IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社NTTドコモの特許一覧 ▶ 国立大学法人岩手大学の特許一覧

特開2024-142211電波ホログラム通信方法及び電波ホログラム通信装置
<>
  • 特開-電波ホログラム通信方法及び電波ホログラム通信装置 図1
  • 特開-電波ホログラム通信方法及び電波ホログラム通信装置 図2
  • 特開-電波ホログラム通信方法及び電波ホログラム通信装置 図3
  • 特開-電波ホログラム通信方法及び電波ホログラム通信装置 図4
  • 特開-電波ホログラム通信方法及び電波ホログラム通信装置 図5
  • 特開-電波ホログラム通信方法及び電波ホログラム通信装置 図6
  • 特開-電波ホログラム通信方法及び電波ホログラム通信装置 図7
  • 特開-電波ホログラム通信方法及び電波ホログラム通信装置 図8
  • 特開-電波ホログラム通信方法及び電波ホログラム通信装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142211
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】電波ホログラム通信方法及び電波ホログラム通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/36 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H04L27/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054280
(22)【出願日】2023-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(71)【出願人】
【識別番号】504165591
【氏名又は名称】国立大学法人岩手大学
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100169797
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 恭宜
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 浩司
(72)【発明者】
【氏名】大坊 真洋
(57)【要約】
【課題】通信エリアの抑制しつつ通信用信号を電波ホログラムに重畳できる電波ホログラム通信方法及び電波ホログラム通信装置を提供する。
【解決手段】複数の基地局と複数の端末とは、電波ホログラムを用いて無線通信を実行する。基地局または端末の送信機は、伝送する信号の振幅成分と位相成分との少なくとも一方の成分を所定の範囲に制限して変調する変調方法を実行する。端末または基地局の受信機は、当該変調方法によって変調された信号を復調し、信号点を識別する復調方法を実行する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基地局と複数の端末とが電波ホログラムを用いて無線通信を実行する電波ホログラム通信方法であって、
前記基地局または前記端末の送信機が、伝送する信号の振幅成分と位相成分との少なくとも一方の成分を所定の範囲に制限して変調する変調方法を実行するステップと、
前記端末または前記基地局の受信機が、前記変調方法によって変調された前記信号を復調し、信号点を識別する復調方法を実行するステップと
を含む電波ホログラム通信方法。
【請求項2】
前記変調方法を実行するステップでは、前記送信機が前記振幅成分を一定値に設定する請求項1に記載の電波ホログラム通信方法。
【請求項3】
前記変調方法を実行するステップでは、前記送信機が前記振幅成分及び前記位相成分の少なくとも何れかを複数用いる請求項1に記載の電波ホログラム通信方法。
【請求項4】
前記変調方法を実行するステップでは、前記送信機が前記振幅成分を一定値に設定する請求項3に記載の電波ホログラム通信方法。
【請求項5】
電波ホログラムを用いて無線通信を実行する電波ホログラム通信装置であって、
伝送する信号の振幅成分と位相成分とのそれぞれを所定の範囲に制限して変調する変調方法を実行する送信機と、
前記変調方法によって変調された信号を復調し、信号点を識別する復調方法を実行する受信機と
を備える電波ホログラム通信装置。
【請求項6】
前記送信機は、前記振幅成分及び前記位相成分との少なくとも何れかを複数用いる請求項5に記載の電波ホログラム通信装置。
【請求項7】
前記送信機は、1つまたは複数の前記振幅成分を一定値に設定する請求項5に記載の電波ホログラム通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線LAN、移動通信、固定無線などの無線通信に適用可能な電波ホログラム通信方法及び電波ホログラム通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信において通信エリアの設計は重要な要素である。これまでの通信エリアの設計では、一般に、通信装置間の回線設計を行い、その上で通信エリアを設定している。例えば、衛星通信、固定通信、移動通信において、回線設計を基本としてそれぞれの通信エリアを規定している。
【0003】
近年、無線LAN(Local Area Network)のように主に屋内で利用される無線通信において、上述した回線設計を基本とした通信エリアを規定するだけでなく、レイトレースなどの電波伝搬シミュレーションによって通信エリアを面的に設計する手法が用いられている。屋外での移動通信においても同様の手法を用いることによって、顧客(ユーザ)に応じた緊密な通信エリアを提供できる。
【0004】
