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特開2024-143672較正用治具、マンモグラフィ装置、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143672
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】較正用治具、マンモグラフィ装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/02 20060101AFI20241003BHJP
   A61B 6/00 20240101ALI20241003BHJP
   A61B 6/58 20240101ALI20241003BHJP
【FI】
A61B6/02 351Z
A61B6/00 370
A61B6/00 390A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056455
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今野 紳一朗
(72)【発明者】
【氏名】田島 崇史
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA11
4C093CA35
4C093DA06
4C093EC25
4C093FC27
4C093GA01
(57)【要約】
【課題】マーカと疑似生検針とを別体とする場合に比較して、より高精度にマンモグラフィ装置とバイオプシ装置との3次元座標系を一致させる較正を行うことができる較正用治具、マンモグラフィ装置、及びプログラムを得る。
【解決手段】較正用治具70Aは、マンモグラフィ装置と組み合わせて用いられるバイオプシ装置に取り付けられ、マンモグラフィ装置とバイオプシ装置との3次元座標系を一致させる較正を行うための較正用治具70Aであって、バイオプシ装置で実際に用いられる生検針の擬似的な針である疑似生検針90と、疑似生検針90の針先との位置関係が各々既知とされた複数の部位を有するマーカ76と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンモグラフィ装置と組み合わせて用いられるバイオプシ装置に取り付けられ、前記マンモグラフィ装置と前記バイオプシ装置との3次元座標系を一致させる較正を行うための較正用治具であって、
前記バイオプシ装置で実際に用いられる生検針の擬似的な針である疑似生検針と、
前記疑似生検針の針先との位置関係が各々既知とされた複数の部位を有するマーカと、
を備えた較正用治具。
【請求項2】
前記マーカは、前記複数の部位の何れか1つを各々個別に有する複数のマーカである、
請求項1に記載の較正用治具。
【請求項3】
前記疑似生検針の針先の位置は、前記マーカの位置とは異なる、
請求項1に記載の較正用治具。
【請求項4】
前記マーカは、球状、又は、平板状とされている、
請求項1に記載の較正用治具。
【請求項5】
前記疑似生検針の針先を外部の治具からアクセス可能とする開口部、
を更に備えた請求項1に記載の較正用治具。
【請求項6】
前記開口部は、少なくとも2方向から前記アクセスが可能とされている、
請求項5に記載の較正用治具。
【請求項7】
前記アクセスの方向は、前記疑似生検針の針先と前記マーカの前記複数の部位とを結ぶ直線の軸線方向とは異なる方向とされている、
請求項6に記載の較正用治具。
【請求項8】
前記複数の部位は、前記マンモグラフィ装置の放射線検出面と平行な面上に位置する、
請求項1に記載の較正用治具。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れか1項に記載の較正用治具を有するバイオプシ装置、放射線照射器、及び前記放射線照射器によって照射された放射線を用いて放射線画像の撮影を行う放射線検出器が設けられたマンモグラフィ装置であって、
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
前記較正用治具の前記マーカにおける前記複数の部位の3次元位置座標を検出し、
検出した前記複数の部位の3次元位置座標を用いて、前記疑似生検針の針先の3次元位置座標を導出し、
導出した前記針先の3次元位置座標と、前記バイオプシ装置が有する前記疑似生検針の針先の3次元位置座標とを一致させる較正を行う、
マンモグラフィ装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記疑似生検針と前記複数の部位との位置関係の製造上のずれを補正する、
請求項9に記載のマンモグラフィ装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、
前記複数の部位の3次元位置座標を検出する場合に、前記較正用治具の前記マーカを前記放射線検出器と平行に配置する、
請求項9に記載のマンモグラフィ装置。
【請求項12】
前記較正用治具は、前記バイオプシ装置によって3次元空間を移動する、
請求項9に記載のマンモグラフィ装置。
【請求項13】
前記較正用治具は、縦穿刺用、及び、横穿刺用の少なくとも一方とされている、
請求項9に記載のマンモグラフィ装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、
前記放射線照射器による放射線の照射方向が異なる状態で前記放射線検出器によって得られた複数の放射線画像を用いて、前記複数の部位の3次元位置座標を検出する、
請求項9に記載のマンモグラフィ装置。
【請求項15】
前記プロセッサは、
前記較正用治具を3次元空間で移動させることにより、複数の位置で、前記複数の部位の3次元位置座標を検出し、
検出した前記複数の部位の3次元位置座標を用いて、前記複数の位置における前記針先の3次元位置座標を導出する、
請求項14に記載のマンモグラフィ装置。
【請求項16】
前記プロセッサは、
導出した前記複数の位置における前記針先の3次元位置座標を用いて、前記較正を行う、
請求項15に記載のマンモグラフィ装置。
【請求項17】
請求項1から請求項8の何れか1項に記載の較正用治具を有するバイオプシ装置、放射線照射器、及び前記放射線照射器によって照射された放射線を用いて放射線画像の撮影を行う放射線検出器が設けられたマンモグラフィ装置において実行されるプログラムであって、
前記較正用治具の前記マーカにおける前記複数の部位の3次元位置座標を検出し、
検出した前記複数の部位の3次元位置座標を用いて、前記疑似生検針の針先の3次元位置座標を導出し、
導出した前記針先の3次元位置座標と、前記バイオプシ装置が有する前記疑似生検針の針先の3次元位置座標とを一致させる較正を行う、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、較正用治具、マンモグラフィ装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、定位バイオプシーシステムにおける検体サンプルの位置特定が容易に高精度で得られるように改善を行うことを目的としたバイオプシーシステムにおける少なくとも1つの計算アルゴリズムの変更のための方法が開示されている。
【0003】
この方法は、バイオプシーシステムにおける少なくとも1つの計算アルゴリズムを定めるための方法であって、前記計算アルゴリズムは、定位バイオプシにおける細胞又は組織サンプル領域の位置の決定に影響を与えるものである、バイオプシーシステムにおける少なくとも1つの計算アルゴリズムの変更のための方法において、剛性の放射線透過性材料からなる特定数の放射線非透過性マーカが既知の所定位置で配置されているファントムを対象テーブル上の特定位置に配置する。
