(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144281
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ハードマスク組成物、ハードマスク層およびパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/11 20060101AFI20241003BHJP
G03F 7/38 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G03F7/11 503
G03F7/11 502
G03F7/38 501
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024047873
(22)【出願日】2024-03-25
(31)【優先権主張番号】10-2023-0040766
(32)【優先日】2023-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】崔 世 一
【テーマコード(参考)】
2H196
2H225
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196CA05
2H196DA01
2H225AN11N
2H225AN14N
2H225AN24N
2H225AN28N
2H225AN39N
2H225AN42N
2H225BA01N
2H225CA12
(57)【要約】
【課題】優れた耐熱性、耐エッチング性および平坦化特性を確保することができるハードマスク層を形成することができるハードマスク組成物、前記ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層、および前記ハードマスク組成物を使用するパターン形成方法を提供する。
【解決手段】下記化学式1で表される化合物、および溶媒を含むハードマスク組成物、前記ハードマスク組成物から製造されるハードマスク層、ならびに前記ハードマスク組成物を用いたパターン形成方法に関する。
上記化学式1の定義は、明細書に記載した通りである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物、および溶媒を含む、ハードマスク組成物:
【化1】
前記化学式1中、
A
1およびA
2は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環が、単結合、置換もしくは非置換の炭素原子数1~5のアルキレン基、またはこれらの組み合わせによって連結された基であり、
R
1は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~30のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30のシクロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30のシクロアルキニル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基であり、
R
2は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基であり、
nは、1~6の整数のうちの1つである。
【請求項2】
前記化学式1中のA
1およびA
2は、それぞれ独立して、置換または非置換の、下記グループ1から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つを有する基である、請求項1に記載のハードマスク組成物:
【化2】
【請求項3】
前記化学式1中のA
1およびA
2は、それぞれ独立して、置換または非置換の、下記グループ1-1から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つを有する基である、請求項1に記載のハードマスク組成物:
【化3】
【請求項4】
前記化学式1中のA
1は、置換または非置換の、下記グループ1-2から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つを有する基である、請求項1に記載のハードマスク組成物:
【化4】
【請求項5】
前記化学式1中のA
2は、それぞれ独立して、置換または非置換の下記グループ1-3から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つを有する基である、請求項1に記載のハードマスク組成物:
【化5】
【請求項6】
前記化学式1中のR1は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項7】
前記化学式1中のR2は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換のメチル基、置換もしくは非置換のエチル基、置換もしくは非置換のプロピル基、置換もしくは非置換のブチル基、または置換もしくは非置換のペンチル基である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項8】
前記化学式1中のR1は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり、R2は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換のメチル基、または置換もしくは非置換のエチル基であり、nは、1~3の整数のうちの1つである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項9】
前記化学式1中のnは、2または3であり、このとき、すべてのR1は互いに同一であり、すべてのR2は互いに同一であり、かつすべてのA2は互いに同一である、請求項7に記載のハードマスク組成物。
【請求項10】
前記化学式1中のR1は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基であり、R2は、それぞれ独立して、水素原子、または重水素原子であり、nは2である、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項11】
前記化学式1で表される化合物は、下記化学式2~化学式4で表される化合物のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載のハードマスク組成物:
【化6】
前記化学式2~化学式4中、
R
1は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり、
R
2は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基であり、
X
1およびX
