(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142894
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20241003BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241003BHJP
B41J 2/18 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B41J2/14 603
B41J2/14 605
B41J2/01 303
B41J2/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055281
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】岩間 正美
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056FA04
2C056FA10
2C056HA05
2C056HA37
2C056KB16
2C056KC21
2C057AF40
2C057AG33
2C057AG44
2C057AG52
2C057AG75
2C057AN01
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】共通液室部材の変形による振動を抑制することができ、液体の吐出特性を安定させることができる液体吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】供給側共通液室10及び回収側共通液室40を有する共通液室部材20と、供給側共通液室及び回収側共通液室に連通する複数の個別液室を有する流路部材2と、を有する。共通液室部材及び流路部材は、積層されている。供給側共通液室及び回収側共通液室は、個別液室側に並んで配置され、供給側共通液室と回収側共通液室が個別液室側で隣り合う方向にそれぞれ2つの側壁を有し、供給側共通液室の一方の側壁と、回収側共通液室の一方の側壁とが隣り合っている。供給側共通液室は、当該供給側共通液室の一方の側壁と他方の側壁を架橋するとともに剛性を有する第1の架橋部が設けられており、回収側共通液室は、当該回収側共通液室の一方の側壁と他方の側壁を架橋するとともに剛性を有する第2の架橋部が設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給側共通液室及び回収側共通液室を有する共通液室部材と、
前記供給側共通液室及び前記回収側共通液室に連通する複数の個別液室を有する流路部材と、を有し、
前記共通液室部材及び前記流路部材は、積層されており、
前記供給側共通液室及び前記回収側共通液室は、前記個別液室側に並んで配置され、前記供給側共通液室と前記回収側共通液室が前記個別液室側で隣り合う方向にそれぞれ2つの側壁を有し、前記供給側共通液室の一方の側壁と、前記回収側共通液室の一方の側壁とが隣り合っており、
前記供給側共通液室は、当該供給側共通液室の一方の側壁と他方の側壁を架橋するとともに剛性を有する第1の架橋部が設けられており、
前記回収側共通液室は、当該回収側共通液室の一方の側壁と他方の側壁を架橋するとともに剛性を有する第2の架橋部が設けられている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記第1の架橋部と前記第2の架橋部は、前記供給側共通液室の一方の側壁と前記回収側共通液室の一方の側壁を介して対向する
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記供給側共通液室及び前記回収側共通液室が有する側壁は、同方向に形成されており、
対向する前記第1の架橋部と前記第2の架橋部の組は、前記側壁の方向に複数配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
対向する前記第1の架橋部と前記第2の架橋部の組は、隣り合う組み同士の間隔が前記側壁の方向の中央側に向かって狭くなる
ことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記共通液室部材及び前記流路部材が積層した方向を積層方向とし、該積層方向に沿った方向を前記共通液室部材の厚み方向としたとき、
前記第1の架橋部及び前記第2の架橋部は、前記共通液室部材の厚みの中間地点よりも前記流路部材側に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記個別液室に連通するノズルを複数有するノズル板と、を有し、
前記ノズル板は、前記共通液室側とは反対側で前記流路部材と積層され、
前記ノズルが配列する方向をノズル配列方向としたとき、前記供給側共通液室と前記回収側共通液室が前記個別液室側で隣り合う方向は、前記ノズル配列方向である
