(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143485
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】積層フィルム、および、レトルトパウチ
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20241003BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20241003BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B32B27/32 Z
B32B27/32 E
B32B27/00 H
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056198
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】神阪 輝
(72)【発明者】
【氏名】大西 健介
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AA23
3E086AB01
3E086AD01
3E086BA04
3E086BA15
3E086BB41
3E086BB51
3E086CA01
3E086DA08
4F100AK01A
4F100AK07A
4F100AK07B
4F100AK66A
4F100AK66B
4F100AL05A
4F100AT00A
4F100BA02
4F100CA30B
4F100CB03B
4F100EH20
4F100GB15
4F100JA04A
4F100JA04B
4F100JB16A
4F100JL12B
4F100YY00A
4F100YY00B
(57)【要約】
【課題】比較的低温でヒートシール可能であるとともに、ヒートシールした箇所の外観が良好である積層フィルムおよび該積層フィルムを備えるレトルトパウチを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係る積層フィルムは、基材層とシーラント層とを含む積層フィルムであって、基材層が、161℃以上の融点を有する熱可塑性樹脂を含む、または、該熱可塑性樹脂を含む161℃以上の融点を有する熱可塑性樹脂組成物から形成される、二軸延伸されたフィルムであり、シーラント層が、プロピレン系重合体を含む、無延伸フィルムであり、該無延伸フィルムのDSCで観測される50℃から200℃までの累積融解熱量変化のうち、55%を占める累積融解熱量変化が50℃から温度T’までとなる温度T’が130℃以上153℃以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層とシーラント層とを含む積層フィルムであって、
基材層が、161℃以上の融点を有する熱可塑性樹脂を含む、または、該熱可塑性樹脂を含む161℃以上の融点を有する熱可塑性樹脂組成物から形成される、二軸延伸されたフィルムであり、
シーラント層が、プロピレン系重合体を含む、無延伸フィルムであり、該無延伸フィルムのDSCで観測される50℃から200℃までの累積融解熱量変化のうち、55%を占める累積融解熱量変化が50℃から温度T’までとなる温度T’が130℃以上153℃以下である、
積層フィルム。
【請求項2】
前記基材層が、161℃以上の融点を有するプロピレン系重合体を含む、または、該プロピレン系重合体を含む161℃以上の融点を有するプロピレン系重合体組成物から形成される、
請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
前記シーラント層が、下記ヘテロファジックプロピレン重合材料(成分1)を含み、さらに、下記プロピレン-α-オレフィン共重合体(成分2)およびβ晶核剤(成分3)から選ばれる少なくとも1つの成分を含む、
請求項1または2に記載の積層フィルム。
ヘテロファジックプロピレン重合材料(成分1)
プロピレンに由来する構造単位を98質量%以上含むプロピレン系重合体(成分1-1)と、
プロピレンに由来する構造単位を50質量%超85質量%以下と、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位を15質量%以上50質量%未満とを含むプロピレン-α-オレフィン共重合体(成分1-2)からなる、
ヘテロファジックプロピレン重合材料。
プロピレン-α-オレフィン共重合体(成分2)
プロピレンに由来する構造単位を85質量%超98質量%未満と、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位を2質量%超15質量%未満とを含むプロピレン-α-オレフィン共重合体。
【請求項4】
前記シーラント層が、前記ヘテロファジックプロピレン重合材料(成分1)およびプロピレン-α-オレフィン共重合体(成分2)を含む、請求項3に記載の積層フィルム。
【請求項5】
前記シーラント層が前記β晶核剤(成分3)を含み、前記シーラント層に対する該β晶核剤の濃度が100質量ppm以上3000質量ppm以下である、請求項3に記載の積層フィルム。
【請求項6】
請求項1に記載の積層フィルムを備えるレトルトパウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層フィルム、および、該積層フィルムを備えるレトルトパウチに関する。
【背景技術】
【0002】
各種包装材料として、基材層とシーラント層とを備える積層フィルムが広く使用されている。かかる積層フィルムは、シーラント層を内側にして、収容空間を形成するようにヒートシールすることで包装袋を形成する(製袋する)ことができる。
【0003】
このような包装袋は、例えば、レトルトパウチ等のレトルト食品包装袋として用いることができる。このようなレトルト食品包装袋に物品が収容された状態でヒートシールされて形成された包装体は、殺菌等の目的で加熱される場合がある。この種のレトルト食品包装袋に用いられるフィルムとして、例えば、特許文献1には、耐熱性に優れた多層フィルムが開示されている。該多層フィルムは、プロピレン系重合体およびエチレン-プロピレン共重合体を所定の割合で含む基材層と、プロピレン系重合体、エチレン-プロピレン共重合体、および、所定のプロピレン共重合体を所定の割合で含むシーラント層とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、上記のような積層フィルムを用いて包装袋を形成する際の速度の高速化が進み、ヒートシールする時間が短くなっている。このため、比較的低温でヒートシール可能なシーラント層を備える積層フィルムが要望されている。また、かかる積層フィルムを用いて包装袋を形成する際に、シーラント層を対向させてヒートシールした箇所が、収縮して変形せず、外観が良好である積層フィルムが要望されている。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、比較的低温でヒートシール可能であるとともに、ヒートシールした箇所の外観が良好である積層フィルムおよび該積層フィルムを備えるレトルトパウチを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る積層フィルムは、基材層とシーラント層とを含む積層フィルムであって、基材層が、161℃以上の融点を有する熱可塑性樹脂を含む、または、該熱可塑性樹脂を含む161℃以上の融点を有する熱可塑性樹脂組成物から形成される、二軸延伸されたフィルムであり、シーラント層が、プロピレン系重合体を含む、無延伸フィルムであり、該無延伸フィルムのDSCで観測される50℃から200℃までの累積融解熱量変化のうち、55%を占める累積融解熱量変化が50℃から温度T’までとなる温度T’が130℃以上153℃以下である。
