(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014362
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】粘着剤組成物、粘着シート、画像表示装置用積層体及び画像表示装置
(51)【国際特許分類】
C09J 133/06 20060101AFI20240125BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20240125BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20240125BHJP
C09B 11/26 20060101ALN20240125BHJP
C09B 11/28 20060101ALN20240125BHJP
C09B 57/00 20060101ALN20240125BHJP
【FI】
C09J133/06
C09J11/06
C09J7/38
C09B11/26 C
C09B11/28 H
C09B57/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117132
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079382
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123928
【弁理士】
【氏名又は名称】井▲崎▼ 愛佳
(74)【代理人】
【識別番号】100136308
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100207295
【弁理士】
【氏名又は名称】寺尾 茂泰
(72)【発明者】
【氏名】多田 和信
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AB01
4J004BA02
4J004EA05
4J004FA08
4J040DF031
4J040HC21
4J040HC25
4J040JA09
4J040JB09
4J040KA35
4J040LA06
4J040LA10
4J040NA17
(57)【要約】
【課題】レーザーマーキングが可能な粘着剤組成物を提供する。
【解決手段】アクリル系重合体(A)、フルオラン系ロイコ色素及び/又はアザフタリド系ロイコ色素(B)、及びトリアジン系化合物(C)を含有する粘着剤組成物とした。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル系重合体(A)、フルオラン系ロイコ色素及び/又はアザフタリド系ロイコ色素(B)、及びトリアジン系化合物(C)を含有する粘着剤組成物。
【請求項2】
前記アクリル系重合体(A)が、アルキル基の炭素数が5~20のアルキル(メタ)アクリレート(a1)由来の構造部位を含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
前記フルオラン系ロイコ色素及び/又はアザフタリド系ロイコ色素(B)の含有量が、アクリル系重合体(A)100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下である、請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
前記トリアジン系化合物(C)の含有量が、アクリル系重合体(A)100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下である、請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の粘着剤組成物からなる粘着シート。
【請求項6】
-20℃における貯蔵剪断弾性率〔G’(-20℃)〕が1000kPa以下である、請求項5に記載の粘着シート。
【請求項7】
画像表示装置構成部材の貼り合わせに用いる、請求項5又は6に記載の粘着シート。
【請求項8】
2つの画像表示装置構成部材が、請求項5又は6に記載の粘着シートを介して積層してなる構成を備えた、画像表示装置用積層体。
【請求項9】
前記画像表示装置構成部材がフレキシブル画像表示装置構成部材である、請求項8に記載の画像表示装置用積層体。
【請求項10】
請求項8に記載の画像表示装置用積層体を備える画像表示装置。
【請求項11】
請求項10に記載の画像表示装置を用いたフレキシブル画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置の構成部材の貼合に好適に用いることができる粘着剤組成物、粘着シート、該粘着シートを用いた画像表示装置用積層体及び画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機発光ダイオード(OLED)や量子ドット(QD)を用いた、曲面からなる画像表示装置や、折り曲げ可能な屈曲性画像表示装置が開発され、広く商用化されつつある。
このような画像表示装置では、カバーレンズ、円偏光板、タッチフィルムセンサー、発光素子等の複数の画像表示装置構成部材が、透明な粘着シートで貼り合された積層構造をしており、それぞれの積層構造は、画像表示装置構成部材と粘着シートが積層してなる画像表示装置用積層体(以下、「積層体」と略記する場合がある)とみなすことができる。
【0003】
画像表示装置の薄型化に伴い、上記画像表示装置用積層体は、各部材の薄型化や構成の簡略化が求められている。そのための手段の一つとして、特許文献1及び2では、粘着剤に色素を含有させてなる光学用粘着剤を用いることで、従来構成における色素層と粘着剤層とを一体化する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-082302号公報
【特許文献2】特開2013-177485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
色素層と粘着剤層とを一体化する場合、粘着剤層を形成した後、レーザーで所望の箇所のみを発色できることが好ましい。しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の技術では、所望の箇所のみを選択的に発色させることが難しい。
そこで、本発明はこのような背景下において、レーザーマーキングが可能な粘着剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
しかるに、本発明者はかかる事情に鑑み鋭意検討を重ねた結果、アクリル系重合体を含有する粘着剤組成物において、特定の色素と顕色剤の組み合わせによってレーザーマーキングが可能となることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の態様を有する。
[1]アクリル系重合体(A)、フルオラン系ロイコ色素及び/又はアザフタリド系ロイコ色素(B)、及びトリアジン系化合物(C)を含有する粘着剤組成物。
[2]前記アクリル系重合体(A)が、アルキル基の炭素数が5~20のアルキル(メタ)アクリレート(a1)由来の構造部位を含む、上記[1]に記載の粘着剤組成物。
[3]前記フルオラン系ロイコ色素及び/又はアザフタリド系ロイコ色素(B)の含有量が、アクリル系重合体(A)100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下である、上記[1]又は[2]に記載の粘着剤組成物。
[4]前記トリアジン系化合物(C)の含有量が、アクリル系重合体(A)100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の粘着剤組成物。
[5]上記[1]~[4]のいずれかに記載の粘着剤組成物からなる粘着シート。
[6]-20℃における貯蔵剪断弾性率〔G’(-20℃)〕が1000kPa以下である、上記[5]に記載の粘着シート。
[7]画像表示装置構成部材の貼り合わせに用いる、上記[5]又は[6]に記載の粘着シート。
[8]2つの画像表示装置構成部材が、上記[5]~[7]のいずれかに記載の粘着シートを介して積層してなる構成を備えた、画像表示装置用積層体。
[9]前記画像表示装置構成部材がフレキシブル画像表示装置構成部材である、上記[8]に記載の画像表示装置用積層体。
[10]上記[8]又は[9]に記載の画像表示装置用積層体を備える画像表示装置。
[11]上記[10]に記載の画像表示装置を用いたフレキシブル画像表示装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明の粘着剤組成物から形成される粘着シートは、レーザーマーキングが可能であることから、画像表示装置に用いる粘着シートとして好適に用いることができ、色素層と粘着剤層の一体化によるディスプレイの薄型化が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態の一例について詳細に説明する。ただし、本発明は、下記実施形態に限定されるものではない。
なお、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
また、画像表示パネル、保護パネル等のように「パネル」と表現する場合、板体、シート及びフィルムを包含するものである。
【0010】
本発明において、「X~Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」又は「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
さらに、「X及び/又はY(X,Yは任意の構成)」とは、X及びYの少なくとも一方を意味するものであって、Xのみ、Yのみ、X及びY、の3通りを意味するものである。
【0011】
本発明において「主成分」とは、対象物の特性に大きな影響を与える成分の意味であり、その成分の含有量は、通常、対象物中の30質量%以上であり、好ましくは35質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。また、対象物中の中で最も多い質量比率を占める成分であることが多く、50質量%以上を占める場合、なかでも55質量%以上、そのなかでも60質量%以上、そのなかでも70質量%以上、そのなかでも80質量%以上、そのなかでも90質量%以上(100質量%を含む)を占める場合が想定される。
本発明において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」を、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」を、「(メタ)アクリロイル」とは、「アクリロイル」及び「メタクリロイル」を、それぞれ包括する意味である。
また、「アクリル系重合体」とは、(メタ)アクリレート由来の単量体単位を含むものを意味し、(メタ)アクリル系重合体を包含する意味である。
【0012】
<<粘着剤組成物>>
本発明の実施形態の一例に係る粘着剤組成物(以下、「粘着剤組成物[I]」とも称する)は、アクリル系重合体(A)、フルオラン系ロイコ色素及び/又はアザフタリド系ロイコ色素(B)、及びトリアジン系化合物(C)を含有するものであり、前記アクリル系重合体(A)を主成分として含有することが好ましい。
【0013】
粘着剤組成物[I]は、発色剤としてフルオラン系ロイコ色素及び/又はアザフタリド系ロイコ色素(B)を含有し、顕色剤としてトリアジン系化合物(C)を含有することにより、レーザーマーキングが可能となる。
この理由は定かではないが、上記フルオラン系ロイコ色素及び/又はアザフタリド系ロイコ色素(B)の電子供与性と、トリアジン系化合物(C)の電子受容性とのバランスにより、粘着シート成膜時の熱や、蛍光灯下で誤って発色することがなく、かつ、レーザー照射部のみが発色可能な程度の反応性を有するためであると考えられる。
