(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142843
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】粉体輸送設備及びその運転方法
(51)【国際特許分類】
B65G 65/32 20060101AFI20241003BHJP
B65G 53/56 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B65G65/32 B
B65G53/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055197
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】521297587
【氏名又は名称】UBE三菱セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100129296
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 博昭
(72)【発明者】
【氏名】中河 久典
(72)【発明者】
【氏名】植田 隆昌
【テーマコード(参考)】
3F047
3F075
【Fターム(参考)】
3F047AA01
3F047AB04
3F047AB06
3F075AA08
3F075BA04
3F075BB04
3F075BB05
3F075CB03
3F075CB06
3F075CB13
(57)【要約】
【課題】粉体の品質の低下を抑制することができる粉体輸送設備及びその運転方法を提供すること。
【解決手段】粉体を供給する粉体供給設備と、複数の異なる種類の粉体を貯蔵するための複数のサイロと、粉体供給設備に接続される供給側輸送配管と、複数のサイロの各々に接続されるサイロ側輸送配管と、供給側輸送配管に連通されるサイロ側輸送配管を切り替えることが可能な第1バルブを有する配管切替部と、サイロ側輸送配管に設置され、サイロ側輸送配管内の粉体を検知する粉体検知装置とを備え、粉体検知装置が、流量計及び温度計のうちの少なくとも一方で構成される、粉体輸送設備。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を供給する粉体供給設備と、
複数の異なる種類の粉体を貯蔵するための複数のサイロと、
前記粉体供給設備に接続される供給側輸送配管と、
前記複数のサイロの各々に接続されるサイロ側輸送配管と、
前記供給側輸送配管に連通されるサイロ側輸送配管を切り替えることが可能な第1バルブを有する配管切替部と、
前記サイロ側輸送配管に設置され、前記サイロ側輸送配管内の粉体を検知する粉体検知装置と
を備え、
前記粉体検知装置が、流量計及び温度計のうちの少なくとも一方で構成される、粉体輸送設備。
【請求項2】
前記サイロ側輸送配管に設置される第2バルブをさらに備える、請求項1に記載の粉体輸送設備。
【請求項3】
予備サイロと、
前記予備サイロに接続される予備サイロ側輸送配管とをさらに備え、
前記配管切替部において、前記第1バルブが、前記供給側輸送配管に連通されるサイロ側輸送配管を前記予備サイロ側輸送配管にも切り替えることが可能となっている、請求項1に記載の粉体輸送設備。
【請求項4】
前記流量計が超音波型流量計である、請求項1に記載の粉体輸送設備。
【請求項5】
前記流量計及び前記温度計の位置は、前記サイロ側輸送配管のうち前記配管切替部に直接接続される部分であって、前記サイロ側輸送配管の1/3以下の長さの部分に設置されている、請求項1に記載の粉体輸送設備。
【請求項6】
前記サイロ側輸送配管から分岐する分岐管と、
前記分岐管に設置される第3バルブとを備える、請求項1に記載の粉体輸送設備。
【請求項7】
請求項1に記載の粉体輸送設備を用いる粉体輸送設備の運転方法であって、
前記供給側輸送配管に連通される前記サイロ側輸送配管を、前記配管切替部で前記第1バルブにより、粉体を輸送すべきサイロである輸送先サイロに接続されるサイロ側輸送配管に切り替え、前記粉体供給設備から供給される前記粉体を、前記供給側輸送配管、前記配管切替部及び前記サイロ側輸送配管を経て、前記複数のサイロのうち前記輸送先サイロに輸送する粉体輸送工程と、
