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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142967
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/00 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
G01B21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055394
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】房安 佑也
(72)【発明者】
【氏名】本田 博臣
(72)【発明者】
【氏名】新宅 貴志
(72)【発明者】
【氏名】楫斐 和也
【テーマコード(参考)】
2F069
【Fターム(参考)】
2F069AA51
2F069AA61
2F069DD25
2F069QQ01
2F069QQ07
2F069QQ16
(57)【要約】
【課題】測定作業者による誤設定を防止しつつ、測定条件を簡単に変更できる測定装置を提供する。
【解決手段】表面性状測定機1は、表示部31と、表示部31に重ねて配置されるタッチパネル33と、複数の物理的なキー34A~34Dを含むキー群34と、表示部31に第1設定画面SS1を表示させる表示制御部413と、第1設定画面SS1に対するタッチパネル33からの入力操作に応じて測定条件を作成する設定部414と、設定部414により作成された測定条件を記憶する記憶部42と、タッチパネル33を無効状態と有効状態との間で切り替える入力制御部415と、を備える。タッチパネル33が無効状態であるとき、表示制御部413は、キー群34からの入力操作に応じて表示部31に第2設定画面SS2を表示させ、設定部414は、第2設定画面SS2に対するキー群34からの入力操作に応じて、記憶部42から測定条件を読み出し可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
前記表示部に重ねて配置されるタッチパネルと、
複数の物理的なキーを含むキー群と、
前記表示部に第1設定画面を表示させる表示制御部と、
前記第1設定画面に対する前記タッチパネルからの入力操作に応じて測定条件を作成する設定部と、
前記設定部により作成された前記測定条件を記憶する記憶部と、
前記タッチパネルを無効状態と有効状態との間で切り替える入力制御部と、を備え、
前記タッチパネルが無効状態であるとき、
前記表示制御部は、前記キー群からの入力操作に応じて前記表示部に第2設定画面を表示させ、
前記設定部は、前記第2設定画面に対する前記キー群からの入力操作に応じて、前記記憶部から前記測定条件を読み出し可能である、測定装置。
【請求項2】
前記入力制御部は、前記キーまたは外部装置から入力される切替指示に応じて、前記タッチパネルを無効状態と有効状態との間で切り替える、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記入力制御部は、前記外部装置から入力される前記切替指示に応じて前記タッチパネルを有効状態から無効状態に切り替える際、前記キーから入力される前記切替指示を受け付けない状態になる、請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記入力制御部は、前記外部装置から前記切替指示が入力されるごとに、前記タッチパネルおよび前記キー群が共に有効状態である第1状態、前記タッチパネルおよび前記キー群が共に無効状態である第2状態、および、前記タッチパネルが無効状態かつ前記キー群が有効状態である第3状態を切り替える、請求項2に記載の測定装置。
【請求項5】
前記第1設定画面は、前記測定条件を構成する1以上のパラメータに関する入力操作を受け付ける画面であり、
前記第2設定画面は、前記記憶部に記憶された複数の前記測定条件からいずれかの前記測定条件を選択する入力操作を受け付ける画面である、請求項1に記載の測定装置。
【請求項6】
前記表示部に表示される画面ごとに、前記キーに対応する入力操作を識別する入力部をさらに備え、
前記第2設定画面は、前記記憶部に記憶された複数の前記測定条件を一覧にした測定条件リストを表示し、
