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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144256
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】電力ケーブル用終端接続部
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/064 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H02G15/064
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024045226
(22)【出願日】2024-03-21
(31)【優先権主張番号】P 2023051637
(32)【優先日】2023-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】吉田 敬祐
(72)【発明者】
【氏名】茂森 直登
【テーマコード(参考)】
5G375
【Fターム(参考)】
5G375AA02
5G375BA21
5G375BA22
5G375BA23
5G375CB10
5G375CB38
5G375DA32
5G375DA34
(57)【要約】
【課題】碍管内に混入した異物を捕捉することが可能な電力ケーブル用終端接続部を実現する。
【解決手段】電力ケーブル10と、電力ケーブル10の所定箇所に装着されたストレスコーン16と、ストレスコーン16とともに電力ケーブル10の一端側を内部に収容する縦置き型の碍管20と、碍管20の下端部を塞ぐ底板体40と、碍管20の上端部を塞ぐ蓋体30と、碍管20の内部に充填された絶縁流体23とを備えた電力ケーブル用終端接続部100において、碍管20内に絶縁流体23中の異物を捕捉するための捕捉体70を配設するようにした。捕捉体70にはメッシュ状部材や多孔質部材を用いることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力ケーブルと、
前記電力ケーブルの所定箇所に装着されたストレスコーンと、
前記ストレスコーンとともに前記電力ケーブルの一端側を内部に収容する縦置き型の碍管と、
前記碍管の下端部を塞ぐ底板体と、
前記碍管の上端部を塞ぐ蓋体と、
前記碍管の内部に充填された絶縁流体と、
を備えた電力ケーブル用終端接続部であって、
前記碍管内には、前記絶縁流体中の異物を捕捉するための捕捉体が配設されていることを特徴とする電力ケーブル用終端接続部。
【請求項2】
前記捕捉体は、メッシュ状部材からなることを特徴とする請求項1に記載の電力ケーブル用終端接続部。
【請求項3】
前記捕捉体は、前記メッシュ状部材が複数積層されてなることを特徴とする請求項2に記載の電力ケーブル用終端接続部。
【請求項4】
前記捕捉体は、前記底板体の上面に配設されており、前記複数のメッシュ状部材はそれぞれの網目をずらした配置で積層されていることを特徴とする請求項3に記載の電力ケーブル用終端接続部。
【請求項5】
前記捕捉体は、前記底板体の上面に配設されており、前記複数のメッシュ状部材は上層側に配置されたものの網目が下層側に配置されたものの網目より大きいことを特徴とする請求項3に記載の電力ケーブル用終端接続部。
【請求項6】
前記捕捉体は、前記底板体の上面に配設されており、前記複数のメッシュ状部材は網目が大きいものほど上層側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の電力ケーブル用終端接続部。
【請求項7】
前記捕捉体における最上層の前記メッシュ状部材の上に、その最上層のメッシュ状部材よりも網目が小さいメッシュ状部材をさらに設けたことを特徴とする請求項6に記載の電力ケーブル用終端接続部。
【請求項8】
前記捕捉体における最下層の前記メッシュ状部材の下に、その最下層のメッシュ状部材よりも網目が大きいメッシュ状部材をさらに設けたことを特徴とする請求項6に記載の電力ケーブル用終端接続部。
【請求項9】
前記捕捉体は、前記底板体の上面に配設された複数のメッシュ状部材を有しており、前記複数のメッシュ状部材は網目が大きいものほど前記碍管寄りに配置されていることを特徴とする請求項2に記載の電力ケーブル用終端接続部。
【請求項10】
前記捕捉体は、前記蓋体の下面に配設されており、前記複数のメッシュ状部材はそれぞれの網目をずらした配置で積層されていることを特徴とする請求項3に記載の電力ケーブル用終端接続部。
【請求項11】
前記捕捉体は、前記蓋体の下面に配設されており、前記複数のメッシュ状部材は下層側に配置されたものの網目が上層側に配置されたものの網目より大きいことを特徴とする請求項3に記載の電力ケーブル用終端接続部。
【請求項12】
前記捕捉体は、前記蓋体の下面に配設されており、前記複数のメッシュ状部材は網目が大きいものほど下層側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の電力ケーブル用終端接続部。
【請求項13】
前記捕捉体は、多孔質部材からなることを特徴とする請求項1に記載の電力ケーブル用終端接続部。
【請求項14】
前記捕捉体は、前記多孔質部材が複数積層されてなることを特徴とする請求項13に記載の電力ケーブル用終端接続部。
【請求項15】
前記捕捉体は、前記底板体の上面に配設されており、前記複数の多孔質部材は上層側に配置されたものの孔が下層側に配置されたものの孔より大きいことを特徴とする請求項14に記載の電力ケーブル用終端接続部。
【請求項16】
前記捕捉体は、前記底板体の上面に配設されており、前記複数の多孔質部材は孔が大きいものほど上層側に配置されていることを特徴とする請求項14に記載の電力ケーブル用終端接続部。
【請求項17】
前記捕捉体における最上層の前記多孔質部材の上に、その最上層の多孔質部材よりも孔が小さい多孔質部材をさらに設けたことを特徴とする請求項16に記載の電力ケーブル用終端接続部。
【請求項18】
前記捕捉体における最下層の前記多孔質部材の下に、その最下層の多孔質部材よりも孔が大きい多孔質部材をさらに設けたことを特徴とする請求項16に記載の電力ケーブル用終端接続部。
【請求項19】
