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特開2024-144365低温電子顕微鏡用途における試料調製のための刻み目付き試料ホルダ及びスパッタターゲット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144365
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】低温電子顕微鏡用途における試料調製のための刻み目付き試料ホルダ及びスパッタターゲット
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/20 20060101AFI20241003BHJP
   H01J 37/305 20060101ALI20241003BHJP
   G01N 1/32 20060101ALI20241003BHJP
   G01N 1/28 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01J37/20 A
H01J37/305 A
G01N1/32 B
G01N1/28 G
G01N1/28 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024052775
(22)【出願日】2024-03-28
(31)【優先権主張番号】18/193,545
(32)【優先日】2023-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】チャド ルー
【テーマコード(参考)】
2G052
5C101
【Fターム(参考)】
2G052BA02
2G052BA15
2G052DA33
2G052EC14
2G052EC18
2G052EC22
2G052GA33
2G052JA07
2G052JA08
2G052JA11
5C101AA03
5C101AA32
5C101AA34
5C101DD33
5C101FF15
5C101FF46
5C101FF59
5C101HH37
(57)【要約】
【課題】
スパッタリングターゲットを提供する。
【解決手段】
電子顕微鏡における帯電アーチファクトを低減するために、スパッタリング可能な材料のノッチ付きリングを試料表面の周りに配置することができる。イオンビームは、試料表面上にスパッタリング可能な材料をスパッタするために、ノッチを通して方向付けることができる。スパッタリングは、同じ試料傾斜での低角度集束イオンビーム(FIB)ミリング後に実行することができる。試料を軸を中心に回転させ、複数の回転角度でスパッタリングを行うことができる。導電性コーティングをスパッタリングすると、試料を再配向して撮像することができる。これらのステップを繰り返して、3D画像再構成のための2D画像スタックを生成することができる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビーム機器(CPB機器)における荷電粒子ビームミリングのために配置された試料のスパッタリングターゲットであって、
試料表面で前記試料を受容するように適合された内部キャビティを画定する導電性材料であって、前記CPB機器内に位置する前記試料表面に視射角CPB処理経路を提供する少なくとも1つの窓を画定する、導電性材料と、
前記少なくとも1つの窓に対向して配置されたスパッタリング可能な材料であって、前記少なくとも1つの窓を通って前記スパッタリング可能な材料に至るCPBスパッタリング経路を画定する、スパッタリング可能な材料と、を備えるスパッタリングターゲット。
【請求項2】
前記導電性材料が、前記内部キャビティを画定する導電性リングであり、前記少なくとも1つの窓が前記導電性リング内に画定される、請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項3】
前記少なくとも1つの窓が、前記導電性リングのスロットである、請求項2に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項4】
前記スロットが、遠位表面から前記試料表面に関連する平面に向かって延在する、請求項3に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項5】
前記少なくとも1つの窓が、前記導電性リングの開口である、請求項2に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項6】
前記導電性材料が、スパッタリング可能な材料である、請求項2に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項7】
前記スパッタリング可能な材料が、クロム、モリブデン、アルミニウム、チタン、ニッケル、銀、銅、インジウム、金、白金、イリジウム、パラジウム、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上である、請求項6に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項8】
前記スパッタリング可能な材料が、現実的なもののうちの1つ以上である、請求項6に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項9】
前記導電性材料が、複数の窓を画定する導電性リングである、請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項10】
前記複数の窓の各々が、前記導電性リングの遠位表面から試料平面に向かって延在するスロットである、請求項9に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項11】
