記回路構成における回路動作について、図14を参照しつつ説明する。
なお、図14は、この第4の回路構成例における主要部の動作状態等を説明する説明図であって、先に図4で説明したと同様な説明図である。
【0069】
最初に、第1の制御信号VCTL1が論理値Highに相当するハイ論理電圧VH(例えば、3.3V)、第2の制御信号VCTL2が論理値Lowに相当するロー論理電圧VL(例えば、0.0V)となった場合の回路動作について説明する。
【0070】
まず、第1の制御信号VCTL1のハイ論理電圧VHにより、第1及び第3のSHFET11,13のゲートが直接充電される。
また、第2の制御信号VCTL2のロー論理電圧VLにより、第2及び第4のSHFET12,14のゲートが直接充電される。
さらに、バイアス電圧生成回路50により、第1及び第2のRFFET1,2のドレイン、ソースは、バイアス電圧VBIASとなるようバイアスされる。
またさらに、第1のインバータ5は、第1の制御信号VCTL1のハイ論理電圧VHが入力される一方、電源端子には第2の制御信号VCTL2のロー論理電圧VLが入力される。
先に述べたように、インバータ5,6を構成するN型MOSトランジスタ(図2参照)のしきい値電圧Vth以上であれば、N型MOSトランジスタがオン状態となるため、第2の制御信号VCTL2はロー論理電圧VLであるが、第1のインバータ5の出力電圧は、ロー論理電圧VL(例えば、0.0V)となって、第1のRFFET1のゲートを充電する。
【0071】
また、第2のインバータ6は、第2の制御信号VCTL2のロー論理電圧VLが入力される一方、電源端子には第1の制御信号VCTL1のハイ論理電圧VHが入力される。
このため、第2のインバータ6の出力電圧は、ハイ論理電圧VHとなって、第2のRFFET2のゲートを充電する。
【0072】
ここで、第1のRFFET1のゲート・ソース間電圧は、図5に示されたように、ゲート電圧がロー論理電圧VL(0.0V)、ソース電圧がバイアス電圧VBIAS(1.8V)なので、VL-VBIAS(-1.8V)<Vthとなり、第1のRFFET1はオフ状態となる。
一方、第2のRFFET2のゲート・ソース間電圧は、図5に示されたように、ゲート電圧がハイ論理電圧VH(3.3V)、ソース電圧がバイアス電圧VBIAS(1.8V)なので、VH-VBIAS(1.5V)>Vthとなり、第2のRFFET2はオン状態になる。
【0073】
また、第1のSHFET11と第3のSHFET13の、それぞれのゲート・ソース間電圧は、図5に示されたように、ゲート電圧がハイ論理電圧VH(3.3V)、ソース電圧がバイアス電圧VBIAS(1.8V)なので、VH-VBIAS(1.5V)>Vthとなり、第1のSHFET11と第3のSHFET13は、共にオン状態になる。
さらに、第2のSHFET12と第4のSHFET14の、それぞれのゲート・ソース間電圧は、図5に示されたように、ゲート電圧がロー論理電圧VL(0.0V)、ソース電圧がバイアス電圧VBIAS(1.8V)なので、VL-VBIAS(-1.8V)<Vthとなり、第2のSHFET12と第4のSHFET14は、共にオフ状態になる。
【0074】
したがって、第1の制御信号VCTL1が論理値Highに相当するハイ論理電圧VH、第2の制御信号VCTL2が論理値Lowに相当するロー論理電圧VLとなった場合、高周波入出力共通端子40は、第1の高周波入出力個別端子41から分離され、第2の高周波入出力個別端子42に接続されることとなる(図14(1)参照)。なお、この場合、高周波入出力共通端子40に接続された第3のSHFET13がオン状態となるが、直列接続された第4のSHFET14がオフ状態であるため、高周波入出力共通端子40に大きな影響を与えることはない。
【0075】
次に、第1の制御信号VCTL1が論理値Lowに相当するロー論理電圧VL(例えば、0.0V)、第2の制御信号VCTL2が論理値Highに相当するハイ論理電圧VH(例えば、3.3V)となった場合の回路動作について説明する(図14(2)参照)。