このような通信エリアの設計では、面的に漏れや抜けがないようにする必要がある。すなわち、通信エリアを形成することは、均一な通信品質を確保できる通信可能なエリアを設定することを意味している。
【0005】
これに対して、電波ホログラムを利用し、通信内容の優先度などを考慮した不均一な通信品質を提供できる通信エリアの形成方法が提案されている(非特許文献1)。当該通信エリアの形成方法の特徴は、無線通信方式に関わらず、通信エリア内の電波強度に疎密を作ることにある。また、意図的に不感地帯を形成することも可能である。このような電波ホログラムによる通信エリアの形成方法は、これまでにない柔軟な通信エリアの構築を可能とする。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Masahiro Daibo, Hiroshi Okazaki, and Yasunori Suzuki, “Holographic Control of Electric Field Distribution for Mobile Communication,” Proceeding of 2019 Thailand-Japan MicroWave (TJMW2019), 2019
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電波ホログラムは、複数の送信点の振幅成分と位相成分とを設定し、当該成分を有する信号を同時放射することによって、複数の受信点が存在する通信エリアに電波強度の強弱(疎密)を形成する。当該通信エリアにおける電波強度が、いわゆるホログラムによって形成される画像、すなわち伝送する情報に相当する。
【0008】
これは、通信エリアそのものが伝送するべき情報であることから、電波強度の強弱を形成しても通信エリアの1つの受信点では情報伝送において何ら意味をなさない。このような背景から、これまで、電波ホログラムを利用した通信方法は確立しておらず、電波ホログラムを利用する課題であった。
【0009】
1つの通信方法として、電波ホログラムに通信用信号を重畳する方法が考えられる。移動通信の変調波帯域幅は最大でも100MHz以下であり、6GHz以下の周波数帯の変調波帯域幅は20MHz以下である。これに対して電波ホログラムは搬送波周波数において励振するため、その振幅成分と位相成分とは、変調波の当該成分と比較して十分に高速な変動となる。
【0010】
当該通信方法は、今日の無線通信において一般的に利用される直交変調系と同じ方法で通信用信号を電波ホログラムに変調できる。一方、電波ホログラムは、通信エリアの形成に関与していることから、通信用信号の重畳によって、設計した通信エリアに変化を生じさせる。
【0011】
重畳する通信用信号の内容により、通信エリアの平均的な電波強度はさほど変化しなくても、部分的な電波強度は大きく変化する。このため、当該通信方法では、設計した通信エリアの形成に必要な電波強度を維持できない課題がある。
【0012】
そこで、以下の開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、通信エリアの変化を抑制しつつ、通信用信号を電波ホログラムに重畳できる電波ホログラム通信方法及び電波ホログラム通信装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するため、重畳する通信用信号の振幅成分と位相成分とを、電波ホログラムによって形成した通信エリアの電波強度をさほど変化させないように設定する。すなわち、重畳する通信用信号の振幅成分と位相成分とに一定の制限を設ける。
【0014】
本開示の一態様は、振幅成分を一定とし、位相成分の変動範囲を微小とする。これは、MSK(minimum-shift keying)の位相変化範囲に制限を設けたことに相当する。
【0015】
本開示の一態様は、振幅成分の変動範囲と、位相成分の変動範囲とを微小とする。これは、PSK(Phase Shift Keying)の振幅変化範囲と位相変化範囲との両方に制限を設けたことに相当する。
【0016】
すなわち、複数の基地局と複数の端末とが電波ホログラムを用いて無線通信を実行する電波ホログラム通信方法であって、前記基地局または前記端末の送信機が、伝送する信号の振幅成分と位相成分との少なくとも一方の成分を所定の範囲に制限して変調する変調方法を実行するステップと、前記端末または前記基地局の受信機が、前記変調方法によって変調された前記信号を復調し、信号点を識別する復調方法を実行するステップとを含んでよい。
【発明の効果】
【0017】
本開示に係る電波ホログラム通信方法及び電波ホログラム通信装置によれば、電波ホログラムを用いる通信エリアの形成方法において、形成した通信エリアに影響を与えることなく、通信用信号を重畳できる。これにより、柔軟な通信エリアを構築しつつ当該通信用信号による無線通信が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、無線通信システム10の構成例を示す図である。
図2図2は、直交変調器300の基本的な構成を示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係るベースバンド信号のI/Q平面において許容できる変化量となる振幅成分と位相成分の範囲の概念を示す図である。
図4図4は、BPSKでの信号点の配置例を示す図である。
図5図5は、位相成分の範囲を制限した信号波形の例を示す図である。
図6図6は、I-chとQ-chとの遷移を示す図である。
図7図7は、BPSKによる符号誤り確率を示す図である。
図8図8は、第2実施形態に係るベースバンド信号のI/Q平面における信号点の軌跡例を示す図である。
