(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014257
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/10 20060101AFI20240125BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240125BHJP
G01B 11/02 20060101ALI20240125BHJP
G03B 27/50 20060101ALI20240125BHJP
G06T 7/60 20170101ALI20240125BHJP
【FI】
H04N1/10
H04N1/00 F
G01B11/02 H
G03B27/50 A
G06T7/60 180B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116950
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】早坂 仁志
【テーマコード(参考)】
2F065
5C062
5C072
5L096
【Fターム(参考)】
2F065AA22
2F065BB01
2F065CC02
2F065DD03
2F065FF04
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065MM02
2F065QQ31
5C062AA05
5C062AB20
5C062AB25
5C062AB38
5C062AB41
5C062AB42
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC02
5C062AC05
5C062AC58
5C072AA01
5C072BA05
5C072BA20
5C072CA02
5C072DA02
5C072DA04
5C072EA05
5C072EA06
5C072EA08
5C072LA02
5C072LA11
5C072MA01
5C072MB01
5C072RA04
5L096BA07
5L096CA14
5L096FA03
5L096FA32
5L096FA33
5L096FA66
(57)【要約】
【課題】読取対象物上の互いに対向して平行に形成される2つの線分間の距離(寸法)に関する詳細な情報を得る。
【解決手段】読取対象物Rの画像情報を取得する画像取得手段210を有する画像読取装置であって、前記画像取得手段が取得した画像情報に基づいて、前記読取対象物上の互いに対向して平行に形成される2つの線分RA,RBのうちの一方の線分RA上における互いに異なる2箇所以上の各地点A1,A2,・・・,Anと、該各地点にそれぞれ対応する他方の線分RB上の各地点B1,B2,・・・,Bnとの間の距離L1,L2,・・・,Lnを算出し、算出した各距離から得られる測定結果を出力する測定手段を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象物の画像情報を取得する画像取得手段を有する画像読取装置であって、
前記画像取得手段が取得した画像情報に基づいて、前記読取対象物上の互いに対向して平行に形成される2つの線分のうちの一方の線分上における互いに異なる2箇所以上の各地点と、該各地点にそれぞれ対応する他方の線分上の各地点との間の距離を算出し、算出した各距離から得られる測定結果を出力する測定手段を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置において、
前記測定結果は、前記2つの線分間の平均距離及び距離ばらつきのうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像読取装置において、
前記読取対象物の前記2つの線分間における目標距離情報と前記測定結果とから、前記読取対象物の前記2つの線分間の距離の許否判定を行う判定手段を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像読取装置において、
前記判定手段の判定結果を出力する出力手段を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項3に記載の画像読取装置において、
前記判定手段の判定結果が許容範囲内である場合に、前記測定手段により前記距離を算出する前記地点の数が増えるように変更する変更手段を有し、
