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特開2024-144318エポキシ樹脂組成物、硬化物、制振材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144318
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】エポキシ樹脂組成物、硬化物、制振材
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/20 20060101AFI20241003BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C08G59/20
F16F15/02 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024050114
(22)【出願日】2024-03-26
(31)【優先権主張番号】P 2023053054
(32)【優先日】2023-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142309
【弁理士】
【氏名又は名称】君塚 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】小池 亜依
(72)【発明者】
【氏名】松村 一成
【テーマコード(参考)】
3J048
4J036
【Fターム(参考)】
3J048BD01
3J048BD04
3J048BD07
4J036AA05
4J036AC01
4J036AD07
4J036AD08
4J036AE05
4J036AF06
4J036AH00
4J036AJ08
4J036AK08
4J036AK10
4J036AK11
4J036DA01
4J036DA02
4J036DB06
4J036DB15
4J036DC02
4J036DC35
4J036DC38
4J036DC41
4J036DC46
4J036DD07
4J036DD09
4J036FB03
4J036FB07
4J036HA11
4J036JA15
(57)【要約】
【課題】制振性能が要求される一般的な温度範囲である-40℃~70℃において、制振性能に優れた硬化物を得ることができるエポキシ樹脂組成物とその硬化物、制振材を提供することを目的とする。
【解決手段】(メタ)アクリル系グラフト共重合体(A)、エポキシ樹脂(B)及び硬化剤(C)を含有するエポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂組成物の硬化物が、-40℃~70℃の温度範囲に強度が0.15以上のtanδピークを有するエポキシ樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル系グラフト共重合体(A)、エポキシ樹脂(B)及び硬化剤(C)を含有するエポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂組成物の硬化物が、-40℃~70℃の温度範囲に強度が0.15以上のtanδピークを有する、エポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
さらに硬化促進剤(D)を含有する、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
前記エポキシ樹脂組成物の硬化物が、100℃以上にtanδピークを有する、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
前記(メタ)アクリル系グラフト共重合体(A)が、マクロモノマー(M)由来の構成単位及びビニル系ラジカル重合性単量体(a1)由来の構成単位を含有する、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
前記マクロモノマー(M)が、下記式(1)で表される構造を有する、請求項4に記載のエポキシ樹脂組成物。
【化1】
(式(1)中、X~Xn-1は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基又はCHOHであり、Y~Yは、それぞれ独立して、前記マクロモノマー(M)のモノマー構成単位であるビニル系ラジカル重合性単量体(a2)のビニル基に結合するX~Xn-1以外の置換基であり、Zは末端基であり、nは2~10000の整数である。)
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
【請求項7】
請求項6に記載の硬化物からなる制振材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂組成物、硬化物、制振材に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は、剛性、耐熱性、電気的特性、耐久性等に優れるため、土木・建築用途、車両用途、電子材料用途、工業用途等に用いられる部材や成形材料、繊維強化プラスチック等に用いられている。
近年、これらの用途で騒音や振動の低減を目的とした制振材としての性能が求められており、エポキシ樹脂に制振性を付与するために、ガラス転移温度が低く、常温でゴム状のポリマー等を配合することが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、熱硬化性樹脂とグラフト共重合体とを含有した制振用熱硬化性樹脂組成物が提案されており、グラフト共重合体を構成する熱可塑性エラストマーが常温を含む広い温度範囲で粘弾性による制振特性に優れるため、制振用熱硬化性樹脂組成物の硬化物が制振性能を発揮することが記載されている。
また、特許文献2には、エポキシ樹脂組成物を強化繊維に含浸させたプリプレグが提案されており、制振性の高いアクリル系ブロック共重合体をエポキシ樹脂組成物に含有させることで、前記プリプレグを硬化してなる成形物が優れた制振性能を発揮することが記載されている。
【0004】
特許文献3には、非極性ポリマーと、アクリル樹脂等の粘弾性ポリマーとを含有した複合樹脂組成物が提案されており、制振特性を有する粘弾性ポリマーが複合樹脂組成物中で共連続相構造を形成することで制振性能を高度に満足することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-3819号公報
【特許文献2】特開2020-50833号公報
【特許文献3】特開2003-105060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1~3に記載の樹脂組成物は、必ずしも制振性能を満足するものではない。
【0007】
本発明は、制振性能が要求される一般的な温度範囲である-40℃~70℃において、制振性能に優れた硬化物を得ることができるエポキシ樹脂組成物とその硬化物、制振材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の態様を有する。