2は、それぞれ独立して、重水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、チオール基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルコキシ基、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基であり、
nは、それぞれ独立して、1~3の整数のうちの1つであり、
m1、およびm2は、それぞれ独立して、0~5の整数のうちの1つである。
【請求項12】
前記化学式1で表される化合物は、下記化学式5~化学式10で表される化合物のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載のハードマスク組成物:
【化7】
【化8】
【請求項13】
前記化学式1で表される化合物の分子量は、500g/mol~10,000g/molである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項14】
前記化学式1で表される化合物は、前記ハードマスク組成物の総質量を基準として0.1質量%~30質量%含まれる、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項15】
前記溶媒は、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリジノン、アセチルアセトン、およびエチル3-エトキシプロピオネートの少なくとも1つである、請求項1に記載のハードマスク組成物。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載のハードマスク組成物の硬化物を含む、ハードマスク層。
【請求項17】
基板上に材料層を形成する段階と、
前記材料層の上に請求項1~15のいずれか一項に記載のハードマスク組成物を塗布する段階と、
前記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階と、
前記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階と、
前記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階と、
前記フォトレジストパターンを利用して前記ハードマスク層を選択的に除去して前記材料層の一部を露出させる段階と、
前記材料層の露出した部分をエッチングする段階と、を含む、パターン形成方法。
【請求項18】
前記ハードマスク層を形成する段階は、100℃~1,000℃で熱処理する段階を含む、請求項17に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードマスク組成物、前記ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層、および前記ハードマスク組成物を用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体産業は、数百ナノメートルサイズのパターンから数~数十ナノメートルサイズのパターンを有する超微細技術に発展している。このような超微細技術を実現するためには、効果的なリソグラフィック技法が必須である。
【0003】
典型的なリソグラフィック技法は、半導体基板上に材料層を形成し、その上にフォトレジスト層をコーティングし、露光および現像してフォトレジストパターンを形成した後、前記フォトレジストパターンをマスクとして材料層をエッチングする工程を含む。
【0004】
近年、形成しようとするパターンのサイズが減少することによって、上述した典型的なリソグラフィック技法だけでは良好なプロファイルを有する微細パターンを形成することは困難である。これにより、エッチングしようとする材料層とフォトレジスト層との間にいわゆるハードマスク層と呼ばれる補助層を形成して微細パターンを形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2022-0092160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、優れた耐熱性、耐エッチング性および平坦化特性を確保することができるハードマスク層を形成することができるハードマスク組成物を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、上記ハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、前記ハードマスク組成物を用いたパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によるハードマスク組成物は、下記化学式1で表される化合物、および溶媒を含む:
【0010】
【0011】
上記化学式1中、
A1およびA2は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環が単結合、置換もしくは非置換の炭素原子数1~5のアルキレン基、またはこれらの組み合わせによって連結された基であり、
R1は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~30のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~30のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30のシクロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30のシクロアルキニル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基であり、
R2は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基であり、
nは、1~6の整数のうちの1つである。
【0012】
上記化学式1中のA1およびA2は、それぞれ独立して、置換または非置換の、下記グループ1から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つを有する基であり得る:
【0013】
【0014】
上記化学式1中のA1およびA2は、それぞれ独立して、置換または非置換の、下記グループ1-1から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つを有する基であり得る:
【0015】
【0016】
上記化学式1中のA1は、置換または非置換の、下記グループ1-2から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つを有する基であり得る:
【0017】
【0018】
上記化学式1中のA2は、それぞれ独立して、置換または非置換の、下記グループ1-3から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つを有する基であり得る:
【0019】
【0020】
上記化学式1中のR1は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基である。