図9図9は、基地局100及び端末200のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。なお、同一の機能や構成には、同一または類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0020】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る無線通信システム10の構成例を示す。図1に示すように、無線通信システム10は、複数の基地局100と複数の端末200とを含んでよい。
【0021】
基地局100は、端末200と無線通信を実行する。具体的には、基地局100は、電波ホログラムを用いて端末200と、無線通信を実行することができる。端末200も基地局100と同様に、電波ホログラムを用いて無線通信を実行することができる。本実施形態において、基地局100及び端末200は、電波ホログラム通信装置を構成してよい。
【0022】
無線通信システム10の種別は特に限定されず、例えば、5G New Radio(NR)に従った無線通信システムでもよいし、Beyond 5G、5G Evolution或いは6Gなどと呼ばれる方式に従った無線通信システムでもよい。或いは、無線通信システム10は、無線LAN方式に従った無線通信システムでもよい。
【0023】
基地局100は、送信機110及び受信機120を備える。また、端末200は、送信機210及び受信機220を備える。送信機110及び送信機210は、対応可能な周波数帯、送信電力などが異なっていてもよいが概ね同様の機能を有してよい。受信機120及び受信機220も、対応可能な周波数帯などが異なっていてもよいが概ね同様の機能を有してよい。
【0024】
図2は、直交変調器300の基本的な構成を示す。直交変調器300は、送信機110及び送信機210に組み込まれてよい。
【0025】
図2に示すように、I-ch (in-phase) / Q-ch (quadrature)のベースバンド信号をAi(t), Aq(t)とすれば、振幅r(t)、位相φ(t)を用いると、
【0026】
【数1】
【0027】
と表現することができる。搬送波の角速度をωとすれば、直交変調器出力信号s(t)は、(1)式と(2)式とを用いて、
【0028】
【数2】
【0029】
となる。
【0030】
電波ホログラムによる通信エリアの形成方法は、複数の送信点(送信機と解釈されてもよい)から、予め計算された位相によって電波を受信点に照射し、受信点において複数の送信点から送信(伝送)された電波を合成することによって、通信エリアを形成する。
【0031】
したがって、図2に示す直交変調器300が1つの送信点に具備されるのであれば、その搬送波の位相は、上述の計算された位相となる。変調波s(t)は、ベースバンド信号により位相を有するため、電波ホログラムによる通信エリアは、計算された位相から相対的にずれることによって所定の設計した通信エリアと異なる。
【0032】
電波ホログラムによる通信エリアを形成した上で情報を伝送するためには、搬送波と独立して変調波を重畳する必要がある。しかしながら、変調波は、その振幅成分と位相成分とが常に変動するため、(5)式から分かるように、搬送波と独立して変調波を重畳することができない。
【0033】
このため、電波ホログラムによる通信エリアについて、変調波による振幅成分r(t)と、位相成分φ(t)との変動による変化量を把握し、許容できる変化量となる振幅成分及び位相成分の変動量を把握することによって、電波ホログラムによる通信エリアをある程度維持しながら、情報を伝送する変調波を搬送波に重畳することが可能になる。したがって、この許容できる変化量となる振幅成分と位相成分とを考慮した変調方式が必要となる。
【0034】
例えば、送信機によって送信(伝送)される信号の振幅成分と位相成分とをそれぞれ狭い範囲とする変調方法が用いられてよい。
【0035】
具体的には、本実施形態に係る電波ホログラム通信方法では、基地局100または端末200の送信機(送信機110, 送信機210)が、伝送する信号(通信用信号)の振幅成分と位相成分とのそれぞれを所定の範囲に制限して変調する変調方法を実行してよい。また、端末200または基地局100の受信機(受信機120, 受信機220)が、当該変調方法によって変調された信号を復調し、信号点を識別する復調方法を実行してよい。
【0036】
所定の範囲とは、後述する許容範囲(ΔR, +θ~-θ)と解釈されてもよい。なお、所定の範囲は、必ずしも許容範囲と一致していなくてもよく、許容範囲よりも狭い(小さい)範囲でもよい。また、振幅成分と位相成分との何れか一方のみが制限されてもよい。
【0037】
送信機は、当該変調方法を実行する場合、振幅成分を一定値に設定してもよい。一定値とは、所定の範囲(許容範囲, ΔR)内であって、振幅の大きさが変動しない特定の振幅値を解釈されてよい。
【0038】
また、送信機は、当該変調方法を実行する場合、振幅成分及び位相成分の少なくとも何れかを複数用いてもよい。なお、振幅成分及び位相成分の両成分について複数用いられてもよい。このような両成分について複数用いる変調方式は、いわゆる多値変調方式(PSK:Phase Shift Keying, QAM:Quadrature Amplitude Modulationを含んでよい)を意味してよい。
【0039】
図3は、ベースバンド信号のI/Q平面において許容できる変化量となる振幅成分と位相成分の範囲の概念を示す。図3に示すように、振幅成分は、大きさRに対して許容範囲ΔRを有し、位相は+θ~-θの許容範囲を有する。すなわち、
【0040】
【数3】
【0041】
となる。なおRは、<r(t)>である。
【0042】
電波ホログラムによる通信エリアを形成した上で情報を伝送するには、図3の振幅成分と位相成分を有する変調を行うことになる。ここで、情報をアナログ信号で伝送する場合とデジタル信号で伝送する場合とについて考える。
【0043】
