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特開2024-142634レトルト臭抑制剤、レトルト臭抑制方法およびレトルト食品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142634
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】レトルト臭抑制剤、レトルト臭抑制方法およびレトルト食品
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20241003BHJP
   A23L 3/00 20060101ALI20241003BHJP
   A23L 23/00 20160101ALI20241003BHJP
   A23L 13/00 20160101ALI20241003BHJP
   A23L 13/40 20230101ALI20241003BHJP
   A23L 29/212 20160101ALN20241003BHJP
【FI】
A23L27/00 Z
A23L3/00 101C
A23L23/00
A23L13/00 Z
A23L13/40
A23L29/212
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054862
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】302042678
【氏名又は名称】株式会社J-オイルミルズ
(72)【発明者】
【氏名】堀金 智貴
(72)【発明者】
【氏名】加藤 健太
(72)【発明者】
【氏名】和田 美咲
(72)【発明者】
【氏名】前山 智華
(72)【発明者】
【氏名】佐野 貴士
【テーマコード(参考)】
4B021
4B025
4B036
4B042
4B047
【Fターム(参考)】
4B021LA05
4B021LW07
4B021LW08
4B021LW10
4B025LB25
4B025LD03
4B025LG18
4B025LG28
4B025LP04
4B025LP18
4B036LC01
4B036LE02
4B036LF03
4B036LF05
4B036LF07
4B036LH12
4B036LH13
4B036LH29
4B036LH32
4B036LH44
4B036LK01
4B036LP01
4B036LP21
4B042AC01
4B042AD39
4B042AG03
4B042AH01
4B042AK01
4B042AK04
4B042AK08
4B042AK09
4B042AP02
4B042AP20
4B042AP21
4B042AP30
4B047LB04
4B047LB09
4B047LE04
4B047LE06
4B047LF04
4B047LF08
4B047LG01
4B047LG27
4B047LG70
4B047LP05
4B047LP14
4B047LP16
4B047LP20
(57)【要約】
【課題】
本発明は、レトルト臭抑制効果を有する食品素材を提供することを目的とする。
【解決手段】
以下の成分(a)を有効成分とするレトルト臭抑制剤。成分(a)は、以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物。(1)澱粉含量が75質量%以上(2)アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下(3)25℃における冷水膨潤度が5以上20以下(4)目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量が50質量%以上100質量%以下
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(a)を有効成分とするレトルト臭抑制剤。
成分(a)は、以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物。
(1)澱粉含量が75質量%以上
(2)アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下
(3)25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
(4)目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量が50質量%以上100質量%以下
【請求項2】
以下の成分(a)を配合する、レトルト臭抑制方法。
成分(a)は、以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物。
(1)澱粉含量が75質量%以上
(2)アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下
(3)25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
