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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142561
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】免疫グロブリン吸着剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 1/22 20060101AFI20241003BHJP
   C07K 17/00 20060101ALI20241003BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20241003BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
C07K1/22 ZNA
C07K17/00
C07K16/28
C12N15/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054740
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】谷口 直優
(72)【発明者】
【氏名】早川 勇太
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 陽介
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045AA40
4H045BA62
4H045CA40
4H045DA50
4H045EA50
4H045FA81
(57)【要約】
【課題】 抗体の分取目的にも利用可能な高い抗体吸着量を有する免疫グロブリン吸着剤を製造する方法を提供すること。
【解決手段】 不溶性担体に当該担体1gあたり50μmol以上100μmol以下の第一の官能基を導入した前記担体を取得する工程と、前記第一の官能基に対しヒトFcγRIIIa免疫グロブリン結合性タンパク質を固定化可能な第二の官能基を不溶性担体1gあたり5.0μmol以上20μmol以下となるよう導入する工程と、前記第二の官能基を介して前記ヒトFcγRIIIaを固定化させる工程とを含む方法で、前記吸着剤を製造することで、前記課題を解決する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の官能基を導入した不溶性担体を取得する工程と、
前記第一の官能基に対し免疫グロブリン結合性タンパク質を固定化可能な第二の官能基を導入する工程と、
前記第二の官能基を介して前記タンパク質を固定化させる工程とを含む、免疫グロブリン吸着剤の製造方法であって、
免疫グロブリン結合性タンパク質がヒトFcγRIIIaであり、
第一の官能基の導入量が不溶性担体1gあたり50μmol以上100μmol以下であり、
第二の官能基の導入量が不溶性担体1gあたり5.0μmol以上20μmol以下である、前記方法。
【請求項2】
第一の官能基がエポキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基およびアミノ基のいずれかであり、第二の官能基がハロアセチル基またはマレイミド基である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ヒトFcγRIIIaが、以下に示す(1)から(3)のいずれかから選択されるポリペプチドである、請求項1または2に記載の方法;
(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を含むポリペプチド、
(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を含み、ただし当該17番目から192番目のアミノ酸残基において、1もしくは数個の位置での1もしくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入および付加のうち、いずれか1つ以上をさらに有し、かつ免疫グロブリン結合活性を有するポリペプチド、
(3)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を含み、ただし当該17番目から192番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有し、かつ免疫グロブリン結合活性を有するポリペプチド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫グロブリン吸着剤の製造方法に関する。より詳しくは本発明は、不溶性担体に導入した、免疫グロブリン結合性タンパク質を固定化可能な官能基を介して、前記タンパク質を固定化させて、前記吸着剤を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抗体医薬品は生体内の免疫機能を担う分子である抗体(免疫グロブリン)を利用した医薬品である。抗体医薬品は抗体が有する可変領域の多様性により標的分子に対し高い特異性と親和性をもって結合する。そのため抗体医薬品は副作用が少なく、また、近年では適応疾患が広がってきていることもあり市場が急速に拡大している。