【0004】
そして、この方法は、前記ファントムに2つの角度から照射を行って2つの画像を形成し、画像情報と前記マーカの既知の位置に基づく情報に基づいて、計算アルゴリズムを変更することを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-201749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、マンモグラフィ装置による画像診断で異常な所見が認められ、更なる精密検査の結果、良悪性の鑑別が必要な所見に対して病変部の細胞や組織を採取し、病理診断結果を得ることが行われている。この場合における病変部の細胞や組織の採取の際に、角度の異なる2箇所以上の位置から放射線を照射し、これによって得られた2枚以上の放射線画像を用いて病変部の3次元的な位置を特定し、当該位置に基づいて生検針を移動させるバイオプシ装置がある。
【0007】
このバイオプシ装置では、病変の位置と生検針の穿刺位置とを3次元座標系で認識し、生検針の移動制御を行う。このため、病変の位置と生検針の穿刺位置は高精度で一致していなければならないが、要求精度が非常に高い(一例として、±1mm以内の精度)。このため、バイオプシ装置を使用する前に、病変の位置の座標系と生検針の穿刺位置の座標系との較正を行い、これらの座標系を対応付けるための較正データを取得することが行われている。
【0008】
特に、通常はマンモグラフィ装置として使用している装置に、必要なときだけバイオプシ装置を取り付けて使用するタイプの装置では、マンモグラフィ装置の本体に記憶されている病変の位置の座標系と、バイオプシ装置に記憶されている生検針の穿刺位置の座標系との間にずれが生じる可能性が高い。このため、このようなタイプの装置では、バイオプシ装置を取り付ける度に較正を行う必要がある。
【0009】
この際の較正は、複数のマーカが設けられた特定形状のファントムを用いて行うことができる。まず、圧迫板によりファントムを固定して、生検針を手動でマーカの位置に合わせることで、バイオプシ装置の座標系により示されるマーカの位置座標を取得する。続いて、撮影を妨げない位置に生検針を移動してから、ファントムを2箇所以上の位置で撮影し、マンモグラフィ装置の座標系により示されるマーカの位置座標を取得する。そして、取得した双方の位置座標にずれがあった場合には、バイオプシ装置の座標系を、双方の位置座標が一致するように較正する。
【0010】
以上の較正の際の手動での作業を極力少なくするため、疑似生検針と放射線非透過のマーカをバイオプシ装置に取り付け、2箇所以上の位置で放射線撮影を実施して放射線画像を取得することで、マンモグラフィ装置の3次元位置座標とバイオプシ装置の3次元位置座標を同時に較正することができる。
【0011】
しかしながら、このとき、疑似生検針とマーカとが別体である場合、疑似生検針の針先の位置とマーカの位置とを厳密に対応付けることが難しくなる。この結果、必ずしも高精度にマンモグラフィ装置とバイオプシ装置との3次元座標系を一致させる較正を行うことができるとは限らない、という問題点があった。
【0012】
本開示は、以上の事情を鑑みて成されたものであり、マーカと疑似生検針とを別体とする場合に比較して、より高精度にマンモグラフィ装置とバイオプシ装置との3次元座標系を一致させる較正を行うことができる較正用治具、マンモグラフィ装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本開示の第1の態様の較正用治具は、マンモグラフィ装置と組み合わせて用いられるバイオプシ装置に取り付けられ、マンモグラフィ装置とバイオプシ装置との3次元座標系を一致させる較正を行うための較正用治具であって、バイオプシ装置で実際に用いられる生検針の擬似的な針である疑似生検針と、疑似生検針の針先との位置関係が各々既知とされた複数の部位を有するマーカと、を備える。
【0014】
本開示の第2の態様の較正用治具は、第1の態様の較正用治具において、マーカが、複数の部位の何れか1つを各々個別に有する複数のマーカであるものである。
【0015】
本開示の第3の態様の較正用治具は、第1の態様の較正用治具において、疑似生検針の針先の位置が、マーカの位置とは異なるものである。
【0016】
本開示の第4の態様の較正用治具は、第1の態様の較正用治具において、マーカが、球状、又は、平板状とされているものである。
【0017】
本開示の第5の態様の較正用治具は、第1の態様の較正用治具において、疑似生検針の針先を外部の治具からアクセス可能とする開口部、を更に備えたものである。
【0018】
本開示の第6の態様の較正用治具は、第5の態様の較正用治具において、開口部が、少なくとも2方向からアクセスが可能とされているものである。
【0019】
本開示の第7の態様の較正用治具は、第6の態様の較正用治具において、アクセスの方向が、疑似生検針の針先とマーカの複数の部位とを結ぶ直線の軸線方向とは異なる方向とされているものである。
【0020】
本開示の第8の態様の較正用治具は、第1の態様の較正用治具において、複数の部位が、マンモグラフィ装置の放射線検出面と平行な面上に位置するものである。
【0021】
また、上記目的を達成するために、本開示の第9の態様のマンモグラフィ装置は、本開示の較正用治具を有するバイオプシ装置、放射線照射器、及び放射線照射器によって照射された放射線を用いて放射線画像の撮影を行う放射線検出器が設けられたマンモグラフィ装置であって、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、較正用治具のマーカにおける複数の部位の3次元位置座標を検出し、検出した複数の部位の3次元位置座標を用いて、疑似生検針の針先の3次元位置座標を導出し、導出した針先の3次元位置座標と、バイオプシ装置が有する疑似生検針の針先の3次元位置座標とを一致させる較正を行う。
【0022】
本開示の第10の態様のマンモグラフィ装置は、第9の態様のマンモグラフィ装置において、プロセッサが、疑似生検針と複数の部位との位置関係の製造上のずれを補正するものである。
【0023】
本開示の第11の態様のマンモグラフィ装置は、第9の態様のマンモグラフィ装置において、プロセッサが、複数の部位の3次元位置座標を検出する場合に、較正用治具のマーカを放射線検出器と平行に配置するものである。
【0024】
本開示の第12の態様のマンモグラフィ装置は、第9の態様のマンモグラフィ装置において、較正用治具が、バイオプシ装置によって3次元空間を移動するものである。
【0025】
本開示の第13の態様のマンモグラフィ装置は、第9の態様のマンモグラフィ装置において、較正用治具が、縦穿刺用、及び、横穿刺用の少なくとも一方とされているものである。
【0026】
本開示の第14の態様のマンモグラフィ装置は、第9の態様のマンモグラフィ装置において、プロセッサが、放射線照射器による放射線の照射方向が異なる状態で放射線検出器によって得られた複数の放射線画像を用いて、複数の部位の3次元位置座標を検出するものである。
【0027】
本開示の第15の態様のマンモグラフィ装置は、第14の態様のマンモグラフィ装置において、プロセッサが、較正用治具を3次元空間で移動させることにより、複数の位置で、複数の部位の3次元位置座標を検出し、検出した複数の部位の3次元位置座標を用いて、複数の位置における針先の3次元位置座標を導出するものである。
