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特開2024-144347重合体、共重合体、インク、インク収容容器、画像形成方法、画像形成装置、及び太陽電池バックシート
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  • 特開-重合体、共重合体、インク、インク収容容器、画像形成方法、画像形成装置、及び太陽電池バックシート 図1
  • 特開-重合体、共重合体、インク、インク収容容器、画像形成方法、画像形成装置、及び太陽電池バックシート 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144347
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】重合体、共重合体、インク、インク収容容器、画像形成方法、画像形成装置、及び太陽電池バックシート
(51)【国際特許分類】
   C08F 20/00 20060101AFI20241003BHJP
   C08F 2/06 20060101ALI20241003BHJP
   C09D 11/32 20140101ALI20241003BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241003BHJP
   B41J 2/21 20060101ALI20241003BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20241003BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20241003BHJP
   H01L 31/049 20140101ALI20241003BHJP
【FI】
C08F20/00
C08F2/06
C09D11/32
B41J2/01 501
B41J2/21
B41J2/175 101
B41M5/00 120
H01L31/04 562
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024051698
(22)【出願日】2024-03-27
(31)【優先権主張番号】P 2023050895
(32)【優先日】2023-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】原田 成之
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4J011
4J039
4J100
5F251
【Fターム(参考)】
2C056EE18
2C056FA10
2C056FC01
2C056KC02
2H186AA17
2H186AB12
2H186BA08
2H186DA09
2H186FA07
2H186FB11
2H186FB15
2H186FB16
2H186FB17
2H186FB18
2H186FB25
2H186FB29
2H186FB30
2H186FB48
2H186FB56
4J011AA05
4J011HA04
4J011HB14
4J039AD09
4J039AD12
4J039BE01
4J039BE02
4J039BE12
4J039BE16
4J039BE19
4J039BE28
4J039BE30
4J039CA06
4J039EA34
4J039EA46
4J039FA03
4J039FA06
4J039GA24
4J100AC03P
4J100AE02Q
4J100AE03Q
4J100AE04Q
4J100AE05Q
4J100AE06Q
4J100AG02Q
4J100AG04Q
4J100AG05Q
4J100AG71Q
4J100AJ02Q
4J100AJ08Q
4J100AJ09Q
4J100AK31Q
4J100AK32Q
4J100AL03Q
4J100AL04Q
4J100AL09Q
4J100AL34Q
4J100AL36Q
4J100AL39Q
4J100BC43Q
4J100CA04
4J100FA04
4J100FA28
4J100JA01
4J100JA07
5F251JA05
5F251XA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】保存安定性に優れた色材分散体、保存安定性及び再分散性に優れたインク、並びに耐候性に優れた太陽電池バックシートを作製可能な重合体の提供。
【解決手段】下記一般式(1)で表される構造単位を有することを特徴とする重合体。

(一般式(1)中、Rは、水素又はメチル基、Lは、「-COO-」、「-CONH-」、又は結合手、Xは、炭素数が2~10の炭化水素基、又は酸素を含有した炭素数が2~10の炭化水素基、Lは、「-O-」又は「-NH-」、Yは、炭素数が2~12の炭化水素基又は結合手、Lは、「-OCO-」、「-O-」、「-(CH)n-」、又は「-OCO-(CH)n-」、nは、1~3の整数である。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される構造単位を有することを特徴とする重合体。
【化1】
(一般式(1)中、Rは、水素又はメチル基、Lは、「-COO-」、「-CONH-」、又は結合手、Xは、炭素数が2~10の炭化水素基、又は酸素を含有した炭素数が2~10の炭化水素基、Lは、「-O-」又は「-NH-」、Yは、炭素数が2~12の炭化水素基又は結合手、Lは、「-OCO-」、「-O-」、「-(CH)n-」、又は「-OCO-(CH)n-」、nは、1~3の整数である。)
【請求項2】
下記一般式(1)で表される構造単位と、下記一般式(2)で表される構造単位とを有することを特徴とする共重合体。
【化2】
(一般式(1)中、Rは、水素又はメチル基、Lは、「-COO-」、「-CONH-」、又は結合手、Xは、炭素数が2~10の炭化水素基、又は酸素を含有した炭素数が2~10の炭化水素基、Lは、「-O-」又は「-NH-」、Yは、炭素数が2~12の炭化水素基又は結合手、Lは、「-OCO-」、「-O-」、「-(CH)n-」、又は「-OCO-(CH)n-」、nは、1~3の整数である。)
【化3】
(一般式(2)中、Rは、水素又はメチル基、Xはプロトン、有機の陽イオン、又は無機の陽イオンである。)
【請求項3】
水と、
色材と、
下記一般式(1)で表される構造単位を有する重合体、又は前記一般式(1)で表される構造単位、及び下記一般式(2)で表される構造単位を有する共重合体と、
を含むことを特徴とするインク。
【化4】
(一般式(1)中、Rは、水素又はメチル基、Lは、「-COO-」、「-CONH-」、又は結合手、Xは、炭素数が2~10の炭化水素基、又は酸素を含有した炭素数が2~10の炭化水素基、Lは、「-O-」又は「-NH-」、Yは、炭素数が2~12の炭化水素基又は結合手、Lは、「-OCO-」、「-O-」、「-(CH)n-」、又は「-OCO-(CH)n-」、nは、1~3の整数である。)
【化5】
(一般式(2)中、Rは、水素又はメチル基、Xはプロトン、有機の陽イオン、又は無機の陽イオンである。)
【請求項4】
前記重合体、又は前記共重合体の重量平均分子量が、5,000以上50,000以下である、請求項3に記載のインク。
【請求項5】
前記色材が、酸化チタンである、請求項3に記載のインク。
【請求項6】
請求項3から5のいずれかに記載のインクを収容することを特徴とするインク収容容器。
【請求項7】
請求項3から5のいずれかに記載のインクを記録媒体上に吐出し、画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
請求項6に記載のインク収容容器と、
前記インク収容容器に収容されているインクを記録媒体上に吐出する吐出手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
保護層を有する太陽電池バックシートであって、
前記保護層が、請求項3から5のいずれかに記載のインクからなる塗膜であることを特徴とする太陽電池バックシート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合体、共重合体、インク、インク収容容器、画像形成方法、画像形成装置、及び太陽電池バックシートに関する。
【背景技術】
【0002】
紙媒体への印刷機としてインクジェットプリンタが、広く利用されている。紙媒体以外の媒体(例えば、透明な又は着色されたプラスチックフィルムや、着色された布地等の媒体)に印刷する場合、ブラックインク、イエローインク、マゼンタインク、及びシアンインクに加えて、隠ぺい性の高い白色インクが必要とされる。
【0003】
隠ぺい性の高い白色インクの顔料として、例えば、屈折率の高いルチル型酸化チタンなどが使用されている。当該酸化チタンの分散剤としては、例えば、少なくとも炭素数6以上の脂肪族環状アルキル基を含有してなるメタクリレートと、メタクリル酸とを形成成分としてなるA-Bブロック型のカルボキシル基含有A-Bブロックコポリマーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、保存安定性に優れた色材分散体、保存安定性及び再分散性に優れたインク、並びに耐候性に優れた太陽電池バックシートを作製可能な重合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段としての本発明のインクは、以下の通りである。即ち、
下記一般式(1)で表される構造単位を有することを特徴とする重合体である。
【化1】
(一般式(1)中、Rは、水素又はメチル基、Lは、「-COO-」、「-CONH-」、又は結合手、Xは、炭素数が2~10の炭化水素基、又は酸素を含有した炭素数が2~10の炭化水素基、Lは、「-O-」又は「-NH-」、Yは、炭素数が2~12の炭化水素基又は結合手、Lは、「-OCO-」、「-O-」、「-(CH)n-」、又は「-OCO-(CH)n-」、nは、1~3の整数である。)
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、保存安定性に優れた色材分散体、保存安定性及び再分散性に優れたインク、並びに耐候性に優れた太陽電池バックシートを作製可能な重合体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、画像形成装置の一例を示す概略図である。
図2図2は、インクカートリッジの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
従来の隠ぺい性の高い白色インクに用いられているルチル型酸化チタンは、4.17g/mLの比重を有するため、経時と共にインク中で沈降し、やがては分離が発生することが知られている。当該白色インクを使用する際に、撹拌や振盪することにより、元の分散状態に戻れば使用上の問題はないが、インクの下層に堆積した酸化チタンが凝集し、分散状態が元に戻らないという問題が生じていた。また、インクの分散状態が戻らないことに起因して、インクの粘度の上昇、白色隠ぺい率の低下、及び吐出不良などが発生するという問題もあった。
【0009】
前記特許文献1に記載されている従来の分散剤は、インクの保存安定性や、色材の再分散性が十分ではなく、更なる改善が求められていた。
【0010】
本発明者らが鋭意検討したところ、一般式(1)で表される構造単位を有する重合体、又は一般式(1)で表される構造単位、及び一般式(2)で表される構造単位を有する共重合体を用いることによって、保存安定性に優れた色材分散体、並びに保存安定性及び再分散性に優れたインクが得られることを知見した。
【0011】
さらに、水と、色材と、一般式(1)で表される構造単位を有する重合体、又は一般式(1)で表される構造単位、及び一般式(2)で表される構造単位を有する共重合体とを含むインクから、酸化チタン等の色材が凝集することなく均一に分散した膜を得ることができ、得られた膜を保護層として太陽電池バックシートに適用することで、耐候性に優れた太陽電池バックシートをも得ることができることを知見した。
【0012】
以下に、本発明の詳細を記載する。
【0013】
(重合体)
本発明の重合体は、一般式(1)で表される構造単位を有し、必要に応じて、その他の重合性モノマーを有していてもよい。
なお、本明細書において、「一般式(1)で表される構造単位」は、「第1モノマー」と称することがある。
なお、本明細書において、「一般式(1)で表される構造単位を有する重合体」は、「重合体」と称することがある。本明細書において、本発明の重合体が、後述するその他の重合性モノマーを含む場合であっても、便宜上、「重合体」と記載する。
【0014】
<一般式(1)で表される構造単位>
【化2】
(一般式(1)中、Rは、水素又はメチル基、Lは、「-COO-」、「-CONH-」、又は結合手、Xは、炭素数が2~10の炭化水素基、又は酸素を含有した炭素数が2~10の炭化水素基、Lは、「-O-」又は「-NH-」、Yは、炭素数が2~12の炭化水素基又は結合手、Lは、「-OCO-」、「-O-」、「-(CH)n-」、又は「-OCO-(CH)n-」、nは、1~3の整数である。)
【0015】
前記一般式(1)で表される構造単位を有する重合体において、末端に存在するピリジル基がルイス塩基として機能することにより、酸化チタン、アルミナで表面処理された酸化チタン、及び硫酸バリウムなどの粒子表面への吸着力が向上する。
また、前記一般式(1)で表される構造単位におけるピリジル基は、重合体の主鎖から離れた位置に存在するため、(共)重合に関係する他の成分(一般式(2)で表される構造単位等)による色材への吸着阻害の影響を受けにくくなる。
さらに、前記一般式(1)における連結基X、及び連結基Yに結合した「-NH-CO-NH-基」又は「-NH-COO-基」は、前記重合体に水溶性を付与する。そのため、色材の分散安定性を向上させることができ、保存安定性の高いインクを得ることができる。即ち、後述する色材が水に分散した色材分散体を調製する際に、本発明の重合体を用いることで、分散性が高く、長期間安定した色材分散体を調製することができる。
【0016】
本発明の重合体における重量平均分子量(Mw)は、色材分散体及びインクの保存安定性、及びインクの再分散性の観点から、5,000以上50,000以下が好ましく、15,000以上40,000以下がより好ましい。
前記重合体の重量平均分子量(Mw)の測定方法としては、特に制限はないが、例えば、以下の方法によって測定することができる。
[重量平均分子量(Mw)の測定方法の一例]
GPC(Gel Permeation Chromatography)により、以下の条件で測定した。
・装置:GPC-8320GPC(東ソー株式会社製)
・カラム:TSK G2000HXL及びG4000HXL(東ソー株式会社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:0.6mL/分間
当該装置に、濃度0.5質量%の重合体を1mL注入し、上記の条件で測定した重合体の分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して、当該重合体の重量平均分子量Mwを算出する。
【0017】
前記一般式(1)で表される構造単位を得る方法としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下のような方法などが挙げられる。
[一般式(1)で表される構造単位を得る方法の一例]
ピリジルカルボン酸(A-1)と過剰量のジオールとを縮合反応させて、ピリジンカルボン酸ヒドロキシアルキルエステル(A-2)を得る。
【0018】
【化3】
【0019】
次いで、アクリル基など有するイソシアネート化合物(A-3)と当該(A-2)とを反応させてモノマー(A-4)を得る。
【0020】
【化4】
【0021】
次いで、ラジカル重合開始剤の存在下で重合することにより重合体(A-5)が得られる。
【0022】
【化5】
【0023】
(共重合体)
本発明の共重合体は、前記一般式(1)で表される構造単位と、下記一般式(2)で表される構造単位とを有し、必要に応じて、その他の重合性モノマーを有していてもよい。
なお、本明細書において、「一般式(2)で表される構造単位」は、「第2モノマー」と称することがある。
なお、本明細書において、「一般式(1)で表される構造単位と、一般式(2)で表される構造単位と、を有する共重合体」は、「共重合体」と称することがある。
【0024】
<一般式(2)で表される構造単位>
【化6】
(一般式(2)中、Rは、水素又はメチル基、Xはプロトン、有機の陽イオン、又は無機の陽イオンである。)
【0025】
前記一般式(2)におけるプロトン又は陽イオンは、共重合体分子間の静電気反発力を誘発するため、色材の凝集を抑制することができる。そのため、色材がインク中に沈殿したとしても、容易に再分散させることができ、再分散性の高いインクを得ることができる。即ち、後述する色材が水に分散した色材分散体を調製する際に、本発明の共重合体を用いることで、色材分散体の分散性、再分散性、及び保存安定性を向上させることができる。
【0026】
前記プロトン又は陽イオンとしては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオン、テトラヘキシルアンモニウムイオン、トリエチルメチルアンモニウムイオン、トリブチルメチルアンモニウムイオン、トリオクチルメチルアンモニウムイオン、2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムイオン、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムイオン、プロピルトリメチルアンモニウムイオン、ヘキシルトリメチルアンモニウムイオン、オクチルトリメチルアンモニウムイオン、ノニルトリメチルアンモニウムイオン、デシルトリメチルアンモニウムイオン、ドデシルトリメチルアンモニウムイオン、テトラデシルトリメチルアンモニウムイオン、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムイオン、オクタデシルトリメチルアンモニウムイオン、ジドデシルジメチルアンモニウムイオン、ジテトラデシルジメチルアンモニウムイオン、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムイオン、ジオクタデシルジメチルアンモニウムイオン、エチルヘキサデシルジメチルアンモニウムイオン、アンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン、モノエチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、モノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン、メチルエタノールアンモニウムイオン、メチルジエタノールアンモニウムイオン、ジメチルエタノールアンモニウムイオン、モノプロパノールアンモニウムイオン、ジプロパノールアンモニウムイオン、トリプロパノールアンモニウムイオン、イソプロパノールアンモニウムイオン、モルホリニウムイオン、N-メチルモルホリニウムイオン、N-メチル-2-ピロリドニウムイオン、2-ピロリドニウムイオンなどが挙げられる。
【0027】
本発明の共重合体における重量平均分子量(Mw)は、色材分散体及びインクの保存安定性、並びにインクの再分散性の観点から、5,000以上50,000以下が好ましく、15,000以上40,000以下がより好ましい。
前記共重合体の重量平均分子量(Mw)の測定方法としては、特に制限はないが、例えば、上述の(重合体)の項目で記載した[重量平均分子量(Mw)の測定方法の一例]と同様の方法などが挙げられる。
【0028】
本発明の共重合体の構造としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択でき、例えば、ランダム共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体などが挙げられる。
【0029】
本発明の共重合体の合成方法としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上述の[一般式(1)で表される構造単位を得る方法の一例]の項目で記載した前記モノマー(A-4)を、メタクリル酸(A-6)とラジカル重合開始剤の存在下で共重合させることにより共重合体(A-7)を得る方法などが挙げられる。
【0030】
【化7】
【0031】
<その他の重合性モノマー>
本発明の重合体又は共重合体は、前記一般式(1)で表される構造単位、及び前記一般式(2)で表される構造単位の他に、その他の重合性モノマーを有することができる。
前記その他の重合性モノマーとしては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、重合性の疎水性モノマー、重合性の親水性モノマー、重合性界面活性剤などが挙げられる。
なお、本明細書において「その他の重合性モノマー」は、「第3モノマー」と称することがある。
【0032】
<<重合性の疎水性モノマー>>
