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特開2024-144037感光性樹脂組成物、これを利用して製造された感光性樹脂膜、カラーフィルター、およびCMOSイメージセンサー
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  • 特開-感光性樹脂組成物、これを利用して製造された感光性樹脂膜、カラーフィルター、およびCMOSイメージセンサー 図1
  • 特開-感光性樹脂組成物、これを利用して製造された感光性樹脂膜、カラーフィルター、およびCMOSイメージセンサー 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144037
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、これを利用して製造された感光性樹脂膜、カラーフィルター、およびCMOSイメージセンサー
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/032 20060101AFI20241003BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20241003BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G03F7/032
G03F7/004 505
G02B5/20 101
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023185464
(22)【出願日】2023-10-30
(31)【優先権主張番号】10-2023-0040646
(32)【優先日】2023-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ヒュクシン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン,ジュホ
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ジヒェ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ウンビ
(72)【発明者】
【氏名】キム,イクジン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ヨンミン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ドンヒュン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ベソン
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
【Fターム(参考)】
2H148BE03
2H148BE22
2H148BF16
2H148BG11
2H148BH02
2H225AC36
2H225AD06
2H225AN39P
2H225AN94P
2H225AN98P
2H225BA05P
2H225BA16P
2H225BA32P
2H225CA17
2H225CB06
2H225CC01
2H225CC13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】感光性樹脂組成物、これを利用して製造された感光性樹脂膜、およびカラーフィルターを提供する。
【解決手段】(A)光重合開始剤、(B)光重合性化合物、(C)着色剤、および(D)溶媒を含み、前記光重合開始剤は、下記化学式で表される第1光重合開始剤および特定の化学式2で表される第2光重合開始剤を含む、感光性樹脂組成物を提供する。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)光重合開始剤、
(B)光重合性化合物、
(C)着色剤、および
(D)溶媒を含み、
前記光重合開始剤は、下記化学式1で表される第1光重合開始剤および下記化学式2で表される第2光重合開始剤を含む、感光性樹脂組成物:
【化1】
(化学式1)
前記化学式1中、
はCR、またはNRであり、前記R、R、およびRはそれぞれ独立して、水素原子、または置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
~Rはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、または置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
~Rはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、または置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、または下記化学式Aで表される置換基であり、前記R~Rのうちの少なくとも一つは下記化学式Aで表される置換基であり、
【化2】
(化学式A)
前記化学式A中、
は単結合または*-C(=O)-*であり、
およびR10はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、または置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
【化3】
(化学式2)
前記化学式2中、
はCR、またはNRであり、ここでR、R、およびRはそれぞれ独立して、水素原子、または置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
11~R14はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、または*-C(=O)-Rであり、前記Rは置換または非置換の炭素数6~20のアリール基であり、前記R11~R14のうちの少なくとも一つはニトロ基または*-C(=O)-Rであり、
15~R18はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、または置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、または下記化学式Bで表される置換基であり、前記R15~R18のうちの少なくとも一つは下記化学式Bで表される置換基であり、
【化4】
(化学式B)
前記化学式B中、
は単結合または*-C(=O)-*であり、
19およびR20はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、または置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【請求項2】
前記R、R、およびRはそれぞれ独立して、メチル基またはn-ブチル基である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記Xは、C(n-Bu)またはN(Et)である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記R~Rは、全て水素原子である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記Rは、前記化学式Aで表される置換基であり、
前記R、R、およびRは、全て水素原子である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記第1光重合開始剤は、下記化学式1-1~1-4のうちのいずれか一つで表される、請求項1に記載の感光性樹脂組成物:
【化5】
(化学式1-1)
【化6】
(化学式1-2)
【化7】
(化学式1-3)
【化8】
(化学式1-4)
前記化学式1-1~1-4中、
前記R~R、R~R10、およびR~Rの定義は請求項1に記載の通りである。
【請求項7】
前記第1光重合開始剤は、下記で表される群より選択される、請求項6に記載の感光性樹脂組成物:
【化9】
(化学式1-1-1)
【化10】
(化学式1-2-1)
【化11】
(化学式1-3-1)
【化12】
(化学式1-4-1)。
【請求項8】
前記R、R、およびRはそれぞれ独立して、エチル基、またはn-ブチル基である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記Xは、C(n-Bu)またはN(Et)である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記R13はニトロ基または*-C(=O)-Rであり、
前記R11、R12、およびR14は、全て水素原子である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
前記R16は前記化学式Bで表される置換基であり、
前記R15、R17、およびR18は、全て水素原子である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項12】
前記第1光重合開始剤は、下記化学式2-1~2-8のうちのいずれか一つで表される、請求項1に記載の感光性樹脂組成物:
【化13】
(化学式2-1)
【化14】
(化学式2-2)
【化15】
(化学式2-3)
【化16】
(化学式2-4)
【化17】
(化学式2-5)
【化18】
(化学式2-6)
【化19】
(化学式2-7)
【化20】
(化学式2-8)
前記化学式2-1~2-8中、
前記R11、R12、R14、R15、R17~R20、およびR~Rの定義は請求項1に記載の通りである。
【請求項13】
前記第2光重合開始剤は、下記で表される群より選択される、請求項12に記載の感光性樹脂組成物:
【化21】
(化学式2-1-1)
【化22】
(化学式2-2-1)
【化23】
(化学式2-3-1)
【化24】
(化学式2-4-1)
【化25】
(化学式2-5-1)
【化26】
(化学式2-6-1)
【化27】
(化学式2-7-1)
【化28】
(化学式2-8-1)。
【請求項14】
前記第1光重合開始剤と前記第2光重合開始剤とは70:30~95:5の重量比で含まれる、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項15】
前記光重合開始剤は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して0.1重量%~5重量%で含まれる、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項16】
前記感光性樹脂組成物は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して、
前記(A)光重合開始剤0.1重量%~5重量%、
前記(B)光重合性化合物0.1重量%~10重量%、
前記(C)着色剤40重量%~90重量%、および
前記(D)溶媒残部量を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項17】
前記感光性樹脂組成物は(E)バインダー樹脂をさらに含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を利用して製造された、感光性樹脂膜。
【請求項19】
請求項18に記載の感光性樹脂膜を含む、カラーフィルター。
【請求項20】
請求項19に記載のカラーフィルターを含む、CMOSイメージセンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、これを利用して製造された感光性樹脂膜、カラーフィルター、およびCMOSイメージセンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
イメージセンサーは、光子を電子に変換してディスプレイで表示するか、保存装置に保存できるようにする半導体に該当する。
【0003】
前記イメージセンサーは、製造工程と応用方式により、固体撮像素子(charge coupled device、CCD)イメージセンサーと相補性金属酸化物半導体(complementary metal oxide semiconductor、CMOS)イメージセンサーとに分類される。
【0004】
前記相補性金属酸化物半導体イメージセンサー(CMOS Image Sensor、CIS)とは、カメラが受け入れたイメージをデジタル信号に変換する非メモリ半導体であって、カラーフィルター、フォトダイオード、増幅器などピクセル(pixel)の集合体である。
【0005】
前記カラーフィルターは、赤色(red)、緑色(green)、および青色(blue)の加法混色のフィルターセグメント(filter segment)を含む。前記カラーフィルターは、着色剤を含有する感光性樹脂組成物を基板または下部の感光性樹脂膜上にコーティングし、形成しようとする形態のパターンを露光した後に現像し、ポストベークを通じて熱硬化させることによって感光性樹脂膜を形成し、このような一連の過程を繰り返すことによって製造することができる。
【0006】
このようなすべての過程が終わった後、最終CISパターンの形状が不規則になるか、ターゲティングした大きさと最終CISパターンの大きさが変わると、CIS素子の性能に問題を起こすことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一実施形態は、CISパターンの形状とプロファイルを改善することができる感光性樹脂組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態は、(A)光重合開始剤、(B)光重合性化合物、(C)着色剤、および(D)溶媒を含み、前記光重合開始剤は、下記化学式1で表される第1光重合開始剤と、下記化学式2で表される第2光重合開始剤と、を含む、感光性樹脂組成物を提供する:
【化1】
(化学式1)
前記化学式1中、
はCR、またはNRであり、前記R、R、およびRはそれぞれ独立して、水素原子、または置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
~Rはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、または置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
~Rはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、または置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、または下記化学式Aで表される置換基であり、前記R~Rのうちの少なくとも一つは下記化学式Aで表される置換基であり、
【化2】
(化学式A)
前記化学式A中、
は単結合または*-C(=O)-*であり、
およびR10はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、または置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
【化3】
(化学式2)
前記化学式2中、
はCR、またはNRであり、ここでR、R、およびRはそれぞれ独立して、水素原子、または置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
11~R14はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、または*-C(=O)-Rであり、前記Rは置換または非置換の炭素数6~20のアリール基であり、前記R11~R14のうちの少なくとも一つはニトロ基または*-C(=O)-Rであり、
15~R18はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、または置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、または下記化学式Bで表される置換基であり、前記R15~R18のうちの少なくとも一つは下記化学式Bで表される置換基であり、
