(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142602
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】光源及びその駆動方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/00 20100101AFI20241003BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20241003BHJP
【FI】
H01L33/00 J
H01L33/50
H01L33/00 H
H01L33/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054809
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】秋元 肇
(72)【発明者】
【氏名】藤原 尚人
(72)【発明者】
【氏名】森川 武
(72)【発明者】
【氏名】堀 彰良
【テーマコード(参考)】
5F142
5F241
【Fターム(参考)】
5F142AA22
5F142AA26
5F142AA56
5F142AA84
5F142BA02
5F142BA03
5F142BA32
5F142CA11
5F142CA13
5F142CB22
5F142CD02
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5F142CD47
5F142CG03
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5F241BB32
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5F241BB42
5F241BC03
5F241BC04
5F241BD02
5F241BD08
5F241FF11
(57)【要約】
【課題】低コストで所望の色度が得られる光源及びその駆動方法を提供すること。
【解決手段】光源は、基板と、前記基板上に配置された第1発光素子及び第2発光素子とを有する発光装置と、前記発光装置を駆動する電流を供給する駆動回路と、前記第1発光素子のみに電流を供給する第1状態と、前記第2発光素子のみに電流を供給する第2状態と、を切り替えるスイッチと、前記スイッチの動作のタイミングを制御するタイミングコントローラと、を備え、前記第1発光素子の発光ピーク波長が430nm以上490nm未満の範囲であり、前記第2発光素子の発光ピーク波長が490nm以上570nm未満の範囲であり、前記第2発光素子の順方向電圧は、前記第1発光素子の順方向電圧よりも低い。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上に配置された第1発光素子及び第2発光素子とを有する発光装置と、
前記発光装置を駆動する電流を供給する駆動回路と、
前記第1発光素子のみに電流を供給する第1状態と、前記第2発光素子のみに電流を供給する第2状態と、を切り替えるスイッチと、
前記スイッチの動作のタイミングを制御するタイミングコントローラと、
を備え、
前記第1発光素子の発光ピーク波長が430nm以上490nm未満の範囲であり、前記第2発光素子の発光ピーク波長が490nm以上570nm未満の範囲であり、
前記第2発光素子の順方向電圧は、前記第1発光素子の順方向電圧よりも低い、光源。
【請求項2】
前記第1発光素子および前記第2発光素子の上方に位置し、波長変換部材を含有する透光性部材をさらに備える、請求項1に記載の光源。
【請求項3】
前記基板は、第1方向に延びる短辺と、前記第1方向に直交する第2方向に延びる長辺とによって規定される長方形状を有する上面を有し、
前記第1発光素子及び前記第2発光素子は、前記第1方向に沿って前記基板上に配置されている、請求項1または2に記載の光源。
【請求項4】
前記発光装置を支持する支持基板をさらに備え、
前記第1方向において、前記第1発光素子及び前記第2発光素子のうちの一方は、他方と前記支持基板との間に位置する、請求項3に記載の光源。
【請求項5】
複数の前記発光装置が、前記第2方向に沿って前記支持基板上に配置され、
前記複数の発光装置の複数の前記第1発光素子は直列接続され、
前記複数の発光装置の複数の前記第2発光素子は直列接続されている、請求項4に記載の光源。
【請求項6】
請求項1または2に記載の光源の駆動方法であって、
前記第1状態の第1期間の長さと、前記第2状態の第2期間の長さとを異ならせる、駆動方法。
【請求項7】
請求項1または2に記載の光源の駆動方法であって、
前記第1状態において前記駆動回路が出力する第1電流値の大きさと、前記第2状態において前記駆動回路が出力する第2電流値の大きさとを異ならせる、駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光源及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1は、異なる色の光を発する複数のLEDチップを備えたLEDモジュールを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、低コストで所望の色度が得られる光源及びその駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、光源は、基板と、前記基板上に配置された第1発光素子及び第2発光素子とを有する発光装置と、前記発光装置を駆動する電流を供給する駆動回路と、前記第1発光素子のみに電流を供給する第1状態と、前記第2発光素子のみに電流を供給する第2状態と、を切り替えるスイッチと、前記スイッチの動作のタイミングを制御するタイミングコントローラと、を備え、前記第1発光素子の発光ピーク波長が430nm以上490nm未満の範囲であり、前記第2発光素子の発光ピーク波長が490nm以上570nm未満の範囲であり、前記第2発光素子の順方向電圧は、前記第1発光素子の順方向電圧よりも低い。
【0006】
本開示の一態様によれば、光源の駆動方法は、前記第1状態の第1期間の長さと、前記第2状態の第2期間の長さとを異ならせる。
【0007】
本開示の一態様によれば、光源の駆動方法は、前記第1状態において前記駆動回路が出力する第1電流値の大きさと、前記第2状態において前記駆動回路が出力する第2電流値の大きさとを異ならせる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、低コストで所望の色度が得られる光源及びその駆動方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2A】実施形態による光源の駆動方法における駆動電流のタイミングチャートである。
【
図2B】実施形態による光源の駆動方法における駆動電流のタイミングチャートである。
【
図3】実施形態による発光装置の模式正面図である。
【
図4】実施形態による発光装置の模式斜視図である。
【
図5】実施形態による発光装置の模式斜視図である。
【
図6】実施形態による発光装置の複数視点からの模式図である。
【
図7】
図6のVII-VII断面を示す模式図である。
【
図8】
図6のVIII-VIII断面を示す模式図である。
【
図10】
図4及び
図5に示す発光装置から基板を取り出して示す模式平面図である。
【
図11】
図4及び
図5に示す発光装置から基板を取り出して示す模式斜視図である。
【
図12】
図10及び
図11に示す基板から基材及び絶縁層を取り除いた構造を示す模式斜視図である。
【
図13】実施形態による発光装置における下面配線の配置を説明するための模式背面図である。
【
図14】実施形態による発光装置における基材中の導電部の配置の例を説明するための模式背面図である。
【
図15】実施形態による発光装置における基板の模式背面図である。
【
図16】実施形態による発光装置における基板の他の例を示す模式背面図である。
【
図17】実施形態による発光装置の他の変形例を示す模式斜視図である。
【
図18】他の実施形態による光源の模式正面図である。
【
図19】
図18に示す光源を含むバックライトユニットの模式平面図である。
【
図20】
図18に示す4つの発光装置のうち、互いに隣り合う2つの発光装置を取り出して模式的に示す正面図である。
【
図21】他の実施形態による光源の駆動方法を説明するための模式図である。
【
図22】他の実施形態による光源の構成を示す模式図である。
【
図23】他の実施形態による光源の構成を示す模式図である。
【
図24】実施形態による発光装置における基板のさらに他の例を示す模式背面図である。
【
図25】
図9に示す導光部材の変形例を示す模式断面図である。
【
図26A】実施形態による発光装置の他の例を示す模式上面図である。
【
図26B】実施形態による発光装置の他の例を示す模式下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態は、例示であり、本開示による光源及びその駆動方法は、以下の実施形態に限られない。例えば、以下の実施形態で示される数値、形状、材料などは、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。以下に説明する各実施形態は、あくまでも例示であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の組み合わせが可能である。
【0011】
図面が示す構成要素の寸法、形状などは、分かりやすさのために誇張されている場合があり、実際の光源における寸法、形状および構成要素間の大小関係を反映していない場合がある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略して模式的に示すことがある。
【0012】
以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。以下の説明では、特定の方向または位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」およびそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向または位置を便宜的に示しているに過ぎない。それらの用語の使用は、本開示の光源の使用時の姿勢を限定する意図ではない。例えば、参照した図面における「上」、「下」などの用語による相対的な方向または位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品などにおいて、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。
【0013】
本開示において「平行」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面などが0°から±5°程度の範囲にある場合を含む。また、本開示において「垂直」または「直交」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面などが90°から±5°程度の範囲にある場合を含む。
【0014】
また、本開示の図面において、説明の便宜のために、X方向、Y方向、およびZ方向を示す矢印をあわせて図示している。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに直交する。また、本明細書では、Y方向を第1方向、X方向を第2方向、Z方向を第3方向と呼ぶことがある。
