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特開2024-144101金属含有フォトレジスト用現像液組成物、およびこれを用いた現像段階を含むパターン形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144101
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】金属含有フォトレジスト用現像液組成物、およびこれを用いた現像段階を含むパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/32 20060101AFI20241003BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G03F7/32
G03F7/004
G03F7/004 531
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024000157
(22)【出願日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】10-2023-0041362
(32)【優先日】2023-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】成 太 根
(72)【発明者】
【氏名】文 炯 朗
(72)【発明者】
【氏名】崔 有 廷
(72)【発明者】
【氏名】任 浣 熙
(72)【発明者】
【氏名】李 忠 憲
(72)【発明者】
【氏名】宋 大 錫
(72)【発明者】
【氏名】司 空 峻
【テーマコード(参考)】
2H196
2H225
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196BA01
2H196GA03
2H196GA05
2H225AB03
2H225AN11P
2H225AN80P
2H225CA12
2H225CC01
2H225CC12
(57)【要約】
【課題】露光または現像工程中に消耗したりフォトレジストから放出される酸により誘発される瞬間的なpH値の不均衡を防止して安定化させることによって、CD均一度を向上させることができる金属含有フォトレジスト用現像液組成物を提供する。
【解決手段】有機溶媒、酸化合物、および前記酸化合物の対塩基を含む、金属含有フォトレジスト用現像液組成物、およびこれを用いた現像段階を含むパターン形成方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒、
酸化合物、および
前記酸化合物の対塩基
を含む、金属含有フォトレジスト用現像液組成物。
【請求項2】
前記酸化合物は、前記組成物の総質量を基準として、0.01質量%~10質量%含まれる、請求項1に記載の金属含有フォトレジスト用現像液組成物。
【請求項3】
前記対塩基は、前記組成物の総質量を基準として、0.001質量%~1質量%含まれる、請求項1に記載の金属含有フォトレジスト用現像液組成物。
【請求項4】
前記酸化合物および前記対塩基は、1:0.01~1:1の質量比で含まれる、請求項1に記載の金属含有フォトレジスト用現像液組成物。
【請求項5】
前記対塩基は、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、またはこれらの組み合わせに由来するものである、請求項1に記載の金属含有フォトレジスト用現像液組成物。
【請求項6】
前記金属含有フォトレジストは、有機スズオキソ基、および有機スズカルボキシル基の少なくとも1つを含む金属化合物を含む、請求項1に記載の金属含有フォトレジスト用現像液組成物。
【請求項7】
前記金属化合物は、下記の化学式1で表される化合物である、請求項6に記載の金属含有フォトレジスト用現像液組成物:
【化1】

上記化学式1において、
は、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素原子数7~30のアリールアルキル基、および-R-O-R(ここで、Rは、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキレン基であり、Rは、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基である)の中から選択され、
~Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素原子数7~30のアリールアルキル基、-ORおよび-OC(=O)Rの中から選択され、
~Rのうちの少なくとも1つは、-ORおよび-OC(=O)Rの中から選択され、
この際、Rは、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
は、水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【請求項8】
上記化学式1中のR~R中のRおよびRは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基である、請求項7に記載の金属含有フォトレジスト用現像液組成物。
【請求項9】
基板上に金属含有フォトレジスト組成物を塗布する段階と、
乾燥および加熱して、前記基板上に金属含有フォトレジスト膜を形成させる熱処理段階と、
前記金属含有フォトレジスト膜を露光する段階と、
