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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144420
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】半導体製造装置及び処理モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20241003BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20241003BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20241003BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20241003BHJP
   H01L 21/312 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
H01L21/88 B
H01L21/68 A
H01L21/304 643A
H01L21/312 A
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024101407
(22)【出願日】2024-06-24
(62)【分割の表示】P 2022517656の分割
【原出願日】2021-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2020079705
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020212880
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】上田 博一
(72)【発明者】
【氏名】岩下 光秋
(72)【発明者】
【氏名】梅下 尚己
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 洋二
(72)【発明者】
【氏名】早川 崇
(72)【発明者】
【氏名】関口 賢治
(72)【発明者】
【氏名】秋山 浩二
(57)【要約】
【課題】基板の表面に自然酸化膜が発生することを抑制できる技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様による半導体装置の製造方法は、基板の上にイオン液体を含む液体材料を塗布して保護膜を形成する工程と、前記保護膜が形成された前記基板を大気搬送する工程と、大気搬送された前記基板から前記保護膜を除去する工程と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上にイオン液体を含む液体材料を塗布して保護膜を形成する工程と、
前記保護膜が形成された前記基板を大気搬送する工程と、
大気搬送された前記基板から前記保護膜を除去する工程と、
を有する、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記保護膜を形成する工程は、大気中で行われる、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記保護膜を形成する工程は、真空中で行われる、
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記保護膜を除去する工程は、真空中で行われる、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記保護膜を除去する工程の後に行われる工程であり、前記基板を大気に晒すことなく真空中で前記基板の上に膜を形成する工程を更に有する、
請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記保護膜を除去する工程は、大気中で行われる、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記保護膜を除去する工程の後に行われる工程であり、大気中で前記基板の上に膜を形成する工程を更に有する、
請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記膜を形成する工程では、メッキ法により前記膜を形成する、
請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記保護膜を形成する工程の前に、前記基板に発生した酸化物を除去する工程を更に有する、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記酸化物を除去する工程は、大気中で行われる、
請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記酸化物を除去する工程は、フッ化水素(HF)を含む薬液により前記酸化物を除去する工程を含む、
請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記酸化物を除去する工程は、真空中で行われる、
請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記酸化物を除去する工程は、
前記基板にハロゲン元素を含むガスと塩基性ガスとを含有する混合ガスを供給して前記酸化物を変質させて反応生成物を生成する工程と、
前記反応生成物を除去する工程と、
を含む、
請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記イオン液体は、環境因子により物性が変化する、
請求項1乃至13のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記環境因子は、温度を含む、
請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記物性は、粘性及び密着性の少なくとも1つを含む、
請求項14又は15に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記イオン液体は、真空中で蒸発しない性質を有する、
請求項1乃至16のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記基板は、表面に導電材料が露出した領域を有する、
請求項1乃至17のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
基板の上にイオン液体を含む液体材料を塗布して保護膜を形成する第1の処理モジュールと、
前記基板の上に形成された前記保護膜を除去する第2の処理モジュールと、
前記第1の処理モジュールと前記第2の処理モジュールとの間で前記基板を大気搬送する搬送モジュールと、
を備える、半導体製造装置。
【請求項20】
基板の上にイオン液体を含む液体材料を塗布して保護膜を形成する第1の処理装置と、
前記基板の上に形成された前記保護膜を除去する第2の処理装置と、
前記第1の処理装置と前記第2の処理装置との間で前記基板を大気搬送する搬送装置と、
を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置の製造方法、半導体製造装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
NFガスの活性ガス種を半導体ウエハの表面の自然酸化膜と反応させて保護膜を形成した後、半導体ウエハを加熱して該保護膜を昇華させることにより、微細な凹部内等の自然酸化膜を除去する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-335316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板の表面に自然酸化膜が発生することを抑制できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による半導体装置の製造方法は、基板の上にイオン液体を含む液体材料を塗布して保護膜を形成する工程と、前記保護膜が形成された前記基板を大気搬送する工程と、大気搬送された前記基板から前記保護膜を除去する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板の表面に自然酸化膜が発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す図
図2A】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す工程断面図
図2B】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す工程断面図
図2C】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す工程断面図
図2D】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す工程断面図
図2E】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す工程断面図
図3】真空成膜装置の一例を示す概略図
図4】スピンコータの一例を示す概略図
図5】スリットコータの一例を示す概略図
図6】スリットコータの一例を示す概略図
図7】スリットコータの別の一例を示す概略図
図8】剥離装置の一例を示す概略図
図9図7の剥離装置のステージを説明するための図
図10図7の剥離装置のステージを説明するための図
図11】第2の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す図
図12】真空スリットコータの一例を示す概略図
図13】第3の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す図
図14】第4の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す図
図15A】積層膜に形成されたビアにCuを埋め込む方法の一例を示す工程断面図
図15B】積層膜に形成されたビアにCuを埋め込む方法の一例を示す工程断面図
図15C】積層膜に形成されたビアにCuを埋め込む方法の一例を示す工程断面図
図15D】積層膜に形成されたビアにCuを埋め込む方法の一例を示す工程断面図
図15E】積層膜に形成されたビアにCuを埋め込む方法の一例を示す工程断面図
図15F】積層膜に形成されたビアにCuを埋め込む方法の一例を示す工程断面図
図16】第1変形例のスリットコータを示す概略図
図17】第1変形例のスリットコータの動作の一例を示す図
図18】第1変形例のスリットコータの動作の別の一例を示す図
図19】イオン液体と洗浄液との接触を抑制する機構を説明するための図
図20】イオン液体と洗浄液との接触を抑制する機構を説明するための図
図21】第2変形例のスリットコータを示す概略図
図22】ステージ接地回路を説明するための電気回路図
図23】第3変形例のスリットコータを示す概略図
図24】外皮接地回路を説明するための電気回路図
図25】第4変形例のスリットコータを示す概略図
図26】第4変形例のスリットコータの動作の一例を示す図
図27】第4変形例のスリットコータの動作の別の一例を示す図
図28A】第4変形例のスリットコータの適用例を説明するための図
図28B】第4変形例のスリットコータの適用例を説明するための図
図28C】第4変形例のスリットコータの適用例を説明するための図
図29】第5変形例のスリットコータを示す概略図
図30】第5変形例のスリットコータの動作の一例を示す図
図31】第5変形例のスリットコータの動作の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
〔第1の実施形態〕
(半導体装置の製造方法)
図1を参照し、第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例について説明する。図1は、第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す図である。図2A図2Eは、第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【0010】
第1の実施形態の半導体装置の製造方法は、真空処理工程S11、大気処理工程S12、保護膜形成工程S13、保護膜除去工程S14及び真空処理工程S15を含む。真空処理工程S11、保護膜除去工程S14及び真空処理工程S15は真空中で行われ、大気処理工程S12及び保護膜形成工程S13は大気中で行われる。ここで云う大気中とは、ほぼ1気圧の状態で実施されるという事であり、処理工程中の雰囲気は、希ガスやNガス等の不活性ガスでも良い。
【0011】
真空処理工程S11は、真空装置内で基板に対して各種の真空処理を施す工程である。各種の真空処理としては、例えば成膜処理、エッチング処理、化学的酸化物除去(COR:Chemical Oxide Removal)処理、熱処理が挙げられるが、これらに限定されるものではない。COR処理は、例えば基板にハロゲン元素を含むガスと塩基性ガスとを含有する混合ガスを供給して酸化物を変質させて反応生成物を生成する工程と、反応生成物を除去する工程と、を含む。本実施形態において、各種の真空処理は、例えば図2Aに示されるように、絶縁膜11及び導電膜12を成膜することにより、絶縁材料が露出した領域11Aと、導電材料が露出した領域12Aと、を含む基板10を用意する処理であってよい。絶縁材料としては、例えば低誘電率膜(low-k膜)が挙げられるが、これに限定されるものではない。導電材料としては、例えば銅(Cu)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、ポリシリコン(Poly-Si)、タングステン(W)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。真空装置内で各種の真空処理が施された基板は、該真空装置のローダを介して真空装置内から大気中に搬出され、搬送装置により大気搬送された後、大気装置のローダを介して大気装置内に搬入される。
