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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144185
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】アルカリ性洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 1/86 20060101AFI20241003BHJP
C11D 1/75 20060101ALI20241003BHJP
C11D 1/04 20060101ALI20241003BHJP
C11D 1/62 20060101ALI20241003BHJP
C11D 3/34 20060101ALI20241003BHJP
【ＦＩ】
C11D1/86
C11D1/75
C11D1/04
C11D1/62
C11D3/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2024032343
(22)【出願日】2024-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2023055891
(32)【優先日】2023-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
（特許庁注：以下のものは登録商標）
１．ＴＷＥＥＮ
(71)【出願人】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ＡＤＥＫＡ
(71)【出願人】
【識別番号】593085808
【氏名又は名称】ＡＤＥＫＡクリーンエイド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077573
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100123009
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 由貴子
(72)【発明者】
【氏名】竹田 藍
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 みな
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 亮太
【テーマコード（参考）】
4H003
【Ｆターム（参考）】
4H003AB03
4H003AC15
4H003AE05
4H003BA12
4H003BA20
4H003BA21
4H003DA05
4H003DB02
4H003DC02
4H003EB14
4H003EB16
4H003EB22
4H003ED02
4H003FA04
4H003FA07
4H003FA20
4H003FA23
4H003FA28
4H003FA34
(57)【要約】
【課題】洗浄性、壁面における泡の保持性、すすぎ時の泡切れ性の要件を充分に満たすとともに、除菌性にも優れ、かつ貯蔵安定性及び希釈した際の安定性にも優れる洗浄剤組成物を提供する洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】洗浄剤組成物は、（Ａ）成分としてアミンオキシド、（Ｂ）成分として総炭素数１２以上、２４以下の分岐脂肪酸及び／又はその塩、（Ｃ）成分としてアルカリ剤、（Ｄ－α）成分としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、（Ｅ）成分として水を含有する。
【選択図】なし
【解決手段】洗浄剤組成物は、（Ａ）成分としてアミンオキシド、（Ｂ）成分として総炭素数１２以上、２４以下の分岐脂肪酸及び／又はその塩、（Ｃ）成分としてアルカリ剤、（Ｄ－α）成分としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、（Ｅ）成分として水を含有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
（Ａ）成分としてアミンオキシド、（Ｂ）成分として総炭素数１２以上、２４以下の分岐脂肪酸及び／又はその塩、（Ｃ）成分としてアルカリ剤、（Ｄ－α）成分としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、（Ｅ）成分として水を含有することを特徴とするアルカリ性洗浄剤組成物。
【請求項2】
（Ｄ－β）成分として、前記（Ｄ－α）成分以外のカチオン界面活性剤を更に含有し、かつ、 前記アルカリ性洗浄剤組成物に含有される前記（Ｄ－α）の質量と、前記アルカリ性洗浄剤組成物に含有される前記（Ｄ－β）の質量との質量比（Ｄ－α）／（Ｄ－β）の値が、０．０１以上、５６以下である請求項１に記載のアルカリ性洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記アルカリ性洗浄剤組成物に含有される全カチオン界面活性剤である（Ｄ）成分の質量と、前記アルカリ性洗浄剤組成物に含有される全ての脂肪酸である総脂肪酸の質量との質量比（総脂肪酸）／（（Ｄ）成分）の値が、０．００２以上、１．６以下である請求項１又は２に記載のアルカリ性洗浄剤組成物。
【請求項4】
（Ｂ）成分が、イソパルミチン酸及び／又はその塩、イソステアリン酸及び／又はその塩、イソアラキン酸及び／又はその塩からなる群から選択された何れか１種又はこれらの組み合わせを含有する請求項１又は２に記載のアルカリ性洗浄剤組成物。
【請求項5】
（Ａ）成分のアミンオキシドが、ドデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド、オクチルジメチルアミンオキシドからなる群から選択された何れか１種又はこれらの組み合わせを含有する請求項１又は２に記載のアルカリ性洗浄剤組成物。
【請求項6】
（Ｆ）成分として、キレート剤を含有する請求項１又は２に記載のアルカリ性洗浄剤組成物。
【請求項7】
（Ｇ）成分として、総炭素数１２以上、１８以下の直鎖脂肪酸及び／又はその塩を含有する請求項１又は２に記載のアルカリ性洗浄剤組成物。
【請求項8】
（Ｈ）成分として、芳香族スルホン酸又はその塩を含有する請求項１又は２に記載のアルカリ性洗浄剤組成物。
【請求項9】
硬質表面の発泡洗浄用である請求項１又は２に記載のアルカリ性洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルカリ性洗浄組成物に関し、より詳しくは、洗浄性、垂直表面での泡保持性、すすぎ時の泡切れ性に優れるとともに、貯蔵安定性及び希釈した際の洗浄液の安定性が良好で、かつ優れた除菌性を示すアルカリ性洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料や食品の製造加工工場や厨房の床、壁面等の硬質表面の洗浄に使用される洗浄剤には、油やタンパク質等の汚れに対する高い洗浄性が求められる。そのため、壁等の垂直面の洗浄除菌処理を効果的に行うためには、起泡した泡が壁面等へ良好に付着・保持されるとともに、作業時間の短縮や節水の観点からはすすぎ時の泡切れ性が良いことが要求される。また表面的な汚れを落とすだけではなく、洗浄面に対する除菌性も重要である。加えて、上述するアルカリ性洗浄組成物は、貯蔵安定性や希釈した際の洗浄液の安定性も求められる。
【0003】
この種の硬質表面洗浄に用いられる洗浄剤組成物として、アルカリ剤、アニオン界面活性剤、アルキルジメチルアミンオキシド、脂肪酸又はその塩を含む洗浄剤組成物（特許文献１）、アミンオキシド、分岐脂肪酸又はその塩を、特定の割合で含む洗浄剤組成物（特許文献２）、アミン化合物、カチオン界面活性剤、脂肪酸又はその塩、両性界面活性剤を含む液体洗浄剤組成物（特許文献３）等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開２０１３－２４９３８３号公報
【特許文献2】特開２０１８－２０３８５３号公報
【特許文献3】特開２０１９－１０４７９３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献１から３に記載されている従来の洗浄剤組成物は、洗浄性、除菌性、壁面での泡保持性の要件全てを充分に満足しているとはいえず、かつすすぎ時の泡切れ性も充分とは言い難かった。また、例えば特許文献３に示されるように、洗浄剤組成物においてカチオンとアニオンとが併用された場合、沈殿物が生じやすく貯蔵安定性や希釈した際の洗浄液の安定性が低下する傾向にあり、また除菌性も低下する。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題に鑑みなされたもので、洗浄性、壁面における泡の保持性、すすぎ時の泡切れ性の要件を充分に満たすとともに、除菌性にも優れ、かつ貯蔵安定性及び希釈した際の安定性にも優れる洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のアルカリ性洗浄剤組成物は、（Ａ）成分としてアミンオキシド、（Ｂ）成分として総炭素数１２以上、２４以下の分岐脂肪酸及び／又はその塩、（Ｃ）成分としてアルカリ剤、（Ｄ－α）成分としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、（Ｅ）成分として水を含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のアルカリ性洗浄剤組成物は、洗浄性、壁面での泡保持性、すすぎ時の泡切れ性の要件を充分に満たすとともに、除菌性にも優れ、かつ貯蔵安定性及び希釈時の安定性にも優れる。
そのため本発明のアルカリ性洗浄剤組成物は、衛生面における要求がシビアな飲料や食品の製造加工工場や厨房等の床や壁面等においても好適に使用される。
そのため本発明のアルカリ性洗浄剤組成物は、衛生面における要求がシビアな飲料や食品の製造加工工場や厨房等の床や壁面等においても好適に使用される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のアルカリ性洗浄剤組成物（以下、単に本発明の洗浄剤組成物という場合がある）は、（Ａ）成分としてアミンオキシド、（Ｂ）成分として総炭素数１２以上、２４以下の分岐脂肪酸及び／又はその塩、（Ｃ）成分としてアルカリ剤、（Ｄ－α）成分としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、（Ｅ）成分として水を含有する。
【0010】
従来の洗浄剤組成物では、水に溶解することでアニオン（負に荷電したイオン）となる化合物及びカチオン（正に荷電したイオン）となる化合物を併用した場合、沈殿物が発生しやすく安定性が充分でなくなるだけではなく、除菌性が低下するという問題があった。これに対し、本発明の洗浄剤組成物は、カチオンとしてヘキサデシルトリメチルアンモニウムメトサルフェートを用いることによって、上述するカチオン及びアニオンの併用に起因する問題を解決した。
【0011】
即ち、本発明の洗浄剤組成物は、洗浄性、壁面における泡の保持性、すすぎ時の泡切れ性の要件を充分に満たすとともに、除菌性にも優れ、かつ貯蔵安定性及び希釈時の安定性にも優れる。