【化4】
(化学式B)
前記化学式B中、
は単結合または*-C(=O)-*であり、
19およびR20はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、または置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【0009】
前記R、R、およびRはそれぞれ独立して、メチル基またはn-ブチル基であり得る。
【0010】
前記XはC(n-Bu)またはN(Et)であり得る。
【0011】
前記R~Rは、全て水素原子であり得る。
【0012】
前記Rは、前記化学式Aで表される置換基であり得る。
【0013】
前記R、R、およびRは、全て水素原子であり得る。
【0014】
前記第1光重合開始剤は、下記化学式1-1~1-4のうちのいずれか一つで表される:
【化5】
(化学式1-1)
【化6】
(化学式1-2)
【化7】
(化学式1-3)
【化8】
(化学式1-4)
前記化学式1-1~1-4中、前記R~R、R~R10、およびR~Rの定義は上述の通りである。
【0015】
前記第1光重合開始剤は、下記で表される群より選択される:
【化9】
(化学式1-1-1)
【化10】
(化学式1-2-1)
【化11】
(化学式1-3-1)
【化12】
(化学式1-4-1)
前記R、R、およびRはそれぞれ独立して、エチル基、またはn-ブチル基であり得る。
【0016】
前記Xは、C(n-Bu)またはN(Et)であり得る。
【0017】
前記R13は、ニトロ基または*-C(=O)-Rであり、前記R11、R12、およびR14は全て水素原子であり得る。
【0018】
前記R16は、前記化学式Bで表される置換基であり、前記R15、R17、およびR18は全て水素原子であり得る。
【0019】
前記第1光重合開始剤は、下記化学式2-1~2-8のうちのいずれか一つで表される:
【化13】
(化学式2-1)
【化14】
(化学式2-2)
【化15】
(化学式2-3)
【化16】
(化学式2-4)
【化17】
(化学式2-5)
【化18】
(化学式2-6)
【化19】
(化学式2-7)
【化20】
(化学式2-8)
前記化学式2-1~2-8中、前記R11、R12、R14、R15、R17~R20、およびR~Rの定義は上述の通りである。
【0020】
前記第2光重合開始剤は、下記で表される群より選択される:
【化21】
(化学式2-1-1)
【化22】
(化学式2-2-1)
【化23】
(化学式2-3-1)
【化24】
(化学式2-4-1)
【化25】
(化学式2-5-1)
【化26】
(化学式2-6-1)
【化27】
(化学式2-7-1)
【化28】
(化学式2-8-1)。
【0021】
前記第1光重合開始剤と前記第2光重合開始剤は70:30~95:5の重量比で含まれる。
【0022】
前記全体光重合開始剤は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して0.1重量%~5重量%で含まれる。
【0023】
前記感光性樹脂組成物は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して、前記(A)光重合開始剤0.1重量%~5重量%、前記(B)光重合性化合物0.1重量%~10重量%、前記(C)着色剤40重量%~90重量%、および前記(D)溶媒残部量を含み得る。
【0024】
前記感光性樹脂組成物は、(E)バインダー樹脂をさらに含むことができる。
【0025】
他の一実施形態は、前記感光性樹脂組成物を利用して製造された感光性樹脂膜を提供する。
【0026】
さらに他の一実施形態は、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルターを提供する。
【0027】
さらに他の一実施形態は、前記カラーフィルターを含むCMOSイメージセンサーを提供する。
【0028】
その他本発明の側面の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0029】
一実施形態による感光性樹脂組成物は2種の光重合開始剤を組み合せることによって、CISパターンの形状とプロファイルを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】実施例4の0.8μmpatternのCDイメージである。
図2】実施例5の0.8μmpatternのCDイメージである。
図3】比較例2の0.8μmpatternのCDイメージである。
図4】実施例4のFE-SEMイメージである。
図5】実施例5のFE-SEMイメージである。
図6】比較例2のFE-SEMイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、本発明はこれによって制限されず、本発明は後述する特許請求の範囲の範疇のみによって定義される。
【0032】
(感光性樹脂組成物)
一実施形態は、(A)光重合開始剤、(B)光重合性化合物、(C)着色剤、および(D)溶媒を含む、感光性樹脂組成物を提供する。
明は後述する特許請求の範囲の範疇のみによって定義される。
【0033】
(A)光重合開始剤
一実施形態による感光性樹脂組成物は2種の光重合開始剤を組み合せることによって、CISパターンの形状とプロファイルを改善することができる。
【0034】
具体的には、前記光重合開始剤は、下記化学式1で表される第1光重合開始剤と、下記化学式2で表される第2光重合開始剤と、を含む:
【化29】
(化学式1)
前記化学式1中、
はCR、またはNRであり、前記R、R、およびRはそれぞれ独立して、水素原子、または置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
~Rはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、または置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
~Rはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、または置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、または下記化学式Aで表される置換基であり、前記R~Rのうちの少なくとも一つは下記化学式Aで表される置換基であり、
【化30】
(化学式A)
前記化学式A中、
は単結合または*-C(=O)-*であり、
およびR10はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、または置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
【化31】
(化学式2)
前記化学式2中、
はCR、またはNRであり、ここでR、R、およびRはそれぞれ独立して、水素原子、または置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
11~R14はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、または*-C(=O)-Rであり、前記Rは置換または非置換の炭素数6~20のアリール基であり、前記R11~R14のうちの少なくとも一つはニトロ基または*-C(=O)-Rであり、
15~R18はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、または置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基、または下記化学式Bで表される置換基であり、前記R15~R18のうちの少なくとも一つは下記化学式Bで表される置換基であり、
【化32】
(化学式B)
前記化学式B中、
は単結合または*-C(=O)-*であり、