(4)目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量が50質量%以上100質量%以下
【請求項3】
以下の成分(a)を含むレトルト食品。
成分(a)は、以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物。
(1)澱粉含量が75質量%以上
(2)アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下
(3)25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
(4)目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量が50質量%以上100質量%以下
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レトルト食品のレトルト臭を抑制する食品素材に関する。
【背景技術】
【0002】
レトルト食品は、食品素材や調理済食品などをレトルトパウチに封入し、レトルト加熱を行った食品のことである。この際、食品にレトルト臭と呼ばれる独特な異風味が生じることが問題となっている。
【0003】
特許文献1には、(A)γ-グルタミルペプチドおよび(B)コハク酸および/またはアスパラギン酸を含有する組成物によってレトルト臭を抑制することが開示されている。特許文献1に記載の発明によれば、前記組成物によって、レトルト中華ソースの異臭および異味を抑制できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-114723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、昨今のレトルト食品の需要の高まりに応じて、レトルト臭抑制効果のある食品素材のさらなる開発が求められている。
【0006】
そこで、本発明においては、レトルト臭抑制効果を有する食品素材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、以下のレトルト臭抑制剤、レトルト臭抑制方法およびレトルト臭が抑制されたレトルト食品が提供される。
[1]
以下の成分(a)を有効成分とするレトルト臭抑制剤。
成分(a)は、以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物。
(1)澱粉含量が75質量%以上
(2)アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下
(3)25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
(4)目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量が50質量%以上100質量%以下
[2]
以下の成分(a)を配合する、レトルト臭抑制方法。
成分(a)は、以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物。
(1)澱粉含量が75質量%以上
(2)アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下
(3)25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
(4)目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量が50質量%以上100質量%以下
[3]
以下の成分(a)を含むレトルト食品。
成分(a)は、以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物。
(1)澱粉含量が75質量%以上
(2)アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下
(3)25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
(4)目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量が50質量%以上100質量%以下
【発明の効果】
【0008】
本発明のレトルト臭抑制剤およびレトルト臭抑制方法によれば、容易にレトルト食品のレトルト臭を抑制することができる。
本発明のレトルト食品は、レトルト臭がなく優れた風味を有するものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明のレトルト臭抑制剤、レトルト臭抑制方法およびレトルト食品について具体的な態様を説明する。以降の説明において、数値範囲の上限値および下限値を示した時には、上限値および下限値を適時組み合わせることができ、それにより得られた数値範囲も開示しているもとする。
【0010】