前記測定手段は、前記変更手段が数を増やした各地点についての距離を算出し、前記測定結果を出力することを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の画像読取装置において、
前記測定手段により前記距離を算出する前記地点の数を変更する変更手段を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像読取装置において、
前記変更手段は、前記2つの線分について前記測定手段が過去に出力した測定結果に応じて、前記地点の数を変更することを特徴とする画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、読取対象物の画像情報を取得する画像取得手段を有する画像読取装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、コンタクトガラス上に載置された直方体状の立体物(読取対象物)の画像情報を取得する画像読取装置が開示されている。この画像読取装置は、読み取った立体物の画像情報から、当該立体物の直方体各辺の寸法(互いに対向して平行に形成される2つの線分(2つの辺)間の距離)を測定する測定手段を備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の画像読取装置では、読取対象物の寸法を測定するにあたり、読取対象物上の互いに対向して平行に形成される2つの線分間の距離(寸法)については、詳細な情報を得ることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、読取対象物の画像情報を取得する画像取得手段を有する画像読取装置であって、前記画像取得手段が取得した画像情報に基づいて、前記読取対象物上の互いに対向して平行に形成される2つの線分のうちの一方の線分上における互いに異なる2箇所以上の各地点と、該各地点にそれぞれ対応する他方の線分上の各地点との間の距離を算出し、算出した各距離から得られる測定結果を出力する測定手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、読取対象物上の互いに対向して平行に形成される2つの線分間の距離(寸法)に関する詳細な情報を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態における画像形成装置の構成の一例を示す模式図。
【
図3】同画像形成装置の画像読取部における走査読取ユニットの駆動系の構成を示す説明図。
【
図4】同走査読取ユニットの光学系の構成を示す説明図。
【
図5】同画像形成装置の画像読取部におけるコンタクトガラスに載置された立体物を上方から見たときの説明図。
【
図6】実施形態における寸法測定処理の流れの一例を示すフローチャート。
【
図7】読み取った画像情報に基づく立体物の画像を示す説明図。
【
図8】変形例における寸法測定処理の流れの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る画像読取装置を、電子写真方式の画像記録手段を備えた画像形成装置の画像読取部に適用した一実施形態について説明する。
なお、本実施形態における画像読取装置は、画像形成装置に搭載される例で説明するが、画像形成装置とは別の装置に搭載されるものであったり、画像読取装置単体のものであったりしてもよい。
【0009】
本実施形態における画像形成装置は、電子写真方式の画像形成部を備える画像形成装置であるが、インクジェット方式などの他の画像形成方式の画像形成部を備えるものであってもよい。また、本実施形態の画像形成装置は、画像形成部が4つの感光体を備える中間転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であるが、他のカラー画像形成装置やモノクロ画像形成装置であってもよい。以下の説明において、Y、M、C、Kは、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、黒用の部材であることを示す。
【0010】
図1は、本実施形態における画像形成装置の構成の一例を示す模式図である。
図2は、本実施形態の画像形成装置の外観を示す斜視図である。
本実施形態の画像形成装置1は、画像記録手段としての画像形成部100と、画像読取装置としての画像読取部200とを備えている。また、画像形成装置1は、ユーザー等の指示操作を受け付ける操作パネル2なども備えている。
