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  • 特開-接続電線及び接続電線の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143134
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】接続電線及び接続電線の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/14 20060101AFI20241003BHJP
   H02G 15/00 20060101ALI20241003BHJP
   H02G 15/04 20060101ALI20241003BHJP
   H02G 15/08 20060101ALI20241003BHJP
   H01R 4/70 20060101ALI20241003BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20241003BHJP
   H01B 7/00 20060101ALN20241003BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
H02G1/14
H02G15/00 030
H02G15/04 030
H02G15/08
H01R4/70 K
H01R43/00 A
H01B7/00 301
B60R16/02 621Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055648
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002631
【氏名又は名称】弁理士法人クオリオ
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100161469
【弁理士】
【氏名又は名称】赤羽 修一
(72)【発明者】
【氏名】河中 裕文
(72)【発明者】
【氏名】山田 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】小澤 正和
【テーマコード(参考)】
5E051
5G309
5G355
5G375
【Fターム(参考)】
5E051AA02
5G309AA06
5G355AA03
5G355BA11
5G355CA06
5G355CA15
5G355CA19
5G355CA26
5G375AA02
5G375BA15
5G375BA26
5G375BB48
5G375BB55
5G375CA02
5G375CA12
5G375CA14
5G375CB03
5G375CB10
5G375DB24
5G375DB35
5G375DB44
5G375EA17
(57)【要約】
【課題】樹脂液の液垂れによる汚染等を抑制しつつ、生産性に優れ、かつ得られる接続電線の封止性をより高めることができる、接続電線の製造方法、及び当該製造方法により得られる接続電線を提供する。
【解決手段】複数の絶縁電線の導体同士が接続された接続部が、絶縁性の封止層により封止された接続電線の製造方法であって、
前記接続部を第1硬化性樹脂液に浸漬する工程と、
前記浸漬後に前記接続部を引き上げる工程と、
前記接続部を第2硬化性樹脂液に浸漬する工程と、
前記第2硬化性樹脂液を硬化させる工程と、をこの順に有し、
前記第1硬化性樹脂液の粘度が51~1500mPa・sであり、前記第2硬化性樹脂液が光硬化性樹脂及び/又は熱溶融性樹脂を含む、
接続電線の製造方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絶縁電線の導体同士が接続された接続部が、絶縁性の封止層により封止された接続電線の製造方法であって、
前記接続部を第1硬化性樹脂液に浸漬する工程と、
前記浸漬後に前記接続部を引き上げる工程と、
前記接続部を第2硬化性樹脂液に浸漬する工程と、
前記第2硬化性樹脂液を硬化させる工程と、をこの順に有し、
前記第1硬化性樹脂液の粘度が51~1500mPa・sであり、前記第2硬化性樹脂液が光硬化性樹脂及び/又は熱溶融性樹脂を含む、
接続電線の製造方法。
【請求項2】
前記第1硬化性樹脂液が硬化してなる第1硬化樹脂からなる層の厚さが30~300μmである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記第1硬化性樹脂液の粘度が80~1000mPa・sであり、前記第1硬化性樹脂液が硬化してなる第1硬化樹脂からなる層の厚さが42~230μmである、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第2硬化性樹脂液の粘度が、前記第1硬化性樹脂液の粘度より高い、請求項1又は2に記載の接続電線の製造方法。
【請求項5】
前記第1硬化性樹脂液が光硬化性樹脂を含む、請求項1又は2に記載の接続電線の製造方法。
【請求項6】
前記第1硬化性樹脂液が湿気硬化性樹脂を含む、請求項1又は2に記載の接続電線の製造方法。
【請求項7】
前記第1硬化性樹脂液が嫌気硬化性樹脂を含む、請求項1又は2に記載の接続電線の製造方法。
【請求項8】
前記第2硬化性樹脂液が保護部材に充填されて用いられる、請求項1又は2に記載の接続電線の製造方法。
【請求項9】
前記接続電線がワイヤハーネスである、請求項1又は2に記載の接続電線の製造方法。
【請求項10】
複数の絶縁電線の導体同士が接続された接続部が絶縁性の封止層により封止されている接続電線であって、
前記封止層は、第1硬化樹脂からなる層と、第1硬化樹脂からなる層を覆う第2硬化樹脂からなる層とを有し、前記第1硬化樹脂からなる層の厚さが30~300μmであり、前記第2硬化樹脂が光硬化樹脂及び/又は熱溶融樹脂を含む、接続電線。
【請求項11】
前記第1硬化樹脂からなる層の厚さが42~230μmである、請求項10に記載の接続電線。
【請求項12】
前記第1硬化樹脂が光硬化樹脂を含む、請求項10又は11に記載の接続電線。
【請求項13】
前記第1硬化樹脂が湿気硬化樹脂を含む、請求項10又は11に記載の接続電線。
【請求項14】
前記第1硬化樹脂が嫌気硬化樹脂を含む、請求項10又は11に記載の接続電線。
【請求項15】
前記封止層が保護部材で覆われている、請求項10又は11に記載の接続電線。
【請求項16】
前記接続電線がワイヤハーネスである、請求項10又は11に記載の接続電線。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続電線及び接続電線の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁電線の配線において、幹線から枝線を分岐させたり、幹線相互間を直列に接続したり、あるいは松葉接続する場合、絶縁電線を被覆する絶縁被覆層が剥離され、剥き出しとなった導体が接続されて接続部が形成される。形成された接続部は、その外周を絶縁テープで巻きつけたり、またはスプライスユニット等の接続部材により覆われたりすることにより保護される。また、特に接続部に止水性等が求められるような場合には、当該接続部を絶縁性の樹脂等で封止して封止層が形成される。