19およびR20はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、または置換または非置換の炭素数1~20のアルキル基である。
【0035】
前記第1光重合開始剤および前記第2光重合開始剤は共通に、フルオレン系またはカルバゾール系母核、およびその一側のベンゼン環で置換されたオキシムエステル系置換基を有している。一方、前記第1光重合開始剤と前記第2光重合開始剤との差は前記母核の他側のベンゼン環にある。
【0036】
具体的には、前記第2光重合開始剤の場合、前記母核の他側のベンゼン環に必ずニトロ基または*-C(=O)-Rが置換され、上/中/下のうちの「高」に該当する感度特性を示すことができる。したがって、場合によっては、前記第2光重合開始剤を「高感度開始剤」と称することがある。
【0037】
それに対して、前記第1光重合開始剤にはこのような置換基(ニトロ基または*-C(=O)-R)が置換されず、上/中/下のうちの「中」に該当する感度特性を示すことができる。したがって、場合によっては、前記第1光重合開始剤を「中感度開始剤」と称することがある。
【0038】
したがって、前記第1光重合開始剤および前記第2光重合開始剤は、感度において相互補完的であり、これらを同時に用いるとCISパターンの形状とプロファイルを改善することができる。
【0039】
前記化学式1に関する説明は次の通りである。
【0040】
前記R、R、およびRはそれぞれ独立して、エチル基、またはn-ブチル基であり得る。
【0041】
前記XはC(n-Bu)またはN(Et)であり得る。ここで「n-Bu」は「n-ブチル基」を意味し、「Et」は「エチル基」を意味する。
【0042】
前記R~Rは、全て水素原子であり得る。
【0043】
前記Rは前記化学式Aで表される置換基であり、前記R、R、およびRは全て水素原子であり得る。
【0044】
具体的には、前記第1光重合開始剤は、下記化学式1-1~1-4のうちのいずれか一つで表される:
【化33】
(化学式1-1)
【化34】
(化学式1-2)
【化35】
(化学式1-3)
【化36】
(化学式1-4)
前記化学式1-1~1-4中、前記R~R、R~R10、およびR~Rの定義は上述の通りである。
【0045】
前記第1光重合開始剤の代表的な例は以下の通りである:
【化37】
(化学式1-1-1)
【化38】
(化学式1-2-1)
【化39】
(化学式1-3-1)
【化40】
(化学式1-4-1)。
【0046】
前記化学式2に関する説明は次の通りである。
【0047】
前記R、R、およびRはそれぞれ独立して、エチル基、またはn-ブチル基であり得る。
【0048】
前記XはC(n-Bu)またはN(Et)であり得る。ここで「n-Bu」は「n-ブチル基」を意味し、「Et」は「エチル基」を意味する。
【0049】
前記R13はニトロ基または*-C(=O)-Rであり、前記R11、R12、およびR14は全て水素原子であり得る。
【0050】
前記R16は前記化学式Bで表される置換基であり、前記R15、R17、およびR18は全て水素原子であり得る。
【0051】
前記第1光重合開始剤は、下記化学式2-1~2-8のうちのいずれか一つで表される:
【化41】
(化学式2-1)
【化42】
(化学式2-2)
【化43】
(化学式2-3)
【化44】
(化学式2-4)
【化45】
(化学式2-5)
【化46】
(化学式2-6)
【化47】
(化学式2-7)
【化48】
(化学式2-8)
前記化学式2-1~2-8中、前記R11、R12、R14、R15、R17~R20、およびR~Rの定義は上述の通りである。
【0052】
前記第2光重合開始剤の代表的な例は以下の通りである。
【0053】
【化49】
(化学式2-1-1)
【化50】
(化学式2-2-1)
【化51】
(化学式2-3-1)
【化52】
(化学式2-4-1)
【化53】
(化学式2-5-1)
【化54】
(化学式2-6-1)
【化55】
(化学式2-7-1)
【化56】
(化学式2-8-1)。
【0054】
一実施形態の感光性樹脂組成物において、中感度開始剤である前記第1光重合開始剤を過剰に含み、かつ高感度開始剤である前記第2光重合開始剤を少量含み、感度を補完することができる。
【0055】
具体的には、一実施形態の感光性樹脂組成物において、前記第1光重合開始剤と前記第2光重合開始剤は70:30~99:1、具体的には80:20~95:5の重量比で含まれる。
【0056】
前記全体光重合開始剤は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して0.1重量%~5重量%、具体的には0.2重量%~3重量%、例えば0.3重量%~1重量%で含まれる。
【0057】
光重合開始剤が上記の範囲内に含まれる場合、パターン形成工程で露光時に硬化が十分に起こり、優れた信頼性を得ることができ、パターンの耐熱性、耐光性および耐薬品性に優れ、解像度および密着性にも優れ、未反応開始剤による透過率の低下を防止することができる。
【0058】
その他にも、前記光重合開始剤は、感光性樹脂組成物に一般的に使用される開始剤であり、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾイン系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0059】
前記アセトフェノン系化合物の例としては、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0060】
前記ベンゾフェノン系化合物の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0061】
前記チオキサントン系化合物の例としては、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントンなどが挙げられる。
【0062】
前記ベンゾイン系化合物の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
【0063】
前記トリアジン系化合物の例としては、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3’,4’-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4’-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ビフェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-s-トリアジンなどが挙げられる。
【0064】
前記オキシム系化合物の例としては、O-アシルオキシム系化合物、2-(o-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(o-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン、O-エトキシカルボニル-α-オキシアミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどを使用することができる。前記O-アシルオキシム系化合物の具体的な例としては、1,2-オクタンジオン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1,2-ジオン2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1,2-ジオン2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1-オンオキシム-O-アセテートおよび1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1-オンオキシム-O-アセテートなどが挙げられる。
【0065】
前記光重合開始剤としては、前記化合物以外にもカルバゾール系化合物、ジケトン類化合物、スルホニウムボレート系化合物、ジアゾ系化合物、イミダゾール系化合物、非イミダゾール系化合物、フルオレン系化合物などを使用することができる。