[1] (メタ)アクリル系グラフト共重合体(A)、エポキシ樹脂(B)及び硬化剤(C)を含有するエポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂組成物の硬化物が、-40℃~70℃の温度範囲に強度が0.15以上のtanδピークを有するエポキシ樹脂組成物。
[2] さらに硬化促進剤(D)を含有する、[1]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[3] 前記エポキシ樹脂組成物の硬化物が、100℃以上にtanδピークを有する、[1]又は[2]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[4] 前記(メタ)アクリル系グラフト共重合体(A)が、マクロモノマー(M)由来の構成単位及びビニル系ラジカル重合性単量体(a1)由来の構成単位を含有する、[1]~[3]のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
[5] 前記マクロモノマー(M)が、下記式(1)で表される構造を有する、[4]に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0009】
【化1】
【0010】
(式(1)中、X~Xn-1は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基又はCHOHであり、Y~Yは、それぞれ独立して、前記マクロモノマー(M)のモノマー構成単位であるビニル系ラジカル重合性単量体(a2)のビニル基に結合するX~Xn-1以外の置換基であり、Zは末端基であり、nは2~10000の整数である。)
[6] [1]~[5]のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
[7] [6]に記載の硬化物からなる制振材。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、制振性能が要求される一般的な温度範囲である-40℃~70℃において、制振性能に優れた硬化物を得ることができるエポキシ樹脂組成物とその硬化物、制振材を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための単なる例示であって、本発明をこの実施の形態にのみ限定することは意図されない。本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、様々な態様で実施することが可能である。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び「メタクリル」の総称である。「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び「メタクリレート」の総称である。「(メタ)アクリロイル基」は「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の総称であり、CH=C(R)-C(=O)-(Rは水素原子又はメチル基)で表される基である。
「マクロモノマー」とは、ラジカル重合性基又は付加反応性の官能基を有する化合物を意味する。数平均分子量(Mn)は、通常1000~1000000である。
「ビニル系ラジカル重合性単量体」とは、マクロモノマーではないエチレン性不飽和結合を有する単量体を意味する。
「硬化物」とは、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物のことである。
【0013】
[エポキシ樹脂組成物]
本発明のエポキシ樹脂組成物は、以下に示す(メタ)アクリル系グラフト共重合体(A)(以下「(A)成分」ともいう。)、エポキシ樹脂(B)(以下、「(B)成分」ともいう。)及び硬化剤(C)(以下、「(C)成分」ともいう。)を含む。本発明のエポキシ樹脂組成物は、さらに硬化促進剤(D)(以下、「(D)成分」ともいう。)を含んでもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、(A)成分~(D)成分以外の成分(以下、「任意成分」ともいう。)を含んでいてもよい。
【0014】
<(A)成分>
(A)成分は、構成単位の少なくとも一部が(メタ)アクリル系単量体由来の構成単位であるグラフト共重合体である。(A)成分は、(メタ)アクリル系単量体以外のビニル系ラジカル重合性単量体(例えばスチレン等)由来の構成単位をさらに含んでいてもよい。
【0015】
(A)成分は、主鎖ポリマー構造と、主鎖ポリマー構造(幹ポリマー構造)に化学結合する側鎖ポリマー構造(枝ポリマー構造)で構成されたグラフト共重合体である。本明細書において、「グラフト共重合体」とは、主鎖ポリマー構造に、側鎖ポリマー構造として接続された1種以上のブロックを持つ高分子である。主鎖ポリマーと側鎖ポリマーの構造は、異なってもよいし、同じであってもよい。
【0016】
グラフト共重合体の製造方法としては特に限定されないが、末端にラジカル重合性二重結合を有するマクロモノマーを側鎖ポリマー構造として製造した後に、主鎖ポリマーの構成単位となるモノマーと共にラジカル重合する方法や、反応点を有する主鎖ポリマーと反応点を有するマクロモノマーを予め製造した後、それらを反応させる方法、主鎖ポリマーの製造後に水素引き抜き能を有する開始剤を使用して主鎖ポリマー上にラジカルを発生させ、側鎖ポリマーの構成単位となるモノマーを反応させて側鎖ポリマー構造を製造する方法等が挙げられる。
【0017】
(A)成分は、ビニル系ラジカル重合性単量体(a1)(以下、「(a1)成分」ともいう。)由来の構成単位と、マクロモノマー(M)(以下、「(M)成分」ともいう。)由来の構成単位を含むことが好ましい。
【0018】
(a1)成分としては、例えば、単官能の(メタ)アクリレート、多官能の(メタ)アクリレート、単官能の(メタ)アクリレート及び多官能の(メタ)アクリレート以外のビニル系化合物(以下、「他のビニル系化合物」ともいう。)等が挙げられる。
【0019】
単官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、コハク酸2-(メタ)アクリロイルオキシエチル、マレイン酸2-(メタ)アクリロイルオキシエチル、フタル酸2-(メタ)アクリロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2-(メタ)アクリロイルオキシエチル等のカルボキシル基を含有する(メタ)アクリレート;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-プロピル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、n-ウンデシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレート、n-トリデシル(メタ)アクリレート、n-テトラデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、i-アミル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、i-ノニル(メタ)アクリレート、i-デシル(メタ)アクリレート、3-i-