【0014】
また、上記特許文献1及び2の粘着剤層は酸系化合物を含有するため、このような粘着剤層は金属腐食を起こす場合があり、画像表示装置向けの粘着剤層としては適さない場合がある。一方で、本発明の粘着剤組成物[I]は、酸系化合物を必須としないため、画像表示装置向けの粘着剤層として好適である。
【0015】
<アクリル系重合体(A)>
本発明で用いるアクリル系重合体(A)は、アルキル基の炭素数が5~20のアルキル(メタ)アクリレート(a1)由来の構造部位を含むことが好ましく、当該(a1)由来の構造部位を主とすることがより好ましい。また、共重合成分として、アルキル基の炭素数が5~20のアルキル(メタ)アクリレート(a1)以外の、その他のモノマー成分(a2)由来の構造部位を含んでいてもよい。
【0016】
(アルキル基の炭素数が5~20のアルキル(メタ)アクリレート(a1))
前記アルキル基の炭素数が5~20のアルキル(メタ)アクリレート(a1)としては、例えば、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリート、n-ノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖アルキル(メタ)アクリレート;イソペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート等の分岐アルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0017】
また、低温における貯蔵剪断弾性率(G’)の増加を抑えて屈曲性を改善する観点から、特にアクリレートであることが好ましい。
【0018】
本発明において、前記アルキル基の炭素数が5~20のアルキル(メタ)アクリレート(a1)は、アクリル系重合体(A)を構成する共重合成分全体に対して、50~95質量%であることが好ましく、より好ましくは60~90質量%、特に好ましくは70~85質量%である。アルキル(メタ)アクリレート(a1)の割合が前記下限値以上であると粘着性及び透明性が良好になり、及び低温における貯蔵剪断弾性率(G’)を低減できる。一方、アルキル(メタ)アクリレート(a1)の割合が上限値以下であると高い発色性が得られる。
【0019】
<その他のモノマー成分(a2)>
本発明において、前記アルキル基の炭素数が5~20のアルキル(メタ)アクリレート(a1)と共重合可能なモノマー成分(a2)(前記(a1)成分を除く)を併用してもよい。かかるモノマー成分(a2)として、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレート、水酸基以外の官能基を有するエチレン性不飽和基含有モノマー、アルキル基の炭素数が1~4のアルキル(メタ)アクリレート、アルキル基の炭素数が20を超えるアルキル(メタ)アクリレート、その他の共重合性モノマー等が挙げられる。
上記アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0020】
前記水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性(メタ)アクリレート、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸等の1級水酸基含有(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有(メタ)アクリレート;2,2-ジメチル2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0021】
前記水酸基含有(メタ)アクリレートのなかでも、低温における貯蔵剪断弾性率(G')を低減するという点で、1級水酸基含有(メタ)アクリレート、例えば、炭素数1~10、さらには1~6のヒドロキシアルキル基を有する水酸基含有(メタ)アクリレート等が好ましく、特には2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が好ましく、特には炭素数1~10、さらには1~6のヒドロキシアルキル基を有する水酸基含有(メタ)アクリレート等が好ましく、とりわけ2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0022】
前記水酸基含有(メタ)アクリレートを含有する場合の含有量は、粘着力の点から、アクリル系重合体(A)の共重合成分全体に対して、1~50質量%であることが好ましく、より好ましくは5~40質量%、特に好ましくは10~30質量%である。かかる水酸基含有(メタ)アクリレートの含有量が下限値以上であると高い粘着性が得られ、上限値以下であると低温における貯蔵剪断弾性率(G’)の増加を抑えられるため好ましい。
【0023】
前記水酸基以外の官能基を有するエチレン性不飽和基含有モノマー(以下、「官能基含有エチレン性不飽和モノマー」という場合がある)としては、例えば、窒素原子を有する官能基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アセトアセチル基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー等が挙げられる。
これらのなかでも、凝集力や架橋促進作用を付与する点で、窒素原子を有する官能基含有モノマーが好ましく、より好ましくはアミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマーであり、さらに好ましくはアミノ基含有モノマーである。
【0024】
前記窒素原子を有する官能基含有モノマーとしての前記アミノ基含有モノマーとしては、例えばアミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート等の第1級アミノ基含有(メタ)アクリレート;t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の第2級アミノ基含有(メタ)アクリレート;エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等の第3級アミノ基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0025】
前記アミド基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド;N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N'-メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のN-アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-エチルメチルアクリルアミド、N,N-ジアリル(メタ)アクリルアミド等のN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド;N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド;N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-(n-ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド等のアルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0026】
前記イソシアネート基含有モノマーとしては、例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートやそれらのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。イソシアネート基は、メチルエチルケトンオキシム、3,5-ジメチルピラゾール、1,2,4-トリアゾール、マロン酸ジエチル等のブロック化剤で保護されていてもよい。
【0027】
前記カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル等が挙げられる。
【0028】
前記アセトアセチル基含有モノマーとしては、例えば、2-(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート等が挙げられる。
【0029】
前記グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリルグリシジル等が挙げられる。
【0030】
これらの官能基含有エチレン性不飽和モノマーは、単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
前記官能基含有エチレン性不飽和モノマーを含有する場合の含有量の上限値は、ブリードアウトによる粘着性低下を低減する観点から、アクリル系重合体(A)の共重合成分全体に対して、30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下である。下限値は通常0質量%である。
【0031】
前記炭素数20を超えるアルキル基を含有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヘンイコシル(メタ)アクリレート等の直鎖アルキル(メタ)アクリレート;イソイコシル(メタ)アクリレート等の分岐アルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0032】
また、前記炭素数20を超えるアルキル基を含有するアルキル(メタ)アクリレートを含有する場合の含有量の上限値は、復元性を維持する観点から、アクリル系重合体(A)の共重合成分全体に対して、20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。下限値は通常0質量%である。
【0033】
前記その他の共重合性モノマーとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物(メタ)アクリレート等の芳香族系(メタ)アクリレートや、4-アクリロイルオキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシ-4'-メトキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシエトキシ-4'-メトキシベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシ-4'-ブロモベンゾフェノン、4-アクリロイルオキシエトキシ-4'-ブロモベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシ-4'-メトキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシエトキシ-4'-メトキシベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシ-4'-ブロモベンゾフェノン、4-メタクリロイルオキシエトキシ-4'-ブロモベンゾフェノン及びこれらの混合物等のベンゾフェノン構造を有する(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α-メチルスチレン、ステアリン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、N-アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等のビニル系モノマー等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0034】