前記供給側輸送配管に連通されていない前記サイロ側輸送配管である非輸送先サイロ側輸送配管で前記粉体検知装置により粉体が検知される場合には、その検知に基づいて、前記非輸送先サイロ側輸送配管に接続されているサイロである非輸送先サイロへの前記粉体の流入を停止させる流入停止工程とを含む、粉体輸送設備の運転方法。
【請求項8】
前記流入停止工程において、前記非輸送先サイロ側輸送配管への前記粉体の流入を、前記粉体供給設備における前記粉体の供給を停止させることによって停止させる、請求項7に記載の粉体輸送設備の運転方法。
【請求項9】
前記粉体輸送設備が、前記サイロ側輸送配管に設けられる第2バルブをさらに備え、
前記流入停止工程において、前記非輸送先サイロ側輸送配管への前記粉体の流入を、前記粉体供給設備における前記粉体の供給を停止させること、および、前記第2バルブを閉じることの少なくとも一方によって停止させる、請求項7に記載の粉体輸送設備の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、粉体輸送設備及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉砕、焼成工程等を経て製造されたセメントなどの粉体は、広大なセメントプラントにおいて、粉体輸送設備を用いて、粉体供給設備からサイロに輸送される場合がある。
例えば下記特許文献1には、粉体輸送設備として、粉体貯蔵器、供給量調整器、吐出器及び輸送路を備えた圧送式粉体輸送器を用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、セメントプラントなどにおいては、1つの粉体供給設備から、複数のサイロの各々に異なる種類の粉体を輸送する場合がある。この場合でも、上記のような圧送式粉体輸送器を用いることが便利である。この場合、粉体供給設備に接続された輸送配管を途中でバルブを用いて分岐させて、分岐された輸送配管を複数のサイロに接続した粉体輸送設備を構築すれば、各サイロへの粉体の輸送が可能である。
しかし、このようにして構築された粉体輸送設備は、粉体の品質の低下を抑制する点で改善の余地を有していた。
本開示は、粉体の品質の低下を抑制することができる粉体輸送設備及びその運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した。その結果、本開示の発明者らは、バルブにおいて摩耗などに起因する不具合が生じる場合があり、その場合には各サイロにおいて粉体の品質が低下するおそれがあることに気付いた。一方、バルブに不具合が生じていることは、外見からは気づくことが難しい一方で、バルブの下流側のサイロ側輸送配管を流れる粉体については、流量計又は温度計で検知可能であることに本開示の発明者らは気付いた。そこで、本開示の発明者らは、以下の本開示により上記課題を解決し得ることを見出した。
【0006】
すなわち、本開示の一側面は、粉体を供給する粉体供給設備と、複数の異なる種類の粉体を貯蔵するための複数のサイロと、前記粉体供給設備に接続される供給側輸送配管と、前記複数のサイロの各々に接続されるサイロ側輸送配管と、前記供給側輸送配管に連通されるサイロ側輸送配管を切り替えることが可能な第1バルブを有する配管切替部と、前記サイロ側輸送配管に設置され、前記サイロ側輸送配管内の粉体を検知する粉体検知装置とを備え、前記粉体検知装置が流量計及び温度計のうちの少なくとも一方で構成される、粉体輸送設備を提供する。
上記粉体輸送設備によれば、配管切替部にて、第1バルブにより、供給側輸送配管に連通されるサイロ側輸送配管を、粉体を輸送すべきサイロである輸送先サイロに接続されるサイロ側輸送配管(以下、「輸送先サイロ側輸送配管」ともいう)に切り替えることが可能となる。そのため、粉体供給設備から粉体が供給されると、その粉体は、供給側輸送配管、配管切替部及び輸送先サイロ側輸送配管を通って輸送先サイロに輸送される。このとき、配管切替部において、第1バルブの摩耗などによる不具合により、粉体の一部が、供給側輸送配管に連通されていないサイロ側輸送配管(以下、「非輸送先サイロ側輸送配管」ともいう)にリークする場合がある。