(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142719
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】プローバ及びウェーハ搬送方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20241003BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/66 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055011
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 亜嵐
(72)【発明者】
【氏名】西河 秀平
【テーマコード(参考)】
4M106
5F131
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106BA01
4M106DD10
4M106DD23
4M106DJ02
4M106DJ04
4M106DJ05
4M106DJ06
4M106DJ07
4M106DJ38
5F131AA02
5F131BA39
5F131CA18
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA02
5F131EA22
5F131EA23
5F131EA24
5F131EB01
5F131EB72
5F131FA17
5F131FA32
5F131FA33
5F131FA37
(57)【要約】
【課題】ウェーハを安定して搬送することが可能なプローバ及びウェーハ搬送方法を提供する。
【解決手段】ウェーハをW保持する保持面44を有するウェーハチャック38と、保持面44に対して突没自在に設けられた複数のピン50と、複数のピン50の上端部50Aにそれぞれ設けられ、ウェーハWを吸着可能な吸着部52と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハを保持する保持面を有するウェーハチャックと、
前記保持面に対して突没自在に設けられたピン状の複数の支持部材と、
前記複数の支持部材の上端部にそれぞれ設けられ、前記ウェーハを吸着可能な吸着部と、
を備える、プローバ。
【請求項2】
前記吸着部は、前記支持部材の上端部に設けられた吸着孔を有する、
請求項1に記載のプローバ。
【請求項3】
前記支持部材は、軸方向に延びた中空領域を有する円筒状の中空部材であり、
前記中空領域の一端は前記吸着孔に連通している、
請求項2に記載のプローバ。
【請求項4】
前記中空領域の他端は、前記吸着孔に吸着力を付与する吸着力付与手段に連通している、
請求項3に記載のプローバ。
【請求項5】
前記吸着部は、前記支持部材の軸方向に伸縮可能な筒状のベローズを有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載のプローバ。
【請求項6】
前記複数の支持部材は、前記保持面の中心を中心とする同心円に沿って配置される、
請求項5に記載のプローバ。
【請求項7】
前記複数の支持部材は、前記保持面の中心からの放射方向に沿って配置される、
請求項5に記載のプローバ。
【請求項8】
ウェーハチャックの保持面から突没自在に構成されたピン状の複数の支持部材の上端部にウェーハを吸着保持する吸着保持工程と、
前記吸着保持工程が行われた状態で前記複数の支持部材を昇降させることにより前記ウェーハを前記ウェーハチャック及び搬送アームのいずれか一方から他方に移動させる支持部材昇降工程と、
を備える、ウェーハ搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハに形成された複数のチップに対し電気的な検査を行うプローバ及びウェーハ搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程では、半導体ウェーハ(以下、ウェーハと言う。)に各種の処理を施して、デバイスを有する複数のチップを形成する。各チップは電気的特性が検査され、その後ダイサーで分断された後、リードフレーム等に固定されて組み立てられる。電気的特性の検査は、テスタを備えたプローバによって実施される。プローバは、ウェーハをウェーハチャックに吸着保持させて、各チップの電極にプローブを接触させる。テスタは、プローブに接続される端子から電源及び各種の試験信号をチップに供給し、チップの電極に出力される信号を解析することにより正常に動作するかを確認する。