【0003】
抗体医薬品の製造は培養工程と精製工程とを含み、培養工程では生産性を向上させるために抗体産生細胞の改質や培養条件の最適化が図られている。また精製工程では、粗精製としてアフィニティークロマトグラフィーが採用され、その後の中間精製、最終精製、およびウイルス除去を経て製剤化される。
【0004】
前記アフィニティークロマトグラフィーでは抗体分子を特異的に認識するアフィニティー担体(免疫グロブリン吸着剤)が用いられる。抗体医薬品を低コストかつ大量に製造するには、免疫グロブリン吸着剤への抗体医薬品の吸着量を向上させる必要があり、そのためには、抗体医薬品と特異的に結合可能なリガンドを、適切な方法で不溶性担体に固定化した、前記吸着剤を製造する必要がある。
【0005】
従来より、前記リガンドの固定化に用いる不溶性担体を最適化することで抗体医薬品との吸着量が向上した免疫グロブリン吸着剤を作製する試みがなされている。例えば、特許文献1では、前記不溶性担体の構造に着目し、非多孔質の粒子ではなく、多孔質の粒子を用いることで抗体吸着量が向上した免疫グロブリン吸着剤を作製している。しかしながら、大量製造を目的とした場合、特許文献1記載の方法で作製した免疫グロブリン吸着剤では、抗体の吸着量が不十分であり、前記吸着剤を工業的な抗体医薬品の製造における抗体の分取目的に適用するのは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-125280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、抗体の分取目的にも利用可能な高い抗体吸着量を有する免疫グロブリン吸着剤を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、免疫グロブリン結合性タンパク質を固定化可能な官能基の、不溶性担体への導入条件を最適化することで、従来よりも吸着量が向上した免疫グロブリン吸着剤を製造できた。
【0009】
すなわち、本発明は以下の[1]から[3]に記載の態様を包含する。
【0010】
[1]第一の官能基を導入した不溶性担体を取得する工程と、
前記第一の官能基に対し免疫グロブリン結合性タンパク質を固定化可能な第二の官能基を導入する工程と、
前記第二の官能基を介して前記タンパク質を固定化させる工程とを含む、
免疫グロブリン吸着剤の製造方法であって、
免疫グロブリン結合性タンパク質がヒトFcγRIIIaであり、
第一の官能基の導入量が不溶性担体1gあたり50μmol以上100μmol以下であり、
第二の官能基の導入量が不溶性担体1gあたり5.0μmol以上20μmol以下である、前記方法。
【0011】
[2]第一の官能基がエポキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基およびアミノ基のいずれかであり、第二の官能基がハロアセチル基またはマレイミド基である、[1]に記載の方法。
【0012】
[3]ヒトFcγRIIIaが、以下に示す(1)から(3)のいずれかから選択されるポリペプチドである、[1]または[2]に記載の方法;
(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を含むポリペプチド、
(2)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を含み、ただし当該17番目から192番目のアミノ酸残基において、1もしくは数個の位置での1もしくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入および付加のうち、いずれか1つ以上をさらに有し、かつ免疫グロブリン結合活性を有するポリペプチド、
(3)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を含み、ただし当該17番目から192番目のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有し、かつ免疫グロブリン結合活性を有するポリペプチド。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、第一の官能基を導入した不溶性担体を取得する工程と、前記第一の官能基に対しヒトFcγRIIIa免疫グロブリン結合性タンパク質を固定化可能な第二の官能基を導入する工程と、前記第二の官能基を介して前記ヒトFcγRIIIaを固定化させる工程とを含む方法で免疫グロブリン吸着剤を製造する際、第一の官能基の導入量を不溶性担体1gあたり50μmol以上100μmol以下とし、かつ第二の官能基の導入量を不溶性担体1gあたり5.0μmol以上20μmol以下とすることを特徴としている。本発明の製造方法で得られた免疫グロブリン吸着剤は従来よりも免疫グロブリン(抗体)吸着量が向上しており、抗体医薬品の工業的な製造で用いる、抗体分取カラムの製造に寄与できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明において、不溶性担体に固定化させる免疫グロブリン結合性タンパク質である、ヒトFcγRIIIaの一例として、
