(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144007
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】分割型光ファイバテープ心線の製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 6/44 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
G02B6/44 371
G02B6/44 381
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023147016
(22)【出願日】2023-09-11
(31)【優先権主張番号】P 2023053765
(32)【優先日】2023-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】石附 邦彬
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 広大
(72)【発明者】
【氏名】岩屋 光洋
【テーマコード(参考)】
2H201
【Fターム(参考)】
2H201AX18
2H201AX20
2H201DD02
2H201DD03
2H201DD05
2H201DD06
2H201DD09
2H201DD20
2H201DD28
2H201DD33
2H201KK02
2H201KK26A
2H201KK26B
2H201KK28A
2H201KK28B
2H201KK29A
2H201KK29B
2H201KK37A
2H201KK37B
2H201KK39A
2H201KK39B
2H201KK39C
2H201KK54B
2H201KK54C
2H201KK63
2H201KK72
2H201KK75
2H201MM03
2H201MM34
(57)【要約】
【課題】分割性がよい分割型光ファイバテープ心線の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態による分割型光ファイバテープ心線の製造方法は、互いに略平行に配置された複数の光ファイバ着色心線の表面に第1の樹脂を塗布する第1の樹脂塗布工程と、第1のUV光源によって、前記第1の樹脂に所定の波長の光を照射し、前記表面にテープ層を形成し、一括型光ファイバテープ心線をなす第1の紫外線照射工程と、互いに略平行に配置された複数の前記一括型光ファイバテープ心線の表面に第2の樹脂を塗布する第2の樹脂塗布工程と、第2のUV光源によって、前記第2の樹脂に前記所定の波長の光を照射し、前記複数の一括型光ファイバテープ心線にバインド層を形成する第2の紫外線照射工程と、を備え、前記第1の紫外線照射工程の直後の前記テープ層の表面温度は、88℃以上であることを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに略平行に配置された複数の光ファイバ着色心線の表面に第1の樹脂を塗布する第1の樹脂塗布工程と、
第1のUV光源によって、前記第1の樹脂に所定の波長の光を照射し、前記表面にテープ層を形成し、一括型光ファイバテープ心線をなす第1の紫外線照射工程と、
互いに略平行に配置された複数の前記一括型光ファイバテープ心線の表面に第2の樹脂を塗布する第2の樹脂塗布工程と、
第2のUV光源によって、前記第2の樹脂に前記所定の波長の光を照射し、前記複数の前記一括型光ファイバテープ心線の表面にバインド層を形成する第2の紫外線照射工程と、を備え、
前記第1の紫外線照射工程の直後の前記テープ層の表面温度は、88℃以上であることを特徴とする分割型光ファイバテープ心線の製造方法。
【請求項2】
前記第1のUV光源は、発光ダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の分割型光ファイバテープ心線の製造方法。
【請求項3】
前記第2のUV光源は、発光ダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の分割型光ファイバテープ心線の製造方法。
【請求項4】
前記第1のUV光源は、発光ダイオードと水銀ランプであることを特徴とする請求項1に記載の分割型光ファイバテープ心線の製造方法。
【請求項5】
前記第1のUV光源は、発光ダイオードと水銀ランプであり、
前記第1の紫外線照射工程は、
前記発光ダイオードによる照射工程と、
前記発光ダイオードによる照射工程の後に、前記水銀ランプによる照射工程とを備えることを特徴とする請求項1に記載の分割型光ファイバテープ心線の製造方法。
【請求項6】
前記第1の樹脂は、35℃以上に加熱されることを特徴とする請求項1に記載の分割型光ファイバテープ心線の製造方法。
【請求項7】
前記第1の樹脂は、70℃以下に加熱され、前記第1の紫外線照射工程の直後の前記一括型光ファイバテープ心線の前記表面の温度は、140℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の分割型光ファイバテープ心線の製造方法。
【請求項8】
前記複数の光ファイバ着色心線は、ボビン等にいったん巻き取られていることを特徴とする請求項1に記載の分割型光ファイバテープ心線の製造方法。
【請求項9】
前記第1の紫外線照射工程において前記所定の波長の光を照射する時間は、前記第2の紫外線照射工程において前記所定の波長の光を照射する時間よりも長いことを特徴とする請求項1に記載の分割型光ファイバテープ心線の製造方法。
【請求項10】
前記第1のUV光源の出力は、前記第2のUV光源の出力よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の分割型光ファイバテープ心線の製造方法。
【請求項11】
前記第1の樹脂は、前記第1のUV光源の波長に対して吸収を有することを特徴とする請求項1に記載の分割型光ファイバテープ心線の製造方法。
【請求項12】
前記第2の樹脂は、前記第2のUV光源の波長に対して吸収を有することを特徴とする請求項1に記載の分割型光ファイバテープ心線の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分割型光ファイバテープ心線の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、テープ層とバインド層とにそれぞれ異なる性質を備える紫外線硬化型樹脂を用いた光ファイバテープ心線が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1による光ファイバテープ心線では、テープ層とバインド層との分割性が不十分になり得る。なお、光ファイバテープ心線の分割性は、複数の一括型光ファイバテープ心線の外周を紫外線硬化型樹脂で覆うバインド層から、それぞれの一括型光ファイバテープ心線に分割する際の分割のしやすさを意味する。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、分割型光ファイバテープ心線の分割性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、互いに略平行に配置された複数の光ファイバ着色心線の表面に第1の樹脂を塗布する第1の樹脂塗布工程と、第1のUV光源によって、前記第1の樹脂に所定の波長の光を照射し、前記表面にテープ層を形成し、一括型光ファイバテープ心線をなす第1の紫外線照射工程と、互いに略平行に配置された複数の前記一括型光ファイバテープ心線の表面に第2の樹脂を塗布する第2の樹脂塗布工程と、第2のUV光源によって、前記第2の樹脂に前記所定の波長の光を照射し、前記複数の一括型光ファイバテープ心線にバインド層を形成する第2の紫外線照射工程と、を備え、前記第1の紫外線照射工程の直後の前記テープ層の表面温度は、88℃以上であることを特徴とする分割型光ファイバテープ心線の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、分割性がよい分割型光ファイバテープ心線の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態における光ファイバ着色心線の断面図である。
【
図2A】
図2Aは、本実施形態における一括型光ファイバテープ心線の断面図である。
【
図2B】
図2Bは、本実施形態における一括型光ファイバテープ心線の断面図である。
【
図3A】
図3Aは、本実施形態における分割型光ファイバテープ心線の断面図である。
【
図3B】
図3Bは、本実施形態における分割型光ファイバテープ心線の断面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態における分割型光ファイバテープ心線の製造装置の模式図である。
【
図5】
図5は、本実施形態における制御装置のブロック図である。
【
図6】
図6は、本実施形態における分割型光ファイバテープ心線の製造方法のフローチャートである。
【
図7】
図7は、本実施形態におけるテープ層の製造方法のフローチャートである。
【
図8】
図8は、本実施形態におけるバインド層の製造方法のフローチャートである。
【
図9A】
図9Aは、本実施形態における分割型光ファイバテープ心線の分割パターンの一例である。
【
図9B】
図9Bは、本実施形態における分割型光ファイバテープ心線の分割パターンの一例である。
【
図9C】
図9Cは、本実施形態における分割型光ファイバテープ心線の分割パターンの一例である。
【
図9D】
図9Dは、本実施形態における分割型光ファイバテープ心線の分割パターンの一例である。
【
図9E】
図9Eは、本実施形態における分割型光ファイバテープ心線の分割パターンの一例である。
【
図9F】
図9Fは、本実施形態における分割型光ファイバテープ心線の分割パターンの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。明細書全般における同じ参照符号は、実質的に同一の構成要素を意味する。
【0010】
図1は、本実施形態における光ファイバ着色心線1の断面図である。光ファイバ着色心線1は、光ファイバ裸線11と、プライマリ層12と、セカンダリ層13と、着色層14とを備える。光ファイバ裸線11は、例えば、石英系ガラス等で形成される。プライマリ層12は、紫外線硬化型樹脂で形成され、光ファイバ裸線11の外周に被覆される。セカンダリ層13は、紫外線硬化型樹脂で形成され、プライマリ層12の外周に被覆される。プライマリ層12およびセカンダリ層13は、それぞれ紫外線の照射により紫外線硬化型樹脂を硬化することにより形成される。なお、光ファイバ裸線11と、プライマリ層12と、セカンダリ層13とを合わせて、光ファイバ素線と呼ぶ。
【0011】
着色層14は、紫外線硬化型樹脂で形成され、セカンダリ層13の外周に被覆される。着色層14は、プライマリ層12およびセカンダリ層13と同様に、紫外線の照射により紫外線硬化型樹脂を硬化することにより形成される。着色層14を形成する紫外線硬化型樹脂は、オリゴマー、モノマー等であり、光開始剤、光増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、シリコーン等の滑剤等、酸化チタン等の添加剤を含んでもよい。
【0012】