また従来、水道水等の硬質成分を含む水で洗浄剤組成物を希釈した場合、希釈後の安定性が不良となり、また除菌性が低下しうるという問題があったが、本発明の洗浄剤組成物は驚くべきことに、水道水やこれに相当する硬水を用いて希釈した場合であっても、希釈した際の洗浄液の安定性に優れるとともに良好な除菌性が示される。かかる特質を備える本発明の洗浄剤組成物は、希釈水として水道水やこれに相当する硬水以外の水を用いることを除外するものではないが、水道水等を希釈水として使用できることにより、洗浄剤組成物としての汎用性が向上し、また使用時のコストを実質的に抑えることができるため有利である。
また従来、水道水等の硬質成分を含む水で洗浄剤組成物を希釈した場合、希釈後の安定性が不良となり、また除菌性が低下しうるという問題があったが、本発明の洗浄剤組成物は驚くべきことに、水道水やこれに相当する硬水を用いて希釈した場合であっても、希釈した際の洗浄液の安定性に優れるとともに良好な除菌性が示される。かかる特質を備える本発明の洗浄剤組成物は、希釈水として水道水やこれに相当する硬水以外の水を用いることを除外するものではないが、水道水等を希釈水として使用できることにより、洗浄剤組成物としての汎用性が向上し、また使用時のコストを実質的に抑えることができるため有利である。
【0012】
以下に本発明の洗浄剤組成物の詳細について更に説明する。以下の説明において、適宜、本発明の好ましい数値範囲を示す場合がある。この場合に、数値範囲の上限及び下限に関する好ましい範囲、より好ましい範囲、更に好ましい範囲等は、上限及び下限の全ての組み合わせから決定することができる。
また、以下の説明において、洗浄剤組成物の効果に関し、壁面における泡の保持性を単に泡保持性という場合があり、すすぎ時の泡切れ性を単にすすぎ性という場合があり、希釈した際の洗浄液の安定性を単に希釈安定性という場合がある。
また、以下の説明において、洗浄剤組成物の効果に関し、壁面における泡の保持性を単に泡保持性という場合があり、すすぎ時の泡切れ性を単にすすぎ性という場合があり、希釈した際の洗浄液の安定性を単に希釈安定性という場合がある。
【0013】
（Ａ成分）
本発明の洗浄剤組成物は、（Ａ）成分としてアミンオキシドを含む。
（Ａ）成分であるアミンオキシドは、一般式Ｒ３Ｎ＋‐Ｏ－で表される化合物である。（Ａ）成分におけるＲは炭化水素基を示し、３つの炭化水素基のうち何れか１つの炭化水素基が炭素数８以上、１８以下であることが好ましく、更に残りの２つの炭化水素基がメチル基であることがより好ましい。上記炭素数８以上、１８以下である炭化水素基は、アルキル基であってもよいし、アルケニル基であってもよい。（Ａ）成分であるアミンオキシドは、１種であってもよいし、２種以上の組み合わせで含有されてもよい。
本発明の洗浄剤組成物は、（Ａ）成分としてアミンオキシドを含む。
（Ａ）成分であるアミンオキシドは、一般式Ｒ３Ｎ＋‐Ｏ－で表される化合物である。（Ａ）成分におけるＲは炭化水素基を示し、３つの炭化水素基のうち何れか１つの炭化水素基が炭素数８以上、１８以下であることが好ましく、更に残りの２つの炭化水素基がメチル基であることがより好ましい。上記炭素数８以上、１８以下である炭化水素基は、アルキル基であってもよいし、アルケニル基であってもよい。（Ａ）成分であるアミンオキシドは、１種であってもよいし、２種以上の組み合わせで含有されてもよい。
【0014】
より良好な洗浄性、泡保持性を示すという観点からは、（Ａ）成分の好ましい例として例えば、炭素数８以上、１８以下のアルキル基を有するアルキルジメチルアミンオキシド又は炭素数８以上、１８以下のアルケニル基を有するアルケニルジメチルアミンオキシドが挙げられる。
より具体的には（Ａ）成分として、オクチルジメチルアミンオキシド、ノニルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ウンデシルジメチルアミンオキシド、ドデシルジメチルアミンオキシド、トリデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド、ペンタデシルジメチルアミンオキシド、ヘキサデシルジメチルアミンオキシド、ヘプタデシルジメチルアミンオキシド、オクタデシルジメチルアミンオキシド、オクテニルジメチルアミンオキシド、ドデセニルジメチルアミンオキシド、及びテトラデセニルジメチルアミンオキシド等からなる群から選択された何れか１種又はこれらの組み合わせを含むことが好ましく、オクチルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ドデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド、ヘキサデシルジメチルアミンオキシドからなる群から選択された何れか１種又はこれらの組み合わせを含むことがより好ましく、オクチルジメチルアミンオキシド、ドデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシドからなる群から選択された何れか１種又はこれらの組み合わせを含むことが更に好ましい。
より具体的には（Ａ）成分として、オクチルジメチルアミンオキシド、ノニルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ウンデシルジメチルアミンオキシド、ドデシルジメチルアミンオキシド、トリデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド、ペンタデシルジメチルアミンオキシド、ヘキサデシルジメチルアミンオキシド、ヘプタデシルジメチルアミンオキシド、オクタデシルジメチルアミンオキシド、オクテニルジメチルアミンオキシド、ドデセニルジメチルアミンオキシド、及びテトラデセニルジメチルアミンオキシド等からなる群から選択された何れか１種又はこれらの組み合わせを含むことが好ましく、オクチルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ドデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド、ヘキサデシルジメチルアミンオキシドからなる群から選択された何れか１種又はこれらの組み合わせを含むことがより好ましく、オクチルジメチルアミンオキシド、ドデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシドからなる群から選択された何れか１種又はこれらの組み合わせを含むことが更に好ましい。
【0015】
洗浄性、泡保持性に加え、更に良好なすすぎ性を示すという観点からは、（Ａ）成分として、ドデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド、オクチルジメチルアミンオキシドからなる群から選択された何れか１種又はこれらの組み合わせを含むことが好ましく、少なくともテトラデシルジメチルアミンオキシドを含むことが更に好ましい。
【0016】
（Ａ）成分は、主として本発明の洗浄剤組成物における洗浄性及び泡保持性に寄与する。したがって、（Ａ）成分の配合量が少なすぎると洗浄性及び／又は泡保持性が充分でない場合がある。一方、（Ａ）成分の配合量が多すぎる場合には、貯蔵安定性が充分ではない場合がある。
かかる観点からは、本発明の洗浄剤組成物における（Ａ）成分の含有比率の下限は、０．１質量％以上であることが好ましく、０．５質量％以上であることがより好ましく、１．０質量％以上であることが更に好ましい。また本発明の洗浄剤組成物における（Ａ）成分の含有比率の上限は、１０．０質量％以下であることが好ましく、８．０質量％以下であることがより好ましく、６．０質量％以下であることが更に好ましい。
かかる観点からは、本発明の洗浄剤組成物における（Ａ）成分の含有比率の下限は、０．１質量％以上であることが好ましく、０．５質量％以上であることがより好ましく、１．０質量％以上であることが更に好ましい。また本発明の洗浄剤組成物における（Ａ）成分の含有比率の上限は、１０．０質量％以下であることが好ましく、８．０質量％以下であることがより好ましく、６．０質量％以下であることが更に好ましい。
【0017】
（Ｂ成分）
本発明は、（Ｂ）成分として総炭素数１２以上、２４以下の分岐脂肪酸及び／又はその塩を含む。（Ｂ）成分はアニオンであり、一般的にはカチオンと併用されることによって沈殿物が発生し、また除菌性が低下する傾向にある。しかしながら、本発明はカチオン成分として、後述する（Ｄ－α）成分（特定のカチオン成分）が使用されるため、上記（Ｂ）成分と併用されても沈殿物が発生し難く、希釈安定性や貯蔵安定性が良好であり、かつ除菌性にも優れる。（Ｂ）成分である上記分岐脂肪酸及び／又はその塩は、１種であってもよいし、２種以上の組み合わせで含有されてもよい。本発明において分岐脂肪酸とは、分岐鎖を有する脂肪酸を指し、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸であってもよく、飽和脂肪酸であることが好ましい。
本発明は、（Ｂ）成分として総炭素数１２以上、２４以下の分岐脂肪酸及び／又はその塩を含む。（Ｂ）成分はアニオンであり、一般的にはカチオンと併用されることによって沈殿物が発生し、また除菌性が低下する傾向にある。しかしながら、本発明はカチオン成分として、後述する（Ｄ－α）成分（特定のカチオン成分）が使用されるため、上記（Ｂ）成分と併用されても沈殿物が発生し難く、希釈安定性や貯蔵安定性が良好であり、かつ除菌性にも優れる。（Ｂ）成分である上記分岐脂肪酸及び／又はその塩は、１種であってもよいし、２種以上の組み合わせで含有されてもよい。本発明において分岐脂肪酸とは、分岐鎖を有する脂肪酸を指し、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸であってもよく、飽和脂肪酸であることが好ましい。
【0018】
（Ｂ）成分である総炭素数１２以上、２４以下の分岐脂肪酸及び／又はその塩の例としては、例えば、２－メチルウンデカン酸、１０－メチルウンデカン酸等のイソラウリン酸；２，２－ジメチルドデカン酸、２，３－ジメチルドデカン酸、２－ブチル－３－メチルノナン酸等のイソミリスチン酸、２－メチルペンタデカン酸、３－メチルペンタデカン酸、２－ブチルドデカン酸、２－ヘキシルデカン酸、２－ヘプチルノナン酸等のイソパルミチン酸；２－メチルヘプタデカン酸、２－エチルヘキサデカン酸、２－オクチルデカン酸、２－ヘプチルウンデカン酸、２，２－ジメチルヘキサデカン酸、イソオクタデカン酸、２，２，４，８，１０，１０－ヘキサメチルウンデカン－５－カルボン酸等のイソステアリン酸、；３－メチルノナデカン酸、１８－メチルノナデカン酸、２，２－ジメチルオクタデカン酸、２，４－ジメチルオクタデカン酸、２－ブチル－２－ヘプチルノナン酸等のイソアラキン酸；２０－メチルヘンエイコ酸等のイソベヘン酸；３－メチルトリコ酸等のイソリグノセリン酸等、及びその塩からなる群から選択された何れか１種又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0019】
上記分岐脂肪酸の塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩等が挙げられるが、ナトリウム塩、又はカリウム塩が好ましい。
【0020】
