(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142940
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】偏光板
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20241003BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20241003BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20241003BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20241003BHJP
B32B 27/36 20060101ALI20241003BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G02B5/30
G02F1/1335 510
B32B27/00 M
B32B7/023
B32B27/36
B32B27/30 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055361
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 智之
(72)【発明者】
【氏名】山形 祐佳子
(72)【発明者】
【氏名】大山 裕也
【テーマコード(参考)】
2H149
2H291
4F100
【Fターム(参考)】
2H149AA02
2H149AB05
2H149AB18
2H149BA02
2H149CA04
2H149DA02
2H149DA12
2H149EA02
2H149EA12
2H149FA02X
2H149FA02Y
2H149FA03W
2H149FA06X
2H149FA06Y
2H149FA08X
2H149FA08Y
2H149FA12X
2H149FA12Y
2H149FA68
2H149FB01
2H149FD05
2H149FD06
2H149FD47
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA30X
2H291FA30Z
2H291FA40X
2H291FA95X
2H291FA95Z
2H291FB02
2H291FD12
2H291LA04
2H291LA25
4F100AK21C
4F100AK25D
4F100AK25E
4F100AK42A
4F100AK53B
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10E
4F100CB04B
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4F100GB41
4F100JB14B
4F100JL04
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4F100JL13E
4F100JN10C
4F100JN18A
4F100YY00A
4F100YY00D
(57)【要約】
【課題】偏光板の斜め方向から視認される虹ムラが抑制され、かつ、偏光板が貼り合わされた液晶セルの高温下での変形(反り)が抑制される偏光板、並びに、該偏光板を含む粘着剤層付き偏光板及び該粘着剤層付き偏光板を含む光学積層体を提供すること。
【解決手段】偏光板と粘着剤層とを含む粘着剤層付き偏光板であって、偏光板は、樹脂フィルム、接着剤層、偏光子、樹脂層をこの順に含み、粘着剤層は前記樹脂層側に積層されており、樹脂層の厚み方向の位相差の絶対値が100nm以下であり、樹脂フィルムの厚みH1と樹脂層の厚みH2とが、H1/H2>1.0を満たす粘着剤層付き偏光板。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光板と粘着剤層とを含む粘着剤層付き偏光板であって、
偏光板は、樹脂フィルム、接着剤層、偏光子、樹脂層をこの順に含み、
前記粘着剤層は前記樹脂層側に積層されており、
前記樹脂層の厚み方向の位相差の絶対値が100nm以下であり、
樹脂フィルムの厚みH1と樹脂層の厚みH2とが、以下の式(i)を満たす粘着剤層付き偏光板。
H1/H2>1.0 (i)
【請求項2】
前記樹脂フィルムの膜厚が60μm以上である請求項1に記載の粘着剤層付き偏光板。
【請求項3】
前記樹脂フィルムがポリエステル系樹脂フィルムであり、
前記ポリエステル系樹脂フィルムは、式(1)で定義される位相差値Reについて、以下の[i]~[iv]を満たす、請求項1に記載の粘着剤層付き偏光板。
Re=(nx-ny)×d (1)
[式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を表し、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率を表し、dはフィルムの厚みを表す。]
[i]ポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が90°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第1配置において測定される位相差値Re1が6000nm以上である。
[ii]前記第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルムを、その進相軸を中心軸として30°回転させることによりポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が60°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第2配置において測定される位相差値Re2が5000nm以上である。
[iii]前記第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルムを、ポリエステル系樹脂フィルム面内においてその進相軸に対して45°の角度をなす軸を中心軸として30°回転させることによりポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が60°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第3配置において測定される位相差値Re3が6000nm以上である。
[iv]前記第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルムを、その遅相軸を中心軸として30°回転させることによりポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が60°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第4配置において測定される位相差値Re4が7000nm以上である。
【請求項4】
前記樹脂層の膜厚が60μm以下である請求項1に記載の粘着剤層付き偏光板。
【請求項5】
前記樹脂層が、アクリル系樹脂フィルムである請求項4に記載の粘着剤層付偏光板。
【請求項6】
偏光板と粘着剤層とを含む粘着剤層付き偏光板であって、
前記偏光板は、樹脂フィルム、接着剤層、偏光子、樹脂層をこの順に含み、
前記粘着剤層は前記樹脂層側に積層されており、
前記粘着剤層付き偏光板の膜厚をyとし、前記樹脂フィルムの前記偏光子と反対側の表面から前記偏光子の膜厚中心までの距離をzとした場合、以下の式(ii)を満たす粘着剤層付き偏光板。
y/2-z<10 (ii)
【請求項7】
前記樹脂フィルムがポリエステル系樹脂フィルムであり、
前記ポリエステル系樹脂フィルムは、式(1)で定義される位相差値Reについて、以下の[i]~[iv]を満たす、請求項6に記載の粘着剤層付き偏光板。
Re=(nx-ny)×d (1)
[式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を表し、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率を表し、dはフィルムの厚みを表す。]
[i]ポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が90°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第1配置において測定される位相差値Re1が6000nm以上である。
[ii]前記第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルムを、その進相軸を中心軸として30°回転させることによりポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が60°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第2配置において測定される位相差値Re2が5000nm以上である。
[iii]前記第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルムを、ポリエステル系樹脂フィルム面内においてその進相軸に対して45°の角度をなす軸を中心軸として30°回転させることによりポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が60°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第3配置において測定される位相差値Re3が6000nm以上である。
[iv]前記第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルムを、その遅相軸を中心軸として30°回転させることによりポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が60°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第4配置において測定される位相差値Re4が7000nm以上である。
【請求項8】
前記樹脂層の厚み方向の位相差の絶対値が100nm以下であり、
前記樹脂フィルムの厚みH1と前記樹脂層の厚みH2とが以下の式(i)を満たす、請求項6又は請求項7に記載の粘着剤層付き偏光板。
H1/H2>1.0 (i)
【請求項9】
前記樹脂層の膜厚が60μm以下である請求項6に記載の粘着剤層付き偏光板。
【請求項10】
前記樹脂層が、アクリル系樹脂フィルムである請求項9に記載の粘着剤層付偏光板。
【請求項11】
偏光板と粘着剤層とを含む粘着剤層付き偏光板と、基板とをこの順に含む光学積層体であって、
前記偏光板は、樹脂フィルム、接着剤層、偏光子、樹脂層をこの順に含み、
前記粘着剤層は前記樹脂層側に積層されており、
前記粘着剤層付き偏光板の膜厚をy、前記樹脂フィルムの前記偏光子と反対側の表面から前記偏光子の膜厚中心までの距離をz、前記基板の膜厚をtとした場合、以下の式(iii)を満たす、光学積層体。
y/2-(z+t)<-290 (iii)
【請求項12】
前記樹脂フィルムがポリエステル系樹脂フィルムであり、
前記ポリエステル系樹脂フィルムは、式(1)で定義される位相差値Reについて、以下の[i]~[iv]を満たす、請求項11に記載の光学積層体。
Re=(nx-ny)×d (1)
[式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を表し、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率を表し、dはフィルムの厚みを表す。]
[i]ポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が90°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第1配置において測定される位相差値Re1が6000nm以上である。
[ii]前記第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルムを、その進相軸を中心軸として30°回転させることによりポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が60°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第2配置において測定される位相差値Re2が5000nm以上である。
[iii]前記第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルムを、ポリエステル系樹脂フィルム面内においてその進相軸に対して45°の角度をなす軸を中心軸として30°回転させることによりポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が60°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第3配置において測定される位相差値Re3が6000nm以上である。
[iv]前記第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルムを、その遅相軸を中心軸として30°回転させることによりポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が60°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第4配置において測定される位相差値Re4が7000nm以上である。
【請求項13】
前記樹脂層の厚み方向の位相差の絶対値が100nm以下であり、
前記樹脂フィルムの厚みH1と前記樹脂層の厚みH2とが、以下の式(i)を満たす、請求項11又は請求項12に記載の光学積層体。
H1/H2>1.0 (i)
【請求項14】
前記粘着剤層付き偏光板の膜厚をy、前記樹脂フィルムの前記偏光子と反対側の表面から前記偏光子の膜厚中心までの距離をzとした場合、以下の式(ii)を満たす、請求項11又は請求項12に記載の光学積層体。
y/2-z<10 (ii)
【請求項15】
前記樹脂層の膜厚が60μm以下である請求項11に記載の光学積層体。
【請求項16】
前記樹脂層が、アクリル系樹脂フィルムである請求項15に記載の光学積層体。
【請求項17】
請求項1又は6に記載の粘着剤層付き偏光板を含む液晶表示装置。
【請求項18】
請求項11に記載の光学積層体を含む液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板に関し、さらには該偏光板を含む粘着剤層付き偏光板及び光学積層体にも関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置の視認性の向上が求められている。液晶表示装置の視認性向上のため、液晶表示装置を構成する部材の一つである偏光板においても、偏光板のムラ抑制が求められている。
【0003】
偏光板のムラ抑制のために、偏光板における偏光子保護フィルムの種類や組み合わせの検討が行われている。例えば、特許文献1には、一方の偏光子保護フィルムとして厚み38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを適用した場合に、もう一方の偏光子保護フィルムとして、セルロースエステル系樹脂の組成を調製したアクリル含有フィルムを適用することにより偏光板の偏光度ムラを抑制できることが記載されている。