【0021】
上記化学式1中のR2は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換のメチル基、置換もしくは非置換のエチル基、置換もしくは非置換のプロピル基、置換もしくは非置換のブチル基、または置換もしくは非置換のペンチル基であり得る。
【0022】
上記化学式1中のR1は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり、R2は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換のメチル基、または置換もしくは非置換のエチル基であり、nは、1~3の整数のうちの1つであり得る。
【0023】
上記化学式1中のnは、2または3であり、このとき、すべてのR1は互いに同一であり、すべてのR2は互いに同一であり、かつすべてのA2は互いに同一であり得る。
【0024】
上記化学式1中のR1は、それぞれ独立して、置換または非置換の炭素原子数1~10のアルキル基であり、R2は、それぞれ独立して、水素原子、または重水素原子であり、nは2であり得る。
【0025】
上記化学式1で表される化合物は、下記化学式2~化学式4で表される化合物のうちの少なくとも1つであり得る:
【0026】
【0027】
上記化学式2~化学式4中、
R1は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり、
R2は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基であり、
X1およびX2は、それぞれ独立して、重水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、チオール基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルコキシ基、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基であり、
nは、それぞれ独立して、1~3の整数のうちの1つであり、
m1、およびm2は、それぞれ独立して、0~5の整数のうちの1つである。
【0028】
上記化学式1で表される化合物は、下記化学式5~化学式10で表される化合物のうちの少なくとも1つであり得る:
【0029】
【0030】
【0031】
上記化学式1で表される化合物の分子量は500g/mol~10,000g/molであり得る。
【0032】
上記化学式1で表される化合物は、上記ハードマスク組成物の総質量を基準として0.1質量%~30質量%含まれ得る。
【0033】
上記溶媒は、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリジノン、アセチルアセトン、およびエチル3-エトキシプロピオネートの少なくとも1つであり得る。
【0034】
本発明の他の態様によれば、上述したハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供する。
【0035】
本発明のさらに他の態様によれば、基板上に材料層を形成する段階と、上記材料層の上に上述したハードマスク組成物を塗布する段階と、上記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階と、上記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階と、上記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階と、上記フォトレジストパターンを利用して上記ハードマスク層を選択的に除去して上記材料層の一部を露出させる段階と、上記材料層の露出した部分をエッチングする段階と、を含む、パターン形成方法を提供する。
【0036】
上記ハードマスク層を形成する段階は、100℃~1,000℃で熱処理する段階を含み得る。
【発明の効果】
【0037】
本発明によるハードマスク組成物から形成されたハードマスク層は、優れた耐熱性、耐エッチング性および平坦化特性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、本発明によるハードマスク組成物の平坦化特性を評価するための計算式(計算式1)を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。しかし、本発明は、多様な異なる形態に具現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0040】
本明細書で別途の定義がない限り、「置換の」および「置換された」とは、化合物中の水素原子がハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基およびその塩、スルホン酸基およびその塩、リン酸およびその塩、ビニル基、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数2~20のアルケニル基、炭素原子数2~20のアルキニル基、炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、炭素原子数7~30のアリールアルキル基、炭素原子数9~30のアリルアリール基、炭素原子数1~30のアルコキシ基、炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、炭素原子数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素原子数3~30のシクロアルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルケニル基、炭素原子数6~15のシクロアルキニル基、炭素原子数3~30のヘテロシクロアルキル基、ならびにこれらの組み合わせから選択される置換基で置換されたことを意味する。
【0041】
また、上記置換されたハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバモイル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基もしくはその塩、スルホン酸基もしくはその塩、リン酸もしくはその塩、炭素原子数1~30のアルキル基、炭素原子数2~30のアルケニル基、炭素原子数2~30のアルキニル基、炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基、炭素原子数7~30のアリールアルキル基、炭素原子数1~30のアルコキシ基、炭素原子数1~20のヘテロアルキル基、炭素原子数3~20のヘテロアリールアルキル基、炭素原子数3~30のシクロアルキル基、炭素原子数3~15のシクロアルケニル基、炭素原子数6~15のシクロアルキニル基、または炭素原子数2~30のヘテロ環基の中の隣接した2つの置換基が縮合して環を形成することもできる。
【0042】