より良好な泡保持性及びすすぎ性を示すという観点からは、（Ｂ）成分として、イソパルミチン酸又はその塩、イソステアリン酸又はその塩、イソアラキン酸又はその塩からなる群から選択された何れか１種又はこれらの組み合わせを含むことが好ましく、少なくともイソパルミチン酸及び／又はその塩、およびイソステアリン酸又はその塩からなる群から選択された何れか１種またはこれらの組み合わせを含むことがより好ましい。
【0021】
（Ｂ）成分は、本発明の洗浄剤組成物における泡保持性及び／又はすすぎ性に寄与する。したがって、（Ｂ）成分の配合量が少なすぎると泡保持性及び／又はすすぎ性が充分でない場合がある。一方、（Ｂ）成分の配合量が多すぎる場合には、除菌性、希釈安定性、貯蔵安定性の何れか又は全てが充分でない場合がある。
かかる観点からは、本発明の洗浄剤組成物における（Ｂ）成分の含有比率の下限は、０．０１質量％以上であることがより好ましく、０．１質量％以上であることが更に好ましい。また本発明の洗浄剤組成物における（Ｂ）成分の含有比率の上限は、３．０質量％以下であることが好ましく、２．０質量％以下であることがより好ましく、１．０質量％以下であることが更に好ましい。
尚、本発明の洗浄剤組成物中の上記（Ｂ）成分の割合は、（Ｂ）成分中に分岐脂肪酸塩が含まれる場合は、分岐脂肪酸塩を分岐脂肪酸として換算した量より求めた割合である。
かかる観点からは、本発明の洗浄剤組成物における（Ｂ）成分の含有比率の下限は、０．０１質量％以上であることがより好ましく、０．１質量％以上であることが更に好ましい。また本発明の洗浄剤組成物における（Ｂ）成分の含有比率の上限は、３．０質量％以下であることが好ましく、２．０質量％以下であることがより好ましく、１．０質量％以下であることが更に好ましい。
尚、本発明の洗浄剤組成物中の上記（Ｂ）成分の割合は、（Ｂ）成分中に分岐脂肪酸塩が含まれる場合は、分岐脂肪酸塩を分岐脂肪酸として換算した量より求めた割合である。
【0022】
（Ｃ成分）
本発明は、（Ｃ）成分としてアルカリ剤を含む。（Ｃ）成分であるアルカリ剤としては、例えばアミン化合物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属珪酸塩等が挙げられる。（Ｃ）成分として、１種のアルカリ剤を含んでもよいし、２種以上のアルカリ剤を含んでもよい。
アルカリ剤を含むことにより優れた洗浄性が示されるが、特に（Ｃ）成分としてアミン化合物を選択することにより優れた金属腐食防止性も示されるため好ましく、アミン化合物としてアルカノールアミンが選択されることがより好ましい。（Ｃ）成分としてアミン化合物、特にはアルカノールアミンが選択されることによって、工場等におけるアルミニウムなどの金属面の洗浄にも本発明の洗浄剤組成物を好適に使用することができる。尚、アルカノールアミンとは、アルカン骨格においてアミノ基とヒドロキシ基とを有する化合物を指す。
本発明は、（Ｃ）成分としてアルカリ剤を含む。（Ｃ）成分であるアルカリ剤としては、例えばアミン化合物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属珪酸塩等が挙げられる。（Ｃ）成分として、１種のアルカリ剤を含んでもよいし、２種以上のアルカリ剤を含んでもよい。
アルカリ剤を含むことにより優れた洗浄性が示されるが、特に（Ｃ）成分としてアミン化合物を選択することにより優れた金属腐食防止性も示されるため好ましく、アミン化合物としてアルカノールアミンが選択されることがより好ましい。（Ｃ）成分としてアミン化合物、特にはアルカノールアミンが選択されることによって、工場等におけるアルミニウムなどの金属面の洗浄にも本発明の洗浄剤組成物を好適に使用することができる。尚、アルカノールアミンとは、アルカン骨格においてアミノ基とヒドロキシ基とを有する化合物を指す。
【0023】
上記アミン化合物の好ましい例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、Ｎ－メチルエタノールアミン、及びＮ－メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミンからなる群から選択された何れか１種又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0024】
上記アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、及び水酸化マグネシウム等からなる群から選択された何れか１種又はこれらの組み合わせが挙げられる。
上記アルカリ金属炭酸塩の例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素カリウム等からなる群から選択された何れか１種又はこれらの組み合わせが挙げられる。
上記アルカリ金属珪酸塩の例としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、具体的には、オルト珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、１号珪酸ナトリウム、２号珪酸ナトリウム、３号珪酸ナトリウム、４号珪酸ナトリウム、１号珪酸カリウム、及び２号珪酸カリウム等からなる群から選択された何れか１種又はこれらの組み合わせが挙げられる。
上記アルカリ金属炭酸塩の例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素カリウム等からなる群から選択された何れか１種又はこれらの組み合わせが挙げられる。
上記アルカリ金属珪酸塩の例としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、具体的には、オルト珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、１号珪酸ナトリウム、２号珪酸ナトリウム、３号珪酸ナトリウム、４号珪酸ナトリウム、１号珪酸カリウム、及び２号珪酸カリウム等からなる群から選択された何れか１種又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0025】
より良好な洗浄性及び金属腐食防止性を示すという観点からは、（Ｃ）成分として、アルカリ金属珪酸塩、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、トリエタノールアミンからなる群から選択された１種又はそれらの組み合わせを含むことが好ましく、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、トリエタノールアミンからなる群から選択された１種又はそれらの組み合わせを含むことがより好ましい。
【0026】
（Ｃ）成分として用いられるアミン化合物は、本発明の洗浄剤組成物における洗浄性に寄与し、また金属腐食が生じにくい点でも有利である。洗浄剤組成物において、（Ｃ）成分であるアミン化合物の配合量が少なすぎると洗浄性が充分でない場合がある。一方、（Ｃ）成分であるアミン化合物の配合量が多すぎる場合には、貯蔵安定性おいて望ましくない影響を与える可能性がある。
かかる観点から、アミン化合物を（Ｃ）成分として用いる場合、本発明の洗浄剤組成物における（Ｃ）成分の含有比率の下限は、０．０５質量％以上であることが好ましく、０．１質量％以上であることがより好ましく、０．５質量％以上であることが更に好ましい。また本発明の洗浄剤組成物における（Ｃ）成分の含有比率の上限は、２０．０質量％以下であることが好ましく、１０．０質量％以下であることがより好ましく、５．０質量％以下であることが更に好ましい。
かかる観点から、アミン化合物を（Ｃ）成分として用いる場合、本発明の洗浄剤組成物における（Ｃ）成分の含有比率の下限は、０．０５質量％以上であることが好ましく、０．１質量％以上であることがより好ましく、０．５質量％以上であることが更に好ましい。また本発明の洗浄剤組成物における（Ｃ）成分の含有比率の上限は、２０．０質量％以下であることが好ましく、１０．０質量％以下であることがより好ましく、５．０質量％以下であることが更に好ましい。
【0027】
（Ｄ－α）成分
本発明の洗浄剤組成物は、（Ｄ－α）成分としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムメトサルフェートを含む。
ヘキサデシルトリメチルアンモニウムメトサルフェートはカチオンであるが、アニオンと併用されても沈殿物が発生し難く、洗浄剤組成物の貯蔵安定性及び希釈安定性を良好に維持することができる上、除菌性も良好に維持することができる。（Ｄ－α）成分の配合量が少なすぎると除菌性が充分ではない場合があり、また泡保持性も充分でない場合がある。一方、（Ｄ－α）成分の配合量が多すぎると、貯蔵安定性及び／又は泡保持性が充分でない場合がある。
かかる観点から、本発明の洗浄剤組成物における（Ｄ－α）成分の含有比率の下限は、０．０５質量％以上であることが好ましく、０．１質量％以上であることがより好ましく、０．３質量％以上であることが更に好ましい。また本発明の洗浄剤組成物における（Ｄ－α）成分の含有比率の上限は、７．０質量％以下であることが好ましく、６．０質量％以下であることがより好ましく、５．０質量％以下であることが更に好ましく、４．０質量％以下であることがより更に好ましい。
本発明の洗浄剤組成物は、（Ｄ－α）成分としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムメトサルフェートを含む。
ヘキサデシルトリメチルアンモニウムメトサルフェートはカチオンであるが、アニオンと併用されても沈殿物が発生し難く、洗浄剤組成物の貯蔵安定性及び希釈安定性を良好に維持することができる上、除菌性も良好に維持することができる。（Ｄ－α）成分の配合量が少なすぎると除菌性が充分ではない場合があり、また泡保持性も充分でない場合がある。一方、（Ｄ－α）成分の配合量が多すぎると、貯蔵安定性及び／又は泡保持性が充分でない場合がある。
かかる観点から、本発明の洗浄剤組成物における（Ｄ－α）成分の含有比率の下限は、０．０５質量％以上であることが好ましく、０．１質量％以上であることがより好ましく、０．３質量％以上であることが更に好ましい。また本発明の洗浄剤組成物における（Ｄ－α）成分の含有比率の上限は、７．０質量％以下であることが好ましく、６．０質量％以下であることがより好ましく、５．０質量％以下であることが更に好ましく、４．０質量％以下であることがより更に好ましい。
【0028】
尚、本発明に関し上記（Ｄ－α）成分及び後述する（Ｄ－α）成分以外のカチオン界面活性剤である（Ｄ－β）成分を総称して（Ｄ）成分と呼ぶ場合がある。
【0029】
（Ｄ－β）成分
本発明の洗浄剤組成物は、上述する（Ｄ－α）成分を含むとともに、これと併用して（Ｄ－α）成分以外のカチオン界面活性剤である（Ｄ－β）成分を更に含有してもよい。（Ｄ－α）成分と（Ｄ－β）成分とを併用する態様において、洗浄性、泡保持性、すすぎ性、除菌性、希釈安定性、貯蔵安定性がバランスよく良好である洗浄剤組成物を提供するという観点からは、アルカリ性洗浄剤組成物に含有される、（Ｄ－α）の質量と（Ｄ－β）の質量との比である質量比（Ｄ－α）／（Ｄ－β）の値が、０．０１以上、５６．０以下であることが好ましく、０．０４以上、３０．０以下であることがより好ましく、０．１以上、２０．０以下であることが更に好ましく、０．１以上、１２．５以下であることがより更に好ましい。質量比（Ｄ－α）／（Ｄ－β）の値が小さ過ぎると、希釈安定性及び貯蔵安定性が充分でない場合があり、一方、上記値が大きすぎると、除菌力が充分でなくなる場合がある。
