(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144428
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】メンブレンクリーニング装置
(51)【国際特許分類】
G03F 1/62 20120101AFI20241003BHJP
【FI】
G03F1/62
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024107152
(22)【出願日】2024-07-03
(62)【分割の表示】P 2021525612の分割
【原出願日】2019-11-22
(31)【優先権主張番号】18208555.5
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19173742.8
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19180219.8
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ニキペロフ,アンドレイ
(72)【発明者】
【氏名】クルロビッチ,ドミトリー
(72)【発明者】
【氏名】スブリッツァイ,ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デ ケルクホフ,マーカス,アドリアヌス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デル ワード,ティース,ウーター
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デル ザンデ,ウィレム,ヨアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ダイヴェンボード,ジェロエン
(72)【発明者】
【氏名】ヴレス,デイビッド,フェルディナンド
(57)【要約】
【課題】メンブレン(例えば、ペリクル)をクリーニングするための装置及び関連付けられた方法を提供する。
【解決手段】 メンブレンからパーティクルを除去するためのメンブレンクリーニング装置であって、メンブレンサポート及び電界生成機構を備える。電界生成機構は、メンブレンがメンブレンサポートによって支持されているとき、メンブレンの近くに電界を生成するためのものである。電界生成機構は、1つ以上のコレクタ電極と、メンブレンサポートによって支持されるメンブレン、及び、1つ以上のコレクタ電極又は1つ以上のコレクタ電極の各々にわたって、電圧を印加するための機構とを、備え得る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メンブレンからパーティクルを除去するためのメンブレンクリーニング装置であって、
前記メンブレンを支持するためのメンブレンサポートと、
前記メンブレンが前記メンブレンサポートによって支持されているとき、前記メンブレンの近くに電界を生成するための電界生成機構と、
を備える、メンブレンクリーニング装置。
【請求項2】
前記電界生成機構が、
1つ以上のコレクタ電極と、
前記メンブレンサポートによって支持されるメンブレン、及び、前記1つ以上のコレクタ電極又は前記1つ以上のコレクタ電極の各々にわたって、電圧を印加するための機構と、を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記メンブレンが前記メンブレンサポートによって支持されているとき、前記メンブレン内に機械的振動を誘起するための機構を備える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記メンブレン内に機械的振動を誘起するための前記機構は、前記メンブレンが前記メンブレンサポートによって支持されているとき、
励起電極と、
前記励起電極及び前記メンブレンサポートによって支持される前記メンブレンにわたって時変電圧を印加するための機構と、
を、備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記時変電圧が、複数の時間的に離間したパルスを含む、請求書4に記載の装置。
【請求項6】
前記時変電圧が、一般的形状を有し、所望の励起スペクトルを達成するために選択(及び変更)可能な1つ以上のパラメータを有する、電圧波形を含む、請求項4又は請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記時変電圧が、時間的に離間したパルスの2つの順次列を含み、前記パルスの2つの列の極性は逆である、請求項4から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記メンブレンが前記メンブレンサポートによって支持されているとき、前記メンブレン内に機械的振動を誘起するための機構が、
前記メンブレンサポートによって支持されている前記メンブレンの少なくとも一部に入射するパルス放射ビームを生成するように動作可能な、放射源、
を備える、請求項3に記載の装置。
【請求項9】
機械的振動を誘起するための前記機構が、前記メンブレンの局所部分にのみ振動を誘起するように動作可能である、請求項3から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記電界生成機構が、前記メンブレンが前記メンブレンサポートによって支持されているとき、前記メンブレンの2つの反対表面の近くに電界を生成するように動作可能であり、前記メンブレンの前記2つの反対表面の近くの前記電界が、反対方向である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項11】
前記電界が、前記メンブレンの面の両側に配設された2つのコレクタ電極によって生み出される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記電界の大きさが、前記メンブレンの両側で実質的に等しい、請求項10又は請求項11に記載の装置。
【請求項13】
1つ以上のコレクタ電極の少なくとも一部に絶縁コーティングが提供される、請求項2に依存するとき、請求項10から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
プラズマ生成機構を更に備える、請求項1、2、又は10から13に記載の装置。
【請求項15】
前記プラズマ生成機構が、前記メンブレンサポートによって支持されているメンブレンと、前記1つ以上のコレクタ電極又は前記1つ以上のコレクタ電極の各々との間に、プラズマを生成するように動作可能である、請求項2に直接又は間接的に依存するとき、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記メンブレンサポートによって支持されている前記メンブレン、及び前記1つ以上のコレクタ電極又は前記1つ以上のコレクタ電極の各々にわたって、電圧を印加するための機構が、前記メンブレンサポートによって支持されている前記メンブレン、及び前記1つ以上のコレクタ電極又は前記1つ以上のコレクタ電極の各々にわたって、パルス電圧を印加するように配置される、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記パルス電圧の各パルスが、第1の極性を有する第1の部分と、第2の反対の極性を有する第2の部分とを備える、請求項15又は16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記プラズマ生成機構が、前記プラズマが、前記パルス電圧の後続のパルス間でオンに切り替えられ、前記パルス電圧のパルス中にオフに切り替えられるように配置される、請求項15から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
チャンバと、前記チャンバ内部の圧力を制御するように動作可能なポンプ装置とを、更に備え、前記メンブレンサポートが前記チャンバ内部に配設される、請求項1から18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
パーティクルをメンブレンから除去するための方法であって、
前記メンブレン内に機械的振動を誘起すること、及び、
前記メンブレン上の前記パーティクルと前記コレクタ電極との間に静電力を及ぼすように、コレクタ電極を使用して前記メンブレンの近くに電界を生成すること、
を含む、方法。
【請求項21】
前記メンブレン内に機械的振動を誘起することが、支持される前記メンブレン及び励起電極にわたって時変電圧を印加することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記メンブレン内に機械的振動を誘起することは、前記メンブレンの少なくとも一部をパルス放射ビームで照射することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
メンブレンからパーティクルを除去するための方法であって、
前記メンブレンの2つの反対表面の近くに電界を生成することを含み、前記メンブレンの前記2つの反対表面の近くの前記電界は反対方向である、
方法。
【請求項24】
メンブレンからパーティクルを除去するための方法であって、
前記パーティクルに荷電するために前記メンブレンの少なくとも1つの表面の近隣にプラズマを提供すること、及び、
これらの荷電されたパーティクルを前記メンブレンから離すために、前記メンブレンの少なくとも1つの表面の近くに電界を生成すること、
を含む、方法。
【請求項25】
前記電界が、1つ以上の電極、及び前記1つ以上の電極にバイアス電圧を印加することを使用して、生成される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記バイアス電圧がパルスバイアス電圧である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記パルス電圧の各パルスが、第1の極性を有する第1の部分と、第2の反対の極性を有する第2の部分とを備える、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記メンブレンの前記少なくとも1つの表面の近隣に前記プラズマを提供することが、前記プラズマが、前記パルス電圧の後続のパルス間でオンに切り替えられ、前記パルス電圧のパルス中にオフに切り替えられるようなことである、請求項26又は請求項27に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2018年11月27日出願の欧州特許出願第18208555.5号、及び2019年5月10日出願の欧州特許出願第19173742.8号、及び2019年6月14日出願の欧州特許出願第19180219.8号の、優先権を主張し、これらはすべて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明はメンブレンクリーニング装置及び関連付けられた方法に関する。装置及び方法は、リソグラフィ装置内で使用されるペリクルをクリーニングするための特定の適用例を有する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、基板上に所望のパターンを適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば、パターニングデバイス(例えばマスク)上に提供されるパターンを、基板(例えばシリコンウェーハ)上に提供される放射線感受性材料の層上に投影することができる。リソグラフィ装置は、集積回路の製造に使用することができる。
【0004】
[0004] 基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を使用することができる。この放射の波長は、基板上に形成可能なフィーチャの最小サイズを決定する。4~20nmの範囲内、例えば6.7nm又は13.5nmの波長を有する、極端紫外線(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置を使用して、例えば、193nmの波長を伴う放射を使用するリソグラフィ装置より基板上に小さなフィーチャを形成することができる。
【0005】
[0005] パターニングデバイス上に存在する望ましくないパーティクルは、放射ビームに付与されるパターンに寄与する可能性がある。リソグラフィ装置において、これは基板に付与されるパターン内のエラーにつながる可能性がある。したがって、パーティクルがパターニングデバイスに到達し、それによってパターニングデバイスを汚染することを防ぐことが重要である。パーティクルがパターニングデバイスに到達するのを防ぐために、リソグラフィ装置内のパターニングデバイスとパーティクル源との間にメンブレンを提供することが知られている。こうした目的で使用されるメンブレンは、当分野ではペリクルと呼ばれる。
【0006】
[0006] ペリクルはパターニングデバイスとは離間しているため、フィールド面内にはなく、したがってペリクル上に配設されるいずれのパーティクルも結像されない(したがって、基板に付与されるパターン内のエラーにも寄与しない)。しかしながら、ペリクル上のパーティクルは結果として基板の露光中に放射の吸収を増加させ、したがって、ペリクル上に局所的なホットスポットを生じさせることになり、これがペリクル不良につながる可能性がある。加えて、パターニングデバイスと向き合うペリクルの表面上のパーティクルがパターニングデバイスに転移し、それによって基板に付与されるパターンにエラーを生じさせる可能性がある。
【0007】
[0007] メンブレン(例えば、ペリクル)をクリーニングするための装置及び関連付けられた方法を提供することが望ましい可能性がある。
【発明の概要】
【0008】
[0008] 本発明の第1の態様によれば、メンブレンからパーティクルを除去するためのメンブレンクリーニング装置が提供され、装置は、メンブレンを支持するためのメンブレンサポートと、メンブレンがメンブレンサポートによって支持されているとき、メンブレンの近くに電界を生成するための電界生成機構とを備える。
【0009】
[0009] 本発明の第1の態様に従った装置は、電界を使用してメンブレンからパーティクルを除去することが可能な配置を提供する。使用中、メンブレンはメンブレンサポートによって支持することが可能である。メンブレンの表面からパーティクルを取り除くために、メンブレンがメンブレンサポートによって支持されているとき、電界生成機構を使用して、メンブレンの近くに電界を生成することができる。追加又は代替として、メンブレンの表面から離れてパーティクルを移送するために、メンブレンがメンブレンサポートによって支持されているとき、電界生成機構を使用して、メンブレンの近くに電界を生成することができる。
【0010】
[00010] 本明細書で使用される場合、電界生成機構は、電界の生成が可能な任意の装置を意味するものと意図されることを理解されよう。特に、電界生成機構という用語は、任意の可動部分を示唆するものとは意図されない。
【0011】
[00011] 電界生成機構は、1つ以上のコレクタ電極と、メンブレンサポートによって支持されるメンブレン、及び、1つ以上のコレクタ電極又は1つ以上のコレクタ電極の各々にわたって、電圧を印加するための機構とを、備え得る。
【0012】
[00012] これにより、メンブレンの近くに電界を生成するのに都合の良い機構が提供される。
【0013】
[00013] 装置は、メンブレンがメンブレンサポートによって支持されているとき、メンブレン内に機械的振動を誘起するための機構を備えることができる。
【0014】
[00014] 有利なことに、こうした配置は、次に論じるように、相対的に薄く柔軟であり得るメンブレンのクリーニングに特に適切である。
【0015】
[00015] メンブレン内に機械的振動を誘起するための機構は、メンブレン上にあるパーティクル内に機械的振動を誘起することにもなる。メンブレン上にあるこうしたパーティクルの振動は、メンブレンからパーティクルを除去するのに十分な大きさであり得る。機械的振動を誘起するための機構によって除去されるいかなるこうしたパーティクルも、電界生成機構によって生成される電界によってメンブレンから離れて移送され得る。
【0016】
[00016] 機械的振動を誘起するための機構は、パルス静電気圧を介して機械的振動を誘起し得る。
【0017】
[00017] メンブレン内に機械的振動を誘起するための機構は、メンブレンがメンブレンサポートによって支持されているとき、励起電極と、励起電極及びメンブレンサポートによって支持されるメンブレンにわたって時変電圧を印加するための機構とを、備え得る。
【0018】
[00018] 励起電極及びメンブレンサポートによって支持されるメンブレンにわたって時変電圧が印加されるとき、励起電極とメンブレンとの間に時変静電力が及ぼされることになる。メンブレンは柔軟性があるため、これによってメンブレンが時変的に歪曲され、機械的振動を受けることになる。
【0019】
[00019] いくつかの実施形態において、メンブレン内に機械的振動を誘起するための機構の励起電極は、電界生成機構の収集電極としても機能し得る。
【0020】
[00020] メンブレンがメンブレンサポートによって支持されているとき、メンブレン内に機械的振動を誘起するための機構は、メンブレンがメンブレンサポートによって支持されているときにメンブレンの表面に近接して位置決め可能な2つの電極と、2つの電極にわたって時変電圧を印加するための機構とを、備え得る。
【0021】
[00021] 時変電圧が2つの電極にわたって印加されるとき、時変表面電荷はメンブレン内に誘起される。結果として、(誘起された表面電荷の結果として)メンブレンに作用する時変静電力が生じることになる。したがってこうした配置は、誘起された表面電荷を介して機械的振動をメンブレン内に誘起させることができる。
【0022】
[00022] 2つの電極は互いに近隣であり得る。2つの電極は、メンブレンがメンブレンサポートによって支持されているとき、メンブレンの表面全体にわたってスキャンできるように、メンブレンサポートに対して移動可能であり得る。
【0023】
[00023] 機構が2つの電極にわたって時変電圧を印加するとき、メンブレンの電位は流動的であり得る(すなわち、固定されない)か、又は代替として、(接地、又はDCバイアス電圧で)固定され得る。
【0024】
[00024] メンブレンがメンブレンサポートによって支持されているとき、メンブレン内に機械的振動を誘起するための機構は、2つの電極であって、メンブレンがメンブレンサポートによって支持されているとき、各電極がメンブレンの2つの対向表面のうちの異なる1つに近接して位置決め可能な2つの電極と、2つの電極の各々に時変電圧を印加するための機構とを、備え得る。
【0025】
[00025] こうした実施形態の場合、電界生成機構は、メンブレンがメンブレンサポートによって支持されているとき、メンブレンの2つの対向表面の近くに電界を生成するように、(メンブレンの両側の2つの電極を介して)動作可能である。メンブレンの2つの対向表面近くの電界は、反対方向であり得る。メンブレン内に機械的振動を誘起するために、メンブレンの2つの対向表面のうちの一方の近くに生成される電界は、メンブレンの2つの対向表面のうちの他方の近くに生成される電界とは異なり得ることを理解されよう。
【0026】
[00026] 2つの電極、及び2つの電極の各々に時変電圧を印加するための機構は、2つの電極によって2つの対向表面のうちの一方に及ぼされる時平均圧力が、2つの電極によって2つの対向表面のうちの他方に及ぼされる時平均圧力と、大きさはほぼ等しく、方向は反対であるように、配置され得る。
【0027】
[00027] 例えば、2つの電極によって2つの対向表面に及ぼされる時平均圧力の大きさは、50%内、例えば10%内に等しいものとすることができる。例えば、メンブレンに印加される時平均静電圧力は、実質的にゼロであり得る。時平均静電圧力は、10usから10msの間の時間期間にわたって平均され得る。
【0028】
[00028] 2つの電極の各々に時変電圧を印加するための機構は、2つの電極のうちの一方に印加される電圧の波形が、2つの電極のうちの他方に印加される時変電圧の波形と実質的に等しいように、及び、2つの電極のうちの一方に印加される電圧の大きさが、2つの電極の他方に印加される時変電圧の大きさと実質的に等しいように、配置され得る。
【0029】
[00029] こうした配置の場合、メンブレンのキャパシティブカップリング及び2つの電極の各々は、実質的に同じであり得る。例えば、2つの電極は実質的に同じエリアを有し得、メンブレンから実質的に同じ距離に配設され得る。2つの電極のうちの一方に印加される電圧の極性は、2つの電極のうちの他方に印加される時変電圧の極性と同じであるか、又は反対であってよい。
【0030】
[00030] メンブレンにわたる時平均静電圧力がゼロである実施形態、及び/又は、2つの電極に印加される電圧の波形及び大きさが実質的に同じである実施形態であっても、メンブレン内に機械的振動を誘起するために、メンブレンの2つの対向表面の近くに生成される電界は異なり得ることを理解されよう。したがって、2つの電極、及び/又は、2つの電極の各々に時変電圧を印加するための機構は、メンブレンの対向表面の近くに生成される電界が異なることを保証するように配置され得る。
【0031】