前記封止層の形成において、絶縁電線間ないし導体間まで隙間なく樹脂を充填させるために、2種類の粘度の異なる樹脂液(樹脂材料、樹脂組成物)を用いる方法が提案されている。具体的には、接続部をより低粘度の樹脂液に浸漬し、低粘度の樹脂液により絶縁電線間ないし導体間のわずかな隙間にまで樹脂液を浸透させた後に、当該樹脂液を硬化させ、次いでより高粘度の樹脂液に浸漬させ、当該樹脂液を硬化させて封止層を形成する方法が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、被覆を除去して複数の芯線が露出した電線を複数束ね、前記複数の芯線部分を溶接して形成される溶接部の前記複数の芯線間を止水する技術が提案されている。この止水方法は、前記溶接部を粘度1Pa・sec以下の第1のシール材で止水処理した後、粘度10~70Pa・secの第2のシール材で止水処理するものである。
【0004】
また特許文献2には、導線同士が接続されたスプライス部と、当該スプライス部を封止する封止層とを有するワイヤハーネスの製造方法であって、前記導線同士を接続して前記スプライス部を形成する接続工程と、硬化前の状態であり第1の粘度を有する第1の樹脂材料中に前記スプライス部を浸漬した後に取り出す第1樹脂材料付与工程と、前記スプライス部に付与された前記第1の樹脂材料を硬化させる第1硬化工程と、前記第1硬化工程後に、硬化前の状態であり第2の粘度を有する第2の樹脂材料中に前記スプライス部を浸漬した後に取り出す第2樹脂材料付与工程と、前記スプライス部に付与された前記第2の樹脂材料を硬化させる第2硬化工程と、を具備し、前記第1の粘度は10~50mPa・sの範囲とされ、前記第2の粘度は前記第1の粘度よりも高く設定されたことを特徴とするワイヤハーネスの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-9334号公報
【特許文献2】特開2022-167488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者が検討したところ、2層の樹脂からなる封止層を有する接続電線を製造するにあたり、上記特許文献2に記載の製造方法のように、第1の樹脂として粘度が10~50mPa・sである樹脂液を用いて封止層を形成した場合、前記スプライス部(接続部)を第1の樹脂液に浸漬させて引き上げてから硬化させるまでの間に、または引き上げてから第2の樹脂液に浸漬させるまでの間に、第1の樹脂液が下部に垂れ落ちて周辺を汚染しやすいことが判明した。また、垂れ落ちた樹脂液の分だけ樹脂消費量が増え、製造コストが増加するという問題も明らかになってきた。
また上記特許文献1に記載の方法では、キャップ(保護部材)内にシリコーンゴムを充填させ、当該シリコーンゴムに溶接部(接続部)を浸漬して放置することにより止水構造を形成する方法が提案されているものの、シリコーンゴムは硬化するまでに長時間を要すため、保管スペースの確保や作業の停滞により生産性が低下するという問題が生じていた。また、硬化前の液状のシリコーンゴムがキャップから漏洩するのを防ぐために、全長の長いキャップを用いる必要があり、接続電線の配索の自由度が低下する要因ともなっていた。
さらに、例えば上記接続電線をワイヤハーネス等の用途に用いる場合には、過酷な環境条件下においても使用されることが想定されるために、従来のものよりもさらに高い封止性が求められていた。
【0007】
上記問題に鑑み、本発明は、樹脂液の液垂れによる汚染等を抑制しつつ、生産性に優れ、かつ得られる接続電線の封止性をより高めることができる、接続電線の製造方法、及び当該製造方法により得られる接続電線を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、接続部に封止層を形成した接続電線の製造に当たり、第1硬化性樹脂液の粘度を特定の範囲内とすることにより、前記接続部を第1硬化性樹脂液に浸漬してから引き上げても、第1硬化性樹脂液が下部に垂れ落ちることを抑制でき、第1硬化性樹脂液の消費量を低減できること、また第1硬化性樹脂液が十分な量を保ったまま接続部に付着できるため、当該樹脂液を硬化してなる第1硬化樹脂からなる層の厚さを厚肉に制御できること、また第2硬化性樹脂液を光(紫外線)硬化性樹脂及び/熱溶融性樹脂を含むものとすることにより、製造コストを削減できること、さらにこれらにより、過酷な環境下でも接続部を十分に高いレベルで封止、保護できる接続電線を得ることができることを見出した。本発明は、これらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至った。
【0009】
すなわち、上記の課題は、以下の手段により解決された。
<1>
複数の絶縁電線の導体同士が接続された接続部が、絶縁性の封止層により封止された接続電線の製造方法であって、
前記接続部を第1硬化性樹脂液に浸漬する工程と、
前記浸漬後に前記接続部を引き上げる工程と、
前記接続部を第2硬化性樹脂液に浸漬する工程と、
前記第2硬化性樹脂液を硬化させる工程と、をこの順に有し、
前記第1硬化性樹脂液の粘度が51~1500mPa・sであり、前記第2硬化性樹脂液が光硬化性樹脂及び/又は熱溶融性樹脂を含む、
接続電線の製造方法。
<2>
前記第1硬化性樹脂液が硬化してなる第1硬化樹脂からなる層の厚さが30~300μmである、前記<1>に記載の製造方法。
<3>
前記第1硬化性樹脂液の粘度が80~1000mPa・sであり、前記第1硬化性樹脂液が硬化してなる第1硬化樹脂からなる層の厚さが42~230μmである、前記<1>又は<2>に記載の製造方法。
<4>
前記第2硬化性樹脂液の粘度が、前記第1硬化性樹脂液の粘度より高い、前記<1>~<3>のいずれかに記載の接続電線の製造方法。
<5>
前記第1硬化性樹脂液が光硬化性樹脂を含む、前記<1>~<4>のいずれかに記載の接続電線の製造方法。
<6>
前記第1硬化性樹脂液が湿気硬化性樹脂を含む、前記<1>~<5>のいずれかに記載の接続電線の製造方法。
<7>
前記第1硬化性樹脂液が嫌気硬化性樹脂を含む、前記<1>~<6>のいずれかに記載の接続電線の製造方法。
<8>
前記第2硬化性樹脂液が保護部材に充填されて用いられる、前記<1>~<7>のいずれかに記載の接続電線の製造方法。
<9>
前記接続電線がワイヤハーネスである、前記<1>~<8>のいずれかに記載の接続電線の製造方法。
<10>
複数の絶縁電線の導体同士が接続された接続部が絶縁性の封止層により封止されている接続電線であって、