本発明の洗浄剤組成物は、上述する（Ｄ－α）成分を含むとともに、これと併用して（Ｄ－α）成分以外のカチオン界面活性剤である（Ｄ－β）成分を更に含有してもよい。（Ｄ－α）成分と（Ｄ－β）成分とを併用する態様において、洗浄性、泡保持性、すすぎ性、除菌性、希釈安定性、貯蔵安定性がバランスよく良好である洗浄剤組成物を提供するという観点からは、アルカリ性洗浄剤組成物に含有される、（Ｄ－α）の質量と（Ｄ－β）の質量との比である質量比（Ｄ－α）／（Ｄ－β）の値が、０．０１以上、５６．０以下であることが好ましく、０．０４以上、３０．０以下であることがより好ましく、０．１以上、２０．０以下であることが更に好ましく、０．１以上、１２．５以下であることがより更に好ましい。質量比（Ｄ－α）／（Ｄ－β）の値が小さ過ぎると、希釈安定性及び貯蔵安定性が充分でない場合があり、一方、上記値が大きすぎると、除菌力が充分でなくなる場合がある。
【0030】
除菌性を許容範囲に維持しつつ、より優れた希釈液安定性及び貯蔵安定性を示すという観点からは、洗浄剤組成物１００質量％における（Ｄ－α）成分の配合比率（質量％）及び（Ｄ－β）成分の配合比率（質量％）の和が５．５質量％以下であり、かつ、質量比（Ｄ－α）／（Ｄ－β）の値が０．０１以上、５６．０以下であることが好ましく、洗浄剤組成物１００質量％における（Ｄ－α）成分の配合比率（質量％）及び（Ｄ－β）成分の配合比率（質量％）の和が４．５質量％以下であり、かつ、質量比（Ｄ－α）／（Ｄ－β）の値が０．０４以上、３０．０であることがより好ましく、洗浄剤組成物における（Ｄ－α）成分の配合比率（質量％）及び（Ｄ－β）成分の配合比率（質量％）の和が４質量％以下であり、かつ、質量比（Ｄ－α）／（Ｄ－β）の値が０．１以上、２０．０以下であることが更に好ましく、洗浄剤組成物における（Ｄ－α）成分の配合比率（質量％）及び（Ｄ－β）成分の配合比率（質量％）の和が４質量％以下であり、かつ、質量比（Ｄ－α）／（Ｄ－β）の値が０．１以上１２．５以下であることがより更に好ましい。
【0031】
本発明に用いられる（Ｄ－β）成分は、一般的に洗浄剤組成物に用いられる１種以上のカチオン界面活性剤であってよく、具体的には、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルエチルアンモニウム塩、ジアルキルエチルメチルアンモニウム塩、ジアルキルモノメチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、アルキルジメチルヒドロキシルエチルアンモニウム塩、アルキルジポリオキシエチレンメチルアンモニウム塩、アルキルジポリオキシエチレンメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、又はベンゼトニウム塩等の第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤；ポリヘキサメチレンビグアナイドハイドロクロライド、ポリヘキサメチレングアニジンホスフェート、ポリヘキサメチレングアニジンクロライド、又はグルコン酸クロルヘキシジン等のグアニジン系カチオン界面活性剤；ヘキサデシルトリブチルフォスフォニウム、アルキルジアミン、又は上述する化合物の塩等が挙げられる。
上述に例示するカチオン界面活性剤は、（Ｄ－β）成分として１種又は２種以上の組み
合わせで含有されてよい。
上述に例示するカチオン界面活性剤は、（Ｄ－β）成分として１種又は２種以上の組み
合わせで含有されてよい。
【0032】
（Ｄ－β）成分の中でもより優れた除菌性を発揮し易いという観点から、（Ｄ－β）成分として、第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を含むことが好ましい。
（Ｄ－β）成分に含まれる第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤は、炭素数１以上、２２以下のアルキル基を有することが好ましく、炭素数４以上、２２以下のアルキル基を有することがより好ましく、炭素数６以上、１８以下の直鎖アルキル基を有することが更に好ましい。（Ｄ－β）成分は、共通の骨格を有し、かつアルキル基の炭素数の異なる化合物を２以上混合して用いてもよい。
（Ｄ－β）成分に含まれる第四級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤は、炭素数１以上、２２以下のアルキル基を有することが好ましく、炭素数４以上、２２以下のアルキル基を有することがより好ましく、炭素数６以上、１８以下の直鎖アルキル基を有することが更に好ましい。（Ｄ－β）成分は、共通の骨格を有し、かつアルキル基の炭素数の異なる化合物を２以上混合して用いてもよい。
【0033】
上記（Ｄ－β）成分の塩としては、塩素イオン、臭素イオン、炭素数１又は２のアルキル硫酸エステルイオン、炭素数１以上、１２以下の脂肪酸イオン、実質的に置換基を有しないベンゼンスルホン酸イオン、又は炭素数１以上、３以下のアルキル基が１個以上、３個以下の範囲で置換されたベンゼンスルホン酸イオン等が挙げられる。
【0034】
（Ｄ－β）成分は、主として本発明の洗浄剤組成物における除菌性に寄与する。したがって、（Ｄ－β）成分の配合量が好ましい範囲であると除菌性がより充分となる傾向にあり、また泡保持性がより充分となる傾向にある。ただし（Ｄ－β）成分の配合量が多すぎる場合には、貯蔵安定性及び／又は泡保持性が低下する場合がある。
かかる観点からは、本発明の洗浄剤組成物１００質量％において（Ｄ－α）成分と併用される（Ｄ－β）成分の含有比率の下限は、０．０５質量％以上であることが好ましく、０．１質量％以上であることがより好ましく、０．５質量％以上であることが更に好ましい。また本発明の洗浄剤組成物１００質量％において（Ｄ－α）成分と併用される（Ｄ－β）成分の含有比率の上限は、５．４質量％以下であることが好ましく、５．０質量％以下であることがより好ましく、４．０質量％以下であることが更に好ましい。
かかる観点からは、本発明の洗浄剤組成物１００質量％において（Ｄ－α）成分と併用される（Ｄ－β）成分の含有比率の下限は、０．０５質量％以上であることが好ましく、０．１質量％以上であることがより好ましく、０．５質量％以上であることが更に好ましい。また本発明の洗浄剤組成物１００質量％において（Ｄ－α）成分と併用される（Ｄ－β）成分の含有比率の上限は、５．４質量％以下であることが好ましく、５．０質量％以下であることがより好ましく、４．０質量％以下であることが更に好ましい。
【0035】
（Ｅ）成分
本発明の洗浄剤組成物は、（Ｅ）成分として水を含む。上記（Ｅ）成分の水としては、特に限定はなく、イオン交換水、軟水、純水、水道水等の硬水等から選択された１種の水又は２種以上の水の混合水を使用することができる。
本発明の洗浄剤組成物は、（Ｅ）成分として水を含む。上記（Ｅ）成分の水としては、特に限定はなく、イオン交換水、軟水、純水、水道水等の硬水等から選択された１種の水又は２種以上の水の混合水を使用することができる。
【0036】
ところで、本発明の洗浄剤組成物は、希釈されて使用されうる。従来のアニオンとカチオンが併用された洗浄剤組成物は、希釈水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどの硬度成分の存在により希釈安定性が不良になることが知られていた。これに対し、本発明の洗浄剤組成物は、水道水等の硬質成分を含む水を希釈水として用いた場合であっても希釈後の安定性が良好である。そのため、本発明は、工場などで多量に洗浄剤組成物を希釈する必要がある場合、イオン交換水などよりもコストの安い水道水を希釈水として用いることができ経済性に優れる。尚、ここでいう水道水等の硬水とは、カルシウムやマグネシウム等の金属イオンを含有し、ドイツ硬度２．２°ＤＨ以上、ドイツ硬度４．２°ＤＨ以下の水を指す。
本発明の洗浄剤組成物を希釈液（洗浄液）として調製する場合には、使用時の希釈倍率の下限が１質量％以上であることが好ましく、２質量％以上であることがより好ましく、３質量％以上であることが更に好ましく、また使用時の希釈倍率の上限が７％以下であることが好ましく、６％以下であることがより好ましく、５％以下であることが更に好ましい。
本発明の洗浄剤組成物を希釈液（洗浄液）として調製する場合には、使用時の希釈倍率の下限が１質量％以上であることが好ましく、２質量％以上であることがより好ましく、３質量％以上であることが更に好ましく、また使用時の希釈倍率の上限が７％以下であることが好ましく、６％以下であることがより好ましく、５％以下であることが更に好ましい。
【0037】
本発明の洗浄剤組成物は、２５℃におけるｐＨが９以上、１３以下であることが好ましい。
上記範囲とすることで、良好な洗浄性、除菌性、及び金属腐食防止性をバランスよく発揮可能である。より具体的には、ｐＨを９以上とすることで、良好な洗浄性及び／又は除菌性を発揮可能であり、ｐＨを１３以下とすることで良好な金属腐食防止性を発揮可能である。良好な洗浄性及び／又は除菌性を発揮し、かつ、金属腐食を防止するという観点から、ｐＨは９．５以上、１２．５以下が好ましく、ｐＨ９．５以上、ｐＨ１２．０以下が更に好ましい。
上記範囲とすることで、良好な洗浄性、除菌性、及び金属腐食防止性をバランスよく発揮可能である。より具体的には、ｐＨを９以上とすることで、良好な洗浄性及び／又は除菌性を発揮可能であり、ｐＨを１３以下とすることで良好な金属腐食防止性を発揮可能である。良好な洗浄性及び／又は除菌性を発揮し、かつ、金属腐食を防止するという観点から、ｐＨは９．５以上、１２．５以下が好ましく、ｐＨ９．５以上、ｐＨ１２．０以下が更に好ましい。
【0038】
本発明の洗浄剤組成物は、上記（Ａ）成分、（Ｂ）成分、（Ｃ）成分、（Ｄ－α）成分及び適宜組み合わされる（Ｄ－β）成分、並びに（Ｅ）成分の他に、更に任意の成分を含んでもよい。以下に、任意で配合される好ましい例について説明する。
【0039】
（Ｆ成分）
本発明の洗浄剤組成物は、（Ｆ）成分としてキレート剤を含んでもよい。
（Ｆ）成分を含むことで、非常に優れた希釈安定性が示され得る。
本発明の洗浄剤組成物は、（Ｆ）成分としてキレート剤を含んでもよい。
（Ｆ）成分を含むことで、非常に優れた希釈安定性が示され得る。
【0040】
上記（Ｆ）成分としては、例えばトリポリリン酸、ヘキサメタリン酸等、又はこれらの塩等の縮合リン酸化合物；ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グルタミン酸二酢酸、メチルグリシン二酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸等又はこれらの塩等のアミノカルボン酸型キレート剤；リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸等又はこれらの塩等のヒドロキシカルボン酸型キレート剤；ホスホン酸型キレート剤等からなる群から選択された何れか１種又はこれらの組み合わせが挙げられる。中でもアミノカルボン酸型キレート剤の何れか１種又は２種以上が、洗浄剤組成物に含まれることがより好ましい。
