(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143016
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】可視光透過型の赤外線吸収材料
(51)【国際特許分類】
G02B 5/22 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
G02B5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055466
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】591021305
【氏名又は名称】太陽ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 拓実
(72)【発明者】
【氏名】木之瀬 葵
(72)【発明者】
【氏名】横山 裕
(72)【発明者】
【氏名】米田 一善
【テーマコード(参考)】
2H148
【Fターム(参考)】
2H148CA05
2H148CA12
2H148CA17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】リフロー耐性に優れるとともに、他の層および基板との密着性に優れ、また耐湿耐熱性にも優れ、さらには低いHazeをも示す硬化物、特に赤外線吸収材料を提供する。
【解決手段】カルボキシル基樹脂、無機系の赤外線吸収剤、およびエポキシ樹脂を含有し、前記カルボキシル基含有樹脂のガラス転移点(Tg)が180℃以上である硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシル基含有樹脂、
無機系の赤外線吸収剤、および
エポキシ樹脂
を含有する硬化性樹脂組成物であって、
前記カルボキシル基含有樹脂のガラス転移点(Tg)が180℃以上である、
硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記無機系の赤外線吸収剤が、セシウム含有酸化タングステンである、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記セシウム含有酸化タングステンの平均粒子径は200nm以下である、請求項2に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記エポキシ樹脂が、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
さらにメラミンを含有する、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
さらにシランカップリング剤を含有する、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を有するドライフィルム。
【請求項8】
請求項1~6のうちいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物より得られる、硬化物。
【請求項9】
前記硬化物が、赤外線吸収材料である、請求項8に記載の硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光を透過する一方で赤外線を吸収する、可視光透過型の赤外線吸収材料、およびそのための硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、携帯電話、スマートフォン、無線イヤーパッド、LiDAR(Light Detection And Ranging)、およびその他の電子機器が普及している。これら電子機器には通常、特定波長の電磁波、特に赤外線が用いられるために種々の光学部品が内蔵されている。例えば、携帯電話またはスマートフォン内のカメラモジュール内部には、撮像素子、レンズ、反射防止コーティングおよびカラーフィルタ配列(CFA)等の光学部品が含まれる。
そして電子機器は、これら光学部品の他、当該電子機器の機能発揮の妨げにもなり得る、外部から侵入した赤外線、または機器内部での乱反射した赤外線を除くために、通常、赤外線吸収材料を有する。
【0003】
そのような赤外線吸収材料として、例えば特許文献1は、近赤外領域の吸収率の低下を防止することができると共に、プラズマディスプレイ用フィルターの構造を単純化することができる近赤外吸収粘着フィルムを提案している。
また、特許文献2は、フィルム基材の表面に近赤外線吸収層が形成された近赤外線吸収ハードコートフィルムを提案している。
また、特許文献3は、赤外線吸収剤を含む感光性樹脂組成物を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-265638号公報
【特許文献2】特開2010-164713号公報
【特許文献3】国際公開第2011/118171号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、赤外線吸収材料は、基板、光学部品、およびレジスト層等の他の機能層とともに、半田リフローを用いて基板等の被着体に実装されるのが通常である。
即ち、赤外線吸収材料の特性として、リフロー工程における高温に対して耐性を有する、即ちリフロー耐性を有することが必要である。