[00031] いくつかの実施形態において、メンブレンの面に平行な面内で、電極のうちの一方の位置が他方の電極の位置と一致しないことがあり得る。
【0032】
[00032] すなわち、メンブレンの両側であっても、2つのコレクタ電極は互いに横方向にオフセットされているように記載され得る。こうした配置の場合、メンブレンの両側に生成される電界もオフセットされる。したがって、各電極はメンブレンの異なる部分に引力を及ぼすことになり、(2つの電極に同一の電圧が印加されるときであっても)メンブレン内の機械的振動が誘起される。
【0033】
[00033] こうした実施形態では、2つの電極のうちの一方に印加される時変電圧は、2つの電極のうちの他方に印加される時変電圧と実質的に同相であり得る。
【0034】
[00034] 2つの電極は、メンブレンの面に平行な面内で2つのコレクタ電極間の最大距離が1cmであるように位置決めされ得る。この距離は横方向オフセットと呼ぶことができる。2つの電極は、メンブレンの面に平行な面内で2つの電極間の最大距離が1mmであるように位置決めされ得る。
【0035】
[00035] 2つの電極に時変電圧を印加するための機構は、2つの電極が、実質的に大きさは等しく極性は反対の電圧で保持されるように構成され得る。
【0036】
[00036] いくつかの実施形態において、2つの電極のうちの一方に印加される時変電圧と、2つの電極のうちの他方に印加される時変電圧との間に、非ゼロの位相差が存在し得る。
【0037】
[00037] こうした実施形態では、メンブレンの面に平行な面内で、電極のうちの一方の位置は、概して他方の電極の位置と一致し得る。
【0038】
[00038] メンブレンがメンブレンサポートによって支持されているとき、メンブレンの近くに電界を生成するための電界生成機構は、メンブレンの2つの反対表面の近くに、少なくとも100kV/mの大きさを有する電界を生成するように動作可能であり得る。
【0039】
[00039] 例えば、いくつかの実施形態において、メンブレンの2つの反対表面の近くの電界は、少なくとも1MV/mの大きさを有し得る。
【0040】
[00040] 装置は、メンブレンがメンブレンサポートによって支持されているとき、メンブレンに電圧を印加するための機構を更に備え得る。
【0041】
[00041] メンブレンがメンブレンサポートによって支持されているとき、メンブレンに電圧を印加するための機構は、メンブレンに印加される電圧の極性が、2つの電極に印加される電圧の極性とは反対であるように構成され得る。
【0042】
[00042] 装置は、接地に近いか又は接地に等しい電圧でメンブレンを保持するように動作可能な機構を、更に備え得る。
【0043】
[00043] 例えば装置は、メンブレンの電圧を-100Vから+100Vの間で維持するように構成され得る。例えば装置は、メンブレンの電圧を-10Vから+10Vの間で維持するように構成され得る。
【0044】
[00044] 接地に近いか又は接地に等しい電圧でメンブレンを保持するように動作可能な機構は、メンブレンがメンブレンサポートによって支持されているとき、メンブレンの2つの反対表面に近接して位置決め可能な1つ以上の補助電極と、接地に近いか又は接地に等しい電圧で1つ以上の補助電極を維持するように配置された機構とを、備え得る。
【0045】
[00045] 装置は、メンブレンと電極との間の電界の大きさが、メンブレンと補助電極との間の電界の大きさの少なくとも10倍以上であるように構成され得る。
【0046】
[00046] 例えば装置は、メンブレンと電極との間の電界の大きさが、メンブレンと補助電極との間の電界の大きさの少なくとも100倍であるように構成され得る。
【0047】
[00047] メンブレンに最も近い電極の各々の表面の面積は、メンブレンの面積よりも小さいものとすることができる。
【0048】
[00048] メンブレンに最も近い電極の各々の表面積は、1cm2より小さいか又は1cm2に等しくてよい。例えば、メンブレンに最も近い2つの電極の各々の表面積は、10mm2より小さいか又は10mm2に等しくてよい。
【0049】
[00049] 電極の各々の最大寸法は、メンブレンの面に垂直に位置合わせされ得る。
【0050】
[00050] 電極又は各電極は、使用中、電極とメンブレンサポートによって支持されているメンブレンとの間の最大距離が5mmであるように位置決めされ得る。例えば、電極又は各電極は、使用中、電極とメンブレンサポートによって支持されているメンブレンとの間の最大距離が0.5mmであるように位置決めされ得る。
【0051】
[00051] 時変電圧は、複数の時間的に離間したパルスを含み得る。
【0052】
[00052] 有利なことに、本配置は異なる周波数レンジの振動を励起することになる。パルスの繰り返し数及び/又はパルスの形状を制御することによって、励起される振動の異なる周波数レンジが制御され得る。
【0053】
[00053] 励起電極及びメンブレンにわたるパルス電圧の印加が、励起電極とメンブレンとの間にパルス電界を生み出すことができる。パルス電界は、電極及びメンブレンを互いに向かって引き寄せるように作用する力を及ぼすことができる。電極及びメンブレンサポートは一般に、装置内に全体として固定されるように配設され得る。使用中、メンブレンは一般に、メンブレンの周縁部でのみメンブレンサポートによって支持されるように配設され得る。したがって、印加される力が、メンブレンサポートによって支持されていないメンブレンの部分を電極の方向に加速させることができる。電界が生成されない電圧パルスの部分の間、メンブレンは、(例えば、メンブレン内の張力に起因して)電界によって生じる加速とは反対の方向に加速する。電界のオンオフ特性が繰り返されるため、メンブレンの機械的振動が生じる。
【0054】
[00054] 複数の時間的に離間したパルスの各々の持続時間は、10us未満であり得る。例えば、複数の時間的に離間したパルスの各々の持続時間は、1us未満であり得る。
【0055】
[00055] 時変電圧又は各時変電圧は、時間的に離間したパルスの複数の順次列を含み得る。パルスの各列の持続時間は、10ms未満であり得る。例えば、パルスの各列の持続時間は、1ms未満であり得る。こうしたパルス列(パルスバーストとも呼ばれる)内にパルスを提供することによって、メンブレンの望ましくない加熱を制限又は防止することができる。有利なことに、これはメンブレンの破断を防止し得る。
【0056】
[00056] 時間的に離間したパルスの複数の順次列の各々のデューティサイクルは、50%未満であり得る。例えば、時間的に離間したパルスの複数の順次列の各々のデューティサイクルは、10%未満であり得る。
【0057】
[00057] 時間的に離間したパルスの複数の順次列の各々のデューティサイクルは、メンブレン内の電力損失が0.1から10ms程度の時間尺度で30W/cm2であるように十分に低い。例えば、時間的に離間したパルスの複数の順次列の各々のデューティサイクルは、メンブレン内の電力損失が0.1から10ms程度の時間尺度で0.3から30W/cm2であるように十分に低い。
【0058】
[00058] 時変電圧又は各時変電圧は、一般的形状を有し、所望の励起スペクトルを達成するために選択(及び変更)可能な1つ以上のパラメータを有する、電圧波形を含み得る。
【0059】
[00059] 時変電圧又は各時変電圧は、時間的に離間したパルスの2つの順次列を含み得、パルスの2つの列の極性は逆である。
【0060】
[00060] これは、メンブレンから、負電荷パーティクル及び正電荷パーティクルの両方を除去するために有用であり得る。
【0061】
[00061] 時変電圧を(励起電極及びメンブレンサポートによって支持されているメンブレン、又は2つの電極の、いずれかにわたって)印加するための機構は、少なくとも10kV/mの大きさを有するメンブレンの近くに時変電界を生成するように動作可能であり得る。
【0062】
[00062] 例えば、メンブレンの近くの時変電界は、少なくとも100kV/mの大きさを有し得る。例えば、励起電極及びメンブレンにわたって印加されるパルス電圧は、最大100Vから10000Vの間を有し得、励起電極及びメンブレンアセンブリは、励起電極とメンブレンとの間の分離が1mmから10mmの間であるように配設され得る。
【0063】
[00063] 時変電圧又は各時変電圧は、50%未満のデューティサイクルを有し得る。
【0064】
[00064] (励起電極及びメンブレンサポートによって支持されているメンブレン、又は2つの電極の、いずれかにわたって印加される)時変電圧は、10%未満のデューティサイクルを有し得る。
【0065】
[00065] 有利なことに、これによって、薄膜及び集電極によって形成されるキャパシタを電流荷電及び放電することによって、メンブレンの加熱量を制限する。
【0066】
[00066] メンブレンがメンブレンサポートによって支持されているとき、メンブレン内に機械的振動を誘起するための機構は、メンブレンサポートによって支持されているメンブレンの少なくとも一部に入射するパルス放射ビームを生成するように動作可能な、放射源を備え得る。
【0067】
[00067] 機械的振動を誘起するための機構は、メンブレンの局所部分にのみ振動を誘起するように動作可能であり得る。
【0068】
[00068] 有利なことに、機械的振動をメンブレンの局所部分に制約することによって、より精密、迅速、また更にエネルギー効率の良い、クリーニングプロセスが達成され得る。
【0069】
[00069] 機械的振動を誘起するための機構が励起電極を備える実施形態では、これは、それらのメンブレンよりも寸法の小さい電極を使用することによって達成され得る。
【0070】
[00070] 機械的振動を誘起するための機構がパルス放射ビームを生成するように動作可能な放射源を備える実施形態では、これは、パルス放射ビームをメンブレンの一部にのみ合焦させることによって達成され得る。
【0071】
[00071] 機械的振動を誘起するための機構は、ある周波数レンジで振動を誘起するように動作可能であり得る。
【0072】
[00072] 機械的振動を誘起するための機構は、30kHzから30MHzの間で振動を誘起するように動作可能であり得る。
【0073】
[00073] 例えば、機械的振動を誘起するための機構は、100kHzから10MHzの間で誘起するように動作可能であり得る。
【0074】
[00074] 有利なことに、これは、様々なサイズのレンジ、典型的には0.5umから5umのレンジを伴うパーティクルについて、共振振動を誘起することが可能である。周波数レンジの下限(例えば、100kHz)は、周波数レンジがメンブレンの共振周波数に近づかないことを保証するために選択可能であり、典型的なEUVフルサイズペリクルの基本モードは1~10kHzのレンジ内である。
【0075】
[00075] 機械的振動を誘起するための機構は、0.5から5umの間の寸法のパーティクルをメンブレンから除去するように動作可能であり得る。
【0076】
[00076] 装置は更に、メンブレンの少なくとも一部の温度を制御するための機構を備え得る。
【0077】
[00077] メンブレンの一部の温度を制御することによって、その部分の張力を制御することができる。特に、メンブレンの少なくとも一部の温度を、メンブレンに張力をかけるフレームとは独立に制御できる場合、メンブレン内の張力を制御することができる。
【0078】
[00078] これは特に、メンブレンがメンブレンサポートによって支持されているとき、メンブレン内に機械的振動を誘起するための機構を備える実施形態の場合に有利である。上述のように、メンブレン内に機械的振動を誘起するための機構は、メンブレン上にあるパーティクル内にも機械的振動を誘起することになる。メンブレン上にあるこうしたパーティクルのこの振動の大きさは、メンブレンからパーティクルを除去するのに十分であり得る。機械的振動を誘起するための機構によって除去されるいずれのこうしたパーティクルも、電界生成機構によって生成される電界によって、メンブレンから離れて移送され得る。特に、機械的振動を誘起するための機構が、メンブレン上のパーティクルについて共振振動を誘起することが可能な場合、パーティクルはメンブレンから除去され得る。実質的に無質量のメンブレン上のパーティクルの振動についての共振周波数は、メンブレンの張力及びパーティクルの質量に依存する。特に、実質的に無質量のメンブレン上のパーティクルの振動についての共振周波数は、メンブレンの張力の平方根に比例し、パーティクルの質量の平方根の逆数に比例する。張力が増加すると、所与のサイズのパーティクルを除去するために提供することが望ましい共振周波数も同様に増加する。
【0079】
[00079] メンブレンの一部の温度を制御することによって、メンブレンの張力を制御することが可能であり、特定レンジの振動周波数についてメンブレンを除去することが可能なパーティクルサイズのレンジも同様に制御可能である。
【0080】
[00080] メンブレンの少なくとも一部の温度を制御するための機構は、放射をメンブレンに与えるように動作可能な放射源を備え得る。放射源は、合焦光源を備え得る。
【0081】
[00081] 代替として、メンブレンの少なくとも一部の温度を制御するための機構は、メンブレンを加熱するように動作可能な誘導加熱器を備え得る。
【0082】
[00082] メンブレンは、導電性及び熱伝導性の材料を含み得る。
【0083】
[00083] 電界生成機構は、メンブレンがメンブレンサポートによって支持されているとき、メンブレンの2つの反対表面の近くに電界を生成するように動作可能であり、メンブレンの2つの反対表面の近くの電界は、反対方向である。
【0084】
[00084] 有利なことに、こうした配置は、十分な横方向の(メンブレンの面から外への)負荷の下で破断する傾向があり得るほど十分に薄い可能性のある、メンブレンのクリーニングに、特に適切である。メンブレンの2つの反対表面の近くに電界を印加することによって、メンブレンの2つの反対表面の近くの電界は反対方向となり、メンブレンの両側の圧力は少なくとも部分的に等しくなり得る。これによって、より大きな電界が使用可能となり、より高レベルのクリーニングを提供することができる。
【0085】
[00085] 電界は、メンブレンの面の両側に配設された2つのコレクタ電極によって生み出され得る。
【0086】
[00086] メンブレンに最も近いコレクタ電極の各々の表面積は、メンブレンの面積よりも小さくてよい。
【0087】
[00087] メンブレンに最も近いコレクタ電極の各々の表面積は、1cm2より小さいか又は1cm2に等しくてよい。例えば、メンブレンに最も近いコレクタ電極の各々の表面積は、10mm2より小さいか又は10mm2に等しくてよい。
【0088】
[00088] いくつかの実施形態において、メンブレンの面に平行な面内のコレクタ電極のうちの一方の位置は、他方のコレクタ電極の位置と一致しなくて良い。
【0089】
[00089] すなわち、メンブレンの両側の2つのコレクタ電極は、互いに横方向にオフセットされていると説明することができる。2つのコレクタ電極は、メンブレンの面に平行な面内の2つのコレクタ電極間の最大距離が1cmであるように、位置決めされ得る。この距離は、横方向オフセットと呼ぶことができる。2つのコレクタ電極は、メンブレンの面に平行な面内の2つのコレクタ電極間の最大距離が1mmであるように、位置決めされ得る。
【0090】
[00090] コレクタ電極の各々は、実質的に等しい電圧で保持され得、装置は、コレクタ電極が保持される電圧の極性の反対の極性の電圧で、メンブレンを保持するように構成され得る。
【0091】
[00091] 2つのコレクタ電極は、共に接続され得る(すなわち、同じ電位であり得る)。
【0092】
[00092] 電界の大きさは、メンブレンの両側で実質的に等しくてよい。
【0093】
[00093] メンブレンの2つの反対表面の近くの電界は、少なくとも100kV/mの大きさを有し得る。
【0094】
[00094] 例えば、メンブレンの2つの反対表面の近くの電界は、少なくとも1MV/mの大きさを有し得る。
【0095】
[00095] メンブレンの2つの反対表面の近くの電界は、DC(すなわち、時不変)電界であり得る。
【0096】
[00096] 1つ以上のコレクタ電極の少なくとも一部に、絶縁コーティングが提供され得る。
【0097】
[00097] 絶縁コーティングは、コレクタ電極と、メンブレンからコレクタ電極に引き付けられた任意のパーティクルとの間での、電荷の転移を防止する。これにより、パーティクルがコレクタ電極からメンブレンに移送されるのを防止することができる。絶縁コーティングは、メンブレンクリーニング装置の使用中に電圧供給によって生成される電界を超える、破壊強度を有し得る。パーティクルが静電的にコレクタ電極に転移すると、絶縁コーティングは電荷漏れを防止し、コレクタ電極からメンブレンへのパーティクルの逆転移のリスクを低減させる。
【0098】
[00098] 装置は、プラズマ生成機構を更に備え得る。
【0099】
[00099] プラズマ生成機構は、メンブレンサポートによって支持されているメンブレンと、1つ以上のコレクタ電極又は1つ以上のコレクタ電極の各々との間に、プラズマを生成するように動作可能であり得る。
【0100】
[000100] メンブレンサポートによって支持されているメンブレンと、1つ以上のコレクタ電極又は1つ以上のコレクタ電極の各々との間のプラズマは、メンブレン上のパーティクルに荷電可能な機構を提供する。加えて、電圧を印加するための機構によって印加されるバイアス電圧の存在下で、プラズマ内の反対に電荷されたキャリアは反対の静電力を受けることになる。こうしたバイアス電圧が印加されるとき、プラズマは、メンブレンの一方又は両方の表面に近隣の仮想電極を形成するものと見なされ得る。この仮想電極は、メンブレンの表面に近隣のプラズマシースによって提供され、メンブレンのその表面に対向するコレクタ電極と同じ極性を有する。(プラズマ及び印加される電圧の)こうした状況下で、この仮想電極は、所与のバイアス電圧について、コレクタ電極よりもメンブレンに実質的に近い(例えば、約30~300mmではなく約100um)ため、プラズマは、メンブレンの表面の近くに実質的により大きな電界を生じさせる。この結果として、実質的により良好なメンブレンのクリーニングとなり得る。
【0101】
[000101] プラズマ及び印加電圧が存在する条件下では、メンブレンを介して流れる電流が存在する。電流の大きさは、印加電圧及びプラズマ密度の両方に依存する。この電流が結果としてジュール加熱を生じさせる。メンブレンは、約10cm×10cmの寸法を有し得、約100nmの厚みを有し得る。メンブレンは約100Ωの抵抗を有し得る。これらの(プラズマ及び印加電圧を有する)条件の時間範囲は、メンブレンを介して流れる電流によって発生する熱が、メンブレンが機能しなくなる温度までメンブレンを加熱することなく消散できるように制限され得る。これは、印加電圧の時間範囲を制御すること、及び/又はプラズマがオンに切り替えられるタイミングを制御することによって、制御可能である。メンブレンの温度が500℃を超えないことを保証することが望ましい。
【0102】
[000102] メンブレンサポートによって支持されているメンブレン、及び1つ以上のコレクタ電極又は1つ以上のコレクタ電極の各々にわたって、電圧を印加するための機構は、メンブレンサポートによって支持されているメンブレン、及び1つ以上のコレクタ電極又は1つ以上のコレクタ電極の各々にわたって、パルス電圧を印加するように配置され得る。
【0103】
[000103] メンブレンサポートによって支持されているメンブレン、及び1つ以上のコレクタ電極又は1つ以上のコレクタ電極の各々にわたって、パルス電圧を印加することで、電流がメンブレンを介して流れる時間を制限する。デューティサイクルは、メンブレンを介して流れる電流によって発生する熱が、メンブレンが機能しなくなる温度までメンブレンを加熱することなく消散できることを保証するように、制限され得ることを理解されよう。例えば、デューティサイクルは10%以下、例えば1%以下であり得る。
【0104】
[000104] パルス電圧は、1%以下のデューティサイクルを有し得る。
【0105】
[000105] パルス電圧は、1Hzから10kHzの間の周波数を有し得る。
【0106】
[000106] パルス電圧のパルス持続時間は、1ms未満であり得る。
【0107】
[000107] 例えば、パルス電圧のパルス持続時間は、10us未満であり得る。
【0108】
[000108] いくつかの実施形態において、十分なクリーニングを提供するために、メンブレンの近くの電界強度は少なくとも10kV/m、より好ましくは100kV/mである。電界強度は、印加されるバイアス電圧、及びメンブレンとコレクタ電極との間の距離に依存することを理解されよう。しかしながら、電界強度はプラズマ(例えば、プラズマのタイプ、プラズマの密度など)にも依存し、プラズマは一般に、望ましいターゲット電界強度を達成するために印加されるべき電圧を低減させる。
【0109】
[000109] パルス電圧の大きさは、少なくとも100Vであり得る。
【0110】
[000110] 例えば、パルス電圧の大きさは、少なくとも1000Vであり得る。
【0111】
[000111] パルス電圧の各パルスは、第1の極性を有する第1の部分と、第2の反対の極性を有する第2の部分とを備え得る。
【0112】