プロピルヘプチル(メタ)アクリレート、i-ウンデシル(メタ)アクリレート、2-t-ブチルヘプチル(メタ)アクリレート、i-ドデシル(メタ)アクリレート、i-トリデシル(メタ)アクリレート、i-テトラデシル(メタ)アクリレート等のアルキル基を有する(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、1、4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート等のシクロアルキル基を有する(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェニルフェニル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、(1-ナフチル)メチル(メタ)アクリレート等のアリール基を有する(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、(メタ)アクリレオイルモルフォリン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)(メタ)アクリレート、(5-エチル-1,3-ジオキサン-5-イル)メチル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基を有する(メタ)アクリレート;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、メトキエチルチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルオキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシ(メタ)アクリレート;3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2-(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
これら単官能の(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
多官能の(メタ)アクリレートの具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリカーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート、9,9-ビス[4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン等の2官能の(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス((メタ)アクロキシエチル)イソシアヌレート等の3官能の(メタ)アクリレート;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の4官能の(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の5官能の(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の6官能の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これら多官能の(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
他のビニル系化合物としては、単官能の(メタ)アクリレート及び多官能の(メタ)アクリレートと共重合可能であれば特に限定されないが、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン又はスチレン誘導体;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル;マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル等の不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル等が挙げられる。
これら他のビニル系化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】
(a1)成分としては、-40℃~70℃における制振特性を良好にできる点から、炭素数1~8のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリレートがより好ましく、炭素数1~4のアルキル基を有するメタクリレートがさらに好ましく、i-ブチルメタクリレートが特に好ましい。
【0023】
(A)成分の(B)成分への溶解性を向上できる点と、制振性を良好にできる点から、(A)成分の総量100質量%に対して、(a1)成分由来の構成単位を50~99質量%含有することが好ましく、70~98質量%含有することがより好ましく、85~97質量%以上含有することがさらに好ましい。
【0024】
(M)成分は、ラジカル重合性基又は付加反応性の官能基を有する高分子量化合物(マクロモノマー)である。
(M)成分としては、ラジカル重合性基又は付加反応性の官能基を有する高分子量化合物であれば特に限定はされないが、(A)成分の(B)成分への溶解性に対する設計度の高さの点から、ビニル系ラジカル重合性単量体(a2)(以下、「(a2)成分」ともいう。)由来の構成単位を含む化合物であることが好ましく、(a2)成分由来の構成単位を2つ以上含み、末端にラジカル重合性基を有する化合物であることがより好ましい。
【0025】
(a2)成分としては、(A)成分の(B)成分への溶解性が良好となる点から、環状エーテル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、エポキシ基を有する(メタ)アクリレートがより好ましく、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルがさらに好ましく、グリシジル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
(M)成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
(A)成分の(B)成分への溶解性を向上できる点と、制振性を良好にできる点から、(A)成分の総量100質量%に対して、(M)成分由来の構成単位を1~50質量%含有することが好ましく、2~30質量%含有することがより好ましく、3~15質量%含有することがさらに好ましい。
【0027】
(M)成分は、(a1)成分とのラジカル重合性に優れる点から、下記一般式(1)で表される構造を有することが好ましい。
【0028】
【化2】
【0029】
式(1)中、X~Xn-1は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基又はCHOHであり、Y~Yは、それぞれ独立して、前記マクロモノマー(M)のモノマー構成単位であるビニル系ラジカル重合性単量体(a2)のビニル基に結合するX~Xn-1以外の置換基であり、Zは末端基であり、nは2~10000の整数である。