前記封止層は、第1硬化樹脂からなる層と、第1硬化樹脂からなる層を覆う第2硬化樹脂からなる層とを有し、前記第1硬化樹脂からなる層の厚さが30~300μmであり、前記第2硬化樹脂が光硬化樹脂及び/又は熱溶融樹脂を含む、接続電線。
<11>
前記第1硬化樹脂からなる層の厚さが42~230μmである、前記<10>に記載の接続電線。
<12>
前記第1硬化樹脂が光硬化樹脂を含む、前記<10>又は<11>に記載の接続電線。
<13>
前記第1硬化樹脂が湿気硬化樹脂を含む、前記<10>~<12>のいずれかに記載の接続電線。
<14>
前記第1硬化樹脂が嫌気硬化樹脂を含む、前記<10>~<13>のいずれかに記載の接続電線。
<15>
前記封止層が保護部材で覆われている、前記<10>~<14>のいずれかに記載の接続電線。
<16>
前記接続電線がワイヤハーネスである、前記<10>~<15>のいずれかに記載の接続電線。
【0010】
本発明において、「~」を用いて表される数値範囲は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の接続電線の製造方法によれば、通常の環境下だけでなく、過酷な環境下であっても接続部を十分に高いレベルで封止、保護できる接続電線を、優れた生産性で得ることができる。本発明の接続電線は、通常の環境下だけでなく、過酷な環境下でも接続部を十分に高いレベルで封止、保護でき、生産性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の接続電線の一実施形態を示す模式図である。
図2】本発明の接続電線の一実施形態の断面図を示す模式図である。
図3】本発明の接続電線の製造方法の一実施形態を模式的に示す説明図である。
図4】本発明の製造方法ではない接続電線の製造方法の一例を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の好ましい実施形態を以下に説明するが、本発明は、本発明で規定すること以外は下記の実施形態に限定されるものではない。
【0014】
[接続電線の製造方法]
本発明の接続電線の製造方法(以下、本発明の製造方法とも称す。)は、複数の絶縁電線の導体同士が接続された接続部を、第1硬化性樹脂液に浸漬する工程と、前記浸漬後に前記接続部を引き上げる工程と、前記接続部を第2硬化性樹脂液に浸漬する工程と、前記接続部に付着した第2硬化性樹脂液を硬化させる工程とをこの順に有する。
本発明の製造方法において、前記第1硬化性樹脂液の粘度は、51~1500mPa・sに制御されている。また、前記第2硬化性樹脂液は光硬化性樹脂及び/又は熱溶融性樹脂を含む。
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本発明は、本発明で規定すること以外は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。また、下記の図面を参照して説明する接続電線等の説明は、下記の図面に示された形態に限らず、本発明の構成ないし発明特定事項の説明として適用されるものである。
【0016】
図1は、本発明の製造方法により得られる接続電線の一実施形態を模式的に示している。前記接続電線1は、複数の絶縁電線10の末端の被覆部12が剥離され、露出した導体部11同士が接続されて接続部13を形成している。また、当該接続部13が、絶縁性の封止層20によって封止されている。なお、本明細書において、前記接続部から、接続部が形成されていない導体部、及び被覆部にかけての領域を、まとめて「接続部等」とも称す。また、前記接続部等において、絶縁被覆層が剥離された部分の導体のすべてが接続部を形成していてもよい(接続部が形成されていない導体部を有しなくてもよい)。本発明において、「複数の絶縁電線の導体同士が接続された接続部が、絶縁性の封止層により封止された」とは、当該接続部を含む領域が絶縁性の封止層により封止されていることを意味する。換言すれば、上記の接続部等が絶縁性の封止層により封止されていることを意味する。
図2は、図1で示す接続電線1の一点鎖線に沿った断面図を模式的に示している。前記封止層20は、第1硬化樹脂22からなる層と、第2硬化樹脂24からなる層を有する。
図1及び図2は、断面が円形の絶縁電線10が7本接続された接続電線1を示しているが、本発明において、接続する絶縁電線10の本数は特に制限されない。また、図1及び図2は、導体部11同士が圧着端子14を用いて接続されて接続部13が形成されている様子を示しているが、本発明において導体部11同士の接続方法も特に限定されない。
【0017】
図3は、本発明の製造方法の一実施形態を示している。また、図4は、本発明の製造方法ではない接続電線の製造方法の一例を示している。なお、図3に示す第1硬化性樹脂液21の粘度は51~1500mPa・sであり、図4に示す第1硬化性樹脂液21’の粘度は10~50mPa・sである。
図3(A)は、絶縁電線10の接続部13等を、容器内に充填された第1硬化性樹脂液21に浸漬させる<第1硬化性樹脂液に浸漬する工程>を示している。図3(B)は、前記接続部13等を第1硬化性樹脂液21に浸漬させた後に、第1硬化性樹脂液21が充填された容器から前記接続部13等を引き上げる<浸漬後に接続部を引き上げる工程>を示している。本発明の製造方法に用いる前記第1硬化性樹脂液21の粘度は51~1500mPa・sの範囲に制御されているため、図3(B)に示されるように、前記第1硬化性樹脂液21は下部に垂れていなく、十分な量が前記接続部13等に付着している。なお、第1硬化性樹脂液21は、第2硬化性樹脂液23に浸漬する前に硬化させてもよく、また硬化させずに第2硬化性樹脂液23に浸漬する工程に移ってもよい。図3(C)は、前記接続部13等を、第2硬化性樹脂液23が充填された絶縁キャップ(保護部材)25内に浸漬させる<第2硬化性樹脂液に浸漬する工程>、及びその後第2硬化性樹脂液23を硬化させて第2硬化樹脂24とする<第2硬化性樹脂液を硬化させる工程>を示している。
一方で、本発明の製造方法ではない接続電線の製造方法の一例を示す図4では、図4(A)に示される第1硬化性樹脂液21’の粘度は10~50mPa・sである。そのため、図4(B)で示されるように、前記接続部13等を第1硬化性樹脂液21が充填された容器から引き上げた後に、前記第1硬化性樹脂液21’の一部が垂れ落ち、また第1硬化性樹脂液21’が下部へ移動して長く雫のような形状を成している。そのため、図4(C)で示されるように、第2硬化性樹脂液23が充填された絶縁キャップ25は、前記第1硬化性樹脂液21’の形状に合わせてより縦長のものが使用されており、充填される第2硬化性樹脂液23の量も増大している。
以下、本発明の製造方法に特徴的な構成を説明する。
【0018】
<絶縁電線>