それとともに、赤外線吸収材料の特性として、他の機能層および基板との密着性が高いことが望まれる。
また、赤外線吸収材料の特性として、高温多湿ともなる電子機器内での過酷な環境下での使用であっても、その性能の低下が防止されるという、優れた耐湿耐熱性を有するものであることも要する。
さらにまた、赤外線吸収材料の特性として、低いHaze値を維持していることが望ましい。低Haze値を維持することにより、材料表面で入射光が散乱して外部に漏出することなく、内部での減衰が起こることでノイズの低減が達成できる。
しかし、このような実情に対して、上記特許文献1~3はいずれも、これら特性のすべてを併せ持つ赤外線吸収材料を想定するものとはいえない。
【0006】
以上の観点から、本発明者は、リフロー耐性に優れるとともに、他の層および基板との密着性に優れ、また耐湿耐熱性にも優れ、さらには低いHazeをも示す硬化物、特に赤外線吸収材料を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は上記課題に鑑み鋭意検討した結果、構造中に特定の官能基を有するとともに180℃以上のガラス転移温度をも有する樹脂、無機系の赤外線吸収剤およびエポキシ樹脂を含有する硬化性樹脂組成物によって、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の上記課題は、
構造中にカルボキシル基含有樹脂、無機系の赤外線吸収剤、およびエポキシ樹脂を含有し、前記カルボキシル基含有樹脂のガラス転移点(Tg)が180℃以上である硬化性樹脂組成物、によって解決され得る。
また、本発明の別の好ましい態様は、前記無機系の赤外線吸収剤が、セシウム含有酸化タングステンである、硬化性樹脂組成物に関する。
このうちさらに好ましい態様は、前記セシウム含有酸化タングステンの平均粒子径が200nm以下である、硬化性樹脂組成物に関する。
また、本発明の別の態様は、前記エポキシ樹脂が、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂である、硬化性樹脂組成物に関する。
また、本発明の別の好ましい態様は、さらにメラミンを含有する、硬化性樹脂組成物に関する。
さらにまた、本発明の別の好ましい態様は、さらにシランカップリング剤を含有する、硬化性樹脂組成物に関する。
また、本発明の別の好ましい態様は、硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を有するドライフィルムにも関する。
本発明のさらに別の態様は、上記硬化性樹脂組成物より得られる硬化物、ならびに、前記硬化物が赤外線吸収材料である硬化物にも関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の硬化性樹脂組成物より得られる硬化物は、赤外線吸収材料として、リフロー耐性に優れるだけでなく、他の機能層との密着性にも優れ、かつ優れた耐湿耐熱性をも有し、さらには低Hazeを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の硬化性樹脂組成物は、その硬化後には赤外線吸収材料としての硬化物を形成するものである。
そのような本発明の硬化性樹脂組成物は、その硬化物の主たる構成成分となる樹脂として、構造中にカルボキシル基を含有し、且つ180℃以上のガラス転移温度(Tg)である樹脂、無機系の赤外線吸収剤、およびエポキシ樹脂をも含有することを特徴とする。これにより、当該硬化性樹脂組成物から得られる硬化物は、他の機能層との密着性に優れ、低Hazeを示すとともに、リフロー耐性にも優れる、可視光透過型の赤外線吸収材料となる。
【0011】
このような本発明の硬化物は、具体的には、およそ11μmの膜厚にて、波長940nmの透過率が3%未満であるとともに、可視領域の透過率が80%以上であり、さらには1.0%未満のHaze値を有する。
また、本発明の硬化物は、260℃および5分間の加熱処理後においても、他の機能層または基材から剥離するおそれがない。
また、本発明の硬化物は、85℃および85%RHにて500時間の処理後であっても、他の機能層または基材から剥離するおそれがない。
【0012】
そのような、本発明で用いられる各成分について、以下具体的に説明する。
【0013】
[カルボキシル基含有樹脂]
カルボキシル基含有し樹脂のカルボキシル基は、別の成分として含有される、後述のエポキシ樹脂のエポキシ基と付加反応を生ずることによって、最終的に、付加した両樹脂が硬化物の主構成要素となる。
【0014】
このようなカルボキシル基含有樹脂は、構造中にカルボキシル基を有している従来公知の樹脂を用いることができる。
さらに、当該カルボキシル基含有樹脂のガラス転移温度は、具体的には180℃以上であることを要する。これにより、得られる硬化物が高いリフロー耐性を発揮することができる。
【0015】
本発明におけるカルボキシル基含有樹脂は、より優れた耐熱性の付与の観点から、その構造中に、重合性を有するエチレン性不飽和二重結合を有するものが好ましい。エチレン性不飽和二重結合はアクリル酸もしくはメタクリル酸またはそれらの誘導体由来であることが好ましい。
【0016】
このような、本発明におけるカルボキシル基含有樹脂としては、例えば下記のような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)を挙げることができ、そのガラス転移温度が180℃以上のものが挙げられる。