この場合でも、本開示によれば、その非輸送先サイロ側輸送配管で粉体検知装置としての流量計及び温度計のうちの少なくとも一方により粉体の検知が可能となるため、この粉体の検知に基づいて、非輸送先サイロ側輸送配管への粉体の輸送を停止させることが可能となる。このため、非輸送先サイロ側輸送配管に接続されているサイロ(以下、「非輸送先サイロ」ともいう)において、非輸送先サイロに輸送されるべき粉体と異なる種類の粉体(以下、「異種粉体」ともいう)が流入することが抑制され、後に非輸送先サイロが輸送先サイロになった場合に、その異種粉体がコンタミネーションの原因となることが抑制される。その結果、本開示の粉体輸送設備は、粉体の品質の低下を抑制することができる。
【0007】
上記粉体輸送設備は、前記サイロ側輸送配管に設けられる第2バルブをさらに備えることが好ましい。
この場合、非輸送先サイロ側輸送配管で粉体検知装置により粉体が検知される場合に、第2バルブによって、非輸送先サイロへの異種粉体の流入を即座に抑制することができる。
【0008】
上記粉体輸送設備は、予備サイロと、前記予備サイロに接続される予備サイロ側輸送配管とをさらに備え、前記配管切替部において、前記第1バルブが、前記供給側輸送配管に連通されるサイロ側輸送配管を前記予備サイロ側輸送配管にも切り替えることが可能となっていてもよい。
この場合、非輸送先サイロ側輸送配管で粉体検知装置により粉体が検知される場合に、配管切替部で第1バルブによって、供給側輸送配管に連通されるサイロ側輸送配管を予備サイロ側輸送配管に切り替え、異種粉体を予備サイロに輸送することが可能となる。
【0009】
上記粉体輸送設備においては、前記流量計が超音波型流量計であることが好ましい。
流量計が超音波型流量計であると、非輸送先サイロ側輸送配管を通る粉体が少量でも高感度に検知可能となる。その結果、非輸送先サイロに異種粉体が流入することがより十分に抑制される。
【0010】
上記粉体輸送設備においては、前記流量計及び前記温度計の位置は、前記サイロ側輸送配管のうち前記配管切替部に直接接続される部分であって、前記サイロ側輸送配管の1/3以下の長さの部分に設置されていることが好ましい。
この場合、流量計及び温度計が、非輸送先サイロから十分に離れた位置に設置されるため、非輸送先サイロ内のよどみにより非輸送先サイロから流れてくる粉体を検知しにくくなる。このため、粉体供給設備から輸送される粉体を的確に検知できる。
【0011】
上記粉体輸送設備は、前記サイロ側輸送配管から分岐する分岐管と、前記分岐管に設置される第3バルブとを備えることが好ましい。
非輸送先サイロ側輸送配管に異種粉体が意図せず流入していれば、分岐管に設置された第3バルブを開くと、粉体が分岐管から排出される。一方、非輸送先サイロ側輸送配管に粉体が流入していなければ、分岐管に設置された第3バルブを開いても、粉体は分岐管から排出されない。したがって、上記粉体輸送設備が分岐管及び第3バルブをさらに備えることで、非輸送先サイロ側輸送配管に異種粉体が意図せず入り込んでいることを容易に確認できる。
【0012】
本開示の他の側面は、上述した粉体輸送設備を用いる粉体輸送設備の運転方法であって、前記供給側輸送配管に連通される前記サイロ側輸送配管を、前記配管切替部で前記第1バルブにより、粉体を輸送すべきサイロである輸送先サイロに接続されるサイロ側輸送配管に切り替え、前記粉体供給設備から供給される前記粉体を、前記供給側輸送配管、前記配管切替部及び前記サイロ側輸送配管を経て、前記複数のサイロのうち前記輸送先サイロに輸送する粉体輸送工程と、前記供給側輸送配管に連通されていない前記サイロ側輸送配管である非輸送先サイロ側輸送配管で前記粉体検知装置により粉体が検知される場合には、その検知に基づいて、前記非輸送先サイロ側輸送配管に接続されているサイロである非輸送先サイロへの前記粉体の流入を停止させる流入停止工程とを含む、粉体輸送設備の運転方法を提供する。