【0011】
画像形成部100は、記録材である用紙P上に画像を記録(形成)するものである。本実施形態の画像形成部100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の色ごとの作像部10Y,10M,10C,10Kが中間転写体としての中間転写ベルト31の回転方向に沿って配列されたタンデム型の画像形成装置である。各作像部10Y,10M,10C,10Kは、それぞれ、潜像担持体としての感光体11Y,11M,11C,11Kを備えている。
【0012】
また、各作像部10Y,10M,10C,10Kは、感光体11Y,11M,11C,11Kの周囲に、感光体表面を一様に所定電位に帯電する帯電手段としての帯電装置を備えている。また、各作像部10Y,10M,10C,10Kは、感光体11Y,11M,11C,11Kの周囲に、帯電装置によって一様に帯電された感光体表面上に画像情報に応じて露光して静電潜像を書き込む静電潜像形成手段としての光書込装置を備えている。また、各作像部10Y,10M,10C,10Kは、感光体11Y,11M,11C,11Kの周囲に、感光体上の静電潜像にそれぞれの色(Y、M、C、K)のトナーを付着させる現像処理によりトナー像を作成する現像手段としての現像装置を備えている。また、各作像部10Y,10M,10C,10Kは、感光体11Y,11M,11C,11Kの周囲に、感光体上のトナー像を中間転写ベルト31上に転写する一次転写手段としての一次転写装置を備えている。また、各作像部10Y,10M,10C,10Kは、感光体11Y,11M,11C,11Kの周囲に、感光体上の転写残トナーを除去してクリーニングするクリーニング手段としてのクリーニング装置を備えている。
【0013】
各感光体11Y,11M,11C,11K上に形成された各色トナー像は、一次転写装置によって、中間転写ベルト31上に互いに重なり合うように一次転写され、中間転写ベルト31上にカラートナー像が形成される。中間転写ベルト31上のカラートナー像は、中間転写ベルト31の回転に伴って二次転写装置30との対向領域(二次転写領域)へと搬送される。
【0014】
一方、画像形成部100の下部には、用紙Pを給送する給送部としての用紙給紙部60が設けられている。本実施形態の用紙給紙部60は、上段、中段、下段の3つの給紙トレイ60A,60B,60Cから構成されている。用紙給紙部60は、画像形成部100の制御部500からの指示に従って選択されるいずれかの給紙トレイ60A,60B,60Cからピックアップローラ61により用紙Pを1枚ずつ給紙する。そして、図中破線で示す搬送経路に沿って、搬送ローラ対62により二次転写領域へと用紙Pが搬送される。
【0015】
中間転写ベルト31上のカラートナー像は、二次転写領域において、所定のタイミングで搬送ローラ対62により搬送されてくる用紙P上に、二次転写装置30により二次転写される。カラートナー像が形成された用紙Pは、その後、定着手段としての定着装置40へと搬送され、熱と圧力の作用により、カラートナー像が用紙P上に定着される。定着後の用紙Pは、図中破線で示す搬送経路に沿って搬送され、排出部としての排紙トレイ50へと排出される。
【0016】
画像読取部200は、載置面部材であるコンタクトガラス201の載置面(上面)上に載置された読取対象物である原稿Gや後述する立体物Rの画像情報を読み取るものであり、画像形成部100の上方に配置されている。本実施形態の画像読取部200は、コンタクトガラス201の載置面(上面)に沿って走査してコンタクトガラス201上に載置された原稿Gの下側からの画像情報を取得する走査画像取得手段としての走査読取ユニット210を備えている。また、本実施形態の画像読取部200は、コンタクトガラス201の載置面上に載置された読取対象物である原稿Gを上側から撮像して原稿Gの上側からの画像情報を取得する撮像手段としての撮像ユニット220を備えている。
【0017】
画像読取部200には、コンタクトガラス201に対して開閉可能で、コンタクトガラス201上に載置される原稿Gをコンタクトガラス201の上面へ押さえ付ける押さえ部材としての圧板202が設けられている。圧板202は、装置背面側に設置された圧板ヒンジ203によって開閉可能に支持されている。また、圧板202の装置正面側には、ユニットヒンジ204を介して撮像ユニット220が設置されている。
【0018】