アナログ信号伝送では、図3の振幅の大きさRにおいて、+θ~-θの範囲に制限された位相変調となる。なお、振幅成分を用いてアナログ伝送を行ってもよい。
【0044】
デジタル信号伝送では、図3の振幅成分と位相成分の許容範囲に信号点を配置した変調方式となる。最も簡単な変調方式は、Q-ch側において、「+」と「-」とを識別する2値位相変調(BPSK)となる。振幅成分の許容範囲にも信号点を配置してもよい。
【0045】
このような2値位相変調において符号誤り確率を導出する。図4は、BPSKでの信号点の配置例を示す。通信路(伝搬路)の雑音をガウス性雑音とする加法的熱雑音(AWGN:Additive White Gaussian Noise)とし、受信機における絶対同期検波とすれば、BPSKの符号誤り確率は、AWGNの分散をσ2とし、
【0046】
【数4】
【0047】
となり、信号対雑音電力比は、R2sinθ2/(2σ2)となる。BPSKでの信号対雑音電力比(SNR)は、R2/(2σ2)である。よって、(8)式によるSNRは、BPSKのSNRと比較して、位相成分が許容範囲に制限されるため、信号電力が低減することが分かる。
【0048】
上述したように、1つの送信点から1つの受信点への情報伝送は、(6)式及び(7)式に基づいて設定される変調方式によって行われる。また、従来の変調方式と同様の変調方式を用いた場合、デジタル信号伝送においては信号点間距離が短くなることから、信号対雑音電力比が当該距離に応じて低下する。これは、(7)式の許容範囲に関わることであり、(7)式の許容範囲を拡大することは、ホログラムによる電波環境の劣化に繋がる。この関係については、検証することが望ましい。
【0049】
図5は、位相成分の範囲を制限した信号波形の例を示す。図6は、I-chとQ-chとの遷移を示す。(6)式の条件及びr(t)=1, (7)式の条件では、-45度<φ(t)<+45度となる。第三段のベースバンド信号の位相は、-45度から+45度まで線形に推移している。最下段の変調波での振幅は定包絡となっている。図5では、+45度から-45度に戻るように設定している。信号点の配置は、図4のとおりとし、+45度と-45度とに信号点を設定した場合、MSK(minimum-shift keying)と同じく定包絡な変調波となる。
【0050】
図7は、BPSKによる符号誤り確率を示す。符号誤り確率は、(8)式により求めたものである。計算条件は静的伝搬路とし、AWGNを付加した通信路に相当する。θ=π/2, π/4, π/8, π/16とした。図7に示すように、位相範囲を制限するほど1ビット当たりの所要信号対雑音電力比(SN)が増大する。
【0051】
つまり、φが小さくなるに連れて信号電力がsin2φで少なくなるためである。符号誤り確率10-2オーダにおいて、1ビット当たりの所要信号対雑音電力比は、φ=π/2で約5dB、π/4で約10dB、π/8で約16dBとなる。このように、位相範囲を制限した位相変調方式は、所要信号対雑音電力比が増大することが分かる。
【0052】
このような通信方法を具現化する送信機として、従来の直交変調器(例えば、直交変調器300)を用いた回路をそのまま適用できる。また、受信機についても同期検波を前提としているため、従来と同様の構成の受信機を用いて信号点を検出することができる。
【0053】
なお、図3の振幅成分と位相成分との設定範囲は、円周上の何れの位置でもよい。
【0054】
[第2実施形態]
図8は、本実施形態に係るベースバンド信号のI/Q平面における信号点の軌跡例を示す。具体的には、図8は、図3に示した信号点の軌跡の反対側(左側)にも信号点の軌跡を有する例である。
【0055】
このように信号点を設定することによって信号点の数を増やすことができる。図8の例では図3に示した信号点の2倍の情報伝送が可能となる。信号点の軌跡の範囲を多く設定すれば、さらに多くの情報伝送が可能となる。
【0056】
なお、送信機及び受信機の構成は、第1実施形態と同様に、従来の構成をそのまま利用することができる。
【0057】
[作用・効果]
上述した第1実施形態及び第2実施形態によれば、送信機は、電波ホログラムを用いつつ、伝送する信号(通信用信号)の振幅成分と位相成分との少なくとも一方の成分を所定の範囲に制限して変調する。また、受信機は、当該変調方法によって変調された信号を復調し、信号点を識別する。このため、任意の形状のサービスエリア(通信エリア)を構築できる電波ホログラムを用いつつ、形成したサービスエリアを劣化されることなく通信用信号を重畳することができ、当該通信用信号による無線通信サービスを提供できる。
【0058】
電波ホログラムでは、地理的に隣接する複数の基地局から発射される電波を意図的に干渉させてサービスエリアが設計される。意図的な干渉は、電波によるホログラフ技術により制御され、これまでに実現できなかった任意形状のサービスエリアを提供できる。しかしながら、これまで、形成したサービスエリアが劣化されることなく、電波ホログラムの送信機において、通信用信号である変調波を重畳する方法がなかった。
【0059】
本実施形態では、振幅成分を一定値とし、位相成分の変動範囲を微小としてもよい。これにより、MSKと同様の位相変化範囲の制限を設けることが可能となり、形成したサービスエリアの劣化をより効果的に抑制できる。
【0060】
また、本実施形態では、振幅成分の変動範囲と、位相成分の変動範囲を微小としてもよい。これにより、PSKと同様の位相変化範囲の制限を設けることが可能となり、形成したサービスエリアの劣化をより効果的に抑制できる。
【0061】
[その他の実施形態]
以上、実施形態に沿って本提案の内容を説明したが、本提案はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
【0062】