本明細書で別途の定義がない限り、「芳香族炭化水素環」、「芳香族炭化水素基」および「アリール基」は、芳香族炭化水素モイエティを1つ以上有する基を意味し、非縮合芳香族炭化水素環、縮合芳香族炭化水素環だけでなく、芳香族炭化水素モイエティが単結合で連結された形態と、芳香族炭化水素モイエティが直接または間接的に縮合された非芳香族部位を有する縮合環形態と、これらの組み合わせとを含む。
【0043】
より具体的には、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基は、置換もしくは非置換のフェニル基、置換もしくは非置換のナフチル基、置換もしくは非置換のアントラセニル基、置換もしくは非置換のフェナントリル基、置換もしくは非置換のナフタセニル基、置換もしくは非置換のピレニル基、置換もしくは非置換のビフェニル基、置換もしくは非置換のテルフェニル基、置換もしくは非置換のクォーターフェニル基、置換もしくは非置換のクリセニル基、置換もしくは非置換のトリフェニレニル基、置換もしくは非置換のペリレニル基、置換もしくは非置換のインデニル基、これらの組み合わせ、またはこれらの組み合わせが縮合された形態であり得るが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書で、重合体は、オリゴマー(oligomer)と重合体(polymer)を全て含むことができる。
【0045】
本明細書で特に言及しない限り、「分子量」は、分子中に含まれる原子の原子量の総和をいう。本明細書における「分子量」は、粉体試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶かした後、Agilent Technologies社製の1200seriesゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)を利用して測定される(カラムは株式会社レゾナック製のLF-804、標準試料は株式会社レゾナック製のポリスチレンを使用)。
【0046】
半導体産業でチップのサイズを減少させる要求が絶えずに持続しており、これに対応するために、リソグラフィ技術でパターニングされるレジストの線幅が、数十ナノメートルのサイズであることが必要とされる。したがって、レジストパターンの線幅に耐えることができる高さが制限され、レジストがエッチング段階で十分な耐性を有することができない場合が発生する。これを補完するために、エッチングしようとする材料層とフォトレジスト層との間にいわゆるハードマスク層(hardmask layer)と呼ばれる補助層を使用する。このようなハードマスク層は、選択的エッチングを通じてフォトレジストの微細パターンを材料層に転写する中間膜としての役割を果たす。したがって、ハードマスク層は、パターン転写時に必要なエッチング工程に耐えることができるように耐エッチング性が要求される。
【0047】
既存のハードマスク層は、化学的または物理的蒸着方法で形成したが、これは大規模の設備を必要とし、工程単価が高くて経済性が低下するという問題がある。そこで、最近、スピンコーティング法でハードマスク層を形成する技術が開発されている。スピンコーティング法は、従来の方法に比べて工程が容易であり、これから製造されるハードマスク層のギャップフィル特性および平坦化特性がより優れるようになり得るが、スピンコーティング法で形成されたハードマスク層は要求される耐エッチング性が多少低下するという問題がある。したがって、スピンコーティング法に適用することができるハードマスク組成物であり、これから形成されたハードマスク層が化学的または物理的蒸着方法で形成されたハードマスク層と同等な耐エッチング性を有することが要求される。
【0048】
そこで、ハードマスク層の耐エッチング性を改善するために、ハードマスク組成物が含有する炭素含有量を増加させるための研究が行われている。しかし、ハードマスク組成物に含まれる化合物の炭素含有量が増加するに伴い、溶媒に対する溶解度が低下する傾向がある。したがって、ハードマスク組成物に含まれる化合物の炭素含有量を増加させ、それから形成されるハードマスク層の耐エッチング性が改善し、かつ、上記化合物が溶媒に対し十分に溶解することが要求される。
【0049】
本発明の一実施形態によるハードマスク組成物は、芳香族炭化水素環を有する化合物を含むため、組成物中の炭素含有量を高めることができる。したがって、上記組成物から得られるハードマスク層は優れた耐エッチング性を確保することができる。また、上記化合物は特定の官能基を含むことによって、高い炭素含有量を有しながらも、溶媒に対する溶解性に優れる。
【0050】
具体的には、本発明の一実施形態によるハードマスク組成物は、下記化学式1で表される化合物、および溶媒を含む。
【0051】
【0052】
上記化学式1中、
A1およびA2は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環が単結合、置換もしくは非置換の炭素原子数1~5のアルキレン基、またはこれらの組み合わせによって連結された基であり、
R1は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~30の飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~30の不飽和脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~30の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素基であり、
R2は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基であり、
nは1~6の整数のうちの1つである。
【0053】
上記化学式1で表されるように、本発明の一実施形態による化合物は、第4級炭素(水素原子以外の原子で4つ置換された炭素)を含み、第4級炭素に芳香族炭化水素、および飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基、または飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基などを直接結合することで、化合物中の炭素含有量が高くなり、これを含むハードマスク組成物中の炭素含有量を高めてこれから形成されたハードマスク層の耐エッチング性を改善することができる。
【0054】
また、本発明の一実施形態による化合物は、第4級炭素を含み、第4級炭素にヒドロキシ基、またはアルコキシ基を結合することで、上記化合物の溶媒に対する溶解性を改善することができ、これを含むハードマスク組成物をスピンオンコーティング工程に効果的に適用することができる。しかも、上記ヒドロキシ基、またはアルコキシ基は化合物間の架橋を助けることができ、上記化合物を含む組成物に優れた架橋特性を示すことができる。また、上記化合物が、熱処理時に短時間内に大きな分子量を有する高分子形態で架橋されることによって、これから形成されるハードマスク層は優れた耐熱性、および優れた耐エッチング性を有し得る。
【0055】
上記化学式1中のAr1およびAr2は、それぞれ独立して、置換または非置換の、下記グループ1から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つを有する基であり得る:
【0056】
【0057】
例えば、上記化学式1中のA1およびA2は、それぞれ独立して、置換または非置換の、下記グループ1-1から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つを有する基である:
【0058】
【0059】
一例として、上記化学式1中のA1は、置換または非置換の、下記グループ1-2から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つを有する基であり、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、またはコロネンであり、例えば、ベンゼン、ピレン、またはコロネンであるが、これらに限定されない:
【0060】
【0061】
一例として、上記化学式1中のA2は、それぞれ独立して、置換または非置換の、下記グループ1-3から選択されるモイエティのうちの少なくとも1つを有する基であり、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、またはピレンであり、例えば、ベンゼン、またはピレンであるが、これらに限定されない:
【0062】
【0063】
上記化学式1中のR1は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり、例えば、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり、例えば、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基であるが、これらに限定されない。
【0064】
上記化学式1中のR1が水素原子ではなく、上記に列記された置換基を有することによって、本発明による化合物の炭素含有量を増加させることができる。
【0065】
上記化学式1中のR2は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基であり、例えば、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換のメチル基、置換もしくは非置換のエチル基、置換もしくは非置換のプロピル基、置換もしくは非置換のブチル基、または置換もしくは非置換のペンチル基であり、例えば、水素原子、重水素原子、置換もしくは非置換のメチル基、または置換もしくは非置換のエチル基であり、例えば、水素原子、または重水素原子であり、これらに限定されない。
【0066】
上記化学式1中のnは、1~6の整数のうちの1つであり、例えば、1~3の整数のうちの1つであり、例えば、nは2または3であり、例えば、nは2であり、これらに限定されない。上記化学式1中のnが2である場合、本発明の上記化学式1で表される化合物の溶媒に対する溶解度を最適化することができ、かつ、上記化合物を含むハードマスク組成物から形成されたハードマスク層が良好な耐エッチング性を有することができる。
【0067】
上記化学式1中のnが2以上の整数であるとき、化学式1中に存在するR1は互いに同一でも異なっていてもよく、化学式1中に存在するR2は互いに同一でも異なっていてもよく、化学式1中に存在するA2は、互いに同一でも異なっていてもよい。つまり、nが2以上である場合、2以上のR1それぞれは、互いに同一でも異なっていてもよく、または一部が同一の基であり残りが異なる基であってもよく、2以上のR2それぞれは、互いに同一でも異なっていてもよく、または一部が同一の基であり残りが異なる基であってもよく、2以上のAr2それぞれは、互いに同一でも異なっていてもよく、または一部が同一の基であり残りが異なる基であってもよいことを意味する。
【0068】
一実施形態では、上記化学式1で表される化合物は、下記化学式2~化学式4で表される化合物のうちの少なくとも1つである:
【0069】
【0070】
上記化学式2~上記化学式4中のR1は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素原子数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素原子数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素原子数3~20のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素原子数6~20の芳香族炭化水素基であり、
R2は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基であり、
X1およびX2は、それぞれ独立して、重水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、チオール基、置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルコキシ基、または置換もしくは非置換の炭素原子数1~10のアルキル基であり、
nは、それぞれ独立して、1~3の整数のうちの1つであり、
m1、およびm2は、それぞれ独立して、0~5の整数のうちの1つである。
【0071】
一例として、上記化学式1で表される化合物は、下記化学式5~化学式10で表される化合物のうちの少なくとも1つである:
【0072】
【0073】
【0074】
上記化学式1で表される化合物は、500g/mol~10,000g/molの分子量を有し得る。例えば、500g/mol~9,500g/mol、例えば、500g/mol~9,000g/mol、例えば、600g/mol~8,500g/mol、例えば、600g/mol~8,000g/mol、例えば、700g/mol~7,500g/mol、例えば、700g/mol~7,000g/molの分子量を有することができるが、これらに限定されない。上記範囲の分子量を有することによって、上記化合物を含むハードマスク組成物の炭素含有量および溶媒に対する溶解度を調節して最適化することができる。
【0075】
上記化学式1で表される化合物は、従来公知の合成方法を適宜参照して合成することができる。より具体的には、実施例に記載の合成方法を参照しながら、当業者であれば容易に合成することができる。
【0076】
上記化学式1で表される化合物は、上記ハードマスク組成物の総質量を基準として0.1質量%~30質量%含まれ得る。例えば、0.2質量%~30質量%、例えば、0.5質量%~30質量%、例えば、1質量%~30質量%、例えば、1質量%~25質量%、例えば、1質量%~20質量%であり得るが、これらに限定されない。組成物中に上記の範囲で化学式1で表される化合物が含まれることによって、ハードマスクの厚さ、表面粗さ、および平坦化特性などを容易に調節することができる。
【0077】