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記共通液室部材、前記第1の架橋部及び前記第2の架橋部は、同じ材料で形成されているとともに、前記第1の架橋部及び前記第2の架橋部は、前記共通液室部材と一体に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを含む
ことを特徴とする液体吐出ユニット。
【請求項9】
前記液体吐出ヘッドに供給する液体を貯留するヘッドタンク、前記液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジ、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供給機構、前記液体吐出ヘッドの維持回復を行う維持回復機構、前記液体吐出ヘッドを主走査方向に移動させる主走査移動機構の少なくともいずれか一つと前記液体吐出ヘッドとを一体化した
ことを特徴とする請求項8に記載の液体吐出ユニット。
【請求項10】
請求項1~7のいずれかに記載の液体吐出ヘッド、又は、請求項8若しくは9に記載の液体吐出ユニットを備えている
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズル板、流路部材、振動板、圧電素子、共通液室部材を有する液体吐出ヘッドが知られている。このような液体吐出ヘッドでは、圧電素子により流路部材中の液室の圧力を変化させ、ノズル板に形成されたノズルから液体を吐出する。
【0003】
このような液体吐出ヘッドでは、液体を吐出する際、共通液室部材に起因して吐出特性に影響が生じることが指摘されていた。例えば、液滴を吐出する際、液室から共通液室に圧力変動が伝播し、液体吐出特性が低下するといった問題が挙げられる。
【0004】
特許文献1では、共通液室と液導入部の間に、共通液室の変位可能な壁面を形成するダンパを配置した液体吐出ヘッドが開示されている。特許文献1によれば、専用のダンパ室を設けることなくダンパを配置することができるとしている。また、特許文献1では、ダンパを固定するために、ダンパと流路部材の壁を架橋部でつないでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、液体を吐出する際に、共通液室部材が変形して振動する場合があった。共通液室部材が変形して振動すると、各ノズルのメニスカス振動に差異が生じ、安定した吐出特性が得られない。また、特許文献1に開示される架橋部は、ダンパを介しているため、ダンパが振動し、共通液室部材が変形して振動することを防止できない。
【0006】
そこで本発明は、共通液室部材の変形による振動を抑制することができ、液体の吐出特性を安定させることができる液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の液体吐出ヘッドは、
供給側共通液室及び回収側共通液室を有する共通液室部材と、
前記供給側共通液室及び前記回収側共通液室に連通する複数の個別液室を有する流路部材と、を有し、
前記共通液室部材及び前記流路部材は、積層されており、
前記供給側共通液室及び前記回収側共通液室は、前記個別液室側に並んで配置され、前記供給側共通液室と前記回収側共通液室が前記個別液室側で隣り合う方向にそれぞれ2つの側壁を有し、前記供給側共通液室の一方の側壁と、前記回収側共通液室の一方の側壁とが隣り合っており、
前記供給側共通液室は、当該供給側共通液室の一方の側壁と他方の側壁を架橋するとともに剛性を有する第1の架橋部が設けられており、
前記回収側共通液室は、当該回収側共通液室の一方の側壁と他方の側壁を架橋するとともに剛性を有する第2の架橋部が設けられている
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、共通液室部材の変形による振動を抑制することができ、液体の吐出特性を安定させることができる液体吐出ヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例を示す外観斜視概略図である。
【
図2】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例を示す断面概略図である。
【
図4】
図3のa方向から見たときの平面概略図である。
【
図5】共通液室部材の一例を示す要部斜視概略図である。
【
図7】
図5のb方向から見たときの平面概略図である。
【
図10】液体を吐出する装置の一例における概略図である。
【
図11】液体を吐出する装置の他の例における概略図である。
【
図12】液体吐出ユニットの一例における概略図である。
【
図13】液体吐出ユニットの他の例における概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット及び液体を吐出する装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0011】
本発明の液体吐出ヘッドは、