前記重合性の疎水性モノマーとしては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、α-メチルスチレン、4-t-ブチルスチレン、4-クロロメチルスチレン等の芳香族環を有する不飽和エチレンモノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、(メタ)アクリル酸ラウリル(C12)、(メタ)アクリル酸トリデシル(C13)、(メタ)アクリル酸テトラデシル(C14)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル(C15)、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル(C16)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル(C17)、(メタ)アクリル酸ノナデシル(C19)、(メタ)アクリル酸エイコシル(C20)、(メタ)アクリル酸ヘンイコシル(C21)、(メタ)アクリル酸ドコシル(C22)等の(メタ)アクリル酸アルキル;1-ヘプテン、3,3-ジメチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ヘキセン、4-メチル-1-ヘキセン、5-メチル-1-ヘキセン、1-オクテン、3,3-ジメチル-1-ヘキセン、3,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、1-ノネン、3,5,5-トリメチル-1-ヘキセン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、1-ドコセン等のアルキル基を持つ不飽和エチレンモノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0033】
<<重合性の親水性モノマー>>
前記重合性の親水性モノマーとしては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マレイン酸又はその塩、マレイン酸モノメチル、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、フマル酸、4-スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、又はリン酸、ホスホン酸、アレンドロン酸、又はエチドロン酸を含有した不飽和エチレンモノマー等のアニオン性不飽和エチレンモノマー;(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルピロリドン、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、N-t-オクチルアクリルアミド等の非イオン性不飽和エチレンモノマーなどが挙げられる。
【0034】
前記重合性の疎水性モノマー及び前記重合性の親水性モノマーの含有量としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記一般式(1)で表される構造単位を有する重合体、又は前記一般式(1)で表される構造単位と、前記一般式(2)で表される構造単位とを有する共重合体を形成するモノマーの合計量に対して、5質量%以上100質量%以下で使用することができる。
【0035】
<<重合性界面活性剤>>
前記重合性界面活性剤は、ラジカル重合が可能な不飽和二重結合性基を、分子内に少なくとも1つ以上有する界面活性剤であり、例えば、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤などが挙げられる。
【0036】
-アニオン界面活性剤-
前記アニオン界面活性剤としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫酸アンモニウム塩基(-SO-NH )等の硫酸塩基とアリル基(-CH-CH=CH)とを有する炭化水素化合物、硫酸アンモニウム塩基(-SO-NH )等の硫酸塩基とメタクリル基(-CO-C(CH)=CH)とを有する炭化水素化合物、又は硫酸アンモニウム塩基(-SO-NH )等の硫酸塩基と1-プロペニル基(-CH=CHCH)とを有する芳香族炭化水素化合物などが挙げられる。
前記アニオン界面活性剤の具体例としては、商品名で、エレミノールJS-20、RS-300(いずれも、三洋化成社製)、アクアロンKH-10、アクアロンKH-1025、アクアロンKH-05、アクアロンHS-10、アクアロンHS-1025、アクアロンBC-0515、アクアロンBC-10、アクアロンBC-1025、アクアロンBC-20、アクアロンBC-2020(いずれも、第一工業製薬社製)などが挙げられる。
【0037】
-非イオン界面活性剤-
前記非イオン界面活性剤としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1-プロペニル基(-CH=CHCH)とポリオキシエチレン基(-(CO)n-H)とを有する炭化水素化合物又は芳香族炭化水素化合物などが挙げられる。なお、当該ポリオキシエチレン基における「n」は、2以上の整数とする。
前記非イオン界面活性剤の具体例としては、商品名で、アクアロンRN-20、アクアロンRN-2025、アクアロンRN-30、アクアロンRN-50(いずれも、第一工業製薬社製)、ラテムルPD-104、ラテムルPD-420、ラテムルPD-430、ラテムルPD-450(いずれも、花王社製)などが挙げられる。
【0038】
前記重合性界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記一般式(1)で表される構造単位を有する重合体、又は前記一般式(1)で表される構造単位と、前記一般式(2)で表される構造単位とを有する共重合体を形成するモノマーの合計量に対して、0.1質量%以上10質量%以下で使用することができる。
【0039】
本発明の重合体及び共重合体の形成過程において、ラジカル重合開始剤を使用してもよい。
前記ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、シアノ系のアゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、アゾビス(2,2’-イソバレロニトリル)、非シアノ系のジメチル-2,2’-アゾビスイソブチレートなどが挙げられる。これらの中でも、分子量の制御がしやすく分解温度が低い点から、有機過酸化物、アゾ系化合物が好ましく、アゾ系化合物がより好ましい。
前記ラジカル重合開始剤の含有量としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、重合性のモノマーの合計量に対して、1質量%以上10質量%以下が好ましい。
なお、前記重合性のモノマーとは、前記一般式(1)で表される構造単位を有する重合体を形成するモノマー、前記一般式(1)で表される構造単位と、前記一般式(2)で表される構造単位とを有する共重合体を形成するモノマー、及び前記その他の重合性モノマーの全てを示す。
【0040】
本発明の重合体及び共重合体の分子量を調整するために、連鎖移動剤を添加してもよい。
前記連鎖移動剤としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2-プロパンチオール、2-メルカプトエタノール、チオフェノール、ドデシルメルカプタン、1-ドデカンチオール、チオグリセロールなどが挙げられる。
【0041】
本発明の重合体及び共重合体を形成する際の重合温度としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、50℃以上150℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
本発明の重合体及び共重合体を形成する際の重合時間は、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、3時間以上48時間以下が好ましい。
【0042】
前記重合体又は前記共重合体における前記一般式(1)で表される構造単位の含有量としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、前記重合体又は前記共重合体全量に対して、75質量%以上95質量%以下が好ましく、80質量%以上90質量%以下がより好ましい。
当該一般式(1)で表される構造単位の含有量が上記好ましい範囲内であると、インクの保存安定性がより向上するため好適である。
【0043】
前記重合体又は前記共重合体における前記一般式(2)で表される構造単位の含有量としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、前記重合体又は前記共重合体全量に対して、5.0質量%以上35.0質量%以下が好ましく、15.0質量%以上25.0質量%以下がより好ましい。
当該一般式(2)で表される構造単位の含有量が上記好ましい範囲内であると、水への溶解性と分散安定性とが良好となるため好適である。
【0044】
本発明の重合体における前記第1モノマー及び前記第3モノマーの含有量、並びに本発明の共重合体における前記第1モノマー、前記第2モノマー、及び前記第3モノマーの含有量は、H-NMR、13C-NMR、GC-MS、LC-MS、及びLC-MS/MSを組み合わせて測定することにより、決定することができる。
本発明の共重合体における前記第2モノマーは、一定量の本発明の共重合体を溶解した溶液に対して、フェノールフタレインなどの滴定指示薬を加えた溶液を滴下する中和滴定法により定量することができる。
【0045】
(インク)
本発明のインクは、水と、色材と、前記一般式(1)で表される構造単位を有する重合体、又は前記一般式(1)で表される構造単位、及び前記一般式(2)で表される構造単位を有する共重合体と、を含み、必要に応じて、その他の成分を含有していてもよい。
ここで、「前記一般式(1)で表される構造単位を有する重合体」、並びに「前記一般式(1)で表される構造単位、及び前記一般式(2)で表される構造単位を有する共重合体」は、上述の(重合体)及び(共重合体)の項目で記載したものと同じであるため、記載を省略する。
【0046】
<水>
前記インクに含まれる水としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。
当該水の含有量は、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の観点から、インク全量に対して、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
【0047】
<色材>
本発明のインクに含まれる色材としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、顔料、染料などを使用することができる。また、混晶を使用してもよい。
【0048】
<<顔料>>
前記顔料としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
当該白色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
【0049】
当該顔料としては、無機顔料及び有機顔料を使用することができる。
当該無機顔料としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックなどが挙げられる。
当該有機顔料としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどが挙げられる。
これらの顔料のうち、溶媒と親和性のよいものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子や無機中空粒子を使用することもできる。
【0050】
前記顔料の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。
黒色顔料として、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料などが挙げられる。
白色顔料としては、酸化チタン、二酸化チタン、中空樹脂粒子等が挙げられる。
カラー顔料として、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー34、C.I.ピグメントイエロー35、C.I.ピグメントイエロー37、C.I.ピグメントイエロー42(黄色酸化鉄)、C.I.ピグメントイエロー53、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー81、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー98、C.I.ピグメントイエロー100、C.I.ピグメントイエロー101、C.I.ピグメントイエロー104、C.I.ピグメントイエロー108、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー213、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ17、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド52:2、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B)、C.I.ピグメントレッド60:1、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド63:2、C.I.ピグメントレッド64:1、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド101(べんがら)、C.I.ピグメントレッド104、C.I.ピグメントレッド105、C.I.ピグメントレッド106、C.I.ピグメントレッド108(カドミウムレッド)、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ)、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド172、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド193、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド213、C.I.ピグメントレッド219、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット5:1、C.I.ピグメントバイオレット16、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット38、C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー2、C.I.ピグメントブルー15(フタロシアニンブルー)、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4(フタロシアニンブルー)、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー17:1、C.I.ピグメントブルー56、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー63、C.I.ピグメントグリーン1、C.I.ピグメントグリーン4、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン8、C.I.ピグメントグリーン10、C.I.ピグメントグリーン17、C.I.ピグメントグリーン18、C.I.ピグメントグリーン36などが挙げられる。
これらの中でも、マゼンタ顔料としては、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド208、及びC.I.ピグメントバイオレット19が好ましく、イエロー顔料としては、C.I.ピグメントイエロー17、及びC.I.ピグメントイエロー180が好ましい。
【0051】
<<染料>>
前記染料としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料を使用することができる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0052】
当該染料の具体例としては、C.I.アシッドイエロー17、C.I.アシッドイエロー23、C.I.アシッドイエロー42、C.I.アシッドイエロー44、C.I.アシッドイエロー79、C.I.アシッドイエロー142、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド80、C.I.アシッドレッド82、C.I.アシッドレッド249、C.I.アシッドレッド254、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー45、C.I.アシッドブルー249、C.I.アシッドブラック1、C.I.アシッドブラック2、C.I.アシッドブラック24、C.I.アシッドブラック94、C.I.フードブラック1、C.I.フードブラック2、C.I.ダイレクトイエロー1、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトイエロー24、C.I.ダイレクトイエロー33、C.I.ダイレクトイエロー50、C.I.ダイレクトイエロー55、C.I.ダイレクトイエロー58、C.I.ダイレクトイエロー86、C.I.ダイレクトイエロー132、C.I.ダイレクトイエロー142、C.I.ダイレクトイエロー144、C.I.ダイレクトイエロー173、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.ダイレクトレッド9、C.I.ダイレクトレッド80、C.I.ダイレクトレッド81、C.I.ダイレクトレッド225、C.I.ダイレクトレッド227、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.ダイレクトブルー15、C.I.ダイレクトブルー71、C.I.ダイレクトブルー86、C.I.ダイレクトブルー87、C.I.ダイレクトブルー98、C.I.ダイレクトブルー165、C.I.ダイレクトブルー199、C.I.ダイレクトブルー202、C.I.ダイレクドブラック19、C.I.ダイレクドブラック38、C.I.ダイレクドブラック51、C.I.ダイレクドブラック71、C.I.ダイレクドブラック154、C.I.ダイレクドブラック168、C.I.ダイレクドブラック171、C.I.ダイレクドブラック195、C.I.リアクティブレッド14、C.I.リアクティブレッド32、C.I.リアクティブレッド55、C.I.リアクティブレッド79、C.I.リアクティブレッド249、C.I.リアクティブブラック3、C.I.リアクティブブラック4、C.I.リアクティブブラック35などが挙げられる。
【0053】
本発明における色材としては、前記重合体又は前記共重合体に対する吸着能が優れている点、並びに耐水性及び耐候性が優れている点から、顔料が好ましい。特に、前記色材として白色顔料を使用する場合、白色隠ぺい性に優れる観点からは、酸化チタン、及び硫酸バリウムが好ましく、酸化チタンがより好ましく、色材分散体の保存安定性、インクの保存安定性、及びインクの再分散性に優れる観点からは、酸化チタンが好ましい。
【0054】
本発明のインクに含まれる色材の含有量は、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、画像濃度が向上するという観点、及び良好な定着性や吐出安定性が得られるという観点から、インク全量に対して0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、10質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0055】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することでき、例えば、その他の樹脂(A)、水、有機溶媒、添加剤、ラジカル重合開始剤、連鎖移動剤などが挙げられる。
【0056】
<<その他の樹脂(A)>>
本発明のインクは、前記重合体及び前記共重合体とは異なるその他の樹脂(A)を含んでいてもよい。
当該その他の樹脂(A)としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、及びアクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0057】
当該その他の樹脂(A)からなる樹脂粒子を、その他の樹脂(A)として用いてもよい。
当該樹脂粒子は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0058】
