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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142994
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】多層麺類の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/109 20160101AFI20241003BHJP
【FI】
A23L7/109 B
A23L7/109 C
A23L7/109 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055431
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】301049777
【氏名又は名称】日清製粉株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若林万由香
(72)【発明者】
【氏名】吉田 匡
(72)【発明者】
【氏名】柴本 憲幸
(72)【発明者】
【氏名】貴島 聡
【テーマコード(参考)】
4B046
【Fターム(参考)】
4B046LA02
4B046LB04
4B046LB09
4B046LB10
4B046LC01
4B046LC02
4B046LE06
4B046LG02
4B046LG10
4B046LG14
4B046LG16
4B046LG29
4B046LG46
4B046LP03
4B046LP12
4B046LP15
4B046LP41
4B046LP51
4B046LP64
4B046LP69
4B046LP80
4B046LQ02
(57)【要約】
【課題】食感の良好な多層麺類を提供すること。
【解決手段】本発明の多層麺類の製造方法は、内層用の生地及び外層用の生地を製造する工程と、該生地を用いて生麺線を製造する工程とを有する。前記内層用の生地の製造では、原料として穀粉類及び乳化剤を使用し、且つ乳化剤の使用量を、該穀粉類100質量部に対して0.01~5質量部とする。前記外層用の生地の製造では、原料として穀粉類を使用し、且つ原料として乳化剤を使用しないか、又は原料として乳化剤を使用する場合は、該外層用の生地における乳化剤の使用量が、該外層用の生地中の穀粉類100質量部に対して、前記内層用の生地における乳化剤の穀粉類100質量部に対する使用量の20質量%以下となるようにする。前記乳化剤に代えて脂質分解酵素を使用してもよく、その場合、前記内層用の生地の製造では、原料として穀粉類及び脂質分解酵素を使用する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
麺線方向に直交する厚さ方向の断面視において、内層と、該内層の両側に位置する外層とを有する、多層麺類の製造方法であって、
前記内層用の生地及び前記外層用の生地を製造する工程と、製造した生地を用いて生麺線を製造する工程とを有し、
前記内層用の生地の製造では、原料として少なくとも穀粉類及び乳化剤を使用し、且つ乳化剤の使用量を、該穀粉類100質量部に対して0.01~5質量部とし、
前記外層用の生地の製造では、原料として少なくとも穀粉類を使用し、且つ原料として乳化剤を使用しないか、又は原料として乳化剤を使用する場合は、該外層用の生地における乳化剤の使用量が、該外層用の生地中の穀粉類100質量部に対して、前記内層用の生地における乳化剤の穀粉類100質量部に対する使用量の20質量%以下となるようにする、多層麺類の製造方法。
【請求項2】
前記乳化剤は脂肪酸エステルを含む、請求項1に記載の多層麺類の製造方法。
【請求項3】
前記乳化剤のHLB値が1~16である、請求項1又は2に記載の多層麺類の製造方法。
【請求項4】
麺線方向に直交する厚さ方向の断面視において、内層と、該内層の両側に位置する外層とを有する、多層麺類の製造方法であって、
前記内層用の生地及び前記外層用の生地を製造する工程と、製造した生地を用いて生麺線を製造する工程とを有し、
前記内層用の生地の製造では、原料として少なくとも穀粉類及び脂質分解酵素を使用する、多層麺類の製造方法。
【請求項5】
前記外層用の生地の製造では、原料として少なくとも穀粉類を使用し、且つ原料として脂質分解酵素を使用しないか、又は原料として脂質分解酵素を使用する場合は、該外層用の生地における脂質分解酵素の活性量が、前記内層用の生地における脂質分解酵素の活性量の20%以下となるようにする、請求項4に記載の多層麺類の製造方法。
【請求項6】