アクリル系重合体(A)は、側鎖に光活性部位、例えば重合性炭素二重結合基が導入されていてもよい。これにより粘着剤組成物[I]の架橋効率を高めることができ、より短時間で粘着剤組成物[I]を架橋することができ生産性を上げることができる。
【0035】
アクリル系重合体(A)の側鎖に重合性炭素二重結合基を導入する方法としては、例えば、上述した水酸基含有(メタ)アクリレートや官能基含有エチレン性不飽和モノマーを含む共重合体を作製し、その後、これらの官能基と反応しうる官能基と重合性炭素二重結合基とを有する化合物を、重合性炭素二重結合基の活性を維持したまま縮合又は付加反応させる方法を挙げることができる。
【0036】
これらの官能基の組み合わせとしては、エポキシ基(グリシジル基)とカルボキシ基、アミノ基とカルボキシ基、アミノ基とイソシアネート基、エポキシ基(グリシジル基)とアミノ基、水酸基とエポキシ基、水酸基とイソシアネート基等を挙げることができる。これらの官能基の組み合わせのなかでも、反応制御のし易さから水酸基とイソシアネート基との組み合わせが好ましい。なかでも共重合体が水酸基を有し、前記化合物がイソシアネート基を有する組み合わせが好適である。
【0037】
重合性炭素二重結合基を有するイソシアネート化合物としては、上述した2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートやそれらのアルキレンオキサイド付加物等を挙げることができる。
【0038】
前記官能基と反応しうる官能基と重合性炭素二重結合基とを有する化合物の含有量は、粘着性を向上させる観点から、アクリル系重合体(A)100質量%に対して、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下である。なお、下限値は通常0質量%である。
【0039】
アクリル系重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、低温における貯蔵剪断弾性率(G')の増加を抑える点から-20℃以下であることが好ましく、より好ましくは-30℃以下、さらに好ましくは-40℃以下、特に好ましくは-50℃以下である。なお、高温における貯蔵剪断弾性率低下による糊はみだし等の懸念から、ガラス転移温度(Tg)の下限値は通常-70℃である。
【0040】
本発明において、アクリル系重合体(A)のガラス転移温度(Tg)は、動的粘弾性測定装置を用いて、動的粘弾性を周波数1Hzの剪断モードにて測定した際の損失正接(tanδ)が最大となった温度を読み取ることにより求められる。
例えば、アクリル系重合体(A)を、直径8mmの円柱体(高さ1.0mm)に成型し、これを粘弾性測定装置(T.A.Instruments社製、DHR 2)を用いて、以下の測定条件下で、損失正接(tanδ)を測定することができる。
【0041】
(測定条件)
・測定治具:Φ8mmパラレルプレート
・歪み:0.1%
・周波数:1Hz
・測定温度:-60~100℃
・昇温速度:5℃/分
【0042】
アクリル系重合体(A)の質量平均分子量(Mw)は、粘着力の高い粘着剤組成物[I]が得られる観点から、60万以上であることが好ましく、より好ましくは70万以上、さらに好ましくは80万以上である。
また、アクリル系重合体(A)の質量平均分子量(Mw)の上限値は、取り扱い性や均一撹拌性の点から、150万以下であることが好ましく、より好ましくは120万以下、さらに好ましくは110万以下である。
【0043】
本発明において、質量平均分子量(Mw)は、例えば以下のようにして求めることができる。
(質量平均分子量の測定方法)
4mgのアクリル系重合体(A)に対して、テトラヒドロフラン(THF)12mLを用いて溶解させたものを測定試料とし、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)分析装置(東ソー社製、HLC-8320GPC)を用いて、下記の条件で分子量分布曲線を測定することで、質量平均分子量(Mw)を求めることができる。
・ガードカラム:TSKguardcolumnHXL
・分離カラム:TSKgelGMHXL(4本)
・温度:40℃
・注入量:100μL
・ポリスチレン換算
・溶媒:THF
・流速:1.0mL/分
【0044】
粘着剤組成物[I]中のアクリル重合体(A)の含有量は、粘着性及び透明性の観点から、60質量%以上99質量%以下が好ましく、70質量%以上98質量%以下がより好ましく、80質量%以上97質量%以下がさらに好ましい。
【0045】
<フルオラン系ロイコ色素及び/又はアザフタリド系ロイコ色素(B)>
本発明の粘着剤組成物[I]は、発色剤としてフルオラン系ロイコ色素及び/又はアザフタリド系ロイコ色素(B)を含有する。以下に代表的な無色ないし淡色の染料(染料前駆体)の具体例を示すが、これらに限定されない。
【0046】
フルオラン系ロイコ色素としては、例えば、2-メチル-6-(N-p-トリル-N-エチルアミノ)フルオラン、2-(N-フェニル-N-メチルアミノ)-6-(N-p-トリル-N-エチル)アミノ-フルオラン、3-N-エチル-N-イソペンチルアミノ-7,8-ベンゾフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(o,p-ジメチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(m-メチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-オクチルアニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-ベンジルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-エトキシエチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-ベンゾ[c]フルオラン、3-ジエチルアミノ-ベンゾ[a]フルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-(o,p-ジメチルアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-6-エトキシエチル-7-アニリノフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-p-メチルアニリノフルオラン、3-ジ-ペンチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピペリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-メチル-N-プロピルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-メチル-N-シクロヘキシルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-シクロヘキシルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-p-トルイジノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-テトラヒドロフルフリルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-エトキシプロピルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、2-(4-オキサヘキシル)-3-ジメチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、2-(4-オキサヘキシル)-3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、2-(4-オキサヘキシル)-3-ジプロピルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、2-メチル-6-p-(p-ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2-メトキシ-6-p-(p-ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2-ニトロ-6-p-(p-ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2-アミノ-6-p-(p-ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2-ジエチルアミノ-6-p-(p-ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2-フェニル-6-メチル-6-p-(p-フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2-ベンジル-6-p-(p-フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2-ヒドロキシ-6-p-(p-フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3-メチル-6-p-(p-ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-p-(p-ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-p-(p-ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2,4-ジメチル-6-[(4-ジメチルアミノ)アニリノ]フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-アニリノフルオラン、3,6-ビス(ジエチルアミノ)フルオラン-γ-(3’-ニトロ)アニリノラクタム、3,6-ビス(ジエチルアミノ)フルオラン-γ-(4’-ニトロ)アニリノラクタム、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-p-メチルアニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(p-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-(p-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-6-クロロ-7-アニリノフルオラン、3-ジブチルアミノ-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジ-ペンチルアミノ-7-(p-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジ-ペンチルアミノ-6-メチル-7-(p-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジ-ペンチルアミノ-6-クロロ-7-アニリノフルオラン、3-ジ-ペンチルアミノ-6-クロロ-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-キシルアミノ)-6-メチル-7-(p-クロロアニリノ)フルオラン、3-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-6-クロロ-7-アニリノフルオラン、2-クロロ-3-メチル-6-p-(p-フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2-クロロ-6-p-(p-ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(o-フルオロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(m-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-7-(o-フルオロアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-(o-フルオロアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-(m-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジ-ペンチルアミノ-7-(m-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジ-ペンチルアミノ-7-(m-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン等の芳香族系のもの、