【0028】
本開示の第16の態様のマンモグラフィ装置は、第15の態様のマンモグラフィ装置において、プロセッサが、導出した複数の位置における針先の3次元位置座標を用いて、較正を行うものである。
【0029】
また、上記目的を達成するために、本開示の第17の態様のプログラムは、本開示の較正用治具を有するバイオプシ装置、放射線照射器、及び放射線照射器によって照射された放射線を用いて放射線画像の撮影を行う放射線検出器が設けられたマンモグラフィ装置において実行されるプログラムであって、較正用治具のマーカにおける複数の部位の3次元位置座標を検出し、検出した複数の部位の3次元位置座標を用いて、疑似生検針の針先の3次元位置座標を導出し、導出した針先の3次元位置座標と、バイオプシ装置が有する疑似生検針の針先の3次元位置座標とを一致させる較正を行う、処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0030】
本開示によれば、マーカと疑似生検針とを別体とする場合に比較して、より高精度にマンモグラフィ装置とバイオプシ装置との3次元座標系を一致させる較正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施形態に係るマンモグラフィ装置の一例を示す概略構成図である。
図2】実施形態に係るマンモグラフィ装置における圧迫板を上方から見た概略平面図である。
図3】実施形態に係るマンモグラフィ装置における放射線照射器をアームに沿った方向から左右に傾けた場合の様子の一例を示す図である。
図4】実施形態に係るマンモグラフィ装置における放射線照射器の位置と2枚のスカウト画像の関係の一例を示す図である。
図5】実施形態に係るマンモグラフィ装置の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
図6】実施形態に係る較正用治具(縦穿刺用)の一例を示す概略構成図である。
図7】実施形態に係る較正用治具(横穿刺用)の一例を示す概略構成図である。
図8】実施形態に係る較正用治具(縦穿刺用)の他の一例を示す概略構成図である。
図9】実施形態に係る較正用治具(横穿刺用)の他の一例を示す概略構成図である。
図10】実施形態に係るマンモグラフィ装置に設けられた制御部の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
図11】実施形態に係る誤差情報データベースの構成の一例を示す模式図である。
図12】実施形態に係る較正情報データベースの構成の一例を示す模式図である。
図13】実施形態に係る較正処理の一例を示すフローチャートである。
図14】実施形態に係る較正処理において得られる、較正用治具として縦穿刺用のものを用いた場合の放射線画像の一例を示す図である。
図15】実施形態に係る較正処理において得られる、較正用治具として横穿刺用のものを用いた場合の放射線画像の一例を示す図である。
図16】実施形態に係る較正用治具(縦穿刺用)の他の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して、本開示の技術を実施するための形態例を詳細に説明する。まず、図1図4を用いて、本実施形態のマンモグラフィ装置2について詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るマンモグラフィ装置2の一例を示す概略構成図である。
【0033】
一例として図1に示すように、本実施形態に係るマンモグラフィ装置2は、内部に放射線照射器17を収納する放射線収納部16と撮影台14とが対向するようにアーム13に連結される。撮影台14の内部に、放射線検出器15などの画像記録媒体がカセッテなど記録媒体保持部に収容された状態でセットされる。アーム13はC軸12で基台11に取り付けられる。また、アーム13の回転中心が放射線検出器15のX方向(図2参照)の中心となるように放射線検出器15の中心位置に回転の中心となるC軸12を取り付けて、アーム13を基台11に設ける。
【0034】
基台11には、放射線照射器17による放射線の照射指示の受け付け、オペレータが撮影台14の高さ(つまり、アーム13の高さ)及び撮影台14の傾き(つまり、アーム13の傾き)を調整するための操作部28と、操作部28からの入力に従ってアーム13を上下移動及び回転移動させるアーム制御部31と、が設けられる。
【0035】
アーム制御部31は、基台11に取り付けられたC軸12を回転させることでアーム13の傾きを調整し、アーム13を上下移動させることで撮影台14の高さを調整する。
【0036】
アーム13の中央部には、撮影台14の上方に配置されて乳房を押さえつけて圧迫する圧迫板18と、圧迫板18を支持する支持部20と、支持部20をアーム13に沿って上下方向に移動させる移動機構19が設けられる。圧迫板18の位置及び圧迫圧は、圧迫板コントローラ34により制御される。
【0037】
図2は、圧迫板18を上方から見た図である。図2に示すように、圧迫板18は、撮影台14と圧迫板18により乳房を固定した状態で生検(バイオプシ)を行えるように約10×10cm四方の大きさの開口部25を備えている。
【0038】
一例として図1に示す、本開示のバイオプシ装置としてのバイオプシユニット26は、乳房に穿刺される生検針21と生検針ユニット22とを有し、生検針ユニット22をX、Y及びZ方向に移動させる移動機構24をさらに備える。生検針ユニット22の生検針21の先端の位置は、移動機構24が備える針位置コントローラ35により制御される。なお、図2における横方向がX方向、縦方向がY方向、XY平面に垂直な方向がZ方向である。
【0039】
なお、マンモグラフィ装置2では、穿刺を行う前に生検する乳房のターゲットとなる領域を含むように2方向から撮影したスカウト画像を取得する。スカウト画像は、病理検査する位置を確認するために異なる視点から見た画像である。例えば、図3に示すように、放射線照射器17をアーム13に沿った方向から左右に傾けた方向(図3に示す+θと-θの方向にそれぞれ例えば15°傾ける)から撮影して得られた2枚の部分画像をスカウト画像とする。
【0040】
図4は、放射線照射器17の位置と2枚のスカウト画像との関係の一例を示す図である。位置P1に放射線照射器17を置いて撮影されて得られたスカウト画像Img1には、ターゲットTの位置が左寄りに現れ、位置P2に放射線照射器17を置いて撮影した時に得られるスカウト画像Img2には、ターゲットTの位置が右寄りに現れる。2つのスカウト画像Img1及びImg2のターゲットTのズレから、圧迫板18の底面(乳房を押圧する側)からターゲットTまでの距離zとXY平面上の位置を求めてターゲットTの3次元位置情報を得ることができる。
【0041】
バイオプシユニット26の針位置コントローラ35は、ターゲットTの位置情報を受け取ると、生検針21の先端の位置をターゲットTの位置まで移動させ、生検針21による乳房の穿刺を行う。
【0042】
次に、図5を参照して、本実施形態に係るマンモグラフィ装置2の電気的な構成について説明する。図5は、本実施形態に係るマンモグラフィ装置の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
【0043】
本実施形態に係るマンモグラフィ装置2は、上述した放射線検出器15、放射線照射器17、及びバイオプシユニット26に加えて、操作パネル29及び制御部50を含んで構成されている。
【0044】