[000112] 有利なことに、こうした配置では、第1の部分の間、プラズマはパーティクルを、そのパーティクルに対向する電極の電位の極性に対応する電荷で荷電することになる。第2の部分において、バイアス電圧の極性は逆である。これが十分迅速に行われる場合、プラズマを介して電荷を得るメンブレン上に配設されたいずれのパーティクルにも、メンブレンから離れて、及びパーティクルが対向している電極に向かって誘導される、静電力が作用することになる。十分大きなバイアス電圧の場合、これらの力は、パーティクルとメンブレンとの間の結合力(例えば、ファンデルワールス力)を超え、パーティクルは、メンブレンから離れて、及び、パーティクルが配設されているメンブレンの表面に対向するコレクタ電極に向かって、加速する。バイアス電圧極性は、(第1の部分と第2の部分との間で)迅速に、例えば<0.1msの時間尺度で、切り替わるべきであることを理解されよう。
【0113】
[000113] プラズマ生成機構は、プラズマが、パルス電圧の後続のパルス間でオンに切り替えられ、パルス電圧のパルス中にオフに切り替えられるように配置され得る。
【0114】
[000114] プラズマ生成機構をこのように、特にパルス電圧のパルス中にプラズマをオフに切り替えるように、パルス電圧と同期させることによって、メンブレンを介して流れる電流の量を制限することができる。こうした配置によって、大きさ及び電圧パルスの時間範囲に対するいずれの制限も、緩和することができる。この配置によって、(例えば、メンブレンの両側の静電圧力のバランスを実質的に取ることを保証するように、電圧が印加される場合)、大きさ及び電圧パルスの時間範囲に対する制限がない場合もあり得る。
【0115】
[000115] 装置は、チャンバと、チャンバ内部の圧力を制御するように動作可能なポンプ装置とを、更に備え得る。メンブレンサポートは、チャンバ内部に配設され得る。
【0116】
[000116] チャンバは真空チャンバであってよい。電界生成機構が1つ以上のコレクタ電極を備える実施形態の場合、1つ以上のコレクタ電極はチャンバ内にも配設され得る。ポンプ装置は、チャンバの圧力を真空状態近くまで低下させるように動作可能である。メンブレンクリーニング装置の動作中、チャンバ内部の圧力は10mBar未満、例えば0.01mBarに維持され得る。
【0117】
[000117] ポンプ装置は、チャンバ内部の圧力を10-3mBarより下に維持するように動作可能であり得る。例えば、チャンバ内部の圧力は、10-5mBarより下であり得る。
【0118】
[000118] 本発明の第2の態様によれば、パーティクルをメンブレンから除去するための方法が提供され、方法は、メンブレン内に機械的振動を誘起すること、及び、メンブレン上のパーティクルとコレクタ電極との間に静電力を及ぼすように、コレクタ電極を使用してメンブレンの近くに電界を生成することを含む。
【0119】
[000119] 有利なことに、こうした方法は、次に考察するように、相対的に薄く柔軟であり得るメンブレンのクリーニングに特に適切である。
【0120】
[000120] メンブレン内に機械的振動を誘起することで、メンブレン上にあるパーティクル内にも機械的振動を誘起する。メンブレン内にあるこうしたパーティクルの振動は、メンブレンからパーティクルを除去するのに十分な大きさであり得る。機械的振動を誘起するための機構によって除去されるいずれのこうしたパーティクルも、電界によってメンブレンから離れて移送され得る。
【0121】
[000121] メンブレン内に機械的振動を誘起することは、支持されるメンブレン及び励起電極にわたって時変電圧を印加することを含み得る。
【0122】
[000122] メンブレン内に機械的振動を誘起することは、メンブレンの表面に近接して位置決めされる2つの電極にわたって時変電圧を印加することを含み得る。
【0123】
[000123] メンブレン内に機械的振動を誘起することは、メンブレンの反対表面に近接して位置決めされる2つの電極の各々に時変電圧を印加することを含み得る。
【0124】
[000124] 2つの電極によって2つの反対表面のうちの一方に及ぼされる時平均圧力は、実質的に大きさが等しく、2つの電極によって2つの反対表面のうちの他方に及ぼされる時平均圧力とは反対方向であり得る。
【0125】
[000125] いくつかの実施形態において、メンブレンの面に平行な面内で、電極のうちの一方の位置が他方の電極の位置と一致しない。
【0126】
[000126] いくつかの実施形態において、2つの電極のうちの一方に印加される時変電圧と、2つの電極のうちの他方に印加される時変電圧との間に、非ゼロの位相差が存在し得る。
【0127】
[000127] (励起電極及びメンブレンサポートによって支持されているメンブレンメンブレンにわたって、メンブレンの表面に近接して位置決めされる2つの電極にわたって、又は、メンブレンの反対表面に近接して位置決めされる2つの電極の各々の、いずれかに印加される)時変電圧又は各時変電圧は、10%未満のデューティサイクルを有し得る。
【0128】
[000128] メンブレン内に機械的振動を誘起することは、メンブレンの少なくとも一部をパルス放射ビームで照射することを含み得る。
【0129】
[000129] 誘起される機械的振動は、ある周波数レンジでの振動を含み得る。
【0130】
[000130] 誘起される機械的振動は、30kHzから30MHzの間の振動を含み得る。
【0131】
[000131] 例えば、誘起される機械的振動は、100kHzから10MHzの間の振動を含み得る。
【0132】
[000132] 誘起される機械的振動は、0.5umから5umの間の寸法のパーティクルをメンブレンから除去するのに適切であり得る。
【0133】
[000133] 方法は、メンブレンの少なくとも一部の温度を制御することを更に含み得る。
【0134】
[000134] メンブレンの一部の温度を制御することによって、その部分の張力を制御することができる。これにより、メンブレン上のパーティクルの振動についての共振周波数にわたって制御が提供される。特に、(例えば、時変電圧によって定義されるような)特定レンジの振動周波数について、メンブレンから除去可能なパーティクルサイズのレンジにわたって、制御が提供される。
【0135】
[000135] 方法は、メンブレンの少なくとも一部の温度を経時的に変化させることを、更に含み得る。
【0136】
[000136] メンブレンの少なくとも一部の温度を経時的に変化させることによって、メンブレンから除去することが可能なパーティクルサイズのレンジを(例えば、振動周波数のレンジが固定されたままである間に)変化させることができる。
【0137】
[000137] メンブレンの少なくとも一部の温度を制御することは、放射を使用して少なくとも一部を照射することによって達成され得る。
【0138】
[000138] 本発明の第2の態様に従った方法は、本発明の第1の態様に従った装置を使用することができる。
【0139】
[000139] 本発明の第3の態様によれば、メンブレンからパーティクルを除去するための方法が提供され、方法は、メンブレンの2つの反対表面の近くに電界を生成することを含み、メンブレンの2つの反対表面の近くの電界は反対方向である。
【0140】
[000140] 有利なことに、こうした方法は、十分な横方向の(メンブレンの面から外への)負荷の下で破断する傾向があり得るほど十分に薄い可能性のある、メンブレンのクリーニングに、特に適切である。メンブレンの2つの反対表面の近くに電界を印加することによって、メンブレンの2つの反対表面の近くの電界は反対方向となり、メンブレンの両側の圧力は少なくとも部分的に等しくなり得る。これによって、より大きな電界が使用可能となり、より高レベルのクリーニングを提供することができる。
【0141】
[000141] 本発明の第3の態様に従った方法は、本発明の第1の態様に従った装置を使用することができる。
【0142】
[000142] 本発明の第4の態様によれば、メンブレンからパーティクルを除去するための方法が提供され、方法は、パーティクルに荷電するためにメンブレンの少なくとも1つの表面の近隣にプラズマを提供すること、及び、これらの荷電されたパーティクルをメンブレンから離すために、メンブレンの少なくとも1つの表面の近くに電界を生成することを含む。
【0143】
[000143] プラズマは、メンブレン上のパーティクルが荷電される際に使用可能な機構を提供する。
【0144】
[000144] 電界は、1つ以上の電極、及び1つ以上の電極にバイアス電圧を印加することを使用して、生成され得る。
【0145】
[000145] プラズマ及び印加電圧が存在する状況下では、メンブレンを介して流れる電流が存在することになる。電流の大きさは、印加電圧及びプラズマの密度の両方に依存する。この電流は結果として、メンブレンのジュール加熱を生じさせる。メンブレンは、約10cm×10cmの寸法を有し得、約100nmの厚みを有し得る。メンブレンは、約100Ωの抵抗を有し得る。これらの(プラズマ及び印加電圧を有する)状況の時間範囲は、メンブレンを介して流れる電流によって発生する熱が、メンブレンが機能しなくなる温度までメンブレンを加熱することなく消散できるように制限され得る。これは、印加電圧の時間範囲を制御すること及び/又はプラズマがオンに切り替えられるタイミングを制御することによって、制御可能である。
【0146】
[000146] バイアス電圧はパルスバイアス電圧であり得る。
【0147】
[000147] パルス電圧の各パルスは、第1の極性を有する第1の部分と、第2の反対の極性を有する第2の部分とを備え得る。
【0148】
[000148] 有利なことに、こうした配置では、第1の部分の間、プラズマはパーティクルを、そのパーティクルに対向する電極の電位の極性に対応する電荷で荷電することになる。第2の部分において、バイアス電圧の極性は逆である。これが十分迅速に行われる場合、プラズマを介して電荷を得るメンブレン上に配設されたいずれのパーティクルにも、メンブレンから離れて、及びパーティクルが対向している電極に向かって誘導される、静電力が作用することになる。十分大きなバイアス電圧の場合、これらの力は、パーティクルとメンブレンとの間の結合力(例えば、ファンデルワールス力)を超え、パーティクルは、メンブレンから離れて、及び、パーティクルが配設されているメンブレンの表面に対向するコレクタ電極に向かって、加速する。バイアス電圧極性は、(第1の部分と第2の部分との間で)迅速に、例えば<0.1msの時間尺度で、切り替わるべきであることを理解されよう。
【0149】
[000149] メンブレンの少なくとも1つの表面の近隣にプラズマを提供することは、プラズマが、パルス電圧の後続のパルス間でオンに切り替えられ、パルス電圧のパルス中にオフに切り替えられるようであり得る。
【0150】
[000150] プラズマ生成機構をこのように、特にパルス電圧のパルス中にプラズマをオフに切り替えるように、パルス電圧と同期させることによって、メンブレンを介して流れる電流の量を制限することができる。こうした配置によって、電圧パルスの大きさ及び時間範囲に対するいずれの制限も、緩和することができる。この配置によって、(例えば、メンブレンの両側の静電圧力のバランスを実質的に取ることを保証するように、電圧が印加される場合)、大きさ及び電圧パルスの時間範囲に対する制限がない場合もあり得る。
【0151】
[000151] 本発明の第4の態様に従った方法は、本発明の第1の態様に従った装置を使用することができる。
【0152】
[000152] 本発明の実施形態を、添付の図面を参照して、単なる例示として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【
図1】使用中のペリクルを示すリソグラフィシステムを示す図である。
【
図2】本発明に従ったメンブレンクリーニング装置及びメンブレンの実施形態を示す図である。
【
図3】
図2に示されるメンブレンクリーニング装置を使用してパーティクルをメンブレンから除去し得る機構を示す、
図2に示されるメンブレンの一部の概略図である。
【
図4a】
図2に示されるメンブレンクリーニング装置を使用して、メンブレン及び電極にわたって印加され得る例示の電圧のプロットを時間の関数として示す図である。
【
図4b】励起力の周波数の関数としてメンブレンに印加される励起力を示し、パルス電圧の周波数組成、及び、これがパルス繰り返し周波数の変調を介してどのように変化し得るかを概略的に示す、
図4aに示される形の印加電圧に対応する励起スペクトルの第1の概略図である。
【
図4c】
図4aに示されるパルス電圧の周波数組成、並びに、これがパルス繰り返し周波数の変調及びパルス形状の変調を介してどのように変化し得るかを概略的に示す、励起スペクトルの第2の概略図である。
【
図5】本発明に従ったメンブレンクリーニング装置及びメンブレンの、更なる実施形態を示す図である。
【
図6】本発明に従ったメンブレンクリーニング装置及びメンブレンの、更なる実施形態を示す図である。
【
図7a】
図6に示されたメンブレンクリーニング装置を使用して、メンブレンからパーティクルを除去し得る機構を概略的に示す図である。
【
図7b】
図6に示されたメンブレンクリーニング装置を使用して、メンブレンからパーティクルを除去し得る機構を概略的に示す図である。
【
図8a】本発明に従ったメンブレンクリーニング装置及びメンブレンの、更なる実施形態の一部を示す図である。
【
図8b】本発明に従ったメンブレンクリーニング装置及びメンブレンの、更なる実施形態の一部を示す図である。
【
図8c】本発明に従ったメンブレンクリーニング装置及びメンブレンの、更なる実施形態の一部を示す図である。
【
図9】本発明に従ったメンブレンクリーニング装置及びメンブレンの、更なる実施形態の一部を示す図である。
【
図10a】本発明に従ったメンブレンクリーニング装置及びメンブレンの、更なる実施形態の一部を示す図である。
【
図10b】本発明に従ったメンブレンクリーニング装置及びメンブレンの、更なる実施形態の一部を示す図である。
【
図10c】本発明に従ったメンブレンクリーニング装置及びメンブレンの、更なる実施形態の一部を示す図である。
【
図10d】本発明に従ったメンブレンクリーニング装置及びメンブレンの、更なる実施形態の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0154】
[000153]
図1は、放射源SO及びリソグラフィ装置LAを備えるリソグラフィシステムを示す。放射源SOは、EUV放射ビームBを発生させるように、及び、EUV放射ビームBをリソグラフィ装置LAに供給するように、構成される。リソグラフィ装置LAは、照明システムIL、パターニングデバイスMA(例えばマスク)を支持するように構成された支持構造MT、投影システムPS、及び基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTを備える。
【0155】
[000154] 照明システムILは、EUV放射ビームBがパターニングデバイスMA上に入射する前にEUV放射ビームBを調節するように構成される。それに加えて、照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11を含むことができる。ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11は共に、所望の断面形状及び所望の強度分布を伴うEUV放射ビームBを提供する。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11に加えて、又はそれらの代わりに、他のミラー又はデバイスを含むことができる。
【0156】
[000155] このように条件付けられた後、EUV放射ビームBはパターニングデバイスMAと相互作用する。この相互作用の結果として、パターン付与されたEUV放射ビームB’が生成される。投影システムPSは、パターン付与されたEUV放射ビームB’を基板W上に投影するように構成される。その目的で、投影システムPSは、パターン付与されたEUV放射ビームB’を、基板テーブルWTによって保持される基板W上に投影するように構成された、複数のミラー13、14を備え得る。投影システムPSは、パターン付与されたEUV放射ビームB’に縮小係数を適用し得、したがって、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャよりも小さいフィーチャを伴うイメージを形成する。例えば、4又は8の縮小係数が適用され得る。投影システムPSは、
図1において2つのミラー13、14のみを有するように示されるが、投影システムPSは、異なる数のミラー(例えば、6又は8個のミラー)を含み得る。
【0157】
[000156] 基板Wは、以前に形成されたパターンを含むことができる。このような場合、リソグラフィ装置LAは、パターン付きEUV放射ビームB’によって形成されたイメージを、基板W上に以前に形成されたパターンと位置合わせする。
【0158】
[000157] 相対的真空、すなわち、大気圧をはるかに下回る圧力での少量のガス(例えば、水素)を、放射源SO内、照明システムIL内、及び/又は投影システムPS内に提供することが可能である。
【0159】
[000158] 放射源SOは、レーザ生成プラズマ(LPP)源、放電生成プラズマ(DPP)源、自由電子レーザ(FEL)、又は、EUV放射を生成することが可能な任意の他の放射源とすることができる。
【0160】
[000159] いくつかのリソグラフィ装置(例えば、EUV及びDUVリソグラフィ装置)は、ペリクル15を備える。ペリクル15は支持構造MTに取り付けるか、又は代替として、ペリクル15はパターニングデバイスMAに直接取り付けることができる。ペリクル15は、フレーム17上に載置された透過膜の薄メンブレン16(典型的には約70nm未満)を備える。ペリクルメンブレン16は、パターニングデバイスMAから数mm(典型的には10mm、例えば2mm未満)離れて離間される。ペリクルメンブレン16上で受け取られるパーティクルは、パターニングデバイスMAのパターンに関して遠視野にあり、したがって、リソグラフィ装置LAによって基板W上に投影されるイメージの質に著しい影響を与えることはない。ペリクル15が存在しない場合、こうしたパーティクルはパターニングデバイスMA上に位置し得、パターニングデバイスMA上のパターンの一部を不明瞭にするため、これによってパターンが基板W上に正確に投影されるのが妨げられる。したがってペリクル15は、パーティクルがリソグラフィ装置LAによって基板W上に形成されるイメージに悪影響を与えるのを防ぐ、重要な役割を果たす。
【0161】
[000160] ペリクル15が、リソグラフィ装置LA内での使用のために支持構造MT又はパターニングデバイスMAに取り付けられる前に、ペリクルメンブレン16が汚れる可能性がある。すなわちパーティクルは、前述のようにペリクル15がリソグラフィ装置LA内で使用される前に、ペリクルメンブレン16上に入射し得る。ペリクル15を移送すること、ペリクル15をパッケージングすること、及びペリクルメンブレン16をフレーム17に載置することなどの動きは、結果としてペリクルメンブレン16上にパーティクルを入射させることになり得る。
【0162】
[000161] リソグラフィ露光中に、ペリクルメンブレン16上に存在するいくつかのパーティクルが分離して、ペリクルメンブレン16からパターニングデバイスMAに移動し、それによって基板W上に投影されるパターンに悪影響を与えることがわかっている。0.5umから5umの間の寸法のパーティクルが移動することが報告されている。他の設定では、このレンジ外の1つ以上の寸法のパーティクルが移動し得ることを理解されよう。
【0163】
[000162] ペリクル15が、支持基板上に形成され得る1つ以上の層から形成され得る。支持基板は、メンブレン16が破断するリスクなしに、ペリクル15の薄メンブレン16を形成させることができる。メンブレン16の層が形成されると、メンブレン16の最終厚みを形成するために、(例えば、エッチングによって)支持基板を除去することができる。使用するには汚れ過ぎていることがわかったメンブレン16を伴うペリクル15は、廃棄することができる。ペリクル15をクリーニングするための何らかの方法が存在する一方で、これらは典型的には、メンブレン16の最終厚みを達成する前に、すなわち、メンブレン16が依然として支持基板上に配設されているときに使用される。ペリクルクリーニングのためのこれらの既知の方法は、湿式クリーニング又は加熱を含む。しかしながら、既知の方法は、メンブレン16の最終厚みが達成されると、薄いペリクルメンブレン16を破断するリスクがあるため、適切ではない。更に、加熱を含むクリーニング方法は、ペリクルメンブレン16の弱体化にも寄与し得、それにより、大部分は、異なる熱膨張係数を備える材料の境界面における応力に起因して、及び/又は、温度不均一性の機械的応力への変換に起因して、ペリクル15の動作寿命が短縮される。
【0164】
[000163] 本発明の実施形態は、電界を使用してメンブレンからパーティクルを除去するための装置及び関連する方法に関する。特に、本発明のいくつかの実施形態は、脆弱な相対的に薄いメンブレン(例えば、ペリクルメンブレンなど)をクリーニングすることに、特に適しており適合される。
【0165】