前記複数の窓の各々が、前記導電性リングの開口である、請求項9に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項12】
前記複数の窓が、前記導電性リングによって画定される軸を中心に均等に配置されている、請求項9に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項13】
前記複数の窓が、3つ又は5つの窓を含む、請求項11に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項14】
前記試料を支持するように構成され、前記導電性リング内に挿入可能な試料ベースを更に備える、請求項11に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項15】
前記導電性リングが、前記試料ベース及び前記導電性リングの少なくとも一方を前記CPB機器の軸に沿って固定するように適合された固定手段を含む、請求項14に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項16】
前記導電性材料が、刻み目付き導電性リングである、請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項17】
方法であって、
試料マウントの窓を通して、試料表面に対して視射角でスパッタリングターゲットにCPBを方向付けて、前記試料表面の少なくとも一部に導電性材料をスパッタリングすることと、
前記窓を通して前記試料表面に視射角でCPBを方向付けて、前記試料表面の少なくとも一部を処理することと、を含む、方法。
【請求項18】
前記試料マウントの少なくとも2つの窓を通して、前記試料表面に対して前記視射角で前記スパッタリングターゲットに前記CPBを方向付けて、次いで、前記CPBを方向付けて、前記試料表面を処理することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
試料及び前記試料マウントを回転させることと、
それぞれの回転角で前記試料マウントの少なくとも2つの窓の各々を通して前記CPBを方向付けることと、
を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記視射角で前記試料マウント内の奇数の窓を通して前記CPBを前記スパッタリングターゲットに方向付けることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
電子顕微鏡用の試料ホルダであって、
内部容積を画定するスパッタリング可能な材料の刻み目付き円形導電性リングと、
前記刻み目付き円形導電性リングによって画定された前記内部容積内に試料を保持するように適合された導電性試料支持体と、を備える、試料ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、荷電粒子ビームシステムと共に使用するためのスパッタリングデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
走査型電子顕微鏡(SEM)などの荷電粒子ビーム(CPB)顕微鏡法における試料帯電は、試料の対象の領域の位置を特定又は撮像することを困難又は不可能にする可能性がある。試料帯電はまた、試料表面をミリングして試料の追加部分を露出させるため、又は試料薄片を調製するために使用することができる集束イオンビーム(FIB)処理を妨げる可能性がある。対象のいくつかの試料は導電性であり、帯電アーチファクトを示さないが、対象の多くの試料は非導電性である。例えば、高圧凍結(HPF)を使用してSEMのために調製された試料は、SEM/FIB動作中にかなりの帯電を引き起こす厚い氷を有する。これにより、対象の領域の位置を特定し、集束イオンビームミリングを使用してその領域にアクセスし、その後の透過電子顕微鏡(TEM)撮像のために薄片を調製することが困難になる。これらの理由から、導電性コーティングを試料に適用するための手法が望ましく、典型的には、導電性コーティングの現場での適用を可能にする手法が好ましい。
【発明の概要】
【0003】
荷電粒子ビーム装置内に配置された試料の視射角ミリングのための試料ホルダは、試料表面で試料を受け入れるように適合された内部キャビティを画定する導電性材料を含み、導電性材料は、CPB装置内に配置された試料表面への視射角荷電粒子ビーム(CPB)処理経路を提供する少なくとも1つの窓を画定する。スパッタリング可能な材料は、少なくとも1つの窓に対向して配置され、少なくとも1つの窓を通ってスパッタリング可能な材料に至るCPBスパッタリング経路を画定する。例えば、CPBミリングによる試料処理は、試料表面に対して視射角でCPBを用いて達成することができる。スパッタリングの場合、CPBは一般に、窓の寸法及び窓からスパッタリング可能な材料までの距離に基づいて決定される角度でスパッタリング可能な材料に入射し、そのような角度は、一般に視射角ではない。このようなスパッタリングターゲットを用いて、試料を除去することなく、導電性コーティングを試料上にスパッタリングすることができる。加えて、スパッタリングされたコーティングは、試料表面が帯電アーチファクトなしで、又は低減された帯電アーチファクトで撮像され得るように、各試料ミリング動作の後に提供することができる。これは、CPB(通常は集束イオンビーム)ミリングとそれに続く荷電アーチファクトを回避するためのスパッタリングによって異なる試料深さで撮像することができる、凍結生体試料の撮像において特に有用である。
【0004】
CPBを窓を通して試料に視射角で方向付けることで、イオンビームミリング又は他のプロセスによって試料表面の少なくとも一部を処理することができる。試料マウントの窓を通してスパッタリングターゲットにCPBを(典型的には、垂直入射であり得るか、又はそれに近い角度で)方向付けて、試料表面の少なくとも一部分上に導電性材料をスパッタリングすることができる。スパッタリング後、試料表面を撮像することができ、次いで、異なる試料深さに関連付けられた画像のセットを構築するために、前述のステップを繰り返すことができる。