【0041】
上記（Ｆ）成分の塩としては、例えばカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0042】
特により優れた希釈液安定性を発揮するという観点からは、（Ｆ）成分として、アミノカルボン酸型キレート剤を含むことが好ましい。アミノカルボン酸型キレート剤の好ましい具体例としては、例えばエチレンジアミン四酢酸、メチルグリシン二酢酸、又はグルタミン酸二酢酸またはこれらの塩が挙げられ、例えばエチレンジアミン四酢酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸カリウム、グルタミン酸二酢酸四ナトリウム、メチルグリシン二酢酸ナトリウムなどがより好ましい例として挙げられる。
【0043】
（Ｆ）成分を配合する場合、（Ｆ）成分の配合量は、洗浄剤組成物の各成分の配合を勘案しつつ適宜決定することができる。より確実に良好な希釈安定性を発揮させるという観点からは、本発明の洗浄剤組成物における（Ｆ）成分の含有比率の下限は、０．１質量％以上であることが好ましく、０．５質量％以上であることがより好ましく、１．０質量％以上であることが更に好ましい。また本発明の洗浄剤組成物における（Ｆ）成分の含有比率の上限は、１０．０質量％以下であることが好ましく、８．０質量％以下であることがより好ましく、５．０質量％以下であることが更に好ましい。
【0044】
（Ｇ成分）
本発明の洗浄剤組成物は、更に（Ｇ）成分として総炭素数１２以上、１８以下の直鎖脂肪酸及び／又はその塩を含んでもよい。
（Ｇ）成分を含むことで、優れたすすぎ性及び／又は泡保持性が示されうる。
本発明の洗浄剤組成物は、更に（Ｇ）成分として総炭素数１２以上、１８以下の直鎖脂肪酸及び／又はその塩を含んでもよい。
（Ｇ）成分を含むことで、優れたすすぎ性及び／又は泡保持性が示されうる。
【0045】
上記直鎖脂肪酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、又はアンモニウム塩等が挙げられ、ナトリウム塩又はカリウム塩が好ましい。（Ｇ）成分として、上記直鎖脂肪酸及び／又はその塩は１種又は２種以上の組み合わせで含まれてよい。
【0046】
上記直鎖脂肪酸及び／又はその塩として、ミリスチン酸、パルミチン酸、ラウリン酸またはこれらの塩からなる群から選択された何れか１種又はこれらの組み合わせを含むことにより、より優れたすすぎ性及び／又は泡保持性が示されうる。
【0047】
洗浄剤組成物における（Ｇ）成分の含有比率が少なすぎると、すすぎ性及び／又は泡保持性の向上が確認され難く、また（Ｇ）成分の含有比率が多すぎると、除菌性及び／又は希釈安定性が不充分になる場合がある。良好な除菌性及び希釈安定性を維持しつつ、より確実に良好なすすぎ性及び泡保持性を発揮させるという観点からは、本発明の洗浄剤組成物における（Ｇ）成分の含有比率の下限は、０．０１質量％以上であることが好ましく、０．０５質量％以上であることがより好ましく、０．１質量％以上であることが更に好ましい。また本発明の洗浄剤組成物における（Ｇ）成分の含有比率の上限は、３．０質量％以下であることが好ましく、２．０質量％以下であることがより好ましく、１．０質量％以下であることが更に好ましい。
【0048】
上述するとおり、本発明の洗浄剤組成物は、カチオン界面活性剤として、（Ｄ－α）成分であるヘキサデシルトリメチルアンモニウムメトサルフェートを含み、かつ任意で（Ｄ－β）成分を含みうる。つまり、本発明の洗浄剤組成物は、（Ｄ－α）成分及び（Ｄ－β）成分の総称である（Ｄ）成分（ただし、（Ｄ－β）成分が０質量％である場合を含む）を含む。
また本発明の洗浄剤組成物は、（Ｂ）成分として総炭素数１２以上、２４以下の分岐脂肪酸及び／又はその塩を含み、かつ任意で（Ｇ）成分として、総炭素数１２以上、１８以下の直鎖脂肪酸及び／又はその塩を含みうる。つまり、本発明の洗浄剤組成物は、（Ｂ）成分の分岐脂肪酸又はその塩及び（Ｇ）成分の直鎖脂肪酸又はその塩の総称である総脂肪酸（ただし（Ｇ）成分が０質量％である場合を含む）を含む。
また本発明の洗浄剤組成物は、（Ｂ）成分として総炭素数１２以上、２４以下の分岐脂肪酸及び／又はその塩を含み、かつ任意で（Ｇ）成分として、総炭素数１２以上、１８以下の直鎖脂肪酸及び／又はその塩を含みうる。つまり、本発明の洗浄剤組成物は、（Ｂ）成分の分岐脂肪酸又はその塩及び（Ｇ）成分の直鎖脂肪酸又はその塩の総称である総脂肪酸（ただし（Ｇ）成分が０質量％である場合を含む）を含む。
【0049】
ここで、良好な除菌性を維持しつつ、希釈液安定性や泡保持性に優れかつすすぎ性にも優れる洗浄剤組成物を提供するという観点からは、アルカリ性洗浄剤組成物に含有される全カチオン界面活性剤である（Ｄ）成分の質量と、アルカリ性洗浄剤組成物に含有される全ての脂肪酸である総脂肪酸の質量との質量比（総脂肪酸）／（（Ｄ）成分）の値が０．００２以上１．６以下であることが好ましく、０．００８以上１．０以下であることがより好ましく、０．０１以上１．０以下であることが更に好ましく、０．０５以上０．８以下であることがより更に好ましく、０．０７以上０．８以下であることが特に好ましい。
【0050】
特に、分岐脂肪酸は洗浄剤組成物における泡保持性の改善に貢献し、また直鎖脂肪酸は洗浄剤組成物のすすぎ性に貢献しうる。そのため上述する総脂肪酸は、分岐脂肪酸及び直鎖脂肪酸を含むことが好ましく、分岐脂肪酸として、イソパルミチン酸及び／又はその塩、イソステアリン酸及び／又はその塩、イソアラキン酸及び／又はその塩からなる群から選択された何れか１種又はこれらの組み合わせを含み、かつ直鎖脂肪酸として、総炭素数１２以上、１８以下の直鎖脂肪酸及び／又はその塩を含むことが好ましい。
また、上述に具体的に列挙された分岐脂肪酸及び直鎖脂肪酸を含み、かつ、全カチオン界面活性剤である（Ｄ）成分の質量と、総脂肪酸の質量との質量比（総脂肪酸）／（（Ｄ）成分）が０．００２以上１．６以下であることが好ましく、０．００８以上１．０以下であることがより好ましく、０．０１以上１．０以下であることが更に好ましく、０．０５以上０．８以下であることがより更に好ましく、０．０７以上０．８以下であることが特に好ましい。
また、上述に具体的に列挙された分岐脂肪酸及び直鎖脂肪酸を含み、かつ、全カチオン界面活性剤である（Ｄ）成分の質量と、総脂肪酸の質量との質量比（総脂肪酸）／（（Ｄ）成分）が０．００２以上１．６以下であることが好ましく、０．００８以上１．０以下であることがより好ましく、０．０１以上１．０以下であることが更に好ましく、０．０５以上０．８以下であることがより更に好ましく、０．０７以上０．８以下であることが特に好ましい。
【0051】
（Ｈ）成分
本発明の洗浄剤組成物は、（Ｈ）成分として、芳香族スルホン酸又はその塩を含有してもよい。
（Ｈ）成分を含むことで、洗浄剤組成物の粘度を良好に調整することが可能であり、結果として泡保持性の向上が図られる。
本発明の洗浄剤組成物は、（Ｈ）成分として、芳香族スルホン酸又はその塩を含有してもよい。
（Ｈ）成分を含むことで、洗浄剤組成物の粘度を良好に調整することが可能であり、結果として泡保持性の向上が図られる。
【0052】
上記芳香族スルホン酸の例としては、単環式又は二環式芳香族スルホン酸が好ましく、炭素数６以上、１１以下の単環式芳香族スルホン酸がより好ましく、炭素数７以上、９以下の単環式芳香族スルホン酸が更に好ましい。具体的に、芳香族スルホン酸として、キシレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、クメンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、置換もしくは非置換ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。また、これら芳香族スルホン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩及びアルカノールアミン塩等が挙げられる。
中でも（Ｈ）成分は、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸またはこれらの塩からな
る群から選択された何れか１種又はこれらの組み合わせであることが好ましい。
中でも（Ｈ）成分は、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸またはこれらの塩からな
る群から選択された何れか１種又はこれらの組み合わせであることが好ましい。
【0053】
洗浄剤組成物における（Ｈ）成分の含有比率が少なすぎると、泡保持性の改善が示されない場合があり、また（Ｈ）成分の含有比率が多すぎると、貯蔵安定性及び／又は除菌性が充分でなくなる場合がある。良好な貯蔵安定性及び除菌性を維持しつつ、優れた泡保持性を示すという観点からは、本発明の洗浄剤組成物における（Ｈ）成分の含有比率の下限は、０．１質量％以上であることが好ましく、０．５質量％以上であることがより好ましく、１．０質量％以上であることが更に好ましい。また本発明の洗浄剤組成物における（Ｈ）成分の含有比率の上限は、１５．０質量％以下であることが好ましく、１２．０質量％以下であることがより好ましく、１０．０質量％以下であることが更に好ましい。
【0054】
本発明の洗浄剤組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲で、必要に応じて当該技術分野で通常使用される他の成分を含有していてもよい。このような成分としては、例えば、本発明の（Ａ）～（Ｈ）成分を除く界面活性剤、金属腐食防止剤、水溶性溶剤、消泡剤、殺菌剤、酸化剤、粘稠剤、香料、色素等が挙げられる。
【0055】
本発明の（Ａ）～（Ｈ）成分を除く界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等のノニオン界面活性剤、αオレフィンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、リン酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、アルキルスルホベタイン、アルキルアミノプロピオン酸、アルキルアミノエチルグリシン等の両性界面活性剤等が挙げられる。
【0056】
金属腐食防止剤としてはベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、５－フェニル－ベンゾトリアゾール、１－ヒドロキシベンゾトリアゾール、５－ニトロ－ベンゾトリアゾール等のトリアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール、２－メルカプトベンゾイミダゾール、チアゾリルベンゾイミダゾール、４－メチル－２－フェニルイミダゾール等のイミダゾール系化合物、ベンゾチアゾール、２－メルカプトベンゾチアゾール等のチアゾール系化合物、ジメルカプトチアジアゾール等のチアジアゾール系化合物等が挙げられる。
【0057】
水溶性溶剤としては、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール等のポリオール類が挙げられる。
【0058】