制御部50は、マンモグラフィ装置2全体の動作を制御する機能を有するものであり、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)52、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含むメモリ54、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等から成る不揮発性の記憶部56を備えて構成されている。また、制御部50は、放射線照射器17、放射線検出器15、バイオプシユニット26、及び操作パネル29と接続されている。
【0045】
制御部50は、操作パネル29(曝射スイッチ)によりオペレータから照射指示を受け付けると、指定された曝射条件に基づいて設定された撮影メニューに従って、放射線照射器17に設けられた放射線源30から、撮影台14の上面に対して放射線を照射させる。
【0046】
放射線検出器15は、画像情報を担持する放射線の照射を受けて画像情報を記録し、記録した画像情報を出力するものであり、例えば、放射線感応層を配置し、放射線をデジタルデータに変換して出力するFPD(Flat Panel Detector)として構成されている。放射線検出器15は、放射線が照射されると、放射線画像を示す画像情報を制御部50へ出力する。本実施形態では、放射線検出器15によって、乳房Mを透過した放射線の照射を受けて放射線画像を示す画像情報が得られる。
【0047】
操作パネル29は、曝射条件や姿勢情報等の各種の操作情報、各種の操作指示等が設定される機能を有するものである。
【0048】
操作パネル29で設定される曝射条件には、管電圧、管電流、照射時間、及び姿勢情報等の情報が含まれている。操作パネル29で指定される姿勢情報には、乳房Mに対して複数の方向から撮影を行う場合の撮影位置(撮影姿勢、角度)を表す情報等が含まれている。
【0049】
なお、これらの曝射条件、姿勢情報等の各種の操作情報及び各種の操作指示等は、操作パネル29によりオペレータが設定するようにしてもよいし、他の制御装置(RIS:Radiology Information System、放射線情報システム、放射線を用いた、診療、診断等の情報の管理を行うシステム)等から得るようにしてもよいし、予め記憶部に記憶させておいてもよい。
【0050】
操作パネル29から各種情報が設定されると、制御部50は、設定された各種情報に基づいて設定された撮影メニューに従って、放射線照射器17から放射線を被験者の撮影部位(乳房M)に照射させて放射線画像の撮影を実行する。制御部50は、複数の方向から撮影を行うトモシンセシス撮影を行う場合には、放射線照射器17が撮影台14の上面に対して上方に位置する状態にアーム13の姿勢を調整する。そして、制御部50は、図3に示すものと略同様の状態で、アーム13を回動させて放射線照射器17を円弧状に予め定められた初期角度から予め定められた刻み幅の角度ずつ移動させて撮影条件に基づいて放射線照射器17に設けられた放射線源30から撮影台14の上面に対して異なる角度で個別に放射線を照射させる。これにより複数枚の放射線画像が得られる。
【0051】
バイオプシユニット26に設けられた針位置コントローラ35は、制御部50の指示に応じて、バイオプシユニット26を駆動して、生検針21を所定の位置に移動させると共に、生検針21を挿入角度に傾けた状態で保持する。
【0052】
また、本実施形態に係る制御部50に備えられた記憶媒体としての記憶部56には、較正処理プログラム56Aが記憶される。CPU52は、記憶部56から較正処理プログラム56Aを読み出してからメモリ54に展開し、展開した較正処理プログラム56Aを実行する。また、記憶部56には、誤差情報データベース56B及び較正情報データベース56Cが記憶される。これらのデータベースについては、詳細を後述する。
【0053】
一方、本実施形態に係るマンモグラフィ装置2には、生検針ユニット22に代えてバイオプシユニット26に設けられ、マンモグラフィ装置2とバイオプシユニット26との3次元座標系を一致させる較正を行うための較正用治具が用意されている。以下、図6図7を参照して、本実施形態に係る較正用治具70A及び較正用治具70Bの構成について説明する。図6は、本実施形態に係る較正用治具(縦穿刺用)の一例を示す概略構成図である。また、図7は、本実施形態に係る較正用治具(横穿刺用)の一例を示す概略構成図である。なお、以下では、較正用治具70A及び較正用治具70B等の較正用治具を区別することなく説明する場合は、「較正用治具70」と総称する。
【0054】
まず、図6を参照して、縦穿刺用の較正用治具70Aの構成を説明する。一例として図6に示すように、本実施形態に係る縦穿刺用の較正用治具70Aは、略直方体状の治具本体71を備えており、治具本体71の底面には、当該底面の4つの角部に対して各々略直方体状の突出部72が設けられている。
【0055】
また、4つの突出部72の各々の底面の中央部には窪み74が設けられており、窪み74の各々にはマーカ76が埋設されている。本実施形態に係るマーカ76は、放射線が非透過とされており、かつ、比較的小さな球状(本実施形態では、直径0.5mmの球体)とされている。
【0056】
一方、治具本体71の底面で、かつ、中央部には、疑似生検針90が取り付けられる取付孔78が設けられている。図6に示すように、本実施形態に係る疑似生検針90は、一端部が円錐状とされた円柱状とされており、他端部側が取付孔78に挿入された状態で留め具80によって治具本体71に固定される。この疑似生検針90は、生検針21を擬似的に模したものであり、上記円錐状とされた部分の先端部が生検針21の針先に対応している。このため、以下では、当該先端部を疑似生検針90の針先とも称する。
【0057】
本実施形態に係る較正用治具70Aでは、対向する一対のマーカ76同士を直線で結んだ場合の2本の直線の交点の位置が疑似生検針90の針先の位置に一致するように、疑似生検針90及び4つのマーカ76が位置決めされている。
【0058】
ところで、本実施形態に係るマンモグラフィ装置2には、必要に応じて疑似生検針90の針先の3次元位置座標を高精度に認識するために、先端部の位置が疑似生検針90の針先の位置に一致され、かつ、他端部がマンモグラフィ装置2に固定された、図示しない座標認識用治具が設けられている。
【0059】
これに対し、図6に示すように、本実施形態に係る較正用治具70Aは、疑似生検針90の針先が4つの突出部72で囲まれているため、疑似生検針90の針先を上述した座標認識用治具からアクセス可能とする4つの開口部82が形成されている。即ち、本実施形態に係る較正用治具70Aでは、開口部82が、疑似生検針90を中心として4方向に設けられている。このため、上記座標認識用治具が、当該4方向から疑似生検針90の針先にアクセス可能とされている。また、本実施形態に係る較正用治具70Aでは、上記アクセスの方向が、疑似生検針90の針先と、マーカ76における本開示の技術の複数の部位(本実施形態では、各マーカ76の中心部)とを結ぶ直線の軸線方向とは異なる方向とされているため、障害物がない状態で、座標認識用治具を疑似生検針90の針先までアクセスさせることができる。
【0060】
次に、図7を参照して、横穿刺用の較正用治具70Bの構成を説明する。なお、図7では、図6に示した縦穿刺用の較正用治具70Aと同様の役割を有する部分については図6と同一の参照符号を付する。
【0061】
一例として図7に示すように、本実施形態に係る横穿刺用の較正用治具70Bは、略直方体状の治具本体71を備えており、治具本体71の側面には、当該側面の上面側の一辺部に対して略直方体状の突出部72が設けられている。