【0005】
前述及び他の特徴、及び利点は、添付図面を参照して進められる、以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】試料を取り囲むように構成された窓付き(「刻み目付き」)スパッタリングターゲットを含む代表的な試料ホルダの斜視図である。
図1B図1Aの試料ホルダの断面図である。
図1C図1A~1Bの試料ホルダ内に位置する試料上に堆積されたスパッタリングプルームを示す。
図2】窓付きスパッタリングターゲットを含む代表的な試料ホルダを示す。
図2A】窓付きスパッタリングターゲットを含む代表的な試料ホルダを示す。
図3】スパッタリング可能な包囲部材を含む試料ホルダ内に保持された試料を有する代表的な撮像装置を示す。
図4】画像取得及び処理、スピンミリング、並びにスパッタリングの制御のための代表的なコンピューティング環境を示す。
図5】窓が貫通孔によって画定されている窓付きスパッタリングターゲットを含む代表的な試料ホルダの斜視図である。
図5A図5の試料ホルダの断面図である。
図5B図5の試料ホルダの断面図である。
図6】単一の窓を画定する窓付きスパッタリングターゲットを含む代表的な試料ホルダの斜視図である。
図6A図6の試料ホルダの断面図である。
図7A】別の代表的な試料ホルダ及びスパッタリング可能な包囲部材を示す。
図7B】別の代表的な試料ホルダ及びスパッタリング可能な包囲部材を示す。
図8】スパッタリング層を適用し、窓付きスパッタリングターゲットを提供する試料ホルダに保持された試料を撮像する代表的な方法を示す。
図9A】正方形リング状のスパッタリング可能な包囲部材を示す。
図9B】スパッタリング可能なインサートを有する正方形リング状の包囲部材を示す。
図10A】スピンミリング及びスパッタリングのための代表的な集束イオンビーム(FIB)位置を示す、窓付き試料ホルダ内に位置する試料の画像である。
図10B】スピンミリング及びスパッタリングのための代表的な集束イオンビーム(FIB)位置を示す、窓付き試料ホルダ内に位置する試料の画像である。
図10C】スピンミリング及びスパッタリングのための代表的な集束イオンビーム(FIB)位置を示す、窓付き試料ホルダ内に位置する試料の画像である。
図11A】スパッタリングされた導電性コーティングを用いた場合と用いない場合の撮像を示す。
図11B】スパッタリングされた導電性コーティングを用いた場合と用いない場合の撮像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書で開示されるのは、CPB装置において荷電粒子ビーム撮像及びイオンビームミリングのために配置された試料上に導電層をスパッタリングするために配置することができるスパッタリングターゲットの実施形態である。いくつかの例では、スパッタリングターゲットは、概して、CPB撮像のために配置された試料を取り囲むリング形状である。このようなターゲットは、スパッタリング材料を提供するだけでなく、試料の取り付けを提供するように適合させることができる。そのような包囲部材は、撮像ビームに面する側から試料平面に向かって延在する1つ以上の刻み目(すなわち、スロット)を画定する刻み目付きリングとして好都合に実装される。説明の便宜上、撮像CPB又はCPB経路の上流により近い方向又は表面は近位と呼ばれ、撮像CPB経路上の更に下流の方向又は表面は遠位と呼ばれる。
【0008】
刻み目付きリング内に画定される開口部は、処理CPB(典型的には、集束イオンビーム(FIB)等のイオンビーム)が、試料表面又は刻み目付きリングによって提供されるスパッタリング材料のいずれかに選択的に方向付けることができるように、配列される。刻み目は、処理ビームが刻み目を通して視射角で試料表面に方向付けられ得るように構成され、本明細書で使用される場合、視射角は、CPB伝搬方向と試料表面によって画定される平面との間の角度であり、15度、10度、7.5度、5度、2.5度、又は1度未満である。本明細書で使用される場合、「リング状」又は「リング」は、円形リング又はその一部を指すだけでなく、周囲を画定する、三角形、長方形、又は他の規則的若しくは不規則な多角形若しくは湾曲形状、又はそれらの組み合わせも指す。更に、試料を完全に取り囲む必要がなく、完全な周囲を画定しないリング部分を使用することができる。他の例では、完全な又は部分的なディスク状部材を使用することができる。試料表面への視射角入射及びスパッタリング可能な材料へのアクセスは、通常、試料及び試料包囲部材をCPB軸に対して傾斜させることによって提供される。
【0009】
スパッタリング可能な材料の刻み目付きリングを形成することなどによって、スパッタリング可能な材料を固体部分として提供することが好都合であるが、スパッタリング可能な材料はまた、好都合であり得るように包囲部材の部分上に提供することもできる。このようなスパッタリング可能なリング又はリング部分では、イオンビームをスロットを通して、スロットに対してリングの反対側などのリングのスパッタリング可能な部分に向けて、スパッタリングによって試料上に導電性コーティングを生成することによって、CPB処理のために配置された試料に導電性コーティングを塗布することができる。リング部分からのスパッタリングは、試料特徴によるシャドーイングをもたらす可能性がある。このシャドーイングを軽減するために、スパッタリングされた材料を生成するために使用されるイオンビーム又は他のビームを、試料の回転によって異なる方向から試料表面に向けることができる。したがって、多方向からのスパッタリングが望ましいことが多く、試料及びリングを回転させて、追加のスロットを配置し、イオンビームが異なるスロットを順次通過するように誘導して、リングの追加の部分からスパッタリングを生成することができる。多くの場合、試料とリングは互いに固定され、一緒に回転する。リング又は部分的なリングはまた、開口を備える、又はCPBによる試料及びスパッタリング材料へのアクセスを可能にすることができる。均一な角度間隔を有する奇数のスロットは一般にシャドーイングを低減する際に優れた性能を提供するため、奇数のそのようなスロット及び回転が使用される。