前記第2設定画面が前記表示部に表示されたとき、前記入力部は、前記キー群からの入力操作として、前記測定条件リストに対するカーソル移動または決定を識別する、請求項5に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルから測定条件を設定可能な測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被測定物の様々な表面性状を測定可能な表面性状測定機では、所望の測定内容に応じて、各種パラメータなどの測定条件を設定することが行われる。そこで、測定条件の設定を容易にするため、タッチパネルから測定条件の設定が可能な表面性状測定機が存在する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-195216公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の表面性状測定機では、測定作業者がタッチパネルに誤接触した場合、測定条件が誤設定される可能性がある。そこで、本発明者らは、測定条件の設定後にタッチパネルを無効化することを検討している。
しかし、測定条件が異なる複数の測定を連続して行う場合には、測定条件の変更前後にタッチパネルの無効/有効を切り替える操作が必要になるため、測定作業が繁雑化するという問題がある。同様の問題は、タッチパネルから測定条件を設定可能な測定装置全般に共通する。
【0005】
本発明は、測定作業者による誤設定を防止しつつ、測定条件を簡単に変更できる測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る測定装置は、表示部と、前記表示部に重ねて配置されるタッチパネルと、複数の物理的なキーを含むキー群と、前記表示部に第1設定画面を表示させる表示制御部と、前記第1設定画面に対する前記タッチパネルからの入力操作に応じて測定条件を作成する設定部と、前記設定部により作成された前記測定条件を記憶する記憶部と、前記タッチパネルを無効状態と有効状態との間で切り替える入力制御部と、を備え、前記タッチパネルが無効状態であるとき、前記表示制御部は、前記キー群からの入力操作に応じて前記表示部に第2設定画面を表示させ、前記設定部は、前記第2設定画面に対する前記キー群からの入力操作に応じて、前記記憶部から前記測定条件を読み出し可能である。
このような構成では、タッチパネルを無効状態にすることで、測定作業者がタッチパネルに誤接触しても、測定条件が誤設定されることがない。また、タッチパネルが無効状態である場合において、物理的なキー群を操作することにより、予め記憶された測定条件を読み出し、設定することができる。これにより、測定作業者による誤設定を防止しつつ、測定条件を簡単に変更できる。
【0007】
本態様に係る測定装置において、前記入力制御部は、前記キーまたは外部装置から入力される切替指示に応じて、前記タッチパネルを無効状態と有効状態との間で切り替えることが好ましい。
このような構成では、管理者または測定作業者の状況に応じてタッチパネルの有効状態/無効状態を臨機応変に切り替えることができる。
【0008】
本態様に係る測定装置において、前記入力制御部は、前記外部装置から入力される前記切替指示に応じて前記タッチパネルを有効状態から無効状態に切り替える際、前記キーから入力される前記切替指示を受け付けない状態になってもよい。
このような構成によれば、測定作業者による測定条件の誤設定をより確実に防止できる。
【0009】
本態様に係る測定装置において、前記入力制御部は、前記外部装置から前記切替指示が入力されるごとに、前記タッチパネルおよび前記キー群が共に有効状態である第1状態、前記タッチパネルおよび前記キー群が共に無効状態である第2状態、および、前記タッチパネルが無効状態かつ前記キー群が有効状態である第3状態を切り替えてもよい。
このような構成は、外部装置と表面性状測定機の通信中など、タッチパネルおよびキー群を共に無効状態にすることで、測定作業者が表面性状測定機を操作することを防止でき、外部装置から表面性状測定機を安定して操作できる。
【0010】
本態様に係る測定装置において、前記第1設定画面は、前記測定条件を構成する1以上のパラメータに関する入力操作を受け付ける画面であり、前記第2設定画面は、前記記憶部に記憶された複数の前記測定条件からいずれかの前記測定条件を選択する入力操作を受け付ける画面であってもよい。
このような構成によれば、詳細な測定条件を設定可能にしつつ、測定作業者が誤って詳細な測定条件を変更してしまうことを防止できる。
【0011】
本態様に係る測定装置は、前記表示部に表示される画面ごとに、前記キーに対応する入力操作を識別する入力部をさらに備え、前記第2設定画面は、複数の測定条件を一覧にした測定条件リストを表示し、前記第2設定画面が前記表示部に表示されたとき、前記入力部は、前記キー群からの入力操作として、前記測定条件リストに対するカーソル移動または決定を識別することが好ましい。