例えば、上述した実施形態では、振幅成分と位相成分とをそれぞれ狭い範囲に制限していたが、何れか一方の成分は、必ずしもこのような制限が適用されなくても構わない。具体的には、上述した実施形態では、振幅成分と位相成分とのそれぞれを所定の範囲に制限して変調していたが、例えば、位相成分のみを制限してもよい。
【0063】
また、上述した実施形態の説明に用いた送信機(送信機110, 送信機210)及び受信機(受信機120, 受信機220)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロック(直交変調器300など)の実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的または論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的または論理的に分離した2つ以上の装置を直接的または間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置または上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0064】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。例えば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。何れも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0065】
さらに、上述した基地局100及び端末200(電波ホログラム通信装置を含む、以下、当該装置)は、本開示の電波ホログラム通信方法の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図9は、基地局100及び端末200のハードウェア構成の一例を示す図である。図9に示すように、当該装置は、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006及びバス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0066】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。当該装置のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つまたは複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0067】
当該装置の各機能ブロックは、当該コンピュータ装置の何れかのハードウェア要素、または当該ハードウェア要素の組み合わせによって実現される。
【0068】
また、当該装置における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0069】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインタフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU)によって構成されてもよい。
【0070】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。さらに、上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行されてもよいし、2つ以上のプロセッサ1001により同時または逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されてもよい。
【0071】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、Read Only Memory(ROM)、Erasable Programmable ROM(EPROM)、Electrically Erasable Programmable ROM(EEPROM)、Random Access Memory(RAM)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施形態に係る方法を実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0072】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、Compact Disc ROM(CD-ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記録媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0073】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0074】
通信装置1004は、例えば周波数分割複信(Frequency Division Duplex:FDD)及び時分割複信(Time Division Duplex:TDD)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルター、周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。
【0075】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0076】
また、プロセッサ1001及びメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0077】