【0010】
スパッタリングターゲットを試料支持体に固定して、試料ホルダを単一片又は複数片として形成することが好都合であり得る。上述したように、スパッタリング可能な材料は、リング材料として、又は適切な材料の追加のプレート若しくは他の部品としてリング上に提供することができる。試料ホルダは、荷電粒子ビーム装置内に固定するためのねじ山又はクランプを備えることができる。
【0011】
いくつかの特定の例では、開示された手法は、典型的にはキセノン、アルゴン、窒素、又は酸素に基づくプラズマイオンビームを使用して、ほぼ視射角で試料表面から薄層が除去される低角FIBミリングを使用して処理される試料で使用される。場合によっては、試料をFIBに対して回転させる。一般的に使用される入射角は、試料平面に対して1度~5度である。試料をイオンビームに対して傾斜させて視射角入射を生じさせ、次に、試料ステージを一連のミリング位置まで周期的に回転させ、イオンビームミリングして適切なミリング表面を生じさせる。スピンミリング後、試料は、撮像のための位置に傾けて戻される。このプロセスを繰り返すことができ、試料スライスを反復的に撮像して、対象の特徴の3D視覚化のために組み合わせることができる2D画像スタックを生成することができる。試料表面の一部又は全部を、撮像のためにスピンミリングすることができる。
【0012】
別の実施形態では、視射角FIBミリングを使用して、試料内に埋め込まれた対象のターゲットを露出させる。そのような場合、周期的な2D画像は、FIBミリング中に収集される必要がない場合があり、3D視覚化は実行されない場合がある。むしろ、FIBミリングは、単に材料を除去して、試料内の埋め込まれた構造を明らかにするために使用される。適切な対象の領域が露出されて識別されると、試料は、高解像度SEM撮像又は薄片調製などの後続の処理に供することができる。開示される手法を用いて、試料は、試料厚を通してアーチファクトなしに処理(ミリング)及び撮像することができる。
【0013】
実施例1
図1A図1Cを参照すると、代表的な試料ホルダ100は、試料支持体124の周りに配置されたリング状包囲部材101を含む。包囲部材101は、スロット(刻み目)114~118を画定するライザ(凸壁)104~108を含む刻み目付きリングである。包囲部材101は、走査電子顕微鏡又は他の荷電粒子ビーム(CPB)機器などの電子顕微鏡内に試料支持体124及びリング状包囲部材101を固定するように構成されたベース130上に位置する。包囲部材101は、典型的には、炭素又はステンレス鋼のようなスパッタリング可能な材料で形成される。図1A図1Cの例では、包囲部材101は5つのスロットを含むが、他の例では、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上のスロットを設けることができる。
【0014】
図1Bに示されるように、試料表面102は、直交座標系150において定義されるz軸に沿って撮像CPBを受けるようにxy平面において配向される。集束イオンビーム(FIB)などの荷電粒子加工ビーム(CPPB)120を、例えば、イオンビームミリングによる試料加工のために、スロット117を通して試料表面102に向けて視射角で方向付けることができる。傾斜は一般に、試料表面102をCPB軸に対して傾斜させることによって得られる。図1Cに示されるように、CPPB120は、スロット117を通ってライザ104に方向付けられ、導電層として試料表面上に堆積されるスパッタプルーム130を生成する。図示されるように、CPPB120は、窓114~117を介して包囲部材101のスパッタリング可能な材料及び試料102の表面にアクセスし、包囲部材101は、スパッタリング可能な材料を提供する。スパッタリングの場合、CPBは、非視射角で、典型的には垂直入射に近い角度でスパッタリング可能な材料に入射することができる。例えば、ライザ105などのライザは、1~5度でのイオンビームミリングが、スパッタリング可能な材料に対して85~89度の入射角でのスパッタリングと関連付けられ得るように、z軸に平行な内面を有することができるが、他の角度を使用することもできる。
【0015】
試料ホルダ100、試料102、及び包囲部材101は、互いに固定され、124で示されるように回転され、その結果、CPPB120は、関連するスロットを通って試料表面102及び選択されたライザにアクセスし、追加のスパッタリングプルームを生成する。スロットは、典型的には、試料ホルダの様々な回転のためにCPPB120へのアクセスを提供するために使用される。図1Cに示すプルーム130は、包囲部材101から試料102に向かって延在する。このため、スパッタリング可能な材料でコーティングされる試料102の部分に応じて、スパッタリング部材101を試料と共に回転させて、CPPBビーム120をスロット114~118の一部又は全部を通して照射することができる。スロットは、通常、対応するライザの一部がそれぞれの窓を通してCPPB102によってアクセス可能であるように、包囲部材101に配置される。複数の窓は、様々な配置で提供することができ、典型的には、均等な角度間隔で配置された奇数の窓を含む対称配置として提供することができる。
【0016】
実施例2