なお、式(1)中の「-・・・-」は、単量体単位が重合している状態を表す。
【0030】
~Xn-1は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基又はCHOHであり、メチル基が好ましい。
合成し易さの点から、X~Xn-1の半数以上がメチル基であることが好ましい。
~Yは、それぞれ独立して、前記マクロモノマー(M)のモノマー構成単位であるビニル系ラジカル重合性単量体(a2)のビニル基に結合するX~Xn-1以外の置換基である。このような置換基としては、例えば、OR、ハロゲン原子、COR、COOR、CN、CONR、NHCOR、又はR等が挙げられる。なお、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、環状エーテル基、アリール基又はヘテロアリール基等である。
Zは末端基である。末端基としては、公知のラジカル重合で得られるポリマーの末端基と同様に、水素原子及びラジカル重合開始剤に由来する基が挙げられる。
nは(M)成分の1分子中における単量体単位の数を意味する。nは、2~10000の整数であり、5~1000の整数が好ましく、10~500の整数がより好ましい。
【0031】
(M)成分の数平均分子量(Mn)は、300~30000が好ましく、500~20000がより好ましく、1000~10000がさらに好ましい。(M)成分の数平均分子量が上記範囲内であれば、(B)成分への溶解性がより良好なものとなる。
(M)成分の質量平均分子量(Mw)は、500~100000が好ましく、1000~50000がより好ましく、2000~30000がさらに好ましい。(M)成分の質量平均分子量が上記範囲内であれば、(B)成分への溶解性がより良好なものとなる。
(M)成分のMw/Mnは、1~5が好ましく、1.5~3がより好ましい。(M)成分のMw/Mnが上記範囲内であれば、(B)成分への溶解性がより良好なものとなる。
なお、(M)成分の数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)は、それぞれゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値である。
【0032】
(M)成分は、公知の方法で製造したものを用いてもよく、市販のものを用いてもよい。
(M)成分の製造方法としては、例えば、コバルト連鎖移動剤を用いて製造する方法(米国特許4680352号明細書等)、α-ブロモメチルスチレン等のα置換不飽和化合物を連鎖移動剤として用いる方法(国際公開第1988/04304号)、重合性基を化学的に結合させる方法(特開昭60-133007号公報及び米国特許5147952号明細書等)、熱分解による方法(特開平11-240854号公報等)等が挙げられる。
(M)成分の製造方法としては、製造工程数が少なく、連鎖移動定数の高い触媒を使用する点で、コバルト連鎖移動剤を用いて製造する方法が好ましい。コバルト連鎖移動剤は連鎖移動定数が高いため、少量の添加で分子量が制御された(M)成分を得ることができる。
【0033】
コバルト連鎖移動剤としては、公知のコバルト錯体が使用できる。
コバルト連鎖移動剤の使用量は、(a1)成分及び(a2)成分100質量部に対して、0.00001~0.1質量部が好ましく、0.00005~0.05質量部がより好ましく、0.0001~0.02質量部がさらに好ましい。
【0034】
(A)成分及びマクロモノマー(M)の製造は、例えば、溶液重合、懸濁重合、乳化
重合、レドックス重合等の公知の方法で行うことができる。
【0035】
(A)成分の質量平均分子量(Mw)は、10000~1000000が好ましく、20000~800000がより好ましく、30000~600000がさらに好ましい。(A)成分の質量平均分子量が上記範囲内であれば、(A)成分の(B)成分への溶解性がより良好なものとなる。
(A)成分の数平均分子量(Mn)は、3000~300000が好ましく、50000~200000がより好ましく、10000~100000がさらに好ましい。(A)成分の数平均分子量が上記範囲内であれば、(A)成分の(B)成分への溶解性がより良好なものとなる。
(A)成分のMw/Mnは、1~20が好ましく、1.5~15がより好ましい。(A)成分のMw/Mnが上記範囲内であれば、(A)成分の(B)成分への溶解性がより良好なものとなる。
なお、(A)成分の数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)は、それぞれゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値である。
これら(A)成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
<(B)成分>
(B)成分は、エポキシ樹脂である。
(B)成分としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、(B)成分としては、前記エポキシ樹脂のプレポリマーやポリエーテル変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂のような前記エポキシ樹脂と他の重合体との共重合体、及び前記エポキシ樹脂の一部がエポキシ基を有する反応性希釈剤で置換されたものを挙げることもできる。
【0037】
反応性希釈剤としては、例えば、レゾルシングリシジルエーテル、t-ブチルフェニルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、1-(3-グリシドキシプロピル)-1,1,3,3,3-ペンタメチルシロキサン、N-グリシジル-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミン等のモノグリシジル化合物;2-(3,4)-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のモノ脂環式エポキシ化合物等が挙げられる。これら反応性希釈剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、液状で取り扱いやすい点と、ガラス転移温度が高く硬化物の耐熱性がより高まる点で、(B)成分としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。
これら(B)成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
<(C)成分>
(C)成分は、(B)成分を硬化させるものであり、エポキシ樹脂組成物の硬化性及び硬化物特性を調整するために用いられる。
(C)成分としては公知のものが使用でき、例えば、酸無水物、アミン化合物、フェノール化合物、潜在性硬化剤等が挙げられる。
【0039】