供給側共通液室及び回収側共通液室を有する共通液室部材と、
前記供給側共通液室及び前記回収側共通液室に連通する複数の個別液室を有する流路部材と、を有し、
前記共通液室部材及び前記流路部材は、積層されており、
前記供給側共通液室及び前記回収側共通液室は、前記個別液室側に並んで配置され、前記供給側共通液室と前記回収側共通液室が前記個別液室側で隣り合う方向にそれぞれ2つの側壁を有し、前記供給側共通液室の一方の側壁と、前記回収側共通液室の一方の側壁とが隣り合っており、
前記供給側共通液室は、当該供給側共通液室の一方の側壁と他方の側壁を架橋するとともに剛性を有する第1の架橋部が設けられており、
前記回収側共通液室は、当該回収側共通液室の一方の側壁と他方の側壁を架橋するとともに剛性を有する第2の架橋部が設けられている
ことを特徴とする。
【0012】
図1は、本実施形態の液体吐出ヘッドの外観斜視説明図、
図2は、同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向の断面説明図である。なお、
図1では液体吐出方向を下向きにして示しているが、
図2では液体吐出方向を上向きにして示している。図中、液体吐出方向をX軸方向としている。
【0013】
本例は、ノズル板1、流路部材2、共通液室部材20を積層接合した液体吐出ヘッドの例である。本例の液体吐出ヘッドには、流路部材2と共通液室部材20との間には振動板部材3が設けられている。本例の液体吐出ヘッドには、振動板部材3を変位させる圧電素子11が設けられている。
【0014】
共通液室部材20には、共通液室が設けられている。本例の液体吐出ヘッドは循環型の液体吐出ヘッドとしており、共通液室は、個別液室に液体を供給する供給側共通液室10と、個別液室から液体を回収する回収側共通液室40とからなる。共通液室部材20は、フレーム部材などと称してもよい。共通液室部材20、流路部材2及びノズル板1は積層されている。
【0015】
図2に示すように、供給側共通液室10及び回収側共通液室40は、個別液室側に並んで配置されている。個別液室側とあるのは、流路部材2側と称してもよい。供給側共通液室10と回収側共通液室40が個別液室側で隣り合う方向を図中のZ軸方向としている。供給側共通液室10と回収側共通液室40が個別液室側で隣り合う方向を隣接方向などと称することがある。
【0016】
図1に示すように、供給側共通液室10に通じる供給ポート23と、回収側共通液室40に通じる回収ポート46が、カバー21と共通液室部材20の外部に配置されている。
【0017】
ノズル板1は、液体を吐出する複数のノズル4を有している。ノズル板をノズル基板、ノズル部材などと称してもよい。ノズル4は、各個別液室に対応して設けられており、ノズル板1には複数のノズル4が設けられている。
【0018】
流路部材2は、ノズル4に通じる圧力発生室6、圧力発生室6に通じる供給側流体抵抗部7、供給側流体抵抗部7に通じる液導入部8を有する。本例における液導入部8は、圧力発生室6ごとに区分けされている構造としている。液導入部8は、これに限られず、圧力発生室6ごとに個別に分かれて設けられていてもよく、この場合、1つの共通液室に対して複数の液導入部8が形成される。
【0019】
また、本例の液体吐出ヘッドは循環型であるため、流路部材2は、圧力発生室6に通じる回収流路42、回収流路42に通じる排出部43を有する。回収流路42には、回収側の流体抵抗部が設けられていてもよい。供給側流体抵抗部7、液導入部8、回収側流体抵抗部、回収流路42及び排出部43は、例えば、貫通穴や溝部によって形成することができる。
【0020】
流路部材2は、共通液室に連通する複数の個別液室が設けられている。
本実施形態において、個別液室は、例えば、液導入部8、圧力発生室6、連通口41、回収流路42及び排出部43の部分である。供給側流体抵抗部7を個別液室に含めてもよい。また、図示は省略しているが、回収側流体抵抗を個別液室に含めてもよい。圧力発生室6は、加圧液室などと称してもよい。個別液室を単に液室などと称してもよい。
【0021】
振動板部材3は、圧力発生室6の壁面を形成している。振動板部材3は、例えば2層構造とすることができる。この2層構造としては、例えば流路部材2側から、薄肉部を形成する第1層と、厚肉部を形成する第2層とからなる構成にすることができる。
【0022】
振動板部材3は、振動領域3b(ダイアフラム部などと称してもよい)を有する。例えば振動領域3bは、第1層により形成する。振動領域3bは、圧力発生室6に対応した箇所に設けられる変形可能な領域である。また、圧電素子11に対応した箇所に厚肉部である凸部3aを設ける。例えば凸部3aは、第2層により形成する。
【0023】
流路部材2が振動板部材3を含むと称してもよいし、流路部材2が振動板部材3を含まないと称してもよい。
【0024】
振動板部材3の圧力発生室6とは反対側に圧電素子11が設けられている。圧電素子11は、振動板部材3の振動領域3bを変形させる駆動手段(アクチュエータ手段、圧力発生手段などと称してもよい)である。
