(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143015
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】駆動制御装置、駆動制御方法、プログラム及びプローバ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20241003BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20241003BHJP
【FI】
H01L21/66 B
G01R31/26 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055465
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】深野 英志
【テーマコード(参考)】
2G003
4M106
【Fターム(参考)】
2G003AA10
2G003AG04
2G003AH07
4M106AA01
4M106BA01
4M106DD03
4M106DD05
4M106DD06
4M106DD10
4M106DD13
4M106DD18
4M106DD23
4M106DJ03
4M106DJ05
4M106DJ07
(57)【要約】
【課題】プローブに対してウェーハがコンタクトする際のプローブの破損等が抑制される、駆動制御装置、駆動制御方法、プログラム及びプローバを提供する。
【解決手段】駆動制御装置(40)は、目標位置を設定する目標位置設定部(46)、コンタクト動作開始位置から目標位置へ向けて、第1方向についてプローブとウェーハと相対移動させる動作指令を、駆動装置へ送信する動作指令送信部(52)、目標位置において目標トルク指標を設定する目標トルク指標設定部(66)、仮検査位置において、検査トルク指標を取得する検査トルク指標取得部(62)、検査トルク指標が目標トルク指標に達する仮検査位置を目標トルク位置として設定する目標トルク位置設定部(66)を備え、半導体チップの検査が実施される際にコンタクト動作開始位置と目標トルク位置に基づき規定されるコンタクト位置との間の相対移動を実施する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体チップが形成されるウェーハのチップ形成面に対して交差する第1方向について、前記ウェーハに対して試験信号を供給するプローブと前記ウェーハとを相対移動させる移動機構に具備されるモータの駆動装置を制御する駆動制御装置であって、
前記ウェーハに対して前記プローブをコンタクトさせる際の目標位置を設定する目標位置設定部と、
前記目標位置において前記モータが発生させる第1トルクの指標を目標トルク指標として設定する目標トルク指標設定部と、
前記プローブが前記ウェーハから離間したコンタクト動作開始位置から前記目標位置までの1以上の仮検査位置において、前記モータが発生させる第2トルクの指標を検査トルク指標として取得する検査トルク指標取得部と、
前記検査トルク指標が前記目標トルク指標に達する前記仮検査位置を目標トルク位置として設定する目標トルク位置設定部と、
前記ウェーハに対して前記プローブをコンタクトさせる際の前記コンタクト動作開始位置と前記目標トルク位置との間の前記相対移動を実施する動作指令を前記駆動装置へ送信する動作指令送信部と、
を備える駆動制御装置。
【請求項2】
前記目標トルク指標設定部は、前記複数の半導体チップにおける最初に検査が実施される半導体チップの前記検査の際に前記モータが発生させる第3トルクの指標を取得し、前記第3トルクの指標を前記目標トルク指標として設定する請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項3】
前記目標トルク指標設定部は、前記目標トルク指標の取得が要求される場合に、任意の半導体チップの検査の際に前記モータが発生させる第4トルクの指標を取得し、前記第4トルクの指標を前記目標トルク指標として設定する請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項4】
前記モータへ供給される駆動電流を検出する駆動電流検出部を備え、
前記目標トルク指標設定部は、前記駆動電流検出部を用いて検出された前記駆動電流を前記第1トルクの指標として取得する請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項5】
前記動作指令送信部は、前記検査トルク指標を取得する際に、前記コンタクト動作開始位置から前記目標位置までの距離未満の送り距離を適用して、前記送り距離ごとに前記相対移動を停止させる動作指令を前記駆動装置へ送信し、
前記検査トルク指標取得部は、前記相対移動の停止位置ごとに前記第2トルクの指標を前記検査トルク指標として取得し、
前記目標トルク位置設定部は、前記検査トルク指標が前記目標トルク指標に達する前記相対移動の停止位置を、前記目標トルク位置として設定する請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項6】
前記モータへ供給される駆動電流を検出する駆動電流検出部であり、規定のサンプリング周期を適用して、複数回の前記駆動電流のサンプリングを実施する駆動電流検出部を備え、
前記目標トルク指標設定部は、前記第1トルクの指標として前記駆動電流の変化を取得し、前記取得した前記駆動電流の変化を前記目標トルク指標として設定し
前記目標位置設定部は、前記駆動電流の変化に応じて前記目標位置を設定し、
前記検査トルク指標取得部は、前記仮検査位置における前記駆動電流の変化を前記第2トルクの指標である前記検査トルク指標として取得し、
前記目標トルク位置設定部は、前記目標位置における前記駆動電流の変化に対応する前記駆動電流の変化が生じたタイミングにおける前記仮検査位置を前記目標トルク位置として設定する基準位置とする請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項7】
複数の半導体チップが形成されるウェーハのチップ形成面に対して交差する第1方向について、前記ウェーハに対して試験信号を供給するプローブと前記ウェーハとを相対移動させる移動機構に具備されるモータの駆動装置を制御する駆動制御方法であって、
前記駆動装置に適用されるコンピュータが、
前記ウェーハに対して前記プローブをコンタクトさせる際の目標位置を設定する目標位置設定工程と、
前記目標位置において、前記モータが発生させる第1トルクの指標を目標トルク指標として設定する目標トルク指標設定工程と、
前記プローブが前記ウェーハから離間したコンタクト動作開始位置から前記目標位置までの1以上の仮検査位置において、前記モータが発生させる第2トルクの指標を検査トルク指標として取得する検査トルク指標取得工程と、
前記検査トルク指標が前記目標トルク指標に達する前記仮検査位置を目標トルク位置として設定する目標トルク位置設定工程と、
前記ウェーハに対して前記プローブをコンタクトさせる際の前記コンタクト動作開始位置と前記目標トルク位置との間の前記相対移動を実施する動作指令を前記駆動装置へ送信する動作指令送信工程と、
を実施する駆動制御方法。
【請求項8】
複数の半導体チップが形成されるウェーハのチップ形成面に対して交差する第1方向について、前記ウェーハに対して試験信号を供給するプローブと前記ウェーハとを相対移動させる移動機構に具備されるモータの駆動装置を制御するプログラムであって、
コンピュータに、
前記ウェーハに対して前記プローブをコンタクトさせる際の目標位置を設定する目標位置設定機能、
前記目標位置において、前記モータが発生させる第1トルクの指標を目標トルク指標として設定する目標トルク指標設定機能、
前記プローブが前記ウェーハから離間したコンタクト動作開始位置から前記目標位置までの1以上の仮検査位置において、前記モータが発生させる第2トルクの指標を検査トルク指標として取得する検査トルク指標取得機能、
前記検査トルク指標が前記目標トルク指標に達する前記仮検査位置を目標トルク位置として設定する目標トルク位置設定機能、及び
前記ウェーハに対して前記プローブをコンタクトさせる際の前記コンタクト動作開始位置と前記目標トルク位置との間の前記相対移動を実施する動作指令を前記駆動装置へ送信する動作指令送信機能、
を実現させるプログラム。
【請求項9】
複数の半導体チップが形成されるウェーハを保持するウェーハチャックと、
半導体チップに対して試験信号を供給するプローブと、
複数の半導体チップが形成されるウェーハのチップ形成面に対して交差する第1方向について、前記ウェーハに対して試験信号を供給するプローブと前記ウェーハとを相対移動させる移動機構に具備されるモータと、
前記モータへ駆動電流を供給する駆動装置と、
前記駆動装置に対して動作指令を送信する駆動制御装置と、
を備えたプローバであって、
前記駆動制御装置は、
前記ウェーハに対して前記プローブをコンタクトさせる際の目標位置を設定する目標位置設定部と、
前記目標位置において、前記モータが発生させる第1トルクの指標を目標トルク指標として設定する目標トルク指標設定部と、
