(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144063
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】磁気センサ及び電流検出装置
(51)【国際特許分類】
G01R 33/09 20060101AFI20241003BHJP
G01R 15/20 20060101ALI20241003BHJP
G01R 33/025 20060101ALI20241003BHJP
H10N 50/10 20230101ALI20241003BHJP
H10N 50/80 20230101ALI20241003BHJP
【FI】
G01R33/09
G01R15/20 B
G01R33/025
H10N50/10 Z
H10N50/80 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023200559
(22)【出願日】2023-11-28
(31)【優先権主張番号】P 2023054883
(32)【優先日】2023-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牛田 彩希
(72)【発明者】
【氏名】井上 仁人
【テーマコード(参考)】
2G017
2G025
5F092
【Fターム(参考)】
2G017AA02
2G017AA10
2G017AB01
2G017AC02
2G017AC06
2G017AD55
2G017AD65
2G017BA09
2G025AA02
2G025AA11
2G025AB01
5F092AA05
5F092AB01
5F092AC11
5F092AD23
5F092BB22
5F092BB23
5F092BB42
5F092BB43
5F092BB53
5F092BC04
5F092BC22
5F092BC42
5F092DA10
5F092EA07
(57)【要約】
【課題】誘導起電力によるノイズ及び/又は磁場分布の広がりに伴うノイズを抑制する。
【解決手段】磁気センサ50は、複数の磁気抵抗素子51a、2つの磁気抵抗素子51aの上面を接続する電極片52a、2つの磁気抵抗素子51aの下面を接続する電極片53aを有し、複数の磁気抵抗素子51aは電極片52a,53aにより配列順に交互に接続される、抵抗辺Raと、複数の磁気抵抗素子51b、2つの磁気抵抗素子51bの上面を接続する電極片52b、2つの磁気抵抗素子51bの下面を接続する電極片53bを有し、複数の磁気抵抗素子51bは電極片52b,53bにより配列順に交互に接続される、抵抗辺Rbとを備え、電極片52aは、電極片53bと上下方向に離隔して交差するように配置され、電極片53aは、電極片52bと上下方向に離隔して交差するように配置される。2つの逆極性の部分ループが形成され、誘導起電力に伴うノイズが相殺される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面上に配列された複数の第1磁気抵抗素子と、該複数の第1磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第1磁気抵抗素子のそれぞれの上面を接続する第1電極片と、前記複数の第1磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第1磁気抵抗素子のそれぞれの下面を接続する第2電極片と、を有し、前記複数の第1磁気抵抗素子は前記第1電極片及び前記第2電極片により配列順に交互に接続される、第1抵抗辺と、
前記一面上に配列された複数の第2磁気抵抗素子と、該複数の第2磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第2磁気抵抗素子のそれぞれの上面を接続する第3電極片と、前記複数の第2磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第2磁気抵抗素子のそれぞれの下面を接続する第4電極片と、を有し、前記複数の第2磁気抵抗素子は前記第3電極片及び前記第4電極片により配列順に交互に接続される、第2抵抗辺と、を備え、
前記第1電極片は、前記第4電極片と上下方向に離隔して交差するように配置され、前記第2電極片は、前記第3電極片と上下方向に離隔して交差するように配置される第1交差部分を含む、磁気センサ。
【請求項2】
前記第1交差部分では、前記第1電極片及び前記第3電極片は平行に配置され、前記第2電極片及び前記第4電極片は平行に配置され、前記第1電極片及び前記第3電極片は前記第2電極片及び前記第4電極片と交差する向きに配置される、請求項1に記載の磁気センサ。
【請求項3】
前記第1電極片及び前記第3電極片と前記第2電極片及び前記第4電極片とが交差する角度は90度である、請求項2に記載の磁気センサ。
【請求項4】
前記互いに隣接する2つの第1磁気抵抗素子を接続する方向に関する前記第1電極片の長さ及び前記互いに隣接する2つの第2磁気抵抗素子を接続する方向に関する前記第3電極片の長さは、互いに等しく、
前記互いに隣接する2つの第1磁気抵抗素子を接続する方向に関する前記第2電極片の長さ及び前記互いに隣接する2つの第2磁気抵抗素子を接続する方向に関する前記第4電極片の長さは、互いに等しい、請求項1に記載の磁気センサ。
【請求項5】
前記第1抵抗辺は、前記第1電極片及び前記第2電極片を偶数個有し、
前記第2抵抗辺は、前記第3電極片及び前記第4電極片を偶数個有する、請求項4に記載の磁気センサ。
【請求項6】
前記一面上に配列された複数の第3磁気抵抗素子と、該複数の第3磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第3磁気抵抗素子のそれぞれの上面を接続する第5電極片と、前記複数の第3磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第3磁気抵抗素子のそれぞれの下面を接続する第6電極片と、を有し、前記複数の第3磁気抵抗素子は前記第5電極片及び前記第6電極片により配列順に交互に接続される、第3抵抗辺と、
前記一面上に配列された複数の第4磁気抵抗素子と、該複数の第4磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第4磁気抵抗素子のそれぞれの上面を接続する第7電極片と、前記複数の第4磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第4磁気抵抗素子のそれぞれの下面を接続する第8電極片と、を有し、前記複数の第4磁気抵抗素子は前記第7電極片及び前記第8電極片により配列順に交互に接続される、第4抵抗辺と、をさらに備え、
前記第5電極片は、前記第8電極片と上下方向に離隔して交差するように配置され、前記第6電極片は、前記第7電極片と上下方向に離隔して交差するように配置される第2交差部分を含む、請求項1に記載の磁気センサ。
【請求項7】
前記第2交差部分では、前記第5電極片及び前記第7電極片は平行に配置され、前記第6電極片及び前記第8電極片は平行に配置され、前記第5電極片及び前記第7電極片は前記第6電極片及び前記第8電極片と交差する向きに配置される、請求項6に記載の磁気センサ。
【請求項8】
前記第5電極片及び前記第7電極片と前記第6電極片及び前記第8電極片とが交差する角度は90度である、請求項7に記載の磁気センサ。
【請求項9】
前記互いに隣接する2つの第3磁気抵抗素子を接続する方向に関する前記第5電極片の長さ及び前記互いに隣接する2つの第4磁気抵抗素子を接続する方向に関する前記第7電極片の長さは、互いに等しく、
前記互いに隣接する2つの第3磁気抵抗素子を接続する方向に関する前記第6電極片の長さ及び前記互いに隣接する2つの第4磁気抵抗素子を接続する方向に関する前記第8電極片の長さは、互いに等しい、請求項6に記載の磁気センサ。
【請求項10】
前記第3抵抗辺は、前記第5電極片及び前記第6電極片を偶数個有し、
前記第4抵抗辺は、前記第7電極片及び前記第8電極片を偶数個有する、請求項9に記載の磁気センサ。
【請求項11】
前記第1抵抗辺の一端と前記第2抵抗辺の一端とが接続され、
前記第3抵抗辺の一端と前記第4抵抗辺の一端とが接続され、
前記第1抵抗辺の他端と前記第3抵抗辺の他端とが接続され、
前記第2抵抗辺の他端と前記第4抵抗辺の他端とが接続され、
前記複数の第1磁気抵抗素子及び前記複数の第4磁気抵抗素子の磁場検知方向は同じであり、前記複数の第2磁気抵抗素子及び前記複数の第3磁気抵抗素子の磁場検知方向は同じであり、前記複数の第1磁気抵抗素子及び前記複数の第4磁気抵抗素子の磁場検知方向は前記複数の第2磁気抵抗素子及び前記複数の第3磁気抵抗素子の磁場検知方向と逆である、請求項6に記載の磁気センサ。
【請求項12】
前記複数の第1磁気抵抗素子、前記複数の第2磁気抵抗素子、前記複数の第3磁気抵抗素子、及び前記複数の第4磁気抵抗素子は、トンネル型磁気抵抗素子である、請求項6に記載の磁気センサ。
【請求項13】
被測定電流が流れる導体と、
前記導体上又は前記導体の近傍に配置される請求項1に記載の磁気センサと、
を備える電流検出装置。
【請求項14】
一面上に配列された複数の第1磁気抵抗素子と、該複数の第1磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第1磁気抵抗素子のそれぞれの上面を接続する第1電極片と、前記複数の第1磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第1磁気抵抗素子のそれぞれの下面を接続する第2電極片と、を有し、前記複数の第1磁気抵抗素子は前記第1電極片及び前記第2電極片により配列順に交互に接続される、第1抵抗辺と、
前記一面上に配列された複数の第2磁気抵抗素子と、該複数の第2磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第2磁気抵抗素子のそれぞれの上面を接続する第3電極片と、前記複数の第2磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第2磁気抵抗素子のそれぞれの下面を接続する第4電極片と、を有し、前記複数の第2磁気抵抗素子は前記第3電極片及び前記第4電極片により配列順に交互に接続される、第2抵抗辺と、
前記一面上に配列された複数の第3磁気抵抗素子と、該複数の第3磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第3磁気抵抗素子のそれぞれの上面を接続する第5電極片と、前記複数の第3磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第3磁気抵抗素子のそれぞれの下面を接続する第6電極片と、を有し、前記複数の第3磁気抵抗素子は前記第5電極片及び前記第6電極片により配列順に交互に接続される、第3抵抗辺と、
前記一面上に配列された複数の第4磁気抵抗素子と、該複数の第4磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第4磁気抵抗素子のそれぞれの上面を接続する第7電極片と、前記複数の第4磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第4磁気抵抗素子のそれぞれの下面を接続する第8電極片と、を有し、前記複数の第4磁気抵抗素子は前記第7電極片及び前記第8電極片により配列順に交互に接続される、第4抵抗辺と、を備え、
前記第1電極片は、前記第8電極片と上下方向に離隔して交差するように配置され、前記第2電極片は、前記第3電極片と上下方向に離隔して交差するように配置され、前記第5電極片は、前記第4電極片と上下方向に離隔して交差するように配置され、前記第6電極片は、前記第7電極片と上下方向に離隔して交差するように配置される交差部分を含む、磁気センサ。
【請求項15】
前記交差部分では、前記第1抵抗辺及び前記第3抵抗辺は平行に配置され、前記第2抵抗辺及び前記第4抵抗辺は平行に配置され、前記第1抵抗辺及び前記第3抵抗辺は前記第2抵抗辺及び前記第4抵抗辺と交差する向きに配置される、請求項14に記載の磁気センサ。
【請求項16】
前記第1抵抗辺及び前記第3抵抗辺と前記第2抵抗辺及び前記第4抵抗辺とが交差する角度は90度である、請求項15に記載の磁気センサ。
【請求項17】
前記第1抵抗辺は、前記複数の第1磁気抵抗素子を介した配列順に2つの前記第2電極片とそれらの間の1つの前記第1電極片を含む第1部分辺を第1方向に、前記第1部分辺に接続する2つの前記第1電極片とそれらの間の1つの前記第2電極片を含む第2部分辺を前記第1方向に交差する第2方向に向けて配置される、請求項14に記載の磁気センサ。
【請求項18】