【0003】
特許文献1には、ウェーハチャックの保持面に対し、3本の直棒状のピンを突没移動させることにより、ウェーハチャックに対しウェーハをロード及びアンロードするプローバが開示されている。
【0004】
特許文献1のプローバによれば、ウェーハをロードする場合、3本のピンは、駆動部によって保持面から保持面の上方に上昇移動され、例えば搬送アームによって予め受け取り位置に搬送されているウェーハを持ち上げる。その後3本のピンは、駆動部によって保持面に向けて下降移動される。この動作によってウェーハが保持面に載置される。また、ウェーハをアンロードする場合、3本のピンは、駆動部によって保持面から保持面の上方に上昇移動される。この動作によってウェーハが保持面から持ち上げられて搬送アームに受け渡される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のプローバは、複数のピンによるウェーハの搬送において、これらのピン(実際にはウェーハが載置されるピンの上端部)とウェーハとの相対位置がずれる場合がある。この場合、例えば、ウェーハを搬送アームに受け渡した際に、ウェーハが搬送アームの正確な位置に載らなくなるため搬送アームによるウェーハの搬送に不具合が生じる場合がある。
【0007】
すなわち、従来のプローバは、複数のピンによるウェーハの搬送において、ウェーハを安定して搬送することができない問題がある。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みて成されたものであり、ウェーハを安定して搬送することが可能なプローバ及びウェーハ搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプローバは、上記目的を達成するために、ウェーハを保持する保持面を有するウェーハチャックと、保持面に対して突没自在に設けられたピン状の複数の支持部材と、複数の支持部材の上端部にそれぞれ設けられ、ウェーハを吸着可能な吸着部と、を備える。
【0010】
本発明の一形態は、吸着部は、支持部材の上端部に設けられた吸着孔を有することが好ましい。
【0011】
本発明の一形態は、支持部材は、軸方向に延びた中空領域を有する円筒状の中空部材であり、中空領域の一端は吸着孔に連通していることが好ましい。
【0012】
本発明の一形態は、中空領域の他端は、吸着孔に吸着力を付与する吸着力付与手段に連通していることが好ましい。
【0013】
本発明の一形態は、吸着部は、支持部材の軸方向に伸縮可能な筒状のベローズを有することが好ましい。
【0014】
本発明の一形態は、複数の支持部材は、保持面の中心を中心とする同心円に沿って配置されることが好ましい。
【0015】
本発明の一形態は、複数の支持部材は、保持面の中心からの放射方向に沿って配置されることが好ましい。
【0016】
本発明のウェーハ搬送方法は、上記目的を達成するために、ウェーハチャックの保持面から突没自在に構成されたピン状の複数の支持部材の上端部にウェーハを吸着保持する吸着保持工程と、吸着保持工程が行われた状態で複数の支持部材を昇降させることによりウェーハをウェーハチャック及び搬送アームのいずれか一方から他方に移動させる支持部材昇降工程と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ウェーハを安定して搬送することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態のプローバの構成を示した全体斜視図である。
【
図2】
図1のプローバのプローバ本体の内部に配置された検査部の側面図である。
【
図4】3本のピンの各下端部の連結構造を示した斜視図である。
【
図5】プローバのバキュームシステムを示したブロック図である。
【
図6】プローバの電気的構成を示した機能ブロック図である。
【
図7】ウェーハをロードするロードシーケンスを示したフローチャートである。
【
図8】ウェーハをアンロードするアンロードシーケンスを示したフローチャートである。
【
図9】歪みウェーハが保持面に引き込まれる状態を示した概略説明図である。
【
図10】吸着部をベローズによって構成したピンの変形例を示す断面図である。
【
図12】4本以上のピンを使用した場合のウェーハチャックの平面図である。
【