前記プローブが前記ウェーハから離間したコンタクト動作開始位置から前記目標位置までの1以上の仮検査位置において、前記モータが発生させる第2トルクの指標を検査トルク指標として取得する検査トルク指標取得部と、
前記検査トルク指標が前記目標トルク指標に達する前記仮検査位置を目標トルク位置として設定する目標トルク位置設定部と、
前記ウェーハに対して前記プローブをコンタクトさせる際の前記コンタクト動作開始位置と前記目標トルク位置との間の前記相対移動を実施する動作指令を前記駆動装置へ送信する動作指令送信部と、
を備えるプローバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハに形成された半導体チップの電気的特性の検査に適用される、駆動制御装置、駆動制御方法、プログラム及びプローバに関する。
【背景技術】
【0002】
プローバは、半導体チップを検査する際に、半導体チップが形成されるウェーハをプローブ針に対してX方向、Y方向及びZ方向について相対移動させて、プローブ針に対して半導体チップをコンタクトさせる。プローブ針に対してウェーハを相対的に昇降させるZ軸の制御として、位置パラメータに基づく位置決め制御、及びトルクパラメータに基づくトルク制御が知られている。
【0003】
特許文献1は、位置決め制御を適用して、プローブに対して載置台に配置された被検体をコンタクトさせて、被検体の電気的特性検査を行うためのコンタクト位置制御方法が記載される。同文献に記載の方法は、ウェーハとプローブ針とをコンタクトさせて基準トルク値を取得するステップ、ウェーハが配置される載置台をZ軸方向へ往復移動させて、ウェーハとプローブ針とのコンタクトの際の測定トルク値を取得するステップ、及び測定トルク値が基準トルク値となるように載置台をZ軸方向へ移動させて基準位置を更新するステップが含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、プローブ針に対してウェーハをコンタクトさせる際に位置決め制御が適用されると、熱変動が影響して生じるプローブ針等の変形に起因して、プローブ針とウェーハとの間の荷重を一定に維持することが困難である。
【0006】
プローブ針とウェーハとの間の荷重を検出して一定の荷重の維持を実現するのであればトルク制御が適しているが、トルク制御ではウェーハの位置を検出せずにウェーハとプローブ針とをコンタクトさせるので、ウェーハの停止位置に対するオーバーシュートの発生が懸念される。オーバーシュートが発生すると、プローブ針及びプローブカード等の破損が懸念される。
【0007】
また、オーバーシュートが発生した場合の上昇停止状態又は下降停止状態は、ウェーハとプローブ針との間の荷重が変化するので、荷重を一定に維持してプローブ針に対してウェーハをコンタクトさせることが困難である。
【0008】
特許文献1に記載のコンタクト位置制御方法は、基準トルク値を適用してプローブ針に対してウェーハをコンタクトさせることが可能であるが、位置決め制御を適用して載置台をコンタクト位置まで移動させ測定トルクが取得される際に、プローブ針が変形している場合は、プローブ針を破損させるおそれ、又はプローブ針を劣化させるおそれがある。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、プローブに対してウェーハがコンタクトする際のプローブの破損等が抑制される、駆動制御装置、駆動制御方法、プログラム及びプローバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の第1態様に係る駆動制御装置は、複数の半導体チップが形成されるウェーハのチップ形成面に対して交差する第1方向について、ウェーハに対して試験信号を供給するプローブとウェーハとを相対移動させる移動機構に具備されるモータの駆動装置を制御する駆動制御装置であって、ウェーハに対してプローブをコンタクトさせる際の目標位置を設定する目標位置設定部と、目標位置においてモータが発生させる第1トルクの指標を目標トルク指標として設定する目標トルク指標設定部と、プローブがウェーハから離間したコンタクト動作開始位置から目標位置までの1以上の仮検査位置において、モータが発生させる第2トルクの指標を検査トルク指標として取得する検査トルク指標取得部と、検査トルク指標が目標トルク指標に達する仮検査位置を目標トルク位置として設定する目標トルク位置設定部と、ウェーハに対してプローブをコンタクトさせる際のコンタクト動作開始位置と目標トルク位置との間の相対移動を実施する動作指令を駆動装置へ送信する動作指令送信部と、を備える駆動制御装置である。
【0011】
本開示の第1態様に係る駆動制御装置によれば、コンタクト動作開始位置から目標位置へウェーハを移動させ、1以上の仮検査位置におけるモータの発生トルクの指標が検査トルク指標として取得される。予め取得される目標トルク指標に達する仮検査トルク指標に対応する仮検査位置が目標トルク位置とされる。目標トルク位置において、プローブ針に対してウェーハをコンタクトさせる。これにより、プローブに対してウェーハをコンタクトさせる際のプローブとウェーハとの間の荷重が一定に維持され、プローブの破損等が抑制される。
【0012】
目標位置におけるモータが発生させる第1トルク、及び1以上の仮検査位置において、モータが発生させる第2トルクには、移動機構の停止位置を保持するためにモータが発生させる保持トルクが含まれる。
【0013】
プローブに対してウェーハをコンタクトさせる目標位置は、ウェーハに対してプローブの先端を押し込む位置を適用してもよい。
【0014】
第1方向と直交する面における互いに直交する2方向の一方を第2方向とし、他方を第3方向としてもよい。第1方向に対して平行となる方向を向く回転軸の回りを回転する方向を第4方向としてもよい。
【0015】
第2態様に係る駆動制御装置は、第1態様の駆動制御装置において、目標トルク指標設定部は、複数の半導体チップにおける最初に検査が実施される半導体チップの検査の際にモータが発生させる第3トルクの指標を取得し、第3トルクの指標を目標トルク指標として設定してもよい。
【0016】
かかる態様によれば、最初の半導体チップの検査において設定された目標トルク位置に基づき、1枚のウェーハにおける半導体チップの検査を実施し得る。
【0017】
第3態様に係る駆動制御装置は、第1態様又は第2態様の駆動制御装置において、目標トルク指標設定部は、目標トルク指標の取得が要求される場合に、任意の半導体チップの検査の際にモータが発生させる第4トルクの指標を取得し、第4トルクの指標を目標トルク指標として設定してもよい。
【0018】
かかる態様によれば、任意の半導体チップの検査の際に、適切な目標トルク指標を取得し、設定得る。
【0019】
第4態様に係る駆動制御装置は、第1態様から第3態様のいずれか一態様の駆動制御装置において、モータへ供給される駆動電流を検出する駆動電流検出部を備え、目標トルク指標設定部は、駆動電流検出部を用いて検出された駆動電流を第1トルクの指標として取得してもよい。
【0020】
かかる態様において、モータへ供給される駆動電流は、駆動装置に具備される駆動電流検出部を用いて検出されてもよい。
【0021】
第5態様に係る駆動制御装置は、第1態様から第4態様のいずれか一態様の駆動制御装置において、動作指令送信部は、検査トルク指標を取得する際に、コンタクト動作開始位置から目標位置までの距離未満の送り距離を適用して、送り距離ごとに相対移動を停止させる動作指令を駆動装置へ送信し、検査トルク指標取得部は、相対移動の停止位置ごとに第2トルクの指標を検査トルク指標として取得し、目標トルク位置設定部は、検査トルク指標が目標トルク指標に達する相対移動の停止位置を、目標トルク位置として設定してもよい。
【0022】
かかる態様によれば、プローブに対してウェーハを徐々に上昇させて、検査トルク指標が取得される。これにより、検査トルク指標が取得される際のプローブとウェーハとの衝突が抑制される。
【0023】
かかる態様において、2以上の停止位置について検査トルク指標が取得される態様が好ましい。
【0024】
第6態様に係る駆動制御装置は、第1態様から第5態様のいずれか一態様の駆動制御装置において、モータへ供給される駆動電流を検出する駆動電流検出部であり、規定のサンプリング周期を適用して、複数回の駆動電流のサンプリングを実施する駆動電流検出部を備え、目標トルク指標設定部は、第1トルクの指標として駆動電流の変化を取得し、取得した駆動電流の変化を目標トルク指標として設定し目標位置設定部は、駆動電流の変化に応じて目標位置を設定し、検査トルク指標取得部は、仮検査位置における駆動電流の変化を第2トルクの指標である検査トルク指標として取得し、目標トルク位置設定部は、目標位置における駆動電流の変化に対応する駆動電流の変化が生じたタイミングにおける仮検査位置を目標トルク位置として設定する基準位置としてもよい。
【0025】
かかる態様によれば、駆動電流の変化に応じて、プローブに対するウェーハのコンタクトを把握し得る。
【0026】