[000164] 本発明のいくつかの実施形態は、メンブレン内に機械的振動を誘起することによって、相対的に薄いメンブレン(例えば、ペリクルメンブレンなど)が比較的柔軟であるという事実を活用する。これは、メンブレン上にあるパーティクル内にも機械的振動を誘起することになる。メンブレン上にあるこうしたパーティクルの振動は、メンブレンからパーティクルを除去するのに十分な大きさであり得る。機械的振動を誘起するための機構によって除去されるいずれのこうしたパーティクルも、電界を使用してメンブレンから離れて移送され得る。次に、こうした実施形態の例を
図2から
図5を参照しながら説明する。
【0166】
[000165] 次に、本発明の第1の実施形態に従ったメンブレンクリーニング装置200を、
図2、
図3、及び
図4を参照しながら説明する。
【0167】
[000166]
図2は、組み合わされた励起/コレクタ電極202、電圧源205、及び導電性サポート204を備える、メンブレンクリーニング装置200を介した断面を示す。導電性サポート204は導電体である。組み合わされた励起/コレクタ電極202は概して矩形のプレート形であり、概して立方体形状を有し、1つの寸法の長さは他の2つの寸法よりも大幅に短い。導電性サポート204は概して矩形のプレート形であり、導電性サポート204の形状を矩形フレームとして記述できるように中央矩形アパーチャを有する。組み合わされた励起/コレクタ電極202によって形成される概して矩形の形状、及び、導電性サポート204によって形成される概して矩形の形状は、実質的にサイズが等しい。組み合わされた励起/コレクタ電極202及び導電性サポート204は、組み合わされた励起/コレクタ電極の面と導電性サポートの面とが実質的に平行であるように配設される。
【0168】
[000167]
図2に示される実施形態において、メンブレンクリーニング装置200は更にスペーサセクション203を備える。スペーサセクション203は電気絶縁体である。スペーサセクション203は、実質的に導電性サポート204と同じ形状(すなわち、概して矩形のフレーム)である。スペーサセクション203は、組み合わされた励起/コレクタ電極202と導電性サポート204との間に配設される。
【0169】
[000168]
図2に示される実施形態において、メンブレンクリーニング装置200は更に真空チャンバ201を備える。組み合わされた励起/コレクタ電極202、スペーサセクション203、及び導電性サポート204は、真空チャンバ201の内部に配設される。
【0170】
[000169]
図2には、メンブレンアセンブリ208も示されている。メンブレンアセンブリ208は、概して矩形のフレーム212によって支持されるメンブレン211を備える。使用中、メンブレンアセンブリ208は導電性サポート204上に配設される。導電性サポート204は、メンブレンアセンブリ208のフレーム212を支持するように構成される。フレーム212とメンブレン211の1つ以上の表面とは、導電性(例えば、金属)コーティング209でコーティングされるため、この導電性コーティング209は導電性サポート204と電気的に接触していることになる。
【0171】
[000170] 電圧源205は、組み合わされた励起/コレクタ電極202及び導電性サポート204にわたって電圧を印加するように動作可能である。
図2に示される実施形態において、これは、ワイヤ206a、206b及び真空フィードスルー207a、207bを介して達成される。真空フィードスルー207a、207bは、真空チャンバ201の壁内部に配設される。電圧源205は、真空チャンバ201の外部に配設される。電圧源205の一方の電気端子は、ワイヤ206a及び真空フィードスルー207aを介して導電性サポート204に電気的に接続される。電圧源205の反対側の電気端子は、ワイヤ206b及び真空フィードスルー207bを介して組み合わされた励起/コレクタ電極202に電気的に接続される。
【0172】
[000171] メンブレン211は典型的には、ドープされた多結晶シリコンなどの非ゼロの導電率を伴う材料から形成される、及び/又は、メンブレン211の少なくとも一方の側に導電性コーティング209が提供されるため、使用中、組み合わされた励起/コレクタ電極202及び導電性サポート204にわたって印加される電圧は、結果として、組み合わされた励起/コレクタ電極202及びメンブレン211にわたって電圧を生じさせる。組み合わされた励起/コレクタ電極202及びメンブレン211は、閉回路の一部ではない。したがって、電荷は、組み合わされた励起/コレクタ電極202上、及びメンブレン211上に蓄積可能である。この効果は、キャパシタ内の相対プレートの荷電と同様である。
【0173】
[000172] 組み合わされた励起/コレクタ電極202及びメンブレン211上に蓄積された電荷は、組み合わされた励起/コレクタ電極202とメンブレン211との間に静電引力を生み出す。メンブレン211は相対的に薄く、したがって柔軟であるため、メンブレン211はこの引力によって歪曲される。
【0174】
[000173] 電荷の蓄積は、メンブレンアセンブリ208の近くに静電力を生じさせ、現行の発明のいくつかの実施形態で活用される。具体的に言えば、静電力の時間特性を構成することによって、メンブレン211内に機械的振動が誘起される。これは、組み合わされた励起/コレクタ電極202及びメンブレン211にわたって時変電圧を印加することにより、本発明の現行実施形態に従って達成される。この目的で使用される時変電圧は、複数の時間的に離間したパルスを含む。この機構を下記で詳細に説明する。
【0175】
[000174] 真空ポンプ装置(簡略化のため
図2では図示せず)は、真空チャンバ201の内部圧力を制御するように動作可能である。例えば、真空ポンプは、真空チャンバ201の圧力を真空状態近くまで低下させるように動作可能であり得る。メンブレンクリーニング装置200の動作中、真空チャンバ201内部の圧力は10mBar未満で維持され得る。代替として、真空チャンバ201の圧力は0.01mBar未満で維持され得る。有利なことに、真空チャンバ201の内部を低圧で維持することで、メンブレン211がメンブレンクリーニング装置200を使用してクリーニングされているときに、振動するメンブレン211によって体験する空気抵抗を低減させる。
【0176】
[000175]
図3は、電圧源205によって提供される電圧が、組み合わされた励起/コレクタ電極202及び導電性サポート204にわたって印加されるとき、メンブレンクリーニング装置200によってクリーニングされるメンブレン211を介した断面を示す。メンブレン211上に配設されたパーティクル210も示される。メンブレン211は一般的に柔軟であり、組み合わされた励起/コレクタ電極202は一般的に剛性であるため、組み合わされた励起/コレクタ電極202とメンブレン211との間の静電引力は、メンブレン211内に機械的変形301を生み出す。
【0177】
[000176] 本発明の一実施形態において、組み合わされた励起/コレクタ電極202及び導電性サポート204にわたって印加される電圧は、時間tの関数として電圧Vのプロットを示す、
図4aに示される波形400をたどることができる。電圧は時変である。具体的に言えば、電圧の波形400は周期的であるため、電圧はパルス電圧401として記述され得る。パルス電圧401は、交互のオン部分402及びオフ部分403を含む。
図4aに示される電圧波形400は、電圧源205によって生成され得るパルス電圧401の単なる一例であることを理解されよう。他の実施形態において、代替パルス形状及びパルス繰り返し周波数、及び/又は、バースト、トレインなどのパルスパターンを使用することが可能である。
【0178】
[000177]
図4aに示されるパルス電圧401は、DC成分を含む(オフ部分403は、組み合わされた励起/コレクタ電極202と導電性サポート204との間の非ゼロ電位差に対応する)。代替実施形態において、同様であるがDC成分を含まない波形400(オフ部分403は、組み合わされた励起/コレクタ電極202と導電性サポート204との間のゼロ電位差に対応する)が使用され得る。DC成分を伴うパルス電圧401を使用することで、組み合わされた励起/コレクタ電極202とメンブレンアセンブリ208との間に、より強い時平均電界を生成し、これによって、下記で説明するように、組み合わされた励起/コレクタ電極202に向かうパーティクル210の移送を向上させることができる。
【0179】
[000178] パルス電圧401は、組み合わされた励起/コレクタ電極202とメンブレン211との間にパルス静電引力を生み出す。パルス電圧401のオン部分402の間、組み合わされた励起/コレクタ電極202とメンブレン211との間に静電引力が存在し、結果として前述のように、メンブレン211の機械的変形301が生じる。こうした電気力(電荷)を生じさせるパルス圧は、典型的には0.01Paから100Paの間であり得る。印加された圧力に続き、メンブレンのすべての部分又は少なくともいくつかの部分は、電極202に向けて加速される。
【0180】
[000179] DC成分を伴うパルス電圧401のオフ部分403の間、組み合わされた励起/コレクタ電極202とメンブレン211との間に、オン部分402の間と比べて低減された静電引力が存在する。パルス電圧401に対するDC成分のない実施形態の場合、パルス電圧401のオフ部分403の間、組み合わされた励起/コレクタ電極202とメンブレン211との間に、静電引力は存在しない。したがって、パルス電圧401のオフ部分403の間(DC成分を含むか否かに関わらず)、メンブレン211の張力は、結果として、パルス電圧401のオン部分402の間に発生する機械的変形301の反対方向に、メンブレン211の加速を生じさせることができる。パルス電圧401のオン部分402及びオフ部分403が繰り返されるため、メンブレン211内に機械的振動が誘起される。
【0181】
[000180] 本発明の一実施形態において、組み合わされた励起/コレクタ電極202及び導電性サポート204にわたって印加される電圧は、10%未満のデューティサイクルを有する。有利なことに、これは、メンブレン211及び組み合わされた励起/コレクタ電極202によって形成されるキャパシタに電流を荷電及び放電することによって、メンブレン211の加熱量を制限する。
【0182】
[000181] パーティクル210は、組み合わされた励起/コレクタ電極202に対向するメンブレン211の表面上に存在し得る。
【0183】
[000182] 経時的に平均化され、パルス電圧400に起因して、組み合わされた励起/コレクタ電極202とメンブレンアセンブリ208との間に正味電界が存在する。
【0184】
[000183] 組み合わされた励起/コレクタ電極202に対向するメンブレン211の表面上に配設された、非ゼロの表面導電率を伴うパーティクル210は、パルス電圧401に起因してメンブレン211から電荷を獲得し得る。パーティクル210の電荷は、パーティクル210を組み合わされた励起/コレクタ電極202に向けて引き付ける静電力が存在するようなものである。
【0185】
[000184] 追加又は代替として、パーティクル210は、組み合わされた励起/コレクタ電極202に対向するメンブレン211の表面との摩擦電気相互作用を介して、電荷を獲得し得る。パーティクル210の電荷は、正又は負であり得る。使用中、摩擦荷電パーティクルと電極202との間に引力を提供するように、電圧パルス400の極性を選択し得、異なる材料の状況(異なる符号の摩擦電荷)をカバーするために、電圧パルスの極性(DC成分及び/又はパルス成分)は変化し得る。
【0186】
[000185] メンブレン211の表面上に存在する各パーティクル210は、メンブレンが振動するにつれて、パーティクル210と、表面にパーティクル210があるメンブレン211の表面との間の、ファンデルワールス引力に起因して、メンブレン211の表面と共に全体として移動する。
【0187】
[000186] プレテンションの下で、メンブレン211上の各パーティクル210は独立発振器として扱うことができる。こうした発振器の共振周波数は、パーティクル210及びメンブレン211の特性と共に変化し得る。
【0188】
[000187] 例えば、こうしたパーティクル210の共振周波数は、パーティクル210の質量Mと共に変化し得る。共振周波数は、メンブレン211上のパーティクル210の接触スポットのサイズ304(典型的な短距離ファンデルワールス相互作用によって定義される)に対する、メンブレン211内に誘起される振動の半径303(振動の振幅及び励起周波数によって定義される)の比率、dと共に変化し得る。典型的には、メンブレンクリーニング装置200を使用してクリーニングされるメンブレン211の場合、dは100から1000,000の間であり得る。こうしたパーティクルの共振周波数は、メンブレン211の厚み305、hと共にも変化し得る。典型的には、メンブレンクリーニング装置200を使用してクリーニングされるメンブレン211の場合、hは10nmから100nmの間であり得る。共振周波数は、メンブレン211のプレテンションσと共にも変化し得る。典型的には、メンブレンクリーニング装置200を使用してクリーニングされるメンブレン211の場合、σは50MPaから500MPaの間であり得る。
【0189】
[000188] 発振器の基本周波数v0は、下記の数式によって記述され得る。
【0190】
【0191】
典型的なパーティクル密度の場合、及び0.5umから5umの間のパーティクル半径の場合、v0は、およそ10MHzから0.3MHzの間であり得る。メンブレン211に印加される励起周波数がパーティクル210の共振周波数に近づく場合、パーティクル210の振動の振幅301は増加可能である。パーティクル210の振動の振幅が増加するにつれて、パーティクル加速に起因する慣性がファンデルワールス力を超える可能性があるため、メンブレンとパーティクルとの分離302は同様に増加し得る。
【0192】
[000189] ファンデルワールス力の大きさは、力が作用する原子又は分子間の分離302の二乗に反比例する。メンブレンとパーティクルとの分離302のある閾値において、パーティクル210とメンブレン211の表面との間のファンデルワールス引力は、パーティクル210を組み合わされた励起/コレクタ電極202に向かって引き付ける静電力が、パーティクル210とメンブレン211との間のファンデルワールス力を上回る範囲まで減衰される。したがって、メンブレンとパーティクルとの分離302の閾値より上で、パーティクル210をメンブレン211から除去し得る。上にあるパーティクル210は、メンブレン211と組み合わされた励起/コレクタ電極202との間の空間内に配設され、組み合わされた励起/コレクタ電極202に向かって加速する。
【0193】
[000190] パーティクル210の共振周波数は、質量依存性に起因して、パーティクル210のサイズと共に変化する。サイズの範囲を有するパーティクル210を除去するために、パルス電圧401は、ある周波数レンジのメンブレン211の振動を誘起するように構成され得る。メンブレン211の誘起される振動の周波数レンジは、「励起スペクトル」と呼ぶことができる。励起スペクトルは、電圧源205によって印加されるパルス電圧401の波形400のフーリエ変換によって与えられる。励起スペクトルの成分は、パルス電圧401の時間的特徴から生じる。相対的に長い時間間隔で繰り返す特徴は、相対的に低い周波数で励起の成分を生じさせ、その逆も同じである。
【0194】
[000191]
図4b及び
図4cは、
図4aに示される形のパルス電圧401に対応する励起スペクトル404の概略プロットを示す。励起スペクトル404は、メンブレン上に及ぼされる相対静電引力Fを、この力が及ぼされる発振周波数fの関数として概略的に示す。励起スペクトル404は、第1の部分405及び第2の部分406を含む。
【0195】
[000192] 励起スペクトル404の第1の部分405は、最長の持続時間を伴うパルス電圧401の時間的特徴、パルス電圧401のパルスの時間期間407から生じる。第1の部分405の中心周波数408は、時間期間407の逆数によって定義される(この中心周波数408は、パルス周波数又は繰り返し数と呼ばれる)。いくつかの実施形態において、パルス電圧401の繰り返し数は、30kHzから30MHzのレンジ内であり得る。
図4cの影付き領域409は、第1の部分405の中心周波数408を時間期間407の変調を介してシフトすることに対応する。時間期間407における増加は、第1の部分405の中心周波数408における減少につながる(その逆も同じである)。
【0196】
[000193] 励起スペクトル404の第2の部分406は、持続時間が時間期間407よりも短いパルス電圧401の時間的特徴から生じる。第2の部分406は、パルス電圧401のパルスのオン部分402の半値全幅(FWHM)410、並びに、パルス電圧401のパルスの立ち上がり時間411及び立下り時間412によって定義される。第2の部分406の下位周波数413は、FWHM410の逆数によって定義される。第2の部分406の上位周波数414は、立ち上がり時間411及び立下り時間412のうちのいずれかの最短持続時間の逆数によって定義される。
図4cの影付き領域415は、FWHM410並びに立ち上がり時間411及び立下り時間412を変調することを介して、第2の部分406の下位周波数413及び上位周波数414をシフトすることに対応する。FWHM410における増加は、第2の部分406の下位周波数413における減少につながる(その逆も同じである)。立ち上がり時間411及び立下り時間412のうちのいずれかの最短持続時間における増加は、第2の部分406の上位周波数414における減少につながる(その逆も同じである)。
【0197】
[000194]
図4aに示される形のパルス電圧401は、相対的にシンプルである。したがって、これは当業者であれば容易に実装可能である。有利なことに、パルス電圧401の波形400はシンプルであるが、所望の励起スペクトルを達成するために選択(及び変更)可能な、いくつかの構成可能パラメータ(時間期間407、FWHM410、立ち上がり時間411、及び立下り時間412を含む)を提示する。
【0198】
[000195]
図4aに示される形のパルス電圧401を使用することの代替として、電圧増幅器に接続された任意波形発生器を使用して、望ましい励起スペクトルを誘起するように構成可能な、任意の望ましいパルス形状を生成することができる。
【0199】
[000196] 本実施形態において、
図4aに示される電圧波形400は、一般的な形状であり、所望の励起スペクトルを達成するために選択(及び変更)可能な、1つ以上のパラメータ(例えば、時間期間407、FWHM410、立ち上がり時間411、及び立下り時間412のいずれか)を有すると見なし得る。他の実施形態において、様々な電圧波形が使用できるが、一般的な形状を有し、所望の励起スペクトルを達成するために選択(及び変更)可能な、1つ以上のパラメータを有するとも見なし得ることを理解されよう。
【0200】
[000197] 現行実施形態の配置において、組み合わされた励起/コレクタ電極202及びメンブレンアセンブリ208は、組み合わされた励起/コレクタ電極202とメンブレン211との間の分離が1mmから10mmの間であるように配設される。
【0201】
[000198] 現行実施形態の配置において、組み合わされた励起/コレクタ電極202及び導電性サポート204にわたって印加されるパルス電圧401は、100Vから10000Vの間の最大電位差を有する。
【0202】
[000199] 現行実施形態の配置において、組み合わされた励起/コレクタ電極202とメンブレンアセンブリ208との間の正味(時平均)電界は、(パルス電圧401に起因して)10Vm-1より大きいか又は-10Vm-1未満の電界強度を有する。
【0203】
[000200] 現行実施形態の配置において、パルス電圧401は、30kHzから30MHzの間の周波数レンジ内で、メンブレン211(及びそれによって、メンブレン211上に配設されるパーティクル210)の振動を励起するように構成される。例えば、パルス電圧401は、100kHzから10MHzの間の周波数レンジ内で、メンブレン211の振動を励起するように構成され得る。
【0204】
[000201] 現行実施形態の配置において、パルス電圧401は、(フレームの幅及び長さ、並びに膜のプレテンション、厚み、及び密度によってのみ定義される)クリーンなメンブレン211の基本周波数に近いメンブレンの振動の周波数を誘起しない。例えば、現行実施形態の配置において、パルス電圧401は、30kHzより下のメンブレン211の振動を誘起しない。これは、メンブレン211の破断を回避することを助けるため、有用である。
【0205】
[000202] 現行実施形態の配置において、パルス電圧401は、正弦波的に変動する電圧ではない。適切なオフセクション403がパルスの形状に組み込まれることを保証することによって、メンブレンアセンブリ208上の導電性コーティング209内への消散電力を低く維持し得る。これは、放射冷却がメンブレン211の温度を安全限界内に維持できるようにするため、有用である。
【0206】
[000203] 前述の配置を使用すると、メンブレンクリーニング装置200を使用して0.5umから5umの間の寸法を伴うパーティクル210をメンブレン211から除去することができる。
【0207】
