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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024143819
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F28D 15/02 20060101AFI20241003BHJP
   F28D 15/04 20060101ALI20241003BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20241003BHJP
   H01L 23/427 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F28D15/02 101H
F28D15/02 L
F28D15/02 102A
F28D15/04 A
H05K7/20 Q
H01L23/46 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056718
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(72)【発明者】
【氏名】引地 秀太
(72)【発明者】
【氏名】青木 博史
(72)【発明者】
【氏名】川畑 賢也
(72)【発明者】
【氏名】下田 和紀
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322DB06
5E322EA11
5E322FA01
5F136CC37
(57)【要約】
【課題】液相の一次冷媒のブリッジが生じることを防止することでコンテナ内部に封入された気相の一次冷媒の圧力損失を低減して、優れた冷却特性を有する冷却装置を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの発熱体が外面に熱的に接続されるコンテナと、前記コンテナ内部に封入された一次冷媒と、前記コンテナ内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する複数の凝縮管と、を備え、前記一次冷媒に浸漬していない部位を有する前記凝縮管の外面の少なくとも一部領域が、隣接する他の前記凝縮管の外面と1.0mm以上の距離Lを空けて配置されている冷却装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの発熱体が外面に熱的に接続されるコンテナと、
前記コンテナ内部に封入された一次冷媒と、
前記コンテナ内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する複数の凝縮管と、を備え、
前記一次冷媒に浸漬していない部位を有する前記凝縮管のうち、少なくとも1つの凝縮管の外面の少なくとも一部領域が、隣接する他の前記凝縮管の外面と1.0mm以上の距離Lを空けて配置されている冷却装置。
【請求項2】
前記凝縮管の外面の前記一次冷媒に浸漬していない部位が、隣接する他の前記凝縮管の外面の前記一次冷媒に浸漬していない部位と1.0mm以上の距離Lを空けて配置されている請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記距離Lが、前記コンテナ内部における前記凝縮管の延在方向に対して直交方向の距離である請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記距離Lが、1.0mm以上5.0mm以下である請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記凝縮管の径方向の形状が、扁平部を有する扁平形状である請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記距離Lが、前記凝縮管の前記扁平部と隣接する他の前記凝縮管の前記扁平部との距離である請求項5に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記距離Lが、前記凝縮管の前記扁平部以外の部位と隣接する他の前記凝縮管の前記扁平部以外の部位との距離である請求項5に記載の冷却装置。
【請求項8】
前記凝縮管が、重力方向において複数配置されている請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項9】
前記コンテナの内面に、液相の前記一次冷媒との接触面積を増大させるコンテナ内面表面積増大部が、さらに備えられている請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項10】
前記コンテナ内面表面積増大部が、板状フィン、ピンフィン及び/または窪みである請求項9に記載の冷却装置。
【請求項11】
前記コンテナ内面表面積増大部の少なくとも一部領域に、毛細管力を有するウィック部が形成されている請求項9に記載の冷却装置。
【請求項12】
前記コンテナの外面のうち、液相の前記一次冷媒が存在する部位または液相の前記一次冷媒が存在する部位の近傍に、前記発熱体が熱的に接続される請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項13】
前記凝縮管の外面に、気相の前記一次冷媒との接触面積を増大させる凝縮管外面表面積増大部が形成されている請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項14】
前記凝縮管の内面に、前記二次冷媒との接触面積を増大させる凝縮管内面表面積増大部が形成されている請求項1または2に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気・電子部品等を冷却する冷却装置に関し、特に、冷媒の流通特性に優れることで、電気・電子部品等の発熱体の冷却特性に優れた冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器の高機能化に伴い、電子機器内部には、電気・電子部品等の発熱体が高密度に搭載され、また、電気・電子部品等の発熱体の発熱量が増大化されている。電気・電子部品等の発熱体の温度が所定の許容温度よりも上昇してしまうと、電気・電子部品等が誤作動等を起こす原因となるので、電気・電子部品等の発熱体の温度を許容温度以下に維持することが重要となっている。そこで、電気・電子部品等を冷却するための冷却装置が、電子機器内部に搭載されている。
【0003】
一方で、上記の通り、電気・電子部品等の発熱体は高密度に搭載されているので、冷却装置の設置可能空間には制限がある。従って、冷却装置には、大型化を避けつつ冷却特性をさらに向上させることが要求されている。そこで、コンテナ内部に貯留した液相の一次冷媒に電子部品等の発熱体を浸漬させ、発熱体から受熱した液相の一次冷媒が、液相から気相へ相変化してコンテナ内部を上昇し、コンテナ内部の上部に設けられた二次冷媒が流通する凝縮管の熱交換作用によって、凝縮管の外面にて気相の一次冷媒が液相へ相変化し、液相へ相変化した一次冷媒が、凝縮管の外面から発熱体が浸漬している液相の一次冷媒へ滴下、還流することで、発熱体の温度を許容温度以下に維持する冷却装置が提案されている(特許文献1)。
【0004】
特許文献1では、発熱体の熱は、発熱体が浸漬している一次冷媒を介して二次冷媒へ伝達され、二次冷媒が流通する凝縮管を介して外部環境へ放出される。特許文献1では、凝縮管の外面に凝縮用フィン及びウィック構造体が設けられている。凝縮管の外面及び凝縮用フィンの熱交換作用にて液相へ相変化した一次冷媒が、ウィック構造体から発熱体が浸漬している液相の一次冷媒へ滴下することで一次冷媒が還流する。
【0005】