図2及び図2Aを参照すると、代表的な試料取付アセンブリ201は、試料を配置するためのキャビティ206が画定された試料ホルダ202に結合された包囲部材200を含む。包囲部材200は、図2に示すように、略ディスク状の外観を有している。試料取付アセンブリ201は、ねじ山208を有する追加の試料取付ハードウェアに固定可能である。この例では、ねじ山208は、包囲部材200上の雌ねじとして示されているが、他の例では、雄ねじを設けることができ、又はねじ山を、包囲部材200を越えて延在するように延長された試料ホルダ202上に設けることができる。CPPBを伝送するためのスロット204A~204Eは、キャビティ206の周りに均等な角度で離間している。包囲部材200は、例えば、スロット204Aに入るCPPBが、包囲部材205Aの内側に面する部分200に位置するスパッタリング可能な材料に入射するように、スパッタリング可能な材料で形成されているものとして示されている。
【0017】
実施例3.画像化システム
図3を参照すると、デュアルCPB撮像/ミリングシステム300は、それぞれのスキャナで走査可能なイオンビーム及び電子ビーム307をそれぞれ生成する集束イオンビーム源(FIB)などのイオンビーム源304及び電子ビーム源306に結合されたシステムコントローラ302を含む。図3に示すように、イオンビームは、経路375、376に沿って走査され、低角度FIBミリング(経路376)又はスパッタリング(経路375)のために上述したようなスロット317を通って試料320の表面又は包囲部材319のスパッタリング可能部分321に入射する。図示されるように、試料320は、低角度FIBミリングのために電子ビーム307に対して傾けられる。試料320は、FIBがミリングのための視射角又はその近くで入射するように配置される。低角度ミリング及びスパッタリングでは、イオンビームは一般に、試料表面321に対して角度θで入射し、この角度は、本明細書では視射角と呼ばれる。スパッタリングの場合、スパッタリング可能な材料への入射角は、一般に視射角ではないことが理解されよう。画像は通常、電子ビーム307を使用して取得され、イオンビームは、試料表面上への導電性材料のミリング及びスパッタリングなどの試料改質に使用される。しかしながら、イオンビーム313及び電子ビームのいずれか1つでも、その両方でも、画像を取得することができる。
【0018】
試料320及び包囲部材319は、ステージコントローラ324に結合されているステージ322に固定され、ステージコントローラは、システムコントローラ302に結合されている。ステージ322は、通常、システムコントローラ302により導かれるのに応じて1つ以上の並進、回転、又は傾きをもたらすことができる。ビーム応答及び入射CPB(例えば、電子ビーム又はイオンビーム)は、1つ以上のアナログ-デジタル変換回路(ADC:Analog-to-Digital Convertor)、デジタル-アナログ変換回路(DAC:Digital-to-Analog Convertor)、増幅器、並びに検出器328の制御及び検出器328に関連する信号の処理(増幅、デジタル化、バッファリング)用のバッファを含み得るシステム電子機器330に結合されているCPB検出器328に向けられる。他の例では、システム電子機器によって更に処理される電気信号を生み出す光子検出器が使用される。ほとんどの実用例では、少なくとも1つのADCを使用して、画像などの1つ以上の有形のコンピュータ可読媒体(画像記憶域332として示す)に格納され得る、デジタル化検出器信号を生み出す。他の例では、画像記憶域は、有線又は無線のネットワーク接続などの通信接続を介して遠く隔たっている。CPB検出器228によって受け取られるビームは、イオンビーム、電子ビーム、二次電子、イオン、又は中性原子の散乱部分であり得る。試料320の光学画像を生成するために、カメラなどの光学撮像装置351が結合される。
【0019】
システムコントローラ302は、画像処理336、記憶及び取得画像338、ミリングのための選択試料領域、低角度ミリング及びスパッタリングのための試料回転のためのプロセッサ実行可能命令を記憶するメモリ335に結合され、試料の対象の部分の選択を含む様々な機能のためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)342を提供する。システムコントローラ302は、画像取得パラメータを設定し、ステージコントローラ324と通信状態にある。試料画像がディスプレイ352上に提示され得、メモリ335からの、又は1つ以上のユーザ入力デバイス350を用いてユーザによって提供される内部格納値を使用して、システム制御及び画像化パラメータが明示され得る。上述したように、いくつかの例では、2D画像スタックを生成するために、スピンミリング、スパッタリング、及び撮像が反復的に実行される。
【0020】
図3のレイアウトが、便宜上の図示であり、様々なビーム源、光学撮像装置、及びCPB検出器(複数可)の実際の位置合わせが示されていないことが分かるであろう。
【0021】
実施例4.代表的なコンピューティング環境
図4と以下の説明は、開示された技術が実施され得る例示的なコンピューティング環境の簡潔で一般的な説明を提供することを意図している。特に、このコンピューティング環境のいくつか又はすべての部分を上記の方法および装置で使用して、例えば、切片画像、プレビュー画像、および画像記憶域を特定し、位置合わせするように、ビーム走査および画像処理を制御することができる。必須ではないが、開示された技術は、パーソナルコンピュータ(PC)によって実行されるプログラムモジュールなどのコンピュータ実行可能命令の一般的な文脈で記述される。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行する又は特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。また、開示された技術は、ハンドヘルドデバイス、タブレット、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースの又はプログラム可能な家電製品、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、ゲートアレイ、プログラマブル論理デバイスなどを含む、他のコンピュータシステム構成で実装され得る。開示された技術はまた、タスクが、通信ネットワークを介してリンクされているリモート処理デバイスによって実行される、分散型コンピュータ環境においても実践され得る。分散型コンピュータ環境では、プログラムモジュールは、ローカルおよびリモートメモリ記憶デバイスの両方に位置することができる。場合によっては、このような処理は、SEMにおいてもたらされる。本開示のシステムは、画像取得を制御し、ユーザインターフェースを提供する役割を果たすことができると共に、画像プロセッサとして働くこともできる。