本発明の製造方法に用いる絶縁電線は特に限定されず、例えば自動車用のワイヤハーネス等について通常用いられる絶縁電線を使用することができる。前記絶縁電線は、導体と、当該導体の外周を覆う絶縁被覆層とを有する。
【0019】
(導体)
前記絶縁電線の導体の形状や材質は導体として機能すれば特に限定されない。例えば自動車用のワイヤハーネス等に用いる絶縁電線で用いられている形状、材質の導体であってもよい。導体としては、単線でも撚線でもよく、また裸線でもよく、メッキ若しくはエナメル被覆したものでもよい。導体を形成する金属材料としては軟銅、銅合金、アルミニウム等が挙げられる。
【0020】
(絶縁被覆層)
また、前記絶縁電線の絶縁被覆層の種類も、所望の絶縁性を有すれば特に限定されない。例えば自動車用のワイヤハーネス等に用いられている絶縁性の樹脂を適用することができる。絶縁被覆層は、絶縁性の熱可塑性樹脂ないし当該樹脂を含む組成物を押出被覆することにより形成される押出被覆層であることが好ましい。前記絶縁被覆層の厚さは特に制限されず、通常は0.15~5mm程度である。
【0021】
(接続部)
本発明の製造方法の一実施形態では、図1及び図2に示すように、前記複数の絶縁電線の先端の絶縁被覆層(被覆部)が剥離されて導体が露出し、当該導体同士が接続されて接続部を形成している。当該接続部の形成方法については特に限定されず、導体同士が電気的に接続されていればよい。例えば、アーク溶接、レーザ溶接や超音波接合などであってもよく、P型スリーブやB型スリーブ等の圧着端子を用いた圧着接続であってもよい。
【0022】
<封止層>
本発明の製造方法において、前記絶縁性の封止層は、第1硬化性樹脂液が硬化してなる第1硬化樹脂からなる層と、この層の周囲を覆う、第2硬化性樹脂液が硬化してなる第2硬化樹脂からなる層とを有する。本発明の製造方法において、前記第1硬化樹脂からなる層は、前記接続部を第1硬化性樹脂液に浸漬して引き上げるディップコーティングにより形成される。前記封止層を形成する工程を、下記に説明する。
【0023】
<第1硬化性樹脂液に浸漬する工程>
本発明の製造方法において、得られる接続電線の封止層のうち第1硬化樹脂からなる層は、接続部等を、容器内に充填された第1硬化性樹脂液に浸漬して引き上げた後に硬化させることにより形成される。第1硬化性樹脂液に含まれる樹脂としては、硬化することにより後述する第1硬化樹脂を形成する硬化性樹脂(樹脂組成物)が挙げられる。例えば、光(紫外線)硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂、嫌気硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができる。
前記接続部等の第1硬化性樹脂液への浸漬は、被覆部が、露出した導体部との境目から5mm以上第1硬化性樹脂液に覆われるように浸漬されることが好ましい。また浸漬時間は第1硬化性樹脂液が前記接続部等のわずかな隙間(細部)まで浸透するように、第1硬化性樹脂液の粘度に応じて適宜設定することができる。例えば、前記浸漬時間を1分以下とすることもでき、30秒以下とすることもでき、10秒以下とすることもできる。なお、通常は、前記浸漬時間は1秒以上であることが好ましい。
【0024】
前記第1硬化性樹脂液の粘度は、上述したように51~1500mPa・sである。前記粘度をこのような範囲内とすることにより、接続部等を第1硬化性樹脂液に浸漬させてから引き上げた際に、第1硬化性樹脂液が接続部等に付着したまま保持されて当該液が下部に移動することを抑制することができ、また過度な液垂れを抑制することができる。第1硬化性樹脂液をより確実に保持して下部への移動を抑制し、また過度な液垂れをより抑制する観点から、前記第1硬化性樹脂液の粘度は、70mPa・s以上であることが好ましく、80mPa・s以上であることがより好ましく、100mPa・s以上であることがさらに好ましく、125mPa・s以上であることがさらに好ましい。また、第1硬化性樹脂液を短時間のうちに前記接続部等の細部にまで浸透させる観点から、前記第1硬化性樹脂液の粘度は1300mPa・s以下であることが好ましく、1000mPa・s以下であることがより好ましく、800mPa・s以下であることがさらに好ましい。前記粘度を好ましい範囲として示すと、70~1300mPa・sであり、より好ましくは80~1000mPa・s、さらに好ましくは100~1000mPa・s、さらに好ましくは125~800mPa・sである。
【0025】
本発明において前記硬化性樹脂液の粘度は、接続部を浸漬する時点の樹脂液の温度における粘度である。当該温度における粘度は、例えば、B型粘度計(例えば、英弘精機社製、品名:デジタル粘度計DVNext)により測定することができる。B型粘度計とは、スピンドル・ローターと呼ばれる回転子を液体に浸し、モーターで回転させて流動抵抗を計測する回転粘度計の一種である。B型粘度計を用いる場合、前記デジタル粘度計DVNext(型番:LV DVNX)に付属のスピンドルを用い、トルクレンジ(%)が10~100%の範囲内となるよう回転速度(0.01~250rpm)を調整して測定することができる。また例えば、前記硬化性樹脂液が市販品である場合には、市販品のパンフレット等に記載の粘度とすることもできる。
また当該温度は、例えば本発明の接続電線の製造における室温とすることもでき、例えば硬化性樹脂液として光(紫外線)硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂、嫌気硬化性樹脂を用いる場合は、前記粘度は25℃における粘度とすることもできる。
【0026】
<浸漬後に接続部を引き上げる工程>
容器に充填された第1硬化性樹脂液に浸漬させた前記接続部等は、次いで容器から引き上げられる。ディップコーティングによる樹脂液の厚さは、引き上げ速度が充分に遅く、粘度が低い場合は、液体の粘度、及び、気体-液体の界面での表面張力が、樹脂液の厚さの支配的な要素となる。そのため、前記厚さ(h、単位:m)について、以下の関係式が成り立つ。
【0027】
【0028】
上記(式1)中、各パラメータは以下の通りである。

U:引き上げ速度(m/s)
η:硬化性樹脂液の粘度(Pa・s=kg・m/s)
ρ:硬化性樹脂液の密度(kg/m
γ:硬化性樹脂液の表面張力(N/m)
g:重力加速度(m/s
【0029】
前記引き上げ速度は、第1硬化性樹脂液の粘度、密度、表面張力、及び目的とする第1硬化樹脂からなる層の厚さに応じて適宜設定することができる。前記第1硬化性樹脂液の接続部等に付着させる量を十分に確保する観点から、例えば前記引き上げ速度を150mm/分以下とすることが好ましく、100mm/分以下とすることがより好ましく、80mm/分以下とすることがさらに好ましい。また、製造速度を上げる観点から、前記速度は10mm/分以上であることが好ましく、30mm/分以上であることがより好ましく、50mm/分以上であることがさらに好ましい。前記速度を好ましい範囲として示すと、10~150mm/分であり、より好ましくは30~100mm/分、さらに好ましくは50~80mm/分である。