【0017】
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α-メチルスチレン、アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。
【0018】
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物及びおよびポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド オキサイド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基及びおよびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0019】
(3)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸等のエチレン性不飽和二重結合を有するモノカルボン酸化合物との反応物の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物及びおよびジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0020】
(4)前記(2)又はまたは(3)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子内に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0021】
(5)前記(2)又はまたは(3)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子内に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0022】
(6)2官能又はまたはそれ以上の多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有樹脂。
【0023】
(7)2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有樹脂。
【0024】
(8)2官能オキセタン樹脂にアジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
【0025】
(9)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p-ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
【0026】
(10)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキシドオキサイド、プロピレンオキシドオキサイド等のアルキレンオキシドオキサイドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸、不飽和基含有モノカルボン酸エステルを反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
【0027】
(11)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物 に不飽和基含有モノカルボン酸、不飽和基含有モノカルボン酸エステルを反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
【0028】
(12)前記(1)~(11)の樹脂にさらに1分子内に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有樹脂。
【0029】
カルボキシル基含有樹脂としてより高いガラス転移温度を得るという観点から、その構造中にノルボルニル構造、アダマンチル構造、カルド構造、トリシクロデカン構造、イソボルニル構造およびジシクロペンタニル構造から選択される少なくとも1種を有するものが好ましい。
【0030】
本発明におけるカルボキシル基含有樹脂のガラス転移温度は寸法安定性や吸収剤の分散安定性の観点から180℃以上であることが好ましく、190℃以上がさらに好ましい。ガラス転移温度の上限値は特に限定されないが、500℃以下であることが好ましい。
カルボキシル基含有樹脂のガラス転移温度の調整方法は特に限定されないが、(1)~(12)の化合物を合成する際の樹脂の組成比または重合比を調整する方法、(1)~(12)の化合物を合成する際の樹脂の構造の適宜選択などが挙げられる。
【0031】
カルボキシル基含有樹脂としては、勿論市販品も使用することができ、例えば、アートキュアーRA-4101(商品名;根上工業株式会社製)が挙げられる。
【0032】
これらのカルボキシル基含有樹脂は、1種単独で、または2種以上を組み合せて使用されてもよい。
【0033】
また、カルボキシル基含有樹脂は、硬化物の耐リフロー性の向上という観点から、硬化性樹脂組成物中に、当該硬化性樹脂組成物に対して固形分換算で、好ましくは30~60質量%の量で配合され、より好ましくはおよそ50~60質量%の量で配合される。
【0034】
[無機系の赤外線吸収剤]