(1)天然型ヒトFcγRIIIaの細胞外領域(配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち17番目のグリシン(G)から192番目のグルタミン(Q)までのアミノ酸残基)を少なくとも含むポリペプチド、
(2)天然型ヒトFcγRIIIaの細胞外領域を少なくとも含み、ただし当該細胞外領域を構成するアミノ酸残基において、1もしくは数個の位置での1もしくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入および付加のうち、いずれか1つ以上をさらに有し、かつ抗体結合活性を有するポリペプチド、および
(3)天然型ヒトFcγRIIIaの細胞外領域を少なくとも含み、ただし当該細胞外領域を構成するアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有し、かつ免疫グロブリン結合活性を有するポリペプチド、
があげられる。
【0016】
前記(2)における、「1もしくは数個」とは、ヒトFcγRIIIaの立体構造におけるアミノ酸置換の位置やアミノ酸残基の種類によっても異なるが、一例として、1個以上50個以下、1個以上30個以下、1個以上20個以下、1個以上10個以下、1個以上9個以下、1個以上8個以下、1個以上7個以下、1個以上6個以下、1個以上5個以下、1個以上4個以下、1個以上3個以下、1個以上2個以下、1個のいずれかを意味する。「1もしくは数個」のアミノ酸残基の置換は、例えば、免疫グロブリン結合活性を有する限り、特開2015-086216号公報、特開2016-169197号公報、特開2017-118871号公報、特開2018-197224号公報およびWO2019/083048号で開示のアミノ酸残基の置換以外の位置に生じてよい。
【0017】
なお前記(2)における「1もしくは数個のアミノ酸残基の置換」には、前述した特定位置におけるアミノ酸置換の他に、物理的性質および/または化学的性質が類似したアミノ酸間で置換が生じる保守的置換が生じてもよい。保守的置換は、一般に、置換が生じているものと置換が生じていないものとの間でタンパク質の機能が維持されることが当業者において知られている。保守的置換の一例としては、グリシンとアラニン間、セリンとプロリン間、またはグルタミン酸とアラニン間での置換があげられる(タンパク質の構造と機能,メディカル・サイエンス・インターナショナル社、9、2005)。また前記(2)における「1もしくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入および付加のうち、いずれか1つ以上」には、天然にも存在する変異(mutantまたはvariant)も含まれる。
【0018】
前記(2)の好ましい態様として、
特開2015-086216号公報で開示のFc結合性タンパク質、
特開2016-169197号公報で開示のFc結合性タンパク質、
特開2017-118871号公報で開示のFc結合性タンパク質、
特開2018-197224号公報で開示のFc結合性タンパク質、および
WO2019/083048号で開示のFc結合性タンパク質、
があげられる。
【0019】
前記(3)におけるアミノ酸配列の相同性は70%以上あればよく、それ以上の相同性(例えば、80%以上、85%以上、90%以上または95%以上)を有してもよい。なお本明細書において「相同性」とは、類似性(similarity)または同一性(identity)を意味してよく、特に同一性を意味してもよい。「アミノ酸配列の相同性」とは、アミノ酸配列全体に対する相同性を意味する。アミノ酸配列間の「同一性」とは、それらアミノ酸配列における種類が同一であるアミノ酸残基の比率を意味する(実験医学、31(3)、羊土社)。アミノ酸配列間の「類似性」とは、それらアミノ酸配列における種類が同一であるアミノ酸残基の比率と側鎖の性質が類似したアミノ酸残基の比率の合計を意味する(実験医学、31(3)、羊土社)。アミノ酸配列の相同性は、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)やFASTA等のアラインメントプログラム(alignment program)を利用して決定できる。
【0020】