【0015】
[光源]
図1A及び
図1Bに示すように、実施形態による光源10は、発光装置100Aと、駆動回路210と、スイッチ240と、タイミングコントローラ220とを備える。
【0016】
図3に示すように、発光装置100Aは、基板130Aと、基板130A上に配置された第1発光素子121及び第2発光素子122とを有する。第1発光素子121及び第2発光素子122は、駆動回路210から供給される電流により発光するLED(Light Emitting Diode)素子である。第1発光素子121は、第1波長域に発光ピーク波長を有する。第2発光素子122は、第1波長域よりも長波長側の第2波長域に発光ピーク波長を有する。第1発光素子121の発光ピーク波長は430nm以上490nm未満の範囲であり、第1発光素子121は主に青色光を発光する青色LED素子である。第2発光素子122の発光ピーク波長は490nm以上570nm未満の範囲であり、第2発光素子122は主に緑色光を発光する緑色LED素子である。このような発光ピーク波長の選択によれば、発光スペクトルにおいて青色と緑色の波長域の両方に比較的に急峻なピークを含めることが可能になり、例えば表示装置のバックライトに適用した場合に、広い色域を実現し得る。また、後述する波長変換部材と組み合わせて、さらに広い色域を実現でき、発光装置100Aは白色光を発光することができる。発光装置100Aのその他の詳しい説明については後述する。
【0017】
駆動回路210は、発光装置100Aを駆動する電流を発光装置100Aに供給する。駆動回路210の一部は、例えば、LEDドライバICとして実現され得る。
図1A及び
図1Bに示すように、第1発光素子121及び第2発光素子122は、1つの駆動回路210に対して並列に接続されている。第1発光素子121のカソード及び第2発光素子122のカソードはともに接地されたカソードコモン接続となっている。なお、
図1A及び
図1Bに示すように、駆動回路210及びスイッチ240は第1発光素子121及び第2発光素子122のアノード側に配置されているが、第1発光素子121及び第2発光素子122のカソード側に配置されていてもよい。また、第1発光素子121及び第2発光素子122を直列に構成した場合でも、それぞれの発光素子の接続部にスイッチ240を設けて切り替えることで、1つの駆動回路210で同様に選択駆動することができる。
【0018】
スイッチ240は、配線11を介して第1発光素子121のアノードと接続された第1端子240aと、配線12を介して第2発光素子122のアノードと接続された第2端子240bと、駆動回路210と接続された第3端子240cとを有する。スイッチ240として、半導体素子を用いることができる。
【0019】
図1Aは、第1発光素子121が、スイッチ240を介して駆動回路210と電気的に接続された第1状態を示す。第1状態において、第1端子240aと第3端子240cとが電気的に接続され、駆動回路210から、スイッチ240及び配線11を介して、第1発光素子121のみに電流が供給され、第1発光素子121が発光する。第1状態において、駆動回路210から第2発光素子122に電流は供給されず、第2発光素子122は発光しない。
【0020】
図1Bは、第2発光素子122が、スイッチ240を介して駆動回路210と電気的に接続された第2状態を示す。第2状態において、第2端子240bと第3端子240cとが電気的に接続され、駆動回路210から、スイッチ240及び配線12を介して、第2発光素子122のみに電流が供給され、第2発光素子122が発光する。第2状態において、駆動回路210から第1発光素子121に電流は供給されず、第1発光素子121は発光しない。
【0021】
タイミングコントローラ220は、スイッチ240の動作のタイミングを制御する。すなわち、スイッチ240は、タイミングコントローラ220による制御で、第1状態と第2状態とを切り替える。第1状態と第2状態とが交互に繰り返される。また、タイミングコントローラ220は、駆動回路210の動作を制御することができる。タイミングコントローラ220としては、半導体素子を用いることができる。
【0022】
[光源の駆動方法]
図2A及び
図2Bを参照して、実施形態による光源の駆動方法について説明する。
【0023】
タイミングコントローラ220による制御でスイッチ240を第1状態と第2状態とに切り替えることで、第1発光素子121と第2発光素子122のそれぞれが発光する。制御の方法としては種々の方法が挙げられ、例えば以下の方法が挙げられる。
【0024】
タイミングコントローラ220による制御でスイッチ240を切り替えることにより、第1状態の第1期間tBの長さと、第2状態の第2期間tGの長さとを異ならせることができる。または、タイミングコントローラ220による制御でスイッチ240を切り替えることにより、第1状態の第1期間tBにおいて駆動回路210が第1発光素子121に供給する第1電流値IBの大きさと、第2状態の第2期間tGにおいて駆動回路210が第2発光素子122に供給する第2電流値IGの大きさとを異ならせることができる。
【0025】
例えば、
図2Aに示すように、第1電流値I
Bの大きさと、第2電流値I
Gの大きさとを異ならせ、第1状態の第1期間t
Bの長さと、第2状態の第2期間t
Gの長さとを等しくする(t
B=t
G)ことで、所望の色度の光を得ることができる。第1電流値I
Bの大きさは、例えば、24mAにすることができる。第2電流値I
Gの大きさは、例えば、16mAにすることができる。第1期間t
B及び第2期間t
Gは、例えば、0.02ミリ秒以上、5ミリ秒以下とすることができる。第1期間t
B及び第2期間t
Gは、より好ましくは、0.5ミリ秒以上、2ミリ秒以下とすることができる。このような期間とすることで、人間の目で見て白色光を発しているように認識できるバックライトに使用する光源とすることができる。
【0026】
例えば、
図2Bに示すように、第1電流値I
Bの大きさ及び第2電流値I
Gの大きさは等しくし(例えば、I
B=I
G=40mA)、第1状態の第1期間t
Bの長さ(例えば1.8ミリ秒)と、第2状態の第2期間t
Gの長さ(例えば1.2ミリ秒)とを異ならせることができる。例えば、第1期間t
Bと第2期間t
Gとの比(t
B:t
G)を、3:2とする例が挙げられる。例えば、第1期間t
Bに対する第2期間t
Gの比(t
G/t
B)は、0.2以上1以下とすることができる。比(t
G/t
B)は、より好ましくは、0.4以上0.8以下とすることができる。このように、第1期間t
Bと第2期間t
Gとを調整することで、所望の色度の光を得ることができる。また、第1期間t
Bおよび第2期間t
Gは、例えば、0.01ミリ秒以上、10ミリ秒以下とすることができる。このような期間とすることで、人間の目で見て白色光を発しているように認識できるバックライトに使用する光源とすることができる。
【0027】
また、第1電流値IBの大きさと第2電流値IGの大きさとを異ならせ、かつ、第1期間tBの長さと第2期間tGの長さとを異ならせてもよい。タイミングコントローラ220による制御で、駆動回路210は第1発光素子121及び第2発光素子122をPWM(Pulse Width Modulation)制御することができる。第1期間tBの長さと第2期間tGの長さはPWM制御で調整できる。
【0028】
光源が青色LED素子と緑色LED素子とを含み、青色LED素子と緑色LED素子とを直列に接続するとそれぞれに同じ電力が供給されるため、所望の色度が得られない。所望の色度を得るためには、青色LED素子と緑色LED素子とを個別に駆動させ得る必要がある。そしてその場合、青色LED素子の駆動用のドライバICと、緑色LED素子の駆動用のドライバICの2つの駆動回路を用意する必要がある。実施形態による光源10によれば、スイッチ240とタイミングコントローラ220を備えることで、1つの駆動回路210で、青色LED素子である第1発光素子121及び緑色LED素子である第2発光素子122の両方を駆動させることができる。これにより、光源10の小型化及び低コスト化が可能になる。また、第1発光素子121及び第2発光素子122のそれぞれの輝度の変化および/または周囲温度の変化によって、光源10の色度が変わることがある。光源10は、その輝度および/または周囲温度の変化に応じて、簡単に駆動条件を変更することができるので、所望の色度の白色光を容易に得ることができる。
【0029】
緑色LED素子及び青色LED素子の材料として、後述するように窒化ガリウム系材料が用いられ、一般的に、緑色LED素子の活性層におけるIn(インジウム)組成比は、青色LED素子の活性層におけるIn組成比よりも高い。これにより、緑色LED素子の発光時における順方向電圧VfGは、青色LED素子の発光時における順方向電圧VfBよりも高くなる傾向がある。この場合、上述したスイッチ240及びタイミングコントローラ220と組み合わせて用いる1つの駆動回路210として、順方向電圧のより高い緑色LED素子を駆動可能な駆動回路を用いれば、その駆動回路で青色LED素子も駆動することができる。しかし、順方向電圧のより高い緑色LED素子の駆動用のドライバICには、青色LED素子の駆動用のドライバICよりも高い耐圧が要求され、緑色LED素子の駆動用のドライバICは、青色LED素子の駆動用のドライバICよりも高価になりやすい。青色LED素子用のドライバICよりも高価な緑色LED素子用のドライバICを上述した駆動回路210として用いると、光源が高コストとなる。
【0030】
なお、緑色光の光子のエネルギーは青色光の光子のエネルギーよりも低いため、緑色LED素子の順方向電圧VfGを青色LED素子の順方向電圧VfBよりも低くすることは可能である。そこで本実施形態においては、特にエピタキシャル結晶成長プロセスを最適化させることによって作製され、一般の青色LED素子よりも順方向電圧を低減させた緑色LED素子を第2発光素子122として用い、一般的な青色LED素子を第1発光素子121として用いた。すなわち、緑色LED素子である第2発光素子122の順方向電圧VfGは、青色LED素子である第1発光素子121の順方向電圧VfBよりも低い。例えば、65A/cmにおける第1発光素子121の順方向電圧VfBは約3Vであるのに対して、65A/cmにおける第2発光素子122の順方向電圧VfGは約2.6Vにすることができた。これにより、青色LED素子向けに量産されている一般的なドライバICを、第1発光素子121及び第2発光素子122を駆動する駆動回路210として共用することができ、低コストで所望の色度が得られる光源とすることができる。
【0031】
<発光装置>
以下、実施形態による発光装置について詳細に説明する。
【0032】
図4および
図5は、本開示の実施形態による発光装置の外観の一例を示す。
図4および
図5に示す発光装置100Aは、X方向に長いおおむね直方体の形状を有する。発光装置100Aは、XY面に平行な正面100aを有している。発光装置100Aの正面100aは、Y方向と比較してX方向に長い長方形状を有する。発光装置100Aは、バックライト用の光源として、導光板の側面から導光板に光が入光する側面発光型の発光装置として用いることができる。
【0033】
発光装置100Aは、基板130Aと、光反射性部材140と、透光性部材150とを含む。後述するように、透光性部材150は、蛍光体などの波長変換部材を含有し得る。
図4および