【0025】
圧電素子11は、例えばベース部材80上に接合されている。圧電素子11は、圧電層と内部電極とを交互に積層して構成され、内部電極がそれぞれ端面に引き出されて外部電極が設けられている。圧電素子11は、FPC81と接合し、駆動波形が与えられることで駆動する。
【0026】
本例の液体吐出ヘッドでは、例えば、圧電素子11に与える電圧を基準電位から下げることによって圧電素子11を収縮させる。これにより、振動板部材3の圧電素子11に対応する部分がノズル4から遠ざかる方向に変形し、圧力発生室6の容積が膨張する。これにより、圧力発生室6内に液体が流入する。
【0027】
次いで、圧電素子11に印加する電圧を上げて圧電素子11を積層方向に伸長させる。これにより、振動板部材3がノズル4に向かう方向に変形し、圧力発生室6の容積が収縮する。これにより、圧力発生室6内の液体が加圧され、ノズル4から液体が吐出される。
【0028】
次いで、圧電素子11に与える電圧を基準電位に戻すことによって振動板部材3が初期位置に復元する。これにより、圧力発生室6が膨張して負圧が発生し、供給側共通液室10から圧力発生室6に液体が充填される。次いで、ノズル4のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の吐出のための動作に移行する。
【0029】
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き-押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行うこともできる。
【0030】
本例における液体(例えばインク)の流れの例について説明する。
インクは、インク供給口70から供給側共通液室10に供給され、振動板部材3の供給側開口部9を通過して流路部材2に流れる。次いで、インクは、液導入部8を通り、供給側流体抵抗部7を通る。次いで、インクは、圧力発生室6で加圧され、連通口41を通ってノズル4から吐出される。また、インクは、吐出とは別に、回収流路42と排出部43を通り、振動板部材3の回収側開口部44を通って回収側共通液室40に流れる。回収側共通液室40に流れたインクは、後述のインク排出口71から排出される。
【0031】
図3は、
図2のAA’断面に相当する概略図である。この図では、個別液室を符号12で模式的に示している。また、流路部材2、振動板部材3を簡略的に示している。図中、ノズル4が配列する方向(ノズル配列方向)をY軸方向としている。
【0032】
インクは、振動板部材3の回収側開口部44を通って、個別液室12から回収側共通液室40に流れる。回収側共通液室40に流れたインクは、インク排出口71から排出される。なお、供給側では、
図3とは異なる断面において、供給側共通液室10から個別液室12にインクが流れる。また、インクは、インク供給口70から供給側共通液室10に供給される。
【0033】
図4は、
図3をa方向から見たときの平面概略図である。図中、インク供給口70とインク排出口71の一例が図示されている。ただし、インク供給口70とインク排出口71の形状、配置等は、これに限られるものではなく、適宜変更することができる。また、
図4中のAA線は、
図2中のAA’断面及び
図3の断面概略図に相当する。
【0034】
ここで従来技術の問題について説明する。
従来の液体吐出ヘッドでは、液体をノズルから吐出する際に、共通液室が形成されているフレーム部材が振動し、この振動に起因して各ノズルのメニスカス振動に差異が生じていた。各ノズルでメニスカス振動に差異が生じると、ノズル間で吐出にばらつきが生じ、安定した吐出特性が得られない。安定した吐出特性が得られないと、画像品質が低下してしまう等の問題が生じる。
【0035】
これに対して、本実施形態の液体吐出ヘッドでは、供給側共通液室10と回収側共通液室40のそれぞれに、共通液室部材20の変形を抑制するための架橋部を設けている。この架橋部は、剛性を有しているため、共通液室部材20の変形を抑制できる。これにより、液体をノズルから吐出する際に生じる共通液室部材20の変形による振動を抑制することができ、各ノズルのメニスカス振動に差異が生じることを抑制できる。このため、液体の吐出特性を安定させることができる。
【0036】
本実施形態では、共通液室部材20の振動を低減するために、供給側共通液室10と回収側共通液室40の側壁を架橋する架橋部をそれぞれ設け、架橋部は剛性を有している。架橋部という構成にすることで、共通液室における液体の進行方向の流路断面積を減らさない形状にすることができるとともに、圧力損失を極力防止することができる。本実施形態によれば、共通液室部材20の振動がノズル板1に伝わってメニスカスが振動することを抑制でき、安定した吐出特性を得ることができる。
【0037】