このような構成によれば、物理的なキーの数を抑えることができ、測定装置の小型化が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態の表面性状測定機の概略構成を示す模式図。
図2】第1実施形態の表面性状測定機の外観を示す正面図。
図3】第1実施形態の第1設定画面を例示する図。
図4】第1実施形態の第2設定画面を例示する図。
図5】第1実施形態の作業画面を例示する図。
図6】第1実施形態の表面性状測定機を用いた測定方法の例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
(表面性状測定機の構成)
本実施形態の表面性状測定機1は、図1に示すように、被測定物の表面の変位を検出する検出器10と、検出器10を移動させる駆動部20と、ユーザインターフェイス30と、各種制御を行う制御部40とを備える。なお、本実施形態の表面性状測定機1は、ハンディタイプの測定機であって、検出器10、駆動部20および制御部40を一体に収容するケース50(図2参照)をさらに備える。また、以下の説明では、表面性状測定機1のユーザとして、管理者および測定作業者が想定される。
【0014】
検出器10は、被測定物の表面の変位を検出する構造であれば、特に限定されない。例えば、図1に例示される検出器10は、駆動部20に保持された検出器本体11と、検出器本体11により揺動可能に支持されたスタイラスアーム12と、スタイラスアーム12の先端に突設されたスタイラス13(触針)と、スタイラスアーム12の基端の揺動量を検出する検出素子14とを備える。なお、図1に例示されるスタイラス13は、スキッドレスタイプであるが、スキッド付きタイプであってもよい。
【0015】
駆動部20は、検出器10を測定方向に沿って移動させる構造であれば、特に限定されない。例えば、図1に例示される駆動部20は、ケース50に固定されたモータ21と、モータ21に連結された送りねじ機構22と、送りねじ機構22によって測定方向に送られる保持部材23とを備える。保持部材23には、検出器本体11が保持される。測定方向における移動量は、任意の手段により検出可能である。
【0016】
ユーザインターフェイス30は、各種情報を表示する表示部31と、ユーザによる入力操作を受け付ける操作部32とを備える。図2に示すように、表示部31は、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイ等により構成され、ケース50の上面に配置される。操作部32は、表示部31に重ねて配置されるタッチパネル33と、ケース50の上面に配置されるキー群34とを有する。
【0017】
タッチパネル33は、表示部31に対するユーザのタッチ操作を検出し、タッチ座標に対応するタッチ信号を出力する。タッチパネル33の具体的な構造は特に限定されない。例えば、タッチパネル33は、抵抗膜方式タッチパネルであってもよいし、静電容量方式タッチパネルであってもよい。
キー群34は、ケース50の上面において表示部31の周辺に配置される複数の物理的なキー34A~34Dを含む。キー34A~34Dは、それぞれ、ユーザの押し操作を検出し、キー信号を出力する。
【0018】
制御部40は、コンピュータにより構成されており、検出器10および駆動部20を制御する。この制御部40は、図1に示すように、CPU(CentRal Processing Unit)等により構成される演算部41と、メモリ等により構成される記憶部42と、通信部43とを備える。また、演算部41は、記憶部42に記憶されたプログラムを読み込み実行することで、測定部411、入力部412、表示制御部413、設定部414および入力制御部415として機能する。
【0019】
測定部411は、設定部414により設定された(作成または読み出された)測定条件に基づいて、測定に関わる各処理を行う。例えば、測定部411は、駆動部20を制御することにより検出器10の移動を制御する。また、測定部411は、検出器10から出力される検出信号をサンプリングすることで、測定レンジにおける変位測定データを取得し、測定結果を算出する。また、測定部411は、測定結果に基づいて被測定物の合否を判定する。
【0020】
入力部412は、タッチパネル33から入力されるタッチ信号のタッチ座標を取得し、当該タッチ座標に対応する入力操作を識別する。また、入力部412は、キー34A~34Dから入力されるキー信号を取得し、当該キー信号に対応する入力操作を識別する。なお、タッチ座標およびキー信号のそれぞれに対応する入力操作の種類は、表示部31に表示される画面ごとに記憶部42に記憶されている。