図5に示すように、透光性部材150は、XY面に平行とされた光取出し面50aを有する。ここでは、光取出し面50aは、正面100aの一部である。光取出し面50aの周囲には、光反射性部材140が位置している。
【0034】
図6は、発光装置100Aを
図6における+Y方向、+Z方向、-Y方向、-Z方向および+X方向のそれぞれから見たときの外観を1つの図にあわせて示している。発光装置100Aは、正面100aとは反対側の背面100b側に下面配線30Rを有する。
図6に例示する構成において、下面配線30Rは、合計4つの配線、すなわち、第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rを含む。第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rは、互いに間隔をあけてX方向(第2方向)に沿って一列に配置されている。なお、この例において、発光装置100Aの背面100bには、互いに隣り合う2つの端子間の短絡を防止するための絶縁層180が配置されている。
【0035】
本開示の実施形態において、第1発光素子121および第2発光素子122は、Y方向(第1方向)に沿って一列に、発光装置100A中に配置される。
図6に示す例では、第2発光素子122に対して第1発光素子121が
図6の+Y方向側(発光装置100Aが配線基板などに実装された状態において上側)に位置する。しかしながら、発光装置100A中の第1発光素子121および第2発光素子122の配置は、
図6に示す例に限定されない。
【0036】
図7は、
図6のVII-VII断面を示す。
図8は、
図6のVIII-VIII断面を示す。
図9は、
図6のIX-IX断面を示す。基板130Aは、Y方向(第1方向)に延びる短辺と、X方向(第2方向)に延びる長辺とによって規定される長方形状を有する上面を有する。基板130Aは、絶縁性の基材30Aと、上面配線と、上述の下面配線30Rとを有する。基材30Aは、上面30aと、上面30aとは反対側に位置する下面30bとを有する。上面配線は、基材30Aの上面30a上に位置する。基板130Aの上面は、基材30Aの上面30aと、上面配線の上面とを含む。下面配線30Rは、基材30Aの下面30bに位置する。
【0037】
上面配線は、第1配線31T~第4配線34Tの4つを含む。
図7に示すように、基板130Aは、それぞれが上面30aに位置する第1配線31Tおよび第3配線33Tを有する。また、
図8に示すように、基板130Aは、それぞれが上面30aに位置する第2配線32Tおよび第4配線34Tを有する。
【0038】
基板130Aは、さらに、それぞれが基材30Aの上面30aから下面30bに達し、上面配線と下面配線とをつなぐ複数の導電部を基材30A内部に有する。本実施形態では、基材30A内部に、第1導電部31V、第2導電部32V、第3導電部33Vおよび第4導電部34Vの4つの導電部が配置される。
【0039】
図7に示すように、第1導電部31Vは、第1配線31Tと第5配線35Rとをつないでおり、これらを互いに電気的に接続する。第3導電部33Vは、第3配線33Tと第7配線37Rとをつないでおり、これらを互いに電気的に接続する。本実施形態では、第1導電部31Vおよび第3導電部33Vのうち、第3導電部33Vは、第1発光素子121の下方に位置している。
【0040】
図8に示すように、第2導電部32Vは、第2配線32Tと第6配線36Rとをつないでおり、これらを互いに電気的に接続する。第4導電部34Vは、第4配線34Tと第8配線38Rとをつないでおり、これらを互いに電気的に接続する。本実施形態では、第2導電部32Vおよび第4導電部34Vのうち、第2導電部32Vは、第2発光素子122の下方に位置している。
【0041】
図10および
図11は、発光装置100Aから基板130Aを取り出して模式的に示す。
図10は、基材30Aの上面30a側からZ方向に基板130Aを見た平面図に相当する。
図10に示すように、基材30Aの上面30aは、Y方向と比較してX方向に長い長方形状を有する。ここでは、上面30aの長方形状の短辺は、Y方向に平行であり、上面30aの長方形状の長辺は、X方向に平行である。
【0042】
図11に示すように、基板130Aは、基材30Aの上面30aに上面配線30Tを有する。本実施形態において、上面配線30Tは、第1配線31T、第2配線32T、第3配線33Tおよび第4配線34Tを含み、第1配線31T、第2配線32T、第3配線33Tおよび第4配線34Tのそれぞれは、X方向に長い形状を有している。
図10に示すように、第1配線31T、第2配線32T、第3配線33Tおよび第4配線34Tは、基材30Aの上面30aにおいて、互いに間隔をあけて2行2列に配置される。より詳細には、第1配線31Tと第2配線32Tとは、Y方向に沿って間隔をあけて隣り合い、第3配線33Tと第4配線34Tとは、Y方向に沿って間隔をあけて隣り合う。また、第1配線31Tと第3配線33Tとは、X方向に沿って間隔をあけて隣り合い、第2配線32Tと第4配線34Tとは、X方向に沿って間隔をあけて隣り合う。
【0043】
図10に例示する構成において、第1配線31Tは、長方形状のランド31mと、ランド31mとは反対側の端部に位置するランド31nとを有している。第3配線33Tは、長方形状のランド33mと、ランド33mとは反対側の端部に位置するT字状部33tとを有している。
図7および
図10から理解されるように、第1発光素子121は、基材30Aの上面30aにおいてX方向に隣り合う第1配線31Tと第3配線33Tとにまたがってこれら配線上に配置される。第1発光素子121は、半田などの接合部材161によって第1配線31Tのランド31mおよび第3配線33Tのランド33mに電気的に接続される。
【0044】
第2配線32Tは、長方形状のランド32mと、ランド32mとは反対側の端部に位置するT字状部32tとを有しており、第4配線34Tは、長方形状のランド34mと、ランド34mとは反対側の端部に位置するランド34nとを有している。
図8および
図10から理解されるように、第2発光素子122は、X方向に隣り合う第2配線32Tと第4配線34Tとにまたがってこれら配線上に配置される。第2発光素子122は、半田などの接合部材162によって第2配線32Tのランド32mおよび第4配線34Tのランド34mに電気的に接続される。
【0045】
基材30A中の導電部の配置に注目する。
図10に模式的に示すように、平面視において、第3導電部33Vは、第3配線33Tのランド33mと重なる位置に設けられ、第1発光素子121と重なる位置にある。同様に、第2導電部32Vは、第2配線32Tのランド32mと重なる位置に設けられ、第2発光素子122と重なる位置にある。これに対し、第1導電部31Vは、平面視において、第1配線31Tのうちランド31nと重なる位置に設けられる。第1導電部31Vは、第1発光素子121と重なりを有しない代わりに、光反射性部材140と重なりを有する。すなわち、
図7に示すように、本実施形態において第1導電部31Vは、光反射性部材140の下方に位置する。同様に、第4導電部34Vは、
図10に模式的に示すように、第4配線34Tのうちランド34nと重なる位置に設けられ、第2発光素子122と重なりを有しない。その代わりに、光反射性部材140と重なりを有する。
図8に示すように、本実施形態では、第4導電部34Vも光反射性部材140の下方に位置している。
【0046】
図11に例示する構成において、第1配線31Tは、ランド31m上に位置する凸部31pを有している。同様に、この例では、第2配線32T、第3配線33Tおよび第4配線34Tは、それぞれ、ランド32m上の凸部32p、ランド33m上の凸部33pおよびランド34m上の凸部34pを有している。
【0047】
図12は、
図10および
図11に示す基板130Aから基材30Aおよび絶縁層180を取り除いた構造を模式的に示す。基板130Aは、基材30A内部に位置する導電部30Vを有する。
図9に示す例において、導電部30Vは、第1導電部31V、第2導電部32V、第3導電部33Vおよび第4導電部34Vを含んでいる。基材30Aの上面30a上の第1配線31T、第2配線32T、第3配線33Tおよび第4配線34Tのそれぞれは、第1導電部31V、第2導電部32V、第3導電部33Vおよび第4導電部34Vのいずれか1つにより、第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rのうち対応する1つに電気的に接続される。
【0048】
ここでは、基材30Aの下面30b上の第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rは、X方向に沿って互いに間隔をあけて一列に配置されている。
図12に示す例において、第1配線31T、第2配線32T、第3配線33Tおよび第4配線34Tは、第1導電部31V、第2導電部32V、第3導電部33Vおよび第4導電部34Vによって、第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rにそれぞれ電気的に接続される。
【0049】
本開示の実施形態では、基材内部の導電部により、上面配線を下面配線に接続している。
図11および
図12から理解されるように、ここでは、第1導電部31Vは、第2方向において第2導電部32Vよりも基材30Aの一方の端の近くに位置し、第4導電部34Vは、第2方向において第3導電部33Vよりも基材30Aの他方の端の近くに位置する。このように、第1導電部31V、第2導電部32V、第3導電部33Vおよび第4導電部34Vを基材30Aの内部においてなるべく偏りなく分散して配置することにより、リフロー工程などにおける熱応力の、基板130Aの一部の領域への集中を回避し得る。すなわち、基板130A中の残留応力の偏りを低減でき、リフロー後の基板130Aの反りなどを低減し得る。例えば基板130Aの反りが低減される結果、基板130Aからの部材(例えば、発光素子121、122、または光反射性部材140)の剥離が低減され、発光装置100Aの信頼性を向上させ得る。
【0050】
図13および
図14を参照しながら、本実施形態における、基材30Aの内部の導電部(すなわち第1導電部31V、第2導電部32V、第3導電部33Vおよび第4導電部34V)の配置をより詳細に説明する。
図13は、基板130Aを発光装置100Aの背面100b側から見たときの下面配線の例示的な配置を示す。
【0051】
図10を参照しながら説明したように、本実施形態では、第1配線31T、第2配線32T、第3配線33Tおよび第4配線34Tは、基材30Aの上面30aにおいて2行2列の行列状の配置を有する。ここで、
図13に示すように、基材30Aの上面30aの長方形状の互いに直交する2辺のそれぞれについて仮想的な垂直二等分線を上面30a上に描いたとする。
図13では、基材30Aの上面30aの長方形状の短辺に関する垂直二等分線Vb1と、長辺に関する垂直二等分線Vb2とを二点鎖線により示している。第1配線31T、第2配線32T、第3配線33Tおよび第4配線34Tのそれぞれは、これらの垂直二等分線で区画された4つの領域のいずれか1つに位置し得る。
【0052】
他方、基材30Aの下面30b上の第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rは、基材30Aの上面30aの長方形状の長辺に沿って互いに間隔をあけて一列に配置されている。ここで、本実施形態では、基材30Aの上面30a側の上面配線と下面30b側の下面配線とをつなぐ導電部は、上面30aの法線方向(Z方向)に見た平面視において、上述の垂直二等分線Vb1およびVb2で区画された4つの領域(これら垂直二等分線Vb1およびVb2を二次元デカルト座標系の座標軸とみなしたときの第1象限~第4象限に相当)のそれぞれに1つずつ配置されている。さらに、本実施形態では、Z方向に見た平面視において、これら導電部(すなわち第1導電部31V、第2導電部32V、第3導電部33Vおよび第4導電部34V)を“互い違い”となるように基材30A中に配置している。すなわち、