請求項1~8のいずれか1項に記載の金属含有フォトレジスト用現像液組成物を用いて現像する段階と
を含むパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属含有フォトレジスト用現像液組成物、およびこれを用いた現像段階を含むパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体産業では、限界寸法の縮小化が継続的に進められており、これに伴い、より小さいフィーチャ(feature)の加工およびパターニングの要求を満たすための、新しいタイプの高性能フォトレジスト材料およびパターニング方法が要求されている。
【0003】
伝統的な化学増幅型(chemically amplified、CA)フォトレジストは、高い感度を有するために設計されたものであるが、それらが典型的な元素(主に、より少ない量のO、F、Sを有する、C)により構成されている場合には、13.5nmの波長におけるフォトレジストの吸光度が低下し、その結果感度が減少し、部分的にはEUV露光下で、より困難を生じることがある。CAフォトレジストはまた、小さいフィーチャサイズにおける粗さの問題によって困難が生じ、部分的に酸触媒反応の工程の本質に起因して、感光速度(photospeed)が減少するにつれてラインエッジ粗さ(line edge roughness、LER)が増加することが実験により明らかになった。CAフォトレジストの欠点および問題に起因して、半導体産業では新しいタイプの高性能フォトレジストに対する要求があった。
【0004】
特に現在、フォトリソグラフィ工程において優れたエッチング耐性および解像力を保障すると同時に、感度およびCD(critical dimension)均一度を向上させることができ、LERの特性を改善できるフォトレジストの開発が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第2021-0053232号公報
【特許文献2】韓国公開特許第2001-0013818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、露光または現像工程中に消耗したりフォトレジストから放出される酸により誘発される瞬間的なpH値の不均衡を防止して安定化させることによって、CD均一度を向上させることができる金属含有フォトレジスト用現像液組成物を提供することを目的とする。
【0007】
さらに、本発明は、上記組成物を用いた現像段階を含むパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による金属含有フォトレジスト用現像液組成物は、有機溶媒、酸化合物、および上記酸化合物の対塩基を含む。
【0009】
上記酸化合物は、0.01質量%~10質量%含まれる。
【0010】
上記対塩基は、0.001質量%~1質量%含まれる。
【0011】
上記酸化合物および上記対塩基は、1:0.01~1:1の質量比で含まれる。
【0012】
上記対塩基は、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、またはこれらの組み合わせに由来するものであってもよい。
【0013】
上記金属含有フォトレジストは、有機スズオキソ基、および有機スズカルボキシル基の少なくとも1つを含む金属化合物を含むことができる。
【0014】
上記金属含有フォトレジストは、下記の化学式1で表される金属化合物を含むことができる。
【0015】
【化1】
【0016】
上記化学式1において、
は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素原子数7~30のアリールアルキル基、および-R-O-R(ここで、Rは、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキレン基であり、Rは、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基である)の中から選択され、
~Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素原子数7~30のアリールアルキル基、-ORおよび-OC(=O)Rの中から選択され、
~Rのうちの少なくとも1つは、-ORおよび-OC(=O)Rの中から選択され、
この際、Rは、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
は、水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【0017】
上記化学式1中のR~R中のRおよびRは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基であってもよい。
【0018】
本発明の他の実施形態によるパターン形成方法は、基板上に金属含有フォトレジスト組成物を塗布する段階と、乾燥および加熱して、上記基板上に金属含有フォトレジスト膜を形成させる熱処理段階と、上記金属含有フォトレジスト膜を露光する段階と、上述した金属含有フォトレジスト用現像液組成物を用いて現像する段階とを含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明による金属含有フォトレジスト用現像液組成物は、露光または現像工程中に消耗したりフォトレジストから放出される酸により誘発される瞬間的なpH値の不均衡を防止して安定化させることによって、CD均一度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】パターン形成方法を説明するために、工程の順序を示す断面概略図である。