【0021】
表示制御部413は、入力部412で識別された入力操作に基づいて、表示部31に表示される画面を制御する。表示部31に表示される画面として、例えば、ホーム画面HS(図2参照)、第1設定画面SS1(図3参照)、第2設定画面SS2(図4参照)、および、作業画面SS3(図5参照)が存在する。ホーム画面HSは、測定条件が設定された状態で測定を開始可能な画面である。第1設定画面SS1および第2設定画面SS2は、それぞれ、測定条件を設定するための画面である。作業画面SS3は、第2設定画面SS2または校正画面(図示省略)を呼び出すための画面である。
【0022】
図3に例示される第1設定画面SS1は、タッチパネル33からの入力操作を前提として測定条件を作成して設定するための画面である。第1設定画面SS1は、図3に例示される画面だけでなく、タッチパネル33からの入力操作に応じて切り替え表示される複数の画面を含み、詳細な測定条件を設定可能である。
【0023】
図4に例示される第2設定画面SS2は、キー群34からの入力操作を前提として、記憶部42から測定条件を読み出して設定するための画面である。第2設定画面SS2は、読み出し対象となる測定条件を、キー群34からの簡単な入力操作によって選択できるように、複数の測定条件を一覧にした測定条件リストを表示する。本実施形態の測定条件リストは、記憶部42に記憶された複数の測定条件を一覧にしたものである。また、第2設定画面SS2は、キー群34からの入力操作による選択対象を示すためのカーソル36を共に表示する。
【0024】
図5に例示される作業画面SS3は、第2設定画面SS2と同様、キー群34からの入力操作を前提とする画面である。この作業画面SS3は、第2設定画面SS2を表示させるための「条件呼出」と、校正画面を表示させるための「校正測定」とを表示する。また、作業画面SS3は、選択対象を示すためのカーソル36も表示する。
【0025】
また、表示制御部413は、タッチパネル33が無効状態であるとき、各画面に共通するステータス表示範囲に対して、タッチパネル33が無効状態であることを示すアイコン35を表示させる(例えば図2参照)。また、表示制御部413は、タッチパネル33が無効状態から有効状態に切り替えられたとき、アイコン35の表示を削除する。
【0026】
設定部414は、表示部31が第1設定画面SS1を表示している場合、第1設定画面SS1に対するタッチパネル33からの入力操作に応じて測定条件を作成し、当該測定条件を記憶部42に記憶させることができる。また、設定部414は、表示部31が第2設定画面SS2を表示している場合、第2設定画面SS2に対するキー群34からの入力操作に応じて、記憶部42から測定条件を読み出すことができる。すなわち、設定部414は、測定条件を作成または読み出すことにより、測定条件の設定を行うことができる。
【0027】
入力制御部415は、所定のキー(本実施形態ではキー34C)から入力された切替指示に応じて、タッチパネル33を無効状態と有効状態との間で切り替える。具体的には、入力制御部415は、タッチパネル33が有効状態のときに切替指示を受けると、タッチパネル33を無効状態に切り替え、タッチパネル33が無効状態のときに切替指示を受けると、タッチパネル33を有効状態に切り替える。
なお、タッチパネル33の無効状態とは、タッチパネル33からの入力操作が無効になる状態であればよい。例えば、タッチパネル33が無効状態であるとき、入力部412は、タッチパネル33から入力されるタッチ信号のタッチ座標を取得しないものとする。
【0028】
記憶部42は、演算部41を動作させるためのプログラムなどを記憶する。また、記憶部42は、タッチ座標に割り当てられる入力操作の種類を示すタッチイベントテーブル、キー34A~34Dに割り当てられる入力操作の種類を示すキーイベントテーブル、被測定物の表面を測定するための1以上の測定条件、および、測定結果の履歴などを記憶する。
【0029】
タッチイベントテーブルおよびキーイベントテーブルは、それぞれ、表示部31に表示される画面ごとに対応するテーブルを含む。例えば、キーイベントテーブルは、ホーム画面HSに対応するホーム画面用テーブル、第1設定画面SS1に対応する第1設定画面用テーブル、第2設定画面SS2に対応する第2設定画面用テーブル、および、作業画面SS3に対応する作業画面用テーブルを含む。
【0030】
ここで、キーイベントテーブルの例について、具体的に説明する。