3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(m-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(p-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(o-フルオロアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-メチルフルオラン、3-シクロヘキシルアミノ-6-クロロフルオラン等の非芳香族ハロゲン系のもの、
3-N-シクロヘキシル-N-n-ブチルアミノ-7-メチルフルオラン等の脂環族系のもの、
3,6-ジメトキシフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-メチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-オクチルアミノフルオラン、3-ジメチルアミノ-7-メトキシフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メトキシフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-メトキシフルオラン、3-ジエチルアミノ-6,7-ジメチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-ジ-n-ヘキシルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-オクチルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチルフルオラン等が挙げられる。
【0047】
アザフタリド系ロイコ色素としては、例えば、3-(4-シクロヘキシルエチルアミノ-2-メトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、3-(2-ブトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-フェニルインドール-3-イル)-4又は7-アザフタリド3-メチル-スピロ-ジナフトピラン等の脂環族系のもの、
3-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-4-アザフタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、3-(2-メチル-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、3-(2-n-プロポキシカルボニルアミノ-4-ジ-n-プロピルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、3-(2-メチルアミノ-4-ジ-n-プロピルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、3-(2-メチル-4-ジn-ヘキシルアミノフェニル)-3-(1-n-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)-4,7-ジアザフタリド、3,3-ビス(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3,3-ビス(1-n-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)-4又は7-アザフタリド、3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4又は7-アザフタリド、3-(2-ヘキシルオキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4又は7-アザフタリド、3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-フェニルインドール-3-イル)-4又は7-アザフタリド等が挙げられる。
【0048】
上記フルオラン系ロイコ色素、アザフタリド系ロイコ色素は、いずれか一方のみを用いてもよいし両者を併用してもよい。また、上記フルオラン系ロイコ色素として複数のフルオラン系ロイコ色素を用いてもよいし、上記アザフタリド系ロイコ色素として複数のアザフタリド系ロイコ色素を用いてもよい。
上記フルオラン系ロイコ色素及び/又はアザフタリド系ロイコ色素(B)の含有量(2種以上を併用する場合は、その合計量)は、アクリル系重合体(A)100質量部に対して、30質量部以下であることが好ましく、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下であり、よりさらに好ましくは10質量部以下である。また、好ましくは0.1質量部以上であり、より好ましくは0.5質量部以上である。含有量が下限値以上であるとレーザー照射によって発色剤を適切に発色させることが可能となり、含有量が上限値以下であると粘着シート成形時の熱や、蛍光灯下で誤って発色することを防止できる。
【0049】
発色剤は、上記フルオラン系ロイコ色素及び/又はアザフタリド系ロイコ色素(B)の中から、所望の色(例えば、シアン色、マゼンタ色、イエロー色、黒色、緑色から選ばれる色)を目的に応じて選択すればよく、これらは組み合わせて用いてもよい。例えば、シアン色とイエロー色を組み合わせて緑色を表現することもできる。
シアン系発色剤としては、例えば、粘着シートにおいて発色した際の最大吸光波長が580nm超780nm以下の範囲にある発色剤であればよく、なかでも、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-4-アザフタリド、および3-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヘキシルオキシフェニル]-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリドが好ましく用いられる。
マゼンタ系発色剤としては、例えば、粘着シートにおいて発色した際の最大吸光波長が例えば480nm超580nm以下の範囲にある発色剤であればよく、なかでも9-(N-エチル-N-イソペンチルアミノ)スピロ[ベンゾ[a]キサンテン-12,3’-フタリド]、2’-メチル-6’-(N-p-トリル-N-エチルアミノ)スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オンが好ましく用いられる。
イエロー色系発色剤としては、例えば、粘着シートにおいて発色した際の最大吸光波長域が380nm以上480nm以下の範囲にある発色剤であればよい。
黒色系発色剤としては、例えば、2’-アニリノ-6’-(N-エチル-N-イソペンチルアミノ)-3’-メチルスピロ[フタリド-3,9’-[9H]キサンテン]、2-アニリノ-6-ジペンチルアミノ-3-メチルキサンテン-9-スピロ-3’-フタリド、2’-アニリノ-6’-(ジブチルアミノ)-3’-メチルスピロ[フタリド-3,9’-キサンテン]、2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、3’-ジエチルアミノ-7’-(m-トリフルオロメチルアニリノ)フルオランが好ましく用いられる。
緑色系発色剤としては、例えば、3,6-ジメトキシフルオラン(Y1)、2-N,N-ジベンジルアミノ-6-ジエチルアミノフルオラン、2-(N-フェニル-N-メチルアミノ)-6-(N-p-トリル-N-エチル)アミノ-フルオランが好ましく用いられる。
上記で説明した以外にも、例えば、特開2005-250451号公報に記載の「ロイコ染料」を用いることができる。
【0050】
<トリアジン系化合物(C)>
本発明の粘着剤組成物[I]は、顕色剤としてトリアジン系化合物(C)を含有する。トリアジン系化合物(C)が加熱されることによって発生したプロトンが上記フルオラン系ロイコ色素及び/又はアザフタリド系ロイコ色素(B)と反応し、上記フルオラン系ロイコ色素及び/又はアザフタリド系ロイコ色素(B)を発色させることができる。
【0051】
トリアジン系化合物(C)としては、例えば、2-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリ-クロロメチル)-s-トリアジン、2-(メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(4-メトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ジメトキシ[2-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリ-クロロメチル)-s-トリアジン、フェニル-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-メトキシフェニル-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、スチリル-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ナフチル-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等が挙げられる。
これらのトリアジン系化合物(C)は、単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0052】
トリアジン系化合物(C)の含有量は、アクリル系重合体(A)100質量部に対して、30質量部以下であることが好ましく、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下であり、よりさらに好ましくは10質量部以下である。また、好ましくは0.1質量部以上であり、より好ましくは0.5質量部以上である。含有量が下限値以上であるとレーザー照射によってフルオラン系ロイコ色素及び/又はアザフタリド系ロイコ色素(B)を適切に発色させることが可能となり、含有量が上限値以下であると粘着シート成形時に誤って発色することを抑制できる。
【0053】
上記ロイコ色素(B)とトリアジン系化合物(C)との含有量の比(B):(C)は、質量基準で、1:2~1:0.05が好ましく、1:1.5~1:0.1がよりさらに好ましく、1:1~1:0.2がよりさらに好ましい。このような含有量比にすることで、レーザー照射によってロイコ色素(B)を適切に発色させることが可能となる。
【0054】
<架橋剤(D)>
前記粘着剤組成物[I]は、上記(A)~(C)成分に加えて、架橋剤(D)を含有してもよい。架橋剤(D)を含有すると、粘着剤組成物[I]が架橋構造を形成し、粘着シートに凝集力や屈曲時の高い復元性を付与することができる。粘着層が適度な凝集力を有することで、ロール状に巻いた際の糊はみだしを防いだり、良好な粘着性を維持したりすることができる。また、屈曲時の高い復元性を有することで折り跡の改善や屈曲部のデラミを防ぐことができる。