図2】パターン形成方法を説明するために、工程の順序を示す断面概略図である。
図3】パターン形成方法を説明するために、工程の順序を示す断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。ただし、本発明を説明するにあたり、すでに公知の機能あるいは構成に関する説明は、本発明の要旨を明瞭にするために省略する。
【0022】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分を省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付す。また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示のものに限定されない。
【0023】
図面において、様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして、図面において、説明の便宜のために一部の層および領域の厚さを誇張して示した。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとする時、これは他の部分の「直上に」ある場合のみならず、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。
【0024】
本明細書において、「置換」とは、水素原子が重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のアミノ基、ニトロ基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~40のシリル基、炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数1~10のハロアルキル基、炭素原子数1~10のアルキルシリル基、炭素原子数3~30のシクロアルキル基、炭素原子数6~30のアリール基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、またはシアノ基で置換されていることを意味する。「非置換」とは、水素原子が他の置換基で置換されず、水素原子として残っていることを意味する。
【0025】
本明細書において、「アルキル基」とは、他に定義がない限り、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル基は、いかなる二重結合や三重結合を含まない「飽和アルキル基」であってもよい。
【0026】
上記アルキル基は、炭素原子数1~20のアルキル基であってもよい。より具体的には、アルキル基は、炭素原子数1~10のアルキル基または炭素原子数1~6のアルキル基であってもよい。例えば、炭素原子数1~4のアルキル基は、アルキル鎖に1~4個の炭素原子が含まれるものを意味し、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびt-ブチルからなる群より選択されるものを示す。
【0027】
上記アルキル基は、具体例として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを意味する。
【0028】
本明細書において、「シクロアルキル基」とは、他に定義がない限り、1価の環状の脂肪族炭化水素基を意味する。
【0029】
本明細書において、「アルケニル基」とは、他に定義がない限り、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基であって、1つ以上の二重結合を含んでいる脂肪族不飽和アルケニル基を意味する。
【0030】
本明細書において、「アルキニル基」とは、他に定義がない限り、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基であって、1つ以上の三重結合を含んでいる脂肪族不飽和アルキニル基を意味する。
【0031】
本明細書において、「アリール基」は、環状の置換基のすべての元素がp-軌道を有しており、これらのp-軌道が共役を形成している置換基を意味し、単環式または縮合多環式(つまり、炭素原子の隣接した対を分け合う環)官能基を含む。
【0032】
以下、本発明による金属含有フォトレジスト用現像液組成物を説明する。
【0033】
本発明の一実施形態による金属含有フォトレジスト用現像液組成物は、有機溶媒、酸化合物、および上記酸化合物の対塩基を含む。
【0034】
上記酸化合物は、無機酸、有機酸のいずれであってもよい。無機酸の具体例としては、例えば、硫酸、ホスホン酸、塩酸、硝酸、炭酸、およびリン酸が挙げられる。有機酸の具体例としては、例えば、酢酸、グリコール酸、メチルホスホン酸、ビニルホスホン酸、ギ酸、プロピオン酸、コハク酸、リンゴ酸、酪酸、酒石酸、およびフマル酸が挙げられる。これら酸化合物は、1種単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。酸化合物は、好ましくは、酢酸、グリコール酸、硫酸、ホスホン酸、メチルホスホン酸、ビニルホスホン酸、ギ酸、プロピオン酸、および/またはコハク酸である。
【0035】
上記酸化合物は、上記組成物の総質量を基準にして、0.01質量%~10質量%含まれる。
【0036】