着色層14は、光ファイバ着色心線1の最外層であり、光ファイバ裸線11、プライマリ層12、セカンダリ層13を外力から保護する機能を有する。着色層14は、複数の光ファイバ着色心線1を識別することができるように、顔料または滑剤等を混合した着色剤により着色される。色の種類は、例えば、白色、黒色、灰色、紫色、青色、水色、緑色、茶色、黄色、橙色、桃色、赤色などでありうる。なお、着色層14は、着色剤により着色されたセカンダリ層13であってもよい。着色されたセカンダリ層13が着色層14を兼ねる場合、着色層14は光ファイバ裸線11とプライマリ層12とを外力から保護する。
【0013】
なお、本実施形態において、セカンダリ層13と着色層14とが別個に形成される場合について説明するが、着色層14を形成せずにセカンダリ層13に着色し、セカンダリ層13を着色層14として機能させることができる。この場合、着色層14に用いる紫外線硬化型樹脂に着色を施す着色剤と同様の着色剤を、セカンダリ層13に用いる紫外線硬化型樹脂に含有することにより、セカンダリ層13を着色することができる。
【0014】
紫外線硬化型樹脂は、紫外線の照射によって重合可能なものであれば、特に限定されるものではない。紫外線硬化型樹脂は、例えば、光ラジカル重合などにより重合可能な樹脂でありうる。紫外線硬化型樹脂は、例えば、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートおよびポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートのようなウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどのような紫外線により重合および硬化するエチレン性不飽和基などの重合性不飽和基を有する紫外線硬化型樹脂を含んでもよい。紫外線硬化型樹脂は、重合性不飽和基を少なくとも2つ有するものであることが好ましい。
【0015】
紫外線硬化型樹脂における重合性不飽和基として、例えば、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などのような不飽和二重結合を有する基、プロパルギル基などのような不飽和三重結合を有する基などがありうる。上記の中でも、アクリロイル基またはメタクリロイル基が重合性の面において重合性不飽和基に好ましい。
【0016】
紫外線硬化型樹脂は、紫外線の照射によって重合を開始し、硬化するモノマー、オリゴマー、またはポリマーでありうるが、紫外線硬化型樹脂はオリゴマーであることが好ましい。なお、オリゴマーは、重合度が2~100の重合体である。本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの一方または両方を意味する。紫外線硬化型樹脂は、紫外領域に感度を有する任意の光重合開始剤(以下、「光開始剤」と呼ぶ)を含む。
【0017】
ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリエーテル骨格を有するポリオールと、有機ポリイソシアネート化合物およびヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応物のように、ポリエーテルセグメント、(メタ)アクリレートおよびウレタン結合を有する化合物である。また、ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリエステル骨格を有するポリオールと、有機ポリイソシアネート化合物およびヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応物のように、ポリエステルセグメント、(メタ)アクリレートおよびウレタン結合を有する化合物である。
【0018】
紫外線硬化型樹脂は、オリゴマーおよび光開始剤に加えて、例えば、希釈モノマー、光増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、シランカップリング剤、連鎖移動剤、および各種添加剤を含んでもよい。希釈モノマーには、単官能(メタ)アクリレートまたは多官能(メタ)アクリレートが用いられる。ここで、希釈モノマーは、紫外線硬化型樹脂を希釈するためのモノマーを意味する。なお、UV-LEDに吸収を有する光開始剤および光増感剤を紫外線硬化型樹脂に添加することにより、UV-LED光源を用いて紫外線硬化型樹脂のUV硬化をすることが可能になる。光開始剤は、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン等でありうる。光増感剤は、例えば、2,4-ジエチル-9H-チオキサンテン-9-オン、2-イソプロピルチオキサントン等でありうる。
【0019】
紫外線硬化型樹脂は、メルカプト基含有化合物を含みうる。メルカプト基含有化合物は、1分子内に少なくとも1つのメルカプト基を有する化合物である。メルカプト基含有化合物は、紫外線硬化型樹脂に含まれるウレタン(メタ)アクリレートなどの重合性化合物とメルカプト基とが反応することにより、重合性化合物の重合を停止する効果を有する。メルカプト基含有化合物は、特に限定されるものではなく、例として、(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、3-メルカプトプロピオン酸イソオクチル、1-ペンタンチオールのほか、エチルメルカプタン、1-ブタンチオール、1-ヘプタンチオール、1-ウンデカンチオール、4-ヒドロキシベンゼンチオール、(2-メルカプトエチル)ピラジン、2,3-ブタンジチオール、3-メチル-2-ブタンチオール、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、1,3,4-チアジアゾール-2-チオール、イソブチルメルカプタン、4-メトキシ-α-トルエンチオール、4,4′-ビフェニルジチオール、トリメチルシリルメタンチオール、1,4-ブタンジチオール、1,8-オクタンジチオール、(3-メルカプトプロピル)トリエトキシシラン、3-エトキシベンゼンチオール、ペンタエリトリトールテトラ(3-メルカプトプロピオナート)等でありうる。
【0020】
紫外線の照射は、例えば、水銀ランプまたはUV-LED光源などを用いて、適切な照度および照射量にて行われる。なお、プライマリ層12と、セカンダリ層13と、着色層14とのヤング率は、光ファイバの製造条件(例えば、線速、UV照射強度、UV光源種、樹脂塗布温度など)に応じて変化するものであり、使用する紫外線硬化型樹脂によって一義的に決定しえない。
【0021】
プライマリ層12は、好ましくは0.1MPa以上2.0MPa以下のヤング率を有する軟質層であり、光ファイバ裸線11に加わる外力を緩衝する機能を有する。セカンダリ層13は、好ましくは500MPa以上2000MPa以下のヤング率を有する硬質層であり、光ファイバ裸線11およびプライマリ層12を外力から保護する機能を有する。
【0022】
光ファイバ裸線11の直径は、例えば、80μm以上150μm以下であり、好ましくは124μm以上126μm以下でありうる。プライマリ層12の厚さは、好ましくは5μm以上60μm以下でありうる。セカンダリ層13の厚さは、好ましくは5μm以上60μm以下でありうる。着色層14の厚さは、好ましくは数μm程度でありうる。ここで、光ファイバ素線の直径は、光ファイバ裸線11の直径と、プライマリ層12の厚さの2倍の長さと、セカンダリ層13の厚さの2倍の長さとの和で定められうる。したがって、光ファイバ素線の直径が、例えば190~250μm程度になるように、光ファイバ裸線11の直径と、プライマリ層12の厚さと、セカンダリ層13の厚さとがそれぞれ選択されうる。
【0023】
図2Aは、本実施形態における一括型光ファイバテープ心線2の断面図である。一括型光ファイバテープ心線2は、M本の光ファイバ着色心線1A~1Mを備える。ここで、光ファイバ着色心線1の本数Mは、2以上の自然数である。
図2Aは、M=2の場合の一括型光ファイバテープ心線2を示す。光ファイバ着色心線1A、1Bは、テープ層21を介して帯状に束ねられる。テープ層21は、紫外線の照射により紫外線硬化型樹脂を硬化することにより形成される。断面視において、テープ層21は光ファイバ着色心線1A、1Bの外周に略長円形に形成され、光ファイバ着色心線1A、1Bの長手方向に沿って延在する。テープ層21を形成する紫外線硬化型樹脂は、プライマリ層12およびセカンダリ層13を形成する紫外線硬化型樹脂と同様の素材でありうる。
【0024】
本実施形態において、光ファイバ着色心線1A、1Bは、互いに異なる色の着色層14を有する。なお、M=3以上の場合の一括型光ファイバテープ心線2において、複数本の光ファイバ着色心線1が同じ色の着色層14を有してもよい。光ファイバ着色心線1A~1Mは、光ファイバ着色心線1A~1Mが互いに分別可能であるような色の着色層14を有していることが望ましい。
【0025】
図2Bは、本実施形態における別の一括型光ファイバテープ心線2の断面図である。
図2Aにおける一括型光ファイバテープ心線2と同様に、一括型光ファイバテープ心線2は、M本の光ファイバ着色心線1A~1Mを備える。光ファイバ着色心線1A、1Bは、テープ層21を介して帯状に束ねられる。テープ層21は、紫外線の照射により紫外線硬化型樹脂を硬化することにより形成される。断面視において、テープ層21は光ファイバ着色心線1A、1Bの外周に略長円形に形成され、光ファイバ着色心線1A、1Bの長手方向に沿って延在する。テープ層21は光ファイバ着色心線1A、1Bの外周において、非常に薄く形成される。
【0026】
図3Aは、本実施形態における分割型光ファイバテープ心線3の断面図である。分割型光ファイバテープ心線3は、N本の一括型光ファイバテープ心線2A~2Nを備える。ここで、一括型光ファイバテープ心線の本数Nは、2以上の自然数である。
図3Aは、N=2の場合の分割型光ファイバテープ心線3を示す。分割型光ファイバテープ心線3は、一括型光ファイバテープ心線2A、2Bを有する。一括型光ファイバテープ心線2Aおよび一括型光ファイバテープ心線2Bは、それぞれ光ファイバ着色心線1A、1Bおよび光ファイバ着色心線1C、1Dを有し、バインド層31を介して帯状に束ねられる。バインド層31は、紫外線の照射により紫外線硬化型樹脂を硬化することにより形成される。断面視において、バインド層31は一括型光ファイバテープ心線2A、2Bの外周に略長円形に形成され、一括型光ファイバテープ心線2A、2Bの長手方向に沿って延在する。
【0027】
図3Bは、本実施形態における別の分割型光ファイバテープ心線3の断面図である。
図3Aにおける分割型光ファイバテープ心線3と同様に、分割型光ファイバテープ心線3は、N本の一括型光ファイバテープ心線2A~2Nを備える。一括型光ファイバテープ心線2Aおよび一括型光ファイバテープ心線2Bは、それぞれ光ファイバ着色心線1A、1Bおよび光ファイバ着色心線1C、1Dを有し、バインド層31を介して帯状に束ねられる。バインド層31は、紫外線の照射により紫外線硬化型樹脂を硬化することにより形成される。断面視において、バインド層31は一括型光ファイバテープ心線2A、2Bの外周に略長円形に形成され、一括型光ファイバテープ心線2A、2Bの長手方向に沿って延在する。バインド層31は、一括型光ファイバテープ心線2A、2Bの外周において、非常に薄く形成される。分割型光ファイバテープ心線3の厚さは、例えば、0.28~0.40mmでありうる。バインド層31を形成する紫外線硬化型樹脂は、テープ層21を形成する紫外線硬化型樹脂と同様の素材でありうるが、光開始剤、光増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、シリコーン等の滑剤等の添加剤等の配合等が異なり、モノマーまたはオリゴマー種が異なり、モノマーまたはオリゴマーの配合が異なり、オリゴマーの重合度が異なりうる。