当該樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性が得られる点、及び高い画像硬度が得られる点から、10nm以上1000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
当該樹脂粒子の体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
【0059】
<<有機溶媒>>
本発明のインクには、有機溶剤が含有されていてもよい。前記重合体及び前記共重合体が、インク中で水溶性を示すことから、親水性の有機溶媒と併用してもよい。
当該有機溶媒としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物;プロピレンカーボネート、及び炭酸エチレンなどが挙げられる。
当該有機溶剤を浸透剤として用いる場合、当該浸透剤としては、トリエチレングリコールモノブチルエーテルを用いることが好ましい。当該トリエチレングリコールモノブチルエーテルがインク中に含まれることにより、後述する記録媒体としての布帛に対して印刷を行う際に、布帛に対する浸透性を適切な程度に調整することができ、インクが当該布帛に対して浸透し過ぎてしまい良好な画像が得られないといった問題を解消することができるため好適である。
当該有機溶剤を保湿剤として用いる場合、当該保湿剤としては、エチレングリコール、及びグリセリンを用いることが好ましい。当該エチレングリコールは、比較的安価であることに加え保湿性も高く、インクの吐出性を向上させることができる。更に、親水性が高い分散剤を用いる場合には、インクの保存安定性を向上させることができる。当該グリセリンは、他の有機溶剤と比較して沸点が高いため、インクの吐出安定性を向上させることができる。
【0060】
当該有機溶媒は、湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性が得られることから、沸点が250℃以下の有機溶媒を用いることが好ましい。
【0061】
記録媒体として紙を用いた場合に、インクの浸透性を向上させることができる観点から、炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物を有機溶媒として好適に使用することができる。
当該炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールなどが挙げられる。
【0062】
前記有機溶媒の含有量としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の観点から、インク全量に対して10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上70質量%以下がより好ましく、45質量%以上65質量%以下がさらに好ましい。
【0063】
<<添加剤>>
前記添加剤としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、その他の成分として用いられる界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤などが挙げられる。
【0064】
-その他の成分として用いられる界面活性剤-
前記その他の成分として用いられる界面活性剤としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤などが挙げられる。
なお、本明細書において「その他の成分として用いられる界面活性剤」と記載する場合は、本発明のインク中にその他の成分として含まれる界面活性剤のことを示し、上述の<その他の重合性モノマー>には該当しない。
【0065】
--シリコーン系界面活性剤--
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、高pH(pH11~14)でも分解しないものが好ましい。
高pH(pH11~14)でも分解しないシリコーン系界面活性剤の具体例としては、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。これらの中でも親水性が向上し、水に対する溶解性が高くなる観点から、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が好ましい。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0066】
当該ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S-1)で表わされるポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
【0067】
【化8】
(但し、一般式(S-1)中、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表わし、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
【0068】
当該ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤の市販品としては、例えば、商品名で、KF-618、KF-642、KF-643(いずれも、信越化学工業株式会社製)、EMALEX-SS-5602、EMALEX-SS-1906EX(いずれも、日本エマルジョン株式会社製)、FZ-2105、FZ-2118、FZ-2154、FZ-2161、FZ-2162、FZ-2163、FZ-2164(いずれも、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、BYK-33、BYK-387(いずれも、ビッグケミー株式会社製)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(いずれも、東芝シリコン株式会社製)などが挙げられる。
【0069】
前記シリコーン系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。当該シリコーン系界面活性剤の市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手することができる。
【0070】
--フッ素系界面活性剤--
前記フッ素系界面活性剤としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、フッ素置換した炭素数が2~16である化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4~16である化合物がより好ましい。
【0071】
前記フッ素系界面活性剤としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、起泡性が小さい観点から、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が好ましい。
当該パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩などが挙げられる。
当該パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などが挙げられる。
当該パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩などが挙げられる。
【0072】
さらに、下記一般式(F-1)及び一般式(F-2)で表されるフッ素系界面活性剤がより好ましい。
【0073】
【化9】
前記一般式(F-1)で表される化合物において、水溶性を付与するために、mは0~10の整数が好ましく、nは0~40の整数が好ましい。
【0074】
【化10】
前記一般式(F-2)で表される化合物において、YはH、又はC2m+1で、mは1~6の整数、又はCHCH(OH)CH-C2m+1で、mは4~6の整数、又はC2p+1でpは1~19の整数である。nは1~6の整数である。aは4~14の整数である。
【0075】
これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)などが挙げられる。
【0076】
前記フッ素系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。当該フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、商品名で、サーフロンS-111、サーフロンS-112、サーフロンS-113、サーフロンS-121、サーフロンS-131、サーフロンS-132、サーフロンS-141、サーフロンS-145(いずれも、AGC株式会社製)、フルラードFC-93、フルラードFC-95、フルラードFC-98、フルラードFC-129、フルラードFC-135、フルラードFC-170C、フルラードFC-430、フルラードFC-431(いずれも、住友スリーエム株式会社製)、メガファックF-470、メガファックF-1405、メガファックF-474(いずれも、DIC株式会社製)、ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN-100、FSN、FSO-100、FSO、FS-300、UR、キャプストーンFS-30、キャプストーンFS-31、キャプストーンFS-3100、キャプストーンFS-34、キャプストーンFS-35(いずれも、Chemours社製)、FT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF-136A、ポリフォックスPF-156A、ポリフォックスPF-151N、ポリフォックスPF-154、ポリフォックスPF-159(いずれも、オムノバ社製)、ユニダインDSN-403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられる。これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、FS-3100、FS-34、FS-300(いずれも、Chemours社製)、FT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF-151N(いずれも、オムノバ社製)、及びユニダインDSN-403N(いずれも、ダイキン工業株式会社製)が好ましい。
【0077】
--両性界面活性剤--
前記両性界面活性剤としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0078】
--ノニオン界面活性剤--
前記ノニオン界面活性剤としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0079】
--アニオン界面活性剤--
前記アニオン界面活性剤としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0080】
その他の成分として用いられる界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性及び吐出安定性に優れ、画像品質が向上する観点から、インク全量に対して0.001質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
【0081】
-消泡剤-
前記その他の成分として用いられる界面活性剤は、消泡剤として使用することができる。
当該消泡剤としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0082】
-防腐防黴剤-
前記防腐防黴剤としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンなどが挙げられる。
【0083】
-pH調整剤-
前記pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。これらの中でも、安価であるトリエタノールアミンが好ましい。前記pH調整剤の含有量は、インク全量に対して0.5質量%以下であることが好ましく、インクの保存安定性の点から0.25質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましい。
【0084】
<<ラジカル重合開始剤>>
本発明における共重合体の形成過程において、ラジカル重合開始剤を使用してもよい。
当該ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、シアノ系のアゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、アゾビス(2,2’-イソバレロニトリル)、及び非シアノ系のジメチル-2,2’-アゾビスイソブチレートなどが挙げられる。これらの中でも、分子量の制御がしやすく分解温度が低い点から、有機過酸化物、アゾ系化合物が好ましく、アゾ系化合物がより好ましい。
【0085】
当該ラジカル重合開始剤の含有量としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、重合性のモノマーの合計量に対して、1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。なお、「重合性のモノマー」とは、前記第1モノマー、前記第2モノマー、及び前記第3モノマーのすべてのモノマーを示す。
【0086】
<<連鎖移動剤>>
本発明における共重合体の分子量を調整するために、連鎖移動剤を添加してもよい。
当該連鎖移動剤としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2-プロパンチオール、2-メルカプトエタノール、チオフェノール、ドデシルメルカプタン、1-ドデカンチオール、及びチオグリセロールなどが挙げられる。
【0087】
[インクの物性]
本発明のインクの物性としては、特に制限はなく目的に応じて適宜設定することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
本発明のインクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、前記粘度は、例えば、回転式粘度計(東機産業社製RE-80L)を使用することができる。前記粘度の測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
本発明のインクの表面張力としては、後述する記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
本発明のインクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7~12が好ましく、8~11がより好ましい。
【0088】
本発明のインク中に含有されている有機溶剤、重合体、共重合体、顔料、及びその他の成分等の定性方法、定量方法としては、例えば、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC-MS)などが挙げられる。
当該ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC-MS)による測定装置としては、例えば、GCMS-QP2020NX(株式会社島津製作所製)などが挙げられる。インクに含まれる水分量は、一般的な方法として、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC-MS)による揮発成分の定量や、熱重量・示差熱同時測定法(TG-DTA)による質量変動等により測定することができる。
【0089】
(インク収容容器)
本発明のインクは、容器に収容して使用することができる。なお、本明細書において、本発明のインクを収容した容器を「インク収容容器」と称することがある。
当該インク収容容器としては、特に制限はなく、例えば、公知のインクジェットプリンタ用インクカートリッジなどが挙げられる。
当該インク収容容器は、保存、搬送等が容易であり、取扱性に優れるため、インクカートリッジや画像形成装置等に着脱可能に取り付け、インクの補給に使用することができる。
当該インク収容容器としては、特に限定されず、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、容器本体とキャップを有するものなどが挙げられる。
【0090】
当該インク収容容器の形状としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、円筒状であることが好ましい。さらに、内周面にスパイラル状の凹凸が形成され、回転させることにより内容物であるインクが排出口側に移行することが可能であり、スパイラル状の凹凸の一部又は全てが蛇腹機能を有することが好ましい。
当該インク収容容器の材質としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、寸法精度がよいという観点から、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂成分ABS樹脂、及びポリアセタール樹脂などの樹脂が好ましい。
当該インク収容容器の構造、及び大きさとしては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる
【0091】
(画像形成装置及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、本発明のインクを収容するインク収容容器と、前記インク収容容器に収容されているインクを、記録媒体上に吐出する吐出手段とを備え、必要に応じて、その他の手段を有していてもよい。
本発明の画像形成方法は、本発明のインクを記録媒体上に吐出して画像を形成する工程を有し、必要に応じて、その他の工程を有していてもよい。
当該画像形成方法は、当該画像形成装置によって好適に実施することができる。
【0092】
<吐出手段及び吐出工程>
前記吐出手段は、前記インク収容容器に収容されているインクを、記録媒体上に吐出する工程である。
吐出工程は、前記インク収容容器に収容されているインクを、記録媒体上に吐出する工程である。
前記吐出工程は、前記吐出手段により好適に実施することができる。
前記吐出手段としては、特に制限はなく、公知のインク吐出手段を用いることができ、例えば、インクジェット方式などが挙げられる。
【0093】
<その他の手段及びその他の工程>
前記その他の手段としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前処理手段、後処理手段、加熱手段、乾燥手段、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段などが挙げられる。
前記その他の工程としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前処理工程、後処理工程、加熱工程、乾燥工程、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる工程などが挙げられる。
前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に実施することができる。
【0094】
-前処理手段及び前処理工程-
前記前処理手段は、前記インクを付与する前に記録媒体に前処理液を付与する手段である。
前記前処理工程は、前記インクを付与する前に記録媒体に前処理液を付与する工程である。
前記前処理工程は、前記前処理手段により好適に実施することができる。
前記前処理手段を備える前処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ホワイト(W)などのインクの場合と同様に、前記前処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前記前処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
前記前処理手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通常のインクと同様にインク収容手段に前記前処理液を収容し、インクジェット方式で記録媒体へ付与する手段や、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
【0095】
前記前処理液は、凝集剤、有機溶剤、水を含有し、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤などを含有してもよい。
前記有機溶剤、前記界面活性剤、前記消泡剤、前記pH調整剤、前記防腐防黴剤、及び前記防錆剤は、インクに用いる材料と同様の材料を使用でき、その他、公知の処理液に用いられる材料を使用することができる。
前記凝集剤の種類は、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性カチオンポリマー、酸、多価金属塩などが挙げられる。
【0096】
-後処理手段及び後処理工程-