図13】4本以上のピンを使用した場合のウェーハチャックの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔プローバ〕
以下、添付図面に従って本発明に係るプローバ及びウェーハ搬送方法の実施形態について詳説する。
【0020】
図1は、実施形態のプローバ10の構成を示した全体斜視図である。
【0021】
図1に示すように、プローバ10は、プローバ本体12と、プローバ本体12に隣接されたローダ部14と、を備えている。なお、
図1では、ローダ部14の内部の概略構造を示すため、ローダ部14を透視して示している。
【0022】
〔ローダ部〕
ローダ部14は、ロードポート16に載せられた容器18と、搬送アーム20と、プリアライメント部22と、を備えている。容器18に格納された検査前のウェーハWは、搬送アーム20の吸着部21によって真空吸着により保持(以下、吸着保持と言う。)される。その後ウェーハWは、搬送アーム20の搬送動作によって容器18から取り出され、プリアライメント部22に受け渡される。
【0023】
プリアライメント部22においてウェーハWは、ウェーハWに形成されたオリフラ(又はノッチ)の位置が割り出される。その後ウェーハWは、割り出されたオリフラが所定の方向に向くようにウェーハWの角度方向がプローバ本体12(検査部)での角度方向に合わされる(プリアライメント)。
【0024】
プリアライメントが終了したウェーハWは、搬送アーム20の吸着部21によって吸着保持された後、搬送アーム20の搬送動作によってローダ部14からプローバ本体12に搬入される。その後ウェーハWは、後述するようにプローバ本体12にて検査が行われる。検査が終了したウェーハWは、プローバ本体12の内部において搬送アーム20の吸着部21によって吸着保持された後、搬送アーム20の搬送動作によってローダ部14の容器18に格納される。なお、ローダ部14の詳細な構成については公知であるので、ここでは説明を省略する。
【0025】
〔プローバ本体〕
図2は、プローバ本体12の内部に配置された検査部30の側面図である。なお、後述するウェーハチャック38は縦断面として示している。
【0026】
図2に示すように、検査部30は、検査するチップの電極に接触されるプローブ32を有するプローブカード34と、テスタ36と、ウェーハチャック38と、を備えている。テスタ36は、テストヘッド40と、テストヘッド40の端子とプローブカード34の端子とを電気的に接続するインターフェイス42と、を有する。テスタ36は、プローブ32に接続される端子から電源及び各種の試験信号をチップに供給し、チップの電極に出力される信号を解析することによりチップが正常に動作するかを確認する。
【0027】
プローブカード34は、ヘッドステージ(不図示)に形成された開口部(プローブカード取付部)に着脱自在に保持される。プローブカード34の下面(ウェーハチャック38側の面)には複数のプローブ32が形成されている。
【0028】
ウェーハチャック38は、プローブカード34の下方位置であって、プローブカード34に対向する位置に配置される。ウェーハチャック38は、ウェーハチャック38の上面にウェーハWを保持する保持面44を有し、保持面44には吸着溝46が形成される。また、ウェーハチャック38は、XYZθステージ48に搭載されており、XYZθステージ48はウェーハチャック38を各方向(X、Y、Z、θ方向)に移動可能である。なお、ウェーハチャック38は、本発明のウェーハチャックの一例である。
【0029】
このように構成された検査部30を用いて行われるウェーハWの電気的特性の検査(ウェーハレベル検査)では、まず、検査前のウェーハWがウェーハチャック38の保持面44に載置されると、ウェーハWはウェーハチャック38の保持面44に吸着保持される。その後、不図示のアライメントカメラ及び針位置検出カメラを用いて、ウェーハWの電極とプローブカード34のプローブ32との相対的な位置合わせ(アライメント)が行われる。その後、XYZθステージ48によりウェーハチャック38をプローブカード34に向けて上昇移動させて、プローブカード34のプローブ32にウェーハWのチップの電極を接触させる。この状態で、テスタ36からプローブ32に電源及び各種の試験信号を供給し、チップから出力される信号検出して電気的特性の検査を行う。
【0030】
〔ウェーハのロード及びアンロード装置〕