【0004】
また、液晶表示装置では、高温環境下での偏光板の収縮に伴う液晶セルの変形(反り)により表示品位が低下するため、その抑制が求められている。そのため、液晶セルの変形抑制のため偏光板においても検討が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の偏光板であったとしても、偏光板の斜め方向より視認される虹ムラ抑制や、偏光板が貼り合わされた液晶セルの高温下での変形(反り)の抑制が十分ではなかった。
【0007】
本発明の目的は、偏光板の斜め方向から視認される虹ムラが抑制され、かつ、偏光板が貼り合わされた液晶セルの高温下での変形(反り)が抑制される偏光板、並びに、該偏光板を含む粘着剤層付き偏光板及び該粘着剤層付き偏光板を含む光学積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の発明を含む。
[1] 偏光板と粘着剤層とを含む粘着剤層付き偏光板であって、
偏光板は、樹脂フィルム、接着剤層、偏光子、樹脂層をこの順に含み、
前記粘着剤層は前記樹脂層側に積層されており、
前記樹脂層の厚み方向の位相差の絶対値が100nm以下であり、
樹脂フィルムの厚みH1と樹脂層の厚みH2とが、以下の式(i)を満たす粘着剤層付き偏光板。
H1/H2>1.0 (i)
[2] 前記樹脂フィルムの膜厚が60μm以上である[1]に記載の粘着剤層付き偏光板。
[3] 前記樹脂フィルムがポリエステル系樹脂フィルムであり、
前記ポリエステル系樹脂フィルムは、式(1)で定義される位相差値Reについて、以下の[i]~[iv]を満たす、[1]又は[2]に記載の粘着剤層付き偏光板。
Re=(nx-ny)×d (1)
[式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を表し、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率を表し、dはフィルムの厚みを表す。]
[i]ポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が90°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第1配置において測定される位相差値Re1が6000nm以上である。
[ii]前記第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルムを、その進相軸を中心軸として30°回転させることによりポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が60°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第2配置において測定される位相差値Re2が5000nm以上である。
[iii]前記第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルムを、ポリエステル系樹脂フィルム面内においてその進相軸に対して45°の角度をなす軸を中心軸として30°回転させることによりポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が60°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第3配置において測定される位相差値Re3が6000nm以上である。
[iv]前記第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルムを、その遅相軸を中心軸として30°回転させることによりポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が60°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第4配置において測定される位相差値Re4が7000nm以上である。
[4] 前記樹脂層の膜厚が60μm以下である[1]~[3]のいずれかに記載の粘着剤層付き偏光板。
[5] 前記樹脂層が、アクリル系樹脂フィルムである[1]~[4]のいずれかに記載の粘着剤層付偏光板。
[6] 偏光板と粘着剤層とを含む粘着剤層付き偏光板であって、
前記偏光板は、樹脂フィルム、接着剤層、偏光子、樹脂層をこの順に含み、
前記粘着剤層は前記樹脂層側に積層されており、
前記粘着剤層付き偏光板の膜厚をyとし、前記樹脂フィルムの前記偏光子と反対側の表面から前記偏光子の膜厚中心までの距離をzとした場合、以下の式(ii)を満たす粘着剤層付き偏光板。
y/2-z<10 (ii)
[7] 前記樹脂フィルムがポリエステル系樹脂フィルムであり、
前記ポリエステル系樹脂フィルムは、式(1)で定義される位相差値Reについて、以下の[i]~[iv]を満たす、[6]に記載の粘着剤層付き偏光板。
Re=(nx-ny)×d (1)
[式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を表し、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率を表し、dはフィルムの厚みを表す。]
[i]ポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が90°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第1配置において測定される位相差値Re1が6000nm以上である。
[ii]前記第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルムを、その進相軸を中心軸として30°回転させることによりポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が60°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第2配置において測定される位相差値Re2が5000nm以上である。
[iii]前記第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルムを、ポリエステル系樹脂フィルム面内においてその進相軸に対して45°の角度をなす軸を中心軸として30°回転させることによりポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が60°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第3配置において測定される位相差値Re3が6000nm以上である。
[iv]前記第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルムを、その遅相軸を中心軸として30°回転させることによりポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が60°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第4配置において測定される位相差値Re4が7000nm以上である。
[8] 前記樹脂層の厚み方向の位相差の絶対値が100nm以下であり、
前記樹脂フィルムの厚みH1と前記樹脂層の厚みH2とが以下の式(i)を満たす、[6]又は[7]に記載の粘着剤層付き偏光板。
H1/H2>1.0 (i)
[9] 前記樹脂層の膜厚が60μm以下である[6]~[8]のいずれかに記載の粘着剤層付き偏光板。
[10] 前記樹脂層が、アクリル系樹脂フィルムである[6]~[9]のいずれかに記載の粘着剤層付偏光板。
[11] 偏光板と粘着剤層とを含む粘着剤層付き偏光板と、基板とをこの順に含む光学積層体であって、
前記偏光板は、樹脂フィルム、接着剤層、偏光子、樹脂層をこの順に含み、
前記粘着剤層は前記樹脂層側に積層されており、
前記粘着剤層付き偏光板の膜厚をy、前記樹脂フィルムの前記偏光子と反対側の表面から前記偏光子の膜厚中心までの距離をz、前記基板の膜厚をtとした場合、以下の式(iii)を満たす、光学積層体。
y/2-(z+t)<-290 (iii)
[12] 前記樹脂フィルムがポリエステル系樹脂フィルムであり、
前記ポリエステル系樹脂フィルムは、式(1)で定義される位相差値Reについて、以下の[i]~[iv]を満たす、[11]に記載の光学積層体。
Re=(nx-ny)×d (1)
[式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を表し、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率を表し、dはフィルムの厚みを表す。]
[i]ポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が90°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第1配置において測定される位相差値Re1が6000nm以上である。
[ii]前記第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルムを、その進相軸を中心軸として30°回転させることによりポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が60°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第2配置において測定される位相差値Re2が5000nm以上である。
[iii]前記第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルムを、ポリエステル系樹脂フィルム面内においてその進相軸に対して45°の角度をなす軸を中心軸として30°回転させることによりポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が60°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第3配置において測定される位相差値Re3が6000nm以上である。
[iv]前記第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルムを、その遅相軸を中心軸として30°回転させることによりポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が60°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第4配置において測定される位相差値Re4が7000nm以上である。
[13] 前記樹脂層の厚み方向の位相差の絶対値が100nm以下であり、
前記樹脂フィルムの厚みH1と前記樹脂層の厚みH2とが、以下の式(i)を満たす、[11]又は[12]に記載の光学積層体。
H1/H2>1.0 (i)
[14] 前記粘着剤層付き偏光板の膜厚をy、前記樹脂フィルムの前記偏光子と反対側の表面から前記偏光子の膜厚中心までの距離をzとした場合、以下の式(ii)を満たす、[11]~[13]のいずれかに記載の光学積層体。
y/2-z<10 (ii)
[15] 前記樹脂層の膜厚が60μm以下である[11]~[14]のいずれかに記載の光学積層体。
[16] 前記樹脂層が、アクリル系樹脂フィルムである[11]~[15]のいずれかに記載の光学積層体。
[17] [1]~[10]のいずれかに記載の粘着剤層付き偏光板を含む液晶表示装置。
[18] [11]~[16]のいずれかに記載の光学積層体を含む液晶表示装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、偏光板の斜め方向から視認される虹ムラが抑制され、かつ、偏光板が貼り合わされた液晶セルの高温下での変形(反り)が抑制される偏光板、並びに、該偏光板を含む粘着剤層付き偏光板及び該粘着剤層付き偏光板を含む光学積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】位相差値Re1及びその測定方法を説明する概略斜視図である。
【
図2】位相差値Re2及びその測定方法を説明する概略斜視図である。
【
図3】位相差値Re3及びその測定方法を説明する概略斜視図である。
【
図4】位相差値Re4及びその測定方法を説明する概略斜視図である。
【
図5】本発明の粘着剤層付き偏光板を模式的に示す概略断面図である。
【
図6】本発明の粘着剤層付き偏光板を模式的に示す概略断面図である。
【
図7】本発明の光学積層体を模式的に示す概略断面図である。
【
図8】本発明の光学積層体を模式的に示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<粘着剤層付き偏光板>
本発明は、偏光板と粘着剤層とを含む粘着剤層付き偏光板であり、前記偏光板は樹脂フィルム、接着剤層、偏光子、樹脂層をこの順に含み、粘着剤層は樹脂層側に積層されている。粘着剤層付き偏光板は、例えば液晶表示装置に適用することができる。液晶表示装置において、粘着剤層付き偏光板は、画像表示素子である液晶セルの視認側及び/又は背面側に配置される。
【0012】
<樹脂フィルム>
樹脂フィルムは、偏光子の保護フィルムとして機能する。樹脂フィルムは透明樹脂から形成されるフィルムであり、透明樹脂としてはセルロース系樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリスルホン樹脂などが挙げられ、セルロース系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂であることが好ましく、ポリエステル系樹脂又は(メタ)アクリル系樹脂であることがより好ましい。
樹脂フィルムは、偏光子の保護フィルムとしての機能を阻害しない範囲であれば、添加剤(例えば、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、有機系染料、顔料、無機系色素、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、滑剤、分散剤、熱安定剤など)を含んでいてもよい。偏光板の耐候性を高める点で、添加剤は、サリチル酸エステル化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、トリアジン化合物、シアノアクリレート化合物、ニッケル錯塩などの紫外線吸収剤が好ましい。
【0013】
本明細書において、「(メタ)アクリル系樹脂」とは、アクリル系樹脂又はメタクリル系樹脂のいずれでもよいことを意味し、(メタ)アクリル酸エステルや(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル等の「(メタ)」も同様の意味である。
【0014】
セルロース系樹脂としては、セルロースの酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、それらの混合エステルなどが挙げられる。なかでも、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートが好ましい。
【0015】