前記第1部分辺に含まれる前記2つの第2電極片と前記第2部分辺に含まれる前記2つの第1電極片とは、前記互いに隣接する2つの第1磁気抵抗素子を接続する方向に関して互いに等しい長さを有し、
前記第1部分辺に含まれる前記1つの第1電極片と前記第2部分辺に含まれる前記1つの第2電極片とは、前記互いに隣接する2つの第1磁気抵抗素子を接続する方向に関して互いに等しい長さを有する、請求項17に記載の磁気センサ。
【請求項19】
前記第2抵抗辺は、前記第1抵抗辺に対して前記第1方向と前記第2方向とのそれぞれについてシフトして配置され、
前記第3抵抗辺は、前記第1抵抗辺に対して前記第1方向の逆方向と前記第2方向の逆方向とのそれぞれについてシフトして配置され且つ前記第1方向と前記第2方向とのそれぞれに交差する中心軸に対して前記第2抵抗辺と対称に配置され、
前記第4抵抗辺は、前記中心軸に対して前記第1抵抗辺と対称に配置される、請求項18に記載の磁気センサ。
【請求項20】
前記第1抵抗辺、前記第2抵抗辺、前記第3抵抗辺、及び前記第4抵抗辺は、前記上下方向、前記中心軸に平行な方向、又は前記上下方向及び前記中心軸に平行な方向に交差する方向のうちの少なくとも1つの方向について、面積が等しく且つ互いに逆極性を有する1又は複数対の閉ループを形成する、請求項19に記載の磁気センサ。
【請求項21】
前記第1部分辺及び前記第2部分辺を複数含む、請求項17に記載の磁気センサ。
【請求項22】
前記交差部分を複数含む、請求項14に記載の磁気センサ。
【請求項23】
前記第1抵抗辺の一端と前記第2抵抗辺の一端とが接続され、
前記第3抵抗辺の一端と前記第4抵抗辺の一端とが接続され、
前記第1抵抗辺の他端と前記第3抵抗辺の他端とが接続され、
前記第2抵抗辺の他端と前記第4抵抗辺の他端とが接続され、
前記複数の第1磁気抵抗素子及び前記複数の第4磁気抵抗素子の磁場検知方向は同じであり、前記複数の第2磁気抵抗素子及び前記複数の第3磁気抵抗素子の磁場検知方向は同じであり、前記複数の第1磁気抵抗素子及び前記複数の第4磁気抵抗素子の磁場検知方向は前記複数の第2磁気抵抗素子及び前記複数の第3磁気抵抗素子の磁場検知方向と逆である、請求項14に記載の磁気センサ。
【請求項24】
前記複数の第1磁気抵抗素子、前記複数の第2磁気抵抗素子、前記複数の第3磁気抵抗素子、及び前記複数の第4磁気抵抗素子は、トンネル型磁気抵抗素子である、請求項14に記載の磁気センサ。
【請求項25】
被測定電流が流れる導体と、
前記導体上又は前記導体の近傍に配置される請求項14に記載の磁気センサと、
を備える電流検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気センサ及び電流検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気抵抗素子(TMR)をそれぞれ含む4つの抵抗辺から構成されるホイートストーンブリッジ回路を備え、一対の電源ノードから駆動電圧を入力して一対の出力ノードから差動電圧を取得することで磁場強度を検出する磁気センサが知られている(特許文献1参照)。斯かる構成の磁気センサにおいて、複数のTMRを直列接続して各抵抗辺を構成することで、磁気センサのDC耐圧性及びESD耐圧性を向上することができる。しかし、チップ面積(感磁部面積に等しい)が広くなる、つまり4つの抵抗辺により形成される閉ループが大きくなり、その閉ループの内側を多くの磁束が通ることで誘導起電力が発生してdi/dtノイズをもたらすだけでなく、感磁部上の磁場分布により同相信号が発生して差動増幅ノイズをもたらすことが懸念される。
特許文献1 国際公開第2015/107949号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の第1の態様においては、一面上に配列された複数の第1磁気抵抗素子と、該複数の第1磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第1磁気抵抗素子のそれぞれの上面を接続する第1電極片と、前記複数の第1磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第1磁気抵抗素子のそれぞれの下面を接続する第2電極片と、を有し、前記複数の第1磁気抵抗素子は前記第1電極片及び前記第2電極片により配列順に交互に接続される、第1抵抗辺と、前記一面上に配列された複数の第2磁気抵抗素子と、該複数の第2磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第2磁気抵抗素子のそれぞれの上面を接続する第3電極片と、前記複数の第2磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第2磁気抵抗素子のそれぞれの下面を接続する第4電極片と、を有し、前記複数の第2磁気抵抗素子は前記第3電極片及び前記第4電極片により配列順に交互に接続される、第2抵抗辺と、を備え、前記第1電極片は、前記第4電極片と上下方向に離隔して交差するように配置され、前記第2電極片は、前記第3電極片と上下方向に離隔して交差するように配置される第1交差部分を含む、磁気センサが提供される。
【0004】
本発明の第2の態様においては、被測定電流が流れる導体と、前記導体上又は前記導体の近傍に配置される第1の態様の磁気センサと、を備える電流検出装置が提供される。
【0005】
本発明の第3の態様においては、一面上に配列された複数の第1磁気抵抗素子と、該複数の第1磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第1磁気抵抗素子のそれぞれの上面を接続する第1電極片と、前記複数の第1磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第1磁気抵抗素子のそれぞれの下面を接続する第2電極片と、を有し、前記複数の第1磁気抵抗素子は前記第1電極片及び前記第2電極片により配列順に交互に接続される、第1抵抗辺と、前記一面上に配列された複数の第2磁気抵抗素子と、該複数の第2磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第2磁気抵抗素子のそれぞれの上面を接続する第3電極片と、前記複数の第2磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第2磁気抵抗素子のそれぞれの下面を接続する第4電極片と、を有し、前記複数の第2磁気抵抗素子は前記第3電極片及び前記第4電極片により配列順に交互に接続される、第2抵抗辺と、を備え、前記一面上に配列された複数の第3磁気抵抗素子と、該複数の第3磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第3磁気抵抗素子のそれぞれの上面を接続する第5電極片と、前記複数の第3磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第3磁気抵抗素子のそれぞれの下面を接続する第6電極片と、を有し、前記複数の第3磁気抵抗素子は前記第5電極片及び前記第6電極片により配列順に交互に接続される、第3抵抗辺と、前記一面上に配列された複数の第4磁気抵抗素子と、該複数の第4磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第4磁気抵抗素子のそれぞれの上面を接続する第7電極片と、前記複数の第4磁気抵抗素子のうちの互いに隣接する2つの第4磁気抵抗素子のそれぞれの下面を接続する第8電極片と、を有し、前記複数の第4磁気抵抗素子は前記第7電極片及び前記第8電極片により配列順に交互に接続される、第4抵抗辺と、を備え、前記第1電極片は、前記第8電極片と上下方向に離隔して交差するように配置され、前記第2電極片は、前記第3電極片と上下方向に離隔して交差するように配置され、前記第5電極片は、前記第4電極片と上下方向に離隔して交差するように配置され、前記第6電極片は、前記第7電極片と上下方向に離隔して交差するように配置される交差部分を含む、磁気センサが提供される。
【0006】
本発明の第4の態様においては、被測定電流が流れる導体と、前記導体上又は前記導体の近傍に配置される第3の態様の磁気センサと、を備える電流検出装置が提供される。
【0007】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】第1の実施形態に係る電流検出装置の内部構成を上面視において示す。
【
図1B】第1の実施形態に係る電流検出装置の内部構成を側面視において示す。
【
図3】磁気抵抗素子(TMR)の構成を側面視において示す。
【
図4A】水平磁場を検出する磁気センサの配置の例を示す。
【
図4B】
図4Aの磁気センサの回路構成及び磁気抵抗素子の磁場検知方向を示す。
【
図5A】垂直磁場を検出する磁気センサの配置の例を示す。
【
図5B】
図5Aの磁気センサの回路構成及び磁気抵抗素子の磁場検知方向を示す。
【
図6A】誘導起電力に伴うdi/dtノイズの発生原理を示す。
【
図6B】配線を撚ることでdi/dtノイズを抑制する原理を示す。
【
図7】第1の実施形態に係る磁気センサの構成を斜視において示す。
【
図8A】X方向磁場の印加に伴うdi/dtノイズを抑制する原理を示す。
【
図8B】Y方向磁場の印加に伴うdi/dtノイズを抑制する原理を示す。
【
図8C】Z方向磁場の印加に伴うdi/dtノイズを抑制する原理を示す。
【
図9】第2の実施形態に係る磁気センサの構成を斜視において示す。
【
図10A】第2の実施形態に係る磁気センサの単位ユニットの構成を上面視において示す。
【
図10B】第2の実施形態に係る磁気センサの単位ユニットの構成を斜視において示す。
【
図11A】第2の実施形態に係る磁気センサの別の単位ユニットの構成を上面視において示す。
【
図11B】第2の実施形態に係る磁気センサの別の単位ユニットの構成を斜視において示す。
【
図12A】X方向磁場の印加に伴うdi/dtノイズを抑制する原理を示す。
【
図12B】X方向磁場の印加に伴うdi/dtノイズを抑制する別の原理を示す。
【
図13A】Y方向磁場の印加に伴うdi/dtノイズを抑制する原理を示す。
【
図13B】Y方向磁場の印加に伴うdi/dtノイズを抑制する別の原理を示す。
【
図14A】Z方向磁場の印加に伴うdi/dtノイズを抑制する原理を示す。
【
図14B】Z方向磁場の印加に伴うdi/dtノイズを抑制する別の原理を示す。
【
図15A】変形例に係る電流検出装置の内部構成を上面視において示す。
【
図15B】変形例に係る電流検出装置の内部構成を側面視において示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
〈第1の実施形態〉
図1A及び
図1Bは、それぞれ上面視及び側面視において、第1の実施形態に係る電流検出装置100の内部構成をパッケージ9を透過して示す。ここで、
図1Bは、
図1Aにおける基準線に関する電流検出装置100の断面構造を示す。なお、
図1Aにおける上下方向を縦方向、
図1A及び
図1Bにおける左右方向を横方向、及び
図1Bにおける上下方向を高さ方向とする。電流検出装置100は、被測定電流が導体24に流れることでその周囲に発生する磁場を磁気センサ50を用いて検出することで電流量を測定するセンサであり、特に誘導起電力によるdi/dtノイズ及び/又は磁場分布の広がりに伴う差動増幅ノイズを抑制することができる。電流検出装置100は、パッケージ9、ベース10、複数のデバイス端子17、導体24、磁気センサ50、及び信号処理デバイス44を備える。
【0011】
パッケージ9は、後述するベース10が有する2つのデバイス端子15,16、複数のデバイス端子17、及び導体24のそれぞれの端子部を除いて、電流検出装置100の構成各部をその内部に封止して保護する部材である。パッケージ9は、例えば、エポキシのような絶縁性に優れた封止樹脂を用いてモールド成形することで、扁平状の直方体に成形される。
【0012】
ベース10は、信号処理デバイス44を支持するとともに絶縁部材18が固定される板状部材である。ベース10は、特に信号処理デバイス44が発する熱を放熱するために、例えば熱伝導率の高い金属を用いて板状に成形される。ベース10は、本体11、突出部12,14、及びデバイス端子15,16を有する。
【0013】
本体11は、信号処理デバイス44を支持する部分である。本体11は、一例として、平面視において信号処理デバイス44を支持するのに十分な大きさの略矩形状を有する。
【0014】
突出部12,14は、それぞれ、本体11の横方向の一辺(すなわち、
図1Aにおける右辺)の一端(すなわち、
図1Aにおける上端)及び他端(すなわち、