【0030】
本発明の製造方法は、浸漬後に接続部を引き上げる工程において(すなわち、接続部等を第1硬化性樹脂液の浸漬後に引き上げた後、第2硬化性樹脂液に浸漬させるまでの間に)、さらに第1硬化性樹脂液を硬化させる工程を有してもよく、また第1硬化性樹脂液を硬化させる工程を有しなくてもよい。
接続部等を第1硬化性樹脂液に浸漬して引き上げた後、第2硬化性樹脂液に浸漬させるまでの間に、第1硬化性樹脂液を硬化させる工程を有する場合には、第2硬化性樹脂液に浸漬させる段階で、第1硬化性樹脂液は硬化して第1硬化樹脂となっている。そのため、得られる接続電線において第1硬化樹脂からなる層と第2硬化樹脂からなる層との間には明確な界面が形成される。
【0031】
<第2硬化性樹脂液に浸漬する工程>
本発明の製造方法において、得られる接続電線の封止層における第2硬化樹脂からなる層は、前記浸漬後に接続部を引き上げる工程後の接続部等を第2硬化性樹脂液に浸漬し、次いで硬化することにより形成される。第2硬化性樹脂液には、上述したように光(紫外線)硬化性樹脂及び/又は熱溶融性(ホットメルト)樹脂が含まれる。当該樹脂液が硬化することにより、後述する第2硬化樹脂からなる層が形成される。
本発明の製造方法において前記第2硬化性樹脂液を光硬化性樹脂及び/又は熱溶融性樹脂を含むものとすることにより、本工程に続く第2硬化性樹脂液を硬化させる工程において、速やかに第2硬化性樹脂液を硬化させることができ、接続電線の製造にかかる時間を短縮することができる。また、例えば後述するように第2硬化性樹脂液を保護部材に充填させ、当該保護部材に充填されたまま硬化させる場合には、光照射又は冷却により第2硬化性樹脂液を速やかに硬化させることができるため、当該樹脂液が保護部材から漏出する危険性が少なく、当該保護部材のサイズをより小さいものとすることができる。
【0032】
前記接続部の第2硬化性樹脂液への浸漬は、前記接続部等に付着した前記第1硬化性樹脂液ないし第1硬化樹脂が完全に覆われる位置まで浸漬することが好ましい。
【0033】
前記第2硬化性樹脂液の粘度は特に限定されず、液垂れをより防止する観点から、前記第1硬化性樹脂液の粘度よりも高いことが好ましい。例えば、第1硬化性樹脂液の粘度よりも200mPa・s以上高いことが好ましく、400mPa・s以上高いことがより好ましく、600mPa・s以上高いことも好ましい。前記第2硬化性樹脂液の粘度は400~10000mPa・sが好ましく、500~8000mPa・sがより好ましく、600~7000mPa・sがさらに好ましく、700~6000mPa・sがさらに好ましい。
【0034】
前記第2硬化性樹脂液は、例えば絶縁性の保護部材(絶縁キャップ等)等に充填されて用いられてもよい。これにより、前記保護部材ごと第2硬化性樹脂液を硬化させることができ、さらに保護部材により封止層を効果的に保護することができる。保護部材の構成材料は特に限定されず、例えば後述する保護部材を用いることができる。
【0035】
<第2硬化性樹脂液を硬化させる工程>
第2硬化性樹脂液を硬化させる方法は、第2硬化性樹脂液の種類に応じて適宜設定することができる。例えば、第2硬化性樹脂液が光(紫外線)硬化性樹脂液である場合には、当該樹脂液に光(紫外線)を照射することにより硬化させることができる。また、第2硬化性樹脂液が熱溶融性樹脂である場合には、当該樹脂液を冷却(または室温で静置)させることにより硬化させることができる。
さらに、前記の第1硬化性樹脂液への浸漬後に接続部等を引き上げる工程において第1硬化性樹脂液を硬化させる工程を有しない場合には、本工程において第1硬化性樹脂液と第2硬化性樹脂液を同時に硬化させることもできる。例えば、第1硬化性樹脂液と第2硬化性樹脂液が共に光(紫外線)硬化性樹脂である場合、光(紫外線)を照射することにより、第1硬化性樹脂液と第2硬化性樹脂液を一度に硬化させることができるため、製造に要する時間を短縮することができる。また、第1硬化性樹脂液が湿気硬化性樹脂又は嫌気硬化性樹脂であり、第2硬化性樹脂液が光(紫外線)照射性樹脂である場合、第2硬化性樹脂液に光(紫外線)を照射することで第2硬化性樹脂液を硬化させて封止層の形状を安定化させれば、内部の第1硬化性樹脂は封止層の形状を保ったまま経時的に、自然に硬化していく。また、例えば第1硬化性樹脂液が湿気硬化性樹脂又は嫌気硬化性樹脂であり、第2硬化性樹脂液が熱溶融性樹脂である場合、第2硬化性樹脂液を冷却することにより第2硬化性樹脂液を硬化させて封止層の形状を安定化させれば、内部の第1硬化性樹脂は封止層の形状を保ったまま経時的に、自然に硬化していく。なお、例えば前記第2硬化性樹脂液を熱溶融性樹脂液とする場合には、前記第1硬化性樹脂液は広い使用可能温度範囲(例えば-40~100℃、-40~120℃、-40℃~150℃、-40℃~200℃等)を有する硬化性樹脂であることが好ましい。
【0036】
[接続電線]
本発明の接続電線は、本発明の接続電線の製造方法により製造される接続電線である。そのため、本発明の接続電線において、用いる絶縁電線や絶縁電線の接続部の詳細は、上記で説明した通りである。
本発明の接続電線は、複数の絶縁電線の導体同士が接続部で接続され、当該接続部が絶縁性の封止層で封止されており、当該封止層は、第1硬化樹脂からなる層と、第1硬化樹脂からなる層を覆う第2硬化樹脂からなる層とを有し、前記第1硬化樹脂からなる層の厚さが30~300μmであり、前記第2硬化樹脂が光硬化樹脂及び/又は熱溶融樹脂を含む。
【0037】
<封止層>
本発明の接続電線は、前記接続部を封止する封止層を有する。当該封止層は、第1硬化樹脂からなる層、及びこの層を覆う第2硬化樹脂からなる層を有する。
【0038】
(第1硬化樹脂)
第1硬化樹脂からなる層は、前記接続部を、絶縁性の樹脂で封止(被覆)してなる層である。第1硬化樹脂の種類は特に制限されず、前記第1硬化性樹脂液が硬化することにより形成される硬化樹脂であり、例えば光(紫外線)硬化樹脂、湿気硬化樹脂、嫌気硬化樹脂、熱硬化樹脂等の樹脂を含むことが好ましい。
【0039】
前記光(紫外線)硬化樹脂としては、例えば光ラジカル重合開始剤と、当該光ラジカル重合開始剤の作用によりラジカル重合可能な化合物(ラジカル重合性化合物)とを有する組成物を光硬化させて得られる樹脂、及び光カチオン重合開始剤と、当該光カチオン重合開始剤の作用によりカチオン重合可能な化合物(カチオン重合性化合物)とを有する組成物を光硬化させて得られる樹脂が挙げられる。
【0040】