消泡剤としてはシリコーンオイル、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール共重合体等が挙げられる。
【0059】
殺菌剤としては、例えば、チアゾリン類、ヒダントイン類や、ヨード－２－プロピニルブチルカーバメイト、イソプロピルメチルフェノール、ヘキサクロロフェン、イルガサン、トリクロサン等が挙げられる。
【0060】
酸化剤としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム等の次亜塩素酸塩、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム等の亜塩素酸塩、塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウム等の塩素酸塩、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等の過塩素酸塩、塩素化イソシアヌル酸ナトリウム、塩素化イソシアヌル酸カリウム等の塩素化イソシアヌル酸塩、二酸化塩素、過酸化水素等が挙げられる。
【0061】
粘稠剤としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸等の高分子ポリカルボン酸のアルカリ中和塩等が挙げられる。
【0062】
香料としては、例えば、天然香料、合成香料、これらの調合香料等が挙げられる。また、色素としては、例えば、天然色素、合成色素、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0063】
上述する本発明の洗浄剤組成物は、洗浄性、泡保持性、すすぎ性、除菌性、希釈安定性、貯蔵安定性、金属腐食防止性に関し、バランスよく優れた効果を発揮し得る。そのため、本発明の洗浄剤組成物は汎用性が広いが、例えば、食品等の向上における壁面や装置表面等の硬質表面の発泡洗浄用の洗浄剤として好適である。
【実施例0064】
以下、本発明を実施例と比較例により具体的に説明する。実施例、比較例の洗浄剤組成物において配合に用いた各成分を表１～１０に示す。尚、表１～１０に示す配合量に関する数値は、アルカリ性洗浄剤組成物に対する各成分の純分の割合（質量％）である。
尚、以下の実施例等において「％」は特に記載がない限り質量％を表し、表中における実施例及び比較例の配合の数値は純分の質量％を表す。実施例、比較例において使用した化合物を以下に記す。また、アルキル基の表記について、例えば、アルキル（Ｃ８～１８）と表記されている場合、炭素数８以上、１８以下のアルキル基を有する混合物を表す。
尚、表中における（Ｂ）成分の配合量は、（Ｂ）成分として含まれる分岐脂肪酸塩を分岐脂肪酸として換算した量より求めた値であり、同様に、表中における（Ｇ）成分の配合量は、（Ｇ）成分として含まれる脂肪酸塩を脂肪酸として換算した量より求めた値である。
尚、以下の実施例等において「％」は特に記載がない限り質量％を表し、表中における実施例及び比較例の配合の数値は純分の質量％を表す。実施例、比較例において使用した化合物を以下に記す。また、アルキル基の表記について、例えば、アルキル（Ｃ８～１８）と表記されている場合、炭素数８以上、１８以下のアルキル基を有する混合物を表す。
尚、表中における（Ｂ）成分の配合量は、（Ｂ）成分として含まれる分岐脂肪酸塩を分岐脂肪酸として換算した量より求めた値であり、同様に、表中における（Ｇ）成分の配合量は、（Ｇ）成分として含まれる脂肪酸塩を脂肪酸として換算した量より求めた値である。
【0065】
（Ａ）成分
Ａ－１：テトラデシルジメチルアミンオキシド
Ａ－２：ドデシルジメチルアミンオキシド
Ａ－３：オクチルジメチルアミンオキシド
Ａ－１：テトラデシルジメチルアミンオキシド
Ａ－２：ドデシルジメチルアミンオキシド
Ａ－３：オクチルジメチルアミンオキシド
【0066】
（Ｂ）成分
Ｂ－１：イソパルミチン酸カリウム（日産化学株式会社製 イソパルミチン酸ＫＳを中和したもの）
Ｂ－２：イソステアリン酸カリウム（日産化学株式会社製 イソステアリン酸Ｔを中和したもの）
Ｂ－３：イソアラキン酸カリウム（日産化学株式会社製 イソアラキン酸ＥＣを中和したもの）
Ｂ－４：イソステアリン酸カリウム（日産化学株式会社製 イソステアリン酸を中和したもの）
Ｂ－５：イソステアリン酸カリウム（高級アルコール工業株式会社製 イソステアリン酸ＥＸを中和したもの）
Ｂ－６：イソステアリン酸カリウム（クローダジャパン株式会社製 Ｐｒｉｓｏｒｉｎｅ３５０１を中和したもの）
Ｂ－７：イソステアリン酸カリウム（KRATON社製 ＣＥＮＴＵＲＹ１１０７を中和したもの）
Ｂ－１：イソパルミチン酸カリウム（日産化学株式会社製 イソパルミチン酸ＫＳを中和したもの）
Ｂ－２：イソステアリン酸カリウム（日産化学株式会社製 イソステアリン酸Ｔを中和したもの）
Ｂ－３：イソアラキン酸カリウム（日産化学株式会社製 イソアラキン酸ＥＣを中和したもの）
Ｂ－４：イソステアリン酸カリウム（日産化学株式会社製 イソステアリン酸を中和したもの）
Ｂ－５：イソステアリン酸カリウム（高級アルコール工業株式会社製 イソステアリン酸ＥＸを中和したもの）
Ｂ－６：イソステアリン酸カリウム（クローダジャパン株式会社製 Ｐｒｉｓｏｒｉｎｅ３５０１を中和したもの）
Ｂ－７：イソステアリン酸カリウム（KRATON社製 ＣＥＮＴＵＲＹ１１０７を中和したもの）
【0067】
（Ｃ）成分
Ｃ－１：モノエタノールアミン
Ｃ－２：モノイソプロパノールアミン
Ｃ－３：トリエタノールアミン
Ｃ－１：モノエタノールアミン
Ｃ－２：モノイソプロパノールアミン
Ｃ－３：トリエタノールアミン
【0068】
（Ｃ）成分の比較成分
Ｃ’－１：水酸化カリウム
Ｃ’－１：水酸化カリウム
【0069】
（Ｄ）成分
Ｄ－α１：ヘキサデシルトリメチルアンモニウムメトサルフェート
Ｄ－β１：アルキル（Ｃ１２～１８）ジメチルベンジルアンモニウムクロライド
Ｄ－β２：アルキル（Ｃ１２～１４）ジメチルヒドロキシルエチルアンモニウムクロライド
Ｄ－β３：ジデシルジメチルアンモニウムクロライド
尚、上記Ｄ－β１は、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライドであって、これに含まれるアルキル基の炭素数が１２～１８の化合物が混合されている。また上記Ｄ－β２は、アルキルジメチルヒドロキシルエチルアンモニウムクロライドであって、これに含まれるアルキル基の炭素数が１２～１４の化合物が混合されている。
Ｄ－α１：ヘキサデシルトリメチルアンモニウムメトサルフェート
Ｄ－β１：アルキル（Ｃ１２～１８）ジメチルベンジルアンモニウムクロライド
Ｄ－β２：アルキル（Ｃ１２～１４）ジメチルヒドロキシルエチルアンモニウムクロライド
Ｄ－β３：ジデシルジメチルアンモニウムクロライド
尚、上記Ｄ－β１は、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライドであって、これに含まれるアルキル基の炭素数が１２～１８の化合物が混合されている。また上記Ｄ－β２は、アルキルジメチルヒドロキシルエチルアンモニウムクロライドであって、これに含まれるアルキル基の炭素数が１２～１４の化合物が混合されている。
【0070】
（Ｅ）成分
Ｅ－１：イオン交換水
Ｅ－１：イオン交換水
【0071】
（Ｆ）成分
Ｆ－１：エチレンジアミン四酢酸ナトリウム
Ｆ－２：エチレンジアミン四酢酸カリウム
Ｆ－３：グルタミン酸二酢酸四ナトリウム
Ｆ－４：メチルグリシン二酢酸ナトリウム
Ｆ－１：エチレンジアミン四酢酸ナトリウム
Ｆ－２：エチレンジアミン四酢酸カリウム
Ｆ－３：グルタミン酸二酢酸四ナトリウム
Ｆ－４：メチルグリシン二酢酸ナトリウム
【0072】
（Ｇ）成分
Ｇ－１：ミリスチン酸カリウム（花王株式会社製 ルナックＭＹ－９８を中和したもの）
Ｇ－２：パルミチン酸カリウム（花王株式会社製 ルナックＰ－９５を中和したもの）
Ｇ－３：ラウリン酸カリウム（花王株式会社製 ルナックＬ－９８を中和したもの）
Ｇ－１：ミリスチン酸カリウム（花王株式会社製 ルナックＭＹ－９８を中和したもの）
Ｇ－２：パルミチン酸カリウム（花王株式会社製 ルナックＰ－９５を中和したもの）
Ｇ－３：ラウリン酸カリウム（花王株式会社製 ルナックＬ－９８を中和したもの）
【0073】
（Ｈ）成分
Ｈ－１：キシレンスルホン酸ナトリウム
Ｈ－２：クメンスルホン酸ナトリウム
Ｈ－１：キシレンスルホン酸ナトリウム
Ｈ－２：クメンスルホン酸ナトリウム
【0074】
※１：ｐＨの測定方法
＜ｐＨメーターの校正＞
ｐＨメーター（ＨＯＲＩＢＡ製；ｐＨ／イオンメーター Ｆ－２３）にｐＨ測定用複合電極（ＨＯＲＩＢＡ製；ガラスすり合わせスリーブ型）を接続し、電源を入れた。ｐＨ電極内部液としては、飽和塩化カリウム水溶液（３．３３ｍｏｌ／Ｌ）を使用した。次に、ｐＨ４．０１標準液（フタル酸塩標準液）、ｐＨ６．８６標準液（中性リン酸塩標準液）、ｐＨ９．１８標準液（ホウ酸塩標準液）をそれぞれ１００ｍＬビーカーに充填し、２５℃の恒温槽に３０分間浸漬した。恒温に調整された標準液にｐＨ測定用電極を３分間浸し、ｐＨ６．８６、ｐＨ９．１８、ｐＨ４．０１の順に校正操作を行った。
＜ｐＨ測定＞
恒温槽内にて２５℃の恒温に調整された各洗浄剤組成物１００ｍＬにｐＨ測定用電極を３分間浸し、ｐＨを測定した。
＜ｐＨメーターの校正＞
ｐＨメーター（ＨＯＲＩＢＡ製；ｐＨ／イオンメーター Ｆ－２３）にｐＨ測定用複合電極（ＨＯＲＩＢＡ製；ガラスすり合わせスリーブ型）を接続し、電源を入れた。ｐＨ電極内部液としては、飽和塩化カリウム水溶液（３．３３ｍｏｌ／Ｌ）を使用した。次に、ｐＨ４．０１標準液（フタル酸塩標準液）、ｐＨ６．８６標準液（中性リン酸塩標準液）、ｐＨ９．１８標準液（ホウ酸塩標準液）をそれぞれ１００ｍＬビーカーに充填し、２５℃の恒温槽に３０分間浸漬した。恒温に調整された標準液にｐＨ測定用電極を３分間浸し、ｐＨ６．８６、ｐＨ９．１８、ｐＨ４．０１の順に校正操作を行った。
＜ｐＨ測定＞
恒温槽内にて２５℃の恒温に調整された各洗浄剤組成物１００ｍＬにｐＨ測定用電極を３分間浸し、ｐＨを測定した。
【0075】
※２：洗浄性試験
＜試験方法＞
ステンレス片［ステンレス（ＳＵＳ３０４）、縦７０ｍｍ×横６０ｍｍ×厚さ１ｍｍ］にモデル汚れ（牛脂と大豆油とを体積比１：１で混合した油脂２０ｇ、モノオレイン酸グリセリンエステル０．２５ｇ及びオレイン酸レッド０．１ｇをクロロホルム６０ｍＬに均一溶解して調製したもの）を塗布し、２５℃、２時間乾燥したものを試験片とした。尚、モデル汚れを付する前のステンレス片の重量（Ｗ１）及びモデル汚れを付した後のステンレス片の重量（Ｗ２）を測定した。この試験片を炭酸カルシウム換算で７５ｍｇ／Ｌ［ドイツ硬度４．２°ＤＨ］の硬水で、各洗浄剤組成物を５質量％に希釈して調製した洗浄液２００ｍＬを、ＤＥＭＡ社製９１０ＰＯＲＴＡＢＬＥ ＦＯＡＭＥＲを用いて、比重０．１５ｇ／立方センチメートルの泡状に発泡させた後、垂直面に立て掛けた試験片の範囲に１０秒間噴射し、５分間放置した。その後、イオン交換水で１５秒間すすぎ、自然乾燥させた後、サンプルの重量（Ｗ３）を測定した。モデル汚れの洗浄率を洗浄前後の試験片の重量変化に関し、下記数式（１）より算出し、以下の評価基準で評価した。
［数１］
洗浄率（％）＝［（Ｗ２－Ｗ１）－（Ｗ３－Ｗ１）］÷（Ｗ２－Ｗ１）×１００ （１）
＜評価基準＞