図2に示すように、ウェーハチャック38には、鉛直方向に貫通した3つの貫通孔39が備えられており、これらの貫通孔39には、3本の直棒状のピン50がそれぞれ挿入されている。3本のピン50は、ウェーハチャック38の中心軸Pを中心とした同心円上に沿って配置されている。すなわち、3本のピン50は、保持面44の中心軸(ウェーハチャック38の中心軸P)を中心とする同心円に沿って配置される。なお、ピン50は、本発明の支持部材の一例である。
【0031】
図3は、ピン50の構成を示した縦断面図である。
図3に示すように、ピン50は、ピン50の上端部50AにウェーハWを吸着可能な吸着部52を有する。この吸着部52は、ピン50の上端部50Aに設けられた吸着孔54を有する。
【0032】
また、ピン50は、円筒状の中空部材であり、ピン50の軸B方向(ウェーハチャック38の中心軸Pと平行)に延びた中空領域56を有する。この中空領域56の上端(中空領域56の一端)は吸着孔54に連通されている。
【0033】
図4は、各ピン50同士を連結する連結部を示した斜視図である。
図4に示すように、各ピン50は、ウェーハチャック38の下方位置において水平方向に配置されたプレート60にそれぞれ連結される。各ピン50は、プレート60を介してピン昇降装置62により昇降自在に構成される。
【0034】
具体的には、
図2に示すように、プレート60は、その右端部がピン昇降装置62のねじ軸64に螺合されたナット66に連結されている。ねじ軸64は、鉛直方向に配置される。また、ナット66には、ナット66の鉛直方向の移動をガイドする直動ガイド68が連結されている。更に、プレート60の左端部には、プレート60の鉛直方向の移動をガイドする直動ガイド70が連結されている。
【0035】
したがって、ピン昇降装置62のモータ63を駆動してねじ軸64を正転又は逆転させることにより、ナット66を介してプレート60がねじ軸64に沿って昇降移動する。
【0036】
プレート60が上昇移動すると、各ピン50が一斉に上昇移動し、各ピン50がウェーハチャック38の保持面44から上方に突出していく。そして、各ピン50がウェーハWの受け取り位置(不図示)に移動すると、予め搬送アーム20によって受け取り位置に搬送された検査前のウェーハWが、各ピン50の吸着部52によって吸着保持される。なお、吸着部52による吸着保持について後述する。
【0037】
その後プレート60が下降移動すると、各ピン50の全体が、
図2の実線で示すようにウェーハチャック38の保持面44から一斉に没入する。これにより、ウェーハWがウェーハチャック38の保持面44に載置される。保持面44に載置されたウェーハWは、前述したように保持面44に吸着保持され、その後、テスタ36によって電子デバイスの電気的特性が検査される。
【0038】
各ピン50の下端部50Bは、プレート60を貫通して配置され、プレート60の下面60Aに固定された、吸引用配管72にそれぞれジョイント73を介して連通される(
図4参照)。これにより、各ピン50の中空領域56の下端(中空領域56の他端)が吸引用配管72に連通される。また、吸引用配管72は、真空経路74に連結され、真空経路74は真空源76に接続される。したがって、真空源76によって真空経路74の空気を吸引することにより、吸引用配管72を介して各ピン50の吸着孔54に真空吸引力(吸着力)を付与することができる。すなわち、各ピン50の中空領域56の下端は、吸着孔54に吸着力を付与する真空源76に連通されている。なお、真空源76は、本発明の吸着力付与手段の一例である。
【0039】
〔バキュームシステム〕
図5は、搬送アーム20、ウェーハチャック38及び各ピン50に真空吸引力を付与するバキュームシステムを示したブロック図である。
【0040】
図5に示すバキュームシステムでは、搬送アーム20(吸着部21)、ウェーハチャック38(吸着溝46)及びピン50(吸着孔54)が、それぞれ真空経路78、80及び74を介して真空源76に連通される。また、真空経路78、80及び74には、それぞれ電磁弁82、84、86が設けられる。
【0041】
電磁弁82、84、86は、後述の弁制御部94からの指令信号によって開閉動作が制御されている。電磁弁82、84、86は、それぞれ、各真空経路78、80、74を大気開放した状態(大気開放状態)と、大気開放を閉鎖して真空源76と各吸引部とが各真空経路78、80、74を介して連通した状態(連通状態)とを切り替え可能な弁であり、例えば三方弁などにより構成される。
【0042】
以下、各電磁弁82、84、86の動作について説明する。
【0043】