(メタ)アクリル系樹脂とは、(メタ)アクリル酸エステルを主体とする重合体であることが好ましい。(メタ)アクリル系樹脂は、1種類の(メタ)アクリルエステルの単独重合体であってもよいし、(メタ)アクリル酸エステルと他の(メタ)アクリル酸エステル等との共重合体であってもよい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1~8程度である。また、(メタ)アクリル酸エステルと共重合し得る重合性モノマーとしては、例えば、スチレン、アルキルスチレン等のスチレン系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル等の単官能モノマー、さらには、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸メタリル等の不飽和カルボン酸のアルケニルエステル;マレイン酸ジアリル等の二塩基酸のジアルケニルエステル;アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート等のグリコール類の不飽和カルボン酸ジエステル等の多官能モノマーが挙げられる。
また、(メタ)アクリル系樹脂フィルムは、(メタ)アクリル系樹脂を2種類以上含んでいてもよい。
【0016】
(メタ)アクリル系樹脂フィルムが2種類以上の(メタ)アクリル系樹脂を含む場合、少なくとも1つの(メタ)アクリル系樹脂の三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)が50%以上であることが好ましい。フィルムの靱性を高める観点及びフィルムの耐熱性及び偏光子への密着性を高める観点から、三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)は、好ましくは55%以上であり、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは65%以上であり、なおさらに好ましくは70%以上である。三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)は、通常90%以下であり、85%以下であってもよい。
【0017】
三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)は、連続する3つの構成単位の連鎖(3連子、triad)が有する2つの連鎖(2連子、diad)が、ともにラセモ(rrと表記する)である割合である。三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)(%)は、CDCL3中、30℃で1H-NMRスペクトルを測定し、そのスペクトルから内部標準TMSを0ppmとしたときの0.6~0.95ppmの領域の面積(X)と0.6~1.35ppmの領域の面積(Y)とを計測し、(X/Y)×100にて算出される。
【0018】
三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)が50%以上である(メタ)アクリル系樹脂は、例えば、国際公開第2016/080124号公報に記載された方法に従って調製することができる。
【0019】
三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)が50%以上である(メタ)アクリル系樹脂を含む場合、三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)が50%以上である(メタ)アクリル系樹脂の含有率は、(メタ)アクリル系樹脂全体に対して、フィルムの靱性及び偏光子への密着性の観点から、好ましくは1質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上40質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以上35質量%以下であり、なおさらに好ましくは15質量%以上30質量%以下である。
【0020】
(メタ)アクリル系樹脂として、環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂を用いることができる。環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂、また無水グルタル酸構造や、グルタルイミド構造などを有する(メタ)アクリル系樹脂等を挙げることができる。環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、高い耐熱性、高い透明性、二軸延伸することにより高い機械強度を有することから好ましい。
ラクトン環構造等の環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、特開2000-230016号公報、特開2001-151814号公報、特開2002-120326号公報、特開2002-254544号公報、特開2005-146084号公報に記載のものが挙げられる。
無水グルタル酸構造や、グルタルイミド構造などを有する(メタ)アクリル系樹脂としては、特開平6-256537号公報、特開平6-11615号公報、特開2009―203348公報記載のものが上げられる。
【0021】
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、好ましくは下記一般式<1>で表される環構造を有する。
【化1】
(式中、R
1、R
2およびR
3は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1~20の有機残基を示す。なお、有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。)
【0022】
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂の構造中の一般式<1>で表されるラクトン環構造の含有割合は、好ましくは5~90質量%、より好ましくは10~70質量%、さらに好ましくは10~60質量%、特に好ましくは10~50質量%である。ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂の構造中の一般式<1>で表されるラクトン環構造の含有割合が5質量%よりも少ないと、耐熱性、耐溶剤性、表面硬度が不十分になるおそれがある。ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂の構造中の一般式<1>で表されるラクトン環構造の含有割合が90質量%より多いと、成形加工性に乏しくなるおそれがある。なお、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂中におけるラクトン環構造の割合は、例えば、特開2006-171464号公報などに記載のように、ガスクロマトグラフィーおよびダイナミックTGの測定によって求めることができる。
【0023】
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、一般式<1>で表されるラクトン環構造以外の構造を有していてもよい。一般式<1>で表されるラクトン環構造以外の構造としては、特に限定されないが、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂の製造方法として、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有単量体、不飽和カルボン酸、および下記一般式<2>で表される単量体から選ばれる少なくとも1種を重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)が好ましい。
【化2】
(式中、R
4は水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子、炭素数1~20のアルキル基、アリール基、-OAc基、-CN基又は-CO-R
5基を表し、Ac基はアセチル基を表し、R
5は水素原子または炭素数1~20の有機残基を表す。)
【0024】
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂構造中の一般式<1>で表されるラクトン環構造以外の構造の含有割合は、(メタ)アクリル酸エステルを重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは10~95質量%、より好ましくは10~90質量%、さらに好ましくは40~90質量%、特に好ましくは50~90質量%であり、水酸基含有単量体を重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0~30質量%、より好ましくは0~20質量%、さらに好ましくは0~15質量%、特に好ましくは0~10質量%である。不飽和カルボン酸を重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0~30質量%、より好ましくは0~20質量%、さらに好ましくは0~15質量%、特に好ましくは0~10質量%である。一般式<2>で表される単量体を重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0~30質量%、より好ましくは0~20質量%、さらに好ましくは0~15質量%、特に好ましくは0~10質量%である。
【0025】
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、重量平均分子量が、好ましくは1000~2000000、より好ましくは5000~1000000、さらに好ましくは10000~500000、特に好ましくは50000~500000である。質量平均分子量が上記範囲から外れると、成型加工性の点から好ましくない。
【0026】
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂と混合する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)等のオレフィン系ポリマー;塩化ビニル、塩素化ビニル樹脂等の含ハロゲン系ポリマー;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系ポリマー;ポリスチレン、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンブロック共重合体等のスチレン系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリオキシベンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂やASA樹脂等のゴム質重合体;などが挙げられる。
【0027】
無水グルタル酸構造や、グルタルイミド構造などを有する(メタ)アクリル系樹脂は、好ましくは上記一般式<2>および下記一般式<3>で表される環構造を有する。
【化3】
(式中、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、水素または炭素数1~8のアルキル基であり、R
3は、水素、炭素数1~18のアルキル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、または炭素数5~15の芳香環を含む置換基である。)
【0028】
上記グルタルイミド構造の含有量は、グルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂の20質量%以上とすることが好ましく、20質量%~95質量%とすることがより好ましく、40質量%~90質量%とすることがさらに好ましく、50質量%~80質量%とすることが特に好ましい。
【0029】
グルタルイミド単位の含有量が上記範囲内であれば、得られるグルタルイミドを有する(メタ)アクリル系樹脂の耐熱性および透明性が低下したり、成形加工性、およびフィルムに加工したときの機械的強度が極端に低下したりすることがない。
【0030】
一方、グルタルイミド単位の含有量が上記範囲より少ないと、得られるグルタルイミド樹脂の耐熱性が不足したり、透明性が損なわれたりする傾向がある。また、上記範囲よりも多いと、不必要に耐熱性および溶融粘度が高くなり、成形加工性が悪くなったり、フィルム加工時の機械的強度が極端に低くなったり、透明性が損なわれたりする傾向がある。
【0031】
上記グルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量は特に限定されるものではないが、10000~500000であることが好ましい。上記範囲内であれば、成形加工性が低下したり、フィルム加工時の機械的強度が不足したりすることがない。一方、重量平均分子量が上記範囲よりも小さいと、フィルムにした場合の機械的強度が不足する傾向がある。また、上記範囲よりも大きいと、溶融押出時の粘度が高く、成形加工性が低下し、成形品の生産性が低下する傾向がある。
【0032】
また(メタ)アクリル系樹脂として、(メタ)アクリル酸エステルと熱可塑性樹脂であるイミド化合物の混合物又は共重合物が挙げられる。イミド化合物としては、マレイミド、並びにN-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-n-プロピルマレイミド、N-i-プロピルマレイミド、N-n-ブチルマレイミド、N-i-ブチルマレイミド、N-s-ブチルマレイミド、N-t-ブチルマレイミド、N-n-ペンチルマレイミド、N-n-ヘキシルマレイミド、N-n-ヘプチルマレイミド、N-n-オクチルマレイミド、N-ラウリルマレイミド、N-ステアリルマレイミド、N-シクロプロピルマレイミド、N-シクロブチルマレイミド、N-シクロペンチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-シクロヘプチルマレイミド、N-シクロオクチルマレイミド等のN-置換マレイミド他が挙げられる。これらのマレイミド化合物は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
(メタ)アクリル系樹脂は、フィルムの耐衝撃性や製膜性の点で、アクリルゴム粒子を含有することが好ましい。(メタ)アクリル系樹脂に含まれ得るアクリルゴム粒子の量は、(メタ)アクリル系樹脂とアクリルゴム粒子との合計量100質量%に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。アクリルゴム粒子の量の上限は臨界的ではないが、アクリルゴム粒子の量があまり多いと、フィルムの表面硬度が低下し、またフィルムに表面処理を施す場合、表面処理剤中の有機溶剤に対する耐溶剤性が低下する。したがって、(メタ)アクリル系樹脂に含まれ得るアクリルゴム粒子の量は、80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは60質量%以下である。
【0034】
アクリルゴム粒子は、アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を必須成分とする粒子であり、実質的にこの弾性重合体のみからなる単層構造のものであってもよいし、この弾性重合体を1つの層とする多層構造のものであってもよい。この弾性重合体として、具体的には、アクリル酸アルキル50~99.9質量%と、これと共重合可能な他のビニル系単量体を少なくとも1種類0~49.9質量%と、共重合性の架橋性単量体0.1~10質量%とからなる単量体の重合により得られる架橋弾性共重合体が、好ましく用いられる。
【0035】