また、本発明のレトルト臭抑制剤、レトルト臭抑制方法およびレトルト食品は、後述の実施形態および実施例に限定するものではなく、発明の特徴および効果を損なわない範囲において、種々の変更が可能である。
【0011】
1.レトルト臭抑制剤
本発明のレトルト臭抑制剤は、以下の成分(a)を有効成分とすることを特徴とする。
成分(a)は、以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物。
(1)澱粉含量が75質量%以上
(2)アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下
(3)25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
(4)目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量が50質量%以上100質量%以下
本発明のレトルト臭抑制剤は、前記成分(a)をレトルト食品へ添加することで、レトルト処理時およびレトルト食品として保管する際に封入された食品にレトルト臭(異味・異臭)が生じることを抑制することができる。以下、各成分について説明する。
【0012】
<レトルト食品>
レトルト食品とは、レトルト(加圧加熱)殺菌処理された食品のことである。レトルト殺菌処理された商品は、商業的な無菌状態とすることができるため、常温で流通が可能になるだけでなく、長期間の保管が可能になるという利点がある一方、加圧加熱時およびレトルト食品として保管している間に独特の異風味が封入されている食品に生じてしまうという問題点があった。
【0013】
レトルト(加圧加熱)殺菌処理(以降、単に「レトルト加熱」と呼ぶことがある。)は、専用の包装体に食品を封入した後、所定の加圧加熱条件にて処理される。加圧加熱条件は、特に限定するものではなく、例えば、121℃で40分間程度加熱するセミレトルト処理、135℃で40分間程度加熱するハイレトルト処理などが挙げられる。
【0014】
<成分(a)>
本発明のレトルト臭抑制剤に用いられる成分(a)は、条件(1)~(4)を満たす粉粒状物である。
条件(1)に関し、レトルト臭抑制剤は、成分(a)全体に対して澱粉を75質量%以上含み、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上含む。
また、成分(a)中の澱粉の含有量の上限に制限はなく、成分(a)全体に対して100質量%以下であるが、食品の性状等に応じて99.5質量%以下、99質量%以下等としてもよい。
【0015】
成分(a)において、澱粉は、たとえば食品用の澱粉であり、各種由来のものを用いることができる。たとえば、澱粉として、タピオカ澱粉、とうもろこし澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、コメ澱粉、豆澱粉などの澱粉;およびこれらの澱粉を化学的、物理的または酵素的に加工した加工澱粉などから、一種以上を適宜選ぶことができる。澱粉は、好ましくはタピオカ澱粉、とうもろこし澱粉、コメ澱粉および豆澱粉から選ばれる一種または二種以上であり、より好ましくは、タピオカ澱粉およびとうもろこし澱粉から選ばれる一種または二種である。
同様の観点から、澱粉の由来原料は、好ましくはキャッサバ、とうもろこし、コメおよび豆からなる群から選ばれる一種または二種以上である。
【0016】
条件(2)に関し、成分(a)は、具体的には、低分子化澱粉と、他の澱粉とを含む。まず、低分子化澱粉について説明する。
低分子化澱粉の原料澱粉中のアミロース含量は、たとえば5質量%以上であり、好ましくは12質量%以上、より好ましくは22質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、さらにより好ましくは45質量%以上、よりいっそう好ましくは55質量%以上、さらにまた好ましくは65質量%以上である。なお、低分子化澱粉の原料澱粉中のアミロース含量の上限に制限はなく、100質量%以下であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
【0017】
低分子化澱粉の原料であるアミロース含量5質量%以上の澱粉として、ハイアミロースコーンスターチ、コーンスターチ等のとうもろこし澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、ハイアミロース小麦澱粉、米澱粉、豆澱粉および、これらの原料を化学的、物理的または酵素的に加工した加工澱粉からなる群から選択される一種または二種以上を用いることができる。アミロース含量5質量%以上の澱粉は、ハイアミロースコーンスターチ、コーンスターチ、タピオカ澱粉および、豆澱粉から選択される一種または二種以上であり、より好ましくはハイアミロースコーンスターチである。ハイアミロースコーンスターチとしては、たとえばアミロース含量40質量%以上のものが入手可能である。アミロース含量5質量%以上の澱粉は、より好ましくはアミロース含量が40質量%以上のコーンスターチである。