電磁弁82が大気開放状態から閉鎖されると、搬送アーム20の吸着部21と真空源76とが真空経路78を介して連通状態となり、真空源76からの真空吸引力が吸着部21に付与される。これにより、吸着部21によるウェーハWの吸着が実行される。また、電磁弁82が大気開放状態になると、真空経路78が真空破壊により大気圧状態となり、吸着部21によるウェーハWの吸着が解除される。なお、真空経路78には、真空経路78内の圧力を検出する圧力センサ88が設けられている。
【0044】
電磁弁84が大気開放状態から閉鎖されると、ウェーハチャック38の吸着溝46と真空源76とが真空経路80を介して連通状態となり、真空源76からの真空吸引力が吸着溝46に付与される。これにより、吸着溝46によるウェーハWの吸着が実行される。また、電磁弁84が大気開放状態になると、真空経路80が真空破壊により大気圧状態となり、吸着溝46によるウェーハWの吸着が解除される。なお、真空経路80には、真空経路80内の圧力を検出する圧力センサ90が設けられている。
【0045】
電磁弁86が大気開放状態から閉鎖されると、各ピン50の吸着孔54と真空源76とが真空経路74を介して連通状態となり、真空源76からの真空吸引力が各吸着孔54に付与される。これにより、各吸着部54によるウェーハWの吸着が実行される。また、電磁弁86が大気開放状態になると、真空経路74が真空破壊により大気開放状態となり、各吸着孔54によるウェーハWの吸着が解除される。なお、真空経路74には、真空経路74内の圧力を検出する圧力センサ92が設けられている。
【0046】
〔プローバの電気的構成〕
図6は、プローバ10の電気的構成を示した機能ブロック図である。
図6に示すように、プローバ10の制御部100は、システム制御部102、検査制御部104、プリアライメント制御部106、搬送制御部108、昇降制御部110、弁制御部94及びコンピュータ可読媒体112を備える。
【0047】
システム制御部102は、制御部100が備える上記の各種制御部を統括的に制御するものである。また、システム制御部102は、コンピュータ可読媒体112へのデータ等の書き込み、及びコンピュータ可読媒体112からのデータ等の読み出しを制御する。
【0048】
検査制御部104は、主としてテスタ36の動作を制御する。プリアライメント制御部106は、プリアライメント部22の動作を制御する。搬送制御部108は、搬送アーム20の動作を制御する。昇降制御部110は、ピン昇降装置62の動作を制御する。弁制御部94は、既述のとおり各電磁弁82、84、86の開閉動作を制御する。
【0049】
制御部100のハードウェアは、コンピュータが適用される。制御部100として機能するコンピュータは、1つ以上のプロセッサ及び1つ以上のコンピュータ可読媒体112を備える。コンピュータは、コンピュータ可読媒体112に記憶される1つ以上の命令を含むプログラムをプロセッサが実行して、制御部100における各種の機能を実現する。
【0050】
制御部100においては、1つのプロセッサを用いて1つの処理部又は2つ以上の処理部が実現されてもよいし、複数のプロセッサを用いて1つの処理部が実現されてもよい。プロセッサとして、汎用的な処理デバイスであるCPU(Central Processing Unit)を備えてもよいし、特定の処理に特化した処理デバイスを備えてもよい。複数のプロセッサは、同一の種類であってもよいし、互いに異なる複数の種類であってもよい。
【0051】
コンピュータ可読媒体112は、主記憶装置であるメモリ、及び補助記憶装置であるストレージを備える。また、コンピュータ可読媒体112は、半導体メモリ、ハードディスク装置及びソリッドステートドライブ装置等を使用し得る。更に、コンピュータ可読媒体112は、複数のデバイスの任意の組み合わせを使用し得る。
【0052】
〔プローバの動作〕
次に、上記の如く構成されたプローバ10の動作の一例について説明する。
【0053】
図7は、搬送アーム20に吸着保持された検査前のウェーハWを搬送アーム20からウェーハチャック38に受け渡すまでのロードシーケンス(ロード工程)を示したフローチャートである。
【0054】
図7に示すように、搬送アーム20がウェーハチャック38の上方位置に移動すると(ステップS10)、搬送アーム20(吸着部21)によるウェーハWの吸着動作を解除する(ステップS12)。この後、搬送アーム20の吸着力が低下するまで所定時間(例えば、300ms)待機する(ステップS14)。
【0055】