【0008】
本発明に係るレトルトパウチは、上述の積層フィルムを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、比較的低温でヒートシール可能であるとともに、ヒートシールした箇所の外観が良好である積層フィルムおよび該積層フィルムを備えるレトルトパウチを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態、実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態、実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0011】
本実施形態に係る積層フィルムは、基材層とシーラント層とを含む。
【0012】
<基材層>
基材層は、161℃以上の融点を有する熱可塑性樹脂を含む、または、該熱可塑性樹脂を含む161℃以上の融点を有する熱可塑性樹脂組成物から形成される、二軸延伸されたフィルムである。
【0013】
基材層に用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン6、ナイロン6,6、プロピレン系重合体等が挙げられる。これらの中でも、熱可塑性樹脂は、好ましくはプロピレン系重合体である。なお、熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0014】
前記プロピレン系重合体は、プロピレンに基づく単量体単位を50質量%以上含む重合体であり、プロピレン単独重合体であってもよいし、プロピレン系共重合体であってもよい。プロピレン系共重合体は、エチレンおよび/または炭素数4~12のα-オレフィンに基づく単量体単位を含んでいてもよい。炭素数4~12のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等が挙げられ、好ましくは1-ブテンである。プロピレン系重合体は、耐熱性を向上させる観点から、好ましくはプロピレン単独重合体である。なお、基材層は、単量体単位の種類および含有量の異なるプロピレン系重合体が2つ以上含まれていてもよい。
【0015】
基材層に用いられる熱可塑性樹脂の融点は、161℃以上であり、耐熱性を向上させる観点から、好ましくは163℃以上であり、より好ましくは165℃以上である。
【0016】
161℃以上の融点を有する熱可塑性樹脂の含有量は、基材層の全質量に対して、耐熱性を向上させる観点から、好ましくは95質量%以上であり、より好ましくは98質量%以上である。
【0017】
基材層に用いられる161℃以上の融点を有する熱可塑性樹脂組成物は、上述の161℃以上の融点を有する熱可塑性樹脂を含む。161℃以上の融点を有する熱可塑性樹脂の含有量は、前記熱可塑性樹脂組成物の全質量に対して、耐熱性を向上させる観点から、好ましくは95質量%以上であり、より好ましくは98質量%以上である。前記熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性を向上させる観点から、161℃以上の融点を有するプロピレン系重合体を含む161℃以上の融点を有するプロピレン系重合体組成物であることが好ましい。
【0018】
一態様において、基材層は、耐熱性を向上させる観点から、161℃以上の融点を有するプロピレン系重合体を含む、または、該プロピレン系重合体を含む161℃以上の融点を有するプロピレン系重合体組成物から形成される。
【0019】
前記熱可塑性樹脂組成物の融点は、耐熱性を向上させる観点から、好ましくは163℃以上であり、より好ましくは165℃以上である。
【0020】
<シーラント層>
シーラント層は、プロピレン系重合体を含む、無延伸フィルムであり、該無延伸フィルムのDSCで観測される50℃から200℃までの累積融解熱量変化のうち、55%を占める累積融解熱量変化が50℃から温度T’までとなる温度T’が130℃以上153℃以下である。
【0021】
シーラント層に用いられる無延伸フィルムのDSCで観測される50℃から200℃までの累積融解熱量変化のうち、55%を占める累積融解熱量変化が50℃から温度T’までとなる温度T’(単位:℃)は、以下の測定方法によって測定される。以下、温度T’をDSC55%温度(単位:℃)と称する場合がある。
【0022】
[DSC55%温度(T’)(単位:℃)の測定方法]
温度変調示差走査熱量計(ティーエイインスツルメント社製Q100)を用いて、シーラント層約5mgを窒素ガス雰囲気下(窒素ガス流量50ml/分)で0℃に降温する。次に、0℃で5分保持した後、平均昇温速度2℃/分、温度変調振幅±0.5℃、温度変調周期1分で昇温させて230℃まで測定し、Reversing Heat Flow(比熱成分)を得る。なお、同じ示差走査熱量計を用いて、インジウム(In)約4mgを窒素ガス雰囲気下(窒素ガス流量50ml/分)、110℃に平衡温度となるよう昇温した後、5℃/分の昇温速度で昇温させて180℃まで測定し、得られた融解吸熱カーブの最大ピーク開始温度をオンセット温度としたところ、156.6℃であった。
【0023】
50℃から200℃までのある温度Tに対するReversing Heat Flowの値Q(T)について、50℃における熱量Q(50)と200℃における熱量Q(200)の2点を結ぶ直線をベースラインとして、ある温度Tにおけるベースライン補正後のReversing Heat Flowの熱量Q’(T)を以下の式(2)と定義する。
【0024】
【0025】
50℃を始点とし、50℃から200℃まで範囲のある温度T’までベースライン補正後のReversing Heat Flowの積分を以下の式(3)のA(T’)と定義する。
【0026】
【0027】
A(T’)について、以下の式(4)を満たす温度T’を、累積融解熱量変化のうち、55%を占める累積融解熱量変化が50℃から温度T’までとなる温度T’温度と定義する。
【0028】
【0029】
本実施形態に係る積層フィルムのDSC55%温度(T’)は、130℃以上153℃以下であり、好ましくは130℃以上150℃以下であり、より好ましくは135℃以上150℃以下である。積層フィルムのDSC55%温度(T’)が、上記の範囲であることにより、包装体の製造過程において、フィルムの表層が効果的に融解し、包装体がシールされやすくなるため、シール可能最低温度を低下させることができる。
【0030】
シーラント層に用いられるプロピレン系重合体に含まれるプロピレン以外の単量体単位の種類および含有量を変更することにより、フィルム表層が融解しやすくなるためDSC55%温度を制御することができる。具体的には、プロピレン以外の単量体単位の種類としてエチレンおよび炭素数4~12のα-オレフィンを用いることができるが、炭素数5~12のα-オレフィンよりもエチレンを用いることによりDSC55%温度を低下させることができ、エチレンよりも炭素数4のα-オレフィンを用いることにより、DSC55%温度を低下させることができる。また、プロピレン系重合体に含まれるプロピレン以外の単量体単位の合計の含有量を増やすことによってもDSC55%温度を低下させることができる。プロピレン系重合体および/またはα-オレフィン系重合体が複数含まれている場合には各重合体の平均として、プロピレン以外の単量体単位の種類、含有量を変更することによりDSC55%温度を制御することができる。DSC55%温度を高めるためには反対の操作を行えばよく、以上のようにシーラント層に用いるプロピレン以外の単量体単位の種類、量を適宜調節することによりDSC55%温度を制御することができる。