【0028】
[ヤング率の測定]
プライマリ層12のヤング率は、ISM(In Situ Modulus)に相当する。以下の方法でプライマリ層12のヤング率を測定する。市販のストリッパを用いて、光ファイバの中間部のプライマリ層12およびセカンダリ層13を数mmの長さだけはぎ取る。被覆層が形成されている光ファイバの一端を接着剤でスライドガラス上に固定し、被覆層が形成されている光ファイバの他端に荷重Fを印加する。この状態において、被覆層をはぎ取った部分と被覆層が形成されている部分との境界におけるプライマリ層12の変位δを顕微鏡で読み取る。光ファイバの他端に印加する荷重Fを10、20、30、50、70gF(すなわち、98、196、294、490、686mN)とすることにより、変位δに対する荷重Fの変化の割合(傾き)を算出する。算出された傾きと、以下の式(1)とを用いて、プライマリ弾性率を算出する。プライマリ弾性率はISMに相当するので、以下ではプライマリ弾性率を適宜P-ISMと記載する。
P-ISM=(3F/δ)*(1/2πl)*ln(DP/DG)・・・(1)
【0029】
P-ISMの単位は[MPa]である。式(1)の右辺において、F/δは変位δ[μm]に対する荷重(F)[gF]の変化の割合(傾き)、lはサンプル長(例えば、10mm)、DP/DGはプライマリ層12の外径(DP)[μm]と光ファイバのクラッド部の外径(DG)[μm]との比である。したがって、F、δ、lと式(1)とを用いてP-ISMを算出する場合には、所定の単位変換が必要となる。なお、ファイバカッターにより切断した光ファイバの断面を顕微鏡で観察することにより、プライマリ層12の外径およびクラッド部の外径を計測することができる。
【0030】
セカンダリ層13のヤング率(S-ISM)を、以下の方法で測定する。液体窒素中に光ファイバを浸漬し、市販のストリッパを用いて、光ファイバの被覆層をはぎ取る。中空円柱状であり被覆層のみの試料を作成し、試料の末端部分をアルミ板に固定する。温度23℃、相対湿度50%の雰囲気中において、テンシロン万能引張試験機を用いて、アルミ板部分をチャックする。幅6mm、標線間隔25mm、引張速度1mm/分で試料を引張り、2.5%伸長時における力を測定することで、セカンダリ層13の弾性率を算出する。なお、中空円柱状の試料にはプライマリ層12も含まれるが、P-ISMに対してS-ISMの値が十分に大きいので、S-ISMにおけるプライマリ層12の弾性率の影響を無視できるものとする。
【0031】
テープ層21のヤング率を、以下の方法で測定する。片刃の刃物等で一括型光ファイバテープ心線2からテープ層21をはぎ取り、恒温恒湿(例えば、温度23℃、湿度50%)の一定状態において、はぎ取ったテープ層21を調整する。テープ層21を長さ25mmのサンプル片にし、引張速度1mm/minで引っ張り、2.5%ひずみにおけるヤング率を算出する。ここで、サンプル片の断面積を顕微鏡で測定する。バインド層31のヤング率の測定方法も、テープ層21のヤング率の測定方法と同様である。分割型光ファイバテープ心線3からバインド層31をはぎ取り、テープ層21のヤング率の測定方法と同様の手順で、ヤング率を測定する。なお、本実施形態において、プライマリ層12のヤング率の範囲は0.1~2.0MPaであり、セカンダリ層13のヤング率の範囲は500~2000MPaであり、テープ層21およびバインド層31のヤング率の範囲は1.0~2000MPaでありうる。
【0032】
[有効コア断面積とマイクロベンドロス]
光ファイバのマイクロベンドロスの生じやすさを表す指標として、有効コア断面積(実効コア断面積)Aeff(Effective Area)が挙げられる。有効コア断面積Aeffは、式(2)によって表される。なお、有効コア断面積Aeffは、例えば、1999年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会予稿集のC-3-76およびC-3-77等に記載されている。
Aeff=(πk/4)*(MFD)2・・・(2)
【0033】
ここで、有効コア断面積Aeffは、波長1550nmにおける値であり、MFD(Mode-field diameter)はモードフィールド径(μm)、kは定数である。有効コア断面積Aeffは、光ファイバ裸線11の軸に直交する断面のうち、光が通過し所定の強度を有する部分の面積を表す。一般的に、光ファイバ裸線11の有効コア断面積Aeffが大きくなるほど、光ファイバ裸線11の断面における光学的閉じ込めが弱くなる。すなわち、光ファイバ裸線11の有効コア断面積Aeffが大きい場合、光ファイバ裸線11に加わる外力によって光ファイバ裸線11内の光が漏出しやすくなる。したがって、光ファイバ裸線11の有効コア断面積Aeffが大きくなると、光ファイバ着色心線1のマイクロベンドロスが生じやすくなる。
【0034】
本実施形態において、有効コア断面積Aeffが80μm2以上である光ファイバ裸線11が用いられる。光ファイバにおいてAeffはマイクロベンド感度の指標になり、Aeffが大きいほどマイクロベンド感度が大きいことを示す。一般に、Aeff>100μm2であれば、マイクロベンド感度が大きいと言われている。とりわけ、Aeffが130μm2以上150μm2以下であれば、マイクロベンド感度が問題なく大きい光ファイバである。
【0035】
マイクロベンドロスの測定方法は、様々なものがありうる。例えば、番手が#1000のサンドペーパーを巻いた大きめのボビンに、100gFの張力で400m以上の長さの光ファイバを、互いに重ならないように1層巻きに巻き付ける(状態A)。一方、サンドペーパーを巻いていないボビンに、状態Aにおける同じ張力で同じ長さの光ファイバを、互いに重ならないように1層巻きに巻き付ける(状態B)。状態Aにおける光ファイバの伝送損失と、状態Bにおける光ファイバの伝送損失との差をマイクロベンドロスの値として定義することができる。ここで、状態Bの光ファイバの伝送損失は、マイクロベンドロスを含まず、測定対象の光ファイバに固有の伝送損失であると考えられる。
【0036】
なお、上記の測定方法は、JIS C6823:2010に規定される固定径ドラム法に類似する測定方法であり、サンドペーパー法と呼ばれる。この測定方法では、波長1550nmにおける伝送損失を測定しているので、本実施形態において、波長1550nmにおけるマイクロベンドロスを測定する。
【0037】
本実施形態において、光ファイバ素線および光ファイバ着色心線1のマイクロベンドロスは、0.15dB/km以下であることが好ましく、0.1dB/km以下であることがより望ましい。
【0038】
[吸光度の測定]
本実施形態において、以下の方法で紫外線硬化型樹脂の吸光度を測定する。直方体をなす2つの石英ガラスの間に、2枚のスペーサを所定の間隔で設置する。2枚のスペーサの間にテープ層21に用いる紫外線硬化型樹脂を設置し、2枚のスペーサと紫外線硬化型樹脂とを2つの石英ガラスで挟み、試料とする。ここで、スペーサの厚さは、例えば、50μmでありうる。分光光度計(PerkinElmer Lambda900(登録商標))を用いて、光源から紫外線硬化型樹脂にビームを照射し、試料の吸光度を測定する。測定した吸光度から、あらかじめ測定した石英ガラスの吸光度を減じて、テープ層21に用いる紫外線硬化型樹脂の50μm厚における吸光度を求める。吸光度Aは、以下の式で求めることができる。
A=-log(I/I0)=-log(T/100)=εcl・・・(3)
【0039】
ここで、Tは透過率、Iは透過光強度、I0は試料への入射光強度、εは分子吸光係数、cは吸収物質の濃度、lは光が透過する媒体の距離である。
【0040】
図4は、本実施形態における分割型光ファイバテープ心線3の製造方法に用いる製造装置5の模式図である。製造装置5は、心線保持装置51、ガイドローラ52、テープ層被覆装置53、バインド層被覆装置54、ガイドローラ55、巻取り装置56、制御装置7を有する。
【0041】
心線保持装置51は、製造された光ファイバ着色心線1を巻き取り保持する。光ファイバ着色心線1は心線保持装置51から引き出され、ガイドローラ52に誘導され、テープ層被覆装置53に搬送される。心線保持装置51およびガイドローラ52の数は、分割型光ファイバテープ心線3が有する光ファイバ着色心線1の本数に応じて変わりうる。本実施形態において、一括型光ファイバテープ心線2は2本の光ファイバ着色心線1を用いて製造され、分割型光ファイバテープ心線3は2本の一括型光ファイバテープ心線2を用いて製造される。したがって、心線保持装置51の数およびガイドローラ52の数はそれぞれ4つとなる。心線保持装置51A、51B、51C、51Dは、それぞれ光ファイバ着色心線1A~1Dを保持し、ガイドローラ52A、52B、52C、52Dは、それぞれ光ファイバ着色心線1A、1B、1C、1Dをテープ層被覆装置53に搬送する。
【0042】
テープ層被覆装置53は、樹脂塗布装置531、紫外線照射装置532を有する。樹脂塗布装置531は、紫外線硬化型樹脂を保持し、光ファイバ着色心線1A、1B、1C、1Dの外周に紫外線硬化型樹脂を塗布する。樹脂塗布装置531は、コーティングダイまたはダイス等と呼ばれる。紫外線照射装置532は、メタルハライドランプ、水銀ランプ、UV-LED光源等の任意のUV光源533を備え、樹脂塗布装置531の下流(
図4において下部に相当)に設けられる。紫外線照射装置532は、硬化炉と呼ばれ、紫外線硬化型樹脂を塗布された光ファイバ着色心線1A、1B、1C、1Dに紫外線を照射し、テープ層21を形成する。UV光源533は、光ファイバ着色心線1A、1B、1C、1Dの外周を囲うように設けられる。テープ層被覆装置53において、複数の紫外線照射装置532が設けられてもよい。複数の紫外線照射装置532が設けられる場合、光ファイバ着色心線1の搬送方向に対して複数の紫外線照射装置532が直列に設けられる。複数の紫外線照射装置532が設けられることにより、紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射する時間をより長くすることができる。なお、UV光源533による紫外線照射の直後(
図4において紫外線照射装置532の出口534)において後述するテープ層21の表面温度を測定することにより、紫外線硬化型樹脂が硬化した直後のテープ層21の温度を測定することができる。
【0043】
光ファイバ着色心線1A、1B、1C、1Dが紫外線照射装置532の内部を通過する間に、UV光源533によって紫外線が光ファイバ着色心線1A、1B、1C、1Dの外周に塗布された紫外線硬化型樹脂に照射される。光ファイバ着色心線1A、1Bの外周および光ファイバ着色心線1C、1Dの外周に塗布された紫外線硬化型樹脂が硬化することによって、テープ層21が形成される。これにより、一括型光ファイバテープ心線2A、2Bが形成される。一括型光ファイバテープ心線2A、2Bは、テープ層被覆装置53から搬送され、バインド層被覆装置54に搬送される。
【0044】