次に、各ピン50(吸着部52)による吸着動作を開始(実行)する(ステップS16)。このとき、各ピン50はウェーハチャック38の内部に没入した状態である。この後、各ピン50をピン昇降装置62によってピンアップ開始高さ位置へ向けて上昇移動する(ステップS18)。
【0056】
各ピン50がピンアップ開始高さ位置に移動すると、各ピン50の上端部50Aが受け取り位置に位置しているウェーハWに当接する。このとき、各吸着部52の吸着孔54には予め吸着力が付与されているので、ウェーハWは各ピン50によって直ちに吸着保持される。この後、各ピン50をピン昇降装置62によってピンアップ終了高さ位置へ向けて上昇移動する(ステップS20)。これにより、各ピン50によってウェーハWが搬送アーム20から所定量持ち上げられる。この後、昇降制御部110がピンアップチェックを行い、各ピン50が予め設定された規定の高さ位置まで上昇したことを確認する(ステップS22)。
【0057】
次に、圧力センサ92によって真空経路74の圧力を検出し、検出した圧力が負圧(大気圧未満)であることを確認することにより、ピンアップ終了高さ位置まで上昇した各ピン50上にウェーハWが載っていることを確認する(ステップS24)。この後、圧力センサ88によって真空経路78の圧力を検出し、検出した圧力が大気圧であることを確認することにより、搬送アーム20にウェーハWが載っていないことを確認する(ステップS26)。このシーケンスによって、検査前のウェーハWが搬送アーム20から各ピン50に受け渡される。この後、搬送アーム20をウェーハチャック38の上方位置から原点位置(例えば、ローダ部14の内部の所定位置)に移動させて、各ピン50から退避させる(ステップS28)。
【0058】
次に、ウェーハチャック38による吸着動作を開始する(ステップS30)。この後、各ピン50をピン昇降装置62によってウェーハチャック38に没入した原点位置(例えば、各ピンの上端部50A(吸着孔54A)が保持面44と略面一の位置)へ向けて下降移動する(ステップS32)。
【0059】
各ピン50が原点位置に移動すると、圧力センサ90によって真空経路80の圧力を検出し、検出した圧力が負圧(大気圧未満)であることを確認することにより、ウェーハWがウェーハチャック38に吸着保持されたことを確認する(ステップS34)。この後、各ピン50の吸着動作を解除する(ステップS36)。
【0060】
この後、圧力センサ92によって真空経路74の圧力を検出し、検出した圧力が大気圧であることを確認することにより、各ピン50がウェーハWから離脱したことを確認する(ステップS38)。このシーケンスによって、検査前のウェーハWが各ピン50からウェーハチャック38に受け渡される。
【0061】
以上説明したロードシーケンスにより、搬送アーム20に吸着保持された検査前のウェーハWを、搬送アーム20からウェーハチャック38に受け渡すことができる。
【0062】
次に、検査終了したウェーハWをウェーハチャック38から搬送アーム20に受け渡すアンロードシーケンス(アンロード工程)について説明する。
【0063】
図8は、ウェーハチャック38に吸着保持された検査後のウェーハWをウェーハチャック38から搬送アーム20に受け渡すまでのアンロードシーケンス(アンロード工程)を示したフローチャートである。
【0064】
図8に示すように、まず、ウェーハチャック38による吸着動作を解除する(ステップS50)。この後、ウェーハチャック38の吸着力が低下するまで所定時間待機する(ステップS52)。
【0065】
次に、各ピン50による吸着動作を開始する(ステップS54)。このとき、各ピン50はウェーハチャック38の内部に没入した状態である。この後、各ピン50をピン昇降装置62によってピンアップ開始高さ位置へ向けて上昇移動する(ステップS56)。
【0066】
次に、圧力センサ92によって真空経路74の圧力を検出し、検出した圧力が負圧(大気圧未満)であることを確認することにより、ピンアップ開始高さ位置まで上昇した各ピン50上にウェーハWが載っていることを確認する(ステップS58)。この後、各ピン50をピン昇降装置62によってピンアップ終了高さ位置へ向けて上昇移動する(ステップS60)。この後、昇降制御部110がピンアップチェックを行い、各ピン50が予め設定された規定の高さ位置まで上昇したことを確認する(ステップS62)。
【0067】
次に、圧力センサ88によって真空経路78の圧力を検出し、検出した圧力が大気圧であることを確認することにより、搬送アーム20にウェーハWが載っていないことを確認する(ステップS64)。この後、搬送アーム20がウェーハチャック38の上方位置に移動する(ステップS66)。これにより、搬送アーム20は、ウェーハWの下方位置に位置する。この後、搬送アーム20によるウェーハWの吸着動作を開始する(ステップS68)。