まず、第1の制御信号VCTL1のロー論理電圧VLにより、第1のSHFET11のゲートと第3のSHFET13のゲートが直接充電され、また、第2の制御信号VCTL2のハイ論理電圧VHにより、第2のSHFET12のゲートと第4のSHFET14のゲートが直接充電される。
【0076】
また、バイアス電圧生成回路50により、第1及び第2のRFFET1,2のドレイン、ソースは、バイアス電圧VBIASとなるようバイアスされる。
さらに、第1のインバータ5は、第1の制御信号VCTL1のロー論理電圧VLが入力される一方、電源端子には第2の制御信号VCTL2のハイ論理電圧VHが入力される。このため、第1のインバータ5の出力電圧は、ハイ論理電圧VHとなって、第1のRFFET1のゲートを充電する。
【0077】
また、第2のインバータ6は、第2の制御信号VCTL2のハイ論理電圧VHが入力される一方、電源端子には第1の制御信号VCTL1のロー論理電圧VLが入力される。先に述べたように、インバータ5,6を構成するN型MOSトランジスタ(図2参照)のしきい値電圧Vth以上であれば、N型MOSトランジスタがオン状態となるため、第2のインバータ6の出力電圧は、ロー論理電圧VL(例えば、0.0V)となって、第2のRFFET2のゲートを充電する。
【0078】
ここで、第1のRFFET1のゲート・ソース間電圧は、図5に示されたように、ゲート電圧がハイ論理電圧VH(3.3V)、ソース電圧がバイアス電圧VBIAS(1.8V)なので、VH-VBIAS(1.5V)>Vthとなり、第1のRFFET1はオン状態となる。
また、第2のRFFET2のゲート・ソース間電圧は、図5に示されたように、ゲート電圧がロー論理電圧VL(0.0V)、ソース電圧がバイアス電圧VBIAS(1.8V)なので、VL-VBIAS(-1.8V)<Vthとなり、第2のRFFET2はオフ状態となる。
【0079】
一方、第1のSHFET11と第3のSHFET13の、それぞれのゲート・ソース間電圧は、図5に示されたように、ゲート電圧がロー論理電圧VL(0.0V)、ソース電圧がバイアス電圧VBIAS(1.8V)なので、VL-VBIAS(-1.8V)<Vthとなり、第1及び第3のSHFET11,13は、共にオフ状態になる。
また、第2のSHFET12と第4のSHFET14の、それぞれのゲート・ソース間電圧は、図5に示されたように、ゲート電圧がハイ論理電圧VH(3.3V)、ソース電圧がバイアス電圧VBIAS(1.8V)なので、VH-VBIAS(1.5V)>Vthとなり、第2及び第4のSHFET12,14は、共にオン状態になる。
【0080】
したがって、第1の制御信号VCTL1がロー論理電圧VL、第2の制御信号VCTL2がハイ論理電圧VHとなった場合、高周波入出力共通端子40は第1の高周波入出力個別端子41に接続され、第2の高周波入出力個別端子42から分離されることとなる。なお、この場合、高周波入出力共通端子40に接続された第4のSHFET14がオン状態となるが、直列接続された第3のSHFET13がオフ状態であるため、高周波入出力共通端子40に大きな影響を与えることはない。
【0081】
最後に、第1及び第2の制御信号VCTL1,VCTL2が共に、論理値Highに相当するハイ論理電圧VH(例えば、3.3V)となった場合の回路動作について説明する(図14(3)参照)。
まず、第1の制御信号VCTL1のハイ論理電圧VHにより、第1のSHFET11と第3のSHFET13の、それぞれのゲートが直接充電される。
また、バイアス電圧生成回路50により、第1及び第2のRFFET1,2のドレイン、ソースがバイアス電圧VBIASとなるようバイアスされる。
【0082】
さらに、第1の制御信号VCTL1のハイ論理電圧VHは、第1のインバータ5に入力される一方、この第1のインバータ5の電源端子には第2の制御信号VCTL2のハイ論理電圧VHが入力される。このため、第1のインバータ5の出力電圧は、ロー論理電圧VL(例えば、0.0V)となって、第1のRFFET1のゲートを充電する。
また、第2の制御信号VCTL2のハイ論理電圧VHにより、第2のSHFET12と第4のSHFET14の、それぞれのゲートが直接充電される。