【0066】
前記光重合開始剤は、光を吸収して励起状態になった後、そのエネルギーを伝達することで化学反応を起こす光増感剤と共に使用することもできる。
【0067】
前記光増感剤の例としては、テトラエチレングリコールビス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート、ジペンタエリスリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネートなどが挙げられる。
【0068】
(B)光重合性化合物
前記光重合性化合物としては、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル酸の一官能または多官能エステルを使用することができる。
【0069】
光重合性化合物は、前記エチレン性不飽和二重結合を有することによって、パターン形成工程で露光時に十分な重合を起こすことで耐熱性、耐光性および耐薬品性に優れたパターンを形成することができる。
【0070】
光重合性化合物の具体的な例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0071】
光重合性化合物の市販される製品を例に挙げれば次の通りである。(メタ)アクリル酸の一官能エステルの例としては、東亞合成化学工業株式会社製のアロニックスM-101(登録商標)、M-111(登録商標)、M-114(登録商標)など、日本化薬株式会社製のKAYARAD TC-110S(登録商標)、同TC-120S(登録商標)など、大阪有機化学工業株式会社製のV-158(登録商標)、V-2311(登録商標)などが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸の二官能エステルの例としては、東亞合成化学工業株式会社製のアロニックスM-210(登録商標)、M-240(登録商標)、M-6200(登録商標)など、日本化薬株式会社製のKAYARAD HDDA(登録商標)、HX-220(登録商標)、R-604(登録商標)など、大阪有機化学工業株式会社製のV-260(登録商標)、V-312(登録商標)、V-335HP(登録商標)などが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸の三官能エステルの例としては、東亞合成化学工業株式会社製のアロニックスM-309(登録商標)、M-400(登録商標)、M-405(登録商標)、M-450(登録商標)、M-710(登録商標)、M-8030(登録商標)、M-8060(登録商標)など、日本化薬株式会社製のKAYARAD TMPTA(登録商標)、DPCA-20(登録商標)、DPCA -30(登録商標)、DPCA-60(登録商標)、DPCA-120(登録商標)など、大阪有機化学工業株式会社製のV-295(登録商標)、V-300(登録商標)、V-360(登録商標)、V-GPT(登録商標)、V-3PA(登録商標)、V-400(登録商標)などが挙げられる。前記製品を単独使用または2種以上共に使用することができる。
【0072】
前記光重合性化合物は、より優れた現像性を付与するために酸無水物で処理して、またはエチレンオキサイド変性物を使用することもできる。
【0073】
前記光重合性化合物は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して0.1重量%~10重量%、具体的には0.5重量%~5重量%、例えば1重量%~3重量%で含まれる。光重合性化合物が上記の範囲内に含まれる場合、パターン形成工程で露光時に硬化が十分に起こり、信頼性に優れ、アルカリ現像液への現像性に優れている。
【0074】
(C)着色剤
一実施形態の感光性樹脂組成物は着色剤として顔料を含み得る。
【0075】
前記顔料としては、赤色顔料、紫色顔料、緑色顔料、青色顔料、黄色顔料、および黒色顔料などを使用することができる。
【0076】
前記赤色顔料は、カラーインデックス(Color Index)内でC.I.赤色顔料254、C.I.赤色顔料255、C.I.赤色顔料264、C.I.赤色顔料270、C.I.赤色顔料272、C.I.赤色顔料177、C.I.赤色顔料89などを使用することができ、これらを単独または2種以上混合して使用することができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0077】
前記紫色顔料は、カラーインデックス(Color Index)内でC.I.バイオレット顔料23(V.23)、C.I.バイオレット顔料29、ジオキサジンバイオレット、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、インダントレンブリリアントバイオレットなどを使用することができ、これらを単独または2種以上混合して使用することができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0078】
前記緑色顔料は、カラーインデックス(Color Index)内でC.I.緑色顔料7、C.I.緑色顔料36、C.I.緑色顔料58、C.I.緑色顔料59などを使用することができ、これらを単独または2種以上混合して使用することができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0079】
前記青色顔料は、カラーインデックス(Color Index)内でC.I.青色顔料15:6、C.I.青色顔料15、C.I.青色顔料15:1、C.I.青色顔料15:2、C.I.青色顔料15:3、C.I.青色顔料15:4、C.I.青色顔料15:5、C.I.青色顔料15:6、C.I.青色顔料16などのような銅フタロシアニン顔料を使用することができ、これらを単独または2種以上混合して使用することができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0080】
前記黄色顔料は、カラーインデックス(Color Index)内でC.I.黄色顔料185、C.I.黄色顔料139などのようなイソインドリン系顔料、C.I.黄色顔料138などのようなキノフタロン系顔料、C.I.黄色顔料150などのようなニッケルコンプレックス顔料などを使用することができ、これらを単独または2種以上混合して使用することができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0081】
前記黒色顔料は、カラーインデックス(Color Index)内でアニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、カーボンブラックなどを使用することができ、これらを単独または2種以上混合して使用することができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0082】
具体的には、前記着色剤は青色顔料、紫色顔料、またはこれらの組み合わせを含み、青色を実現することができる。より具体的には、前記顔料は、青色顔料と紫色顔料が99:1~50:50、または90:10~60:40の重量比で含まれている混合物であり得る。
【0083】
前記顔料は、分散液の形態で近赤外線吸収性樹脂組成物に含まれる。このような顔料分散液は、前記顔料、溶媒、分散剤、および分散樹脂などからなる。
【0084】
前記溶媒としては、エチレングリコールアセテート、エチルセロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチルラクテート、ポリエチレングリコール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテルなどを使用することができ、これらのうち、好ましくはプロピレングリコールメチルエーテルアセテートを使用することができる。
【0085】