前記捕捉体は、前記底板体の上面に配設された複数の多孔質部材を有しており、前記複数の多孔質部材は孔が大きいものほど前記碍管寄りに配置されていることを特徴とする請求項13に記載の電力ケーブル用終端接続部。
【請求項20】
前記捕捉体は、前記蓋体の下面に配設されており、前記複数の多孔質部材は下層側に配置されたものの孔が上層側に配置されたものの孔より大きいことを特徴とする請求項14に記載の電力ケーブル用終端接続部。
【請求項21】
前記捕捉体は、前記蓋体の下面に配設されており、前記複数の多孔質部材は孔が大きいものほど下層側に配置されていることを特徴とする請求項14に記載の電力ケーブル用終端接続部。
【請求項22】
前記碍管の上端部の外周側に配されるシールドリングを有しており、
前記捕捉体は、その少なくとも一部が前記シールドリングの下面よりも鉛直方向の上側となる位置に配設されていることを特徴とする請求項10又は11又は12又は20又は21に記載の電力ケーブル用終端接続部。
【請求項23】
前記碍管の上端部の外周側に配されるシールドリングを有しており、
前記捕捉体は、前記シールドリングの下面よりも鉛直方向の上側となる位置に配設されていることを特徴とする請求項10又は11又は12又は20又は21に記載の電力ケーブル用終端接続部。
【請求項24】
前記捕捉体は、前記電力ケーブルの周囲であって、その電力ケーブル寄りの位置に配設されていることを特徴とする請求項1~21のいずれか一項に記載の電力ケーブル用終端接続部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力ケーブル用終端接続部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力ケーブル用終端接続部は、電力ケーブルに電界緩和用ゴムユニット(ストレスコーン)が装着され、その周囲に絶縁油が充填された絶縁碍管が取り付けられた構造を有するものが一般的である(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-22402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の電界緩和用ゴムユニット(ストレスコーン)は、円筒状であり、その上部側が平坦になっている。上部側に平坦面があると、電力ケーブルに電界緩和用ゴムユニットを差し込む際の押圧面とすることができるため、電界緩和用ゴムユニットの装着が容易になる。これは、上部側の平坦面に板状の挿入冶具を当てることにより、電界緩和用ゴムユニットを電力ケーブルに押し込み易くなるからである。
そして、電力ケーブルに押し込まれた電界緩和用ゴムユニットは、ゴムの収縮力によって電力ケーブルに圧着し、長期的に安定した界面面圧が保持される。
【0005】
このような電力ケーブル用終端接続部が鉛直方向に立設される場合、碍管内に異物が混入していると、その異物が電界緩和用ゴムユニットに付着、堆積することがあり、それに伴い電界緩和用ゴムユニット付近の電界分布が変化してしまうことがある。
電界緩和用ゴムユニットと絶縁油と電力ケーブルの3点が接する箇所は絶縁破壊の起点となり易いことが知られており、電界緩和用ゴムユニットに異物が堆積して予想外の電界分布の変化が生じると、それが絶縁破壊の要因になりうることから、これを回避することが望ましい。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、碍管内に混入した異物を捕捉することが可能な電力ケーブル用終端接続部を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
電力ケーブルと、
前記電力ケーブルの所定箇所に装着されたストレスコーンと、
前記ストレスコーンとともに前記電力ケーブルの一端側を内部に収容する縦置き型の碍管と、
前記碍管の下端部を塞ぐ底板体と、
前記碍管の上端部を塞ぐ蓋体と、
前記碍管の内部に充填された絶縁流体と、
を備えた電力ケーブル用終端接続部であって、
前記碍管内には、前記絶縁流体中の異物を捕捉するための捕捉体が配設されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電力ケーブル用終端接続部において、
前記捕捉体は、メッシュ状部材からなることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電力ケーブル用終端接続部において、
前記捕捉体は、前記メッシュ状部材が複数積層されてなることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の電力ケーブル用終端接続部において、
前記捕捉体は、前記底板体の上面に配設されており、前記複数のメッシュ状部材はそれぞれの網目をずらした配置で積層されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の電力ケーブル用終端接続部において、
前記捕捉体は、前記底板体の上面に配設されており、前記複数のメッシュ状部材は上層側に配置されたものの網目が下層側に配置されたものの網目より大きいことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項3に記載の電力ケーブル用終端接続部において、
前記捕捉体は、前記底板体の上面に配設されており、前記複数のメッシュ状部材は網目が大きいものほど上層側に配置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の電力ケーブル用終端接続部において、
前記捕捉体における最上層の前記メッシュ状部材の上に、その最上層のメッシュ状部材よりも網目が小さいメッシュ状部材をさらに設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の電力ケーブル用終端接続部において、
前記捕捉体における最下層の前記メッシュ状部材の下に、その最下層のメッシュ状部材よりも網目が大きいメッシュ状部材をさらに設けたことを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項2に記載の電力ケーブル用終端接続部において、