上記酸化合物は、上記範囲内で0.01質量%~5質量%含まれ、具体的には0.05質量%~5質量%含まれ、さらに具体的には0.1質量%~5質量%含まれていてもよい。なお、酸化合物が2種以上含まれる場合、上記含有量はその合計量を意味する。
【0037】
上記酸化合物の対塩基は、上記酸化合物の塩である。すなわち、上記酸化合物の対塩基は、酸化合物の共役塩基とその対イオンとからなる塩でありうる。本発明の組成物は、現像中に消耗したりフォトレジストから放出される酸により現像工程で瞬間的なpH値の不均衡が起こりうる。しかしながら、対塩基を添加して類似のpH緩衝系(buffer system)を作ることによって、pH値の不均衡から誘発される不安定性を減少させることができる。したがって、pH値の不均衡から誘発される不安定性が減少することによって、CD偏差が発生しうる問題が解消し、結果としてCDのばらつきおよびLERの減少を確保することができる。
【0038】
対塩基は、上記組成物の総質量を基準にして、0.001質量%~1質量%含まれる。
【0039】
上記対塩基は、上記範囲内で0.001質量%~0.5質量%含まれ、具体的には0.01質量%~0.5質量%含まれ、さらに具体的には0.05質量%~0.5質量%含まれていてもよい。対塩基は、1種単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。なお、対塩基が2種以上含まれる場合、上記含有量はその合計量を意味する。
【0040】
上記酸化合物および上記対塩基は、1:0.01~1:1の質量比で含まれていてもよい。
【0041】
上記酸化合物および上記対塩基は、上記範囲内で1:0.03~1:1の質量比で含まれ、具体的には1:0.05~1:1の質量比で含まれていてもよい。
【0042】
酸化合物と対塩基との混合比が上記範囲内の場合、現像液中で緩衝系が形成されており、現像工程中に瞬間的な水素イオン(H)の増減が生じても、急激なpH変化が起こらず、組成が安定化されることによって、CDのばらつきおよびLERにおいて安定した結果を確保することができる。
【0043】
一実施形態による上記酸化合物の対塩基は、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、またはこれらの組み合わせに由来するものであってもよい。アルカリ金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、およびリチウム塩が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、例えば、カルシウム塩、ストロンチウム塩、およびバリウム塩が挙げられる。
【0044】
上記酸化合物の対塩基の具体例としては、例えば、酢酸アンモニウム、グリコール酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、ホスホン酸アンモニウム、メチルホスホン酸アンモニウム、ビニルホスホン酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、プロピオン酸アンモニウム、コハク酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、ホスホン酸ナトリウム、ビニルホスホン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酢酸カリウム、グリコール酸カリウム、硫酸カリウム、ホスホン酸カリウム、ビニルホスホン酸カリウム、ギ酸カリウム、プロピオン酸カリウムカリウム、コハク酸カリウム、酢酸カルシウム、硫酸カルシウム、ホスホン酸カルシウム、ビニルホスホン酸カルシウム、ギ酸カルシウム、コハク酸カルシウムが挙げられる。対塩基は、好ましくは、酢酸アンモニウム、グリコール酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、ホスホン酸アンモニウム、メチルホスホン酸アンモニウム、ビニルホスホン酸アンモニウム、ギ酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、ビニルホスホン酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸カリウム、コハク酸カリウムである。
【0045】
一実施形態による金属含有フォトレジスト用現像液組成物に含まれる有機溶媒の一例として、エーテル、アルコール、グリコールエーテル、芳香族炭化水素化合物、ケトン、およびエステルの少なくとも1つを含むことができるが、これらに限定されるものではない。例えば、上記有機溶媒は、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、4-メチル-2-ペンタノール(または、メチルイソブチルカルビノール(methyl isobutyl carbinol、MIBC)と記載されることがある)、ヘキサノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘプタノン、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、γ-ブチロラクトン、メチル-2-ヒドロキシイソブチレート、メトキシベンゼン、n-ブチルアセテート、1-メトキシ-2-プロピルアセテート、メトキシエトキシプロピオネート、エトキシエトキシプロピオネート、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0046】