上記粉体輸送設備の運転方法によれば、供給側輸送配管に連通されるサイロ側輸送配管が、配管切替部にて、第1バルブによって輸送先サイロ側輸送配管に切り替えられ、粉体供給設備から供給される粉体が、供給側輸送配管、配管切替部及び輸送先サイロ側輸送配管を経て、輸送先サイロに輸送される。このとき、配管切替部において、第1バルブの摩耗などによる不具合により、粉体の一部が、非輸送先サイロ側輸送配管にリークする場合がある。この場合でも、本開示によれば、非輸送先サイロ側輸送配管で粉体検知装置としての流量計及び温度計のうちの少なくとも一方により粉体が検知される場合には、非輸送先サイロ側輸送配管への粉体の流入を停止させるため、非輸送先サイロにおいて、異種粉体が流入されることが抑制され、後に非輸送先サイロが輸送先サイロになった場合に、その異種粉体がコンタミネーションの原因となることが抑制される。その結果、本開示の粉体輸送設備の運転方法は、粉体の品質の低下を抑制することができる。
【0013】
上記粉体輸送設備の運転方法では、前記流入停止工程において、前記非輸送先サイロ側輸送配管への前記粉体の流入を、前記粉体供給設備における前記粉体の供給を停止させることによって停止させることが好ましい。
この場合、粉体供給設備における粉体の供給を停止させることによって、その後、非輸送先サイロ側輸送配管への粉体の流入量を低下させることができ、非輸送先サイロ側輸送配管が閉塞することを抑制できる。
【0014】
上記粉体輸送設備の運転方法では、前記粉体輸送設備が、前記サイロ側輸送配管に設けられる第2バルブをさらに備え、前記流入停止工程において、前記非輸送先サイロ側輸送配管への前記粉体の流入を、前記粉体供給設備における前記粉体の供給を停止させること、および、前記第2バルブを閉じることの少なくとも一方によって停止させてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、粉体の品質の低下を抑制することができる粉体輸送設備及びその運転方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示に係る粉体輸送設備の一実施形態を示す概略図である。
【
図2】分岐管が設置されたサイロ側輸送配管を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。
【0018】
<粉体輸送設備>
まず、本開示の粉体輸送設備の実施形態について
図1を参照しながら説明する。
図1は、本開示に係る粉体輸送設備の一実施形態を示す概略図である。
【0019】
図1に示される粉体輸送設備100は、粉体を供給する粉体供給設備10と、複数の異なる種類の粉体を貯蔵するための複数のサイロ20と、粉体供給設備10に接続される供給側輸送配管11と、複数のサイロ20の各々に接続されるサイロ側輸送配管21と、供給側輸送配管11に連通されるサイロ側輸送配管21を切り替えることが可能な第1バルブで構成される配管切替部30と、サイロ側輸送配管21に設置され、サイロ側輸送配管21内の粉体を検知する粉体検知装置40と、サイロ側輸送配管21に設置される第2バルブ50とを備える。
【0020】
図1において、配管切替部30を構成する第1バルブには、供給側輸送配管11及び2本のサイロ側輸送配管21が接続されている。なお、
図1で使用されている2つのサイロ20については、以下、それぞれサイロ20A及びサイロ20Bということがある。また、サイロ20Aに接続されるサイロ側輸送配管21を「サイロ側輸送配管21A」、サイロ20Bに接続されるサイロ側輸送配管21を「サイロ側輸送配管21B」と呼ぶことがある。
【0021】
次に、上記粉体輸送設備100の運転方法について説明する。
まず、例えばサイロ20Aに貯蔵されるべき粉体を粉体供給設備10に投入する。
【0022】
次に、配管切替部30を構成する第1バルブによって、供給側輸送配管11と、輸送先サイロ20Aに接続されるサイロ側輸送配管(輸送先サイロ側輸送配管)21Aとが連通され、供給側輸送配管11と、粉体を輸送すべきでないサイロである非輸送先サイロ20Bに接続されるサイロ側輸送配管(非輸送先サイロ側輸送配管)21Bとが連通されないようにされる。
また、第2バルブ50は、開いた状態とされる。
【0023】
次に、粉体供給設備10から粉体を供給し、粉体を、供給側輸送配管11、配管切替部30及び輸送先サイロ側輸送配管21Aを経て、輸送先サイロ20Aに輸送する(粉体輸送工程)。
【0024】