【0031】
シーラント層に含まれるプロピレン系重合体としては、プロピレンに由来する構造単位を主成分とするプロピレン系重合体、プロピレンに由来する構造単位とα-オレフィンに由来する構造単位とを含むプロピレン-α-オレフィン共重合体、ヘテロファジックプロピレン重合材料等が挙げられる。
【0032】
<プロピレンを主成分とするプロピレン系重合体(成分A)>
プロピレンに由来する構造単位を主成分とするプロピレン系重合体(成分A)は、プロピレンに由来する構造単位を98質量%以上含む。プロピレン系重合体(成分A)におけるプロピレンに由来する構造単位の含有量は、好ましくは99質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは100質量%である。すなわち、プロピレン系重合体(成分A)は、プロピレン単独重合体であってもよい。
【0033】
プロピレン系重合体(成分A)は、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位を含んでいてもよい。プロピレン系重合体(成分A)におけるエチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位の含有量は、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは0質量%超1質量%以下である。
【0034】
<プロピレン系ランダム共重合体(成分B)>
プロピレンとプロピレン以外の単量体とのプロピレン系ランダム共重合体(成分B)は、プロピレンに由来する構造単位を40質量%超85質量%未満と、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位を15質量%超60質量%未満と、を含むプロピレン系ランダム共重合体(成分B)であってもよい。
【0035】
プロピレン系ランダム共重合体(成分B)におけるプロピレンに由来する構造単位の含有量は、好ましくは50質量%超85質量%以下であり、より好ましくは50質量%超80質量%以下であり、さらに好ましくは60質量%以上80質量%以下である。また、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位の含有量は、好ましくは15質量%以上50質量%未満であり、より好ましくは20質量%以上50質量%未満であり、さらにより好ましくは20質量%以上40質量%以下である。
【0036】
プロピレン系ランダム共重合体(成分B)は、一態様として、低温でのヒートシール強度に優れる観点から、好ましくは、プロピレンに由来する構造単位を50質量%超85質量%未満と、エチレンに由来する構造単位を15質量%超50質量%未満と、を含む。
【0037】
<ヘテロファジックプロピレン重合材料(成分1)>
ヘテロファジックプロピレン重合材料(成分1)は、プロピレンに由来する構造単位を98質量%以上含むプロピレン系重合体(成分1-1)と、プロピレンに由来する構造単位を50質量%超85質量%以下と、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位を15質量%以上50質量%未満とを含むプロピレン-α-オレフィン共重合体(成分1-2)からなる。
【0038】
ヘテロファジックプロピレン重合材料(成分1)を構成するプロピレン系重合体(成分1-1)は、プロピレンに由来する構造単位を98質量%以上含む。プロピレン系重合体(成分1-1)におけるプロピレンに由来する構造単位の含有量は、好ましくは99質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは100質量%である。すなわち、プロピレン系重合体(成分1-1)は、プロピレン単独重合体であってもよい。
【0039】
プロピレン系重合体(成分1-1)は、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位を含んでいてもよい。プロピレン系重合体(成分1-1)におけるエチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位の含有量は、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは0質量%超1質量%以下である。
【0040】
ヘテロファジックプロピレン重合材料(成分1)を構成するプロピレン-α-オレフィン共重合体(成分1-2)は、プロピレンに由来する構造単位を50質量%超85質量%以下と、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位を15質量%以上50質量%未満と、を含む。
【0041】
プロピレン-α-オレフィン共重合体(成分1-2)におけるプロピレンに由来する構造単位の含有量は、好ましくは50質量%超80質量%以下であり、より好ましくは60質量%以上80質量%以下である。また、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位の含有量は、好ましくは20質量%以上50質量%未満であり、より好ましくは20質量%以上40質量%以下である。
【0042】
ヘテロファジックプロピレン重合材料(成分1)において、一態様として、好ましくは、プロピレン系重合体(成分1-1)がプロピレン単独重合体であり、プロピレン-α-オレフィン共重合体(成分1-2)がプロピレン-エチレン共重合体である。この場合、プロピレン単独重合体(成分1-1)の含有量は、プロピレン単独重合体(成分1-1)とプロピレン-エチレン共重合体(成分1-2)との合計の質量に対して、ヒートシール性および耐ブロッキング性のバランスに優れるという観点から、好ましくは50質量%以上90質量%以下であり、より好ましくは60質量%以上90質量%以下であり、さらに好ましくは60質量%以上80質量%以下である。また、プロピレン-エチレン共重合体(成分1-2)の含有量は、プロピレン単独重合体(成分1-1)とプロピレン-エチレン共重合体(成分1-2)との合計の質量に対して、ヒートシール性および耐ブロッキング性のバランスに優れるという観点から、好ましくは10質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上40質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以上40質量%以下である。
【0043】
プロピレン単独重合体(成分1-1)とプロピレン-エチレン共重合体(成分1-2)からなるヘテロファジックプロピレン重合材料において、一態様として、好ましくは、プロピレン-エチレン共重合体(成分1-2)は、低温でのヒートシール強度に優れる観点から、プロピレンに由来する構造単位の含有量が50質量%超85質量%未満であり、エチレンに由来する構造単位の含有量が15質量%超50質量%未満である。
【0044】
プロピレン系重合体(成分A)、プロピレン系ランダム共重合体(成分B)およびヘテロファジックプロピレン重合材料(成分1)で用いられる炭素原子数4~12のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等が挙げられ、好ましくは1-ブテンである。炭素原子数4~12のα-オレフィンに由来する構造単位は、1種単独のα-オレフィンに由来する構造単位であっても、2種以上のα-オレフィンに由来する構造単位であってもよい。
【0045】