本発明で用いる不溶性担体は、後述する、ヒトFcγRIIIaを固定化可能な官能基を導入でき、かつ免疫グロブリンの吸着/溶出に用いる溶液や溶剤に対して不溶性の物質であればよく、ジルコニア、ゼオライト、シリカ、皮膜シリカ等の無機系物質に由来した担体であってもよいし、セルロース、アガロース、デキストラン等の天然有機高分子物質に由来した担体であってもよいし、ポリアクリル酸、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリメタクリレート、ビニルポリマー等の合成有機高分子物質に由来した担体であってもよい。またShodex(レゾナック社製)、Sepharose(Cytiva社製)、Amberlite(デュポン社製)、Cellufine(JNC社製)、POROS(Thermo Fisher Scientific社製)、トヨパール(東ソー社製)といった公知のクロマトグラフィー用担体であってもよい。
【0021】
本発明では、
(a)官能基(以下、後述の官能基と区別するため「第一の官能基」とも表記する)を導入した不溶性担体を取得する工程と、
(b)当該(第一の)官能基に対してヒトFcγRIIIaを固定化可能な官能基(以下、前記(第一の)官能基と区別するため「第二の官能基」とも表記する)を導入する工程と、
(c)当該(第二の)官能基を介してヒトFcγRIIIaを固定化する工程と、
を含む方法で製造する。
【0022】
前記(a)工程における第一の官能基の例として、エポキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、およびアミノ基があげられる。なお第一の官能基を導入した不溶性担体は、表面にヒドロキシ基を導入した市販のサイズ排除クロマトグラフィ用充填剤や、表面にエポキシ基、カルボキシ基およびアミノ基のいずれかを導入した市販の活性化型アフィニティクロマトクラフィ用充填剤をそのまま使用してもよく、不溶性担体に第一の官能基を導入する化合物を反応させ作製してもよい。
【0023】
前記(a)工程の一例として、表面にヒドロキシ基を導入した不溶性担体にエポキシ基を導入する化合物(以下、「エポキシ化試薬」とも表記する)を反応させ、当該担体にエポキシ基を導入し、取得する方法があげられる。エポキシ化試薬の一例として、エピクロロヒドリン、エビブロモヒドリンなどのエピハロヒドリン類、エタンジオールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、などのジグリシジルエーテル類、1,7-オクタジエンジエポキシドなどのアルキルジエンジエポキサイド類があげられる。このうちポリエチレングリコールジグリシジルエーテルの繰返し単位は-CO-の繰返し数が1から10のものを用いると好ましい。エポキシ基を導入するには、例えば水酸化ナトリウムもしくは炭酸カリウム等の無機塩基の水溶液中や、水素化ホウ素ナトリウムを含む水酸化ナトリウムもしくは炭酸カリウム等の無機塩基の水溶液中で反応させて導入すればよい。
【0024】
前記(a)工程の別の例として、表面にエポキシ基を導入した不溶性担体にカルボキシ基を導入する化合物(以下、「カルボキシ化試薬」とも表記する)を反応させ、当該担体にカルボキシ基を導入し、取得する方法があげられる。カルボキシ化試薬の一例として、2-メルカプト酢酸、3-メルカプトプロピオン酸、4-メルカプト酪酸、6-メルカプト酪酸、グリシン、3-アミノプロピオン酸、4-アミノ酪酸があげられる。
【0025】
前記(a)工程のさらに別の例として、表面にエポキシ基を導入した不溶性担体にアミノ基を導入する化合物(以下、「アミノ化試薬」とも表記する)を反応させ、当該担体にアミノ基を導入し、取得する方法があげられる。アミノ化試薬の一例として、エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、プトレシン、カダベリン、ヘキサメチレンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、o-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、トランス-1,4-シクロヘキサンジアミン、トランス-1,2-シクロヘキサンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-エチレンジアニリン、スペルミジン、スペルミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、N,N’-ビス(2-アミノエチル)-1,3-プロパンジアミン、N,N’―ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、トリエチレングリコールビス(2-アミノエチル)エーテル、トリス(2-アミノエチル)アミン、トリス(3-アミノプロピル)アミン、トリス(4-アミノフェニル)アミンがあげられる。
【0026】
前記(b)工程で導入する、第二の官能基の例として、N-ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)活性化エステル基、カルボキシ基、マレイミド基、ハロアセチル基、トレシル基、ホルミル基、ハロアセトアミド基があげられる。中でもハロアセチル基またはマレイミド基が好ましい。
【0027】