図1Aにおける下端)から、右方に向かって延設される。磁気センサ50を導体24の周囲に配置する場合に、突出部12,14の間に絶縁部材18を固定し、その絶縁部材18上に磁気センサ50を配置することができる。
【0015】
デバイス端子15,16は、信号処理デバイス44から出力される被測定電流の検出結果を外部デバイスに出力するための部分である。デバイス端子15,16は、本体11の横方向の他辺(すなわち、
図1Aにおける左辺)の一端(すなわち、
図1Aにおける上端)及び他端(すなわち、
図1Aにおける下端)から、左方に向かって延設される。デバイス端子15,16は、折曲加工によりそれらの端部を下方に向けて屈曲し、さらに先端を水平に屈曲することにより、それらの端部にそれぞれ端子部15a,16aを形成する。
【0016】
ベース10は、デバイス端子15,16の端子部15a,16aをパッケージ9の側面から突出させて、パッケージ9内に封止される。
【0017】
複数のデバイス端子17は、デバイス端子15,16とともに、信号処理デバイス44から出力される被測定電流の検出結果を外部デバイスに出力するための2次導体である。その他、複数のデバイス端子17は、デバイス端子15,16とともに、信号処理デバイス44に電源或いは動作パラメーターを与えるために用いられる。本実施形態では、一例として3つのデバイス端子17が、それらの長手を横方向に向けて、ベース10のデバイス端子15,16の間に等間隔に配列される。デバイス端子17は、金属を用いて矩形板状に成形され、デバイス端子15,16と同様に、折曲加工によりそれらの端部を下方に向けて屈曲し、さらに先端を水平に屈曲することにより、それらの端部にそれぞれ端子部17aを形成する。
【0018】
導体24は、被測定電流が流れる電流経路を形成する1次導体である。本実施形態では、導体24は、パッケージ9の右辺の一側(すなわち、
図1Aにおける上側)に設けられる電流端子24aからパッケージ9の内部を通って右辺に戻り、右辺の他側(すなわち、
図1Aにおける下側)に設けられる電流端子24eへと至る略U字形状を有する。導体24は、金属を用いて成形される。導体24は、電流端子(単に端子部とも呼ぶ)24a,24e、胴部24b,24d、及び曲部24cを含む。
【0019】
端子部24a,24eは、パッケージ9の右辺から突出し、折曲加工によりそれらの端部を下方に向けて屈曲し、さらに先端を水平に屈曲することにより、電流を入力するための端子を形成する。
【0020】
胴部24b,24dは、端子部24a,24eを曲部24cに接続する部分である。胴部24b,24dは、一例として矩形状に形成され、右辺に2つの胴部24b,24dを離隔して接続し、左辺に曲部24cの脚部を接続する。
【0021】
曲部24cは、2つの脚部及びこれら2つの脚部を繋ぐ繋部を有する。2つの脚部は、胴部24b,24dより小さい縦方向の幅を有する。曲部24cは、繋部を略円弧状に湾曲し、その両端から2つの脚部を横方向に延伸する。なお、曲部24cをコ字状に屈曲してもよい。
【0022】
導体24は、曲部24cをベース10の突出部12,14の間に配し、端子部24a,24eの先端をパッケージ9の右辺から突出して、パッケージ9内に封止される。
【0023】
磁気センサ50は、導体24に通電される被測定電流により発生する磁場を検出するセンサである。磁気センサ50は、一例として、導体24の周りに発生する縦方向の磁場(水平方向磁場の一例)を検出するよう構成され、導体24の一方の脚部上に配置されている。
【0024】
図2に、磁気センサ50の回路構成を示す。磁気センサ50は、4つの抵抗辺Ra~Rdを備える。ここで、4つの抵抗辺Ra~Rdは、ホイートストーンブリッジ回路状に接続される。すなわち、抵抗辺Raの一端と抵抗辺Rbの一端とが接続されて出力端子Np1を形成し、抵抗辺Rcの一端と抵抗辺Rdの一端とが接続されて出力端子Np2を形成し、抵抗辺Raの他端と抵抗辺Rcの他端とが接続されて電源端子VDDを形成し、抵抗辺Rbの他端と抵抗辺Rdの他端とが接続されてグランド端子GNDを形成する。
【0025】
なお、抵抗辺Ra及び抵抗辺Rdの磁場検知方向は同じであり、本例では
図1Aにおける縦方向の上向き(又は下向き)とする。また、抵抗辺Rb及び抵抗辺Rcの磁場検知方向は同じであり、本例では
図1Aにおける縦方向の下向き(又は上向き)とする。また、抵抗辺Ra及び抵抗辺Rdの磁場検知方向は抵抗辺Rb及び抵抗辺Rcの磁場検知方向と逆である。4つの抵抗辺Ra~Rdのそれぞれは、例えば、1つの磁気抵抗素子51を用いて又は複数の磁気抵抗素子51a~51dを直列接続することで形成される。なお、磁気抵抗素子として、例えば、トンネル型磁気抵抗素子又は巨大磁気抵抗素子を採用することができる。
【0026】
図3に、磁気抵抗素子51(51a~51d)の構成を側面視において示す。磁気抵抗素子51は、磁場の印加によって抵抗値が変動する素子であり、固定層51o、トンネル層51p、フリー層51q、及びキャップ層51rを有する。固定層51oは、磁化の向きが固定された磁性膜である。固定層51oは、その磁化が、磁性膜が拡がる平面(感磁面とも呼ぶ)内の一軸方向又は感磁面に対する垂直方向を向くように着磁される。固定層51oの磁化の向きが、磁気抵抗素子51の磁場検知方向を定める。トンネル層51pは、例えば数ナノメートル厚の非磁性絶縁膜である。フリー層51qは、外部磁場によって磁化の向きを変える磁性膜である。なお、磁性膜の材料として、例えばCo、Fe、B、Ni、Siのうちの少なくとも1つを含む合金であり、より具体的にはコバルト鉄(CoFe)、コバルト鉄ボロン(CoFeB)、ニッケル鉄(NiFe)を使用することができる。固定層51o、トンネル層51p、及びフリー層51qは積層されて積層体を構成する。ここで、電子がトンネル層51pをトンネルして固定層51oからフリー層51qに又はフリー層51qから固定層51oに移動することで、電流が素子内を積層方向に流れる。キャップ層51rは、積層体を上方からカバーする部材であり、例えばTa、Ru、Pt、Mn、Ir、Mg、Cu、Fe、Ni、Cr、Fe、Co、Alのうちの少なくとも1つを含む合金、より具体的にはプラチナマンガン(PtMn)やイリジウムマンガン(IrMn)を使用することができる。なお、磁気抵抗素子51の周囲は絶縁物(不図示)、例えば二酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(SiN)等により覆われている。
【0027】
磁気抵抗素子51に外部磁場が印加されると、磁気抵抗効果(MR効果)により、磁場の向き及び強度に応じてフリー層51qの磁化の向きが変わる、すなわち固定層51oの磁化の向きに対してフリー層51qの磁化の向きが変わり、それにより固定層51o及びフリー層51qの間の抵抗値が変動する。特に、固定層51oの磁化の向きに対してフリー層51qの磁化の向きが同じ(2つの層の磁化が平行)である場合、抵抗値は小さく、逆(2つの層の磁化が反平行)である場合、抵抗値は大きくなる。
【0028】
なお、複数の磁気抵抗素子51を直列接続することで、DC耐圧性を向上することができる。ここで、キャップ層51rに電極棒51sを介して電極片52を接続し、固定層51oの下面に電極片53を接続することで、これら電極片52,53を介して磁気抵抗素子51を別の磁気抵抗素子51に接続することができる。
【0029】
導体24に被測定電流が流れて導体24の周りに磁場が発生すると、導体24上に配置された磁気センサ50の抵抗辺Ra~Rd(に含まれる磁気抵抗素子51a~51d)に縦方向の磁場が印加されて、それぞれの抵抗値が変動する。例えば、抵抗辺Ra,Rdの抵抗値が増大(又は減少)し、抵抗辺Rb,Rcの抵抗値が減少(又は増大)。それにより、抵抗辺Ra~Rdの抵抗バランスが崩れる。ここで、グランド端子GNDに対して電源端子VDDに駆動電圧を入力し、出力端子Np1,Np2間から出力される差動電圧を検出することで、磁場強度を検出することができる。なお、磁気センサ50の構成についてはさらに後述する。
【0030】
磁気センサ50は、ワイヤボンディングによって信号処理デバイス44に接続され、検出した磁場強度に応じた電圧を出力信号として信号処理デバイス44に出力する。
【0031】
信号処理デバイス44は、磁気センサ50の出力信号を処理して、導体24に通電される被測定電流の量を算出するデバイスである。信号処理デバイス44は、メモリ、感度補正回路、出力のオフセットを補正するオフセット補正回路、磁気センサ50からの出力信号を増幅する増幅回路、及び温度に応じて出力を補正する温度補正回路を内蔵してもよい。信号処理デバイス44は、ベース10の本体11上に支持され、ベース10のデバイス端子15,16及び3つのデバイス端子17とワイヤボンディングによって接続される。それにより、信号処理デバイス44は、導体24に通電される被測定電流の量の算出結果をデバイス端子15,16,17を介して出力する。
【0032】
電流検出装置100の製造方法について説明する。
【0033】
まず、一枚の金属板をプレス加工して、ベース10、複数のデバイス端子17、及び導体24のパターンを成形する。このパターンは、ベース10、複数のデバイス端子17、及び導体24を、それらの端子部を矩形枠状のフレームの内側に連結して含む。
【0034】
次に、パターンに段差加工を施して、ベース10のデバイス端子15,16、複数のデバイス端子17、及び導体24に段差を設ける。それにより、フレーム及びフレームに連結するそれらの端子部に対してパターンの内側部分が上げられる。
【0035】
次に、磁気センサ50及び信号処理デバイス44をパターン上に設置する。ここで、磁気センサ50は導体24の一方の脚部上に配置される。信号処理デバイス44は、ベース10の本体11上に配置される。
【0036】
次に、ワイヤボンディングにより、磁気センサ50と信号処理デバイス44とを接続し、信号処理デバイス44とデバイス端子15,16,17とを接続する。
【0037】
次に、パターンを、フレーム並びにこれに連結するベース10、複数のデバイス端子17、及び導体24の端子部を残して、モールド成形する。それにより、パッケージ9が成形され、その内部に磁気センサ50、信号処理デバイス44、及びこれらが設置されたパターンの内側部分が封止される。
【0038】
最後に、パッケージ9から露出するフレームをパターンから切断する。これにより、ベース10、複数のデバイス端子17、及び導体24が互いに分離され、電流検出装置100が完成する。
【0039】
図4Aに、磁気センサ50の配置の例を示す。磁気センサ50は、先述のとおり、導体24の2つの脚部の一方の上に配置することができる。これに代えて2つの脚部の他方の上に配置してもよい。また、導体24の2つの脚部の両方に配置すると、外乱磁場をキャンセルできるためより好ましい。斯かる位置に配置される磁気センサ50は、導体24の上面に対して平行な水平磁場(本例の場合、
図1Aにおける縦方向の磁場)を検出するように構成される。
【0040】
図4Bに、
図4Aの磁気センサ50が備える4つの抵抗辺Ra~Rd(それぞれに含まれる磁気抵抗素子51a~51d)の磁場検知方向を示す。抵抗辺Ra(磁気抵抗素子51a)及び抵抗辺Rd(磁気抵抗素子51d)の磁場検知方向は同じであり、本例では導体24の上面に対して平行な一軸方向の一向き(図中に白抜き矢印で表す)とする。抵抗辺Rb(磁気抵抗素子51b)及び抵抗辺Rc(磁気抵抗素子51c)の磁場検知方向は同じであり、本例では導体24の上面に対して平行な一軸方向の他向き(図中に黒塗り矢印で表す)とする。抵抗辺Ra及び抵抗辺Rdの磁場検知方向は抵抗辺Rb及び抵抗辺Rcの磁場検知方向と逆である。これにより、磁気センサ50により、導体24の上面上に発生する水平磁場を検出することができる。
【0041】
図5Aに、磁気センサ50の配置の別の例を示す。磁気センサ50は、導体24の曲部24cに囲まれる領域に配置することができる。これに代えて、導体24の2つの脚部の一方の近傍に配置してよく、また2つの脚部のそれぞれの近傍に配置してもよい。特に、導体24の2つの脚部の一方の近傍に設置すると、外乱磁場をキャンセルできるためより好ましい。斯かる位置に配置される磁気センサ50は、導体24の上面に対して垂直な垂直磁場(本例の場合、
図1Aにおける高さ方向の磁場)を検出するように構成される。
【0042】
なお、磁気センサ50は、ベース10の突出部12,14の下面に貼り付けることで突出部12,14の間に絶縁部材18を架け、その絶縁部材18上に支持することで導体24の近傍に配置することができる。なお。絶縁部材18は、一例としてポリイミドテープ等の絶縁耐圧の高い素材を用いてフィルム状に成形される。
【0043】