プロピレン系重合体(成分A)、プロピレン系ランダム共重合体(成分B)およびヘテロファジックプロピレン重合材料(成分1)の製造方法としては、チーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒等を用いて、原料であるプロピレンと、エチレンおよび/またはα-オレフィンとを重合させる方法が挙げられる。
【0046】
プロピレン系重合体(成分A)、プロピレン系ランダム共重合体(成分B)およびヘテロファジックプロピレン重合材料(成分1)の重合方法としては、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活性溶剤中で重合する方法、液状のプロピレンまたはエチレン中で重合する方法、気体であるプロピレンまたはエチレン中に触媒を添加し、気相状態で重合する方法、または、これらを組み合わせて重合する方法が挙げられる。
【0047】
ヘテロファジックプロピレン重合材料(成分1)の製造方法は、生産性の観点から、好ましくは、実質的に不活性溶剤の不存在下で、プロピレン系重合体(成分1-1)を生成する第一工程を行い、次いで、該プロピレン系重合体(成分1-1)の存在下、気相中で、プロピレンとエチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種とを重合して、プロピレン-α-オレフィン共重合体(成分1-2)を生成する第二工程を行い、ヘテロファジックプロピレン重合材料(成分1)を多段重合により得る方法である。
【0048】
プロピレン系重合体(成分1-1)およびプロピレン-α-オレフィン共重合体(成分1-2)の、エチレン含有量の調整方法としては、重合時の各工程で、水素ガス、金属化合物等の分子量調節剤およびエチレンを、それぞれ適切な量で加える方法、重合時の温度・圧力等を調節する方法が挙げられる。
【0049】
プロピレン系重合体(成分1-1)およびプロピレン-α-オレフィン共重合体(成分1-2)の生成割合は、第一工程および第二工程における重合時間、重合槽の大きさ、重合槽中の重合体の保持量、重合温度、重合圧力等により制御することができる。必要に応じて、ポリプロピレンの残留溶媒や製造時に副生する超低分子量のオリゴマー等を除去するために、ポリプロピレンが融解する温度以下の温度で乾燥を行ってもよい。乾燥方法としては、例えば、特開昭55-75410号、特許第2565753号公報に記載された方法等が挙げられる。
【0050】
前記第二工程で得られるヘテロファジックプロピレン重合材料(成分1)の温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)としては、フィルムの加工性や衛生性を良好にするという観点から、好ましくは0.001g/10分以上10g/10分以下であり、より好ましくは0.01g/10分以上10g/10分以下であり、さらに好ましくは0.01g/10分以上5g/10分以下である。なお、MFRは、JIS K7210-1に規定されたA法により測定される。
【0051】
<プロピレン-α-オレフィン共重合体(成分2)>
プロピレン-α-オレフィン共重合体(成分2)は、プロピレンに由来する構造単位を85質量%超98質量%未満と、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位を2質量%超15質量%未満と、を含む。
【0052】
プロピレン-α-オレフィン共重合体(成分2)におけるプロピレンに由来する構造単位の含有量は、好ましくは90質量%以上98質量%未満であり、より好ましくは94質量%以上97質量%以下である。また、プロピレン-α-オレフィン共重合体(成分2)におけるエチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位の含有量は、好ましくは2質量%超10質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上6質量%以下である。
【0053】
プロピレン-α-オレフィン共重合体(成分2)に用いられる炭素原子数4~12のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン等が挙げられ、好ましくは1-ブテンである。炭素原子数4~12のα-オレフィンに由来する構造単位は、1種単独のα-オレフィンに由来する構造単位であっても、2種以上のα-オレフィンに由来する構造単位であってもよい。
【0054】
プロピレン-α-オレフィン共重合体(成分2)は、不均一系触媒を用いて製造されたものであってもよく、均一系触媒(例えば、メタロセン触媒等)を用いて製造されたものであってもよい。
【0055】
プロピレン-α-オレフィン共重合体(成分2)の温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)は、好ましくは1g/10分以上10g/10分以下であり、より好ましくは1g/10分以上8g/10分以下であり、さらに好ましくは2g/10分以上5g/10分以下である。なお、MFRは、JIS K7210-1に規定されたA法により測定される。
【0056】
プロピレン-α-オレフィン共重合体(成分2)の示差走査熱量測定(DSC)により測定される融点は、好ましくは120℃以上165℃以下であり、より好ましくは120℃以上150℃以下であり、さらに好ましくは125℃以上150℃以下である。
【0057】
<β晶核剤(成分3)>
β晶核剤(成分3)とは、プロピレン系重合体に六方晶構造であるβ晶を形成させることができる化合物をいう。β晶核剤としては、従来公知の種々のβ晶核剤を利用することができる。例えば、N,N'-ジシクロヘキシル-2,6-ナフタレンジカルボキシアミド、N,N'-ジシクロヘキシルテレフタルアミド、N,N’-ジフェニルヘキサンジアミド等に代表されるアミド化合物、テトラオキサスピロ化合物、キナクリドン、キナクリドンキノン等に代表されるキナクリドン類、ナノスケールのサイズを有する酸化鉄、ピメリン酸カルシウム、1,2-ヒドロキシステアリン酸カリウム、安息香酸マグネシウムもしくはコハク酸マグネシウム、フタル酸マグネシウム等に代表されるカルボン酸のアルカリもしくはアルカリ土類金属塩、ベンゼンスルホン酸ナトリウムもしくはナフタレンスルホン酸ナトリウム等に代表される芳香族スルホン酸化合物、二もしくは三塩基カルボン酸のジエステル類もしくはトリエステル類、フタロシアニンブルー等に代表されるフタロシアニン系顔料、有機二塩基酸である成分Cと周期律表第IIA族金属の酸化物、水酸化物もしくは塩である成分Dとからなる二成分系化合物、環状リン化合物とマグネシウム化合物からなる組成物等が挙げられ、これらのうちの1種類または2種類以上を混合して用いてもよい。上記のβ晶核剤の中でも、耐レトルト融着性に優れる観点から、好ましくはアミド化合物のN,N'-ジシクロヘキシル-2,6-ナフタレンジカルボキシアミド、N,N'-ジシクロヘキシルテレフタルアミド、N,N’-ジフェニルヘキサンジアミドであり、より好ましくはN,N'-ジシクロヘキシル-2,6-ナフタレンジカルボキシアミドである。N,N'-ジシクロヘキシル-2,6-ナフタレンジカルボキシアミドの市販品としては、例えば、NU-100(新日本理化株式会社製)等が挙げられる。
【0058】
β晶核剤の濃度は、シーラント層に用いられるプロピレン系重合体の全質量に対して、耐レトルト融着性に優れるという観点から、好ましくは100質量ppm以上3000質量ppm以下であり、より好ましくは300質量ppm以上2000質量ppm以下であり、さらに好ましくは300質量ppm以上1500質量ppm以下であり、特に好ましくは500質量ppm以上1500質量ppm以下である。
【0059】
一態様において、シーラント層は、ヘテロファジックプロピレン重合材料(成分1)を含み、さらに、プロピレン-α-オレフィン共重合体(成分2)およびβ晶核剤(成分3)から選ばれる少なくとも1つの成分を含む。