前記(a)工程における第一の官能基がエポキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基およびアミノ基のいずれかであり、前記(b)工程で導入する第二の官能基をマレイミド基とする場合、例えば、前記(a)工程で取得した、第一の官能基を導入した不溶性担体に、N-(ε-マレイミドカプロン酸)ヒドラジド、N-(ε-マレイミドプロピオン酸)ヒドラジド、4-[4-N-マレイミドフェニル]酢酸ヒドラジド、2-アミノマレイミド、3-アミノマレイミド、4-アミノマレイミド、6-アミノマレイミド、1-(4-アミノフェニル)マレイミド、1-(3-アミノフェニル)マレイミド、4-(マレイミド)フェニルイソシアナート、2-マレイミド酢酸、3-マレイミドプロピオン酸、4-マレイミド酪酸、6-マレイミドヘキサン酸、N-(α-マレイミドアセトキシ)スクシンイミドエステル、(m-マレイミドベンゾイル)N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、スクシンイミジル-4-(マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボニル-(6-アミノヘキサン酸)、スクシンイミジル-4-(マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸、(p-マレイミドベンゾイル)N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、(m-マレイミドベンゾイル)N-ヒドロキシスクシンイミドエステルなどのマレイミド基を導入する化合物(マレイミド化試薬)を反応させ、作製すればよい。
【0028】
前記(a)工程における第一の官能基がエポキシ基、ヒドロキシ基およびアミノ基のいずれかであり、前記(b)工程で導入する第二の官能基をハロアセチル基とする場合、例えば、前記(a)工程で取得した、第一の官能基を導入した不溶性担体に、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、ヨード酢酸、クロロ酢酸クロリド、ブロモ酢酸クロリド、ブロモ酢酸ブロミド、クロロ酢酸無水物、ブロモ酢酸無水物、ヨード酢酸無水物、2-(ヨードアセトアミド)酢酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、3-(ブロモアセトアミド)プロピオン酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、4-(ヨードアセチル)アミノ安息香酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステルなどのハロアセチル基を導入する化合物(ハロアセチル化試薬)を反応させ、作製すればよい。またω-アルケニルアルカングリシジルエーテルを反応させた後、ハロゲン化剤でω-アルケニル部位をハロゲン化することで、ハロアセチル基を導入してもよい。ω-アルケニルアルカングリシジルエーテルとしては、アリルグリシジルエーテル、3-ブテニルグリシジルエーテル、4-ペンテニルグリシジルエーテルを例示でき、ハロゲン化剤としてはN-クロロスクシンイミド、N-ブロモスクシンイミド、N-ヨードスクシンイミドを例示できる。
【0029】
なお前記(a)工程における第一の官能基がカルボキシ基の場合、前記(b)工程を、当該カルボキシ基に対し、縮合剤と添加剤を用いて第二の官能基を導入することで行なってもよい。前記縮合剤としては1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、ジシクロヘキシルカルボジアミド、カルボニルジイミダゾールが例示できる。また前記添加剤としてはN-ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)、4-ニトロフェノール、1-ヒドロキシベンズトリアゾールが例示できる。
【0030】
前記(a)工程および前記(b)工程で不溶性担体表面に官能基を導入する際の反応溶媒としては、水が通常用いられるが、その他n-ヘキサン、ベンゼン、キシレンなどの炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、クロロホルム、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、エタノールやメチルセロソルブなどのアルコール類、アセトンやメチルイソブチルケトンなどのケトン類を用いてもよく、1,4-ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルオキサイドを用いてもよい。またこれら溶媒を単一で用いてもよく、混合溶媒系で用いてもよい。また不溶性担体表面に官能基を導入する際、特に触媒は用いる必要はないが、水酸化ナトリウムや炭酸カリウムなどのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物または炭酸塩を触媒として用いてもよい。
【0031】