【0062】
また、突出部72の治具本体71とは反対側の端部で、かつ、中央部には窪み74が設けられており、窪み74には、放射線が不透過とされ、かつ、球状とされた、較正用治具70Aと同様のマーカ76が埋設されている。
【0063】
また、治具本体71の上記側面の下面側の一辺部近傍で、かつ、中央部には窪み74が設けられており、窪み74にも較正用治具70Aと同様のマーカ76が埋設されている。
【0064】
一方、治具本体71の突出部72側の側面で、かつ、中央部には、疑似生検針90が取り付けられる取付孔78が設けられている。図7に示すように、本実施形態に係る疑似生検針90は、針先とは反対側の端部側が取付孔78に挿入された状態で留め具80によって治具本体71に固定される。
【0065】
本実施形態に係る較正用治具70Bでは、一対のマーカ76同士を直線で結んだ場合の当該直線の中心の位置が疑似生検針90の針先の位置に一致するように、疑似生検針90及び2つのマーカ76が位置決めされている。
【0066】
図7に示すように、本実施形態に係る較正用治具70Bは、疑似生検針90の針先が突出部72の先端部よりも治具本体71側に位置しているため、疑似生検針90の針先を上述した座標認識用治具からアクセス可能とする2つの開口部82が形成されている。従って、本実施形態に係る較正用治具70Bでは、開口部82が、疑似生検針90を中心として2方向に設けられている。このため、上記座標認識用治具が、当該2方向から疑似生検針90にアクセス可能とされている。また、本実施形態に係る較正用治具70Bでは、上記アクセスの方向が、疑似生検針90の針先とマーカ76の上記複数の部位とを結ぶ直線の軸線方向とは異なる方向とされているため、障害物がない状態で、座標認識用治具を疑似生検針90の針先までアクセスさせることができる。
【0067】
なお、較正用治具70で用いられているマーカ76が球状とされているのは次の理由による。即ち、本実施形態に係るマンモグラフィ装置2では、後述するようにトモシンセシス撮影によって得られた放射線画像からマーカ76の3次元座標位置を検出している。一方、トモシンセシス撮影においては、焦点位置が最も合った断層を求める必要があり、球状のものをマーカ76として適用する方が、この観点で有利であるためである。
【0068】
このように、本実施形態では、較正用治具70として、一例として図6及び図7に各々示した縦穿刺用の較正用治具70A及び横穿刺用の較正用治具70Bを適用しているが、較正用治具70の構成は図6及び図7に示したものに限定されるものではない。
【0069】
図8には、本実施形態に係る縦穿刺用の較正用治具70Cの他の一例を示す概略構成図が示されている。なお、図8では、較正用治具70Cの底面図のみが示されているが、正面図は、図6に示した較正用治具70Aと略同様のものとなるため、図示を省略する。
【0070】
図8に示すように、この較正用治具70Cは、治具本体71が円柱状とされており、治具本体71の底面の円周部近傍で、かつ、等間隔に、各々円柱状とされた突出部72が設けられている。なお、突出部72に対して、放射線が非透過とされ、かつ、球状とされたマーカ76が窪み74に埋設されている点は、較正用治具70Aと同様である。
【0071】
一方、図9には、本実施形態に係る横穿刺用の較正用治具70Dの他の一例を示す概略構成図が示されている。なお、図9では、較正用治具70Dの側面図のみが示されているが、正面図は、図7に示した較正用治具70Bと同様のものとなるため、図示を省略する。
【0072】
図9に示すように、この較正用治具70Dは、突出部72の治具本体71とは反対側の端部で、かつ、両端部近傍の各々に、放射線が非透過とされ、かつ、球状とされたマーカ76が窪み74に埋設されている。従って、この較正用治具70Dには、3つのマーカ76が設けられている。
【0073】
これらの較正用治具70C及び較正用治具70Dについても、較正用治具70A及び較正用治具70Bと同様に、マンモグラフィ装置2とバイオプシユニット26との3次元座標系を一致させる較正に好適に用いることができる。
【0074】
次に、図10を参照して、本実施形態に係る制御部50の機能的な構成について説明する。図10は、本実施形態に係るマンモグラフィ装置2に設けられた制御部50の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
【0075】
図10に示すように、制御部50は、検出部52A、導出部52B、較正部52C、及び補正部52Dを含む。CPU52が較正処理プログラム56Aを実行することで、検出部52A、導出部52B、較正部52C、及び補正部52Dとして機能する。
【0076】
本実施形態に係る検出部52Aは、較正用治具70のマーカ76における上記複数の部位の3次元位置座標を検出する。また、本実施形態に係る導出部52Bは、検出部52Aによって検出された複数の部位の3次元位置座標を用いて、疑似生検針90の針先の3次元位置座標を導出する。そして、本実施形態に係る較正部52Cは、導出部52Bによって導出された疑似生検針90の針先の3次元位置座標と、バイオプシユニット26が有する疑似生検針90の針先の3次元位置座標とを一致させる較正を行う。更に、本実施形態に係る補正部52Dは、疑似生検針90と上記複数の部位との位置関係の製造上のずれを補正する。
【0077】
ここで、本実施形態に係る検出部52Aは、上記複数の部位の3次元位置座標を検出する場合に、較正用治具70のマーカ76を放射線検出器15と平行に配置する。また、本実施形態に係る較正用治具70は、バイオプシユニット26によって3次元空間を移動するものとされている。
【0078】
また、本実施形態に係る検出部52Aは、放射線照射器17による放射線の照射方向が異なる状態で放射線検出器15によって得られた複数の放射線画像を用いて、上記複数の部位の3次元位置座標を検出する。なお、本実施形態では、上記複数の放射線画像を、トモシンセシス撮影によって得るものとしているが、この形態に限るものではない。例えば、上述したスカウト画像の取得時と同様の動作によって上記複数の放射線画像を得る形態としてもよい。
【0079】
次に、図11を参照して、本実施形態に係る誤差情報データベース56Bについて説明する。図11は、本実施形態に係る誤差情報データベース56Bの構成の一例を示す模式図である。
【0080】
本実施形態に係る誤差情報データベース56Bは、上述した補正部52Dにより、疑似生検針90と上記複数の部位との位置関係の製造上のずれを補正するための情報が登録されるデータベースである。図11に示すように、本実施形態に係る誤差情報データベース56Bは、用途、治具ID(Identification)、及び誤差情報の各情報が記憶される。
【0081】
上記用途は、縦穿刺用及び横穿刺用の各用途の別を示す情報であり、上記治具IDは、バイオプシユニット26が対応している較正用治具70を個別に識別するために、較正用治具70の各々毎に予め割り振られた情報である。また、上記誤差情報は、対応する較正用治具70に設けられた複数のマーカ76の各々毎の、3次元空間での疑似生検針90と上記部位との位置関係の製造上のずれ量を示す情報である。
【0082】
本実施形態では、較正用治具70の検査者等が較正用治具70の製造後に専用の測定器具を用いて実測することで誤差情報を取得する。そして、本実施形態に係る誤差情報データベース56Bは、取得した誤差情報をマンモグラフィ装置2の制御部50における記憶部56に登録することで構築している。但し、この形態に限るものではなく、例えば、人手を介在させることなく、自動的に誤差情報を取得して登録する形態としてもよい。