前記分散剤は顔料を分散液内に均一に分散させる役割を果たし、非イオン性、陰イオン性または陽イオン性の分散剤を全て使用することができる。具体的には、ポリアルキレングリコールまたはそのエステル、ポリオキシアルキレン、多価アルコールエステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、アルキルアミンなどを使用することができ、これらは単独または2種以上混合して使用することができる。
【0086】
前記分散樹脂としては、カルボキシ基を含むアクリル系樹脂を使用することができ、これは顔料分散液の安定性を向上させることができるだけでなく、ピクセルのパターン性を改善させることもできる。
【0087】
前記着色剤は、顔料を含み、染料をさらに含むことができる。また、前記染料は特に限定されず、金属錯体染料を含むことができる。
【0088】
前記金属錯体染料は、200nm~650nmの波長領域で最大吸光度を有する化合物を使用することができ、色素の組み合わせに色座標を合わせるために上記範囲の吸光度を有する化合物であれば有機溶媒に溶ける全てのカラーの金属錯体染料を使用することができる。
【0089】
具体的には、前記金属錯体染料は、530nm~680nmの波長領域で最大吸光度を有する緑色染料、200nm~400nmの波長領域で最大吸光度を有する黄色染料、300nm~500nmの波長領域で最大吸光度を有するオレンジ染料、500nm~650nmの波長領域で最大吸光度を有する赤色染料またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0090】
前記金属錯体染料としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、酸性媒染染料、硫化染料、還元染料、アゾイック染料、分散染料、反応性染料、酸化染料、油溶染料、アゾ染料、アントラキノン染料、インディゴイド染料、カルボニウムイオン染料、フタロシアニン染料、ニトロ染料、キノリン染料、シアニン染料、ポリメチン染料またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0091】
前記金属錯体染料は、Mg、Ni、Cu、Co、Zn、Cr、Pt、PdおよびFeからなる群より選択された少なくとも一つの金属イオンを含むことができる。
【0092】
前記金属錯体染料は、C.I.ソルベントグリーン1、3、4、5、7、28、29、32、33、34、35などのC.I.ソルベント染料、C.I.アシッドグリーン1、3、5、6、7、8、9、11、13、14、15、16、22、25、27、28、41、50、50:1、58、63、65、80、104、105、106、109などのC.I.アシッド染料、C.I.ダイレクトグリーン25、27、31、32、34、37、63、65、66、67、68、69、72、77、79、82などのC.I.ダイレクト染料、C.I.ベーシックグリーン1などのC.I.ベーシック染料、C.I.モーダントグリーン1、3、4、5、10、13、15、19、21、23、26、29、31、33、34、35、41、43、53などのC.I.モーダント染料、C.I.ピグメントグリーン7、36、58などの緑色顔料、ソルベントイエロー19、ソルベントイエロー21、ソルベントイエロー25、ソルベントイエロー79、ソルベントイエロー82、ソルベントイエロー88、ソルベントオレンジ45、ソルベントオレンジ54、ソルベントオレンジ62、ソルベントオレンジ99、ソルベントレッド8、ソルベントレッド32、ソルベントレッド109、ソルベントレッド112、ソルベントレッド119、ソルベントレッド124、ソルベントレッド160、ソルベントレッド132およびソルベントレッド218からなる群より選択された少なくとも一つと前記金属イオンとの複合体を使用することができる。
【0093】
前記金属錯体を含む染料は、一実施形態による感光性樹脂組成物に使用される溶媒、つまり、後述する溶媒に対する溶解度が5以上であり、具体的には5~10であり得る。前記溶解度は、前記溶媒100gに溶ける前記染料の量(g)として得ることができる。前記金属錯体を含む染料の溶解度が上記の範囲内である場合、一実施形態による感光性樹脂組成物をなす他の成分との相溶性および着色力を確保することができ、染料の析出を防止することができる。
【0094】
前記溶媒としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(propylene glycol monomethyl ether acetate、PGMEA)、エチルラクテート(ethyl lactate、EL)、エチレングリコール酢酸エチル(ethylene glycol ethyl acetate、EGA)、シクロヘキサノン(cyclohexanone)、3-メトキシ-1-ブタノール(3-methoxy-1-butanol)またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0095】
上記特定の範囲を有することによって、所望の色座標で高輝度および高明暗比を発現するLCD、LEDなどのカラーフィルターに有用に使用することができる。
【0096】
前記金属錯体を含む染料は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して0.01重量%~1重量%、例えば0.01重量%~0.5重量%で含まれる。前記金属錯体を含む染料を上記の範囲で使用する場合、所望の色座標で高い輝度および明暗比を発現することができる。
【0097】
前記染料および前記顔料を混合して使用する場合、0.1:99.9~99.9:0.1の重量比、具体的には1:9~9:1の重量比で混合して使用することができる。前記重量比の範囲で混合する場合、耐薬品性、最大吸収波長を適切な範囲に制御し、所望の色座標で高い輝度および明暗比を発現することができる。
【0098】
前記着色剤は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して40重量%~90重量%、具体的には50重量%~85重量%、例えば60重量%~80重量%で含まれる。前記着色剤が上記の範囲内に含まれる場合、優れた着色効果および現像性を示すことができる。
【0099】
(D)溶媒
前記溶媒としては、前記添加剤、前記バインダー樹脂、前記光重合性化合物、前記光重合開始剤および前記着色剤との相溶性を有し、反応しない物質が用いられる。
【0100】
前記溶媒の例としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類、ジクロロエチルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのアルキルアセテート類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類、メチルエチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのカルビトール類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチルなどの乳酸エステル類、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチルなどのオキシ酢酸アルキルエステル類、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチルなどのアルコキシ酢酸アルキルエステル類、3-オキシプロピオン酸メチル、3-オキシプロピオン酸エチルなどの3-オキシプロピオン酸アルキルエステル類、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチルなどの3-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類、2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピルなどの2-オキシプロピオン酸アルキルエステル類、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸メチルなどの2-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エステル類、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸アルキル類のモノオキシモノカルボン酸アルキルエステル類、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチルなどのエステル類、ピルビン酸エチルなどのケトン酸エステル類などがあり、また、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセチルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ-ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどの高沸点溶媒が挙げられる。