【0060】
一態様において、シーラント層は、ヘテロファジックプロピレン重合材料(成分1)とプロピレン-α-オレフィン(成分2)を含む。この場合、ヘテロファジックプロピレン重合材料(成分1)の含有量は、シーラント層に用いられるヘテロファジックプロピレン重合材料(成分1)とプロピレン-α-オレフィン(成分2)との合計の質量に対して、好ましくは20質量%以上80質量%以下、より好ましくは30質量%以上80質量%以下、さらに好ましくは30質量%以上70質量%以下である。また、プロピレン-α-オレフィン(成分2)の含有量は、ヘテロファジックプロピレン重合材料(成分1)とプロピレン-α-オレフィン(成分2)との合計の質量に対して、好ましくは20質量%以上80質量%以下、より好ましくは20質量%以上70質量%以下、さらに好ましくは30質量%以上70質量%以下である。
【0061】
一態様において、シーラント層は、ヘテロファジックプロピレン重合材料(成分1)と、β晶核剤(成分3)とを含む。また、一態様において、シーラント層は、ヘテロファジックプロピレン重合材料(成分1)と、プロピレン-α-オレフィン(成分2)と、β晶核剤(成分3)とを含む。この場合、シーラント層に対するβ晶核剤の濃度は、耐レトルト融着性に優れるという観点から、好ましくは100質量ppm以上3000質量ppm以下である。
【0062】
本実施形態の積層フィルムを構成する基材層およびシーラント層には、必要に応じて、添加剤やその他の樹脂を添加してもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、中和剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、粘着剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、メルトフローレート調整剤等が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられ、1分子中にフェノール系の酸化防止機構とリン系の酸化防止機構とを併せ持つユニットを有する複合型の酸化防止剤も用いることができる。その他の樹脂としては、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体やスチレン-イソプレン-スチレン共重合体を水添したスチレン系共重合体ゴム等のエラストマーが挙げられる。
【0063】
基材層である二軸延伸されたフィルムを形成する熱可塑性樹脂組成物は、基材層に用いられる熱可塑性樹脂、および、必要に応じて上記の各種添加剤を溶融混練して形成することができる。また、シーラント層である無延伸フィルムを形成するプロピレン系重合体組成物は、シーラント層に用いられるプロピレン系重合体、および、必要に応じて上記の各種添加剤を溶融混練して形成することができる。
【0064】
上記の溶融混練を行う方法としては、従来公知の方法および装置を用いて行うことができる。例えば、上記の各材料を、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、タンブルミキサー等の混合装置を用いて混合した後、溶融混練する方法が挙げられる。または、定量供給機を用いて、一定の割合で、上記の各材料をそれぞれ連続的に供給することによって均質な混合物を得た後、該混合物を、単軸または二軸以上の押出機、バンバリーミキサー、ロール式混練機等を用いて、溶融混練する方法が挙げられる。
【0065】
基材層である二軸延伸されたフィルムを形成する熱可塑性樹脂組成物を溶融混練する際の溶融混練温度は、好ましくは190℃以上320℃以下であり、より好ましくは210℃以上280℃以下である。シーラント層である無延伸フィルムを形成するプロピレン系重合体組成物を溶融混練する際の溶融混練温度は、好ましくは190℃以上320℃以下であり、より好ましくは210℃以上280℃以下である。
【0066】
本実施形態の積層フィルムの基材層およびシーラント層に用いられるフィルムは、基材層に用いられる熱可塑性樹脂組成物、シーラント層に用いられるプロピレン系重合体組成物を、Tダイ法やインフレーション法によって製造することができる。
【0067】
本実施形態の積層フィルムの基材層に用いられるフィルムは、例えば、ロール延伸、テンター延伸、チューブラー延伸等によって延伸することができる。延伸倍率としては、1.5倍以上20倍以下、好ましくは2倍以上15倍以下である。
【0068】
本実施形態に係る積層フィルムは、基材層とシーラント層とを積層して形成することができる。基材層とシーラント層とを積層して積層フィルムを製造する方法としては、各層を重ねることで形成する方法でもよいし、共押出しで形成する方法でもよく、例えば、ドライラミネート法、Tダイ法、チューブラー法等が挙げられる。共押出しで形成する方法としては、例えば、複数の押出機からダイ内に流入した溶融樹脂をダイ内で層状に組み合わせるフィードブロック式ダイを用いる方法、複数の押出機からダイ内に流入した溶融樹脂が別々のマニホールドに送り込まれてダイのリップ部直前で層状に組み合わせるマルチマニホールド式ダイを用いる方法等が挙げられる。
【0069】
基材層の厚さは、基材層の厚さとシーラント層の厚さとの合計の厚さに対して、好ましくは70%以上90%以下であり、より好ましくは70%以上85%以下であり、さらに好ましくは75%以上85%以下である。また、シーラント層の厚さは、基材層の厚さとシーラント層の厚さとの合計の厚さに対して、好ましくは10%以上30%以下であり、より好ましくは15%以上30%以下であり、さらに好ましくは15%以上25%以下である。基材層の厚さとシーラント層の厚さとが上記の範囲であることで、基材層とシーラント層との間で層間剥離がより発生しにくくなると共に、ヒートシール強度と落袋強度に優れた積層フィルムとなり、また、積層フィルムが加熱された際に積層フィルムの表面に凹凸(ゆず肌)が生じるのを抑制することができる。
【0070】
積層フィルムの厚さは、好ましくは5μm以上500μm以下であり、より好ましくは30μm以上150μm以下である。
【0071】
積層フィルムは、通常工業的に採用されている方法によって、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理が施されていてもよい。
【0072】
積層フィルムは、その他のバリア性フィルム、転写性フィルム等と複合して複合フィルムとしてもよい。バリア性フィルムとしては、例えば、延伸ナイロンフィルム、アルミニウム箔、ポリ塩化ビニリデンフィルム等が挙げられる。バリア性フィルムの厚さは、好ましくは5μm以上20μm以下である。また、転写性フィルムとしては、ナイロンフィルム、ポリプロピレン二軸延伸フィルム、ポリエチレンテレフタラートフィルム等が挙げられる。転写性フィルムの厚さは、好ましくは10μm以上20μm以下である。積層フィルムとその他のフィルムを複合する方法としては、例えば、ドライラミネート法、押出ラミネート法等が挙げられる。
【0073】
積層フィルムの用途としては、包装用途等が挙げられ、例えば、食品、繊維、雑貨等の包装用途が挙げられる。積層フィルムは、好ましくは、レトルト食品包装用積層フィルムである。また、積層フィルムは、食品、衣料品、雑貨等の任意の包装対象物を包装する包装袋を形成する材料として用いることができる。包装袋は、好ましくは、レトルトパウチである。すなわち、本実施形態に係るレトルトパウチは、上述の積層フィルムを備える。
【0074】