ホーム画面用テーブルでは、キー34A(短押し)に対して「データ出力」が割り当てられ、キー34A(長押し)に対して「電源オンオフ」が割り当てられ、キー34Bに対して「測定開始/中断」が割り当てられる。また、キー34C(短押し)に対して「ページめくり」が割り当てられる。また、キー34Dに対して「第2設定画面に移動」が割り当てられる。
第1設定画面用テーブルでは、キー34Dに対して「ホーム画面に移動」が割り当てられる。
第2設定画面用テーブルおよび作業画面用テーブルのそれぞれでは、キー34Aに対して「カーソル上移動」が割り当てられ、キー34Bに対して「確定」が割り当てられ、キー34Cに対して「カーソル下移動」が割り上げられる。また、キー34Dに対して「ホーム画面に移動」が割り当てられる。
また、上述の各テーブルでは、キー34C(長押し)に対して「タッチパネルの有効/無効の切り替え」が共通に割り当てられる。
【0031】
測定条件は、駆動パラメータ、測定パラメータ、および、判定パラメータなどを含む。駆動パラメータは、測定時の検出器10の移動速度、測定レンジおよび評価長さなどを含む。測定パラメータは、粗さ規格の種類、粗さパラメータの種類、および、データに適用するフィルタなどを含む。判定パラメータは、測定結果に対する合否判定の条件(例えば上限および下限)を含む。なお、粗さパラメータの種類として、算術平均粗さRa、最大高さRy、十点平均粗さRz、二乗平均粗さRq、最大粗さRt、最大山高さRp、最大谷深さRv、凹凸の平均間隔Smなどが挙げられる。本実施形態において、測定条件は、少なくとも1つのパラメータを含めばよい。
【0032】
通信部43は、有線または無線により外部装置9と通信する。なお、外部装置9は、特に限定されないが、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピューター等のコンピュータにより構成されている。この外部装置9には、表面性状測定機1と通信するためのアプリケーションソフトウェアがインストールされており、表面性状測定機1から測定結果などを受信可能である。
【0033】
(表面性状測定機を用いた測定方法)
次に、本実施形態の表面性状測定機1を用いた測定方法の一例について、図6のフローチャートを参照して説明する。なお、以下では、表面性状測定機1のユーザとして、測定条件を設定する管理者と、測定を実施する測定作業者とを想定する。また、以下では、互いに異なる複数の測定条件について、各測定条件に基づいた測定を順に実施する場合について説明する。
【0034】
まず、管理者は、表面性状測定機1のタッチパネル33を操作することで、表示部31に第1設定画面SS1を表示させる。そして、管理者は、第1設定画面SS1に対してタッチパネル33から測定条件を構成する1以上のパラメータを入力することにより、測定条件を作成し、記憶部42に記憶させる。ここで、管理者は、所望する複数の測定条件を順に作成し、記憶部42に記憶させる(ステップS1)。
【0035】
次に、管理者は、キー34Dを押すことで表示部31にホーム画面HSを表示させ、キー34Cを長押しすることで、タッチパネル33を有効状態から無効状態に切り替える(ステップS2)。これにより、表示部31には、タッチパネル33が無効状態であることを示すアイコン35が表示される。なお、ホーム画面HS以外の画面が表示されているときでもキー34Cを長押しすることで、タッチパネル33を有効状態から無効状態に切り替えることができる。
【0036】
その後、表面性状測定機1は、管理者から測定作業者へ引き渡される。測定作業者は、ホーム画面HSにおいてキー34Dを1回押すことで、表示部31に作業画面SS3(図5参照)を表示させる。なお、ホーム画面HS以外の画面が表示されている場合、測定作業者は、キー34Dを1回押すことでホーム画面HSに遷移させた後、キー34Dを1回押すことで作業画面SS3を表示させればよい。そして、測定作業者は、キー群34によりカーソル36を操作し、作業画面SS3から「条件呼出」を選択することにより、第2設定画面SS2(図4参照)を表示させる(ステップS3)。第2設定画面SS2は、ステップS1で記憶された複数の測定条件のリストである測定条件リストを表示する。
【0037】
測定条件リストが表示された状態において、測定作業者は、キー群34によりカーソル36を操作し、測定条件リストから所望の測定条件を選択する。具体的には、キー34Aまたはキー34Cを押すことで、「カーソル上移動」または「カーソル下移動」を入力し、カーソル36が所望の測定条件に配置された状態でキー34Bを押すことで「確定」を入力する。これにより、表面性状測定機1には、所望の測定条件が読み出され、設定される(ステップS4)。
【0038】