◎：洗浄率８０％以上
○：洗浄率６０％以上、８０％未満
△：洗浄率４０％以上、６０％未満
×：洗浄率４０％未満
上述の評価において、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
＜試験方法＞
ステンレス片［ステンレス（ＳＵＳ３０４）、縦７０ｍｍ×横６０ｍｍ×厚さ１ｍｍ］にモデル汚れ（牛脂と大豆油とを体積比１：１で混合した油脂２０ｇ、モノオレイン酸グリセリンエステル０．２５ｇ及びオレイン酸レッド０．１ｇをクロロホルム６０ｍＬに均一溶解して調製したもの）を塗布し、２５℃、２時間乾燥したものを試験片とした。尚、モデル汚れを付する前のステンレス片の重量（Ｗ１）及びモデル汚れを付した後のステンレス片の重量（Ｗ２）を測定した。この試験片を炭酸カルシウム換算で７５ｍｇ／Ｌ［ドイツ硬度４．２°ＤＨ］の硬水で、各洗浄剤組成物を５質量％に希釈して調製した洗浄液２００ｍＬを、ＤＥＭＡ社製９１０ＰＯＲＴＡＢＬＥ ＦＯＡＭＥＲを用いて、比重０．１５ｇ／立方センチメートルの泡状に発泡させた後、垂直面に立て掛けた試験片の範囲に１０秒間噴射し、５分間放置した。その後、イオン交換水で１５秒間すすぎ、自然乾燥させた後、サンプルの重量（Ｗ３）を測定した。モデル汚れの洗浄率を洗浄前後の試験片の重量変化に関し、下記数式（１）より算出し、以下の評価基準で評価した。
［数１］
洗浄率（％）＝［（Ｗ２－Ｗ１）－（Ｗ３－Ｗ１）］÷（Ｗ２－Ｗ１）×１００ （１）
＜評価基準＞
◎：洗浄率８０％以上
○：洗浄率６０％以上、８０％未満
△：洗浄率４０％以上、６０％未満
×：洗浄率４０％未満
上述の評価において、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0076】
※３：垂直面の泡保持性試験
＜試験方法＞
炭酸カルシウム換算で７５ｍｇ／Ｌ［ドイツ硬度４．２°ＤＨ］の硬水で、各洗浄剤組成物を２０℃で３質量％に希釈して調製した洗浄液を、ＤＥＭＡ社製９１０ＰＯＲＴＡＢＬＥＦＯＡＭＥＲを用いて、比重０．１５ｇ／立方センチメートルの泡状に発泡させた。そして上述のとおり発泡させた泡状の各洗浄液５００ｇを、ステンレス板［ステンレス（ＳＵＳ３０４）］の垂直面に対し、縦１ｍ、横１ｍの範囲に対し２ｃｍ以下の泡の厚みとなるように吹付け、３分経過後、垂直面における泡の付着具合を目視により観察し、吹付範囲（縦１ｍ、横１ｍ）を１００％とした場合の、泡が残っている面積の比率を、下記評価基準に基づき評価した。
＜評価基準＞
◎：泡の保持面積の比率が８０％以上
○：泡の保持面積の比率が６５％以上、８０％未満
△：泡の保持面積の比率が５０％以上、６５％未満
×：泡の保持面積の比率が５０％未満
上述の評価において、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
＜試験方法＞
炭酸カルシウム換算で７５ｍｇ／Ｌ［ドイツ硬度４．２°ＤＨ］の硬水で、各洗浄剤組成物を２０℃で３質量％に希釈して調製した洗浄液を、ＤＥＭＡ社製９１０ＰＯＲＴＡＢＬＥＦＯＡＭＥＲを用いて、比重０．１５ｇ／立方センチメートルの泡状に発泡させた。そして上述のとおり発泡させた泡状の各洗浄液５００ｇを、ステンレス板［ステンレス（ＳＵＳ３０４）］の垂直面に対し、縦１ｍ、横１ｍの範囲に対し２ｃｍ以下の泡の厚みとなるように吹付け、３分経過後、垂直面における泡の付着具合を目視により観察し、吹付範囲（縦１ｍ、横１ｍ）を１００％とした場合の、泡が残っている面積の比率を、下記評価基準に基づき評価した。
＜評価基準＞
◎：泡の保持面積の比率が８０％以上
○：泡の保持面積の比率が６５％以上、８０％未満
△：泡の保持面積の比率が５０％以上、６５％未満
×：泡の保持面積の比率が５０％未満
上述の評価において、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0077】
※４：すすぎ性試験（すすぎ時の泡切れ性評価試験）
＜試験方法＞
炭酸カルシウム換算で７５ｍｇ／Ｌ［ドイツ硬度４．２°ＤＨ］の硬水で、各洗浄剤組成物を２０℃で３質量％に希釈して調製した洗浄液を、ＤＥＭＡ社製９１０ＰＯＲＴＡＢＬＥ ＦＯＡＭＥＲを用いて、比重０．１５ｇ／立方センチメートルの泡状に発泡させた後、ステンレス製ボックス［ステンレス（ＳＵＳ３０４）］の内側底面（縦５００ｍｍ、横幅７００ｍｍ）に対し１０秒間噴霧した。噴霧終了から一分経過後、シャワーノズルを用いて炭酸カルシウム換算で７５ｍｇ／Ｌ［ドイツ硬度４．２°ＤＨ］の硬水を上記内側底面全体に対し散水し、泡が消えるまですすいだ。そしてこの散水時間（すすぎ時間）を、下記評価基準に基づき評価した。
＜評価基準＞
◎：２４０秒未満
○：２４０秒以上、３６０秒未満
△：３６０秒以上、４８０秒未満
×：４８０秒以上
上述の評価において、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
＜試験方法＞
炭酸カルシウム換算で７５ｍｇ／Ｌ［ドイツ硬度４．２°ＤＨ］の硬水で、各洗浄剤組成物を２０℃で３質量％に希釈して調製した洗浄液を、ＤＥＭＡ社製９１０ＰＯＲＴＡＢＬＥ ＦＯＡＭＥＲを用いて、比重０．１５ｇ／立方センチメートルの泡状に発泡させた後、ステンレス製ボックス［ステンレス（ＳＵＳ３０４）］の内側底面（縦５００ｍｍ、横幅７００ｍｍ）に対し１０秒間噴霧した。噴霧終了から一分経過後、シャワーノズルを用いて炭酸カルシウム換算で７５ｍｇ／Ｌ［ドイツ硬度４．２°ＤＨ］の硬水を上記内側底面全体に対し散水し、泡が消えるまですすいだ。そしてこの散水時間（すすぎ時間）を、下記評価基準に基づき評価した。
＜評価基準＞
◎：２４０秒未満
○：２４０秒以上、３６０秒未満
△：３６０秒以上、４８０秒未満
×：４８０秒以上
上述の評価において、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0078】
※５：除菌性試験（大腸菌、イオン交換水）
＜供試菌＞
供試菌として、大腸菌（Ｅｓｃｈｅｒｉｃｈｉａ ｃｏｌｉ ＮＢＲＣ３９７２）を用いた。供試菌をＳＣＤ寒天培地（栄研化学株式会社製）に塗抹し、３７℃で２４時間培養後、コロニーを掻き取り、滅菌リン酸緩衝生理食塩水に希釈したものを菌懸濁液として用いた。
＜試験方法＞
イオン交換水で３質量％に希釈した各洗浄剤組成物１０ｍＬ中に終濃度１０７～１０８（ｃｆｕ／ｍＬ）となるよう菌懸濁液０．１ｍＬを加え、よく混合した後１分間もしくは５分間接触させ混合液を得た。続いて、その混合液０．１ｍＬを１０ｍＬのＳＣＤＬＰ液体培地（栄研化学株式会社製）中に加え、よく混合し３７℃で４８時間培養後、下記評価基準に基づき除菌性を評価した。培地の濁りの有無は目視で判定した。
＜評価基準＞
○：１分間及び５分間の接触の両方で培地が濁っていない。
△：１分間及び５分間の接触の何れかで培地が濁っている。
×：１分間及び５分間の接触の両方で培地が濁っている。
上述の評価において、△、○を実用性のあるものとして判定した。
＜供試菌＞
供試菌として、大腸菌（Ｅｓｃｈｅｒｉｃｈｉａ ｃｏｌｉ ＮＢＲＣ３９７２）を用いた。供試菌をＳＣＤ寒天培地（栄研化学株式会社製）に塗抹し、３７℃で２４時間培養後、コロニーを掻き取り、滅菌リン酸緩衝生理食塩水に希釈したものを菌懸濁液として用いた。
＜試験方法＞
イオン交換水で３質量％に希釈した各洗浄剤組成物１０ｍＬ中に終濃度１０７～１０８（ｃｆｕ／ｍＬ）となるよう菌懸濁液０．１ｍＬを加え、よく混合した後１分間もしくは５分間接触させ混合液を得た。続いて、その混合液０．１ｍＬを１０ｍＬのＳＣＤＬＰ液体培地（栄研化学株式会社製）中に加え、よく混合し３７℃で４８時間培養後、下記評価基準に基づき除菌性を評価した。培地の濁りの有無は目視で判定した。
＜評価基準＞
○：１分間及び５分間の接触の両方で培地が濁っていない。
△：１分間及び５分間の接触の何れかで培地が濁っている。
×：１分間及び５分間の接触の両方で培地が濁っている。
上述の評価において、△、○を実用性のあるものとして判定した。
【0079】
※６：除菌性試験 （大腸菌、人工硬水）
＜供試菌＞
供試菌として、大腸菌（Ｅｓｃｈｅｒｉｃｈｉａ ｃｏｌｉ ＮＢＲＣ３９７２）を用いた。供試菌をＳＣＤ寒天培地（栄研化学株式会社製）に塗抹し、３７℃で２４時間培養後、コロニーを掻き取り、滅菌リン酸緩衝生理食塩水に希釈したものを菌懸濁液として用いた。
＜試験方法＞
炭酸カルシウム換算で７５ｍｇ／Ｌ［ドイツ硬度４．２°ＤＨ］の硬水で３質量％に希釈した各洗浄剤組成物１０ｍＬ中に終濃度１０７～１０８（ｃｆｕ／ｍＬ）となるよう菌懸濁液０．１ｍＬを加え、よく混合した後１分間もしくは５分間接触させて混合液を得た。続いて、その混合液０．１ｍＬを１０ｍｌのＳＣＤＬＰ液体培地（栄研化学株式会社製）中に加え、よく混合し３７℃で４８時間培養後、下記評価基準に基づき除菌性を評価した。培地の濁りの有無は目視で判定した。
＜評価基準＞
○：１分間及び５分間の接触の両方で培地が濁っていない。
△：１分間及び５分間の接触の何れかで培地が濁っている。
×：１分間及び５分間の接触の両方で培地が濁っている。
上述の評価において、△、○を実用性のあるものとして判定した。
＜供試菌＞
供試菌として、大腸菌（Ｅｓｃｈｅｒｉｃｈｉａ ｃｏｌｉ ＮＢＲＣ３９７２）を用いた。供試菌をＳＣＤ寒天培地（栄研化学株式会社製）に塗抹し、３７℃で２４時間培養後、コロニーを掻き取り、滅菌リン酸緩衝生理食塩水に希釈したものを菌懸濁液として用いた。
＜試験方法＞
炭酸カルシウム換算で７５ｍｇ／Ｌ［ドイツ硬度４．２°ＤＨ］の硬水で３質量％に希釈した各洗浄剤組成物１０ｍＬ中に終濃度１０７～１０８（ｃｆｕ／ｍＬ）となるよう菌懸濁液０．１ｍＬを加え、よく混合した後１分間もしくは５分間接触させて混合液を得た。続いて、その混合液０．１ｍＬを１０ｍｌのＳＣＤＬＰ液体培地（栄研化学株式会社製）中に加え、よく混合し３７℃で４８時間培養後、下記評価基準に基づき除菌性を評価した。培地の濁りの有無は目視で判定した。
＜評価基準＞
○：１分間及び５分間の接触の両方で培地が濁っていない。
△：１分間及び５分間の接触の何れかで培地が濁っている。
×：１分間及び５分間の接触の両方で培地が濁っている。
上述の評価において、△、○を実用性のあるものとして判定した。
【0080】
※７：除菌性試験（大腸菌、汚れあり）
＜供試菌＞
供試菌として、大腸菌（Ｅｓｃｈｅｒｉｃｈｉａ ｃｏｌｉ ＮＢＲＣ３９７２）を用いた。供試菌をＳＣＤ寒天培地（栄研化学株式会社製）に塗抹し、３７℃で２４時間培養後、コロニーを掻き取り、汚れとして酵母エキス（塩谷エムエス社製、製品名「粉末酵母エキスＤ-３Ｈ」）を２質量％含有した滅菌リン酸緩衝生理食塩水に希釈したものを菌懸濁液として用いた。
＜滅菌中和液の調整＞
大豆レシチンを１０ｇ、Ｔｗｅｅｎ８０を３０ｇ、Ｌ－ヒスチジンを１ｇ、チオ硫酸ナトリウムを２０ｇ、１Ｌの蒸留水に加温溶解し、攪拌しながら冷却を行った。その後、スクリューキャップ付き試験管に各９ｍＬ分注し、高圧殺菌（１２１℃、２０分間）を行い、滅菌中和溶液とした。
＜試験方法＞
イオン交換水で３質量％に希釈した各洗浄剤組成物１０ｍＬ中に、終濃度１．５×１０７（ｃｆｕ／ｍＬ）～５．０×１０７（ｃｆｕ／ｍＬ）となるように菌縣濁液０．１ｍＬを加え、２５℃にて５分間保持したものを試験液とした。この各試験液１ｍＬを、滅菌中和溶液９ｍＬに加え、よく攪拌して混合液を得た。続いて、その混合液１ｍＬをＳＣＤ寒天培地にて混和固化後、３７℃で２日間培養した。培養後、生菌数を測定し、初発菌数との差より、下記評価基準に基づき除菌性を評価した。