前記後処理手段は、前記インクを付与した後に記録媒体に後処理液を付与する手段である。
前記前処理工程は、前記インクを付与した後に記録媒体に後処理液を付与する工程である。
前記後処理工程は、前記後処理手段により好適に実施することができる。
前記後処理手段を備える後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ホワイト(W)などのインクの場合と同様に、前記後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドとを追加し、前記後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
前記後処理手段としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、通常のインクと同様にインク収容手段に前記後処理液を収容し、インクジェット方式で記録媒体へ付与する手段や、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
【0097】
前記後処理液は、透明な層を形成することが可能であれば、特に限定されない。前記後処理液は、有機溶剤、水、樹脂、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等から必要に応じて選択し、混合して得られる。また、前記後処理液は、記録媒体に形成された記録領域の全域に塗布してもよいし、画像が形成された領域のみに塗布してもよい。
【0098】
-加熱手段及び加熱工程、並びに乾燥手段及び乾燥工程-
前記加熱手段は、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱する手段が含まれる。
前記加熱工程は、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱する工程が含まれる。
前記加熱工程は、前記加熱手段により好適に実施することができる。
前記乾燥手段は、例えば、記録媒体の印字面や裏面を乾燥する手段が含まれる。
前記乾燥工程は、例えば、記録媒体の印字面や裏面を乾燥する工程が含まれる。
前記乾燥工程は、前記乾燥手段により好適に実施することができる。
前記加熱手段及び前記乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターなどを用いることができる。加熱及び乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
【0099】
前記画像形成装置及び画像形成方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
前記画像形成装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
前記画像形成装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタなども含まれる。
【0100】
<記録媒体>
ここで「記録媒体」とは、本発明のインクを用いて記録される対象物のことを示す。また、前記記録媒体とは、本発明のインクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
前記記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙、非浸透性基材などを用いてもよい。
前記非浸透性基材とは、水透過性、吸収性が低い表面を有する基材であり、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれる。より定量的には、ブリストー(Bristow)法において、接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である基材をいう。
前記非浸透性基材としては、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルムなどが挙げられる。
【0101】
前記記録媒体としては、一般的に記録媒体として用いられるものに限られず、壁紙、床材、タイル等の建材、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革などを適宜使用することができる。また、前記記録媒体を搬送する経路の構成を調整することにより、セラミックスやガラス、金属などを使用することもできる。
【0102】
<記録物>
前記記録媒体上に、本発明のインクを用いて形成された画像を有するものを、記録物とすることができる。
前記記録物は、前記画像形成装置及び画像形成方法により、記録して得ることができる。
【0103】
ここで、本発明の画像形成装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。図1は同装置の斜視説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ホワイト(W)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y、410w)の各インク収容部411は、例えば、アルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側には、カートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
【0104】
<用途>
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明のインクの用途としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、印刷物、塗料、コーティング材、下地用などに応用することが可能である。さらに、2次元の文字や画像を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。
当該立体造形物には、インクを重ね塗りするなどして得られる立体造形物が含まれる。また、記録媒体等の基材上にインクを付与した構造体を加工してなる成形加工品も含まれる。
当該立体造形物を造形するための立体造形装置は、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、インクの収容手段、供給手段、吐出手段や乾燥手段等を備えるものを使用することができる。
当該成形加工品としては、例えば、シート状、フィルム状に形成された記録物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形する用途に好適に使用される。
【0105】
(太陽電池バックシート)
前記一般式(1)で表される構造単位を有する重合体、又は前記一般式(1)で表される構造単位と、前記一般式(2)で表される構造単位とを有する共重合体は、太陽電池バックシートの保護層に含まれる樹脂として用いることもできる。
換言すると、本発明の太陽電池バックシートは、保護層を有する太陽電池バックシートであって、前記保護層が、前記インクからなる塗膜であることを特徴とし、必要に応じて、その他の樹脂(B)を含んでいてもよい。なお、前記「インク」は、上述の(インク)の項目に記載したものと同じであるため、記載を省略する。
本発明の太陽電池バックシートは、例えば、太陽電池モジュールの背面に設けることにより、太陽電池モジュールの受光面側及び背面側からの光照射に対する耐候性を向上させることができる。
【0106】
前記保護層は、基材フィルム上に設けられることが好ましい。当該基材フィルムとしては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、機械強度、寸法安定性、熱安定性に優れるという観点から、ポリエステルフィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、又はポリエチレンナフタレートを主成分とするポリエステルフィルムがより好ましい。
【0107】
前記太陽電池モジュールにおける保護層には、その他の樹脂(B)が含まれていてもよい。当該その他の樹脂(B)としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することできるが、機械強度及び耐熱性に優れるという観点から、アクリル系樹脂が好ましく、イソシアネートで架橋することが可能なアクリル系樹脂がより好ましい。
【0108】
前記太陽電池バックシートの製造方法としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下方法(工程(1)~(4))などによって製造することができる。
工程(1):有機溶媒に、本発明の重合体又は共重合体を加え、撹拌し溶解することで溶解液を作製した後、必要に応じて、前記溶解液を撹拌しながら色材を少しずつ加え、再度撹拌する。
工程(2):分散装置によって分散処理をした後、内容物をメンブレンフィルターにてろ過する。必要に応じて、調整量の有機溶媒を加え、保護層形成液を作製する。
工程(3):前記保護層形成液を、基材表面に、ワイヤーバーを用いて塗布し、任意の膜厚になるまで乾燥させ、保護層(塗膜)を作製する。
工程(4):前記保護層をエージングすることにより、太陽電池バックシートが得られる。
【0109】
当該工程(1)における有機溶媒としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上述の(インク)の項目に記載した有機溶媒や、ヘキサメチレンジイソシアネートを好適に使用することができる。
当該工程(1)おける色材としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上述の(インク)の項目に記載した色材を好適に使用することができる。
当該工程(2)おける分散装置としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビッグローターBR-2(アズワン社製)などが挙げられる。分散処理の条件としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、回転速度を90rpm、処理時間を5日間等に設定することができる。
当該工程(3)おける基材としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上述の(画像形成装置及び画像形成方法)の項目に記載した記録媒体を好適に使用することができる。
当該工程(3)における「任意の膜厚」とは、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2μmとすることができる。
当該工程(3)における乾燥条件としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乾燥温度を150℃、乾燥時間を5分間等に設定することができる。
当該工程(4)におけるエージング条件としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、処理温度を50℃、処理時間を3日間等に設定することができる。
【0110】
本明細書において、画像形成、記録、印字、印刷等は、いずれも同義語とする。
本明細書において、記録媒体、メディア、被印刷物は、いずれも同義語とする。
【実施例0111】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明の範囲はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下実施例及び比較例中の「部」及び「%」は、特に断りのない限り「質量部」及び「質量%」である。
【0112】
後述する合成例、実施例、及び比較例で得られる重合体及び共重合体の分子量は、以下の方法、及び条件で測定した。
[重量平均分子量の測定方法]
GPC(Gel Permeation Chromatography)により、以下の条件で測定した。
・装置:GPC-8320GPC(東ソー株式会社製)
・カラム:TSK G2000HXL及びG4000HXL(東ソー株式会社製)
・温度:40℃
・溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・流速:0.6mL/分間
上記装置に、濃度0.5質量%の共重合体を1mL注入し、上記の条件で測定した共重合体の分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して、重合体及び共重合体の重量平均分子量Mwを算出した。
【0113】
(合成例1)
<モノマーM-1の合成>
31.03g(500mmol)のエチレングリコール(東京化成社製)に11.77g(120mmol)の濃硫酸(国産化学社製)を少量ずつ加え、50℃まで加熱した。12.31g(100mmol)のイソニコチン酸(東京化成社製)を少量ずつ撹拌しながら加え、120℃まで加熱し5時間撹拌した。室温まで冷却した後、4Nの水酸化ナトリウム水溶液(関東化学社製)をpHが7になるまで撹拌しながら加えた。150mlの酢酸エチル(関東化学社製)で2回抽出し、単離した有機相を150mlの水で2回洗浄した後、単離した有機相を硫酸マグネシウム(関東化学社製)で乾燥した。有機相から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてヘキサン(関東化学社製)/酢酸エチル(関東化学社製)(体積比5/5~0/10)混合溶媒を用いて、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製して、9.55gの中間体1を得た。
【0114】
【化11】
【0115】
次に、8.36g(50mmol)の中間体1を、20mLの脱水テトラヒドロフラン(THF)(関東化学社製)に溶解した。この溶液に、9.31g(60mmol)のメタクリル酸2-イソシアネートエチル(東京化成工業株式会社製)を10mLの脱水THFに溶解した溶液を10分間かけて滴下した後、35℃で12時間撹拌した。得られた反応溶液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比5/5~0/10)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、11.55gのモノマーM-1を得た。
【0116】
【化12】
【0117】
(合成例2)
<モノマーM-2の合成>
59.08g(500mmol)の1,6-ヘキサンジオール(東京化成社製)80℃まで加熱し、11.77g(120mmol)の濃硫酸を少量ずつ加えた後、12.31g(100mmol)のイソニコチン酸を少量ずつ撹拌しながら加え、120℃まで加熱し5時間撹拌した。室温まで冷却した後、4Nの水酸化ナトリウム水溶液をpHが7になるまで撹拌しながら加えた。200mlの酢酸エチルで2回抽出し、単離した有機相を200mlの水で2回洗浄した後、単離した有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した。有機相から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比5/5~0/10)混合溶媒を用いて、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製して、13.67gの中間体2を得た。
【0118】
【化13】
【0119】
次に、11.16g(50mmol)の中間体2を、20mLの脱水THFに溶解した。この溶液に、9.31g(60mmol)のメタクリル酸2-イソシアネートエチルを10mLの脱水THFに溶解した溶液を10分間かけて滴下した後、35℃で12時間撹拌した。得られた反応溶液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比5/5~0/10)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、13.34gのモノマーM-2を得た。
【0120】
【化14】
【0121】
(合成例3)
<モノマーM-3の合成>
11.16g(50mmol)の中間体2を、20mLの脱水THFに溶解した。この溶液に、12.68g(60mmol)のメタクリル酸6-イソシアネートヘキシルエステル(HongKongChemhere Co.,Ltd.製)を10mLの脱水THFに溶解した溶液を10分間かけて滴下した後、35℃で12時間撹拌した。得られた反応溶液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比5/5~0/10)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、13.34gのモノマーM-3を得た。
【0122】
【化15】
【0123】
(合成例4)
<モノマーM-4の合成>
11.16g(50mmol)の中間体2を、20mLの脱水THFに溶解した。この溶液に、16.05g(60mmol)のメタクリル酸(3-メチル-7,7-ジメチル-7-イソシアネート)ヘキシルエステル(HongKong Chemhere Co.,Ltd.製)を10mLの脱水THFに溶解した溶液を10分間かけて滴下した後、35℃で12時間撹拌した。得られた反応溶液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比5/5~0/10)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、17.47gのモノマーM-4を得た。
【0124】
【化16】
【0125】
(合成例5)
<モノマーM-5の合成>
87.14g(500mmol)の1,10-デカンジオール(東京化成社製)80℃まで加熱し、11.77g(120mmol)の濃硫酸を少量ずつ加えた後、12.31g(100mmol)のイソニコチン酸を少量ずつ撹拌しながら加え、120℃まで加熱し5時間撹拌した。室温まで冷却した後、4Nの水酸化ナトリウム水溶液をpHが7になるまで撹拌しながら加えた。200mlの酢酸エチルで2回抽出し、単離した有機相を200mlの水で2回洗浄した後、単離した有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した。有機相から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比5/5~0/10)混合溶媒を用いて、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製して、14.55gの中間体3を得た。
【0126】
【化17】
【0127】
次に、13.97g(50mmol)の中間体3を、20mLの脱水THFに溶解した。この溶液に、16.05g(60mmol)のメタクリル酸(3-メチル-7,7-ジメチル-7-イソシアネート)ヘキシルエステル(HongKong Chemhere Co.,Ltd.製)を10mLの脱水THFに溶解した溶液を10分間かけて滴下した後、35℃で12時間撹拌した。得られた反応溶液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比5/5~0/10)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、16.23gのモノマーM-5を得た。
【0128】
【化18】
【0129】
(合成例6)
<モノマーM-6の合成>
50mLのメチルエチルケトン(関東化学社製)に9.51g(100mmol)の4-ヒドロキシピリジン、21.73g(120mmol)の6-ブロモー1-ヘキサノール(東京化成社製)、及び27.64g(200mmol)の炭酸カリウム(関東化学社製)を加え、18時間還流した。室温まで冷却した後、ろ過し、ろ液から溶媒を留去した。残留物を溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比5/5~0/10)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、15.12gの中間体4を得た。
【0130】
【化19】
【0131】
次に、9.77g(50mmol)の中間体4を、20mLの脱水THFに溶解した。この溶液に、8.47g(60mmol)のアクリル酸2-イソシアネートエチルエステル(東京化成社製)を10mLの脱水THFに溶解した溶液を10分間かけて滴下した後、35℃で12時間撹拌した。得られた反応溶液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比5/5~0/10)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、14.38gのモノマーM-6を得た。
【0132】
【化20】
【0133】
(合成例7)
<モノマーM-7の合成>