(C)成分の具体例としては、例えば、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート、ドデセニル無水コハク酸、ポリアゼライン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物等の酸無水物;2,5(2,6)-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ビス(4-アミノ-3-メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジエチルジフェニルメタン、ジエチルトルエンジアミン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン(3,3’-DDS)、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(4,4’-DDS)のようなジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)、ビスアニリン、ジメチルアニリン、トリエチレンジアミン、ジメチルベンジルアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアニリン、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジアミノビフェニル、2,4-ジアミノフェノール、2,5-ジアミノフェノール、o-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、2,3-トリレンジアミン、2,4-トリレンジアミン、2,5-トリレンジアミン、2,6-トリレンジアミン、3,4-トリレンジアミン、メチルチオトルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、ジシアンジアミド等のアミン化合物;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、及びこれらビスフェノール類のジアリル化物の誘導体等のフェノール化合物;カルボヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジヒドラジド、ヘキサデカンジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、2,6-ナフトエ酸ジヒドラジド、4,4’-ビスベンゼンジヒドラジド、1,4-ナフトエ酸ジヒドラジド、アミキュアVDH、アミキュアUDH(いずれも商品名、味の素社製)、クエン酸トリヒドラジド等のヒドラジド化合物等が挙げられる。
【0040】
これらの中でも、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性を良好なものにできる点から、(C)成分としては、アミン化合物、ヒドラジド化合物が好ましく、ジシアンジアミド、ヒドラジド化合物がより好ましい。
これら(C)成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
<(D)成分>
本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤(D)を含んでもよい。
(D)成分としては、エポキシ樹脂の熱硬化触媒として用いられている公知のものを使用することができ、例えば、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(DCMU)、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、イミダゾール化合物とエポキシ樹脂のアダクト類、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、ジアザビシクロウンデセン(DBU)等が挙げられる。
【0042】
これらの中でも、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性を良好なものにできる点と硬化物を得るのに充分な硬化性が得られる点から、(D)成分としては、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(DCMU)が好ましい。
これら(D)成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
<任意成分>
任意成分としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、n-オクタデシル-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリエチレングリコールビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチルホスファイト、トリ(2-エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスイソデシルホスファイト、トリストリデシルホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ジヘキシルスルフィド、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジトリデシル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステリアル-3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(β-ラウリルチオプロピオネート)等の酸化防止剤;シリコーンオイル、天然ワックス、合成ワックス等の離型剤;ガラスビーズ、結晶質シリカ、溶融シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナ、炭酸カルシウム等のフィラー;ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、セルロースナノファイバー等の繊維;三酸化アンチモン等の難燃剤;ハイドロタルサイト、希土類酸化物等のハロゲントラップ剤;カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤;シランカップリング剤;NBR、SBR、コアシェル構造を有するポリマー等のゴム材料;消泡剤;レオロジー調整剤:顔料;染料等が挙げられる。
これら任意成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
<含有量>
前記(A)~(D)成分の総質量を100質量%としたときの、各成分の好ましい含有量は以下の通りである。
(A)成分の含有量は、エポキシ樹脂組成物を作業性が良好な低粘度としつつ、硬化物の制振性をより高めることができることから、1~60質量%が好ましく、5~55質量%がより好ましく、10~50質量%がさらに好ましい。
(B)成分の含有量は、エポキシ樹脂組成物を作業性が良好な低粘度とすることができることから、20~90質量%が好ましく、30~80質量%がより好ましく、40~70質量%がさらに好ましい。
(C)成分の含有量は、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性を良好なものとしつつ、硬化物を得るのに充分な硬化性が得られることから、0.1~10質量%が好ましく、0.5~9質量%がより好ましく、1~8質量%がさらに好ましい。