アクリル酸アルキルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルへキシル等が挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1~8程度である。また、上記アクリル酸アルキルと共重合可能な他のビニル系単量体としては、分子内に重合性炭素-炭素二重結合を1個有する化合物を挙げることができ、より具体的には、メタクリル酸メチルのようなメタクリル酸エステル、スチレンのような芳香族ビニル化合物、アクリロニトリルのようなビニルシアン化合物等が挙げられる。また、上記共重合性の架橋性単量体としては、分子内に重合性炭素-炭素二重結合を少なくとも2個有する架橋性の化合物を挙げることができ、より具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートやブタンジオールジ(メタ)アクリレートのような多価アルコールの(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アリルや(メタ)アクリル酸メタリルのような(メタ)アクリル酸のアルケニルエステル、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0036】
(メタ)アクリル系樹脂には、上記アクリルゴム粒子以外に、通常の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、有機系染料、顔料、無機系色素、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤等を含有させてもよい。中でも紫外線吸収剤は、耐候性を高めるうえで好ましく用いられる。紫外線吸収剤の例としては、2,2’-メチレンビス〔4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール〕、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル〕-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-tert-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-tert-アミル-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールのようなベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-クロロベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノンのような2-ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤;p-tert-ブチルフェニルサリチル酸エステル、p-オクチルフェニルサリチル酸エステルのようなサリチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。(メタ)アクリル系樹脂に紫外線吸収剤が含まれる場合、その量は、(メタ)アクリル系樹脂と紫外線吸収剤との合計量100質量%に対して、通常0.1質量%以上、好ましくは0.3質量%以上であり、また好ましくは2質量%以下である。
【0037】
(メタ)アクリル系樹脂フィルムを得るための方法としては、フィードブロックを用いる方法、マルチマニホールドダイを用いる方法等、一般に知られる種々の方法を用いることができる。中でも、例えばフィードブロックを介して積層し、Tダイから多層溶融押出成形し、得られる積層フィルム状物の少なくとも片面をロール又はベルトに接触させて製膜する方法は、表面性状の良好なフィルムが得られる点で好ましい。とりわけ、(メタ)アクリル系樹脂フィルムの表面平滑性及び表面光沢性を向上させる観点からは、上記多層溶融押出成形して得られる積層フィルム状物の両面をロール表面又はベルト表面に接触させてフィルム化する方法が好ましい。この際に用いるロール又はベルトにおいて、(メタ)アクリル系樹脂と接するロール表面又はベルト表面は、(メタ)アクリル系樹脂フィルム表面への平滑性付与のために、その表面が鏡面となっているものが好ましい。得られたフィルムは、フィルム強度を向上させるために延伸することができる。
【0038】
(メタ)アクリル系樹脂から形成されるフィルムは、未延伸の状態では位相差は生じ難いが、延伸すると位相差が生じるため、(メタ)アクリル系樹脂に位相差低減剤として機能するものを配合して、延伸したとしても位相差が生じないようにすることができる。位相差低減剤としてスチレン-アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。位相差値は、延伸倍率、位相差低減剤の配合量により制御することができる。
【0039】
(メタ)アクリル系樹脂フィルムの厚みは、通常1μm以上80μm以下であり、3μm以上65μm以下であることが好ましく、5μm以上55μm以下であることがより好ましく、7μm以上45μm以下であることがさらに好ましく、20μm以上45μm以下であることが特に好ましい。
【0040】
(メタ)アクリル系樹脂フィルムのガラス転移温度は、100℃以上であり、110℃以上であることが好ましく、115℃以上であることがより好ましく、120℃以上であることがさらに好ましい。また、ガラス転移温度は通常170℃以下である。(メタ)アクリル系樹脂フィルムのガラス転移温度が110℃以上の場合、高温環境下での(メタ)アクリル系樹脂フィルム中の(メタ)アクリル系樹脂の分子配向の変化等が抑制されて位相差値Re及び、厚み方向の位相差値Rthの変化が抑制され、高温環境下での光抜けがより効果的に抑制される傾向にある。(メタ)アクリル系樹脂フィルムの位相差値Re及び厚み方向の位相差値Rthは、波長587nmにおける位相差値である。
【0041】
(メタ)アクリル系樹脂フィルムの厚み方向の位相差値Rthの絶対値が15nm以下であれば、(メタ)アクリル系樹脂フィルムは、IPS液晶表示装置における光学補償フィルムと偏光子保護フィルムとを兼ねていてもよい。
(メタ)アクリル系樹脂フィルムの厚み方向の位相差値Rthの絶対値は、11nm以下であることが好ましく、8nm以下であることがより好ましく、5nm以下であることがさらに好ましい。
【0042】
ポリエステル系樹脂は特に限定されず、二塩基酸と二価アルコールとの縮合重合によって得られる重合体であり、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどが挙げられる。また、他の共重合体成分を含んでいてもよい。ポリエステル系樹脂は、ポリエステル系樹脂フィルムの位相差の制御の観点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂であることが好ましい。
ポリエステル系樹脂フィルムは、一般的なポリエステルフィルムの製造方法に従って製造することができ、例えば、特開2021-103319号公報、特開2021-99521号公報等に記載の方法で得ることができる。
【0043】
ポリエステル系樹脂フィルムは、下記式(1)で定義される位相差Reが好ましくは以下の[i]~[iv」を満たす。
Re=(nx-ny)×d (1)
[式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を表し、nyはフィルム面内の進相軸方向(フィルム面内の遅相軸方向と直交する方向)の屈折率を表し、dはフィルムの厚みを表す。]
[i]ポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が90°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第1配置において測定される位相差値Re1が6000nm以上である。
[ii]前記第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルムを、その進相軸を中心軸として30°回転させることによりポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が60°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第2配置において測定される位相差値Re2が5000nm以上である。
[iii]前記第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルムを、ポリエステル系樹脂フィルム面内においてその進相軸に対して45°の角度をなす軸を中心軸として30°回転させることによりポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が60°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第3配置において測定される位相差値Re3が6000nm以上である。
[iv]前記第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルムを、その遅相軸を中心軸として30°回転させることによりポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が60°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第4配置において測定される位相差値Re4が7000nm以上である。
【0044】
フィルム面内の遅相軸方向とは、面内で屈折率が最大になる方向である。また、本明細書において、位相差値Reは、波長587nmにおける位相差値である。
【0045】
図1は、位相差値Re1及びその測定方法を説明する概略斜視図である。位相差値Re1は、ポリエステル系樹脂フィルム100の面と測定方向210とのなす角度が90°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第1配置において測定される位相差値である。測定方向とは、位相差測定装置の光源201から、ポリエステル系樹脂フィルムを透過する光を検出・観測する観測器202に向かう方向であり、いわゆる位相差測定装置の光路である。
【0046】
図2は、位相差値Re2及びその測定方法を説明する概略斜視図である。位相差値Re2は、第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルム100を、その進相軸400を中心軸300として30°回転させることにより傾けたポリエステル系樹脂フィルム、すなわち、第2配置にあるポリエステル系樹脂フィルム110について測定される位相差値である。第2配置にあるポリエステル系樹脂フィルム110の面と測定方向210とのなす角度は60°である。
【0047】
図3は、位相差値Re3及びその測定方法を説明する概略斜視図である。位相差値Re3は、第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルム100を、ポリエステル系樹脂フィルム面内においてその進相軸400に対して45°の角度をなす軸を中心軸310として30°回転させることにより傾けたポリエステル系樹脂フィルム、すなわち、第3配置にあるポリエステル系樹脂フィルム120について測定される位相差値である。第3配置にあるポリエステル系樹脂フィルム120の面と測定方向210とのなす角度は60°である。
【0048】
図4は、位相差値Re4及びその測定方法を説明する概略斜視図である。位相差値Re4は、第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルム100を、その遅相軸500を中心軸320として30°回転させることにより傾けたポリエステル系樹脂フィルム、すなわち、第4配置にあるポリエステル系樹脂フィルム130について測定される位相差値である。第4配置にあるポリエステル系樹脂フィルム130の面と測定方向210とのなす角度は60°である。
【0049】
虹ムラ抑制及び光学フィルムとしての取り扱い性の観点から、ポリエステル系樹脂フィルムの位相差値Re1は、6000nm以上であることが好ましく、7000nm以上であることが好ましく、7500nm以上であることがより好ましく、8000nm以上であることがさらに好ましい。また、ポリエステル系樹脂フィルムの位相差値Re1は、通常30000nm以下であり、20000nm以下であることが好ましく、15000nm以下であることがより好ましく、10000nm以下であることがさらに好ましく、9000nm以下であることがよりさらに好ましい。
【0050】
位相差値Re1の上限が30000nmを超える場合、該位相差値を充足するためにはポリエステルフィルムでは厚みが相当大きくなり、光学フィルムとしての取り扱い性が大きく低下する傾向にある。ポリエステル系樹脂フィルムの位相差値Re1が6000nm以上であることで、斜め方向から見たときの虹ムラ(虹状の色斑)がより低減されやすくなる。
【0051】
また、ポリエステル系樹脂フィルムの位相差値Re2が5000nm以上であることが好ましい。位相差値Re2は、5500nm以上であることがより好ましく、6000nm以上であることがさらに好ましく、6500nm以上であることがよりさらに好ましく、7000nm以上であることが特に好ましい。また、位相差値Re2は、通常30000nm以下であり、20000nm以下であることが好ましく、15000nm以下であることがより好ましく、10000nm以下であることがさらに好ましく、9000nm以下であることが特に好ましい。ポリエステル系樹脂フィルムの位相差値Re2が5000nm以上であることで、斜め方向から見たときの虹ムラが低減されやすくなる。
【0052】
ポリエステル系樹脂フィルムの位相差値Re3は、6000nm以上であることが好ましい。位相差値Re3は、7000nm以上であることがより好ましく、7500nm以上であることがさらに好ましく、8000nm以上であることが特に好ましい。また、位相差値Re3は、通常30000nm以下であり、20000nm以下であることが好ましく、15000nm以下であることがより好ましく、10000nm以下であることがさらに好ましく、9000nm以下であることが特に好ましい。ポリエステル系樹脂フィルムの位相差値Re3が6000nm以上であることで、斜め方向から見たときの虹ムラが低減されやすくなる。
【0053】
ポリエステル系樹脂フィルムの位相差値Re4は、7000nm以上であることが好ましい。位相差値Re4は、8000nm以上であることがより好ましく、8500nm以上であることがさらに好ましく、9000nm以上であることが特に好ましい。また、位相差値Re4は、通常30000nm以下であり、20000nm以下であることが好ましく、15000nm以下であることがより好ましく、10000nm以下であることがさらに好ましい。ポリエステル系樹脂フィルムの位相差値Re4が7000nm以上であることで、斜め方向から見たときの虹ムラが低減されやすくなる。
【0054】
Re1~Re4は、位相差測定装置(王子計測機器(株)製、KOBRA-HB-RESPC)を用いて測定することができる。
【0055】
Re1~Re4がそれぞれ上記範囲内であるポリエステル系樹脂フィルムを用いることで偏光板の斜め方向より視認される虹ムラを抑制することができる。
【0056】