本発明の硬化性樹脂組成物は、その特性上、赤外線吸収剤、特に、近赤外光線を吸収する材料を含有する。但し、本発明の硬化性樹脂組成物においては、その硬化物の高耐熱性、低Hazeおよび高密着性の観点から、原則として、有機系の赤外線吸収剤は避けられ、無機系の赤外線吸収剤、即ち無機化合物から構成された赤外線吸収剤であって、さらには、硬化物に対して波長940nmの透過率が3%未満という特性を付与し得るものより選択される。
【0035】
本発明において好適に用いられる無機系の赤外線吸収剤としては、例えば、六ホウ化ランタン、スズ含有酸化インジウム、アンチモン含有酸化スズおよびセシウム含有酸化タングステンを挙げることができる。
【0036】
このうち好ましい無機系の赤外線吸収剤は、可視光透過率の高さおよび高い赤外線吸収能の観点から、セシウム含有酸化タングステンである。
また、当該セシウム含有タングステンは、被着体に対して硬化物の密着性をより高め、かつHaze値の上昇をさらに抑えるという観点から、その平均粒径が200nm以下のものであることが好ましい。
これは、無機系の赤外線吸収剤である複合タングステン酸化物の赤外線吸収が「局在表面プラズモン共鳴」と呼ばれるナノ粒子特有の光吸収、散乱に基づいていることによる。
即ち、複合タングステン酸化物の平均粒径が800nm以下のときに局在表面プラズモン共鳴が生じ、本発明の硬化性樹脂組成物に照射される近赤外線を、無機系の赤外線吸収剤が効率的に吸収し、熱エネルギーに変換しやすくなる。
平均粒径が200nm以下であれば、局在表面プラズモン共鳴がさらに強くなり照射される近赤外線をより強力に吸収するためより好ましく、平均粒径が100nm以下であれば、赤外線吸収特性と透明性を保持することができるためさらにより好ましい。
無機系の赤外線吸収剤としては市販品を使用することも勿論可能であり、例えば、CWO(登録商標)(住友金属鉱山株式会社製)が挙げられる。
【0037】
これら無機系の赤外線吸収剤を、単独で使用することも、または2種以上を併用することも勿論できる。
【0038】
無機系の赤外線吸収剤は、硬化物の940nmにおける透過率が3%未満となるような量で、硬化性樹脂組成物中に配合される。例えば、無機系の赤外線吸収剤は、硬化性樹脂組成物に対して固形分換算で、好ましくはおよそ0.1~40質量%の量で配合され、より好ましくはおよそ5~25質量%の量で配合される。
【0039】
[エポキシ樹脂]
本発明において用いられるエポキシ樹脂は、そのエポキシ基が上記のカルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基と付加反応を起こす構造を有するものより選択される。付加反応を介して、エポキシ樹脂は、カルボキシル基含有樹脂とともに硬化物の主構成要素となる。
【0040】
また、エポキシ樹脂は、硬化性樹脂組成物中での均質性の観点から、上記無機系の赤外線吸収剤と溶け合う特性、または無機系の赤外線吸収剤を容易に分散させ得る特性を有するものが好ましい。
【0041】
このようなエポキシ樹脂としては、例えば下記のものが挙げられる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;ビスフェノール型エポキシ樹脂;チオエーテル型エポキシ樹脂;ブロム化エポキシ樹脂;ノボラック型エポキシ樹脂;ビフェノールノボラック型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;グリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒダントイン型エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;ビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物;ビスフェノールS型エポキシ樹脂;ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;複素環式エポキシ樹脂;ジグリシジルフタレート樹脂;テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;ナフタレン基含有エポキシ樹脂;グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体;CTBN変性エポキシ樹脂。
これらのうち、より良好な光学特性を硬化物に付与し得るという観点から、エポキシ樹脂としては、水添型を有するものが好ましく、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂がさらに好ましい。
【0042】
また、エポキシ樹脂としては市販品も用いることもでき、例えば、jER 828、806、807、YX8000、YX8034、834(いずれも三菱ケミカル株式会社製)、YD-128、YDF-170、ZX-1059、ST-3000、4000D、6100(いずれも日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製)、EPICLON 830、835、840、850、N-730A、N-695(いずれもDIC株式会社製)、およびRE-306(日本化薬株式会社製)等が挙げられ、このうちYX8034がより好ましい。
これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