前記脂質分解酵素はリパーゼを含む、請求項4又は5に記載の多層麺類の製造方法。
【請求項7】
前記生麺線において、前記外層と前記内層との厚さの比率が、外層/内層として、1:0.25~4である、請求項1又は4に記載の多層麺類の製造方法。
【請求項8】
前記生麺線を加熱調理して調理済み麺線を製造する工程と、該調理済み麺線を冷蔵又は冷凍する工程とを有する、請求項1又は4に記載の多層麺類の製造方法。
【請求項9】
前記多層麺類は、電子レンジを用いて加熱することで喫食可能状態となる、請求項1又は4に記載の多層麺類の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚さ方向に複数の層が積層された構成を有する多層麺類に関する。
【背景技術】
【0002】
多層麺類の典型例として、厚さ方向の断面視において、内層と、該内層の両側に位置する一対の外層とを有する三層麺類が知られており、三層麺類に関する改良技術が種々提案されている。例えば特許文献1には、三層麺類の製造方法として、内層及び外層それぞれの生地を、粗蛋白含量が特定範囲に調整された小麦粉等の製麺原料を用いて製造することが記載されており、実施例では、内層及び外層の双方に乳化油脂が配合された三層生麺(生スパゲティ)を製造している(特許文献1の[0066]、[0067]、[0072]及び[0073])。特許文献1に記載の製造方法によれば、外観及び食感に優れる三層麺類が得られるとされている。
【0003】
特許文献2には、三層麺類からなるフライ即席麺において、内層に乳化油脂を含有させ、外層には乳化油脂を含有させないことが記載されている。ここで言う乳化油脂について、特許文献2には、油相と水相とを水中油型に乳化させた水中油型乳化油脂組成物であると記載されており、該油相の一例として、食用油脂に乳化剤を溶解させたものが記載されている。
【0004】
特許文献3には、三層麺類において、内層に外層よりも多量の「n-3系脂肪酸を含む油脂」を含有させることが記載されている。このn-3系脂肪酸を含む油脂について、特許文献3には、3価アルコールであるグリセリンの各水酸基に脂肪酸がエステル結合したものであり、通常はトリグリセリドの形態をとる化合物の総称であると記載されており、微量のモノグリセリドが含まれることを許容することも記載もされている(特許文献3の[0016])。
【0005】
特許文献4には、多層麺類の外層にキシラナーゼ等のヘミセルラーゼを含有させることが記載されている。特許文献4に記載の多層麺類は、麺線どうしが付着しにくくてほぐれやすく、食感も向上しているとされている。ヘミセルラーゼは、澱粉等の複合多糖類の分解酵素であり、脂質分解酵素ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-151071号公報
【特許文献2】特開2015-136342号公報
【特許文献3】特開2022-47696号公報
【特許文献4】特開2013-85490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
麺類の食感の向上等を目的として、麺類にモノグリセリド等の乳化剤を配合する技術は公知である。しかしながら、麺類に乳化剤を配合すると、麺類が硬く脆いものとなり、食感が低下する傾向がある。特に、乳化剤入りの麺類を加熱調理した後に冷蔵又は冷凍保存した場合、その調理済みの冷蔵又は冷凍麺類を喫食する際には、これを加熱して喫食可能状態とする必要があり、その加熱方法として電子レンジ加熱が汎用されているところ、調理済みの麺類はマイクロ波を吸収しやすく、電子レンジ加熱時に過加熱により、歯切れが悪く硬い食感となりやすい。
【0008】
本発明の課題は、食感の良好な多層麺類を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、加熱調理直後のみならず、加熱調理したものを冷蔵又は冷凍保存後に再加熱した場合でも、食感が良好な麺類を得るべく種々検討した結果、麺類の層構造として、三層麺類に代表される、内層及び外層を含む積層構造を採用するとともに、内層に外層よりも多量の乳化剤(脂肪酸エステル等)を配合することで、目的の特性を有する多層麺類が得られるとの知見(第1の知見)を得た。また本発明者は、この第1の知見を基に更に検討した結果、リパーゼに代表される脂質分解酵素を麺類に配合することで、麺類に含まれる穀粉類由来の脂質(脂肪酸)が脂質分解酵素によって分解され、その分解生成物が乳化剤と同様の働きをするとの知見(第2の知見)を得た。
【0010】
本発明(第1発明)は、前記第1の知見に基づきなされたもので、麺線方向に直交する厚さ方向の断面視において、内層と、該内層の両側に位置する外層とを有する、多層麺類の製造方法であって、