バインド層被覆装置54は、テープ層被覆装置53と同様の構成を有し、樹脂塗布装置541、紫外線照射装置542を有する。樹脂塗布装置541は、紫外線硬化型樹脂を保持し、一括型光ファイバテープ心線2A、2Bの外周に紫外線硬化型樹脂を塗布する。樹脂塗布装置541は、コーティングダイまたはダイス等と呼ばれる。紫外線照射装置542は、メタルハライドランプ、水銀ランプ、UV-LED光源等の任意のUV光源543を備え、樹脂塗布装置541の下流(
図4において下部に相当)に設けられる。紫外線照射装置542は、硬化炉と呼ばれ、紫外線硬化型樹脂を塗布された一括型光ファイバテープ心線2A、2Bに紫外線を照射し、バインド層31を形成する。UV光源543は、一括型光ファイバテープ心線2A、2Bの外周を囲うように設けられる。テープ層被覆装置53と同様に、バインド層被覆装置54においても、複数の紫外線照射装置542が設けられてもよい。複数の紫外線照射装置542が設けられる場合、一括型光ファイバテープ心線2の搬送方向に対して複数の紫外線照射装置542が直列に設けられる。複数の紫外線照射装置542が設けられることにより、紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射する時間をより長くすることができる。なお、テープ層被覆装置53と同様に、UV光源543による紫外線照射の直後(
図4において紫外線照射装置542の出口544)においてバインド層31の表面温度を測定することにより、紫外線硬化型樹脂が硬化した直後のバインド層31の温度を測定することができる。
【0045】
一括型光ファイバテープ心線2A、2Bが紫外線照射装置542の内部を通過する間に、UV光源543によって紫外線が一括型光ファイバテープ心線2A、2Bの外周に塗布された紫外線硬化型樹脂に照射される。一括型光ファイバテープ心線2A、2Bの外周に塗布された紫外線硬化型樹脂が硬化することによって、バインド層31が形成される。以上の工程により、分割型光ファイバテープ心線3が製造される。分割型光ファイバテープ心線3は、バインド層被覆装置54から搬送され、ガイドローラ55を介して巻取り装置56に搬送され、巻き取られる。
【0046】
制御装置7は、例えば、ガイドローラ52A、52B、52C、52Dおよびガイドローラ55の搬送速度、テープ層被覆装置53およびバインド層被覆装置54において紫外線硬化型樹脂を加圧供給する際の圧力、樹脂塗布装置531および樹脂塗布装置541に供給する紫外線硬化型樹脂の温度、テープ層被覆装置53およびバインド層被覆装置54の出口径、紫外線照射装置532および紫外線照射装置542のUV光源の強度、テープ層被覆装置53およびバインド層被覆装置54の内部温度、巻取り装置56の巻き取りト
ルク等を制御する。
【0047】
図5は、本実施形態における制御装置7のブロック図である。制御装置7は、CPU(Ceentral Processing Unit)701、ROM(Read Only Memory)702、RAM(Random Access Memory)703、記憶装置704、ディスプレイ705、タッチセンサ706、入力装置707、通信I/F708、センサI/F709を有する。各部は、バス710を介して相互に接続される。
【0048】
CPU701は、アプリケーションプログラムにより製造装置5の各部を制御する。ROM702は、不揮発性メモリから構成され、製造装置5の各部を制御するためのアプリケーションプログラムを記憶する。RAM703は、CPU701の動作に必要なメモリ領域を提供する。記憶装置704は、ハードディスク、半導体メモリ等から構成される。
【0049】
ディスプレイ705は、例えば、液晶ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等から構成される。ディスプレイ705の表面にはタッチセンサ706が配置される。タッチセンサ706は、静電容量式または抵抗式の検出回路を備える。入力装置707は、ユーザI/Fであり、例えば、キーボード、マウス等であり得る。
【0050】
通信I/F708は、データの送受信を行う通信部であり、制御装置7とテープ層被覆装置53およびバインド層被覆装置54とを通信可能に接続する。通信I/F708を介した制御装置7と製造装置5との通信は、有線通信または無線通信のいずれでもよい。無線通信の方式は、例えば、第3世代移動通信、LTE(Long Term Evolution)、第4世代移動通信、第5世代移動通信、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信、Wi‐Fi等の無線LAN接続による無線通信等であり得る。
【0051】
センサI/F709は、製造装置5が備えるセンサ類から各種のデータを取得し、記憶装置704等に格納する。各種のデータは、例えば、樹脂塗布装置531および樹脂塗布装置541に供給する紫外線硬化型樹脂の温度、紫外線硬化型樹脂を加圧供給する際の圧力、紫外線硬化型樹脂を格納するタンクの温度、UV光源533、543のUV光源の強度、テープ層被覆装置53およびバインド層被覆装置54の内部温度、光ファイバ着色心線1の表面温度、一括型光ファイバテープ心線2の表面温度、分割型光ファイバテープ心線3の表面温度等であり得る。
【0052】
制御装置7は、オペレータの操作によって製造装置5の制御パラメータを受け付け、製造装置5を制御する。また、制御装置7は、センサI/F709を介して製造装置5に設けられたセンサ(図示せず)から情報を受信し、ガイドローラ52A、52B、52C、52Dおよびガイドローラ55の搬送速度、樹脂塗布装置531および樹脂塗布装置541に供給する紫外線硬化型樹脂を格納するタンクの温度、光ファイバ着色心線1の表面温度、一括型光ファイバテープ心線2の表面温度、分割型光ファイバテープ心線3の表面温度、テープ層被覆装置53の内部温度、バインド層被覆装置54の内部温度等を計算して、製造装置5の制御に反映することもできる。
【0053】
図6は、本実施形態における分割型光ファイバテープ心線3の製造方法のフローチャートである。まず、光ファイバ母材を線引き装置(図示せず)に設置する(ステップS101)。光ファイバ母材をヒータで加熱し、光ファイバ裸線11を線引きする(ステップS102)。線引きした光ファイバ裸線11の外周に紫外線硬化型樹脂を塗布し、紫外線を照射することで、プライマリ層12を形成する(ステップS103)。プライマリ層12の外周に紫外線硬化型樹脂を塗布し、紫外線を照射することで、セカンダリ層13を形成する(ステップS104)。ステップS101~S104までの工程によって、光ファイバ素線が得られる。光ファイバ素線の外周に着色した紫外線硬化型樹脂を塗布し、紫外線を照射することで、着色層14を形成する(ステップS105)。ステップS101~S105までの工程によって、光ファイバ着色心線1が得られる。製造された光ファイバ着色心線1は、心線保持装置51に巻き取られる。なお、ステップS101~S105の程は、光ファイバ着色心線1A、1B、1C、1Dごとに行われる。
【0054】
製造装置5は心線保持装置51A、51B、51C、51Dからテープ層被覆装置53に光ファイバ着色心線1A、1B、1C、1Dを搬入し、テープ層被覆装置53が光ファイバ着色心線1A、1Bにテープ層21を形成し、光ファイバ着色心線1C、1Dにテープ層21を形成する(ステップS106)。光ファイバ着色心線1A、1Bの外周および光ファイバ着色心線1C、1Dの外周にテープ層21を形成することによって、一括型光ファイバテープ心線2A、2Bが得られる。なお、ステップS106におけるテープ層21の具体的な形成工程を、
図7で詳細に説明する。
【0055】
製造装置5はテープ層被覆装置53からバインド層被覆装置54に一括型光ファイバテープ心線2A、2Bを搬入し、バインド層被覆装置54が一括型光ファイバテープ心線2A、2Bにバインド層31を形成する(ステップS107)。一括型光ファイバテープ心線2A、2Bの外周にバインド層31を形成することによって、分割型光ファイバテープ心線3が得られる。分割型光ファイバテープ心線3は、巻取り装置56に巻き取られる。なお、ステップS107におけるバインド層31の具体的な形成工程を、
図8で詳細に説明する。
【0056】
図7は、本実施形態におけるテープ層21の製造方法のフローチャートである。まず、製造装置5は、UV光源533の光源出力、紫外線硬化型樹脂への紫外線の照射時間、紫外線硬化型樹脂の温度等を設定する(ステップS201)。UV光源533の出力は、UV光源533の最大出力を100%として、0~100%の範囲で設定される。紫外線硬化型樹脂への紫外線の照射時間は、光ファイバ着色心線1A、1B、1C、1Dが紫外線照射装置532を通過する際の線速を制御することによって設定される。また、
図4において説明したように、複数の紫外線照射装置532を設けることによって、紫外線硬化型樹脂への紫外線の照射時間を制御することもできる。紫外線硬化型樹脂の温度は、オペレータ等が制御装置7を介して設定する。所定の温度は、例えば、室温~50℃の範囲でありうる。
【0057】
製造装置5は、ステップS201において設定した紫外線硬化型樹脂の温度に基づき、テープ層被覆装置53に保持される紫外線硬化型樹脂が所定の温度になるように、紫外線硬化型樹脂を加熱する(ステップS202)。紫外線硬化型樹脂は、テープ層被覆装置53の内部において加熱されてもよく、紫外線硬化型樹脂を収納し、テープ層被覆装置53に紫外線硬化型樹脂を供給するタンク(図示せず)等において加熱されてもよい。光ファイバ着色心線1A、1B、1C、1Dに紫外線硬化型樹脂を塗布する際に、紫外線硬化型樹脂の温度がステップS201において設定した温度であるように紫外線硬化型樹脂が加熱されることが好ましい。紫外線硬化型樹脂の温度は、熱電対型の温度計を用いて測定される。
【0058】
紫外線硬化型樹脂の温度が所定の温度に達すると、製造装置5は、心線保持装置51に巻き取られた光ファイバ着色心線1A、1B、1C、1Dをテープ層被覆装置53に搬送する。テープ層被覆装置53は、樹脂塗布装置531において光ファイバ着色心線1A、1Bの外周および光ファイバ着色心線1C、1Dの外周に紫外線硬化型樹脂を塗布する(ステップS203)。さらに、紫外線照射装置532は、所定の照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、光ファイバ着色心線1A、1Bの外周および光ファイバ着色心線1C、1Dの外周にテープ層21を形成する(ステップS204)。紫外線照射装置532に設けられるUV光源は、例えば、水銀ランプ、UV-LED光源等でありうる。
【0059】
ステップS201~S204の工程により、光ファイバ着色心線1A、1Bの外周および光ファイバ着色心線1C、1Dの外周にテープ層21が形成され、一括型光ファイバテープ心線2A、2Bが得られる。ステップS201において、UV光源533の出力が調整され、紫外線硬化型樹脂への紫外線の照射時間が調整され、ステップS202において、紫外線硬化型樹脂が加熱されることにより、ステップS204において紫外線硬化型樹脂が硬化反応する際の温度およびテープ層21の転化率を制御することができる。例えば、紫外線の波長395nmにおける紫外線硬化型樹脂の吸光度が0.22であり、紫外線硬化型樹脂の温度が50.0℃であり、UV光源の出力が75%であり、紫外線硬化型樹脂への紫外線の照射時間が54msecである場合、紫外線を照射した直後のテープ層21の表面温度は約93.6℃であり、テープ層21の転化率は85.1%でありうる。紫外線の波長395nmにおける紫外線硬化型樹脂の吸光度が0.07であり、紫外線硬化型樹脂の温度が50.0℃であり、UV光源の出力が100%であり、紫外線硬化型樹脂への紫外線の照射時間が108msecである場合、紫外線を照射した直後のテープ層21の表面温度は約122.0℃であり、テープ層21の転化率は84.1%でありうる。なお、テープ層21の表面温度は、一括型光ファイバテープ心線2A、2Bが紫外線照射装置532から搬出される際に、