また、導体24の曲部24cは、段差加工(例えば半抜き、エッチング、フォーミング、コイニング等)により高さ方向に段差を設けて胴部24b,24dに対して上げられてもよい。それにより、曲部24cの底面は、ベース10の突出部12,14の底面に貼り付けられた絶縁部材18の上面より高くなり、導体24を含む1次導体とデバイス端子15,16,17を含む2次導体に接続する絶縁部材18とが離隔することで、パッケージ9内における1次導体と2次導体との間の高い絶縁耐圧が得られる。
【0044】
図5Bに、
図5Aの磁気センサ50が備える4つの抵抗辺Ra~Rd(それぞれに含まれる磁気抵抗素子51a~51d)の磁場検知方向を示す。抵抗辺Ra(磁気抵抗素子51a)及び抵抗辺Rd(磁気抵抗素子51d)の磁場検知方向は同じであり、本例では導体24の上面に対する垂直方向の上向き(図中に白抜き矢印で表す)とする。抵抗辺Rb(磁気抵抗素子51b)及び抵抗辺Rc(磁気抵抗素子51c)の磁場検知方向は同じであり、本例では導体24の上面に対する垂直方向の下向き(図中に黒塗り矢印で表す)とする。抵抗辺Ra及び抵抗辺Rdの磁場検知方向は抵抗辺Rb及び抵抗辺Rcの磁場検知方向と逆である。これにより、磁気センサ50により、導体24の周囲に発生する垂直磁場を検出することができる。
【0045】
図6Aに、誘導起電力に伴うdi/dtノイズの発生原理を示す。磁気センサ50のホイートストーンブリッジ回路(すなわち、閉ループ)を構成する2つの配線に磁場(磁束密度B)が印加され、それら2つの配線間に磁束(φ=BS、Sは配線間の面積)が通ると、磁束密度(磁場強度B/μ、μは透磁率)の増減を相殺するように2つの配線に誘導起電力(V=-dφ/dt=-SdB/dt)が発生する。平行配線の場合、配線間を貫く磁束のそれぞれにより上側の配線に加わる左向き誘導起電力(図中、白抜き矢印で表す)及び下側の配線に加わる右向き誘導起電力(図中、黒塗り矢印で表す)が加算されて、2つの配線間に大きな誘導起電力が発生する。それにより、誘導起電力に伴うノイズ、所謂di/dtノイズが磁気センサの出力信号に重畳することとなる。
【0046】
図6Bに、di/dtノイズを抑制する原理を示す。閉ループを構成する2つの配線を撚って撚線とすることで、閉ループ内に等面積の部分ループを複数形成する。2つの配線に磁場(磁束密度B)が印加され、複数の部分ループのそれぞれに磁束が通ると、磁束密度の増減を相殺するようにそれぞれの部分ループを構成する配線に誘導起電力が発生する。撚線の場合、各部分ループにおいて、上側の配線に左向きの誘導起電力(図中、白抜き矢印で表す)が加わり、下側の配線に右向きの誘導起電力(図中、黒塗り矢印で表す)が加わる。しかし、2つの配線のそれぞれにおいては、部分ループを構成する部分ごとに誘導起電力の向きが変わることで、配線の全体に加わる誘導起電力が抑制される。なお、各ループに発生する誘導起電力の向きを極性とも呼ぶ。特に、偶数個の部分ループを形成した場合には、配線の全体に加わる誘導起電力が相殺される。このように磁気センサ50のホイートストーンブリッジ回路内にループ面積が等しく逆極性の部分ループを偶数個設けることで、di/dtノイズを相殺又は強く抑制することができる。
【0047】
図7に、第1の実施形態に係る磁気センサ50の構成を斜視において示す。磁気センサ50は、ツイスト型のホイートストーンブリッジ回路に組まれた4つの抵抗辺Ra~Rdを含む。なお、各抵抗辺Ra~Rdに含まれる磁気抵抗素子51a~51dは先述のとおり構成される。
【0048】
抵抗辺Raは、複数の磁気抵抗素子51a、複数の電極片52a、及び複数の電極片53aを有する。複数の磁気抵抗素子51aは、例えば、導体24の上面等の一面上に配列される。複数の電極片52aは、導電性金属を用いて形成された幅細の片状部材であり、複数の磁気抵抗素子51aのうちの互いに隣接する2つの素子のそれぞれの上面(すなわちキャップ層51rの上面)を接続する。複数の電極片53aは、導電性金属を用いて形成された幅広の片状部材であり、複数の磁気抵抗素子51aのうちの互いに隣接する2つの素子のそれぞれの下面(すなわち、固定層51oの下面)を接続し、特に電極片52aにより上面が接続された2つの磁気抵抗素子51aの一方の下面を複数の磁気抵抗素子51aのうちの別の磁気抵抗素子51aの下面に接続する。
【0049】
複数の磁気抵抗素子51aは、電極片52a及び電極片53aにより、配列順に交互に接続される。つまり、1つめの磁気抵抗素子51aの上面が電極片52aにより2つめの磁気抵抗素子51aの上面に接続され、2つめの磁気抵抗素子51aの下面が電極片53aにより3つめの磁気抵抗素子51aの下面に接続され、3つめの磁気抵抗素子51aの上面が電極片52aにより4つめの磁気抵抗素子51aの上面に接続され、4つめの磁気抵抗素子51aの下面が電極片53aにより5つめの磁気抵抗素子51aの下面に接続され、それにより複数(本例の場合、5つ)の磁気抵抗素子51aが直列に連ねられる。
【0050】
抵抗辺Rbは、複数の磁気抵抗素子51b、複数の電極片52b、及び複数の電極片53bを有する。複数の磁気抵抗素子51bは、導体24の上面等の一面上に配列される。複数の電極片52b及び複数の電極片53bは、複数の電極片52a及び複数の電極片53aと同様に形成され、複数の磁気抵抗素子51bのうちの互いに隣接する2つの素子の上面又は下面を接続する。ここで、複数の電極片53bは、電極片52bにより上面が接続された2つの磁気抵抗素子51bの一方の下面を複数の磁気抵抗素子51bのうちの別の磁気抵抗素子51bの下面に接続する。
【0051】
複数の磁気抵抗素子51bは、電極片52b及び電極片53bにより、配列順に交互に接続される。つまり、1つめの磁気抵抗素子51bの下面が電極片53bにより2つめの磁気抵抗素子51bの下面に接続され、2つめの磁気抵抗素子51bの上面が電極片52bにより3つめの磁気抵抗素子51bの上面に接続され、3つめの磁気抵抗素子51bの下面が電極片53bにより4つめの磁気抵抗素子51bの下面に接続され、4つめの磁気抵抗素子51bの上面が電極片52bにより5つめの磁気抵抗素子51bの上面に接続され、それにより複数(本例の場合、5つ)の磁気抵抗素子51bが直列に連ねられる。
【0052】
ここで、抵抗辺Ra及び抵抗辺Rbは、それぞれの電極片を立体交差する交差部分50aを含む。交差部分50aでは、電極片52a及び電極片52bは長手を図面左右方向に向けて平行に配置され、電極片53a及び電極片53bは長手を図面上下方向に向けて平行に配置される。すなわち、電極片52a及び電極片52bと電極片53a及び電極片53bとは交差する向きに配置される。ここで、電極片52a及び電極片52bと電極片53a及び電極片53bとが交差する角度は90度であってよい。さらに、電極片52aは、電極片53bと上下方向に離隔して交差するように配置され、電極片53aは、電極片52bと上下方向に離隔して交差するように配置される。それにより、抵抗辺Ra及び抵抗辺Rbがツイスト状に一面上に組み立てられて、限られた領域内に配設することが可能となる。
【0053】
さらに、電極片52aの長さ及び電極片52bの長さは互いに等しく、電極片53aの長さ及び電極片53bの長さは互いに等しい。ここで、電極片52a,53aの長さは、互いに隣接する2つの磁気抵抗素子51aを接続する方向に関する長さと定める。また、電極片52b,53bの長さは、互いに隣接する2つの磁気抵抗素子51bを接続する方向に関する長さと定める。それにより、交差部分50aをX軸方向、Y軸方向、或いはXY面内の任意の方向から視ても、ループ面積が等しく且つ互いに逆極性の一対の部分ループが形成されることとなる。
【0054】
なお、抵抗辺Ra及び抵抗辺Rbは、互いに連結する複数組の交差部分50aを含んでよい。本例では、先述の交差部分50aに、これと同様に構成された交差部分50a2が連結される。これにより、抵抗辺Raは、電極片52a及び電極片53aを偶数個(本例では各2つ)有し、抵抗辺Rbは、電極片52b及び電極片53bを偶数個(本例では各2つ)有することとなる。
【0055】
ここで、交差部分50aは、Z軸方向視において4つの電極片52a,53a,52b,53bにより形成される部分ループを含み、さらに交差部分50a2を連結することで交差部分50a,50a2の間に4つの電極片52a,53a,52b,53bにより2つめの部分ループが形成される。つまり、交差部分50aを複数連結することで、Z軸方向視においてループ面積が等しく且つ互いに逆極性の一対又は複数対の部分ループが形成されることとなる。
【0056】
抵抗辺Rcは、複数の磁気抵抗素子51c、複数の電極片52c、及び複数の電極片53cを有する。複数の磁気抵抗素子51cは、導体24の上面等の一面上に配列される。複数の電極片52cは、導電性金属を用いて形成された幅細の片状部材であり、複数の磁気抵抗素子51cのうちの互いに隣接する2つの素子のそれぞれの上面(すなわちキャップ層51rの上面)を接続する。複数の電極片53cは、導電性金属を用いて形成された幅広の片状部材であり、複数の磁気抵抗素子51cのうちの互いに隣接する2つの素子のそれぞれの下面(すなわち、固定層51oの下面)を接続し、特に電極片52cにより上面が接続された2つの磁気抵抗素子51cの一方の下面を複数の磁気抵抗素子51cのうちの別の磁気抵抗素子51cの下面に接続する。
【0057】
複数の磁気抵抗素子51cは、電極片52c及び電極片53cにより、配列順に交互に接続される。電極片52c及び電極片53cによる複数の磁気抵抗素子51cの接続は、電極片52b及び電極片53bによる複数の磁気抵抗素子51bの接続と同様である。それにより、複数(本例の場合、5つ)の磁気抵抗素子51cが直列に連ねられる。
【0058】
抵抗辺Rdは、複数の磁気抵抗素子51d、複数の電極片52d、及び複数の電極片53dを有する。複数の磁気抵抗素子51dは、導体24の上面等の一面上に配列される。複数の電極片52d及び複数の電極片53dは、複数の電極片52c及び複数の電極片53cと同様に形成され、複数の磁気抵抗素子51dのうちの互いに隣接する2つの素子の上面又は下面を接続する。ここで、複数の電極片53dは、電極片52dにより上面が接続された2つの磁気抵抗素子51dの一方の下面を複数の磁気抵抗素子51dのうちの別の磁気抵抗素子51dの下面に接続する。
【0059】
複数の磁気抵抗素子51dは、電極片52d及び電極片53dにより、配列順に交互に接続される。電極片52d及び電極片53dによる複数の磁気抵抗素子51dの接続は、電極片52a及び電極片53aによる複数の磁気抵抗素子51aの接続と同様である。それにより、複数(本例の場合、5つ)の磁気抵抗素子51dが直列に連ねられる。
【0060】
ここで、抵抗辺Rc及び抵抗辺Rdは、それぞれの電極片を立体交差する交差部分50cを含む。交差部分50cでは、電極片52c及び電極片52dは長手を図面左右方向に向けて平行に配置され、電極片53c及び電極片53dは長手を図面上下方向に向けて平行に配置される。すなわち、電極片52c及び電極片52dと電極片53c及び電極片53dとは交差する向きに配置される。ここで、電極片52c及び電極片52dと電極片53c及び電極片53dとが交差する角度は90度であってよい。さらに、電極片52cは、電極片53dと上下方向に離隔して交差するように配置され、電極片53cは、電極片52dと上下方向に離隔して交差するように配置される。それにより、抵抗辺Rc及び抵抗辺Rdがツイスト状に一面上に組み立てられて、限られた領域内に配設することが可能となる。
【0061】
さらに、電極片52cの長さ及び電極片52dの長さは互いに等しく、電極片53cの長さ及び電極片53dの長さは互いに等しい。ここで、電極片52c,53cの長さは、互いに隣接する2つの磁気抵抗素子51cを接続する方向に関する長さと定める。また、電極片52d,53dの長さは、互いに隣接する2つの磁気抵抗素子51dを接続する方向に関する長さと定める。それにより、交差部分50cをX軸方向、Y軸方向、或いはXY面内の任意の方向から視ても、ループ面積が等しく且つ互いに逆極性の一対の部分ループが形成されることとなる。
【0062】
なお、抵抗辺Rc及び抵抗辺Rdは、互いに連結する複数組の交差部分50cを含んでよい。本例では、先述の交差部分50cに、これと同様に構成された交差部分50c2が連結されている。これにより、抵抗辺Rcは、電極片52c及び電極片53cを偶数個(本例では各2つ)有し、抵抗辺Rbは、電極片52d及び電極片53dを偶数個(本例では各2つ)有することとなる。
【0063】
ここで、交差部分50cは、Z軸方向視において4つの電極片52c,53c,52d,53dにより形成される部分ループを含み、さらに交差部分50c2を連結することで交差部分50c,50c2の間に4つの電極片52c,53c,52d,53dにより2つめの部分ループが形成される。つまり、交差部分50cを複数連結することで、Z軸方向視においてループ面積が等しく且つ互いに逆極性の一対又は複数対の部分ループが形成されることとなる。
【0064】