前記内層用の生地及び前記外層用の生地を製造する工程と、製造した生地を用いて生麺線を製造する工程とを有し、
前記内層用の生地の製造では、原料として少なくとも穀粉類及び乳化剤を使用し、且つ乳化剤の使用量を、該穀粉類100質量部に対して0.01~5質量部とし、
前記外層用の生地の製造では、原料として少なくとも穀粉類を使用し、且つ原料として乳化剤を使用しないか、又は原料として乳化剤を使用する場合は、該外層用の生地における乳化剤の使用量が、該外層用の生地中の穀粉類100質量部に対して、前記内層用の生地における乳化剤の穀粉類100質量部に対する使用量の20質量%以下となるようにする、多層麺類の製造方法である。
【0011】
また本発明(第2発明)は、前記第2の知見に基づきなされたもので、麺線方向に直交する厚さ方向の断面視において、内層と、該内層の両側に位置する外層とを有する、多層麺類の製造方法であって、
前記内層用の生地及び前記外層用の生地を製造する工程と、製造した生地を用いて生麺線を製造する工程とを有し、
前記内層用の生地の製造では、原料として少なくとも穀粉類及び脂質分解酵素を使用する、多層麺類の製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、加熱調理直後は勿論のこと、加熱調理したものを冷蔵又は冷凍保存後電子レンジで加熱した場合でも、歯切れがよく、硬さないし脆さがなく、食感の良好な多層麺類が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の製造方法の製造目的物である多層麺類は、1本以上の麺線を含み、典型的には、複数本の麺線の集合体を含む。前記麺線は、一方向に長い線状をなし、その長手方向に対応する麺線方向と、該麺線方向に直交する厚さ方向とを有し、且つ該厚さ方向の断面視において、内層と、該内層の両側に位置する外層とを有する。
【0014】
前記麺線は、少なくとも内層とその厚さ方向の両側に位置して該内層に接触する外層とからなる三層構造を有していればよく、該三層構造の厚さ方向の外側(該三層構造を構成する外層よりも外側)に更に他の層が積層されていてもよい。前記他の層は、前記三層構造を構成する内層と同じ組成の層でもよく、該三層構造を構成する外層と同じ組成の層でもよく、該内層及び該外層の双方とは異なる組成の層でもよい。
前記麺線は、典型的には、厚さ方向の断面視において方形をなし、三層以上の複数の層が厚さ方向に積層した積層型(サンドイッチ型)であるが、厚さ方向の断面視において円形をなし、外層が内層を同心状に覆う同心状型であってもよい。積層型の三層構造の麺線は、厚さ方向の両端部を形成する一対の外層と、該一対の外層の間に介在配置された内層とからなる。同心状型の三層構造の麺線は、1本の紐状あるいは棒状の内層(芯部)と、該内層の周面を覆う外層(鞘部)とからなり、同心状二層構造とも言える。
【0015】
本発明の多層麺類の製造方法は、原料として乳化剤を使用する第1発明と、原料として脂質分解酵素を使用する第2発明とに大別される。以下、まず、第1発明について説明する。
【0016】
第1発明は、生地を製造する工程(生地製造工程)と、製造した生地を用いて生麺線を製造する工程(麺線製造工程)とを有する。
【0017】
前記生地製造工程では、内層を形成する内層用生地と外層を形成する外層用生地とを製造する。両生地の原料は少なくとも穀粉類を含む。
第1発明において「穀粉類」とは、穀物由来の常温常圧で粉体の物質であり、穀粉及び澱粉を含む。ここで言う「澱粉」とは、小麦等の植物から単離された「純粋な澱粉」を指し、穀粉又は全粒粉中に本来的に内在する澱粉とは区別される。また、「穀粉類」の由来となる前記穀物は、禾穀類(イネ科植物の種子)のみならず、擬禾穀類(双子葉植物の種子)、菽穀類(マメ科植物の種子)、イモ類(食用となる塊根又は塊茎)等、その中に成分として澱粉が内在しているものであればよい。
【0018】
穀粉としては、例えば、小麦粉、米粉、大麦粉、モチ大麦粉、そば粉、大豆粉、コーンフラワー、オーツ麦粉等の、胚乳部を主体とする穀粉が挙げられる。小麦粉には、強力粉、中力粉、薄力粉、デュラムセモリナ、デュラム小麦粉等が含まれる。穀粉の他の具体例として、少なくとも外皮部及び/又は胚部を含む穀粉、例えば、外皮部を主体とする「ふすま」、胚乳部、外皮部及び胚部の主要3成分を含む「全粒粉」が挙げられる。ふすま、全粒粉の具体例として、小麦由来である小麦ふすま、小麦全粒粉が挙げられる。