前記捕捉体は、前記底板体の上面に配設された複数のメッシュ状部材を有しており、前記複数のメッシュ状部材は網目が大きいものほど前記碍管寄りに配置されていることを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項3に記載の電力ケーブル用終端接続部において、
前記捕捉体は、前記蓋体の下面に配設されており、前記複数のメッシュ状部材はそれぞれの網目をずらした配置で積層されていることを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項3に記載の電力ケーブル用終端接続部において、
前記捕捉体は、前記蓋体の下面に配設されており、前記複数のメッシュ状部材は下層側に配置されたものの網目が上層側に配置されたものの網目より大きいことを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の発明は、請求項3に記載の電力ケーブル用終端接続部において、
前記捕捉体は、前記蓋体の下面に配設されており、前記複数のメッシュ状部材は網目が大きいものほど下層側に配置されていることを特徴とする。
【0019】
請求項13に記載の発明は、請求項1に記載の電力ケーブル用終端接続部において、
前記捕捉体は、多孔質部材からなることを特徴とする。
【0020】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の電力ケーブル用終端接続部において、
前記捕捉体は、前記多孔質部材が複数積層されてなることを特徴とする。
【0021】
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の電力ケーブル用終端接続部において、
前記捕捉体は、前記底板体の上面に配設されており、前記複数の多孔質部材は上層側に配置されたものの孔が下層側に配置されたものの孔より大きいことを特徴とする。
【0022】
請求項16に記載の発明は、請求項14に記載の電力ケーブル用終端接続部において、
前記捕捉体は、前記底板体の上面に配設されており、前記複数の多孔質部材は孔が大きいものほど上層側に配置されていることを特徴とする。
【0023】
請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の電力ケーブル用終端接続部において、
前記捕捉体における最上層の前記多孔質部材の上に、その最上層の多孔質部材よりも孔が小さい多孔質部材をさらに設けたことを特徴とする。
【0024】
請求項18に記載の発明は、請求項16に記載の電力ケーブル用終端接続部において、
前記捕捉体における最下層の前記多孔質部材の下に、その最下層の多孔質部材よりも孔が大きい多孔質部材をさらに設けたことを特徴とする。
【0025】
請求項19に記載の発明は、請求項13に記載の電力ケーブル用終端接続部において、
前記捕捉体は、前記底板体の上面に配設された複数の多孔質部材を有しており、前記複数の多孔質部材は孔が大きいものほど前記碍管寄りに配置されていることを特徴とする。
【0026】
請求項20に記載の発明は、請求項14に記載の電力ケーブル用終端接続部において、
前記捕捉体は、前記蓋体の下面に配設されており、前記複数の多孔質部材は下層側に配置されたものの孔が上層側に配置されたものの孔より大きいことを特徴とする。
【0027】
請求項21に記載の発明は、請求項14に記載の電力ケーブル用終端接続部において、
前記捕捉体は、前記蓋体の下面に配設されており、前記複数の多孔質部材は孔が大きいものほど下層側に配置されていることを特徴とする。
【0028】
請求項22に記載の発明は、請求項10又は11又は12又は20又は21に記載の電力ケーブル用終端接続部において、
前記碍管の上端部の外周側を囲うように配されるシールドリングを有しており、
前記捕捉体は、その少なくとも一部が前記シールドリングの下面よりも鉛直方向の上側となる位置に配設されていることを特徴とする。
【0029】
請求項23に記載の発明は、請求項10又は11又は12又は20又は21に記載の電力ケーブル用終端接続部において、
前記碍管の上端部の外周側を囲うように配されるシールドリングを有しており、
前記捕捉体は、前記シールドリングの下面よりも鉛直方向の上側となる位置に配設されていることを特徴とする。
【0030】
請求項24に記載の発明は、請求項1~21のいずれか一項に記載の電力ケーブル用終端接続部において、
前記捕捉体は、前記電力ケーブルの周囲であって、その電力ケーブル寄りの位置に配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、電力ケーブル用終端接続部内に混入した異物を捕捉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本実施形態の電力ケーブル用終端接続部を一部断面視して示す説明図である。
図2】電力ケーブル用終端接続部の捕捉体であって、底板体の上面の全域を覆うように配設された捕捉体を示す説明図である。
図3】電力ケーブル用終端接続部の捕捉体であって、底板体上の電力ケーブル寄りの位置に配設された捕捉体を示す説明図(a)と、底板体上の碍管寄りの位置に配設された捕捉体を示す説明図である。
図4】電力ケーブル用終端接続部の捕捉体を接地する態様の説明図(a)(b)である。
図5】メッシュ状部材からなる捕捉体の一例を示す説明図である。
図6】メッシュ状部材からなる捕捉体の一例を示す説明図である。
図7】メッシュ状部材からなる捕捉体の一例を示す説明図(a)(b)である。
図8】メッシュ状部材からなる捕捉体の一例を示す説明図である。
図9】メッシュ状部材からなる捕捉体の一例を示す説明図である。
図10】多孔質部材からなる捕捉体の一例を示す説明図である。
図11】多孔質部材からなる捕捉体の一例を示す説明図である。
図12】多孔質部材からなる捕捉体の一例を示す説明図である。
図13】多孔質部材からなる捕捉体の一例を示す説明図である。
図14】電力ケーブル用終端接続部の捕捉体であって、蓋体の下面に配設された捕捉体を示す説明図である。
図15】電力ケーブル用終端接続部の捕捉体であって、蓋体の下面に配設された捕捉体の一例を示す説明図(a)(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0034】
(実施形態1)
図1は、電力ケーブル用終端接続部100を一部断面視して示す側面図である。