かかる態様において、駆動電流の変化として、駆動電流の検出値を時系列の順に並べた駆動電流波形における傾きを適用し得る。
【0027】
本開示の第7態様に係る駆動制御方法は、複数の半導体チップが形成されるウェーハのチップ形成面に対して交差する第1方向について、ウェーハに対して試験信号を供給するプローブとウェーハとを相対移動させる移動機構に具備されるモータの駆動装置を制御する駆動制御方法であって、駆動装置に適用されるコンピュータが、ウェーハに対してプローブをコンタクトさせる際の目標位置を設定する目標位置設定工程と、目標位置において、モータが発生させる第1トルクの指標を目標トルク指標として設定する目標トルク指標設定工程と、前記プローブが前記ウェーハと離間したコンタクト動作開始位置から目標位置までの1以上の仮検査位置において、モータが発生させる第2トルクの指標を検査トルク指標として取得する検査トルク指標取得工程と、検査トルク指標が目標トルク指標に達する仮検査位置を目標トルク位置として設定する目標トルク位置設定工程と、ウェーハに対してプローブをコンタクトさせる際のコンタクト動作開始位置と目標トルク位置との間の相対移動を実施する動作指令を駆動装置へ送信する動作指令送信工程と、を実行する駆動制御方法である。
【0028】
本開示の第7態様に係る駆動制御方法によれば、本開示の第1態様に係る駆動制御装置と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0029】
本開示の第7態様に係る駆動制御方法において、第2態様から第6態様のいずれか一態様で特定した事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、駆動制御装置において特定される処理や機能を担う構成要素は、これに対応する処理や機能を担う駆動制御方法の構成要素として把握することができる。
【0030】
本開示の第8態様に係るプログラムは、複数の半導体チップが形成されるウェーハのチップ形成面に対して交差する第1方向について、ウェーハに対して試験信号を供給するプローブとウェーハとを相対移動させる移動機構に具備されるモータの駆動装置を制御するプログラムであって、コンピュータに、ウェーハに対してプローブをコンタクトさせる際の目標位置を設定する目標位置設定機能、目標位置において、モータが発生させる第1トルクの指標を目標トルク指標として設定する目標トルク指標設定機能、プローブがウェーハから離間したコンタクト動作開始位置から目標位置までの1以上の仮検査位置において、モータが発生させる第2トルクの指標を検査トルク指標として取得する検査トルク指標取得機能、検査トルク指標が目標トルク指標に達する仮検査位置を目標トルク位置として設定する目標トルク位置設定機能、及びウェーハに対してプローブをコンタクトさせるコンタクト動作開始位置と目標トルク位置との間の相対移動を実施する動作指令を駆動装置へ送信する動作指令送信機能を実現させるプログラムである。
【0031】
本開示の第8態様に係るプログラムによれば、本開示の第1態様に係る駆動制御装置と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0032】
本開示の第8態様に係るプログラムにおいて、第2態様から第6態様のいずれか一態様で特定した事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、駆動制御装置において特定される処理や機能を担う構成要素は、これに対応する処理や機能を担うプログラムの構成要素として把握することができる。
【0033】
本開示の第9態様に係るプローバは、複数の半導体チップが形成されるウェーハを保持するウェーハチャックと、半導体チップに対して試験信号を供給するプローブと、複数の半導体チップが形成されるウェーハのチップ形成面に対して交差する第1方向について、ウェーハに対して試験信号を供給するプローブとウェーハとを相対移動させる移動機構に具備されるモータと、モータへ駆動電流を供給する駆動装置と、駆動装置に対して動作指令を送信する駆動制御装置と、を備えたプローバであって、駆動制御装置は、ウェーハに対してプローブをコンタクトさせる際の目標位置を設定する目標位置設定部と、目標位置において、モータが発生させる第1トルクの指標を目標トルク指標として設定する目標トルク指標設定部と、プローブが前記ウェーハから離間したコンタクト動作開始位置から目標位置までの1以上の仮検査位置において、モータが発生させる第2トルクの指標を検査トルク指標として取得する検査トルク指標取得部と、検査トルク指標が目標トルク指標に達する仮検査位置を目標トルク位置として設定する目標トルク位置設定部とウェーハに対してプローブをコンタクトさせる際のコンタクト動作開始位置と目標トルク位置に基づき規定されるウェーハに対してプローブをコンタクトさせるコンタクト位置との間の相対移動を実施する動作指令を駆動装置へ送信する駆動指令送信部と、を備えるプローバである。
【0034】
本開示の第9態様に係るプローバによれば、本開示の第1態様に係る駆動制御装置と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0035】
本開示の第9態様に係るプローバにおいて、第2態様から第6態様のいずれか一態様で特定した事項と同様の事項を適宜組み合わせることができる。その場合、駆動制御装置において特定される処理や機能を担う構成要素は、これに対応する処理や機能を担うプローバの構成要素として把握することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、コンタクト動作開始位置から目標位置へウェーハを移動させ、1以上の仮検査位置におけるモータの発生トルクの指標が検査トルク指標として取得される。予め取得される目標トルク指標に達する仮検査トルク指標に対応する仮検査位置が目標トルク位置とされる。目標トルク位置において、プローブ針に対してウェーハをコンタクトさせる。これにより、プローブに対してウェーハをコンタクトさせる際のプローブとウェーハとの間の荷重が一定に維持され、プローブの破損等抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】実施形態に係るプローバの概略構成図である。
【
図4】実施形態に係るプローバの電気的構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図4に示すモータドライバの電気的構成を示す機能ブロック図である。
【
図6】実施形態に係る駆動制御方法の手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図6に示すファーストコンタクト検査工程の手順を示すフローチャートである。
【
図8】
図6に示すセカンドコンタクト検査工程の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について詳説する。本明細書では、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明については、適宜、省略される。
【0039】
[実施形態に係るプローバの構成例]
図1は実施形態に係るプローバの概略構成図である。
図2は
図1に示すプローバの外観斜視図である。
図3はウェーハの上面図である。
図1及び
図2に示すプローバ10は、ウェーハに形成される複数の半導体チップの電気的特性を検査するウェーハテストシステムに用いられる。プローバ10を用いて検査されるウェーハWを
図3に示す。
【0040】
同図には、ウェーハチャック20に支持されるウェーハWの上面9bが図示される。ウェーハWは、チップ形成面である上面9bに対して複数の半導体チップ9が形成される。各半導体チップ9には、複数の電極パッド9aが形成される。複数の半導体チップ9は、予め検査の順番が決められている。例えば、同図における左上隅の半導体チップ9に対して最初に検査が実施されてもよい。
【0041】
図1及び
図2に示すプローバ10は、
図1に示すベース12、Yステージ13、Y移動部14、Xステージ15、X移動部16、Zθステージ17、Zθ移動部18及びウェーハチャック20を備える。また、プローバ10は、
図2に示す支柱23、ヘッドステージ24、カードホルダ25及びプローブカード26を備える。更に、プローバ10は、
図1に示すウェーハ位置合わせカメラ29、上下ステージ30、針位置合わせカメラ31及びクリーニング板32を備える。なお、プローバ10の構成は、
図1及び
図2に示す例に限定されず、適宜、変更等が可能である。
【0042】
ベース12の上面には、Y移動部14を用いて、Yステージ13がY軸方向に移動自在に支持される。Y移動部14は、ベース12の上面においてYステージ13をY軸方向に移動させる。
【0043】
Y移動部14は、例えば、ベース12の上面に配置されるガイドレールであり、Y軸に平行なガイドレール、Yステージ13の下面に配置されるスライダであり、ガイドレールに係合するスライダ、及びYステージ13をY軸方向に駆動させるYモータを備える。
【0044】