澱粉としては、例えば、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉等の未加工澱粉;未加工澱粉に加工処理(例えば、α化処理、アセチル化処理、エーテル化処理、エステル化処理、酸化処理、架橋処理)の1つ以上を施した加工澱粉が挙げられる。
第1発明では、穀粉類の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
第1発明では、生地の原料として穀粉類に加えて更に乳化剤を使用するところ、第1発明は、以下のように、内層用生地と外層用生地とで乳化剤の使用形態が異なる点で特徴付けられる。
内層用生地の製造では、原料として少なくとも穀粉類及び乳化剤を使用し、且つ乳化剤の使用量を、該穀粉類100質量部に対して0.01~5質量部、好ましくは0.05~3.0質量部、より好ましくは0.1~2.0質量部とする。内層用生地の製造において、乳化剤の使用量が、これと併用する穀粉類100質量部に対して0.01質量部未満では、乳化剤による効果(麺線の食感向上効果)が不十分となるおそれがあり、また、該穀粉類100質量部に対して5質量部を超えると、麺が全体的に硬く、脆すぎる食感となるおそれがある。
外層用生地の製造では、1)原料として少なくとも穀粉類を使用し、且つ原料として乳化剤を使用しないか、又は2)原料として乳化剤を使用する場合は、外層用生地における乳化剤の使用量が、外層用生地中の穀粉類100質量部に対して、内層用生地における乳化剤の穀粉類100質量部に対する使用量の20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは1質量%以下となるようにする。すなわち、例えば、内層用生地における乳化剤の穀粉類100質量部に対する使用量が0.5質量部である場合において、外層用生地の製造で原料として乳化剤を使用する場合、外層用生地における乳化剤の使用量は、外層用生地中の穀粉類100質量部に対して、0.1(=0.5×0.2)質量部以下、好ましくは0.05(=0.5×0.1)質量部以下、より好ましくは0.005(=5×0.01)質量部以下とする。外層用生地の製造において、該生地における乳化剤の使用量が、該生地中の穀粉類100質量部に対して、内層用生地における乳化剤の穀粉類100質量部に対する使用量の20質量%を超えると、麺が全体的に硬く、脆すぎる食感となるおそれがある。
【0020】
外層用生地の製造において、原料として乳化剤を使用する場合、外層用生地における乳化剤の使用量は、内層用生地における乳化剤の使用量との関係で前記の条件を満たすことを前提として、外層用生地中の穀粉類100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下、更に好ましくは0.01質量部以下である。
【0021】
乳化剤としては、各種食品に通常用いられるものを特に制限無く用いることができ、例えば、モノグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル;レシチン、リゾレシチン等のレシチン類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの乳化剤の中でも、脂肪酸エステルが特に好ましい。脂肪酸エステルの中でも特に、モノグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルが好ましい。
本発明で用いる乳化剤は、乳化油脂の形態のもの(乳化剤、油脂及び水性液体を含有するもの)であってもよく、乳化油脂の形態ではないもの(油脂及び水性液体を含有しないもの)であってもよい。なお、本発明で乳化剤として乳化油脂を使用する場合、内層用生地又は外層用生地の製造における乳化油脂の使用量としては、乳化油脂全体の使用量でなく、乳化油脂に含まれる乳化剤の使用量が、前記の好ましい範囲となるようにすることが好ましい。
【0022】
好ましい乳化剤の一例として、HLB値が好ましくは1~16、より好ましくは1~10の範囲にあるものが挙げられる。HLB値が斯かる好ましい範囲にある乳化剤を生地に使用することで、第1発明の所定の効果(食感の良好な多層麺類の提供)が一層確実に奏され得る。
好ましい乳化剤の他の一例として、炭素原子数が好ましくは12~22、より好ましくは14~18の範囲にあるものが挙げられる。炭素原子数が斯かる好ましい範囲にある乳化剤を生地に使用することで、第1発明の所定の効果が一層確実に奏され得る。
【0023】
前記生地製造工程では、常温常圧(具体的には雰囲気温度20℃、1気圧)で粉体である粉体原料と、常温常圧で液体である液体原料とを用いて、内層用生地及び外層用生地を製造する。