図8Aに、X方向磁場の印加に伴うdi/dtノイズを抑制する原理を示す。一例として+X方向を向く磁束(実線矢印)が抵抗辺Ra,Rbに印加されると、X方向視において部分ループを形成する電極片52a,53bにそれぞれ図面左向き(白抜き矢印)及び下向き(黒塗り矢印)の誘導起電力が発生し、隣接する部分ループを形成する電極片52b,53aにそれぞれ図面左向き(白抜き矢印)及び下向き(黒塗り矢印)の誘導起電力が発生し、さらに隣接する部分ループを形成する電極片52a,53bにそれぞれ図面左向き(白抜き矢印)及び下向き(黒塗り矢印)の誘導起電力が発生する。ここで、電極片52a,52b,53a,53bの長さ(特に、部分ループを形成する部分の長さ)が等しく、電極片52a,52b及び電極片53a,53bが出力端子Np1を介して接続されていることで、電極片52a及び電極片53bに発生する誘導起電力が相殺され、電極片52b及び電極片53aに発生する誘導起電力が相殺される。
【0065】
なお、X方向磁場が抵抗辺Rc,Rdに印加された場合においても、同様の原理で抵抗辺Rc,Rdを構成する電極片に発生する誘導起電力が相殺される。
【0066】
図8Bに、Y方向磁場の印加に伴うdi/dtノイズを抑制する原理を示す。一例として+Y方向を向く磁束(実線矢印及び点線矢印)が抵抗辺Ra,Rbに印加されると、Y方向視において部分ループを形成する電極片52a,53bにそれぞれ図面左向き(黒塗り矢印)及び図面上向き(黒塗り矢印)の誘導起電力が発生し、隣接する部分ループを形成する電極片52b,53aにそれぞれ図面左向き(白抜き矢印)及び図面上向き(白抜き矢印)の誘導起電力が発生する。ここで、電極片52a,52b,53a,53bの長さ(特に、部分ループを形成する部分の長さ)が等しいことで2つの部分ループのループ面積は等しく、電極片52a,52b,53a,53bがツイスト状に接続されていることで、2つの部分ループは逆極性を有する。それにより、磁束(実線矢印)により電極片52aに発生する誘導起電力(黒塗り矢印)と磁束(点線矢印)により電極片53aに発生する誘導起電力(白抜き矢印)とが相殺し、磁束(実線矢印)により電極片53bに発生する誘導起電力(黒塗り矢印)と磁束(点線矢印)により電極片52bに発生する誘導起電力(白抜き矢印)とが相殺する。
【0067】
なお、抵抗辺Ra,Rbは、電極片52a,52b,53a,53bを複数含むことで、逆極性を有する部分ループが複数対形成される。これにより、抵抗辺Ra,Rbの全体に加わる誘導起電力が相殺される。また、Y方向磁場が抵抗辺Rc,Rdに印加された場合においても、同様の原理で抵抗辺Rc,Rdを構成する電極片に発生する誘導起電力が相殺される。
【0068】
図8Cに、Z方向磁場の印加に伴うdi/dtノイズを抑制する原理を示す。一例として-Z方向を向く磁束(実線矢印及び点線矢印)が抵抗辺Ra,Rbに印加されると、Z方向視において部分ループを形成する電極片52a,53a,52b,53bにそれぞれ図面右向き(白抜き矢印)、上向き(白抜き矢印)、左向き(白抜き矢印)、及び下向き(白抜き矢印)の誘導起電力が発生し、隣接する部分ループを形成する電極片52b,53b,52a、53aにそれぞれ図面右向き(黒塗り矢印)、上向き(黒塗り矢印)、左向き(黒塗り矢印)、及び下向き(黒塗り矢印)の誘導起電力が発生する。ここで、電極片52a,52b,53a,53bの長さ(特に、部分ループを形成する部分の長さ)が等しく、電極片52a,52b,53a,53bがツイスト状に接続されていることで、2つの部分ループは逆極性を有する。それにより、それにより、磁束(実線矢印)により電極片52bに発生する誘導起電力(白抜き矢印)と磁束(点線矢印)により電極片52bに発生する誘導起電力(黒塗り矢印)とが相殺し、また磁束(実線矢印)により電極片53aに発生する誘導起電力(白抜き矢印)と磁束(点線矢印)により電極片53aに発生する誘導起電力(黒塗り矢印)とが相殺する。
【0069】
なお、その他の電極片においても、同様の原理で、隣接する2つの部分ループにそれぞれ印加される磁束により発生する誘導起電力が相殺される。これにより、抵抗辺Ra,Rbの全体に加わる誘導起電力が相殺される。また、Z方向磁場が抵抗辺Rc,Rdに印加された場合においても、同様の原理で抵抗辺Rc,Rdを構成する電極片に発生する誘導起電力が相殺される。
【0070】
先述のとおり、抵抗辺Ra~Rdはホイートストーンブリッジ回路状に接続される。抵抗辺Raの一端(図面右上の端部)と抵抗辺Rbの一端(図面右上の端部)とが接続されて出力端子Np1を形成し、抵抗辺Rcの一端(図面右上の端部)と抵抗辺Rdの一端(図面右上の端部)とが接続されて出力端子Np2を形成し、抵抗辺Raの他端(図面左下の端部)と抵抗辺Rcの他端(図面左下の端部)とが接続されて電源端子VDDを形成し、抵抗辺Rbの他端(図面左下の端部)と抵抗辺Rdの他端(図面左下の端部)とが接続されてグランド端子GNDを形成する。ここで、磁気抵抗素子51a及び磁気抵抗素子51dの磁場検知方向は同じであり、磁気抵抗素子51b及び磁気抵抗素子51cの磁場検知方向は同じであり、磁気抵抗素子51a及び磁気抵抗素子51dの磁場検知方向と磁気抵抗素子51b及び磁気抵抗素子51cの磁場検知方向とは逆である。
【0071】
磁気センサ50の抵抗辺Ra~Rdに含まれる磁気抵抗素子51a~51dに磁場が印加されると、例えば、磁気抵抗素子51a及び磁気抵抗素子51dの磁場検知方向と同じ向き(磁気抵抗素子51b及び磁気抵抗素子51cの磁場検知方向と逆の向き)の磁場が印加されると、磁気抵抗素子51a及び磁気抵抗素子51dをそれぞれ含む抵抗辺Ra及び抵抗辺Rdの抵抗値が減少し、磁気抵抗素子51b及び磁気抵抗素子51cをそれぞれ含む抵抗辺Rb及び抵抗辺Rcの抵抗値が増大し、それにより抵抗辺Ra~Rdの抵抗バランスが崩れる。そこで、グランド端子GNDに対して電源端子VDDに駆動電圧を入力し、出力端子Np1,Np2間から出力される差動電圧を検出することで、磁場強度を検出することができる。
【0072】
第1の実施形態に係る磁気センサ50によれば、一面上に配列された複数の第1磁気抵抗素子51a、複数の第1磁気抵抗素子51aのうちの互いに隣接する2つの素子のそれぞれの上面を接続する第1電極片52a、複数の第1磁気抵抗素子51aのうちの互いに隣接する2つの素子のそれぞれの下面を接続する第2電極片53aを有し、複数の第1磁気抵抗素子51aは第1電極片52a及び第2電極片53aにより配列順に交互に接続される、第1抵抗辺Ra、一面上に配列された複数の第2磁気抵抗素子51bと、複数の第2磁気抵抗素子51bのうちの互いに隣接する2つの素子のそれぞれの上面を接続する第3電極片52b、複数の第2磁気抵抗素子51bのうちの互いに隣接する2つの素子のそれぞれの下面を接続する第4電極片53bを有し、複数の第2磁気抵抗素子51bは第3電極片52b及び第4電極片53bにより配列順に交互に接続される、第2抵抗辺Rbを備え、第1電極片52aは、第4電極片53bと上下方向に離隔して交差するように配置され、第2電極片53aは、第3電極片52bと上下方向に離隔して交差するように配置される交差部分50aを含む。
【0073】
これによれば、一面上に配列された第1磁気抵抗素子51aを有する第1抵抗辺Raと同じ一面上に配列された第2磁気抵抗素子51bを有する第2抵抗辺Rbとが、2つの第1磁気抵抗素子51aの上面を接続する第1電極片52aと2つの第2磁気抵抗素子51bの下面を接続する第4電極片53bとを上下方向に離隔して交差させ、2つの第1磁気抵抗素子51aの下面を接続する第2電極片53aと2つの第2磁気抵抗素子51bの上面を接続する第3電極片52bとを上下方向に離隔して交差させて、ツイスト状に組み立てることで、第1抵抗辺Raと第2抵抗辺Rbを接続した際に第1電極片52a及び第4電極片53bが形成する部分ループと第2電極片53a及び第3電極片52bが形成する部分ループとの2つの逆極性の部分ループが形成されて、磁場が印加された際の誘導起電力に伴うノイズを相殺することができる。さらに、第1抵抗辺Raと第2抵抗辺Rbとをツイスト状に組み立てることで配置できる単位面積を小さくすることができ、それにより磁場強度の勾配の影響を受け辛くなるため同相電圧を抑制することができる。
【0074】
第1の実施形態に係る電流検出装置100によれば、被測定電流が流れる導体24、導体24上又は導体24の近傍に配置される磁気センサ50を備える。それにより、誘導起電力に伴うdi/dtノイズ及び磁場強度の勾配に伴う同相ノイズを抑制することができる。
【0075】
なお、第1の実施形態に係る磁気センサ50においては、抵抗辺Ra,Rbをツイスト状に組み立て、抵抗辺Rc,Rdをツイスト状に組み立てたが、これに代えて、抵抗辺Ra,Rcをツイスト状に組み立て、抵抗辺Rb,Rdをツイスト状に組み立てる、又は抵抗辺Ra,Rdをツイスト状に組み立て、抵抗辺Rb,Rcをツイスト状に組み立ててもよい。
【0076】
〈第2の実施形態〉
第2の実施形態に係る電流検出装置は、被測定電流が導体24に流れることでその周囲に発生する磁場を磁気センサ59を用いて検出することで電流量を測定するセンサであり、特に誘導起電力によるdi/dtノイズ及び/又は磁場分布の広がりに伴う差動増幅ノイズを抑制することができる。電流検出装置は、磁気センサ50に代えて磁気センサ59を用いることで、第1の実施形態に係る電流検出装置100と同様に構成することができる。
【0077】
図9に、第2の実施形態に係る磁気センサ59の構成を斜視において示す。磁気センサ59は、四つ網み型のホイートストーンブリッジ回路に組まれた4つの抵抗辺Ra~Rdを含む。ここで、4つの抵抗辺Ra~Rdは、それらを部分的に構成する単位ユニット59a,59bを含み、これらの単位ユニット59a,59bを交互に連結してX軸方向に延長することができ、またX軸方向に延長した後に折り返してさらに延長することもできる。本例では、2つの単位ユニット59a及びこれらの間に連結される1つの単位ユニット59bを含む。なお、各抵抗辺Ra~Rdに含まれる磁気抵抗素子51a~51dは先述のとおり構成される。
【0078】
抵抗辺Raは、複数の磁気抵抗素子51a、電極片52a,53a,54a,55aを有する。複数の磁気抵抗素子51aは、例えば、導体24の上面等の一面上に配列される。電極片52a,54aは、導電性金属を用いて形成された幅細の片状部材であり、複数の磁気抵抗素子51aのうちの互いに隣接する2つの素子のそれぞれの上面(すなわちキャップ層51rの上面)を接続する。電極片53a,55aは、導電性金属を用いて形成された幅広の片状部材であり、複数の磁気抵抗素子51aのうちの互いに隣接する2つの素子のそれぞれの下面(すなわち、固定層51oの下面)を接続し、特に電極片52a,54aにより上面が接続された2つの磁気抵抗素子51aの一方の下面を複数の磁気抵抗素子51aのうちの別の磁気抵抗素子51aの下面に接続する。
【0079】
図10A及び
図10Bに、それぞれ、磁気センサ59の単位ユニット59aの構成を上面視及び斜視において示す。単位ユニット59aにおいて、複数の磁気抵抗素子51aは、電極片52a,53aにより配列順に交互に接続される。つまり、1つめの磁気抵抗素子51a(
図10Aにおける上段左から1つめの素子)の下面が電極片53aにより2つめの磁気抵抗素子51aの下面に接続され、2つめの磁気抵抗素子51aの上面が電極片52aにより3つめの磁気抵抗素子51aの上面に接続され、3つめの磁気抵抗素子51aの下面が電極片53aにより4つめの磁気抵抗素子51a(
図10Aにおける下段右から2つめの素子)の下面に接続され、それにより4つの磁気抵抗素子51aが直列に連ねられる。
【0080】
図11A及び
図11Bに、それぞれ、磁気センサ59の単位ユニット59bの構成を上面視及び斜視において示す。単位ユニット59bにおいて、複数の磁気抵抗素子51aは、電極片54a,55aにより配列順に交互に接続される。つまり、1つめの磁気抵抗素子51a(
図11Aにおける下段左から1つめ素子)の上面が電極片54aにより2つめの磁気抵抗素子51aの上面に接続され、2つめの磁気抵抗素子51aの下面が電極片55aにより3つめの磁気抵抗素子51aの下面に接続され、3つめの磁気抵抗素子51aの上面が電極片54aにより4つめの磁気抵抗素子51a(
図11Aにおける上段右から2つめ素子)の上面に接続され、それにより4つの磁気抵抗素子51aが直列に連ねられる。
【0081】
抵抗辺Rbは、複数の磁気抵抗素子51b、電極片52b,53b,54b,55bを有する。複数の磁気抵抗素子51bは、導体24の上面等の一面上に配列される。電極片52b,54bは、電極片52a,54aと同様に形成され、複数の磁気抵抗素子51bのうちの互いに隣接する2つの素子の上面を接続する。電極片53b,55bは、電極片53a,55aと同様に形成され、複数の磁気抵抗素子51bのうちの互いに隣接する2つの素子の下面を接続する。ここで、複数の電極片53b,55bは、電極片52b,54bにより上面が接続された2つの磁気抵抗素子51bの一方の下面を複数の磁気抵抗素子51bのうちの別の磁気抵抗素子51bの下面に接続する。