【0012】
大気処理工程S12は、真空処理工程S11の後に行われる工程であり、大気装置内で基板に対して各種の大気処理を施す工程である。各種の大気処理としては、例えばウェット処理、常圧成膜処理、メッキ処理が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本実施形態において、各種の大気処理は、例えば図2Bに示されるように、大気中で基板10にフッ化水素(HF)を含む薬液13を供給することにより、基板10の表面の酸化物(例えば自然酸化膜)を除去するウェット処理であってよい。HFを含む薬液13としては、例えば希フッ酸(DHF:Diluted Hydrofluoric Acid)が挙げられるが、これに限定されるものではない。基板10にHFを含む薬液13を供給する方法としては、例えばスピンコート法、スリットコート法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0013】
保護膜形成工程S13は、大気処理工程S12の後に行われる工程であり、大気装置内で基板にイオン液体を含む液体材料を塗布して基板の表面に保護膜を形成する工程である。保護膜形成工程S13は、清浄な表面を酸素(O)、水(HO)、有機物等の不純物により汚染されないように、かつ自然酸化膜が形成されないように基板の表面を保護するために行われる。そのため、保護膜形成工程S13は、大気処理工程S12の後に連続して行われることが好ましい。本実施形態において、図1に示されるように、保護膜形成工程S13は、大気処理工程S12を実施する装置と同じ大気装置内で、大気処理工程S12の後に連続して行われる。本実施形態において、保護膜形成工程S13では、例えば図2Cに示されるように、大気処理工程S12におけるウェット処理により酸化物が除去された基板10にイオン液体を含む液体材料を塗布して基板10の表面に保護膜14を形成する。これにより、基板10の表面が保護膜14で覆われた状態となるため、基板10の表面に不純物が吸着することを抑制できる。また、イオン液体を含む液体材料により形成された保護膜14は、大気中から真空中に移動させても容易に蒸発しない性質を有する。そのため、次工程が真空中で行われる工程であっても処理直前まで基板10の表面に酸化物が発生することを抑制できる。イオン液体を含む液体材料を塗布する方法としては、例えばスピンコート法、スリットコート法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、イオン液体の詳細については後述する。大気装置内で保護膜が形成された基板は、大気装置のローダを介して大気装置内から大気中に搬出され、搬送装置により大気搬送された後、真空装置のローダを介して真空装置内に搬入される。
【0014】
保護膜除去工程S14は、保護膜形成工程S13の後に行われる工程であり、真空装置内で基板の上に形成された保護膜を除去することにより、清浄な表面を露出させる工程である。本実施形態において、保護膜除去工程S14では、図2Dに示されるように、真空中で基板10を加熱することにより、イオン液体を相転移させて、保護膜14の下地(絶縁膜11及び導電膜12)に対する密着性を低下させる。次いで、基板10に対して物理的操作を行うことにより、基板10の表面の保護膜14を剥離させて除去する。物理的操作としては、例えば基板10の水平移動、回転、傾斜が挙げられる。なお、イオン液体を相転移させて、保護膜14の粘性を低下させてもよい。
【0015】
真空処理工程S15は、保護膜除去工程S14の後に行われる工程であり、真空装置内で基板に対して各種の真空処理を施す工程である。各種の真空処理としては、例えば成膜処理、エッチング処理、COR処理、熱処理が挙げられるが、これらに限定されるものではない。真空処理工程S15は、清浄な表面に不純物が再付着しないように、保護膜除去工程S14の後に基板を大気に晒すことなく連続して行われることが好ましい。本実施形態において、真空処理工程S15は、保護膜除去工程S14を実施する装置と同じ真空装置で、保護膜除去工程S14の後に連続して行われる。本実施形態において、各種の真空処理は、例えば図2Eに示されるように、絶縁膜15を成膜する成膜処理であってよい。なお、絶縁膜15に代えて、金属膜を成膜する成膜処理であってもよい。
【0016】
以上に説明したように、第1の実施形態の半導体装置の製造方法によれば、基板の表面にイオン液体を含む液体材料を予め保護膜として塗布しておき、成膜工程の開始直前に真空中で保護膜を除去する。これにより、基板の表面に酸化物が発生することを抑制でき、酸化物の発生が抑制された清浄な表面に所望の膜を形成できる。その結果、基板の表面と所望の膜との間の界面特性(例えば電気特性、機械特性)の劣化を抑制できる。
【0017】
(真空成膜装置)
図3を参照し、真空処理工程S11及び真空処理工程S15において行われる成膜処理を実施するための真空成膜装置の一例について説明する。図3は、真空成膜装置の一例を示す概略図である。
【0018】
真空成膜装置100は、チャンバ110、ガス供給部120、排気システム130及び制御部190を含む。
【0019】
チャンバ110は、内部にウエハWを収納する密閉構造の処理空間111を形成する。チャンバ110の内部には、載置台112が設けられている。
【0020】
載置台112は、平面視において略円形をなしており、チャンバ110の底部に固定されている。載置台112には、ウエハWが略水平の状態で載置される。載置台112の内部には、載置台112及びウエハWを加熱するヒータ113が設けられている。
【0021】
チャンバ110の側壁には、ウエハWを処理空間111に搬入出させるための搬入出口(図示せず)が設けられている。搬入出口は、ゲートバルブ(図示せず)により開閉される。チャンバ110の天井部には、処理ガスを吐出させる複数の吐出口を有するシャワーヘッド114が設けられている。
【0022】
ガス供給部120は、ガス供給源121及びガス供給路122を含む。ガス供給源121は、各種の処理ガスの供給源を含む。ガス供給路122は、ガス供給源121とシャワーヘッド114とを接続する。ガス供給路122には、例えばバルブ及び流量制御器(いずれも図示せず)が介設されている。ガス供給部120では、ガス供給源121からの各種の処理ガスが、ガス供給路122及びシャワーヘッド114を介して処理空間111に吐出される。
【0023】
排気システム130は、例えばチャンバ110の底部に設けられた排気口115に接続されている。排気システム130は、例えば圧力制御弁及び真空ポンプ(いずれも図示せず)を含み、チャンバ110内を排気する。
【0024】
制御部190は、真空処理工程S11及び真空処理工程S15を真空成膜装置100に実行させるコンピュータ実行可能な指示を処理する。制御部190は、真空処理工程S11及び真空処理工程S15を実行するように真空成膜装置100の各要素を制御するように構成され得る。制御部190は、例えばコンピュータを含む。コンピュータは、例えばCPU(Central Processing Unit)、記憶部及び通信インタフェースを含む。
【0025】
(塗布装置)
図4を参照し、大気処理工程S12において行われるウェット処理及び保護膜形成工程S13において行われるイオン液体を含む液体材料の塗布を実施するための塗布装置の一例であるスピンコータについて説明する。図4は、スピンコータの一例を示す概略図である。
【0026】
スピンコータ200は、筐体210、液体供給部220及び制御部290を含む。
【0027】
筐体210は、内部にウエハWを収納する密閉構造の処理空間211を形成する。筐体210には、ウエハWを処理空間211に搬入出するための搬入出口(図示せず)が設けられている。搬入出口は、ゲートバルブ(図示せず)により開閉される。筐体210の内部には、載置台212が設けられている。載置台212は、筐体210の底部を貫通して設けられる回転軸213の上端に接続されており、回転可能に構成される。載置台212には、ウエハWが略水平の状態で載置される。載置台212の内部には、ウエハWを加熱するためのヒータ214が埋設されている。
【0028】
液体供給部220は、液体供給源221及びノズル222を含む。液体供給源221は、各種の液体材料、例えばフッ化水素(HF)を含む薬液、イオン液体を含む液体材料の供給源を含む。ノズル222は、筐体210の天井部を貫通して設けられ、液体供給源221からの各種の液体材料を載置台212に載置されたウエハWの表面に供給する。
【0029】
制御部290は、大気処理工程S12において行われるウェット処理及び保護膜形成工程S13において行われるイオン液体を含む液体材料の塗布をスピンコータ200に実行させるコンピュータ実行可能な指示を処理する。制御部290は、大気処理工程S12において行われるウェット処理及び保護膜形成工程S13において行われるイオン液体を含む液体材料の塗布を実行するようにスピンコータ200の各要素を制御するように構成され得る。制御部290は、例えばコンピュータを含む。コンピュータは、例えばCPU、記憶部及び通信インタフェースを含む。
【0030】
図5及び図6を参照し、大気処理工程S12において行われるウェット処理及び保護膜形成工程S13において行われるイオン液体を含む液体材料の塗布を実施するための塗布装置の一例であるスリットコータについて説明する。図5及び図6は、スリットコータの一例を示す概略図である。図5及び図6は、それぞれスリットコータの側面図及び斜視図である。
【0031】
スリットコータ300は、ステージ310、液体供給部320及び制御部390を含む。
【0032】
ステージ310は、ウエハWを略水平の状態で載置する。
【0033】
液体供給部320は、液体供給源321及びスリットノズル322を含む。液体供給源321は、各種の液体材料、例えばHFを含む薬液、イオン液体を含む液体材料の供給源を含む。スリットノズル322は、ウエハWの上方を水平方向に移動することにより、液体供給源321からの液体材料をステージ310に載置されたウエハWの表面に供給する。
【0034】
制御部390は、大気処理工程S12において行われるウェット処理及び保護膜形成工程S13において行われるイオン液体を含む液体材料の塗布をスリットコータ300に実行させるコンピュータ実行可能な指示を処理する。制御部390は、大気処理工程S12において行われるウェット処理及び保護膜形成工程S13において行われるイオン液体を含む液体材料の塗布を実行するようにスリットコータ300の各要素を制御するように構成され得る。制御部390は、例えばコンピュータを含む。コンピュータは、例えばCPU、記憶部及び通信インタフェースを含む。
【0035】
図7を参照し、大気処理工程S12において行われるウェット処理及び保護膜形成工程S13において行われるイオン液体を含む液体材料の塗布を実施するための塗布装置の一例であるスリットコータの別の一例について説明する。図7は、スリットコータの別の一例を示す概略図である。
【0036】
スリットコータ400は、ステージ410、液体供給部420及び制御部490を含む。
【0037】
ステージ410は、ウエハWを略水平の状態で載置する。ステージ410は、駆動機構411により回転する回転軸412の上端に接続されており、回転可能に構成される。ステージ410の下方の周囲には、上方側が開口する液受け部413が設けられている。液受け部413は、ウエハWからこぼれ落ちたり、振り切られたりする液体材料等を受け止める。
【0038】
液体供給部420は、液体供給源421及びスリットノズル422を含む。液体供給源421は、各種の液体材料、例えばHFを含む薬液、イオン液体を含む液体材料の供給源を含む。スリットノズル422は、ウエハWの上方を水平方向に移動することにより、液体供給源421からの液体材料をステージ410に載置されたウエハWの表面に供給する。
【0039】
制御部490は、大気処理工程S12において行われるウェット処理及び保護膜形成工程S13において行われるイオン液体を含む液体材料の塗布をスリットコータ400に実行させるコンピュータ実行可能な指示を処理する。制御部490は、大気処理工程S12において行われるウェット処理及び保護膜形成工程S13において行われるイオン液体を含む液体材料の塗布を実行するようにスリットコータ400の各要素を制御するように構成され得る。制御部490は、例えばコンピュータを含む。コンピュータは、例えばCPU、記憶部及び通信インタフェースを含む。
【0040】
(剥離装置)
図8図10を参照し、保護膜除去工程S14において行われる保護膜の除去を実施するための剥離装置の一例について説明する。図8は、剥離装置の一例を示す概略図である。図9は、図8の剥離装置のステージを説明するための図であり、ステージの上にウエハが載置され、ステージとウエハとの間が温調流体で満たされている状態を示す。図10は、図8の剥離装置のステージを説明するための図であり、ステージの上にウエハが載置されておらず、ステージの上に温調流体が満たされていない状態を示す。
【0041】
剥離装置500は、チャンバ510、液体循環部530、排気システム540及び制御部590を含む。
【0042】
チャンバ510は、内部にウエハWを収納する密閉構造の処理空間511を形成する。チャンバ510の内部には、ステージ512が設けられている。
【0043】