粉体原料としては、前記の穀粉類及び乳化剤以外の他の粉体原料を用いることができる。他の粉体原料としては、例えば、小麦蛋白、小麦グルテン、大豆蛋白質、卵黄粉、卵白粉、全卵粉、脱脂粉乳等の蛋白質素材;動植物油脂、粉末油脂等の油脂類;かんすい、焼成カルシウム、膨張剤、増粘剤、食塩、糖類、甘味料、香辛料、調味料、ビタミン類、ミネラル類、色素、香料、アルコール、保存剤が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
液体原料としては、典型的には、水が用いられるが特に制限されず、例えば、水に塩などの調味料を溶解又は分散させた調味液、卵液等を用いることができる。
【0024】
前記生地製造工程では、内層用生地及び外層用生地をそれぞれ個別に製造する。両生地の製造は常法に従って行うことができる。典型的には、粉体原料と液体原料とを混合し、その混合物をミキサー等により混捏することで、多数の麺粒の集合体からなるそぼろ状の生地(粗生地)を製造する。
粉体原料と混合する液体原料の量は、製造する多層麺類の種類等に応じて適宜調整すればよく、特に制限されないが、例えば、粉体原料100質量部に対して、好ましくは25~55質量部、より好ましくは30~50質量部である。
【0025】
前記麺線製造工程では、前記生地製造工程で個別に製造した内層用生地及び外層用生地を用いて生麺線を形成、すなわち製麺する。生麺線は、加熱、乾燥等の処理が施されていない麺線である。生麺線を加熱調理することで、喫食可能な調理済み麺線となる。
製麺は常法に従って実施することができ、製造する麺類の種類、麺類の形状等に応じて、機械製法、手延べ製法、手打ち製法、押出製法等の公知の製麺法から選択し得る。第1発明で採用可能な製麺法の一例として、圧延製麺、ロール製麺等の各種製麺法により、生地(粗生地)に圧力をかけて伸ばして麺帯を得、該麺帯を切り出して生麺線を得る方法が挙げられる。第1発明で採用可能な製麺法の他の一例として、生地(粗生地)に圧力をかけて押出製麺する方法が挙げられる。押出製麺は、パスタ製造用の一軸押出製麺機や二軸押出製麺機等を用いて常法に従って行うことができ、その際、押出製麺機の麺線の押出部に所望の形状の孔を有するダイスを設置して押出し成形することで、その孔に対応した形状の生麺線が得られる。生麺線の横断面の形状は特に限定されず、円形、方形、楕円形、三角形などの何れの形状であってもよい。
好ましい製麺法として、圧延製麺法が挙げられる。例えば圧延製麺法によって、積層型の三層構造の生麺線を形成する場合は、一層の内層用生地の両側に二層の外層用生地を重ね合わせて三層構造の積層体を得、該積層体を圧延して麺帯を得、該麺帯を切り刃で切断することで、目的の三層構造の生麺線が得られる。
【0026】
前記麺線製造工程で形成された生麺線において、外層と内層との厚さの比率は特に制限されないが、第1発明の所定の効果を一層確実に奏させるようにする観点から、外層/内層として、好ましくは1:0.25~4、より好ましくは1:0.33~3である。例えば、製造目的の多層麺類が、内層と該内層の厚さ方向の両外方に位置する一対の外層とからなる、積層型の三層構造である場合、各層の厚さの比率は、外層/内層/外層として、好ましくは0.25~4/1/0.25~4、より好ましくは0.33~3/1/0.33~3である。
前記生麺線を構成する各層(外層、内層)の厚さは、互いに異なっていてもよいが、同程度であることが好ましい。
前記生麺線の厚さは、多層麺類の種類等に応じて適宜調整すればよく特に制限されないが、典型的には、1~5mm程度である。
【0027】
第1発明の製造目的物である多層麺類は、典型的には生麺であるが、生麺に限定されず、例えば、半生麺、乾麺、冷蔵麺、冷凍麺であり得る。
製造目的の多層麺類が生麺の場合、その製造方法は典型的には、前記生地製造工程及び前記麺線製造工程のみを有し、生麺線からなる多層麺類を製造する。
製造目的の多層麺類が半生麺又は乾麺の場合、その製造方法は典型的には、前記麺線製造工程で得られた生麺線を乾燥する乾燥工程を有する。前記乾燥工程における生麺線の乾燥法は特に制限されず、従前の方法を採用できる。
製造目的の多層麺類が冷蔵麺又は冷凍麺の場合、その製造方法は典型的には、前記麺線製造工程で得られた生麺線又は該生麺線を加熱調理した調理済み麺線を冷蔵又は冷凍する工程を有する。
【0028】
第1発明は、前記生地製造工程及び前記麺線製造工程に加えて更に、該麺線製造工程で製造した生麺線を加熱調理して調理済み麺線を製造する工程(調理工程)と、該調理済み麺線を冷蔵する工程(冷蔵工程)又は該調理済み麺線を冷凍する工程(冷凍工程)とを有していてもよい。前記調理工程における生麺線の加熱調理法は特に制限されず、例えば、茹で調理、蒸し調理、揚げ調理、炒め調理が挙げられる。また、前記冷蔵工程における調理済み麺線の冷蔵法、及び前記冷凍工程における調理済み麺線の冷凍法は、それぞれ特に制限されず、公知の方法を適宜利用できる。