Yステージ13の上面には、X移動部16を用いて、Xステージ15がX軸方向に移動自在に支持される。X移動部16は、Yステージ13の上面においてXステージ15をX軸方向に移動させる。
【0045】
X移動部16は、例えば、Yステージ13の上面に配置されるガイドレールであり、X軸に平行なガイドレール、Xステージ15の下面に配置されるスライダであり、ガイドレールに係合するスライダ、及びXステージ15をX軸方向に駆動させるXモータを備える。
【0046】
Xステージ15の上面には、Zθステージ17及び上下ステージ30が配置される。Zθステージ17は、Zθ移動部18を備える。Zθステージ17の上面には、ウェーハチャック20が支持される。
【0047】
Zθ移動部18は、例えば、Zθステージ17を昇降させる昇降機構及び昇降機構を駆動するZモータ、Zθステージ17をZ軸に対して平行となる回転軸の周りに回転させる回転機構、及び回転機構を駆動するθモータを備える。Zθ移動部18は、Zθステージ17の上面に支持されるウェーハチャック20をZ軸方向に移動させ、かつ、ウェーハチャック20をZ軸に対して平行となる方向の回転軸の周りに回転させる。
【0048】
ウェーハチャック20は、Zθステージ17等を用いて、XYZ軸方向に移動自在に支持され、かつ、Z軸に対して平行となる方向の回転軸の周りに回転自在に支持される。上記したZθステージ17等は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向及び回転方向について、ウェーハチャック20に支持されるウェーハWとプローブ針35とを相対移動させる相対移動部として機能する。
【0049】
なお、実施形態に記載のZθ移動部18における昇降機構は、第1方向についてプローブとウェーハとを相対移動させる移動機構の一例である。実施形態に記載のZ軸方向は、ウェーハのチップ形成面に対して交差する第1方向の一例である。X軸方向を第2方向とし、Y軸方向を第3方向とし、θ方向を第4方向としてもよい。
【0050】
図2に示す支柱23は、ベース12の上面に具備され、Yステージ13、Xステージ15及びZθステージ17よりも上方の位置において、ヘッドステージ24を支持する。すなわち、ヘッドステージ24は、支柱23を用いてベース12の上面に固定される。
【0051】
ヘッドステージ24の中央部には、カードホルダ25が具備される。カードホルダ25は、プローブカード26の外周を保持する保持穴25aが形成される。プローブカード26は、プローブカード26の保持穴25aへ挿入され、ヘッドステージ24及びカードホルダ25を用いて、ウェーハWに対向する位置に支持される。なお、保持穴25aは
図1に図示される。
【0052】
図1に示すプローブカード26は、検査対象の半導体チップ9の電極パッド9aの配置等に応じて配置されるプローブ針35を備える。カードホルダ25及びプローブカード26は、半導体チップ9の種類に応じて交換される。
【0053】
プローブカード26には、プローブ針35と電気的に接続される接続端子が具備される。接続端子はテスタが接続される。テスタは、プローブカード26の接続端子及びプローブ針35を介して、半導体チップ9の電極パッド9aに対して各種の試験信号を送信し、かつ、電極パッド9aから出力される信号を受信する。テスタは、電極パッド9aから出力される信号を解析し、半導体チップ9が正常に動作するか否かをテストする。
【0054】
すなわち、プローブカード26は、ウェーハWに形成される半導体チップ9に対して試験信号を供給するテストヘッドとして機能する。テスタの構成及びテスト方法は公知技術を適用し得る。ここでは、テスタの構成等の詳細な説明は省略する。なお、接続端子及びテスタの図示は省略される。
【0055】
ウェーハ位置合わせカメラ29は、ウェーハチャック20を用いて支持されるウェーハWの半導体チップ9を撮影する。ウェーハ位置合わせカメラ29を用いて撮影される半導体チップ9の撮影画像は、検査対象の半導体チップ9の電極パッド9aの位置の検出に用いられる。ウェーハ位置合わせカメラ29が配置される位置及びウェーハ位置合わせカメラ29の構造等については特に限定されない。
【0056】
上下ステージ30は、針位置合わせカメラ31及びクリーニング板32が具備される。針位置合わせカメラ31及びクリーニング板32は、プローブカード26等と対向する位置に配置される。また、上下ステージ30は、針位置合わせカメラ31及びクリーニング板32をZ軸方向に移動自在に支持する昇降機構が具備される。上下ステージ30は、昇降機構を動作させて、針位置合わせカメラ31及びクリーニング板32のZ軸方向の位置の調整を実施し得る。なお、Z軸方向に移動自在な昇降機構の図示は省略される。
【0057】
針位置合わせカメラ31及びクリーニング板32は、上下ステージ30を介して、Yステージ13及びY移動部14を用いてY軸方向について移動自在に構成され、かつ、Xステージ15及びX移動部16を用いてX軸方向について移動自在に支持される。すなわち、針位置合わせカメラ31、クリーニング板32及びプローブ針35は、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向について相対移動が可能に構成される。
【0058】
針位置合わせカメラ31は、プローブ針35を撮影する。針位置合わせカメラ31を用いて撮影されたプローブ針35の撮影画像は、プローブ針35の先端位置の検出に用いられる。具体的には、プローブ針35の先端位置のXY座標は針位置合わせカメラ31の位置座標に基づき検出され、プローブ針35の先端位置のZ座標は針位置合わせカメラ31の焦点位置に基づき検出される。
【0059】
ウェーハWの半導体チップ9の検査が実施される際に、プローブカード26が交換されるごとに、プローブ針35の先端位置の検出が実施される。規定数の半導体チップ9の検査が実施されるごとに、プローブ針35の先端位置の検出が実施されてもよい。
【0060】
プローブ針35の先端位置の検出では、プローブ針35の先端位置の撮影位置へ針位置合わせカメラ31を移動させ、針位置合わせカメラ31を用いて、プローブ針35の先端位置の撮影が実施され、プローブ針35の先端位置の撮影画像に基づき、プローブ針35の先端位置が検出される。
【0061】
また、ウェーハチャック20を用いて支持される検査対象のウェーハWにおける、半導体チップ9の電極パッド9aの位置の検出が実施される。具体的には、ウェーハ位置合わせカメラ29の撮影位置へ、検査対象のウェーハWにおける半導体チップ9の電極パッド9aを移動させ、ウェーハ位置合わせカメラ29を用いて電極パッド9aが撮影され、電極パッド9aの撮影画像に基づき電極パッド9aの位置が検出される。
【0062】
そして、最初の検査対象の半導体チップ9における電極パッド9aに対して、プローブ針35を電気的に接触させ、テスタを用いて、最初の検査対象の半導体チップ9の検査が実施される。
【0063】
以下、検査対象のウェーハWを移動させ、次の検査対象の半導体チップ9の電極パッド9aに対してプローブ針35を電気的に接触させ、検査対象の半導体チップ9の検査が実施される。この手順を繰り返して、検査対象の複数の半導体チップ9についての検査が順に実施される。プローブ針35の先端は、クリーニング板32を用いて、適宜、クリーニング及び研磨等が実施される。
【0064】
なお、半導体チップ9の具体的な検査方法は、例えば、特開2018-117095号公報に記載される検査方法など、公知の検査方法を適用し得る。ここでは、半導体チップ9の検査方法の詳細な説明は省略する。
【0065】
[実施形態に係るプローバの電気的構成例]
図4は実施形態に係るプローバの電気的構成を示す機能ブロック図である。
図4には、主として、ウェーハチャック20の移動制御に関する構成要素が図示され、他の機能に関する構成要素の図示は、適宜、省略される。
【0066】
プローバコンピュータ40は、プローバ10の各部を統括制御する制御装置として機能する。プローバコンピュータ40は、プローバ10の各部の機能に対応する各種のプログラムを実行して、プローバ10の各部の機能を実現する。プローバコンピュータ40は、プローバ10の本体に配置されてもよいし、プローバ10の外部に配置されてもよい。
【0067】
プローバコンピュータ40に適用されるコンピュータの形態は、サーバであってもよいし、パーソナルコンピュータであってもよく、ワークステーションであってもよく、また、タブレット端末などであってもよい。プローバコンピュータ40に適用されるコンピュータの形態は、仮想マシンであってもよい。
【0068】
各種のプログラムは、プローバコンピュータ40に具備される記憶装置に記憶されてもよいし、プローバコンピュータ40の外部であり、プローバ10の内部に具備される記憶装置に記憶されてもよい。プローバコンピュータ40は、プローバ10の外部の記憶装置から各種のプログラムを取得してもよい。
【0069】
プローバコンピュータ40は、各種のプロセッサ(Processor)及びメモリ等から構成される演算回路を備える。各種のプロセッサの例として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及びプログラマブル論理デバイス等が挙げられる。