ステージ512は、ウエハWを略水平の状態で保持する。ステージ512は、保持部512a及び回転軸512bを含む。回転軸512bは、例えばスプラインシール軸受513を介して反応槽514の底部の環状支持部514aに回転可能かつ昇降可能に支持されている。ステージ512は、モータ515の回転駆動軸に連結されている。また、ステージ512は、昇降機構516によって昇降可能に支持されている。モータ515及び昇降機構516の制御信号は制御部590から出力される。ステージ512は、有底筒状の反応槽514で周囲を取り囲まれている。
【0044】
反応槽514は、例えば同心円状に深さが異なる中央底部514b及び周辺底部514cを有し、中央底部514bは周辺底部514cよりも深くなっている。反応槽514内の液は、周辺底部514cから中央底部514bに向けて滑らかに流出するようになっている。なお、液が滑らかに流出する形態であれば、2段階の段差構造でなくても、例えば中心部が深くなった円錐形状や多段構造であってもよい。
【0045】
中央底部514bには、ドレイン517が開口している。ドレイン517には、液体循環部530の還り管535が接続されている。反応槽514の側部には、液供給流路518aが開口している。また、反応槽514の側部であって液供給流路518aよりも低い位置に、排液流路518bが開口している。また、反応槽514の側部であって液供給流路518aよりも高い位置に、複数の排気路518cが連通している。反応槽514の底部には、ウエハW及び反応槽514内に供給される温調流体を加熱するヒータ519が埋設されている。
【0046】
また、反応槽514の底部の上方には、3本のリフトピン520が設けられている。リフトピン520は、ステージ512が下降した際に、ステージ512に設けられた貫通孔に挿通されてステージ512の上面に対して突出することで、ウエハWを持ち上げて保持する。
【0047】
また、ステージ512の外縁には、ステージ512に保持されたウエハWを固定するストッパ521が設けられている。ストッパ521は、例えば図9及び図10に示されるように、ステージ512の外縁に周方向に等間隔で3つ設けられている。ストッパ521によりウエハWが固定されることで、ウエハWを回転させたときにウエハWがステージ512から離脱することを防止できる。
【0048】
液体循環部530は、タンク531、温調機構532、往き菅533、シール機構534及び還り管535を含む。
【0049】
タンク531は、温調流体を貯留する。温調流体は、タンク531内から往き菅533を介してステージ512の上面とウエハWの下面との間に供給される。これにより、ウエハWの温度が、温調流体の温度と略同じ温度に調整される。温調流体としては、熱伝導性に優れているという観点から、イオン液体を用いることが好ましい。イオン液体としては、例えばウエハWの表面に形成された保護膜を構成するイオン液体と同じイオン液体を利用できる。
【0050】
温調機構532は、ヒータ及び温度センサ(いずれも図示せず)を含む。温調機構532は、温度センサの検出値に基づいてヒータを制御することにより、タンク531内の温調流体の温度を制御する。
【0051】
往き菅533は、ステージ512の回転軸512bと同軸に設けられ、モータ515及び昇降機構516により回転軸512bと共に回転及び昇降する。往き菅533は、図10に示されるように、上端がステージ512の中心に設けられた開口512cに挿通され、ステージ512上に温調流体を供給する。
【0052】
シール機構534は、往き菅533を気密にシールした状態で回転可能に支持する。
【0053】
還り管535は、ドレイン517に接続され、ステージ512上からこぼれた温調流体をタンク531内に回収する。
【0054】
排気システム540は、例えば複数の排気路518cに接続されている。排気システム540は、例えば圧力制御弁及び真空ポンプ(いずれも図示せず)を含み、チャンバ510内を排気する。
【0055】
制御部590は、保護膜除去工程S14を剥離装置500に実行させるコンピュータ実行可能な指示を処理する。制御部590は、保護膜除去工程S14を実行するように剥離装置500の各要素を制御するように構成され得る。制御部590は、例えばコンピュータを含む。コンピュータは、例えばCPU、記憶部及び通信インタフェースを含む。
【0056】
〔第2の実施形態〕
(半導体装置の製造方法)
図11を参照し、第2の実施形態の半導体装置の製造方法の一例について説明する。図11は、第2の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す図である。
【0057】
第2の実施形態の半導体装置の製造方法は、真空処理工程S21、保護膜形成工程S22、保護膜除去工程S23及び真空処理工程S24を含む。真空処理工程S21、保護膜形成工程S22、保護膜除去工程S23及び真空処理工程S24は、真空中で行われる。
【0058】
真空処理工程S21は、真空装置内で基板に対して各種の真空処理を施す工程である。真空処理工程S21は、例えば第1の実施形態の真空処理工程S11と同じであってよい。
【0059】
保護膜形成工程S22は、真空処理工程S21の後に行われる工程であり、真空装置内で基板にイオン液体を含む液体材料を塗布して基板の表面に保護膜を形成する工程である。保護膜形成工程S22は、清浄な表面を酸素(O)、水(HO)、有機物等の不純物により汚染されないように、かつ自然酸化膜が形成されないように基板の表面を保護するために行われる。そのため、保護膜形成工程S22は、真空処理工程S21の後に連続して行われることが好ましい。本実施形態において、保護膜形成工程S22は、真空処理工程S21を実施する装置と同じ真空装置内で、真空処理工程S21の後に連続して行われる。イオン液体を含む液体材料により形成された保護膜は、真空中で容易に蒸発しない性質を有するため、真空中で塗布できる。また、次工程が真空中で行われる工程であっても処理直前まで基板の表面に酸化物が発生することを抑制できる。イオン液体を含む液体材料を塗布する方法としては、例えばスピンコート法、スリットコート法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。真空装置内で保護膜が形成された基板は、真空装置のローダを介して真空装置内から大気中に搬出され、搬送装置により大気搬送された後、別の真空装置のローダを介して別の真空装置内に搬入される。
【0060】
保護膜除去工程S23は、保護膜形成工程S22の後に行われる工程であり、真空装置内で基板の上に形成された保護膜を除去することにより、清浄な表面を露出させる工程である。保護膜除去工程S23は、例えば第1の実施形態の保護膜除去工程S14と同じであってよい。
【0061】
真空処理工程S24は、保護膜除去工程S23の後に行われる工程であり、真空装置内で基板に対して各種の真空処理を施す工程である。真空処理工程S24は、例えば第1の実施形態の真空処理工程S15と同じであってよい。
【0062】
以上に説明したように、第2の実施形態の半導体装置の製造方法によれば、基板の表面にイオン液体を含む液体材料を予め保護膜として塗布しておき、成膜工程の開始直前に真空中で保護膜を除去する。これにより、基板の表面に酸化物が発生することを抑制でき、酸化物の発生が抑制された清浄な表面に所望の膜を形成できる。その結果、基板の表面と所望の膜との間の界面特性(例えば電気特性、機械特性)の劣化を抑制できる。
【0063】
(真空塗布装置)
図12を参照し、保護膜形成工程S22において行われるイオン液体を含む液体材料の塗布を実施するための真空塗布装置の一例である真空スリットコータについて説明する。図12は、真空スリットコータの一例を示す概略図である。
【0064】
真空スリットコータ600は、チャンバ610、液体供給部620、液体循環部630及び制御部690を含む。
【0065】
チャンバ610は、内部にウエハWを収納する密閉構造の処理空間611を形成する。チャンバ610内には、ステージ612が設けられている。ステージ612は、ウエハWを略水平の状態で保持する。ステージ612は、駆動機構613により回転する回転軸614の上端に接続されており、回転可能に構成される。ステージ612の下方の周囲には、上方側が開口する液受け部615が設けられている。液受け部615は、ウエハWからこぼれ落ちたり、振り切られたりする薬液、液体材料等を受け止め、貯留する。チャンバ610の内部は、圧力制御弁及び真空ポンプ等を含む排気システム(図示せず)により排気される。
【0066】
液体供給部620は、スリットノズル621を含む。スリットノズル621は、ウエハWの上方を水平方向に移動することにより、液体循環部630からのイオン液体を含む液体材料をステージ612に載置されたウエハWの表面に供給する。
【0067】
液体循環部630は、液受け部615に貯留されたイオン液体を含む液体材料を回収してスリットノズル621に供給する。液体循環部630は、圧縮器631、原液槽632、キャリアガス供給源633、洗浄部634及びpHセンサ635、636を含む。
【0068】
圧縮器631は、配管639aを介して液受け部615と接続されており、液受け部615に貯留されたイオン液体を含む液体材料を回収し、例えば大気圧以上に圧縮する。圧縮器631は、配管639bを介して原液槽632と接続されており、配管639bを介して圧縮したイオン液体を含む液体材料を原液槽632に輸送する。配管639aには、例えばバルブ、流量制御器(いずれも図示せず)が介設されている。例えば、バルブの開閉を制御することにより、圧縮器631から原液槽632へのイオン液体を含む液体材料の輸送を定期的に行う。
【0069】
原液槽632は、イオン液体を含む液体材料を貯留する。原液槽632には、配管639b~639dの一端が挿入されている。配管639bの他端は圧縮器631に接続されており、原液槽632には配管639bを介して圧縮器631で圧縮されたイオン液体を含む液体材料が供給される。配管639cの他端はキャリアガス供給源633に接続されており、原液槽632には配管639cを介してキャリアガス供給源633から窒素(N)ガス等のキャリアガスが供給される。配管639dの他端はスリットノズル621に接続されており、キャリアガスと共に原液槽632内のイオン液体を含む液体材料が配管639dを介してスリットノズル621に輸送される。配管639b~639dには、例えばバルブ、流量制御器(いずれも図示せず)が介設されている。
【0070】
キャリアガス供給源633は、配管639cを介して原液槽632と接続されており、配管639cを介して原液槽632にNガス等のキャリアガスを供給する。
【0071】
洗浄部634は、配管639bに介設されている。洗浄部634は、圧縮器631から輸送されたイオン液体を含む液体材料を洗浄する。洗浄部634には排水管639eが接続されており、特性が劣化したイオン液体を含む液体材料は排水管639eを介して排出される。例えば、洗浄部634は、pHセンサ636の検出値に基づいて、イオン液体を含む液体材料を再利用するか又は排出するかを制御する。また、例えば洗浄部634は、pHセンサ635の検出値に基づいて、イオン液体を含む液体材料を再利用するか又は排出するかを制御してもよい。また、例えば洗浄部634は、pHセンサ635及びpHセンサ636の検出値に基づいて、イオン液体を含む液体材料を再利用するか又は排出するかを制御してもよい。
【0072】
pHセンサ635は、圧縮器631に設けられており、圧縮器631内のイオン液体を含む液体材料の水素イオン指数(pH)を検出する。
【0073】
pHセンサ636は、洗浄部634に設けられており、洗浄部634内のイオン液体を含む液体材料の水素イオン指数(pH)を検出する。
【0074】
制御部690は、保護膜形成工程S22において行われるイオン液体を含む液体材料の塗布を真空スリットコータ600に実行させるコンピュータ実行可能な指示を処理する。制御部690は、保護膜形成工程S22において行われるイオン液体を含む液体材料の塗布を実行するように真空スリットコータ600の各要素を制御するように構成され得る。制御部690は、例えばコンピュータを含む。コンピュータは、例えばCPU、記憶部及び通信インタフェースを含む。
【0075】
〔第3の実施形態〕
(半導体装置の製造方法)
図13を参照し、第3の実施形態の半導体装置の製造方法の一例について説明する。図13は、第3の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す図である。
【0076】
第3の実施形態の半導体装置の製造方法は、真空処理工程S31、保護膜形成工程S32、保護膜除去工程S33及び大気処理工程S34を含む。真空処理工程S31及び保護膜形成工程S32は真空中で行われ、保護膜除去工程S33及び大気処理工程S34は大気中で行われる。
【0077】
真空処理工程S31は、真空装置内で基板に対して各種の真空処理を施す工程である。真空処理工程S31は、例えば第1の実施形態の真空処理工程S11と同じであってよい。
【0078】
保護膜形成工程S32は、真空処理工程S31の後に行われる工程であり、真空装置内で基板にイオン液体を含む液体材料を塗布して基板の表面に保護膜を形成する工程である。本実施形態において、保護膜形成工程S32は、真空処理工程S31が行われるプロセスモジュールと真空搬送室を介して接続された異なるプロセスモジュールで行われる。真空装置内で保護膜が形成された基板は、真空装置のローダを介して真空装置内から大気中に搬出され、搬送装置により大気搬送された後、大気装置のローダを介して大気装置内に搬入される。
【0079】