本発明の一実施形態によるハードマスク組成物は、溶媒を含むことができ、溶媒としては、例えば、プロピレングリコール、プロピレングリコールジアセテート、メトキシプロパンジオール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、エチルラクテート、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリジノン、アセチルアセトン、またはエチル3-エトキシプロピオネートなどから選択される少なくとも1つを含むことができるが、これらに限定されない。上記溶媒は、上記化合物に対する十分な溶解性および/または分散性を有するものであれば、特に限定されない。
【0078】
上記ハードマスク組成物は、界面活性剤、架橋剤、熱酸発生剤、可塑剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0079】
上記界面活性剤としては、例えば、フルオロアルキル系化合物、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール、第4級アンモニウム塩などを使用することができるが、これらに限定されない。
【0080】
上記架橋剤としては、例えば、メラミン系、置換尿素系、またはこれらポリマー系などが挙げられる。好ましくは、少なくとも2個の架橋形成置換基を有する架橋剤であり、例えば、メトキシメチル化グリコールウリル、ブトキシメチル化グリコールウリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグアナミン、ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、メトキシメチル化チオ尿素、またはブトキシメチル化チオ尿素などの化合物を使用することができる。
【0081】
また、上記架橋剤としては、耐熱性が高い架橋剤を使用することができる。耐熱性が高い架橋剤としては、例えば、分子内に芳香族環(例えばベンゼン環、ナフタレン環)を有する架橋形成置換基を含有する化合物を使用することができる。
【0082】
上記熱酸発生剤としては、例えば、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp-トルエンスルホン酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸などの酸性化合物または/および2,4,4,6-テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、その他有機スルホン酸アルキルエステルなどを使用することができるが、これらに制限されない。
【0083】
本発明の他の態様によれば、上述したハードマスク組成物の硬化物を含むハードマスク層を提供する。
【0084】
以下、上述したハードマスク組成物を使用してパターンを形成する方法について説明する。
【0085】
本発明の一実施形態によるパターン形成方法は、基板上に材料層を形成する段階と、上記材料層の上に上述した化合物および溶媒を含むハードマスク組成物を塗布する段階と、上記ハードマスク組成物を熱処理してハードマスク層を形成する段階と、上記ハードマスク層の上にフォトレジスト層を形成する段階と、上記フォトレジスト層を露光および現像してフォトレジストパターンを形成する段階と、上記フォトレジストパターンを利用して上記ハードマスク層を選択的に除去して上記材料層の一部を露出させる段階と、上記材料層の露出した部分をエッチングする段階と、を含む。
【0086】
上記基板は、例えばシリコンウェーハ、ガラス基板または高分子基板であり得る。上記材料層は、最終的にパターンしようとする材料であり、例えば、アルミニウム、銅などの金属層、シリコンなどの半導体層、または酸化ケイ素、窒化ケイ素などの絶縁層であり得る。上記材料層は、例えば、化学気相蒸着法で形成され得る。
【0087】
上記ハードマスク組成物は、上述したとおりであり、溶液の形態で製造されてスピンコーティング法で塗布され得る。このとき、上記ハードマスク組成物を塗布する際の厚さは特に限定されないが、例えば、50~200,000Åの厚さに塗布され得る。
【0088】
上記ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1,000℃で10秒~1時間行うことができる。一例として、上記ハードマスク組成物を熱処理する段階は、複数の熱処理段階を含むことができ、例えば、1次熱処理段階、および2次熱処理段階を含むことができる。
【0089】
一実施形態では、上記ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1000℃で10秒~1時間行われる1つの熱処理段階を含むことができ、一例として、上記熱処理段階は、空気、または窒素雰囲気下で行うことができ、または酸素濃度が1質量%以下の雰囲気下で行うことができる。
【0090】
一実施形態では、上記ハードマスク組成物を熱処理する段階は、例えば、100℃~1,000℃、例えば、100℃~800℃、例えば、100℃~500℃、例えば、150℃~400℃の温度において、例えば30秒~1時間、例えば30秒~30分、例えば30秒~10分、例えば30秒~5分間行われる1次熱処理段階を含む。
【0091】
また、例えば、100℃~1,000℃、例えば、300℃~1,000℃、例えば、500℃~1,000℃、例えば、500℃~600℃において、例えば30秒~1時間、例えば30秒~30分、例えば30秒~10分、例えば30秒~5分間行われる2次熱処理段階を連続的に含むことができる。一例として、上記1次および2次熱処理段階は、空気、または窒素雰囲気下で行うことができ、または酸素濃度が1質量%以下の雰囲気下で行うことができる。
【0092】
上記ハードマスク組成物を熱処理する段階のうちの少なくとも1つの段階を200℃以上の高温で行うことによって、エッチング工程を含む後続工程で曝露されるエッチングガスおよび化学液に耐えることができる高い耐エッチング性を示すことができる。
【0093】
一実施形態では、上記ハードマスク層を形成する段階は、紫外可視(UV/Vis)硬化段階および/または近赤外線(near IR)硬化段階を含むことができる。
【0094】
一実施形態では、上記ハードマスク層を形成する段階は、上記1次熱処理段階、2次熱処理段階、UV/Vis硬化段階、およびnear IR硬化段階のうちの少なくとも1つの段階を含むか、または2つ以上の段階を連続的に含むことができる。
【0095】
一実施形態では、上記ハードマスク層の上にシリコン含有薄膜層を形成する段階をさらに含むことができる。上記シリコン含有薄膜層は、例えばSiCN、SiOC、SiON、SiOCN、SiC、SiOおよび/またはSiNなどの物質で形成することができる。
【0096】
一実施形態では、上記フォトレジスト層を形成する段階の前に、上記シリコン含有薄膜層上部またはハードマスク層上部に下層反射防止膜(BARC)をさらに形成することもできる。
【0097】
一実施形態では、上記フォトレジスト層を露光する段階は、例えば、ArF、KrFまたはEUVなどを使用して行うことができる。また、露光後、100℃~700℃で熱処理工程を行うことができる。
【0098】