【0029】
第1発明の製造目的物である多層麺類は、電子レンジを用いて加熱することで喫食可能状態となるもの、すなわち電子レンジ加熱用多層麺類であり得る。例えば、前記冷蔵工程を経て製造された調理済み冷蔵多層麺類、及び前記冷凍工程を経て製造された調理済み冷凍多層麺類は、それぞれ、電子レンジ加熱用多層麺類であり得る。
前述したとおり、麺類に乳化剤を配合すると、麺類が硬く脆いものとなって食感が低下する傾向があり、また、調理済み麺線は、電子レンジ加熱時に過加熱を受けやすく食感が低下しやすい傾向がある。第1発明により提供される電子レンジ加熱用多層麺類は、少なくとも内層に乳化剤を含有し、これらの悪い傾向が発現することが懸念されるものであるが、前述した特徴(内層用生地と外層用生地とで乳化剤の使用形態が異なる)により、斯かる懸念は払拭されており、電子レンジ加熱後でも歯切れがよく、硬さないし脆さがなく、食感が良好である。
【0030】
第1発明が適用可能な多層麺類の種類は特に制限されず、例えば、うどん、そば、素麺、冷麦、中華麺、パスタ(ショートパスタ、ロングパスタ、平打ちパスタ等を含む)が挙げられる。
【0031】
次に、第2発明について説明する。第2発明については、主として、第1発明と異なる点を説明する。第2発明において特に説明しない点については、第1発明についての説明が適宜適用される。
【0032】
第2発明は、第1発明と同様に、生地を製造する工程(生地製造工程)と、製造した生地を用いて生麺線を製造する工程(麺線製造工程)とを有し、該生地製造工程では、内層を形成する内層用生地と外層を形成する外層用生地とを製造する。両生地の原料は少なくとも穀粉類を含む。
【0033】
第2発明は、内層用生地の製造において、原料として穀粉類に加えて更に脂質分解酵素を使用する点で特徴付けられる。この特徴により、内層に含まれる穀粉類由来の脂質(脂肪酸)が脂質分解酵素によって分解され、その分解生成物が乳化剤と同様の働きをする結果、食感の良好な多層麺類が得られる。第2発明では、生地の製造において、脂質分解酵素の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
脂質分解酵素としては、例えば、ホスホリパーゼ及びリパーゼが挙げられる。
ホスホリパーゼとしては、例えば、ホスホリパーゼA1、ホスホリパーゼA2、ホスホリパーゼB等のリン脂質のエステル結合を加水分解する酵素;ホスホリパーゼC、ホスホリパーゼD等のホスホジエステラーゼが挙げられる。
リパーゼとしては、例えば、トリグリセリドのエステル結合を加水分解する各種酵素が挙げられる。リパーゼは油脂位置特異性を有するものであってもよく、その具体例として、トリグリセリドの1,3位のエステル結合を特異的に加水分解する性質(トリグリセリドの1,3位への油脂位置特異性)を有するもの、トリグリセリドの2位のエステル結合を特異的に加水分解する性質(トリグリセリドの2位への油脂位置特異性)を有するものが挙げられる。
ホスホリパーゼ及びリパーゼは何れも、脂質(脂肪酸)の鎖長特異性を有するものでもよく、これを有しないものでもよい。
【0035】
第2発明で使用する脂質分解酵素はリパーゼを含むことが好ましく、リパーゼのみを含むことがより好ましい。これにより第2発明の所定の効果が一層確実に奏され得る。
好ましいリパーゼとして、1)トリグリセリドの1,3位への油脂位置特異性を有するもの、及び2)短鎖又は中鎖の脂肪酸を特異的に加水分解する性質(短・中鎖特異性)を有するものが挙げられる。短・中鎖特異性を有するリパーゼの具体例として、炭素原子数12以下の脂肪酸の方が、炭素原子数18以上の脂肪酸に比べて加水分解しやすいものが挙げられる。
リパーゼとしては、リゾプス(Rhizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ムコール(Mucor)属の微生物が生産するリパーゼを好適に使用することができる。
【0036】
ホスホリパーゼ及びリパーゼとしては、市販品を用いることができる。
市販のホスホリパーゼとして、例えば、「デナベイクRICH」(ナガセケムテックス株式会社製)、「PLA2ナガセ10P/R」(ナガセケムテックス株式会社製)が挙げられる。