図4に示すUV光源533の出口534において、非接触式の温度計を用いて測定される。
【0060】
上述したように、光ファイバ着色心線の外周にテープ層を形成する際の紫外線硬化型樹脂の吸光度、光ファイバ着色心線の供給温度、紫外線硬化型樹脂の温度、UV光源の出力、および紫外線硬化型樹脂への紫外線の照射時間を適切に設定することにより、紫外線硬化型樹脂が硬化反応する際の温度およびテープ層の転化率を制御することができる。これにより、分割型光ファイバテープ心線の分割性を向上させることができる。
【0061】
図8は、本実施形態におけるバインド層31の製造方法のフローチャートである。まず、製造装置5は、UV光源543の光源出力、紫外線硬化型樹脂への紫外線の照射時間を設定する(ステップS301)。UV光源543の出力は、UV光源543の最大出力を100%として、0~100%の範囲で設定される。バインド層31を形成する際のUV光源543の出力は、テープ層21を形成する際のUV光源533の出力よりも小さいことが好ましい。
【0062】
紫外線硬化型樹脂への紫外線の照射時間は、一括型光ファイバテープ心線2A、2Bが紫外線照射装置542を通過する際の線速を制御することによって設定される。バインド層31を形成する際の紫外線硬化型樹脂への紫外線の照射時間は、テープ層21を形成する際の紫外線硬化型樹脂への紫外線の照射時間よりも短いことが好ましい。テープ層被覆装置53において複数の紫外線照射装置532を設けることにより、バインド層31を形成する際の紫外線の照射時間を、テープ層21を形成する際の紫外線の照射時間より短くしてもよい。例えば、テープ層被覆装置53において2つの紫外線照射装置532を設け、バインド層被覆装置54において1つの紫外線照射装置542を設ける場合、バインド層31を形成する際の紫外線の照射時間はテープ層21を形成する際の紫外線の照射時間のおよそ半分になる。さらに、紫外線硬化型樹脂の温度を設定してもよく、例えば、紫外線硬化型樹脂の温度は室温等でありうる。
【0063】
製造装置5は、一括型光ファイバテープ心線2A、2Bをテープ層被覆装置53からバインド層被覆装置54に搬送する。バインド層被覆装置54は、樹脂塗布装置541において一括型光ファイバテープ心線2A、2Bの外周に紫外線硬化型樹脂を塗布する(ステップS302)。なお、紫外線硬化型樹脂を塗布する際に、紫外線硬化型樹脂を所定の温度になるように加熱してもよい。紫外線硬化型樹脂は、バインド層被覆装置54の内部において加熱されてもよく、紫外線硬化型樹脂を収納し、バインド層被覆装置54に紫外線硬化型樹脂を供給するタンク(図示せず)等において加熱されてもよい。さらに、紫外線照射装置542は、所定の照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、一括型光ファイバテープ心線2A、2Bの外周にバインド層31を形成する(ステップS303)。紫外線照射装置542に設けられるUV光源は、例えば、水銀ランプ、UV-LED光源等でありうる。
【0064】
ステップS301~S303の工程により、一括型光ファイバテープ心線2A、2Bの外周にバインド層31が形成され、分割型光ファイバテープ心線3が得られる。ステップS301において、UV光源543の出力が調整され、紫外線硬化型樹脂への紫外線の照射時間が調整されることにより、ステップS303において紫外線硬化型樹脂が硬化反応する際のバインド層31の転化率を制御することができる。例えば、UV光源の出力が40%であり、紫外線硬化型樹脂への紫外線の照射時間が27msecである場合、バインド層31の転化率は80.6%でありうる。UV光源の出力が20%であり、紫外線硬化型樹脂への紫外線の照射時間が54msecである場合、バインド層31の転化率は83.0%でありうる。
【0065】
着色層14とテープ層21との密着が強く(化学結合が多く)、テープ層21とバインド層31との密着が弱い(化学結合が少ない)場合、テープ層21が光ファイバ着色心線1から容易に剥離せず、バインド層31が一括型光ファイバテープ心線2から容易に剥離する。したがって、テープ層21の転化率を高くし、バインド層31の転化率を低くすることによって、分割型光ファイバテープ心線3の分割性を向上させることができる。
【0066】
テープ層を形成する際の紫外線硬化型樹脂の吸光度、光ファイバ着色心線の供給温度、紫外線硬化型樹脂の温度、UV光源の出力、および紫外線硬化型樹脂への紫外線の照射時間だけでなく、さらに一括型光ファイバテープ心線の外周にバインド層を形成する際のUV光源の出力および紫外線硬化型樹脂への紫外線の照射時間を適切に設定することにより、紫外線硬化型樹脂が硬化反応する際のバインド層の転化率を制御することができる。これにより、分割型光ファイバテープ心線の分割性をさらに向上させることができる。
【0067】
また、水銀ランプのUV光に比べて、UV-LED光源のUV光はIR光を含まないので、紫外線硬化型樹脂の硬化の際にテープ層の硬化温度が低くなり、硬化反応性が低下し得る。このため、UV-LED光源を用いてテープ層を形成する場合、テープ層を適切に硬化することが困難になり、分割型光ファイバテープ心線の分割性が悪化しうる。本実施形態においては、テープ層の硬化温度を適切な温度範囲に制御することにより、UV-LED光源を用いてテープ層を硬化する場合においても、分割型光ファイバテープ心線の分割性を向上させることができる。
【0068】
[第1実施形態]
表1は、第1実施形態において、紫外線の波長395nmについての50μm厚におけるテープ層21を形成する紫外線硬化型樹脂の吸光度、分割型光ファイバテープ心線3の製造時における光ファイバ着色心線1を供給する際の温度、テープ層21を形成する紫外線硬化型樹脂の温度、テープ層被覆装置53におけるUV光源533の光源出力および紫外線硬化型樹脂への紫外線の照射時間、テープ層21を形成した直後のテープ層21の表面温度(
図4の紫外線照射装置532の出口534において測定)、分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価を示す表である。
【0069】
【0070】
図6~8に示す分割型光ファイバテープ心線3の製造方法に基づき、
図3A、3Bに示す分割型光ファイバテープ心線3を製造した。さらに、製造した分割型光ファイバテープ心線3の分割性を評価した。本実施形態において、2本(N=2)の一括型光ファイバテープ心線2A、2Bを備える分割型光ファイバテープ心線3を用いた。なお、室温は24.0~28.0℃の範囲であった。
【0071】
本実施形態において、ヤング率が500~1400MPaの範囲である紫外線硬化型樹脂をテープ層21に用い、ヤング率が30~110MPaの範囲である紫外線硬化型樹脂をバインド層31に用いた。バインド層31に用いた紫外線硬化型樹脂は、UV光源533の波長に対して吸収を有する。
【0072】
紫外線照射に用いるUV光源533はUV-LED光源であり、UV光源533の波長は395±10nmであった。熱電対型の温度計を用いて紫外線硬化型樹脂の温度を測定し、非接触式の温度計を用いて光ファイバ着色心線1およびテープ層21の表面温度を測定した。非接触式の温度計は、放射率を0.96に設定したサーモグラフィであった。
【0073】
テープ層21の転化率は、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR:Fourier Transform Infrared Spectroscopy)の顕微ATR(Attenuated Total Reflection)法で測定した。転化率は1500cm-1付近のピーク面積を基準として、810cm-1付近のピーク面積がUV硬化前の紫外線硬化型樹脂の状態からUV硬化後にどの程度減少するかを測定した。
【0074】
分割型光ファイバテープ心線3の分割性に関して、専用治具(例えば、QSテープ単心分離工具QS101)のメッシュ部分を用いて分割型光ファイバテープ心線3の端部以外の所定の範囲のバインド層31を摩擦し、摩擦する回数が5回以内で分割型光ファイバテープ心線3を一括型光ファイバテープ心線2A、2Bに分割できるか否かを評価した(分割性の評価方法)。分割型光ファイバテープ心線3を一括型光ファイバテープ心線2A、2Bに分割する際に、一括型光ファイバテープ心線2A、2Bにおいてテープ層21の剥がれ等がない、またはテープ層21が破損して光ファイバ着色心線1が単心分離することなく、一括型光ファイバテープ心線2A、2Bに分割することができれば、分割性の評価に合格するもの(OK評価)とした。なお、テープ層21の破損が目視できる程度にテープ層21の破損が大きい場合、分割性の評価において不合格(NG評価)とした。
【0075】
図9A~
図9Fに分割型光ファイバテープ心線3を一括型光ファイバテープ心線2A、2Bに分割した際の一例を示す。
図9A~
図9Eは分割性の評価における合格(OK評価)の例を示し、
図9Fは分割性の評価における不合格(NG評価)の例を示す。
【0076】
図9Aの例では、バインド層31の断面部において、一括型光ファイバテープ心線2A、2Bのそれぞれにバインド層31の切片が残留しているものの、一括型光ファイバテープ心線2A、2Bのテープ層21には破損がない。
図9Bの例でも同様に、バインド層31の断面部において、一括型光ファイバテープ心線2A、2Bのそれぞれにバインド層31の切片が残留しているものの、テープ層21には破損がない。したがって、
図9Aおよび
図9Bの例は、分割性の評価においてOK評価になる。
【0077】
図9Cの例では、バインド層31の断面部において、一括型光ファイバテープ心線2Aにバインド層31の切片が残留しているが、一括型光ファイバテープ心線2A、2Bのテープ層21には破損がない。
図9Dの例でも同様に、一括型光ファイバテープ心線2Bにバインド層31の切片が残留しているが、一括型光ファイバテープ心線2A、2Bのテープ層21には破損がない。したがって、
図9Cおよび
図9Dの例は、分割性の評価においてOK評価になる。
【0078】
図9Eの例では、一括型光ファイバテープ心線2A、2Bからバインド層31の切片が分離しているものの、一括型光ファイバテープ心線2A、2Bのテープ層21に破損がない。したがって、
図9Eの例は、分割性の評価においてOK評価になる。
【0079】
図9Fの例では、一括型光ファイバテープ心線2A、2Bのテープ層21が破損し、さらに光ファイバ着色心線1Aが一括型光ファイバテープ心線2Aから分離している。したがって、
図9Fの例は、分割性の評価においてNG評価になる。なお、
図9Fの例以外にも、一括型光ファイバテープ心線2Aと一括型光ファイバテープ心線2Bとを分割できない場合、目視できる程度にテープ層21が破損した場合、テープ層21が破損して一括型光ファイバテープ心線2A、2Bから光ファイバ着色心線1が分離するような場合、光ファイバ着色心線1A、1B、1C、1Dが破損した場合など、分割性の評価においてNG評価になる。