Re1~Re4の位相差値は、延伸倍率や延伸温度、フィルム厚みを適宜設定することが特定範囲に制御することができる。例えば、延伸倍率を高くする、延伸温度を低くする、フィルムの厚みを厚くするなどにより高い位相差値を得やすい。Re1~Re4の位相差値は、加工に必要な物性等を勘案し、上記条件から製膜条件および厚みを選択することで、設定することができる。
【0057】
ポリエステル系樹脂フィルムの位相差値Re1と厚み方向の位相差値Rthとの比Re1/Rthは、通常0.4以上であり、好ましくは0.5以上であり、より好ましくは0.6以上であり、さらに好ましくは0.7以上であり、特に好ましくは0.9以上である。比(Re1/Rth)が大きいと観察角度による虹ムラが生じ難くなる傾向にある。完全な1軸性(1軸対称)フィルムでは比Re1/Rthは2.0となることから、比Re1/Rthは2.0以下であることが好ましく、比Re1/Rthは1.5以下であることがより好ましい。
【0058】
厚み方向の位相差値Rthは以下の式(2)で表される。厚み方向の位相差値Rthは、波長587nmにおける厚み方向の位相差値である。
Rth=〔(nx+ny)/2-nz〕×d (2)
[式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率を表し、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率を表し、nzはフィルム厚み方向(フィルム面に垂直な方向)の屈折率を表し、dはフィルムの厚みを表す。]
【0059】
ポリエステル系樹脂フィルムの進相軸又は遅相軸と偏光子の透過軸とがなす角は、例えば-20°~+20°、好ましくは-15°~+15°、より好ましくは-10°~+10°、さらに好ましく-5°~+5°、よりさらに好ましくは-3°~+3°、ことさらに好ましくは-2°~+2°、特に好ましくは-1°~+1°である。好ましい一実施形態において、ポリエステル系樹脂フィルムの進相軸又は遅相軸と偏光子の透過軸とは実質的に平行である。ここで実質的に平行であるとは、偏光子とポリエステル系樹脂フィルムとを貼り合わせる際に不可避的に生じるずれを許容する程度に偏光子の透過軸とポリエステル系樹脂フィルムの進相軸、又は遅相軸とが平行であることを意味する。
ポリエステル系樹脂フィルムの進相軸又は遅相軸と偏光子の透過軸とがなす角が小さいほど、直線偏光がポリエステル系樹脂フィルムを透過することにより生じる偏光状態の変化を小さくできるため、虹ムラの発生を抑制できる傾向にある。
【0060】
また、偏光子に含まれるヨウ素等の光学機能色素の劣化を抑制するために、樹脂フィルムは波長380nmの光線透過率が40%以下であることが好ましい。380nmの光線透過率は35%以下であることがより好ましく、30%以下であることがさらに好ましく、20%以下であることが特に好ましい。前記光線透過率が40%以下であれば、光学機能性色素の紫外線による変質を抑制することができる。
【0061】
樹脂フィルムには、その偏光フィルムと接する面の反対側に、必要に応じて、一層以上の表面処理層を設けてもよい。表面処理層としては、例えばハードコート層、防眩層、反射防止層、低反射防止層及び帯電防止層が挙げられる。
ポリエステル系樹脂フィルムにおいては、虹ムラ抑制の観点からは、ポリエステル系樹脂フィルムの表面に反射防止層及び低反射防止層からなる群より選ばれる少なくとも一種を設けることが好ましい。
【0062】
反射防止層の表面反射率は、5.7%以下であることが好ましい。反射防止層の表面反射率が5.7%を超えると、虹ムラが視認されやすくなる傾向にある。反射防止層の表面反射率は、5.3%以下であることがより好ましく、5.0%以下であることがさらに好ましく、4.5%以下であることが特に好ましい。反射防止層の表面反射率の下限は、特に制限されないが、例えば2.0%以上である。表面反射率は、任意の方法で測定できる。例えば樹脂フィルムの反射防止層側とは反対面で粘着剤を介して黒アクリル板に貼合されたポリエステル系樹脂フィルムについて、分光測色計(コニカミノルタジャパン株式会社製、CM-2600d)を用い、波長550nmにおける光線反射率を反射防止層側の表面から測定することができる。
【0063】
反射防止層は単層であってもよく多層であってもよい。反射防止層として、表面に微細な凹凸形状を有し、外光の映り込みを防止する防眩性のハードコート層などが挙げられる。防眩性ハードコート層は、ハードコート層の内部にフィラーを分散させて表面凹凸形状を形成するもの、またハードコート層にエンボス法等で表面凹凸形状を形成するものなどがある。例えば紫外線硬化性樹脂を用いて防眩性ハードコート層を形成する場合、紫外線硬化性樹脂にフィラーを分散してなる樹脂組成物を樹脂フィルムに塗布し、紫外線を照射してもよいし、紫外線硬化性樹脂を樹脂フィルムに塗布し、その塗膜を金型の凹凸面に密着させた状態で、紫外線を照射してもよい。
【0064】
防眩性ハードコート層を形成するための材料としては、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等を用いることができるが、生産性、硬度等の観点から紫外線硬化性樹脂が好ましく使用される。
【0065】
低反射防止層の表面反射率は、4.0%以下であることが好ましい。低反射防止層の表面反射率は、3.0%以下であることがより好ましく、2.0%以下であることがさらに好ましく、1.5%以下であることがよりさらに好ましく、1.0%以下であることが特に好ましい。低反射防止層の表面反射率の下限は、特に制限されないが、例えば0.01%であればよい。
【0066】
低反射防止層は単層であってもよく多層であってもよい。低反射防止層が単層の場合、樹脂フィルムより低屈折率の材料からなる低屈折率層の厚さを光波長の1/4波長あるいはその奇数倍になるよう形成すれば、反射防止効果が得られる。また、反射防止層が多層の場合には、低屈折率層と高屈折率層を交互に2層以上にし、かつ各層の厚さを適宜制御して積層すれば、反射防止効果が得られる。また、必要に応じて低反射防止層と樹脂フィルムの間にハードコート層を積層することもできる。
【0067】
低反射防止層は、公知のものを使用することができる。低反射防止層としては、樹脂フィルム若しくは樹脂フィルム上に積層するハードコート層等よりも低屈折率である有機薄膜を一層コーティングしたものであることが好ましい。
【0068】
反射防止層及び低反射防止層からなる群から選ばれる少なくとも一種の厚みは、通常0.01~20μm、好ましくは0.03~1μmであり、より好ましくは0.05~0.15μmである。
【0069】
樹脂フィルムの表面反射率は、5.7%以下であることが好ましく、5.3%以下であることがより好ましく、4.0%以下であることがさらに好ましく、3.0%以下であることがよりさらに好ましく、2.0%以下であることが特に好ましく、1.5%以下であることが最も好ましい。また、樹脂フィルムの表面反射率の下限は、樹脂フィルムの樹脂の種類にも影響されるが、樹脂フィルムがポリエステル系樹脂フィルムである場合は、0.01%以上である。
樹脂フィルムの表面反射率が5.7%以下であると偏光板の虹ムラがより効果的に抑制される傾向にあり、なかでも、樹脂フィルムがポリエステル系樹脂フィルムであることが好ましい。
なお、上記のように反射防止層及び低反射層からなる群より選ばれる少なくとも一種が積層されている場合、反射防止層及び低反射層からなる群より選ばれる少なくとも一種が積層された全体で表面反射率が5.7%以下であればよい。表面反射率を低くすることで、基材フィルムと空気との界面反射率を下げることができ、虹ムラが抑制されていると推定される。
【0070】
反射防止層及び低反射防止層からなる群より選ばれる少なくとも一種を樹脂フィルムの片面のみに設ける場合、反射防止層及び低反射防止層からなる群より選ばれる少なくとも一種は、樹脂フィルムの偏光子とは反対面に設けることが好ましい。
【0071】
偏光子との接着性を改良するために樹脂フィルムの偏光子側の表面には易接着層を有していてもよい。反射光による干渉を抑える観点から、易接着層の屈折率を、反射防止層又は低反射防止層の屈折率と樹脂フィルムの屈折率の相乗平均近傍になるように調整することが好ましい。易接着層の屈折率の調整は、公知の方法を採用することができ、例えば、バインダー樹脂に、チタンやゲルマニウム、その他の金属種を含有させることで容易に調整することができる。
【0072】
易接着層を構成する塗布液としては水溶性又は水分散性の共重合ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂の内、少なくとも1種を含む水性塗布液が好ましい。これらの塗布液としては、例えば、特許第3567927号公報、特許第3589232号公報、特許第3589233号公報、特許第3900191号公報、及び特許第4150982号公報等に開示された水溶性又は水分散性共重合ポリエステル樹脂溶液、アクリル樹脂溶液、又はポリウレタン樹脂溶液等が挙げられる。
【0073】
易接着層としてポリエステル系樹脂を用いる場合、ポリビニルアルコール系樹脂との相溶性の点から水溶性もしくは水分散性樹脂を使用することが好ましい。ポリエステル系樹脂の水溶性化あるいは水分散化のためには、スルホン酸塩基、カルボン酸塩基などの親水性基を含む化合物を共重合させることが好ましい。なかでも、ポリエステル系樹脂の酸価を低く保持して架橋剤との反応性を制御しながら親水性を付与するという観点からでスルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分が好適である。スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分としては、例えば、スルホテレフタル酸、5-スルホイソフタル酸、4-スルホナフタレンイソフタル酸-2,7-ジカルボン酸および5-(4-スルホフェノキシ)イソフタル酸またはそのアルカリ金属塩を挙げることができ、中でも5-スルホイソフタル酸が好ましい。スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分はポリエステル樹脂のジカルボン酸成分中1~15モル%が好ましく、1.5~12モル%がより好ましく、2~10モル%がさらに好ましい。スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分が上記下限以上の場合はポリエステル系樹脂の水溶性化あるいは水分散化に好適である。また、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分が上記上限以下の場合はポリエステルフィルム基材との接着性に好適である。
【0074】
易接着層は、前記塗布液をポリエステル系樹脂フィルムの片面又は両面に塗布した後、100~150℃で乾燥し、さらに横方向に延伸して得ることができる。最終的な易接着層の塗布量は、0.05~0.20g/m2であることが好ましい。塗布量が0.05g/m2未満であると、偏光子との接着性が不十分となる場合がある。一方、塗布量が0.20g/m2を超えると、耐ブロッキング性が低下する場合がある。ポリエステル系樹脂フィルムの両面に易接着層を設ける場合は、両面の易接着層の塗布量は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立して上記範囲内で設定することができる。
【0075】
易接着層には易滑性を付与するために粒子を添加することが好ましい。粒子の平均粒径は2μm以下であることが好ましい。粒子の平均粒径が2μmを超えると、粒子が易接着層から脱落しやすくなる。易接着層に含有させる粒子としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、シリカ、アルミナ、タルク、カオリン、クレー、リン酸カルシウム、雲母、ヘクトライト、ジルコニア、酸化タングステン、フッ化リチウム、及びフッ化カルシウム等の無機粒子や、スチレン系、アクリル系、メラミン系、ベンゾグアナミン系、及びシリコーン系等の有機ポリマー系粒子等が挙げられる。これらは、単独で易接着層に添加されてもよく、2種以上を組合せて添加することもできる。
【0076】
塗布液を塗布する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーコート法、パイプドクター法等が挙げられ、これらの方法を単独であるいは組み合わせて行うことができる。
【0077】
樹脂フィルムの厚みは特に制限されないが、通常15μm~200μmであり、20μm~100μmであることが好ましく、25μm~95μmであることがより好ましく、60μm~90μmであることがさらに好ましく、75μm~85μmであることが特に好ましい。
樹脂フィルムの厚みが15μm未満であると、フィルムの力学特性の異方性が顕著となり、裂け、破れ等を生じやすくなり、実用性が低下する傾向にある。一方で、樹脂フィルムの厚みが200μmを超えると、偏光板としての厚みが厚くなりすぎる。
なお、上述のように表面処理層が設けられている場合は、それを含めた合計の厚みが上記の範囲であればよい。
【0078】
<接着剤層>
接着剤層は、接着剤組成物から形成される層である。接着剤組成物は公知の接着剤組成物であれば特に限定されず、水系接着剤組成物であってもよいし、加熱又は紫外線、可視光、電子線、X線等の活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性接着剤組成物であってもよい。
【0079】
水系接着剤組成物としては、例えば、主成分としてポリビニルアルコール系樹脂又はウレタン樹脂を水に溶解したもの、主成分としてポリビニルアルコール系樹脂又はウレタン樹脂を水に分散させたものが挙げられる。水系接着剤組成物は、さらに、多価アルデヒド、メラミン系化合物、ジルコニア化合物、亜鉛化合物、グリオキサール化合物、水溶性エポキシ樹脂等の硬化性成分や架橋剤を含有していてもよい。水系接着剤組成物としては、例えば、特開2010-191389号公報に記載の接着剤組成物、特開2011-107686号公報に記載の接着剤組成物、特開2020-172088号公報に記載の組成物、特開2005-208456号公報に記載の組成物等が挙げられる。
【0080】
硬化性接着剤組成物は、主成分として硬化性(重合性)化合物を含み、活性エネルギー線照射により硬化する活性エネルギー線硬化型接着剤組成物であることが好ましい。活性エネルギー線硬化型接着剤組成物としては、硬化性化合物としてカチオン重合性化合物を含むカチオン重合型接着剤組成物、硬化性化合物としてラジカル重合性化合物を含むラジカル重合型接着剤組成物、硬化性化合物としてカチオン重合性化合物とラジカル重合性化合物との両方を含むハイブリッド型接着剤組成物等が挙げられる。
【0081】
カチオン重合性化合物は、紫外線、可視光、電子線、X線等の活性エネルギー線の照射や加熱によりカチオン重合反応が進行して硬化する化合物又はオリゴマーであり、具体的にはエポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニル化合物等が挙げられる。
エポキシ化合物としては、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環式エポキシ化合物(脂環式環に結合したエポキシ基を分子内に1個以上有する化合物);ビスフェノールAのジグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ化合物(分子内に芳香族環とエポキシ基とを有する化合物);2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物(脂肪族炭素原子に結合するオキシラン環を分子内に少なくとも1個有する化合物)等が挙げられる。