後述するその他の添加剤を含む場合、上記有機溶媒は、含まれる構成を除いた残量で含まれる。
【0047】
本発明による金属含有フォトレジスト用現像液組成物は、界面活性剤、分散剤、吸湿剤、およびカップリング剤の中から選択される少なくとも1つのその他の添加剤をさらに含むことができる。
【0048】
上記金属含有フォトレジストは、有機スズオキソ基、および有機スズカルボキシル基の少なくとも1つを含む金属化合物を含むことができる。有機スズオキソ基としては、例えば、アルキルスズオキソ基(アルコキシスタニル基とも称する)が挙げられる。有機スズカルボキシル基としては、例えば、アルキルスズカルボキシル基(アシルオキシスタニル基とも称する)が挙げられる。
【0049】
一例として、上記金属含有フォトレジストは、下記の化学式1で表される金属化合物を含むことができる。
【0050】
【化2】
【0051】
上記化学式1において、
は、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30のアリールアルキル基、および-R-O-R(ここで、Rは、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキレン基であり、Rは、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基である)の中から選択され、
~Rは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30のアリール基、置換もしくは非置換の炭素原子数7~30のアリールアルキル基、-ORおよび-OC(=O)Rの中から選択され、
~Rのうちの少なくとも1つは、-ORおよび-OC(=O)Rの中から選択され、
この際、Rは、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
は、水素原子、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【0052】
上記化学式1中のR~R中のRおよびRは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基であってもよい。
【0053】
一方、他の実施形態によれば、上述した金属含有フォトレジスト用現像液組成物を用いた現像段階を含むパターン形成方法が提供される。一例として、製造されたパターンは、ネガティブ型フォトレジストパターンであってもよい。
【0054】
一実施形態によるパターン形成方法は、基板上に金属含有フォトレジスト組成物を塗布する段階と、乾燥および加熱して、上記基板上に金属含有フォトレジスト膜を形成させる熱処理段階と、上記金属含有フォトレジスト膜を露光する段階と、上述した金属含有フォトレジスト用現像液組成物を用いて現像する段階とを含む。
【0055】
より具体的には、金属含有フォトレジスト組成物を用いてパターンを形成する段階は、金属含有フォトレジスト組成物を、薄膜の形成された基板上にスピンコーティング、スリットコーティング、インクジェットプリンティングなどで塗布する工程と、塗布された金属含有フォトレジスト組成物を乾燥してフォトレジスト膜を形成する工程とを含むことができる。上記金属含有フォトレジスト組成物は、スズベースの化合物を含むことができ、例えば、上記スズベースの化合物は、アルキルスズオキソ基(アルコキシスタニル基とも称する)、アルキルスズカルボキシル基(アシルオキシスタニル基とも称する)およびアルキルスズヒドロキシ基の少なくとも1つを含むことができる。
【0056】
次に、上記基板のエッジに沿って金属含有フォトレジストのエッジビーズ除去用組成物を塗布する段階を行うことができる。
【0057】
次に、上記金属含有フォトレジスト膜が形成されている基板を加熱する第1熱処理工程を行うことができる。上記第1熱処理工程は、80℃~120℃の温度で行うことができ、この過程で、溶媒は蒸発し、上記金属含有フォトレジスト膜は基板にさらに強固に接着することができる。
【0058】
次に、上記フォトレジスト膜に露光する。
【0059】
一例として、上記露光工程で使用できる光の例としては、i線(波長365nm)、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)などの短波長を有する光だけでなく、EUV(波長13.5nm)、E-Beam(電子ビーム)などの高エネルギー波長を有する光などが挙げられる。
【0060】
より具体的には、一実施形態による露光用光は、5nm~150nmの波長範囲を有する短波長の光であってもよいし、EUV(波長13.5nm)、E-Beam(電子ビーム)などの高エネルギー波長を有する光であってもよい。
【0061】
上記フォトレジストパターンを形成する段階で、ネガティブ型パターンを形成することができる。
【0062】
フォトレジスト膜中の露光した領域は、有機金属化合物間の縮合など架橋反応によって重合体を形成することによって、フォトレジスト膜の未露光領域と互いに異なる溶解度を有する。
【0063】
次に、上記基板に第2熱処理工程を行う。上記第2熱処理工程は、90℃~200℃の温度で行うことができる。上記第2熱処理工程を行うことによって、上記フォトレジスト膜の露光した領域は現像液に溶解しにくい状態になる。
【0064】
具体的には、上述したフォトレジスト用現像液を用いて上記未露光領域に相当するフォトレジスト膜を溶解させた後に除去することによって、上記ネガティブトーンイメージに相当するフォトレジストパターンが完成できる。