走査読取ユニット210のみを用いて(撮像ユニット220を用いずに)、原稿Gの画像情報(下側からの画像情報)を取得する場合、コンタクトガラス201上に原稿Gをセットして圧板202を閉じ、取得動作を行う。一方、撮像ユニット220を用いて(走査読取ユニット210も用いる場合を含む)、原稿Gの画像情報(上側からの画像情報)を取得する場合、コンタクトガラス201上に原稿Gをセットし、圧板202を開いた状態で、取得動作(撮像動作)を行う。また、後述する立体物Rの画像情報を取得する場合には、コンタクトガラス201上に立体物Rを載置し、圧板202を開いた状態で、取得動作(撮像動作)を行う。
【0019】
図3は、本実施形態における走査読取ユニット210の駆動系の構成を示す説明図である。
【0020】
走査読取ユニット210は、装置左右方向(
図1中左右方向。以下「X方向」とする。)に沿って走行するキャリッジ211を備えている。キャリッジ211は、
図3に示すように、駆動源であるモータ215の駆動力により、モータ215のモータ軸上に取り付けられるプーリ216a~216d及びタイミングベルト217a~217cを介して駆動される構成となっている。キャリッジ211は、タイミングベルト217cに取り付けられ、かつ、X方向に沿って延びるガイドロッド218にも摺動部材211aを介して取り付けられている。モータ215の駆動力によりタイミングベルト217a~217cが駆動されると、キャリッジ211は、ガイドロッド218に沿って、X方向に走行する。
【0021】
図4は、本実施形態における走査読取ユニット210の光学系の構成を示す説明図である。
キャリッジ211には、光源と、ミラー212a~212eと、レンズ213と、読取センサ214とが搭載されている。走査読取ユニット210により原稿Gや立体物Rの画像情報を取得する場合、キャリッジ211が走行を開始し、キャリッジ211に設けられた光源から光が発射される。そして、原稿Gや立体物Rの下面からの反射光は、キャリッジ211上のミラー212a~212eで反射し、レンズ213を通過した後、読取センサ214に入射する。読取センサ214は、入射光に基づいて原稿Gや立体物Rの下面の画像情報を構築し、画像情報を制御部500へ送る。読取センサ214は、CCDやCMOSなどのイメージセンサなどで構成される。
【0022】
撮像ユニット220は、CCDやCMOSなどのイメージセンサを搭載し、撮像領域からの光をイメージセンサで受光して画像情報を生成し、画像情報を制御部500へ送る。本実施形態の撮像ユニット220は、圧板202に設けられ、圧板202の開き角度を変更することで、コンタクトガラス201に対する撮像ユニット220の位置(特に、コンタクトガラス201と撮像ユニット220との距離)を変えることができる。圧板202を所定角度に開いた状態とすることで、撮像ユニット220はコンタクトガラス201に対して予め決められた規定位置をとり、コンタクトガラス201の全体エリアの画像を撮像できるように設定されている。
【0023】
次に、画像読取部200により取得した画像情報を用いて、読取対象物である立体物(三次元物体)の寸法測定処理を行う例について説明する。
寸法測定処理は、例えば、設計通り(図面通り)の寸法で部品が製作されているかどうかを確認するために行われる。ここでは説明の簡略化のため、測定対象の立体物Rが直方体である場合を例に挙げて説明するが、互いに対向して平行に形成される2つの線分を含む立体物であれば、その形状に限定されるものではない。
【0024】
また、以下の説明では、走査読取ユニット210を用いて(撮像ユニット220を用いずに)、コンタクトガラス201上に載置した立体物Rの画像情報(下側からの画像情報)を取得して寸法測定処理を行う例で説明する。なお、撮像ユニット220を用いて立体物の画像情報を取得して寸法測定処理を行う場合も、基本動作は同様であるので、説明は省略する。
【0025】
図5は、コンタクトガラス201に載置された読取対象物である立体物Rを上方から見たときの説明図である。
本実施形態では、直方体である立体物Rの底面の互いに対向する2辺(互いに対向して平行に形成される2つの線分)RA,RBの距離(寸法)を測定する。
【0026】