【0018】
成分(a)中の低分子化澱粉の含有量は、たとえば3質量%以上45質量%以下であり、好ましくは8質量%以上35質量%以下、より好ましくは13質量%以上25質量%以下である。
【0019】
低分子化澱粉のピーク分子量は、たとえば3×10以上5×10以下であり、好ましくは8×10以上3×10以下、より好ましくは8×10以上1.5×10以下である。なお、低分子化澱粉のピーク分子量の測定方法については、実施例の項に記載する。
【0020】
ここで、低分子化澱粉は、その製造安定性に優れる観点から、好ましくは、酸処理澱粉、酸化処理澱粉および酵素処理澱粉からなる群から選択される一種または二種以上であり、より好ましくは酸処理澱粉である。
【0021】
酸処理澱粉を得る際の酸処理の条件は問わないが、たとえば、以下のように処理することができる。
まず、原料であるアミロース含量5質量%以上の澱粉と水を反応装置に投入した後、さらに酸を投入する。あるいは水に無機酸をあらかじめ溶解させた酸水と原料の澱粉を反応装置に投入する。酸処理をより安定的におこなう観点からは、反応中の澱粉の全量が水相内に均質に分散した状態、またはスラリー化した状態にあることが望ましい。そのためには、酸処理をおこなう上での澱粉スラリーの濃度を、たとえば10質量%以上50質量%以下、好ましくは20質量%以上40質量%以下の範囲になるように調整する。スラリー濃度が高すぎると、スラリー粘度が上昇し、均一なスラリーの攪拌が難しくなる場合がある。
【0022】
酸処理に用いられる酸として、具体的には塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸が挙げられ、種類、純度などを問わず利用できる。
【0023】
酸処理反応条件については、たとえば酸処理時の無機酸濃度は、酸処理澱粉を安定的に得る観点から、0.05規定度(N)以上4N以下が好ましく、0.1N以上4N以下がより好ましく、0.2N以上3N以下がさらに好ましい。また、同様の観点から、反応温度は、30℃以上70℃以下が好ましく、35℃以上70℃以下がより好ましく、35℃以上65℃以下がさらに好ましく、反応時間は、同様の観点から、0.5時間以上120時間以下が好ましく、1時間以上72時間以下がより好ましく、1時間以上48時間以下がさらに好ましい。
【0024】
成分(a)中の低分子化澱粉以外の澱粉としては、たとえば前述した澱粉の中から選択して使用することができる。好ましくは、成分(a)中の低分子化澱粉以外の澱粉は、コーンスターチ、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、豆澱粉およびこれらの加工澱粉からなる群から選択される一種または二種以上である。
【0025】
条件(3)に関し、成分(a)の25℃における冷水膨潤度はたとえば5以上20以下であり、好ましくは6以上17以下であり、さらに好ましくは6.5以上15以下、さらに好ましくは6.5以上13以下、さらにより好ましくは6.5以上12以下である。
ここで、成分(a)の冷水膨潤度の測定方法については、実施例の項に記載する。
【0026】
条件(4)に関し、成分(a)中の目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量は、成分(a)全体に対してたとえば50質量%以上であり、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは90質量%以上、よりいっそう好ましくは95質量%以上である。
同様の観点から、成分(a)中の目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量は、成分(a)全体に対して100質量%以下である。
これらの篩は、具体的にはJIS-Z8801-1規格の篩である。
【0027】
前記成分(a)中の目開き1.4mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量は、成分(a)全体に対してたとえば50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらにより好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上、よりいっそう好ましくは95質量%以上である。
同様の観点から、成分(a)中の目開き1.4mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量は、成分(a)全体に対して100質量%以下である。
これらの篩は、具体的にはJIS-Z8801-1規格の篩である。
【0028】
成分(a)は、たとえば、国際公開第2021/246477号公報に記載の方法を用いて得ることができる。
レトルト臭抑制剤中の成分(a)の含有量は、レトルト臭抑制剤全体に対して好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。含有量の上限値は、限定するものではないが、好ましくは100質量%以下である。