特許文献1では、凝縮管の外面及び凝縮用フィンの熱交換作用を向上させるために、凝縮管と凝縮用フィンを高密度に配置させているので、液相の一次冷媒の表面張力によって、隣接する凝縮管との間及び隣接する凝縮用フィン同士の間にて、特に、重力方向下方側の部位にて、液相の一次冷媒のブリッジが生じる場合があるという問題があった。
【0006】
隣接する凝縮管との間及び隣接する凝縮用フィン同士の間にて液相の一次冷媒のブリッジが生じると、気相の一次冷媒がコンテナ内部を円滑に拡散することが阻害される。上記から、特許文献1では、気相の一次冷媒の圧力損失が大きいことから、気相の一次冷媒の流通が円滑ではなく、その結果、冷却装置の冷却特性が十分ではないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0105122号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記事情に鑑み、本発明は、液相の一次冷媒のブリッジが生じることを防止することでコンテナ内部に封入された気相の一次冷媒の圧力損失を低減して、優れた冷却特性を有する冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の冷却装置の構成の要旨は、以下の通りである。
[1]少なくとも1つの発熱体が外面に熱的に接続されるコンテナと、
前記コンテナ内部に封入された一次冷媒と、
前記コンテナ内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する複数の凝縮管と、を備え、
前記一次冷媒に浸漬していない部位を有する前記凝縮管のうち、少なくとも1つの凝縮管の外面の少なくとも一部領域が、隣接する他の前記凝縮管の外面と1.0mm以上の距離Lを空けて配置されている冷却装置。
[2]前記凝縮管の外面の前記一次冷媒に浸漬していない部位が、隣接する他の前記凝縮管の外面の前記一次冷媒に浸漬していない部位と1.0mm以上の距離Lを空けて配置されている[1]に記載の冷却装置。
[3]前記距離Lが、前記コンテナ内部における前記凝縮管の延在方向に対して直交方向の距離である[1]または[2]に記載の冷却装置。
[4]前記距離Lが、1.0mm以上5.0mm以下である[1]または[2]に記載の冷却装置。
[5]前記凝縮管の径方向の形状が、扁平部を有する扁平形状である[1]または[2]に記載の冷却装置。
[6]前記距離Lが、前記凝縮管の前記扁平部と隣接する他の前記凝縮管の前記扁平部との距離である[5]に記載の冷却装置。
[7]前記距離Lが、前記凝縮管の前記扁平部以外の部位と隣接する他の前記凝縮管の前記扁平部以外の部位との距離である[5]に記載の冷却装置。
[8]前記凝縮管が、重力方向において複数配置されている[1]または[2]に記載の冷却装置。
[9]前記コンテナの内面に、液相の前記一次冷媒との接触面積を増大させるコンテナ内面表面積増大部が、さらに備えられている[1]または[2]に記載の冷却装置。
[10]前記コンテナ内面表面積増大部が、板状フィン、ピンフィン及び/または窪みである[9]に記載の冷却装置。
[11]前記コンテナ内面表面積増大部の少なくとも一部領域に、毛細管力を有するウィック部が形成されている[9]に記載の冷却装置。
[12]前記コンテナの外面のうち、液相の前記一次冷媒が存在する部位または液相の前記一次冷媒が存在する部位の近傍に、前記発熱体が熱的に接続される[1]または[2]に記載の冷却装置。
[13]前記凝縮管の外面に、気相の前記一次冷媒との接触面積を増大させる凝縮管外面表面積増大部が形成されている[1]または[2]に記載の冷却装置。
[14]前記凝縮管の内面に、前記二次冷媒との接触面積を増大させる凝縮管内面表面積増大部が形成されている[1]または[2]に記載の冷却装置。
【0010】
上記冷却装置の態様では、コンテナ内部に封入された一次冷媒が発熱体からの熱を受けることで、液相から気相へ相変化し、気相へ相変化した一次冷媒は、コンテナ内部の気相部を貫通した、二次冷媒が流通する凝縮管の熱交換作用によって、凝縮管の外面にて気相から液相へ相変化する。この相変化の際に、一次冷媒から放出される潜熱が、凝縮管を流通する二次冷媒へ伝達される。一次冷媒から潜熱を受けた二次冷媒は、凝縮管を冷却装置の内部から外部へ流通することで、潜熱が冷却装置の外部へ輸送される。また、凝縮管の外面にて気相から液相へ相変化した一次冷媒は、主に重力作用により、気相部から重力方向下方へ液相の一次冷媒として還流する。上記から、一次冷媒は、コンテナの内部空間にて、液相から気相へ及び気相から液相への相変化を繰り返す。
【発明の効果】
【0011】
従来、コンテナ内部における凝縮管の設置数をなるべく増やすことで凝縮管の熱交換作用を向上させて冷却装置の冷却特性を改善させてきた。これに対して、本発明の冷却装置の態様では、隣接する凝縮管同士の外面が1.0mm以上の距離Lを空けて配置されているので、その分、コンテナ内部における凝縮管の設置数が低減されて凝縮管の熱交換作用が抑制されることになる。しかし、発明者らは、コンテナ内部における凝縮管の設置数が低減されても、隣接する凝縮管同士の間における液相の一次冷媒のブリッジ形成を防止することが、冷却特性の向上に重要であることを見出した。
【0012】
すなわち、本発明の冷却装置の態様では、一次冷媒に浸漬していない部位を有する凝縮管のうち、少なくとも1つの凝縮管の外面の少なくとも一部領域が、隣接する他の凝縮管の外面と1.0mm以上の距離Lを空けて配置されていることにより、凝縮管の外面にて気相から液相へ相変化した一次冷媒が、その表面張力によって隣接する他の凝縮管との間にて、特に、重力方向下方側の部位にてブリッジを形成することを防止できる。従って、本発明の冷却装置の態様によれば、コンテナ内部に封入された気相の一次冷媒の圧力損失が低減されて気相の一次冷媒の流通が円滑化され、結果、熱抵抗が低減されて優れた冷却特性を発揮することができる。
【0013】
また、本発明の冷却装置の態様によれば、凝縮管の外面の一次冷媒に浸漬していない部位が、隣接する他の凝縮管の一次冷媒に浸漬していない部位と1.0mm以上の距離Lを空けて配置されていることにより、凝縮管の外面にて液相へ相変化した一次冷媒が隣接する他の凝縮管との間にてブリッジを形成することをさらに確実に防止できる。
【0014】
また、本発明の冷却装置の態様によれば、前記距離Lが、前記コンテナ内部における前記凝縮管の延在方向に対して直交方向の距離であることにより、凝縮管の外面にて液相へ相変化した一次冷媒が隣接する他の凝縮管との間にてブリッジを形成することをさらに確実に防止できる。
【0015】
また、本発明の冷却装置の態様では、前記距離Lが、1.0mm以上5.0mm以下であることにより、凝縮管の外面にて液相へ相変化した一次冷媒が隣接する他の凝縮管との間にてブリッジを形成することを防止しつつ、コンテナ内部における凝縮管の設置数の低減を抑制できる。従って、本発明の冷却装置の態様によれば、気相の一次冷媒の流通が円滑化されつつ、凝縮管が優れた熱交換作用を発揮できる。
【0016】
また、本発明の冷却装置の態様によれば、凝縮管の径方向の形状が扁平部を有する扁平形状であることにより、コンテナ内部が狭小空間であっても、多くの凝縮管を配置することができるので、冷却装置の冷却特性がさらに向上する。
【0017】
また、本発明の冷却装置の態様によれば、コンテナの内面に、液相の前記一次冷媒との接触面積を増大させるコンテナ内面表面積増大部が、さらに備えられていることにより、コンテナを介した発熱体から一次冷媒への熱伝達が円滑化されて、優れた冷却特性を発揮することができる。
【0018】
また、本発明の冷却装置の態様によれば、コンテナ内面表面積増大部の少なくとも一部領域に、毛細管力を有するウィック部が形成されていることにより、ウィック部の毛細管力によって、コンテナ内面表面積増大部からコンテナ内部に貯留された液相の一次冷媒への還流が促進されるので、一次冷媒の還流特性がさらに向上する。
【0019】