[000204] パルス電圧401は、別々のパルス列として印加され得る。1つのパルス列は、別のパルス列の直後に続く。別々のパルス列には、連続パルス列において反転されたパルス電圧の極性が印加され得る。これは、負の荷電パーティクル及び正の摩擦荷電パーティクルの両方をリリースし、それらを集電極に引き付けるために有用であり得る。各パルス列の持続時間は、パーティクル210が、(反転された電圧極性を伴う)次のパルス列が印加される前に、組み合わされた励起/コレクタ電極202に移送されるのに十分な時間を有するように、構成され得る。荷電パーティクルは、一般に、励起/コレクタ電極202と接触すると放電し得ることを理解されよう。したがって、これらのパーティクルは、電圧の極性が反転されたとき、メンブレン211に逆移送されることはない。
【0208】
[000205] 次に、本発明の第2の実施形態に従ったメンブレンクリーニング装置500を、メンブレンクリーニング装置500を介した断面を示す、
図5を参照しながら説明する。
【0209】
[000206]
図5に示されるメンブレンクリーニング装置500は、
図2に示されるメンブレンクリーニング装置200と共通のいくつかの特徴を共有している。
図2に示されるメンブレンクリーニング装置200の特徴に概して対応し、この特徴と概して同じであり得る、
図5に示されるメンブレンクリーニング装置500の任意の特徴は、共通の参照番号を共有する。
【0210】
[000207]
図5に示されるメンブレンクリーニング装置500と
図2に示されるメンブレンクリーニング装置200との間の相違点のみを、下記で詳細に考察する。
【0211】
[000208] 特に、メンブレンクリーニング装置500は、導電性サポート204、スペーサセクション203、ワイヤ206a、206b、及び真空フィードスルー207a、207bを備える。更に、使用中、(メンブレン211及び概して矩形のフレーム212を備える)メンブレンアセンブリ208は、導電性サポート204上に配設される。
【0212】
[000209] メンブレンクリーニング装置500は、電極502及び電圧供給505も備える。電極502は概して、
図2に示される組み合わされた励起/コレクタ電極202と同じ形であり得るが、下記で詳細に考察するように、本実施形態の電極502は、コレクタ電極としてのみ作用する。同様に、電圧供給505は概して、
図2に示される電圧供給205と同じ形であり得るが、下記で詳細に考察するように、電圧供給505は、(複数のパルスを含む時変電圧とは対照的に)定電圧又はDC電圧を印加するように配置され得る。
【0213】
[000210]
図5に示されるメンブレンクリーニング装置500と、
図2に示されるメンブレンクリーニング装置200との間の1つの主な相違点は、次に考察するように、
図5に示されるメンブレンクリーニング装置500はメンブレン211内に機械的振動を誘起するための異なる機構を備えるという点である。
【0214】
[000211] メンブレンクリーニング装置500は、メンブレン211内に機械的振動を誘起するための機構を備え、機械的振動を誘起するための機構は、導電性サポート204によって支持されているとき、メンブレン211の少なくとも一部に入射するパルス放射ビームを生成するように動作可能な放射源(例えば、レーザ)を備える。
【0215】
[000212] 特に、メンブレンクリーニング装置500は、このためにレーザ514を備える。レーザ514は、パルスレーザビーム516を生成するように動作可能である。
【0216】
[000213]
図5に示されるメンブレンクリーニング装置500は、
図2に示される真空チャンバ201と同様であるが、更にウィンドウ512を備える、修正真空チャンバ501を備える。レーザ源515は、真空チャンバ501の外側に配設される。ウィンドウ512は光透過性材料から形成され、この材料を介してパルスレーザビーム516はメンブレン211上に入射するように伝搬可能である。
【0217】
[000214] メンブレンクリーニング装置500は、パルスレーザビーム516をレーザ514による出力として案内及び/又は形状化するための光学系520、522を備えるビームデリバリシステム518を、更に備える。
【0218】
[000215] 本実施形態において、ビームデリバリシステム518は、パルスレーザビーム516を、ウィンドウ512を介してメンブレン211上の局所ビームスポット部分に合焦させるように動作可能である。メンブレン211のこの部分は、入射レーザビーム516から放射圧力を受け取る。メンブレン211は通常柔軟であるため、放射圧力はメンブレン208内に機械的変形301を生み出し得る。レーザビーム516によって及ぼされる局所圧力は、メンブレン211上でレーザビームパルスによって及ぼされる力によってビームスポット領域のエリアに与えられる。メンブレン211上でレーザビームパルスによって及ぼされる力は、メンブレン211によって吸収される光子の運動量の変化率によって与えられる。各光子の運動量は、その光子のエネルギーと光の速度との比によって与えられ、したがって、メンブレン211上でレーザビームパルスによって及ぼされる圧力は、吸収される放射の電力密度(W/m2)と光の速度との比によって与えられ、ここでは簡潔さのために、メンブレン上の反射光の効果は省略されることを理解されよう。
【0219】
[000216] レーザ放射源515によって生成されるレーザビーム516は、パルスレーザビーム516である。レーザパルスの間に(レーザ放射がメンブレン211上に入射しないとき)、メンブレン211の内部構造力は結果として、放射圧によって発生する機械的変形の反対方向にメンブレン211の加速を生じさせることが可能である。したがってパルスレーザビーム516のメンブレン211への印加は、メンブレン211内に機械的振動を誘起させ得る。
【0220】
[000217] 本実施形態において、レーザビーム516は、(すなわち、ビームスポット部分に近接する)メンブレン211の局所部分内にのみ振動を誘起するように動作可能である。有利なことに、機械的振動をメンブレン211の局所部分に制約することによって、より精密な、より迅速な、及びよりエネルギー効率の良い、クリーニングプロセスが達成され得る。
【0221】
[000218] メンブレン211のすべての部分をクリーニングできるようにするために、レーザ514及び/又はビームデリバリシステム518の少なくとも一部はウィンドウ512に対して移動可能である。メンブレンクリーニング装置500を使用して、合焦されたパルスレーザビーム516を、メンブレン211上の(除去することが望ましい)あらゆるクリティカルパーティクル210にウィンドウ512を介して送達し得る。代替として、メンブレンクリーニング装置500を使用して、メンブレン211全体をクリーニングするために、メンブレン211の表面全体にわたってパルスレーザビーム516をスキャン又はステップし得る。
【0222】
[000219] 電圧源505は、電圧源505の電気端子にわたって電圧を印加し得、その結果、電極502及びメンブレン208にわたって電圧を生じさせる。
図2に示されるメンブレンクリーニング装置200に関して上記で考察したように、これが、メンブレン211上の少なくともいくつかのパーティクル210に静電引力を及ぼす。機械的振動がパルスレーザビーム516によって誘起される際、パーティクル210(独立発振器として扱うことができる)はメンブレン211から離れて移動し得、パーティクル210とメンブレン211との間の結合力を低減させる。メンブレン211が振動する周波数がパーティクル210の共振周波数に近づくと、パーティクル210の振動の振幅が増加し得る。パーティクル210の振動の振幅が増加するにつれて、メンブレンとパーティクルとの分離302も同様に増加し得る。メンブレンとパーティクルとの分離302のある閾値において、パーティクル210とメンブレン211の表面との間のファンデルワールス引力はもはや、(例えば、メンブレン211がパルス間にコレクタ電極502から離れて加速するとき)パーティクル210をメンブレン211の表面に付着したままにしておくことはできない。したがって、パーティクル210はメンブレン211から除去され、電極502に向かって加速する。
【0223】
[000220] メンブレンクリーニング装置200、500の第1及び第2の実施形態における導電性サポート204の使用は、電圧源205、505とメンブレン211との間の電気的カップリングを向上させ得る。しかしながら代替実施形態において、メンブレンクリーニング装置200、500は導電性サポート204なしで構築可能であり、電圧源205、505はメンブレン211に直接結合可能であることを理解されよう。
【0224】
[000221] 同様に、メンブレンクリーニング装置200、500の第1及び第2の実施形態における(電気絶縁体から形成される)スペーサセクション203の使用は、メンブレン211と電極202、502との間に特定の離間を提供するために都合の良い配置を提供し得る。更に、電気絶縁スペーサセクション203を介して、電極202、502によってメンブレンアセンブリ208を支持するために都合のよい配置を提供し得る。しかしながら、代替実施形態において、メンブレンクリーニング装置200、500は、スペーサセクション203なしで構築され得ることを理解されよう。例えば、代替実施形態において、電圧源205、メンブレン211、及び電極202、502のそれぞれの間に接続を提供するワイヤ206a、206bは、メンブレン211及び電極202、505を支持できるように十分な強度である。
【0225】
[000222] 本発明のいくつかの実施形態は、クリーニングするべきメンブレンの2つの反対表面の近くに電界を生成するように動作可能な電界生成機構を利用し、メンブレンの2つの反対表面の近くの電界は反対方向である。いくつかの実施形態において、電界強度は、(反対方向に配置されているが)メンブレンの両側で実質的に等しい大きさであり得る。有利なことに、こうした配置は、十分な横方向の(メンブレンの面から外への)負荷の下で破断する傾向があり得るほど十分に薄い可能性のある、メンブレンのクリーニングに、特に適切である。メンブレンの2つの反対表面の近くに電界を印加することによって、メンブレンの2つの反対表面の近くの電界は反対方向となり、メンブレンの両側の静電圧力は少なくとも部分的に等しくなり得る。これによって、より大きな電界が使用可能となり、より高レベルのクリーニングを提供することができる。次にこうした実施形態の一例を、
図6から
図7を参照しながら説明する。
【0226】
[000223] 次に、本発明に従ったメンブレンクリーニング装置600の第3の実施形態を、
図6、
図7a、及び
図7bを参照しながら説明する。
【0227】
[000224]
図6は、導電性サポート602、2つのコレクタ電極604、606、及び電圧源608を備える、クリーニング装置600を介した断面を示す。
【0228】
[000225] 導電性サポート602は導電性材料から形成され、装置600を用いてクリーニングするべきメンブレン(例えば、ペリクル)を支持するためのものである。
図6には、メンブレンアセンブリ208も示されている。メンブレンアセンブリ208は、概して矩形のフレーム212によって支持されるメンブレン211を備える。導電性サポート602は、メンブレンアセンブリ208のフレーム212を支持するように配置される。
【0229】
[000226] 2つのコレクタ電極604、606は、導電性サポート602によって支持されるメンブレン211の面の両側に配設される。2つのコレクタ電極604、606はまとめて接続される(すなわち、同じ電位にある)。
図6に示される実施形態において、2つのコレクタ電極604、606の各々は、クリーニングのためにメンブレン211が配設され得る内部チャンバ614を画定する、2部アセンブリのうちの1つの部分を形成する。第1のコレクタ電極604は、通常、2部アセンブリのふた部分を形成し得、第2のコレクタ電極606は、通常、2部アセンブリの本体部分を形成し得る。2つのコレクタ電極604、606の各々は、基部604a、606a及び突出部604b、606bを備える。2つのコレクタ電極604、606の基部604a、606aは、クリーニングのためにメンブレン211が配設され得る内部チャンバ614を画定するように協働する。2つのコレクタ電極604、606は、内部チャンバ614へのアクセスを提供するために分離され得ることを理解されよう。特にこれは、クリーニングのためにメンブレンアセンブリ208を内部チャンバ614内にロードすること、及び、クリーニングされると、メンブレンアセンブリ208を内部チャンバ614からアンロードすることができる。
【0230】
[000227] 2つのコレクタ電極604、606が接触している嵌め合わせ面で、内部チャンバ614を内部チャンバ614の外側から封止するように、2つのコレクタ電極604、606の間にシール616が配設される。シール616は内部チャンバ614を密閉するように配置され得るため、2つのコレクタ電極604、606の間に気密シールが作成される。こうした構成において、内部チャンバ614は真空チャンバとして機能することができる。内部チャンバ614内の圧力を制御するために、1つ以上の真空ポンプ(図示せず)が提供され得る。
【0231】
[000228] 2つのコレクタ電極604、606の突出部604b、606bは各々、基部604a、606aそれぞれからの、概して立方体状の突起の形である。2つのコレクタ電極604、606の突出部604b、606bは、内部チャンバ614内へと突出し、2つのコレクタ電極604、606が相互に係合されるとき、通常、突出部604b、606bは、相互に平行となる。
【0232】
[000229] 導電性サポート602は、絶縁サポート618を介して第2のコレクタ電極606の基部606aに接続される。絶縁サポート618は非導電性材料から形成され、1つ以上のスペーサアパーチャ620を備える。導電性サポート602及び絶縁サポート618は、どちらも矩形フレームの形、すなわち、中央矩形アパーチャを有する概して矩形のプレートである。
【0233】
[000230] 電圧源608は、導電性サポート602によって支持されるメンブレン211及び2つのコレクタ電極604、606の各々にわたって電圧を印加するように配置される。電圧源608は、2つのコレクタ電極604、606によって形成される内部チャンバ614の外部に配設される。電圧源608の第1の電気端子は、第1のワイヤ622を介して(第1のコレクタ電極604と電気的に接触している)第2のコレクタ電極606に電気的に接続される。電圧源608の第2の電気端子は、第2のワイヤ624を介して導電性サポート602に電気的に接続される。第2のコレクタ電極606には、真空フィードスルー626が提供される。第2のワイヤ624は真空フィードスルー626を通過する。
【0234】
[000231] 導電性サポート602は、メンブレン211又はメンブレンアセンブリ208を支持するためのメンブレンサポートであると見なされ得る。電圧源608及び2つのコレクタ電極604、606は、導電性サポート602によって支持されているとき、メンブレン211の近くに電界を生成するための電界生成機構であると見なされ得る。
【0235】
[000232] メンブレンクリーニング装置は、次に考察するように、メンブレン211をクリーニングするために使用され得る。メンブレン211はペリクルメンブレン16であってよく、ドープされた多結晶シリコンなどの、非ゼロの導電率を伴う材料から形成され得る。メンブレンアセンブリ208は、メンブレン211の面の一方又は両方の側に導電性(例えば、金属又は導電性セラミック)コーティング209も備え得る。
【0236】
[000233] 使用中、メンブレンアセンブリ208は、メンブレンアセンブリ208の導電性表面209が導電性サポート602と電気的に接触するように、フレーム212が導電性サポート602によって支持されるように配設される。
【0237】
[000234] 前述のように、内部チャンバ614内の圧力を制御するために、1つ以上の真空ポンプ(図示せず)が提供され得る。特に、真空ポンプ装置(図示せず)を使用して、内部チャンバ614内の圧力を真空状態近くまで低下させることができる。例えば、1つ以上の真空ポンプは、内部チャンバ614内の圧力を<10-3mBarまで、好ましくは<10-6mBarまで低減させるように動作可能であり得る。絶縁サポート618内のスペーサ装置620は、内部チャンバ614の圧力をメンブレン211の面の両側で等しくすることができる。
【0238】
[000235] 電圧源608は、電圧源608の電気端子にわたって電圧を印加するように動作可能であり、結果として、メンブレンアセンブリ208の導電性表面209及びコレクタ電極604、606(2つのコレクタ電極604、606は互いに電気的に接続されている)にわたる電圧が生じることになる。コレクタ電極604、606及びメンブレンアセンブリ208の導電性表面209は、閉回路の一部ではない。したがって、コレクタ電極604、606及びメンブレン211上に電荷の蓄積を生じさせることができる。この電荷の蓄積がメンブレン211の近くに電界を生み出し、電界はメンブレン211の面の両側で反対の方向を有する。
【0239】
[000236]
図6には、メンブレン211の反対表面上に配設された2つのパーティクル630、632も示されている。
図7a及び
図7bは、メンブレンクリーニング装置600を使用するクリーニングプロセスの間の2つの異なる時点での、メンブレン211と、2つのコレクタ電極604、606の突出部604b、606bとの、拡大部分を示す。
【0240】
[000237] メンブレン211のいずれかの表面に配設される非ゼロの表面導電率を伴うパーティクル630、632は、電圧源608によって印加される電圧の結果として、メンブレン211から電荷を獲得し得る。パーティクル630、632の電荷は、パーティクル630、632が配設されたメンブレン211の表面に対向するコレクタ電極604、606に向かって、パーティクル630、632を引き付ける静電力が存在するものである。メンブレン211のいずれかの側の導電性及び誘電性パーティクル630、632は、どちらもこうした誘起電荷を受ける(誘電パーティクルでさえ、有限非ゼロの表面導電率を有する)。
【0241】
[000238] 追加又は代替として、パーティクル630、632は、メンブレン211の表面との摩擦電気相互作用を介して、電荷を獲得し得る。パーティクル630、632の電荷は、正又は負のいずれかであり得る。パーティクル630、632の電荷は、(パーティクル210の電荷の符号に依存して)、メンブレン211、又は、パーティクル630、632が配設されたメンブレン211の表面に対向するコレクタ電極604、606の、いずれかに向かって、パーティクル630、632を引き付ける静電力が存在するものである。メンブレン211及び2つのコレクタ電極604、606の各々にわたって、(電圧源608によって)十分に大きな電圧が印加されるとき、誘起電荷は、いずれの摩擦電気誘起電荷よりも大きいことを理解されよう。更に、下記で詳細に説明するように、メンブレン211の面の両側に提供される2つのコレクタ電極604、606を使用することによって、
図6に示されるメンブレンクリーニング装置600の実施形態は、メンブレン211が破断することなしに、相対的に大きな電界(及び、したがって誘起電荷)を生成することが可能である。したがって、
図6に示されるメンブレンクリーニング装置600の実施形態の場合、摩擦電気誘起電荷は無関係であり得る。
【0242】
[000239] したがって、電圧源608の電気端子にわたる電圧の印加は、結果として、パーティクル630、632が配設されたメンブレン211の表面に対向するコレクタ電極604、606に向かってパーティクル630、632を引き付ける力F1、F2が、メンブレン211上の少なくともいくつかのパーティクル630、632に印加されることになる。静電引力F1、F2の大きさは、パーティクル630、632が経験する電界の強度の二乗に比例する。十分に大きな電圧の場合、これらの力F1、F2は、パーティクル630、632とメンブレン211との間の結合力(例えば、ファンデルワールス力)を超えることになり、またパーティクル630、632は、メンブレン211から離れて、及び、パーティクル630、632が配設されたメンブレン211の表面に対向するコレクタ電極604、606に向かって、加速することになる。
【0243】
[000240] 2つのコレクタ電極604、606の各々の突出部604b、606bには絶縁コーティング634、636が提供される。絶縁コーティング634、636は、コレクタ電極604、606と、前述の電界を介してコレクタ電極604、606に引き付けられている任意のパーティクル630、632との間での、電荷転移を防止する。これによって、パーティクル630、632がコレクタ電極604、606からメンブレン211に移送されるのを防止することができる。絶縁コーティング634、636は、メンブレンクリーニング装置600の使用中、電圧供給608によって生成される電界を超える破壊強度を有し得る。
【0244】
[000241] パーティクル630、632が体験する電界の強度は、メンブレン211及びコレクタ電極604、606にわたって印加される電圧を制御することによって、制御され得る。加えて、パーティクル630、632が体験する電界の強度は、メンブレン211とコレクタ電極604、606の各々との間の分離距離638、640を制御すること、及び/又は、絶縁コーティング634、636の電磁特性及び/又は厚み642、644を制御することによって、制御され得る。
【0245】