【0083】
またさらに、第2の制御信号VCTL2のハイ論理電圧VHは、第2のインバータ6に入力される一方、この第2のインバータ6の電源端子には第1の制御信号VCTL1のハイ論理電圧VHが入力される。このため、第2のインバータ6の出力電圧は、ロー論理電圧VL(例えば、0.0V)となって、第2のRFFET2のゲートを充電する。
ここで、第1のRFFET1のゲート・ソース間電圧は、図5に示されたように、ゲート電圧がロー論理電圧VL(0.0V)、ソース電圧がバイアス電圧VBIAS(1.8V)なので、VL-VBIAS(-1.8V)<Vthとなり、第1のRFFET1はオフ状態となる。
【0084】
また、第2のRFFET2のゲート・ソース間電圧は、図5に示されたように、ゲート電圧がロー論理電圧VL(0.0V)、ソース電圧がバイアス電圧VBIAS(1.8V)なので、VL-VBIAS(-1.8V)<Vthとなり、第2のRFFET2はオフ状態になる。
【0085】
一方、第1のSHFET11と第3のSHFET13の、それぞれのゲート・ソース間電圧は、図5に示されたように、ゲート電圧がハイ論理電圧VH(3.3V)、ソース電圧がバイアス電圧VBIAS(1.8V)なので、VH-VBIAS(1.5V)>Vthとなり、第1及び第3のSHFET11,13は共にオン状態になる。
また、第2のSHFET12と第4のSHFET14の、それぞれのゲート・ソース間電圧は、図5に示されたように、ゲート電圧がハイ論理電圧VH(3.3V)、ソース電圧がバイアス電圧VBIAS(1.8V)なので、VH-VBIAS(1.5V)>Vthとなり、第2及び第4のSHFET12,14は共にオン状態になる。
【0086】
したがって、第1及び第2の制御信号VCTL1,VCTL2が、共にハイ論理電圧VHとなった場合、高周波入出力共通端子40は、第1及び第2の高周波入出力個別端子41,42の両方から分離されることとなる。さらに、高周波入出力共通端子40は、第3及び第4のSHFET13,14により、グランド電位となるため、高いアイソレーションが確保されることとなる。
図13には、この第4の回路構成例における高周波半導体スイッチ回路の入力周波数変化に対するアイソレーション特性を示す特性線図が示されており、以下、同図について説明する。
【0087】
図13において、横軸は入力信号の周波数を、縦軸はアイソレーションを、それぞれ示している。
また、同図において、実線の特性線は、上述した第4の回路構成例における高周波半導体スイッチ回路の入力信号の周波数変化に対するアイソレーションの変化特性を示す特性線である。また、同図には、第1の回路構成例(図1参照)の同様な特性が点線の特性線で示されている。
図14によれば、この第4の回路構成例の場合、第1の回路構成例に比して、10dB以上のアイソレーション改善が確保できることが確認できる。
このように、第4の回路構成例における高周波半導体スイッチ回路は、外部から電源電圧の供給を要することなく、2つの制御信号VCTL1,VCTL2を制御することで、高周波入出力共通端子40と第1及び第2の高周波入出力個別端子41,42間におけるスイッチ接続状態を3通りに制御することができ、しかも、高いアイソレーション特性が確保可能となっている。
【産業上の利用可能性】
【0088】
低い制御信号電圧にあっても、低損失、高アイソレーション特性が所望される高周波半導体スイッチ回路に適用できる。
【符号の説明】
【0089】
1…高周波スイッチ用第1の電界効果トランジスタ
2…高周波スイッチ用第2の電界効果トランジスタ
5…第1のインバータ
6…第2のインバータ
11…シャント用第1の電界効果トランジスタ
12…シャント用第2の電界効果トランジスタ
13…シャント用第3の電界効果トランジスタ
14…シャント用第4の電界効果トランジスタ
40…高周波入出力共通端子
41…第1の高周波入出力個別端子
42…第2の高周波入出力個別端子
43…第1の制御端子
44…第2の制御端子
50…バイアス電圧生成回路
図1
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