従来、立体物Rの底面の2辺RA,RB間の距離(寸法)を測定する場合、例えば、当該2辺RA,RBと直交する2つの辺RC,RDのうちのいずれかの辺(線分)の長さを測定し、この長さを当該2辺RA,RB間の距離(寸法)として得る。この場合、当該2辺RA,RB間の距離(寸法)として得られる情報は、当該2辺RA,RBの一端部の間の距離であり、当該一端部以外の地点、例えば、当該2辺RA,RBの中間地点については、距離を得ることができない。その結果、例えば、当該2辺RA,RB間における辺全域の平均距離、当該2辺RA,RB間における辺全域にわたる距離ばらつき(最大値と最小値との差、分散、標準偏差等)、当該2辺RA,RBの直線度合いなどの、当該2辺RA,RB間の距離(寸法)に関する詳細な情報を得ることができない。
【0027】
そこで、本実施形態においては、立体物Rの2辺RA,RB間における2以上の箇所の距離を算出し、算出した各距離から当該2辺RA,RB間の距離に関する測定結果を得る。より詳しくは、
図5に示すように、立体物Rの2辺RA,RBのうちの一方の辺RA上における互いに異なる2箇所以上の各地点A1~A4と、これらの各地点A1~A4にそれぞれ対応する他方の辺RB上の各地点B1~B4との間の距離L1~L4を算出し、算出した各距離L1~L4から、当該2辺RA,RB間における平均距離Laveや距離ばらつきLεなどの測定結果を得る。
【0028】
図6は、本実施形態における寸法測定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、ユーザーは、圧板202を所定角度まで開き、コンタクトガラス201上に読取対象物である立体物Rをセットする。そして、ユーザーは、操作パネル2を操作して、測定モード(例えば高精度モードか低精度モードか)の選択等の寸法測定条件などを入力し、寸法測定処理の開始の指示を行う。これにより、制御部500は、走査読取ユニット210を用いて、コンタクトガラス201上の立体物Rの画像情報を取得するスキャン動作が開始される(S1)。
【0029】
スキャン動作が完了したら、制御部500は、取得した画像情報に基づいて立体物Rの画像を操作パネル2上に表示させ、ユーザーに寸法を測定したい箇所(以下「測定部」という。)、すなわち、互いに対向して平行に形成される2つの線分(ここでは2つの辺RA,RB)を指定させる(S2)。
【0030】
測定部の指定方法は、読み取った立体物Rの画像が表示された操作パネル2を操作してユーザーが指定する方法であってもよいし、他の方法であってもよい。例えば、事前に、測定部を示す画像が表示されたシート(設計図面など)をコンタクトガラス201上にセットして、走査読取ユニット210又は撮像ユニット220により当該シートの画像情報を取得し、その画像情報から測定部を特定するという方法であってもよい。この場合、測定部をユーザーが指定する操作を省くことができる。
【0031】
次に、制御部500は、指定された測定部(2つの辺RA,RB間)に対し、どの箇所(測定箇所)の距離を算出するかを決定する(S3)。測定箇所の決定は、例えば、ユーザーが操作パネル2を操作して選択した測定モードに対応して、測定箇所を決定する。具体的には、測定モードが高精度モードである場合には、測定モードが低精度モードよりも多い数の測定箇所が決定され、測定モードが低精度モードである場合には、測定モードが高精度モードよりも少ない数の測定箇所が決定される。
【0032】
図7は、読み取った画像情報に基づく立体物Rの画像を示す説明図である。
図7に示す例は、立体物Rの画像における測定部(2つの辺RA,RB間)に対し、5個の測定地点が設定されている。ここで、測定地点の個数を「N」とし、測定箇所を「An」(n=1~N)とし、測定箇所を設定する範囲(測定範囲)(ここでは、辺RA,RBの長さ)を「E」とし、測定箇所の間隔(測定間隔)を「F」とし、測定範囲Eの基準点の座標を(x0,y0)とする。
【0033】
測定箇所の決定方法の一例としては、測定モードごとに予め測定箇所の個数が決定され、ユーザーにより選択された測定モードに対応する個数分の測定箇所を、指定された測定部(2つの辺RA,RB)に等間隔で配置する方法が挙げられる。例えば、高精度モードにおける測定箇所の個数Nを予め50個(固定値)とし、低精度モードにおける測定箇所の個数Nを予め5個(固定値)としておく。この場合、制御部500は、測定モードに応じて、測定箇所の個数を変更する変更手段として機能し、測定間隔Fを以下の式(1)より算出し、測定箇所Anを以下の式(2)より算出する。
F = E/(N-1) ・・・(1)
An= x0 + F×(n-1) ・・・(2)
【0034】
なお、測定範囲Eについては、例えば、読み取った立体物Rの画像情報から、測定部である辺RA,RB間を結ぶ垂直線分である辺RC又はRDの長さを算出し、これを測定範囲Eとする。