また、本発明の冷却装置の態様によれば、凝縮管の外面に、気相の一次冷媒との接触面積を増大させる凝縮管外面表面積増大部が形成されていることにより、凝縮管の熱交換作用が向上して一次冷媒の気相から液相への相変化が促進される。従って、一次冷媒から二次冷媒への熱伝達がより促進されて、冷却装置の冷却特性がさらに向上する。
【0020】
また、本発明の冷却装置の態様によれば、凝縮管の内面に、二次冷媒との接触面積を増大させる凝縮管内面表面積増大部が形成されていることにより、凝縮管の熱交換作用が向上するので、一次冷媒から二次冷媒への熱伝達がさらに促進される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する正面断面図である。
図3】本発明の第1実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の外面を拡大した説明図である。
図4】本発明の第1実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の内面を拡大した説明図である。
図5】本発明の第2実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する正面断面図である。
図6】本発明の第3実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する正面断面図である。
図7】本発明の第4実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する正面断面図である。
図8】本発明の第5実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する正面断面図である。
図9】本発明の第6実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
まず、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置について説明する。なお、図1は、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する正面断面図である。図3は、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の外面を拡大した説明図である。図4は、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置に設けられる凝縮管の内面を拡大した説明図である。
【0023】
図1、2に示すように、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置1は、コンテナ10と、コンテナ10内部に封入された一次冷媒20と、コンテナ10内部の気相部11を貫通した、二次冷媒30が流通する凝縮管40と、を備えている。コンテナ10の外面12に冷却対象である発熱体100が熱的に接続されることで、発熱体100が冷却される。
【0024】
コンテナ10内部には、中空の空洞部13が形成されている。空洞部13は、外部環境に対して密閉された空間であり、脱気処理により減圧されている。コンテナ10の形状は、特に限定されないが、冷却装置1では、高さの低い直方体となっている。
【0025】
図1、2に示すように、空洞部13には、所定量の液相の一次冷媒20が収納されている。液相の一次冷媒20は、コンテナ10内部に気相部11が形成できる体積量にて収納されている。空洞部13の重力方向下方側に、コンテナ10の空洞部13に貯留された液相の一次冷媒20が存在し、空洞部13の重力方向上方側に、液相の一次冷媒20が収納されていない気相部11が形成されている。
【0026】
発熱体100の接続位置は、特に限定されないが、冷却装置1では、コンテナ10の外面12のうち、液相の一次冷媒20が存在する部位または液相の一次冷媒20が存在する部位の近傍に、具体的には、コンテナ10の底面16に、発熱体100が熱的に接続されている。発熱体100のコンテナ10への接続位置を上記部位とすることで、発熱体100からコンテナ10の空洞部13に貯留された液相の一次冷媒20への熱伝達が円滑化されて、発熱体100から一次冷媒20への熱抵抗を低減できる。
【0027】
凝縮管40は、管状部材であり、凝縮管40の内部空間を二次冷媒30が流通する。凝縮管40は、コンテナ10内部の気相部11を貫通している部位を有する。凝縮管40の内部空間は、コンテナ10の内部(空洞部13)とは連通していない。すなわち、凝縮管40の内部空間は、気相部11とは連通していない、気相部11から独立した空間となっている。コンテナ10の内部には、複数の凝縮管40、40、40・・・が、所定の間隔を空けて並列に配置されている。また、コンテナ10の内部では、複数の凝縮管40、40、40・・・は、重力方向に対して略直交方向に延在している。
【0028】
複数の凝縮管40、40、40・・・には、重力方向上方に位置する複数の第1凝縮管40-1、40-1、40-1・・・と、第1凝縮管40-1よりも重力方向下方に位置する複数の第2凝縮管40-2、40-2、40-2・・・とが存在する。上記から、冷却装置1では、凝縮管40が、重力方向において複数配置されている。
【0029】
複数の第1凝縮管40-1、40-1、40-1・・・は、コンテナ10内部において、相互に略同一平面上に並列配置され、複数の第2凝縮管40-2、40-2、40-2・・・は、コンテナ10内部において、相互に略同一平面上に並列配置されている。また、後述するように、冷却装置1は、蒸発部であるコンテナ内面表面積増大部50を備えており、複数の第1凝縮管40-1、40-1、40-1・・・は、コンテナ内面表面積増大部50と平面視にて重なり合う部位に位置し、複数の第2凝縮管40-2、40-2、40-2・・・は、コンテナ内面表面積増大部50と平面視にて重なり合わない部位に位置している。
【0030】
複数の凝縮管40、40、40・・・のうち、第1凝縮管40-1は、重力方向下方側に貯留された液相の一次冷媒20(すなわち、コンテナ10の空洞部13に貯留された液相の一次冷媒20)とは接触していない。すなわち、コンテナ10の空洞部13に貯留された液相の一次冷媒20は、第1凝縮管40-1とは接触していない。上記から、第1凝縮管40-1の外面41は、重力方向下方側の端部も含めて、外面41全体が液相の一次冷媒20に浸漬していない。
【0031】
一方で、冷却装置1では、複数の凝縮管40、40、40・・・のうち、第2凝縮管40-2は、コンテナ10の空洞部13に貯留された液相の一次冷媒20と接触している。冷却装置1では、第2凝縮管40-2の重力方向下方側は、コンテナ10の空洞部13に貯留された液相の一次冷媒20と接触し、第2凝縮管40-2の重力方向上方側は、コンテナ10の空洞部13に貯留された液相の一次冷媒20とは接触していない。上記から、第2凝縮管40-2の外面41は、重力方向下方側は液相の一次冷媒20に浸漬し、重力方向上方側は液相の一次冷媒20に浸漬していない。
【0032】
図1、2に示すように、冷却装置1では、液相の一次冷媒20に浸漬していない部位を有する凝縮管40のうち、少なくとも1つの凝縮管40の外面41の少なくとも一部領域が、隣接する他の凝縮管40の外面41と1.0mm以上の距離Lを空けて配置されている。冷却装置1では、コンテナ内面表面積増大部50と平面視にて重なり合う第1凝縮管40-1の外面41の少なくとも一部領域が、隣接する他の第1凝縮管40-1の外面41と1.0mm以上の距離Lを空けて配置されている。冷却装置1では、コンテナ10内部において、第1凝縮管40-1の外面41全体が、隣接する他の第1凝縮管40-1の外面41全体と1.0mm以上の距離Lが空くように並列配置されている。従って、第1凝縮管40-1では、第1凝縮管40-1の外面41の液相の一次冷媒20に浸漬していない部位が、隣接する他の第1凝縮管40-1の外面41の液相の一次冷媒20に浸漬していない部位と1.0mm以上の距離Lを空けて配置されている。