図13において垂直二等分線Vb1よりも上側に位置する第1導電部31Vおよび第3導電部33Vのうち第1導電部31Vを基材30Aの外縁の近くに配置していることに対して、第3導電部33Vを垂直二等分線Vb2の近くに配置している。また、垂直二等分線Vb1よりも下側に位置する第2導電部32Vおよび第4導電部34Vのうち第4導電部34Vを基材30Aの外縁の近くに配置していることに対して、第2導電部32Vを垂直二等分線Vb2の近くに配置している。
【0053】
仮に、基材30Aの上面30aの長方形状の長辺に沿った方向に関して、第3導電部33Vおよび第4導電部34Vの配置を逆転させたとする。換言すれば、上面30aの長方形状の長辺に沿った方向において第3導電部33Vを基材30Aの外縁の近くに配置し、第4導電部34Vを垂直二等分線Vb2のより近くに配置したとする。その場合、第1導電部31Vと第3導電部33Vとの間に、上面30aの長方形状の長辺に沿って他の導電部の存在しない比較的に広い領域が形成されることになる。換言すれば、基板130A中に、基材30Aの材料のみによって占められる細長い領域が存在することになる。
【0054】
このような、絶縁性の材料によって占められる細長い領域が基板130A中に存在すると、加熱を伴う工程(リフローなど)を経ることにより、基板130Aに反りが発生しやすくなる。特に、X方向に関して第3導電部33Vおよび第4導電部34Vの配置を逆転させた場合には、相対的に熱伝導率の高い材料を含有する導電部が、垂直二等分線Vb1によって区画された2つの領域のうち下側の領域の中央付近に2つ配置されることになり、Y方向に関する反りが基板130Aに生じやすくなってしまう。長尺状の基板130Aの短手方向に極端な反りが生じると、発光素子121、122、光反射性部材140などの基板130A上の部材の剥離を惹起してしまう可能性がある。
【0055】
これに対し、本開示の実施形態では、基材30Aの上面30aの法線方向に見た平面視において、第1導電部31V、第2導電部32V、第3導電部33Vおよび第4導電部34Vをいわば“互い違い”となるように基材30A中に配置している。
図13に示す例では、これら垂直二等分線Vb1およびVb2の交点を中心として4つの導電部を点対称に配置しているともいえる。別の言い方をすれば、
図13に示す例では、4つの導電部の配置が垂直二等分線Vb1あるいは垂直二等分線Vb2に関して線対称とはならないような配置を採用している。基材30Aの上面30a上の上面配線と、下面30b上の下面配線との間にこのような接続構造を採用することにより、加熱を伴う工程を経ることに起因する、基材30A中の残留応力の不均衡を低減し得る。その結果、発光素子121、122を支持する基板130Aの反りを低減でき、基板130A上の部材の剥離あるいは脱落を低減して発光装置100Aの信頼性を向上させることが可能になる。
【0056】
図14は、基材30A中の導電部の配置の例を模式的に示す。
図14は、
図13と同様に、基板130Aを発光装置100Aの背面100b側から見たときの模式的な背面図に相当する。
図14に示す例において、基板130Aの第2方向(X方向)における長さをW、第1導電部31Vから第3導電部33Vまでの第2方向(X方向)における距離をD
13とすると、長さWに対する距離D
13の比(D
13/W)は、例えば、0.2以上0.7以下の範囲であり得る。
【0057】
ここで、長さWは、基板130Aの第2方向(X方向)における一方の端から他方の端までの距離である。導電部間の「第2方向における距離」は、2つの導電部の中心間距離ではなく、
図14中に実線の両矢印で模式的に示すように、基材30Aの上面30aの法線方向(Z方向)に見たときの、一方の導電部の外縁から他方の導電部の外縁までの第2方向(X方向)における最短距離を指す。なお、本明細書における「最短距離」は、基材30Aの上面30aにおける距離を意味する。比(D
13/W)が0.2以上0.7以下の範囲となるように基材30A中の第1導電部31Vおよび第3導電部33Vの配置を調整することにより、基板130A中の残留応力の偏りをより効果的に低減でき、例えばリフロー工程後における基板130Aの反りなどを有利に低減することが可能になり、発光装置100Aの信頼性が向上する。
【0058】
また、基材30Aの上面30aの法線方向(Z方向)に見たときの、第2導電部32Vから第4導電部34Vまでの第2方向(X方向)における距離をD24としたとき、長さWに対する距離D24の比(D24/W)が、0.2以上0.7以下の範囲となるようにしてもよい。比(D24/W)をこのような範囲にすることにより、比(D13/W)を0.2以上0.7以下の範囲としたときと同様に、基板130A中の残留応力の偏りをより効果的に低減でき、例えばリフロー工程後の基板130Aの反りなどを有利に低減することが可能になり、発光装置100Aの信頼性が向上する。
【0059】
第2導電部32Vと第3導電部33Vとの間の距離をD23としたとき、長さWに対する距離D23の比(D23/W)を0.07以上0.5以下の範囲としてもよい。ここで、距離D23は、基材30Aの上面30aの法線方向(Z方向)に見たときの、第2導電部32Vの中心と第3導電部33Vの中心とを結ぶ方向に沿った、第2導電部32Vの外縁と第3導電部33Vの外縁との間の最短距離である。比(D23/W)を0.07以上0.5以下の範囲とした場合も、基板130A中の残留応力の偏りをより効果的に低減でき、リフロー工程後の基板130Aの反りなどを有利に低減でき、発光装置100Aの信頼性が向上する。
【0060】
以下、発光装置100A中の各部材の詳細を説明する。
【0061】
(基板130A)
基板130Aは、第1発光素子121および第2発光素子122が実装される支持部材である。上述したように、第1発光素子121および第2発光素子122は、第1方向(Y方向)に沿って一列に基板130A上に配置される。後述するように、本開示の実施形態では、第1発光素子121および第2発光素子122として、第1方向(Y方向)に対する第2方向(X方向)のアスペクト比が比較的大きな形状の素子が用いられ得る。これに対応して、基板130Aも、全体として第2方向(X方向)に比較的長い形状を有し得る(例えば
図11を参照)。
【0062】
基板130Aの基材30Aは、その上面30aに第1配線31T、第2配線32T、第3配線33T、および第4配線34Tが配置される概ね直方体状の絶縁部材である。第1方向(ここでは上面30aの短手方向)における基材30Aの寸法は、例えば、400μm以上800μm以下の範囲である。第1方向における基材30Aの寸法が800μm以下であると、発光装置100Aの小型化に有利である。第2方向(ここでは上面30aの長手方向)における基材30Aの寸法は、例えば、1800μm以上5000μm以下の範囲である。第2方向における基材30Aの寸法が5000μm以下であると、発光装置100Aの小型化の観点から有益である。Z方向における基材30Aの寸法は、例えば、200μm以上1000μm以下の範囲である。Z方向における基材30Aの寸法が200μm以上であると基板130Aの強度を確保する観点から有利であり、Z方向における基材30Aの寸法が1000μm以下であると発光装置100Aの小型化の観点から有益である。
【0063】
基材30Aの材料の例は、樹脂、セラミックスまたはガラスなどである。基材30Aの材料として、例えば、ビスマレイミドトリアジン(BT)を適用し得る。基材30Aは、繊維強化樹脂などの複合材料から形成されてもよく、例えばガラスエポキシ基板を基材30Aに適用してもよい。基材30Aの母材としては、その他に、エポキシ、ポリイミドなどを用いることができる。セラミックスとしては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、酸化チタン、窒化チタン、または、これらの2種以上の混合物を適用できる。これらのセラミックスのうち、発光素子121、122の線膨張係数に近い線膨張係数を有する材料を基材30Aの材料に用いると有利である。
【0064】
図11に示すように、基材30Aは、上面30aおよび下面30bに加えて、これらの面の間に位置する底面30mを有する。底面30mは、発光装置100Aをバックライトの光源に適用した際に配線基板の上面に対向させられる面である。
【0065】
図11に示す例では、基材30Aは、それぞれが下面30bと底面30mとに開口する複数の凹部30rを有する。凹部30rの個数は、典型的には、2以上である。この例では、基板130Aの下面配線が第5配線35R~第8配線38Rの4つを含むことに対応して、合計で4つの凹部30rが基材30Aに設けられている。
図11に示す例において、これら4つの凹部30rは、X方向に関し、基材30Aの中央に対称な配置を有している。
【0066】
例えば
図13を参照すれば理解されるように、第1方向(Y方向)および第2方向(X方向)に垂直な方向に見た背面視における凹部30rの開口の形状は、半円形状または四分円状であり得る。
図13に示す例では、1つの凹部30rのうち、X方向において両端部に位置する2つの凹部30rの開口の形状は四分円状であり、X方向において内側に位置する2つの凹部30rの開口の形状は半円形状である。また、
図24に示すように、凹部30rの開口の形状はすべてが半円形状であってもよい。凹部30rのそれぞれは、発光装置100Aを配線基板に実装する際に半田などの接合部材を配置する空間となる。ただし、後述するように、このような凹部30rが省略されることもあり得る。
【0067】
図11に例示する構成において、基材30Aの下面30b側の第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rのそれぞれは、4つの凹部30rのうち対応する1つに重なる部分を含む。換言すれば、第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rのそれぞれは、基板130Aの背面100bに現れた部分に加えて、4つの凹部30rのうち対応する1つの内側面を覆う部分を含んでいる。
図9に示すように、例えば第7配線37Rは、基材30Aの下面30b上に位置する第1部分37uと、凹部30rのうちの1つの内側面を覆う第2部分37vとを有している。
【0068】
基材30Aの下面30b側の第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rの材料ならびに上面30a側の第1配線31T、第2配線32T、第3配線33Tおよび第4配線34Tの材料としては、銅、鉄、ニッケル、タングステン、クロム、アルミニウム、銀、白金、金、チタン、パラジウム、ロジウム、または、これらの1種以上を含有する合金を用いることができる。放熱性の観点からは、これらの配線の材料に銅または銅合金を適用することが有利である。上面配線および/または下面配線は、単層膜でも積層膜でもよい。これら上面配線および/または下面配線の最表面が、銀、白金、アルミニウム、ロジウムもしくは金、または、これらの1種以上を含有する合金であると、半田に対する良好な濡れ性を得られるので有益である。
【0069】