【0029】
本発明のレトルト臭抑制剤は、前記成分(a)のほか、本発明の目的および効果を阻害しない範囲であれば、増粘多糖類、乳化剤、酸化防止剤、pH調整剤、色素、香料などを含むことができる。
【0030】
成分(A)は、成分(A)の粒子内の気泡構造をさらに安定化し、製造安定性を改善する観点から、不溶性塩を配合することが好ましい。
同様の観点から、不溶性塩の配合量は、好ましくは0.1質量%以上であり、また、好ましくは2質量%以下である。
【0031】
乳化剤としては、たとえば食品用の乳化剤が挙げられる。
乳化剤の具体例として、ショ糖脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、ポリソルベート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン界面活性剤; ジアセチル酒石酸モノグリセリド等のアニオン界面活性剤;および レシチン等の両性界面活性剤が挙げられる。
乳化剤は、好ましくはノニオン界面活性剤であり、より好ましくはショ糖脂肪酸エステルおよびモノグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる1種以上である。
【0032】
ノニオン界面活性剤のうち、ショ糖脂肪酸エステルとして、たとえばショ糖と炭素数10以上24以下の脂肪酸とのエステルが挙げられ、さらに具体的には、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖ベヘン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステルが挙げられる。
ショ糖脂肪酸エステルにおける脂肪酸の炭素数に制限はないが、たとえば10以上であり、好ましくは12以上、より好ましくは14以上、さらに好ましくは16以上である。
また、制限はないが、ショ糖脂肪酸エステルにおける脂肪酸の炭素数は、たとえば24以下であり、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは18以下である。
【0033】
ショ糖脂肪酸エステルにおける脂肪酸は、冷却工程における香辛料の香りの低下を抑制する観点から、好ましくは飽和脂肪酸または1価不飽和脂肪酸であり、より好ましくは飽和脂肪酸である。
ショ糖脂肪酸エステルは、脂肪酸のモノ、ジ、トリおよびポリエステルのいずれを含んでもよい。
ショ糖脂肪酸エステルのHLBは、好ましくは0以上であり、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは4以上、さらにより好ましくは8以上である。
また、ショ糖脂肪酸エステルのHLBは、好ましくは18以下、より好ましくは17以下である。
【0034】
モノグリセリン脂肪酸エステルとして、たとえばグリセリンと炭素数6以上24以下の脂肪酸とのエステルが挙げられ、さらに具体的には、グリセリンモノカプリン酸エステル、グリセリンモノパルミチン酸エステル、グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンモノベヘン酸エステルが挙げられる。
モノグリセリン脂肪酸エステルにおける脂肪酸の炭素数は、たとえば6以上であり、好ましくは10以上、より好ましくは14以上である。
また、モノグリセリン脂肪酸エステルにおける脂肪酸の炭素数は、たとえば24以下であり、好ましくは22以下、より好ましくは20以下である。
モノグリセリン脂肪酸エステルにおける脂肪酸は、好ましくは飽和脂肪酸または1価不飽和脂肪酸であり、より好ましくは飽和脂肪酸である。
モノグリセリン脂肪酸エステルのHLBは、好ましくは0以上であり、より好ましくは1以上である。
また、モノグリセリン脂肪酸エステルのHLBは、好ましくは16以下であり、より好ましくは9以下、さらに好ましくは6以下である。
【0035】
成分(A)中の乳化剤の含有量は、成分(A)全体に対して好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは0.6質量%以上、さらに好ましくは0.9質量%以上である。
また、成分(A)中の乳化剤の含有量は、成分(A)全体に対して好ましくは11質量%以下であり、より好ましくは9質量%以下、さらに好ましくは6質量%以下である。
【0036】
本発明のレトルト臭抑制剤の形態は、限定するものではないが、好ましくは粉体であり、より好ましくは粉粒状物である。
【0037】
前記成分(a)の含有量は、レトルト臭抑制剤全体に対して、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、99.5質量%以上であることが特に好ましい。レトルト臭抑制剤中における成分(a)の含有量の上限値は、限定するものではないが、好ましくは100質量%である。
【0038】
2.レトルト臭抑制方法
本発明のレトルト臭抑制方法は、以下の成分(a)をレトルト処理を施す食品に配合することを特徴とする。