【0035】
測定箇所の決定方法の他の例としては、測定箇所の個数については固定値とせず、測定範囲Eに対する測定箇所の個数の比率(以下「測定比率」という。)Pを固定値とする方法が挙げられる。例えば、高精度モードにおける測定比率Pを予め50%(固定値)とし、低精度モードにおける測定比率Pを予め5%(固定値)としておく。この場合、制御部500は、測定箇所の個数を変更する変更手段として機能し、測定箇所の個数Nを、以下の式(3)より算出する。なお、測定間隔Fの算出式は上述した式(1)を用いることができ、測定箇所Anの算出式は上述した式(2)を用いることができる。
N = E × P ・・・(3)
【0036】
以上のようにして測定箇所Anが決定されたら、次に、制御部500は、辺RA上の各測定箇所An(A1,A2,・・・,AN)とこれに対応する辺RB上の各地点Bn(B1,B2,・・・,BN)との間の距離L1,L2,・・・,LNを、読み取った立体物Rの画像情報から算出する(S4)。この算出では、例えば、両箇所An,Bn間における画素数を距離単位に変換する。その後、制御部500は、算出した距離L1,L2,・・・,LNから、測定部である2辺RA,RB間における平均距離(平均寸法)Lave、距離ばらつき(寸法ばらつき)として最大値と最小値との差Lεなどの測定結果を算出する。
【0037】
制御部500は、判定手段として機能し、このようにして算出した測定結果Lave,Lεを、読取対象物である立体物Rの当該2辺RA,RB間の距離に関する目標距離情報である設計値(寸法)LT及び公差LεTと比較する(S5)。なお、これらの設計値LTや公差LεTは、予め取得して記憶部に記憶しておく。そして、制御部500は、この比較結果から、この立体物Rの当該2辺RA,RB間の距離(寸法)についての許否判定として、立体物Rである部品の良否判定を行う(S6)。
【0038】
制御部500は、測定結果の平均距離(平均寸法)Laveが、例えば、設計値(寸法)LTの所定誤差範囲内であれば許容範囲内であると判断し、設計値(寸法)LTの所定誤差範囲外であれば許容範囲外であると判断する。また、制御部500は、測定結果の距離ばらつき(寸法ばらつき)Lεが、公差LεTの範囲内であれば許容範囲内であると判断し、公差LεTの範囲外であれば許容範囲外であると判断する。
【0039】
その後、制御部500は、判定の結果を、出力手段としての操作パネル2に表示させて(S7)、ユーザーに報知する。具体的には、例えば、測定結果の平均距離(平均寸法)Laveと距離ばらつき(寸法ばらつき)Lεがいずれも許容範囲内であると判断した場合、操作パネル2には、立体物Rが「良品」である旨の判定結果を表示する。一方、例えば、測定結果の平均距離(平均寸法)Laveと距離ばらつき(寸法ばらつき)Lεのいずれかが許容範囲外であると判断した場合、操作パネル2には、立体物Rが「不良品」である旨の判定結果を表示する。
【0040】
判定結果の出力方法としては、そのほか、例えば、画像形成部100により用紙Pに出力したり、装置内部の記憶装置に記憶したり、出力インターフェースを介して外部装置へ送信したりする方法を用いてもよい。
【0041】
〔変形例〕
次に、上述した実施形態における寸法測定処理の一変形例について説明する。
上述した実施形態では、同じ測定モードで同じ測定部(2つの辺RA,RB間)を測定する場合、測定箇所の個数は固定されるが、本変形例では、この場合でも、測定結果の判定の結果に応じて測定箇所の個数を変更する。
【0042】
図8は、本変形例における寸法測定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
制御部500は、まず、コンタクトガラス201上の立体物Rの画像情報を取得するスキャン動作を開始し(S11)、スキャン動作が完了したら、上述した実施形態と同様に、ユーザーに寸法を測定したい箇所(測定部)を指定させる(S12)。その後、制御部500は、指定された測定部(2つの辺RA,RB間)に対し、どの箇所(測定箇所)の距離を算出するかを決定するにあたり、まず、測定地点の個数Nを、予め決められた最小値N
MINに設定する(S13)。この最小値N
MINは、測定結果を算出するうえで、あるいは、判定結果を得るうえで、必要最小限の測定地点の個数である。
【0043】
次に、制御部500は、現在設定されている測定地点の個数Nが、最大値NMAXを超えていないかどうかを判断する(S14)。この最大値NMAXは、これ以上に測定地点の個数を増やしても測定結果が変わらない又は判定結果が変わらないとして、設定される測定地点の個数の最大数である。