前記(c)工程で、ヒトFcγRIIIaを不溶性担体に固定化させる際用いる緩衝液としては、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、MES(2-Morpholinoethanesulfonic acid)緩衝液、HEPES(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid)緩衝液、トリス緩衝液、ホウ酸緩衝液を例示できる。固定化させるときの反応温度は、5℃以上50℃以下の温度範囲の中から官能基の反応性やリガンドの安定性を考慮の上、適宜設定すればよく、好ましくは10℃以上35℃以下の範囲である。また、pHは8.0以上10以下が好ましく、pHは8.0以上9.0以下がさらに好ましい。
【0032】
本発明は、前記(a)工程における第一の官能基の量が不溶性担体1gあたり50μmol以上100μmol以下であり、前記(b)工程で不溶性担体に導入した第二の官能基の量が当該担体1gあたり5.0μmol以上20μmol以下であることを特徴としている。第一の官能基および第二の官能基の導入量を前記範囲内とすることで、不溶性担体に導入するヒトFcγRIIIaの配向性を制御できるため、免疫グロブリン(抗体)の吸着量を向上させることができる。なお第一の官能基の導入量を不溶性担体1gあたり60μmol以上100μmol以下とする、および/または第二の官能基の導入量を7.5μmol以上15μmol以下とする、と好ましい。
【実施例0033】
本発明の各実施形態について、実施例および比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら例により何ら限定されるものではない。
【0034】
実施例1
(1)ヒドロキシ基を有した不溶性担体へのエポキシ基の導入
(1-1)不溶性担体として表面にヒドロキシ基を有したポリメタクリレートゲル(東ソー社製、トヨパール)を用い、当該ゲルスラリーをグラスフィルター上で吸引ろ過後、そのまま吸引乾燥することでサクションドライゲルを調製した。
(1-2)サクションドライゲル2.0gに、10mLの1,4-ジオキサン、1.0mLの0.2mol/L水酸化ナトリウム水溶液、ならびにエポキシ化試薬であるブタンジオールジグリシジルエーテル(BDGE)を終濃度5.0mmol/g-担体となるように添加し、50℃に設定した撹拌振とう器内で16時間から撹拌振とう反応した。
(1-3)反応終了後、反応液をグラスフィルター上で吸引ろ過し、水で4回、1,4-ジオキサンで4回、それぞれ洗浄することでエポキシ基を導入した不溶性担体(以下、エポキシトヨパールと命名する)を作製した。
【0035】
(2)エポキシトヨパールへのアミノ基の導入
(2-1)(1)で作製したエポキシトヨパール2.0g(サクションドライゲル)に、7.0mmolのアミノ化試薬(トリス(2-アミノエチル)アミン)、および4mLの1,4-ジオキサンを添加し、45℃に設定した撹拌振とう器内で16時間撹拌振とう反応した。
(2-2)(2-1)の反応終了後、反応液をグラスフィルター上で吸引ろ過し、水で4回、1,4-ジオキサンで4回洗浄することでアミノ基を導入したゲル(以下、アミノトヨパールと命名する)を作製した。
【0036】
(3)アミノトヨパールにおけるアミノ基導入量の測定
(3-1)(2)で作製したアミノトヨパールを吸引乾燥させたサクションドライゲル1gに対し、40mLの0.1mol/L塩酸を添加し撹拌後、5分間静置し、反応液をグラスフィルター上で吸引ろ過した。
(3-2)(3-1)の操作を合計3回繰り返した後、アミノトヨパールをグラスフィルター上で、水を用いて3回洗浄した。
(3-3)(3-2)で洗浄したアミノトヨパールに対し、40mLの0.5mol/L水酸化ナトリウムを添加し撹拌後、5分間静置し、反応液をグラスフィルター上で吸引ろ過した。
(3-4)(3-3)の操作を合計2回繰り返した後、アミノトヨパールをグラスフィルター上で、水を用いて3回洗浄し吸引ろ過した。
(3-5)(3-4)で吸引ろ過したサクションドライゲルに対し、50mLの0.5mol/L塩化ナトリウムを添加し、pHメーター(堀場製作所製)を用いてpHを測定した。ゲル懸濁溶液に対し、0.01mol/L塩酸を滴下していき、pHが6.5になるまでに要した滴下量を求めた。
(3-6)滴下量より、塩酸と反応したアミノ基量、つまりアミノトヨパールに導入されたアミノ基を定量した。アミノトヨパールに導入されたアミノ基量は、アミノトヨパール(担体)1gあたり66.5μmolであった。
【0037】
(4)アミノトヨパールへのハロアセチル基の導入
(4-1)(2)で作製したアミノトヨパール1.0g(サクションドライゲル)に、4.5mLの1,4-ジオキサン、1.5mLの水、0.075mmolのEDC(N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド)、および0.075mmolのハロアセチル化試薬(ヨード酢酸)を添加し、25℃に設定した撹拌振とう器内で2時間撹拌振とう反応した。