成分(a)は、以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物。
(1)澱粉含量が75質量%以上
(2)アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下
(3)25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
(4)目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量が50質量%以上100質量%以下
本発明のレトルト臭抑制方法によれば、前記成分(a)をレトルト処理を施す食品に配合することにより、レトルト処理時およびレトルト食品として保管されている際に該食品にレトルト臭(異味・異臭)が生じることを抑制することができる。
なお、成分(a)の詳細については、「1.レトルト臭抑制剤」で述べたとおりである。
【0039】
成分(a)の配合量は、レトルト食品全体に対して、好ましくは0.05質量%以上5質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上4質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以上3質量%以下となるようにレトルト臭抑制剤を配合することである。
【0040】
食品に対する成分(a)の配合方法は、特に限定しないが、混合、散布、塗布などを採用することが可能であり、好ましくは混合である。
【0041】
3.レトルト食品
本発明のレトルト食品は、以下の成分(a)を含むことを特徴とする。
成分(a)は、以下の条件(1)~(4)を満たす粉粒状物。
(1)澱粉含量が75質量%以上
(2)アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×10以上5×10以下
(3)25℃における冷水膨潤度が5以上20以下
(4)目開き3.35mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量が50質量%以上100質量%以下
本発明のレトルト食品は、前記成分(a)を含むことでレトルト処理時およびレトルト食品として保管されている際にレトルト臭(異味、異臭)が食品に生じることがなく、優れた風味を有している。
なお、成分(a)の詳細については、「1.レトルト臭抑制剤」で述べたとおりである。
【0042】
成分(a)の含有量は、レトルト食品全体に対して、好ましくは0.05質量%以上5質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上4質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以上3質量%以下である。
成分(a)の含有量を上記範囲内とすることにより、レトルト食品にレトルト臭が生じることを抑制することができる。
【0043】
レトルト食品とてしは、限定するものではないが、カレー、シチュー、麻婆豆腐、スープ、どんぶりの素、畜肉加工食品等が挙げられる。
【実施例0044】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
【0045】
(原料)
レトルト臭抑制剤およびレトルト食品の調製に際し、以下のものを使用した。
(レトルト臭抑制剤およびその他食品)
・粉粒状物:後述する「粉粒状物の製造」により得られた粉粒状物を用いた。
・レトルトカレー:▲カレー▼屋カレー辛口、ハウス食品株式会社製
・コーンスターチ:J-オイルミルズコーンスターチY、株式会社J-オイルミルズ製
・ガラムマサラ:S&Bガラムマサラ、エスビー食品株式会社製
・豆板醤:ユウキ食品株式会社製
・甜麺醤:ユウキ食品株式会社製
・キャノーラ油:AJINOMOTOさらさらキャノーラ油、株式会社J-オイルミルズ製
・ごま油:AJINOMOTOごま油好きの純正ごま油、株式会社J-オイルミルズ製
・ニンニク:おろし生にんにく、エスビー食品株式会社製
・ショウガ:おろし生しょうが、エスビー食品株式会社製
・醤油:キッコーマンこいくちしょうゆ、キッコーマン株式会社製
・オイスターソース:李錦記オイスターソース、エスビー食品株式会社製
・食塩:塩事業センター
・鶏ガラスープの素:丸鶏がらスープ、味の素株式会社製
・料理酒:料理のための清酒、宝酒造株式会社
・花椒:S&B 菜館 花椒、エスビー食品株式会社製
・ATP-25:アセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉、アクトボディーATP-25、株式会社J-オイルミルズ製
・リン酸塩:トリポリリン酸ナトリウム、ミテジマ化学株式会社製
・アスコルビン酸Na:L-アスコルビン酸ナトリウム、八宝食産株式会社製
・亜硝酸Na:硝光、株式会社ポリホス化学研究所製
・上白糖:上白糖、三井製糖株式会社
・グルタミン酸Na:味の素、味の素株式会社製