電力ケーブル用終端接続部100は、例えば図1に示すように、電力ケーブル10と、電力ケーブル10の所定箇所に装着されたストレスコーン16と、ストレスコーン16とともに電力ケーブル10の一端側を内部に収容する碍管20と、碍管20の上端部に取り付けられた蓋体30と、碍管20の下端部に取り付けられた底板体40と、碍管20の内部に充填された絶縁流体23と、底板体40に固定されている支持碍子50と、支持碍子50を介して底板体40を支持している架台60等を備えている。
【0035】
電力ケーブル10は、例えば、中心の導体11と、導体11を被覆する電気絶縁層12と、電気絶縁層12を被覆する外部半導電層13と、外部半導電層13を被覆する絶縁体のシース14等を備えている。この電力ケーブル10の端部を段剥ぎすることにより、シース14、外部半導電層13、電気絶縁層12が順次露出し、その先端側で導体11が露出している。導体11の先端部には導体引出棒15が取り付けられている。
導体引出棒15は、導電性を有し、例えば、銅、アルミニウム、銅合金、アルミニウム合金などの金属からなる。この導体引出棒15の基端側の孔部に電力ケーブル10の導体11の先端部を嵌入して、その孔部を縮径するように導体引出棒15を圧縮することで、導体11に導体引出棒15が取り付けられている。
【0036】
また、電力ケーブル10の電気絶縁層12から外部半導電層13にかけてストレスコーン16が取り付けられている。
また、電力ケーブル10の外部半導電層13の周囲に鉛管などの金属管17を取り付けられている。
また、金属管17から外部半導電層13、シース14にかけてテープ部材を巻回してなるテープ層18が設けられている。
【0037】
碍管20は、例えば、繊維強化プラスチックからなる円筒形状の筒体21と、筒体21の外周側面に一体成型したシリコーンゴムからなる襞付きの外套22とを有している。
碍管20の上端部には、上端の開口を塞ぐように蓋体30が取り付けられている。
蓋体30は、外縁が円形で略円盤形状を呈する部材であり、その略中央に形成された貫通孔から導体引出棒15の先端が突き出している。
この碍管20は、長手方向が上下方向を向くように設置された縦置き型の碍管である。
そして、碍管20と電力ケーブル10の間には、シリコーンオイルなどの絶縁流体23が充填されている。
【0038】
底板体40は、外縁が円形で略円盤形状を呈する部材であり、碍管20の下端を塞ぐように取り付けられている。
底板体40の略中央に形成された中央孔に電力ケーブル10が挿通されている。具体的には、電力ケーブル10に取り付けられた金属管17部分が、底板体40の中央孔に挿通されている。
そして、底板体40の上面に、後述する捕捉体70が配設されている。
この底板体40は、電力ケーブル10と碍管20を保持している。
【0039】
また、底板体40は、底板体40における碍管20側に相当する上面に形成された座繰り穴である凹部41を有している。この凹部41に碍子固定用のボルト45を没入するように設けており、そのボルト45で底板体40の下面側に支持碍子50を螺合して固定している。
例えば、底板体40は、その上面の4箇所に凹部41を有しており、各凹部41に対応する位置にそれぞれボルト45で固定した支持碍子50を備えている。
【0040】
支持碍子50は架台60に固定されており、この支持碍子50を介して架台60が底板体40を支持している。
そして、その架台60が据え付けられている位置に、電力ケーブル用終端接続部100を設置することができる。
【0041】
捕捉体70は、碍管20の内部に配設されている。
この捕捉体70は、碍管20内に充填されている絶縁流体23中の異物を捕捉するために設けられている。
ここでは重力により沈降する異物を捕捉するように、捕捉体70を碍管20内における底板体40の上面に配設している。
なお、絶縁流体23中の異物は、例えば電力ケーブル用終端接続部100を組み立てる施工時に混入してしまった塵埃などの微細な異物である。
絶縁流体23中の微細な異物を捕捉する捕捉体70としては、無数の網目を有するメッシュ状部材(格子状部材)や、その内部に細かな孔が無数に空いた多孔質部材を用いることができる。
捕捉体70を底板体40の上面に配設するうえで、捕捉体70の比重は絶縁流体23の比重よりも大きいことが好ましい。
なお、捕捉体70の比重が絶縁流体23の比重よりも小さい場合には、捕捉体70を底板体40に物理的に固定すればよい。
【0042】
捕捉体70は、電力ケーブル10の周囲に配設されており、略ドーナツ形状を呈している。
この捕捉体70は、電力ケーブル10の周囲の等電位線が入り込まない箇所に配設されている。
捕捉体70は、図2に示すように、底板体40の上面の全域を覆うように配設されていても、図3(a)に示すように、底板体40上であって電力ケーブル10寄りの位置(中心側の配置)に配設されていても、図3(b)に示すように、底板体40上であって碍管20寄りの位置(外周側の配置)に配設されていてもよい。
捕捉体70が、底板体40の上面の全域を覆うように配設されていれば、重力によって底板体40上に沈降する異物をあらかた捕捉することができる。
また、捕捉体70が、底板体40上の電力ケーブル10寄りの位置に配設されていれば、例えば絶縁流体23に生じた対流などによって電力ケーブル10の周囲に集まる異物を選択的に捕捉することができる。
また、捕捉体70が、底板体40上の碍管20寄りの位置に配設されていれば、例えば碍管20の隅に集まる異物を選択的に捕捉することができる。
【0043】
捕捉体70は、シリコーンオイルなどの絶縁流体23中で変質せず、60℃以上の環境下でも変質しない材料であればよい。
また、捕捉体70は、絶縁性を有する材料で形成されていることが好ましく、例えば、ウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、FRP(Fiber Reinforced Plastics)などのプラスチックや、ゴム、セラミックなどの材料を用いることができる。
また、捕捉体70が金属などの導電性を有する材料で形成されている場合、その捕捉体70は電力ケーブル用終端接続部100の一部に対して接地しているものとする。
【0044】
なお、捕捉体70を底板体40に物理的に固定する場合、例えば、図4(a)に示すように、ドーナツ状の捕捉体70の上にリング状の固定部材7を設置し、その固定部材7を介して捕捉体70を底板体40にボルトなどの締結部材Bで固定することができる。