【0070】
プログラマブル論理デバイスの例として、SPLD(Simple Programmable Logic Devices)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)及びFPGA(Field Programmable Gate Arrays)等が挙げられる。プローバコンピュータ40の各種機能は、1つのプロセッサを用いて実現されてもよいし、複数のプロセッサを用いて実現されてもよい。複数のプロセッサは、同種の複数のプロセッサであってもよいし、互いに異なる種類の複数のプロセッサであってもよい。
【0071】
プローバコンピュータ40は、各種の通信インターフェースを備える。プローバコンピュータ40は、各種の通信インターフェースを介して、ウェーハ位置合わせカメラ29及び針位置合わせカメラ31等の周辺機器と通信自在に接続される。通信インターフェースは、USBなど、各種の規格を適用し得る。通信インターフェースの通信形態は、有線通信及び無線通信のいずれを適用してもよい。なお、USBはUniversal Serial Busの省略語である。また、USBは登録商標である。
【0072】
プローバコンピュータ40は、測定条件取得部42を備える。測定条件取得部42は、検査対象のウェーハWの種類を特定する際に参照されるウェーハ情報を含む測定条件を取得する。ウェーハ情報は、ウェーハWの厚みの情報及びウェーハWに形成される半導体チップ9の種類の情報等が含まれる。
【0073】
プローバコンピュータ40は、針位置取得部44を備える。針位置取得部44は、針位置合わせカメラ31から出力されるプローブ針35の先端位置の撮影画像を取得する。針位置取得部44は、プローブ針35の先端位置の撮影画像から、プローブ針35の先端位置の情報を取得する。情報の取得には、元の情報を処理して所望の情報を生成する概念が含まれ得る。
【0074】
プローバコンピュータ40は、目標位置座標設定部46を備える。目標位置座標設定部46は、針位置取得部44を用いて取得されるプローブ針35の先端位置におけるZ軸方向の座標値を用いて、目標位置における座標のZ軸方向の座標値を設定する。なお、実施形態に記載の目標位置座標設定部46は、プローブに対してウェーハをコンタクトさせる際の目標位置を設定する目標位置設定部の一例である。実施形態に記載の目標位置座標設定部46は、目標位置設定工程を実行し、目標位置設定機能を実現する。
【0075】
プローバコンピュータ40は、移動制御部52を備える。移動制御部52は、Xドライバ54、Yドライバ56、Zドライバ58及びθドライバ60に対して動作指令を送信し、X移動部16、Y移動部14及びZθ移動部18のそれぞれの位置制御を実施する。
【0076】
図4には、Zθ移動部18の構成要素が図示され、X移動部16及びY移動部14の構成要素の図示は省略される。X移動部16及びY移動部14は、Zθ移動部18と同様にモータ及び位置検出器が具備される。
【0077】
Zθ移動部18は、Zモータ18A及びZ位置検出器18Bを備える。Zドライバ58は、移動制御部52から送信される動作指令に基づき、Zモータ18Aに対して駆動電流を供給する。Zモータ18Aの回転軸にはZ位置検出器18Bが取り付けられる。Z位置検出器18Bは、Zモータ18Aの回転角度を検出し、Zモータ18Aの回転角度を表す検出信号を出力する。Z位置検出器18Bから出力される検出信号は、Zドライバ58へ送信される。
【0078】
Z位置検出器18Bは、Zモータ18Aの回転軸に取り付けられる回転板を備えるロータリーエンコーダを適用し得る。ロータリーエンコーダは、回転速度に応じた周期を有するパルス信号を出力する。ロータリーエンコーダの出力パルス数は、Zモータ18Aの回転角度に対応する。ロータリーエンコーダは、位相が90度ずらされた2相のアナログ信号を出力する形式であってもよい。
【0079】
Zθ移動部18は、θモータ18C及びθ角度検出器18Dを備える。θドライバ60は、移動制御部52から送信される動作指令に基づき、θモータ18Cに対して駆動電流を供給する。θモータ18Cは、θモータ18Cの回転角度に応じた周期を有する角度検出信号を出力するθ角度検出器18Dを備える。θ角度検出器18Dは、Z位置検出器18Bと同様に、ロータリーエンコーダを適用し得る。
【0080】
X移動部16に具備されるモータ及びY移動部14に具備されるYモータのそれぞれは、Zモータ18Aと同様に、位置検出器が具備される。Xドライバ54はXモータに具備される位置検出器の出力信号を取得し、Yドライバ56はYモータに具備される位置検出器の出力信号を取得する。
【0081】
移動制御部52は、目標位置座標設定部46を用いて設定される目標位置のZ軸方向の座標値に基づき、Zドライバ58へ動作指令を送信する。Zドライバ58は、移動制御部52から送信される動作指令に基づき、ウェーハWを目標位置へ移動させるウェーハチャック20の位置制御を実施する。
【0082】
移動制御部52は、ウェーハ位置合わせカメラ29から送信される検査対象の半導体チップ9の撮影画像から、検査対象の半導体チップ9のX軸方向の座標値及びY方向の座標値を取得する。移動制御部52は、検査対象の半導体チップ9のX軸方向の座標値に基づきX移動部16の動作を制御し、かつ、検査対象の半導体チップ9のY方向の座標値に基づきY移動部14の動作を制御する。
【0083】
すなわち、移動制御部52は、半導体チップ9の検査を実施する際に、X移動部16、Y移動部14及びZθ移動部18の動作を制御して、プローブ針35に対してウェーハWを相対移動させ、プローブ針35に対して検査対象の複数の半導体チップ9を順番に接触させる。
【0084】
なお、実施形態に記載の移動制御部52は、プローブとウェーハと相対移動させる動作指令を、駆動装置へ送信する動作指令送信部の一例である。また、実施形態に記載の移動制御部52は、コンタクト動作開始位置と目標トルク位置との間の相対移動を実施する動作指令を駆動装置へ送信する動作指令送信部の一例である。実施形態に記載の移動制御部52は、動作指令送信工程を実行し、動作指令送信機能を実現させる。
【0085】
プローバコンピュータ40は、位置情報取得部61を備える。位置情報取得部61は、Z軸方向におけるウェーハチャック20の現実の位置を表す位置情報を取得する。例えば、位置情報取得部61はZ位置検出器18Bから送信されるZモータ18Aの回転角度の情報を取得し、Zモータ18Aの回転角度の情報からZ軸方向におけるウェーハチャック20の現実の位置を導出してもよい。位置情報取得部61は、Zドライバ58において導出されるZ軸方向におけるウェーハチャック20の現実の位置を取得してもよい。
【0086】
位置情報取得部61は、Xドライバ54、Yドライバ56及びθドライバ60のそれぞれから、各方向におけるウェーハチャック20の現実の位置を表す位置情報を取得してもよい。
【0087】
プローバコンピュータ40は、トルク情報取得部62を備える。トルク情報取得部62は、Zドライバ58からトルク情報を取得する。トルク情報は、Zモータ18Aの発生トルクの指標を適用し得る。Zモータ18Aの発生トルク値の指標の例として、Zモータ18Aの駆動電流が挙げられる。すなわち、トルク情報取得部62は、Z軸方向におけるウェーハチャック20の停止位置ごとのZモータ18Aの駆動電流をトルク情報として取得し得る。
【0088】
1枚のウェーハWにおける半導体チップ9の検査において、最初の検査であるファーストコンタクトでは、トルク情報取得部62は目標位置におけるトルク情報を取得する。Z軸方向における目標位置への位置決めは、目標位置のZ軸の座標値を目標位置座標値とする位置決め制御が適用される。
【0089】
プローバコンピュータ40は、目標トルク設定部64を備える。目標トルク設定部64は、目標位置において停止しているZモータ18Aの発生トルクの指標を目標トルク指標として設定する。目標位置において停止しているZモータ18Aの発生トルクは、Zモータ18Aの保持トルクとして把握される。
【0090】
ここで、トルクの指標とはトルクを評価する際の要素である。トルクの指標の例として、トルク値及びトルクを算出する際のエネルギー値等が挙げられる。電気エネルギーが機械エネルギーに変換される系では、トルクの指標として、電流値、電圧値及び電力値を適用し得る。
【0091】
なお、実施形態に記載の目標位置において停止しているZモータ18Aの発生トルクは、モータが発生させる第1トルクの一例である。実施形態に記載の目標トルク設定部64は、目標トルク指標設定部の一例であり、目標トルク指標設定工程を実行し、目標トルク指標設定機能を実現する。
【0092】
プローバコンピュータ40は、目標トルク位置設定部66を備える。目標トルク位置設定部66は、Zモータ18Aの停止位置における発生トルクの指標が目標トルク指標となる目標トルク位置における、Z軸方向の位置を表す座標値を設定する。
【0093】