【0101】
これらのうち、好ましくは相溶性および反応性を考慮して、シクロヘキサノンなどのケトン類、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、2-ヒドロキシプロピオン酸エチルなどのエステル類、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのカルビトール類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類、シクロヘキサノンなどのケトン類を使用することができる。
【0102】
具体的には、前記溶媒は、沸点が互いに異なる2種以上の溶媒を含み得る。液体物質の「沸点」とは、当該液体物質の蒸気圧が外圧と等しくなるときに沸き上がる温度であり、外部の圧力により変化する。前記一実施形態においては1atm下での沸点について説明する。
【0103】
前記一実施形態の感光性樹脂組成物は、沸点が互いに異なる2種の溶媒を含むことで、感光性樹脂組成物を基板または下部の感光性樹脂膜上にコーティングする過程で溶媒の揮発速度および揮発位置を調和的に制御することができ、溶媒の揮発がコーティング下部よりも表面で主に行われることで、充填特性、表面粗さ(roughness)などを改善することができる。
【0104】
例えば、前記溶媒はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、n-ブチルアルコール(n-BA)およびジエチレングリコールメチルエチルエーテル(MEDG)のうちの2種以上の溶媒を含み得る。もちろん、前記3種の溶媒を全て含むことができ、この場合、シナジー効果が最も高い。
【0105】
前記溶媒は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して残部量、例えば5重量%~30重量%、例えば10重量%~20重量%で含まれる。前記溶媒が上記の範囲内に含まれる場合、感光性樹脂組成物の塗布性に優れ、平坦性に優れた塗膜を得ることができる。
【0106】
(E)バインダー樹脂
前記感光性樹脂組成物はバインダー樹脂を含むことができ、前記バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂を含み得る。
【0107】
前記アクリル系樹脂は、第1エチレン性不飽和単量体およびこれと共重合可能な第2エチレン性不飽和単量体の共重合体であり、一つ以上のアクリル系繰り返し単位を含む樹脂である。
【0108】
前記第1エチレン性不飽和単量体は、一つ以上のカルボキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体であり、その具体的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0109】
前記第1エチレン性不飽和単量体は、前記アクリル系バインダー樹脂の総量に対して5重量%~50重量%、例えば10重量%~40重量%で含まれる。
【0110】
前記第2エチレン性不飽和単量体は、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルメチルエーテルなどの芳香族ビニル化合物、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル化合物、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物、酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル化合物、グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド化合物などが挙げられ、これらを単独または二つ以上混合して使用することができる。
【0111】
前記アクリル系樹脂の具体的な例としては、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などが挙げられるが、これらに限定されず、これらを単独または2種以上を配合して使用することもできる。
【0112】
前記バインダー樹脂は、エポキシ系バインダー樹脂を含むことができる。
【0113】
前記バインダー樹脂は、エポキシ系バインダー樹脂をさらに含むことによって、耐熱性を向上させることができる。前記エポキシ系バインダー樹脂は、例えば、フェノールノボラックエポキシ樹脂、テトラメチルビフェニルエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂またはこれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0114】
さらに、前記エポキシ系バインダー樹脂を含むバインダー樹脂は、後述する顔料などの着色剤の分散安定性を確保すると同時に、現像過程で所望の解像度のピクセルが形成されるように助ける。
【0115】
前記エポキシ系バインダー樹脂は、前記バインダー樹脂の総量に対して1重量%~10重量%、例えば5重量%~10重量%で含まれる。前記エポキシ系バインダー樹脂が上記の範囲で含まれる場合、残膜率および耐薬品性が大幅に改善される。
【0116】
前記エポキシ系バインダー樹脂のエポキシ当量(epoxy equivalent weight)は、150g/eq~200g/eqであり得る。上記の範囲内のエポキシ当量を有するエポキシ系バインダー樹脂がバインダー樹脂内に含まれる場合、形成されたパターンの硬化度向上およびパターンが形成された構造内での着色剤固着に有利な効果がある。
【0117】
前記バインダー樹脂は、固形分形態で後述する溶媒に溶解し、感光性樹脂組成物を構成することができる。この場合、前記固形分形態のバインダー樹脂は、溶媒に溶解したバインダー樹脂溶液の総量に対して約10重量%~50重量%、例えば20重量%~40重量%であり得る。
【0118】
前記バインダー樹脂は、前記感光性樹脂組成物の総量に対して1重量%~20重量%、具体的には2重量%~15重量%、例えば3重量%~10重量%で含まれる。バインダー樹脂が上記の範囲内に含まれる場合、カラーフィルターの製造時、現像性に優れ、架橋性が改善され、優れた表面平滑度を得ることができる。
【0119】
(F)その他添加剤
前記感光性樹脂組成物は、塗布時に染みや斑点を防止し、レベリング性能を改善するために、また未現像による残渣の生成を防止するために、マロン酸、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、ビニル基または(メタ)アクリルオキシ基を含むカップリング剤、レベリング剤、界面活性剤、およびラジカル重合開始剤から選択される少なくとも一つの添加剤をさらに含むことができる。
【0120】
前記添加剤は、所望の物性により容易に調節することができる。
【0121】