また、図4(a)などでは、捕捉体70が金属管17に当接している態様を図示しているが、例えば、絶縁流体23の漏れ防止のために金属管17の周囲近傍にシール部材やOリングなどが設置されていることがあり、それらが妨げになって捕捉体70を金属管17に接触させ難い(接地し難い)ことがある。
そのような場合には、図4(a)に示すように、固定部材7と締結部材Bの間に編組金属線Cの一端を挟み込むとともに、編組金属線Cの他端を締結部材Bで金属製の底板体40に接続するようにして接地すればよい。
また、図4(b)に示すように、編組金属線Cの一端を捕捉体70に溶接にて固定し、編組金属線Cの他端を締結部材Bで金属製の底板体40に接続するようにして接地してもよい。
また、図4(b)に示すように、編組金属線Cの一端を捕捉体70に溶接にて固定し、編組金属線Cの他端を金属管17に接続するようにして接地してもよい。
なお、捕捉体70を底板体40に固定する手法は、上記実施形態に限らず、従来公知の他の手法によって固定してもよい。
また、捕捉体70を接地する手法も、上記実施形態に限らず、従来公知の他の手法によって接地するようにしてもよい。
【0045】
また、微細な異物を捕捉する捕捉体70として、無数の網目を有するメッシュ状部材(格子状部材)を用いる場合、メッシュ状部材の網目のサイズは異物のサイズの2~5倍であることが好ましい。
また、微細な異物を捕捉する捕捉体70として、その内部に細かな孔が無数に空いた多孔質部材を用いる場合、多孔質部材の孔のサイズは異物のサイズの2~5倍であることが好ましい。
例えば、絶縁流体23中に混入した異物のサイズを1mmと仮定する場合、網目のサイズが2mm~5mmのメッシュ状部材や、孔のサイズが2mm~5mmの多孔質部材を用いるようにすればよい。
なお、絶縁流体23中に混入する異物のサイズは様々であるので、混入が想定される異物の大きさに応じてメッシュ状部材の網目のサイズや多孔質部材の孔のサイズを設定し、絶縁流体23中に混入した異物を捕捉するのに適した捕捉体70を碍管20の内部に配設するようにすればよい。
このように、絶縁流体23中の微細な異物を捕捉する捕捉体70としてメッシュ状部材や多孔質部材を用いることができる。
捕捉体70としてのメッシュ状部材や多孔質部材は、一層構造であっても複数層構造であってもよい。
【0046】
ここで、メッシュ状部材からなる捕捉体70について説明する。
例えば、図5に示すように、捕捉体70が複数のメッシュ状部材M1,M2,M3が積層されてなる場合であって、その捕捉体70が底板体40の上面に配設されている場合、複数のメッシュ状部材M1,M2,M3は網目が大きいものほど上層側に配置されているようにする。つまり、複数のメッシュ状部材M1,M2,M3は、上層側に配置されたものの網目が下層側に配置されたものの網目より大きいように配されている。
ここでは、網目のサイズが2mmのメッシュ状部材M1を最下層、網目のサイズが3.5mmのメッシュ状部材M2を中間層、網目のサイズが5mmのメッシュ状部材M3を最上層に配した捕捉体70を例示している。
このように上層側ほど網目が大きくなるように複数のメッシュ状部材M1,M2,M3を積層するようにすれば、重力によって沈降した異物のうち大きなもの程、捕捉体70における上層側のメッシュ状部材M3に捕捉され、重力によって沈降した異物のうち小さなもの程、捕捉体70における下層側のメッシュ状部材M1に達して捕捉されるようになるので、異物のサイズごとに分別するように捕捉体70の各層に異物を捕捉することが可能になり、様々な異物を効率よく捕捉することができる。
【0047】
また、捕捉体70がメッシュ状部材からなる場合であって、複数のメッシュ状部材M1,M2,M3が積層されてなる場合、複数のメッシュ状部材M1,M2,M3はそれぞれの網目をずらした配置で積層されているようにする。
こうすることで、上下の網目が連続し難くなり、各層のメッシュ状部材M1,M2,M3の網目に一旦捕捉された異物が網目から出難くなるので、複数のメッシュ状部材M1,M2,M3からなる捕捉体70に捕捉された異物が絶縁流体23中に戻ってしまうことを防ぎ易くなる。
【0048】
なお、各層のメッシュ状部材M1,M2,M3は、それぞれ所定の厚みを有する1枚のメッシュからなるものでも、それぞれ同じ網目サイズの複数枚のメッシュが重ねられてなるメッシュ群からなるものでもよい。
各層のメッシュ状部材M1,M2,M3がそれぞれ同じ網目サイズの複数枚のメッシュが重ねられてなるメッシュ群からなる場合、その複数枚のメッシュは、それぞれの網目が上下に連続する配置で積層されていても、それぞれの網目をずらした配置で積層されていてもよい。
【0049】
また、例えば、図6に示すように、捕捉体70における最上層のメッシュ状部材M3の上に、その最上層のメッシュ状部材M3よりも網目が小さいメッシュ状部材をさらに設けてもよい。
ここでは、捕捉体70における最上層のメッシュ状部材M3の上に、網目の小さなメッシュ状部材M1を設けている。
捕捉体70における最上層のメッシュ状部材M3の上に、その最上層のメッシュ状部材M3よりも網目が小さいメッシュ状部材M1を設けておけば、絶縁流体23に対流が生じた際に、上昇する対流によって捕捉体70に捕捉された異物が絶縁流体23中に押し出され難くなり、捕捉された異物が絶縁流体23中に戻ってしまうことを低減することができる。
具体的には、電力ケーブル用終端接続部100に負荷がかかった場合に電力ケーブル10が高温(60~90℃程度)になる。電力ケーブル10が高温になって絶縁流体23の温度が上がると、碍管20の外側の外気温との温度差が生じ、絶縁流体23に対流が生じることがある。
その対流は、温度の高い電力ケーブル10側で上昇して、温度の低い碍管20側で下降する流れであるので、電力ケーブル10側で上昇する絶縁流体23によって、捕捉体70に捕捉された異物が巻き上げられてしまうおそれがある。
そこで、捕捉体70における最上層のメッシュ状部材M3の上に、その最上層のメッシュ状部材M3よりも網目が小さいメッシュ状部材M1を設けておけば、一旦捕捉体70に捕捉された異物が絶縁流体23中に戻ってしまうことを抑えることができる。
【0050】
なお、図6では、平面視した捕捉体70と同じ径(同じ大きさ)を有するメッシュ状部材M1を捕捉体70の上に設けたが、重力によって沈降する異物を捕捉体70が捕捉するためには、捕捉体70上に設けるメッシュ状部材M1は、捕捉体70の径よりも小さな径を有するものにしてもよい。