保護膜除去工程S33は、保護膜形成工程S32の後に行われる工程であり、大気装置内で基板の上に形成された保護膜を除去することにより、清浄な表面を露出させる工程である。本実施形態において、保護膜除去工程S33では、大気中で基板を加熱することにより、イオン液体を相転移させて、保護膜の下地(絶縁材料及び導電材料)に対する密着性を低下させる。次いで、基板に対して物理的操作を行うことにより、基板の表面の保護膜を剥離させて除去する。物理的操作としては、例えば基板の水平移動、回転、傾斜が挙げられる。なお、イオン液体を相転移させて、保護膜の粘性を低下させてもよい。
【0080】
大気処理工程S34は、保護膜除去工程S33の後に行われる工程であり、大気装置内で基板に対して各種の大気処理を施す工程である。各種の大気処理としては、例えばウェット処理、常圧成膜処理、メッキ処理が挙げられるが、これらに限定されるものではない。大気処理工程S34は、清浄な表面に不純物が再付着しないように、保護膜除去工程S33と同時に、又は保護膜除去工程S33の後に連続して行われることが好ましい。
【0081】
以上に説明したように、第3の実施形態の半導体装置の製造方法によれば、基板の表面にイオン液体を含む液体材料を予め保護膜として塗布しておき、成膜工程の開始直前に真空中で保護膜を除去する。これにより、基板の表面に酸化物が発生することを抑制でき、酸化物の発生が抑制された清浄な表面に所望の膜を形成できる。その結果、基板の表面と所望の膜との間の界面特性(例えば電気特性、機械特性)の劣化を抑制できる。
【0082】
〔第4の実施形態〕
(半導体装置の製造方法)
図14を参照し、第4の実施形態の半導体装置の製造方法の一例について説明する。図14は、第4の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す図である。
【0083】
第4の実施形態の半導体装置の製造方法は、真空処理工程S41、保護膜形成工程S42、保護膜除去工程S43及び大気処理工程S44を含む。真空処理工程S41及び保護膜形成工程S42は真空中で行われ、保護膜除去工程S43及び大気処理工程S44は大気中で行われる。
【0084】
真空処理工程S41は、真空装置内で基板に対して各種の真空処理を施す工程である。真空処理工程S41は、例えば第1の実施形態の真空処理工程S11と同じであってよい。
【0085】
保護膜形成工程S42は、真空処理工程S41の後に行われる工程であり、真空装置内で基板にイオン液体を含む液体材料を塗布して基板の表面に保護膜を形成する工程である。本実施形態において、保護膜形成工程S42は、真空処理工程S41が行われるプロセスモジュールとロードロック室(バッファ)を介して接続された異なるプロセスモジュールで行われる。ロードロック室は、内部を真空雰囲気と大気雰囲気との間で切り替え可能に構成される。真空装置内で保護膜が形成された基板は、真空装置のローダを介して真空装置内から大気中に搬出され、搬送装置により大気搬送された後、大気装置のローダを介して大気装置内に搬入される。
【0086】
保護膜除去工程S43は、保護膜形成工程S42の後に行われる工程であり、大気装置内で基板の上に形成された保護膜を除去することにより、清浄な表面を露出させる工程である。保護膜除去工程S43は、第3の実施形態の保護膜除去工程S33と同じであってよい。
【0087】
大気処理工程S44は、保護膜除去工程S43の後に行われる工程であり、大気装置内で基板に対して各種の大気処理を施す工程である。大気処理工程S44は、第3の実施形態の大気処理工程S34と同じであってよい。
【0088】
以上に説明したように、第4の実施形態の半導体装置の製造方法によれば、基板の表面にイオン液体を含む液体材料を予め保護膜として塗布しておき、成膜工程の開始直前に真空中で保護膜を除去する。これにより、基板の表面に酸化物が発生することを抑制でき、酸化物の発生が抑制された清浄な表面に所望の膜を形成できる。その結果、基板の表面と所望の膜との間の界面特性(例えば電気特性、機械特性)の劣化を抑制できる。
【0089】
〔イオン液体〕
イオン液体は、常温で液体のイオン化合物であり、陽イオン(カチオン)と陰イオン(アニオン)とから構成される。実施形態に用いるイオン液体は、環境因子により物性が変化するイオン液体である。環境因子は、例えば温度を含む。物性は、例えば粘性及び密着性の少なくとも1つを含む。
【0090】
実施形態に用いるイオン液体の一例としては、温度により可逆的な相転移が生じるイオン液体を好適に利用できる。これにより、基板の温度を変更することで、イオン液体に相転移が生じ、イオン液体と基板との密着性を変えることができる。つまりイオン液体の温度を制御する事で、基板(ウエハ)上にイオン液体が粘性膜として密着した状態、あるいは基板(ウエハ)から容易に剥がれ易い非粘性状態に変化させる事が可能である。
【0091】
例えば、基板にイオン液体を含む液体材料を塗布して保護膜を形成する際には、イオン液体と基板との密着性が高くなるように基板の温度を第1の温度に設定する。これにより、基板の上に塗布された液体材料が基板の上に残存して保護膜が形成される。一方、基板の上に形成された保護膜を除去する際には、イオン液体と基板との密着性が低くなるように基板の温度を第1の温度と異なる第2の温度に設定する。これにより、基板との密着性が低下した保護膜は、例えば基板の水平移動、回転、傾斜等の物理的操作が行われると、基板の上から容易に剥離する。
【0092】
イオン液体を構成する陽イオンとしては、例えば第四級窒素を含むピリジニウム型、イミダゾリウム型、アンモニウム型、ピロリジニウム型、ピペリジニウム型や、第四級リンを含むホスホニウム型等の陽イオンが挙げられる。これらの陽イオンは、側鎖としてアルキル基-(CHCHを含む。
【0093】
ピリジニウム型の陽イオンとしては、例えば化学式(C1-1)で示されるCpy、化学式(C1-2)で示されるCpyが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0094】
【化1】
【0095】
イミダゾリウム型の陽イオンとしては、例えば化学式(C2-1)で示されるCmim、化学式(C2-2)で示されるCmim、化学式(C2-3)で示されるCmim、化学式(C2-4)で示されるCmimが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0096】
【化2】
【0097】
アンモニウム型の陽イオンとしては、例えば化学式(C3-1)で示されるN3,1,1,1 、化学式(C3-2)で示されるN4,1,1,1 、化学式(C3-3)で示されるN6,1,1,1 、化学式(C3-4)で示されるN2,2,1,(2O1) 、化学式(C3-5)で示されるChが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0098】
【化3】
【0099】
ピロリジニウム型の陽イオンとしては、例えば化学式(C4-1)で示されるPyr1,3 、化学式(C4-2)で示されるPyr1,4 が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0100】
【化4】
【0101】
ピペリジニウム型の陽イオンとしては、例えば化学式(C5-1)で示されるPip1,3 、化学式(C5-2)で示されるPip1,4 が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0102】
【化5】
【0103】
ホスホニウム型の陽イオンとしては、例えば化学式(C6-1)で示されるP5,2,2,2 、化学式(C6-2)で示されるP6,6,6,14 が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0104】
【化6】
【0105】
イオン液体を構成する陰イオンとしては、化学式(A1)で示されるTfO、化学式(A2)で示されるTf(TFSA)、化学式(A3)で示されるTf、化学式(A4)で示されるFSA、化学式(A5)で示されるCHCOO、化学式(A6)で示されるCFCOO、化学式(A7)で示されるBF 、化学式(A8)で示されるPF 、化学式(A9)で示される(CN)、化学式(A10)で示されるAlCl 、化学式(A11)で示されるAlCl が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0106】
【化7】
【0107】
なお、イオン液体の具体例としては、トリブチルヘキサデシルホスホニウム3-(トリメチルシリル)-1-プロパンスルホネート(BHDP・DSS)、N,N-ジエチル-N-メチル-N(2-メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボラート(DEME・BF)が挙げられる。
【0108】
〔実施例〕
図15A図15Fを参照し、実施形態の半導体装置の製造方法の適用例として、バックエンド(BEOL:Back End Of Line)プロセスにおいて、ビア(Via)にCuを埋め込む場合を例に挙げて説明する。図15A図15Fは、積層膜に形成されたビアにCuを埋め込む方法の一例を示す工程断面図である。
【0109】
まず、図15Aに示されるように、下層配線21の上に絶縁膜26が形成された基板20を準備する。下層配線21と絶縁膜26との間には、エッチングストップ層23が形成されている。下層配線21は、層間絶縁膜24に形成されたトレンチ22内にバリアメタル膜25を挟んで埋め込まれている。下層配線21としては、例えばCu配線が挙げられるが、これに限定されるものではない。エッチングストップ層23としては、例えばシリコン炭窒化膜(SiCN膜)が挙げられるが、これに限定されるものではない。層間絶縁膜24としては、例えばlow-k膜が挙げられるが、これに限定されるものではない。バリアメタル膜25としては、例えば窒化タンタル(TaN)膜が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、絶縁膜26には、ビア27及びトレンチ28が形成されている。
【0110】
続いて、図15Bに示されるように、ビア27及びトレンチ28の内部にバリアメタル膜としてTaN膜29をコンフォーマルに成膜する。TaN膜29の成膜方法としては、例えば真空装置で実施されるALD法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0111】
続いて、図15Cに示されるように、TaN膜29の上にシード膜としてCuシード膜30をコンフォーマルに成膜する。Cuシード膜30の成膜方法としては、例えばPVD法が挙げられるが、これに限定されるものではない。Cuシード膜は、例えばTaN膜29を成膜する真空装置と同じ装置内の異なるモジュールで成膜される。
【0112】
続いて、図15Dに示されるように、基板20にイオン液体を含む液体材料を塗布し、Cuシード膜30の表面を覆うように保護膜31を形成する。保護膜31は、例えばTaN膜29及びCuシード膜30を成膜する真空装置と同じ装置内の異なるモジュールで成膜される。イオン液体としては、例えば温度により可逆的な相転移が生じるイオン液体が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0113】
続いて、図15Eに示されるように、Cuシード膜30と保護膜31との密着性を低下させた状態で、例えば基板20に対して水平移動、回転、傾斜等の物理的操作を行うことにより、Cuシード膜30の表面から保護膜31を剥離させて除去する。保護膜31の除去方法としては、例えば大気装置で実施されるスピンコータを用いる方法が挙げられる。例えば、基板20を加熱することでCuシード膜30に対する保護膜31の密着性を低下させた状態で、スピンコータにより基板20を回転させることにより保護膜31を除去できる。
【0114】
続いて、図15Fに示されるように、ビア27及びトレンチ28の内部にCu32を埋め込む。Cu32を埋め込む工程は、例えば保護膜31を除去する大気装置と同じ装置で実施される。このとき、Cu32を埋め込む直前にCuシード膜30の表面を覆う保護膜31を除去することにより、表面の酸化が抑制されたCuシード膜30の上にCu32を埋め込むことができる。これにより、Cuシード膜30とCu32との間の密着性の低下が抑制されるため、ストレスマイグレーション(SM:Stress Migration)及びエレクトロマイグレーション(EM:Electro Migration)に対する耐性が向上する。これに対し、保護膜31を用いない場合には、Cu32を埋め込む前にCuシード膜30の表面が酸化されやすいため、Cuシード膜30とCu32との間の密着性が低下し、SM不良、EM不良が発生しやすくなる。Cu32を埋め込む方法としては、例えばメッキ法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。メッキ法としては、例えば無電解メッキ(ELD:Electroless deposition)法、電解メッキ(ECD:Electrochemical deposition)法が挙げられる。ビア27及びトレンチ28の内部へのCu32の埋め込みは、例えば保護膜31を除去する際に用いる大気装置と同じ装置内の同じモジュール(スピンコータ)で実施される。
【0115】
以上に説明したように、実施例によれば、Cuシード膜30の成膜の後にCuシード膜30の表面にイオン液体を含む液体材料を塗布して保護膜31を形成し、Cu32の埋め込みを行う直前に保護膜31を除去する。これにより、Cuシード膜30の表面に自然酸化膜が発生することを抑制できる。
【0116】
なお、上記の実施例では、ビア27及びトレンチ28の内部にTaN膜29及びCuシード膜30を成膜した後に、保護膜31を形成し、保護膜31を除去した後にCu32を埋め込む場合を説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、Cuシード膜30を省略してもよい。
【0117】
〔スリットコータの変形例〕