【0044】
制御部500は、現在設定されている測定地点の個数Nが最大値NMAXを超えていない間は(S14のYes)、上述した実施形態と同様、現在設定されている測定地点の個数Nに基づき、上述した各式を用いて、測定箇所An(A1,A2,・・・,AN)の決定を行う(S15)。そして、制御部500は、辺RA上の各測定箇所An(A1,A2,・・・,AN)とこれに対応する辺RB上の各地点Bn(B1,B2,・・・,BN)との間の距離L1,L2,・・・,LNを、読み取った立体物Rの画像情報から算出する(S16)。
【0045】
その後、制御部500は、算出した距離L1,L2,・・・,LNから、測定部である2辺RA,RB間における平均距離(平均寸法)Lave、距離ばらつき(寸法ばらつき)Lεなどの測定結果を算出する。そして、制御部500は、このように算出した測定結果Lave,Lεを、立体物Rの当該2辺RA,RB間の距離に関する目標距離情報である設計値(寸法)LT及び公差LεTと比較する(S17)。
【0046】
そして、制御部500は、この比較結果から、この立体物Rの当該2辺RA,RB間の距離(寸法)についての許否判定として、立体物Rである部品の良否判定を行う(S18)。具体的には、上述した実施形態と同様、測定結果の平均距離(平均寸法)Laveと距離ばらつき(寸法ばらつき)Lεがいずれも許容範囲内であると判断した場合、立体物Rが「良品」であると判定する。一方、測定結果の平均距離(平均寸法)Laveと距離ばらつき(寸法ばらつき)Lεのいずれかが許容範囲外であると判断した場合には、立体物Rが「不良品」であると判定する。
【0047】
この判定結果を受けて、制御部500は、立体物Rが「不良品」であると判定した場合(S19のNo)、立体物Rが「不良品」である旨の判定結果を操作パネル2に表示して(S21)、ユーザーに報知する。
【0048】
一方、制御部500は、立体物Rが「良品」であると判定した場合(S19のYes)、変更手段として機能し、測定箇所の個数Nを所定数だけ増やす(S20)。そして、増やした測定箇所の個数Nに基づいて、再び、測定箇所An(A1,A2,・・・,AN)の決定から良否判定までの処理を実行し(S14~S18)、立体物Rが「不良品」であるとの判定結果が出れば(S19のNo)、立体物Rが「不良品」である旨の判定結果を操作パネル2に表示して(S21)、ユーザーに報知する。
【0049】
このような処理を繰り返し実行して、増やしていった測定地点の個数Nが最大値NMAXを超えたとき(S14のNo)、立体物Rが「良品」である旨の判定結果を操作パネル2に表示して(S21)、ユーザーに報知する。
【0050】
測定結果の平均距離(平均寸法)Laveが設計値(寸法)LTの所定誤差範囲内であるかどうかの比較結果や、測定結果の距離ばらつき(寸法ばらつき)Lεが公差LεTの範囲内であるかどうかの比較結果は、測定箇所の位置や個数によって変わってくる。本変形例によれば、測定箇所の個数を段階的に増やしていき、最後まで「良品」であるとの判定結果が得られた場合に「良品」である旨の判定結果が出力される。したがって、本来は「不良品」である部品について、「良品」であるとの誤った判定結果が出力されることを抑制することができ、より正確な良否判定(許否判定)を行うことができる。
【0051】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[第1態様]
第1態様は、読取対象物(例えば立体物R)の画像情報を取得する画像取得手段(例えば走査読取ユニット210)を有する画像読取装置(例えば画像読取部200)であって、前記画像取得手段が取得した画像情報に基づいて、前記読取対象物上の互いに対向して平行に形成される2つの線分(例えば2つの辺RA,RB)のうちの一方の線分(例えば辺RA)上における互いに異なる2箇所以上の各地点A1,A2,・・・,Anと、該各地点にそれぞれ対応する他方の線分(例えば辺RB)上の各地点B1,B2,・・・,Bnとの間の距離L1,L2,・・・,Lnを算出し、算出した各距離から得られる測定結果(例えば平均距離(平均寸法)Lave、距離ばらつき(寸法ばらつき)Lε)を出力する測定手段(例えば制御部500)を有することを特徴とするものである。