また、エポキシ樹脂は、固形分換算で、カルボキシル基含有樹脂に含有されるカルボキシル基1molあたりに対し、反応するエポキシ基の官能基数が好ましくは0.5~2.5molで、より好ましくは0.75~1.5molで、当該硬化性樹脂組成物中に配合される。
【0044】
[メラミン]
本発明の硬化性樹脂組成物はまた、得られる硬化物の架橋密度を高めてガラス転移温度をさらに高めるために、硬化剤としてメラミンまたはその誘導体を含有することもできる。
メラミンおよびその誘導体としては例えば、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン類;メラミン;エチルジアミノ-S-トリアジン、2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-キシリル-S-トリアジン等のトリアジン誘導体類を挙げることができ、中でもメラミンであることが好ましい。
メラミンとしては市販品を用いることももちろんでき、例えばメラミン(三井化学株式会社製)挙げることができる。
これらメラミンは、単独でまたは2種以上を組み合せて使用することももちろんできる。
【0045】
また、上記メラミンまたはその誘導体は、硬化性樹脂組成物に対して固形分換算で、好ましくはおよそ0.1~5質量%の量で、当該硬化性樹脂組成物中に配合される。
【0046】
[シランカップリング剤]
本発明の硬化性樹脂組成物はまた、硬化物の被着体への密着性をより向上させるために、シランカップリング剤をさらに含有することもできる。
そのようなシランカップリング剤としては、例えば、γ-クロロプロピルメトキシシラン等のハロゲン含有シランカップリング剤、ビニルエトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン等のビニル基含有シランカップリング剤、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロイルイ含有シランカップリング剤、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のグリシジル基含有シランカップリング剤、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト含有シランカプリング剤、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤が挙げられる。
シランカップリング剤として市販品を用いることも勿論可能であり、例えばKBM-403(信越化学工業株式会社製)が挙げられる。
これらシランカップリング剤は、単独でまたは2種以上を組み合せて使用することももちろんできる。
【0047】
また、上記シランカップリング剤は、硬化性樹脂組成物に対して固形分換算で、好ましくはおよそ0.1~2質量%の量で、当該硬化性樹脂組成物中に配合される。
【0048】
[その他の成分]
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、用途または目的に応じ、かつ本発明の効果を損なわない範囲において、種々のその他の成分をさらに添加することもできる。
そのようなその他の成分としては、例えば、溶剤、着色剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、界面活性剤、酸化防止剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、イオントラップ剤、チクソ性付与剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、反応性希釈剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、熱伝導性付与剤、物性調整剤等が挙げられる。
【0049】
[ドライフィルム]
本発明のドライフィルムは上述した硬化性樹脂組成物を第一のフィルム上に塗布し、乾燥して、乾燥塗膜としての樹脂層を形成することにより、製造することができる。樹脂層上には、必要に応じて、第二のフィルムをラミネートしてもよい。
【0050】
第一のフィルムとは、ドライフィルムの樹脂層を支持する役割を有するものであり、該樹脂層を形成する際に、樹脂組成物が塗布されるフィルムである。第一のフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等の熱可塑性樹脂からなるフィルム、および、表面処理した紙等を用いることができる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度、取扱性等の観点から、ポリエステルフィルムを好適に使用することができる。第一のフィルムの厚さは、特に制限されるものではないが概ね10~150μmの範囲で用途に応じて適宜選択される。第二のフィルムの樹脂層を設ける面には、離型処理が施されていてもよい。
【0051】
第二のフィルムとは、ドライフィルムの樹脂層の表面に塵等が付着するのを防止するとともに取扱性を向上させる目的で、樹脂層の第一のフィルムとは反対の面に設けられる。第二のフィルムとしては、例えば、前記第一のフィルムで例示した熱可塑性樹脂からなるフィルム、および、表面処理した紙等を用いることができるが、これらの中でも、ポリエステルフィルムおよびポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム(2軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP))が好ましい。第二のフィルムの厚さは、特に制限されるものではないが概ね10~150μmの範囲で用途に応じて適宜選択される。第二のフィルムの樹脂層を設ける面には、離型処理が施されていてもよい。