【0083】
次に、図12を参照して、本実施形態に係る較正情報データベース56Cについて説明する。図12は、本実施形態に係る較正情報データベース56Cの構成の一例を示す模式図である。
【0084】
図12に示すように、本実施形態に係る較正情報データベース56Cは、用途、治具ID、及び較正情報の各情報が記憶される。
【0085】
上記用途及び上記治具IDは、各々、誤差情報データベース56Bの用途及び治具IDと同一の情報である。そして、上記較正情報は、対応する較正用治具70の各々毎に、後述する較正処理(図13も参照。)によって登録される情報である。
【0086】
次に、図13を参照して、本実施形態に係るマンモグラフィ装置2の作用を説明する。マンモグラフィ装置2の制御部50におけるCPU52が較正処理プログラム56Aを実行することによって、図13に示す較正処理が実行される。図13に示す較正処理は、例えば、マンモグラフィ装置2にバイオプシユニット26が取り付けられた場合に実行される。なお、錯綜を回避するために、ここでは、誤差情報データベース56Bが構築済みであり、かつ、何れかの較正用治具70がバイオプシユニット26に装着済みである場合について説明する。
【0087】
図13のステップ100で、CPU52は、バイオプシユニット26に装着されている較正用治具70を特定する。なお、本実施形態では、較正用治具70の特定を、バイオプシユニット26の針位置コントローラ35から、自身に装着されている較正用治具70に割り振られた治具IDを受信することで特定しているが、この形態に限るものではない。例えば、マンモグラフィ装置2のオペレータにより、操作パネル29等を介してバイオプシユニット26に装着されている較正用治具70の治具IDを入力させることで、当該較正用治具70を特定する形態としてもよい。
【0088】
ステップ102で、CPU52は、特定した較正用治具70(以下、「対象治具」という。)の治具IDに対応する誤差情報を誤差情報データベース56Bから読み出す。ステップ104で、CPU52は、バイオプシユニット26の針位置コントローラ35に対して指示情報を送信することで、対象治具に設けられた複数のマーカ76の中心部の位置が放射線検出器15の撮影面に対して平行となるように制御する。
【0089】
ステップ106で、CPU52は、上述したトモシンセシス撮影を行い、対象治具の断層画像を作成する。ステップ108で、CPU52は、作成した断層画像を用いて、対象治具に設けられた複数のマーカ76の中心部の3次元座標位置を特定する。なお、本実施形態に係るマーカ76は球体であるため、断層画像において径が徐々に大きくなり、かつ、当該径が最大となった位置を特定することで、各マーカ76の中心の3次元座標位置を特定することができる。
【0090】
ステップ110で、CPU52は、以上の処理によって得られたマーカ76の各々の3次元座標位置を用いて、対象治具に設けられた疑似生検針90の針先の位置を以下に示すように導出する。
【0091】
例えば、対象治具が一例として図6に示した縦穿刺用のものである場合、トモシンセシス撮影によって得られた断層画像における4つのマーカ76の中心が映っている放射線画像は、一例として図14に示すものとなる。
【0092】
この場合、この放射線画像における4つのマーカ76の各々の放射線画像(以下、「マーカ画像」という。)m1~m4は、一例として図14に示すように、4つの円として映り込んでいる。
【0093】
上述したように、本実施形態に係る較正用治具70Aでは、対向する一対のマーカ76同士を直線で結んだ場合の2本の直線の交点の位置が疑似生検針90の針先の位置に一致するように、疑似生検針90及び4つのマーカ76が位置決めされている。このため、CPU52は、一例として図14に示すように、マーカ画像m1~m4における、対向する位置に位置する一対のマーカ画像を結んだ2本の直線の交点ISにおける3次元座標位置を疑似生検針90の針先の位置として導出する。この際、CPU52は、読み出した誤差情報により、マーカ画像m1~m4の各々の位置を補正する。この補正により、マーカ76の各々の製造上の誤差を補正することができる。
【0094】
一方、対象治具が一例として図7に示した横穿刺用のものである場合、トモシンセシス撮影によって得られた断層画像における2つのマーカ76の中心が映っている放射線画像は、一例として図15に示すものとなる。
【0095】
この場合、この放射線画像における2つのマーカ76の各々の放射線画像、即ちマーカ画像m1~m2は、一例として図15に示すように、2つの円として映り込んでいる。
【0096】
上述したように、本実施形態に係る較正用治具70Bでは、一対のマーカ76同士を直線で結んだ場合の当該直線の中心の位置が疑似生検針90の針先の位置に一致するように、疑似生検針90及び2つのマーカ76が位置決めされている。このため、CPU52は、一例として図15に示すように、マーカ画像m1~m2の一対のマーカ画像を結んだ直線の中央の位置CEの3次元座標位置を疑似生検針90の針先の位置として導出する。この際、CPU52は、読み出した誤差情報により、マーカ画像m1~m2の各々の位置を補正する。この補正により、マーカ76の各々の製造上の誤差を補正することができることは、縦穿刺用の較正用治具70Aと同様である。
【0097】
ステップ112で、CPU52は、この時点においてバイオプシユニット26が保持している、対象治具に設けられた疑似生検針90の針先の3次元座標位置を示す位置情報を、バイオプシユニット26の針位置コントローラ35から受信することで取得する。
【0098】
ステップ114で、CPU52は、導出したマンモグラフィ装置2における対象治具の疑似生検針90の針先の3次元座標位置と、取得したバイオプシユニット26における対象治具の疑似生検針90の針先の3次元座標位置と、の対応する座標軸同士の差分を算出する。これにより、対象治具の較正情報を導出することができる。
【0099】
ステップ116で、CPU52は、導出した較正情報を、対象治具に対応する較正情報として較正情報データベース56Cに記憶(登録)し、その後に本較正処理を終了する。
【0100】
その後、マンモグラフィ装置2では、バイオプシユニット26に取り付けられた較正用治具70に代えて、生検針21が設けられた生検針ユニット22を装着して実際に検体を採取する場合等には、較正情報データベース56Cの対応する較正情報を用いて、放射線画像から得られた3次元座標位置をバイオプシユニット26における3次元座標位置に変換して、バイオプシユニット26の針位置コントローラ35による生検針21の位置の制御に用いる。
【0101】
以上説明したように、本実施形態に係る較正用治具によれば、マンモグラフィ装置と組み合わせて用いられるバイオプシ装置に設けられ、マンモグラフィ装置とバイオプシ装置との3次元座標系を一致させる較正を行うための較正用治具であって、バイオプシ装置で実際に用いられる生検針の擬似的な針である疑似生検針と、疑似生検針の針先との位置関係が各々既知とされた複数の部位を有するマーカと、を備えている。従って、マーカと疑似生検針とを別体とする場合に比較して、より高精度にマンモグラフィ装置とバイオプシ装置との3次元座標系を一致させる較正を行うことができる。
【0102】
また、本実施形態に係る較正用治具によれば、マーカを、上記複数の部位の何れか1つを各々個別に有する複数のマーカとしている。従って、上記複数の部位を分散して配置することができる結果、1つのマーカが上記複数の部位を有する場合に比較して、マーカのサイズを、より小さくすることができる。