オキセタン化合物としては、3-エチル-3-{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン等の分子内に1個以上のオキセタン環を有する化合物が挙げられる。
【0082】
カチオン重合型接着剤組成物は、カチオン重合開始剤を含むことが好ましい。カチオン重合開始剤は熱カチオン重合開始剤であってもよいし、光カチオン重合開始剤であってもよい。カチオン重合開始剤としては、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート等の芳香族ジアゾニウム塩;ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等の芳香族ヨードニウム塩;トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等の芳香族スルホニウム塩;キシレン-シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロアンチモネート等の鉄-アレーン錯体等が挙げられる。カチオン重合開始剤の含有量は、カチオン重合性化合物100質量部に対して通常0.1~10質量部である。カチオン重合開始剤は2種以上含んでいてもよい。
【0083】
カチオン重合型接着剤組成物としては、例えば、特開2016-126345号公報、特開2021-113969号公報に記載のカチオン重合性組成物等が挙げられる。
【0084】
ラジカル重合性化合物は、紫外線、可視光、電子線、X線等の活性エネルギー線の照射や加熱によりラジカル重合反応が進行して硬化する化合物又はオリゴマーであり、具体的にはエチレン性不飽和結合を有する化合物が挙げられる。エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、分子内に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系化合物、分子内に1個以上のビニル基を有するビニル化合物等が挙げられる。
【0085】
(メタ)アクリル系化合物としては、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリルアミドモノマー、及び、官能基含有化合物を2種以上反応させて得られ、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルオリゴマー等の(メタ)アクリロイル基含有化合物を挙げることができる。
【0086】
ラジカル重合型接着剤組成物は、ラジカル重合開始剤を含むことが好ましい。ラジカル重合開始剤は熱ラジカル重合開始剤であってもよいし、光ラジカル重合開始剤であってもよい。ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン、3-メチルアセトフェノン等のアセトフェノン系開始剤;ベンゾフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系開始剤;ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインエーテル系開始剤;4-イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系開始剤;キサントン、フルオレノン等が挙げられる。ラジカル重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性化合物100質量部に対して通常0.1~10質量部である。ラジカル重合開始剤は2種以上含んでいてもよい。
【0087】
ラジカル重合型接着剤組成物としては、例えば、特開2016-126345号公報、特開2016-153474号公報、国際公開第2017/183335号に記載のラジカル重合性組成物等が挙げられる。
【0088】
活性エネルギー線硬化型接着剤組成物は、必要に応じて、イオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤、帯電防止剤、レベリング剤、溶媒等の添加剤を含有することができる。
【0089】
接着剤層が水系接着剤から形成される場合、接着剤層の厚みは、例えば5μm以下であってよく、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましく、0.01μm以上であってよく、0.05μm以上であることが好ましい。
接着剤層が硬化性接着剤組成物(好ましくは活性エネルギー線硬化型接着剤組成物)から形成される場合、接着剤層の厚みは、例えば、10μm以下であってよく、5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上であってもよく、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。
【0090】
接着剤層は、樹脂フィルムの貼合面及び偏光子の貼合面から選ばれる少なくとも一方の貼合面に接着剤組成物を塗工し、接着剤組成物の塗工層を介して両者を重ね、貼合ロール等を用いて上下から押圧して貼合後、接着剤層を乾燥させる、活性エネルギー線を照射して硬化させる、又は加熱して硬化させることにより行うことができる。
接着剤組成物の塗工層の形成には、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーター、ワイヤーバーコーター、ドクターブレードコーター等の種々の塗工方式を使用することができる。
また、偏光子と樹脂フィルムとの両方の貼合面が内側となるように連続的に供給しながら、その間に接着剤組成物を流涎させる方式であってもよい。
【0091】
接着剤層の塗工層を形成する前に、偏光子の貼合面及び樹脂フィルムの貼合面から選ばれる少なくとも一方の貼合面に、ケン化処理、コロナ処理、プラズマ処理、プライマー処理、アンカーコーティング処理等の易接着処理を施してもよい。
【0092】
活性エネルギー線を照射する場合の光照射強度は、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物の組成ごとに決定されるものであって特に限定されないが、10mW/cm2以上1,000mW/cm2以下であることが好ましい。なお、照射強度は、好ましくは光カチオン重合開始剤又は光ラジカル重合開始剤の活性化に有効な波長領域における強度である。このような光照射強度で1回あるいは複数回照射して、その積算光量を、10mJ/cm2以上とすることが好ましく、100mJ/cm2以上1,000mJ/cm2以下とすることがより好ましい。
【0093】
活性エネルギー線硬化型接着剤組成物の重合硬化を行うために使用する光源は、特に限定されないが、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、ハロゲンランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプが挙げられる。
【0094】
<偏光子>
偏光子は、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過する機能を有するフィルムである。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素としてのヨウ素を吸着・配向させたヨウ素系偏光子、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素としての二色性染料を吸着・配向させた染料系偏光子、及びリオトロビック液晶状態の二色性染料をコーティングし、配向・固定化した塗布型偏光子等が挙げられる。これらの偏光子は、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過し、もう一方向の直線偏光を吸収するため吸収型偏光子と呼ばれている。
【0095】
偏光子は、吸収型偏光子に限定されず、自然光からある一方向の直線偏光を選択的に透過し、もう一方向の直線偏光を反射する反射型偏光子、又はもう一方向の直線偏光を散乱する散乱型偏光子でも構わないが、偏光板を液晶表示装置等に適用したときの視認性に優れる点から吸収型偏光子が好ましい。
中でも、偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂で構成されるポリビニルアルコール系偏光子であることがより好ましく、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素や二色性染料等の二色性色素を吸着・配向させたポリビニルアルコール系偏光子であることがさらに好ましく、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素を吸着・配向させたポリビニルアルコール系偏光子であることが特に好ましい。
【0096】
ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得ることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルと共重合可能な単量体と酢酸ビニルとの共重合体などが挙げられる。酢酸ビニルと共重合可能な単量体としては、不飽和カルボン酸、オレフィン、ビニルエーテル、不飽和スルホン酸、アンモニウム基を有するアクリルアミドなどが挙げられる。
【0097】
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85モル%~100モル%、好ましくは98モル%以上である。ポリビニルアルコール系樹脂は、変性されていてもよく、例えば、アルデヒドで変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなどであってもよい。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000~10,000、好ましくは1,500~5,000である。
【0098】
ポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルムの原反フィルムとして、通常用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂は、公知の方法で製膜することができる。前記原反フィルムの膜厚は、通常1~150μmであり、延伸のしやすさなども考慮すれば、その膜厚は、好ましくは10μm以上である。
【0099】
偏光フィルムは、例えば、原反フィルムに対して、一軸延伸する工程、二色性色素でフィルムを染色してその二色性色素を吸着させる工程、ホウ酸水溶液でフィルムを処理する工程、及び、フィルムを水洗する工程が施され、最後に乾燥されて製造される。偏光フィルムの膜厚は、30μm以下とすることができ、好ましくは25μm以下(例えば20μm以下、さらには15μm以下、なおさらには10μm以下、なおさらには8μm以下)である。偏光子30の厚みは、通常2μm以上である。偏光子の厚みを小さくすることは、偏光板、ひいてはこれが適用される液晶パネル及び液晶表示装置等の薄型化に有利である。
【0100】
<樹脂層>
樹脂層は、樹脂製フィルムであってもよいし、硬化性組成物の硬化物層であってもよい。
樹脂層が樹脂製フィルムである場合は透明樹脂から形成される樹脂製フィルムが挙げられる。具体的には、上述の樹脂フィルムと同じものが挙げられ、好ましくはセルロース系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルムであることが好ましく、アクリル系樹脂フィルムであることがより好ましい。アクリル系樹脂フィルムとしては、例えば上述の樹脂フィルムにおいて説明した種類のアクリル系樹脂フィルム等が挙げられる。
【0101】
樹脂層が硬化性組成物の硬化物層である場合は、加熱又は紫外線、可視光、電子線、X線等の活性エネルギー線の照射により硬化する硬化性組成物から形成される。硬化性組成物は、主成分として硬化性(重合性)化合物を含み、活性エネルギー線照射により硬化する活性エネルギー線硬化性組成物であることが好ましい。活性エネルギー線硬化性組成物としては、硬化性化合物としてカチオン重合性化合物を含むカチオン重合型組成物、硬化性化合物としてラジカル重合性化合物を含むラジカル重合型組成物、硬化性化合物としてカチオン重合性化合物とラジカル重合性化合物との両方を含むハイブリッド型組成物等が挙げられる。具体的には、上述したカチオン重合型接着剤組成物、ラジカル重合型接着剤組成物と同じものが挙げられる。
【0102】
樹脂層が樹脂製フィルムである場合、樹脂層の厚みは、通常1μm以上80μm以下であり、3μm以上60μm以下であることが好ましく、5μm以上55μm以下であることがより好ましく、7μm以上45μm以下であることがさらに好ましく、20μm以上45μm以下が特に好ましい。
樹脂層が硬化性組成物の硬化物層である場合、樹脂層の厚みは、通常0.5μm以上15μm以下であり、1μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上7μm以下であることがより好ましく、1μm以上5μm以下であることが特に好ましい。
【0103】
本発明における樹脂層は、樹脂層の厚み方向の位相差値(Rth)の絶対値が100nm以下である。樹脂層の厚み方向の位相差の絶対値は好ましくは80nm以下であり、より好ましくは50nm以下であり、さらに好ましくは30nm以下であり、特に好ましくは15nm以下あり、特に更に好ましくは10nm以下である。また樹脂層の厚み方向の位相差の絶対値は0以上であればよい。樹脂層の厚み方向の位相差の絶対値が100nm以下であると、IPS(In-Plane Switching)型の駆動方式を有する液晶表示装置での偏光板の光抜けを抑制しやすい傾向にある。
【0104】
樹脂層は単層であってもよいし、2層以上の多層構造であってもよい。樹脂層が2層以上の多層構造である場合は、樹脂層全体で厚み方向の位相差の絶対値が100nm以下であればよい。
【0105】
樹脂層が樹脂製フィルムである場合は、偏光子と樹脂層とが接着剤層Aを介して積層される。接着剤層Aは上述の接着剤層と同じものが挙げられる。接着剤層Aの膜厚は、例えば、15μm以下であってよく、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上であってもよく、0.3μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。
上述の接着剤層と接着剤層Aとはそれぞれ同じ種類の接着剤組成物から形成されることが好ましい。上述の接着剤層と接着剤層Aとはそれぞれカチオン重合型接着剤組成物から形成されることが好ましい。上述の接着剤層と接着剤層Aとは同じ厚みであってもよいし、異なる厚みであってもよいが、同じ厚みであることが好ましい。なお、「同じ厚み」とは、0.3μm程度の誤差も含む。
なお、接着剤層Aは樹脂層には含まれない。
【0106】
本発明において、樹脂フィルムの厚みH1と、樹脂層の厚みH2とは、以下の式(i):
H1/H2>1.0 (i)
の関係を満たす。樹脂フィルムの厚みH1と樹脂層の厚みH2とが上記の関係を満たすことで高温環境下における反りが抑制される傾向にある。
樹脂フィルムの厚みをH1と樹脂層の厚みをH2の比率(H1/H2)は、1.2以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましく、2.0以上であることがさらに好ましく、通常200以下であり、100以下であることが好ましく、80以下であることがより好ましく、50以下であることがさらに好ましく、10以下であることがよりさらに好ましく、特に好ましくは6以下である。