図16を参照し、第1変形例のスリットコータの構成について説明する。図16は、第1変形例のスリットコータを示す概略図である。
【0118】
スリットコータ700は、ステージ710、液体供給部720、サブステージ730、濃度測定用ノズル740及び制御部790を含む。
【0119】
ステージ710は、ウエハWを略水平の状態で載置する。ステージ710は、駆動機構711により回転する回転軸712の上端に接続されており、回転可能に構成される。ステージ710の下方の周囲には、上方側が開口する液受け部713が設けられている。液受け部713は、ウエハWからこぼれ落ちたり、振り切られたりする液体材料等を受け止める。
【0120】
液体供給部720は、イオン液体供給源721、イオン液体供給配管722、洗浄液供給源723、洗浄液供給配管724及びスリットノズル725を含む。
【0121】
イオン液体供給源721は、イオン液体供給配管722を介してスリットノズル725にイオン液体ILを供給する。イオン液体ILは、前述のイオン液体であってよい。
【0122】
イオン液体供給配管722は、イオン液体供給源721からのイオン液体ILをスリットノズル725に供給する配管である。イオン液体供給配管722は、例えば導電性部材により形成されている。
【0123】
洗浄液供給源723は、洗浄液供給配管724を介してスリットノズル725に洗浄液CLを供給する。洗浄液CLは、イソプロピルアルコール(IPA)を含む半導体洗浄工程に多用される液体材料が好適であるが、それ以外の半導体工程に用いられる洗浄剤(例えばリン酸、フッ酸、塩酸、硝酸等の酸性系洗浄剤あるいは、SC1(NHOH/H/HO)の様なアルカリ系洗浄液)であってもよい。
【0124】
洗浄液供給配管724は、洗浄液供給源723からの洗浄液CLをスリットノズル725に供給する配管である。洗浄液供給配管724は、例えば導電性部材により形成されている。
【0125】
スリットノズル725は、ウエハWの上方を水平方向に移動することにより、ステージ710に載置されたウエハWの表面にイオン液体IL及び洗浄液CLを供給する。また、スリットノズル725は、サブステージ730の上方に移動することにより、サブステージ730上にイオン液体IL及び洗浄液CLを供給する。スリットノズル725は、本体725a、外皮725b、イオン液体供給口725c及び洗浄液供給口725dを含む。
【0126】
本体725aは、内部にイオン液体流路725eを有する。イオン液体流路725eは、本体725aの上部に形成されたイオン液体供給口725cを介してイオン液体供給配管722と接続されている。これにより、イオン液体供給源721からのイオン液体ILは、イオン液体供給配管722及びイオン液体供給口725cを介してイオン液体流路725eに供給され、該イオン液体流路725eの下端から吐出される。本体725aは、例えば絶縁性部材により形成されている。イオン液体流路725eの流路断面積は、イオン液体ILの粘度、接触角(濡れ性)に応じて最適化される。
【0127】
外皮725bは、本体725aの外面との間に洗浄液流路725fを形成するように、本体725aの外方に設けられている。洗浄液流路725fは、洗浄液供給口725dを介して洗浄液供給配管724と接続されている。これにより、洗浄液供給源723からの洗浄液CLは、洗浄液供給配管724及び洗浄液供給口725dを介して洗浄液流路725fに供給され、該洗浄液流路725fの下端から吐出される。外皮725bは、例えば導電性部材により形成されている。洗浄液流路725fの流路断面積は、洗浄液CLの粘度、接触角(濡れ性)に応じて最適化される。
【0128】
このように、スリットノズル725は、本体725a及び外皮725bにより形成されるイオン液体流路725e及び洗浄液流路725fを含む2重配管構造を有する。これにより、イオン液体IL及び洗浄液CLを1つのスリットノズル725で塗布できる。
【0129】
サブステージ730は、ステージ710とは別に、液体供給部720によりイオン液体IL及び洗浄液CLの塗布が可能な位置に設けられている。図16の例では、サブステージ730は、ステージ710の側方に設けられている。サブステージ730の上面には、イオン液体IL及び洗浄液CLが塗布される領域に開口731aを有する板状部材731が設けられている。サブステージ730は、加熱手段や冷却手段によって上面の温度を調整できるようになっている。加熱手段は、例えばサブステージ730の内部に埋め込まれたヒータであってよい。冷却手段は、例えばサブステージ730の内部に形成された冷媒流路であってよい。
【0130】
濃度測定用ノズル740は、例えば管状部材により形成されている。濃度測定用ノズル740は、一端がサブステージ730上に塗布されたイオン液体IL及び洗浄液CLと接触する位置に設けられている。これにより、液体供給部720によりサブステージ730上にイオン液体IL及び洗浄液CLが塗布されると、塗布されたイオン液体IL及び洗浄液CLの一部が管状部材の一端から吸い上げられる。すなわち、濃度測定用ノズル740により、液体供給部720によりサブステージ730上に塗布されたイオン液体IL及び洗浄液CLの一部を回収できる。濃度測定用ノズル740により回収されたイオン液体IL及び洗浄液CLに対して各種の測定を行うことで、該イオン液体IL及び該洗浄液CLの濃度を確認できる。各種の測定としては、例えば比抵抗の測定、クロマトグラフィーによる測定、光学的測定(例えばFT-IR)が挙げられる。また、メッキ用途のイオン液体ILの場合には、各種の測定として、例えば比色測定、非接触での導電率測定が挙げられる。
【0131】
制御部790は、スリットコータ700の各要素を制御する。例えば、制御部790は、大気処理工程S12において行われるウェット処理及び保護膜形成工程S13において行われるイオン液体ILを含む液体材料の塗布をスリットコータ700に実行させるコンピュータ実行可能な指示を処理する。制御部790は、大気処理工程S12において行われるウェット処理及び保護膜形成工程S13において行われるイオン液体ILを含む液体材料の塗布を実行するようにスリットコータ700の各要素を制御するように構成され得る。制御部790は、例えばコンピュータを含む。コンピュータは、例えばCPU、記憶部及び通信インタフェースを含む。
【0132】
図17を参照し、第1変形例のスリットコータ700の動作の一例について説明する。図17は、第1変形例のスリットコータ700の動作の一例を示す図であり、ステージ710に載置されたウエハW上にイオン液体ILを塗布した後にイオン液体ILの濃度を測定する場合の動作の一例を示す。
【0133】
まず、制御部790は、スリットノズル725をステージ710に載置されたウエハWの上方において水平方向に移動させながら、スリットノズル725からウエハWに向けてイオン液体ILを吐出する。これにより、図17の左図に示されるように、ステージ710に載置されたウエハW上にイオン液体ILが塗布される。
【0134】
続いて、制御部790は、スリットノズル725をサブステージ730の上方であり、板状部材731の開口731aと対応する位置に移動させる。また、制御部790は、スリットノズル725からサブステージ730に向けてイオン液体ILを吐出する。これにより、図17の右図に示されるように、サブステージ730上にイオン液体ILが塗布される。
【0135】
このとき、サブステージ730に吐出されたイオン液体ILは、一部が濃度測定用ノズル740により吸い上げられる。そこで、濃度測定用ノズル740により吸い上げられたイオン液体ILに対して各種の測定を行うことで、該イオン液体ILの濃度を確認できる。
【0136】
また、イオン液体ILの濃度を確認する場合、イオン液体の表面張力(粘性)を小さくして濃度測定を実施しやすくするために、サブステージ730の温度を調整することが好ましい。
【0137】
図18を参照し、第1変形例のスリットコータ700の動作の別の一例について説明する。図18は、第1変形例のスリットコータ700の動作の別の一例を示す図であり、ステージ710に載置されたウエハW上にイオン液体ILを塗布した後にスリットノズル725を自動洗浄する場合の動作の一例を示す。
【0138】
まず、制御部790は、スリットノズル725をステージ710に載置されたウエハWの上方において水平方向に移動させながら、スリットノズル725からウエハWに向けてイオン液体ILを吐出する。これにより、図18の左図に示されるように、ステージ710に載置されたウエハW上にイオン液体ILが塗布される。
【0139】
続いて、制御部790は、スリットノズル725をサブステージ730の上方であり、板状部材731の開口731aと対応する位置に移動させる。また、制御部790は、スリットノズル725からサブステージ730上に洗浄液CLを吐出する。これにより、図18の右図に示されるように、サブステージ730上に洗浄液CLが塗布され、スリットノズル725の先端が洗浄される。
【0140】
図19及び図20を参照し、第1変形例のスリットコータ700において、イオン液体ILと洗浄液CLとの接触を抑制する機構について説明する。
【0141】
図19は、イオン液体ILと洗浄液CLとの接触を抑制する機構を説明するための図であり、スリットノズル725から吐出する液体材料をイオン液体ILから洗浄液CLに切り替える場合の動作の一例を示す。
【0142】
まず、図19の(a)図に示されるように、制御部790は、スリットノズル725によるイオン液体ILの吐出を停止させる。
【0143】
続いて、図19の(b)図に示されるように、制御部790は、例えばサックバック(Sack-back)動作によりイオン液体ILをイオン液体流路725eの上方へ吸い戻す。
【0144】
続いて、図19の(c)図に示されるように、制御部790は、スリットノズル725をサブステージ730の上方であり、板状部材731の開口731aと対応する位置に移動させる。また、制御部790は、スリットノズル725からサブステージ730上に洗浄液CLを吐出する。このとき、洗浄液CLの一部は、イオン液体流路725e内にも流れ込むが、イオン液体流路725e内はサックバック動作によりイオン液体ILが吸い戻されている。そのため、イオン液体流路725e内にはイオン液体ILと洗浄液CLとの間にエア溜まりAPが形成される。その結果、イオン液体ILの洗浄液CLへの混入を抑制できる。
【0145】
また、洗浄液CLの一部は、濃度測定用ノズル740に吸い上げられる。そこで、濃度測定用ノズル740により吸い上げられた洗浄液CLに対して各種の測定を行うことで、該洗浄液CLの濃度を確認できる。該洗浄液CLの濃度は、イオン液体ILが混入している場合と混入していない場合とで異なる値を示す。そこで、該洗浄液CLの濃度を確認することで、洗浄液CLに対するイオン液体ILの混入の有無を確認できる。
【0146】
続いて、図19の(d)図に示されるように、制御部790は、スリットノズル725をステージ710に載置されたウエハWの上方において水平方向に移動させながら、スリットノズル725からウエハWに向けて洗浄液CLを吐出する。これにより、ステージ710に載置されたウエハW上に洗浄液CLが塗布される。
【0147】
以上に説明したように、第1変形例のスリットコータ700によれば、スリットノズル725から吐出する液体材料をイオン液体ILから洗浄液CLに切り替える際に、イオン液体ILと洗浄液CLとが接触することを抑制できる。その結果、イオン液体ILから洗浄液CLに切り替えた後に洗浄液CLの濃度が不安定になることを抑制できる。
【0148】
図20は、イオン液体ILと洗浄液CLとの接触を抑制する機構を説明するための図であり、スリットノズル725から吐出する液体材料を洗浄液CLからイオン液体ILに切り替える場合の動作の一例を示す。
【0149】
まず、図20の(a)図に示されるように、制御部790は、スリットノズル725による洗浄液CLの吐出を停止させる。
【0150】
続いて、図20の(b)図に示されるように、制御部790は、例えばサックバック(Sack-back)動作により洗浄液CLを洗浄液流路725fの上方へ吸い戻す。
【0151】
続いて、図20の(c)図に示されるように、制御部790は、スリットノズル725をサブステージ730の上方であり、板状部材731の開口731aと対応する位置に移動させる。また、制御部790は、スリットノズル725からサブステージ730上にイオン液体ILを吐出する。このとき、イオン液体ILの一部は、洗浄液流路725f内にも流れ込むが、洗浄液流路725f内はサックバック動作により洗浄液CLが吸い戻されている。そのため、洗浄液流路725f内には洗浄液CLとイオン液体ILとの間にエア溜まりAPが形成される。その結果、洗浄液CLのイオン液体ILへの混入を抑制できる。
【0152】
また、イオン液体ILの一部は、濃度測定用ノズル740に吸い上げられる。そこで、濃度測定用ノズル740により吸い上げられたイオン液体ILに対して各種の測定を行うことで、該イオン液体ILの濃度を確認できる。該イオン液体ILの濃度は、洗浄液CLが混入している場合と混入していない場合とで異なる値を示す。そこで、該イオン液体ILの濃度を確認することで、イオン液体ILに対する洗浄液CLの混入の有無を確認できる。
【0153】
続いて、図20の(d)図に示されるように、制御部790は、スリットノズル725をステージ710に載置されたウエハWの上方において水平方向に移動させながら、スリットノズル725からウエハWに向けてイオン液体ILを吐出する。これにより、ステージ710に載置されたウエハW上にイオン液体ILが塗布される。
【0154】
以上に説明したように、第1変形例のスリットコータ700によれば、スリットノズル725から吐出する液体材料を洗浄液CLからイオン液体ILに切り替える際に、洗浄液CLとイオン液体ILとが接触することを抑制できる。その結果、洗浄液CLからイオン液体ILに切り替えた後にイオン液体ILの濃度が不安定になることを抑制できる。