このとき、配管切替部30を構成する第1バルブの摩耗などによる不具合により、粉体の一部が、非輸送先サイロ側輸送配管21Bにリークする場合がある。この場合でも、非輸送先サイロ側輸送配管21Bには、粉体検知装置40が設置されているため、粉体検知装置40により非輸送先サイロ側輸送配管21Bで粉体の検知が可能となる。
実際に粉体が非輸送先サイロ側輸送配管21B内で粉体検知装置40によって検知された場合には、この粉体の検知に基づいて、非輸送先サイロ側輸送配管21Bへの粉体の流入が停止される(流入停止工程)。流入停止工程は、例えば、粉体供給設備10からの粉体の供給を停止させたり、非輸送先サイロ側輸送配管21Bに設置された第2バルブ50を閉じたりすることによって行うことができる。
粉体供給設備10における粉体の供給を停止させる場合は、その後、非輸送先サイロ側輸送配管21Bへの粉体の流入量を低下させることができ、非輸送先サイロ側輸送配管21Bが閉塞することを抑制できる。一方、非輸送先サイロ側輸送配管21Bに設置された第2バルブ50を閉じる場合には、非輸送先サイロ20Bへの異種粉体の流入を即座に停止させることができる。このため、粉体供給設備10における粉体の供給を停止させると同時に非輸送先サイロ側輸送配管21Bに設置された第2バルブ50を閉じることが好ましい。
【0025】
このようにすることで、非輸送先サイロ20Bにおいて、非輸送先サイロ20Bに輸送されるべき粉体と異なる種類の粉体(異種粉体)が流入されることが抑制され、後に非輸送先サイロ20Bが輸送先サイロになった場合に、その異種粉体がコンタミネーションの原因となることが抑制される。その結果、粉体輸送設備100は、輸送先サイロ20Aにおいて粉体の品質の低下を抑制することができる。
なお、非輸送先サイロ側輸送配管21Bへの粉体の流入を停止させた後は、配管切替部30の交換などを行い、その後、粉体供給設備10からの粉体の供給を再開してもよい。
【0026】
さらに、サイロ20Aに粉体が十分に貯蔵された後は、粉体供給設備10からの粉体を排出した後、以下のようにしてサイロ20Bに粉体を輸送してもよい。この場合、サイロ20Bは非輸送先サイロから輸送先サイロとなり、サイロ20Aは輸送先サイロから非輸送先サイロとなる。
【0027】
すなわち、まず輸送先サイロ20Bに貯蔵するための粉体を粉体供給設備10に投入する。
次に、配管切替部30を構成する第1バルブによって、供給側輸送配管11と輸送先サイロ側輸送配管21Bとが連通され、供給側輸送配管11と非輸送先サイロ側輸送配管21Aとが連通されないようにされる。
また、第2バルブ50は開いた状態とされる。
【0028】
次に、粉体供給設備10から粉体を供給し、粉体を、供給側輸送配管11、配管切替部30及び輸送先サイロ側輸送配管21Bを経て、輸送先サイロ20Bに輸送する(粉体輸送工程)。
【0029】
このとき、配管切替部30を構成する第1バルブの摩耗などによる不具合により、粉体の一部が、非輸送先サイロ側輸送配管21Aにリークする場合がある。この場合でも、非輸送先サイロ側輸送配管21Aには、粉体検知装置40が設置されているため、粉体検知装置40により非輸送先サイロ側輸送配管21Aで粉体の検知が可能となる。
実際に粉体が非輸送先サイロ側輸送配管21A内で粉体検知装置40によって検知された場合には、この粉体の検知に基づいて、非輸送先サイロ側輸送配管21Aへの粉体の流入が停止される(流入停止工程)。流入停止工程は、例えば、粉体供給設備10からの粉体の供給を停止させたり、非輸送先サイロ側輸送配管21Aに設置された第2バルブ50を閉じたりすることによって行うことができる。
このようにすることで、非輸送先サイロ20Aにおいて、異種粉体が流入されることが抑制され、後に非輸送先サイロ20Bが輸送先サイロになった場合に、その異種粉体がコンタミネーションの原因となることが抑制される。その結果、粉体輸送設備100は、輸送先サイロ20Bにおいて粉体の品質の低下を抑制することができる。
【0030】
以下、粉体輸送設備100について詳細に説明する。
【0031】
(粉体)
粉体は、特に制限されるものではなく、粉体としては、例えばセメント、微粉炭、炭酸カルシウム、造粒カーボン、ベントナイトなどが挙げられる。粉体を例えばセメントにする場合、例えばサイロ20Aに貯蔵する粉体をNC(普通ポルトランドセメント)とし、サイロ20Bに貯蔵する粉体を例えばBB(高炉セメント)及びHC(早強セメント)のうちのいずれかとすることができる。