(D)成分の含有量は、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性を良好なものとしつつ、硬化物を得るのに充分な硬化性が得られることから、0~5質量%が好ましく、0.01~3質量%がより好ましく、0.05~1質量%がさらに好ましい。
【0045】
<製造方法>
エポキシ樹脂組成物の製造方法に特に制限はなく、公知の方法を使用することができる。例えば、(A)成分、(B)成分及び(C)成分と、必要に応じて(D)成分と、任意成分とを同時に混合してもよく、一部の成分(例えば、(A)成分と(B)成分)を予め混合し、その混合物と残りの成分とを混合してもよい。
混合方法は特に限定されず、自転・公転ミキサー、三本ロール、ニーダー等の公知の混合機を用いることができる。
【0046】
[硬化物]
本発明の硬化物は、上述した本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させたものである。
エポキシ樹脂組成物の硬化方法としては特に限定されるものではなく、公知の手法を用いることができ、例えば、熱硬化法が用いられる。
熱硬化法でエポキシ樹脂組成物を硬化させる場合、エポキシ樹脂組成物に含まれる(C)成分の種類や量に応じて最適条件は異なるが、例えば50~250℃で0.1~10時間程度の加熱条件により、エポキシ樹脂組成物を硬化することが好ましい。
【0047】
<動的粘弾性測定>
本発明の硬化物は、制振性能が要求される一般的な温度範囲である-40℃~70℃において、tanδのピークを有し、ピーク強度が0.15以上である。tanδのピーク強度が高ければ、粘弾性挙動によって与えられた力学的エネルギーを熱エネルギーとして散逸させ、エネルギーをより減衰させることができる。
tanδのピーク強度は、0.20以上であることがより好ましく、0.25以上であることがさらに好ましく、0.30以上であることが特に好ましい。
【0048】
本発明の硬化物は、tanδのピークを-20℃~70℃の範囲に有することが好ましく、0℃~70℃の範囲に有することがより好ましく、10℃~70℃の範囲に有することがさらに好ましく、20℃~70℃の範囲に有することが特に好ましい。
【0049】
本発明の硬化物は、剛性と耐熱性を良好なものとできる点から、さらに100℃以上にtanδのピークを有することが好ましく、110℃以上にtanδのピークを有することがより好ましく、120℃以上にtanδのピークを有することがさらに好ましく、130℃以上にtanδのピークを有することが特に好ましい。
【0050】
<作用効果>
以上説明した本発明のエポキシ樹脂組成物は、上述した(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含み、必要に応じて(D)成分と、任意成分とを含むので、該エポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は、動的粘弾性測定によって得られる-40℃~70℃におけるtanδのピーク強度が0.15以上であり、優れた制振特性を有する。
【0051】
<用途>
本発明のエポキシ樹脂組成物は、高い制振性を有する硬化物が得られることから、制振材として有用である。
なお、本発明のエポキシ樹脂組成物の用途は上記に限定されるものではない。本発明のエポキシ樹脂組成物は他の用途に用いることもでき、例えば、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される各種の用途に用いることができる。そのような用途の例としては、塗料、コーティング剤、絶縁材料、封止剤等が挙げられる。
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物を含有する制振材について説明する。
【0052】
[制振材]
本発明の制振材は、上述した本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物からなる。
制振材の形状としては、シート、フィルム、コーティング、本発明のエポキシ樹脂組成物を繊維に含浸して硬化した繊維強化プラスチック等が挙げられる。制振材の用途としては、例えば、土木・建築用制振材、車両用制振材、電子材料用制振材等が挙げられる。
【実施例0053】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制限されるものではない。以下の各例において、特に断りがない限り「部」は「質量部」を示し、「%」は「質量%」を示す。
【0054】
[測定・評価方法]
<マクロモノマー(M)の分子量の測定>
(M)成分の分子量について、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC装置)(東ソー株式会社製、製品名「HLC-8320」)を用い、以下のようにして測定した。
(M)成分を濃度が0.2質量%になるようにテトラヒドロフラン(THF)に溶解してTHF溶液(1)を調製した。
東ソー株式会社製のカラム(TSKgel SuperHZM-M(内径4.6mm、長さ15cm)1本、HZM-M(内径4.6mm、長さ15cm)1本、HZ-2000(内径4.6mm、長さ15cm)1本、TSKguardcolumn SuperHZ-L(内径4.6mm、長さ3.5cm)1本)が装着されたGPC装置に上記のTHF溶液(1)10μLを注入し、流量:0.35mL/分、溶離液:安定剤としてジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を含有するTHF、カラム温度:40℃の条件で測定し、標準ポリスチレン換算にて質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を算出した。
【0055】
<(メタ)アクリル系グラフト共重合体(A)の分子量の測定>
(メタ)アクリル系グラフト共重合体(A)の分子量について、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC装置)(東ソー株式会社製、製品名「HLC-8320」)を用い、以下のようにして測定した。
(メタ)アクリル系グラフト共重合体(A)を濃度が0.2質量%になるようにテトラヒドロフラン(THF)に溶解してTHF溶液(2)を調製した。
東ソー株式会社製のカラム(TSKgel SuperHZM-H(内径6.0mm、長さ15cm)2本、TSKguardcolumn SuperHZ-H(内径4.6mm、長さ3.5cm)1本)が装着されたGPC装置に上記のTHF溶液(2)10μLを注入し、流量0.5mL/分、溶離液:安定剤としてBHTを含有するTHF、カラム温度:40℃の条件で測定し、標準ポリスチレン換算にて質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を算出した。
【0056】
<制振特性の評価>
エポキシ樹脂組成物を180℃で30分間加熱することで幅5mm×長さ30mm×厚み0.5mmの平板状の硬化物を得た。動的粘弾性測定装置(ユービーエム社製、製品名「Reogel-E4000」)を用いて、周波数1Hz、温度-100℃~200℃の範囲で測定した。得られた硬化物のtanδについて-40℃~70℃におけるピーク強度を取得し、制振性を評価した。-40℃~70℃におけるtanδのピーク強度が高いほど、制振特性に優れることを意味する。