トリグリセリドの1,3位への油脂位置特異性を有する市販のリパーゼとしては、「リリパーゼA5」(ナガセケムテックス株式会社製)、「リパーゼ AS『アマノ』」(天野エンザイム株式会社)、「リパーゼM『アマノ』10」(天野エンザイム株式会社)が挙げられる。これら3種の市販のリパーゼのうち、前2者は、トリグリセリドの1,3位への油脂位置特異性に加えて更に短・中鎖特異性を有する。油脂位置特異性及び鎖長特異性を有しない市販のリパーゼとしては、「リパーゼAY『アマノ』30SD」(天野エンザイム株式会社製)が挙げられる。
【0037】
内層用生地の製造では、原料として少なくとも穀粉類及び脂質分解酵素を使用するところ、脂質分解酵素の使用量は、第2発明の所定の効果(食感の良好な多層麺類の提供)を一層確実に奏させるようにする観点から、該穀粉類100質量部に対して、好ましくは0.01~3.0質量部、より好ましくは0.05~2.0質量部、更に好ましくは0.1~1.5質量部である。内層用生地の製造において、脂質分解酵素の使用量が、これと併用する穀粉類100質量部に対して少なすぎると、脂質分解酵素による効果(麺線の食感向上効果)が不十分となるおそれがあり、また、該穀粉類100質量部に対して多すぎると、麺が全体的に硬く、脆すぎる食感となるおそれがある。
【0038】
一方、外層用生地の製造では、1)原料として少なくとも穀粉類を使用し、且つ原料として脂質分解酵素を使用しないか、又は2)原料として脂質分解酵素を使用する場合は、外層用生地における脂質分解酵素の活性量が、内層用生地における脂質分解酵素の活性量の20%以下となるようにすることが好ましく、より好ましくは10%以下である。すなわち第2発明では、内層用生地の方が外層用生地に比べて脂質分解酵素の活性が高くなるようにすること、換言すれば、当該生地中の穀粉類由来の脂質の脂質分解酵素による分解生成物が多くなるようにすることが好ましい。斯かる第2発明における脂質分解酵素の影響の偏在は、第1発明における乳化剤の偏在に対応するものであり、これにより第1発明と同様の効果が期待できる。
【0039】
前記「活性量」とは、穀粉類の単位質量あたりの脂質分解酵素の活性を意味し、U(ユニット)の単位で表される。
脂質分解酵素の活性量は、脂質分解酵素の種類に応じた基準に基づいて測定される。例えば、測定対象の脂質分解酵素が、位置特異性を有しないリパーゼの場合、前記「リパーゼAY『アマノ』30SD」(力価2500U/g)を基準とすることができる。また、測定対象の脂質分解酵素が、位置特異性を有するリパーゼの場合、前記「リリパーゼA5」(力価100000~120000U/g)を基準とすることができる。
脂質分解酵素の活性量は、本技術分野で一般的な方法により測定できる。例えば、基質として、パルミチン酸、エイコサペンタエン酸又はドコサヘキサエン酸を側鎖として有するトリグリセリドを用い、雰囲気温度37℃、該基質のpH7.0の条件で、該基質100gに測定対象の脂質分解酵素1gを添加し、その酵素添加時点から所定時間以内に生成する該基質の分解生成物(パルミチン酸、エイコサペンタエン酸又はドコサヘキサエン酸)の量を測定し、その測定値から当該脂質分解酵素の活性量を算出する。前記「所定時間」、すなわち基質がある程度分解されるのに要する時間は、測定対象の脂質分解酵素の種類等に応じて適宜設定する。例えば、測定対象の脂質分解酵素が、位置特異性を有しないリパーゼである場合は20分とし、位置特異性があるリパーゼである場合は60分とする。
【0040】
内層用生地の製造における脂質分解酵素の使用量については、併用する穀粉類との関係では前述したとおりである。内層用生地の製造における脂質分解酵素の使用量は、脂質分解酵素の活性量の観点からは、脂質分解酵素の性質(特異性)を考慮して適宜設定することが好ましい。
例えば、脂質分解酵素として位置特異性を有しないリパーゼを用いる場合、内層用生地の製造における該リパーゼの使用量は、該リパーゼの活性量が、穀粉類100gに対し、好ましくは10~10000U、より好ましくは25~2500Uとなる量である。
また、脂質分解酵素として位置特異性を有するリパーゼを用いる場合、内層用生地の製造における該リパーゼの使用量は、該リパーゼの活性量が、穀粉類100gに対し、好ましくは1000~120000U、より好ましくは5000~60000Uとなる量である。
【0041】
第2発明では、脂質分解酵素による効果を十分に発現させる観点から、穀粉類、脂質分解酵素及び水等の液体原料を混合した時点から、前記麺線製造工程を経て製造された生麺線が加熱処理(加熱調理、加熱乾燥等)に供されるまでの間に、脂質分解酵素の反応時間を設けてもよい。特に脂質分解酵素としてリパーゼを用いる場合は、リパーゼの反応時間を設けることが好ましい。
ここで言う「脂質分解酵素の反応時間」とは、脂質分解酵素を含む組成物(生地又は麺線)の品温が、該脂質分解酵素の至適温度である時間を指し、好ましくは10分以上、より好ましくは20分以上である。脂質分解酵素の至適温度は、脂質分解酵素によって異なるが、リパーゼの場合、典型的には30℃以上である。