例えば、図7(a)に示すように、捕捉体70における各層のメッシュ状部材M1,M2,M3のサイズを異なるようにし、最下層のメッシュ状部材M1から最上層のメッシュ状部材M3までを徐々に小さなサイズ(小さな径)にして、捕捉体70上に設けるメッシュ状部材M1が、捕捉体70の最上層のメッシュ状部材M3の径よりも小さな径を有するものにしてもよい。
こうすることで、重力によって沈降する異物を捕捉体70で捕捉することができ、また、捕捉体70に捕捉された異物が絶縁流体23の対流によって巻き上げられるのを抑えることができる。
【0051】
また、図7(b)に示すように、捕捉体70における各層のメッシュ状部材M1,M2,M3のサイズを異なるようにし、最下層のメッシュ状部材M1から最上層のメッシュ状部材M3までを徐々に大きなサイズ(大きな径)にし、捕捉体70上に設けるメッシュ状部材M1が、捕捉体70の最上層のメッシュ状部材M3の径よりも大きな径を有するようにしてもよい。
このような態様であれば、絶縁流体23の対流によって下から巻き上げられた異物を捕捉体70で捕捉することができ、一旦捕捉体70に捕捉された異物が上昇する対流によって絶縁流体23中に戻されてしまうのを、捕捉体70上のメッシュ状部材M1が好適に抑えることができる。
【0052】
また、例えば、図8に示すように、捕捉体70における最下層のメッシュ状部材M1の下に、その最下層のメッシュ状部材M1よりも網目が大きいメッシュ状部材をさらに設けてもよい。
ここでは、捕捉体70における最下層のメッシュ状部材M1の下に、網目の大きなメッシュ状部材M3を設けている。
捕捉体70における最下層のメッシュ状部材M1の下に、その最下層のメッシュ状部材M1よりも網目が大きいメッシュ状部材M3を設けておけば、捕捉体70から外れるなどして底板体40上に沈降した異物が、絶縁流体23の対流によって捕捉体70の下の網目の大きなメッシュ状部材M3に捕捉されやすくなり、沈降した異物が絶縁流体23中に戻ってしまうことを低減することができる。
具体的には、電力ケーブル用終端接続部100に負荷がかかった場合に電力ケーブル10が高温(60~90℃程度)になる。電力ケーブル10が高温になって絶縁流体23の温度が上がると、碍管20の外側の外気温との温度差が生じ、絶縁流体23に対流が生じることがある。
その対流は、温度の高い電力ケーブル10側で上昇して、温度の低い碍管20側で下降する流れであるので、電力ケーブル10側で上昇する絶縁流体23によって、碍管20側に沈降した異物が、電力ケーブル10側に巻き上げられてしまうおそれがある。
そこで、捕捉体70における最下層のメッシュ状部材M1の下に、その最下層のメッシュ状部材M1よりも網目が大きいメッシュ状部材M3を設けておけば、沈降した異物が比較的大きなサイズであっても、捕捉体70の下のメッシュ状部材M3で捕捉され、絶縁流体23中に戻ってしまうことを抑えることができる。
【0053】
また、例えば、図9に示すように、底板体40の上面に配設された複数のメッシュ状部材M1,M2,M3のうち、網目が大きいメッシュ状部材M3ほど碍管20寄りに配置するようにすれば、絶縁流体23の対流によって、異物のサイズが大きなものほど捕捉体70における碍管20寄りのメッシュ状部材M3に捕捉され、異物のサイズが小さなものほど捕捉体70における電力ケーブル10寄りのメッシュ状部材M1に捕捉されるようになる。
このように絶縁流体23の対流によって捕捉体70の各部に異物を捕捉することが可能になり、様々な異物を効率よく捕捉することができる。
【0054】
次に、多孔質部材からなる捕捉体70について説明する。
例えば、図10に示すように、捕捉体70が複数の多孔質部材P1,P2,P3が積層されてなる場合であって、その捕捉体70が底板体40の上面に配設されている場合、複数の多孔質部材P1,P2,P3は孔が大きいものほど上層側に配置されているようにする。つまり、複数の多孔質部材P1,P2,P3は、上層側に配置されたものの孔が下層側に配置されたものの孔より大きいように配されている。
ここでは、孔のサイズが2mmの多孔質部材P1を最下層、孔のサイズが3.5mmの多孔質部材P2を中間層、孔のサイズが5mmの多孔質部材P3を最上層に配した捕捉体70を例示している。
なお、多孔質部材における孔のサイズは均一でないので、各多孔質部材の孔のサイズは孔径の平均サイズで定めるようにしてもよい。つまり、最下層の多孔質部材P1は孔の平均サイズが2mmであり、中間層の多孔質部材P2は孔の平均サイズが3.5mmであり、最上層の多孔質部材P3は孔の平均サイズが5mmであればよい。
このように上層側ほど孔が大きくなるように複数の多孔質部材P1,P2,P3を積層するようにすれば、重力によって沈降した異物のうち大きなもの程、捕捉体70における上層側の多孔質部材P3に捕捉され、重力によって沈降した異物のうち小さなもの程、捕捉体70における下層側の多孔質部材P1に達して捕捉されるようになるので、異物のサイズごとに分別するように捕捉体70の各層に異物を捕捉することが可能になり、様々な異物を効率よく捕捉することができる。
【0055】
なお、各層の多孔質部材P1,P2,P3の厚みは任意であり、それぞれ同じ厚みであっても、各層ごとに異なる厚みであってもよい。
【0056】
また、例えば、図11に示すように、捕捉体70における最上層の多孔質部材P3の上に、その最上層の多孔質部材P3よりも孔が小さい多孔質部材をさらに設けてもよい。
ここでは、捕捉体70における最上層の多孔質部材P3の上に、孔の小さな多孔質部材P1を設けている。
捕捉体70における最上層の多孔質部材P3の上に、その最上層の多孔質部材P3よりも孔が小さい多孔質部材P1を設けておけば、絶縁流体23に対流が生じた際に、上昇する対流によって捕捉体70に捕捉された異物が絶縁流体23中に押し出され難くなり、捕捉された異物が絶縁流体23中に戻ってしまうことを低減することができる。
具体的には、電力ケーブル用終端接続部100に負荷がかかった場合に電力ケーブル10が高温(60~90℃程度)になる。電力ケーブル10が高温になって絶縁流体23の温度が上がると、碍管20の外側の外気温との温度差が生じ、絶縁流体23に対流が生じることがある。