基板130Aは、基材30Aの内部に配置された複数の導電部をさらに有する。これら導電部のそれぞれは、基材30Aの上面30aから下面30bまで延び、上面配線(ここでは第1配線31T、第2配線32T、第3配線33Tおよび第4配線34T)を下面配線のいずれか1つに電気的に接続する。
図6に示すように、ここでは、基板130Aは、4つの導電部すなわち第1導電部31V~第4導電部34Vを含んでいる。第1導電部31Vは、第1配線31Tを第5配線35Rに接続し、第2導電部32Vは、第2配線32Tを第6配線36Rに接続する。第3導電部33Vは、第3配線33Tを第7配線37Rに接続し、第4導電部34Vは、第4配線34Tを第8配線38Rに接続する。
【0070】
第1導電部31V、第2導電部32V、第3導電部33Vおよび第4導電部34Vのそれぞれは、典型的には、基材30Aの内部において、第1方向(Y方向)と第2方向(X方向)とに直交する第3方向(Z方向)に直線的に延びる。第1導電部31V~第4導電部34VをXY面に平行に切断したときの各断面の形状は、例えば円形である。各導電部の断面形状は、円形に限定されず、楕円形状、多角形状などであってもよい。なお、基材30Aの内部における各導電部の断面の形状または大きさがZ方向に沿って一定であることは必須ではない。例えば、上面30aから離れるに従って、あるいは、上面30aに近づく従って断面積が拡大するような導電部の形状も適用可能である。
【0071】
第1導電部31V~第4導電部34Vのそれぞれは、基材30Aに設けられた貫通孔内部の全体を占める導電部材であってもよいし、貫通孔の内側面に配置された導電膜と、絶縁性の充填部材との組み合わせであってもよい。貫通孔の内側面を覆う導電膜には、例えば、基材30Aの下面30b側の下面配線と同様の材料を適用できる。導電膜に囲まれた領域は、例えばエポキシ樹脂などの絶縁材料によって占められていてもよい。
図7および
図8に示す例では、第1導電部31V~第4導電部34Vのそれぞれは、基材30Aに設
けられた貫通孔の内側面を覆う導電膜37と、導電膜37に囲まれた領域に位置する絶縁部39とを含んでいる。
【0072】
図15は、基板130Aを基材30Aの下面30b側から見たときの例示的な外観を示す。
図15に模式的に示すように、基材30Aの内部の第1導電部31V~第4導電部34Vは、いずれも、背面視において基材30Aの凹部30rに重ならない位置に設けられ得る。
【0073】
図15に示すように、基板130Aは、基材30Aの下面30b側に位置する絶縁層180を有し得る。絶縁層180の材料としては、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂が挙げられる。いわゆるソルダーレジストを絶縁層180に用いてもよい。
図15に模式的に示すように、絶縁層180は、基材30Aの下面30b上の下面配線(ここでは第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38R)のそれぞれの一部を覆う形状を有する。発光装置100Aの背面100b側にこのような絶縁層180を配置することにより、発光装置100Aの配線基板などへの実装の際の、半田を介した下面配線同士の短絡を防止する効果が得られる。
【0074】
(第1発光素子121および第2発光素子122)
第1発光素子121および第2発光素子122の基本的な構造は、発光ピーク波長を除いて概ね共通であり得る。以下では、第2発光素子122の構成のうち第1発光素子121と共通する部分に関する説明を省略することがある。
【0075】
本開示の実施形態において、第1発光素子121および第2発光素子122は、第1配線31T~第4配線34Tを有する基板上にフリップチップ接続により実装される。
図7に示すように、第1発光素子121は、基材30A上の第1配線31Tおよび第3配線33Tに電気的に接続される。
図8に示すように、第2発光素子122は、基材30A上の第2配線32Tおよび第4配線34Tに電気的に接続される。
【0076】
図7及び
図9に示すように、第1発光素子121は、素子上面121aと、素子上面121aとは反対側に位置する素子下面121bとを有する。また、第1発光素子121は、素子下面121bに正極および負極を有する。
図8及び
図9に示すように、第2発光素子122は、素子上面122aと、素子上面122aとは反対側に位置する素子下面122bとを有する。また、第2発光素子122は、素子下面122bに正極および負極を有する。第1発光素子121および第2発光素子122の電極(正極および負極)の材料の例は、金、銀、錫、白金、ロジウム、チタン、アルミニウム、タングステン、パラジウム、ニッケル、または、これらの1種以上を含む合金である。
【0077】
第1発光素子121は、素子下面121b側の電極が半田などの接合部材161によって第1配線31Tおよび第3配線33Tに接続および固定されることにより、基板130A上に実装される。第2発光素子122は、素子下面122b側の電極が半田などの接合部材162によって第2配線32Tおよび第4配線34Tに接続および固定されることにより、基板130A上に実装される。典型的には、第1発光素子121は、素子下面121b側の電極が第1配線31Tの凸部31pおよび第3配線33Tの凸部33pに対向するようにして第1配線31Tおよび第3配線33Tに接続される。第2発光素子122は、素子下面122b側の電極が第2配線32Tの凸部32pおよび第4配線34Tの凸部34pに対向するようにして第2配線32Tおよび第4配線34Tに接続される。
【0078】
第1発光素子121および第2発光素子122のそれぞれは、半導体構造体を有する。半導体構造体は、n側半導体層と、p側半導体層と、n側半導体層とp側半導体層とに挟まれた活性層とを含む。活性層は、単一量子井戸(SQW)構造としてもよいし、複数の井戸層を含む多重量子井戸(MQW)構造としてもよい。半導体構造体は、窒化物半導体からなる複数の半導体層を含む。窒化物半導体は、InxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)からなる化学式において組成比x及びyをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含む。第1発光素子121と第2発光素子122は、第2発光素子122の順方向電圧Vfが第1発光素子121の順方向電圧Vfよりも低くなるような半導体構造体を選択する。
【0079】
半導体構造体は、サファイアまたは窒化ガリウムなどの成長基板上に位置し得る。第1発光素子121がその一部に成長基板を含む場合、成長基板の上面が第1発光素子121の素子上面121aを構成する。第2発光素子122がその一部に成長基板を含む場合、成長基板の上面が第2発光素子122の素子上面122aを構成する。上述の正極および負極は、半導体構造体における成長基板とは反対側の表面に設けられ、半導体構造体に所定の電流を供給する機能を有する。なお、第1発光素子121の半導体構造体と第2発光素子122の半導体構造体とがサファイアなどの単一の基板上に位置することもあり得る。
【0080】
半導体構造体は、n側半導体層と、活性層と、p側半導体層とを含む発光部を複数含んでいてもよい。半導体構造体が複数の発光部を含む場合、それぞれの発光部において、発光ピーク波長が異なる井戸層を含んでいてもよいし、発光ピーク波長が同じ井戸層を含んでいてもよい。なお、発光ピーク波長が同じとは、数nm程度のばらつきがある場合も含む。複数の発光部の発光ピーク波長の組み合わせは、適宜選択することができる。第1発光素子121の半導体構造体が2つの発光部を含む場合、それぞれの発光部が発する光の組み合わせとして、青色光と青色光の組み合わせが挙げられる。第2発光素子122の半導体構造体が2つの発光部を含む場合、それぞれの発光部が発する光の組み合わせとして、緑色光と緑色光の組み合わせが挙げられる。各発光部は、第1発光素子121の発光ピーク波長が430nm以上490nm未満の範囲、第2発光素子122の発光ピーク波長が490nm以上570nm未満の範囲にあれば、他の井戸層と発光ピーク波長が異なる井戸層を1以上含んでいてもよい。
【0081】
本開示の実施形態では、第1発光素子121および第2発光素子122として、第1方向(Y方向)と比較して第2方向(X方向)に比較的に長い形状を有する素子が用いられる。第1発光素子121の素子上面121aの第1方向(Y方向)に沿った長さは、例えば150μm以上300μm以下の範囲であり、第2方向(X方向)に沿った長さは、例えば400μm以上1500μm以下の範囲であり得る。第1発光素子121の素子上面121aの第1方向(Y方向)に沿った長さに対する、第2方向(X方向)に沿った長さの比は、例えば1.1以上10以下の範囲である。第2発光素子122の素子上面122aの寸法に関しても同様である。第2方向(X方向)に比較的に長い形状の第1発光素子121および第2発光素子122を第1方向(Y方向)に並べる(すなわち、第1方向に一列に配置する)ことにより、第2方向(X方向)に関して発光素子の数を減らしながらも、高い光取出し効率を実現し得る。基板130Aの反りの低減は、このような長尺状の素子の基板130Aへの実装にも有利である。
【0082】
第1発光素子121は、第1方向(Y方向)に平行な2つの素子側面121cと、第2方向(X方向)に平行な2つの素子側面121cとを有する。素子側面121cは、第3方向(Z方向)において素子上面121aと素子下面121bとを接続する。第2発光素子122は、第1方向(Y方向)に平行な2つの素子側面122cと、第2方向(X方向)に平行な2つの素子側面122cとを有する。素子側面122cは、第3方向(Z方向)において素子上面122aと素子下面122bとを接続する。
【0083】
(透光性部材150)
透光性部材150は、第1発光素子121および第2発光素子122を保護する機能を有する板状の部材である。
図4に示すように、透光性部材150の上面は、発光装置100Aの光取出し面50aを構成する。透光性部材150は、例えば、シリコーン樹脂などを母材とし、透光性を有する。
【0084】
透光性部材150は、例えば、第1発光素子121の発光ピーク波長を有する光に対して、60%以上の透過率を有する。また、第2発光素子122の発光ピーク波長を有する光に対しても、60%以上の透過率を示し得る。光を有効に利用する観点から、第1発光素子121および第2発光素子122の少なくとも一方の発光ピーク波長における透光性部材150の透過率が70%以上であると有益であり、80%以上であるとより有益である。
【0085】
図9に示すように、本実施形態では、透光性部材150は、第1発光素子121の素子上面121aおよび第2発光素子122の素子上面122aの全体を一括して覆うようにして第1発光素子121の上方および第2発光素子122の上方に配置される。単一の透光性部材150が第1発光素子121および第2発光素子122の両方を覆うことにより、第1発光素子121からの光と第2発光素子122からの光とを透光性部材150の内部で効率よく混合し得る。
【0086】
透光性部材150の母材の例は、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、トリメチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂もしくはフッ素樹脂、または、これらの2種以上を含む樹脂である。波長変換層152の母材として、ガラスを選択してもよい。透光性部材150の母材に、蛍光体などの波長変換部材を含有させてもよい。
【0087】