【0155】
図21及び図22を参照し、第2変形例のスリットコータの構成について説明する。図21は、第2変形例のスリットコータを示す概略図である。図22は、ステージ接地回路を説明するための電気回路図である。
【0156】
スリットコータ800は、ステージ810、液体供給部820、サブステージ830、濃度測定用ノズル840、ステージ接地回路850、ノズル位置調整部860及び制御部890を含む。
【0157】
ステージ810、液体供給部820、サブステージ830、濃度測定用ノズル840及び制御部890は、スリットコータ700におけるステージ710、液体供給部720、サブステージ730、濃度測定用ノズル740及び制御部790と同じ構成であってよい。
【0158】
ステージ810は、ウエハWを略水平の状態で載置する。ステージ810は、駆動機構811により回転する回転軸812の上端に接続されており、回転可能に構成される。ステージ810の下方の周囲には、上方側が開口する液受け部813が設けられている。液受け部813は、ウエハWからこぼれ落ちたり、振り切られたりする液体材料等を受け止める。
【0159】
液体供給部820は、イオン液体供給源821、イオン液体供給配管822、洗浄液供給源823、洗浄液供給配管824及びスリットノズル825を含む。スリットノズル825は、本体825a、外皮825b、イオン液体供給口825c、洗浄液供給口825d、イオン液体流路825e及び洗浄液流路825fを有する。
【0160】
サブステージ830の上面には、イオン液体IL及び洗浄液CLが塗布される領域に開口831aを有する板状部材831が設けられている。
【0161】
ステージ接地回路850は、電源851、電流計852及び配線853を含む。
【0162】
電源851は、配線853を介して、イオン液体供給配管822とステージ810との間に直流(DC)電圧を印加する。これにより、イオン液体供給配管822からイオン液体ILを介してステージ810に微小電流が流れる。また、電源851は、配線853を介して、イオン液体供給配管822とサブステージ830との間にDC電圧を印加する。これにより、イオン液体供給配管822からイオン液体ILを介してサブステージ830に微小電流が流れる。なお、電源851は、DC電圧に交流(AC)成分を重畳させてもよい。
【0163】
電流計852は、配線853に介設されている。電流計852は、イオン液体供給配管822からイオン液体ILを介してステージ810に流れる微小電流を計測する。該微小電流の値は、ステージ810に載置されたウエハW上でイオン液体ILが形成する液盛部T1の容積に応じて変化する。そのため、電流計852が計測する微小電流の値を監視することで、ウエハW上でイオン液体ILが形成する液盛部T1の容積を把握できる。また、電流計852は、イオン液体供給配管822からイオン液体ILを介してサブステージ830に流れる微小電流を計測する。該微小電流の値は、サブステージ830上でイオン液体ILが形成する液盛部T2の容積に応じて変化する。そのため、電流計852が計測する微小電流の値を監視することで、サブステージ830上でイオン液体ILが形成する液盛部T2の容積を把握できる。
【0164】
配線853は、電源851と、イオン液体供給配管822、ステージ810及びサブステージ830とを電気的に接続する。
【0165】
ノズル位置調整部860は、電流計852の計測値に基づいて、ステージ810に載置されたウエハW上でイオン液体ILが形成する液盛部T1の容積が一定となるように、スリットノズル825の高さ位置を制御する。また、ノズル位置調整部860は、電流計852の計測値に基づいて、サブステージ830上でイオン液体ILが形成する液盛部T2の容積が一定となるように、スリットノズル825の高さ位置を制御する。また、ノズル位置調整部860は、電源851が印加したDC電圧と電流計852が計測した微小電流とに基づき算出されるイオン液体ILの抵抗値に基づいて、スリットノズル825の高さ位置を制御してもよい。ノズル位置調整部860は、フィードバック制御回路861及びアクチュエータ862を含む。
【0166】
フィードバック制御回路861は、電流計852の計測値に基づいて、アクチュエータ862を制御する。例えば、フィードバック制御回路861は、電流計852の計測値が一定となるようにアクチュエータ862を制御する。これにより、ウエハWの上面とスリットノズル825の先端との間の距離を略一定に維持できる。また、サブステージ830の上面とスリットノズル825の先端との間の距離を略一定に維持できる。なお、フィードバック制御回路861は、制御部890に含まれていてもよい。
【0167】
アクチュエータ862は、フィードバック制御回路861からの信号に基づいて、スリットノズル825を昇降させる。
【0168】
以上に説明したように、第2変形例のスリットコータ800によれば、ノズル位置調整部860が、電流計852の計測値に基づいて、ステージ810に載置されたウエハW上の液盛部T1の容積が一定となるように、スリットノズル825の高さ位置を制御する。これにより、ウエハWの上面とスリットノズル825の先端との間の距離を略一定に維持した状態で、スリットノズル825からウエハW上にイオン液体ILを塗布できる。その結果、ウエハW上に塗布されるイオン液体ILの厚さの面内均一性が向上する。
【0169】
また、第2変形例のスリットコータ800によれば、ノズル位置調整部860が、電流計852の計測値に基づいて、サブステージ830上の液盛部T2の容積が一定となるように、スリットノズル825の高さ位置を制御する。これにより、サブステージ830の上面とスリットノズル825の先端との間の距離を略一定に維持した状態で、スリットノズル825からサブステージ830上にイオン液体ILを塗布できる。
【0170】
また、第2変形例のスリットコータ800によれば、イオン液体供給配管822とステージ810との間にDC電圧を印加する電源851を有する。これにより、スリットノズル825からメッキ用途のイオン液体ILを供給しながら、電源851によりイオン液体供給配管822とステージ819との間にDC電圧を印加することにより、スリットコータ800を用いて電解メッキを行うことができる。
【0171】
図23及び図24を参照し、第3変形例のスリットコータの構成について説明する。図23は、第3変形例のスリットコータを示す概略図である。図24は、外皮接地回路を説明するための電気回路図である。
【0172】
スリットコータ900は、ステージ910、液体供給部920、サブステージ930、濃度測定用ノズル940、外皮接地回路950、ノズル位置調整部960及び制御部990を含む。
【0173】
ステージ910、液体供給部920、サブステージ930、濃度測定用ノズル940及び制御部990は、スリットコータ700におけるステージ710、液体供給部720、サブステージ730、濃度測定用ノズル740及び制御部790と同じ構成であってよい。
【0174】
ステージ910は、ウエハWを略水平の状態で載置する。ステージ910は、駆動機構911により回転する回転軸912の上端に接続されており、回転可能に構成される。ステージ910の下方の周囲には、上方側が開口する液受け部913が設けられている。液受け部913は、ウエハWからこぼれ落ちたり、振り切られたりする液体材料等を受け止める。
【0175】
液体供給部920は、イオン液体供給源921、イオン液体供給配管922、洗浄液供給源923、洗浄液供給配管924及びスリットノズル925を含む。スリットノズル925は、本体925a、外皮925b、イオン液体供給口925c、洗浄液供給口925d、イオン液体流路925e及び洗浄液流路925fを有する。
【0176】
サブステージ930の上面には、イオン液体IL及び洗浄液CLが塗布される領域に開口931aを有する板状部材931が設けられている。
【0177】
外皮接地回路950は、電源951、電流計952及び配線953を含む。
【0178】
電源951は、配線953を介して、イオン液体供給配管922と外皮925bとの間にDC電圧を印加する。これにより、イオン液体供給配管922からイオン液体ILを介して外皮925bに微小電流が流れる。なお、電源951は、DC電圧にAC成分を重畳させてもよい。
【0179】
電流計952は、配線953に介設されている。電流計952は、イオン液体供給配管922からイオン液体ILを介して外皮925bに流れる微小電流を計測する。該微小電流の値は、ステージ910に載置されたウエハW上でイオン液体ILが形成する液盛部T1の容積に応じて変化する。そのため、電流計952が計測する微小電流の値を監視することで、ウエハW上でイオン液体ILが形成する液盛部T1の容積を把握できる。また、該微小電流の値は、サブステージ930上でイオン液体ILが形成する液盛部T2の容積に応じて変化する。そのため、電流計952が計測する微小電流の値を監視することで、サブステージ930上でイオン液体ILが形成する液盛部T2の容積を把握できる。
【0180】
配線953は、電源951と、イオン液体供給配管922及び外皮925bとを電気的に接続する。
【0181】
ノズル位置調整部960は、電流計952の計測値に基づいて、ステージ910に載置されたウエハW上でイオン液体ILが形成する液盛部T1の容積が一定となるように、スリットノズル925の高さ位置を制御する。また、ノズル位置調整部960は、電流計952の計測値に基づいて、サブステージ930上でイオン液体ILが形成する液盛部T2の容積が一定となるように、スリットノズル925の高さ位置を制御する。また、ノズル位置調整部960は、電源951が印加したDC電圧と電流計952が計測した微小電流とに基づき算出されるイオン液体ILの抵抗値に基づいて、スリットノズル925の高さ位置を制御してもよい。ノズル位置調整部960は、フィードバック制御回路961及びアクチュエータ962を含む。
【0182】
フィードバック制御回路961は、電流計952の計測値に基づいて、アクチュエータ962を制御する。例えば、フィードバック制御回路961は、電流計952の計測値が一定となるようにアクチュエータ962を制御する。これにより、ウエハWの上面とスリットノズル925の先端との間の距離を略一定に維持できる。また、サブステージ930の上面とスリットノズル925の先端との間の距離を略一定に維持できる。なお、フィードバック制御回路961は、制御部990に含まれていてもよい。
【0183】
アクチュエータ962は、フィードバック制御回路961からの信号に基づいて、スリットノズル925を昇降させる。
【0184】
以上に説明したように、第3変形例のスリットコータ900によれば、ノズル位置調整部960が、電流計952の計測値に基づいて、ステージ910に載置されたウエハW上の液盛部T1の容積が一定となるように、スリットノズル925の高さ位置を制御する。これにより、ウエハWの上面とスリットノズル925の先端との間の距離を略一定に維持した状態で、スリットノズル925からウエハW上にイオン液体ILを塗布できる。その結果、ウエハW上に塗布されるイオン液体ILの厚さの面内均一性が向上する。
【0185】
また、第3変形例のスリットコータ900によれば、ノズル位置調整部960が、電流計952の計測値に基づいて、サブステージ930上の液盛部T2の容積が一定となるように、スリットノズル925の高さ位置を制御する。これにより、サブステージ930の上面とスリットノズル925の先端との間の距離を略一定に維持した状態で、スリットノズル925からサブステージ930上にイオン液体ILを塗布できる。
【0186】
図25を参照し、第4変形例のスリットコータの構成について説明する。図25は、第4変形例のスリットコータを示す概略図である。
【0187】
スリットコータ1000は、ステージ1010、端部液体供給部1020及び制御部1090を含む。
【0188】
ステージ1010及び制御部1090は、スリットコータ700におけるステージ701及び制御部790と同じ構成であってよい。
【0189】
ステージ1010は、ウエハWを略水平の状態で載置する。ステージ1010は、駆動機構1011により回転する回転軸1012の上端に接続されており、回転可能に構成される。ステージ1010の下方の周囲には、上方側が開口する液受け部1013が設けられている。液受け部1013は、ウエハWからこぼれ落ちたり、振り切られたりする液体材料等を受け止める。
【0190】
端部液体供給部1020は、ウエハWの端部に液体材料を塗布する。端部液体供給部1020は、イオン液体供給源1021、イオン液体供給配管1022、洗浄液供給源1023、洗浄液供給配管1024及びスリットノズル1025を含む。
【0191】
イオン液体供給源1021、イオン液体供給配管1022、洗浄液供給源1023及び洗浄液供給配管1024は、イオン液体供給源721、イオン液体供給配管722、洗浄液供給源723及び洗浄液供給配管724と同じ構成であってよい。
【0192】
スリットノズル1025は、ウエハWの側方において、ウエハWに接近する位置とウエハWから離間する位置との間で移動可能に構成されている。スリットノズル1025は、ウエハWに接近する位置に移動することにより、ステージ1010に載置されたウエハWの端部にイオン液体IL及び洗浄液CLを供給する。スリットノズル1025は、本体1025a、外皮1025b、イオン液体供給口1025c、洗浄液供給口1025d、イオン液体流路1025e及び洗浄液流路1025fを含む。
【0193】
本体1025a、外皮1025b、イオン液体供給口1025c、洗浄液供給口1025d、イオン液体流路1025e及び洗浄液流路1025fは、スリットノズル725における本体725a、外皮725b、イオン液体供給口725c、洗浄液供給口725d、イオン液体流路725e及び洗浄液流路725fと同じ構成であってよい。
【0194】