・ホワイトペッパー:ホワイトペッパーパウダー、株式会社ギャバン製
【0046】
(粉粒状物の製造)
本実施例においては、以下の手順で粉粒状物を製造した。
<低分子化澱粉の製造>
粉粒状物の原料となる低分子化澱粉として酸処理ハイアミロースコーンスターチを製造した。
ハイアミロースコーンスターチ(株式会社J-オイルミルズ製、HS-7、アミロース含量70質量%)を水に懸濁して35.6%(w/w)スラリーを調製し、50℃に加温した。そこへ、攪拌しながら4.25Nに調製した塩酸水溶液をスラリー質量比で1/9倍量加え反応を開始した。16時間反応後、3%(w/w)NaOHで中和し、水洗、脱水、乾燥し、酸処理ハイアミロースコーンスターチを得た。
得られた酸処理ハイアミロースコーンスターチのピーク分子量を後述の方法で測定したところ、ピーク分子量は1.2×10であった。
【0047】
<ピーク分子量の測定方法>
ピーク分子量の測定は、東ソー株式会社製HPLCユニットを使用しておこなった(ポンプDP-8020、RI検出器RS-8021、脱気装置SD-8022)。
(1)試料を粉砕し、JIS-Z8801-1規格の篩で、目開き0.15mm篩下の画分を回収した。この回収画分を移動相に1mg/mLとなるように懸濁し、懸濁液を100℃3分間加熱して完全に溶解した。0.45μmろ過フィルター(ADVANTEC社製、DISMIC-25HP PTFE 0.45μm)を用いてろ過を行い、ろ液を分析試料とした。
(2)以下の分析条件で分子量を測定した。
カラム:TSKgel α-M(7.8mmφ、30cm)(東ソー株式会社製)2本
流量:0.5mL/分
移動相:5mM 硝酸ナトリウム含有90%(v/v)ジメチルスルホキシド溶液
カラム温度:40℃
分析量:0.2mL
(3)検出器データを、ソフトウェア(マルチステーションGPC-8020modelIIデータ収集ver5.70、東ソー株式会社製)にて収集し、分子量ピークを計算した。
検量線には、分子量既知のプルラン(Shodex Standard P-82、昭和電工株式会社製)を使用した。
【0048】
<冷水膨潤度の測定方法>
(1)試料を、水分計(研精工業株式会社、型番MX-50)を用いて、125℃で加熱乾燥させて水分測定し、得られた水分値から乾燥物質量を算出した。
(2)この乾燥物質量換算で試料1gを25℃の水50mLに分散した状態にし、30分間25℃の恒温槽の中でゆるやかに撹拌した後、3000rpmで10分間遠心分離(遠心分離機:日立工機社製、日立卓上遠心機CT6E型;ローター:T4SS型スイングローター;アダプター:50TC×2Sアダプター)し、沈殿層と上澄層に分けた。
(3)上澄層を取り除き、沈殿層質量を測定し、これをB(g)とした。
(4)沈殿層を乾固(105℃、恒量)したときの質量をC(g)とした。
(5)BをCで割った値を冷水膨潤度とした。
【0049】
<エクストルーダー処理と篩処理>
コーンスターチ(コーンスターチY、株式会社J-オイルミルズ製)77質量%、上述の手順で得られた酸処理ハイアミロースコーンスターチ20質量%、炭酸カルシウム1質量%およびモノグリセリン脂肪酸エステル(ポエムP(V)S、構成脂肪酸C16(60%)、C18(40%)、理研ビタミン株式会社製)2質量%を充分に均一になるまで袋内で混合した。2軸エクストルーダー(幸和工業株式会社製KEI-45)を用いて、混合物を加圧加熱処理した。処理条件は、以下の通りである。
原料供給:450g/分
加水:17質量%
バレル温度:原料入口から出口に向かって50℃、70℃および100℃
出口温度:100~110℃
スクリューの回転数250rpm
このようにしてエクストルーダー処理により得られた加熱糊化物を110℃にて乾燥し、水分含量を10質量%に調整した。
次いで、乾燥した加熱糊化物を、卓上カッター粉砕機で粉砕した後、JIS-Z8801-1規格の篩で篩分けした。篩分けした加熱糊化物を、所定の配合割合で混合してレトルト臭抑制剤としての粉粒状物1および2を調製した。各粉粒状物の冷水膨潤度および粒径分布を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
(実施例1)レトルトカレー
以下の手順にてレトルトカレーを調製し、本発明のレトルト臭抑制剤を添加した場合の風味評価を行った。評価は、専門パネル4名にて喫食し、以下の評価指標を用いて点数付けを行い、その平均値を評価結果とした。評価結果は、6点以上を合格とした。得られた評価結果を表2に示す。
【0052】
(レトルトカレーの調製手順)
(1)レトルトカレーを袋から取り出し、ルーと具材を網で濾して分けた。
(2)ルーと水を表2の配合で混合した。
(3)レトルトパウチに90gをとりわけ、ルーと水の混合物に対して表2に示す配合でガラムマサラ、コーンスターチおよびレトルト臭抑制剤としての粉粒状物1を上添で混合した。
(4)レトルト品用オートクレーブ(HLM-36LBC型レトルト滅菌器、平山製作所社製)を用いて(3)のレトルトパウチに真空処理およびシーリング処理を行った。
(4)121℃で10分間レトルト処理を施し、試験サンプルとしてのレトルトカレーを得た。