【0033】
上記から、第1凝縮管40-1の外面41は、隣接する他の第1凝縮管40-1の外面41と、1.0mm以上の距離Lを有する空隙を介して対向配置されている。
【0034】
冷却装置1では、隣接する第1凝縮管40-1の外面41間の距離Lは、コンテナ10内部における第1凝縮管40-1の延在方向に対して略直交方向の距離であり、また、重力方向に対して略直交方向の距離である。冷却装置1では、隣接する第1凝縮管40-1の外面41同士が1.0mm以上の距離Lを空けて配置されているので、第1凝縮管40-1の外面41にて気相から液相へ相変化した一次冷媒20が、その表面張力によって隣接する他の第1凝縮管40-1の外面41との間にて、特に、重力方向下方側の部位にてブリッジを形成することを防止できる。
【0035】
第1凝縮管40-1の幅方向(すなわち、径方向)の断面形状は、特に限定されないが、冷却装置1では、相互に対向する扁平部46と両扁平部46をつなぐ端部45とを有する扁平形状である。冷却装置1では、第1凝縮管40-1は、扁平部46がコンテナ10の高さ方向に延びた縦扁平の状態で配置されている。
【0036】
また、冷却装置1では、説明の便宜上、隣接する第1凝縮管40-1の外面41間の距離Lは、第1凝縮管40-1の扁平部46と隣接する他の第1凝縮管40-1の扁平部46との位置関係における距離としている。すなわち、隣接する第1凝縮管40-1の外面41の扁平部46間が距離Lとなる位置関係にて、複数の第1凝縮管40-1、40-1、40-1・・・が並列配置されている。上記から、第1凝縮管40-1の外面41の扁平部46は、隣接する他の第1凝縮管40-1の外面41の扁平部46と、1.0mm以上の距離Lを有する空隙を介して対向配置されている。
【0037】
なお、隣接する第1凝縮管40-1の外面41の扁平部46間が距離Lとなる位置関係に代えて、第1凝縮管40-1の扁平部46と隣接する他の第1凝縮管40-1の端部45間が距離Lとなる位置関係にて、複数の第1凝縮管40-1、40-1、40-1・・・が並列配置されていてもよい。また、後述するように、第1凝縮管40-1の端部45と隣接する他の第1凝縮管40-1の端部45間が距離Lとなる位置関係にて、複数の第1凝縮管40-1、40-1、40-1・・・が並列配置されていてもよい。
【0038】
図1、2に示すように、冷却装置1では、第2凝縮管40-2の外面41全体が、隣接する他の第2凝縮管40-2の外面41全体と1.0mm以上の距離Lが空くように並列配置されている。従って、第2凝縮管40-2では、第2凝縮管40-2の外面41の液相の一次冷媒20に浸漬していない部位が、隣接する他の第2凝縮管40-2の外面41の液相の一次冷媒20に浸漬していない部位と1.0mm以上の距離Lを空けて配置されている。また、第2凝縮管40-2の外面41の液相の一次冷媒20に浸漬している部位が、隣接する他の第2凝縮管40-2の外面41の液相の一次冷媒20に浸漬している部位と1.0mm以上の距離Lを空けて配置されている。
【0039】
上記から、第2凝縮管40-2の外面41は、隣接する他の第2凝縮管40-2の外面41と、1.0mm以上の距離Lを有する空隙を介して対向配置されている。
【0040】
冷却装置1では、隣接する第2凝縮管40-2の外面41間の距離Lは、コンテナ10内部における第2凝縮管40-2の延在方向に対して略直交方向の距離であり、また、重力方向に対して略直交方向の距離である。冷却装置1では、隣接する第2凝縮管40-2の外面41のうち、重力方向上方側に位置する液相の一次冷媒20に浸漬していない部位同士が1.0mm以上の距離Lを空けて配置されている。従って、第2凝縮管40-2の外面41のうち液相の一次冷媒20に浸漬していない部位(重力方向上方側の部位)にて気相から液相へ相変化した一次冷媒20が、その表面張力によって、隣接する他の第2凝縮管40-2の外面41のうち液相の一次冷媒20に浸漬していない部位(重力方向上方側の部位)との間にて、ブリッジを形成することを防止できる。
【0041】
第2凝縮管40-2の幅方向(すなわち、径方向)の断面形状は、特に限定されないが、冷却装置1では、相互に対向する扁平部46と両扁平部46をつなぐ端部45とを有する扁平形状である。冷却装置1では、第2凝縮管40-2は、扁平部46がコンテナ10の幅方向に延びた横扁平の状態で配置されている。
【0042】
また、冷却装置1では、説明の便宜上、隣接する第2凝縮管40-2の外面41間の距離Lは、第2凝縮管40-2の端部45(扁平部46以外の部位)と隣接する他の第2凝縮管40-2の端部45(扁平部46以外の部位)との位置関係における距離としている。すなわち、隣接する第2凝縮管40-2の外面41の端部45間が距離Lとなる位置関係にて、複数の第2凝縮管40-2、40-2、40-2・・・が並列配置されている。上記から、第2凝縮管40-2の外面41の端部45は、隣接する他の第2凝縮管40-2の外面41の端部45と、1.0mm以上の距離Lを有する空隙を介して対向配置されている。
【0043】
なお、隣接する第2凝縮管40-2の外面41の端部45間が距離Lとなる位置関係に代えて、第2凝縮管40-2の端部45と隣接する他の第2凝縮管40-2の扁平部46間が距離Lとなる位置関係にて、複数の第2凝縮管40-2、40-2、40-2・・・が並列配置されていてもよい。また、第2凝縮管40-2の扁平部46と隣接する他の第2凝縮管40-2の扁平部46が距離Lとなる位置関係にて、複数の第2凝縮管40-2、40-2、40-2・・・が並列配置されていてもよい。
【0044】
また、図1、2に示すように、冷却装置1では、第1凝縮管40-1と第2凝縮管40-2とが隣接している部位を有しており、第1凝縮管40-1と第2凝縮管40-2とが隣接している部位については、コンテナ10内部において、第1凝縮管40-1の外面41全体が、隣接する第2凝縮管40-2の外面41全体と1.0mm以上の距離Lが空くように並列配置されている必要はない。すなわち、第1凝縮管40-1と第2凝縮管40-2とが隣接している部位については、コンテナ10内部において、第1凝縮管40-1の外面41が、隣接する第2凝縮管40-2の外面41と1.0mm以上の距離Lが空いていてもよく、1.0mm以上の距離Lが空いていなくてもよい。
【0045】
冷却装置1では、第1凝縮管40-1の外面41と隣接する第2凝縮管40-2の外面41との間の距離は、重力方向に対して斜め方向の距離である。冷却装置1では、第2凝縮管40-2の外面41のうち、重力方向上方側に位置する液相の一次冷媒20に浸漬していない部位が、隣接する第1凝縮管40-1の外面41と1.0mm以上の距離Lを空けて配置されていてもよく、隣接する第1凝縮管40-1の外面41と1.0mm未満の距離を空けて配置されていなくてもよい。第2凝縮管40-2の外面41が隣接する第1凝縮管40-1の外面41と1.0mm以上の距離Lを空けて配置されている場合には、第2凝縮管40-2の外面41のうち液相の一次冷媒20に浸漬していない部位(重力方向上方側の部位)にて気相から液相へ相変化した一次冷媒20が、その表面張力によって、隣接する第1凝縮管40-1の外面41との間にて、ブリッジを形成することを防止できる。一方で、コンテナ内面表面積増大部50と平面視にて重なり合う第1凝縮管40-1の外面41にて液相へ相変化した一次冷媒20は、コンテナ内面表面積増大部50へ還流する速度が低下する場合があるところ、第2凝縮管40-2の外面41が隣接する第1凝縮管40-1の外面41と1.0mm未満の距離を空けて配置されている場合には、第2凝縮管40-2の外面41にて液相へ相変化した一次冷媒20は、空洞部13に貯留された液相の一次冷媒20へ円滑に還流できるので、結果、コンテナ内面表面積増大部50へ液相の一次冷媒20を円滑に還流させることができる。