次に、測定作業者は、キー34Dを押すことで「ホーム画面に移動」を入力し、表示部31にホーム画面HSを表示させる。そして、表面性状測定機1を被測定物にセットした状態でキー34Bを押すことで「測定開始」を入力する。これにより、表面性状測定機1は、設定された測定条件に従った測定を実施する(ステップS5)。
【0039】
その後、測定作業者は、測定条件を変更するごとに、上述のステップS3~S5を実施する。予定された測定が全て終了することにより(ステップS6;YES)、図6に示すフローが終了する。ここで、上述のステップS3~S5が実施される間、タッチパネル33は無効状態に維持されるものとする。
【0040】
なお、上述した測定方法は一例であって、本実施形態の表面性状測定機1は、他の方法によって利用されてもよい。
例えば、図5の作業画面SS3が表示された状態において、測定作業者は、キー群34によりカーソル36を操作し、作業画面SS3から「校正測定」を選択することにより、校正画面を表示させてもよい。その後、測定作業者は、キー群34の操作によって、校正測定を実施することができる。
また、図6のフローチャートにおいて、最初の測定については、ステップS3,S4が省略されてもよい。この場合、ステップS5では、管理者によりタッチパネル33から設定された測定条件に従って測定を実施してもよい。
【0041】
(本実施形態の作用効果)
本実施形態の表面性状測定機1は、上述したように、表示部31と、表示部31に重ねて配置されるタッチパネル33と、複数の物理的なキー34A~34Dを含むキー群34と、表示部31に第1設定画面SS1を表示させる表示制御部413と、第1設定画面SS1に対するタッチパネル33からの入力操作に応じて測定条件を作成する設定部414と、設定部414により作成された測定条件を記憶する記憶部42と、タッチパネル33を無効状態と有効状態との間で切り替える入力制御部415と、を備える。タッチパネル33が無効状態であるとき、表示制御部413は、キー群34による入力操作に応じて表示部31に第2設定画面SS2を表示させ、設定部414は、第2設定画面SS2に対するキー群34からの入力操作に応じて、記憶部42から測定条件を読み出し可能である。
【0042】
このような構成によれば、タッチパネル33を無効状態にすることで、測定作業者がタッチパネル33に誤接触しても、測定条件が誤設定されることがない。これにより、測定作業者が測定条件の変更に気づかないまま測定を行い、期待しない測定結果が得られることで被測定物の品質管理に影響を与えることを防止できる。
また、タッチパネル33が無効状態である場合において、物理的なキー群34を操作することにより、予め記憶された測定条件を読み出し、設定することができる。これにより、測定作業者による誤設定を防止しつつ、測定条件を簡単に変更できる。その結果、互いに異なる測定条件による複数の測定を好適に実施できる。
【0043】
本実施形態において、第1設定画面SS1は、測定条件を構成する1以上のパラメータに関する入力操作を受け付ける画面であり、第2設定画面SS2は、記憶部42に記憶された複数の測定条件からいずれかの測定条件を選択する入力操作を受け付ける画面である。
このような構成によれば、詳細な測定条件を設定可能にしつつ、測定作業者が誤って詳細な測定条件を変更してしまうことを防止できる。
【0044】
本実施形態の表面性状測定機1は、表示部31に表示される画面ごとに、キー34A~34Dに対応する入力操作を識別する入力部412をさらに備え、入力部412は、第2設定画面SS2が表示部31に表示されたとき、キー群34からの入力操作として、測定条件リストに対するカーソル移動または決定を識別する。
このような構成によれば、物理的なキーの数を抑えることができ、表面性状測定機1の小型化が容易である。
【0045】
その他の効果として、本実施形態の表面性状測定機1では、測定作業者がタッチパネル33ではなくキー群34を操作することで、測定条件の変更や校正測定を行うことができる。このため、本実施形態の表面性状測定機1は、測定作業者が手袋を着用しており、タッチパネル33を操作することが困難である場合にも有用である。
【0046】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態に係る表面性状測定機1の構成要素は、第1実施形態に係る表面性状測定機1の構成要素と同様であるため、第1実施形態と同様の符号を利用する。
【0047】
第2実施形態において、外部装置9は、タッチパネル33を無効状態と有効状態との間で切り替えるための切替信号を出力する。表面性状測定機1は、通信部43を介して外部装置9から切替信号(切替指示)を受信できる。
【0048】