【0053】
(評価指標)
・レトルト臭(異味および異臭)
10: レトルトしていない食品と同等の風味を有していた
9:異味および異臭が全く感じられなかった
8:異味および異臭がほとんど感じられなかった
7:異風味および異臭をほんのわずかに感じた
6:異味および異臭をわずかに感じた
5:異味および異臭をやや感じた
4:異味および異臭を強く感じた
3:異味および異臭をとても強く感じた
2:異味および異臭を極めて強く感じたものの、喫食は可能
1:異味および異臭が極めて強く感じ、喫食に適さなかった
【0054】
【表2】
【0055】
表2に示すように、本発明のレトルト臭抑制剤を配合して得たレトルトカレーは、出来立ておよび24℃で4週間または44℃で8週間保管した後においても、ほとんどレトルト臭が感じられず良好な風味を有していた。
本発明のレトルト臭抑制剤による効果は、長期間の間保管した後において顕著に認められた。
【0056】
(実施例2)レトルト麻婆豆腐
以下の手順にてレトルト麻婆豆腐を調製し、本発明のレトルト臭抑制剤を添加した場合の風味評価を行った。評価は、専門パネル5名にて喫食し、実施例1の評価指標を用いて点数付けを行い、その平均値を評価結果とした。評価結果は、6点以上を合格とした。得られた評価結果を表3に示す。
【0057】
(レトルト麻婆豆腐の調製手順)
(1)表2の配合で混合し、レトルトパウチに90gをとりわけた。
(2)レトルト品用オートクレーブ(HLM-36LBC型レトルト滅菌器、平山製作所社製)を用いて(3)のレトルトパウチに真空処理およびシーリング処理を行った。
(3)121℃で10分間レトルト処理を施し、試験サンプルとしてのレトルト麻婆豆腐を得た。
【0058】
【表3】
【0059】
表3に示すように、本発明のレトルト臭抑制剤を配合して得たレトルト麻婆豆腐は、14週間の保管後においても、ほとんどレトルト臭が感じられず良好な風味を有していた。本発明のレトルト臭抑制剤は、長期間の間保管した後に顕著に効果を奏することが明らかとなった。
【0060】
(実施例3)レトルトミンチゲル
以下の手順にてレトルトミンチゲルを調製し、本発明のレトルト臭抑制剤としての粉粒状物1または2を添加した場合の風味評価を行った。評価は、専門パネル3名にて喫食し、以下の評価指標を用いて点数付けを行い、合議にて評価結果を得た。得られた評価結果を表4に示す。
【0061】
(レトルトミンチゲルの調製手順)
(1)豚赤身肉を解凍し、フードプロセッサー(DLC-N7J、クイジナート社製)にて40秒間カットした。
(2)(1)に食塩、リン酸塩、アスコルビン酸Na、亜硝酸Naを加え、フードプロセッサーにて45秒間混合した後、5℃で1時間塩漬を行った。
(3)(2)に上白糖、グルタミン酸Naおよびホワイトペッパーを加え、フードプロセッサーにて2分間混合し、ミンチゲルを得た。
(4)(3)全量に対する上添で粉粒状物1または2を加え、フードプロセッサーにて30秒間混合し、実施例のミンチゲルを得た。
(5)真空包装機(LYNX 32、ニチワ電気株式会社製)にてミンチゲルの脱気を行った後、ケーシングチューブに充填した。
(6)(5)をレトルトパウチに封入後、121℃で4分間レトルト処理を施してレトルトミンチゲルを得た。
(7)レトルトミンチゲルを厚さ15mmにカットし、試食評価を行った。
【0062】
(評価指標)
5:異臭・異味が感じられなかった
4:比較例3-1よりも異臭・異味が感じられなかった
3:比較例3-1と同等の異臭・異味が感じられた
2:比較例3-1よりも異臭・異味が強く感じられた
1:異臭・異味がとても強く感じられ、喫食に適さなかった
【0063】
【表4】
【0064】
表4に示すように、本発明のレトルト臭抑制剤を配合して得たレトルトミンチゲルは、未配合のものと比べて、レトルト臭が抑制されていた。
特に、粉粒状物2を配合したレトルトミンチゲル(実施例3-2)においてレトルト臭抑制効果が高かった。このことから、粉粒状物の粒径分布は、目開き0.25mmの篩の篩下かつ目開き0.038mmの篩の篩上の画分の含有量が90質量%以上であることが好ましいことが明らかとなった。
【0065】
(実施例4)配合量の検討
実施例1と同じ手順にてレトルトカレーを調製し、本発明のレトルト臭抑制剤を添加した場合の風味評価を行った。評価は、専門パネル3名にて喫食し、以下の評価指標を用いて0.5点刻みで点数付けを行い、平均値を評価結果として得た。得られた評価結果を表5に示す。
【0066】
(評価指標)
5:異臭・異味が感じられなかった
4:比較例4-1よりも異臭・異味が感じられなかった
3:比較例4-1と同等の異臭・異味が感じられた
2:比較例4-1よりも異臭・異味が強く感じられた
1:異臭・異味がとても強く感じられ、喫食に適さなかった
【0067】
【表5】
【0068】
表5に示すように、レトルトカレー全体に対して、本発明のレトルト臭抑制剤としての粉粒状物1または2を0.25質量%以上1質量%配合することにより優れたレトルト臭抑制効果が得られることが明らかとなった。