一実施形態では、上記材料層の露出した部分をエッチングする段階は、エッチングガスを使用した乾式エッチングで行うことができ、エッチングガスは、例えば、N2/O2、CHF3、CF4、Cl2、BCl3、およびこれらの混合ガスを使用することができる。
【0099】
上記エッチングされた材料層は、複数のパターンで形成され得て、上記複数のパターンは、金属パターン、半導体パターン、絶縁パターンなど、多様化することができ、例えば、半導体集積回路デバイス内の多様なパターンとして適用され得る。
【実施例0100】
以下、実施例を通じて上述した本発明の実施形態をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、単に説明の目的のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0101】
化合物の合成
合成例1
第1工程:フリーデル・クラフツアシル化反応
フラスコにピレン9.48g(0.05mol)、ピレンカルボン酸クロリド25.00g(0.09mol)、および1,2-ジクロロエタン237.92gを添加して溶液を準備した。上記溶液に塩化アルミニウム25.00g(0.19mol)を徐々に添加した後、室温で10時間攪拌した。反応終了後、そこにメタノール(Methanol)を加え、形成された沈殿物をろ別して、ビス(ピレニルカルボニル)ピレンを得た。
【0102】
第2工程:グリニャール反応
フラスコに上記で得られたビス(ピレニルカルボニル)ピレン30.00g(0.05mol)、およびテトラヒドロフラン235.73gを添加して溶液を準備した。上記溶液にメチルマグネシウムブロミド21.74g(0.18mol)を室温で徐々に添加した後、60℃に昇温して4時間攪拌した。反応終了後、得られた反応溶液を1%塩酸でpH7に中和した。次いで、酢酸エチルで抽出して、下記化学式5で表される化合物Aを得た(分子量=690.84g/mol)。
【0103】
【0104】
合成例2
第2工程でメチルマグネシウムブロミド21.74g(0.18mol)の代わりに、プロピルマグネシウムブロミド26.83g(0.18mol)を使用したことを除いては、上記合成例1と同様の方法で、下記化学式6で表される化合物Bを得た(分子量=746.95g/mol)。
【0105】
【0106】
合成例3
第1工程:フリーデル・クラフツアシル化反応
フラスコに4-メトキシピレン10.73g(0.05mol)、ピレンカルボン酸クロリド24.76g(0.09mol)、および1,2-ジクロロエタン239.88gを添加して溶液を準備した。上記溶液に塩化アルミニウム24.63g(0.18mol)を徐々に添加した後、室温で4時間攪拌した。反応終了後、そこにメタノールを加え、形成された沈殿物をろ別して、ビス(ピレニルカルボニル)メトキシピレンを得た。
【0107】
第2工程:脱メチル化反応
フラスコに上記で得られたビス(ピレニルカルボニル)メトキシピレン28.00g(0.04mol)、1-ドデカンチオール24.68g(0.12mol)、水酸化カリウム9.12g(0.16mol)、およびN,N-ジメチルホルムアミド247.20gを入れて90℃で6時間攪拌した。攪拌後、これを冷却し、1%塩酸でpH7に中和し、形成された沈殿物をろ別して、ビス(ピレニルカルボニル)ヒドロキシピレンを得た。
【0108】
第3工程:グリニャール反応
フラスコに上記で得られたビス(ピレニルカルボニル)ヒドロキシピレン26.02g(0.04mol)、およびテトラヒドロフラン240.00gを添加して溶液を準備した。上記溶液にプロピルマグネシウムブロミド33.96g(0.23mol)を室温で徐々に添加した後、60℃に昇温して12時間攪拌した。反応終了後、得られた反応溶液を1%塩酸でpH7に中和した。次いで、酢酸エチルで抽出して、下記化学式7で表される化合物Cを得た(分子量=762.95g/mol)。
【0109】
【0110】
合成例4
第2工程でメチルマグネシウムブロミド21.74g(0.18mol)の代わりに、イソプロピルマグネシウムブロミド26.83g(0.18mol)を使用したことを除いては、上記合成例1と同様の方法で、下記化学式8で表される化合物Dを得た(分子量=746.95g/mol)。
【0111】
【0112】
合成例5
第1工程:フリーデル・クラフツアシル化反応
フラスコにテレフタロイルクロリド20.60g(0.10mol)、1-メトキシピレン47.00g(0.20mol)、および1,2-ジクロロエタン221.00gを添加して溶液を準備した。上記溶液に塩化アルミニウム27.00g(0.20mol)を常温で徐々に添加した後、60℃に昇温して8時間攪拌した。反応終了後、上記溶液にメタノールを加え、形成された沈殿物をろ過して、ビス(メトキシピレニルカルボニル)ベンゼンを得た。
【0113】
第2工程:脱メチル化反応
フラスコに上記で得られたビス(メトキシピレニルカルボニル)ベンゼン53.50g(0.09mol)、1-ドデカンチオール91.10g(0.45mol)、水酸化カリウム30.30g(0.54mol)、およびN,N-ジメチルホルムアミド262.00gを入れて120℃で8時間攪拌した。攪拌後、これを冷却し、1%塩酸でpH7に中和し、形成された沈殿物をろ別して、ビス(ヒドロキシピレニルカルボニル)ベンゼンを得た。
【0114】
第3工程:グリニャール反応
フラスコに上記で得られたビス(ヒドロキシピレニルカルボニル)ベンゼン18.44g(0.03mol)、およびテトラヒドロフラン258.87gを添加して溶液を準備した。上記溶液にプロピルマグネシウムブロミド38.89g(0.26mol)を室温で徐々に添加した後、60℃に昇温して12時間攪拌した。反応終了後、1%塩酸でpH7に中和し、酢酸エチルで抽出して、下記化学式9-1で表される化合物Eを得た(分子量=654.81g/mol)。
【0115】
【0116】
合成例6
第1工程:フリーデル・クラフツアシル化反応
フラスコにコロネン50.00g(0.17mol)、4-メトキシベンゾクロリド56.80g(0.34mol)、および1,2-ジクロロエタン353.00gを添加して溶液を準備した。上記溶液に塩化アルミニウム44.4g(0.34mol)を常温で徐々に添加した後、60℃に昇温して8時間攪拌した。反応終了後、上記溶液にメタノールを加え、形成された沈殿物をろ過して、ビス(メトキシベンゾイル)コロネンを得た。
【0117】
第2工程:脱メチル化反応
フラスコに上記で得られたビス(メトキシベンゾイル)コロネン50.00g(0.88mol)、1-ドデカンチオール89.00g(0.44mol)、水酸化カリウム29.60g(0.53mol)、およびN,N-ジメチルホルムアミド253.00gを入れて120℃で8時間攪拌した。攪拌後、これを冷却し、1%塩酸でpH7に中和し、形成された沈殿物をろ別して、ビス(ヒドロキシベンゾイル)コロネンを得た。
【0118】
第3工程:グリニャール反応(Grignard reaction)