本実施形態の液体吐出ヘッドにおいて、供給側共通液室10及び回収側共通液室40は、個別液室側に並んで配置され、供給側共通液室10と回収側共通液室40が個別液室側で隣り合う方向にそれぞれ2つの側壁を有し、供給側共通液室10の一方の側壁10aと、回収側共通液室40の一方の側壁40aとが隣り合っている。そして、供給側共通液室10は、当該供給側共通液室10の一方の側壁10aと他方の側壁10bを架橋するとともに剛性を有する第1の架橋部51が設けられており、回収側共通液室40は、当該回収側共通液室40の一方の側壁40aと他方の側壁40bを架橋するとともに剛性を有する第2の架橋部52が設けられている。
【0038】
図2に示すように、供給側共通液室10と回収側共通液室40が個別液室側で隣り合う方向(隣接方向)にそれぞれ2つの側壁(側壁10a、10b、側壁40a、40b)を有し、供給側共通液室10の一方の側壁10aと、回収側共通液室40の一方の側壁40aとが隣り合っている。
【0039】
なお、上述したように、供給側共通液室10と回収側共通液室40が個別液室側で隣り合う方向を、隣接方向などと称することがある。また、この隣接方向は、図中のZ軸方向としている。
【0040】
また、図示するように、供給側共通液室10は、供給側共通液室10の一方の側壁10aと他方の側壁10bを架橋する第1の架橋部51が設けられている。回収側共通液室40は、回収側共通液室40の一方の側壁40aと他方の側壁10bを架橋する第2の架橋部52が設けられている。
【0041】
第1の架橋部51と第2の架橋部52は、剛性を有しているため、第1の剛性架橋部、第2の剛性架橋部などと称してもよい。第1の架橋部51と第2の架橋部52が有する剛性としては、共通液室部材20が変形することを低減でき、共通液室部材20が変形して振動することを低減できるように選択される。
【0042】
第1の架橋部51及び第2の架橋部52は、剛性が高いことが好ましい。第1の架橋部51及び第2の架橋部52の剛性を高くすることで、共通液室部材20の変形による振動をより抑制することができる。また、第1の架橋部51及び第2の架橋部52の剛性が高い場合、第1の架橋部51及び第2の架橋部52の大きさを小さくすることができ、インクの流れを阻害しにくくなる。
【0043】
図2に示すように、第1の架橋部51と第2の架橋部52は、供給側共通液室10の一方の側壁10aと回収側共通液室40の一方の側壁40aを介して対向している。このような配置にすることにより、共通液室部材20の振動や変形を低減させやすくなる。互いに対向する第1の架橋部51と第2の架橋部52の組を、一組の架橋部などと称することがある。
【0044】
図5は、第1の架橋部51と第2の架橋部52を説明するための概略図であり、本例の共通液室部材20を示す斜視概略図である。図中、X軸方向は液体吐出方向であり、Y軸方向はノズル4の配列方向(ノズル配列方向)であり、Z軸方向は供給側共通液室10と回収側共通液室40が個別液室側で隣り合う方向(隣接方向)である。また、d方向から見た図が
図4に相当し、図中のcの部分は
図4のcの部分に相当する。
【0045】
図示するように、第1の架橋部51と第2の架橋部52は、複数設けられている。第1の架橋部51と第2の架橋部52が複数設けられることにより、共通液室部材20の振動や変形を低減させやすくなる。
【0046】
本例のように、一組の架橋部が共通液室の側壁に方向に複数設けられていることが好ましい。以下、本例を再度規定する。
本例において、供給側共通液室10及び回収側共通液室40が有する側壁(側壁10a、10b、側壁40a、40b)は、同方向に形成されており、対向する第1の架橋部51と第2の架橋部52の組(一組の架橋部)は、前記側壁の方向に複数配置されている。この場合、共通液室部材20の振動や変形をより低減させることができる。このため、吐出特性をより向上させることができる。
ここでいう側壁の方向は、図中のY軸方向である。
【0047】
図6は、対向する第1の架橋部51と第2の架橋部52の組(一組の架橋部)を説明するための断面概略図である。
図6は、
図5のBB’断面に相当し、個別液室側の一部を図示したものである。図示するように、第1の架橋部51と第2の架橋部52は、供給側共通液室10の一方の側壁10aと回収側共通液室40の一方の側壁40aを介して対向している。
【0048】
図7は、
図5をb方向から見たときの概略図である。すなわち、
図5を紙面上側から見たときの概略図である。図示するように、対向する第1の架橋部51と第2の架橋部52の組(一組の架橋部)は、側壁の方向(Y軸方向)に複数配置されている。
【0049】
図5~
図7に示す例は、一組の架橋部が等間隔で配置されている場合の例である。本実施形態はこれに限られず、架橋部の間隔Lを変えてもよい。
【0050】
図8は、変形例を示す図であり、
図7と同様の平面概略図である。
本例は、対向する第1の架橋部51と第2の架橋部52の組(一組の架橋部)は、隣り合う組み同士の間隔が前記側壁の方向の中央側に向かって狭くなる。図示するように、側壁の方向(Y軸方向)における側壁の中央をPとしており、中央Pに向かって一組の架橋部の間隔Lが小さくなっている。換言すると、L1、L2、L3・・・の順に大きくなっている。