【0046】
また、冷却装置1では、第1凝縮管40-1の外面41が、隣接する第2凝縮管40-2の外面41のうち、重力方向上方側に位置する液相の一次冷媒20に浸漬していない部位と1.0mm以上の距離Lを空けて配置されている必要はない。第1凝縮管40-1の外面41が隣接する第2凝縮管40-2の外面41と1.0mm以上の距離Lを空けて配置されている場合には、第1凝縮管40-1の外面41にて気相から液相へ相変化した一次冷媒20が、その表面張力によって、隣接する第2凝縮管40-2の外面41のうち液相の一次冷媒20に浸漬していない部位(重力方向上方側の部位)との間にて、ブリッジを形成することを防止できる。一方で、第1凝縮管40-1の外面41にて液相へ相変化した一次冷媒20は、コンテナ内面表面積増大部50へ還流する速度が低下する場合があるところ、第1凝縮管40-1の外面41が隣接する第2凝縮管40-2の外面41と1.0mm未満の距離を空けて配置されている場合には、第2凝縮管40-2の外面41にて液相へ相変化した一次冷媒20は、空洞部13に貯留された液相の一次冷媒20へ円滑に還流できるので、結果、コンテナ内面表面積増大部50へ液相の一次冷媒20を円滑に還流させることができる。
【0047】
隣接する第1凝縮管40-1の外面41間の距離L及び隣接する第2凝縮管40-2の外面41間の距離Lは、1.0mm以上の距離であれば、特に限定されないが、一次冷媒20のブリッジ発生を確実に防止する点から2.0mm以上が好ましい。また、上記距離Lは、コンテナ10内部における凝縮管40の設置数の低減を抑制して、凝縮管が優れた熱交換作用を発揮できる点から、5.0mm以下が好ましく、4.0mm以下がより好ましく、3.0mm以下が特に好ましい。
【0048】
なお、凝縮管40のうち、液相の一次冷媒20に浸漬している部位は、一次冷媒20のブリッジの問題はないので、液相の一次冷媒20に浸漬している部位においては、上記距離Lが1.0mm以上となるように凝縮管40を配置しなくてもよい。
【0049】
図1、2に示すように、冷却装置1では、コンテナ10の内面15に、コンテナ10の空洞部13に貯留された液相の一次冷媒20との接触面積を増大させるコンテナ内面表面積増大部50が形成されている。冷却装置1では、コンテナ10の内面15のうち、発熱体100が熱的に接続される部位に対応する領域に、凸凹等、コンテナ10の内面15の表面積を増大させる部位であるコンテナ内面表面積増大部50が形成されている。上記から、コンテナ内面表面積増大部50は、冷却装置1の蒸発部(受熱部)として機能する。冷却装置1では、コンテナ10の内面15のうち、底面16の中央部に、コンテナ内面表面積増大部50が形成されている。
【0050】
コンテナ内面表面積増大部50が形成されていることにより、コンテナ10の内面15のうち、発熱体100が熱的に接続される部位に対応する領域において、コンテナ10の空洞部13に貯留された液相の一次冷媒20とコンテナ10の内面15との接触面積が増大する。従って、コンテナ内面表面積増大部50により、コンテナ10を介した発熱体100から液相の一次冷媒20への熱伝達が円滑化される。結果、一次冷媒20の液相から気相への相変化が促進されて、冷却装置1の冷却特性がより向上する。
【0051】
蒸発部であるコンテナ内面表面積増大部50は、コンテナ10の空洞部13に貯留された液相の一次冷媒20中に浸漬されている。従って、コンテナ内面表面積増大部50は、コンテナ10の空洞部13に貯留された液相の一次冷媒20と直接接している。冷却装置1では、コンテナ内面表面積増大部50の重力方向下方の領域52が、コンテナ10の空洞部13に貯留された液相の一次冷媒20中に浸漬さている。一方で、コンテナ内面表面積増大部50の重力方向上方の領域51は、コンテナ10の空洞部13に貯留された液相の一次冷媒20に浸漬されずに、コンテナ10内部の気相部11に位置している態様としている。
【0052】
コンテナ内面表面積増大部50は、例えば、型を用いたコンテナ10の成形、コンテナ10とは別部材をコンテナ10の内面15に取り付けることで設けることができる。コンテナ内面表面積増大部50の態様としては、例えば、コンテナ10の内面15に形成された凸凹部を挙げることができ、具体例としては、コンテナ10の底面16に立設された板状フィン、ピンフィン、コンテナ10の底面16に形成された窪み等を挙げることができる。板状フィン、ピンフィンの形成方法としては、例えば、別途作製した板状フィン、ピンフィンをコンテナ10の底面16に、はんだ付け、ろう付け、焼結等にて取り付ける方法、コンテナ10の底面16を切削する方法、押し出す方法、エッチングする方法等が挙げられる。また、窪みの形成方法としては、例えば、コンテナ10の底面16を切削する方法、押し出す方法、エッチングする方法等が挙げられる。
【0053】
冷却装置1では、コンテナ内面表面積増大部50として、複数の正方形または長方形の薄板状フィン56、56、56・・・が所定間隔にて並列配置されている。冷却装置1では、説明の便宜上、複数の薄板状フィン56、56、56・・・の高さは、いずれも略同じ態様としている。上記から、冷却装置1では、コンテナ内面表面積増大部50の重力方向上方の領域51における先端53、すなわち、複数の薄板状フィン56、56、56・・・の先端53は、略同じ高さとなっている。
【0054】
図1、2に示すように、コンテナ内面表面積増大部50の重力方向上方に、複数の第1凝縮管40-1、40-1、40-1・・・が配置されている。冷却装置1では、コンテナ内面表面積増大部50の重力方向上方の領域51における先端53は、複数の第1凝縮管40-1、40-1、40-1・・・と対向配置されている。
【0055】
コンテナ内面表面積増大部50の少なくとも一部領域には、毛細管力を有するウィック部57が形成されている。冷却装置1では、コンテナ内面表面積増大部50の表面の少なくとも一部領域、すなわち、薄板状フィン56の表面の少なくとも一部領域に、ウィック部57が設けられている。具体的には、コンテナ内面表面積増大部50の先端53に、ウィック部57が形成されている。上記から、複数の薄板状フィン56、56、56・・・の先端53に、ウィック部57が形成されている。
【0056】
冷却装置1では、ウィック部57は、コンテナ内面表面積増大部50の先端53からコンテナ10の底面16まで連続して形成されている。ウィック部57は、コンテナ内面表面積増大部50の先端53においては、コンテナ10の空洞部13に貯留された液相の一次冷媒20とは接触していない。ウィック部57の重力方向下方の領域52が、コンテナ10の空洞部13に貯留された液相の一次冷媒20中に浸漬され、ウィック部57の重力方向上方の領域51は、コンテナ10の空洞部13に貯留された液相の一次冷媒20に浸漬されずに、コンテナ10内部の気相部11に位置している。
【0057】
凝縮管40(第1凝縮管40-1)の外面41にて気相から液相へ相変化した一次冷媒20は、凝縮管40(第1凝縮管40-1)の外面41から蒸発部であるコンテナ内面表面積増大部50へ還流する。このとき、ウィック部57は、毛細管力の作用により、凝縮管40(第1凝縮管40-1)の外面41にて液相へ相変化した一次冷媒20の、凝縮管40(第1凝縮管40-1)の外面41からコンテナ内面表面積増大部50への還流を促進する。
【0058】
また、凝縮管40(第1凝縮管40-1)の外面41からコンテナ内面表面積増大部50へ還流した一次冷媒20は、コンテナ内面表面積増大部50から、コンテナ10の空洞部13に貯留された液相の一次冷媒20へ還流する。このとき、ウィック部57は、毛細管力の作用により、液相へ相変化した一次冷媒20の、コンテナ内面表面積増大部50から、コンテナ10の空洞部13に貯留された液相の一次冷媒20への還流を促進する。従って、液相の一次冷媒20の還流特性がさらに向上する。
【0059】