さらに、当該装置は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor: DSP)、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)、Programmable Logic Device(PLD)、Field Programmable Gate Array(FPGA)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部またはすべてが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0078】
本開示において説明した各態様/実施形態は、Long Term Evolution(LTE)、LTE-Advanced(LTE-A)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4th generation mobile communication system(4G)、5th generation mobile communication system(5G)、Future Radio Access(FRA)、New Radio(NR)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、Ultra Mobile Broadband(UMB)、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE 802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、Ultra-WideBand(UWB)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及びこれらに基づいて拡張された次世代システムの少なくとも一つに適用されてもよい。また、複数のシステムが組み合わされて(例えば、LTE及びLTE-Aの少なくとも一方と5Gとの組み合わせなど)適用されてもよい。
【0079】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0080】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0081】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0082】
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(Digital Subscriber Line:DSL)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0083】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術の何れかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、またはこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0084】
なお、本開示において説明した用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一のまたは類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、チャネル及びシンボルの少なくとも一方は信号(シグナリング)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。また、コンポーネントキャリア(Component Carrier:CC)は、キャリア周波数、セル、周波数キャリアなどと呼ばれてもよい。
【0085】
本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0086】
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスによって指示されるものであってもよい。
【0087】
本開示においては、「基地局(Base Station:BS)」、「無線基地局」、「固定局(fixed station)」、「NodeB」、「eNodeB(eNB)」、「gNodeB(gNB)」、「アクセスポイント(access point)」、「送信ポイント(transmission point)」、「受信ポイント(reception point)、「送受信ポイント(transmission/reception point)」、「セル」、「セクタ」、「セルグループ」、「キャリア」、「コンポーネントキャリア」などの用語は、互換的に使用され得る。基地局は、マクロセル、スモールセル、フェムトセル、ピコセルなどの用語で呼ばれる場合もある。
【0088】
基地局は、1つまたは複数(例えば、3つ)のセル(セクタとも呼ばれる)を収容することができる。基地局が複数のセルを収容する場合、基地局のカバレッジエリア全体は複数のより小さいエリアに区分でき、各々のより小さいエリアは、基地局サブシステム(例えば、屋内用の小型基地局(Remote Radio Head:RRH)によって通信サービスを提供することもできる。
【0089】
「セル」または「セクタ」という用語は、このカバレッジにおいて通信サービスを行う基地局、及び基地局サブシステムの少なくとも一方のカバレッジエリアの一部または全体を指す。
【0090】
本開示においては、「移動局(Mobile Station:MS)」、「ユーザー端末(user terminal)」、「ユーザー装置(User Equipment:UE)」、「端末」などの用語は、互換的に使用され得る。
【0091】
移動局は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、またはいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