(4-2)(4-1)の反応終了後、反応液をグラスフィルター上で吸引ろ過し、1,4-ジオキサンで4回、水で4回、それぞれ洗浄することで、ヒトFcγRIIIaを固定化可能な官能基である、ハロアセチル基を導入したゲル(以下、ハロアセチルトヨパールと命名する)を作製した。
【0038】
(5)ハロアセチルトヨパールにおけるハロアセチル基導入量の測定
(5-1)(4)で作製したハロアセチルトヨパール1mLに対し50%(v/v)スラリーとなるよう、PBS(Phosphate Buffered Saline)(pH7.4)を添加した。
(5-2)作製したスラリーを均一化後、当該スラリー100μL(ハロアセチルトヨパールとしては50μL)をスピンカラム(コスモスピンフィルターH(孔径0.45μm)、ナカライテスク社製)に添加し、2000rpmで1分間遠心分離することで、サクションドライゲルを調製した。
(5-3)サクションドライゲルに、50μLの20mmol/L α-チオグリセロール、30μLのPBS、および20μLの1mol/Lトリス緩衝液(pH9.0)を添加し、40℃で1時間撹拌した。
(5-4)2000rpmで1分間遠心分離することで、反応液をろ液として回収した。
(5-5)(5-4)で回収したろ液50μLに、940μLのリン酸緩衝液(pH8.0)、および20μLの20mmol/L 2,2’-ジピリジルジスルフィドを添加し、吸光度を測定した。余剰分のα-チオグリセロールを2,2’-ジピリジルジスルフィドが還元分解することで生じる2-チオピロリドンの吸光度から未反応のα-チオグリセロール量を求め、ハロアセチル基と反応したα-チオグリセロール量を逆算することで、ハロアセチルトヨパールに導入されたハロアセチル基を定量した。ハロアセチルトヨパールに導入されたハロアセチル基量は、ハロアセチルトヨパール(担体)1gあたり12.9μmolであった。
【0039】
(6)ハロアセチルトヨパールへのヒトFcγRIIIa固定化
(6-1)ヒトFcγRIIIaを20mg含む溶液に、終濃度0.5mol/Lのアルギニン/アルギニン塩酸塩混合物、および終濃度0.5mmol/Lのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP-HCl)を添加して30分間静置後、(4)で作製したハロアセチルトヨパール1.0g(サクションドライゲル)を添加し、25℃で2時間反応させた。反応終了後、ヒトFcγRIIIa固定化量の定量に用いるために反応溶液を回収した。なお本実施例では、ヒトFcγRIIIaとして、WO2019/083048号公報で開示のFcR36i_Cys(配列番号2)を使用した。FcR36i_Cys(配列番号2)のうち、1番目のメチオニン(M)から22番目のアラニン(A)までがPelBシグナルペプチド(UniProt No.P0C1C1の1番目から22番目までのアミノ酸残基)であり、24番目のグリシン(G)から199番目のグルタミン(Q)までがヒトFcγRIIIaであるFcR36iのアミノ酸配列、201番目のシステイン(C)から207番目のグリシン(G)までが不溶性担体への固定化用システインタグ配列(特開2014-187993号公報)である。また前記FcR36iは、ヒトFcγRIIIaの細胞外領域(配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、17番目のグリシン(G)から192番目のグルタミン(Q)までのアミノ酸残基)からなるポリペプチドを構成するアミノ酸残基のうち、E21G(この表記は、配列番号1の21番目(配列番号2では28番目に相当)のグルタミン酸(E)がグリシン(G)に置換されていることを表す、以下同様)、L23M、V27E、F29I、Q33P、Y35N、K40Q、Q48R、Y51H、E54D、N56D、S65R、S68P、Y74F、F75I、A78S、T80S、N92S、V117E、K119V、E121G、D122E、K132R、T140M、Y141F、G147V、Y158V、K165E、F171S、V176I、S178R、N180K、E184G、T185A、N187DおよびI190Vのアミノ酸置換を有する、ポリペプチドである。
(6-2)反応終了後、50mmol/Lのクエン酸緩衝液(pH3.0)、20mmol/LのMES(2-Morpholinoethanesulfonic acid)緩衝液(pH6.5)の順で洗浄することでヒトFcγRIIIa固定化担体(以下単に、「リガンド固定化ゲル」とも表記する)を作製した。
(6-3)サイズ排除カラムを用いたHPLC分析により、(1)で回収した溶液に含まれる未反応ヒトFcγRIIIaをピークとして検出した。ピーク面積値から未反応量を算出し、反応溶液調製時に添加したヒトFcγRIIIa量より差し引くことで、不溶性担体に結合したヒトFcγRIIIa量(リガンド固定化量)を算出した。
【0040】
実施例2