【0103】
また、本実施形態に係る較正用治具によれば、疑似生検針の針先の位置を、マーカの位置とは異なる位置としている。従って、疑似生検針の針先の位置とマーカの位置とを一致させる場合に比較して、より高精度に、疑似生検針の針先の位置を検出することができる。
【0104】
また、本実施形態に係る較正用治具によれば、マーカを球状としている。従って、マーカを平板状とする場合に比較して、より高精度に、マーカの位置を検出することができる。
【0105】
また、本実施形態に係る較正用治具によれば、疑似生検針の針先を外部の治具からアクセス可能とする開口部を備えている。従って、当該開口部を備えない場合に比較して、より容易に、当該外部の治具によるアクセスを行うことができる。
【0106】
また、本実施形態に係る較正用治具によれば、上記開口部を、少なくとも2方向から上記アクセスが可能とされたものとしている。従って、上記開口部を1方向のみからアクセス可能とする場合に比較して、より容易に、上記外部の治具によるアクセスを行うことができる。
【0107】
更に、本実施形態に係る較正用治具によれば、上記アクセスの方向を、疑似生検針の針先とマーカの上記複数の部位とを結ぶ直線の軸線方向とは異なる方向としている。従って、上記アクセスの方向を、疑似生検針の針先とマーカの上記複数の部位とを結ぶ直線の軸線方向と同一の方向とする場合に比較して、より容易に、上記外部の治具によるアクセスを行うことができる。
【0108】
一方、本実施形態に係るマンモグラフィ装置によれば、較正用治具のマーカにおける上記複数の部位の3次元位置座標を検出し、検出した上記複数の部位の3次元位置座標を用いて、疑似生検針の針先の3次元位置座標を導出し、導出した針先の3次元位置座標と、バイオプシ装置が有する疑似生検針の針先の3次元位置座標と、を一致させる較正を行っている。従って、較正用治具と同様に、より高精度にマンモグラフィ装置とバイオプシ装置との3次元座標系を一致させる較正を行うことができる。
【0109】
また、本実施形態に係るマンモグラフィ装置によれば、疑似生検針と上記複数の部位との位置関係の製造上のずれを補正している。従って、当該補正を行わない場合に比較して、より高精度に較正を行うことができる。
【0110】
また、本実施形態に係るマンモグラフィ装置によれば、上記複数の部位の3次元位置座標を検出する場合に、較正用治具のマーカを放射線検出器と平行に配置している。従って、この場合に得られる断層画像における単一の画像に各マーカの放射線画像を含めることができる結果、マーカを放射線検出器と平行に配置しない場合に比較して、より効率的に上記複数の部位の3次元位置座標を検出することができる。
【0111】
また、本実施形態に係るマンモグラフィ装置によれば、較正用治具を、バイオプシ装置によって3次元空間を移動させるものとしている。従って、較正用治具を手動で移動させる場合に比較して、より高精度に較正を行うことができる。
【0112】
また、本実施形態に係るマンモグラフィ装置によれば、較正用治具として、縦穿刺用、及び、横穿刺用の双方を適用している。従って、縦穿刺及び横穿刺の双方の穿刺に対応することができる。
【0113】
更に、本実施形態に係るマンモグラフィ装置によれば、放射線照射器による放射線の照射方向が異なる状態で放射線検出器によって得られた複数の放射線画像を用いて、複数の部位の3次元位置座標を検出している。従って、単一の放射線画像のみによって当該3次元位置座標を検出する場合に比較して、より高精度に当該3次元位置座標を検出することができる。
【0114】
なお、上記実施形態では、本開示の技術のプロセッサとして、マンモグラフィ装置2の制御部50に設けられたCPU52を適用した場合について説明したが、これに限定されない。例えば、バイオプシユニット26の針位置コントローラ35を、本開示の技術のプロセッサとして適用する形態としてもよい。
【0115】
また、上記実施形態では、較正処理を、マンモグラフィ装置2にバイオプシユニット26が取り付けられた場合に実行する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、マンモグラフィ装置2のオペレータにより、操作パネル29等を介して較正処理の実行指示が入力された場合に較正処理を実行する形態としてもよい。
【0116】
また、上記実施形態では、較正用治具に設けるマーカとして球状のマーカを適用した場合について説明したが、これに限定されない。例えば、平板状のマーカを較正用治具に設けるマーカとして適用する形態としてもよい。図16には、この形態に係る縦穿刺用の較正用治具70Eの一例を示す概略構成図が示されている。
【0117】
一例として図16に示すように、この較正用治具70Eは、略直方体状の治具本体71を備えており、治具本体71の底面には、平板状とされたマーカ76が設けられている。この形態に係るマーカ76もまた、放射線が非透過とされている。
【0118】
治具本体71の平面視の中央部には、疑似生検針90が取り付けられる取付孔78が設けられている。図16に示すように、この形態に係る疑似生検針90もまた、一端部が円錐状とされた円柱状とされており、他端部側が取付孔78に挿入された状態で治具本体71に固定される。
【0119】
また、図16に示すように、治具本体71には、取付孔78に取り付けられた疑似生検針90の先端部が露出されるように、治具本体71の底面から正面にかけて断面視U字状の開口部82が設けられている。このため、上述した座標認識用治具が、開口部82を介して疑似生検針90の針先にアクセス可能とされている。
【0120】
一方、図16に示すように、この形態に係るマーカ76は、平面視で開口部82の外周部に位置する角部が当該外周部に沿った形状で切り欠かれた長方形とされており、当該切り欠かれた辺に各々対応する辺76X及び辺76Yの各々の延長線の交点が、疑似生検針90の針先の位置と一致するように設けられている。従って、辺76X及び辺76Yが、上記複数の部位に相当する。
【0121】
また、この較正用治具70Eでは、上記アクセスの方向にはマーカ76が存在しないため、障害物がない状態で、座標認識用治具を疑似生検針90の針先までアクセスさせることができる。
【0122】
また、較正用治具70として、マーカ76を比較的大きな球状(例えば、直径5mm以上の球状)で、かつ、単一のものとして、上記複数の部位として当該単一のマーカ76の外周面における、互いに対向する2点を適用する形態としてもよい。要は、本開示の技術における複数の部位を形成することができるものであれば、単一のものでも、複数のものでも、本開示のマーカとして適用し得る。
【0123】
また、上記実施形態では、単一の位置で上記複数の部位の3次元位置座標を検出し、検出した単一の位置での上記複数の部位の3次元位置座標を用いて、疑似生検針90の針先の3次元位置座標を導出する場合について説明したが、これに限定されない。
【0124】
例えば、較正用治具を3次元空間で移動させることにより、複数の位置で、上記複数の部位の3次元位置座標を検出し、検出した当該複数の部位の3次元位置座標を用いて、上記複数の位置における針先の3次元位置座標を導出する形態としてもよい。また、この形態において、導出した上記複数の位置における疑似生検針の針先の3次元位置座標を用いて上述した較正を行う形態としてもよい。この形態によれば、較正情報が複数得られるため、当該複数の較正情報の平均値や、中央値等を較正情報として適用することで、より高精度に較正を行うことができる。