その対流は、温度の高い電力ケーブル10側で上昇して、温度の低い碍管20側で下降する流れであるので、電力ケーブル10側で上昇する絶縁流体23によって、捕捉体70に捕捉された異物が巻き上げられてしまうおそれがある。
そこで、捕捉体70における最上層の多孔質部材P3の上に、その最上層の多孔質部材P3よりも孔が小さい多孔質部材P1を設けておけば、一旦捕捉体70に捕捉された異物が絶縁流体23中に戻ってしまうことを抑えることができる。
【0057】
なお、図11では、平面視した捕捉体70と同じ径(同じ大きさ)を有する多孔質部材P1を捕捉体70の上に設けたが、重力によって沈降する異物を捕捉体70が捕捉するためには、捕捉体70上に設ける多孔質部材P1は、捕捉体70の径よりも小さな径を有するものにしてもよい。
例えば、上述した図7(a)の捕捉体70と同様に、捕捉体70における各層の多孔質部材P1,P2,P3のサイズを異なるようにし、最下層の多孔質部材P1から最上層の多孔質部材P3までを徐々に小さなサイズ(小さな径)にして、捕捉体70上に設ける多孔質部材P1が、捕捉体70の最上層の多孔質部材P3の径よりも小さな径を有するものにしてもよい。
こうすることで、メッシュ状部材からなる捕捉体70(図7(a))と同様に、重力によって沈降する異物を捕捉体70で捕捉することができ、また、捕捉体70に捕捉された異物が絶縁流体23の対流によって巻き上げられるのを抑えることができる。
【0058】
また、上述した図7(b)の捕捉体70と同様に、捕捉体70における各層の多孔質部材P1,P2,P3のサイズを異なるようにし、最下層の多孔質部材P1から最上層の多孔質部材P3までを徐々に大きなサイズ(大きな径)にし、捕捉体70上に設ける多孔質部材P1が、捕捉体70の最上層の多孔質部材P3の径よりも大きな径を有するようにしてもよい。
このような態様であれば、メッシュ状部材からなる捕捉体70(図7(b))と同様に、絶縁流体23の対流によって下から巻き上げられた異物を捕捉体70で捕捉することができ、一旦捕捉体70に捕捉された異物が上昇する対流によって絶縁流体23中に戻されてしまうのを、捕捉体70上の多孔質部材P1が好適に抑えることができる。
【0059】
また、例えば、図12に示すように、捕捉体70における最下層の多孔質部材P1の下に、その最下層の多孔質部材P1よりも孔が大きい多孔質部材をさらに設けてもよい。
ここでは、捕捉体70における最下層の多孔質部材P1の下に、孔の大きな多孔質部材P3を設けている。
捕捉体70における最下層の多孔質部材P1の下に、その最下層の多孔質部材P1よりも孔が大きい多孔質部材P3を設けておけば、捕捉体70から外れるなどして底板体40上に沈降した異物が、絶縁流体23に対流によって捕捉体70の下の孔の大きな多孔質部材P3に捕捉されやすくなり、沈降した異物が絶縁流体23中に戻ってしまうことを低減することができる。
具体的には、電力ケーブル用終端接続部100に負荷がかかった場合に電力ケーブル10が高温(60~90℃程度)になる。電力ケーブル10が高温になって絶縁流体23の温度が上がると、碍管20の外側の外気温との温度差が生じ、絶縁流体23に対流が生じることがある。
その対流は、温度の高い電力ケーブル10側で上昇して、温度の低い碍管20側で下降する流れであるので、電力ケーブル10側で上昇する絶縁流体23によって、碍管20側に沈降した異物が、電力ケーブル10側に巻き上げられてしまうおそれがある。
そこで、捕捉体70における最下層の多孔質部材P1の下に、その最下層の多孔質部材P1よりも孔が大きい多孔質部材P3を設けておけば、沈降した異物が比較的大きなサイズであっても、最下層の多孔質部材P3で捕捉され、絶縁流体23中に戻ってしまうことを抑えることができる。
【0060】
また、例えば、図13に示すように、底板体40の上面に配設された複数の多孔質部材P1,P2,P3のうち、孔が大きい多孔質部材P3ほど碍管20寄りに配置するようにすれば、絶縁流体23の対流によって、異物のサイズが大きなものほど捕捉体70における碍管20寄りの多孔質部材P3に捕捉され、異物のサイズが小さなものほど捕捉体70における電力ケーブル10寄りの多孔質部材P1に捕捉されるようになる。
このような絶縁流体23の対流によって捕捉体70の各部に異物を捕捉することが可能になり、様々な異物を効率よく捕捉することができる。
【0061】
このように、電力ケーブル用終端接続部100の底板体40の上面に捕捉体70を配設するようにすれば、絶縁流体23中の異物を捕捉することができるので、ストレスコーン16の上に異物が堆積してしまうようなことがなくなり、碍管20内の絶縁流体23に混入した異物による不具合の発生を抑えることができる。
【0062】
(実施形態2)
次に、本発明に係る電力ケーブル用終端接続部の実施形態2について説明する。なお、実施形態1と同一部分には同符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0063】
上記実施形態1においては、電力ケーブル用終端接続部100の底板体40の上面に捕捉体70を配設する場合について説明したが、例えば、図14に示すように、電力ケーブル用終端接続部100の蓋体30の下面に捕捉体70を配設するようにしてもよい。
電力ケーブル用終端接続部100の蓋体30の下面に捕捉体70を配設する場合、その電力ケーブル用終端接続部100の碍管20内には絶縁流体23が満たされており、絶縁流体23が蓋体30にまで達しているものとする。
換言すれば、上記実施形態1のように、電力ケーブル用終端接続部100の底板体40の上面に捕捉体70を配設する場合には、碍管20の内部に充填されている絶縁流体23は蓋体30に達していなくてもよい。
なお、蓋体30の下面に捕捉体70を配設するのは、絶縁流体23に生じた対流によって、底板体40側から巻き上げられた異物を捕捉するためである。
そして、蓋体30の下面に配設する捕捉体70としては、メッシュ部材や多孔質部材を用いることができる。
【0064】
例えば、図15(a)に示すように、複数のメッシュ状部材M1,M2が積層されてなる捕捉体70が、蓋体30の下面に配設される場合、複数のメッシュ状部材M1,M2は網目が大きいものほど下層側に配置されているようにする。
また、図15(b)に示すように、複数のメッシュ状部材M1,M2,M3が積層されてなる捕捉体70が、蓋体30の下面に配設される場合、複数のメッシュ状部材M1,M2,M3は網目が大きいものほど下層側に配置されているようにする。つまり、複数のメッシュ状部材M1,M2(複数のメッシュ状部材M1,M2,M3)は、下層側に配置されたものの網目が上層側に配置されたものの網目より大きいように配されている。