ウィック部57の構造としては、例えば、金属焼結体、金属メッシュ、金属編組体、エッジング部等が挙げられる。金属焼結体としては、銅粉等の金属粉の焼結体、金属繊維の焼結体、金属メッシュの焼結体、金属編組体の焼結体等が挙げられる。
【0060】
薄板状フィン56の材料は、特に限定されず、例えば、熱伝導性部材を挙げることができる。薄板状フィン56の材料の具体例としては、金属部材(例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス等)を挙げることができる。
【0061】
コンテナ10の材料としては、特に限定されず、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、ステンレス、チタン、チタン合金等を挙げることができる。凝縮管40の材料としては、特に限定されず、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、ステンレス、チタン、チタン合金等を挙げることができる。一次冷媒20としては、特に限定されず、例えば、電気絶縁性の冷媒を挙げることができる。具体例としては、例えば、水、フルオロカーボン類、シクロペンタン、エチレングリコール、これらの混合物等を挙げることができる。二次冷媒としては、特に限定されず、例えば、水、不凍液(主成分は、例えば、エチレングリコール)等を挙げることができる。
【0062】
一方で、第2凝縮管40-2の重力方向上方側の外面41にて気相から液相へ相変化した一次冷媒20は、重力の作用によって第2凝縮管40-2の外面41に沿って重力方向下方側へ流れ、コンテナ10の空洞部13に貯留された液相の一次冷媒20へ還流する。
【0063】
なお、冷却装置1では、図3に示すように、凝縮管40の外面41に、凹凸等、凝縮管40の外面41の表面積を増大させることで、気相の一次冷媒との接触面積を増大させる凝縮管外面表面積増大部43が形成されていてもよい。凝縮管40の外面41に、凝縮管外面表面積増大部43が形成されていることにより、凝縮管40の熱交換作用が向上して一次冷媒の気相から液相への相変化が促進される。その結果、気相の一次冷媒から二次冷媒30への熱伝達がより促進されて、冷却装置1の冷却特性がさらに向上する。凝縮管外面表面積増大部43は、気相の一次冷媒と接触する外面41全体に形成されていてもよく、外面41の一部領域(例えば、コンテナ10に貯留した液相の一次冷媒20に対向する外面41の重力方向下方側)にのみ形成されていてもよい。
【0064】
凝縮管外面表面積増大部43は、例えば、型を用いた凝縮管40の成形、凝縮管40とは別部材を凝縮管40の外面41に取り付けることで設けることができる。凝縮管外面表面積増大部43の態様としては、特に限定されず、凝縮管40の外面41に形成された複数の突起、凝縮管40の外面41に形成された複数の溝、窪み等を挙げることができる。
【0065】
凝縮管外面表面積増大部43を構成する突起の形成方法としては、特に限定されず、例えば、別途作製した突起を凝縮管40の外面41に、はんだ付け、ろう付け、焼結等にて取り付ける方法等が挙げられる。また、凝縮管外面表面積増大部43を構成する窪み部、溝の形成方法としては、特に限定されず、例えば、凝縮管40の外面41を切削する方法、エッチングする方法等が挙げられる。
【0066】
図3に示す凝縮管外面表面積増大部43では、外面41上に錐体状の突起47が千鳥状に配置されている。より具体的には、図5の凝縮管外面表面積増大部43では、突起47の形状は四角錐である。凝縮管外面表面積増大部43では、複数の突起47が凝縮管40の長手方向に直線状に並列配置されることで突起列48が形成され、また、凝縮管40の周方向に沿って複数の突起列48が並列配置されている。また、隣接する突起列48は、相互に、突起47の位置が所定量ずれていることで、突起47が千鳥状に配置されている。上記の凝縮管外面表面積増大部43とすることで、凝縮管40の外面41の表面張力が低下して、一次冷媒の気相から液相への相変化が、より促進される。
【0067】
凝縮管外面表面積増大部43では、外面41を転造加工、鍛造加工、切削またはエッチングで突起47が形成されてもよい。上記方法の場合、凝縮管外面表面積増大部43は凝縮管40と一体となっている。凝縮管40の外面41が、転造加工、鍛造加工、切削、エッチングされて 凝縮管外面表面積増大部43が形成されていることにより、別途作製した突起を凝縮管40の外面41に取り付ける態様と比較して、凝縮管40を省スペース化、小型化することができ、ひいては、冷却装置1を省スペース化、小型化することができる。また、凝縮管40を省スペース化、小型化できることで、凝縮管40の外面41の単位面積あたり、より多くの突起47を設けることができ、結果、一次冷媒の気相から液相への相変化がさらに促進される。
【0068】
なお、冷却装置1では、図4に示すように、凝縮管40の内面42に、凹凸等、凝縮管40の内面42の表面積を増大させることで、凝縮管40の内面42と二次冷媒30との接触面積を増大させる凝縮管内面表面積増大部44が形成されていてもよい。凝縮管内面表面積増大部44が形成されていることにより、凝縮管40の熱交換作用が向上するので、気相の一次冷媒から二次冷媒30への熱伝達がさらに促進される。
【0069】
凝縮管内面表面積増大部44は、例えば、型を用いた凝縮管40の成形、凝縮管40とは別部材を凝縮管40の内面42に取り付けることで設けることができる。凝縮管内面表面積増大部44の態様としては、特に限定されず、凝縮管40の内面42に形成された複数の突起、凝縮管40の内面42に形成された複数の溝、窪み等を挙げることができる。
【0070】
凝縮管内面表面積増大部44を構成する突起の形成方法としては、例えば、別途作製した突起を凝縮管40の内面42に、はんだ付け、ろう付け、焼結等にて取り付ける方法、凝縮管40の内面42を切削する方法、エッチングする方法等が挙げられる。また、窪み部、溝の形成方法としては、例えば、凝縮管40の内面42を切削する方法、エッチングする方法等が挙げられる。図6の凝縮管内面表面積増大部44では、内面42に複数の溝が螺旋状に形成されている。
【0071】
次に、第1実施形態例に係る冷却装置1の動作について説明する。
【0072】
コンテナ10の空洞部13に貯留された液相の一次冷媒20が発熱体100からの熱を受けることで、液相の一次冷媒20が液相から気相へ相変化し、発熱体100からの熱を潜熱として吸収する。気相へ相変化した一次冷媒は、コンテナ10の内部空間を重力方向上方へ移動し、コンテナ10の気相部11へ流入する。一方で、気相部11を貫通した凝縮管40(第1凝縮管40-1と第2凝縮管40-2)には、低温の二次冷媒30が流通している。凝縮管40に低温の二次冷媒30が流通していることで、気相部11に配置された凝縮管40は、熱交換作用を発揮する。気相に相変化した一次冷媒は、凝縮管40の外面41に接触または接近することで、凝縮管40の熱交換作用により、潜熱を放出し、凝縮管40の外面にて気相から液相へ相変化する。一次冷媒が気相から液相へ相変化する際に放出された潜熱は、凝縮管40を流通する二次冷媒30へ伝達される。
【0073】
複数の凝縮管40、40、40・・・のうち、第1凝縮管40-1の外面41にて気相から液相へ相変化した一次冷媒20は、上記の通り、第1凝縮管40-1の外面41から蒸発部であるコンテナ内面表面積増大部50へ還流する。第1凝縮管40-1の外面41からコンテナ内面表面積増大部50へ還流した液相の一次冷媒20は、さらに、コンテナ内面表面積増大部50から、コンテナ10の空洞部13に貯留された液相の一次冷媒20へ還流する。また、複数の凝縮管40、40、40・・・のうち、第2凝縮管40-2の外面41にて気相から液相へ相変化した一次冷媒20は、第2凝縮管40-2の重力方向下方側はコンテナ10の空洞部13に貯留された液相の一次冷媒20と接触していることから、上記の通り、重力の作用によって第2凝縮管40-2の外面に沿って重力方向下方側へ流れることで、コンテナ10の空洞部13に貯留された液相の一次冷媒20へ還流する。上記から、一次冷媒20は、コンテナ10の内部空間にて、液相から気相への相変化及び気相から液相への相変化を繰り返す。