[000242] メンブレンクリーニング装置600は、使用中、メンブレン211の2つの反対表面上の電界強度のバランスを全体として取るために、メンブレン211とコレクタ電極604、606の各々との間の距離638、640、及び、絶縁コーティング634、636の各々の厚み642、644が選択されるように、構成される。メンブレン211の2つの反対表面上の電界強度のバランスを取ることによって、メンブレン211の両側に印加される静電圧力(矢印646、648によって概略的に表される)もバランスを取られる。
【0246】
[000243]
図7bに示されるように、パーティクル630、632がコレクタ電極604、606に静電的に転移すると、絶縁コーティング634、636は電荷漏れを防止し、コレクタ電極604、606からメンブレン211へのパーティクルの逆転移のリスクを低減させる。したがって、次に静電引力F
1、F
2は、パーティクル630、632を絶縁コーティング634、636に押し付け、電圧供給608によって印加されるバイアスが除去されない限り、パーティクル630、632を定位置に保持する。このバイアス電圧が除去されると、パーティクル630、632はファンデルワールス相互作用を介して絶縁コーティング634、636に結合される。
【0247】
[000244]
図6に示されるメンブレンクリーニング装置600は、電界を使用してパーティクル630、632をメンブレン211から除去可能な配置を提供する。使用中、メンブレンアセンブリ208は、導電性サポート602によって支持可能である。メンブレン211が導電性サポート602によって支持されているとき、パーティクル630、632をメンブレン211の表面から取り除き、こうしたパーティクル630、632をメンブレン211の表面から離れて移送するために、電圧源608及び2つのコレクタ電極604、606を使用して、メンブレン211の近くに電界を生成することができる。
【0248】
[000245]
図6に示されるメンブレンクリーニング装置600の実施形態は、十分な横方向の(メンブレンの面から外への)負荷の下で破断する傾向があり得るほど十分に薄い可能性のある、メンブレン211のクリーニングに、特に適切である。例えば、ペリクル15の場合、約100Pa又はそれ以上の横方向圧力の印加は、結果としてメンブレンの破断を生じさせ得る。2つのコレクタ電極604、606がメンブレン211の面の両側に提供されるため、(導電性サポート602によって支持されているとき)メンブレン211の2つの反対表面の近くに同時に電界を生成することが可能であり、メンブレン211の2つの反対表面の近くの電界は反対方向になる。有利なことに、これによってメンブレン211の両側の圧力を少なくとも部分的に等しくすることができる。これによって、より大きな電界が使用可能になり、よりレベルの高いクリーニングが提供できる。
【0249】
[000246] いくつかの実施形態において、メンブレンクリーニング装置600は、電界の大きさがメンブレン211の両側で実質的に等しいように配置され得る(電界の方向はメンブレン211の両側で異なる)。
【0250】
[000247] いくつかの実施形態において、メンブレンクリーニング装置600は、EUVリソグラフィ装置LA内でペリクル15が経験し得る典型的な電界を超える電界を、メンブレン211の近くに生成するように配置され得る。例えば、EUVリソグラフィ装置(
図1を参照)において、パターニングデバイスMAは静電クランプを介して支持構造MTに取り付けることができる。パターニングデバイスMAをカバーするように、ペリクル15を支持構造MTに取り付けることもできる。こうした配置では、静電クランプはおよそ1~10kV(例えば、4kV)のクランプ電圧を生成することができ、ペリクル15は、パターニングデバイスMAから約1~5mm(例えば、2mm)の距離に配設され得る。こうした配置では、約2から20MV/mの電界がペリクル15の近くに生成され得る。これにより、ペリクル15上の任意のパーティクルに、パーティクルをペリクル15に結合する結合力(例えば、ファンデルワールス力)を超える力を及ぼすことができ、これがパーティクルをペリクル15から離れて、及びパターニングデバイスMAに向かって加速させる。加えて、EUVリソグラフィ装置内に、EUV放射への露光時にEUVプラズマを形成し得るガス(例えば、水素)の低圧供給が存在し得る。こうしたEUV誘起プラズマは、有限(非ゼロ)の導電率を有し得、ペリクル15と、(ペリクル15に対して)数kVまでバイアスされ、薄い絶縁コーティングが提供され得る、静電クランプの1つ以上の部分との間に、電気的接触を提供し得る。
図6に示されるメンブレンクリーニング装置600を使用してペリクル15をクリーニングすること、及び、EUVリソグラフィ装置LA内でペリクルが経験し得る典型的な電界を超える電界をペリクルの近くに生成することによって、EUVリソグラフィ装置内のパターニングデバイスMAに転移可能なペリクルのほぼすべてが、ペリクル15が使用される前に除去され得る。
【0251】
[000248] したがって、いくつかの実施形態において、メンブレンクリーニング装置600は、メンブレン211の近くに約1~20MV/mの電界強度を生成するように動作可能であり得る。例えばこれは、メンブレン211とコレクタ電極604、606の各々との間に約0.1~2mmの距離を提供すること、及び、電圧源608の電気端子にわたって、約0.1から40kVの電圧を生成するように動作可能な電圧供給608を提供すること(結果として、メンブレンアセンブリ208の導電性表面209及びコレクタ電極604、606にわたる電圧を生じさせる)によって達成され得る。
【0252】
[000249] 発明者等は、メンブレンの一方の側にのみ生成される場合、メンブレンを破断させる可能性がある電界を、メンブレン211の近くに生成することが望ましいものと理解した。
図6に示されるメンブレンクリーニング装置600は、印加される圧力のバランスを少なくとも部分的に取るように、実質的に等しく、反対の電界をメンブレンの両側に生成することによって、これを回避する。
【0253】
[000250] 一般に、いくつかの実施形態において、メンブレンクリーニング装置600のいずれの導電性コンポーネントにも、電界の集中する(鋭利な)ポイント又は縁部において(特に、電圧供給608によって大きな電圧が印加されるときに)発生し得る、火花発生やアーチ作用のリスクを低減させるために、丸みを帯びた縁部が提供され得る。例えば、
図6を見るとわかるように、コレクタ電極604、606、及び特にコレクタ電極604、606の突出部604b、606b、及び導電性サポート602には、この理由で丸みを帯びた縁部が与えられている。加えて、メンブレンアセンブリ208には、任意の鋭利な縁部(例えば、フレーム212上)及び/又は金属化縁部(簡潔さのために省略)を隠すために、更にカバー又は覆いを提供することができる。
【0254】
[000251] 本実施形態では、2つのコレクタ電極604、606は(すなわち、実質的に同じ電圧で)電気的に接触されているが、代替実施形態では、コレクタ電極は接続されていない可能性があるものの、依然として実質的に等しい電圧で維持され得ることを理解されよう。更なる代替実施形態では、コレクタ電極は接続されておらず、異なる電圧で維持され得、これは例えば、メンブレン211の両側での静電力が実質的にバランスを取ることを依然として保証するように、2つのコレクタ電極604、606がメンブレン211から等距離でないように位置決めされた場合、望ましい可能性がある。
【0255】
本実施形態は導電性サポート602を備えるが、代替実施形態では、第1及び第2のワイヤ622、624は、メンブレン211に直接接続するか、又は代替として、メンブレンアセンブリ208を支持していない(例えば、メンブレンフレーム212の上面に接続され得る)導電性部材が提供され得ることを理解されよう。
【0256】
[000252] 本発明のいくつかの実施形態は、クリーニングするべきメンブレンの少なくとも1つの表面の近くに電界を生成するように動作可能な電界生成機構を、メンブレンの少なくとも1つの表面の近隣にプラズマを生成するように動作可能なプラズマ生成機構と組み合わせて利用する。電界生成機構は、電界の方向を反転させるように動作可能である。次に、こうした実施形態の2つの例を
図8a、
図8b、及び
図8cを参照しながら説明する。
【0257】
[000253]
図8aは、2つの電極802、804及び電圧源806を備える、クリーニング装置800の一部の断面を示す。電圧源806は、ワイヤ808、810を介して2つの電極802、804に接続され、2つの電極802、804にわたって電圧を印加するように配置される。
【0258】
[000254] クリーニングすべきメンブレン211は、2つの電極211の間に配設される。図示されていないが、メンブレン211はメンブレンアセンブリの一部を形成し得、またメンブレンサポートによって支持され得ることを理解されよう。こうしたメンブレンアセンブリ及びメンブレンサポートは、概して、上記で本発明の他の実施形態について説明した、対応するメンブレンアセンブリ及びメンブレンサポートの形であり得る。
【0259】
[000255] メンブレンクリーニング装置800は、メンブレン211の2つの表面の近隣にプラズマ812を生成するように動作可能な、プラズマ生成機構も備える。
【0260】
[000256]
図8bは、2つの電極802、804及び電圧源806も備えるクリーニング装置820の一部の断面を示す。
図8aに示されるクリーニング装置800とは対照的に、
図8bに示されるクリーニング装置820の電圧源806は、電圧源806の一方の端子がワイヤ808a、808bを介して2つの電極802、804に接続され、電圧源806の他方の端子はワイヤ810を介してメンブレン211の導電性部分209に接続されるように、接続される。したがって、電圧源806は、メンブレン211及び電極802、804の各々にわたって電圧を印加するように配置される。
【0261】
[000257] 再度、図には示されていないが、メンブレン211はメンブレンアセンブリの一部を形成し得、メンブレンサポートによって支持され得ること(及び、ワイヤ808bとメンブレン211との間の電気接続は、こうしたメンブレンサポートの導電性部分を介し得ること)を理解されよう。こうしたメンブレンアセンブリ及びメンブレンサポートは、概して、本発明の他の実施形態について上記で説明した、対応するメンブレンアセンブリ及びメンブレンサポートの形であり得る。
【0262】
[000258] メンブレンクリーニング装置820は、メンブレン211の2つの表面の近隣にプラズマ812を生成するように動作可能な、プラズマ生成機構も備える。
【0263】
[000259]
図8cは、1つの電極802及び電圧源806を備える、クリーニング装置850の一部の断面を示す。電圧源806は、ワイヤ808、810を介して電極802及びメンブレン211の導電性部分209に接続され、電極802及びメンブレン211にわたって電圧を印加するように配置される。
【0264】
[000260] 再度、図には示されていないが、メンブレン211はメンブレンアセンブリの一部を形成し得、メンブレンサポートによって支持され得ること(及び、ワイヤ810とメンブレン211との間の電気接続は、こうしたメンブレンサポートの導電性部分を介し得ること)を理解されよう。こうしたメンブレンアセンブリ及びメンブレンサポートは、概して、本発明の他の実施形態について上記で説明した、対応するメンブレンアセンブリ及びメンブレンサポートの形であり得る。
【0265】
[000261] クリーニング装置850は、電極802とメンブレン211との間に(すなわち、電極802に対向するメンブレン211の表面の近隣に)プラズマ812を生成するように動作可能な、プラズマ生成機構も備える。
【0266】
[000262]
図8aから
図8cに示されるクリーニング装置800、820、850の各々において、プラズマ812は相対的に低い圧力を有し得る。本明細書で使用する場合、相対的に低い圧力のプラズマ812とは、プラズマの密度が、メンブレン211と電極802、804との間のいずれの印加バイアスも、結果として火花発生又は他の高電流放電を生じさせないようなものである(例えば、100mAを超える電流を伴う放電はない)ことを意味し得る。
【0267】
[000263]
図8aに示されるようなクリーニング装置800の配置の利点は、本配置が、クリーニングされているメンブレン211へのいかなる電気的接続も必要としないことである。
【0268】
[000264]
図8bに示されるようなクリーニング装置820の配置の利点は、本配置が、(
図6に示されるクリーニング装置600と同様の様式で)メンブレン211の両側に反対の電界を生成できることである。メンブレン211の両側の電界強度が実質的に等しい(が反対である)場合、メンブレンの2つの反対面に印加される静電圧力は実質的に等しく、これがメンブレンを破断するリスクを低減させ、電圧源806によって印加可能なバイアス電圧の量を増加させる。
【0269】
[000265]
図8aから
図8cに示されるクリーニング装置800、820、850の各々において、プラズマ812内の電子及びイオンの移動性における差異に起因して、電圧源806によって印加されるバイアス電圧がない場合、プラズマに接触するすべての表面は負に荷電される。特に、メンブレン211の表面は負に荷電される。これは、導電性に乏しい(またしたがって、メンブレンクリーニング装置200、500、600の前述の実施形態によって十分にクリーニングできない)パーティクル814、816を荷電する際に使用可能な機構である。
【0270】
[000266]
図8aから
図8cに示されるクリーニング装置800、820、850のいくつかの実施形態において、電圧源806は、メンブレン211の少なくとも1つの表面の近くに電界を生成する、バイアス電圧を印加するように動作可能であり得る。したがって、メンブレン211と電極802、804との間にバイアス電圧が存在する。これによって有限導電率プラズマ812を介する電流が生じ、導電性に乏しいパーティクル814、816の表面に電荷を堆積させることになる。したがって、プラズマ812の有限(非ゼロ)導電率に起因して、メンブレン211及びメンブレン211上の任意のパーティクル814、816は、最も近いバイアス電極(802、804)の電位(及び対応する電荷)を取得する。これが、導電性に乏しく、またメンブレン211上の電界に十分適切に追従しないため、メンブレンクリーニング装置200、500、600の前述の実施形態によって十分にクリーニングされないパーティクル814、816に、強化電荷を与えるやり方である。このバイアス電圧は、荷電電圧と呼ばれることがある。
【0271】
[000267]
図8aから
図8cに示されるクリーニング装置800、820、850の各々において、電圧源806によってバイアス電圧が印加されるとき、プラズマは、メンブレン211の一方又は両方の表面の近隣に仮想電極を形成するものと見なされ得る。この仮想電極は、メンブレンの表面の近隣にプラズマシースによって提供され、メンブレン211のその表面に対向するコレクタ電極802、804と同じ極性を有する。
【0272】
[000268] 電圧源806は、プラズマから電荷を受け取ったパーティクル814、816をメンブレンから離す、バイアス電圧を提供するように動作可能である。このバイアス電圧は、リリース電圧と呼ばれることがある。電荷がプラズマからのみ獲得された(電圧源806からのバイアス電圧がない)実施形態の場合、これは、(負に荷電された)パーティクル814、816をメンブレン211から離すバイアス電圧を印加することによって、達成される。電荷がプラズマから獲得された、電圧源806からのバイアス電圧が存在する実施形態の場合、これは、バイアス電圧の極性を反転させることによって達成される。リリースバイアスが十分迅速にオンに切り替えられた場合、プラズマ812を介して電荷を獲得したメンブレン211上に配設された任意のパーティクル814、816は、メンブレン211から離れて、及びそのパーティクル802、804が対向する電極802、804に向かって誘導される、静電力の作用を受ける。十分大きなバイアス電圧の場合、これらの力は、パーティクル814、816とメンブレン211との間の結合力(例えば、ファンデルワールス力)を超え、パーティクル814、816は、メンブレン211から離れて、及び、パーティクル814、816が配設されたメンブレン211の表面に対向するコレクタ電極802、804に向けて、加速する。任意選択として、プラズマ生成機構は、リリース電圧をオンに切り替える前に、プラズマ812がオフに切り替えられるように配置され得る。これにより、パーティクル上の電荷減衰の効果を減少させ、続いてバイアル極性を反転させ得る。
【0273】
[000269] これらの実施形態について、メンブレン211と電極802、804との間でプラズマ812を支持するために、メンブレン211と電極802、804との間の距離は、典型的には、他の前述の実施形態のメンブレン211とコレクタ電極との間の距離よりも大きくなることに留意されたい。メンブレン211は、約100cm2の面積を有し得、メンブレン211と電極802、804との間にプラズマ812を生み出し、これを支持するために、メンブレン211と電極802、804との間の距離は約30~300mmであり得る。パーティクルをリリースするために必要なバイアス電圧は、メンブレン211と電極802、804との間の距離の関数であるが、およそ30~300mmのメンブレン211と電極802、804との間の距離の場合、およそ100~1000Vであり得る。
【0274】
[000270] ペリクルは典型的には導電層を有するため、本実施形態では、(
図8b及び
図8cに示されるメンブレンクリーニング装置820、850におけるように)バイアス電圧をペリクルに直接印加することができる。代替として、メンブレン211は2つの電極802、804の間に載置され得、バイアス電圧は(例えば、
図8aに示されるメンブレンクリーニング装置800におけるように)これらの電極802、804のうちの一方又は両方に印加され得る。前述のように、この後者の方式は、メンブレン211への直接接続が不要であるため、メンブレン211への機械的損傷のリスクを低減することができる。
【0275】
[000271] プラズマ812からメンブレン211へと流れるイオン電流を最小にする(結果としてパーティクル814、816の電荷中和を生じさせる)ために、リリースバイアス電圧は、例えば<0.1msの時間尺度で、迅速にオンに切り替えるべきである。
【0276】
[000272] バイアス電圧が印加される間、プラズマ812がオンのままである実施形態の場合、バイアス電圧によってリリースされるパーティクルはプラズマ812内にトラップされ、他の場所に移送することができる。
【0277】
[000273] プラズマ812と電圧源806からの印加電圧とが存在する状況下では、メンブレン211を介して流れる電流が存在することになる。電流の大きさは、印加電圧とプラズマ812の密度の両方に依存する。この電流が、結果として、望ましくない可能性のあるメンブレン211のジュール加熱を生じさせる。メンブレン211は、約10cm×10cmの寸法を有し得、約100nmの厚みを有し得る。メンブレン211は、約100Ωの抵抗を有し得る。これらの(プラズマ812及び印加電圧を有する)状況の時間範囲は、メンブレン211を介して流れる電流によって発生する熱が、メンブレン211が機能しなくなる温度までメンブレン211を加熱することなく消散できるように制限され得る。これは、印加電圧の時間範囲を制御すること及び/又はプラズマ812がオンに切り替えられるタイミングを制御することによって、制御可能である。メンブレンの温度が500℃を超えないことを保証することが望ましい場合がある。
【0278】
[000274] いくつかの実施形態において、メンブレン211のジュール加熱を制限するために、バイアス電圧をパルス電圧として印加し得る。パルス電圧を印加することは、電流がメンブレン211を介して流れる間の時間を制限する。こうした動作モードでは、パーティクル814、816は、最小加熱及びイオンによる最小電荷中和でリリース可能である。
【0279】
[000275] パルス電圧のデューティサイクルが、メンブレン211を介して流れる電流によって発生する熱が、メンブレン211が機能しなくなる温度までメンブレン211を加熱することなく消散できることを保証するように制限され得ることを理解されよう。例えば、デューティサイクルは10%以下、例えば1%以下であり得る。パルス電圧の周波数は、1Hzと10kHzとの間であり得る。また、ジュール加熱を制限するために、パルス電圧のパルス持続時間は、1ms未満であり得る。例えば、パルス電圧のパルス持続時間は10us未満であり得る。
【0280】
[000276] いくつかの実施形態において、十分なクリーニングを提供するために、メンブレンの近くの電界強度は少なくとも10kV/mであり、より好ましくは少なくとも100kV/mである。電界強度は、電圧供給806によって印加されるバイアス電圧、及び、メンブレン211とコレクタ電極802、804との間の距離に、依存することを理解されよう。しかしながら、電界強度は、プラズマ812(例えば、プラズマのタイプ、プラズマの密度など)にも依存し、プラズマ812は、通常、望ましいターゲット電界強度を達成するために印加されるべき電圧を低減させる。いくつかの実施形態において、パルス電圧の大きさは少なくとも100Vであり得る。例えば、パルス電圧の大きさは少なくとも1000Vであり得る。
【0281】