入力制御部415は、キー34Cまたは外部装置9から入力される切替指示に応じて、タッチパネル33を無効状態と有効状態との間で切り替える。なお、キー34Cから入力される切替指示と、外部装置9から入力される切替指示とは、区別されないものとする。
【0049】
表示制御部413は、外部装置9から切替指示が入力された場合にも、キー34Cから切替指示が入力された場合と同様、各画面に共通するステータス表示範囲に対して、タッチパネル33が無効状態であることを示すアイコン35を表示させる。
【0050】
このような第2実施形態では、管理者または測定作業者の状況に応じてタッチパネル33の有効状態/無効状態を臨機応変に切り替えることができる。例えば、管理者が外部装置9からタッチパネル33を無効化した後、管理者の指示を受けた測定作業者がキー34Cからタッチパネル33を有効化し、第1設定画面SS1から測定条件を設定してもよい。
【0051】
また、第2実施形態では、第1実施形態と同様、タッチパネル33が無効状態である場合には、物理的なキー群34を操作することにより、第2設定画面SS2を呼び出し、測定条件を設定することができる。これにより、第1実施形態と同様、測定作業者による誤設定を防止しつつ、測定条件を簡単に変更できる。
【0052】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態について説明する。なお、第3実施形態に係る表面性状測定機1の構成要素は、第1実施形態に係る表面性状測定機1の構成要素と同様である。
【0053】
第3実施形態において、外部装置9は、タッチパネル33を無効状態と有効状態との間で切り替えるための切替信号を出力する。表面性状測定機1は、通信部43を介して外部装置9から切替信号(切替指示)を受信できる。
【0054】
入力制御部415は、キー34Cまたは外部装置9から入力される切替指示に応じて、タッチパネル33を無効状態と有効状態との間で切り替える。ここで、入力制御部415は、外部装置9から入力される切替指示に応じて、タッチパネル33を有効状態から無効状態に切り替える際、キー34Cから入力されるタッチパネル33の状態に関する切替指示を受け付けない状態になる。
また、入力制御部415は、外部装置9から切替指示が入力されることで、タッチパネル33を無効状態から有効状態に切り替える際、キー34Cから入力されるタッチパネル33の状態に関する切替指示を受け付け可能な状態になる。
【0055】
このような第3実施形態では、管理者が外部装置9からタッチパネル33を無効化した後、測定作業者は、キー34Cからタッチパネル33を有効化することができない。これにより、測定作業者による測定条件の誤設定をより確実に防止できる。
【0056】
また、第3実施形態では、第1実施形態と同様、タッチパネル33が無効状態である場合には、物理的なキー群34を操作することにより、第2設定画面SS2を呼び出し、測定条件を設定することができる。これにより、第1実施形態と同様、測定作業者による誤設定を防止しつつ、測定条件を簡単に変更できる。
【0057】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態について説明する。なお、第4実施形態に係る表面性状測定機1の構成要素は、第1実施形態に係る表面性状測定機1の構成要素と同様である。
【0058】
第4実施形態において、外部装置9は、タッチパネル33を無効状態と有効状態との間で切り替えるための切替信号を出力する。表面性状測定機1は、通信部43を介して外部装置9から切替信号(切替指示)を受信できる。
【0059】
入力制御部415は、キー34Cまたは外部装置9から入力される切替指示に応じて、タッチパネル33を無効状態と有効状態との間で切り替える。ここで、入力制御部415は、外部装置9から切替指示が入力されるごとに、タッチパネル33およびキー群34が共に有効状態である第1状態、タッチパネル33およびキー群34が共に無効状態である第2状態、および、タッチパネル33が無効状態かつキー群34が有効状態である第3状態を切り替える。なお、第1~第3状態の切り替え順は、任意に変更可能である。
表示制御部413は、各画面に共通するステータス表示範囲に対して、第2状態および第3状態のそれぞれに対応するアイコンを表示させてもよい。
【0060】