【0068】
次に、各ピン50による吸着動作を解除する(ステップS70)。この後、各ピン50をピン昇降装置62によってウェーハチャック38に没入した原点位置へ向けて下降移動する(ステップS72)。この各ピン50の下降移動動作の途中で各ピン50の上のウェーハWが搬送アーム20に受け渡される。
【0069】
次に、圧力センサ88によって真空経路78の圧力を検出し、検出した圧力が負圧(大気圧未満)であることを確認することにより、搬送アーム20にウェーハWが吸着保持されたことを確認する(ステップS74)。この後、搬送アーム20をウェーハチャック38の上方位置から原点位置に移動させる(ステップS76)。
【0070】
以上説明したアンロードシーケンスにより、ウェーハチャック38に吸着保持された検査後のウェーハWを、ウェーハチャック38から搬送アーム20に受け渡すことができる。
【0071】
次に、実施形態のプローバ10が有する効果について説明する。
【0072】
〔ウェーハの搬送安定性向上〕
実施形態のプローバ10によれば、ウェーハWを各ピン50の吸着部52によって吸着保持した状態で搬送(ロード及びアンロード)することができる。これにより、ウェーハWと各ピン50との相対的な位置ずれを規制した状態でウェーハWを搬送することができる。したがって、実施形態のプローバ10によれば、ウェーハWを安定して搬送することが可能となる。
【0073】
また、実施形態のプローバ10によれば、ウェーハWを各ピン50の吸着部52によって吸着保持した状態で搬送することで、各ピン50の昇降速度(上昇速度及び下降速度)の高速化が可能となる。これにより、従来の構成(各ピン50の先端部50Aに吸着部52が設けられていない構成)に比べて、ウェーハWの搬送時間を短縮することができるので、スループットの向上を図ることができる。
【0074】
〔歪みウェーハに対する吸着保持性向上〕
通常の直径が300mmのシリコーンウェーハは、規格上で0.775mmの厚みを持っているため歪みは少ないが、パワーデバイスのような裏面を研削加工したウェーハは変形していることが多く歪みが大きい。このような歪みが大きいウェーハW(以下、歪みウェーハWと言う。)をウェーハチャック38に載置しようとする場合、ウェーハチャック38と保持面44と歪みウェーハWとの間には空気の抜け路(開放部)が形成されるため、歪みウェーハWを保持面44に沿って平坦状に吸着させることが困難となる場合がある。
【0075】
そこで、実施形態では、各ピン50の吸着部52の吸着動作を継続した状態で各ピン50を下降させると、
図9の概略図に示すように、歪みウェーハWを各ピン50によって保持面44側に引き込むことができる。これにより、歪みウェーハWはその歪みが平坦状に矯正されながら保持面44へ押し付けられることから、上記の開放部が小さくなるので、歪みウェーハWであってもウェーハチャック38による吸着保持が可能となる。したがって、実施形態のプローバ10によれば、歪みウェーハであってもプロービングを安定して実施することが可能となる。
【0076】
〔その他の効果〕
アンロードシーケンスにおいて、吸着部52によってウェーハWを吸着保持した後に、ウェーハチャック38によるウェーハWの吸着動作を解除した場合には、以下の効果が得られる。
【0077】
すなわち、ウェーハチャック38の真空破壊によってウェーハチャック38の吸着溝46からエアーが噴出するが、このとき、ウェーハWは吸着部52によって予め吸着保持されているので、エアーによるウェーハWのずれを抑制することができる。その結果、ウェーハWを搬送アーム20の正確な位置に受け渡すことができる。
【0078】
〔変形例〕
図10は、ピン50の吸着部52を筒状のベローズ58によって構成したピンの変形例が示されている。
【0079】
ベローズ58は、一例として柔軟なゴム製であり、ピン50の軸B方向に伸縮可能である。このベローズ58の下端部58Bがピン50の上端部50Aに固定され、ベローズ58の上端部58Aに吸着孔54Aが形成されている。この吸着孔54Aは、ベローズ58の内部空間を介して吸着孔54に連通されている。なお、ベローズ58は、本発明のベローズの一例である。このように吸着部52をベローズ58によって構成することによって以下の効果が得られる。
【0080】