[000277] いくつかの実施形態において、パルス電圧の各パルスは、第1の極性を有する(及び、荷電電圧と呼ばれることのある)第1の部分と、第2の反対の極性を有する(及び、リリース電圧と呼ばれることのある)第2の部分とを備え得る。有利なことに、こうした配置では、第1の部分の間、プラズマ812はパーティクル814、816を、そのパーティクル814、816に対向する電極802、804の電位の極性に対応する電荷で荷電することになる。第2の部分において、バイアス電圧の極性は逆である。これが十分迅速に行われる場合、プラズマ812を介して電荷を得るメンブレン211上に配設されたいずれのパーティクル814、816にも、メンブレン211から離れて、及びパーティクル814、816が対向している電極802、804に向かって誘導される、静電力が作用することになる。
【0282】
[000278] 追加又は代替として、プラズマ812は、極性の反転の前に1ms以下の、好ましくは1us以下の遅延で、オフに切り替えられ得る。
【0283】
[000279] 例えばプラズマ生成機構は、プラズマ812が、パルス電圧の後続のパルス間でオンに切り替えられるように、及び、パルス電圧のパルス中にオフに切り替えられるように、配置され得る。
【0284】
[000280] プラズマ生成機構をこのように、特にパルス電圧のパルス中にプラズマ812をオフに切り替えるように、パルス電圧と同期させることによって、メンブレン211を介して流れる電流の量を制限することができる。こうした配置によって、大きさ及び電圧パルスの時間範囲に対するいずれの制限も、緩和することができる。この配置によって、(例えば、メンブレンの両側の静電圧力のバランスを実質的に取ることを保証するように、電圧が印加される場合)、電圧パルスの大きさ及び時間範囲に対する制限がない場合もあり得る。
【0285】
[000281] こうした配置では、プラズマ812は減衰するにつれて、メンブレン211を介して高電流を流すことなく、メンブレン211上の導電性に乏しいパーティクル814、816に依然として荷電することが可能である。
【0286】
[000282] パーティクル814、816を除去するためにバイアス電圧を導入するこの手順は、任意の都合の良い周波数で繰り返すことが可能である。例えば、パーティクル814、816を除去するためにバイアス電圧を反転させる手順は、およそ1Hzから10kHzの間の周波数で繰り返すことが可能である。こうした配置は、およそ30nm及びそれより大きい寸法のほぼすべてのパーティクルを効率的且つ迅速に除去することが可能であることがわかっている。例えば、こうした配置は、およそ30nm及びそれより大きい寸法のパーティクルの>99%を、1秒未満のクリーニング時間内で効率的且つ陣族に除去することが可能であることがわかっている。
【0287】
[000283] 次に、本発明の第5の実施形態に従ったメンブレンクリーニング装置900を、メンブレンクリーニング装置900を介した断面を示す
図9を参照しながら説明する。
【0288】
[000284]
図9に示されるメンブレンクリーニング装置900は、
図5に示されるメンブレンクリーニング装置500と共通のいくつかの特徴を共有している。
図5に示されるメンブレンクリーニング装置500の特徴に概して対応し、この特徴と概して同じであり得る、
図9に示されるメンブレンクリーニング装置900の任意の特徴は、共通の参照番号を共有する。
【0289】
[000285]
図9に示されるメンブレンクリーニング装置900と
図5に示されるメンブレンクリーニング装置500との間の相違点のみを、下記で詳細に考察する。
【0290】
[000286] メンブレンクリーニング装置900は、
図5に示されるメンブレンクリーニング装置500と同様に、真空チャンバ901、ウィンドウ912、ワイヤ206a、206b、及び真空フィードスルー207a、207bを備える。
【0291】
[000287] メンブレンクリーニング装置900は、サポート904、2つの電極902a、902b、電圧源905、レーザ914、及びビームデリバリシステム918も備える。使用中、(メンブレン211及び概して矩形のフレーム212を備える)メンブレンアセンブリ208が、サポート904上に配設される。
【0292】
[000288] 電圧源905は、
図2に示される電圧源205と概して同じ形であり得る。電圧源905は、時変電圧(例えば、複数のパルスを備える時変電圧)を印加するように配置され得る。
【0293】
[000289]
図9に示されるメンブレンクリーニング装置900と
図5に示されるメンブレンクリーニング装置500との間の相違点は、
図9に示されるメンブレンクリーニング装置900がメンブレン211内に機械的振動を誘起するための異なる機構を備える点である。
【0294】
[000290]
図9に示されるメンブレンクリーニング装置900と
図5に示されるメンブレンクリーニング装置500との間の別の相違点は、メンブレン211の少なくとも一部の温度を制御するために、メンブレンクリーニング装置900のレーザ914及びビームデリバリシステム918が提供される点である。
【0295】
[000291]
図9に示されるメンブレンクリーニング装置900と
図5に示されるメンブレンクリーニング装置500との間の別の相違点は、電極902a、902bの配置が電極502の配置とは異なる点である。
【0296】
[000292] 電圧源905の一方の端子は、真空フィードスルー207aを介して進むワイヤ206aを使用して、電極902aに接続される。電圧源905の反対の端子は、真空フィードスルー207bを介して進むワイヤ206bを使用して、電極902bに接続される。2つの電極902a、902bは互いに近隣である。電極902a、902bは、メンブレンアセンブリ208のメンブレン211の同じ側に配設される。2つの電極902a、902bは、メンブレン211の近隣であり、これに対向する、より小さな断面積をその端部に有するテーパ部分を備え得る。
【0297】
[000293] 使用中、メンブレンアセンブリ208のメンブレン211の電位は、流動的であり得る(すなわち、固定されない)。代替として、メンブレンアセンブリ208のメンブレン211は、固定電位(固定DCバイアス又は接地など)で保持され得る。メンブレン211を流動電位で有することが好ましい場合がある。
【0298】
[000294] メンブレン211の電位は、メンブレン211を電圧源(図示せず)に接続することによって制御され得る。代替として、メンブレン211の電位は、サポート904を電圧源(図示せず)に接続することによって制御され得る。メンブレンアセンブリ208の導電性コーティング209はサポート904と接触しており、それによってサポート904とメンブレン211との間の電気接触が保証される。電荷はメンブレン211上に蓄積され得る。
【0299】
[000295] 2つの電極902a、902bは、メンブレン211がサポート904によって支持されているとき、メンブレン211の表面に近接して位置決め可能である。使用中、電極902a、902bはメンブレン211に近接して配設される。電圧源905は、電極902a、902bにわたって電圧を印加する。したがって電荷は、電極902a、902b上に蓄積可能である。メンブレン211の電位が固定されているか流動的であるかに関わらず、メンブレン211と電極902a、902bとの間に一般的な電位差(バイアス)が存在し得る。
【0300】
[000296] 電荷が電極902a、902b上に蓄積すると、電極902a、902b及びメンブレン211の近くに電界が存在する。メンブレン211内の電荷キャリアは、メンブレン211内に電荷が誘起されるようにシフトし得る。メンブレン211上にあるパーティクル210も誘起された電荷を獲得し得る。
【0301】
[000297] 電荷が電極902a、902b上(及びメンブレン211上)に蓄積すると、電極902a、902bの各々とメンブレン211との間に静電引力が存在することになる。
【0302】
[000298] メンブレン211は相対的に薄く、したがって柔軟であるため、メンブレン211は、メンブレン211と電極902a、902bの各々との間の任意の引力によって歪曲される。
【0303】
[000299] 電荷の蓄積は、メンブレンアセンブリ208の近くに静電力を生じさせ、現行実施形態において活用される。具体的に言えば、機械的振動は、この静電力の時間的特徴を構成することによってメンブレン211内で誘起される。これは、本発明の現行実施形態に従い、電極902a、902bにわたって時変電圧を印加することによって、及び、メンブレン211の電位を流動的にすること、又はメンブレン211を固定された電位(すなわち、固定電圧)で保持することのいずれかによって、達成される。
【0304】
[000300]
図2、
図3、及び
図4を参照しながら上記で説明したように、パルス静電力はメンブレン211内に振動を誘起シエル。パーティクル210及びこれが配設されるメンブレン211は、合成振動システムとして作用し得、メンブレン211の振動の特定の(共振)周波数の場合、パーティクル210とメンブレン211との間の分離は、パーティクル210がもはやメンブレン211と結合しなくなるような程度まで増加し得る。パーティクル210の共振周波数でメンブレン内に振動を誘起することによる、メンブレン211からのパーティクル210の除去のこの原理は、メンブレンクリーニング装置900において活用される。
【0305】
[000301] 電極902a、902bにわたる時変電圧の印加中、メンブレン211と電極902a、902bとの間に時平均正味電界が存在し得る。前述のように、メンブレン211から除去されるいずれのパーティクル210も、電荷を獲得し得る。パーティクル210のこの電荷、及び、メンブレン211と電極902a、902bとの間の正味電界は、メンブレンクリーニング装置900を使用してメンブレン211から除去されたいずれのパーティクル210も電極902a、902bに向かって引き付けられ得るようなものであり得る。
【0306】
[000302] 電極902a、902bは、メンブレン211内に振動を誘起するために使用される。したがって電極902a、902bは、励起電極と呼ぶことができる。パーティクル210は、メンブレン211から除去された後、パーティクル210の電荷に、及び電極902a、902bの各々の極性に依存して、電極902a、902bのうちの1つ又は両方に引き付けられ得る。したがって、電極902a、902bは、コレクタ電極と呼ぶことができる。
【0307】
[000303] リソグラフィ装置(リソグラフィ装置LAなど)内で使用されるとき、パターニングデバイス(パターニングデバイスMAなど)に対向するメンブレン211の側は、メンブレン211の「クリティカル側」と呼ぶことができ、これは、このクリティカル側から、メンブレン211上に配設されるパーティクル210がパターニングデバイスMAに移送され、リソグラフィ性能に影響を与えるためである。リソグラフィ装置内で使用されるとき、パターニングデバイスから離れた方を向くメンブレン211の反対側は、「非クリティカル側」と呼ぶことができる。
【0308】
[000304]
図9に示されるメンブレンクリーニング装置900において、電極902a、902bは、電極902a、902bがメンブレン211のクリティカル側を向くように、メンブレン211に対して配置される。こうした配置では、メンブレン211と電極902a、902bとの間に時平均正味電界が存在するように、電極902a、902bにわたる時変電圧の印加を配置することが有益であり得る。この正味電界は、メンブレンクリーニング装置900を使用してメンブレン211(のクリティカル側)から除去されるいずれのパーティクル210も、電極902a、902bに向けて引き付けられ得ることを保証し得る。
【0309】
[000305] メンブレン211に対する電極902a、902bの配置は、
図9に示される配置とは異なる場合がある。代わりに電極902a、902bは、電極902a、902bがメンブレン211の非クリティカル側に向くように、配置され得る。例えばメンブレンアセンブリ208が
図9に示される向きとは異なる向きでサポート904上に配置されること、及び/又は、電極902a、902bが
図9に示されるエリアとは異なる真空チャンバ901のエリアに配設されることが、可能である。
【0310】
[000306] 電極902a、902bがメンブレン211の非クリティカル側を向く配置では、電界は電極902a、902bとメンブレン211との間に存在するが、この電界は通常、メンブレン211を越えて延在しない。通常、メンブレン211のクリティカル側に近接する電界は存在しない。こうした配置において、振動はメンブレン211内に誘起され得、メンブレン211上に配設されるパーティクル210は、
図9を参照しながら上記で説明したように、メンブレン211から除去され得る。しかしながら、こうした配置において、メンブレン211のクリティカル側から除去されるパーティクル210は、メンブレン211から効果的に「発射」された後、このパーティクル210の運動量の結果として、メンブレン211から離れて移送され得る。すなわち、電界は、パーティクルがメンブレン211のクリティカル側から除去された後、メンブレン211のクリティカル側から離れてパーティクル210を移送することに影響を与えない。更に、電極902a、902b及びメンブレン211は、パーティクルが(誘起された振動によって)メンブレン211のクリティカル側から除去された後、メンブレン211から離れてパーティクルを除去することを重力も助けるように、互いに対して配置され得る。
【0311】
[000307] メンブレンクリーニング装置900の(電極902a、902bがメンブレン211の非クリティカル側を向く)この改変は、メンブレン211を支持するためのメンブレンサポート、及び、メンブレン211がメンブレンサポートによって支持されているとき、メンブレン211の近くに電界を生成するための電界生成機構を、備えるように記述され得ることを理解されよう。
【0312】
[000308] メンブレンクリーニング装置900のこの改変は、メンブレン211がメンブレンサポートによって支持されているとき、メンブレン211内に機械的振動を誘起するための機構を備えるように記述され得ることを、更に理解されよう。
【0313】
[000309] 振動は、振動がメンブレンクリーニング装置200を使用してメンブレン211内に誘起される様式と同様の様式で、メンブレンクリーニング装置900を使用してメンブレン211内に誘起される。特に、メンブレンクリーニング装置900及びメンブレンクリーニング装置200の両方は、1つ以上の電極とメンブレン211との間の時変(例えば、パルス)静電力を使用して、メンブレン内に振動を誘起する。メンブレンクリーニング装置900において、メンブレン211と電極902a、902bとの間の時変又はパルス静電力は、電圧源905からの時変又はパルス電圧の印加の結果として生じる。
【0314】
[000310] メンブレン211内に振動を誘起するために利用される時変電圧は、複数の時間的に離間したパルスを含み得る。
図2に示されるメンブレンクリーニング装置200の電圧源205によって提供されるパルス電圧と同様に、電圧源905によって供給される電圧の時間的特徴は、メンブレン211の望ましい周波数レンジ(すなわち、望ましい励起スペクトル)の振動を誘起するように構成され得る。
図4を参照しながら上記で詳細に説明したように、パーティクル210の共振周波数は、基本(又は固有)周波数V
0の質量依存に起因して、パーティクル210のサイズと共に変動し得る。あるレンジのサイズを有するパーティクル210を除去するために、電圧源905によって提供されるパルス電圧は、所定のレンジ内のサイズを有するパーティクル210を除去するように調整された励起スペクトルを生み出すように構成され得る。
【0315】
[000311] ここまで説明したように、メンブレンクリーニング装置900(
図9)は、メンブレンクリーニング装置200(
図2)と実質的に同じ方法を使用して、パーティクル210をメンブレン211から除去することを理解されよう。
図9における電極902a、902bの配置は、
図2における電極202の配置とは異なる。
図9における電極902a、902bの配置は、
図2における電極202の配置に比べてより空間的に局所的なメンブレン211の励起を可能にし得る。有利なことに、
図9における電極902a、902bのこの配置は、(
図2における電極202などの)メンブレン211のより大きなエリアにわたって振動を誘起するのに十分な大きさの電極よりも、低いエネルギーで動作することが必要であり得る。これは、メンブレンクリーニング装置900の効率を向上させるように説明され得る。更に、
図9における電極902a、902bの配置は、(印加電圧の所与の振幅について)
図2における電極202によって誘起されるよりも大きな、メンブレン211の一部の振動の振幅を誘起し得る。これは、メンブレンクリーニングの有効性を向上させるものと説明することができる。
【0316】
[000312] メンブレンクリーニング装置900は、メンブレン211の少なくとも一部の温度を制御するように構成される。メンブレンクリーニング装置900は、メンブレン211の機械的振動の誘起中、メンブレン211の少なくとも一部の温度を制御するように構成される。メンブレンクリーニング装置900は、メンブレン211の少なくとも一部の温度を上昇させる(すなわち加熱する)ように構成される。特に、メンブレンクリーニング装置900は、メンブレン211の一部を、メンブレン211のその部分が機械的振動を受けるのと同時に、加熱することができる。機械的振動を受けているメンブレン211の部分を加熱することで、結果として、メンブレン211のその部分を拡張させ得る。これが、メンブレン211のその部分における局部張力を低減させ得る。メンブレン211の張力は、代替として、メンブレン211のプレテンションと呼ぶことができる。次に、メンブレン211が加熱される際に使用され得る機構について説明する。
【0317】
[000313] レーザ914はレーザ源915を備える。ビームデリバリシステム918は光学系920を備える。使用中、レーザ源915はレーザビーム916を生成する。ビームデリバリシステム918の光学系920は、レーザビーム916が、ウィンドウ912を介して伝搬するように、及びメンブレン211の表面に入射するように、ビームデリバリシステム918によって整形されるように配置される。
【0318】
[000314] レーザビーム916が入射するメンブレン211の一部は、「レーザスポット領域」と記述することができる。ビームデリバリシステム918は、レーザスポット領域が、メンブレン211の表面の望ましい部分(
図9に概略的に示される部分など)をカバーするように、レーザビーム916を整形し得る。代替として、ビームデリバリシステム918は、レーザスポット領域がフレーム212内のメンブレン211全体をカバーするように、レーザビーム916を整形し得る。ビームデリバリシステム918は、レーザビーム916の空間強度プロファイルを制御するように構成され得る。例えば、ビームデリバリシステム918は、レーザビーム916の空間強度プロファイルを、平坦(すなわち、「トップハット」)であるように整形し得る。
【0319】
[000315] レーザビーム916がメンブレン211の表面上に入射するとき、(放射)エネルギーの一部がメンブレン211の表面によって受け取られる。これが、メンブレン211のレーザスポット領域内のメンブレン211の温度を上昇させ得る。温度が上昇するメンブレン211のいずれの部分も、結果として熱膨張を受け得る。メンブレン211の一部の熱膨張は、メンブレン211の張力σを変更し得る。特に、熱膨張はメンブレン211の張力σを低減させ得る。
【0320】
[000316] メンブレンアセンブリ208のフレーム212は、通常、加熱されない。特に、フレーム212は通常、レーザビーム916によって加熱されない。したがって、メンブレン211は熱膨張を受けるが、フレーム212は受けないことができる。これは、メンブレン211が固定フレーム212内で熱膨張を受けるものと説明できる。これが、フレーム212内でのメンブレン211の「サギング」と説明できるものにつながり得る。
【0321】
[000317] 前述のように、発振器の基本周波数v0は、下記の数式によって記述され得る。
【0322】
【0323】
基本周波数v0は、√σに比例する。したがって、固定質量Mのパーティクル210(固定サイズを有するパーティクル210に対応すると想定され得る)の場合、メンブレン211における張力の低減は、メンブレン211及びパーティクル210によって定義される発振システムの基本周波数を低下させる。
【0324】
[000318] 時変電圧が電圧源905によって電極902a、902bにわたって印加される結果として、メンブレン211内で励起スペクトルが生じる。電圧源905は、通常、市販のパルス電圧源に対応し得る。こうした電圧源は、電圧パルスが提供され得る周波数の上限を有し得る。前段落で与えられた数式でわかるように、これは、メンブレン211の機械的振動を誘起することによって除去し得るパーティクルの質量(及びしたがってサイズ)について下限が存在することに対応する。
【0325】