すなわち、ウェーハWがプローブ針35へ接触しないコンタクト開始位置から、Z軸方向についてウェーハチャック20の微小送りが実施される際に、トルク情報取得部62は、ウェーハチャック20の停止位置を仮検査位置として、仮検査位置ごとの検査トルク指標として、Zモータ18Aの発生トルクの指標を取得する。また、目標トルク位置設定部66は、仮検査位置ごとの検査トルク指標として取得されるZモータ18Aの発生トルクの指標が、目標トルク指標に到達するか否かを判定する。
【0094】
目標トルク位置設定部66は、検査トルク指標が目標トルク指標に到達するウェーハチャック20の停止位置を目標トルク位置として設定し、目標トルク位置におけるZ軸方向の座標値を、目標トルク位置座標として設定する。
【0095】
なお、実施形態に記載の仮検査位置ごとのZモータ18Aの発生トルクは、1以上の仮検査位置においてモータが発生させる第2トルクの一例である。実施形態に記載のトルク情報取得部62は、検査トルク指標取得部の一例である。実施形態に記載のトルク情報取得部62は、検査トルク指標取得工程を実行し、検査トルク指標取得機能を実現する。
【0096】
目標トルク位置設定部66は、検査トルク指標が目標トルク指標に対して規定の比率の範囲内となる仮検査位置を目標トルク位置として設定してもよい。例えば、検査トルク指標が目標トルク指標に対してプラスマイナス5パーセントの範囲内となる仮検査位置を目標トルク位置として設定し得る。なお、実施形態に記載の目標トルク位置設定部66は、目標トルク位置設定工程を実行し、目標トルク位置設定機能を実現する。
【0097】
移動制御部52は、ウェーハWを目標トルク位置に停止させ、Zドライバ58に対してZモータ18Aのサーボロックを実施する動作指令を送信する。この動作指令を受信するZドライバ58は、Zモータ18Aのサーボロックを実施する。
【0098】
Zモータ18Aのサーボロックが実施され、Z軸方向の位置が固定されたウェーハWは、プローブ針35が接触する半導体チップ9の電気的特性の検査であるウェーハテストが実施される。
【0099】
プローバコンピュータ40は、送り量設定部68を備える。送り量設定部68は、目標トルク位置を探索する際に実施されるウェーハチャック20の微小送りに適用される微小送り量を設定する。送り量設定部68は、操作者が操作する入力装置から送信される、微小送り量を表す入力信号に基づき微小送り量を設定してもよい。送り量設定部68は、予め規定され記憶される複数の微小送り量から、測定条件等に応じて微小送り量を設定してもよい。なお、実施形態に記載のプローバコンピュータ40は、駆動装置を制御する駆動制御装置の一例である。実施形態に記載の微小送りは、送り距離ごとに相対移動を停止させる相対移動制御の一例である。実施形態に記載の微小送り量は、送り距離の一例である。
【0100】
図5は
図4に示すZドライバの電気的構成を示す機能ブロック図である。
図5に示すZドライバ58の構成は、
図4に示すXドライバ54、Yドライバ56及びθドライバ60にも適用される。以下のZ軸に対する説明は各軸に対する説明として読み替えが可能である。
【0101】
Zドライバ58は、動作指令取得部102を備える。動作指令取得部102は、
図4に示すプローバコンピュータ40に具備される移動制御部52から送信される動作指令を取得する。
【0102】
Zドライバ58は、駆動電流指令生成部104を備える。駆動電流指令生成部104は、動作指令に基づきZモータ18Aへ供給される駆動電流の指令信号である駆動電流指令信号を生成する。駆動電流指令信号は、Zモータ18Aへ供給される駆動電流の大きさ及び駆動電流の供給タイミングが規定される。
【0103】
Zドライバ58は、駆動電流出力部106を備える。駆動電流出力部106は、モータ電源Psから電力が供給され、駆動電流指令信号に基づきZモータ18Aの各相へ供給される駆動電流を出力する。Zモータ18Aは駆動電流指令信号に基づき動作する。
【0104】
Zドライバ58は、位置情報取得部108を備える。位置情報取得部108は、Z位置検出器18BからZ軸方向における位置情報を取得する。位置情報取得部108は、Zモータ18Aの回転速度及び回転角度を表すZ検出器108Bの出力信号を取得し、Z検出器108Bの出力信号に基づきZ軸方向におけるウェーハチャック20の現実の位置を算出し、Z軸方向におけるウェーハチャック20の位置を表す信号を位置情報として出力してもよい。位置情報取得部108は、Z位置検出器18Bから出力される出力信号を取得し、Z位置検出器18Bの出力信号に基づきZ軸方向におけるウェーハチャック20の現実の位置を算出してもよい。
【0105】
Zドライバ58は、位置偏差算出部110を備える。位置偏差算出部110は、位置情報取得部108を用いて取得したZ軸方向におけるウェーハチャック20の現実の位置を含む位置情報と、動作指令取得部102を用いて取得される動作指令とから、ウェーハチャック20の位置偏差を算出する。駆動電流指令生成部104は、ウェーハチャック20の位置偏差に基づき駆動電流指令信号を生成し、駆動電流指令信号を駆動電流出力部106へ送信する。駆動電流出力部106は、駆動電流指令信号に基づきZモータ18Aを動作させ、ウェーハチャック20のZ軸方向における位置決めを実施する。
【0106】
Zドライバ58は、駆動電流検出部112を備える。駆動電流検出部112は、駆動電流出力部106からZモータ18Aに対して出力される駆動電流を検出する。駆動電流検出部112は、電流センサを用いてZモータ18Aに対して出力される駆動電流を検出してもよいし、電流検出回路等の電気回路を用いてZモータ18Aに対して出力される駆動電流を検出してもよい。
【0107】
Zドライバ58は、Zモータ18Aに対して出力される駆動電流の検出結果を、Zモータ18Aの発生トルクの指標であるトルク情報として、プローバコンピュータ40のトルク情報取得部62へ送信する。
【0108】
Zドライバ58は、トルク算出部114を備える。トルク算出部114は、駆動電流検出部112を用いて検出されるZモータ18Aの駆動電流に基づき、Zモータ18Aの発生トルクを算出する。Zモータ18Aのトルク制御が実施される場合、トルク算出部114を用いて算出されるZモータ18Aの発生トルクは、Zモータ18Aへ供給される駆動電流の制御に適用される。なお、実施形態に記載のZドライバ58は、駆動装置の一例である。
【0109】
[実施形態に係る駆動制御方法]
図6は実施形態に係る駆動制御方法の手順を示すフローチャートである。目標位置座標設定工程S10では、
図4に示す目標位置座標設定部46は、プローブ針35の先端位置のZ軸方向の座標値に対してZ軸方向のオーバ-ドライブ量を加算して、目標位置のZ軸方向の座標値を設定する。目標位置座標設定工程S10の後にファーストコンタクト判定工程S12へ進む。なお、実施形態に記載の目標位置座標設定工程S10は目標位置設定工程の一例である。
【0110】
ファーストコンタクト判定工程S12では、目標トルク設定部64は、ウェーハWごとの最初の半導体チップ9の検査であるか否かを判断する。ファーストコンタクト判定工程S12において、ウェーハWごとの最初の半導体チップ9の検査であると判定される場合はYes判定となる。Yes判定の場合はファーストコンタクト検査工程S14へ進み、目標トルク指標が取得され、検査対象の半導体チップ9の検査が実施される。ファーストコンタクト検査工程S14の後に検査終了判定工程S18へ進む。
【0111】
すなわち、ファーストコンタクト判定工程S12は、目標トルク指標を取得するか否かを判定する目標トルク取得判定工程として把握される。ファーストコンタクト検査工程S14では位置決め制御が適用され、目標位置においてプローブ針35と半導体チップ9とのコンタクトが行われ取得される第3トルクの指標が、第3トルクの指標の取得後の検査において目標トルク指標として設定される。
【0112】
一方、ファーストコンタクト判定工程S12において、ウェーハWごとの2番目以降の半導体チップ9の検査が実施される場合は、No判定となる。No判定の場合はセカンドコンタクト検査工程S16が実施される。セカンドコンタクト検査工程S16では、目標トルク指標が取得されずに、検査対象の半導体チップ9の検査が実施される。
【0113】
セカンドコンタクト検査工程S16における半導体チップ9の検査では、Zモータ18Aの発生トルクの指標が目標トルク指標に達したウェーハチャック20の停止位置が、セカンドコンタクトにおける目標トルク位置として設定される。セカンドコンタクト検査工程S16では、目標トルク位置において2番目以降の半導体チップ9の検査が実施される。セカンドコンタクト検査工程S16の後に、検査終了判定工程S18へ進む。
【0114】
セカンドコンタクト検査工程S16では、検査対象の半導体チップ9の検査が終了すると、ウェーハチャック20を下降させ、X軸方向及びY軸方向の少なくともいずれかへのウェーハチャック20の移動が実施され、次の検査対象の半導体チップ9をプローブ針35の直下の位置へ移動させる。
【0115】
検査終了判定工程S18では、プローバコンピュータ40はウェーハWに形成される半導体チップ9の検査を終了するか否かを判定する。検査終了判定工程S18において、検査が継続されると判定される場合はNo判定となる。No判定の場合は、検査終了判定工程S18においてYes判定となるまで、目標位置座標設定工程S10から検査終了判定工程S18までの各工程が繰り返し実行される。