【0065】
先に説明したように、フォトレジストパターンは、i線(波長365nm)、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)などの波長を有する光だけでなく、EUV(波長13.5nm)、E-Beam(電子ビーム)などの高エネルギーを有する光などによって露光して形成することができる。上記フォトレジストパターンは、5nm~100nmの厚さの幅を有することができる。一例として、上記フォトレジストパターンは、5nm~90nm、5nm~80nm、5nm~70nm、5nm~60nm、5nm~50nm、5nm~40nm、5nm~30nm、5nm~20nmの厚さの幅に形成される。
【0066】
一方、上記フォトレジストパターンは、50nm以下、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば20nm以下、例えば15nm以下の半ピッチ(half-pitch)および、10nm以下、5nm以下、3nm以下、2nm以下の線幅粗さを有するピッチを有することができる。
【0067】
下記にパターンを形成する方法を、図面を参照して一例として具体的に説明する。
【0068】
図1図3は、パターン形成方法を説明するために、工程の順序を示す断面概略図である。
【0069】
図1を参照すれば、露光したフォトレジスト膜を現像してフォトレジストパターン130Pを形成する。
【0070】
例示的な実施形態において、露光したフォトレジスト膜を現像してフォトレジスト膜の非露光領域を除去し、フォトレジスト膜の露光した領域からなるフォトレジストパターン130Pを形成することができる。フォトレジストパターン130Pは、複数の開口OPを含むことができる。
【0071】
例示的な実施形態において、フォトレジスト膜の現像は、NTD(negative-tone development)工程で行われる。この時、現像液組成物として、一実施形態による金属含有フォトレジスト用現像液組成物を用いることができる。
【0072】
図2を参照すれば、図1の結果物においてフォトレジストパターン130Pを用いてフィーチャ層110を加工する。
【0073】
例えば、フィーチャ層110を加工するために、フォトレジストパターン130Pの開口OPを通して露出するフィーチャ層110をエッチングする工程、フィーチャ層110に不純物イオンを注入する工程、開口OPを通してフィーチャ層110上に追加の膜を形成する工程、開口OPを通してフィーチャ層110の一部を変形させる工程など多様な工程を行うことができる。図2には、フィーチャ層110を加工する例示的な工程として、開口OPを通して露出するフィーチャ層110をエッチングしてフィーチャパターン110Pを形成することを例示した。
【0074】
図3を参照すれば、図2の結果物においてフィーチャパターン110P上に残っているフォトレジストパターン130Pを除去する。フォトレジストパターン130Pを除去するためにアッシング(ashing)およびストリップ(strip)工程を用いることができる。
【実施例0075】
以下、上述した金属含有フォトレジスト用現像液組成物の製造に関する実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。しかし、下記の実施例によって本発明の技術的特徴が限定されるものではない。
【0076】
[金属含有フォトレジスト用現像液組成物の製造]
ポリプロピレンボトル(PP bottle)に有機溶媒(PGMEA)と添加剤をそれぞれ下記表1の組成で混合した後、常温(25℃)で振盪して完全に溶解させた。その後、1μmのポアサイズを有するPTFE材質のフィルターを通過させて現像液組成物を得た。
【0077】
【表1】
【0078】
[金属含有フォトレジスト組成物の製造]
下記の化学式Cで表される構造単位を有する有機金属化合物を4-メチル-2-ペンタノールに1質量%の濃度で溶かした後、0.1μmのPTFEシリンジフィルタでろ過して金属含有フォトレジスト組成物を製造した。
【0079】
【化3】
【0080】
(評価1:CD測定)
現像液は、パターンウェーハ作製のためのコーティング-露光-現像工程のうち現像工程で注液して評価される。工程の進行が完了したパターンウェーハは、Line/SpaceのCDパターンが形成され、以後、CD-SEM測定装置に移してCD(Critical Dimension)サイズを測定する。CDサイズはCD-SEMイメージで10点測定後、平均値および標準偏差(std)を算出して、表1に標準偏差(std)を記載した。
【0081】
表1を参照すれば、実施例1~実施例15による金属含有フォトレジスト用現像液組成物を適用する場合、比較例1~6による金属含有フォトレジスト用現像液組成物を適用する場合に比べてCDサイズのばらつきが小さく、優れた特性を示すことを確認することができる。
【0082】
以上、本発明の特定の実施例が説明および図示されたが、本発明は記載された実施例に限定されるものではなく、本発明の思想および範囲を逸脱することなく多様に修正および変形できることはこの技術分野における通常の知識を有する者に自明である。したがって、そのような修正例または変形例は本発明の技術的思想や観点から個別的に理解されてはならず、変形された実施例は本発明の特許請求の範囲に属する。
【符号の説明】
【0083】
100 基板
OP 開口
110 フィーチャ層
110P フィーチャパターン
130P フォトレジストパターン
図1
図2
図3