59.10g(500mmol)の1,6-ヘキサンジオールを80℃まで加熱し、11.77g(120mmol)の濃硫酸を少量ずつ加えた後、15.12g(100mmol)の3-(3-ピリジル)プロピオン酸を少量ずつ撹拌しながら加え、120℃まで加熱し5時間撹拌した。室温まで冷却した後、4Nの水酸化ナトリウム水溶液をpHが7になるまで撹拌しながら加えた。250mlの酢酸エチル加えて有機物を抽出し、300mlの水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、残留物を溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比5/5~0/10)混合溶媒を用いて、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製して、15.88gの中間体5を得た。
【0134】
【化21】
【0135】
次に、12.57g(50mmol)の中間体5を、20mLの脱水THFに溶解した。この溶液に、8.47g(60mmol)のアクリル酸2-イソシアネートエチルエステルを10mLの脱水THFに溶解した溶液を10分間かけて滴下した後、35℃で12時間撹拌した。得られた反応溶液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比5/5~0/10)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、14.62gのモノマーM-7を得た。
【0136】
【化22】
【0137】
(合成例8)
<モノマーM-8の合成>
6.68g(50mmol)の4-ピリジンプロパノール(東京化成社製)を、10mLの脱水THFに溶解した。この溶液に、8.47g(60mmol)のアクリル酸2-イソシアネートエチルエステルを10mLの脱水THFに溶解した溶液を10分間かけて滴下した後、35℃で12時間撹拌した。得られた反応溶液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比5/5~0/10)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、9.87gのモノマーM-8を得た。
【0138】
【化23】
【0139】
(合成例9)
<モノマーM-9の合成>
5.41g(50mmol)の4-(アミノメチル)ピリジン(東京化成社製)を、10mLの脱水THFに溶解した。この溶液に、8.47g(60mmol)のアクリル酸2-イソシアネートエチルエステルを10mLの脱水THFに溶解した溶液を10分間かけて滴下した後、35℃で12時間撹拌した。得られた反応溶液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比5/5~0/10)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、8.91gのモノマーM-9を得た。
【0140】
【化24】
【0141】
(合成例10)
<モノマーM-10の合成>
6.11g(50mmol)の4-(2-アミノエチル)ピリジン(東京化成社製)を、10mLの脱水THFに溶解した。この溶液に、8.47g(60mmol)のアクリル酸2-イソシアネートエチルエステルを10mLの脱水THFに溶解した溶液を10分間かけて滴下した後、35℃で12時間撹拌した。得られた反応溶液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比5/5~0/10)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、9.87gのモノマーM-10を得た。
【0142】
【化25】
【0143】
(合成例11)
<モノマーM-11の合成>
11.16g(50mmol)の中間体2を、20mLの脱水THFに溶解した。この溶液に、9.25g(60mmol)のN-(3-イソシアネートプロピル)アクリルアミド(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd.製)を10mLの脱水THFに溶解した溶液を10分間かけて滴下した後、35℃で12時間撹拌した。得られた反応溶液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比5/5~0/10)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、14.22gのモノマーM-11を得た。
【0144】
【化26】
【0145】
(合成例12)
<モノマーM-12の合成>
9.76g(50mmol)の中間体4を、20mLの脱水THFに溶解した。この溶液に、9.25g(60mmol)のN-(3-イソシアネートプロピル)アクリルアミドを10mLの脱水THFに溶解した溶液を10分間かけて滴下した後、35℃で12時間撹拌した。得られた反応溶液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比5/5~0/10)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、12.80gのモノマーM-12を得た。
【0146】
【化27】
【0147】
(合成例13)
<モノマーM-13の合成>
12.57g(50mmol)の中間体5を、20mLの脱水THFに溶解した。この溶液に、9.25g(60mmol)のN-(3-イソシアネートプロピル)アクリルアミドを10mLの脱水THFに溶解した溶液を10分間かけて滴下した後、35℃で12時間撹拌した。得られた反応溶液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比5/5~0/10)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、15.22gのモノマーM-13を得た。
【0148】
【化28】
【0149】
(合成例14)
<モノマーM-14の合成>
6.86g(50mmol)の4-ピリジンプロパノールを、10mLの脱水THFに溶解した。この溶液に、9.25g(60mmol)のN-(3-イソシアネートプロピル)アクリルアミドを10mLの脱水THFに溶解した溶液を10分間かけて滴下した後、35℃で12時間撹拌した。得られた反応溶液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比5/5~0/10)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、10.89gのモノマーM-14を得た。
【0150】
【化29】
【0151】
(合成例15)
<モノマーM-15の合成>
5.41g(50mmol)の4-(アミノメチル)ピリジンを10mLの脱水THFに溶解した。この溶液に、9.25g(60mmol)のN-(3-イソシアネートプロピル)アクリルアミドを10mLの脱水THFに溶解した溶液を10分間かけて滴下した後、35℃で12時間撹拌した。得られた反応溶液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比5/5~0/10)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、9.87gのモノマーM-15を得た。
【0152】
【化30】
【0153】
(合成例16)
<モノマーM-16の合成>
11.16g(50mmol)の中間体2を、20mLの脱水THFに溶解した。この溶液に、11.95g(60mmol)のメタクリル酸2-(2-イソシアネートエトキシ)エチルエステル(Chemieliva Pharmaceutical Co.,Ltd.製)を10mLの脱水THFに溶解した溶液を10分間かけて滴下した後、35℃で12時間撹拌した。得られた反応溶液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比5/5~0/10)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、15.44gのモノマーM-16を得た。
【0154】
【化31】
【0155】
(合成例17)
<モノマーM-17の合成>
9.76g(50mmol)の中間体4を、20mLの脱水THFに溶解した。この溶液に、11.95g(60mmol)のメタクリル酸2-(2-イソシアネートエトキシ)エチルエステルを10mLの脱水THFに溶解した溶液を10分間かけて滴下した後、35℃で12時間撹拌した。得られた反応溶液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比5/5~0/10)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、14.18gのモノマーM-17を得た。
【0156】
【化32】
【0157】
(合成例18)
<モノマーM-18の合成>
12.57g(50mmol)の中間体5を、20mLの脱水THFに溶解した。この溶液に、11.95g(60mmol)のメタクリル酸2-(2-イソシアネートエトキシ)エチルエステルを10mLの脱水THFに溶解した溶液を10分間かけて滴下した後、35℃で12時間撹拌した。得られた反応溶液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比5/5~0/10)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、16.45gのモノマーM-18を得た。
【0158】
【化33】
【0159】
(合成例19)
<モノマーM-19の合成>
6.86g(50mmol)の4-ピリジンプロパノールを10mLの脱水THFに溶解した。この溶液に、11.95g(60mmol)のメタクリル酸2-(2-イソシアネートエトキシ)エチルエステルを10mLの脱水THFに溶解した溶液を10分間かけて滴下した後、35℃で12時間撹拌した。得られた反応溶液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比5/5~0/10)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、12.45gのモノマーM-19を得た。
【0160】
【化34】
【0161】
(合成例20)
<モノマーM-20の合成>
5.41g(50mmol)の4-(2-アミノメチル)ピリジンを10mLの脱水THFに溶解した。この溶液に、11.95g(60mmol)のメタクリル酸2-(2-イソシアネートエトキシ)エチルエステルを10mLの脱水THFに溶解した溶液を10分間かけて滴下した後、35℃で12時間撹拌した。得られた反応溶液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比5/5~0/10)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、11.35gのモノマーM-20を得た。
【0162】
【化35】
【0163】
モノマーの合成例1~20で得られたモノマーM-1~M-20の構造をまとめて表1~2に示す。
【0164】
【表1】
【0165】
【表2】
【0166】
(比較合成例1)
<比較モノマーRM-1の合成>
13.01g(100mmol)の2-ヒドロキシエチルメタクリレートを50mLのジメチルアセトアミド(関東化学社製)に溶解し、16.81g(100mmol)のヘキサメチレンジイソシアネートを30分間かけて滴下した後、室温で4時間撹拌した。次いで、12.31g(100mmol)の2-(2-ヒドロキシエチル)ピリジンを20mLのジメチルアセトアミドに溶解した溶液を加え、室温で4時間撹拌した。得られた反応溶液に300mLの水を加え、200mLの酢酸エチルで2回抽出した。単離した有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。残留物を溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比4/6~0/10)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、22.73gの比較モノマーRM-1を得た。
【0167】
【化36】
【0168】
(比較合成例2)
<比較モノマーRM-2の合成>
59.08g(500mmol)の1,6-ヘキサンジオールを80℃まで加熱し、1.96g(20mmol)の濃硫酸を少量ずつ加えた後、12.22g(100mmol)の安息香酸を少量ずつ撹拌しながら加え、120℃まで加熱し5時間撹拌した。室温まで冷却した後、4Nの水酸化ナトリウム水溶液をpHが7になるまで撹拌しながら加えた。200mlの酢酸エチルで2回抽出し、単離した有機相を200mlの水で2回洗浄した後、単離した有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した。有機相から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比5/5~0/10)混合溶媒を用いて、シリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製して、13.81gの安息香酸6-ヒドロキシヘキシルエステルを得た。
次に、11.12g(50mmol)の安息香酸6-ヒドロキシヘキシルエステルを20mLの脱水THFに溶解した。この溶液に、9.31g(60mmol)のメタクリル酸2-イソシアネートエチルを10mLの脱水THFに溶解した溶液を10分間かけて滴下した後、室温で12時間撹拌した。得られた反応溶液から溶媒を留去し、残留物を溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(体積比5/5~1/9)混合溶媒を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、14.38gの比較モノマーRM-2を得た。
【0169】
【化37】
【0170】
(実施例1)
<共重合体CP-1の合成>
25.0質量部のアクリル酸(AA、東京化成工業株式会社製)、75.0質量部のモノマーM-1、及び0.95質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)(AIBN、東京化成工業株式会社製)を252質量部のジメチルホルムアミド(DMF)(関東化学社製)に溶解した。この溶液を、窒素気流下で80℃に加熱した28質量部のDMFに1時間かけて滴下した後、80℃で5時間撹拌した。室温まで冷却し、得られた反応溶液を500mLの水に投下した。析出物をろ別し、減圧乾燥して、97.7質量部の共重合体CP-1(重量平均分子量(Mw):17,800)を得た。
【0171】
(実施例2)
<共重合体CP-2の合成>
20.0質量部のアクリル酸、80.0質量部のモノマーM-2、及び0.72質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例1と同様にして、98.1質量部の共重合体CP-2(Mw:23,300)を得た。
【0172】
(実施例3)
<共重合体CP-3の合成>
15.0質量部のアクリル酸、85.0質量部のモノマーM-3、及び0.54質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例1と同様にして、97.2質量部の共重合体CP-3(Mw:29,200)を得た。
【0173】
(実施例4)
<共重合体CP-4の合成>
10.0質量部のアクリル酸、90.0質量部のモノマーM-4、及び0.37質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例1と同様にして、97.9質量部の共重合体CP-4(Mw:35,700)を得た。
【0174】
(実施例5)
<共重合体CP-5の合成>
5.0質量部のアクリル酸、95.0質量部のモノマーM-5、及び0.24質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例1と同様にして、98.2質量部の共重合体CP-5(Mw:47,100)を得た。
【0175】
(実施例6)
<共重合体CP-6の合成>
20.0質量部のアクリル酸、80.0質量部のモノマーM-2、及び0.20質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を216質量部のDMFに溶解した。この溶液を、窒素気流下で80℃に加熱した24質量部のDMFに1時間かけて滴下した後、80℃で5時間撹拌した。室温まで冷却し、得られた反応溶液を500mLの水に投下した。析出物をろ別し、減圧乾燥して、97.1質量部の共重合体CP-6(Mw:51,300)を得た。
【0176】
(実施例7)
<共重合体CP-7の合成>
20.0質量部のアクリル酸、80.0質量部のモノマーM-2、1.61質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)、及び0.26質量部の3-メルカプトプロピオン酸(3MPA、東京化成社製)を252質量部のDMFに溶解した。この溶液を、窒素気流下で80℃に加熱した28質量部のDMFに1時間かけて滴下した後、80℃で5時間撹拌した。室温まで冷却し、得られた反応溶液を500mLの水に投下した。析出物をろ別し、減圧乾燥して、97.0質量部の共重合体CP-7(Mw:4,100)を得た。
【0177】
(実施例8)
<共重合体CP-8の合成>
20.0質量部の2-アクリルアミド-2’-メチルプロパンスルホン酸(AAMS、東京化成社製)、80.0質量部のモノマーM-2、及び0.25質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を252質量部のDMFに溶解した。この溶液を、窒素気流下で80℃に加熱した28質量部のDMFに1時間かけて滴下した後、80℃で5時間撹拌した。室温まで冷却し、得られた反応溶液を500mLの水に投下した。析出物をろ別し、減圧乾燥して、98.5質量部の共重合体CP-8(Mw:41,600)を得た。
【0178】
(実施例9)
<共重合体CP-9の合成>
20.0質量部の2-アクリルアミド-2’-メチルプロパンスルホン酸、80.0質量部のモノマーM-2、及び0.13質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を216質量部のDMFに溶解した。この溶液を、窒素気流下で80℃に加熱した24質量部のDMFに1時間かけて滴下した後、80℃で5時間撹拌した。室温まで冷却し、得られた反応溶液を500mLの水に投下した。析出物をろ別し、減圧乾燥して、97.0質量部の共重合体CP-9(Mw:52,200)を得た。
【0179】
(実施例10)
<共重合体CP-10の合成>
20.0質量部の2-アクリルアミド-2’-メチルプロパンスルホン酸、80.0質量部のモノマーM-2、1.01質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)、及び0.16質量部の3-メルカプトプロピオン酸を252質量部のDMFに溶解した。この溶液を、窒素気流下で80℃に加熱した28質量部のDMFに1時間かけて滴下した後、80℃で5時間撹拌した。室温まで冷却し、得られた反応溶液を500mLの水に投下した。析出物をろ別し、減圧乾燥して、97.0質量部の共重合体CP-10(Mw:4,300)を得た。
【0180】
(実施例11)
<共重合体CP-11の合成>
25.0質量部のアクリル酸、75.0質量部のモノマーM-6、及び0.88質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例1と同様にして、98.2質量部の共重合体CP-11(Mw:18,100)を得た。
【0181】
(実施例12)
<共重合体CP-12の合成>
20.0質量部のアクリル酸、80.0質量部のモノマーM-7、及び0.71質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例1と同様にして、98.4質量部の共重合体CP-12(Mw:24,600)を得た。
【0182】
(実施例13)
<共重合体CP-13の合成>
15.0質量部のアクリル酸、85.0質量部のモノマーM-8、及び0.67質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例1と同様にして、98.5質量部の共重合体CP-13(Mw:30,100)を得た。
【0183】
(実施例14)
<共重合体CP-14の合成>
10.0質量部のアクリル酸、90.0質量部のモノマーM-9、及び0.57質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例1と同様にして、98.0質量部の共重合体CP-14(Mw:36,200)を得た。
【0184】
(実施例15)
<共重合体CP-15の合成>
5.0質量部のアクリル酸、95.0質量部のモノマーM-10、及び0.35質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例1と同様にして、98.5質量部の共重合体CP-15(Mw:46,900)を得た。