【0082】
単位ユニット59aにおいて(
図10A及び
図10B参照)、複数の磁気抵抗素子51bは、電極片54b,55bにより配列順に交互に接続される。つまり、1つめの磁気抵抗素子51b(
図10Aにおける下段左から2つめ素子)の上面が電極片54bにより2つめの磁気抵抗素子51bの上面に接続され、2つめの磁気抵抗素子51bの下面が電極片55bにより3つめの磁気抵抗素子51bの下面に接続され、3つめの磁気抵抗素子51bの上面が電極片54bにより4つめの磁気抵抗素子51b(
図10Aにおける上段右から1つめ素子)の上面に接続され、それにより4つの磁気抵抗素子51bが直列に連ねられる。
【0083】
単位ユニット59bにおいて(
図11A及び
図11B参照)、複数の磁気抵抗素子51bは、電極片52b,53bにより配列順に交互に接続される。つまり、1つめの磁気抵抗素子51b(
図11Aにおける上段左から2つめの素子)の下面が電極片53bにより2つめの磁気抵抗素子51bの下面に接続され、2つめの磁気抵抗素子51bの上面が電極片52bにより3つめの磁気抵抗素子51bの上面に接続され、3つめの磁気抵抗素子51bの下面が電極片53bにより4つめの磁気抵抗素子51b(
図11Aにおける下段右から1つめの素子)の下面に接続され、それにより4つの磁気抵抗素子51bが直列に連ねられる。
【0084】
抵抗辺Rcは、複数の磁気抵抗素子51c、電極片52c,53c,54c,55cを有する。複数の磁気抵抗素子51cは、導体24の上面等の一面上に配列される。電極片52c,54cは、電極片52a,54aと同様に形成され、複数の磁気抵抗素子51cのうちの互いに隣接する2つの素子の上面を接続する。電極片53c,55cは、電極片53a,55aと同様に形成され、複数の磁気抵抗素子51cのうちの互いに隣接する2つの素子の下面を接続し、特に電極片52c,54cにより上面が接続された2つの磁気抵抗素子51cの一方の下面を複数の磁気抵抗素子51cのうちの別の磁気抵抗素子51cの下面に接続する。
【0085】
単位ユニット59aにおいて(
図10A及び
図10B参照)、複数の磁気抵抗素子51cは、電極片52c,53cにより配列順に交互に接続される。つまり、1つめの磁気抵抗素子51c(
図10Aにおける上段左から2つめの素子)の下面が電極片53cにより2つめの磁気抵抗素子51cの下面に接続され、2つめの磁気抵抗素子51cの上面が電極片52cにより3つめの磁気抵抗素子51cの上面に接続され、3つめの磁気抵抗素子51cの下面が電極片53cにより4つめの磁気抵抗素子51c(
図10Aにおける下段右から1つめの素子)の下面に接続され、それにより4つの磁気抵抗素子51cが直列に連ねられる。
【0086】
単位ユニット59bにおいて(
図11A及び
図11B参照)、複数の磁気抵抗素子51cは、電極片54c,55cにより配列順に交互に接続される。つまり、1つめの磁気抵抗素子51c(
図11Aにおける下段左から2つめ素子)の上面が電極片54cにより2つめの磁気抵抗素子51cの上面に接続され、2つめの磁気抵抗素子51cの下面が電極片55cにより3つめの磁気抵抗素子51cの下面に接続され、3つめの磁気抵抗素子51cの上面が電極片54cにより4つめの磁気抵抗素子51c(
図11Aにおける上段右から1つめ素子)の上面に接続され、それにより4つの磁気抵抗素子51cが直列に連ねられる。
【0087】
抵抗辺Rdは、複数の磁気抵抗素子51d、電極片52d,53d,54d,55dを有する。複数の磁気抵抗素子51dは、導体24の上面等の一面上に配列される。電極片52d,54dは、電極片52a,54aと同様に形成され、複数の磁気抵抗素子51dのうちの互いに隣接する2つの素子の上面を接続する。電極片53d,55dは、電極片53a,55aと同様に形成され、複数の磁気抵抗素子51dのうちの互いに隣接する2つの素子の下面を接続する。ここで、複数の電極片53d,55dは、電極片52d,54dにより上面が接続された2つの磁気抵抗素子51dの一方の下面を複数の磁気抵抗素子51dのうちの別の磁気抵抗素子51dの下面に接続する。
【0088】
単位ユニット59aにおいて(
図10A及び
図10B参照)、複数の磁気抵抗素子51dは、電極片54d,55dにより配列順に交互に接続される。つまり、1つめの磁気抵抗素子51d(
図10Aにおける下段左から1つめ素子)の上面が電極片54dにより2つめの磁気抵抗素子51dの上面に接続され、2つめの磁気抵抗素子51dの下面が電極片55dにより3つめの磁気抵抗素子51dの下面に接続され、3つめの磁気抵抗素子51dの上面が電極片54dにより4つめの磁気抵抗素子51d(
図10Aにおける上段右から2つめ素子)の上面に接続され、それにより4つの磁気抵抗素子51dが直列に連ねられる。
【0089】
単位ユニット59bにおいて(
図11A及び
図11B参照)、複数の磁気抵抗素子51dは、電極片52d,53dにより配列順に交互に接続される。つまり、1つめの磁気抵抗素子51d(
図11Aにおける上段左から1つめの素子)の下面が電極片53dにより2つめの磁気抵抗素子51dの下面に接続され、2つめの磁気抵抗素子51dの上面が電極片52dにより3つめの磁気抵抗素子51dの上面に接続され、3つめの磁気抵抗素子51dの下面が電極片53dにより4つめの磁気抵抗素子51d(
図11Aにおける下段右から2つめの素子)の下面に接続され、それにより4つの磁気抵抗素子51dが直列に連ねられる。
【0090】
ここで、単位ユニット59aは(
図10A参照)、図面右下に向かって互いに平行に延びる抵抗辺Ra,Rcと図面右上に向かって互いに平行に延びる抵抗辺Rb,Rdとを含み、抵抗辺Ra,Rcと抵抗辺Rb,Rdとが交差する向きに配置されて互い違いに上下して交差する交差部分59a
0を含む。抵抗辺Ra,Rcと抵抗辺Rb,Rdとが交差する角度は90度であってよい。交差部分59a
0では、電極片52aは、電極片55dと上下方向に離隔して交差するように配置され、電極片53aは、電極片54bと上下方向に離隔して交差するように配置され、電極片52cは、電極片55bと上下方向に離隔して交差するように配置され、電極片53cは、電極片54dと上下方向に離隔して交差するように配置される。それにより、抵抗辺Ra~Rdが四つ編み状に一面上に組み立てられて、限られた領域内に配設することが可能となる。
【0091】
さらに、単位ユニット59a,59b間の連結部分又は単位ユニット59a,59bと端子VDD,GND,NP1,NP2との間の連結部分等、交差部分59a0外において、電極片53aは、電極片54cと上下方向に離隔して交差するように配置され、電極片53bは、電極片54dと上下方向に離隔して交差するように配置され、電極片53cは、電極片54aと上下方向に離隔して交差するように配置され、電極片53dは、電極片54bと上下方向に離隔して交差するように配置される。
【0092】
また、単位ユニット59bは(
図11A)、図面右上に向かって互いに平行に延びる抵抗辺Ra,Rcと図面右下に向かって互いに平行に延びる抵抗辺Rb,Rdとを含み、抵抗辺Ra,Rcと抵抗辺Rb,Rdとが交差する向きに配置されて互い違いに上下して交差する交差部分59b
0を含む。抵抗辺Ra,Rcと抵抗辺Rb,Rdとが交差する角度は90度であってよい。交差部分59b
0では、電極片55aは、電極片52dと上下方向に離隔して交差するように配置され、電極片54aは、電極片53bと上下方向に離隔して交差するように配置され、電極片54cは、電極片53dと上下方向に離隔して交差するように配置され、電極片55cは、電極片52bと上下方向に離隔して交差するように配置される。それにより、抵抗辺Ra~Rdが四つ編み状に一面上に組み立てられて、限られた領域内に配設することが可能となる。
【0093】
さらに、単位ユニット59a,59b間の連結部分又は単位ユニット59a,59bと端子VDD,GND,NP1,NP2との間の連結部分等、交差部分59b0外において、電極片54aは、電極片53cと上下方向に離隔して交差するように配置され、電極片54bは、電極片53dと上下方向に離隔して交差するように配置され、電極片54cは、電極片53aと上下方向に離隔して交差するように配置され、電極片54dは、電極片53bと上下方向に離隔して交差するように配置される。
【0094】
なお、抵抗辺Raは、複数の磁気抵抗素子51aを介した配列順に、2つの電極片53aとそれらの間の1つの電極片52aを含む単位ユニット59a内の部分辺(
図10A参照)を+X,-Y方向に向け、この部分辺に接続する2つの電極片54aとそれらの間の1つの電極片55aを含む単位ユニット59b内の部分辺(
図11A参照)を+X,+Y方向に向けて配置される。ここで、磁気抵抗素子51aを介して順に連なる電極片53a、電極片52a、電極片53a、電極片54a、電極片55a、及び電極片54aは、それぞれ、電極片54c、電極片55d、電極片54b、電極片53c、電極片52d、及び電極片53bと交差する。
【0095】
また、抵抗辺Rbは、複数の磁気抵抗素子51bを介した配列順に、2つの電極片54bとそれらの間の1つの電極片55bを含む単位ユニット59a内の部分辺(
図10A参照)を+X,+Y方向に向け、この部分辺に接続する2つの電極片53bとそれらの間の1つの電極片52bを含む単位ユニット59b内の部分辺(
図11A参照)を+X,-Y方向に向けて配置される。ここで、磁気抵抗素子51bを介して順に連なる電極片54b、電極片55b、電極片54b、電極片53b、電極片52b、及び電極片53bは、それぞれ、電極片53a、電極片52c、電極片53d、電極片54a、電極片55c、及び電極片54dと交差する。
【0096】
また、抵抗辺Rcは、複数の磁気抵抗素子51cを介した配列順に、2つの電極片53cとそれらの間の1つの電極片52cを含む単位ユニット59a内の部分辺(
図10A参照)を+X,-Y方向に向け、この部分辺に接続する2つの電極片54cとそれらの間の1つの電極片55cを含む単位ユニット59b内の部分辺(
図11A参照)を+X,+Y方向に向けて配置される。ここで、磁気抵抗素子51cを介して順に連なる電極片53c、電極片52c、電極片53c、電極片54c、電極片55c、及び電極片54cは、それぞれ、電極片54d、電極片55b、電極片54a、電極片53d、電極片52b、及び電極片53aと交差する。
【0097】
また、抵抗辺Rdは、複数の磁気抵抗素子51dを介した配列順に、2つの電極片54dとそれらの間の1つの電極片55dを含む単位ユニット59a内の部分辺(
図10A参照)を+X,+Y方向に向け、この部分辺に接続する2つの電極片53dとそれらの間の1つの電極片52dを含む単位ユニット59b内の部分辺(
図11A参照)を+X,-Y方向に向けて配置される。ここで、磁気抵抗素子51dを介して順に連なる電極片54d、電極片55d、電極片54d、電極片53d、電極片52d、及び電極片53dは、それぞれ、電極片53b、電極片52a、電極片53c、電極片54b、電極片55a、及び電極片54cと交差する。
【0098】
さらに、抵抗辺Raの単位ユニット59a内の部分辺に含まれる2つの電極片53aと単位ユニット59b内の部分辺に含まれる2つの電極片54aとの長さは互いに等しい。また、抵抗辺Rbの単位ユニット59a内の部分辺に含まれる2つの電極片54bと単位ユニット59b内の部分辺に含まれる2つの電極片53bとの長さは互いに等しい。抵抗辺Rcの単位ユニット59a内の部分辺に含まれる2つの電極片53cと単位ユニット59b内の部分辺に含まれる2つの電極片54cとの長さは互いに等しい。また、抵抗辺Rdの単位ユニット59a内の部分辺に含まれる2つの電極片54dと単位ユニット59b内の部分辺に含まれる2つの電極片53dとの長さは互いに等しい。これらの電極片53a,54a,53b,54b,53c,54c,53d,54dの長さは互いに等しい。なお、電極片の長さは、互いに隣接する2つの磁気抵抗素子51a~51dを接続する方向に関する長さと定める。
【0099】
また、抵抗辺Raの単位ユニット59a内の部分辺に含まれる1つの電極片52aと単位ユニット59b内の部分辺に含まれる1つの電極片55aとの長さは互いに等しい。また、抵抗辺Rbの単位ユニット59a内の部分辺に含まれる1つの電極片55bと単位ユニット59b内の部分辺に含まれる1つの電極片52bとの長さは互いに等しい。また、抵抗辺Rcの単位ユニット59a内の部分辺に含まれる1つの電極片52cと単位ユニット59b内の部分辺に含まれる1つの電極片55cとの長さは互いに等しい。また、抵抗辺Rdの単位ユニット59a内の部分辺に含まれる1つの電極片55dと単位ユニット59b内の部分辺に含まれる1つの電極片52dとの長さは互いに等しい。これらの電極片52a,55a,52b,55b,52c,55c,52d,55dの長さは互いに等しい。なお、電極片の長さは、互いに隣接する2つの磁気抵抗素子51a~51dを接続する方向に関する長さと定める。