また、前記光(紫外線)硬化樹脂は、光が直接当たらない部分まで硬化する暗部硬化性樹脂の硬化物を有することがより好ましい。具体的には、光照射(紫外線照射)により長寿命の活性化合物が生成され、当該活性化合物が硬化性樹脂液中に拡散し、光を直接受けていないラジカル重合開始剤に働きかけることでラジカルを生成させて硬化性樹脂液を硬化させてなる、暗部硬化樹脂であることが好ましい。
【0041】
また、前記熱硬化樹脂としては、例えば熱ラジカル重合開始剤とラジカル重合性化合物とを有する組成物を熱硬化させて得られる樹脂、及び熱カチオン重合開始剤とカチオン重合性化合物とを有する組成物を熱硬化させて得られる樹脂が挙げられる。また、熱硬化性のフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂等の硬化物であってもよい。
【0042】
嫌気硬化樹脂としては、空気中では安定しており、酸素を遮断されて金属イオンと接触することにより硬化させて得られる樹脂が挙げられる。
また湿気硬化樹脂としては、空気中等の水分と接触することにより硬化させて得られる樹脂が挙げられる。
【0043】
第1硬化樹脂の具体例として、シアノアクリレート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、アクリルゴム、ポリエステル樹脂、変成ポリオレフィン樹脂などが挙げられ、これらの1種又は2種以上で構成された硬化樹脂とすることができる。
第1硬化樹脂はなかでも、前記光(紫外線)硬化樹脂、湿気硬化樹脂、又は嫌気硬化樹脂を含むことが好ましい。前記光(紫外線)硬化樹脂としては、アクリル樹脂が好ましい。また、前記湿気硬化樹脂としては、シアノアクリレート樹脂やシリコーン樹脂が好ましく、シアノアクリレート樹脂であることがより好ましい。また、前記嫌気硬化樹脂としては、アクリル樹脂(例えば、アクリル酸エステル系樹脂)が好ましい。
【0044】
本発明の接続電線において、前記第1硬化樹脂からなる層の厚さは、上述したように30~300μmである。前記第1硬化性樹脂液の粘度を51~1500mPa・sに制御することにより、前記接続部を第1硬化性樹脂液から引き上げて第1硬化性樹脂液を硬化させることにより、上記第1硬化性樹脂からなる層の厚さとすることができる。当該層の厚さは、封止性をより向上させる観点から、37μm以上であることが好ましく、42μm以上であることがより好ましく、47μm以上であることがさらに好ましく、55μm以上であることがさらに好ましい。また、当該層の厚さは、同様の観点から、275μm以下であることが好ましく、230μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることがさらに好ましい。当該厚さを好ましい範囲として示すと、37~275μmであり、より好ましくは42~230μm、さらに好ましくは47~230μm、さらに好ましくは55~200μmである。
【0045】
前記「第1硬化樹脂からなる層の厚さ」は、接続部を含むように、絶縁電線の長手方向と直交する断面において、当該接続部の最外面と、第1硬化樹脂からなる層の最外面との距離のうちの最小距離を意味する。例えば図1及び図2では、前記接続部は圧着端子により接続されているため、前記「第1硬化樹脂からなる層の厚さ」は、当該圧着端子の最外面から、第1硬化樹脂からなる層の最外面との距離のうちの最小距離である。また、例えば導体同士を超音波接合により接合する場合には、前記「第1硬化樹脂からなる層の厚さ」は、接合された導体の最外面から、第1硬化樹脂からなる層の最外面との距離のうちの最小距離である。
前記厚さは、上記(式1)により計算される厚さとすることもでき、また得られる接続電線を、接合部を含むように絶縁電線の長手方向と直交するように切断し、その断面をエッジング後、光学顕微鏡またはマイクロスコープで確認することもできる。
【0046】
(第2硬化樹脂)
第2硬化樹脂からなる層は、前記接続部を封止する第1硬化樹脂からなる層の表面を覆う、絶縁性の硬化樹脂層である。本発明の接続電線において、第2硬化樹脂は光(紫外線)硬化樹脂及び/又は熱溶融樹脂を含む。
光(紫外線)照射樹脂は、前記第1硬化樹脂において説明したものと同じである。熱溶融樹脂としては、絶縁電線の被覆絶縁層に対する熱影響の観点から、その軟化点が50~180℃程度の範囲である樹脂を用いることが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂の他、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、マレイン酸などの酸変性されたポリオレフィン等を好適に用いることが出来る。なお、本発明ないし本明細書において、前記「熱溶融樹脂」とは、熱溶融性樹脂が熱溶融後に降温により固化した状態の樹脂であることを意味する。
【0047】
第1硬化樹脂と第2硬化樹脂の種類は、それぞれ同一の樹脂とすることもでき、またそれぞれ違う種類の樹脂とすることもできる。
例えば、第1硬化樹脂が光(紫外線)硬化樹脂である場合、第2硬化樹脂も光(紫外線)硬化樹脂とすることにより、第1硬化樹脂と第2硬化樹脂を光(紫外線)照射により同時に硬化させることができる。
また、例えば第1硬化樹脂が光(紫外線)硬化樹脂や湿気硬化樹脂、嫌気硬化樹脂である場合には、第2硬化樹脂として例えば熱溶融樹脂を用いることができる。第1硬化樹脂との密着性の観点から、熱溶融樹脂は変成ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミドなどの極性基を持つ熱溶融樹脂が好ましく、耐熱性の観点から、変成ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等の熱溶融樹脂がさらに好ましい。
【0048】
前記封止層は、その最外層に絶縁性の保護部材(絶縁キャップ等)を有し、封止層が保護部材で覆われていてもよい。封止層が保護部材を有することにより、接続部等をより効果的に保護することができる。
保護部材の構成材料は特に限定されず、封止層の形成において一般的に用いられている材料を使用することができる。また、市場に流通している保護部材を用いることもできる。例えば(架橋)ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどの保護材が好ましい。保護部材として、架橋ポリエチレンを使用する場合には、ホットドライヤー等で加熱することで収縮させることができるため、接続電線の導体部を架橋ポリエチレン保護部材に挿入後、加熱収縮することで、保護部材の外径を小さくすることができ、車載性が向上する他、保護部材に充填される樹脂量を減量させることができる。
また、当該保護部材の内側に第2硬化性樹脂液を充填させ、そのまま封止層の形成に用いて硬化させる場合があるため、例えば第2硬化樹脂が光(紫外線)硬化樹脂である場合には、光透過性の高いポリエチレン、ポリプロピレンなどの材料を用いることが好ましい。また第2硬化樹脂が熱溶融樹脂である場合には、架橋ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等の耐熱性の高い材料を用いることが好ましい。