【0051】
供給側共通液室10及び回収側共通液室40が有する側壁(側壁10a、10b、側壁40a、40b)は、側壁の中央部で応力が集中しやすい。そのため、本例のように一組の架橋部どうしの間隔を中央部に向かって小さくする(狭くする)ことで、共通液室部材20の変形をより低減することができる。
【0052】
第1の架橋部51及び第2の架橋部52は、インクの流れを阻害しない形状、大きさであることが好ましい。第1の架橋部51及び第2の架橋部52は、インクの流れを阻害しないようにするために、小さい形状であることが好ましいが、小さすぎると共通液室部材20の変形を十分に抑えるための剛性が確保しにくくなる。そのため、例えば、流路部材側から見たときの架橋部の面積率を以下のようにすることが好ましい。
【0053】
第1の架橋部51及び第2の架橋部52の配置は、適宜変更することができる。例えば、第1の架橋部51及び第2の架橋部52は、個別液室に近い箇所、すなわち、流路部材2に近い箇所に配置されていることが好ましい。
【0054】
この好ましい構成の例については、例えば以下のように規定できる。
共通液室部材20及び流路部材2が積層した方向を積層方向とし、該積層方向に沿った方向を共通液室部材20の厚み方向としたとき、第1の架橋部51及び第2の架橋部52は、共通液室部材20の厚みの中間地点よりも流路部材2側に配置されていることが好ましい。
【0055】
この場合、第1の架橋部51及び第2の架橋部52が流路部材2に近い位置に配置されることになり、ノズル4から液体を吐出する際に生じる共通液室部材20の振動を低減しやすくなる。
【0056】
本例について、
図9を用いて説明する。
図9は、
図2の要部を図示した断面概略図である。図中、共通液室部材20及び流路部材2の積層方向は、X軸方向であり、共通液室部材20の厚み方向は、同様にX軸方向である。また、共通液室部材20の厚みをDで表し、共通液室部材20の厚みの中間地点をMで表している。図示するように、第1の架橋部51及び第2の架橋部52は、共通液室部材20の厚みDの中間地点Mよりも流路部材2側に配置されている。これにより、共通液室部材20の振動を低減しやすくなる。
【0057】
架橋部の作製方法は、特に制限されるものではなく、適宜選択することができ、例えば、エッチングなどで作製する。
【0058】
また、共通液室部材20、第1の架橋部51及び第2の架橋部52は、同じ材料で形成されているとともに、第1の架橋部51及び第2の架橋部52は、共通液室部材20と一体に形成されていることが好ましい。この場合、共通液室部材20の振動を低減しやすくなる。
【0059】
次に、本発明に係る液体を吐出する装置の一例について
図10及び
図11を参照して説明する。
図10は同装置の要部平面説明図、
図11は同装置の要部側面説明図である。
【0060】
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
【0061】
このキャリッジ403には、本発明に係る液体吐出ヘッド404及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズル4からなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。液体吐出ヘッド404は、例えば上述のヘッド101を用いることができる。
【0062】
液体吐出ヘッド404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド404に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
【0063】
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
【0064】
この装置は、用紙410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
【0065】
搬送ベルト412は用紙410を吸着して液体吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
【0066】
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
【0067】
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
【0068】
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド404のノズル面(ノズル4が形成された面)をキャッピングするキャップ部材421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
【0069】
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