実施例1(1-2)でエポキシ化試薬(BDGE)の添加量を10mmol/g-担体とした他は、実施例1と同様な方法でリガンド固定化ゲルを作製し、当該ゲルのリガンド固定化量を算出した。(2)で作製したアミノトヨパールにおけるアミノ基導入量は担体1gあたり83.6μmolであり、(4)で作製したハロアセチルトヨパールにおけるハロアセチル基導入量は担体1gあたり9.1μmolであった。
【0041】
実施例3
実施例1(1-2)でエポキシ化試薬(BDGE)の添加量を15mmol/g-担体とした他は、実施例1と同様な方法でリガンド固定化ゲルを作製し、当該ゲルのリガンド固定化量を算出した(2)で作製したアミノトヨパールにおけるアミノ基導入量は担体1gあたり70.9μmolであり、(4)で作製したハロアセチルトヨパールにおけるハロアセチル基導入量は担体1gあたり10.7μmolであった。
【0042】
比較例1
実施例1(1-2)でエポキシ化試薬(BDGE)の添加量を1.7mmol/g-担体とし、実施例1(4-1)でアミノトヨパール1.0gに添加するEDCおよびヨード酢酸の量を、ともに0.30mmolとした他は、実施例1と同様な方法でリガンド固定化ゲルを作製し、当該ゲルのリガンド固定化量を算出した。(2)で作製したアミノトヨパールにおけるアミノ基導入量は担体1gあたり45.1μmolであり、(4)で作製したハロアセチルトヨパールにおけるハロアセチル基導入量は担体1gあたり10.0μmolであった。
【0043】
比較例2
実施例1(1-2)でエポキシ化試薬(BDGE)の添加量を5.0mmol/g-担体とし、実施例1(4-1)でアミノトヨパール1.0gに添加するEDCおよびヨード酢酸の量を、ともに0.30mmolとした他は、実施例1と同様な方法でリガンド固定化ゲルを作製し、当該ゲルのリガンド固定化量を算出した。(2)で作製したアミノトヨパールにおけるアミノ基導入量は担体1gあたり65.5μmolであり、(4)で作製したハロアセチルトヨパールにおけるハロアセチル基導入量は担体1gあたり22.5μmolであった。
【0044】
実施例4 リガンド固定化ゲルの免疫グロブリン(抗体)吸着量評価
(1)実施例1から3ならびに比較例1および2で作製したリガンド固定化ゲル1mLに対し50%(v/v)スラリーとなるよう、PBS(Phosphate Buffered Saline)(pH7.4)を添加した。
【0045】
(2)作製したスラリーを均一化後、当該スラリー100μL(固定化ゲルとしては50μL)をスピンカラム(コスモスピンフィルターH(孔径0.45μm)、ナカライテスク社製)に添加し、4700rpmで1分間遠心分離することで、サクションドライゲルを調製した。
【0046】
(3)サクションドライゲルにPBSを150μL添加し、4700rpmで1分間遠心分離した。本操作を3回繰り返すことでゲルを洗浄した。
【0047】
(4)洗浄後のゲルに、150μLのPBS、および60μLの人免疫グロブリン溶液(グロブリン筋注1500mg/10mL「JB」、日本血液製剤機構製)を順次添加後、25℃にて2時間撹拌することで、リガンド固定化ゲルに免疫グロブリン(抗体)を吸着させた。
【0048】
(5)(4)の吸着操作後、スピンカラムを4700rpmで1分間遠心分離することにより未吸着の抗体を含んだ溶液をリガンド固定化ゲルから分離した。
【0049】
(6)リガンド固定化ゲルに150μLのPBSを添加し、4700rpmで1分間遠心分離する操作を3回繰り返すことでゲルを洗浄した。
【0050】
(7)リガンド固定化ゲルに150μLの50mmol/Lクエン酸緩衝液(pH3.0)を添加し、4700rpmで1分間遠心分離する操作を3回繰り返すことで前記ゲルに吸着した抗体を溶出した。溶出液の吸光度を測定することで抗体の濃度を算出し、リガンド固定化ゲル50μLあたりの抗体吸着量を求めた。
【0051】
結果を表1に示す。なお表1において「リガンド固定化量(相対値)」および「抗体吸着量(相対値)」は、比較例1で作製したリガンド固定化ゲルのリガンド固定化量、抗体吸着量のそれぞれの値を100としたときの相対値で示している。
【0052】
実施例1から3で作製したリガンド固定化ゲルは、比較例1および2で作製したリガンド固定化ゲルと比較し、リガンド(ヒトFcγRIIIa)固定化量は低下しているものの、抗体吸着量は逆に増加していることがわかる。以上の結果から、第一の官能基を導入した不溶性担体を取得する工程と、前記第一の官能基に対しヒトFcγRIIIa免疫グロブリン結合性タンパク質を固定化可能な第二の官能基を導入する工程と、前記第二の官能基を介して前記ヒトFcγRIIIaを固定化させる工程とを含む方法で免疫グロブリン吸着剤を製造する際、実施例1から3に記載の条件、すなわち第一の官能基の導入量を不溶性担体1gあたり50μmol以上100μmol以下とし、かつ第二の官能基の導入量を不溶性担体1gあたり5.0μmol以上20μmol以下とすることで、リガンド固定化ゲルあたりの免疫グロブリン(抗体)吸着量が向上することが示唆される。
【0053】
【表1】
【配列表】
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