【0049】
本発明の接続電線は、ワイヤハーネス(好ましくは自動車用ワイヤハーネス)の用途に用いられることが好ましい。なお、本発明ないし本明細書において、ワイヤハーネスとは、エンジンルーム、インストルメントパネル、ドアの内部など車両各所に環境性能に応じて配策されている電線束の総称である。
【実施例0050】
本発明を以下の実施例および比較例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0051】
本実施例に用いた樹脂の詳細は以下の通りであった。

<第1硬化性樹脂液>
・シアノアクリレート接着剤(湿気硬化性、無臭・無白化瞬間接着剤、品番:Z84X(下記表において「Z84X」と表記)、粘度60mPa・s、アルテコ社製)
・シアノアクリレート接着剤(湿気硬化性、汎用瞬間接着剤、商品名:ThreeBond 1743(下記表において「1743」と表記)、粘度:100mPa・s、スリーボンド社製)
・シアノアクリレート接着剤(湿気硬化性、高はく離強度・耐衝撃用瞬間接着剤、商品名:ThreeBond 1733(下記表において「1733」と表記)、粘度:150mPa・s、スリーボンド社製)
・シアノアクリレート接着剤(湿気硬化性、汎用瞬間接着剤、商品名:ThreeBond 1745(下記表において「1745」と表記)、粘度:500mPa・s、スリーボンド社製)
・シアノアクリレート接着剤(湿気硬化性、耐衝撃・耐熱用瞬間接着剤、商品名:ThreeBond 1783(下記表において「1783」と表記)、粘度:800mPa・s、スリーボンド社製)
・シアノアクリレート接着剤(湿気硬化性、瞬間接着剤、商品名:ThreeBond 7786(下記表において「7786」と表記)、粘度:1000mPa・s、スリーボンド社製)
・シアノアクリレート接着剤(湿気硬化性、高耐湿性瞬間接着剤、商品名:ThreeBond 1757(下記表において「1757」と表記)、粘度:1200mPa・s、スリーボンド社製)
・シアノアクリレート接着剤(湿気硬化性、高はく離強度・耐衝撃用瞬間接着剤、商品名:ThreeBond 1735(下記表において「1735」と表記)、粘度:1500mPa・s、スリーボンド社製)
・光硬化型接着剤(品番:AY-4856(下記表において「AY4856」と表記))、粘度:100mPa・s、アルテコ社製)
・アクリレート接着剤(紫外線硬化性樹脂、商品名:ThreeBond 3021J(下記表において「3021J」と表記)、粘度:135mPa・s、スリーボンド社製)
・アクリレート接着剤(紫外線硬化性樹脂、商品名:ThreeBond 3094B(下記表において「3094B」と表記)、粘度:150mPa・s、スリーボンド社製)
・アクリレート接着剤(紫外線硬化性樹脂、商品名:ThreeBond 3042B(下記表において「3042B」と表記)、粘度:500mPa・s、スリーボンド社製)
・アクリレート接着剤(紫外線硬化性樹脂、商品名:ThreeBond 3003J(下記表において「3003J」と表記)、粘度:1300mPa・s、スリーボンド社製)
・シアノアクリレート接着剤(湿気硬化性、金属接着用瞬間接着剤、商品名:ThreeBond 1702(下記表において「1702」と表記)、粘度:35mPa・s、スリーボンド社製)
・シアノアクリレート接着剤(湿気硬化性、光硬化性、商品名:LOCTITE 4304(下記表において「4304」と表記)、粘度:35mPa・s、Henkel社製)
・メタクリル酸エステル接着剤(嫌気硬化性、嫌気性封着剤、商品名:ThreeBond 1344J(下記表において「1344J」と表記)、粘度:650mPa・s、スリーボンド社製)

なお、上記の粘度はいずれも室温(25℃)における粘度である。

<第2硬化性樹脂液>
・アクリレート接着剤(紫外線硬化性樹脂、商品名:ThreeBond 3006D(下記表において「3006D」と表記)、粘度:2.0Pa・s、スリーボンド社製)
・光硬化型接着剤(品番:AY-4031(下記表において「AY4031」と表記))、粘度:6000mPa・s、アルテコ社製)
・ホットメルト接着剤(主成分:ポリアミド樹脂、品番:TEC7785-12(下記表において「7785-12」と表記)、軟化点:155℃、粘度(180℃):5500mPa・s、三洋ライフマテリアル社製)

なお、アクリレート接着剤と光硬化型接着剤の粘度はいずれも室温(25℃)における粘度であり、ホットメルト接着剤の粘度は180℃における粘度である。
【0052】
(実施例1)
全長200mmの0.75sq銅電線(絶縁電線)3本、及び全長200mmの0.75sqアルミ電線(絶縁電線)3本を用い、各電線の片側の末端から15mmの範囲でポリ塩化ビニル(PVC)の絶縁被覆層を除去して導体部を露出させた。次いで、超音波接合機(日本アビオニクス株式会社製)により当該導体部同士を接合して接続部を形成した。
第1硬化性樹脂液として、下記表1に記載のシアノアクリレート接着剤(商品名:Z84X)を用いた。また第2硬化性樹脂液として、下記表1に記載のアクリレート接着剤(商品名:ThreeBond 3006D)を用い、予めポリプロピレン製容器中に充填した。25℃条件下において、前記接続部を、第1硬化性樹脂液に被覆部が約5mm浸かる位置まで5秒間浸漬させてから、引き上げ速度100mm/分の速さで引き上げた。引き上げてから10秒後に、当該接続部に第1硬化性樹脂液を付着させたまま、第2硬化性樹脂液に同様にして浸漬させ、前記ポリプロピレン製容器ごと、紫外線強度1000mW/cmで30秒間紫外線照射して第2硬化性樹脂液を硬化させた。こうして、前記接続部が樹脂で封止された複数の絶縁電線からなる接続電線を得た。なお、第1硬化性樹脂液は、得られた接続電線を室温で放置している間に自然に硬化する。したがって、前記接続部に接して第1硬化樹脂からなる層が形成され、第1硬化樹脂からなる層に接して第2硬化樹脂からなる層が形成された本発明の接続電線が得られる。
【0053】
(実施例2~14、19)
第1硬化性樹脂液及び第2硬化性樹脂液を、それぞれ下記表1に記載の硬化性樹脂液とした以外は、上記実施例1と同様にして接続電線を作製した。なお、実施例4は、シアノアクリレート接着剤(商品名:ThreeBond 1743)とシアノアクリレート接着剤(商品名:ThreeBond 1733)とを質量比で1:1となるように混合した混合液(下記表1において「1743,1733」と表記)を第1硬化性樹脂液として用いた。
なお、実施例2~9、19の第1硬化性樹脂液は、得られた接続電線を室温で放置している間に自然に硬化する。また実施例10~14の第1硬化性樹脂液は第2硬化性樹脂液と共に紫外線照射により硬化する。