【0065】
なお、蓋体30の下面に配設されている捕捉体70における複数のメッシュ状部材M1,M2(複数のメッシュ状部材M1,M2,M3)は、それぞれの網目をずらした配置で積層されているようにする。
こうすることで、上下の網目が連続し難くなり、各層のメッシュ状部材の網目に一旦捕捉された異物が網目から出難くなるので、複数のメッシュ状部材M1,M2(複数のメッシュ状部材M1,M2,M3)からなる捕捉体70に捕捉された異物が絶縁流体23中に戻ってしまうことを防ぎ易くなる。
【0066】
そして、下層側ほど網目が大きくなるように複数のメッシュ状部材M1,M2(複数のメッシュ状部材M1,M2,M3)を積層するようにすれば、絶縁流体23に生じた対流によって下から巻き上げられた異物のうち小さなもの程、捕捉体70における上層側のメッシュ状部材M1に達して捕捉され、絶縁流体23に生じた対流によって下から巻き上げられた異物のうち大きなもの程、捕捉体70における下層側のメッシュ状部材M2(メッシュ状部材M3)に捕捉されるようになるので、異物のサイズごとに分別するように捕捉体70の各層に異物を捕捉することが可能になり、様々な異物を効率よく捕捉することができる。
【0067】
ところで、電力ケーブル用終端接続部100の上部(例えば蓋体30)にシールドリング31が設置されることがある(図15(a)(b)参照)。
シールドリング31は、主に碍管20の耐電圧性能を高めるために、碍管20の周囲の電位分布を均等にする機能を有する部材であり、碍管20の上端部の外周側を囲うように配されるようになっている。
そして、碍管20の上端部にシールドリング31が設置されている電力ケーブル用終端接続部100において、その蓋体30の下面に捕捉体70を配設する場合、図15(a)(b)に示すように、捕捉体70はその少なくとも一部がシールドリング31の下面よりも鉛直方向の上側となる位置に配設されているようにする。
好ましくは、図15(a)に示すように、捕捉体70は、シールドリング31の下面よりも鉛直方向の上側となる位置に配設されているようにする。
このような位置に捕捉体70を配設するようにすることで、電力ケーブル10の周囲の等電位線が入り込まない箇所に捕捉体70を配設することが可能になる。
【0068】
なお、ここでは、図15(a)に示したように、2層のメッシュ状部材M1,M2が積層されてなる捕捉体70が、シールドリング31の下面よりも鉛直方向の上側となる位置にある場合を例示したが、3層のメッシュ状部材M1,M2,M3が積層されてなる捕捉体70であっても、各層のメッシュ状部材の厚みをそれぞれ薄くするようにすれば、その捕捉体70がシールドリング31の下面よりも鉛直方向の上側となる位置にあるようにすることができる。
【0069】
また、蓋体30の下面に配設される捕捉体70として、複数の多孔質部材が積層された捕捉体70を用いる場合、図15(a)(b)と同様に、複数の多孔質部材P1,P2(複数の多孔質部材P1,P2,P3)は孔が大きいものほど下層側に配置されているようにする。つまり、複数の多孔質部材P1,P2(複数の多孔質部材P1,P2,P3)は、下層側に配置されたものの孔が上層側に配置されたものの孔より大きいように配されている。
こうすることで、絶縁流体23に生じた対流によって下から巻き上げられた異物のうち小さなもの程、捕捉体70における上層側の多孔質部材P1に達して捕捉され、絶縁流体23に生じた対流によって下から巻き上げられた異物のうち大きなもの程、捕捉体70における下層側の多孔質部材P2(多孔質部材P3)に捕捉されるようになるので、異物のサイズごとに分別するように捕捉体70の各層に異物を捕捉することが可能になり、様々な異物を効率よく捕捉することができる。
【0070】
なお、碍管20の上端部にシールドリング31が設置されている電力ケーブル用終端接続部100において、その蓋体30の下面に複数の多孔質部材が積層されてなる捕捉体70を配設する場合も上記と同様に、捕捉体70の少なくとも一部がシールドリング31の下面よりも鉛直方向の上側となる位置に配設されているようにすることが好ましく、より好ましくは、シールドリング31の下面よりも鉛直方向の上側となる位置に捕捉体70が配設されているようにする。
こうすることで、電力ケーブル10の周囲の等電位線が入り込まない箇所に捕捉体70を配設することが可能になる。
【0071】
このように、電力ケーブル用終端接続部100の蓋体30の下面に捕捉体70を配設するようにすれば、絶縁流体23中の異物を捕捉することができるので、ストレスコーン16の上に異物が堆積してしまうようなことがなくなり、碍管20内の絶縁流体23に混入した異物による不具合の発生を抑えることができる。
【0072】
以上のように、本実施形態の電力ケーブル用終端接続部100であれば、碍管20内に配設した捕捉体70が、碍管20内の絶縁流体23中の異物を捕捉するので、ストレスコーン16の上に異物が堆積してしまうようなことがなくなり、絶縁流体23中に混入した異物による不具合の発生を抑えることができる。
【0073】
なお、以上の実施の形態においては、3層のメッシュ状部材(多孔質部材)や2層のメッシュ状部材(多孔質部材)が積層されてなる捕捉体70を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、捕捉体70におけるメッシュ状部材や多孔質部材の層数は任意であり、適宜必要な層数の捕捉体70を用いればよい。
また、捕捉体70の大きさ(径のサイズ)や厚みも任意であり、また各層のメッシュ状部材や多孔質部材の大きさ(径のサイズ)や厚みも任意である。
【0074】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0075】
10 電力ケーブル
16 ストレスコーン
20 碍管
23 絶縁流体
30 蓋体
31 シールドリング
40 底板体
50 支持碍子
60 架台
70 捕捉体
M1,M2,M3 メッシュ状部材
P1,P2,P3 多孔質部材
100 電力ケーブル用終端接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15