【0080】
本実施形態では、光ファイバ着色心線1A、1B、1C、1Dは、光ファイバの長さ方向においてテープ層21によって連続的に連結されている。光ファイバ着色心線1A、1B、1C、1Dが光ファイバの長さ方向においてテープ層21によって連続的に連結されている場合、光ファイバ着色心線1A、1B、1C、1Dが光ファイバの長さ方向においてテープ層21によって間欠的に連結されている場合に比べて、テープ層21に用いられる紫外線硬化型樹脂にヤング率が高い紫外線硬化型樹脂が選ばれ、テープ層21に用いられる紫外線硬化型樹脂の量が多くなる。このため、紫外線型硬化型樹脂を硬化する際の難易度がより高くなる。さらに、複数の一括型光ファイバテープ心線2A、2Bがバインド層31によって連結されている。バインド層31を取り除く際に、バインド層31のみを取り除き、テープ層21を破損しないように、テープ層21とバインド層31とがそれぞれ適切に硬化されることが望ましい。
【0081】
[実施例1]
波長395nmに対する吸光度が0.37である紫外線硬化型樹脂を35.0℃に加熱し、室温と同じ温度の光ファイバ着色心線1に塗布した。その後、UV光源533の出力を75%に設定し、紫外線照射装置532を用いて54msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、テープ層21を形成した。紫外線を照射した直後のテープ層21の表面温度は92.4℃であった。さらに、
図8に示す工程でバインド層31を形成して分割型光ファイバテープ心線3を製造し、前述の評価方法により分割性の評価を行った。分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はOKであった。
【0082】
[実施例2]
波長395nmに対する吸光度が0.37である紫外線硬化型樹脂を50.0℃に加熱し、室温と同じ温度の光ファイバ着色心線1に塗布した。その後、UV光源533の出力を100%に設定し、紫外線照射装置532を用いて162msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、テープ層21を形成した。紫外線を照射した直後のテープ層21の表面温度は140.0℃であった。さらに、
図8に示す工程でバインド層31を形成して分割型光ファイバテープ心線3を製造し、前述の評価方法により分割性の評価を行った。分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はOKであった。
【0083】
[実施例3]
波長395nmに対する吸光度が0.37である紫外線硬化型樹脂を50.0℃に加熱し、室温と同じ温度の光ファイバ着色心線1に塗布した。その後、UV光源533の出力を75%に設定し、紫外線照射装置532を用いて162msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、テープ層21を形成した。紫外線を照射した直後のテープ層21の表面温度は128.3℃であった。さらに、
図8に示す工程でバインド層31を形成して分割型光ファイバテープ心線3を製造し、前述の評価方法により分割性の評価を行った。分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はOKであった。
【0084】
[実施例4]
波長395nmに対する吸光度が0.22である紫外線硬化型樹脂を50.0℃に加熱し、室温と同じ温度の光ファイバ着色心線1に塗布した。その後、UV光源533の出力を75%に設定し、紫外線照射装置532を用いて54msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、テープ層21を形成した。紫外線を照射した直後のテープ層21の表面温度は93.6℃であった。さらに、
図8に示す工程でバインド層31を形成して分割型光ファイバテープ心線3を製造し、前述の評価方法により分割性の評価を行った。分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はOKであった。
【0085】
[実施例5]
波長395nmに対する吸光度が0.15である紫外線硬化型樹脂を50.0℃に加熱し、室温と同じ温度の光ファイバ着色心線1に塗布した。その後、UV光源533の出力を75%に設定し、紫外線照射装置532を用いて54msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、テープ層21を形成した。紫外線を照射した直後のテープ層21の表面温度は89.9℃であった。さらに、
図8に示す工程でバインド層31を形成して分割型光ファイバテープ心線3を製造し、前述の評価方法により分割性の評価を行った。分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はOKであった。
【0086】
[実施例6]
波長395nmに対する吸光度が0.10である紫外線硬化型樹脂を50.0℃に加熱し、室温と同じ温度の光ファイバ着色心線1に塗布した。その後、UV光源533の出力を75%に設定し、紫外線照射装置532を用いて54msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、テープ層21を形成した。紫外線を照射した直後のテープ層21の表面温度は89.5℃であった。さらに、
図8に示す工程でバインド層31を形成して分割型光ファイバテープ心線3を製造し、前述の評価方法により分割性の評価を行った。分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はOKであった。
【0087】
[実施例7]
波長395nmに対する吸光度が0.10である紫外線硬化型樹脂を50.0℃に加熱し、室温と同じ温度の光ファイバ着色心線1に塗布した。その後、UV光源533の出力を38%に設定し、紫外線照射装置532を用いて108msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、テープ層21を形成した。紫外線を照射した直後のテープ層21の表面温度は88.0℃であった。さらに、
図8に示す工程でバインド層31を形成して分割型光ファイバテープ心線3を製造し、前述の評価方法により分割性の評価を行った。分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はOKであった。
【0088】
[実施例8]
波長395nmに対する吸光度が0.07である紫外線硬化型樹脂を50.0℃に加熱し、室温と同じ温度の光ファイバ着色心線1に塗布した。その後、UV光源533の出力を100%に設定し、紫外線照射装置532を用いて108msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、テープ層21を形成した。紫外線を照射した直後のテープ層21の表面温度は122.0℃であった。さらに、
図8に示す工程でバインド層31を形成して分割型光ファイバテープ心線3を製造し、前述の評価方法により分割性の評価を行った。分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はOKであった。
【0089】
[比較例1]
波長395nmに対する吸光度が0.10である紫外線硬化型樹脂を室温状態に加熱し、室温と同じ温度の光ファイバ着色心線1に塗布した。その後、UV光源533の出力を75%に設定し、紫外線照射装置532を用いて54msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、テープ層21を形成した。紫外線を照射した直後のテープ層21の表面温度は82.1℃であった。さらに、
図8に示す工程でバインド層31を形成して分割型光ファイバテープ心線3を製造し、前述の評価方法により分割性の評価を行った。分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はNGであった。
【0090】
[比較例2]
波長395nmに対する吸光度が0.07である紫外線硬化型樹脂を50℃に加熱し、室温と同じ温度の光ファイバ着色心線1に塗布した。その後、UV光源533の出力を75%に設定し、紫外線照射装置532を用いて54msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、テープ層21を形成した。紫外線を照射した直後のテープ層21の表面温度は86.8℃であった。さらに、
図8に示す工程でバインド層31を形成して分割型光ファイバテープ心線3を製造し、前述の評価方法により分割性の評価を行った。分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はNGであった。
【0091】
[比較例3]
波長395nmに対する吸光度が0.15である紫外線硬化型樹脂を50℃に加熱し、室温と同じ温度の光ファイバ着色心線1に塗布した。その後、UV光源533の出力を38%に設定し、紫外線照射装置532を用いて54msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、テープ層21を形成した。紫外線を照射した直後のテープ層21の表面温度は75.0℃であった。さらに、
図8に示す工程でバインド層31を形成して分割型光ファイバテープ心線3を製造し、前述の評価方法により分割性の評価を行った。分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はNGであった。
【0092】
[比較例4]
波長395nmに対する吸光度が0.37である紫外線硬化型樹脂を50℃に加熱し、室温と同じ温度の光ファイバ着色心線1に塗布した。その後、UV光源533の出力を25%に設定し、紫外線照射装置532を用いて162msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、テープ層21を形成した。紫外線を照射した直後のテープ層21の表面温度は87.5℃であった。さらに、
図8に示す工程でバインド層31を形成して分割型光ファイバテープ心線3を製造し、前述の評価方法により分割性の評価を行った。分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はNGであった。
【0093】
本実施形態における実施例1~8に示すように、波長395nmに対する紫外線硬化型樹脂の吸光度を0.07~0.37の範囲内で選択し、紫外線硬化型樹脂の温度を35.0℃~50℃の範囲内で加熱し、光ファイバ着色心線1の温度を室温~50℃の範囲内で加熱した。テープ層被覆装置53において、UV光源533の出力を38~100%の範囲内で設定し、紫外線の照射時間を54~162msecの範囲内で設定し、光ファイバ着色心線1にテープ層21を形成した。テープ層21を形成した直後のテープ層21の表面温度は約88℃~約140℃であった。実施例1~8の条件で製造した一括型光ファイバテープ心線2を用いた分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はOKであった。このように、光ファイバ着色心線1に紫外線硬化型樹脂を塗布する際に、光ファイバ着色心線1および紫外線硬化型樹脂を適切な温度範囲に加熱し、UV光源の出力および紫外線の照射時間を適切に設定することにより、紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射する際のテープ層21の温度を適切な温度範囲に制御し、紫外線硬化型樹脂を適切に硬化することができる。これにより、分割性がよい分割型光ファイバテープ心線3の製造方法を提供することができる。