このような第4実施形態は、管理者が外部装置9を用いて表面性状測定機1を操作する場合に好適である。例えば、管理者は、外部装置9を用いて表面性状測定機1との通信を開始する際、外部装置9から表面性状測定機1へ切替信号を送信させ、表面性状測定機1を上記第2状態にする。これにより、外部装置9と表面性状測定機1の通信中、測定作業者が表面性状測定機1を操作することを防止でき、外部装置9から表面性状測定機1を安定して操作できる。また、管理者は、外部装置9を用いた表面性状測定機1との通信を終了する際、外部装置9から表面性状測定機1へ切替信号を送信させ、表面性状測定機1を上記第3状態にすればよい。
【0061】
また、第4実施形態では、表面性状測定機1が上記第3状態である場合(すなわちタッチパネル33が無効状態かつキー群34が有効状態である場合)には、第1実施形態と同様、物理的なキー群34を操作することにより、第2設定画面SS2を呼び出し、測定条件を設定することができる。これにより、第1実施形態と同様、測定作業者による誤設定を防止しつつ、測定条件を簡単に変更できる。
【0062】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形などは本発明に含まれる。
【0063】
(変形例1)
上記各実施形態において、第2設定画面SS2に表示される測定条件リストは、記憶部42に記憶された1以上の測定条件を含むものであればよい。記憶部42に測定条件を記憶させる方法は、タッチパネル33から設定する方法に限定されず、外部装置9で設定された設定条件を受信する方法であってもよい。
また、上記各実施形態において、第2設定画面SS2は、複数の測定条件をリスト形式で表示するが、本発明はこれに限定されない。例えば、測定条件に対して付属情報(例えば被測定物の種類や測定目的など)が対応付けられている場合、第2設定画面SS2は、キー群34の操作により選択可能な付属情報を表示するものであってもよく、付属情報の選択組み合わせに対応する測定条件を記憶部42から読み出してもよい。
【0064】
(変形例2)
上記各実施形態では、入力制御部415がキー34Cまたは外部装置9から入力される切替指示に応じて、タッチパネル33を無効状態と有効状態との間で切り替えるが、本発明はこれに限られない。例えば、入力制御部415は、タッチパネル33が有効状態であるとき、タッチパネル33から入力される切替指示に応じて、タッチパネル33を有効状態から無効状態に切り替えてもよい。あるいは、入力制御部415は、外部装置9のみから切替指示を受け付けてもよい。
【0065】
(変形例3)
上記各実施形態では、キー34Dの操作により作業画面SS3の表示が表示され、作業画面SS3に対するキー群34の操作により第2設定画面SS2が表示されるが、作業画面SS3の表示は省略されてもよい。すなわち、キー34Dの操作により、第2設定画面SS2が直ぐに表示されてもよい。
【0066】
(変形例4)
上記各実施形態または変形例3では、タッチパネル33が無効状態である場合に、所定のキー(本実施形態のキー34D)の操作に応じて、作業画面SS3または第2設定画面SS2が表示されるが、本発明はこれに限定されない。すなわち、タッチパネル33が有効状態である場合であっても、タッチパネル33が無効状態である場合と同様、所定のキー(本実施形態のキー34D)の操作に応じて、作業画面SS3または第2設定画面SS2が表示されてもよい。
【0067】
(変形例5)
上記各実施形態では、キー群34に含まれるキー34A~34Dを例示しているが、本発明はこれに限定されない。すなわち、キー群34におけるキーの数および種類は、上記各実施形態で例示されたものに限定されない。
【0068】
(変形例6)
上記各実施形態では、ハンディタイプの表面性状測定機1を例示したが、門型コラムや多関節アーム等によって検出器10が移動可能に支持される設置型の装置であってもよい。
また、上記各実施形態では、表面性状測定機1について説明したが、本発明はこれに限られない。本発明の測定装置は、例えば高さ測定機や真円度測定機など、タッチパネルにより測定条件を設定可能な装置であればよい。
【符号の説明】
【0069】
1…表面性状測定機、10…検出器、11…検出器本体、12…スタイラスアーム、13…スタイラス、14…検出素子、20…駆動部、21…モータ、22…送りねじ機構、23…保持部材、30…ユーザインターフェイス、31…表示部、32…操作部、33…タッチパネル、34…キー群、34A…キー、34B…キー、34C…キー、34D…キー、35…アイコン、40…制御部、41…演算部、411…測定部、412…入力部、413…表示制御部、414…設定部、415…入力制御部、42…記憶部、43…通信部、50…ケース、9…外部装置、HS…ホーム画面、SS1…第1設定画面、SS2…第2設定画面。
図1
図2
図3
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図5
図6