すなわち、ウェーハチャック38の保持面44に対する各ピン50の下降移動量を多めに設定することにより、ベローズ58の伸張動作によって歪みウェーハWを保持面44側に効果的に引き込むことができる。また、
図11の概略図に示すように、保持面44に対して各ピン50が過剰に下降した場合であっても、その分だけベローズ58が伸張するので、各ピン50からウェーハWが受けるダメージを軽減することができる。
【0081】
実施形態では、3本のピン50を適用したプローバ10について説明したが、ピン50の本数は3本に限定されるものではなく4本以上であってもよい。ピン50の本数が増えることによって、保持面44に対する歪みウェーハWの吸着をより効果的に行うことができる。また、歪みウェーハの歪みのモードは様々(谷型、山型、波型など)であるが、4本以上のピン50とベローズ58を有する構成を採用することにより、全ての歪みモードに対応することが可能となる。
【0082】
図12のXIIA及びXIIBは、4本以上のピン50を使用した場合のウェーハチャック38の平面図(上面図)である。
図12のXIIAは、複数(本例では8本)のピン50を保持面44の中心Pを中心とする同心円に沿って配置した形態である。XIIBは、複数(本例では12本)のピン50を保持面44の中心Pからの放射方向に沿って配置した形態である。このように複数のピン50をウェーハチャック38に配置することにより、歪みウェーハWの吸着をより一層効果的に行うことができる。
【0083】
図13は、4本以上のピン50を使用した場合のウェーハチャック38の構造の一例を示した概略断面図である。
【0084】
図13に示すように、各ピン50は、ウェーハチャック38に形成された孔126に昇降自在に取り付けられており、保持面44から没入した状態において、ウェーハチャック38の下部から突出することなくウェーハチャック38の内部にその全体が収容されている。ウェーハチャック38の内部には、プレート60と吸引用配管72とを収容し、且つプレート60と吸引用配管72の上下移動を許容する空間128が設けられている。この空間128は各孔126に連通されている。また、各ピン50は、プレート60を貫通し、それぞれ吸引用配管72に連通されている。
【0085】
プレート60には、ロッド120が連結され、このロッド120はウェーハチャック38の下面38Aを貫通して、例えばエアシリンダ122のピストン124に連結されている。したがって、エアシリンダ122によってピストン124を伸縮することにより、ロッド120及びプレート60を介して各ピン50を保持面44に対して突没させることができる。
【0086】
図13に示すウェーハチャック38によれば、ウェーハチャック38の内部に各ピン50を収容したので、ピン50の本数分だけ貫通孔39をウェーハチャック38に形成する必要がなくなる。これによって、ウェーハチャック38の剛性や断熱性を確保することができる。また、ウェーハチャック38の下方は、ウェーハチャック38の内部の各ピン50を押し上げるために使い、内部の本数を増やしたピン50によって吸着のサポートを行うことが可能となる。
【0087】
以上、実施形態に係るプローバ10について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0088】
W…ウェーハ、P…中心軸、B…軸方向、10…プローバ、12…プローバ本体、14…ローダ部、16…ロードポート、18…容器、20…搬送アーム、21…吸着部、22…プリアライメント部、30…検査部、32…プローブ、34…プローブカード、36…テスタ、38…ウェーハチャック、38A…下面、39…貫通孔、40…テストヘッド、42…インターフェイス、44…保持面、46…吸着溝、48…XYZθステージ、50…ピン、50A…上端部、50B…下端部、52…吸着部、54…吸着孔、54A…吸着孔、56…中空領域、58…ベローズ、58A…上端部、58B…下端部、60…プレート、60A…下面、62…ピン昇降装置、63…モータ、64…ねじ軸、66…ナット、68…直動ガイド、70…直動ガイド、72…吸引用配管、73…ジョイント、74…真空経路、76…真空源、78…真空経路、80…真空経路、82…電磁弁、84…電磁弁、86…電磁弁、88…圧力センサ、90…圧力センサ、92…圧力センサ、100…制御部、102…システム制御部、104…検査制御部、106…プリアライメント制御部、108…搬送制御部、110…昇降制御部、112…コンピュータ可読媒体、120…ロッド、122…エアシリンダ、124…ピストン、126…孔、128…空間