【0054】
(実施例15及び16)
第1硬化性樹脂液及び第2硬化性樹脂液を、それぞれ下記表1に記載の硬化性樹脂液とし、かつ接続部等を第1硬化性樹脂液に浸漬させて引き上げた後、第2硬化性樹脂液に浸漬させるまでの間に、4時間静置(実施例15)、又は紫外線強度1000mW/cmで30秒間紫外線を照射する(実施例16)、第1硬化性樹脂液を硬化させる工程を有する以外は、上記実施例1と同様にして接続電線を作製した。
【0055】
(実施例17)
実施例1と同様にして、前記銅電線3本と前記アルミ電線3本の導体部の一部範囲を超音波接合して接続部を形成した。
第1硬化性樹脂液として、下記表1に記載のシアノアクリレート接着剤(商品名:ThreeBond 1743)を用いた。また第2硬化性樹脂液として、下記表1に記載のホットメルト接着剤(商品名:TEC7785-12)を予め180℃で溶解させ、ポリエチレンテレフタレート製容器中に充填した。25℃条件下において、前記接続部を、第1硬化性樹脂液に被覆部が約5mm浸かる位置まで5秒間浸漬させてから、引き上げ速度100mm/分の速さで引き上げた。引き上げてから10秒後に、当該接続部に第1硬化性樹脂液が付着したまま、予め180℃で溶解させた第2硬化性樹脂液に同様に浸漬させ、前記ポリエチレンテレフタレート製容器中に浸漬させたまま室温で5分間静置して冷却した。こうして第1硬化性樹脂液及び第2硬化性樹脂液を硬化させ、前記接続部に接して第1硬化樹脂からなる層が形成され、第1硬化樹脂からなる層に接して第2硬化樹脂からなる層が形成された本発明の接続電線を得た。なお、第1硬化性樹脂液は、得られた接続電線を室温で放置している間に自然に硬化する。
【0056】
(実施例18)
接続部等を第1硬化性樹脂液に浸漬させた後に引き上げて、その後4時間静置させてから第2硬化性樹脂液に浸漬させた以外は、上記実施例17と同様にして接続電線を作製した。
【0057】
(実施例20)
第1硬化性樹脂液を下記表1に記載の硬化性樹脂液とした以外は、上記実施例17と同様にして接続電線を作製した。
【0058】
(比較例1、3)
第1硬化性樹脂液及び第2硬化性樹脂液を、それぞれ下記表1に記載の硬化性樹脂液とした以外は、上記実施例1と同様にして接続電線を作製した。
【0059】
(比較例2、4)
接続部等を第1硬化性樹脂液に浸漬させた後に引き上げてから第2硬化性樹脂液に浸漬させるまでの間に、4時間静置することにより、又は紫外線強度1000mW/cmで30秒間紫外線を照射することにより、第1硬化性樹脂液を硬化させた以外は、それぞれ上記比較例1又は3と同様にして接続電線を作製した。
【0060】
(第1硬化樹脂からなる層の厚さ)
実施例1~20、及び比較例1~4の接続電線における第1硬化樹脂からなる層の厚さ(h、単位:m)を、第1硬化性樹脂液の種類に基づく各パラメータを用い、下記(式1)により算出した。当該算出結果をμm換算で、下記表1に併せて示す。
【0061】
【0062】
上記(式1)中、各パラメータは以下の通りである。

U:引き上げ速度(m/s)
η:硬化性樹脂液の粘度(Pa・s=kg・m/s)
ρ:硬化性樹脂液の密度(kg/m
γ:硬化性樹脂液の表面張力(N/m)
g:重力加速度(m/s
【0063】
第1硬化性樹脂液が湿潤硬化性樹脂(実施例1~9、15、17、18、比較例1、2)である場合、上記(式1)に用いる各パラメータを以下の通りとした。

U=0.001667m/s
η=(下記表1に記載の第1硬化性樹脂液の粘度)Pa・s
ρ=1050kg/m
γ=0.0343N/m
g=9.8m/s
【0064】
第1硬化性樹脂液が嫌気硬化性樹脂(実施例19、20)、又は紫外線硬化性樹脂(実施例10~14、16、比較例3、4)である場合、上記(式1)に用いる各パラメータを以下の通りとした。

U=0.001667m/s
η=(下記表1に記載の第1硬化性樹脂液の粘度)Pa・s
ρ=1070kg/m
γ=0.0398N/m
g=9.8m/s
【0065】
(液滴数の測定)
実施例1~20、及び比較例1~4の接続電線の製造において、前記接続部を第1硬化性樹脂液に浸漬させて引き上げた後、第2硬化性樹脂へ浸漬させるまでの間に、接続部に付着した第1硬化性樹脂液の垂れ落ちた液滴数をカウントし、下記評価基準に基づき評価した。なお、例えば第1硬化性樹脂液を紫外線照射又は室温で静置させて硬化させた後に第2硬化性樹脂液に浸漬させる場合は、当該紫外線照射や室温での静置の間に垂れ落ちた液も、上記「液滴数」に含めるものとした。結果を下記表1に併せて示す。

-評価基準-
液滴数が5以上:×
液滴数が3~4:△
液滴数が1~2:〇
液滴数が0:◎
【0066】
得られた各接続電線について、下記の評価試験を実施した。結果を下記表1に示す。
【0067】
(止水性試験)
得られた各接続電線について、接続電線を構成する6本の絶縁電線のうち1本を選択し、レギュレータによって空気を送り込み、水槽内の水に浸漬させた他の5本の電線からの空気の漏れ(エアリーク)がないかを評価した(初期止水性)。空気圧は0kPaから100kPaまで徐々に上昇させ、エアリークした際の空気圧を記録し、下記評価基準により評価した。

-評価基準-
×:空気圧が20kPaに到達するまでの間にエアリークした。
△:空気圧が20kPaではエアリークしないが、空気圧が50kPaに到達するまでの間にエアリークした。
○:空気圧が50kPaではエアリークしないが、空気圧が100kPaに到達するまでの間にエアリークした。
◎:空気圧が100kPaに到達してもエアリークしなかった。
【0068】
(冷熱衝撃試験)
得られた各接続電線を、125℃で30分間加熱し、次いで-40℃で30分間冷却させる工程を1サイクルとし、このサイクルを計500サイクル繰り返した。その後、止水性試験を行い、止水性を上記評価基準に基づき評価した(耐久後止水性)。
【0069】
【表1】
【0070】
粘度が35mPa・sの第1硬化性樹脂液を用いて得られた比較例1~4の接続電線は、当該接続電線の製造の際に第1硬化性樹脂液が垂れて周辺の汚染が生じた。また、得られた接続電線は初期止水性(製造直後の止水性)に劣り、また特に比較例2及び4の接続電線は冷熱衝撃サイクルにより止水性がさらに悪化した。
これに対し、粘度が51~1500mPa・sの第1硬化性樹脂液を用いて得られた実施例1~20の接続電線は、当該接続電線の製造にあたり第1硬化性樹脂液の液垂れが効果的に抑制されており、また得られた接続電線は初期止水性に優れ、さらに冷熱衝撃サイクルによっても止水性を十分に維持していた。
【符号の説明】
【0071】
1 接続電線
10 絶縁電線
11 導体部
12 被覆部
13 接続部
14 圧着端子
20 封止層
21、21’ 第1硬化性樹脂液
22 第1硬化樹脂
23 第2硬化性樹脂液
24 第2硬化樹脂
25 絶縁キャップ(保護部材)
図1
図2
図3
図4