【0116】
一方、検査終了判定工程S18において、検査が終了されると判定される場合はYes判定となる。Yes判定の場合は、終了処理工程S20へ進み、規定の終了処理が実施され、駆動制御方法の手順は終了される。検査終了判定工程S18において検査を終了させる条件として、1枚のウェーハWの全ての半導体チップ9の検査が終了する場合、及び検査終了命令が取得された場合等が挙げられる。
【0117】
図6に示す駆動制御方法の手順において、適宜のタイミングにおいて検査条件を取得する検査条件取得工程が実行される。例えば、目標位置座標設定工程S10の前に、検査条件取得工程が実行されてもよい。また、Zθ移動部18の回転機構を動作させて、ウェーハWの回転角度を調整する回転角度調整工程が実施されてもよい。回転角度調整工程は、ファーストコンタクト検査工程S14におけるプローブ針35に対する検査対象の半導体チップ9の位置合わせの際に実行してもよい。
【0118】
[ファーストコンタクト検査工程の具体例]
図7は
図6に示すファーストコンタクト検査工程の手順を示すフローチャートである。ファーストコンタクト検査工程S14では、位置決め制御を適用してウェーハWを目標位置へ移動させて、プローブ針35と半導体チップ9とをコンタクトさせる。また、目標位置におけるプローブ針35と半導体チップ9とのコンタクト状態において、Zモータ18Aの発生トルクの指標が取得され、目標トルク指標として設定される。
【0119】
すなわち、
図7の目標座標移動工程S100では、
図4に示す移動制御部52は、Zドライバ58に対しウェーハWを目標位置へ移動させる動作指令を送信し、Z軸方向へのウェーハチャック20の移動を実施させる。目標座標移動工程S100におけるZ軸方向へのウェーハチャック20の移動は、オーバードライブ量が含まれる。目標座標移動工程S100の後にトルク情報取得工程S102へ進む。
【0120】
トルク情報取得工程S102では、トルク情報取得部62は、ウェーハWが目標位置に保持される状態におけるZモータ18Aの駆動電流を、Zモータ18Aの発生トルクの指標として取得する。トルク情報取得工程S102後に目標トルク設定工程S104へ進む。
【0121】
目標トルク設定工程S104では、目標トルク設定部64はトルク情報取得工程S102において取得されるZモータ18Aの駆動電流の値を、目標トルクの指標の基準値として設定する。目標トルク設定工程S104の後に第1ウェーハテスト工程S106へ進む。
【0122】
第1ウェーハテスト工程S106では、プローバコンピュータ40は、目標座標移動工程S100においてプローブ針35へ接触させた半導体チップ9に対する検査を実施する。第1ウェーハテスト工程S106では、Z軸方向について、プローブ針35に対するウェーハWの位置が保持される、ウェーハチャック20の位置制御が実施される。第1ウェーハテスト工程S106の後に第1ウェーハテスト終了判定工程S108へ進む。
【0123】
第1ウェーハテスト終了判定工程S108では、プローバコンピュータ40は、検査対象の半導体チップ9に対する検査終了しているか否かを判定する。第1ウェーハテスト終了判定工程S108において、検査対象の半導体チップ9に対する検査が終了していないと判定される場合はNo判定となる。No判定の場合は、第1ウェーハテスト終了判定工程S108においてYes判定となるまで、第1ウェーハテスト工程S106及び第1ウェーハテスト終了判定工程S108が継続される。
【0124】
一方、第1ウェーハテスト終了判定工程S108において、検査対象の半導体チップ9に対する検査が終了していると判定される場合はYes判定となり、第1Z軸下降工程S110へ進む。
【0125】
第1Z軸下降工程S110では、移動制御部52は、ウェーハチャック20を下降させて、プローブ針35とウェーハWとを離間させる。第1Z軸下降工程S110においてウェーハチャック20を下降させる位置は、予め規定される。
【0126】
例えば、第1Z軸下降工程S110において、目標位置から規定の位置までのZ軸方向の下方への移動距離は、50マイクロメートル以上100マイクロメートル以下とし得る。第1Z軸下降工程S110における下降距離は、パラメータとして設定されてもよい。
【0127】
第1Z軸下降工程S110において、ウェーハチャック20を規定の位置へ下降させると、
図6に示すファーストコンタクト検査工程S14は終了され、
図6の検査終了判定工程S18へ進む。他の半導体チップ9に対する検査が実施される場合は、移動制御部52はXドライバ54及びYドライバ56へ動作指令を送信し、X軸方向及びY軸方向へウェーハチャック20を移動させ、次の検査対象の半導体チップ9をプローブ針35の直下の位置へ移動させる。
【0128】
[セカンドコンタクト検査工程の具体例]
図8は
図6に示すセカンドコンタクト検査工程の手順を示すフローチャートである。
図8に示すコンタクト動作開始位置移動工程S120では、
図4に示す移動制御部52はプローブ針35に対してウェーハWが接触しないコンタクト動作開始位置へウェーハを移動させる動作指令をZドライバ58へ送信する。コンタクト動作開始位置移動工程S120には、位置決め制御が適用される。コンタクト動作開始位置移動工程S120の後に目標トルク位置移動工程S122へ進む。
【0129】
目標トルク位置移動工程S122では、移動制御部52は送り量設定部68を用いて設定される微小送り量を適用して、ウェーハチャック20を上昇させる方向への微小送りを実施する動作指令をZドライバ58へ送信する。微小送り量は、目標位置とコンタクト動作開始位置との距離未満の距離を適用し得る。目標位置とコンタクト動作開始位置との距離未満の距離の例として、nを2以上の整数とする場合に、微小送り量は、目標位置とコンタクト動作開始位置との距離のn分の1の距離が挙げられる。nは5以上10以下の整数を適用し得る。微小送り量は、1マイクロメートルとしてもよい。
【0130】
また、目標トルク位置移動工程S122では、トルク情報取得部62は微小送りごとのウェーハチャック20の停止位置である、仮検査位置ごとにZモータ18Aの駆動電流を、検査トルク指標として取得する。目標トルク位置移動工程S122の後に目標トルク到達判定工程S124へ進む。
【0131】
目標トルク到達判定工程S124では、目標トルク位置設定部66は、目標トルク位置移動工程S122において検査トルク指標として取得される仮検査位置ごとのZモータ18Aの駆動電流が、目標トルク指標として設定されるZモータ18Aの駆動電流に到達しているか否かを判定する。
【0132】
目標トルク到達判定工程S124において、仮検査位置ごとのZモータ18Aの駆動電流が、目標トルク指標として設定されるZモータ18Aの駆動電流に到達していないと判定される場合にはNo判定となる。No判定の場合は、目標トルク到達判定工程S124においてYes判定となるまで、目標トルク位置移動工程S122及び目標トルク到達判定工程S124が繰り返し実行される。
【0133】
一方、目標トルク到達判定工程S124において、仮検査位置ごとのZモータ18Aの駆動電流が、目標トルク指標として設定されるZモータ18Aの駆動電流に到達してると判定される場合にはYes判定となる。Yes判定の場合は、サーボロック工程S126へ進む。
【0134】
サーボロック工程S126では、移動制御部52は、Zモータ18Aの発生トルクが目標トルクに到達する現在位置である目標トルク位置において、Zモータ18Aのサーボロックを実施する。サーボロック工程S126の後に第2ウェーハテスト工程S128へ進む。
【0135】
第2ウェーハテスト工程S128では、プローバコンピュータ40は、目標トルク位置において、プローブ針35へ接触させた検査対象の半導体チップ9に対する検査を実施する。第2ウェーハテスト工程S128の後に第2ウェーハテスト終了判定工程S130へ進む。
【0136】
第2ウェーハテスト終了判定工程S130では、プローバコンピュータ40は、第2ウェーハテスト工程S128において、全ての半導体チップ9の検査が実施されたか否かを判定する。すなわち、第2ウェーハテスト終了判定工程S130では、検査中の半導体チップ9の位置が、1枚のウェーハWにおける最後のコンタクト位置であるか否かが判定される。
【0137】
第2ウェーハテスト終了判定工程S130において、全ての半導体チップ9の検査が実施されていないと判定される場合はNo判定となる。No判定の場合は、第2Z軸下降工程S132へ進む。
【0138】
第2Z軸下降工程S132では、移動制御部52は、ウェーハチャック20を下降させて、プローブ針35とウェーハWとを離間させる。第2Z軸下降工程S132においてウェーハチャック20を下降させる位置は、コンタクト動作開始位置を適用し得る。第2Z軸下降工程S132の後に、XY移動工程S134へ進む。
【0139】