なお、スリットノズル1025は、ウエハWの上方を水平方向に移動することにより、ステージ1010に載置されたウエハWの表面にイオン液体IL及び洗浄液CLを供給でるように構成されていてもよい。
【0195】
図26を参照し、第4変形例のスリットコータ1000の動作の一例について説明する。図26は、第4変形例のスリットコータ1000の動作の一例を示す図であり、ステージ1010に載置されたウエハWの端部にイオン液体ILを塗布する場合の動作の一例を示す。
【0196】
ステージ1010に載置されたウエハWの端部にイオン液体ILを塗布する場合、図26に示されるように、制御部1090は、スリットノズル1025をウエハWに接近する位置に移動させる。続いて、制御部1090は、スリットノズル1025からウエハWの端部に向けてイオン液体ILを吐出しながら、駆動機構1011により回転軸1012を介してステージ1010及び該ステージ1010に載置されたウエハWを回転させる。これにより、ステージ1010に載置されたウエハWの端部の全周に亘ってイオン液体ILが塗布される。
【0197】
図27を参照し、第4変形例のスリットコータ1000の動作の別の一例について説明する。図27は、第4変形例のスリットコータ1000の動作の別の一例を示す図であり、ステージ1010に載置されたウエハWの端部に洗浄液CLを塗布する場合の動作の一例を示す。
【0198】
ステージ1010に載置されたウエハWの端部に洗浄液CLを塗布する場合、図27に示されるように、制御部1090は、スリットノズル1025をウエハWに接近する位置に移動させる。続いて、制御部1090は、スリットノズル1025からウエハWの端部に向けて洗浄液CLを吐出しながら、駆動機構1011により回転軸1012を介してステージ1010及び該ステージ1010に載置されたウエハWを回転させる。これにより、ステージ1010に載置されたウエハWの端部の全周に亘って洗浄液CLが塗布される。
【0199】
図28A図28Cを参照し、第4変形例のスリットコータ1000の適用例について説明する。図28A図28Cは、第4変形例のスリットコータ1000の適用例を説明するための図である。以下では、スリットコータ1000の適用例として、ウエハW上に酸化膜を成膜する成膜方法を説明する。
【0200】
まず、図28Aに示されるように、スリットコータ1000により、イオン液体ILをウエハWの端部に選択的に塗布する(イオン液体塗布工程)。イオン液体ILとしては、後述する成膜工程において用いられるプリカーサの吸着を阻害する元素が表面に配位しているイオン液体を利用できる。該元素としては、例えばフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、アスタチン(At)、テネシン(Ts)等のハロゲンが挙げられる。
【0201】
続いて、図28Bに示されるように、真空成膜装置(例えば、前述した真空成膜装置100)により、イオン液体塗布工程において端部にイオン液体ILが塗布されたウエハW上に酸化膜Oxを成膜する(成膜工程)。酸化膜Oxを成膜する方法としては、例えば原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法が挙げられる。成膜工程では、ウエハWの表面にO-H基がある場合、これらに対してプリカーサが吸着することにより酸化膜が堆積するが、前述したハロゲンはウエハWの表面のO-H基を置換することでプリカーサの吸着を阻害する。そのため、ウエハWの端部には酸化膜Oxが成膜されない、又は成膜されても僅かである。
【0202】
続いて、スリットコータ1000により、洗浄液CLをウエハWの端部に選択的に塗布する(洗浄液塗布工程)。これにより、図28Cに示されるように、ウエハWの端部に塗布されたイオン液体ILが洗浄液CLによって洗い流される。その結果、ウエハW上における端部を除く領域に酸化膜Oxが残存する。このとき、成膜工程において、ウエハWの端部においてイオン液体ILの上に酸化膜Oxが僅かに成膜されている場合であっても、該酸化膜Oxはイオン液体ILと共に洗い流されて除去される。洗浄液CLは、イソプロピルアルコール(IPA)を含む半導体洗浄工程に多用される液体材料が好適であるが、それ以外の半導体工程に用いられる洗浄剤(例えばリン酸、フッ酸、塩酸、硝酸等の酸性系洗浄剤あるいは、SC1(NHOH/H/HO)の様なアルカリ系洗浄液)であってもよい。
【0203】
以上に説明した成膜方法によれば、ウエハWの端部(例えばベベル部)への成膜を防止できるので、ウエハWの端部からの発塵を抑制できる。
【0204】
なお、図28A図28Cの例では、ウエハW上に酸化膜Oxを成膜する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、ウエハW上に窒化膜を成膜する場合にも同様に適用できる。この場合、ハロゲンはウエハWの表面の、N-H基を置換することでプリカーサの吸着を阻害する。
【0205】
また、第4変形例のスリットコータ1000において、第2変形例のスリットコータ800におけるステージ接地回路850及びノズル位置調整部860と同様のステージ接地回路及びノズル位置調整部を設けてもよい。これにより、ウエハWの端部とスリットノズル1025の先端との間の距離を略一定に維持した状態で、スリットノズル1025からウエハWの端部にイオン液体ILを塗布できる。その結果、ウエハWの端部に塗布されるイオン液体ILの厚さの周方向における均一性が向上する。
【0206】
また、第4変形例のスリットコータ1000において、第3変形例のスリットコータ900における外皮接地回路950及びノズル位置調整部960と同様の外皮接地回路及びノズル位置調整部を設けてもよい。これにより、ウエハWの端部とスリットノズル1025の先端との間の距離を略一定に維持した状態で、スリットノズル1025からウエハWの端部にイオン液体ILを塗布できる。その結果、ウエハWの端部に塗布されるイオン液体ILの厚さの周方向における均一性が向上する。
【0207】
図29を参照し、第5変形例のスリットコータの構成について説明する。図29は、第5変形例のスリットコータを示す概略図である。
【0208】
スリットコータ1100は、ステージ1110、端部液体供給部1120、サブステージ1130、濃度測定用ノズル1140及び制御部1190を含む。
【0209】
ステージ1110及び制御部1190は、スリットコータ700におけるステージ710及び制御部790と同じ構成であってよい。
【0210】
ステージ1110は、ウエハWを略水平の状態で載置する。ステージ1110は、駆動機構1111により回転する回転軸1112の上端に接続されており、回転可能に構成される。ステージ1110の下方の周囲には、上方側が開口する液受け部1113が設けられている。液受け部1113は、ウエハWからこぼれ落ちたり、振り切られたりする液体材料等を受け止める。
【0211】
端部液体供給部1120は、ウエハWの端部に液体材料を塗布する。端部液体供給部1120は、イオン液体供給源1121、イオン液体供給配管1122、洗浄液供給源1123、洗浄液供給配管1124及びスリットノズル1125を含む。イオン液体供給源1121、イオン液体供給配管1122、洗浄液供給源1123、洗浄液供給配管1124及びスリットノズル1125は、スリットコータ1000におけるイオン液体供給源1021、イオン液体供給配管1022、洗浄液供給源1023、洗浄液供給配管1024及びスリットノズル1025と同じ構成であってよい。
【0212】
スリットノズル1125は、本体1125a、外皮1125b、イオン液体供給口1125c、洗浄液供給口1125d、イオン液体流路1125e及び洗浄液流路1125fを含む。本体1125a、外皮1125b、イオン液体供給口1125c、洗浄液供給口1125d、イオン液体流路1125e及び洗浄液流路1125fは、スリットノズル725における本体725a、外皮725b、イオン液体供給口725c、洗浄液供給口725d、イオン液体流路725e及び洗浄液流路725fと同じ構成であってよい。
【0213】
サブステージ1130は、ステージ1110とは別に、端部液体供給部1120によりイオン液体IL及び洗浄液CLの塗布が可能な位置に設けられている。サブステージ1130は、塗布位置と退避位置との間で移動可能に構成される。塗布位置は、スリットノズル1125がウエハWから離間する位置に移動したときに、スリットノズル1125がサブステージ1130の塗布面に液体材料を塗布可能な位置である。退避位置は、スリットノズル1125がウエハWに接近する位置とウエハWから離間する位置との間で移動する際に、スリットノズル1125と接触しない位置である。なお、図29では、サブステージ1130が退避位置に移動している状態を示す。サブステージ1130の塗布面には、イオン液体IL及び洗浄液CLが塗布される領域に開口1131aを有する板状部材1131が設けられている。サブステージ1130は、加熱手段や冷却手段によって塗布面の温度を調整できるようになっている。加熱手段は、例えばサブステージ1130の内部に埋め込まれたヒータであってよい。冷却手段は、例えばサブステージ1130の内部に形成された冷媒流路であってよい。
【0214】
濃度測定用ノズル1140は、例えば管状部材により形成されている。濃度測定用ノズル1140は、一端がサブステージ1130の塗布面に塗布されたイオン液体IL及び洗浄液CLと接触する位置に設けられている。これにより、端部液体供給部1120によりサブステージ1130の塗布面にイオン液体IL及び洗浄液CLが塗布されると、塗布されたイオン液体IL及び洗浄液CLの一部が管状部材の一端から吸い上げられる。すなわち、濃度測定用ノズル1140により、端部液体供給部1120によりサブステージ1130の塗布面に塗布されたイオン液体IL及び洗浄液CLの一部を回収できる。濃度測定用ノズル1140により回収されたイオン液体IL及び洗浄液CLに対して各種の測定を行うことで、該イオン液体IL及び該洗浄液CLの濃度を確認できる。各種の測定としては、例えば比抵抗の測定、クロマトグラフィーによる測定、光学的測定(例えばFT-IR)が挙げられる。また、メッキ用途のイオン液体ILの場合には、各種の測定として、例えば比色測定、非接触での導電率測定が挙げられる。
【0215】
図30及び図31を参照し、第5変形例のスリットコータ1100の動作の一例について説明する。図30及び図31は、第5変形例のスリットコータ1100の動作の一例を示す図であり、ステージ1110に載置されたウエハWの端部にイオン液体ILを塗布した後にイオン液体ILの濃度を測定する場合の動作の一例を示す。
【0216】
まず、図30に示されるように、制御部1190は、スリットノズル1125をウエハWに接近する位置に移動させる。続いて、制御部1190は、スリットノズル1125からウエハWの端部に向けてイオン液体ILを吐出しながら、駆動機構1111により回転軸1112を介してステージ1110及び該ステージ1110に載置されたウエハWを回転させる。これにより、ステージ1110に載置されたウエハWの端部の全周に亘ってイオン液体ILが塗布される。
【0217】
続いて、図31に示されるように、制御部1190は、スリットノズル1125をウエハWから離間する位置に移動させると共に、サブステージ1130を退避位置から塗布位置に移動させる。また、制御部1190は、スリットノズル1125からサブステージ1130に向けてイオン液体ILを吐出する。これにより、サブステージ1130上にイオン液体ILが塗布される。
【0218】
このとき、サブステージ1130に吐出されたイオン液体ILは、一部が濃度測定用ノズル1140により吸い上げられる。そこで、濃度測定用ノズル1140により吸い上げられたイオン液体ILに対して各種の測定を行うことで、該イオン液体ILの濃度を確認できる。
【0219】
また、イオン液体ILの濃度を確認する場合、イオン液体ILの表面張力(粘性)を小さくして濃度測定を実施しやすくするために、サブステージ1130の温度を調整することが好ましい。
【0220】
また、第5変形例のスリットコータ1100において、第2変形例のスリットコータ800におけるステージ接地回路850及びノズル位置調整部860と同様のステージ接地回路及びノズル位置調整部を設けてもよい。これにより、ウエハWの端部とスリットノズル1125の先端との間の距離を略一定に維持した状態で、スリットノズル1125からウエハWの端部にイオン液体ILを塗布できる。その結果、ウエハWの端部に塗布されるイオン液体ILの厚さの周方向における均一性が向上する。
【0221】
また、第5変形例のスリットコータ1100において、第3変形例のスリットコータ900における外皮接地回路950及びノズル位置調整部960と同様の外皮接地回路及びノズル位置調整部を設けてもよい。これにより、ウエハWの端部とスリットノズル1125の先端との間の距離を略一定に維持した状態で、スリットノズル1125からウエハWの端部にイオン液体ILを塗布できる。その結果、ウエハWの端部に塗布されるイオン液体ILの厚さの周方向における均一性が向上する。
【0222】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0223】
上記の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
基板の上にイオン液体を含む液体材料を塗布して保護膜を形成する工程と、
前記保護膜が形成された前記基板を大気搬送する工程と、
大気搬送された前記基板から前記保護膜を除去する工程と、
を有する、半導体装置の製造方法。
(付記2)
前記保護膜を形成する工程は、大気中で行われる、
付記1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記3)
前記保護膜を形成する工程は、真空中で行われる、