従来、読取対象物の画像情報から読取対象物の寸法を測定する場合、読取対象物上の互いに対向して平行に形成される2つの線分間の距離(寸法)については、当該2つの線分と直交する1つの線分の長さを算出し、この長さを当該2つの線分間の距離(寸法)とする。そのため、当該2つの線分間の距離(寸法)として得られる情報は、長さが算出される1つの線分と交差する当該2つの線分上の各地点間の距離、すなわち、当該2つの線分間における1点の距離のみであった。その結果、例えば、互いに対向して平行に形成される2つの線分全体の平均距離、当該2つの線分全体における距離ばらつき、当該2つの線分の直線度合いなどの、当該2つの線分間の距離(寸法)に関する詳細な情報を得ることができなかった。
本態様においては、読取対象物上の互いに対向して平行に形成される2つの線分のうちの一方の線分上における互いに異なる2箇所以上の各地点と、該各地点にそれぞれ対応する他方の線分上の各地点との間の距離を算出し、算出した各距離から測定結果を得る。これによれば、当該2つの線分間の距離(寸法)として得られる情報として、当該2つの線分間における2点以上の距離の情報が得られる。したがって、当該2つの線分間における1点の距離のみの情報しか得られなかった従来では得られない、当該2つの線分間の距離(寸法)に関する詳細な情報を得ることが可能となる。
【0052】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記測定結果は、前記2つの線分間の平均距離Lave及び距離ばらつきLεのうちの少なくとも一方を含むことを特徴とするものである。
これによれば、当該2つの線分間の平均距離Lave及び距離ばらつきLεのうちの少なくとも一方の情報を得ることができる。
【0053】
[第3態様]
第3態様は、第1又は第2態様において、前記読取対象物の前記2つの線分間における目標距離情報(例えば設計値(寸法)LT、公差LεT)と前記測定結果とから、前記読取対象物の前記2つの線分間の距離の許否判定を行う判定手段(例えば制御部500)を有することを特徴とするものである。
これによれば、当該2つの線分間における目標距離情報と比較して測定結果が許容範囲内であるか否かの許否判定の結果を得ることができる。
【0054】
[第4態様]
第4態様は、第3態様において、前記判定手段の判定結果を出力する出力手段(例えば操作パネル2)を有することを特徴とするものである。
これによれば、上述した許否判定の結果を出力して、ユーザー等に報知することが可能となる。
【0055】
[第5態様]
第5態様は、第3又は第4態様において、前記判定手段の判定結果が許容範囲内である場合に、前記測定手段により前記距離を算出する前記地点の数が増えるように変更する変更手段(例えば制御部500)を有し、前記測定手段は、前記変更手段が数を増やした各地点についての距離を算出し、前記測定結果を出力することを特徴とするものである。
これによれば、上述した変形例で述べたように、より正確な許否判定の結果を得ることができる。
【0056】
[第6態様]
第6態様は、第1乃至第4態様のいずれかにおいて、前記測定手段により前記距離を算出する前記地点の数を変更する変更手段を有することを特徴とするものである。
これによれば、当該2つの線分間の距離(寸法)に関する詳細な情報を、より適切に得ることが可能となる。
【0057】
[第7態様]
第7態様は、第6態様において、前記変更手段は、前記2つの線分について前記測定手段が過去に出力した測定結果に応じて、前記地点の数を変更することを特徴とするものである。
これによれば、上述した変形例で述べたように、より正確な許否判定の結果を得ることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 :画像形成装置
2 :操作パネル
10 :作像部
11 :感光体
30 :二次転写装置
31 :中間転写ベルト
40 :定着装置
50 :排紙トレイ
60 :用紙給紙部
100 :画像形成部
200 :画像読取部
201 :コンタクトガラス
202 :圧板
203 :圧板ヒンジ
204 :ユニットヒンジ
210 :走査読取ユニット
211 :キャリッジ
211a :摺動部材
212a~212e:ミラー
213 :レンズ
214 :読取センサ
215 :モータ
216a~216d:プーリ
217a~217c:タイミングベルト
218 :ガイドロッド
220 :撮像ユニット
500 :制御部
R :立体物
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】