本実施形態に係る積層フィルムは、前記熱可塑性樹脂がプロピレン系重合体である場合には、該積層フィルムを構成する基材層とシーラント層がいずれもプロピレン系重合体を含み、該プロピレン系重合体が積層フィルムの主成分であることから、リサイクル性に優れる。
【0075】
本発明は、以下の態様を含む。
[1]基材層とシーラント層とを含む積層フィルムであって、
基材層が、161℃以上の融点を有する熱可塑性樹脂を含む、または、該熱可塑性樹脂を含む161℃以上の融点を有する熱可塑性樹脂組成物から形成される、二軸延伸されたフィルムであり、
シーラント層が、プロピレン系重合体を含む、無延伸フィルムであり、該無延伸フィルムのDSCで観測される50℃から200℃までの累積融解熱量変化のうち、55%を占める累積融解熱量変化が50℃から温度T’までとなる温度T’が130℃以上153℃以下である、
積層フィルム。
[2]前記基材層が、161℃以上の融点を有するプロピレン系重合体を含む、または、該プロピレン系重合体を含む161℃以上の融点を有するプロピレン系重合体組成物から形成される、
上記[1]に記載の積層フィルム。
[3]前記シーラント層が、下記ヘテロファジックプロピレン重合材料(成分1)を含み、さらに、下記プロピレン-α-オレフィン共重合体(成分2)およびβ晶核剤(成分3)から選ばれる少なくとも1つの成分を含む、
上記[1]または[2]に記載の積層フィルム。
ヘテロファジックプロピレン重合材料(成分1)
プロピレンに由来する構造単位を98質量%以上含むプロピレン系重合体(成分1-1)と、
プロピレンに由来する構造単位を50質量%超85質量%以下と、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位を15質量%以上50質量%未満とを含むプロピレン-α-オレフィン共重合体(成分1-2)からなる、
ヘテロファジックプロピレン重合材料。
プロピレン-α-オレフィン共重合体(成分2)
プロピレンに由来する構造単位を85質量%超98質量%未満と、エチレンおよび炭素原子数4~12のα-オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する構造単位を2質量%超15質量%未満とを含むプロピレン-α-オレフィン共重合体。
[4]前記シーラント層が、前記ヘテロファジックプロピレン重合材料(成分1)およびプロピレン-α-オレフィン共重合体(成分2)を含む、上記[3]に記載の積層フィルム。
[5]前記シーラント層が、前記β晶核剤(成分3)を含み、前記シーラント層に対する該β晶核剤の濃度が100質量ppm以上3000質量ppm以下である、上記[3]または[4]に記載の積層フィルム。
[6]上記[1]~[5]のいずれか一つに記載の積層フィルムを備えるレトルトパウチ。
【実施例0076】
以下、実施例および比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0077】
実施例および比較例における各項目の測定値は、下記の方法で測定した。
【0078】
ヘテロファジックプロピレン重合材料に含有されるプロピレン系重合体およびプロピレン-エチレン共重合体の含有量は、それぞれの重合時の物質収支から得られたものである。
【0079】
ヘテロファジックプロピレン重合材料に含有されるプロピレン-エチレン共重合体に含まれるエチレンに由来する構造単位の含有量は、ヘテロファジックプロピレン重合材料の全体のIRスペクトル測定を行い、高分子分析ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている「(ii)ブロック共重合体に関する方法」に従い、下記式(1)により算出したものである。ここで、式(1)中のET、EAおよびEBは、それぞれ、ヘテロファジックプロピレン重合材料全体におけるエチレン構造単位の含有量、プロピレン重合体におけるエチレン構造単位の含有量およびプロピレン-エチレン共重合体におけるエチレン構造単位の含有量を示し、PAおよびPBは、それぞれ、プロピレン重合体およびプロピレン-エチレン共重合体の含有量を示す。
EB=(ET-EA×PA)/PB 式(1)
【0080】
プロピレン-エチレン共重合体組成物中のエチレンに由来する単量体単位の含有量(単位:質量%)は、高分子分析ハンドブック(1985年、朝倉書店発行)の第256頁に記載されているIRスペクトル測定法により求めた。
【0081】
プロピレン-エチレン-1-ブテン三元共重合体組成物中のエチレンおよび1-ブテンに由来する単量体単位の含有量(単位:質量%)は、高分子分析ハンドブック(1985年、朝倉書店発行)の第256頁に記載されているIRスペクトル測定法により求めた。
【0082】
プロピレン系重合体組成物およびヘテロファジックプロピレン重合材料組成物のメルトフローレートは、JIS K7210-1に規定されたA法に従って、温度230℃、荷重2.16kgで測定した。
【0083】
<DSC55%融解温度(単位:℃)>
温度変調示差走査熱量計(ティーエイインスツルメント社製Q100)を用いて、シーラントフィルム 約5mgを窒素ガス雰囲気下(窒素ガス流量50ml/分)で0℃に降温した。次に、0℃で5分保持した後、平均昇温速度2℃/分、温度変調振幅±0.5℃、温度変調周期1分で昇温させて230℃まで測定し、Reversing Heat Flow(比熱成分)を得た。
なお、同じ示差走査熱量計を用いて、インジウム(In)約4mgを窒素ガス雰囲気下(窒素ガス流量50ml/分)、110℃に平衡温度となるよう昇温した後、5℃/分の昇温速度で昇温させて180℃まで測定し、得られた融解吸熱カーブの最大ピーク開始温度をオンセット温度としたところ、156.6℃であった。
【0084】
50℃から200℃までのある温度Tに対するReversing Heat Flowの値Q(T)について、50℃における熱量Q(50)と200℃における熱量Q(200)の2点を結ぶ直線をベースラインとして、ある温度Tにおけるベースライン補正後のReversing Heat Flowの熱量Q’(T)を以下の式(2)と定義する。
【0085】
【0086】
50℃を始点とし、50℃から200℃まで範囲のある温度T’までベースライン補正後のReversing Heat Flowの積分を以下の式(3)のA(T’)と定義する。
【0087】
【0088】
A(T’)について、以下の式(4)を満たす温度T’を累積融解熱量変化のうち、55%を占める累積融解熱量変化が50℃から温度T’までとなる温度T’DSC55%温度と定義する。
【0089】
【0090】
<融点(単位:℃)>
示差走査熱量計(パーキンエルマー社製)により、窒素雰囲気下で、ペレット状の樹脂組成物 約10mgの試料を封入したアルミニウムパンを、(1)230℃で5分間保持し、次に(2)5℃/分の速度で230℃から0℃まで降温した。次に(3)0℃で5分保持し、次に(4)5℃/分の速度で0℃から230℃まで昇温した。過程(4)における熱量測定により得られた融解吸熱カーブの最大ピークの温度を融点(Tm)とした。
なお、上記過程(4)において、上記と同じ方法で測定したインジウム(In)の融点は、156.6℃であった。
【0091】
<シール可能最低温度(単位:℃)>
シーラント層と基材層とをドライラミネート法により積層した積層フィルムを用いた。ヒートシーラー(東洋テスター工業社製)を使用して、積層フィルムをシーラント層が内側となるように二つに折り返し、折り返し位置と対向する側の端部同士を、下記条件で、折り返し位置の延びる方向に沿って、帯状にヒートシールした。
・シールバー:平面両面加熱
・シール圧力:1.0kg/cm2
・シール時間:1.0sec
・シール幅:10mm
【0092】