【0100】
抵抗辺Ra~Rdは、互いに特定の方向に相対的にシフトして配置される。単位ユニット59a,59bのいずれにおいても、抵抗辺Rbは、抵抗辺Raに対して-X,+Y方向にシフトするとともに-X,-Y方向にシフト(つまり-X方向にシフト)して配置されている。抵抗辺Rcは、抵抗辺Raに対して+X,-Y方向にシフトするとともに+X,+Y方向にシフト(つまり+X方向にシフト)して配置されている。抵抗辺Rb,Rcは、抵抗辺Raに対して逆方向にシフトして配列されることで、X軸方向に平行な中心軸Lに対して対称に配置されている。抵抗辺Rdは、中心軸Lに対して抵抗辺Raと対称に配置されている。それにより、抵抗辺Ra~RdをX軸方向、Y軸方向、Z軸方向、或いは任意の方向から視ても、ループ面積が等しく且つ互いに逆極性の一対の部分ループが形成されることとなる。
【0101】
なお、抵抗辺Ra~Rdは、単位ユニット59a,59bを各1つ以上含み、交差部分59a0,59b0を各1以上(合せて複数)含んでよい。また、単位ユニット59a内の抵抗辺Ra~Rdのそれぞれの部分辺及び単位ユニット59b内の抵抗辺Ra~Rdのそれぞれの部分辺を各1つ以上(合せて複数)含んでよい。本実施形態では、2つの単位ユニット59a及びこれらの間に連結される単位ユニット59bを含むことで、2つの交差部分59a0及び1つの交差部分59b0が含まれることとなる。さらに、単位ユニット59a,59bの間に交差部分59a0,59b0と同様の交差部分が含まれることとなる。
【0102】
ここで、交差部分59a0は、Z軸方向視において8つの電極片52a,53a,54b,55b,52c,53c,54d,55dにより形成される部分ループを含み、交差部分59b0は、Z軸方向視において8つの電極片54a,55a,52b,53b,54c,55c,52d,53dにより形成される部分ループを含み、単位ユニット59a,59bを連結することで交差部分59a0,59b0の間に8つの電極片54a,55a,54b,55b,52c,53c,52d,53dにより部分ループが形成される。つまり、単位ユニット59a,59bを連結することで、Z軸方向視においてループ面積が等しく且つ互いに逆極性の一対又は複数対の部分ループが形成されることとなる。
【0103】
図12Aに、X方向磁場の印加に伴うdi/dtノイズを抑制する原理を示す。例として、単位ユニット59aにおいて、+X方向を向く磁束(実線矢印)が抵抗辺Ra~Rdに印加された場合を考える。磁束が印加されると、X方向視において中心軸L(
図9参照)上に部分ループを形成する電極片52a,53a、電極片54b,55b、電極片52c,53c、電極片54d,55dにそれぞれ図面左向き(白抜き矢印)、下向き(黒塗り矢印)、左向き(白抜き矢印)、及び下向き(黒塗り矢印)の誘導起電力が発生する。ここで、電極片52a,53a、電極片54b,55b、電極片52c,53c、電極片54d,55dの長さ(すなわち、部分ループを形成する部分の長さ)が等しい。さらに、電極片52a,53a及び電極片52c,53cが電源端子VDDを介して接続されていることで、それらに発生する誘導起電力が相殺される。また、電極片54b,55b及び電極片54d,55dがグランド端子GNDを介して接続されていることで、それらに発生する誘導起電力が相殺される。
【0104】
なお、X方向磁場が中心軸L(
図9参照)上に部分ループを形成するその他の電極片に印加された場合においても、同様の原理で誘導起電力が相殺される。
【0105】
図12Bに、X方向磁場の印加に伴うdi/dtノイズを抑制する別の原理を示す。例として、単位ユニット59aにおいて、+X方向を向く磁束(点線矢印)が抵抗辺Ra~Rdに印加された場合を考える。磁束が印加されると、X方向視において中心軸L(
図9参照)の-Y側に部分ループを形成する電極片52a,53a、電極片54b、電極片53b、及び電極片54d,55dにそれぞれ図面右向き(黒塗り矢印)、上向き(白抜き矢印)、右向き(黒塗り矢印)、及び上向き(白抜き矢印)の誘導起電力が発生する。ここで、電極片52a,53a、電極片54b、電極片53b、及び電極片54d,55dの長さ(すなわち、部分ループを形成する部分の長さ)が等しい。さらに、電極片52a,53a及び電極片54bが出力端子Np1を介して接続されていることで、それらに発生する誘導起電力が相殺される。また、電極片53b及び電極片54d,55dがグランド端子GNDを介して接続されていることで、それらに発生する誘導起電力が相殺される。
【0106】
なお、X方向磁場が中心軸L(
図9参照)の-Y側に部分ループを形成するその他の電極片に印加された場合においても、同様の原理で誘導起電力が相殺される。また、抵抗辺Ra~Rdは中心軸Lに対して対称に形成されていることから、中心軸Lの+Y側に部分ループを形成する電極片においても、同様の原理で誘導起電力が相殺される。
【0107】
図13Aに、Y方向磁場の印加に伴うdi/dtノイズを抑制する原理を示す。例として、単位ユニット59aにおいて、+Y方向を向く磁束(実線矢印及び点線矢印)が抵抗辺Ra~Rdに印加された場合を考える。磁束(実線矢印)が印加されると、Y方向視において中心軸L(
図9参照)上に部分ループを形成する電極片52a及び電極片55dにそれぞれ図面左向き(白抜き矢印)及び上向き(黒塗り矢印)の誘導起電力が発生する。磁束(点線矢印)が印加されると、Y方向視において中心軸L(
図9参照)上に部分ループを形成する電極片52c及び電極片55bにそれぞれ図面左向き(白抜き矢印)及び上向き(黒塗り矢印)の誘導起電力が発生する。ここで、電極片52a及び電極片52cの長さ(すなわち、部分ループを形成する部分の長さ)が等しく且つ電源端子VDDを介して接続されていることで、それらに発生する誘導起電力が相殺される。また、電極片55b及び電極片55dの長さ(すなわち、部分ループを形成する部分の長さ)が等しく且つグランド端子GNDを介して接続されていることで、それらに発生する誘導起電力が相殺される。
【0108】
なお、Y方向磁場が中心軸L(
図9参照)上に部分ループを形成するその他の電極片に印加された場合においても、同様の原理で誘導起電力が相殺される。
【0109】
図13Bに、Y方向磁場の印加に伴うdi/dtノイズを抑制する別の原理を示す。例として、単位ユニット59aにおいて、+Y方向を向く磁束(実線矢印及び点線矢印)が抵抗辺Ra~Rdに印加された場合を考える。磁束(実線矢印)が印加されると、Y方向視において中心軸L(
図9参照)の-Y側に部分ループを形成する電極片54d及び電極片53bにそれぞれ図面下向き(白抜き矢印)及び右向き(黒塗り矢印)の誘導起電力が発生する。磁束(点線矢印)が印加されると、隣接する部分ループを形成する電極片54b及び電極片53aにそれぞれ図面下向き(白抜き矢印)及び右向き(黒塗り矢印)の誘導起電力が発生する。ここで、電極片54b及び電極片54dの長さ(すなわち、部分ループを形成する部分の長さ)が等しく且つグランド端子GNDを介して接続されていることで、それらに発生する誘導起電力が相殺される。また、電極片53a及び電極片53bの長さ(すなわち、部分ループを形成する部分の長さ)が等しく且つ出力端子Np1を介して接続されていることで、それらに発生する誘導起電力が相殺される。
【0110】
なお、Y方向磁場が中心軸L(
図9参照)の-Y側に部分ループを形成するその他の電極片に印加された場合においても、同様の原理で誘導起電力が相殺される。また、抵抗辺Ra~Rdは中心軸Lに対して対称に形成されていることから、中心軸Lの+Y側に部分ループを形成する電極片においても、同様の原理で誘導起電力が相殺される。
【0111】
図14Aに、Z方向磁場の印加に伴うdi/dtノイズを抑制する原理を示す。例として、単位ユニット59aにおいて、-Z方向を向く磁束(×印)が抵抗辺Ra~Rdに印加された場合を考える。磁束が印加されると、Z方向視において中心軸L(
図9参照)上に部分ループを形成する電極片52a,53a、電極片54b,55b、電極片52c,53c、電極片54d,55dにそれぞれ図面右下向き(白抜き矢印)、右上向き(黒塗り矢印)、左上向き(白抜き矢印)、及び左下向き(黒塗り矢印)の誘導起電力が発生する。ここで、電極片52a,53a、電極片54b,55b、電極片52c,53c、電極片54d,55d(すなわち、部分ループを形成する部分の長さ)が等しい。さらに、電極片52a,53a及び電極片54b,55bが出力端子Np1を介して接続されていることで、それらに発生する誘導起電力が相殺される。また、電極片52c,53c及び電極片54d,55dが出力端子Np2を介して接続されていることで、それらに発生する誘導起電力が相殺される。
【0112】
なお、Z方向磁場が中心軸L(
図9参照)上に部分ループを形成するその他の電極片に印加された場合においても、同様の原理で誘導起電力が相殺される。
【0113】
図14Bに、Z方向磁場の印加に伴うdi/dtノイズを抑制する別の原理を示す。例として、単位ユニット59aにおいて、-Z方向を向く磁束(左右の×印)が抵抗辺Ra~Rdに印加された場合を考える。磁束(左の×印)が印加されると、Z方向視において中心軸L(
図9参照)の-Y側に部分ループを形成する電極片52a,53a、電極片54b、電極片53b、及び電極片54d,55dにそれぞれ図面左上向き(白抜き矢印)、右上向き(白抜き矢印)、右下向き(白抜き矢印)、及び左下向き(白抜き矢印)の誘導起電力が発生する。磁束(右の×印)が印加されると、隣接する部分ループを形成する電極片52c,53c、電極片54a、電極片53a、及び電極片54b,55bにそれぞれ図面左上向き(黒塗り矢印)、右上向き(黒塗り矢印)、右下向き(黒塗り矢印)、及び左下向き(黒塗り矢印)の誘導起電力が発生する。ここで、電極片52a,53a、電極片54b、電極片53b、電極片54d,55d、電極片52c,53c、電極片54a、電極片53a、及び電極片54b,55bの長さ(すなわち、部分ループを形成する部分の長さ)が等しい。さらに、電極片52c,53c及び電極片54d,55dが出力端子Np2を介して接続されていることで、それらに発生する誘導起電力が相殺される。また、電極片52a,53a、電極片54a、電極片53b、及び電極片54b,55bが出力端子Np1を介して接続されていることで、それらに発生する誘導起電力が相殺される。
【0114】
なお、Z方向磁場が中心軸L(
図9参照)の-Y側に部分ループを形成するその他の電極片に印加された場合においても、同様の原理で誘導起電力が相殺される。また、抵抗辺Ra~Rdは中心軸Lに対して対称に形成されていることから、中心軸Lの+Y側に部分ループを形成する電極片においても、同様の原理で誘導起電力が相殺される。
【0115】
なお、単位ユニット59bにおいても、単位ユニット59aと同様に、X方向磁場、Y方向磁場、及びZ方向磁場の印加に伴うdi/dtノイズが抑制される。
【0116】
先述のとおり、抵抗辺Ra~Rdはホイートストーンブリッジ回路状に接続される。抵抗辺Raの一端(図面右上の端部)と抵抗辺Rbの一端(図面右上の端部)とが接続されて出力端子Np1を形成し、抵抗辺Rcの一端(図面右上の端部)と抵抗辺Rdの一端(図面右上の端部)とが接続されて出力端子Np2を形成し、抵抗辺Raの他端(図面左下の端部)と抵抗辺Rcの他端(図面左下の端部)とが接続されて電源端子VDDを形成し、抵抗辺Rbの他端(図面左下の端部)と抵抗辺Rdの他端(図面左下の端部)とが接続されてグランド端子GNDを形成する。ここで、磁気抵抗素子51a及び磁気抵抗素子51dの磁場検知方向は同じであり、磁気抵抗素子51b及び磁気抵抗素子51cの磁場検知方向は同じであり、磁気抵抗素子51a及び磁気抵抗素子51dの磁場検知方向と磁気抵抗素子51b及び磁気抵抗素子51cの磁場検知方向とは逆である。
【0117】
磁気センサ59の抵抗辺Ra~Rdに含まれる磁気抵抗素子51a~51dに磁場が印加されると、例えば、磁気抵抗素子51a及び磁気抵抗素子51dの磁場検知方向と同じ向き(磁気抵抗素子51b及び磁気抵抗素子51cの磁場検知方向と逆の向き)の磁場が印加されると、磁気抵抗素子51a及び磁気抵抗素子51dをそれぞれ含む抵抗辺Ra及び抵抗辺Rdの抵抗値が減少し、磁気抵抗素子51b及び磁気抵抗素子51cをそれぞれ含む抵抗辺Rb及び抵抗辺Rcの抵抗値が増大し、それにより抵抗辺Ra~Rdの抵抗バランスが崩れる。そこで、グランド端子GNDに対して電源端子VDDに駆動電圧を入力し、出力端子Np1,Np2間から出力される差動電圧を検出することで、磁場強度を検出することができる。