【0185】
(実施例16)
<共重合体CP-16の合成>
20.0質量部のアクリル酸、80.0質量部のモノマーM-8、及び0.28質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例6と同様にして、98.5質量部の共重合体CP-16(Mw:53,400)を得た。
【0186】
(実施例17)
<共重合体CP-17の合成>
20.0質量部のアクリル酸、80.0質量部のモノマーM-8、1.86質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)、及び0.30質量部の3-メルカプトプロピオン酸を使用する以外は実施例7と同様にして、98.0質量部の共重合体CP-17(Mw:4,100)を得た。
【0187】
(実施例18)
<共重合体CP-18の合成>
20.0質量部の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、80.0質量部のモノマーM-8、及び0.32質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例8と同様にして、98.8質量部の共重合体CP-18(Mw:42,600)を得た。
【0188】
(実施例19)
<共重合体CP-19の合成>
20.0質量部の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、80.0質量部のモノマーM-8、及び0.16質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例9と同様にして、98.0質量部の共重合体CP-19(Mw:52,800)を得た。
【0189】
(実施例20)
<共重合体CP-20の合成>
20.0質量部の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、80.0質量部のモノマーM-8、1.26質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)、及び0.20質量部の3-メルカプトプロピオン酸を使用する以外は実施例10と同様にして、98.7質量部の共重合体CP-20(Mw:4,500)を得た。
【0190】
(実施例21)
<共重合体CP-21の合成>
25.0質量部のアクリル酸、75.0質量部のモノマーM-11、及び0.90質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例1と同様にして、98.4質量部の共重合体CP-21(Mw:19,700)を得た。
【0191】
(実施例22)
<共重合体CP-22の合成>
20.0質量部のアクリル酸、80.0質量部のモノマーM-12、及び0.75質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例1と同様にして、98.8質量部の共重合体CP-22(Mw:23,900)を得た。
【0192】
(実施例23)
<共重合体CP-23の合成>
15.0質量部のアクリル酸、85.0質量部のモノマーM-13、及び0.55質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例1と同様にして、98.1質量部の共重合体CP-23(Mw:29,800)を得た。
【0193】
(実施例24)
<共重合体CP-24の合成>
10.0質量部のアクリル酸、90.0質量部のモノマーM-14、及び0.51質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例1と同様にして、98.6質量部の共重合体CP-24(Mw:35,100)を得た。
【0194】
(実施例25)
<共重合体CP-25の合成>
5.0質量部のアクリル酸、95.0質量部のモノマーM-15、及び0.35質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例1と同様にして、98.0質量部の共重合体CP-25(Mw:43,800)を得た。
【0195】
(実施例26)
<共重合体CP-26の合成>
20.0質量部のアクリル酸、80.0質量部のモノマーM-12、及び0.21質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例6と同様にして、97.7質量部の共重合体CP-26(Mw:54,100)を得た。
【0196】
(実施例27)
<共重合体CP-27の合成>
20.0質量部のアクリル酸、80.0質量部のモノマーM-12、1.68質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)、及び0.27質量部の3-メルカプトプロピオン酸を使用する以外は実施例7と同様にして、98.4質量部の共重合体CP-27(Mw:4,600)を得た。
【0197】
(実施例28)
<共重合体CP-28の合成>
20.0質量部の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、80.0質量部のモノマーM-12、及び0.27質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例8と同様にして、98.0質量部の共重合体CP-28(Mw:40,900)を得た。
【0198】
(実施例29)
<共重合体CP-29の合成>
20.0質量部の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、80.0質量部のモノマーM-12、及び0.13質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例9と同様にして、98.6質量部の共重合体CP-29(Mw:56,200)を得た。
【0199】
(実施例30)
<共重合体CP-30の合成>
20.0質量部の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、80.0質量部のモノマーM-12、1.68質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)、及び0.17質量部の3-メルカプトプロピオン酸を使用する以外は実施例10と同様にして、97.7質量部の共重合体CP-30(Mw:4,700)を得た。
【0200】
(実施例31)
<共重合体CP-31の合成>
25.0質量部のメタクリル酸(MA、東京化成工業株式会社製)、75.0質量部のモノマーM-16、及び0.77質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を252質量部のDMFに溶解した。この溶液を、窒素気流下で80℃に加熱した28質量部のDMFに1時間かけて滴下した後、80℃で5時間撹拌した。室温まで冷却し、得られた反応溶液を500mLの水に投下した。析出物をろ別し、減圧乾燥して、98.2質量部の共重合体CP-31(Mw:18,800)を得た。
【0201】
(実施例32)
<共重合体CP-32の合成>
20.0質量部のメタクリル酸、80.0質量部のモノマーM-17、及び0.64質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例31と同様にして、98.1質量部の共重合体CP-32(Mw:23,000)を得た。
【0202】
(実施例33)
<共重合体CP-33の合成>
15.0質量部のメタクリル酸、85.0質量部のモノマーM-18、及び0.48質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例31と同様にして、98.9質量部の共重合体CP-33(Mw:30,100)を得た。
【0203】
(実施例34)
<共重合体CP-34の合成>
10.0質量部のメタクリル酸、90.0質量部のモノマーM-19、及び0.44質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例31と同様にして、98.2質量部の共重合体CP-34(Mw:35,900)を得た。
【0204】
(実施例35)
<共重合体CP-35の合成>
5.0質量部のメタクリル酸、95.0質量部のモノマーM-20、及び0.30質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例31と同様にして、98.9質量部の共重合体CP-35(Mw:45,700)を得た。
【0205】
(実施例36)
<共重合体CP-36の合成>
20.0質量部のメタクリル酸、70.0質量部のモノマーM-3、10.0質量部のスチレン(St、東京化成社製)、及び0.49質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を252質量部のDMFに溶解した。この溶液を、窒素気流下で80℃に加熱した28質量部のDMFに1時間かけて滴下した後、80℃で5時間撹拌した。室温まで冷却し、得られた反応溶液を500mLの水に投下した。析出物をろ別し、減圧乾燥して、98.3質量部の共重合体CP-36(Mw:37,900)を得た。
【0206】
(実施例37)
<共重合体CP-37の合成>
20.0質量部のメタクリル酸、70.0質量部のモノマーM-3、10.0質量部のメタクリル酸ドデシル(DdMA、東京化成社製)、及び0.43質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を252質量部のDMFに溶解した。この溶液を、窒素気流下で80℃に加熱した28質量部のDMFに1時間かけて滴下した後、80℃で5時間撹拌した。室温まで冷却し、得られた反応溶液を500mLの水に投下した。析出物をろ別し、減圧乾燥して、98.6質量部の共重合体CP-37(Mw:38,600)を得た。
【0207】
(実施例38)
<共重合体CP-38の合成>
20.0質量部の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、70.0質量部のモノマーM-3、10.0質量部のスチレン、及び0.35質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を252質量部のDMFに溶解した。この溶液を、窒素気流下で80℃に加熱した28質量部のDMFに1時間かけて滴下した後、80℃で5時間撹拌した。室温まで冷却し、得られた反応溶液を500mLの水に投下した。析出物をろ別し、減圧乾燥して、98.3質量部の共重合体CP-38(Mw:39,900)を得た。
【0208】
(実施例39)
<共重合体CP-39の合成>
20.0質量部の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、70.0質量部のモノマーM-3、10.0質量部のスチレン、及び0.15質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を216質量部のDMFに溶解した。この溶液を、窒素気流下で80℃に加熱した24質量部のDMFに1時間かけて滴下した後、80℃で5時間撹拌した。室温まで冷却し、得られた反応溶液を500mLの水に投下した。析出物をろ別し、減圧乾燥して、98.8質量部の共重合体CP-39(Mw:55,500)を得た。
【0209】
(実施例40)
<共重合体CP-40の合成>
20.0質量部の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、70.0質量部のモノマーM-3、10.0質量部のスチレン、1.18質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)、及び0.19質量部の3-メルカプトプロピオン酸を252質量部のDMFに溶解した。この溶液を、窒素気流下で80℃に加熱した28質量部のDMFに1時間かけて滴下した後、80℃で5時間撹拌した。室温まで冷却し、得られた反応溶液を500mLの水に投下した。析出物をろ別し、減圧乾燥して、97.5質量部の共重合体CP-40(Mw:4,000)を得た。
【0210】
(比較例1)
<比較共重合体RCP-1の合成>
25.0質量部のアクリル酸、75.0質量部の比較モノマーRM-1、及び0.52質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例1と同様にして、98.5質量部の比較共重合体RCP-1(Mw:34,900)を得た。
【0211】
(比較例2)
<比較共重合体RCP-2の合成>
15.0質量部のアクリル酸、85.0質量部の比較モノマーRM-1、及び0.40質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例1と同様にして、98.0質量部の比較共重合体RCP-2(Mw:35,300)を得た。
【0212】
(比較例3)
<比較共重合体RCP-3の合成>
5.0質量部のアクリル酸、95.0質量部の比較モノマーRM-1、及び0.29質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例1と同様にして、97.5質量部の比較共重合体RCP-3(Mw:36,200)を得た。
【0213】
(比較例4)
<比較共重合体RCP-4の合成>
20.0質量部の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、80.0質量部の比較モノマーRM-1、及び0.28質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例8と同様にして、98.5質量部の比較共重合体RCP-4(Mw:36,300)を得た。
【0214】
(比較例5)
<比較共重合体RCP-5の合成>
20.0質量部の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、80.0質量部の比較モノマーRM-1、及び0.12質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例9と同様にして、98.8質量部の共重合体RCP-5(Mw:56,100)を得た。
【0215】
(比較例6)
<比較共重合体RCP-6の合成>
20.0質量部の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、80.0質量部の比較モノマーRM-1、0.94質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)、及び0.15質量部の3-メルカプトプロピオン酸を使用する以外は実施例10と同様にして、98.0質量部の比較共重合体RCP-6(Mw:4,600)を得た。
【0216】
(比較例7)
<比較共重合体RCP-7の合成>
25.0質量部のメタクリル酸、70.0質量部の比較モノマーRM-2、5.0質量部のスチレン、及び0.52質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例36と同様にして、98.3質量部の比較共重合体RCP-7(Mw:36,900)を得た。
【0217】
(比較例8)
<比較共重合体RCP-8の合成>
5.0質量部のメタクリル酸、70.0質量部の比較モノマーRM-2、5.0質量部のメタクリル酸ドデシル、及び0.34質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例37と同様にして、98.8質量部の比較共重合体RCP-8(Mw:37,100)を得た。
【0218】
(比較例9)
<比較共重合体RCP-9の合成>
20.0質量部の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、70.0質量部の比較モノマーRM-2、10.0質量部のスチレン、及び0.37質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例38と同様にして、98.9質量部の比較共重合体RCP-9(Mw:35,900)を得た。
【0219】
(比較例10)
<比較共重合体RCP-10の合成>
20.0質量部の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、70.0質量部の比較モノマーRM-2、10.0質量部のスチレン、及び0.16質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)を使用する以外は実施例39と同様にして、98.1質量部の比較共重合体RCP-10(Mw:53,700)を得た。
【0220】
(比較例11)
<比較共重合体RCP-11の合成>
20.0質量部の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、70.0質量部の比較モノマーRM-2、10.0質量部のスチレン、1.24質量部の2,2’-アゾイソ(ブチロニトリル)、及び0.20質量部の3-メルカプトプロピオン酸を使用する以外は実施例40と同様にして、97.7質量部の比較共重合体RCP-11(Mw:3,900)を得た。
【0221】
上記の実施例1~40で合成された共重合体CP-1~CP-40、及び上記の比較例1~11で合成された共重合体RCP-1~RCP-11について、構成、質量部、及び重量平均分子量(Mw)をまとめて表3~4に示す。
【0222】
【表3】
【0223】
【表4】
【0224】
(実施例41)
<顔料分散体PD-1の調製>
ガラス容器に40.0質量部のイオン交換水、及び5.0質量部のエチレングリコール(東京化成株式会社製)を入れ、撹拌した後、1.16質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミン(東京化成株式会社製)、及び実施例1で調製した3.75質量部の共重合体CP-1を加え、溶解した。次いで、50.0質量部の酸化チタンJR-405(テイカ株式会社製)を撹拌しながら、少しずつ加えた後、6時間撹拌した。540.0質量部の2mm径のジルコニアビーズを加え、ビッグローターBR-2(アズワン株式会社製)により90rpmの回転速度で48時間分散処理した。内容物を孔径10μmのメンブレンフィルターでろ過し、調整量のイオン交換水を加えて、100.0質量部の顔料分散体PD-1(顔料固形分濃度:50%)を得た。
【0225】
<水性インクInk-1の調製>
20.0質量部の顔料分散体PD-1、18.0質量部のエチレングリコール、4.0質量部の3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド(東京化成株式会社製)、1.0質量部のゾニールFS-300(Dupont社製、フッ素系界面活性剤、固形分40%)、0.3質量部のトリエタノールアミン(東京化成株式会社製)、0.8質量部の1,2-ベンゾチアゾリン-3-オン(東京化成株式会社製)、及び56.0質量部のイオン交換水を混合し、1時間撹拌した後、孔径5.0μmのメンブレンフィルターでろ過して、インクInk-1を得た。
【0226】
(実施例42)
<水性インクInk-2の調製>
実施例41で使用した共重合体CP-1の代わりに、実施例2で調製した共重合体CP-2を使用し、実施例41で使用した1.16質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.93質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例41と同様にして、顔料分散体PD-2、及びインクInk-2を得た。
【0227】
(実施例43)
<水性インクInk-3の調製>
実施例41で使用した共重合体CP-1の代わりに、実施例3で調製した共重合体CP-3を使用し、実施例41で使用した1.16質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.70質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例41と同様にして、顔料分散体PD-3、及びインクInk-3を得た。
【0228】
(実施例44)
<水性インクInk-4の調製>
実施例41で使用した共重合体CP-1の代わりに、実施例4で調製した共重合体CP-4を使用し、実施例41で使用した1.16質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.46質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例41と同様にして、顔料分散体PD-4、及びインクInk-4を得た。
【0229】
(実施例45)
<水性インクInk-5の調製>