そして、シール幅方向に対して直角方向に15mm幅の試験片を切り出し、引張試験機(オリエンテック社製テンシロン)を使用して、剥離角90°、引張速度200mm/minの条件で剥離した時の剥離抵抗力が15N/15mmになるヒートシール温度を求め、シール可能な最低温度とした。
【0093】
<ヒートシール外観>
シーラント層と基材層とをドライラミネート法により積層した積層フィルムを用いた。ヒートシーラー(東洋テスター工業社製)を使用して、積層フィルムをシーラント層が内側となるように二つに折り返し、折り返し位置と対向する側の端部同士を、下記条件で、折り返し位置の延びる方向に沿って、帯状にヒートシールした。
・シールバー:平面両面加熱
・シール温度:170℃
・シール圧力:1.0kg/cm2
・シール時間:1.0sec
・シール幅:10mm
【0094】
そして、ヒートシール後の積層フィルムの外観を確認し、積層フィルムに変形がない場合を〇、積層フィルムが収縮して変形している場合を×とした。
【0095】
実施例及び比較例で用いた各成分は以下の通りである。
【0096】
[ヘテロファジックプロピレン重合材料組成物A]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、第一工程では、気相中でプロピレンを重合し、次いで、第二工程では、気相中でプロピレンとエチレンとを共重合し、プロピレン単独重合体A-1とプロピレン-エチレン共重合体A-2とからなるヘテロファジックプロピレン重合材料Aを得た。ヘテロファジックプロピレン重合材料A 100質量部に対して、ハイドロタルサイト(協和化学工業社製)0.01質量部、イルガノックス1010(BASF社製)0.1質量部、イルガフォス168(BASF社製)0.05質量部、NU-100(β晶核剤、新日本理化社製)0.1質量部をヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット状のヘテロファジックプロピレン重合材料組成物Aを得た。得られたペレット状のヘテロファジックプロピレン重合材料組成物Aは、ヘテロファジックプロピレン重合材料Aに含有される重合体の含有量の合計100質量部に対して、プロピレン単独重合体A-1の含有量が77質量部であり、プロピレン-エチレン共重合体A-2の含有量が23質量部であり、プロピレン-エチレン共重合体A-2におけるエチレンに由来する構造単位の含有量が30質量%であり、230℃で測定したメルトフローレートが2.5g/10分であった。
【0097】
[ヘテロファジックプロピレン重合材料組成物B]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、第一工程では、気相中でプロピレンを重合し、次いで、第二工程では、気相中でプロピレンとエチレンとを共重合し、プロピレン単独重合体B-1とプロピレン-エチレン共重合体B-2とからなるヘテロファジックプロピレン重合材料Bを得た。ヘテロファジックプロピレン重合材料B 100質量部に対して、ハイドロタルサイト(協和化学工業社製)0.01質量部、イルガノックス1010(BASF社製)0.1質量部、イルガフォス168(BASF社製)0.05質量部をヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット状のヘテロファジックプロピレン重合材料組成物Bを得た。得られたペレット状のヘテロファジックプロピレン重合材料組成物Bは、ヘテロファジックプロピレン重合材料Bに含有される重合体の含有量の合計100質量部に対して、プロピレン単独重合体B-1の含有量が77質量部であり、プロピレン-エチレン共重合体B-2の含有量が23質量部であり、プロピレン-エチレン共重合体B-2におけるエチレンに由来する構造単位の含有量が30質量%であり、230℃で測定したメルトフローレートが2.2g/10分であった。
【0098】
[ヘテロファジックプロピレン重合材料組成物C]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、第一工程では、気相中でプロピレンを重合し、次いで、第二工程では、気相中でプロピレンとエチレンとを共重合し、プロピレン単独重合体C-1とプロピレン-エチレン共重合体C-2とからなるヘテロファジックプロピレン重合材料Cを得た。ヘテロファジックプロピレン重合材料C 100質量部に対して、ハイドロタルサイト(協和化学工業社製)0.01質量部、イルガノックス1010(BASF社製)0.1質量部、イルガフォス168(BASF社製)0.05質量部、NU-100(β晶核剤、新日本理化株式会社製)0.2質量部をヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット状のヘテロファジックプロピレン重合材料組成物Cを得た。得られたペレット状のヘテロファジックプロピレン重合材料組成物Cは、ヘテロファジックプロピレン重合材料Cに含有される重合体の含有量の合計100質量部に対して、プロピレン単独重合体C-1の含有量が77質量部であり、プロピレン-エチレン共重合体C-2の含有量が23質量部であり、プロピレン-エチレン共重合体C-2におけるエチレンに由来する構造単位の含有量が30質量%であり、230℃で測定したメルトフローレートが2.6g/10分であった。
【0099】
[プロピレン-エチレン共重合体組成物D]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、気相中でプロピレンとエチレンとを共重合し、プロピレン-エチレン共重合体Dを得た。得られたプロピレン-エチレン共重合体D 100質量部に対して、ハイドロタルサイト(協和化学工業社製)0.01質量部、イルガノックス1010(BASF社製)0.1質量部、イルガフォス168(BASF社製)0.05質量部をヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット状のプロピレン-エチレン共重合体組成物Dを得た。得られたペレット状のプロピレン-エチレン共重合体組成物Dは、プロピレン-エチレン共重合体Dにおけるエチレンに由来する構造単位の含有量が4.4質量%であり、230℃で測定したメルトフローレートが8.3g/10分であった。
【0100】
[プロピレン-エチレン-1-ブテン三元共重合体組成物E]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、気相中でプロピレンとエチレンと1-ブテンを共重合し、プロピレン-エチレン-1-ブテン三元共重合体Eを得た。プロピレン-エチレン-1-ブテン三元共重合体E 100質量部に対して、ハイドロタルサイト(協和化学工業社製)0.01質量部、イルガノックス1010(BASF社製)0.1質量部、イルガフォス168(BASF社製)0.05質量部をヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット状のプロピレン-エチレン-1-ブテン三元共重合体組成物Eを得た。得られたペレット状のプロピレン-エチレン-1-ブテン三元共重合体組成物Eは、プロピレン-エチレン-1-ブテン三元共重合体組成物Eにおけるエチレンに由来する構造単位の含有量が2.1質量%、1-ブテンに由来する構造単位の含有量が5.6質量%であり、230℃で測定したメルトフローレートが7.0g/10分であった。
【0101】
[プロピレン単独重合体組成物F]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、気相中でプロピレンを重合し、プロピレン単独重合体Fを得た。プロピレン単独重合体F 100質量部に対して、ハイドロタルサイト(協和化学工業社製)0.01質量部、イルガノックス1010(BASF社製)0.09質量部、スミライザーGP(住友化学株式会社製)0.05質量部をヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット状のプロピレン単独重合体組成物Fを得た。得られたペレット状のプロピレン単独重合体組成物Fは、融点が165℃であり、230℃で測定したメルトフローレートが2.3g/10分であった。