【0094】
[第2実施形態]
続いて、第2実施形態における分割型光ファイバテープ心線3の製造条件等について説明する。以下、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0095】
表2は、第2実施形態において、紫外線の波長395nmについての50μm厚におけるテープ層21を形成する紫外線硬化型樹脂の吸光度、分割型光ファイバテープ心線3の製造時における光ファイバ着色心線1を供給する際の温度、テープ層21を形成する紫外線硬化型樹脂の温度、テープ層被覆装置53におけるUV光源533の光源出力および紫外線硬化型樹脂への紫外線の照射時間、バインド層被覆装置54におけるUV光源543の光源出力および紫外線硬化型樹脂への紫外線の照射時間、テープ層21を形成した直後のテープ層21の表面温度(
図4の紫外線照射装置532の出口534において測定)、テープ層21とバインド層31との境界面におけるテープ層21の転化率および分割型光ファイバテープ心線3の最外面におけるバインド層31の転化率、分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価を示す表である。
【0096】
【0097】
本実施形態において、紫外線照射に用いるUV光源533およびUV光源543はUV-LED光源であり、UV光源533の波長およびUV光源543の波長は395±10nmであった。なお、分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価方法は、第1実施形態と同様の評価方法である。
【0098】
[実施例1]
波長395nmに対する吸光度が0.32である紫外線硬化型樹脂を50.0℃に加熱し、室温と同じ温度の光ファイバ着色心線1に塗布した。その後、テープ層被覆装置53におけるUV光源533の出力を75%に設定し、紫外線照射装置532を用いて54msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、テープ層21を形成した。紫外線を照射した直後のテープ層21の表面温度は92.8℃であった。さらに、バインド層被覆装置54におけるUV光源543の出力を40%に設定し、紫外線照射装置542を用いて27msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、バインド層31を形成した。製造した分割型光ファイバテープ心線3のテープ層21の転化率は94.0%であり、バインド層31の転化率は79.3%であった。分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はOKであった。
【0099】
[実施例2]
波長395nmに対する吸光度が0.30である紫外線硬化型樹脂を50.0℃に加熱し、室温と同じ温度の光ファイバ着色心線1に塗布した。その後、テープ層被覆装置53におけるUV光源533の出力を75%に設定し、紫外線照射装置532を用いて54msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、テープ層21を形成した。紫外線を照射した直後のテープ層21の表面温度は100.0℃であった。さらに、バインド層被覆装置54におけるUV光源543の出力を40%に設定し、紫外線照射装置542を用いて27msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、バインド層31を形成した。製造した分割型光ファイバテープ心線3のテープ層21の転化率は94.3%であり、バインド層31の転化率は79.8%であった。分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はOKであった。
【0100】
[実施例3]
波長395nmに対する吸光度が0.30である紫外線硬化型樹脂を35.0℃に加熱し、室温と同じ温度の光ファイバ着色心線1に塗布した。その後、テープ層被覆装置53におけるUV光源533の出力を75%に設定し、紫外線照射装置532を用いて54msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、テープ層21を形成した。紫外線を照射した直後のテープ層21の表面温度は90.0℃であった。さらに、バインド層被覆装置54におけるUV光源543の出力を40%に設定し、紫外線照射装置542を用いて27msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、バインド層31を形成した。製造した分割型光ファイバテープ心線3のテープ層21の転化率は91.1%であり、バインド層31の転化率は79.5%であった。分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はOKであった。
【0101】
[実施例4]
波長395nmに対する吸光度が0.30である紫外線硬化型樹脂を50.0℃に加熱し、室温と同じ温度の光ファイバ着色心線1に塗布した。その後、テープ層被覆装置53におけるUV光源533の出力を75%に設定し、紫外線照射装置532を用いて54msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、テープ層21を形成した。紫外線を照射した直後のテープ層21の表面温度は100.0℃であった。さらに、バインド層被覆装置54におけるUV光源543の出力を20%に設定し、紫外線照射装置542を用いて27msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、バインド層31を形成した。製造した分割型光ファイバテープ心線3のテープ層21の転化率は93.7%であり、バインド層31の転化率は75.2%であった。分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はOKであった。
【0102】
[実施例5]
波長395nmに対する吸光度が0.22である紫外線硬化型樹脂を50.0℃に加熱し、室温と同じ温度の光ファイバ着色心線1に塗布した。その後、テープ層被覆装置53におけるUV光源533の出力を75%に設定し、紫外線照射装置532を用いて54msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、テープ層21を形成した。紫外線を照射した直後のテープ層21の表面温度は93.6℃であった。さらに、バインド層被覆装置54におけるUV光源543の出力を40%に設定し、紫外線照射装置542を用いて27msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、バインド層31を形成した。製造した分割型光ファイバテープ心線3のテープ層21の転化率は85.1%であり、バインド層31の転化率は80.6%であった。分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はOKであった。
【0103】
[実施例6]
波長395nmに対する吸光度が0.15である紫外線硬化型樹脂を50.0℃に加熱し、室温と同じ温度の光ファイバ着色心線1に塗布した。その後、テープ層被覆装置53におけるUV光源533の出力を75%に設定し、紫外線照射装置532を用いて54msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、テープ層21を形成した。紫外線を照射した直後のテープ層21の表面温度は89.9℃であった。さらに、バインド層被覆装置54におけるUV光源543の出力を40%に設定し、紫外線照射装置542を用いて27msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、バインド層31を形成した。製造した分割型光ファイバテープ心線3のテープ層21の転化率は83.9%であり、バインド層31の転化率は80.3%であった。分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はOKであった。
【0104】
[実施例7]
波長395nmに対する吸光度が0.10である紫外線硬化型樹脂を50.0℃に加熱し、室温と同じ温度の光ファイバ着色心線1に塗布した。その後、テープ層被覆装置53におけるUV光源533の出力を75%に設定し、紫外線照射装置532を用いて54msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、テープ層21を形成した。紫外線を照射した直後のテープ層21の表面温度は89.5℃であった。さらに、バインド層被覆装置54におけるUV光源543の出力を40%に設定し、紫外線照射装置542を用いて27msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、バインド層31を形成した。製造した分割型光ファイバテープ心線3のテープ層21の転化率は82.6%であり、バインド層31の転化率は78.9%であった。分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はOKであった。
【0105】
[実施例8]
波長395nmに対する吸光度が0.10である紫外線硬化型樹脂を50.0℃に加熱し、室温と同じ温度の光ファイバ着色心線1に塗布した。その後、テープ層被覆装置53におけるUV光源533の出力を38%に設定し、紫外線照射装置532を用いて108msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、テープ層21を形成した。紫外線を照射した直後のテープ層21の表面温度は88.0℃であった。さらに、バインド層被覆装置54におけるUV光源543の出力を20%に設定し、紫外線照射装置542を用いて54msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、バインド層31を形成した。製造した分割型光ファイバテープ心線3のテープ層21の転化率は81.9%であり、バインド層31の転化率は82.0%であった。分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はOKであった。
【0106】
[実施例9]
波長395nmに対する吸光度が0.07である紫外線硬化型樹脂を50.0℃に加熱し、室温と同じ温度の光ファイバ着色心線1に塗布した。その後、テープ層被覆装置53におけるUV光源533の出力を100%に設定し、紫外線照射装置532を用いて108msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、テープ層21を形成した。紫外線を照射した直後のテープ層21の表面温度は122.0℃であった。さらに、バインド層被覆装置54におけるUV光源543の出力を20%に設定し、紫外線照射装置542を用いて54msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、バインド層31を形成した。製造した分割型光ファイバテープ心線3のテープ層21の転化率は84.1%であり、バインド層31の転化率は83.0%であった。分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はOKであった。