【0022】
図4を参照すると、開示された技術を実施する例示的なシステムは、1つ以上の処理ユニット402、システムメモリ404、及びシステムメモリ404を含む様々なシステムコンポーネントと1つ以上の処理ユニット402を連結するシステムバス406を含む、例示的な従来のPC400の形態である、汎用コンピューティングデバイスを含む。システムバス406は、様々なバスアーキテクチャのうちの任意のものを使用する、メモリバス又はメモリコントローラ、周辺バス、及びローカルバスを含む数種のバス構造のうちのいずれかであってもよい。例示的なシステムメモリ404は、読取専用メモリ(ROM)408及びランダムアクセスメモリ(RAM)410を含む。ROM408には、PC400内の要素間の情報の転送を助ける基本ルーチンを包有する基本入出力システム(BIOS)412が記憶されている。
【0023】
例示的なPC400は、更に、ハードディスクから読み書きするためのハードディスクドライブ、取り外し可能な磁気ディスクから読み書きするための磁気ディスクドライブ、および取り外し可能な光ディスク(CD-ROMや他の光媒体など)から読み書きするための光ディスクドライブなどの1つ以上の記憶デバイス430を含む。このような記憶デバイスは、それぞれ、ハードディスクドライブインターフェース、磁気ディスクドライブインターフェース、及び光学ドライブインターフェースによって、システムバス406に接続することができる。ドライブおよび関連するコンピュータ可読媒体は、PC400用のコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、および他のデータの不揮発性記憶を提供する。他のタイプのコンピュータ可読媒体は、磁気カセット、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク、CD、DVD、RAM、ROMなどのような、PCによってアクセス可能なデータを記憶することができ、例示的な動作環境において使用することもできる。本明細書で使用される記憶デバイス及びコンピュータ可読媒体は、非一時的デバイス及び媒体を指す。
【0024】
いくつかのプログラムモジュールは、オペレーティングシステム、1つ以上のアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール、及びプログラムデータを含む記憶デバイス430に記憶することができる。ユーザは、キーボードおよびマウスなどのポインティングデバイスなどの1つ以上の入力デバイス440を介して、コマンドおよび情報をPC400に入力することができる。例えば、ユーザは、コマンドを入力して、画像取得若しくはスピンミリングを開始するか、又はどのスロット又はスロット数をスパッタリングに使用するかを選択することができる。他の入力デバイスは、デジタルカメラ、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、衛星放送受信機、又はスキャナなどを含んでもよい。これら及び他の入力デバイスは、システムバス406に結合されているシリアルポートインターフェースを通して、1つ以上の処理ユニット402に接続されていることが多いが、パラレルポート、ゲームポート、ユニバーサルシリアルバス(USB:Universal Serial Bus)、又は有線若しくは無線のネットワーク接続などの他のインターフェースによって接続されていることもある。モニタ446又は他のタイプの表示デバイスも、ビデオアダプタなどのインターフェースを介してシステムバス406に接続され、例えば、1つ以上の切片画像(すなわち、切片を特定し、その位置を特定する際に使用される画像)、プレビュー画像、ROI画像、あるいは生画像、又は位置合わせ後の画像若しくは位置合わせに必要な並進および回転の表示値を有する画像などの処理済み画像を表示することができる。モニタ446を使用して、処理対象の切片を選択することもでき、又は特定の画像の位置合わせと、相関、特徴識別、およびプレビューエリア選択又は他の画像選択などの位置合わせ手順を選択することもできる。スピーカおよびプリンタ(図示せず)などの他の周辺出力デバイスが含められてもよい。
【0025】
PC400は、リモートコンピュータ460などの1つ以上のリモートコンピュータへの論理接続を使用してネットワーク環境で動作することができる。いくつかの実施例では、1つ以上のネットワーク又は通信接続450が含まれる。リモートコンピュータ460は、別のPC、サーバー、ルーター、ネットワークPC、ピアデバイス、又は他の共通のネットワークノードであってもよく、通常、PC400に関連して上記の要素の多く又はすべてを含むが、メモリ記憶デバイス462のみが図4に示されている。パーソナルコンピュータ400及び/又はリモートコンピュータ460は、論理ローカルエリアネットワーク(LAN)及びワイドエリアネットワーク(WAN)に接続することができる。そのようなネットワーキング環境は、オフィス、企業規模のコンピュータネットワーク、イントラネット、及びインターネットでは通常である。いくつかの例では、位置が合わせられた画像のスタックが、3D画像再構成又は他の処理のためにリモートシステムに送信される。
【0026】