図9に例示する構成において、透光性部材150は、保護層151と、波長変換層152とを含んでいる。保護層151は、波長変換層152よりも基板130Aから遠くに位置する。つまり、この例では、波長変換層152は、第1発光素子121および第2発光素子122の組と、保護層151との間に位置している。
【0088】
波長変換層152は、波長変換部材を含有する板状の部材であり、入射した光の一部を波長変換して例えば波長の異なる光を出射する。波長変換層152の母材に含有させる波長変換部材としては、公知の蛍光体を用いることができる。蛍光体としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Y3(Al,Ga)5O12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu3(Al,Ga)5O12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb3(Al,Ga)5O12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(PO4)6Cl2:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、Sr4Al14O25:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、Ca8MgSi4O16Cl2:Eu)、酸窒化物系蛍光体、窒化物系蛍光体、フッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する蛍光体(例えば、CsPb(F,Cl,Br,I)3)、または、量子ドット蛍光体(例えば、CdSe、InP、AgInS2またはAgInSe2)などを用いることができる。酸窒化物系蛍光体の代表例は、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)3(O,N)4:Eu)およびαサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)などである。窒化物系蛍光体の代表例は、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl3N4:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN3:Eu)およびSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)などである。フッ化物系蛍光体の代表例は、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K2Si0.99Al0.01F5.99:Mn)およびMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)などである。
【0089】
波長変換層152中の蛍光体として、特に、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K2Si0.99Al0.01F5.99:Mn)もしくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)などのフッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する蛍光体(例えば、CsPb(F,Cl,Br,I)3)、または、量子ドット蛍光体(例えば、CdSe、InP、AgInS2またはAgInSe2)などを用いることができる。発光素子および蛍光体のこのような選択によれば、発光素子からの光の一部を波長変換層152が吸収して赤色の波長域の光を放出するので、波長変換層152を透過した青色光および緑色光との混合により、白色光を得ることができる。なお、青色光を出射するLEDと緑色光を出射するLEDの上方に、励起により赤色光を放出する蛍光体を含有する波長変換層を配置する場合、青色光を出射するLEDを選択的に波長変換層が覆う構成、換言すれば、緑色光を出射するLEDを波長変換層が覆わない構成も適用可能である。ただし、色むらが低減された白色光を得る観点からは、青色光を出射するLEDと緑色光を出射するLEDの両方を覆うように波長変換層152を配置することが好ましい。
【0090】
波長変換層152には、上述した蛍光体のうちの1種を単体で含有させてもよいし、これらの蛍光体のうち2種以上を組み合わせて含有させてもよい。波長変換層152に2種以上の蛍光体を含有させる場合、それら蛍光体のうち、より短波長の光を放出する蛍光体が発光素子の近くに位置するように、波長変換層152中の波長変換部材の分布を調整すると有益である。あるいは、波長変換層を2層として、各層に互いに異なる種類の蛍光体を含有させてもよい。このとき、励起により放出する光がより短波長側にある蛍光体を、発光素子に近い側の層に含有させると有益である。
【0091】
波長変換層152の材料に、母材とは屈折率の異なる材料を分散させることにより、波長変換層152に光拡散の機能を付与してもよい。例えば、波長変換層152が、後述する光拡散材を含んでいてもよい。
【0092】
保護層151は、透光性部材150において第1発光素子121および第2発光素子122とは反対側の最表面に位置する透光性の層である。保護層151の上面は、透光性部材150の光取出し面50aを構成し、
図9に示す例において、保護層151の上面は、発光装置100Aの正面100aに整合している。
【0093】
保護層151の母材には、シリコーン樹脂またはエポキシ樹脂など、波長変換層152の母材と同様の材料を用いることができる。保護層151に効率的に光を導入する観点からは、保護層151の材料が波長変換層152の材料よりも高い屈折率を有すると有益である。母材とは異なる屈折率を有する光拡散材を母材中に分散させることにより、保護層151に光拡散機能を与えてもよい。
【0094】
(光拡散部材154)
図9に例示する構成において、発光装置100Aは、光拡散部材154をさらに有している。光拡散部材154は、第1発光素子121の素子上面121aと透光性部材150との間、および第2発光素子122の素子上面122aと透光性部材150との間に配置される板状の部材である。
【0095】
光拡散部材154は、透光性の母材と、母材中に分散された光拡散材とを含有する。保護層151と同様に、光拡散部材154の母材には、波長変換層152の母材と同様の材料を用いることができる。光拡散材としては、例えば、母材とは異なる屈折率を有する樹脂の粒子、または、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムもしくは酸化亜鉛の粒子などを用いることができる。母材中に分散させる光拡散材として、D50で定義される粒径が1nm以上100nm以下であるようなナノ粒子を用いてもよい。光拡散材にナノ粒子を用いることにより、光拡散部材154中の光散乱を増大させることができる。
【0096】
図9に例示するように、第1発光素子121および第2発光素子122の組と、波長変換層152との間に光拡散部材154を介在させてよい。
【0097】
(導光部材170)
図7~
図9に例示する構成において、発光装置100Aは、導光部材170をさらに有する。この例では、導光部材170により、第1発光素子121の素子上面121aおよび第2発光素子122の素子上面122aの上方に光拡散部材154が配置される。導光部材170は、第1発光素子121の素子側面121c上に位置する部分および第2発光素子122の素子側面122c上に位置する部分を少なくとも含む。
【0098】
導光部材170の材料としては、透明な樹脂を母材として含む樹脂材料を用いることができる。導光部材170の母材には、例えば透光性部材150の母材と同様の材料を用いることができる。母材とは異なる屈折率を有する光拡散材が分散させられることにより、導光部材170が光拡散機能を有していてもよい。また、導光部材170の屈折率は、透光性部材150の屈折率よりも大きく、かつ、第1発光素子121および第2発光素子122の屈折率よりも小さく設定してもよい。導光部材170は、例えば屈折率が1.52以上1.60以下の材料で形成されてもよい。このような屈折率の関係を満足すると、第1発光素子121および第2発光素子122から透光性部材150へ屈折率が徐々に小さくなるので、第1発光素子121および第2発光素子122からの光が発光装置100Aの外部に出射される効率を向上させることができる。
【0099】
導光部材170は、第1発光素子121の素子側面121cと、光反射性部材140との間に位置する部分を含む。導光部材170を設けることにより、第1発光素子121が発する光のうち素子側面121cから出る光の一部を、導光部材170と光反射性部材140との界面での反射を利用して光拡散部材154(または透光性部材150)に入射させることができる。すなわち、導光部材170に入射した光は、導光部材170の外面170cの位置で光拡散部材154に向けて反射され、光拡散部材154および透光性部材150を介して発光装置100Aの外部に向けて出射する。第2発光素子122が発する光のうち側面122cから出る光の一部についても同様のことがいえる。導光部材170を設けることにより、発光装置100Aの光の取出し効率を向上させることができる。
【0100】
導光部材170は、例えば、液状の樹脂を硬化させて形成される。発光装置100Aにおける第1方向(Y方向)のサイズは、第2方向(X方向)のサイズよりも小さいことから、導光部材170は、発光素子の長辺方向(X方向)よりも短辺方向に膨らんで形成されやすい。これにより、
図25に示すように、発光素子121、122の第2方向(X方向)に平行な素子側面121c、122cに配置される導光部材170において、素子下面121b、122b側に位置する下部170bの第1方向(Y方向)の厚さを、素子上面121a、122a側に位置する上部170aの第1方向(Y方向)の厚さよりも厚くすることが可能である。このような構造により、
図34において破線の矢印で示すように、発光素子121、122の素子側面121c、122cから出射した光を、導光部材170の下部170bと光反射性部材140との界面で上方に向けて反射させやすく、発光装置100Aの光取り出し面50aからの光取り出し効率を向上させ得る。
【0101】
(光反射性部材140)
光反射性部材140は、基板130A上において、第1発光素子121および第2発光素子122の組と、透光性部材150を取り囲む。なお、本明細書において、「光反射性」とは、発光素子(第1発光素子121または第2発光素子122)の発光ピーク波長における反射率が60%以上であることを指す。光反射性部材140の、発光素子の発光ピーク波長における反射率が70%以上であるとより有益であり、80%以上であるとさらに有益である。
【0102】
光反射性部材140の材料としては、例えば、光拡散材が分散された樹脂材料が挙げられる。光反射性部材140の母材としては、例えば、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂もしくはこれらの変性樹脂、または、これらの2種以上を含む樹脂を用いることができる。光拡散材としては、母材よりも高い屈折率を有する、無機材料もしくは有機材料の粒子を用いることができる。光拡散材の例は、酸化チタン、酸化マグネシウム、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライト、酸化ニオブ、硫酸バリウム、酸化ケイ素、各種希土類酸化物(例えば、酸化イットリウム、酸化ガドリニウム)などの粒子である。光反射性部材140は、白色を呈し得る。