【0107】
<粘着剤層>
粘着剤層は、前記偏光板の樹脂層に積層される。粘着剤層付き偏光板は、その粘着剤層を介して、液晶セルに貼合することができる。すなわち、視認性の観点から、液晶パネル及び液晶表示装置において、本発明の偏光板は、その樹脂フィルム側が液晶セル側となるように配置されることが好ましい。
【0108】
粘着剤層を形成する粘着剤組成物としては、(メタ)アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテル系樹脂等をベースポリマーとして含む粘着剤組成物等が挙げられる。なかでも、透明性、粘着力、信頼性、耐熱性、リワーク性等の観点から、(メタ)アクリル系樹脂を含む(メタ)アクリル系粘着剤組成物が好ましい。
【0109】
粘着剤層の厚みは、接着力等に応じて決定されるが、例えば1μm以上50μm以下であり、2μm以上40μm以下であることが好ましく、3μm以上30μm以下であることがより好ましい。
【0110】
本発明の粘着剤層付き偏光板は、偏光板の樹脂層側に粘着剤層を形成することにより調製することができる。
偏光板上に粘着剤層を形成する方法としては、例えば、粘着剤組成物を適当な基材上に塗布し、乾燥させて、粘着剤シートを形成し、形成された粘着剤シートの粘着剤層面に、偏光板を積層した後、基材を剥離する方法、偏光板上に、粘着剤組成物を塗布する方法などが挙げられる。
【0111】
基材としては、プラスチックフィルムが好適であり、具体的には、離型処理が施された剥離フィルムが挙げられる。剥離フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート等の樹脂からなるフィルムの一方の面に、シリコーン処理等の離型処理が施されたものが挙げられる。粘着剤シートの粘着剤層面の一時的な保護のため、粘着剤層面に剥離フィルムを貼着してもよい。
【0112】
本発明の粘着剤層付き偏光板の層構成の例を
図5に示す。
図5に示される粘着剤層付き偏光板1は、樹脂フィルム10、接着剤層15、偏光子30、樹脂層25及び粘着剤層20をこの順に含む。粘着剤層付き偏光板1において、樹脂層25は硬化性組成物の硬化物層であることができる。
図5に示されるように本発明の粘着剤層付き偏光板において、樹脂フィルム10と接着剤層15とは直接接していることが好ましい。また、粘着剤層20と樹脂層25とは直接接していることが好ましい。偏光子30と接着剤層15とは直接接していることが好ましい。偏光子30と樹脂層25とは直接接していることが好ましい。
【0113】
本発明の粘着剤層付き偏光板の別の層構成の例を
図6に示す。
図6に示される粘着剤層付き偏光板2は、樹脂フィルム10、接着剤層15、偏光子30、接着剤層A35、樹脂層40、粘着剤層20を含む。粘着剤層付き偏光板2において、樹脂層40は樹脂フィルムであることができる。
図6に示されるように本発明の偏光板において、樹脂フィルム10と接着剤層15とは直接接していることが好ましい。また、粘着剤層20と樹脂層40とは直接接していることが好ましい。偏光子30と接着剤層15とは直接接していることが好ましい。樹脂層40と接着剤層A35とは直接接していることが好ましい。偏光子30と接着剤層A35とは直接接していることが好ましい。
【0114】
本発明の粘着剤層付き偏光板において、粘着剤層付き偏光板の全体の膜厚をyとし(
図5中に示すyの長さ)、樹脂フィルムの偏光子と反対側の表面から偏光子の膜厚中心までの距離をz(
図5中に示すzの長さ)とした場合、下記式(ii)を満たすことが好ましい。
y/2-z<10 (ii)
yとzとが式(ii)の関係を満たすことで、偏光板の耐熱環境下における偏光板が貼り合わされた液晶セルの変形(反り)を抑制しやすい傾向を示す。式(ii)により反りが抑制される要因は明らかではないが、偏光板全体の膜厚における偏光子の位置が液晶セル面に近接することにより、耐熱環境下における偏光子の収縮に伴う反りを抑制できるものと考えられる。
【0115】
式(ii)における左辺の値は、5以下であることが好ましく、0以下であることがより好ましく、-5以下であることがさらに好ましく、-10以下であることが特に好ましい。また、通常-50以上であり、-30以上が好ましい。
【0116】
<光学積層体>
本発明の別の実施態様は、上述の粘着剤層付き偏光板の粘着剤層と基板とが積層された光学積層体を含む。ここで、基板とは、液晶セルのガラス基板等が挙げられる。また、液晶セルのガラス基板の表面に透明電極が設けられていてもよい。
基板の厚みは、通常300μm以上1000μm以下であり、好ましくは300μm以上800μm以下であり、より好ましくは300μm以上700μm以下である。
【0117】
本発明の光学積層体は、粘着剤層付き偏光板全体の膜厚をy(
図7中のyで示す長さ)、樹脂フィルムの偏光子とは反対側の表面から偏光子の中心までの距離をz(
図7中のzで示す長さ)、基板の厚みをt(
図7中のtで示す長さ)とした場合に、下記式(iii)を満たすことが好ましい。
y/2-(z+t)<-290 (iii)
上記関係式を満たすと、偏光板の耐熱環境下における偏光板が貼り合わされた液晶セルの変形(反り)を抑制しやすい傾向を示す。式(iii)により反りが抑制される要因は明らかではないが、偏光板全体の膜厚における偏光子の位置が液晶セル面に近接すること、また基板の厚みが厚くなることによる基板剛性の増加により、耐熱環境下における偏光子の収縮に伴う反りを抑制できると考えられる。
【0118】
式(iii)における左辺の値は、-300以下であることが好ましく、通常-1050以上であり、-1000以上であることが好ましい。
【0119】
本発明の光学積層体の層構成の一例の断面模式図を
図7及び
図8に示した。
図7に示す光学積層体3は、樹脂フィルム10、接着剤層15、偏光子30、樹脂層25、粘着剤層20、基板60がこの順に積層された層構成を有する。樹脂層25は硬化性組成物の硬化物層であることができる。
図8に示す光学積層体4は、樹脂フィルム10、接着剤層15、偏光子30、接着剤層A35、樹脂層40、粘着剤層20、基板60がこの順に積層された層構成を有する。樹脂層40は樹脂フィルムであることができる。
図7に示されるように本発明の光学積層体は、樹脂フィルム10と接着剤層15とは直接接していることが好ましい。また、樹脂層25と粘着剤層20とは直接接していることが好ましい。偏光子30と接着剤層15とは直接接していることが好ましい。偏光子30と樹脂層25とは直接接していることが好ましい。
また、
図8に示すように樹脂層が樹脂フィルムである場合は、偏光子30と接着剤A35とは直接接していることが好ましい。
【0120】
図7又は
図8に示した光学積層体の基板の反対側に、本発明の粘着剤層付き偏光板を配置してもよいし、別の粘着剤層付き偏光板を配置してもよい。
【0121】
本発明の粘着剤層付き偏光板及び光学積層体は、液晶表示装置に好適に用いることができる。かかる液晶表示装置としては、タブレット型端末等の各種モバイル機器;ノート型、デスクトップ型、PDA(Personal Digital Assistant)等を包含するパーソナルコンピュータ;テレビ;車載用ディスプレイ等の液晶表示装置として好適である。
【実施例0122】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記のない限り、質量%及び質量部である。
【0123】
(製造例1:偏光子の製造)
長尺のポリビニルアルコールフィルム(平均重合度:約2400、ケン化度:99.9モル%以上、厚み:60μm)を連続的に搬送し、20℃の純水からなる膨潤浴に滞留時間31秒で浸漬させた(膨潤工程)。その後、膨潤浴から引き出したフィルムを、ヨウ化カリウム/水が2/100(質量比)であるヨウ素を含む30℃の染色浴に滞留時間122秒で浸漬させた(染色工程)。次いで、染色浴から引き出したフィルムを、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が12/4.1/100(質量比)である56℃の架橋浴に滞留時間70秒で浸漬させ、続いて、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が9/2.9/100(質量比)である40℃の架橋浴に滞留時間13秒で浸漬させた(架橋工程)。染色工程及び架橋工程において、浴中でのロール間延伸により縦一軸延伸を行った。原反フィルムを基準とする総延伸倍率は5.5倍とした。次に、架橋浴から引き出したフィルムを5℃の純水からなる洗浄浴に滞留時間3秒で浸漬させた後(洗浄工程)、80℃の乾燥炉に滞留時間190秒で導入し乾燥を行うことにより(乾燥工程)、偏光子を得た。以上により得られた偏光子の厚みは24μmであった。
【0124】
(製造例2:ポリエチレンテレフタレート樹脂(1)の製造)
エステル化反応缶を200℃まで昇温させながら、テレフタル酸を86.4部及びエチレングリコール64.6部をエステル化反応缶に仕込み、混合物を得た。得られた混合物を撹拌しながら、得られた混合物に、触媒として三酸化アンチモンを0.017部、酢酸マグネシウム4水和物を0.064部、トリエチルアミン0.16部を加えた。エステル化反応缶内のゲージ圧0.34MPaとし、さらに240℃の条件で加圧エステル化反応を行った後、エステル化反応缶を常圧に戻し、リン酸0.014部を添加した。さらに、15分かけて260℃に昇温し、リン酸トリメチル0.012部を添加し、混合物を得た。得られた混合物を15分後に、高圧分散機で分散処理を行い、さらに15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、280℃で減圧下重縮合反応を行った。
重縮合反応終了後、95%カット径が5μmのナスロン製フィルターで濾過処理を行い、ノズルからストランド状に押出し、予め濾過処理(孔径:1μm以下) を行った冷却水を用いて冷却、固化させ、ペレット状にカットし、ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、PET(1)という)を得た。
【0125】
(製造例3:ポリエチレンテレフタレート樹脂(2)の製造)
乾燥させた紫外線吸収剤(2,2’-(1,4-フェニレン)ビス(4H-3,1-ベンズオキサジン-4-オン)10部と製造例2で得られたPET(1)90部とを混合し、混練押出機を用い、紫外線吸収剤含有するポリエチレンテレフタレート樹脂(2)(以下、PET(2)という)を得た。
【0126】
(製造例4:易接着層形成用塗布液の調整)
テレフタル酸46モル%、イソフタル酸46モル%及び5-スルホナトイソフタル酸ナトリウム8モル%からなるジカルボン酸成分と、エチレングリコール50モル%及びネオペンチルグリコール50モル%からなるグリコール成分とを常法によりエステル交換反応および重縮合反応を行って、水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂を調製した。
次いで、水51.4部、イソプロピルアルコール38部、n-ブチルセルソルブ5部、ノニオン系界面活性剤0.06部を混合し、混合物を得た。得られた混合物を77℃まで加熱撹拌しながら、上記水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂5部を加え、樹脂の固まりが無くなるまで撹拌し続け、樹脂水分散液を得た。得られた樹脂水分散液を25℃まで冷却して、固形分濃度5.0質量%の均一な水分散性共重合ポリエステル樹脂液を得た。
凝集体シリカ粒子3部を水50部に分散させ、凝集体シリカ粒子の水分散液を得た。上記水分散性共重合ポリエステル樹脂液99.46部に凝集体シリカ粒子の水分散液0.54部を加えて、撹拌しながら、さらに水20部を加えて、易接着層形成用塗布液を得た。
【0127】
(製造例5:保護フィルム1の製造)
製造例2で製造したPET(1)90部と製造例3で製造したPET(2)10部とを混合したPET(3)を135℃で6時間減圧乾燥した後、押出機2(中間層B層用)に供給した。また、PET(1)を乾燥して押出機1(外層A層および外層C層用)にそれぞれ供給した。押出機1に供給したPET(1)と押出機2に供給したPET(3)とをそれぞれ285℃で溶解した。この2種のポリマーを、それぞれステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度10μm 粒子95% カット)で濾過し、2種3層合流ブロックにて、積層し、口金よりシート状にして押し出した後、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷却固化し、未延伸PETフィルムを作った。この時、A層、B層、C層の厚さの比は10:80:10となるように各押し出し機の吐出量を調整した。
【0128】
次いで、得られた未延伸PETフィルムの両面に、リバースロール法にて乾燥後の塗布量が0.08g/m2になるように、上記易接着層形成用塗布液を塗布した後、80℃で20秒間乾燥した。
この塗布層を形成した未延伸PETフィルムを、テンター延伸機にて、フィルムの端部をクリップで把持しながら、温度125℃の熱風ゾーンで、幅方向に4.0倍に延伸した。次に、幅方向に延伸された幅を保ったまま、温度225℃、10秒間で処理し、さらに幅方向に3.0%の緩和処理を行い、フィルム厚み約80μmの易接着層が形成された一軸延伸PETフィルムを得た。これを保護フィルム1とした。
【0129】
(製造例6:保護フィルム2の製造)
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂90部とアクリロニトリル-スチレン(AS)樹脂10部の混合物(ラクトン環含有率:28.5%)を押出成形し、縦2.0倍、横2.4倍に延伸した厚み40μmのアクリル系樹脂フィルムを得た。これを保護フィルム2とした。
【0130】
(製造例7:保護フィルム3の製造)
メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=96/4(質量比)の共重合体70部と、3層構造からなるアクリル系多層重合体であるアクリルゴム粒子(1層目:メチルメタクリレートとアリルメタクリレートとの共重合体(質量比99.8/0.2)/2層目:ブチルアクリレートとスチレンとアリルメタクリレートとの共重合体(質量比79/19/2)/3層目:メチルアクリレートとエチルアクリレートとの共重合体(質量比96/4))30部の混合物から、溶融押出により厚さ20μmのアクリル系樹脂フィルムを作製した。これを保護フィルム3とした。
【0131】
(製造例8:保護フィルム4の製造)
メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=96/4(質量比)の共重合体70部と、3層構造からなるアクリル系多層重合体であるアクリルゴム粒子(1層目:メチルメタクリレートとアリルメタクリレートとの共重合体(質量比99.8/0.2)/2層目:ブチルアクリレートとスチレンとアリルメタクリレートとの共重合体(質量比79/19/2)/3層目:メチルアクリレートとエチルアクリレートとの共重合体(質量比96/4))30部の混合物から、溶融押出により厚さ50μmのアクリル系樹脂フィルムを作製した。これを保護フィルム4とした。
【0132】
(製造例9:保護フィルム5の製造)
メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=96/4(質量比)の共重合体70部と、3層構造からなるアクリル系多層重合体であるアクリルゴム粒子(1層目:メチルメタクリレートとアリルメタクリレートとの共重合体(質量比99.8/0.2)/2層目:ブチルアクリレートとスチレンとアリルメタクリレートとの共重合体(質量比79/19/2)/3層目:メチルアクリレートとエチルアクリレートとの共重合体(質量比96/4))30部の混合物から、溶融押出により厚さ60μmのアクリル系樹脂フィルムを作製した。これを保護フィルム5とした。
【0133】
(製造例10:保護フィルム6の製造)
メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=96/4(質量比)の共重合体70部と、3層構造からなるアクリル系多層重合体であるアクリルゴム粒子(1層目:メチルメタクリレートとアリルメタクリレートとの共重合体(質量比99.8/0.2)/2層目:ブチルアクリレートとスチレンとアリルメタクリレートとの共重合体(質量比79/19/2)/3層目:メチルアクリレートとエチルアクリレートとの共重合体(質量比96/4))30部の混合物から、溶融押出により厚さ80μmのアクリル系樹脂フィルムを作製した。これを保護フィルム6とした。
【0134】
<実施例1>
製造例5で得られた保護フィルム1(ポリエステル系樹脂フィルム)及び製造例7で得られた保護フィルム3(厚み20μmの(メタ)アクリル系樹脂フィルム)の片面にそれぞれコロナ処理を施し、当該コロナ処理面に、エポキシ系紫外線硬化性接着剤を、接着剤塗工装置を用いることにより塗工した。次いで塗工層面に上記製造例1で得た偏光子を重ね、続いて貼合ロールを用いて押圧及び貼合することにより偏光板前駆体を得た。この時、保護フィルム1(ポリエステル系樹脂フィルム)の延伸方向(幅方向)と偏光子の吸収軸方向(偏光子の延伸方向)が直交する様に貼合した。この偏光板前駆体に対し、保護フィルム3側からベルトコンベア付の紫外線照射装置(ランプは、アイグラフィックス社製のメタルハライドランプ)を用いて積算光量が200mJ/cm2(UVB)となるように紫外線を照射し、上記接着剤を硬化させて偏光板を得た。接着剤層の厚みは3μmであった。以上から、保護フィルム1(ポリエステル系樹脂フィルム)/接着剤層/偏光子/接着剤層/保護フィルム3((メタ)アクリル系樹脂フィルム)を有する偏光板を得た。
【0135】
次に、(メタ)アクリル系粘着剤層(厚み20μm)を離形フィルムの離型処理面に有する離型フィルム付粘着剤層を準備した。当該離型フィルム付粘着剤層を、上記偏光板の(メタ)アクリル系樹脂フィルム側に、(メタ)アクリル系樹脂フィルムの表面をコロナ処理した上で積層することにより粘着剤層付き偏光板を得た。当該粘着剤層付き偏光板は、ポリエステル系樹脂フィルム(樹脂フィルム)/接着剤層/偏光子/接着剤層/(メタ)アクリル系樹脂フィルム(樹脂層)/粘着剤層/離型フィルムの構造を有する。
【0136】
前記粘着剤層付き偏光板の粘着剤離型フィルムを剥離し、粘着剤層を無アルカリガラス基板(厚み0.3mm、コーニング社製「Eagle XG」、160mm×103mm)に貼合し、ガラス貼合偏光板積層体を得た。ガラスに貼合した粘着剤付き偏光板のサイズは、150mm×90mmであり、長辺方向が偏光板の吸収軸になるようにした。
【0137】
<実施例2>
厚み20μmの(メタ)アクリル系樹脂フィルム(保護フィルム3)の代わりに厚み40μmの(メタ)アクリル系樹脂フィルム(製造例6で得られた保護フィルム2)を樹脂層として用いた以外は、実施例1と同様にして、偏光板、粘着剤層付き偏光板及びガラス貼合偏光板積層体を得た。
【0138】
<実施例3>
厚み20μmの(メタ)アクリル系樹脂フィルム(保護フィルム3)の代わりに厚み50μmの(メタ)アクリル系樹脂フィルム(製造例8で得られた保護フィルム4)を樹脂層として用いた以外は、実施例1と同様にして、偏光板、粘着剤層付き偏光板及びガラス貼合偏光板積層体を得た。
【0139】
<実施例4>
厚み20μmの(メタ)アクリル系樹脂フィルム(保護フィルム3)の代わりに厚み60μmの(メタ)アクリル系樹脂フィルム(製造例9で得られた保護フィルム5)を樹脂層として用いた以外は、実施例1と同様にして、偏光板、粘着剤層付き偏光板及びガラス貼合偏光板積層体を得た。
【0140】
<実施例5>
厚み20μmの(メタ)アクリル系樹脂フィルム(保護フィルム3)の代わりに厚み20μmのセルロース系樹脂フィルム(コニカミノルタ社製)を樹脂層として用いた以外は、実施例1と同様にして、偏光板、粘着剤層付き偏光板及びガラス貼合偏光板積層体を得た。
【0141】
<実施例6>
厚み20μmの(メタ)アクリル系樹脂フィルム(保護フィルム3)の代わりに厚み40μmのセルロース系樹脂フィルム(コニカミノルタ社製)を樹脂層として用いた以外は、実施例1と同様にして、偏光板、粘着剤層付き偏光板及びガラス貼合偏光板積層体を得た。
【0142】
<実施例7>
樹脂フィルムとして実施例4で用いた厚み60μmの(メタ)アクリル系樹脂フィルム(製造例9で得られた保護フィルム5)を使用した以外は、実施例1と同様にして、偏光板、粘着剤層付き偏光板及びガラス貼合偏光板積層体を得た。
【0143】
<実施例8>
厚み20μmの(メタ)アクリル系樹脂フィルム(保護フィルム3)の代わりに厚み60μmの(メタ)アクリル系樹脂フィルム(製造例9で得られた保護フィルム5)を樹脂層として使用した以外は、実施例1と同様にして偏光板及び粘着剤層付き偏光板を得た。
さらに、無アルカリガラス基板として厚み0.7mm、コーニング社製「Eagle XG」を用いた点以外は実施例1と同様にしてガラス貼合偏光板積層体を得た。
【0144】
<比較例1>
樹脂フィルムとして実施例4で用いた厚み60μmの(メタ)アクリル系樹脂フィルム(保護フィルム5)を使用し、厚み20μmの(メタ)アクリル系樹脂フィルム(保護フィルム3)の代わりに厚み80μmの(メタ)アクリル系樹脂フィルム(製造例10で得られた保護フィルム6)を樹脂層として使用した以外は、実施例1と同様にして、偏光板、粘着剤層付き偏光板、ガラス貼合偏光板積層体を得た。
【0145】
<比較例2>
厚み20μmの(メタ)アクリル系樹脂フィルム(保護フィルム3)の代わりに厚み80μmの(メタ)アクリル系樹脂フィルム(製造例10で得られた保護フィルム6)を樹脂層として使用した以外は、実施例1と同様にして、偏光板、粘着剤層付き偏光板、ガラス貼合偏光板積層体を得た。
【0146】
<比較例3>
樹脂フィルムとして厚み38μmの2軸延伸のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱化学社製)を使用した点、樹脂層として厚み80μmの(メタ)アクリル系樹脂フィルム(製造例10で得られた保護フィルム6)を使用した以外は実施例1と同様にして、偏光板、粘着剤層付き偏光板、ガラス貼合偏光板積層体を得た。なお、この偏光板は実施例1同様、2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムの延伸方向(幅方向)と偏光子の吸収軸方向(偏光子の延伸方向)が直交する様に貼合している。2軸延伸のポリエチレンテレフタレートの保護フィルムの延伸方向(幅方向)とは、当該フィルムロールからフィルムを巻きだした際の幅方向を示す。
【0147】
<比較例4>
厚み20μmの(メタ)アクリル系樹脂フィルム(保護フィルム3)の代わりに厚み38μmの2軸延伸のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱化学社製)を使用した以外は実施例1と同様にして、偏光板、粘着剤層付き偏光板、ガラス貼合偏光板積層体を得た。
【0148】
<比較例5>
厚み20μmの(メタ)アクリル系樹脂フィルム(保護フィルム3)の代わりに厚み80μmの(メタ)アクリル系樹脂フィルム(製造例10で得られた保護フィルム6)を樹脂層として使用した以外は実施例1と同様にして、偏光板、粘着剤層付き偏光板を得た。
さらに、無アルカリガラス基板として厚み0.2mm、コーニング社製「Eagle XG」を使用した以外は実施例1と同様にして、ガラス貼合偏光板積層体を得た。
【0149】
(ポリエステル系樹脂フィルムの位相差値の測定)
実施例及び比較例で用いたポリエステル系樹脂フィルムの位相差値Re1~Re4は位相差測定装置(王子計測機器(株)製、KOBRA-HB-RESPC)を用いて波長587nmで測定した。結果を表1に示す。
Re1:ポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が90°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第1配置において測定される位相差値。
Re2:第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルムを、その進相軸を中心軸として30°回転させることによりポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が60°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第2配置において測定される位相差値。
Re3:第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルムを、ポリエステル系樹脂フィルム面内においてその進相軸に対して45°の角度をなす軸を中心軸として30°回転させることによりポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が60°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第3配置において測定される位相差値。
Re4:第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルムを、その遅相軸を中心軸として30°回転させることによりポリエステル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が60°となるようにポリエステル系樹脂フィルムを配置する第4配置において測定される位相差値。
【0150】
((メタ)アクリル系樹脂フィルムの位相差値の測定)
実施例及び比較例で用いた(メタ)アクリル系樹脂フィルムの位相差値Re1~Re4は位相差測定装置(王子計測機器(株)製、KOBRA-WPR)を用いて波長587nmで測定した。結果を表1に示す。
Re1:(メタ)アクリル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が90°となるように(メタ)アクリル系樹脂フィルムを配置する第1配置において測定される位相差値。
Re2:第1配置にある(メタ)アクリル系樹脂フィルムを、その進相軸を中心軸として30°回転させることにより(メタ)アクリル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が60°となるように(メタ)アクリル系樹脂フィルムを配置する第2配置において測定される位相差値。
Re3:第1配置にある(メタ)アクリル系樹脂フィルムを、(メタ)アクリル系樹脂フィルム面内においてその進相軸に対して45°の角度をなす軸を中心軸として30°回転させることにより(メタ)アクリル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が60°となるように(メタ)アクリル系樹脂フィルムを配置する第3配置において測定される位相差値。
Re4:第1配置にある(メタ)アクリル系樹脂フィルムを、その遅相軸を中心軸として30°回転させることにより(メタ)アクリル系樹脂フィルムの面と測定方向とのなす角度が60°となるように(メタ)アクリル系樹脂フィルムを配置する第4配置において測定される位相差値。
【0151】
(アクリル系樹脂フィルム、セルロース系樹脂フィルム及びポリエステル系樹脂フィルムの厚み方向の位相差値の測定)
実施例及び比較例で用いた樹脂層((メタ)アクリル系樹脂フィルム、セルロース系樹脂フィルム及びポリエステル系樹脂フィルム)について、位相差測定装置(王子計測機器(株)製、KOBRA-WPR)を用いて樹脂層の面と測定方向のなす角度が50°の状態で波長587nmにおいて測定し、厚み方向の位相差値(Rth)の絶対値|Rth|を求めた。結果を表1に示す。
【0152】
<反り評価>
実施例1~8及び比較例1~5で得られたガラス貼合偏光板積層体を温度80℃環境下で48時間静置し、取り出した後の反り状態を観察し、以下の基準により評価を行った。結果を表1に示す。
◎:反り 非常に小さい
○:反り 小さい
△:反り 中程度
×:反り 大きい
【0153】
<光抜け評価>
実施例1で得られた粘着剤層付き偏光板を、150mm×90mmのサイズにカットした。なお、カットした粘着剤層付き偏光板の長辺又は短辺のどちらかは吸収軸と平行である。カットした粘着剤層付き偏光板(長辺方向が吸収軸と平行)から離型フィルムを剥離後、粘着剤層をアルカリガラス基板(厚み1.1mm、日本板ガラス社製)の片面に貼合した。さらに前記ガラス基板の偏光板貼合面とは異なる面に、実施例1で得られた粘着剤層付き偏光板を上記と同様にカットしたもの(短辺方向が吸収軸と平行)をガラス基板を挟んで2つの偏光板の透過軸が直交するよう貼合してガラス貼合偏光板積層体Aを得た。ガラス貼合偏光板積層体Aは、樹脂フィルム/接着剤層/偏光子/接着剤層/樹脂層/粘着剤層/ガラス基板/粘着剤層/樹脂層/接着剤層/偏光子/接着剤層/樹脂フィルムの構成を有する。
【0154】
ガラス貼合偏光板積層体Aをバックライト光源の上に配置し、サンプル中央部の光抜けを目視により観察し、暗所において以下の基準により評価を行った。結果を表1に示す。
○:光抜け 小さい
×:光抜け 大きい
【0155】
実施例2~8及び比較例1~5について、実施例1で得られたガラス貼合偏光板積層体Aをそれぞれ実施例2~8及び比較例1~5で得られたガラス貼合偏光板積層体Aに変更し、同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0156】
(虹ムラの測定)
実施例1で得られた粘着剤層付き偏光板から離型フィルムを剥離後、粘着剤層側を無アルカリガラス基板(厚み0.7mm、コーニング社製「Eagle XG」)に貼合し、ガラス貼合偏光板積層体Bを得た。
バックライト光源に前記のガラス貼合偏光板積層体Bを、ガラス基板側が光源になるよう配置し、暗所において偏光板のポリエステル系樹脂フィルム側から斜め方向に偏光板の目視観察を行い、虹ムラの視認性を確認し、以下の基準により評価を行った。
また、実施例2~実施例8及び比較例1~5で得られた粘着剤層付き偏光板について、同様に虹ムラを評価した。結果を表1に示す。
〇:虹ムラが弱い
×:虹ムラが強い
【0157】
1,2 粘着剤層付き偏光板、3,4 光学積層体、10 樹脂フィルム、15 接着剤層、20 粘着剤層、25,40 樹脂層、30 偏光子、35 接着剤層A、60 基板、100 ポリエステル系樹脂フィルム(第1配置)、110 ポリエステル系樹脂フィルム(第2配置)、120 ポリエステル系樹脂フィルム(第3配置)、130 ポリエステル系樹脂フィルム(第4配置)、201 光源、202 観測器、210 測定方向、300,310,320 中心軸、400 第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルムの進相軸、500 第1配置にあるポリエステル系樹脂フィルムの遅相軸。