【0070】
このように構成したこの装置においては、用紙410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によって用紙410が副走査方向に搬送される。
【0071】
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド404を駆動することにより、停止している用紙410に液体を吐出して画像を形成する。
【0072】
このように、この装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を安定して形成することができる。
【0073】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの他の例について
図12を参照して説明する。
図12は同ユニットの要部平面説明図である。
【0074】
この液体吐出ユニットは、前記液体を吐出する装置を構成している部材のうち、側板491A、491B及び背板491Cで構成される筐体部分と、主走査移動機構493と、キャリッジ403と、液体吐出ヘッド404で構成されている。
【0075】
なお、この液体吐出ユニットの例えば側板491Bに、前述した維持回復機構420、及び供給機構494の少なくともいずれかを更に取り付けた液体吐出ユニットを構成することもできる。
【0076】
次に、本発明に係る液体吐出ユニットの更に他の例について
図13を参照して説明する。
図13は同ユニットの正面説明図である。
【0077】
この液体吐出ユニットは、流路部品444が取付けられた液体吐出ヘッド404と、流路部品444に接続されたチューブ456で構成されている。
【0078】
なお、流路部品444はカバー442の内部に配置されている。流路部品444に代えてヘッドタンク441を含むこともできる。また、流路部品444の上部には液体吐出ヘッド404と電気的接続を行うコネクタ443が設けられている。
【0079】
本願において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0080】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0081】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0082】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0083】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0084】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、壁紙や床材などの建材、衣料用のテキスタイルなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0085】
また、「液体」は、インク、処理液、DNA試料、レジスト、パターン材料、結着剤、造形液、又は、アミノ酸、たんぱく質、カルシウムを含む溶液及び分散液なども含まれる。
【0086】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0087】
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0088】
「液体吐出ユニット」とは、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体である。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
【0089】
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
【0090】
例えば、液体吐出ユニットとして、
図11で示した液体吐出ユニット440のように、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
【0091】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
【0092】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、
図12で示したように、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
【0093】
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
【0094】
また、液体吐出ユニットとして、
図13で示したように、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。
【0095】
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