【0052】
[硬化物]
本発明の硬化物は、上記の硬化性樹脂組成物またはドライフィルムを熱硬化させることによって得られる。
【0053】
本発明の硬化性樹脂組成物から硬化物を得るための方法は、特に限定されず、従来公知の方法で硬化させればよく、例えば、150~230℃で加熱して硬化することができる。
一例として、基材(基板を含む)上に硬化性樹脂組成物を塗工(例えば、アプリケーター等による塗工)した後、必要に応じて組成物中の有機溶媒を除去する乾燥工程を実施し、加熱により熱架橋させる熱硬化工程を実施すればよい。
【0054】
基材としては、あらかじめ銅等により回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキサイド・シアネート等を用いた高周波回路用銅張積層板等の材質を用いたもので、全てのグレード(FR-4等)の銅張積層板、その他、金属基板、ポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。中でも本発明の硬化性樹脂組成物は密着性の観点からガラス基板を用いることが好ましい。
【0055】
塗工方法としては、例えば、有機溶剤を用いて塗工方法に適した粘度に調整して、基材上に、インクジェット法、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により塗布した後、約60~100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥させることで、タックフリーの樹脂層を形成することができる。
【0056】
乾燥方法は熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いて乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法およびノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。
【0057】
加熱方法は例えば、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン、ホットプレート、真空オーブン、真空プレス機等による加熱等が挙げられる。
【0058】
なお、前述したドライフィルムを使用する場合、ラミネーター等により樹脂層が基材と接触するように基材上に貼り合わせた後、第一のフィルムを剥がすことにより、基材上に樹脂層を形成することができる。ドライフィルムの基材への貼合は、真空ラミネーター等を用いて、加圧および加熱下で行うことが好ましい。このような真空ラミネーターを使用することにより、パターン形成された基板を用いた場合に、基板表面に凹凸があっても、ドライフィルムがパターンに追従して基板に密着するため、気泡の混入がなく、また、基板表面の凹部の穴埋め性も向上する。加圧条件は、0.1~2.0MPa程度であることが好ましく、また、加熱条件は、40~120℃であることが好ましい。
【0059】
本発明の硬化物は、具体的には、およそ11μmの膜厚にて、波長940nmの透過率が3%未満であるとともに、可視領域の透過率が80%以上であり、さらには1.0%未満のHaze値を有する。
また、本発明の硬化物は、260℃および5分間の加熱処理後においても、他の機能層または基材から剥離するおそれがない。
また、本発明の硬化物は、85℃および85%RHにて500時間の処理後であっても、他の機能層または基材から剥離するおそれがない。
したがって、本発明の硬化物は、過酷なその製造過程および過酷な使用環境下であってもその性能の低下が抑制された、優れた赤外線吸収材料として好適に用いられる。
また、本発明の硬化物の形状は、その用途に応じて選択されるために特に限定はされないが、例えば、フィルム形状、シート形状、棒形状、レンズ形状等が挙げられる。
【0060】
[赤外線吸収材料]
本発明の硬化物は、上記例示のとおりの所望の形状に成形して、種々の赤外線吸収材料として使用され得る。より詳細には、赤外線吸収剤として、例えば、近赤外線を吸収・カットする機能を有するレンズ(デジタルカメラや携帯電話や車載カメラ等のカメラ用レンズ、f-θレンズ、ピックアップレンズ等の光学レンズ)及び半導体受光素子用の光学フィルター、省エネルギー用に熱線を遮断する近赤外線吸収フィルム用コーティング剤や近赤外線吸収板、太陽光の選択的な利用を目的とする農業用近赤外線吸収フィルム用コーティング剤、近赤外線の吸収熱を利用する記録媒体、電子機器用近赤外線カットフィルター、写真用近赤外線フィルター、保護めがね、サングラス、熱線遮断フィルム、光学記録用色素、光学文字読み取り記録、機密文書複写防止用、電子写真感光体、レーザー溶着、CCDカメラ用ノイズカットフィルター、CMOSイメージセンサ用フィルター等の光学部材が挙げられる。
【0061】
以下、実施例および比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が以下の実施例に限定されるものでないことは言うまでもない。