前記カップリング剤は、シラン系カップリング剤であり、前記シラン系カップリング剤の例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γイソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、βエポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0122】
前記シラン系カップリング剤は、具体的には、感光性樹脂組成物100重量部に対して0.01重量部~1重量部で使用することができる。
【0123】
また、前記カラーフィルター用感光性樹脂組成物は、必要に応じて界面活性剤、例えばフッ素系界面活性剤をさらに含むことができる。
【0124】
前記フッ素系界面活性剤の例としては、DIC社のF-482、F-484、F-478などがあり、これらに限定されるものではない。
【0125】
前記界面活性剤は、感光性樹脂組成物の総量に対して0.01重量%~5重量%で含まれることが好ましく、0.01重量%~2重量%で含まれることがより好ましい。上記の範囲を外れる場合、現像後に異物が発生する問題が生じることがあるため、好ましくない。
【0126】
また、前記感光性樹脂組成物は、物性を阻害しない範囲内で酸化防止剤、安定剤などのその他添加剤を一定量添加することもできる。
【0127】
(感光性樹脂膜、カラーフィルター、およびCMOSイメージセンサー)
【0128】
他の一実施形態によれば、一実施形態による感光性樹脂組成物を利用して製造された感光性樹脂膜が提供される。
【0129】
さらに他の一実施形態によれば、上述した感光性樹脂組成物を利用して製造されたカラーフィルターが提供される。
【0130】
一実施形態のカラーフィルターを製造する方法は次の通りである。
【0131】
ガラス基板の上にスピン塗布、ローラ塗布、スプレー塗布などの適当な方法を使用し、例えば、0.5um~10umの厚さで上述した感光性樹脂組成物を塗布して感光性樹脂組成物層を形成する。
【0132】
次に、前記感光性樹脂組成物層が形成された基板にカラーフィルターに必要なパターンを形成するように光を照射する。照射に使用される光源としては、UV、電子線またはX線を使用することができ、例えば、190nm~450nm、具体的には200nm~400nm領域のUVを照射することができる。上記の照射工程でフォトレジストマスクをさらに使用して実施することもできる。このように照射する工程を実施した後、前記光源が照射された感光性樹脂組成物層を現像液で処理する。このとき、感光性樹脂組成物層で非露光部分が溶解することによってカラーフィルターに必要なパターンが形成される。このような工程を必要な色数に応じて繰り返すことによって所望のパターンを有するカラーフィルターを得ることができる。また、上記の工程で現像により得られた画像パターンを再び加熱するか、または活性線照射などにより硬化すれば、耐クラック性、耐溶媒性などを向上させることができる。
【0133】
さらに他の一実施形態によれば、上述したカラーフィルターを含むCMOSイメージセンサーを提供する。
【0134】
以下、実施例を挙げて本発明についてより詳細に説明するが、下記の実施例は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されるものではない。
【0135】
(感光性樹脂組成物の製造)
実施例1~5、比較例1および2
前記第1光重合開始剤として前記化学式1-3-1で表される化合物を使用し、前記第2光重合開始剤として前記化学式2-1-1で表される化合物を使用し、表1に示す組成で混合して感光性樹脂組成物を製造した。
【0136】
【化57】
(化学式1-3-1)
【化58】
(化学式2-1-1)
具体的には、溶媒に光重合開始剤を入れて常温で30分間攪拌した後、光重合性化合物および着色剤(顔料分散液)を入れて常温で30分間攪拌した。さらに、その他添加剤を入れて常温で30分間攪拌した。次いで、前記生成物を2回ろ過して不純物を除去することによって、感光性樹脂組成物を製造した。
【0137】
【表1】
上記表1で使用された各成分は次の通りである。
【0138】
(A)光重合開始剤
(A-1)化学式1-3-1で表される第1光重合開始剤
(A-2)化学式2-1-1で表される第2光重合開始剤
(B)光重合性化合物
(B-1)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、粘度:5,500~8,000cps@25℃、製造会社:日本化薬社)
(C)着色剤
(C-1)Pigment B15:6の顔料分散液(分散溶媒:PGMEA、製造会社:山陽色素社)
(C-2)Pigment V23の顔料分散液(分散溶媒:PGMEA、製造会社:山陽色素社)
(D)溶媒
(D-1)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、沸点:146.4℃@1atm、製造会社:Sigma-Aldrich)
(F)その他添加剤
(F-1)フッ素系界面活性剤(F-556、製造会社:DIC)
(F-2)非アミノ系シランカップリング剤(KBM503、製造会社:信越化学)
【0139】
(評価)
(1)カラーフィルター試験片の製造
実施例1~5、比較例1および2による感光性樹脂組成物を8インチのシリコンウエハー上にスピンコーティング装置(ミカサ社、Opticoat MS-A150)を用いてそれぞれ約0.6μmの厚さにコーティングした後、熱板(hot-plate)を用いて100℃で3分間ソフトベーキング(soft-baking)を行い、i-line stepper(ニコン社、NSR-2005i10C)で500mWの条件下で0.1umのbiasを有するパターンが実現されるように時間を適切に調節して露光した。前記露光された基板を室温で、0.2%TMAH水溶液を用いてパドル方式によりコンベクションオーブンで200℃で5分間ハードベーキング(Hard-baking)を行い、ガラス基板上に450nmの厚さの感光性樹脂膜が形成されたカラーフィルター試験片を得た。
【0140】
(2)解像度および残渣の評価
CD-SEM(日立社、S-9000)を用いて実施例1~5、比較例1および2によるカラーフィルター試験片の解像度および残渣を評価した結果を下記表2に示す。
【0141】
解像度は、実現可能なベイヤーパターンの最小サイズを記録した。
【0142】
残渣は、CD-SEM(日立社、S-9380-2)を用いて0.8μm pattern CDを測定し、その結果からパターンとパターンとの間が連結されるレベルを5、完全にない場合を0にして、0~5の範囲内で数値化した。ここで、残渣評価の結果、0~1であれば残渣の抑制の程度が優れていると評価した。
【0143】
参考として、実施例1~5、比較例1および2のうち、代表的に実施例4、5、および比較例2の0.8μm patternCDをそれぞれ図1図3に示す。
【0144】
(3)パターン側面角度の評価
FE-SEM(日立社、S-4300)を用いて実施例1~5、比較例1および2によるカラーフィルター試験片のパターン側面の角度を評価した結果を下記表2に示す。
【0145】
参考として、実施例1~5、比較例1および2のうち、代表的に実施例4、5、および比較例2のFE-SEMイメージをそれぞれ図4図6に示す。
【0146】
【表2】
表2によると、CISパターンの解像度と残渣はトレードオフ(trade-off)の側面がある。ただし、比較例のカラーフィルター試験片に比べて実施例でCISパターンの解像度、残渣、およびパターン側面の角度が比較的調和的に改善される。したがって、実施例に代表される一実施形態の感光性樹脂組成物は、CISパターンの形状とプロファイルを改善することができる。
【0147】
一方、実施例においても、前記第1光重合開始剤と前記第2光重合開始剤との配合比によりCISパターンの解像度、残渣、およびパターン側面の角度が変わる。したがって、目標とするCISパターンの形状とプロファイルにより前記第1光重合開始剤と前記第2光重合開始剤との配合比を変更することができる。
【0148】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6