実施例41で使用した共重合体CP-1の代わりに、実施例5で調製した共重合体CP-5を使用し、実施例41で使用した1.16質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.23質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例41と同様にして、顔料分散体PD-5、及びインクInk-5を得た。
【0230】
(実施例46)
<水性インクInk-6の調製>
実施例41で使用した共重合体CP-1の代わりに、実施例6で調製した共重合体CP-6を使用し、実施例41で使用した1.16質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.93質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例41と同様にして、顔料分散体PD-6、及びインクInk-6を得た。
【0231】
(実施例47)
<水性インクInk-7の調製>
実施例41で使用した共重合体CP-1の代わりに、実施例7で調製した共重合体CP-7を使用し、実施例41で使用した1.16質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.93質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例41と同様にして、顔料分散体PD-7、及びインクInk-7を得た。
【0232】
(実施例48)
<水性インクInk-8の調製>
実施例41で使用した共重合体CP-1の代わりに、実施例8で調製した共重合体CP-8を使用し、実施例41で使用した1.16質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.32質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例41と同様にして、顔料分散体PD-8、及びインクInk-8を得た。
【0233】
(実施例49)
<水性インクInk-9の調製>
実施例41で使用した共重合体CP-1の代わりに、実施例9で調製した共重合体CP-9を使用し、実施例41で使用した1.16質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.32質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例41と同様にして、顔料分散体PD-9、及びインクInk-9を得た。
【0234】
(実施例50)
<水性インクInk-10の調製>
実施例41で使用した共重合体CP-1の代わりに、実施例10で調製した共重合体CP-10を使用し、実施例41で使用した1.16質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.32質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例41と同様にして、顔料分散体PD-10、及びインクInk-10を得た。
【0235】
(実施例51)
<水性インクInk-11の調製>
実施例41で使用した3.75質量部の共重合体CP-1の代わりに、実施例11で調製した2.50質量部の共重合体CP-11を使用し、実施例41で使用した1.16質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.77質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例41と同様にして、顔料分散体PD-11、及びインクInk-11を得た。
【0236】
(実施例52)
<水性インクInk-12の調製>
実施例41で使用した3.75質量部の共重合体CP-1の代わりに、実施例12で調製した2.50質量部の共重合体CP-12を使用し、実施例41で使用した1.16質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.62質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例41と同様にして、顔料分散体PD-12、及びインクInk-12を得た。
【0237】
(実施例53)
<水性インクInk-13の調製>
実施例41で使用した3.75質量部の共重合体CP-1の代わりに、実施例13で調製した2.50質量部の共重合体CP-13を使用し、実施例41で使用した1.16質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.46質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例41と同様にして、顔料分散体PD-13、及びインクInk-13を得た。
【0238】
(実施例54)
<水性インクInk-14の調製>
実施例41で使用した3.75質量部の共重合体CP-1の代わりに、実施例14で調製した2.50質量部の共重合体CP-14を使用し、実施例41で使用した1.16質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.31質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例41と同様にして、顔料分散体PD-14、及びインクInk-14を得た。
【0239】
(実施例55)
<水性インクInk-15の調製>
実施例41で使用した3.75質量部の共重合体CP-1の代わりに、実施例15で調製した2.50質量部の共重合体CP-15を使用し、実施例41で使用した1.16質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.15質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例41と同様にして、顔料分散体PD-15、及びインクInk-15を得た。
【0240】
(実施例56)
<水性インクInk-16の調製>
実施例41で使用した3.75質量部の共重合体CP-1の代わりに、実施例16で調製した2.50質量部の共重合体CP-16を使用し、実施例41で使用した1.16質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.62質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例41と同様にして、顔料分散体PD-16、及びインクInk-16を得た。
【0241】
(実施例57)
<水性インクInk-17の調製>
実施例41で使用した3.75質量部の共重合体CP-1の代わりに、実施例17で調製した2.50質量部の共重合体CP-17を使用し、実施例41で使用した1.16質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.62質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例41と同様にして、顔料分散体PD-17、及びインクInk-17を得た。
【0242】
(実施例58)
<水性インクInk-18の調製>
実施例41で使用した3.75質量部の共重合体CP-1の代わりに、実施例18で調製した2.50質量部の共重合体CP-18を使用し、実施例41で使用した1.16質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.22質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例41と同様にして、顔料分散体PD-18、及びインクInk-18を得た。
【0243】
(実施例59)
<水性インクInk-19の調製>
実施例41で使用した3.75質量部の共重合体CP-1の代わりに、実施例19で調製した2.50質量部の共重合体CP-19を使用し、実施例41で使用した1.16質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.22質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例41と同様にして、顔料分散体PD-19、及びインクInk-19を得た。
【0244】
(実施例60)
<水性インクInk-20の調製>
実施例41で使用した3.75質量部の共重合体CP-1の代わりに、実施例20で調製した2.50質量部の共重合体CP-20を使用し、実施例41で使用した1.16質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.22質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例41と同様にして、顔料分散体PD-20、及びインクInk-20を得た。
【0245】
(実施例61)
<顔料分散体PD-21の調製>
ガラス容器に40.0質量部のイオン交換水、及び5.0質量部のエチレングリコール(東京化成株式会社製)を入れ、撹拌した後、0.52質量部の水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製)、及び実施例21で調製した3.75質量部の共重合体CP-21を加え、溶解した。次いで、50.0質量部の酸化チタンJR-405(テイカ株式会社製)を撹拌しながら、少しずつ加えた後、6時間撹拌した。540.0質量部の2mm径のジルコニアビーズを加え、ビッグローターBR-2(アズワン株式会社製)により90rpmの回転速度で48時間分散処理した。内容物を孔径10μmのメンブレンフィルターでろ過し、調整量のイオン交換水を加えて、100.0質量部の顔料分散体PD-21(顔料固形分濃度:50%)を得た。
【0246】
<水性インクInk-21の調製>
実施例41で使用した顔料分散体PD-1の代わりに、上記の顔料分散体PD-21を使用した以外は、実施例41と同様にして、インクInk-21を得た。
【0247】
(実施例62)
実施例61で使用した共重合体CP-21の代わりに、実施例22で調製した共重合体CP-22を使用し、実施例61で使用した0.52質量部の水酸化ナトリウムの代わりに、0.42質量部の水酸化ナトリウムを使用した以外は、実施例61と同様にして、顔料分散体PD-22、及びインクInk-22を得た。
【0248】
(実施例63)
実施例61で使用した共重合体CP-21の代わりに、実施例23で調製した共重合体CP-23を使用し、実施例61で使用した0.52質量部の水酸化ナトリウムの代わりに、0.31質量部の水酸化ナトリウムを使用した以外は、実施例61と同様にして、顔料分散体PD-23、及びインクInk-23を得た。
【0249】
(実施例64)
実施例61で使用した共重合体CP-21の代わりに、実施例24で調製した共重合体CP-24を使用し、実施例61で使用した0.52質量部の水酸化ナトリウムの代わりに、0.21質量部の水酸化ナトリウムを使用した以外は、実施例61と同様にして、顔料分散体PD-24、及びインクInk-24を得た。
【0250】
(実施例65)
実施例61で使用した共重合体CP-21の代わりに、実施例25で調製した共重合体CP-25を使用し、実施例61で使用した0.52質量部の水酸化ナトリウムの代わりに、0.10質量部の水酸化ナトリウムを使用した以外は、実施例61と同様にして、顔料分散体PD-25、及びインクInk-25を得た。
【0251】
(実施例66)
実施例61で使用した共重合体CP-21の代わりに、実施例26で調製した共重合体CP-26を使用し、実施例61で使用した0.52質量部の水酸化ナトリウムの代わりに、0.42質量部の水酸化ナトリウムを使用した以外は、実施例61と同様にして、顔料分散体PD-26、及びインクInk-26を得た。
【0252】
(実施例67)
実施例61で使用した共重合体CP-21の代わりに、実施例27で調製した共重合体CP-27を使用し、実施例61で使用した0.52質量部の水酸化ナトリウムの代わりに、0.42質量部の水酸化ナトリウムを使用した以外は、実施例61と同様にして、顔料分散体PD-27、及びインクInk-27を得た。
【0253】
(実施例68)
実施例61で使用した共重合体CP-21の代わりに、実施例28で調製した共重合体CP-28を使用し、実施例61で使用した0.52質量部の水酸化ナトリウムの代わりに、0.14質量部の水酸化ナトリウムを使用した以外は、実施例61と同様にして、顔料分散体PD-28、及びインクInk-28を得た。
【0254】
(実施例69)
実施例61で使用した共重合体CP-21の代わりに、実施例29で調製した共重合体CP-29を使用し、実施例61で使用した0.52質量部の水酸化ナトリウムの代わりに、0.14質量部の水酸化ナトリウムを使用した以外は、実施例61と同様にして、顔料分散体PD-29、及びインクInk-29を得た。
【0255】
(実施例70)
実施例61で使用した共重合体CP-21の代わりに、実施例30で調製した共重合体CP-30を使用し、実施例61で使用した0.52質量部の水酸化ナトリウムの代わりに、0.14質量部の水酸化ナトリウムを使用した以外は、実施例61と同様にして、顔料分散体PD-30、及びインクInk-30を得た。
【0256】
(実施例71)
実施例61で使用した3.75質量部の共重合体CP-21の代わりに、実施例31で調製した2.50質量部の共重合体CP-31を使用し、実施例61で使用した0.52質量部の水酸化ナトリウムの代わりに、0.29質量部の水酸化ナトリウムを使用した以外は、実施例61と同様にして、顔料分散体PD-31、及びインクInk-31を得た。
【0257】
(実施例72)
実施例61で使用した3.75質量部の共重合体CP-21の代わりに、実施例32で調製した2.50質量部の共重合体CP-32を使用し、実施例61で使用した0.52質量部の水酸化ナトリウムの代わりに、0.23質量部の水酸化ナトリウムを使用した以外は、実施例61と同様にして、顔料分散体PD-32、及びインクInk-32を得た。
【0258】
(実施例73)
実施例61で使用した3.75質量部の共重合体CP-21の代わりに、実施例33で調製した2.50質量部の共重合体CP-33を使用し、実施例61で使用した0.52質量部の水酸化ナトリウムの代わりに、0.17質量部の水酸化ナトリウムを使用した以外は、実施例61と同様にして、顔料分散体PD-33、及びインクInk-33を得た。
【0259】
(実施例74)
実施例61で使用した3.75質量部の共重合体CP-21の代わりに、実施例34で調製した2.50質量部の共重合体CP-34を使用し、実施例61で使用した0.52質量部の水酸化ナトリウムの代わりに、0.12質量部の水酸化ナトリウムを使用した以外は、実施例61と同様にして、顔料分散体PD-34、及びインクInk-34を得た。
【0260】
(実施例75)
実施例61で使用した3.75質量部の共重合体CP-21の代わりに、実施例35で調製した2.50質量部の共重合体CP-35を使用し、実施例61で使用した0.52質量部の水酸化ナトリウムの代わりに、0.06質量部の水酸化ナトリウムを使用した以外は、実施例61と同様にして、顔料分散体PD-35、及びインクInk-35を得た。
【0261】
(実施例76)
実施例61で使用した3.75質量部の共重合体CP-21の代わりに、実施例36で調製した2.50質量部の共重合体CP-36を使用し、実施例61で使用した0.52質量部の水酸化ナトリウムの代わりに、0.23質量部の水酸化ナトリウムを使用した以外は、実施例61と同様にして、顔料分散体PD-36、及びインクInk-36を得た。
【0262】
(実施例77)
実施例61で使用した3.75質量部の共重合体CP-21の代わりに、実施例37で調製した2.50質量部の共重合体CP-37を使用し、実施例61で使用した0.52質量部の水酸化ナトリウムの代わりに、0.23質量部の水酸化ナトリウムを使用した以外は、実施例61と同様にして、顔料分散体PD-37、及びインクInk-37を得た。
【0263】
(実施例78)
実施例61で使用した3.75質量部の共重合体CP-21の代わりに、実施例38で調製した2.50質量部の共重合体CP-38を使用し、実施例61で使用した0.52質量部の水酸化ナトリウムの代わりに、0.10質量部の水酸化ナトリウムを使用した以外は、実施例61と同様にして、顔料分散体PD-38、及びインクInk-38を得た。
【0264】
(実施例79)
実施例61で使用した3.75質量部の共重合体CP-21の代わりに、実施例39で調製した2.50質量部の共重合体CP-39を使用し、実施例61で使用した0.52質量部の水酸化ナトリウムの代わりに、0.10質量部の水酸化ナトリウムを使用した以外は、実施例61と同様にして、顔料分散体PD-39、及びインクInk-39を得た。
【0265】
(実施例80)
実施例61で使用した3.75質量部の共重合体CP-21の代わりに、実施例40で調製した2.50質量部の共重合体CP-40を使用し、実施例61で使用した0.52質量部の水酸化ナトリウムの代わりに、0.10質量部の水酸化ナトリウムを使用した以外は、実施例61と同様にして、顔料分散体PD-40、及びインクInk-40を得た。
【0266】
(実施例81)
<顔料分散体PD-41の調製>
ガラス容器に40.0質量部のイオン交換水、及び5.0質量部のエチレングリコールを入れ、撹拌した後、0.77質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミン、及び実施例1で調製した2.50質量部の共重合体CP-1を加え、溶解した。次いで、50.0質量部の硫酸バリウムTS-2(竹原化学工業株式会社製)を撹拌しながら、少しずつ加えた後、6時間撹拌した。540.0質量部の2mm径のジルコニアビーズを加え、ビッグローターBR-2(アズワン株式会社製)により90rpmの回転速度で48時間分散処理した。内容物を孔径10μmのメンブレンフィルターでろ過し、調整量のイオン交換水を加えて、100.0質量部の顔料分散体PD-41(顔料固形分濃度:50%)を得た。
【0267】
<水性インクInk-41の調製>
実施例41で使用した顔料分散体PD-1の代わりに、上記の顔料分散体PD-41を使用した以外は、実施例41と同様にして、インクInk-41を得た。
【0268】
(実施例82)
実施例81で使用した共重合体CP-1の代わりに、実施例2で調製した共重合体CP-2を使用し、実施例81で使用した0.77質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.62質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例81と同様にして、顔料分散体PD-42、及びインクInk-42を得た。
【0269】
(実施例83)
実施例81で使用した共重合体CP-1の代わりに、実施例3で調製した共重合体CP-3を使用し、実施例81で使用した0.77質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.46質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例81と同様にして、顔料分散体PD-43、及びインクInk-43を得た。
【0270】
(実施例84)
実施例81で使用した共重合体CP-1の代わりに、実施例4で調製した共重合体CP-4を使用し、実施例81で使用した0.77質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.31質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例81と同様にして、顔料分散体PD-44、及びインクInk-44を得た。
【0271】
(実施例85)
実施例81で使用した共重合体CP-1の代わりに、実施例5で調製した共重合体CP-5を使用し、実施例81で使用した0.77質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.15質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例81と同様にして、顔料分散体PD-45、及びインクInk-45を得た。
【0272】
(実施例86)
実施例81で使用した共重合体CP-1の代わりに、実施例6で調製した共重合体CP-6を使用し、実施例81で使用した0.77質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.62質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例81と同様にして、顔料分散体PD-46、及びインクInk-46を得た。
【0273】
(実施例87)
実施例81で使用した共重合体CP-1の代わりに、実施例7で調製した共重合体CP-7を使用し、実施例81で使用した0.77質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.62質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例81と同様にして、顔料分散体PD-47、及びインクInk-47を得た。
【0274】
(実施例88)