【0055】
架橋剤(D)としては、反応時にシート全体が発色してしまうことを防ぐという観点から、熱架橋剤が好ましい。
かかる熱架橋剤としては、例えばイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤が挙げられる。これらのなかでもアクリル系重合体(A)との反応性に優れる点、及び低温弾性率の増加を抑制できる点で、イソシアネート系架橋剤を用いることが好ましい。
【0056】
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(TDI);m-キシレンジイソシアネート(XDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリジンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジイソシアネート(TODI)、1,4-ジ-イソシアナトベンゼン(PPDI)、フェニル-1,4-4-ジイソシアネート、ジフェニルエーテル4,4’-ジイソシアネート、p,p’-ジフェニルジイソシアネート、ポリメチルポリフェニルイソシアネート(PMDI)等の芳香族ジイソシアネート、及びその重合物;α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、及びその重合物;メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチルジイソシアネート(TDMI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンジイソシアネート(LDI)等の脂肪族ジイソシアネート、及びその重合物;シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート、及びその重合物等が挙げられ、これらのなかでも、低温弾性率を低減する点から脂肪族ジイソシアネート、及びその重合物が好ましい。
【0057】
<その他の成分>
粘着剤組成物[I]は、「その他の成分」として、本発明の効果を損なわない限度で必要に応じて、例えば、可塑剤、シランカップリング剤、防錆剤、粘着付与樹脂や、酸化防止剤、光安定化剤、金属不活性化剤、老化防止剤、吸湿剤、防錆剤、無機粒子等の各種の添加剤を適宜含有させることが可能である。
また、必要に応じて、三級アミン系化合物、四級アンモニウム系化合物、ラウリル酸スズ化合物等の反応触媒を適宜含有してもよい。
これらのその他の成分は、単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0058】
(可塑剤)
可塑剤は、弾性率の高い樹脂を軟化させることで、加工性、柔軟性を向上するための材料である。前記可塑剤としては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリル系オリゴマーを挙げることができる。なかでも、硬化物に適度な靭性を付与する観点から、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーが好ましい。
可塑剤を用いる場合の含有量は、粘着剤組成物[I]の加工性及び柔軟性の観点から、アクリル重合体(A)100質量部に対して0.1~50質量部であることが好ましく、より好ましくは1~30質量部である。
【0059】
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤は、構造中に反応性官能基と、ケイ素原子と結合したアルコキシ基をそれぞれ1つ以上含有する有機ケイ素化合物である。前記反応性官能基としては、例えばエポキシ基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、アミド基、イソシアネート基が挙げられ、これらのなかでも、耐久性のバランスの点からエポキシ基、メルカプト基が好ましい。
【0060】
前記ケイ素原子と結合したアルコキシ基としては、耐久性と保存安定性の点から炭素数1~8のアルコキシ基を含有することが好ましく、特に好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。なお、シランカップリング剤は、反応性官能基及びケイ素原子と結合したアルコキシ基以外の有機置換基、例えばアルキル基、フェニル基等を有していてもよい。
【0061】
本発明で用いられるシランカップリング剤としては、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のシラン化合物であるモノマー型のエポキシ基含有シランカップリング剤や、前記シラン化合物の一部が加水分解縮重合したり、前記シラン化合物とメチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル基含有シラン化合物が共縮合したシラン化合物であるオリゴマー型エポキシ基含有シランカップリング剤;3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のシラン化合物であるモノマー型のメルカプト基含有シランカップリング剤や、前記シラン化合物の一部が加水分解縮重合したり、前記シラン化合物とメチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル基含有シラン化合物が共縮合したシラン化合物であるオリゴマー型メルカプト基含有シランカップリング剤;3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤;N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカップリング剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基含有シランカップリング剤;等が挙げられる。
【0062】
これらのなかでも、耐久性に優れる点から、エポキシ基含有シランカップリング剤、メルカプト基含有シランカップリング剤が好ましく用いられ、なかでもエポキシ基含有シランカップリング剤が好ましい。
【0063】
シランカップリング剤を用いる場合の含有量としては、アクリル系重合体(A)100質量部に対して、0.005~10質量部であることが好ましく、特に好ましくは0.01~5質量部、更に好ましくは0.05~1質量部である。かかる含有量が前記下限値以上であるとガラス等の被着体と密着性が向上する傾向があり、前記上限値以下であると透明性が向上する傾向がある。
【0064】
(防錆剤)
防錆剤としては、例えばトリアゾール類、ベンゾトリアゾール類等が好ましく、光学部材が腐食するのを防止することができる。
防錆剤を用いる場合の含有量は、アクリル系重合体(A)100質量部に対して0.01~5質量部であることが好ましく、なかでも0.1質量部以上3質量部以下であることが好ましい。
【0065】
前記その他の成分の含有量は、アクリル系重合体(A)100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、特に好ましくは1質量部以下、更に好ましくは0.5質量部以下であり、下限値は通常0質量部である。かかる含有量が多すぎると透明性や密着性が低下し、視認性の低下や、デラミする傾向がある。
【0066】
粘着剤組成物[I]は、アクリル系重合体(A)、フルオラン系ロイコ色素及び/又はアザフタリド系ロイコ色素(B)、トリアジン系化合物(C)、必要に応じてさらにシランカップリング剤、防錆剤等のその他の成分をそれぞれ所定量混合することにより調製される。
かくして得られた粘着剤組成物[I]は、粘着シート、とりわけフレキシブル画像表示装置構成部材の貼合に用いる粘着シートに供される。
【0067】
<<粘着シート>>
本発明の実施形態の一例に係る粘着シート(以下、「本粘着シート」とも称する)は、粘着剤組成物[I]から形成されてなる粘着層(「本粘着層」とも称する)のみからなる単層シートであっても、本粘着層が複数積層されている複層シートであってもよい。
【0068】
<本粘着シートの物性>
本粘着シートは、次のような物性を有することができる。
【0069】
(貯蔵剪断弾性率)
本粘着シートは、周波数1Hzの剪断モードで動的粘弾性測定により得られる、-40℃の貯蔵剪断弾性率(G'(-40℃))が40000kPa以下であることが好ましく、さらには35000kPa以下であることが好ましく、殊には32000kPa以下であることが好ましい。
なお、本粘着シートの貯蔵剪断弾性率[G'(-40℃)]の下限値に関しては、高温における貯蔵剪断弾性率とのバランスから、1000kPa以上であることが好ましい。
【0070】
本粘着シートの貯蔵剪断弾性率[G'(-40℃)]が前記範囲であることで、例えば本粘着シートを部材シートに貼着して、積層体或いは画像表示装置用積層体を形成した際、特に低温から高温において、積層体又は画像表示装置用積層体の折り曲げ時の層間応力を小さくすることができ、部材シート又はフレキシブル画像表示装置構成部材のデラミや割れを抑制することができる。
【0071】
本粘着シートは、周波数1Hzの剪断モードで動的粘弾性測定により得られる、-20℃の貯蔵剪断弾性率[G'(-20℃)]が1000kPa以下であることが好ましく、さらには800kPa以下であることが好ましく、殊には600kPa以下であることが好ましい。
なお、本粘着シートの貯蔵剪断弾性率[G'(-20℃)]の下限値に関しては、高温における貯蔵剪断弾性率とのバランスから、100kPa以上であることが好ましい。
【0072】
本粘着シートの貯蔵剪断弾性率[G'(-20℃)]が前記範囲であることで、例えば本粘着シートを部材シートに貼着して、積層体或いは画像表示装置用積層体を形成した際、特に低温から高温において、積層体又は画像表示装置用積層体の折り曲げ時の層間応力を小さくすることができ、部材シート又はフレキシブル画像表示装置構成部材のデラミや割れを抑制することができる。
【0073】
本粘着シートは、周波数1Hzの剪断モードで動的粘弾性測定により得られる、60℃の貯蔵剪断弾性率[G'(60℃)]が高い粘着性が得られる観点から、200kPa以下であることが好ましく、さらには150kPa以下であることが好ましく、殊には100kPa以下であることが好ましい。
なお、本粘着シートの貯蔵剪断弾性率[G'(60℃)]の下限値に関しては、糊はみだし防止、及び粘着シートの形状維持の観点から、10kPa以上であることが好ましい。
【0074】
(損失正接(tanδ)の極大点、及び、ガラス転移温度(Tg))
本粘着シートは、周波数1Hzの剪断モードで、動的粘弾性測定により得られる損失正接(tanδ)の極大点が-30℃以下にあることが好ましい。下限値は、通常-50℃である。
当該損失正接(tanδ)の極大点は、ガラス転移温度(Tg)と解釈することができ、ガラス転移温度(Tg)が前記範囲にあることで、本粘着シートの貯蔵剪断弾性率(G’(-20℃))を1000kPa以下に調整しやすくなる。
【0075】
周波数1Hzの剪断モードで動的粘弾性測定により得られる損失正接(tanδ)の変曲点が1点のみ観察される場合、言い換えれば、tanδ曲線が単峰山形状を呈する場合、ガラス転移温度(Tg)が単一であるとみなすことができる。
【0076】
損失正接(tanδ)の「極大点」とは、tanδ曲線におけるピーク値、すなわち微分した際に正(+)から負(-)に変化する変曲点の中で、所定範囲或いは全体範囲において最大の値を持つ点の意味である。
【0077】
種々の温度における弾性率(貯蔵剪断弾性率)G’及び損失正接(tanδ)は、ひずみレオメーターを用いて測定することができる。
【0078】