【0118】
第2の実施形態に係る磁気センサ50によれば、一面上に配列された複数の第1磁気抵抗素子51a、複数の第1磁気抵抗素子51aのうちの互いに隣接する2つの素子のそれぞれの上面を接続する第1電極片52a、複数の第1磁気抵抗素子51aのうちの互いに隣接する2つの素子のそれぞれの下面を接続する第2電極片53aを有し、複数の第1磁気抵抗素子51aは第1電極片52a及び第2電極片53aにより配列順に交互に接続される、第1抵抗辺Ra、一面上に配列された複数の第2磁気抵抗素子51b、複数の第2磁気抵抗素子51bのうちの互いに隣接する2つの素子のそれぞれの上面を接続する第3電極片54b、複数の第2磁気抵抗素子51bのうちの互いに隣接する2つの素子のそれぞれの下面を接続する第4電極片55bを有し、複数の第2磁気抵抗素子51bは第3電極片54b及び第4電極片55bにより配列順に交互に接続される、第2抵抗辺Rb、一面上に配列された複数の第3磁気抵抗素子51c、複数の第3磁気抵抗素子51cのうちの互いに隣接する2つの素子のそれぞれの上面を接続する第5電極片52c、複数の第3磁気抵抗素子51cのうちの互いに隣接する2つの素子のそれぞれの下面を接続する第6電極片53cを有し、複数の第3磁気抵抗素子51cは第5電極片52c及び第6電極片53cにより配列順に交互に接続される、第3抵抗辺Rc、一面上に配列された複数の第4磁気抵抗素子51d、複数の第4磁気抵抗素子51dのうちの互いに隣接する2つの素子のそれぞれの上面を接続する第7電極片54d、複数の第4磁気抵抗素子51dのうちの互いに隣接する2つの素子のそれぞれの下面を接続する第8電極片55dを有し、複数の第4磁気抵抗素子51dは第7電極片54d及び第8電極片55dにより配列順に交互に接続される、第4抵抗辺Rdを備え、第1電極片52aは、第8電極片55dと上下方向に離隔して交差するように配置され、第2電極片53aは、第3電極片54bと上下方向に離隔して交差するように配置され、第5電極片52cは、第4電極片55bと上下方向に離隔して交差するように配置され、第6電極片53cは、第7電極片54dと上下方向に離隔して交差するように配置される交差部分を含む。
【0119】
これによれば、一面上に配列された第1磁気抵抗素子51aを有する第1抵抗辺Raと、同じ一面上に配列された第2磁気抵抗素子51bを有する第2抵抗辺Rbと、同じ一面上に配列された第3磁気抵抗素子51cを有する第3抵抗辺Rcと、同じ一面上に配列された第4磁気抵抗素子51dを有する第4抵抗辺Rdとを、隣接する2つの第1磁気抵抗素子51aの上面を接続する第1電極片52aと隣接する2つの第4磁気抵抗素子51dの下面を接続する第8電極片55dとを上下方向に離隔して交差させ、隣接する2つの第1磁気抵抗素子51aの下面を接続する第2電極片53aと隣接する2つの第2磁気抵抗素子51bの上面を接続する第3電極片54bとを上下方向に離隔して交差させ、隣接する2つの第3磁気抵抗素子51cの上面を接続する第5電極片52cと隣接する2つの第2磁気抵抗素子52dの下面を接続する第4電極片55bとを上下方向に離隔して交差させ、隣接する2つの第3磁気抵抗素子51cの下面を接続する第6電極片53cと隣接する2つの第4磁気抵抗素子51dの上面を接続する第7電極片54dとを上下方向に離隔して交差させて、四つ編み状に組み立てることで、抵抗辺Ra~Rdに一又は複数対の逆極性の部分ループが形成されて、磁場が印加された際の誘導起電力に伴うノイズを相殺することができる。さらに、抵抗辺Ra~Rdがそれらの辺長に対して小さいサイズの部分ループを複数有することで抵抗辺Ra~Rdの長さ範囲の磁場強度の勾配に伴う同相ノイズを抑制することができる。
【0120】
第2の実施形態に係る磁気センサ50によれば、一面上に配列された複数の第1磁気抵抗素子51a、複数の第1磁気抵抗素子51aのうちの互いに隣接する2つの素子のそれぞれの上面を接続する第9電極片54a、複数の第1磁気抵抗素子51aのうちの互いに隣接する2つの素子のそれぞれの下面を接続する第10電極片55aを有し、複数の第1磁気抵抗素子51aは第9電極片54a及び第10電極片55aにより配列順に交互に接続される、第1抵抗辺Ra、一面上に配列された複数の第2磁気抵抗素子51b、複数の第2磁気抵抗素子51bのうちの互いに隣接する2つの素子のそれぞれの上面を接続する第11電極片52b、複数の第2磁気抵抗素子51bのうちの互いに隣接する2つの素子のそれぞれの下面を接続する第12電極片53bを有し、複数の第2磁気抵抗素子51bは第11電極片52b及び第12電極片53bにより配列順に交互に接続される、第2抵抗辺Rb、一面上に配列された複数の第3磁気抵抗素子51c、複数の第3磁気抵抗素子51cのうちの互いに隣接する2つの素子のそれぞれの上面を接続する第13電極片54c、複数の第3磁気抵抗素子51cのうちの互いに隣接する2つの素子のそれぞれの下面を接続する第14電極片55cを有し、複数の第3磁気抵抗素子51cは第13電極片54c及び第14電極片55cにより配列順に交互に接続される、第3抵抗辺Rc、一面上に配列された複数の第4磁気抵抗素子51d、複数の第4磁気抵抗素子51dのうちの互いに隣接する2つの素子のそれぞれの上面を接続する第15電極片52d、複数の第4磁気抵抗素子51dのうちの互いに隣接する2つの素子のそれぞれの下面を接続する第16電極片53dを有し、複数の第4磁気抵抗素子51dは第15電極片52d及び第16電極片53dにより配列順に交互に接続される、第4抵抗辺Rdを備え、第9電極片54aは、第16電極片53bと上下方向に離隔して交差するように配置され、第10電極片55aは、第11電極片52dと上下方向に離隔して交差するように配置され、第13電極片54cは、第12電極片53dと上下方向に離隔して交差するように配置され、第14電極片55cは、第15電極片52bと上下方向に離隔して交差するように配置される交差部分を含む。
【0121】
これによれば、抵抗辺Ra~Rdを四つ編み状に組み立てることで、抵抗辺Ra~Rdに一又は複数対の逆極性の部分ループが形成されて、磁場が印加された際の誘導起電力に伴うノイズを相殺することができる。さらに、抵抗辺Ra~Rdがそれらの辺長に対して小さいサイズの部分ループを複数有することで抵抗辺Ra~Rdの長さ範囲の磁場強度の勾配に伴う同相ノイズを抑制することができる。
【0122】
第2の実施形態に係る電流検出装置100によれば、被測定電流が流れる導体24、導体24上又は導体24の近傍に配置される磁気センサ59を備える。それにより、誘導起電力に伴うdi/dtノイズ及び磁場強度の勾配に伴う同相ノイズを抑制することができる。
【0123】
なお、第2の実施形態に係る磁気センサ59においては、抵抗辺Ra、抵抗辺Rc、抵抗辺Rd、及び抵抗辺Rbを+X方向に順に並べて四つ編み状に組み立てたが、抵抗辺Ra、抵抗辺Rc、抵抗辺Rd、及び抵抗辺Rbの並び順はこれに限らず任意の順に並べてよい。
【0124】
〈変形例〉
図15A及び
図15Bは、それぞれ上面視及び側面視において、変形例に係る電流検出装置110の内部構成をパッケージ9を透過して示す。ここで、
図15Bは、
図15Aにおける基準線に関する電流検出装置110の断面構造を示す。なお、
図15Aにおける上下方向を縦方向、
図15A及び
図15Bにおける左右方向を横方向、及び
図15Bにおける上下方向を高さ方向とする。電流検出装置110は、被測定電流が導体24に流れることでその周囲に発生する磁場を磁気センサ60を用いて検出することで電流量を測定するセンサであり、特に誘導起電力によるdi/dtノイズ及び/又は磁場分布の広がりに伴う差動増幅ノイズを抑制することができる。電流検出装置110は、パッケージ9、複数のデバイス端子17、導体24、及び磁気センサ60を備える。
【0125】
パッケージ9は、複数のデバイス端子17及び導体24のそれぞれの端子部を除いて、電流検出装置110の構成各部をその内部に封止して保護する部材である。パッケージ9は、第1の実施形態に係る電流検出装置100におけるパッケージ9と同様の素材を用いて形成することができる。
【0126】
複数のデバイス端子17は、磁気センサ60から出力される被測定電流の検出結果を外部デバイスに出力するための2次導体である。本例では、一例として8つのデバイス端子17が、それらの長手を横方向に向けて、パッケージ9の左辺上に等間隔に配列される。複数のデバイス端子17は、第1の実施形態に係る電流検出装置100におけるそれらと同様に形成される。
【0127】
導体24は、被測定電流が流れる電流経路を形成する1次導体である。導体24は、第1の実施形態に係る電流検出装置100におけるそれと同様に形成され、その端子部24a,24eはパッケージ9の右辺上に、曲部24cに含まれる2つの脚部はパッケージ9の中央に配置される。
【0128】
磁気センサ60は、導体24に通電される被測定電流により発生する磁場を検出するセンサである。磁気センサ60は、一例として、導体24の周りに発生する縦方向の磁場(水平方向磁場の一例)を検出するよう構成され、基板61及び2つのセンサ本体62を含む。
【0129】
基板61は、2つのセンサ本体62を支持する板状部材である。基板61は、例えばシリコン(Si)を用いて形成され、その上面には複数の配線(不図示)が敷設されている。
【0130】
2つのセンサ本体62は、導体24に通電される被測定電流により発生する磁場を検出するセンサである。センサ本体62は、基板61上に配列された磁気抵抗素子51を用いて、第1の実施形態に係る磁気センサ50又は第2の実施形態に係る磁気センサ59と同様にホイートストーンブリッジ回路状に接続された4つの抵抗辺Ra~Rdを含む。2つのセンサ本体62は、縦方向に離隔して基板61上に配置され、それぞれの電源端子VDD、グランド端子GND、及び出力端子Np1,Np2は基板61上の配線に接続される。
【0131】
磁気センサ60は、導体24の曲部24c上に配置される。それにより、2つのセンサ本体62が曲部24cの2つの脚部上にそれぞれ配置され、それぞれの電源端子VDD、グランド端子GND、及び出力端子Np1,Np2に接続された基板61上の配線がワイヤボンディングによってデバイス端子17に接続される。それにより、デバイス端子17を介して2つのセンサ本体62に駆動電圧を印加するとともにそれぞれの出力電圧を出力することができる。
【0132】
電流検出装置110は、一枚の金属板をプレス加工して、複数のデバイス端子17及び導体24のパターンを成形し、パターンに段差加工を施して複数のデバイス端子17に端子部17a及び導体24に端子部24a,24eを形成し、磁気センサ60を導体24の曲部24c上に配置し、ワイヤボンディングにより磁気センサ60とデバイス端子17とを接続し、パターンを、フレーム並びにこれに連結する複数のデバイス端子17の端子部17a及び導体24の端子部24a,24eを残してモールド成形してパッケージ9を形成し、最後にパッケージ9から露出するフレームをパターンから切断することで製造される。
【0133】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0134】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0135】
9…パッケージ、10…ベース、11…本体、12,14…突出部、15,16,17…デバイス端子、15a,16a,17a…端子部、18…絶縁部材、24…導体、24a…電流端子(端子部)、24a,24e…端子部、24b,24d…胴部、24c…曲部、24e…電流端子、44…信号処理デバイス、50…磁気センサ、50a,50a2,50c,50c2…交差部分、51…磁気抵抗素子、51a,51b,51c,51d…磁気抵抗素子(第1磁気抵抗素子、第2磁気抵抗素子、第3磁気抵抗素子、第4磁気抵抗素子)、51o…固定層、51p…トンネル層、51q…フリー層、51r…キャップ層、51s…電極棒、52,53…電極片、52a,53a,54a,55a…電極片(第1電極片、第2電極片、第9電極片、第10電極片)、52b,53b,54b,55b…電極片(第15電極片、第16電極片、第3電極片、第4電極片)、52c,53c,54c,55c…電極片(第5電極片、第6電極片、第13電極片、第14電極片)、52d,53d,54d,55d…電極片(第11電極片、第12電極片、第7電極片、第8電極片)、59…磁気センサ、59a,59b…単位ユニット、59a0,59b0…交差部分、60…磁気センサ、61…基板、62…センサ本体、100…電流検出装置、GND…グランド端子、L…中心軸、Np1,Np2…出力端子、Ra,Rb,Rc,Rd…抵抗辺(第1抵抗辺、第2抵抗辺、第3抵抗辺、第4抵抗辺)、VDD…電源端子。