【0103】
図7~
図9に示すように、光反射性部材140は、透光性部材150の光取出し面50aを除き、基材30Aの上面30a上の構造を覆う。
図7~
図9に例示する構成において、光反射性部材140は、保護層151の側面51c、波長変換層152の側面52cおよび光拡散部材154の側面54cに接している。また、光反射性部材140の少なくとも一部は、第1発光素子121の素子側面121cおよび第2発光素子122の素子側面122cに対向する。換言すれば、光反射性部材140の少なくとも一部は、第1発光素子121の素子側面121cと第2発光素子122の素子側面122cとに接し得る。
【0104】
光反射性部材140の一部は、第1発光素子121と基板130Aとの間、および、第2発光素子122と基板130Aとの間にも位置し得る。第1発光素子121の素子下面121b側および第2発光素子122の素子下面122b側に光反射性部材140を配置することにより、発光素子の素子下面側からの光の出射を低減でき、光の利用効率向上の効果が得られる。
【0105】
図16は、第1発光素子121および第2発光素子122を支持する基板の他の例を示す。
図16に示す基板130Cは、発光装置の背面100b側に開口する3つの凹部30rが設けられた基材30Cを含む。
図16に示すように、基材30Cに設けられる凹部30rの数は、例えば3つであってよい。この場合、第5配線35R、第6配線36Rおよび第7配線37Rのそれぞれは、3つの凹部30rのうち対応する1つの内側を覆う部分を有し得る。なお、凹部30rの数が下面配線の数と一致していることは、本開示の実施形態において必須ではない。また、基材30Cに凹部30rは必須ではなく、凹部30rが省略されることもあり得る。第6配線36Rは、第2導電部32Vと第3導電部33Vの2つの導電部と接続されており、上述した第1状態と第2状態のいずれの状態でも電流が流れることになる。一方で、第2導電部32Vと第3導電部33Vのそれぞれに分けて配線を設ける場合と比べて配線の面積を大きくすることができる。配線の面積が大きいことで、発光素子の発光による熱を効率よく放熱することができる。
【0106】
図17は、本開示の実施形態による発光装置の他の変形例を示す。
図4~
図9を参照しながら説明した発光装置100Aと比較して、
図17に示す発光装置100Eは、基板130Aに代えて基板130Eを有する。基板130Eは、第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rと、これらの下面配線を支持する基材30Eとを含む。上述の基材30A~30Dとは異なり、基材30Eには、下面30bと底面30mとに開口する凹部30rが設けられていない。
【0107】
図17に例示する構成のように、発光装置100Eの基板130Eが凹部を有しないこともあり得る。
図17に示す例では、発光素子を支持する基板130Eの基材30Eに凹部が設けられていないことに対応して、第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rのいずれも平板状とされている。換言すれば、この例では、第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rは、凹部の内側を覆う部分を有しない。
【0108】
発光装置100Eは、いわゆるトップビュー型の発光装置として用いられ得る。換言すれば、表面に配線を有する支持基板などへの実装において、発光装置100Eは、第5配線35R、第6配線36R、第7配線37Rおよび第8配線38Rを支持基板に向けた状態で支持基板上に配置され得る。また、上面発光型の発光装置でも、導光板の側面と支持基板の表面とを平行に配置すれば、導光板の側面から光が入光するバックライト用の光源として用いることができる。実施形態にかかる光源は、発光装置に加えて、駆動回路とスイッチとタイミングコントローラとを備えるため、導光板に対して光源を配置する空間が限られることがある。そのような場合に、光源を配置する空間を考慮して、側面発光型の発光装置と上面発光型の発光装置のいずれかを適切に選択することができる。
【0109】
[他の実施形態による光源200]
図18は、本開示の他の実施形態による光源200を示す。光源200は、複数の発光装置100A、100Bが第2方向(X方向)に沿って支持基板230上に配置された構成を有する線状光源である。
【0110】
光源200は、配線を有する支持基板230と、支持基板230上に配置され、支持基板230の配線に電気的に接続される複数の発光装置100A、100Bとを有する。
図18に示す例では、光源200は、2つの発光装置100Aと2つの発光装置100Bとを含む4つの発光装置を有する。支持基板230上の発光装置の数は、4つに限定されず、任意の数であってよい。
【0111】
光源200において、発光装置100Aおよび発光装置100Bは、側面発光型の発光装置として用いられている。発光装置100Aおよび発光装置100Bのそれぞれの光取出し面50aは、実装面の上方ではなく、実装面に平行な横方向に向いている。発光装置100Aおよび発光装置100Bは、それぞれの光取出し面50aを同じ方向に向けて、X方向に沿って支持基板230上に交互に配置されている。光源200において、発光装置100Aの光取出し面50aの法線、および発光装置100Bの光取出し面50aの法線は、いずれもZ方向に平行である。
【0112】
発光装置100Aおよび発光装置100Bは、半田などの接合部材260により、支持基板230上の配線に接合される。接合部材260の少なくとも一部は、発光装置100Aおよび発光装置100Bのそれぞれの基材に設けられた上述した凹部30rの内部に位置し得る。
【0113】
図19は、
図18に示す光源200を含むバックライトユニットの一例を示す。
図19に示すバックライトユニット300は、光源200の各発光装置100A、100Bに側面290cが対向した導光板290を有する。光源200の発光装置100A、100Bから出射され、導光板290の側面290cから導光板290に導入された光は、導光板290の上面290aから導光板290の外部に取り出される。
【0114】
光源200における発光装置100Bの基本的な構成は、第1発光素子121および第2発光素子122の配置を除き、発光装置100Aと概ね共通である。
図20は、
図18に示す4つの発光装置のうち、X方向において隣り合う発光装置100Aおよび発光装置100Bの組を取り出して模式的に示す。
【0115】
各発光装置100A、100Bにおいて、第1発光素子121及び第2発光素子122のうちの一方は、第1方向(Y方向)において、他方と支持基板230との間に位置する。すなわち、+Y方向から発光装置100A、100Bを見て第1発光素子121と第2発光素子122とが同一位置に重なって位置する。
【0116】
図18~
図20に示す発光装置100A、100Bにおいて、+Y方向から発光装置100A、100Bを見て第1発光素子121と第2発光素子122とが重ならずに、離れて配置されていると、上述したスイッチ240の切り替えに伴う青色光緑色光との点滅がフリッカノイズとして認識されやすくなる。これに対して、本実施形態のように、+Y方向から発光装置100A、100Bを見て第1発光素子121と第2発光素子122とが同一位置に重なって位置すると、常に同じ位置が発光し続けるため、スイッチ240の切り替えに伴う青色光と緑色光の点滅はフリッカノイズとして認識されにくくなる。
【0117】
図20に示すように、発光装置100Aにおいては、基板130Aの第2配線32Tおよび第4配線34Tは、第1配線31Tおよび第3配線33Tよりも支持基板230の近くに位置する。発光装置100Aに含まれる第2発光素子122は、第1方向(Y方向)において、発光装置100Aに含まれる第1発光素子121と、支持基板230との間に位置する。発光装置100Aにおいて、第2発光素子122の方が第1発光素子121よりも支持基板230の近くに位置する。
【0118】
発光装置100Bは、基板130Aに代えて基板130Bを有しており、基板130Bの第1配線31Tおよび第3配線33Tは、第2配線32Tおよび第4配線34Tよりも支持基板230の近くに位置する。発光装置100Aとは逆に、発光装置100Bに含まれる第1発光素子121は、第1方向(Y方向)において、発光装置100Bに含まれる第2発光素子122と、支持基板230との間に位置する。発光装置100Bにおいて、第1発光素子121の方が第2発光素子122よりも支持基板230の近くに位置している。
【0119】
また、光源200においては、
図18に示すように、青色LED素子である第1発光素子121と、緑色LED素子である第2発光素子122とが、支持基板230上においてX方向に沿ってジグザグ状に配置されている。
【0120】
波長変換層を介して白色光が出射されるように構成された発光装置においては、互いに発光ピーク波長の異なる第1発光素子121および第2発光素子122を発光装置の短手方向(Y方向)に並べることにより、高い輝度を実現し得る。さらに、
図18に示す例では、発光装置の長手方向(X方向)に沿って互いに隣り合う2つの発光装置100A、100Bの間で、発光装置100A、100Bの短手方向に関して第1発光素子121および第2発光素子122の配置が逆となるようにしている。このように、複数の発光装置100A、100Bの間で第1発光素子121および第2発光素子122がX方向に沿って互い違いになるように発光装置100A、100Bを支持基板230上でY方向に一列に配置することにより、高い輝度を得ながら、より色むらの低減された白色光を実現し得る。
【0121】
支持基板230上に実装する発光装置は、発光装置100Aおよび発光装置100Bに限定されない。例えば、
図17に示す発光装置100Eを、光取出し面50aが同じ方向に向くようにして第2方向(X方向)に沿って1つの支持基板230上に実装することにより、線状光源を実現することができる。この場合も、隣り合う発光装置100Eの間で第1発光素子121および第2発光素子122の第1方向(Y方向)の位置が互い違いになるように、複数の発光装置100Eを支持基板230上に実装してよい。
【0122】
[光源200の駆動方法]
図21~
図23を参照して、上述した光源(線状光源)200の駆動方法を説明する。
【0123】
図21に示すように、複数の発光装置100Aが有する複数の第1発光素子121は、配線262bを介して電気的に直列に接続されており、複数の発光装置100Aが有する複数の第2発光素子122は、配線262gを介して電気的に直列に接続されている。
【0124】
光源200は、第1発光素子121に駆動電流I
Bを供給し、第2発光素子122に駆動電流I
Gを供給することができる1つの駆動回路を備える。また、光源200は、駆動回路からの出力(
図21中の太矢印)と、第1発光素子121の電極(例えばアノード)に接続された端子Tbとを接続する第1状態と、駆動回路からの出力と、第2発光素子122の電極(例えばアノード)に接続された端子Tgとの接続とを接続する第2状態とを切り替えるスイッチを備える。このスイッチの切り替えにより、上述した光源10の駆動方法と同様に、第1状態において第1発光素子121のみに駆動電流I
Bが供給され、第2状態において第2発光素子122のみに駆動電流I
Gが供給される。
【0125】