図4に示されるように、メモリ490(又はこのメモリ若しくは他のメモリの一部)は、画像取得、ミリング又はスパッタリングのためのイオンビーム走査、シングル若しくはマルチウィンドウスパッタリングのための試料回転角度、画像処理、及び他の動作のためのプロセッサ実行可能命令を記憶する。画像スタックは、メモリ部分491に記憶することができる。
【0027】
実施例5
図5及び図5A図5Bを参照すると、代表的なディスク状包囲部材500は、イオンビームが試料を受け入れるように構成された中央キャビティ508にアクセスすることを可能にするように配置された、代表的な開口504a~504cなどの複数の開口を含む。この例では、中央キャビティ508の周りに等角度間隔で配置された3つの開口が設けられ、長円形又は他の形状の開口がスロットの代わりに使用される。中央キャビティ508は、典型的には、試料撮像のためのCPB装置内の撮像軸510に沿って配置される。低角度FIBミリング及びスパッタリングの場合、包囲部材500は、軸520に対して傾けられ、その結果、イオンビームは、軸516に沿って試料515の内部表面512に(実質的な非視射角で)又は表面514に対して視射角で選択的に方向付けられる。試料515は、包囲部材500の表面510上に配置することができる、又はそれに固定することができる。
【0028】
実施例6
図6図6Aを参照すると、リング状の部分的な包囲部材600は、試料取付面608を含む試料容積を画定する。第1の部分的なリング状部分611は、試料取付面608及び第2の部分的なリング状部分612の上方に延在する。第1の部分611は、内部に面する表面616からスパッタリングされた材料を生成するためのイオンビームアクセスのための領域614を提供する。スパッタリング可能な材料は、包囲部材600の一部、又は包囲部材600に固定された別個の部品とすることができる。
【0029】
実施例7
図7A図7Bを参照すると、代表的な試料取付アセンブリ701は、試料を挿入するための凹部706を画定する試料ホルダ702を受け入れるように適合された包囲部材700を含む。包囲部材700はリング状であり、視射角で試料へのイオンビームアクセスを提供するくさび状スロット704Aを画定する。包囲部材700には、包囲部材700をCPB装置に固定するためのねじ山708が設けられている。包囲部材700の内径は、肩部領域710が形成されるように、試料ホルダ702の内径よりも大きい。
【0030】
実施例8
図8を参照すると、代表的な方法800は、804で表面をスピンミリングして、撮像のために試料表面を露出させることを含む。典型的な例では、低角度ミリングが視射角で行われるように、試料は撮像電子ビーム軸から離れるように傾けられる。806において、包囲部材のノッチ、窓、又は開口を通して、スパッタリング可能な材料にイオンビームを方向付けることによって、導体が試料表面上にスパッタリングされる。典型的には、傾けられた試料は、奇数の等間隔の角度などの複数の角度にわたって回転されて、試料に対して異なる向きでスパッタリングプルームを生成する。808において、試料の傾きが反転され、試料表面の1つ以上の画像が取得される。場合によっては、画像は、最終的な再構成のために2D画像のスタックの一部として追加される。810において判定されるように、試料の追加の画像が取得される場合、処理は804に戻り、808において追加のスピンミリング、スパッタリング、及び撮像が行われる。このプロセスは、選択された試料容積を評価するために必要に応じて繰り返すことができる。2D画像が取得されると、2D画像スタックは、812において3D画像を再構成するために処理される。
【0031】
実施例9
図9Aを参照すると、正方形リング状の試料包囲部材900は、複数のスロット904A~904Cを画定し、これらのスロットは、試料容積902並びに包囲部材900自体の対向する内部表面906A~906Cへのイオンビームアクセスを可能にする。例えば、イオンビームをそれぞれの経路910A~910Cに沿って方向付けて、異なる方向からスパッタリングプルームを発生させ、シャドーイングを回避して試料表面上に導電層を形成することができる。ビーム経路910A~910Cは、説明のために異なるビーム経路として示されているが、典型的には、試料及び包囲部材900は、イオンビームが固定経路に沿って伝搬して内面906A~906Cからスパッタリングを生成するように回転させられる。
【0032】
図9Bは、図9Aと同様の例を示すが、図9Bでは、スパッタリング可能な材料が、包囲部材900上にインサート926A~926Cとして設けられている。このような例では、包囲部材はスパッタリング可能な材料を提供する必要はなく、任意の適切な材料から形成することができる。
【0033】
実施例10.代表的な実施態様
図10A図10Cは、代表的な包囲部材1000の一部と、包囲部材1000のスロット1002を通して見た試料表面1004との画像である。図10Aの画像は、スロット1002において包囲部材1000の外部に焦点が合わせられている。図10Bの画像は、試料表面1004上に焦点を合わせて、イオンビームが走査され得る領域1010を示す。スパッタリングに使用することができる包囲部材1000の内面1012が示されているが、焦点が合っていない。図10Cは、内面1012に焦点を合わせた画像であり、スパッタリングのためにイオンビームを方向付けることができる領域1014を示している。
【0034】
実施例11.導電性コーティングあり及びなしの試料画像
図11Aは、スパッタコーティングなどの導電性コーティングなしで得られた氷試料の代表的な画像である。図11Bは、同様の条件下であるが、周囲部材からスパッタリングによって導電層を適用した後の氷試料の代表的な画像である。試料の詳細は、図11Bの画像において見ることができ、一方、図11Aの画像は、試料荷電から生じるアーチファクトを示す。
【0035】
付加的な考慮事項