【0125】
また、上記実施形態では、較正用治具70に対し、疑似生検針90の針先を中心として点対称の位置に、対となるマーカ76、即ち、上記複数の部位を設けた場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0126】
対となるマーカ76は、必ずしも疑似生検針90の針先を中心とした点対象の位置に設ける必要はなく、疑似生検針90の針先の位置との相対的な位置関係がわかる位置であれば、如何なる位置もマーカ76の配置位置として適用し得る。この構成であれば、マーカ76の位置が検出できれば、当該位置から疑似生検針90の針先の位置も特定することができるためである。
【0127】
なお、上記実施形態において、例えば、検出部52A、導出部52B、較正部52C、及び補正部52Dといった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0128】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0129】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0130】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0131】
また、上記実施形態では、マンモグラフィ装置2の記憶部56に較正処理プログラム56Aが予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。較正処理プログラム56Aは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、較正処理プログラム56Aは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0132】
以上の記載から、以下の付記に記載の発明を把握することができる。
【0133】
[付記1]
マンモグラフィ装置と組み合わせて用いられるバイオプシ装置に取り付けられ、前記マンモグラフィ装置と前記バイオプシ装置との3次元座標系を一致させる較正を行うための較正用治具であって、
前記バイオプシ装置で実際に用いられる生検針の擬似的な針である疑似生検針と、
前記疑似生検針の針先との位置関係が各々既知とされた複数の部位を有するマーカと、
を備えた較正用治具。
[付記2]
前記マーカは、前記複数の部位の何れか1つを各々個別に有する複数のマーカである、
付記1に記載の較正用治具。
[付記3]
前記疑似生検針の針先の位置は、前記マーカの位置とは異なる、
付記1又は付記2に記載の較正用治具。
[付記4]
前記マーカは、球状、又は、平板状とされている、
付記1から付記3の何れか1つに記載の較正用治具。
[付記5]
前記疑似生検針の針先を外部の治具からアクセス可能とする開口部、
を更に備えた付記1から付記4の何れか1つに記載の較正用治具。
[付記6]
前記開口部は、少なくとも2方向から前記アクセスが可能とされている、
付記5に記載の較正用治具。
[付記7]
前記アクセスの方向は、前記疑似生検針の針先と前記マーカの前記複数の部位とを結ぶ直線の軸線方向とは異なる方向とされている、
付記6に記載の較正用治具。
[付記8]
前記複数の部位は、前記マンモグラフィ装置の放射線検出面と平行な面上に位置する、
付記1から付記7の何れか1つに記載の較正用治具。
[付記9]
付記1から付記8の何れか1つに記載の較正用治具を有するバイオプシ装置、放射線照射器、及び前記放射線照射器によって照射された放射線を用いて放射線画像の撮影を行う放射線検出器が設けられたマンモグラフィ装置であって、
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
前記較正用治具の前記マーカにおける前記複数の部位の3次元位置座標を検出し、
検出した前記複数の部位の3次元位置座標を用いて、前記疑似生検針の針先の3次元位置座標を導出し、
導出した前記針先の3次元位置座標と、前記バイオプシ装置が有する前記疑似生検針の針先の3次元位置座標とを一致させる較正を行う、
マンモグラフィ装置。
[付記10]
前記プロセッサは、
前記疑似生検針と前記複数の部位との位置関係の製造上のずれを補正する、
付記9に記載のマンモグラフィ装置。
[付記11]
前記プロセッサは、
前記複数の部位の3次元位置座標を検出する場合に、前記較正用治具の前記マーカを前記放射線検出器と平行に配置する、
付記9又は付記10に記載のマンモグラフィ装置。
[付記12]
前記較正用治具は、前記バイオプシ装置によって3次元空間を移動する、
付記9から付記11の何れか1つに記載のマンモグラフィ装置。
[付記13]
前記較正用治具は、縦穿刺用、及び、横穿刺用の少なくとも一方とされている、
付記9から付記12の何れか1つに記載のマンモグラフィ装置。
[付記14]
前記プロセッサは、
前記放射線照射器による放射線の照射方向が異なる状態で前記放射線検出器によって得られた複数の放射線画像を用いて、前記複数の部位の3次元位置座標を検出する、
付記9から付記13の何れか1つに記載のマンモグラフィ装置。
[付記15]
前記プロセッサは、
前記較正用治具を3次元空間で移動させることにより、複数の位置で、前記複数の部位の3次元位置座標を検出し、
検出した前記複数の部位の3次元位置座標を用いて、前記複数の位置における前記針先の3次元位置座標を導出する、
付記14に記載のマンモグラフィ装置。
[付記16]
前記プロセッサは、
導出した前記複数の位置における前記針先の3次元位置座標を用いて、前記較正を行う、
付記15に記載のマンモグラフィ装置。
[付記17]
付記1から付記8の何れか1つに記載の較正用治具を有するバイオプシ装置、放射線照射器、及び前記放射線照射器によって照射された放射線を用いて放射線画像の撮影を行う放射線検出器が設けられたマンモグラフィ装置において実行されるプログラムであって、
前記較正用治具の前記マーカにおける前記複数の部位の3次元位置座標を検出し、
検出した前記複数の部位の3次元位置座標を用いて、前記疑似生検針の針先の3次元位置座標を導出し、
導出した前記針先の3次元位置座標と、前記バイオプシ装置が有する前記疑似生検針の針先の3次元位置座標とを一致させる較正を行う、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0134】
2 マンモグラフィ装置
11 基台
12 C軸
13 アーム
14 撮影台
15 放射線検出器
16 放射線収納部
17 放射線照射器
18 圧迫板
19 移動機構
20 支持部
21 生検針
22 生検針ユニット
24 移動機構
25 開口部
26 バイオプシユニット(バイオプシ装置)
28 操作部
29 操作パネル
30 放射線源
31 アーム制御部
34 圧迫板コントローラ
35 針位置コントローラ
50 制御部
52A 検出部
52B 導出部
52C 較正部
52D 補正部
54 メモリ
56 記憶部
56A 較正処理プログラム
56B 誤差情報データベース
56C 較正情報データベース
70A~70E 較正用治具
71 治具本体
72 突出部
74 窪み
76 マーカ
76X、76Y 辺
78 取付孔
80 留め具
82 開口部
90 疑似生検針
CE 中央の位置
IS 交点
M 乳房
P1、P2 照射位置
T ターゲット
Img1、Img2 スカウト画像
m1~m4 マーカ画像
z 距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16