【0092】
基地局及び移動局の少なくとも一方は、送信装置、受信装置、通信装置などと呼ばれてもよい。なお、基地局及び移動局の少なくとも一方は、移動体に搭載されたデバイス、移動体自体などであってもよい。当該移動体は、乗り物(例えば、車、飛行機など)であってもよいし、無人で動く移動体(例えば、ドローン、自動運転車など)であってもよいし、ロボット(有人型または無人型)であってもよい。なお、基地局及び移動局の少なくとも一方は、必ずしも通信動作時に移動しない装置も含む。例えば、基地局及び移動局の少なくとも一方は、センサなどのInternet of Things(IoT)機器であってもよい。
【0093】
また、本開示における基地局は、移動局(ユーザ端末、以下同)として読み替えてもよい。例えば、基地局及び移動局間の通信を、複数の移動局間の通信(例えば、Device-to-Device(D2D)、Vehicle-to-Everything(V2X)などと呼ばれてもよい)に置き換えた構成について、本開示の各態様/実施形態を適用してもよい。この場合、基地局が有する機能を移動局が有する構成としてもよい。また、「上り」及び「下り」などの文言は、端末間通信に対応する文言(例えば、「サイド(side)」)で読み替えられてもよい。例えば、上りチャネル、下りチャネルなどは、サイドチャネル(またはサイドリンク)で読み替えられてもよい。
【0094】
同様に、本開示における移動局は、基地局として読み替えてもよい。この場合、移動局が有する機能を基地局が有する構成としてもよい。
【0095】
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、またはこれらのあらゆる変形は、2またはそれ以上の要素間の直接的または間接的なあらゆる接続または結合を意味し、互いに「接続」または「結合」された2つの要素間に1またはそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合または接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。例えば、「接続」は「アクセス」で読み替えられてもよい。本開示で使用する場合、2つの要素は、1またはそれ以上の電線、ケーブル及びプリント電気接続の少なくとも一つを用いて、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどを用いて、互いに「接続」または「結合」されると考えることができる。
【0096】
参照信号は、Reference Signal(RS)と略称することもでき、適用される標準によってパイロット(Pilot)と呼ばれてもよい。
【0097】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0098】
上記の各装置の構成における「手段」を、「部」、「回路」、「デバイス」等に置き換えてもよい。
【0099】
本開示において使用する「第1」、「第2」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量または順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、または何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0100】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0101】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0102】
本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベースまたは別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
【0103】
本開示において、「AとBが異なるまたはいう用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【0104】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0105】
(付記)
上述した開示は、以下のように表現されてもよい。第1の特徴は、複数の基地局と複数の端末とが電波ホログラムを用いて無線通信を実行する電波ホログラム通信方法であって、前記基地局または前記端末の送信機が、伝送する信号の振幅成分と位相成分との少なくとも一方の成分を所定の範囲に制限して変調する変調方法を実行するステップと、
前記端末または前記基地局の受信機が、前記変調方法によって変調された前記信号を復調し、信号点を識別する復調方法を実行するステップとを含む。
【0106】
第2の特徴は、第1の特徴において、前記変調方法を実行するステップでは、前記送信機が前記振幅成分を一定値に設定する。
【0107】
第3の特徴は、第1または第2の特徴において、前記変調方法を実行するステップでは、前記送信機が前記振幅成分及び前記位相成分の少なくとも何れかを複数用いる。
【0108】
第4の特徴は、第1乃至第3の特徴において、前記変調方法を実行するステップでは、前記送信機が前記振幅成分を一定値に設定する。
【符号の説明】
【0109】
10 無線通信システム
100 基地局
110, 210 送信機
120, 220 受信機
200 端末
300 直交変調器
1001 プロセッサ
1002 メモリ
1003 ストレージ
1004 通信装置
1005 入力装置
1006 出力装置
1007 バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9