【0102】
[プロピレン-エチレン共重合体組成物G]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて、気相中でプロピレンとエチレンとを共重合し、プロピレン-エチレン共重合体Gを得た。得られたプロピレン-エチレン共重合体G 100質量部に対して、ハイドロタルサイト(協和化学工業社製)0.01質量部、イルガノックス1010(BASF社製)0.1質量部、イルガフォス168(BASF社製)0.05質量部をヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット状のプロピレン-エチレン共重合体組成物Gを得た。得られたペレット状のプロピレン-エチレン共重合体組成物Gは、プロピレン-エチレン共重合体Gにおけるエチレンに由来する構造単位の含有量が0.6質量%であり、融点が158℃であり、230℃で測定したメルトフローレートが3.0g/10分であった。
【0103】
[シーラント層(1)]
50mmTダイ製膜装置(田辺プラスチックス社製V-50-F600型フィルム成型装置、400mm幅Tダイ付き)を用いて、ヘテロファジックプロピレン重合材料組成物A 100質量%を樹脂温度280℃で溶融混練し、Tダイより押し出した。次いで、冷却温度80℃のチルロール(冷却ロール)で巻き取りながら冷却固化させ、厚さ70μmのシーラント層(1)を得た。得られたシーラント層(1)を用いてDSC55%融解温度の評価を行った。結果を表2に示す。
【0104】
[シーラント層(2)]
ヘテロファジックプロピレン重合材料組成物B 50質量%とプロピレン-エチレン共重合体組成物D 50質量%とをペレットブレンドした。得られた混合物を用いた以外は、シーラント層1と同様にして、厚さ70μmのシーラント層(2)を得た。得られたシーラント層(2)のDSC55%融解温度の評価結果を表2に示す。
【0105】
[シーラント層(3)]
ヘテロファジックプロピレン重合材料組成物B 50質量%とプロピレン-エチレン-1-ブテン三元共重合体E 50質量%とをペレットブレンドした。得られた混合物を用いた以外は、シーラント層1と同様にして、厚さ70μmのシーラント層(3)を得た。得られたシーラント層(3)のDSC55%融解温度の評価結果を表2に示す。
【0106】
[シーラント層(4)]
ヘテロファジックプロピレン重合材料組成物C 50質量%とプロピレン-エチレン共重合体組成物D 50質量%とをペレットブレンドした。得られた混合物を用いた以外は、シーラント層1と同様にして、厚さ70μmのシーラント層(4)を得た。得られたシーラント層(4)のDSC55%融解温度の評価結果を表2に示す。
【0107】
[シーラント層(5)]
ヘテロファジックプロピレン重合材料組成物C 50質量%とプロピレン-エチレン-1-ブテン三元共重合体E 50質量%とをペレットブレンドした。得られた混合物を用いた以外は、シーラント層1と同様にして、厚さ70μmのシーラント層(5)を得た。得られたシーラント層(5)のDSC55%融解温度の評価結果を表2に示す。
【0108】
[シーラント層(6)]
ヘテロファジックプロピレン重合材料組成物B 100質量%を用いた以外は、シーラント層1と同様にして、厚さ70μmのシーラント層(6)を得た。得られたシーラント層(6)のDSC55%融解温度の評価結果を表2に示す。
【0109】
[基材層(1)]
プロピレン単独重合体組成物F 100質量部を用い、3台の押出機で溶融混錬した後、一基の共押出Tダイ(ダイ幅300mm、リップ開度2mm)に導入して、ダイ温度260℃で溶融押出を行った。押し出された溶融膜を30℃の冷却ロールで冷却して、厚み約1mmのキャストシートを得た。得られたキャストシートを4m/分で回転する低速ロールと、20m/分で回転する高速ロールの周速差により147℃で縦方向に5倍延伸した。引き続いて加熱炉にて予熱温度190℃、延伸温度170℃で横方向に8倍延伸し、165℃で熱処理を行いながら横方向の幅を19.5%緩和した。加熱炉から出たフィルムを20℃の冷却ロールで冷却し厚さ20μmの基材層(1)を得た。
【0110】
[基材層(2)]
プロピレン-エチレン共重合体組成物G 100質量部を用い、3台の押出機で溶融混錬した後、一基の共押出Tダイ(ダイ幅300mm、リップ開度2mm)に導入して、ダイ温度260℃で溶融押出を行った。押し出された溶融膜を30℃の冷却ロールで冷却して、厚み約1mmのキャストシートを得た。得られたキャストシートを4m/分で回転する低速ロールと、20m/分で回転する高速ロールの周速差により140℃で縦方向に5倍延伸した。引き続いて加熱炉にて予熱温度175℃、延伸温度157℃で横方向に8倍延伸し、165℃で熱処理を行いながら横方向の幅を6.5%緩和した。加熱炉から出たフィルムを20℃の冷却ロールで冷却し厚さ20μmの基材層(2)を得た。
【0111】
[実施例1]
上記で得られたシーラント層(1)と基材層(1)とを、ドライラミネート法により積層し、積層フィルム(1)を得た。得られた積層フィルム(1)の物性を表2に示す。得られた積層フィルム(1)は、シール可能最低温度およびシール後の外観に優れる積層フィルムであった。
【0112】
[実施例2]
上記で得られたシーラント層(2)と基材層(1)とを、ドライラミネート法により積層し、積層フィルム(2)を得た。得られた積層フィルム(2)の物性を表2に示す。得られた積層フィルム(2)は、シール可能最低温度およびシール後の外観に優れる積層フィルムであった。
【0113】
[実施例3]
上記で得られたシーラント層(3)と基材層(1)とを、ドライラミネート法により積層し、積層フィルム(3)を得た。得られた積層フィルム(3)の物性を表2に示す。得られた積層フィルム(3)は、シール可能最低温度およびシール後の外観に優れる積層フィルムであった。
【0114】
[実施例4]
上記で得られたシーラント層(4)と基材層(1)とを、ドライラミネート法により積層し、積層フィルム(4)を得た。得られた積層フィルム(4)の物性を表2に示す。得られた積層フィルム(4)は、シール可能最低温度およびシール後の外観に優れる積層フィルムであった。
【0115】
[実施例5]
上記で得られたシーラント層(5)と基材層(1)とを、ドライラミネート法により積層し、積層フィルム(5)を得た。得られた積層フィルム(5)の物性を表2に示す。得られた積層フィルム(5)は、シール可能最低温度およびシール後の外観に優れる積層フィルムであった。
【0116】
[比較例1]
上記で得られたシーラント層(1)と基材層(2)とを、ドライラミネート法により積層し、積層フィルム(6)を得た。得られた積層フィルム(6)の物性を表2に示す。得られた積層フィルム(6)は、シール可能最低温度が高く、シール後の外観に劣る積層フィルムであった。
【0117】
[比較例2]
上記で得られたシーラント層(6)と基材層(2)とを、ドライラミネート法により積層し、積層フィルム(7)を得た。得られた積層フィルム(7)の物性を表2に示す。得られた積層フィルム(7)は、シール可能最低温度が高く、シール後の外観に劣る積層フィルムであった。
【0118】
【0119】
【0120】
表2の結果から、本発明の構成要件をすべて満たす各実施例の積層フィルムは、比較的低温でヒートシール可能であるとともに、ヒートシールした箇所の外観が良好であることが分かる。