【0074】
気相の一次冷媒から熱を受けた二次冷媒30は、凝縮管40の延在方向に沿って冷却装置1の内部から外部へ流通することで、発熱体100の熱が冷却装置1の外部へ輸送される。
【0075】
冷却装置1では、液相の一次冷媒20に浸漬していない部位を有する凝縮管40のうち、少なくとも1つの凝縮管の外面41の少なくとも一部領域が、隣接する他の凝縮管40の外面41と1.0mm以上の距離Lを空けて配置されているので、凝縮管40の外面41にて気相から液相へ相変化した一次冷媒20が、その表面張力によって隣接する他の凝縮管40との間にて、特に、重力方向下方側の部位にてブリッジを形成することを防止できる。従って、冷却装置1では、コンテナ10内部に封入された気相の一次冷媒の圧力損失が低減されて気相の一次冷媒の流通が円滑化され、結果、熱抵抗が低減されて優れた冷却特性を発揮することができる。
【0076】
また、冷却装置1では、隣接する凝縮管40の外面41が1.0mm以上の距離Lを空けて配置されていることから、その分、コンテナ10内部における凝縮管40の設置数が低減されるので、コンテナ10内部における複数の凝縮管40、40、40・・・が直列で接続される場合に、凝縮管40を流通する二次冷媒30の圧力損失を低減できる。従って、冷却装置1では、凝縮管40に二次冷媒30を流通させるのに必要な電力消費を低減させることができる。
【0077】
また、冷却装置1では、凝縮管40の外面41の一次冷媒20に浸漬していない部位が、隣接する他の凝縮管40の一次冷媒20に浸漬していない部位と1.0mm以上の距離Lを空けて配置されているので、凝縮管40の外面41にて液相へ相変化した一次冷媒20が隣接する他の凝縮管40の外面41との間にてブリッジを形成することをさらに確実に防止できる。
【0078】
また、冷却装置1では、上記した距離Lが、コンテナ10内部における凝縮管40の延在方向に対して直交方向の距離であり、また、重力方向に対して略直交方向の距離であるので、凝縮管40の外面41にて液相へ相変化した一次冷媒20が隣接する他の凝縮管40の外面41との間にてブリッジを形成することをさらに確実に防止できる。
【0079】
また、冷却装置1では、凝縮管40の径方向の形状が扁平部46を有する扁平形状であるので、コンテナ10内部が狭小空間であっても、多くの凝縮管40を配置することができ、冷却装置1の冷却特性がさらに向上する。
【0080】
次に、本発明の第2実施形態例に係る冷却装置について説明する。なお、第2実施形態例に係る冷却装置は、第1実施形態例に係る冷却装置と主要部が同じ構成なので、第1実施形態例に係る冷却装置と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。なお、図5は、本発明の第2実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する正面断面図である。
【0081】
第1実施形態例に係る冷却装置1では、凝縮管40が重力方向において複数配置されており、複数の第2凝縮管40-2、40-2、40-2・・・は、複数の第1凝縮管40-1、40-1、40-1・・・よりも重力方向下方に位置していたが、これに代えて、図5に示すように、第2実施形態例に係る冷却装置2では、複数の第2凝縮管40-2、40-2、40-2・・・は、複数の第1凝縮管40-1、40-1、40-1・・・と重力方向において略同じ位置に配置されている。すなわち、複数の第2凝縮管40-2、40-2、40-2・・・は、複数の第1凝縮管40-1、40-1、40-1・・・と略同じ高さに配置されている。
【0082】
上記のように、本発明の冷却装置では、第1凝縮管40-1の高さと第2凝縮管40-2の高さとの関係は、適宜選択可能である。
【0083】
また、第1実施形態例に係る冷却装置1では、第2凝縮管40-2は、扁平部46がコンテナ10の幅方向に延びた横扁平の状態で配置されており、隣接する第2凝縮管40-2の端部45間が距離Lとなる位置関係にて、複数の第2凝縮管40-2、40-2、40-2・・・が並列配置されていた。これに代えて、図5に示すように、冷却装置2では、第1凝縮管40-1と同じく、第2凝縮管40-2は、扁平部46がコンテナ10の高さ方向に延びた縦扁平の状態で配置されており、隣接する第2凝縮管40-2の扁平部46間が距離Lとなる位置関係にて、複数の第2凝縮管40-2、40-2、40-2・・・が並列配置されている。
【0084】
冷却装置2でも、液相の一次冷媒20に浸漬していない部位を有する凝縮管40の外面41のうち、少なくとも1つの凝縮管の少なくとも一部領域が、隣接する他の凝縮管40の外面41と1.0mm以上の距離Lを空けて配置されているので、凝縮管40の外面41にて気相から液相へ相変化した一次冷媒20が、その表面張力によって隣接する他の凝縮管40との間にて、特に、重力方向下方側の部位にてブリッジを形成することを防止できる。従って、冷却装置2でも、コンテナ10内部に封入された気相の一次冷媒の圧力損失が低減されて気相の一次冷媒の流通が円滑化され、結果、熱抵抗が低減されて優れた冷却特性を発揮することができる。
【0085】
次に、本発明の第3実施形態例に係る冷却装置について説明する。なお、第3実施形態例に係る冷却装置は、第1、第2実施形態例に係る冷却装置と主要部が同じ構成なので、第1、第2実施形態例に係る冷却装置と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。なお、図6は、本発明の第3実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する正面断面図である。
【0086】
第1、第2実施形態例に係る冷却装置1、2では、液相の一次冷媒20に浸漬していない部位を有する凝縮管40の外面41の少なくとも一部領域が、隣接する他の凝縮管40の外面41と1.0mm以上の距離Lを空けて配置されていたが、これに代えて、図6に示すように、第3実施形態例に係る冷却装置3では、上記距離Lが、第1、第2実施形態例に係る冷却装置1、2よりもさらに大きい寸法となっている。冷却装置3では、液相の一次冷媒20に浸漬していない部位を有する凝縮管40の外面41の少なくとも一部領域が、隣接する他の凝縮管40の外面41と3.0mm以上の距離Lを空けて配置されている。
【0087】
冷却装置3では、第1凝縮管40-1の外面41全体が、隣接する他の第1凝縮管40-1の外面41全体と3.0mm以上の距離Lが空くように並列配置されている。また、第2凝縮管40-2の外面41全体が、隣接する他の第2凝縮管40-2の外面41全体と3.0mm以上の距離Lが空くように並列配置されている。また、第1凝縮管40-1の外面41全体が、隣接する第2凝縮管40-2の外面41全体と3.0mm以上の距離Lが空くように並列配置されている。冷却装置3では、第1凝縮管40-1と第2凝縮管40-2は、いずれも、扁平部46がコンテナ10の高さ方向に延びた縦扁平の状態で配置されている。
【0088】
冷却装置3では、凝縮管40(第1凝縮管40-1及び第2凝縮管40-2)の外面41にて気相から液相へ相変化した一次冷媒20が、その表面張力によって隣接する他の凝縮管40の外面41との間にて、特に、重力方向下方側の部位にて液相の一次冷媒20のブリッジ発生をさらに確実に防止することができる。
【0089】
次に、本発明の第4実施形態例に係る冷却装置について説明する。なお、第4実施形態例に係る冷却装置は、第1~第3実施形態例に係る冷却装置と主要部が同じ構成なので、第1~第3実施形態例に係る冷却装置と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。なお、図7は、本発明の第4実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する正面断面図である。