一般に、上述のように生成されたスパッタリング膜は、試料が固定電位にある電気的接続を提供することが有利であり、多くの例では、試料は、好ましくは接地電位に維持される。接地は、試料表面をスパッタリングターゲットの縁部若しくは他の部分又は他の接地された特徴に電気的に接続することによって提供することができる。TEMグリッドを含む試料上では、金属グリッドバーは好都合な接地点である。HPF試料上では、接地された内部構造を見つけることは通常不可能であり、したがって、周囲のスパッタターゲットリングの縁部に接触させなければならない。
【0036】
上記のいくつかの例では、包囲部材は、中心軸に対して概ね対称である。しかしながら、そのような対称性は必須ではなく、非対称の包囲部材は一般に結像を劣化させない。
【0037】
代表的な実施形態
実施形態1は、荷電粒子ビーム機器における荷電粒子ビームミリングのために配置された試料のスパッタリングターゲットであって、試料表面で試料を受け入れるように適合された内部キャビティを画定する導電性材料であって、CPB機器内に配置された試料表面への視射角CPB処理経路を提供する少なくとも1つの窓を画定する導電性材料と、少なくとも1つの窓に対向して配置され、少なくとも1つの窓を通ってスパッタリング可能な材料へのCPBスパッタリング経路を画定するスパッタリング可能な材料と、を含むスパッタリングターゲットである。
【0038】
実施形態2は、実施形態1の主題を含み、導電性材料が、内部キャビティを画定する導電性リングであり、少なくとも1つの窓が、導電性リングに画定されることを更に規定する。
【0039】
実施形態3は、実施形態1~2のいずれかの主題を含み、少なくとも1つの窓が、導電性リングのスロットであることを更に規定する。
【0040】
実施形態4は、実施形態1~3のいずれかの主題を含み、更に、スロットが遠位表面から試料表面に関連付けられた平面に向かって延在することを規定する。
【0041】
実施形態5は、実施形態1~4のいずれかの主題を含み、少なくとも1つの窓が、導電性リングの窓であることを更に指定する。
【0042】
実施形態6は、実施形態1~5のいずれかの主題を含み、導電性材料が、スパッタリング可能な材料であることを更に規定する。
【0043】
実施形態7は、実施形態1~6のいずれかの主題を含み、スパッタリング可能な材料が、クロム、モリブデン、アルミニウム、チタン、ニッケル、銀、銅、インジウム、金、白金、イリジウム、パラジウム、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上である。
【0044】
実施形態8は、実施形態1~7のいずれかの主題を含み、スパッタリング可能な材料が、現実的なもののうちの1つ以上であることを更に規定する。
【0045】
実施形態9は、実施形態1~8のいずれかの主題を含み、更に、導電性材料が、複数の窓を画定する導電性リングであることを更に規定する。
【0046】
実施形態10は、実施形態1~9のいずれかの主題を含み、複数の窓の各々は、導電性リングの遠位表面から試料平面に向かって延在するスロットである。
【0047】
実施形態11は、実施形態1~10のいずれかの主題を含み、複数の窓の各々が、導電性リングの開口であることを更に規定する。
【0048】
実施形態12は、実施形態1~11のいずれかの主題を含み、複数の窓が、導電性リングによって画定される軸を中心に均等に配置されることを更に規定する。
【0049】
実施形態13は、実施形態1~12のいずれかの主題を含み、複数を更に規定する。
【0050】
実施形態14は、実施形態1~13のいずれかの主題を含み、試料を支持するように構成され、導電性リングに挿入可能な試料ベースを更に含む。
【0051】
実施形態15は、実施形態1~14のいずれかの主題を含み、導電性リングが、試料ベース及び導電性リングの少なくとも一方をCPB機器の軸に沿って固定するように適合された固定手段を含む。
【0052】
実施形態16は、実施形態1~15のいずれかに記載の主題を含み、導電性材料が、刻み目付き導電性リングであることを更に規定する。
【0053】
実施形態17は、試料マウントの窓を通して、試料表面に対して視射角でスパッタリングターゲットにCPBを方向付けて、試料表面の少なくとも一部に導電性材料をスパッタリングすることと、窓を通して試料に視射角でCPBを方向付けて、試料表面の少なくとも一部を処理することと、を含む方法である。
【0054】
実施形態18は、実施形態17の主題を含み、試料マウントの少なくとも2つの窓を通して、試料表面に対して視射角でスパッタリングターゲットにCPBを方向付けて、次いで、CPBを方向付けて、試料表面を処理することを更に含む。
【0055】
実施形態19は、実施形態17~18のいずれかの主題を含み、試料及び試料マウントを回転させることと、それぞれの回転角度で少なくとも2つの窓のそれぞれを通してCPBを方向付けることと、を更に含む。
【0056】
実施形態20は、実施形態17~19のいずれかの主題を含み、試料マウントの奇数の窓を通してCPBをスパッタリングターゲットに方向付けることを更に含む。
【0057】
実施形態21は、電子顕微鏡用の試料ホルダであり、内部容積を画定するスパッタリング可能な材料の刻み目付き円形導電性リングと、刻み目付き円形導電性リングによって画定される内部容積内に試料を保持するように適合された導電性試料支持体と、を含む。
【0058】
本開示の技術の原理が適用できる多数の可能な実施形態の観点では、図示された実施形態は好ましい実施例のみであり、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないと認識すべきである。したがって、添付の請求項の範囲及び趣旨に含まれるすべてのものを主張する。
図1A
図1B
図1C
図2
図2A
図3
図4
図5
図5A
図5B
図6
図6A
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
【外国語明細書】