XY移動工程S134では、移動制御部52はX移動部16及びY移動部14を動作させて、次の検査対象の半導体チップ9をプローブ針35の直下の位置へ移動させる。XY移動工程S134の後にコンタクト動作開始位置移動工程S120へ進み、第2ウェーハテスト終了判定工程S130において、第2ウェーハテスト終了判定工程S130においてYes判定となるまで、コンタクト動作開始位置移動工程S120からXY移動工程S134までの各工程が繰り返し実行される。
【0140】
一方、第2ウェーハテスト終了判定工程S130において、全ての半導体チップ9の検査が実施されていると判定される場合はYes判定となる。Yes判定の場合は、セカンドコンタクト検査工程S16は終了される。
【0141】
[駆動制御方法の第1変形例]
図6に示すファーストコンタクト検査工程S14は、1枚のウェーハWにおける最初の検査対象の半導体チップ9以外の半導体チップ9の検査に適用してもよい。すなわち、1枚のウェーハWにおける任意の半導体チップ9の検査中に、目標トルク指標の再設定の必要が生じた場合及び目標トルク指標の取得が要求される場合には、ファーストコンタクト判定工程S12においてYes判定とされてもよい。換言すると、セカンドコンタクト検査工程S16以前のファーストコンタクト検査工程S14で目標トルク指標が設定されればよい。
【0142】
例えば、プローバコンピュータ40が急激な温度変化を検出した場合、及びプローバコンピュータ40に対してオペレータが目標トルク指標の再設定を行う旨の入力信号を送信する場合に、プローバコンピュータ40は目標トルク指標の再設定を実施してもよい。なお、目標トルク指標の再設定の際に取得されZモータ18Aの発生トルクは、第4トルクの一例である。
【0143】
また、ファーストコンタクト検査工程S14において、プローブ針35に対して半導体チップ9が形成されていない位置をコンタクトさせて、目標トルク指標を取得し、設定してもよい。
【0144】
[駆動制御方法の第2変形例]
図6に示すファーストコンタクト検査工程S14において、Zモータ18Aへ供給される駆動電流に対して、規定のサンプリング周期を適用して複数回のサンプリングを実施し、駆動電流が変化したタイミングをプローブ針35に対してウェーハWが現実に接触した位置として認識してもよい。駆動電流の変化の例として、駆動電流値の変化及び駆動電流波形の傾きの変化が挙げられる。
【0145】
すなわち、Zモータ18Aの発生トルクの指標として、Zモータ18Aへ供給される駆動電流の変化を適用し得る。駆動電流の変化の例として、時系列の順に検出される駆動電流値が、時系列の順に並べられる駆動電流波形の傾きが挙げられる。
【0146】
プローブ針35をウェーハWに対してオーバードライブさせ、プローブ針35をウェーハWに押し付けて検査が実施される場合、プローブ針35をウェーハWに押し付ける際の駆動電流の変化が、目標トルク指標として設定される。
【0147】
セカンドコンタクト検査工程S16では、プローブ針35をウェーハWに押し付ける際の駆動電流の変化が生じた位置が目標トルク検査位置として設定され、プローブ針35をウェーハWに押し付ける際の駆動電流の変化が生じた位置において、半導体チップ9の検査が実施される。
【0148】
駆動電流の変化が複数回にわたり発生する場合、駆動電流が最初に変化する位置をプローブ針35がウェーハWに対して接触した基準位置として特定されてもよい。駆動電流が最初に変化する位置として、駆動電流の傾きが最初に変化する位置が特定されてもよい。
【0149】
[駆動制御方法の第3変形例]
図8に示すサーボロック工程S126に代わり、Zモータ18Aに対するサーボロックを実施せずに、Zモータ18Aの発生トルクの変動に対するフィードバック制御を実施して、プローブ針35に対するウェーハWのコンタクト荷重を一定に制御してもよい。
【0150】
[トルク情報のバリエーション]
図4に示すトルク情報取得部62は、
図5に示すZドライバ58に具備されるトルク算出部114を用いて算出されるZモータ18Aの発生トルク値を、Zモータ18Aの発生トルクの指標として取得してもよい。
【0151】
トルク情報取得部62は、Zθ移動部18の昇降機構に取り付けられるトルクセンサの出力信号、又はZモータ18Aに取り付けられるトルクセンサの出力信号を、Zモータ18Aの発生トルクの指標として取得してもよい。
【0152】
[実施形態の作用効果]
実施形態に係るプローバ及び駆動制御方法は、以下の作用効果を得ることが可能である。
【0153】
〔1〕
図6に示すファーストコンタクト検査工程S14において、
図4に示す移動制御部52は位置決め制御を適用して、目標位置へウェーハWを移動させる。トルク情報取得部62は、目標位置におけるZモータ18Aの発生トルクの指標を取得する。目標トルク設定部64は、目標位置におけるZモータ18Aの発生トルクの指標を目標トルク指標として設定する。
【0154】
セカンドコンタクト検査工程S16において、移動制御部52は、コンタクト動作開始位置から微小送りを実施する。トルク情報取得部62は、停止位置ごとのZモータ18Aの発生トルクの指標を測定トルク指標として取得する。目標トルク位置設定部66は、停止位置ごとの測定トルク指標が、目標トルク指標に達しているか否かを判定する。目標トルク位置設定部66は、測定トルク指標が目標トルク指標に達している停止位置を目標トルク位置として設定する。プローバコンピュータ40は、目標トルク位置においてプローブ針35に対して検査対象の半導体チップ9を接触させ、検査対象の半導体チップ9の検査を実施する。
【0155】
これにより、複数の半導体チップ9のそれぞれについて、プローブ針35に対してコンタクトさせる際に、プローブ針35と半導体チップ9とのコンタクト荷重が一定となり、プローブ針35と半導体チップ9とのコンタクトにおける、プローブ針35の破損等が抑制される。
【0156】
〔2〕
目標トルク位置が設定されると、Z軸方向におけるウェーハチャック20の移動は、目標トルク位置への位置決め制御が適用される。これにより、トルク制御が適用されるZ軸方向におけるウェーハチャック20の移動におけるウェーハチャック20の停止位置におけるオーバーシュートの発生が抑制される。
【0157】
〔3〕
ファーストコンタクト検査工程S14は、1枚のウェーハWにおける最初の半導体チップ9の検査の際に実施される。セカンドコンタクト検査工程S16は、1枚のウェーハWにおける2回目以降の半導体チップ9の検査の際に実施される。これにより、1枚のウェーハWについて、最初の半導体チップ9の検査の際に設定される目標トルク位置において、全ての半導体チップ9の検査が実施され、全ての半導体チップ9の検査においてプローブ針35と半導体チップ9とのコンタクト荷重を一定とし得る。
【0158】
〔4〕
Zモータ18Aの発生トルクの指標として、Zモータ18Aの駆動電流が適用される。Zモータ18Aの駆動電流は、Zドライバ58に具備される駆動電流検出部112を用いて検出される。これにより、Zドライバ58に具備される機能を用いて、Zモータ18Aの発生トルクの指標を取得し得る。
【0159】
〔5〕
セカンドコンタクト検査工程S16において、目標トルク位置を設定する際にウェーハチャックの微小送りが実施される。これにより、目標トルク位置を探索する際に、Z軸のオーバーシュートに起因するプローブ針35とウェーハWとの衝突が抑制される。
【0160】
本実施形態に示す駆動制御方法は、検査対象の半導体チップ9を同時に複数検査する場合及び1枚のウェーハWのすべての半導体チップ9を一括で検査する場合にも適用される。
【0161】
以上説明した本発明の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜構成要件を変更、追加、削除することが可能である。本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有する者により、多くの変形が可能である。また、実施形態、変形例及び応用例は適宜組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0162】
9…半導体チップ、9a…電極パッド、9b…上面、10…プローバ、12…ベース、13…Yステージ、14…Y移動部、15…Xステージ、16…X移動部、17…Zθステージ、18…Zθ移動部、18A…Zモータ、18B…Z位置検出器、18C…θモータ、18D…θ角度検出器、20…ウェーハチャック、23…支柱、24…ヘッドステージ、25…カードホルダ、25a…保持穴、26…プローブカード、29…ウェーハ位置合わせカメラ、30…上下ステージ、31…針位置合わせカメラ、32…クリーニング板、35…プローブ針、40…プローバコンピュータ、42…測定条件取得部、44…針位置取得部、46…目標位置座標設定部、52…移動制御部、54…Xドライバ、56…Yドライバ、58…Zドライバ,60…θドライバ、61…位置情報取得部、62…トルク情報取得部、64…目標トルク設定部,66…目標トルク位置設定部,68…送り量設定部、102…動作指令取得部、104…駆動電流指令生成部、106…駆動電流出力部、108…位置情報取得部、110…位置偏差算出部、112…駆動電流検出部、114…トルク算出部、W…ウェーハ