貯蔵剪断弾性率(G’)及び損失正接(tanδ)は、本粘着シートを構成する粘着剤組成物[I]の成分(例えば、前記のアクリル系重合体(A))の種類を調整したり、さらに粘着シートのゲル分率等を調整したりすることによって、前記範囲に調整することができる。但し、この方法に限定されるものではない。
【0079】
<厚み>
本粘着シートの厚みは、特に制限されるものではなく、その厚みが10μm以上であれば、ハンドリング性が良好であり、また、厚みが1000μm以下であれば、本粘着シートの薄型化に寄与することができる。
よって、本粘着シートの厚みは、10μm以上であることが好ましく、なかでも15μm以上、特に20μm以上、更に25μm以上であることがより好ましい。
一方、上限に関しては、1000μm以下であることが好ましく、なかでも500μm以下、特に250μm以下、更に100μm以下、殊には50μm以下であることがさらに好ましい。
【0080】
<本粘着シートの好ましい用途>
本粘着シートは、画像表示装置構成部材の貼り合わせに好適に使用されるものであり、より好適には、カラーフィルターレスによる画像表示装置の薄膜化を目的とするものである。当該画像表示装置は、フレキシブル画像表示装置であってもよい。
【0081】
<本粘着シートの製造方法>
次に、本粘着シートの製造方法について説明する。
但し、以下の説明は、本粘着シートを製造する方法の一例であり、本粘着シートはかかる製造方法により製造されるものに限定されるものではない。
【0082】
本粘着シートは、アクリル系重合体(A)、フルオラン系ロイコ色素及び/又はアザフタリド系ロイコ色素(B)、及びトリアジン系化合物(C)と、必要に応じてその他の成分等を含有する本粘着シート形成用の粘着剤組成物[I]を調製し、当該粘着剤組成物[I]をシート状に成形し、架橋すなわち重合反応させて硬化させ、必要に応じて適宜加工を施すことにより作製すればよい。
【0083】
また、本粘着シートの作製においては、前記と同様にして本粘着シート形成用の粘着剤組成物[I]を調整し、これを部材シート又はフレキシブル部材上にコーティングし、当該粘着剤組成物[I]を硬化させることにより、本粘着シートを形成すればよい。
但し、この方法に限定するものではない。
【0084】
本粘着シート形成用の粘着剤組成物[I]を調製する際、前記原料を、温度調節可能な混練機(例えば一軸押出機、二軸押出機、プラネタリーミキサー、二軸ミキサー、加圧ニーダー等)を用いて混練すればよい。
なお、種々の原料を混合する際、シランカップリング剤、酸化防止剤等の各種添加剤は、予め樹脂と共にブレンドしてから混練機に供給してもよいし、予め全ての材料を溶融混合してから供給してもよいし、添加剤のみを予め樹脂に濃縮したマスターバッチを作製し供給してもよい。
【0085】
粘着剤組成物[I]をシート状に成形する方法としては、公知の方法、例えばウェットラミネーション法、ドライラミネート法、Tダイを用いる押出キャスト法、押出ラミネート法、カレンダー法やインフレーション法、射出成形、注液硬化法等を採用することができる。なかでも、シートを製造する場合は、ウェットラミネーション法、押出キャスト法、押出ラミネート法が好適である。
【0086】
また、粘着剤組成物[I]は、加熱して硬化させることにより、硬化物を製造することができる。
特に、粘着剤組成物[I]を成形体、例えばシート体に成形したものを加熱することにより、本粘着シートを製造することができる。
【0087】
また、本粘着シートの製造方法の別の実施態様として、粘着剤組成物[I]を適切な溶剤に溶解させ、各種コーティング手法を用いて実施することもできる。
コーティングの場合、本粘着シートの厚みは塗工厚みと塗工液の固形分濃度によって調整できる。
例えば、粘着剤組成物[I]を溶剤に溶解した後、離型フィルムにコーティングして乾燥し、加熱することで本粘着シートを形成することができる。さらに、必要に応じて離型フィルムを積層してもよい。この場合、離型フィルムにコーティングして乾燥し、加熱により硬化し、その上に離型フィルムを積層してもよいし、また、離型フィルムにコーティングして乾燥し、離型フィルムを積層した後、加熱により硬化し本粘着シートを形成してもよい。
【0088】
かかる溶剤としては、粘着剤組成物[I]を溶解させるものであれば特に限定されることなく、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、メタノール、エタノール、プロピルアルコール等のアルコール系溶剤が挙げられる。これらは単独で又は2種以上併せて用いることができる。なかでも、溶解性、乾燥性、価格等の点から酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、トルエンが好ましく、特に酢酸エチル又はトルエンが好適に用いられる。
【0089】
溶剤の含有量としては、乾燥性から、アクリル系重合体(A)100質量部に対して、600質量部以下が好ましく、500質量部以下がより好ましく、400質量部以下がさらに好ましく、300質量部以下が特に好ましい。一方、1質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましく、100質量部以上がさらに好ましく、150質量部以上が特に好ましい。
コーティング方法としては、例えばロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スクリーン印刷、バーコーティング等の慣用の方法により行なうことができる。
【0090】
前記乾燥後における粘着剤組成物[I]中の溶剤含有量としては1質量%以下となることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下である。
【0091】
乾燥温度としては、通常40~150℃であり、より好ましくは45~140℃、さらに好ましくは50~130℃、特に好ましくは55~120℃である。前記温度範囲であると、離型フィルムの熱変形を抑えつつ、効率的かつ比較的安全に溶剤を除去できる。
【0092】
乾燥時間としては、通常1~30分間であり、より好ましくは3~25分間、さらに好ましくは5~20分間である。前記時間範囲であると、効率的かつ十分に溶剤を除去できる。
【0093】
乾燥方法としては、例えば乾燥機、熱ロールによる乾燥、フィルムに熱風を吹き付ける乾燥等が挙げられる。なかでも、乾燥機を用いることが均一かつ容易に乾燥できる点から好ましい。これらは単独で又は2種以上併せて用いることができる。
【0094】
前記にて得られた粘着シートの少なくとも片面に、ブロッキング防止や異物付着防止の観点から、離型フィルムを設けることもできる。
【0095】
かかる離型フィルムとしては、公知の離型フィルムを適宜用いることができる。
離型フィルムの材質としては、例えばポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、アクリルフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、フッ素樹脂フィルム等のフィルムに、シリコーン樹脂を塗布して離型処理したものや、離型紙等を適宜選択して用いることができる。
【0096】
離型フィルムの厚みは、特に制限されない。なかでも、例えば加工性及びハンドリング性の観点からは、10~250μmであることが好ましく、そのなかでも25~200μm、そのなかでも35~190μmであることがさらに好ましい。
【0097】
また、必要に応じて、エンボス加工や種々の凹凸(円錐や角錐形状や半球形状等)加工を行ってもよい。また、各種部材シートへの接着性を向上させる目的で、表面にコロナ処理、プラズマ処理及びプライマー処理等の各種表面処理を行ってもよい。
【0098】
本粘着シートは、粘着剤組成物[I]からなる粘着層(本粘着シート)の片面又は両面に、離型フィルムを積層して離型フィルム付き粘着シートとして提供することもできる。
【0099】
<本粘着シートの使用方法>
本粘着シートは、フルオラン系ロイコ色素及び/又はアザフタリド系ロイコ色素(B)、及びトリアジン系化合物(C)を有するため、レーザー発色性を有する。そのため、本粘着シートは、レーザーが照射されてレーザーマーキングされることが好ましい。
【0100】
粘着シートは、単層で使用されてもよいが、複数の粘着シートを積層して使用されてもよい。
複数の粘着シートを積層する場合、それぞれの粘着層の発色が異なっていてもよく、その場合、いわゆるインナーマーキングにより、複数の粘着層のうち、少なくとも1つの粘着層を選択的に発色させるとよい。
ここで、インナーマーキングとは、積層された粘着シートの内部にレーザー光を集光させて、その集光された部分及びその周辺部をレーザー光により加熱等させて、粘着層を発色させる手法である。インナーマーキングでは、レーザー光の集光位置(「侵入深さ」ともいう)を、積層粘着シートの積層方向(z方向)に沿って調整することで、複数の粘着層のうち、少なくとも1つの粘着層を選択的に発色させることができる。
【0101】
例えば、積層粘着シートが、シアン色を発色する層(便宜上、(α)層とする)、マゼンタ色を発色する層(便宜上、(β)層とする)、及びイエロー色を発色する層(便宜上、(γ)層とする)を有する場合には、例えば、集光位置を(α)層に一致させてレーザー光を照射させることで、シアン色を発色させることができる。また、集光位置を(β)層に一致させてレーザー光を照射させことで、マゼンタ色を発色させることができ、さらに、集光位置を(γ)層に一致させてレーザー光を照射させることで、イエロー色を発色させることができる。
【0102】
また、例えば、集光位置をいずれか1つの粘着層に一致させてレーザー光を照射させ、かつ集光位置を別の1つの粘着層に一致させてレーザー光を照射させることで、2色発色が可能である。また、同様のレーザー光照射を繰り返し行うことで3色以上の発色も可能である。なお、2色以上発色させる場合、積層粘着シートのxy面(すなわち、積層方向(z方向)に対して垂直な面)における同じ位置にレーザー光を照射することで、2色以上を混色させることも可能である。
【0103】
各粘着層に集光位置を一致させて行うレーザー照射は、粘着層毎に集光位置を予め一致させたレーザーモジュールを複数用意して、それぞれのレーザーモジュールから粘着層それぞれにレーザーを照射して行うとよい。したがって、積層体が粘着層を3層有する場合には、レーザーモジュールも3つ用意するとよい。レーザーモジュールは、一般的にレーザー光を発光するレーザー光源と、各粘着層にレーザー光を集光させるための集光レンズとを備え、必要に応じて、レーザー光を屈折させるミラー、レーザー光を変調させるレーザー変調器等を備えてもよい。
以上のようにレーザーモジュールを複数使用する構成においては、各レーザーモジュールから照射されるレーザー光の集光位置の調整が不要となり、レーザー照射の制御が容易になる。なお、複数のレーザーモジュールは、互いに同じ発光波長を有するレーザー光を照射してもよいし、異なる発光波長を有するレーザー光を照射してもよい。
【0104】
また、レーザーモジュールとしては、例えば、集光位置(侵入深さ)が可変であるレーザーモジュールを使用してもよい。このようなレーザーモジュールは、集光位置を変化させて、集光位置を複数の粘着層のうち1つの層に一致させ、該粘着層に対してレーザー光を照射するとよい。そして、各粘着層それぞれに集光位置を一致させて各粘着層に対してレーザー光を照射することができるので、1つのレーザーモジュールで複数の粘着層を選択的に発色させることができる。そのため、レーザーマーキングのための装置を簡素化できる。なお、1つのレーザーモジュールからは、例えば、同じ発光波長を有する1種のレーザー光が照射されるとよい。
集光位置が可変であるレーザーモジュールは、上記で説明したレーザーモジュールと同様に、レーザー光源と、集光レンズとを備え、また、必要に応じて、ミラー、レーザー光変調器等を備えてもよい。ここで、レーザー光変調器は、レーザー光源から照射された光を変調させて、レーザー光の集光位置、照射位置等を調整するとよく、ホログラム等を利用してもよい。また、集光位置が可変であるレーザーモジュールは、集光レンズの焦点位置を調整するレンズ調整機構を備え、レンズ調整機構により集光位置を調整してもよい。