【0090】
第1実施形態例に係る冷却装置1では、第1凝縮管40-1は、扁平部46がコンテナ10の高さ方向に延びた縦扁平の状態で配置されており、隣接する第1凝縮管40-1の扁平部46間が距離Lとなる位置関係にて、複数の第1凝縮管40-1、40-1、40-1・・・が並列配置されていた。これに代えて、図7に示すように、第4実施形態例に係る冷却装置4では、第1凝縮管40-1は、扁平部46がコンテナ10の高さ方向及び幅方向に対して斜め方向に延びた状態で配置されており、扁平部46と端部45の境界部49間が距離Lとなる位置関係にて、複数の第1凝縮管40-1、40-1、40-1・・・が並列配置されている。
【0091】
上記から、第1凝縮管40-1の境界部49は、隣接する他の第1凝縮管40-1の境界部49と、1.0mm以上の距離Lを有する空隙を介して対向配置されている。上記のように、本発明の冷却装置では、扁平形状である凝縮管40の扁平部の延び方向は、適宜選択可能である。
【0092】
冷却装置4でも、液相の一次冷媒20に浸漬していない部位を有する凝縮管40の外面41のうち、少なくとも1つの凝縮管の少なくとも一部領域が、隣接する他の凝縮管40の外面41と1.0mm以上の距離Lを空けて配置されているので、凝縮管40の外面41にて気相から液相へ相変化した一次冷媒20が、その表面張力によって隣接する他の凝縮管40との間にて、特に、重力方向下方側の部位にてブリッジを形成することを防止できる。従って、冷却装置4でも、コンテナ10内部に封入された気相の一次冷媒の圧力損失が低減されて気相の一次冷媒の流通が円滑化され、結果、熱抵抗が低減されて優れた冷却特性を発揮することができる。
【0093】
次に、本発明の第5実施形態例に係る冷却装置について説明する。なお、第5実施形態例に係る冷却装置は、第1~第4実施形態例に係る冷却装置と主要部が同じ構成なので、第1~第4実施形態例に係る冷却装置と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。なお、図8は、本発明の第5実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する正面断面図である。
【0094】
第1実施形態例に係る冷却装置1では、第1凝縮管40-1は、扁平部46がコンテナ10の高さ方向に延びた縦扁平の状態で配置されており、隣接する第1凝縮管40-1の扁平部46間が距離Lとなる位置関係にて、複数の第1凝縮管40-1、40-1、40-1・・・が並列配置されていた。これに代えて、図8に示すように、第5実施形態例に係る冷却装置5では、第1凝縮管40-1の端部45と隣接する他の第1凝縮管40-1の端部45間が距離Lとなる位置関係にて、複数の第1凝縮管40-1、40-1、40-1・・・が並列配置されている。
【0095】
上記から、冷却装置5では、第1凝縮管40-1と第2凝縮管40-2は、いずれも、扁平部46がコンテナ10の幅方向に延びた横扁平の状態で配置されている。
【0096】
冷却装置5でも、液相の一次冷媒20に浸漬していない部位を有する凝縮管40の外面41のうち、少なくとも1つの凝縮管の少なくとも一部領域が、隣接する他の凝縮管40の外面41と1.0mm以上の距離Lを空けて配置されているので、凝縮管40の外面41にて気相から液相へ相変化した一次冷媒20が、その表面張力によって隣接する他の凝縮管40との間にて、特に、重力方向下方側の部位にてブリッジを形成することを防止できる。従って、冷却装置5でも、コンテナ10内部に封入された気相の一次冷媒の圧力損失が低減されて気相の一次冷媒の流通が円滑化され、結果、熱抵抗が低減されて優れた冷却特性を発揮することができる。
【0097】
次に、本発明の第6実施形態例に係る冷却装置について説明する。なお、第6実施形態例に係る冷却装置は、第1~第5実施形態例に係る冷却装置と主要部が同じ構成なので、第1~第5実施形態例に係る冷却装置と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。なお、図9は、本発明の第6実施形態例に係る冷却装置の概要を説明する正面断面図である。
【0098】
第1実施形態例に係る冷却装置1では、複数の第1凝縮管40-1、40-1、40-1・・・は、コンテナ10内部において、相互に略同一平面上に並列配置されていたが、これに代えて、図9に示すように、第6実施形態例に係る冷却装置6では、複数の第1凝縮管40-1、40-1、40-1・・・は、重力方向において複数配置されている。
【0099】
冷却装置6では、複数の第1凝縮管40-1、40-1、40-1・・・のうち、重力方向下方側に位置する複数の第1凝縮管40-11、40-11、40-11・・・と、重力方向上方側に位置する複数の第1凝縮管40-12、40-12、40-12・・・と、を有している。
【0100】
重力方向下方側に位置する複数の第1凝縮管40-11、40-11、40-11・・・は、相互に略同一平面上に並列配置されている。第1凝縮管40-11は、扁平部46がコンテナ10の高さ方向に延びた縦扁平の状態で配置されており、隣接する第1凝縮管40-11の扁平部46間が距離Lとなる位置関係にて、複数の第1凝縮管40-11、40-11、40-11・・・が並列配置されている。
【0101】
重力方向上方側に位置する複数の第1凝縮管40-12、40-12、40-12・・・は、相互に略同一平面上に並列配置されている。第1凝縮管40-12は、扁平部46がコンテナ10の高さ方向に延びた縦扁平の状態で配置されており、隣接する第1凝縮管40-12の扁平部46間が距離Lとなる位置関係にて、複数の第1凝縮管40-12、40-12、40-12・・・が並列配置されている。
【0102】
また、複数の第1凝縮管40-11、40-11、40-11・・・と複数の第1凝縮管40-12、40-12、40-12・・・は、千鳥状に配置されており、第1凝縮管40-11の境界部49と重力方向上方側にて隣接する第1凝縮管40-12の境界部49との間が、距離Lとなる位置関係となっている。
【0103】
上記のように、本発明の冷却装置では、凝縮管40の重力方向における設置数は、適宜選択可能である。
【0104】
冷却装置6でも、液相の一次冷媒20に浸漬していない部位を有する凝縮管40の外面41のうち、少なくとも1つの凝縮管の少なくとも一部領域が、隣接する他の凝縮管40の外面41と1.0mm以上の距離Lを空けて配置されているので、凝縮管40の外面41にて気相から液相へ相変化した一次冷媒20が、その表面張力によって隣接する他の凝縮管40との間にて、特に、重力方向下方側の部位にてブリッジを形成することを防止できる。従って、冷却装置6でも、コンテナ10内部に封入された気相の一次冷媒の圧力損失が低減されて気相の一次冷媒の流通が円滑化され、結果、熱抵抗が低減されて優れた冷却特性を発揮することができる。
【0105】
次に、本発明の他の実施形態例に係る冷却装置について説明する。上記各実施形態例に係る冷却装置では、凝縮管の径方向の断面形状は扁平形状となっていたが、上記断面形状は、特に限定されず、例えば、円形状等でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の冷却装置は、気相の一次冷媒の流通が円滑化されることで熱抵抗が低減できるので、広汎な分野で利用可能であり、例えば、中央演算処理装置(CPU)等、回路基板に搭載された発熱量の大きい電子部品を冷却する分野で利用価値が高い。
【符号の説明】
【0107】
1、2、3、4、5、6 冷却装置
10 コンテナ
11 気相部
20 一次冷媒
30 二次冷媒
40 凝縮管
41 外面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9