【0032】
(粉体供給設備)
粉体供給設備10は、粉体を供給できる設備であれば特に制限されるものではなく、このような粉体供給設備10としては、例えば高圧エアーを噴射して粉体を圧送する設備を用いることができる。このような設備としては、セラーポンプ及びブローポットなどが挙げられる。
【0033】
(配管切替部)
配管切替部は、配管を切り替えることができるものであればよく、例えば三方弁又はツーウェイバルブなどを用いることができる。
【0034】
(サイロ側輸送配管)
粉体輸送設備100は、サイロ側輸送配管21A,21Bに対し、
図2に示すように、サイロ側輸送配管21から分岐する分岐管22と、分岐管22が設置される第3バルブ23とをさらに備えてもよい。
図2は、分岐管22及び第3バルブ23が設置されたサイロ側輸送配管21を示す概略図である。
非輸送先サイロ20に接続される非輸送先サイロ側輸送配管21に粉体が意図せず流入していれば、分岐管22に設置された第3バルブ23を開くと、粉体が排出される。一方、非輸送先サイロ側輸送配管21に粉体が流入していなければ、分岐管22に設置された第3バルブ23を開いても粉体は排出されない。したがって、サイロ側輸送配管21に分岐管22が設置されることで、非輸送先サイロ側輸送配管21に粉体が意図せず流入していることを容易に確認できる。
なお、分岐管22は異種粉体リーク点検用の管であるため、直径は例えば15mm程度とすればよい。
【0035】
(粉体検知装置)
粉体検知装置40は、サイロ側輸送配管21を通過する粉体を検知することが可能な装置であり、流量計および温度計の少なくとも一方で構成される。流量計は、サイロ側輸送配管21を通過する粉体の流量の変化を測定する装置であり、エアーの流量を検知することも可能である。温度計は、サイロ側輸送配管21の温度変化を測定するものである。粉体は高温状態である傾向があるため、粉体がサイロ側輸送配管21を通過すると、粉体の温度がサイロ側輸送配管21の温度を上昇させるため、サイロ側輸送配管21の温度変化を測定することで粉体が通過しているかどうかを検知することができる。
【0036】
粉体検知装置40は、流量計のみ又は温度計のみで構成されていてもよいが、流量計と温度計を併用することが好ましい。この場合、例えば流量計で粉体を検知できなくても、温度計で粉体を検知することができたり、逆に、温度計で粉体を検知できなくても、流量計で粉体を検知できたりするため、粉体を検知できない事態が生じにくくなる。
【0037】
流量計は、超音波型流量計であることが好ましい。この場合、サイロ側輸送配管21を通る粉体が少量でも高感度にその粉体を検知できる。その結果、非輸送先サイロ20に異種粉体が輸送されることがより十分に抑制される。
流量計は、クランプオン型の流量計であることが好ましい。クランプオン型の流量計は、サイロ側輸送配管の外表面に設置されるタイプの流量計であるため、サイロ側輸送配管中の粉体の流れを妨げずに済む。
【0038】
流量計及び温度計の位置は、サイロ側輸送配管21のうち配管切替部30に直接接続される部分であって、サイロ側輸送配管21の1/3以下の長さの部分(以下、「設置部分」ともいう)に設置されていることが好ましい。
この場合、流量計及び温度計が、非輸送先サイロ20から十分に離れた位置に設置されるため、非輸送先サイロ20内のよどみにより非輸送先サイロ20から流れてくる粉体を検知しにくくなる。このため、粉体供給設備10から輸送される粉体を的確に検知できる。
上記設置部分の長さは、サイロ側輸送配管21の長さに対して、好ましくは1/5以下であり、より好ましくは1/10以下である。
【0039】
(第2バルブ)
第2バルブ50は、例えばサイロ側輸送配管21に設置される空気流量調整弁(ダンパー)で構成される。第2バルブ50は、粉体検知装置40よりサイロ20側に設置されても配管切替部30側に設置されてもよいが、サイロ20側に設置されることが好ましい。この場合、粉体検知装置40で検知された後の粉体が非輸送先サイロ20に流入することを抑制することができる。
【0040】