【0107】
[比較例1]
波長395nmに対する吸光度が0.07である紫外線硬化型樹脂を50.0℃に加熱し、室温と同じ温度の光ファイバ着色心線1に塗布した。その後、テープ層被覆装置53におけるUV光源533の出力を75%に設定し、紫外線照射装置532を用いて54msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、テープ層21を形成した。紫外線を照射した直後のテープ層21の表面温度は86.8℃であった。さらに、バインド層被覆装置54におけるUV光源543の出力を40%に設定し、紫外線照射装置542を用いて27msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、バインド層31を形成した。製造した分割型光ファイバテープ心線3のテープ層21の転化率は81.7%であり、バインド層31の転化率は80.1%であった。分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はNGであった。
【0108】
比較例1および実施例9の紫外線硬化型樹脂は同じ吸光度を有するが、実施例9におけるUV光源533の出力に対して比較例1におけるUV光源533の出力が小さい。これにより、比較例1におけるテープ層21の転化率が実施例9におけるテープ層21の転化率に比べて小さくなり、分割型光ファイバテープ心線3の分割性が悪くなった。
【0109】
[比較例2]
波長395nmに対する吸光度が0.15である紫外線硬化型樹脂を室温に加熱し、室温と同じ温度の光ファイバ着色心線1に塗布した。その後、テープ層被覆装置53におけるUV光源533の出力を75%に設定し、紫外線照射装置532を用いて54msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、テープ層21を形成した。紫外線を照射した直後のテープ層21の表面温度は86.0℃であった。さらに、バインド層被覆装置54におけるUV光源543の出力を40%に設定し、紫外線照射装置542を用いて27msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、バインド層31を形成した。製造した分割型光ファイバテープ心線3のテープ層21の転化率は81.6%であり、バインド層31の転化率は79.6%であった。分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はNGであった。
【0110】
比較例2および実施例6の紫外線硬化型樹脂は同じ吸光度を有するが、比較例2におけるテープ層21の紫外線硬化型樹脂の温度が実施例6におけるテープ層21の紫外線硬化型樹脂の温度よりも低い。これにより、テープ層21の硬化温度が低くなり、テープ層21の転化率が小さくなり、分割型光ファイバテープ心線3の分割性が悪くなった。
【0111】
[比較例3]
波長395nmに対する吸光度が0.22である紫外線硬化型樹脂を50.0℃に加熱し、室温と同じ温度の光ファイバ着色心線1に塗布した。その後、テープ層被覆装置53におけるUV光源533の出力を50%に設定し、紫外線照射装置532を用いて54msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、テープ層21を形成した。紫外線を照射した直後のテープ層21の表面温度は88.0℃であった。さらに、バインド層被覆装置54におけるUV光源543の出力を75%に設定し、紫外線照射装置542を用いて27msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、バインド層31を形成した。製造した分割型光ファイバテープ心線3のテープ層21の転化率は83.5%であり、バインド層31の転化率は84.4%であった。分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はNGであった。
【0112】
比較例3および実施例6のテープ層21の転化率はそれぞれ83.5%および83.9%であり、ほぼ同じである。比較例3におけるバインド層31の転化率が実施例6におけるバインド層31の転化率に比べて大きくなり、分割型光ファイバテープ心線3の分割性が悪くなった。
【0113】
[比較例4]
波長395nmに対する吸光度が0.10である紫外線硬化型樹脂を50.0℃に加熱し、室温と同じ温度の光ファイバ着色心線1に塗布した。その後、テープ層被覆装置53におけるUV光源533の出力を25%に設定し、紫外線照射装置532を用いて162msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、テープ層21を形成した。紫外線を照射した直後のテープ層21の表面温度は84.5℃であった。さらに、バインド層被覆装置54におけるUV光源543の出力を20%に設定し、紫外線照射装置542を用いて81msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、バインド層31を形成した。製造した分割型光ファイバテープ心線3のテープ層21の転化率は80.7%であり、バインド層31の転化率は88.9%であった。分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はNGであった。
【0114】
比較例4および実施例7を比較すると、実施例7におけるテープ層21の転化率に比べて、比較例4におけるテープ層21の転化率が小さい。さらに、実施例7におけるバインド層31の転化率に比べて、比較例4におけるバインド層31の転化率が大きい。テープ層21とバインド層31とが適切でない転化率で硬化されたことにより、分割型光ファイバテープ心線3の分割性が悪くなった。
【0115】
本実施形態における実施例1~9に示すように、波長395nmに対する紫外線硬化型樹脂の吸光度を0.07~0.32の範囲内で選択し、紫外線硬化型樹脂の温度を35.0℃~50℃の範囲内で加熱し、光ファイバ着色心線1の温度を室温とした。テープ層被覆装置53において、UV光源533の出力を38~100%の範囲内で設定し、紫外線の照射時間を54~108msecの範囲内で設定し、光ファイバ着色心線1にテープ層21を形成した。テープ層21を形成した直後のテープ層21の表面温度は約88℃~約122℃であった。バインド層被覆装置54において、UV光源543の出力を20~40%の範囲内で設定し、紫外線の照射時間を27~54msecの範囲内で設定し、一括型光ファイバテープ心線2にバインド層31を形成した。実施例1~9の条件で製造した分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はOKであった。
【0116】
このように、光ファイバ着色心線1に紫外線硬化型樹脂を塗布する際に、光ファイバ着色心線1および紫外線硬化型樹脂を適切な温度範囲に加熱し、UV光源533の出力および紫外線の照射時間を適切に設定することにより、紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射する際のテープ層21の温度を適切な温度範囲に制御し、テープ層21を形成する紫外線硬化型樹脂を適切に硬化することができる。さらに、一括型光ファイバテープ心線2に紫外線硬化型樹脂を塗布する際に、UV光源543の出力および紫外線の照射時間を適切に設定することにより、バインド層31を形成する紫外線硬化型樹脂を適切に硬化することができる。これにより、分割性がよい分割型光ファイバテープ心線3を提供することができる。
【0117】
なお、第1実施形態および第2実施形態において、光ファイバ着色心線1および紫外線硬化型樹脂だけでなく、樹脂塗布装置531および樹脂塗布装置541も所定の温度に加熱してもよい。例えば、樹脂塗布装置531および樹脂塗布装置541を紫外線硬化型樹脂の温度と同じ温度に加熱してもよい。紫外線硬化型樹脂の供給管(ノズル)等のように紫外線硬化型樹脂が通過する部分を加熱してもよい。第1実施形態および第2実施形態において、UV光源533およびUV光源543に395nmの波長を備えるUV-LED光源を用いたが、例えば、275nm、365nm、385nm等の波長を備えるUV-LED光源を用いてもよい。
【0118】
第2実施形態において、UV光源543の出力および紫外線の照射時間を設定することにより、バインド層31の転化率を制御したが、他の方法によりバインド層31の転化率を制御してもよい。例えば、バインド層31を形成する紫外線硬化型樹脂の吸光度、バインド層31の硬化温度、バインド層31の硬化時における酸素濃度等を設定することによってもバインド層31の転化率を制御することができる。
【0119】
なお、第1実施形態および第2実施形態において、テープ層被覆装置53のUV光源533はUV-LED光源であったが、UV光源533は、UV-LEDおよび水銀ランプの組み合わせであってもよい。例えば、波長395nmに対する吸光度が0.07である紫外線硬化型樹脂を50.0℃に加熱し、室温と同じ温度の光ファイバ着色心線1に塗布した。その後、テープ層被覆装置53におけるUV光源533として、UV-LED光源による紫外線照射を行った。UV-LED光源の出力を75%に設定し、27msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂にUV-LED光源由来の紫外線を照射した。続いて、テープ層被覆装置53におけるUV光源533として、水銀ランプによる紫外線照射を行った。水銀ランプの出力を100%に設定し、27msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に水銀ランプ由来の紫外線を照射した。以上により、テープ層21を形成した。さらに、バインド層被覆装置54におけるUV光源543の出力を40%に設定し、紫外線照射装置542を用いて27msecの照射時間で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射し、バインド層31を形成した。製造した分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はOKであった。テープ層被覆装置53におけるUV光源533のUV-LED光源と水銀ランプの照射順を入れ替えても分割型光ファイバテープ心線3の分割性の評価はOKであるが、光開始剤を効率的に反応させる観点からUV-LED光源、水銀ランプの順に照射する方が好ましい。
【符号の説明】
【0120】
1 :光ファイバ着色心線
11:光ファイバ素線
12:プライマリ層
13:セカンダリ層
14:着色層
2 :一括型光ファイバテープ心線
21:テープ層
3 :分割型光ファイバテープ心線
31:バインド層
5 :製造装置
53:テープ層被覆装置
54:バインド層被覆装置
7 :制御装置