【0057】
[分散剤]
<合成例1:分散剤(1)の合成>
撹拌機、冷却管、温度計及び窒素ガス導入管を備えた重合装置中に、脱イオン水900部、メタクリル酸2-スルホエチルナトリウム60部、メタクリル酸カリウム10部及びメタクリル酸メチル(MMA)12部を入れて撹拌し、重合装置内を窒素置換しながら、50℃に昇温した。その中に、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩0.08部を添加し、さらに60℃に昇温した。昇温後、滴下ポンプを使用して、MMAを0.24部/分の速度で75分間連続的に滴下した。反応溶液を60℃で6時間保持した後、室温に冷却して、透明な水溶液である固形分10%の分散剤(1)を得た。
【0058】
[連鎖移動剤]
<合成例2:連鎖移動剤(1)の合成>
撹拌装置を備えた合成装置中に、窒素雰囲気下で、酢酸コバルト(II)四水和物1.00g及びジフェニルグリオキシム1.93g、予め窒素バブリングにより脱酸素したジエチルエーテル80mLを入れ、室温で30分間撹拌した。次いで、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体10mLを加え、さらに6時間撹拌した。混合物をろ過し、固体をジエチルエーテルで洗浄し、15時間真空乾燥して、赤褐色固体である連鎖移動剤(1)2.12gを得た。
【0059】
<製造例1:マクロモノマー(m1)の製造>
撹拌機、冷却管、温度計及び窒素ガス導入管を備えた重合装置中に、脱イオン水145部、硫酸ナトリウム0.1部及び分散剤(1)(固形分10%)0.25部を入れて撹拌し、均一な水溶液とした。次に、ビニル系ラジカル重合性単量体(a2)としてMMA50部及び環状エーテル基を有する(メタ)アクリレートであるグリシジルメタクリレート(GMA)50部、連鎖移動剤(1)0.0040部、及び重合開始剤として1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日油株式会社製、商品名「パーオクタO」)2部加え、水性懸濁液とした。
次に、重合装置内を窒素置換し、80℃に昇温して3.5時間反応し、さらに重合率を上げるため、90℃に昇温して1時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却して、マクロモノマーを含む水性懸濁液を得た。この水性懸濁液をフィルタで濾過し、フィルタ上に残った残留物を脱イオン水で洗浄し、脱水し、40℃で16時間乾燥して、マクロモノマー(m1)を得た。
得られたマクロモノマー(m1)の分子量を測定した。結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
表1中の略号は以下の通りである。
・MMA:メチルメタクリレート(三菱ケミカル製、商品名「アクリエステルM」)。
・GMA:グリシジルメタクリレート(三菱ケミカル製、商品名「アクリエステルG」)。
・連鎖移動剤(1):合成例2で合成した連鎖移動剤。
・パーオクタO:1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日油株式会社製、商品名「パーオクタO」)。
【0062】
<製造例2:(メタ)アクリル系グラフト共重合体(A-1)の製造>
撹拌装置、温度計、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、初期仕込み溶剤として、メチルエチルケトン(MEK)55部、(M)成分として、マクロモノマー(m1)5部を入れ、窒素ガス通気下で外温を85℃に昇温した。外温が85℃に達し、内温が安定した後、MEK20部と、(a1)成分としてメチルアクリレート48部、i-ブチルメタクリレート47部、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(日油株式会社製、商品名:「ナイパーBMT-K40」)0.13部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後1時間保持した後、重合開始剤として1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日油株式会社製、商品名「パーオクタO」)0.5部及びMEK10部からなる混合物を1時間かけて添加した。その後、2時間保持した後、固形分((モノマー+溶剤仕込み量)中のモノマー仕込み量の割合)が50%になるようにMEKを添加した後、室温まで冷却して(メタ)アクリル系グラフト共重合体(A-1)溶液を得た。
得られた(メタ)アクリル系グラフト共重合体(A-1)の分子量を測定した。結果を表2に示す。
【0063】
<製造例3~10:(メタ)アクリル系グラフト共重合体(A-2)~(A-9)の製造>
(M)成分、(a1)成分の種類と配合量及び、初期仕込み溶剤の種類と配合量を表2に示す値に変更した以外は、製造例2と同様にして(メタ)アクリル系グラフト共重合体(A-2)~(A-9)の溶液を得た。
得られた(メタ)アクリル系グラフト共重合体(A-2)~(A-9)の分子量を測定した。結果を表2に示す。
【0064】
【表2】
【0065】
表2中の略号は以下の通りである。
・m1:製造例1で製造したマクロモノマー。
・MA:メチルアクリレート(三菱ケミカル社製、商品名「アクリル酸メチル」)。
・EA:エチルアクリレート(三菱ケミカル社製、商品名「アクリル酸エチル」)。
・n-BA:n-ブチルアクリレート(三菱ケミカル社製、商品名「アクリル酸ブチル」)。
・i-BMA:i-ブチルメタクリレート(三菱ケミカル社製、商品名「アクリルエステルIB)。
・GMA:グリシジルメタクリレート(三菱ケミカル製、商品名「アクリエステルG」)。
・IBXA:イソボルニルアクリレート(大阪有機化学工業社製、商品名「IBXA」)。
・MEK:メチルエチルケトン。
・IPA:イソプロピルアルコール。
【0066】
[実施例1]
製造例2で得られた(メタ)アクリル系グラフト共重合体(A-1)溶液100部に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名「jER828」)50部を混合し、真空乾燥機を用いてMEK及びIPAを減圧留去することで、(メタ)アクリル系グラフト共重合体(A-1)を50部含有する(メタ)アクリル系グラフト共重合体含有エポキシ樹脂を得た。
混合容器に、(A)成分及び(B)成分として(メタ)アクリル系グラフト共重合体含有エポキシ樹脂70部(内訳:(メタ)アクリル系グラフト共重合体(A-1)が35部、jER828が35部)と、(B)成分としてjER828を24部、(C)成分としてジシアンジアミド(三菱ケミカル株式会社製、商品名「DICY7」)5部と、硬化促進剤として3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(保土ヶ谷化学工業株式会社製、商品名「DCMU」)1部を加え、撹拌脱泡装置(株式会社シンキー製、製品名「あわとり練太郎」)を用いて混合して、エポキシ樹脂組成物を調製した。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、制振性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0067】