本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、粉体輸送設備100は、異なる種類の粉体を貯蔵するためのサイロ20を2つ備えているが、異なる種類の粉体を貯蔵するためのサイロ20を3つ以上備えてもよい。サイロ20の数がnである場合、配管切替部30は、例えばn-1以上のバルブと、これらのバルブを接続する配管とで構成することができる。
【0041】
また、粉体輸送設備100は、粉体を貯蔵するための予備サイロと、予備サイロに接続される予備サイロ側輸送配管とをさらに備え、配管切替部30において、第1バルブが、供給側輸送配管11に連通されるサイロ側輸送配管21を予備サイロ側輸送配管にも切り替えることが可能となっていてもよい。
この場合、非輸送先サイロ側輸送配管で粉体検知装置40により粉体が検知される場合に、配管切替部30で第1バルブによって、供給側輸送配管11に連通されるサイロ側輸送配管を予備サイロ側輸送配管に切り替え、異種粉体を予備サイロに輸送することが可能となる。
【0042】
なお、本開示の概要は以下のとおりである。
[1]粉体を供給する粉体供給設備と、複数の異なる種類の粉体を貯蔵するための複数のサイロと、前記粉体供給設備に接続される供給側輸送配管と、前記複数のサイロの各々に接続されるサイロ側輸送配管と、前記供給側輸送配管に連通されるサイロ側輸送配管を切り替えることが可能な第1バルブを有する配管切替部と、前記サイロ側輸送配管に設置され、前記サイロ側輸送配管内の粉体を検知する粉体検知装置とを備え、前記粉体検知装置が、流量計及び温度計のうちの少なくとも一方で構成される、粉体輸送設備。
[2]サイロ側輸送配管に設置される第2バルブをさらに備える、[1]に記載の粉体輸送設備。
[3]予備サイロと、前記予備サイロに接続される予備サイロ側輸送配管とをさらに備え、前記配管切替部において、前記第1バルブが、前記供給側輸送配管に連通されるサイロ側輸送配管を前記予備サイロ側輸送配管にも切り替えることが可能となっている、[1]又は[2]に記載の粉体輸送設備。
[4]前記流量計が超音波型流量計である、[1]~[3]のいずれかに記載の粉体輸送設備。
[5]前記流量計及び前記温度計の位置は、前記サイロ側輸送配管のうち前記配管切替部に直接接続される部分であって、前記サイロ側輸送配管の1/3以下の長さの部分に設置されている、[1]~[4]のいずれかに記載の粉体輸送設備。
[6]前記サイロ側輸送配管から分岐する分岐管と、前記分岐管に設置される第3バルブとを備える、[1]~[5]のいずれかに記載の粉体輸送設備。
[7][1]~[6]のいずれかに記載の粉体輸送設備を用いる粉体輸送設備の運転方法であって、前記供給側輸送配管に連通される前記サイロ側輸送配管を、前記配管切替部で前記第1バルブにより、粉体を輸送すべきサイロである輸送先サイロに接続されるサイロ側輸送配管に切り替え、前記粉体供給設備から供給される前記粉体を、前記供給側輸送配管、前記配管切替部及び前記サイロ側輸送配管を経て、前記複数のサイロのうち前記輸送先サイロに輸送する粉体輸送工程と、前記供給側輸送配管に連通されていない前記サイロ側輸送配管である非輸送先サイロ側輸送配管で前記粉体検知装置により粉体が検知される場合には、その検知に基づいて、前記非輸送先サイロ側輸送配管に接続されているサイロである非輸送先サイロへの前記粉体の流入を停止させる流入停止工程とを含む、粉体輸送設備の運転方法。
[8]前記流入停止工程において、前記非輸送先サイロ側輸送配管への前記粉体の流入を、前記粉体供給設備における前記粉体の供給を停止させることによって停止させる、[7]に記載の粉体輸送設備の運転方法。
[9]前記粉体輸送設備が、前記サイロ側輸送配管に設けられる第2バルブをさらに備え、前記流入停止工程において、前記非輸送先サイロ側輸送配管への前記粉体の輸送を、前記粉体供給設備における前記粉体の供給を停止させること、および、前記第2バルブを閉じることの少なくとも一方によって停止させる、[7]に記載の粉体輸送設備の運転方法。
【符号の説明】
【0043】
10…粉体供給設備、11…供給側輸送配管、20,20A,20B…サイロ、21,21A,21B…サイロ側輸送配管、22…分岐管、23…第3バルブ、30…配管切替部、40…粉体検知装置、50…第2バルブ、100…粉体輸送設備。