実施例81で使用した共重合体CP-1の代わりに、実施例8で調製した共重合体CP-8を使用し、実施例81で使用した0.77質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.77質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例81と同様にして、顔料分散体PD-48、及びインクInk-48を得た。
【0275】
(実施例89)
実施例81で使用した共重合体CP-1の代わりに、実施例9で調製した共重合体CP-9を使用し、実施例81で使用した0.77質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.22質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例81と同様にして、顔料分散体PD-49、及びインクInk-49を得た。
【0276】
(実施例90)
実施例81で使用した共重合体CP-1の代わりに、実施例10で調製した共重合体CP-10を使用し、実施例81で使用した0.77質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.22質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例81と同様にして、顔料分散体PD-50、及びインクInk-50を得た。
【0277】
(比較例12)
<比較水性インクRink-1の調製>
実施例41で使用した共重合体CP-1の代わりに、比較例1で調製した比較共重合体RCP-1を使用し、実施例41で使用した1.16質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、1.16質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例41と同様にして、比較顔料分散体RPD-1、及び比較インクRink-1を得た。
【0278】
(比較例13)
<比較水性インクRink-2の調製>
実施例41で使用した共重合体CP-1の代わりに、比較例2で調製した比較共重合体RCP-2を使用し、実施例41で使用した1.16質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.70質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例41と同様にして、比較顔料分散体RPD-2、及び比較インクRink-2を得た。
【0279】
(比較例14)
<比較水性インクRink-3の調製>
実施例41で使用した共重合体CP-1の代わりに、比較例3で調製した比較共重合体RCP-3を使用し、実施例41で使用した1.16質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.23質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例41と同様にして、比較顔料分散体RPD-3、及び比較インクRink-3を得た。
【0280】
(比較例15)
<比較水性インクRink-4の調製>
実施例41で使用した共重合体CP-1の代わりに、比較例4で調製した比較共重合体RCP-4を使用し、実施例41で使用した1.16質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.32質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例41と同様にして、比較顔料分散体RPD-4、及び比較インクRink-4を得た。
【0281】
(比較例16)
<比較水性インクRink-5の調製>
実施例41で使用した共重合体CP-1の代わりに、比較例5で調製した比較共重合体RCP-5を使用し、実施例41で使用した1.16質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.32質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例41と同様にして、比較顔料分散体RPD-5、及び比較インクRink-5を得た。
【0282】
(比較例17)
<比較水性インクRink-6の調製>
実施例41で使用した共重合体CP-1の代わりに、比較例6で調製した比較共重合体RCP-6を使用し、実施例41で使用した1.16質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.32質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例41と同様にして、比較顔料分散体RPD-6、及び比較インクRink-6を得た。
【0283】
(比較例18)
<比較水性インクRink-7の調製>
実施例61で使用した3.75質量部の共重合体CP-21の代わりに、比較例7で調製した2.50質量部の比較共重合体RCP-7を使用し、実施例61で使用した0.52質量部の水酸化ナトリウムの代わりに、0.29質量部の水酸化ナトリウムを使用した以外は、実施例61と同様にして、比較顔料分散体RPD-7、及び比較インクRink-7を得た。
【0284】
(比較例19)
<比較水性インクRink-8の調製>
実施例61で使用した3.75質量部の共重合体CP-21の代わりに、比較例8で調製した2.50質量部の比較共重合体RCP-8を使用し、実施例61で使用した0.52質量部の水酸化ナトリウムの代わりに、0.06質量部の水酸化ナトリウムを使用した以外は、実施例61と同様にして、比較顔料分散体RPD-8、及び比較インクRink-8を得た。
【0285】
(比較例20)
<比較水性インクRink-9の調製>
実施例61で使用した3.75質量部の共重合体CP-21の代わりに、比較例9で調製した2.50質量部の比較共重合体RCP-9を使用し、実施例61で使用した0.52質量部の水酸化ナトリウムの代わりに、0.10質量部の水酸化ナトリウムを使用した以外は、実施例61と同様にして、比較顔料分散体RPD-9、及び比較インクRink-9を得た。
【0286】
(比較例21)
<比較水性インクRink-10の調製>
実施例61で使用した3.75質量部の共重合体CP-21の代わりに、比較例10で調製した2.50質量部の比較共重合体RCP-10を使用し、実施例61で使用した0.52質量部の水酸化ナトリウムの代わりに、0.10質量部の水酸化ナトリウムを使用した以外は、実施例61と同様にして、比較顔料分散体RPD-10、及び比較インクRink-10を得た。
【0287】
(比較例22)
<比較水性インクRink-11の調製>
実施例61で使用した3.75質量部の共重合体CP-21の代わりに、比較例11で調製した2.50質量部の比較共重合体RCP-11を使用し、実施例61で使用した0.52質量部の水酸化ナトリウムの代わりに、0.10質量部の水酸化ナトリウムを使用した以外は、実施例61と同様にして、比較顔料分散体RPD-11、及び比較インクRink-11を得た。
【0288】
(比較例23)
<比較水性インクRink-12の調製>
実施例81で使用した共重合体CP-1の代わりに、比較例1で調製した比較共重合体RCP-1を使用し、実施例81で使用した0.77質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.62質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例81と同様にして、顔料分散体RPD-12、及び比較インクRink-12を得た。
【0289】
(比較例24)
<比較水性インクRink-13の調製>
実施例81で使用した共重合体CP-1の代わりに、比較例2で調製した比較共重合体RCP-2を使用し、実施例81で使用した0.77質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.62質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例81と同様にして、顔料分散体RPD-13、及び比較インクRink-13を得た。
【0290】
(比較例25)
<比較水性インクRink-14の調製>
実施例81で使用した共重合体CP-1の代わりに、比較例3で調製した比較共重合体RCP-3を使用し、実施例81で使用した0.77質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンの代わりに、0.62質量部の(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアミンを使用した以外は、実施例81と同様にして、顔料分散体RPD-14、及び比較インクRink-14を得た。
【0291】
(顔料分散体の保存安定性の評価)
各顔料分散体をガラス容器に充填して70℃で2週間保存し、保存前の粘度に対する保存後の粘度の変化率を下記式から求め、下記の基準で評価した。なお、粘度の測定には、粘度計(RE80L、東機産業社製)を使用し、25℃における粘度を50回転で測定した。
粘度の変化率(%)=100×(保存後の顔料分散体の粘度-保存前の顔料分散体の粘度)/保存前の顔料分散体の粘度
〔評価基準〕
A:粘度の変化率が±5%以内
B:粘度の変化率が±5%を超え、±8%以内
C:粘度の変化率が±8%を超え、±10%以内
D:粘度の変化率が±10%を超え、±30%以内
【0292】
(インクの保存安定性の評価)
各インクをインクカートリッジに充填して70℃で1週間保存し、保存前の粘度に対する保存後の粘度の変化率を下記式から求め、下記の基準で評価した。なお、粘度の測定には、粘度計(RE80L、東機産業社製)を使用し、25℃における粘度を50回転で測定した。
粘度の変化率(%)=100×(保存後のインクの粘度-保存前のインクの粘度)/保存前のインクの粘度
〔評価基準〕
A:粘度の変化率が±5%以内
B:粘度の変化率が±5%を超え、±8%以内
C:粘度の変化率が±8%を超え、±10%以内
D:粘度の変化率が±10%を超え、±30%以内
【0293】
(インクの再分散性の評価)
静置によるインク成分の沈降は、長い時間の放置が必要となるため、遠心機を用いてインク成分を加速沈降させた。
先ず、試験管PYREX(登録商標)IWAKI TE-32(16.5mm×105mm、AGC社製)に、インクを45mmの深さまで入れ、シリコン栓で蓋をして、評価サンプルとした。次いで、評価サンプルの初期状態を規定するために、評価サンプル作製後、直ちに、ピペットスポイトの2~3mmの先端をインク液面に浸し、約0.02mL(約20mg)のインクを採取した。採取したインクのうち、4~10mgを50mLのサンプル瓶に入れ、イオン交換水で4000倍に希釈した。サンプル瓶をミックスローターVMR-5R(AS ONE製)の架台に乗せ、60rpmの回転数で10分間以上回転させた後、直ちにUV-VIS(Ultraviolet-Visible Absorption Spectroscopy)の吸収スペクトルを紫外可視近赤外分光光度計V-680(日本分光社製)を用いて測定し、加速沈降前の基準スペクトルとした。なお、測定条件を以下に示す。
-UV-VIS測定条件-
波長領域:350~800nm
セル長:3mm
測定条件:UV/VISバンド幅 2.0nm、NIRバンド幅 4.0nm、レスポンス FAST、走査速度 400nm/min
次に、評価サンプルをインバータ・ヘマトクリット遠心機3220(KUBOTA社製)に入れ、300rpmの回転数で、14時間加速沈降させた。取り出した評価サンプルを静かに横に倒し、ミックスローターVMR-5Rに静かに乗せ、60rpmの回転数で1分間、2分間、3分間、又は4分間回転させた後、直ちに評価サンプルを元の垂直方向に戻し、上記と同様に、インクの表面から試料を採取し、吸収スペクトルを測定し、1分間後、2分間後、3分間後、又は4分間後の再分散スペクトルとした。
インクの再分散性は、基準スペクトルに対する再分散スペクトルの変化率を下記式から求め、下記の基準で評価した。
再分散性(%)=100×(再分散スペクトルのピーク波長の吸光度/基準スペクトルのピーク波長の吸光度)
〔評価基準〕
A:1分間後の再分散スペクトルで再分散性が90%以上
B:2分間後の再分散スペクトルで再分散性が90%以上
C:3分間後の再分散スペクトルで再分散性が90%以上
D:4分間後の再分散スペクトルで再分散性が90%以上
E:4分間後の再分散スペクトルで再分散性が89%以下
【0294】
実施例41~90の顔料分散体PD-1~PD-50、及びインクInk-1~Ink-50、並びに比較例12~25の比較顔料分散体RPD-1~RPD-14、及び比較インクRInk-1~RInk-14の保存安定性、及び再分散性の結果をまとめて表5~6に示す。
【0295】
【表5】
【0296】
【表6】
【0297】
(実施例91)
<太陽電池バックシートBS-1の作製>
-保護層形成液PC-1の調製-
ガラス容器に45部のジメチルホルムアミド(関東化学社製)、及び36部の実施例5で得られた共重合体CP-5を加え、撹拌して溶解した。次いで、10部の酸化チタンJR-405を撹拌しながら少しずつ加えた後、6時間撹拌した。540.0部の1mm径のジルコニアビーズを加え、ビッグローターBR-2(アズワン社製)により90rpmの回転速度で2日間分散処理した。内容物を孔径10μmのメンブレンフィルターでろ過し、調整量のジメチルホルムアミド(関東化学社製)、及び4.0部のヘキサメチレンジイソシアネート(東京化成株式会社製)を加えて、100.0部の保護層形成液PC-1(顔料固形分濃度:10%)を得た。
【0298】
-太陽電池バックシートBS-1の作製-
厚さ75μmの白色ポリエチレンテレフタレートフィルム(ルミラーMX11、東レ株式会社製)の表面に、ワイヤーバーを用いて保護層形成液PC1を塗布し、150℃で5分間乾燥して、平均膜厚が2μmとなるように保護層を設けた後、50℃で3日間エージングすることにより、太陽電池バックシートBS-1を得た。
【0299】
(実施例92)
<太陽電池バックシートBS-2の作製>
実施例91で使用した共重合体CP-5の代わりに、実施例15で調製した共重合体CP-15を使用した以外は、実施例91と同様にして、保護層形成液PC-2、及び太陽電池バックシートBS-2を得た。
【0300】
(実施例93)
<太陽電池バックシートBS-3の作製>
実施例91で使用した共重合体CP-5の代わりに、実施例25で調製した共重合体CP-25を使用した以外は、実施例91と同様にして、保護層形成液PC-3、及び太陽電池バックシートBS-3を得た。
【0301】
(実施例94)
<太陽電池バックシートBS-4の作製>
実施例91で使用した共重合体CP-5の代わりに、実施例35で調製した共重合体CP-35を使用した以外は、実施例91と同様にして、保護層形成液PC-4、及び太陽電池バックシートBS-4を得た。
【0302】
(比較例26)
<比較太陽電池バックシートRBS-1の作製>
実施例91で使用した共重合体CP-5の代わりに、比較例3で調製した比較共重合体RCP-3を使用した以外は、実施例91と同様にして、比較保護層形成液RPC-1、及び比較太陽電池バックシートRBS-1を得た。
【0303】
(比較例27)
<比較太陽電池バックシートRBS-2の作製>
実施例91で使用した共重合体CP-5の代わりに、比較例8で調製した共重合体RCP-8を使用した以外は、実施例91と同様にして、比較保護層形成液RPC-2、及び比較太陽電池バックシートRBS-2を得た。
【0304】
(耐候性の評価)
-初期破断伸度Esの測定-
作製した各太陽電池バックシートを1cm×10cmの大きさに切り出し、ASTM-D882(ANNUAL BOOK OF ASTM STANDARDS 1999年版)に基づいて、太陽電池バックシートの破断伸度を測定し、その結果を初期破断伸度Esとした。
【0305】
-経時後破断伸度Eeの測定-
スーパーキセノンウェザーメータSX75(スガ試験機社製)を用いて、ブラックパネル温度65℃、相対湿度50%RH、照度180W/m(波長範囲:300~400nm)の条件下で、10cm×20cmの太陽電池バックシート試験片に、108分間の紫外線照射と、12分間の水噴射しながらの紫外線照射(湿度制御なし)とを繰り返して、合計3000時間の紫外線を照射した。次いで、取り出した試験片を1cm×10cmの大きさに切り出し、破断伸度を上記の方法で測定し、その結果を経時後破断伸度Eeとした。
【0306】
-耐候性の評価-
耐候性の指標として、破断伸度保持率(%)=(Ee/Es)×100を算出し、下記評価基準に基づき、以下のように判定した。
〔評価基準〕
A:破断伸度保持率が50%以上
B:破断伸度保持率が30%以上50%未満
C:破断伸度保持率が30%未満
【0307】
実施例91~94の太陽電池バックシートBS-1~BS-4、及び比較例26~27の比較太陽電池バックシートRBS1~RBS2の耐候性の結果をまとめて表7に示す。
【0308】
【表7】
【0309】
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1>
下記一般式(1)で表される構造単位を有することを特徴とする重合体である。
【化38】
(一般式(1)中、Rは、水素又はメチル基、Lは、「-COO-」、「-CONH-」、又は結合手、Xは、炭素数が2~10の炭化水素基、又は酸素を含有した炭素数が2~10の炭化水素基、Lは、「-O-」又は「-NH-」、Yは、炭素数が2~12の炭化水素基又は結合手、Lは、「-OCO-」、「-O-」、「-(CH)n-」、又は「-OCO-(CH)n-」、nは、1~3の整数である。)
<2>
下記一般式(1)で表される構造単位と、下記一般式(2)で表される構造単位とを有することを特徴とする共重合体である。
【化39】
(一般式(1)中、Rは、水素又はメチル基、Lは、「-COO-」、「-CONH-」、又は結合手、Xは、炭素数が2~10の炭化水素基、又は酸素を含有した炭素数が2~10の炭化水素基、Lは、「-O-」又は「-NH-」、Yは、炭素数が2~12の炭化水素基又は結合手、Lは、「-OCO-」、「-O-」、「-(CH)n-」、又は「-OCO-(CH)n-」、nは、1~3の整数である。)
【化40】
(一般式(2)中、Rは、水素又はメチル基、Xはプロトン、有機の陽イオン、又は無機の陽イオンである。)
<3>
水と、
色材と、
下記一般式(1)で表される構造単位を有する重合体、又は前記一般式(1)で表される構造単位、及び下記一般式(2)で表される構造単位を有する共重合体と、
を含むことを特徴とするインクである。
【化41】
(一般式(1)中、Rは、水素又はメチル基、Lは、「-COO-」、「-CONH-」、又は結合手、Xは、炭素数が2~10の炭化水素基、又は酸素を含有した炭素数が2~10の炭化水素基、Lは、「-O-」又は「-NH-」、Yは、炭素数が2~12の炭化水素基又は結合手、Lは、「-OCO-」、「-O-」、「-(CH)n-」、又は「-OCO-(CH)n-」、nは、1~3の整数である。)
【化42】
(一般式(2)中、Rは、水素又はメチル基、Xはプロトン、有機の陽イオン、又は無機の陽イオンである。)
<4>
前記重合体、又は前記共重合体の重量平均分子量が、5,000以上50,000以下である、前記<3>に記載のインクである。
<5>
前記色材が、酸化チタンである、前記<3>から前記<4>のいずれかに記載のインクである。
<6>
前記<3>から前記<5>のいずれかに記載のインクを収容することを特徴とするインク収容容器である。
<7>
前記<3>から前記<5>のいずれかに記載のインクを記録媒体上に吐出し、画像を形成することを特徴とする画像形成方法である。
<8>
前記<6>に記載のインク収容容器と、
前記インク収容容器に収容されているインクを記録媒体上に吐出する吐出手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置である。
<9>
保護層を有する太陽電池バックシートであって、
前記保護層が、前記<3>から前記<5>のいずれかに記載のインクからなる塗膜であることを特徴とする太陽電池バックシートである。
【0310】
前記<1>から前記<5>のいずれかに記載のインク、前記<6>に記載のインク収容容器、前記<7>に記載の画像形成方法、前記<8>に記載の画像形成装置、及び前記<9>に記載の太陽電池バックシートによれば、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
【符号の説明】
【0311】
400 画像形成装置
401 画像形成装置の外装
401c 装置本体のカバー
404 カートリッジホルダ
410 メインタンク
410k、410c、410m、410y、410w ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ホワイト(W)の各色用のメインタンク
411 インク収容部
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0312】
【特許文献1】特許第5863600号
図1
図2