フラスコに上記で得られたビス(ヒドロキシベンゾイル)コロネン(bis(hydroxybenzoyl)coronene)17.86g(0.03mol)、およびテトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran)258.87gを添加して溶液を準備した。上記溶液にプロピルマグネシウムブロミド(Propylmagnesium Bromide)38.97g(0.26mol)を室温で徐々に添加した後、60℃に昇温して12時間攪拌した。反応終了後、1%塩化水素水溶液(Hydrogen chloride solution)でpH7に中和し、酢酸エチル(Ethyl acetate)で抽出して、下記化学式10-1で表される化合物Fを得た(分子量=628.77g/mol)。
【0119】
【0120】
比較合成例1
第1工程:フリーデル・クラフツアシル化反応
フラスコにコロネン50.0g(0.166mol)、4-メトキシベンゾイルクロリド(4-Methoxybenzoyl chloride)56.8g(0.333mol)、および1,2-ジクロロエタン(1,2-Dichloroethane)353gを添加して溶液を準備した。上記溶液に塩化アルミニウム(Aluminium chloride)44.4g(0.333mol)を常温で徐々に添加した後、60℃に昇温して8時間攪拌した。反応終了後、上記溶液にメタノール(Methanol)を加え、形成された沈殿物をろ過して、二置換の4-メトキシベンゾイルコロネン(4-methoxybenzoyl coronene)を得た。
【0121】
第2工程:脱メチル化反応
フラスコに上記で得られた二置換の4-メトキシベンゾイルコロネン50.0g(0.880mol)、1-ドデカンチオール89.0g(0.440mol)、水酸化カリウム(Potassium hydroxide)29.6g(0.528mol)、およびN,N-ジメチルホルムアミド53gを入れて120℃で8時間攪拌した。攪拌後、これを冷却し、10%塩酸でpH7に中和し、酢酸エチルで抽出して、二置換の4-ヒドロキシベンゾイルコロネンを得た。
【0122】
第3工程:還元反応
フラスコに上記で得られた二置換の4-ヒドロキシベンゾイルコロネン25.0g(0.0463mol)とテトラヒドロフラン170gを添加して溶液を準備した。上記溶液に水素化ホウ素ナトリウム水溶液17.5g(0.463mol)を徐々に加えて常温で24時間攪拌した。反応終了後、10%塩酸でpH7に中和し、酢酸エチルで抽出して、下記化学式11で表される化合物Gを得た(分子量=544.61g/mol)。
【0123】
【0124】
ハードマスク組成物の製造
実施例1~6および比較例1
上記合成例1~6、および比較合成例1で得られたそれぞれの化合物A~化合物Gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とシクロヘキサノンとを3:7の体積比で混合した溶媒に均一に溶かして、化合物の含有量が10.0質量%であるハードマスク組成物を製造した。
【0125】
評価1:耐熱性の評価
シリコンウェーハの上に実施例1~6、および比較例1によるハードマスク組成物をそれぞれスピンコーティング法でコーティングした後、ホットプレートの上で160℃で1分間熱処理してハードマスク層を形成した。K-MAC社製の薄膜厚さ測定装置で上記ハードマスク層の厚さを測定した。次に、上記ハードマスク層を400℃で2分間再熱処理した後、ハードマスク層の厚さを測定した。400℃で2分間再熱処理する前と後とのハードマスク層の厚さの変化率が、5%未満の場合「A(非常に良好)」、5%以上10%未満の場合「B(良好)」、10%以上の場合「C(不良)」と評価した。その結果を下記表1に示す。
【0126】
【0127】
上記表1を参照すると、実施例1~6による組成物から形成されたハードマスク層は、再熱処理する前と後との厚さの変化率が5%未満であり、比較例1による組成物から形成されたハードマスク層は、再熱処理する前と後との厚さの変化率が10%以上であることを確認した。つまり、実施例による組成物から形成されたハードマスク層の耐熱性が、比較例による組成物から形成されたハードマスク層より優れていることを確認することができた。
【0128】
評価2:ギャップフィル特性
パターン化されたシリコンウェーハの上に実施例1~6、および比較例1によるハードマスク組成物をそれぞれスピンコーティング法でコーティングし、400℃で60秒間熱処理してハードマスク層を形成した。電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いてハードマスク層のパターン断面イメージを観察し、ボイド(Void)発生の有無を確認した。その結果を下記表2に示す。
【0129】
【0130】
上記表2を参照すると、実施例1~6によるハードマスク組成物から形成されたハードマスク層にはボイドが発生しない反面、比較例1によるハードマスク組成物から形成されたハードマスク層にはボイドが発生したことを確認した。これにより、実施例によるハードマスク組成物から形成されたハードマスク層のギャップフィル特性が、比較例によるハードマスク組成物から形成されたハードマスク層より優れていることが分かった。
【0131】
評価3:平坦化特性
パターン化されたシリコンウェーハの上に実施例1~6、および比較例1によるハードマスク組成物をスピンコーティング法でコーティングし、400℃で60秒間熱処理した後、電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いてパターン断面イメージを観察した。上記パターン断面イメージに現れたハードマスク層の厚さを測定し、
図1の計算式により平坦化特性を数値化した。比較例1による組成物から形成されたハードマスク層の平坦性に対する実施例1~6による組成物から形成されたハードマスク層の平坦化特性の比率で平坦化特性を評価した。上記比率が、5%未満である場合「A(非常に良好)」、5%以上10%未満である場合「B(良好)」、10%以上である場合「C(不良)」と評価した。その結果を下記表3に示す。
【0132】
【0133】
評価4:耐エッチング性
シリコンウェーハの上に実施例1~6、および比較例1によるハードマスク組成物をスピンコーティング法でコーティングした後、ホットプレートの上で160℃で1分間熱処理してハードマスク層を形成した。上記ハードマスク層をCF4/Arの混合気体を用いて30秒間乾式エッチングし、エッチング前後のハードマスクの厚さをK-MAC社製の薄膜厚さ測定装置で測定してエッチング速度を計算した。比較例1による組成物から形成されたハードマスク層のエッチング速度に対する実施例1~6による組成物から形成されたハードマスク層のエッチング速度の比率で耐エッチング性を評価した。具体的には、上記比率が、0.95未満である場合「A(非常に良好)」、0.95以上1.00未満である場合「B(良好)」、1.00以上である場合「C(不良)」と評価した。その結果を下記表4に示す。
【0134】
【0135】
上記表4を参照すると、上記比較例1による組成物から形成されたハードマスク層のエッチング速度に対する実施例1~6による組成物から形成されたハードマスク層のエッチング速度が0.95未満であることを確認した。したがって、実施例1~6による組成物から形成されたハードマスク層の耐エッチング性が、比較例1による組成物から形成されたハードマスク層より優れていることが分かった。