【0105】
なお、以上では、各粘着層に集光位置を一致させる態様を例に具体的に説明したが、隣接する一対の粘着層を発色させ混色させる場合には、一対の粘着層の界面やその近傍(隣接する2つの粘着層の間に中間層がある場合には、中間層)に集光位置を一致させて、1回のレーザー照射により2色を発色させてもよい。
【0106】
レーザーモジュールから発光されるレーザー光は、単波長レーザーであってもよいし、多波長レーザーであってもよいが、単波長レーザーであることが好ましい。レーザーモジュールから発光されるレーザー光は、好ましく波長200~1500nmの範囲、より好ましくは250~1200nmの範囲、さらに好ましくは300~900nmの範囲、よりさらに好ましくは320~600nmの範囲に少なくとも1つの波長を有するレーザー光であるとよい。
上記の通り、本発明の積層体の各粘着層は、好ましい態様において、波長200~1500nmの範囲の1つの波長を有するレーザー光の照射により発色可能であるため、上記波長を有するレーザー光を使用することで、各粘着層を適切に発色させることができる。
【0107】
また、使用されるレーザーとしては、パルスレーザー、CWレーザー等が挙げられ、積層体への熱的ダメージが少ない観点から、パルスレーザーが好ましい。パルスレーザーとしては、マイクロ秒レーザー、ナノ秒レーザー、ピコ秒レーザー、フェムト秒レーザー等が挙げられるが、厚みが小さい粘着層に対して高い選択性で発色させることができる観点から、フェムト秒レーザーが好ましい。
【0108】
レーザー照射時間としては、通常0.01~24時間であり、より好ましくは0.05~6時間、さらに好ましくは0.1~3時間である。前記時間範囲であると、効率的かつ誤発色を防ぐことができる。
【0109】
<<積層シート>>
本発明の実施形態の一例に係る積層シート(以下、「本積層シート」と称することがある。)とは、本粘着シートと他の層とを備えたシートである。本積層シートを構成する層の中で本粘着シートの厚みは、本積層シートの総厚みの10~90%を占めることが好ましく、なかでも20%以上80%以下、そのなかでも30%以上70%以下を占めることがさらに好ましい。
また、本積層シートは、本粘着シートの少なくとも片面に部材シートを備えたもの、又は部材シートの少なくとも片面に本粘着シートを備えたものであることが好ましい。
【0110】
本積層シートは、例えば部材シート(以下「第1の部材シート」と称することがある)と、本粘着シートと、前記とは別の部材シート(以下「第2の部材シート」と称することがある)とが、この順で積層されてなる構成を備えた積層シートであることが好ましい。
本粘着シートを、第1の部材シート及び/又は第2の部材シートに貼着することにより、本積層シートを作製することができる。但し、このような製造方法に限定するものではない。
なお、第1の部材シートと第2の部材シートとは同じでもよいし、異なるものでもよい。
【0111】
<部材シート>
本積層シートを構成する部材シート、すなわち、本粘着シートに貼着される部材シート(「第1の部材シート」及び/又は「第2の部材シート」を包含する)としては、例えばポリエステル樹脂、シクロオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アラミド樹脂、及びポリウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を主成分として含む樹脂シート、又は、薄膜ガラス等のガラスを挙げることができる。ここで、薄膜ガラスとは、前記で挙げた部材シートの厚みを有するガラスを指す。
なかでも、シクロオレフィン樹脂を主成分とする樹脂シートの25℃引張強度(ASTM D882)は、厚み100μmで40~60MPaと低く、このような引張強度が低い部材シートを用いた積層シートの場合、折り曲げ時に割れが生じやすく、従来技術の範囲では割れを解消することが困難であった。
【0112】
部材シートとしては、従来公知のものを用いることができ、特に限定されるものではないが、例えば下記が好ましく挙げられる。
・PETフィルム「三菱ケミカル社製、S100、厚み50um」(引張強度:73MPa)
・PENフィルム「帝人社製、FS205S、厚み50um」(引張強度:193MPa)
・PIフィルム「KOLON社製、C_50、厚み53um」(引張強度:204MPa)
【0113】
フレキシブル画像表示装置の構成や本粘着シートの位置にも依るが、第1の部材シート及び第2の部材シートとしては、例えばカバーレンズ、偏光板、位相差フィルム、バリアフィルム、タッチセンサーフィルム、発光素子等を挙げることができる。
特に、画像表示の構成を考慮すると、第1の部材シートは、タッチ入力機能を有することが好ましい。本積層シートが前述した第2の部材シートを有する場合、第2の部材シートもタッチ入力機能を有していてもよい。
【0114】
(25℃の引張強度)
さらに、第1の部材シートに関しては、ASTM D882に準拠して測定した25℃の引張強度(「25℃引張強度(ASTM D882)」とも称する)が、10~900MPaであることが好ましく、なかでも15MPa以上或いは800MPa以下、そのなかでも20MPa以上或いは700MPa以下であることがさらに好ましい。
第1の部材シートの25℃引張強度(ASTM D882)が前記範囲であると屈曲時にも割れにくくなり好ましい。
【0115】
本積層シートが前述した第2の部材シートを有する場合、第2の部材シートに関しては、ASTM D882に準拠して測定した25℃の引張強度が10~900MPaであることが好ましく、なかでも15MPa以上或いは800MPa以下、そのなかでも20MPa以上或いは700MPa以下であることがさらに好ましい。
第2の部材シートの25℃引張強度(ASTM D882)が前記範囲であると屈曲時にも割れにくくなり好ましい。
【0116】
なかでも、第1の部材シート及び第2の部材シートのいずれもが、ASTM D882に準拠して測定した25℃の引張強度が、10~900MPaであることが好ましい。
なお、第1の部材シートと第2の部材シートは、同じ材料からなるものでもよいし、異なる材料からなるものでもよい。
【0117】
前記引張強度の高い部材シート(第1の部材シート及び第2の部材シートを包含する)としては、例えばポリイミドフィルムや、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等を挙げることができ、これらの引張強度としては一般に900MPa以下である。下限としては、通常50MPaである。
他方、前記引張強度がやや低い部材シートとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム等を挙げることができ、これらの引張強度としては10MPa以上である。上限としては、通常200MPaである。
本積層シートは、このような引張強度がやや低い材料からなる部材シートを備えたものであっても、本粘着シートの作用により、割れ等の不具合を抑制することができる。
【0118】
<本積層シートの物性>
本積層シートは、次のような物性を有することができる。
【0119】
(粘着力)
本積層シートは、本粘着シートの部材シートに対する粘着力(剥離角度180°:剥離速度300mm/分)が、0.5~30N/cmであるが好ましく、より好ましくは1~20N/cm、さらに好ましくは2~10N/cmである。かかる範囲であると、十分な粘着性があり、フレキシブル画像表示装置用の粘着シートとして好適に用いられる傾向がある。
前記粘着力は、後述の実施例に記載の測定条件で測定することができる。
【0120】
<本積層シートの厚み>
本積層シートの厚みは、特に制限されるものではない。例えば、画像表示装置に使用される場合の一例としては、本積層シートはシート状であり、その厚みが0.01mm以上であれば、ハンドリング性が良好であり、また、厚みが1mm以下であれば、本積層シートの薄型化に寄与することができる。
よって、本積層シートの厚みは、0.01mm以上であることが好ましく、さらには0.03mm以上、特には0.05mm以上であることが好ましい。
一方、上限に関しては、1mm以下であることが好ましく、さらには0.7mm以下、特には0.5mm以下であることがより好ましい。
【0121】
<本積層シートの製造方法>
次に本積層シートの製造方法について説明する。
但し、以下の説明は、本積層シートを製造する方法の一例であり、本積層シートはかかる製造方法により製造されるものに限定されるものではない。
【0122】
本積層シートは、本粘着シートの製造方法と同様に粘着剤組成物[I]を調製し、例えば第1の部材シート及び/又は第2の部材シート上に、該粘着剤組成物[I]を塗布して硬化させて粘着シートを形成させるようにして、本積層シートを製造すればよい。
この際、粘着剤組成物[I]の調製方法、コーティング方法、粘着剤組成物[I]の硬化方法等は、本粘着シートの製造方法と同様である。
【0123】
また、予め製造した本粘着シートを、第1の部材シート及び/又は第2の部材シートに貼り合せて本積層シートを製造するようにしてもよい。
【0124】
なお、接着性を向上させる目的から、本粘着シート、第1の部材シート及び第2の部材シートのそれぞれの表面に、コロナ処理、プラズマ処理及びプライマー処理等の各種表面処理を行ってもよい。
【0125】
本積層シートが、本粘着シートの片面にのみ部材シートが積層された構成である場合、部材シートが積層されていない本粘着シートの片面に、離型層が積層されてなる保護フィルムを設けることもできる。
【0126】
<<画像表示装置用積層体>>
本発明の実施形態の一例に係る画像表示装置用積層体(以下、「本画像表示装置用積層体」と称することがある。)は、2つの画像表示装置構成部材が、本粘着シートを介して積層してなる構成を有する画像表示装置用積層体である。本画像表示装置用積層体は、2つのフレキシブル画像表示装置構成部材が、本粘着シートを介して積層してなる構成を有するフレキシブル画像表示装置用積層体(以下、「本フレキシブル画像表示装置用積層体」と称することがある。)であることが好ましい。
【0127】
本画像表示装置用積層体の構成要素のうち、本粘着シートについては上述の通りであり、粘着シート以外の要素について、以下説明する。
【0128】
(画像表示装置構成部材)
本画像表示装置用積層体を構成する画像表示装置構成部材としては、例えばフレキシブル画像表示装置構成部材が挙げられる。前記フレキシブル画像表示装置構成部材としては、例えば有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ等のフレキシブルディスプレイ、カバーレンズ(カバーフィルム)、偏光板、偏光子、位相差フィルム、バリアフィルム、視野角補償フィルム、輝度向上フィルム、コントラスト向上フィルム、拡散フィルム、半透過反射フィルム、電極フィルム、透明導電性フィルム、金属メッシュフィルム、タッチセンサーフィルム等を挙げることができる。これらのうちのいずれか1種又は2種のうちの2つを組み合わせて使用すればよい。例えばフレキシブルディスプレイと、その他のフレキシブル画像表示装置構成部材との組み合わせや、カバーレンズと、その他のフレキシブル画像表示装置構成部材との組み合わせを挙げることができる。
【0129】
なお、フレキシブル画像表示装置構成部材とは、屈曲可能な部材、とりわけ、繰り返し屈曲可能な部材であることを意味する。特に、曲率半径が25mm以上の湾曲形状に固定が可能な部材、とりわけ、曲率半径25mm未満、より好ましくは、曲率半径3mm未満での繰り返しの曲げ作用に耐えることができる部材であることが好ましい。
【0130】
上述の構成において、フレキシブル画像表示装置構成部材の主成分としては、樹脂シート又はガラス等が挙げられる。