また、光源200は、第1状態と第2状態とを切り替えるスイッチの動作タイミングを制御するタイミングコントローラを備える。このタイミングコントローラにより、上述した光源10の駆動方法と同様に、駆動回路の出力が端子Tbに接続されている第1状態の第1期間tBの長さと、駆動回路の出力が端子Tgに接続されている第2状態の第2期間tGの長さとを異ならせることができる。または、タイミングコントローラにより、第1状態の第1期間tBにおいて駆動回路が出力する第1電流値IBの大きさと、第2状態の第2期間tGにおいて駆動回路が出力する第2電流値IGの大きさとを異ならせることができる。また、第1電流値IBと第2電流値IGとを異ならせ、かつ、第1期間tBの長さと第2期間tGの長さとを異ならせてもよい。
【0126】
上述したような駆動方法で駆動される線状光源の例を
図22および
図23に示す。
図22に示すバックライト300Aが有する光源200Aにおいては、
図18~
図20を参照して説明した光源200と同様に、発光装置100Aと発光装置100Bとが、第2方向(X方向)に交互に配置されている。
図23に示すバックライト装置300Bが有する線状光源200Bにおいては、発光装置100A(または発光装置100B)が、第2方向(X方向)に1列に配置されている。
【0127】
光源200Aおよび200Bはいずれも、電気的に直列に接続された複数の発光装置100Aおよび/または100Bと、発光装置100Aおよび/または100Bを駆動する電流を供給する駆動回路210と、スイッチ240と、駆動回路210およびスイッチ240の動作のタイミングを制御するタイミングコントローラ220とを備える。
【0128】
第1発光素子121の電極(例えばアノード)B1aは、配線262bを介して、スイッチ240と電気的に接続されている。第1発光素子121の電極B1aとスイッチ240とが電気的に接続された第1状態において、駆動回路210から第1発光素子121のみに電流が供給される。
【0129】
第2発光素子122の電極(例えばアノード)G1aは、配線262gを介して、スイッチ240と電気的に接続されている。第2発光素子122の電極G1aとスイッチ240と電気的に接続された第2状態において、駆動回路210から第2発光素子122のみに電流が供給される。スイッチ240は、タイミングコントローラ220の制御により、第1状態と第2状態とを切り替える。駆動回路210およびタイミングコントローラ220には、電源400から電力が供給される。
【0130】
4つの第1発光素子121の電極(アノードB1a、B2a、B3a、B4aおよびカソードB1c、B2c、B3c、B4c)は、配線262bを介して電気的に直列に接続されている。4つの第2発光素子122の電極(アノードG1a、G2a、G3a、G4aおよびカソードG1c、G2c、G3c、G4c)は、配線262gを介して電気的に直列に接続されている。
【0131】
上述した構成の光源200Aまたは光源200Bによれば、1つの駆動回路210で、互いに発光色が異なる第1発光素子121および第2発光素子122の両方を駆動させることができる。これにより、線状光源の小型化及び低コスト化が可能になる。また、第1発光素子121及び第2発光素子122のそれぞれの輝度の変化および/または周囲温度の変化によって、光源10の色度が変わることがある。光源10は、その輝度および/または周囲温度の変化に応じて、簡単に駆動条件を変更することができるので、所望の色度の白色光を容易に得ることができる。
【0132】
また、緑色LED素子である第2発光素子122の順方向電圧VfGは、青色LED素子である第1発光素子121の順方向電圧VfBよりも低い。そのため、青色LED素子向けに量産されている一般的なドライバICを、第1発光素子121及び第2発光素子122を駆動する駆動回路210として共用することができ、低コストで所望の色度が得られる光源とすることができる。
【0133】
上述した駆動方法を用いる光源を備えるバックライトユニットにおける発光装置として、波長変換層中の蛍光体に、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K2Si0.99Al0.01F5.99:Mn)のいずれかを組み合わせた発光装置を用いることができる。これらの蛍光体は、他の蛍光体と比べて、点灯中の発光素子を消灯した後でも一定の期間発光する残光特性を有している。つまり、このような発光装置は、第1発光素子121を点灯後に切り替えて、第1発光素子121を消灯して第2発光素子122を点灯した際に、赤色光が一定の期間発光するため、その期間は緑色光と赤色光とが混色された光が出射されることとなり、混色性のよい白色光を得ることができる。
【0134】
<発光装置の変形例>
図26Aは、実施形態による発光装置の他の例を示す模式上面図であり、
図26Bは、実施形態による発光装置の他の例を示す模式下面図である。
【0135】
上述した光源における発光装置に代えて、
図26A及び
図26Bに示す発光装置500を用いてもよい。発光装置500は、導光板の下面から導光板に光が入射する直下型のバックライト用光源として用いることができる。発光装置500は、第1発光素子521及び第2発光素子522を有する。第1発光素子521は、上述した第1発光素子121の半導体構造体と同様な半導体構造体を含むことができ、主に青色光を発光する青色LED素子である。第2発光素子522は、上述した第2発光素子122の半導体構造体と同様な半導体構造体を含むことができ、主に緑色光を発光する緑色LED素子である。また、第2発光素子522の順方向電圧は、第1発光素子521の順方向電圧よりも低い。
【0136】
発光装置500は、第1発光素子521及び第2発光素子522を支持する樹脂部材530をさらに有する。樹脂部材530は、発光装置500の上面側に開口する凹部530aを画定する壁部530bを有する。
【0137】
発光装置500は、第1発光素子521及び第2発光素子522と電気的に接続された第1導電部材531、第2導電部材532、第3導電部材533、及び第4導電部材534をさらに有する。第1導電部材531、第2導電部材532、第3導電部材533、及び第4導電部材534のそれぞれの上面は、凹部530aの底部に位置する。第1発光素子521は、第1導電部材531の上面に配置され、第2発光素子522は、第2導電部材532の上面に配置されている。
図26Bに示すように、樹脂部材530の下面530cにおいて、第1導電部材531の下面、第2導電部材532の下面、第3導電部材533の下面、及び第4導電部材534の下面が、樹脂部材530から露出している。樹脂部材530の下面530cは、配線基板への実装面となる。
【0138】
第1発光素子521及び第2発光素子522のそれぞれは、上面に配置されたアノード電極及びカソード電極を有する。
図26Aに示すように、第1発光素子521のアノード電極及びカソード電極の一方の電極は導電性ワイヤ541を介して第1導電部材531と電気的に接続され、他方の電極は導電性ワイヤ543を介して第3導電部材533と電気的に接続されている。第2発光素子522のアノード電極及びカソード電極の一方の電極は導電性ワイヤ542を介して第2導電部材532と電気的に接続され、他方の電極は導電性ワイヤ544を介して第4導電部材534と電気的に接続されている。
【0139】
発光装置500は、第1発光素子521の上面上に配置された第1透光性部材551と、第2発光素子522の上面上に配置された第2透光性部材552とを有することができる。第1透光性部材551及び第2発光素子522は、上述した波長変換部材と同様の波長変換部材を含むことができる。
【0140】
発光装置500は、凹部530aに配置された第3透光性部材560を有することができる。第3透光性部材560は、第1発光素子521、第2発光素子522、第1導電部材531、第2導電部材532、第3導電部材533、第4導電部材534、導電性ワイヤ541~544、第1透光性部材551、及び第2発光素子522を覆う。
【0141】
本開示の実施形態は、以下の光源及びその駆動方法を含むことができる。
【0142】
[項1]
基板と、前記基板上に配置された第1発光素子及び第2発光素子とを有する発光装置と、
前記発光装置を駆動する電流を供給する駆動回路と、
前記第1発光素子のみに電流を供給する第1状態と、前記第2発光素子のみに電流を供給する第2状態と、を切り替えるスイッチと、
前記スイッチの動作のタイミングを制御するタイミングコントローラと、
を備え、
前記第1発光素子の発光ピーク波長が430nm以上490nm未満の範囲であり、前記第2発光素子の発光ピーク波長が490nm以上570nm未満の範囲であり、
前記第2発光素子の順方向電圧は、前記第1発光素子の順方向電圧よりも低い、光源。
[項2]
前記第1発光素子および前記第2発光素子の上方に位置し、波長変換部材を含有する透光性部材をさらに備える、項1に記載の光源。
[項3]
前記基板は、第1方向に延びる短辺と、前記第1方向に直交する第2方向に延びる長辺とによって規定される長方形状を有する上面を有し、
前記第1発光素子及び前記第2発光素子は、前記第1方向に沿って前記基板上に配置されている、項1または2に記載の光源。
[項4]
前記発光装置を支持する支持基板をさらに備え、
前記第1方向において、前記第1発光素子及び前記第2発光素子のうちの一方は、他方と前記支持基板との間に位置する、項3に記載の光源。
[項5]
複数の前記発光装置が、前記第2方向に沿って前記支持基板上に配置され、
前記複数の発光装置の複数の前記第1発光素子は直列接続され、
前記複数の発光装置の複数の前記第2発光素子は直列接続されている、項4に記載の光源。
[項6]
項1~5のいずれか1つに記載の光源の駆動方法であって、
前記第1状態の第1期間の長さと、前記第2状態の第2期間の長さとを異ならせる、駆動方法。
[項7]
項1~5のいずれか1つに記載の光源の駆動方法であって、
前記第1状態において前記駆動回路が出力する第1電流値の大きさと、前記第2状態において前記駆動回路が出力する第2電流値の大きさとを異ならせる、駆動方法。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本開示の実施形態は、各種照明用光源、車載用光源、ディスプレイ用光源などに有用である。本開示の実施形態は、特に、液晶表示装置に向けられたバックライトユニットに有利に適用できる。
【符号の説明】
【0144】
10…光源、15…貫通孔、16…穴部、30A、30C、30E、30S…基材、30r…基材の凹部、31T…第1配線、31V…第1導電部、32T…第2配線、32V…第2導電部、33T…第3配線、33V…第3導電部、34T…第4配線、34V…第4導電部、35R…第5配線、36R…第6配線、37R…第7配線、38R…第8配線、100A、100B、100E…発光装置、121…第1発光素子、122…第2発光素子、130A、130B、130C、130E…基板、130S…集合基板、140…光反射性部材、150…透光性部材、151…保護層、152…波長変換層、154…光拡散部材、170…導光部材、180…絶縁層、200…線状光源、210…駆動回路、220…タイミングコントローラ、230…支持基板、240…スイッチ、290…導光板、300…バックライトユニット、400…電源、500…発光装置、521…第1発光素子、522…第2発光素子、530…樹脂部材、530a…凹部、531…第1導電部材、532…第2導電部材、533…第3導電部材、534…第4導電部材、551…第1透光性部材、552…第2透光性部材、560…第3透光性部材