尤も、通常は、穀粉類及び脂質分解酵素をはじめとする生地原料(粉体原料及び液体原料)を混合した時点から、その混合物からなる生麺線を加熱調理等の加熱処理に供するまでの時間は、脂質分解酵素の反応時間よりも長く、また、その間の脂質分解酵素の品温は、該脂質分解酵素の至適温度に一致するので、前記生地製造工程及び/又は前記麺線製造工程において、あるいは該麺線製造工程の後などに、脂質分解酵素の反応時間を別途設ける必要はない。
【実施例0042】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0043】
〔実施例A1~10、B1~6、比較例1~3:多層麺類の製造〕
積層型の三層構造の多層麺類からなる生うどんを製造した。具体的には、まず、下記表1、2の「内層」の欄に記載の組成の粉体原料に、液体原料として水を添加し混合して混合物を得、該混合物を減圧(-0.093MPa)下で混捏し、圧延してシート状の内層用生地を製造した。また、下記表1、2の「外層」の欄に記載の組成の粉体原料に、液体原料として水を添加し混合して混合物を得、該混合物を減圧(-0.093MPa)下で混捏し、圧延してシート状の外層用生地を製造した。次に、2枚の外層用生地の間に1枚の内層用生地を介在させて三層構造の積層体を得、更に、該積層体を圧延して麺帯を得、該麺帯を切り刃(#10角)で切断して麺線に切り出し、目的の三層構造の生麺線からなる多層麺類(生うどん)を製造した。製造した多層麺類(生麺線)の厚さは3mm、該多層麺類における各層の厚さの比率は下記表1、2に示すとおりであった。なお、粉体原料として脂質分解酵素を使用した場合(実施例B1~6及び比較例3)、前記「脂質分解酵素の反応時間」は30分であった。
【0044】
多層麺類の製造に使用した原料の詳細は下記のとおりである。
・小麦粉:中力粉、日清製粉株式会社製「宝雲」
・加工澱粉:アセチル化タピオカ澱粉、松谷化学工業株式会社製「あじさい」
・乳化剤A:モノグリセリン脂肪酸エステル(HLB値3.8)、花王株式会社製「エキセルS-95パウダー」
・乳化剤B:ショ糖脂肪酸エステル(HLB値1、炭素原子数18)、三菱ケミカル株式会社製「リョートシュガーエステルS-170」
・乳化剤C:ショ糖脂肪酸エステル(HLB値2、炭素原子数18)、三菱ケミカル株式会社製「リョートシュガーエステルS-270」
・乳化剤D:ショ糖脂肪酸エステル(HLB値7、炭素原子数18)、三菱ケミカル株式会社製「リョートシュガーエステルS-770」
・脂質分解酵素:リパーゼ(力価2500U/g、至適温度40℃)、天野エンザイム株式会社製「リパーゼAY『アマノ』30SD」
【0045】
〔評価試験〕
各実施例及び比較例の多層麺類(生うどん)を、歩留まりが250質量%程度となるように熱湯で茹で調理した後、水洗冷却し、調理済み麺線(調理済みうどん)を得た。この調理済み麺線200gからなる麺塊を庫内温度-30℃のショックフリーザーに入れて急速冷凍し、調理済み冷凍多層麺類(調理済み冷凍うどん)を製造した。この調理済み冷凍多層麺類を庫内温度-20℃の冷凍庫で1週間保存した後、電子レンジを用いて出力600Wで4分間加熱解凍することで喫食可能な状態の多層麺類(調理済みうどん)を得、この多層麺類を10名の専門パネラーに食してもらい、その際の食感(歯切れ、脆さ)を下記評価基準により評価してもらった。その結果(10名の専門パネラーの評価点の算術平均値)を下記表1~2に示す。
【0046】
<歯切れの評価基準>
5点:歯切れが非常に良い。
4点:歯切れがかなり良い。
3点:歯切れがよく、合格レベル。
2点:歯切れがやや劣る。
1点:歯切れが非常に劣る。
<脆さの評価基準>
5点:脆くなく、非常に良好。
4点:脆さをほとんど感じず、良好。
3点:脆さがあるが問題ない程度であり、合格レベル。
2点:やや脆く、やや不良。
1点:脆く、不良。
【0047】
【表1】
【0048】
表1に示すとおり、各実施例は、内層用生地の製造では乳化剤の使用量を穀粉類100質量部に対して0.01~5質量部とし、且つ外層用生地の製造では乳化剤を使用しなかったため、これを満たさない比較例1及び2に比べて、冷凍保存した多層麺類の電子レンジ加熱後の食感(歯切れ、脆さ)に優れていた。
【0049】
【表2】
【0050】
表2に示すとおり、各実施例は、内層用生地の製造で原料として脂質分解酵素を使用したため、これを満たさない比較例1及び3に比べて、冷凍保存した多層麺類の電子レンジ加熱後の食感(歯切れ、脆さ)に優れていた。