かかる樹脂シートの材質としては、例えばポリエステル樹脂、シクロオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂及びアラミド樹脂等を挙げることができ、これらは1種の樹脂であっても、又は2種以上の樹脂であってもよい。なかでも、ポリエステル樹脂、シクロオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アラミド樹脂、及びポリウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を主成分として含む樹脂シートであることが好ましい。
ここで「主成分」とは、フレキシブル画像表示装置構成部材を構成する成分の中で最も多い質量比率を占める成分であることをいい、具体的にはフレキシブル画像表示装置構成部材を形成する樹脂組成物(樹脂シート)の50質量%以上を占めるものであり、さらには55質量%以上、特には60質量%以上を占めることが好ましい。
また、フレキシブル画像表示装置構成部材は、薄膜ガラスからなるものであってもよい。
【0131】
上述の構成において、2つのフレキシブル画像表示装置構成部材のいずれか一方、すなわち第1のフレキシブル画像表示装置構成部材は、特に、ASTM D882に準拠して測定した25℃の引張強度が10~900MPaであることが好ましく、なかでも15MPa以上800MPa以下、そのなかでも20MPa以上700MPa以下であることがさらに好ましい。
一方のフレキシブル画像表示装置構成部材の25℃引張強度(ASTM D882)が前記範囲であれば屈曲時にも割れにくくなり好ましい。
【0132】
また、他方のフレキシブル画像表示装置構成部材、すなわち、第2のフレキシブル画像表示装置構成部材に関しては、ASTM D882に準拠して測定した25℃の引張強度が10~900MPaであることが好ましく、なかでも15MPa以上800MPa以下、そのなかでも20MPa以上700MPa以下であることがさらに好ましい。
他方のフレキシブル画像表示装置構成部材の25℃引張強度(ASTM D882)が前記範囲であれば屈曲時にも割れにくくなり好ましい。
【0133】
前記引張強度の高いフレキシブル画像表示装置構成部材としては、ポリイミドフィルムやポリエステルフィルム、アラミドフィルム等を挙げることができ、これらの引張強度としては一般に900MPa以下である。
他方、前記引張強度がやや低いフレキシブル画像表示装置構成部材としては、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム等を挙げることができ、これらの引張強度としては通常10MPa以上である。
本フレキシブル画像表示装置用積層体は、このような引張強度がやや低い材料からなるフレキシブル画像表示装置構成部材を備えたものであっても、本粘着シートの作用により割れ等の不具合を抑制することができる。
【0134】
<本画像表示装置用積層体の製造方法>
本画像表示装置用積層体の製造方法としては、特に制限されるものではなく、上述のように、例えば、粘着剤組成物[I]を画像表示装置構成部材上、好ましくはフレキシブル画像表示装置構成部材上に塗布して粘着シートを形成してもよいし、予め当該粘着剤組成物[I]を用いて粘着シートを形成した後に、画像表示装置構成部材、好ましくはフレキシブル画像表示装置構成部材と貼合してもよい。
なお、粘着シートにレーザーを照射して発色させる工程は、画像表示装置構成部材上に形成された粘着シートにレーザーを照射するという順序で行われてもよいし、予め作製した粘着シートにレーザーを照射した後、画像表示装置構成部材と貼り合せるという順序で行われてもよい。
【0135】
<<画像表示装置>>
本発明の実施形態の一例に係る画像表示装置(以下、「本画像表示装置」と称することがある。)は、本積層体又は本画像表示装置用積層体を組み込んでなる画像表示装置である。例えば、本積層体又は本画像表示装置用積層体を、他の画像表示装置構成部材に積層することで、本積層体を備えた本画像表示装置を形成することができる。
また、本発明の実施形態の一例に係るフレキシブル画像表示装置は、2つのフレキシブル画像表示装置構成部材が本粘着シートを介して貼り合わされた構成を有するフレキシブル画像表示装置用積層体を組み込んでなる画像表示装置である。例えば、2つのフレキシブル画像表示装置構成部材が本粘着シートを介して貼り合わされた構成を有するフレキシブル画像表示装置用積層体を、他の画像表示装置構成部材に積層することで、該積層体を備えたフレキシブル画像表示装置を形成することができる。
【0136】
「フレキシブル画像表示装置」とは、繰り返し折り曲げても折り曲げの跡を残さず、折り曲げを解放した際には折り曲げる前の状態まで素早く復元することができ、折り曲げても歪みなく画像を表示できる画像表示装置をいう。
より具体的には、曲率半径が25mm以上の湾曲固定形状が可能な部材、とりわけ、曲率半径25mm未満、より好ましくは、曲率半径3mm未満での繰り返しの曲げ作用に耐えることができる部材からなる画像表示装置を挙げることができる。
【0137】
本積層体は、高温における環境下で折り畳み操作をしても、積層体のデラミや割れを防止でき、復元性も良好であるため、フレキシブル性に優れたフレキシブル画像表示装置を製造できることが特徴の一つである。
【実施例0138】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、例中、「部」、「%」とあるのは、質量基準を意味する。
【0139】
<原料>
まず、実施例及び比較例で用いる粘着剤組成物の各材料成分の詳細について説明する。
【0140】
<アクリル系重合体(A)>
表1に示す通りの共重合成分組成にてアクリル系重合体(A1)を調製した。
【0141】
【0142】
<フルオラン系ロイコ色素及び/又はアザフタリド系ロイコ色素(B)>
発色剤として、以下のものを用意した。
・(B1):Blue203(山田化学工業社製、3-(2-ヘキシルオキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド)
・(B2):ATP(山田化学工業社製、2-(N-フェニル-N-メチルアミノ)-6-(N-p-トリル-N-エチル)アミノ-フルオラン)
【0143】
<トリアジン系化合物(C)>
顕色剤として、以下のものを用意した。
・(C1):MP-トリアジン(三和ケミカル社製、2-(メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン)
一方、比較例として用いる顕色剤として、以下のトリアジン系化合物ではない顕色剤を用意した。
・(X1):CPI-200K(サンアプロ社製、トリアリールスルホニウム塩とプロピレンカーボネートの混合物)
【0144】
<架橋剤(D)>
・LAROMER PR9000(BASFジャパン社製、2-ヒドロキシエチル=アクリラートと1,6-ジイソシアナトヘキサンの重合物)
【0145】
[実施例1~2、比較例1~3]
表2に示す通りの配合組成にて、アクリル系重合体、発色剤、顕色剤、架橋剤、溶剤としてのトルエンを均一混合し、粘着剤組成物溶液(固形分濃度33%)を得た。
【0146】
【0147】
前記粘着剤組成物溶液を、離型フィルム(三菱ケミカル社製、シリコーン剥離処理ポリエステルフィルム、厚み100μm)上に、乾燥後の厚みが表2に記載の通りとなるようコーティングした。コーティング後、温度90℃に加熱した乾燥機内に入れて7分間保持し、粘着剤組成物が含有する溶剤を揮発乾燥させた。
さらに、溶剤を乾燥させた当該粘着剤組成物の表面に、離型フィルム(三菱ケミカル社製、シリコーン剥離処理ポリエステルフィルム、厚み75μm)を積層して積層体を形成し、温度40℃に加熱した乾燥器内に入れて7日間保持し、粘着シート積層体(離型フィルム付粘着シート)を得た。
得られた粘着シート積層体について、以下の評価を行った。
【0148】
<粘着シート成形時の発色性>
実施例及び比較例で作製した各粘着シート積層体を目視観察して、粘着シート成形時の発色性について、以下の基準で評価した。
〇(good):発色がないか、発色があっても実用上許容できる範囲であった。
×(poor):発色あり。
【0149】
<レーザー照射時の発色性>
3-Axis UVレーザマーカ MD-U1000C(KEYENCE社製)を用いて、波長355nm、パワー0.5W、走査速度1000mm/s、周波数40kHz、ハンチングピッチ40μm、走査方向交差(0°/90°)、熱量2.64J/pcsの条件で、各粘着シートに対して大きさ5cm×5cmのレーザー照射を表3に示す時間で行った。レーザー照射後の発色性を確認し、以下の基準で評価した。なお、粘着シート成形時に既に発色があった比較例2については、レーザー発色性の評価は実施しなかった。
〇(very good):レーザー照射部分に鮮明な発色があった。
△(good):レーザー照射部分に発色があったが、やや不鮮明であった。
×(poor):レーザー照射部分に発色がない。
【0150】
<色差>
作製した前記光学特性評価用サンプルの色差(L*、a*、b*値を、JIS Z8722に準拠し、分光測色計(スガ試験機社製、SC-T)にて測定した。
試験方法:C/2、透過法、30φ
【0151】
〔貯蔵剪断弾性率(G’)〕
実施例で作製した各粘着シート積層体から離型フィルムを取り除き、粘着シートを複数層積層することで厚み1.0mmの積層体とした。
得られた粘着シート(粘着層)の積層体から、直径8mmの円柱体(高さ1.0mm)を打ち抜き、これをサンプルとした。
かかるサンプルについて、粘弾性測定装置(T.A.Instruments社製、DHR2)を用いて、以下の測定条件下で、動的粘弾性の温度分散を測定した。
得られた動的粘弾性の温度分散データから、-40℃における貯蔵剪断弾性率G’(-40℃)、-20℃における貯蔵剪断弾性率G’(-20℃)、及び60℃における貯蔵剪断弾性率G’(60℃)を読み取った。
【0152】
(測定条件)
・測定治具:Φ8mmパラレルプレート
・歪み:0.1%
・周波数:1Hz
・測定温度:-60~100℃
・昇温速度:5℃/分
【0153】
<粘着力>
実施例で作製した各粘着シート積層体から、一方の離型フィルムを取り除いた粘着シート積層体の粘着面に、裏打ちフィルムとして150WATT・min/m2でコロナ処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製、ダイアホイルS100、厚み50μm)をハンドローラーにてロール貼合した。これを、10mm幅×150mm長の短冊状に裁断し、残る離型フィルムを剥がして露出した粘着面を、あらかじめステンレス製板に貼り合わせたポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル社製、ダイアホイルS100、厚み50μm)にハンドローラーを用いてロール貼合して、PETフィルム/粘着シート/裏打ちフィルムからなる積層体を作製し、この積層体を室温(23℃)環境下に24時間静置して養生し、粘着力測定サンプルを作製した。
【0154】
23℃、又は60℃において、裏打ちフィルムをPETフィルムと180°をなす角度に剥離速度300mm/分にて引っ張りながら剥離し、ロードセルで引張強度を測定して、粘着シートのPETフィルムに対する180°剥離強度(N/10mm)を測定し、粘着力(23℃、又は60℃)とした。
【0155】
【0156】
上記評価結果より、粘着剤組成物として、アクリル系重合体(A)に、フルオラン系ロイコ色素及び/又はアザフタリド系ロイコ色素(B)とトリアジン系化合物(C)とを併用することで、粘着シート成形時に発色することがなく、かつ、レーザー照射によって発色することができた。
顕色剤を含まない比較例1~3では、ロイコ色素の反応が不十分であり、レーザー照射時の発色性に劣るものであったため、物性評価は割愛した。