[実施例2~8、比較例1~2]
(A)成分の種類及び、各成分の配合量を表3及び表4に示した内容に変更した以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製した。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、制振性の評価を行った。結果を表3及び表4に示す。
【0068】
[実施例9]
製造例2で得られた(メタ)アクリル系グラフト共重合体(A-1)溶液100部に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名「jER828」)50部を混合し、真空乾燥機を用いてMEK及びIPAを減圧留去することで、(メタ)アクリル系グラフト共重合体(A-1)を50部含有する(メタ)アクリル系グラフト共重合体含有エポキシ樹脂を得た。
混合容器に、(A)成分及び(B)成分として(メタ)アクリル系グラフト共重合体含有エポキシ樹脂70部(内訳:(メタ)アクリル系グラフト共重合体(A-1)が35部、jER828が35部)と、(B)成分としてjER828を24部、(C)成分としてジシアンジアミド(三菱ケミカル株式会社製、商品名「DICY7」)5部と、硬化促進剤として3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(保土ヶ谷化学工業株式会社製、商品名「DCMU」)1部と、フィラーとして炭酸カルシウム(白石カルシウム株式会社製、商品名「ホワイトンB」)17.9部を加え、撹拌脱泡装置(株式会社シンキー製、製品名「あわとり練太郎」)を用いて混合して、エポキシ樹脂組成物を調製した。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、制振性の評価を行った。結果を表4に示す。
【0069】
[実施例10]
(A)成分の種類及び、各成分の配合量を表4に示した内容に変更した以外は、実施例9と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製した。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、制振性の評価を行った。結果を表4に示す。
【0070】
[実施例11]
製造例2で得られた(メタ)アクリル系グラフト共重合体(A-1)溶液100部に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名「jER828」)50部を混合し、真空乾燥機を用いてMEK及びIPAを減圧留去することで、(メタ)アクリル系グラフト共重合体(A-1)を50部含有する(メタ)アクリル系グラフト共重合体含有エポキシ樹脂を得た。
混合容器に、(A)成分及び(B)成分として(メタ)アクリル系グラフト共重合体含有エポキシ樹脂70部(内訳:(メタ)アクリル系グラフト共重合体(A-1)が35部、jER828が35部)と、(B)成分としてjER828を24部、(C)成分としてジシアンジアミド(三菱ケミカル株式会社製、商品名「DICY7」)5部を加え、撹拌脱泡装置(株式会社シンキー製、製品名「あわとり練太郎」)を用いて混合して、エポキシ樹脂組成物を調製した。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、制振性の評価を行った。結果を表4に示す。
【0071】
[実施例12~13]
(A)成分の種類及び、各成分の配合量を表4に示した内容に変更した以外は、実施例11と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製した。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、制振性の評価を行った。結果を表4に示す。
【0072】
[実施例14]
製造例7で得られた(メタ)アクリル系グラフト共重合体(A-6)溶液100部に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名「jER828」)50部を混合し、真空乾燥機を用いてMEK及びIPAを減圧留去することで、(メタ)アクリル系グラフト共重合体(A-6)を50部含有する(メタ)アクリル系グラフト共重合体含有エポキシ樹脂を得た。
混合容器に、(A)成分及び(B)成分として(メタ)アクリル系グラフト共重合体含有エポキシ樹脂50部(内訳:(メタ)アクリル系グラフト共重合体(A-1)が25部、jER828が25部)と、(B)成分としてjER828を19部、(C)成分としてジシアンジアミド(三菱ケミカル株式会社製、商品名「DICY7」)5部と、硬化促進剤として3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(保土ヶ谷化学工業株式会社製、商品名「DCMU」)1部と、カネカ社製の商品名「カネエースMX154」25部(内訳:コアシェル構造を有するポリマーが10部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が15部)を加え、撹拌脱泡装置(株式会社シンキー製、製品名「あわとり練太郎」)を用いて混合して、エポキシ樹脂組成物を調製した。
得られたエポキシ樹脂組成物を用いて、制振性の評価を行った。結果を表4に示す。
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
表3及び表4中の略号は以下の通りである。
・A-1~A-9:製造例2~10で製造した(メタ)アクリル系グラフト共重合体(A)。
・jER828:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名「jER828」)。
・ビスAエポキシ:カネカ社製の商品名「カネエースMX154」に含まれるビスフェノールA型エポキシ樹脂。
・DICY:ジシアンジアミド(三菱ケミカル株式会社製、商品名「DICY7」)。
・DCMU:3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(保土ヶ谷化学工業株式会社製、商品名「DCMU」)。
・ホワイトンB:炭酸カルシウム(白石カルシウム株式会社製、商品名「ホワイトンB」)。
・コアシェル構造を有するポリマー:カネカ社製の商品名「カネエースMX154」に含まれるコアシェル構造を有するポリマー。
【0076】
表3及び表4から明らかなように、実施例1~14で得られたエポキシ樹脂組成物の硬化物は、-40℃~70℃におけるtanδのピーク強度が高く、制振性に優れていた。
一方、各比較例で得られたエポキシ樹脂組成物の硬化物は、制振性に劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明のエポキシ樹脂組成物からは、制振性に優れた硬化物が得られるので、本発明のエポキシ樹脂組物は、例えば、土木・建築用制振材、車両用制振材、電子材料用制振材等として有用である。