【0096】
また、「液体吐出ヘッド」は、使用する圧力発生手段が限定されるものではない。例えば、上記実施形態で説明したような圧電アクチュエータ(積層型圧電素子を使用するものでもよい。)以外にも、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものでもよい。
【0097】
また、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【0098】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1>
供給側共通液室及び回収側共通液室を有する共通液室部材と、
前記供給側共通液室及び前記回収側共通液室に連通する複数の個別液室を有する流路部材と、を有し、
前記共通液室部材及び前記流路部材は、積層されており、
前記供給側共通液室及び前記回収側共通液室は、前記個別液室側に並んで配置され、前記供給側共通液室と前記回収側共通液室が前記個別液室側で隣り合う方向にそれぞれ2つの側壁を有し、前記供給側共通液室の一方の側壁と、前記回収側共通液室の一方の側壁とが隣り合っており、
前記供給側共通液室は、当該供給側共通液室の一方の側壁と他方の側壁を架橋するとともに剛性を有する第1の架橋部が設けられており、
前記回収側共通液室は、当該回収側共通液室の一方の側壁と他方の側壁を架橋するとともに剛性を有する第2の架橋部が設けられている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
<2>
前記第1の架橋部と前記第2の架橋部は、前記供給側共通液室の一方の側壁と前記回収側共通液室の一方の側壁を介して対向する
ことを特徴とする<1>に記載の液体吐出ヘッド。
<3>
前記供給側共通液室及び前記回収側共通液室が有する側壁は、同方向に形成されており、
対向する前記第1の架橋部と前記第2の架橋部の組は、前記側壁の方向に複数配置されている
ことを特徴とする<2>に記載の液体吐出ヘッド。
<4>
対向する前記第1の架橋部と前記第2の架橋部の組は、隣り合う組み同士の間隔が前記側壁の方向の中央側に向かって狭くなる
ことを特徴とする<3>に記載の液体吐出ヘッド。
<5>
前記共通液室部材及び前記流路部材が積層した方向を積層方向とし、該積層方向に沿った方向を前記共通液室部材の厚み方向としたとき、
前記第1の架橋部及び前記第2の架橋部は、前記共通液室部材の厚みの中間地点よりも前記流路部材側に配置されている
ことを特徴とする<1>から<4>のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
<6>
前記個別液室に連通するノズルを複数有するノズル板と、を有し、
前記ノズル板は、前記共通液室側とは反対側で前記流路部材と積層され、
前記ノズルが配列する方向をノズル配列方向としたとき、前記供給側共通液室と前記回収側共通液室が前記個別液室側で隣り合う方向は、前記ノズル配列方向である
ことを特徴とする<1>から<5>のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
<7>
前記共通液室部材、前記第1の架橋部及び前記第2の架橋部は、同じ材料で形成されているとともに、前記第1の架橋部及び前記第2の架橋部は、前記共通液室部材と一体に形成されている
ことを特徴とする<1>から<6>のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
<8>
<1>から<7>のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを含む
ことを特徴とする液体吐出ユニット。
<9>
前記液体吐出ヘッドに供給する液体を貯留するヘッドタンク、前記液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジ、前記液体吐出ヘッドに液体を供給する供給機構、前記液体吐出ヘッドの維持回復を行う維持回復機構、前記液体吐出ヘッドを主走査方向に移動させる主走査移動機構の少なくともいずれか一つと前記液体吐出ヘッドとを一体化した
ことを特徴とする<8>に記載の液体吐出ユニット。
<10>
<1>から<7>のいずれかに記載の液体吐出ヘッド、又は、請求項<8>若しくは<9>に記載の液体吐出ユニットを備えている
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【符号の説明】
【0099】
1 ノズル板
2 流路部材
3 振動板部材
4 ノズル
6 圧力発生室
7 供給側流体抵抗部
8 液導入部
9 供給側開口部
10 供給側共通液室
10a、10b 側壁
11 圧電素子
12 個別液室
40 回収側共通液室
40a、40b 側壁
41 回収流路
43 排出部
44 回収側開口部
51 第1の架橋部
52 第2の架橋部
70 インク供給路
71 インク排出路
80 ベース
【先行技術文献】
【特許文献】
【0100】