なお、他に特に但書が無い限り、示される「部」および「%」は質量に基づくものとする。
【実施例0062】
[硬化性樹脂組成物の調製]
下記表1に記載の配合量に従って、各成分をそれぞれ配合し、混合攪拌しその後、3本ロールミルにて混練して、実施例1、ならびに比較例1および2の硬化性樹脂組成物をそれぞれ調製した。なお、表中の数値は質量部を表し、固形分量を示す。
【0063】
【表1】
なお、上記表1中の各番号に対応する成分の詳細は下記のとおりである。
※1 アートキュアーRA-4101;アクリルアクリレート樹脂;根上工業株式会社製(固形分酸価:90mgKOH/g)
※2 ゼッフルGK-570;テトラフルオロエチレン-ビニルモノマー共重合体;ダイキン工業株式会社製
※3 CWO(登録商標);セシウム含有タングステン;住友金属鉱山株式会社製
※4 近赤外線吸収剤;日本カーリット株式会社製
※5 水添エポキシ樹脂;三菱ケミカル株式会社製(エポキシ当量:270g/eq)
※6 メラミン;三井化学株式会社製
※7 ヘキサメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネート;旭化成株式会社製
※8 3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン;信越化学工業株式会社製
【0064】
[評価用ドライフィルムの作製]
表1で示す配合量で作製した硬化性樹脂組成物を厚さ25μmのPETフィルム(東洋紡株式会社製 E-5041)上にアプリケーターを用いて塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分乾燥させ、膜厚10μmとなるように評価用ドライフィルムをそれぞれ作製した。
【0065】
[試験例1.耐熱性試験]
耐熱性を評価するため、リフロー前後の透過率の変化率を以下のように測定した。
ガラス厚1mmのソーダライムガラスをアルコール洗浄し、乾燥してから上記[評価用ドライフィルムの作製]で得られたそれぞれのドライフィルムをラミネートし、熱風循環式乾燥炉に170℃で60分間加熱することで硬化性樹脂組成物を硬化した。得られた試験用硬化物について、1mmのソーダライムガラスを基準としてそれぞれ全光線透過率を測定した。全光線透過率は、JIS K 7361-1に準拠し、紫外光線可視分光光度計(V-670EX、日本分光株式会社製)を用いて測定した。
その後、評価用硬化物をあらかじめ最高260℃に設定したリフロー炉に通過させた後に、上記と同様の方法で全光線透過率の測定を行った。
リフロー前後の全光線透過率の測定結果に関して、波長940nmでの透過率の変化率を算出し以下基準で評価した。
○:2%未満
△:2%以上50%未満
×:50%以上
【0066】
[試験例2.耐湿耐熱性試験]
耐湿耐熱性を評価するため、恒温恒湿試験前後の透過率の変化率を以下のように測定した。
上記[評価用ドライフィルムの作製]で得られたそれぞれのドライフィルムを1mmのソーダライムガラスにラミネートし、熱風循環式乾燥炉に170℃で60分間加熱することで硬化性樹脂組成物を硬化した。得られた評価用硬化物について、1mmのソーダライムガラスを基準としてそれぞれ全光線透過率を測定した。全光線透過率は、JIS K 7361-1に準拠し、紫外光線可視分光光度計(V-670EX、日本分光株式会社製)を用いて測定した。
その後、上記で得られた評価用硬化物を85℃85%RHの恒温恒湿槽に入れ500時間後に取り出し、上記と同様の方法で全光線透過率の測定を行った。
恒温恒湿試験前後の全光線透過率の測定結果に関して、波長940nmでの透過率の変化率を算出し以下基準で評価した。
○:2%未満
△:2%以上50%未満
×:50%以上
【0067】
[試験例3.密着性試験]
上記[評価用ドライフィルムの作製]で得られたそれぞれのドライフィルムをソーダライムガラス(16cm×11cm、厚さ1mm)にラミネートし、熱風循環式乾燥炉に170℃で60分間加熱することで硬化性樹脂組成物を硬化した。さらに、上層材料を塗工し、硬化させ評価用基板を得た。得られた評価用硬化物について、下記に示す手順のとおりの密着性試験を行い、結果を評価した。
下記で基板上に形成された反射層(硬化物)の密着性は、JISK5600-5-6に準拠したクロスカット試験により実施することができる。各評価基板に1mm×1mmの正方形が100個となるように傷をつけた。その後、テープピールにより反射層の剥がれを確認した。クロスカット試験による剥がれ率は、全升目の面積に対する「剥がれ」の面積の割合である。「剥がれ」の面積とは格子内において反射層(硬化物)が剥がれた部分の面積の合計である。密着性の評価は以下の基準で行った。
○:「剥がれ率」が0%(剥がれなし)であった。
×:「剥がれ率」が0%超5%未満であった。
【0068】
[試験例4.Haze試験]
上記[評価用ドライフィルムの作製]で得られたそれぞれのドライフィルムを1mmのソーダライムガラスにラミネートし、熱風循環式乾燥炉に170℃で60分間加熱することで硬化性樹脂組成物を硬化した。得られた評価用硬化物について、1mmのソーダライムガラスを基準としてそれぞれHaze値を測定した。Haze値はヘーズメータ(日本電色工業株式会社製 Haze Meter NDH 7000II)を用いて測定し、以下基準で評価した。
○:1%未満
△:1%以上2%未満
×:2%以上
【0069】