＜評価基準＞
○：供試菌のＬｏｇ ｒｅｄｕｃｔｉｏｎが３以上
△：供試菌のＬｏｇ ｒｅｄｕｃｔｉｏｎが１以上、３未満
×：供試菌のＬｏｇ ｒｅｄｕｃｔｉｏｎが１未満
上述の評価において、△、○の評価のものを実用性のあるものとして判定した。
＜供試菌＞
供試菌として、大腸菌（Ｅｓｃｈｅｒｉｃｈｉａ ｃｏｌｉ ＮＢＲＣ３９７２）を用いた。供試菌をＳＣＤ寒天培地（栄研化学株式会社製）に塗抹し、３７℃で２４時間培養後、コロニーを掻き取り、汚れとして酵母エキス（塩谷エムエス社製、製品名「粉末酵母エキスＤ-３Ｈ」）を２質量％含有した滅菌リン酸緩衝生理食塩水に希釈したものを菌懸濁液として用いた。
＜滅菌中和液の調整＞
大豆レシチンを１０ｇ、Ｔｗｅｅｎ８０を３０ｇ、Ｌ－ヒスチジンを１ｇ、チオ硫酸ナトリウムを２０ｇ、１Ｌの蒸留水に加温溶解し、攪拌しながら冷却を行った。その後、スクリューキャップ付き試験管に各９ｍＬ分注し、高圧殺菌（１２１℃、２０分間）を行い、滅菌中和溶液とした。
＜試験方法＞
イオン交換水で３質量％に希釈した各洗浄剤組成物１０ｍＬ中に、終濃度１．５×１０７（ｃｆｕ／ｍＬ）～５．０×１０７（ｃｆｕ／ｍＬ）となるように菌縣濁液０．１ｍＬを加え、２５℃にて５分間保持したものを試験液とした。この各試験液１ｍＬを、滅菌中和溶液９ｍＬに加え、よく攪拌して混合液を得た。続いて、その混合液１ｍＬをＳＣＤ寒天培地にて混和固化後、３７℃で２日間培養した。培養後、生菌数を測定し、初発菌数との差より、下記評価基準に基づき除菌性を評価した。
＜評価基準＞
○：供試菌のＬｏｇ ｒｅｄｕｃｔｉｏｎが３以上
△：供試菌のＬｏｇ ｒｅｄｕｃｔｉｏｎが１以上、３未満
×：供試菌のＬｏｇ ｒｅｄｕｃｔｉｏｎが１未満
上述の評価において、△、○の評価のものを実用性のあるものとして判定した。
【0081】
※８：希釈した洗浄液の安定性試験
＜試験方法＞
各洗浄剤組成物を炭酸カルシウム換算で７５ｍｇ／Ｌ［ドイツ硬度４．２°ＤＨ］の硬水で３質量％に希釈して調製した洗浄液を作製し、作製から１５分以内に当該洗浄液に濁りが生じるか目視で観察し、下記評価基準に基づき評価した。
＜評価基準＞
◎：濁りが生じていない
○：わずかに濁りが生じている
△：やや濁りが生じているが、使用上問題ないレベルである
×：顕著な濁りが生じている
上述の評価において、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
＜試験方法＞
各洗浄剤組成物を炭酸カルシウム換算で７５ｍｇ／Ｌ［ドイツ硬度４．２°ＤＨ］の硬水で３質量％に希釈して調製した洗浄液を作製し、作製から１５分以内に当該洗浄液に濁りが生じるか目視で観察し、下記評価基準に基づき評価した。
＜評価基準＞
◎：濁りが生じていない
○：わずかに濁りが生じている
△：やや濁りが生じているが、使用上問題ないレベルである
×：顕著な濁りが生じている
上述の評価において、△、○、◎を実用性のあるものとして判定した。
【0082】
※９：貯蔵安定性試験
＜試験方法＞
２５０ｍＬの透明ポリプロピレン製容器に各洗浄剤組成物を２００ｍＬとり、蓋をして－５℃、２５℃、４０℃の恒温槽に保管し静置した。１ヶ月後、外観を観察し、下記評価基準に基づき評価した。
＜評価基準＞
○：析出物や濁りが見られず安定である。
△：析出物や濁りが若干見られる。
×：析出物又は濁りが顕著に見られる。
上述の評価において、△、○を実用性のあるものとして判定した。
＜試験方法＞
２５０ｍＬの透明ポリプロピレン製容器に各洗浄剤組成物を２００ｍＬとり、蓋をして－５℃、２５℃、４０℃の恒温槽に保管し静置した。１ヶ月後、外観を観察し、下記評価基準に基づき評価した。
＜評価基準＞
○：析出物や濁りが見られず安定である。
△：析出物や濁りが若干見られる。
×：析出物又は濁りが顕著に見られる。
上述の評価において、△、○を実用性のあるものとして判定した。
【0083】
※１０：金属腐食防止性試験（アルミニウム）
＜試験方法＞
試験片として、アルミニウム（Ａ１１００Ｐ）［縦５０ｍｍ×横３０ｍｍ×厚さ１ｍｍ］を予め中性洗剤で洗浄しアセトン処理して乾燥させたものを準備し、重量を測定した（Ｗ１）。炭酸カルシウム換算で、７５ｍｇ／Ｌ［ドイツ硬度４．２°ＤＨ］の硬水で各洗浄剤組成物を５質量％に希釈して調製した洗浄液１００ｍＬを、１００ｍＬ容量のポリプロピレン容器に入れ、その中に試験片を浸漬し、２５℃の恒温器内で１時間保存した。保存終了後、試験片を取り出し、所定量のイオン交換水にてすすぎ、乾燥させて、重量を測定した（Ｗ２）。１時間、１ｍ２あたりの重量損失（ｇ）から腐食率（ｇ／ｍ2ｈ）を下記数式（２）より算出し、下記評価基準に基づき評価した。尚、式中、０．００３１６は、アルミニウム試験片［縦５０ｍｍ×横３０ｍｍ×厚さ１ｍｍ］の表面積を足し合わせ、ｍ２に換算した値である。
［数２］
腐食率（ｇ／ｍ2ｈ）＝［（Ｗ１－Ｗ２）］÷０．００３１６ （２）
＜評価基準＞
○：０ｇ／ｍ2ｈ以上、０．３ｇ／ｍ2ｈ未満
△：０．３ｇ／ｍ2ｈ以上、０．５ｇ／ｍ2ｈ未満
×：０．５ｇ／ｍ2ｈ以上
上述の評価において、△、○を実用性のあるものとして判定した。
＜試験方法＞
試験片として、アルミニウム（Ａ１１００Ｐ）［縦５０ｍｍ×横３０ｍｍ×厚さ１ｍｍ］を予め中性洗剤で洗浄しアセトン処理して乾燥させたものを準備し、重量を測定した（Ｗ１）。炭酸カルシウム換算で、７５ｍｇ／Ｌ［ドイツ硬度４．２°ＤＨ］の硬水で各洗浄剤組成物を５質量％に希釈して調製した洗浄液１００ｍＬを、１００ｍＬ容量のポリプロピレン容器に入れ、その中に試験片を浸漬し、２５℃の恒温器内で１時間保存した。保存終了後、試験片を取り出し、所定量のイオン交換水にてすすぎ、乾燥させて、重量を測定した（Ｗ２）。１時間、１ｍ２あたりの重量損失（ｇ）から腐食率（ｇ／ｍ2ｈ）を下記数式（２）より算出し、下記評価基準に基づき評価した。尚、式中、０．００３１６は、アルミニウム試験片［縦５０ｍｍ×横３０ｍｍ×厚さ１ｍｍ］の表面積を足し合わせ、ｍ２に換算した値である。
［数２］
腐食率（ｇ／ｍ2ｈ）＝［（Ｗ１－Ｗ２）］÷０．００３１６ （２）
＜評価基準＞
○：０ｇ／ｍ2ｈ以上、０．３ｇ／ｍ2ｈ未満
△：０．３ｇ／ｍ2ｈ以上、０．５ｇ／ｍ2ｈ未満
×：０．５ｇ／ｍ2ｈ以上
上述の評価において、△、○を実用性のあるものとして判定した。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
【表4】
【0088】
【表5】
【0089】
【表6】
【0090】
【表7】
【0091】
【表8】
【0092】
【表9】
【0093】
【表10】
【0094】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
（１）（Ａ）成分としてアミンオキシド、（Ｂ）成分として総炭素数１２以上、２４以下の分岐脂肪酸及び／又はその塩、（Ｃ）成分としてアルカリ剤、（Ｄ－α）成分としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、（Ｅ）成分として水を含有することを特徴とするアルカリ性洗浄剤組成物。
（２）（Ｄ－β）成分として、前記（Ｄ－α）成分以外のカチオン界面活性剤を更に含有し、かつ、前記アルカリ性洗浄剤組成物に含有される前記（Ｄ－α）の質量と、前記アルカリ性洗浄剤組成物に含有される前記（Ｄ－β）の質量との質量比（Ｄ－α）／（Ｄ－β）の値が、０．０１以上、５６以下である上記（１）に記載のアルカリ性洗浄剤組成物。
（３）前記アルカリ性洗浄剤組成物に含有される全カチオン界面活性剤である（Ｄ）成分の質量と、前記アルカリ性洗浄剤組成物に含有される全ての脂肪酸である総脂肪酸の質量との質量比（総脂肪酸）／（（Ｄ）成分）の値が、０．００２以上、１．６以下である上記（１）又は（２）に記載のアルカリ性洗浄剤組成物。
（４）（Ｂ）成分が、イソパルミチン酸及び／又はその塩、イソステアリン酸及び／又はその塩、イソアラキン酸及び／又はその塩からなる群から選択された何れか１種又はこれらの組み合わせを含有する上記（１）～（３）のいずれか一項に記載のアルカリ性洗浄剤組成物。
（５）（Ａ）成分のアミンオキシドが、ドデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド、オクチルジメチルアミンオキシドからなる群から選択された何れか１種又はこれらの組み合わせを含有する上記（１）～（４）のいずれか一項に記載のアルカリ性洗浄剤組成物。
（６）（Ｆ）成分として、キレート剤を含有する（１）～（５）のいずれか一項に記載のアルカリ性洗浄剤組成物。
（７）（Ｇ）成分として、総炭素数１２以上、１８以下の直鎖脂肪酸及び／又はその塩を含有する上記（１）～（６）のいずれか一項に記載のアルカリ性洗浄剤組成物。
（８）（Ｈ）成分として、芳香族スルホン酸又はその塩を含有する（１）～（７）のいずれか一項に記載のアルカリ性洗浄剤組成物。
（９）硬質表面の発泡洗浄用である上記（１）～（８）のいずれか一項に記載のアルカリ性洗浄剤組成物。
（１）（Ａ）成分としてアミンオキシド、（Ｂ）成分として総炭素数１２以上、２４以下の分岐脂肪酸及び／又はその塩、（Ｃ）成分としてアルカリ剤、（Ｄ－α）成分としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、（Ｅ）成分として水を含有することを特徴とするアルカリ性洗浄剤組成物。
（２）（Ｄ－β）成分として、前記（Ｄ－α）成分以外のカチオン界面活性剤を更に含有し、かつ、前記アルカリ性洗浄剤組成物に含有される前記（Ｄ－α）の質量と、前記アルカリ性洗浄剤組成物に含有される前記（Ｄ－β）の質量との質量比（Ｄ－α）／（Ｄ－β）の値が、０．０１以上、５６以下である上記（１）に記載のアルカリ性洗浄剤組成物。
（３）前記アルカリ性洗浄剤組成物に含有される全カチオン界面活性剤である（Ｄ）成分の質量と、前記アルカリ性洗浄剤組成物に含有される全ての脂肪酸である総脂肪酸の質量との質量比（総脂肪酸）／（（Ｄ）成分）の値が、０．００２以上、１．６以下である上記（１）又は（２）に記載のアルカリ性洗浄剤組成物。
（４）（Ｂ）成分が、イソパルミチン酸及び／又はその塩、イソステアリン酸及び／又はその塩、イソアラキン酸及び／又はその塩からなる群から選択された何れか１種又はこれらの組み合わせを含有する上記（１）～（３）のいずれか一項に記載のアルカリ性洗浄剤組成物。
（５）（Ａ）成分のアミンオキシドが、ドデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド、オクチルジメチルアミンオキシドからなる群から選択された何れか１種又はこれらの組み合わせを含有する上記（１）～（４）のいずれか一項に記載のアルカリ性洗浄剤組成物。
（６）（Ｆ）成分として、キレート剤を含有する（１）～（５）のいずれか一項に記載のアルカリ性洗浄剤組成物。
（７）（Ｇ）成分として、総炭素数１２以上、１８以下の直鎖脂肪酸及び／又はその塩を含有する上記（１）～（６）のいずれか一項に記載のアルカリ性洗浄剤組成物。
（８）（Ｈ）成分として、芳香族スルホン酸又はその塩を含有する（１）～（７）のいずれか一項に記載のアルカリ性洗浄剤組成物。
（９）硬質表面の発泡洗浄用である上記（１）～（８）のいずれか一項に記載のアルカリ性洗浄剤組成物。