付記1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記4)
前記保護膜を除去する工程は、真空中で行われる、
付記1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記5)
前記保護膜を除去する工程の後に行われる工程であり、前記基板を大気に晒すことなく真空中で前記基板の上に膜を形成する工程を更に有する、
付記4に記載の半導体装置の製造方法。
(付記6)
前記保護膜を除去する工程は、大気中で行われる、
付記1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記7)
前記保護膜を除去する工程の後に行われる工程であり、大気中で前記基板の上に膜を形成する工程を更に有する、
付記6に記載の半導体装置の製造方法。
(付記8)
前記膜を形成する工程では、メッキ法により前記膜を形成する、
付記7に記載の半導体装置の製造方法。
(付記9)
前記保護膜を形成する工程の前に、前記基板に発生した酸化物を除去する工程を更に有する、
付記1乃至8のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記10)
前記酸化物を除去する工程は、大気中で行われる、
付記9に記載の半導体装置の製造方法。
(付記11)
前記酸化物を除去する工程は、フッ化水素(HF)を含む薬液により前記酸化物を除去する工程を含む、
付記10に記載の半導体装置の製造方法。
(付記12)
前記酸化物を除去する工程は、真空中で行われる、
付記9に記載の半導体装置の製造方法。
(付記13)
前記酸化物を除去する工程は、
前記基板にハロゲン元素を含むガスと塩基性ガスとを含有する混合ガスを供給して前記酸化物を変質させて反応生成物を生成する工程と、
前記反応生成物を除去する工程と、
を含む、
付記12に記載の半導体装置の製造方法。
(付記14)
前記イオン液体は、環境因子により物性が変化する、
付記1乃至13のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記15)
前記環境因子は、温度を含む、
付記14に記載の半導体装置の製造方法。
(付記16)
前記物性は、粘性及び密着性の少なくとも1つを含む、
付記14又は15に記載の半導体装置の製造方法。
(付記17)
前記イオン液体は、真空中で蒸発しない性質を有する、
付記1乃至16のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記18)
前記基板は、表面に導電材料が露出した領域を有する、
付記1乃至17のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記19)
基板の上にイオン液体を含む液体材料を塗布して保護膜を形成する第1の処理モジュールと、
前記基板の上に形成された前記保護膜を除去する第2の処理モジュールと、
前記第1の処理モジュールと前記第2の処理モジュールとの間で前記基板を大気搬送する搬送モジュールと、
を備える、半導体製造装置。
(付記20)
基板の上にイオン液体を含む液体材料を塗布して保護膜を形成する第1の処理装置と、
前記基板の上に形成された前記保護膜を除去する第2の処理装置と、
前記第1の処理装置と前記第2の処理装置との間で前記基板を大気搬送する搬送装置と、
を備える、システム。
(付記21)
基板を載置するステージと、
前記ステージに載置された前記基板の表面に液体材料を塗布する液体供給部と、
を有し、
前記液体供給部は、イオン液体を吐出するイオン液体流路と、洗浄液を吐出する洗浄液流路とを含む、
塗布装置。
(付記22)
前記洗浄液流路は、前記イオン液体流路の周囲に設けられている、
付記21に記載の塗布装置。
(付記23)
前記ステージとは別に、前記液体供給部により前記液体材料の塗布が可能な位置に設けられたサブステージを更に有する、
付記21又は22に記載の塗布装置。
(付記24)
前記サブステージは、前記液体材料が塗布される面の温度が調整可能である、
付記23に記載の塗布装置。
(付記25)
前記サブステージに塗布された前記液体材料の一部を回収する濃度測定用ノズルを更に有する、
付記23又は24に記載の塗布装置。
(付記26)
前記濃度測定用ノズルは、管状部材により形成されており、該管状部材は、一端が前記サブステージに塗布された前記液体材料と接触する位置に設けられている、
付記25に記載の塗布装置。
(付記27)
前記液体供給部により前記ステージに載置された前記基板の表面に塗布された前記液体材料の抵抗値を測定する測定部を更に有する、
付記21乃至26のいずれか一項に記載の塗布装置。
(付記28)
前記測定部が測定した前記抵抗値に基づいて、前記液体供給部の高さ位置を制御する位置調整部を更に有する、
付記27に記載の塗布装置。
(付記29)
前記位置調整部は、前記測定部が測定した前記抵抗値が一定となるように前記液体供給部の高さ位置を制御する、
付記28に記載の塗布装置。
(付記30)
前記位置調整部は、
前記液体供給部を昇降させるアクチュエータと、
前記測定部が測定した前記抵抗値に基づいて前記アクチュエータを制御するフィードバック制御回路と、
を含む、
付記28又は29に記載の塗布装置。
(付記31)
基板を載置する回転可能なステージと、
前記ステージに載置された前記基板の端部に液体材料を塗布する端部液体供給部と、
を有し、
前記端部液体供給部は、イオン液体を吐出するイオン液体流路と、洗浄液を吐出する洗浄液流路とを含む、
塗布装置。
(付記32)
前記洗浄液流路は、前記イオン液体流路の周囲に設けられている、
付記31に記載の塗布装置。
(付記33)
前記ステージとは別に、前記端部液体供給部により前記液体材料の塗布が可能な位置に設けられたサブステージを更に有する、
付記31又は32に記載の塗布装置。
(付記34)
前記サブステージは、前記液体材料が塗布される面の温度が調整可能である、
付記33に記載の塗布装置。
(付記35)
前記サブステージに塗布された前記液体材料の一部を回収する濃度測定用ノズルを更に有する、
付記33又は34に記載の塗布装置。
(付記36)
前記濃度測定用ノズルは、管状部材により形成されており、該管状部材は、一端が前記サブステージに塗布された前記液体材料と接触する位置に設けられている、
付記35に記載の塗布装置。
(付記37)
前記端部液体供給部により前記ステージに載置された前記基板の表面に塗布された前記液体材料の抵抗値を測定する測定部を更に有する、
付記31乃至36のいずれか一項に記載の塗布装置。
(付記38)
前記測定部が測定した前記抵抗値に基づいて、前記端部液体供給部の高さ位置を制御する位置調整部を更に有する、
付記37に記載の塗布装置。
(付記39)
前記位置調整部は、前記測定部が測定した前記抵抗値が一定となるように前記端部液体供給部の高さ位置を制御する、
付記38に記載の塗布装置。
(付記40)
前記位置調整部は、
前記端部液体供給部を昇降させるアクチュエータと、
前記測定部が測定した前記抵抗値に基づいて前記アクチュエータを制御するフィードバック制御回路と、
を含む、
付記38又は39に記載の塗布装置。
(付記41)
イオン液体を基板の端部に選択的に塗布する工程と、
前記端部に前記イオン液体が塗布された前記基板にプリカーサを供給して酸化膜又は窒化膜を成膜する工程と、
前記酸化膜又は前記窒化膜が成膜された前記基板の端部に前記イオン液体を除去する洗浄液を選択的に塗布する工程と、
を有し、
前記イオン液体は、前記プリカーサの吸着を阻害する元素を含む、
半導体装置の製造方法。
【0224】
本国際出願は、2020年4月28日に出願した日本国特許出願第2020-079705号及び2020年12月22日に出願した日本国特許出願第2020-212880号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0225】
10 基板
14 保護膜
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図15F
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28A
図28B
図28C
図29
図30
図31
【手続補正書】
【提出日】2024-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上にイオン液体を含む液体材料を塗布して保護膜を形成する第1の処理モジュールと、
前記基板の上に形成された前記保護膜を除去する第2の処理モジュールと、
前記第1の処理モジュールと前記第2の処理モジュールとの間で前記基板を大気搬送する搬送モジュールと、
を備え
前記第2の処理モジュールは、前記基板を加熱することにより前記イオン液体を相転移させ、前記基板に物理的操作を行うことにより前記保護膜を除去するよう構成される、
半導体製造装置。
【請求項2】
前記物理的操作は、前記基板の移動を含む、
請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記基板の移動は、前記基板の水平移動である、
請求項2に記載の半導体製造装置。
【請求項4】
前記物理的操作は、前記基板の回転を含む、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体製造装置。
【請求項5】
前記物理的操作は、前記基板の傾斜を含む、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の半導体製造装置。
【請求項6】
前記イオン液体は、環境因子により物性が変化する、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の半導体製造装置。
【請求項7】
前記環境因子は、温度を含む、
請求項6に記載の半導体製造装置。
【請求項8】
前記物性は、粘性及び密着性の少なくとも1つを含む、
請求項6又は7に記載の半導体製造装置。
【請求項9】
前記イオン液体は、トリブチルヘキサデシルホスホニウム3-(トリメチルシリル)-1-プロパンスルホネート(BHDP・DSS)、又はN,N-ジエチル-N-メチル-N(2-メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボラート(DEME・BF )である、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の半導体製造装置。
【請求項10】
基板を加熱することにより前記基板の上に形成させたイオン液体を含む保護膜を相転移させ、前記基板に物理的操作を行うことにより前記保護膜を除去するよう構成される、処理モジュール。
【請求項11】
前記物理的操作は、前記基板の移動を含む、
請求項10に記載の処理モジュール。
【請求項12】
前記基板の移動は、前記基板の水平移動である、
請求項11に記載の処理モジュール。
【請求項13】
前記物理的操作は、前記基板の回転を含む、
請求項10乃至12のいずれか一項に記載の処理モジュール。
【請求項14】
前記物理的操作は、前記基板の傾斜を含む、
請求項10乃至13のいずれか一項に記載の処理モジュール。
【請求項15】
前記イオン液体は、環境因子により物性が変化する、
請求項10乃至14のいずれか一項に記載の処理モジュール。
【請求項16】
前記環境因子は、温度を含む、
請求項15に記載の処理モジュール。
【請求項17】
前記物性は、粘性及び密着性の少なくとも1つを含む、
請求項15又は16に記載の処理モジュール。
【請求項18】
前記イオン液体は、トリブチルヘキサデシルホスホニウム3-(トリメチルシリル)-1-プロパンスルホネート(BHDP・DSS)、又はN,N-ジエチル-N-メチル-N(2-メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボラート(DEME・BF )である、
請求項10乃至17のいずれか一項に記載の処理モジュール。
【請求項19】
処理空間を形成するチャンバと、
イオン液体を含む保護膜が形成された基板を保持するためのステージと、
前記基板を加熱してイオン液体を相転移させるための加熱機構と、
前記基板を保持した前記ステージを回転させ、前記保護膜を除去するためのステージ回転機構と、
前記イオン液体を前記チャンバ外に流出させるためのドレインと、
を備える、処理モジュール。
【請求項20】
前記加熱機構は、前記ステージと前記基板との間に供給される温調流体を含む、
請求項19に記載の処理モジュール。
【請求項21】
前記加熱機構は、
前記ドレインから流出した前記イオン液体を貯留するタンクと、
前記タンク内の前記イオン液体の温度を調整するための温調機構と、
前記タンク内の前記イオン液体を前記ステージと前記基板との間に供給する供給機構と、
を含む、
請求項19に記載の処理モジュール。
【請求項22】
前記ステージに保持された前記基板の前記ステージからの離脱を防止するストッパを備える、
請求項19乃至21のいずれか一項に記載の処理モジュール。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本開示は、半導体製造装置及び処理モジュールに関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本開示の一態様による半導体装置の製造方法は、基板の上にイオン液体を含む液体材料を塗布して保護膜を形成する第1の処理モジュールと、前記基板の上に形成された前記保護膜を除去する第2の処理モジュールと、前記第1の処理モジュールと前記第2の処理モジュールとの間で前記基板を大気搬送する搬送モジュールと、を備え、前記第2の処理モジュールは、前記基板を加熱することにより前記イオン液体を相転移させ、前記基板に物理的操作を行うことにより前記保護膜を除去するよう構成される