[000319] メンブレン211内に振動が誘起される周波数を増加させることで、メンブレン211からより小さなパーティクル210の除去が可能になり、これは、電圧源905の前述の周波数上限に起因して不可能となる場合がある。しかしながら、メンブレン211の張力を低減させること(例えば、前述のように、パーティクル210の近くのメンブレン211を局所的に加熱するためにレーザビーム916を使用すること)によって、張力が低減したメンブレンの部分でのパーティクル210の振動の基本周波数も低下する。したがって電圧源905の周波数上限は、メンブレン211の張力が低減されなかった場合よりも質量の低いパーティクル210の基本周波数に対応することになる。したがって有利なことに、メンブレン211のプレテンションを(例えば、前述のようにレーザビーム916を使用して)低減させることで、メンブレン211の張力が低減されなかった場合よりも小さなパーティクル210をメンブレン211からクリーニングできるようになる。
【0326】
[000320] メンブレンクリーニング装置900は、本発明の、時変又はパルス静電引力を使用してメンブレン211からパーティクル210を除去する実施形態、及び、レーザビーム916を使用してメンブレン211の少なくとも一部を加熱する実施形態を例示しており、それによって有利には、メンブレン211から除去され得るパーティクル210のサイズレンジを増加させる。
【0327】
[000321] メンブレン211の一部のみを加熱することで、結果としてメンブレン211内に張力の再分散を生じさせ得る。これによって、レーザ914を使用することによるメンブレン211の照射部分における張力低減の有効性を制限し得る。レーザスポット領域がフレーム212内のメンブレン211全体をカバーするようにビームデリバリシステム918を構成することは、これによってメンブレン211内の張力の任意の再分散を制限し得るため、有利であり得る。レーザスポット領域は、フレーム212内のメンブレン211の表面の実質的にすべてをカバーし得る。レーザスポット領域は、フレーム212内のメンブレン211の表面のおよそ50%をカバーし得る。レーザスポット領域は、フレーム212内のメンブレン211の表面の50%未満をカバーし得る。レーザスポット領域は、フレーム212内のメンブレン211の表面のおよそ10%をカバーし得る。レーザスポット領域は、フレーム212内のメンブレン211の表面の10%未満をカバーし得る。
【0328】
[000322] いくつかの実施形態において、レーザ源915は、1Wから100Wの間の電力を有するレーザビーム916を提供するように構成可能である。前述のように、レーザスポット領域は、メンブレン211の表面の一部(
図9に概略的に示される部分など)をカバーし得る。いくつかの実施形態において、ビームデリバリシステム918の光学系920は、メンブレン211上のレーザビーム916の電力密度が1Wcm
-2から10Wcm
-2の間であるように、レーザスポット領域を整形し得る。いくつかの実施形態において、メンブレン211の一部の温度は、100℃から1000℃の間で増加し得る。いくつかの実施形態において、メンブレン211の一部の温度は、200℃から500℃の間で増加し得る。いくつかの実施形態において、メンブレン211の照射部分の張力は、10分の1から100分の1の間で低減され得る。
【0329】
[000323] いくつかの実施形態において、パーティクル210と最も近い電極902bとの間の横方向離間922は10mm未満であり得る。いくつかの実施形態において、パーティクル210と電極902bとの間の横方向離間922は1mm未満であり得る。いくつかの実施形態において、メンブレン211と電極902bとの間の離間924は1mm未満であり得る。いくつかの実施形態において、メンブレン211と電極902bとの間の離間924は0.1mm未満であり得る。
【0330】
[000324] メンブレン211の少なくとも一部を加熱し、それによってメンブレン211から除去し得るパーティクル210のサイズレンジを有利に増加させるために、どのようにレーザビーム916を使用するかを、上記で説明してきた。使用中、あるサイズレンジを有するパーティクル210をメンブレン211から除去することが望ましい場合がある。
【0331】
[000325] あるサイズレンジを有するパーティクル210をメンブレン211から除去することは、電圧源905及び電極902a、902bがメンブレン内の振動を誘起する間に、メンブレンクリーニング装置900において、メンブレン211の照射部分の張力を変化させる(スイープする)ことによって(例えば、レーザビーム916の電力を変化させることによって)、達成され得る。メンブレン211内で振動が誘起される周波数は、張力のスイープの間、固定され得る。
【0332】
[000326] あるサイズレンジを有するパーティクル210をメンブレン211から除去することは、メンブレン211の照射部分の相対的に低い張力を提供するためにレーザビーム916が使用される間に、メンブレンクリーニング装置900において、メンブレン211内で振動が誘起される周波数を変化させる(スイープする)ことによって(例えば、電圧源905によって生成されるパルス電圧の個々のパルスが提供される周波数を変化させることによって)、達成され得る。レーザビーム916の電力は、周波数のスイープの間、固定され得る。
【0333】
[000327] 使用中、メンブレンアセンブリ208は、メンブレン211の様々な部分を、メンブレンクリーニング装置900を使用してクリーニングできるように、電極902a、902bに対して移動され得る。2つの電極902a、902bは、メンブレン211がサポート904によって支持されているとき、メンブレン211の表面にわたってスキャンできるように、サポート904に対して移動され得る。使用中、メンブレンアセンブリ208は、メンブレンクリーニング装置900のレーザビーム916を使用して、メンブレン211の様々な部分を照射できるように、レーザスポット領域に対して移動され得る。使用中、ビームデリバリシステム918は、メンブレン211の表面上のレーザスポット領域の位置を制御するように構成され得る。
【0334】
[000328] 有利なことに、メンブレン211の少なくとも一部を加熱するように構成されたメンブレンクリーニング装置の任意の実施形態において、メンブレン211上に配設された固定質量のパーティクル210についての共振周波数が低減され、それによって、メンブレン211が加熱されなかった場合よりも小さなパーティクル210をメンブレン211から除去できるようになる。
【0335】
[000329] メンブレンクリーニング装置900におけるいくつかの特徴を紹介してきたが、これらの特徴は、単一の実施形態でまとめて使用される必要はないことを理解されよう。メンブレンクリーニング装置900の特徴は、他の実施形態の特徴(例えば、メンブレンクリーニング装置200の特徴)と組み合わせて使用できることを更に理解されよう。
【0336】
[000330] メンブレン211内に機械的振動を誘起しながらメンブレン211を加熱する(
図9を参照しながら上記で説明したような)方法は、
図9に示されるものとは異なる装置の設定で使用可能である。例えば、メンブレンクリーニング装置は、(メンブレン211を加熱するための)
図9のレーザ914及びビームデリバリシステム918を備え得、(パーティクル210をメンブレン211から除去するための)
図2の組み合わされた励起/コレクタ電極202も備え得る。
【0337】
[000331] メンブレン211を加熱する代替手段が使用可能である。例えば、メンブレンクリーニング装置は、(メンブレン211を加熱するための)誘導加熱装置、及び組み合わされた励起/コレクタ電極202、電極902a、902b、又は、メンブレン211内に機械的振動を誘起するように構成された電極の完全に異なる配置を備え得る。いくつかの実施形態において、誘導加熱装置のアンテナは、アンテナがフレーム212のサイズより小さいか、又はフレーム212のサイズにほぼ等しいような寸法とすることができる。いくつかの実施形態において、アンテナとメンブレン211は、10cm未満離すことができる。いくつかの実施形態において、アンテナとメンブレン211は1cm未満離すことができる。
【0338】
[000332] 次に、本発明の第6の実施形態に従ったメンブレンクリーニング装置1000を、メンブレンクリーニング装置1000を介した断面を示す
図10aを参照しながら説明する。
【0339】
[000333]
図10aに示されるメンブレンクリーニング装置1000は、本明細書で説明する他のメンブレンクリーニング装置と共通のいくつかの特徴を共有している。本明細書で説明する他のメンブレンクリーニング装置の特徴に概して対応し、この特徴と概して同じであり得る、
図10に示されるメンブレンクリーニング装置1000の任意の特徴は、共通の参照番号を共有している。
【0340】
[000334]
図10aに示されるメンブレンクリーニング装置1000と、本明細書で説明する他のメンブレンクリーニング装置との相違点のみを、下記で詳細に説明する。
【0341】
[000335] メンブレンクリーニング装置1000は、真空チャンバ1001、ワイヤ1006a、1006b、1006c、真空フィードスルー1007a、1007b、1007c、導電性サポート1004、2つの電極1002a、1002b、及び電圧源1005を備える。使用中、メンブレン211及び概して矩形のフレーム212を備えるメンブレンアセンブリ208が、導電性サポート1004上に配設される。
【0342】
[000336] 2つの電極1002a、1002bはメンブレン211の面の反対側に配設される。電極1002a、1002bはメンブレン211の反対表面に近接して配設される。2つの電極1002a、1002bは、メンブレン211全体の近隣には延在しない。2つの電極1002a、1002bは、メンブレン211の近隣であり、これに対向する、より小さな断面積をその端部に有するテーパ部分を備え得る。2つの電極1002a、1002bの各々は、メンブレン211の一部に近接して配設される(この部分は、例えば、電極1002a、1002bのテーパ部分の断面と重なる部分に対応し得る)。各電極1002a、1002bが近隣にあるメンブレン211の部分は、メンブレン211の面に平行な面内の各電極1002a、1002bの部分に依存する。本実施形態において、メンブレン211の面に平行な面内の電極1002aの位置は、電極1002bの位置と一致しない。すなわち、電極1002a、1002bはメンブレン211の反対側にあるが、互いに横方向にオフセットしていると説明できる。電極1002a、1002bは、メンブレン211の面に平行な面内の電極1002a、1002bの間の最大距離が1cmであるように位置決めされ得る。この距離は、横方向オフセットと呼ぶことができる。電極1002a、1002bは、メンブレン211の面に平行な面内の電極1002a、1002bの間の最大距離が1mmであるように位置決めされ得る。前述のように、メンブレン211の面に平行な断面内のメンブレン211に最も近い電極1002a、1002bの各々の面積(例えば、テーパ部分の面積)は、メンブレン211の面積よりも小さい。メンブレン211の面に平行な断面内のメンブレン211に最も近い電極1002a、1002bの各々の面積は、1cm2未満又は1cm2に等しい、あるいは10mm2未満又は10mm2に等しいものとすることができる。電極1002a、1002bの各々の最大寸法は、メンブレン211の面に概して垂直に一致する。
【0343】
[000337] 電極1002a、1002bは、ワイヤ1006a、1006b及び真空フィードスルー1007a、1007bを介して、電圧源1005の共通端子に接続される。導電性サポート1004は、ワイヤ1006c及び真空フィードスルー1007cを介して、電圧源1005の反対端子に接続される。現行実施形態の変形において、電圧源1005の反対端子は、その代わりにメンブレンアセンブリ208に直接接続され得る。こうした変形において、導電性サポート1004を非導電性メンブレンサポートに置き換えることができる。
【0344】
[000338] 電圧源1005は、概して、
図6に示される電圧源608と同じ形であり得る。使用中、電極1002a、1002bの各々は、実質的に等しい電圧で保持され得、メンブレン211は、電極1002a、1002bが保持されている電圧の極性の反対の極性の電圧で保持され得る。電界の大きさは、メンブレン211の両側で実質的に等しいものであり得る。電圧源1005の端子にわたって印加される電圧は、この結果を達成するように構成され得る。特に、電圧源1005の端子にわたって印加される電圧は、メンブレン211の2つの反対表面の近くの電界が、少なくとも100kV/mの大きさを有するように構成され得る。電圧源1005の端子にわたって印加される電圧は、メンブレンの2つの反対表面の近くの電界が、少なくとも1MV/mの大きさを有するように構成され得る。電極1002a、1002bのうちの1つ以上の少なくとも一部には、絶縁コーティングが提供され得る。
【0345】
[000339] メンブレンクリーニング装置1000(
図10a)は、上記で詳細に説明した、メンブレンクリーニング装置600(
図6)と実質的に同じ方法を使用して、メンブレン211からパーティクル210を除去し得る。すなわち、電極1002a、1002bは、メンブレン211から離れてパーティクル210を引き付ける電界を生成し得る。
図10aにおける電極1002a、1002bの配置は、
図6における電極604、606の配置とは異なる。
図10aにおける電極1002a、1002bの配置は、メンブレン211の相対的に空間的に局部の変形を可能にし得る。有利なことに、
図10aにおける電極1002a、1002bのこの配置を動作させるために必要なエネルギーは、(メンブレン211の2つの反対表面の近くに同じ大きさの電界を達成するために)
図6の相対的に大きな電極604、606を動作させるために必要なエネルギーよりも低くてよい。これは、メンブレンクリーニング装置1000の効率を向上させるものとして説明することができる。
【0346】
[000340] メンブレンクリーニング装置1000は、電極1002a、1002bに対してメンブレンアセンブリ208の位置を制御するための機構を備え得る。使用中、メンブレンアセンブリ208は、メンブレン211の様々な部分をメンブレンクリーニング装置1000を使用してクリーニングできるように、電極1002a、1002bに対して移動され得る。追加又は代替として、2つの電極1002a、1002bは、メンブレン211が導電性サポート1004によって支持されているとき、メンブレン211の表面にわたってスキャン可能なように、導電性サポート1004に対して移動可能であり得る。
【0347】
[000341] 電極1002a、1002bは、
図10aを参照しながら上記で説明したように使用されるとき、コレクタ電極として説明することができることを理解されよう。
【0348】
[000342] 代替として、電圧源1005は概して、
図2に示される電圧源205と同じ形であり得る。電圧源1005は、時変電圧(例えば、複数のパルスを含む時変電圧)を印加するように配置され得る。使用中、時変電圧は、電極1002a、1002b及び導電性サポート1004にわたって印加され得る。この時変電圧は、電極1002a、1002bが、大きさが実質的に等しく、同じ極性の電圧で保持されるように印加され得、メンブレン211は、電極1002a、1002bが保持される電圧の極性と反対の極性の電圧で保持され得る。
【0349】
[000343] メンブレンクリーニング装置1000(
図10a)は、上記で詳細に説明した、メンブレンクリーニング装置200(
図2)と実質的に同じ方法を使用して、メンブレン211からパーティクル210を除去し得る。すなわち、メンブレンクリーニング装置200を使用して振動がメンブレン211内に誘起される様式と同じ様式で、メンブレンクリーニング装置1000を使用して振動がメンブレン211内に誘起され得る。特に、メンブレンクリーニング装置1000及びメンブレンクリーニング装置200の両方が、1つ以上の電極とメンブレン211との間の時変(例えば、パルス)静電力を使用して、メンブレン内に振動を誘起する。メンブレンクリーニング装置1000において、メンブレン211と電極1002a、1002bとの間の時変又はパルス静電力は、電圧源1005からの時変又はパルス電圧の印加の結果として生じる。メンブレンクリーニング装置200とは対照的に、メンブレン211の近隣部分は、電極1002a、1002bの配置及びこれらに印加される電圧に起因して、電極1002a、1002bに反対方向に引き付けられる。すなわち、電極1002aに近接するメンブレン211の一部は電極1002aに引き付けられ、電極1002bに近接するメンブレン211の一部は電極1002bに引き付けられる。
【0350】
[000344] メンブレン211内に振動を誘起するために利用される時変電圧は、複数の時間的に離間したパルスを含み得る。電極1002aにわたる時変電圧のパルスは、電極1002bにわたる時変電圧のパルスと同相で発生する。したがって、電極1002aに対するメンブレン211の一部の引力は、電極1002bに対するメンブレン211の近隣部分の引力と同相で発生する。
図2に示されるメンブレンクリーニング装置200の電圧源205によって提供されるパルス電圧と同様に、電圧源1005によって供給される電圧の時間的特徴は、メンブレン211の望ましい周波数レンジ(すなわち、望ましい励起スペクトル)の振動を誘起するように構成され得る。
図2、
図3、及び
図4を参照しながら上記で詳細に説明したように、電圧源1005によって提供されるパルス電圧は、所定のレンジ内のサイズを有するパーティクル210を除去するように調整された、励起スペクトルを生み出すように構成され得る。
【0351】
[000345] 次に、本発明の第7の実施形態に従ったメンブレンクリーニング装置1020を、メンブレンクリーニング装置1020を介した断面を示す
図10bを参照しながら説明する。
【0352】
[000346]
図10bに示されるメンブレンクリーニング装置1020は、
図10aに示されるメンブレンクリーニング装置1000と共通のいくつかの特徴を共有している。
図10bに示されるメンブレンクリーニング装置1020と
図10aに示されるメンブレンクリーニング装置1000との間の相違点のみを、下記で詳細に考察する。
【0353】
[000347] メンブレンクリーニング装置1020は、真空チャンバ1021、ワイヤ1026a、1026b、真空フィードスルー1027a、1027b、サポート1023、2つの電極1022a、1022b、及び電圧源1025を備える。使用中、(メンブレン211及び概して矩形のフレーム212を備える)メンブレンアセンブリ208が、導電性サポート1023上に配設される。電極1022a、1022bは、メンブレンクリーニング装置1000(
図10a)の真空チャンバ1001内の電極1002a、1002bと同様に、真空チャンバ1021内に配置される。
【0354】
[000348] メンブレンクリーニング装置1000(
図10a)とメンブレンクリーニング装置1020(
図10b)との間の主な相違点は、電圧源がどのように電極1022a、1022b及びメンブレンアセンブリ208に接続されるかという点である。
図10aのメンブレンクリーニング装置1000において、電極1002a、1002bはどちらも電圧源1005の同じ端子に接続され(及びしたがって同じ電圧で保持され)、メンブレン211は電圧源1005の反対の端子に(直接又は間接的に)接続される。これに対して、
図10bのメンブレンクリーニング装置1020において、電極1022aは、ワイヤ1026a及び真空フィードスルー1027aを介して電圧源1025の第1の端子に接続され、電極1022bは、ワイヤ1026b及び真空フィードスルー1027bを介して電圧源1025の反対の端子に接続される。メンブレンアセンブリ208は、定義された電圧を有するコンポーネントに電気的に接続されなくてよく、したがってメンブレンアセンブリ208(及びメンブレン211)は「流動的」と説明することができる。
【0355】
[000349] メンブレンクリーニング装置1000(
図10a)及びメンブレンクリーニング装置1020(
図10b)において電圧源が電極及びメンブレンアセンブリ208にどのように接続されるかは別として、2つのメンブレンクリーニング装置1000、1020は他の点では同様であり、同様の様式で働くことができる。
【0356】
[000350] メンブレンクリーニング装置1020(
図10b)は、
図10aを参照しながら上記で詳細に説明したパルス静電クリーニング方法と実質的に同じ方法を使用して、メンブレン211からパーティクル210を除去し得る。メンブレンクリーニング装置1000とは対照的に、メンブレン211は、電極1022a、1022bが保持される電圧とは反対の電圧で保持されない。むしろ、電極1022a、1022bは、実質的に大きさが等しく、極性が反対の電圧で保持され、メンブレンアセンブリ208(及びメンブレン211)は流動的である。しかしながらメンブレン211の近隣部分は、電極1022a、1022bの配置及びそこに印加される電圧に起因して(特に、2つの電極1022a、1022bの間の横方向オフセットに起因して)、以前として反対方向に電極1022a、1022bに引き付けられる。すなわち、電極1022aに近接するメンブレン211の一部は電極1022aに引き付けられ、電極1022bに近接するメンブレン211の一部は電極1002bに引き付けられる。
【0357】
[000351] メンブレン211内に振動を誘起するために利用される時変電圧は、複数の時間的に離間したパルスを含む。電極1022aにわたる時変電圧のパルスは、電極1022bにわたる時変電圧のパルスと同相で発生する。したがって、電極1022aに対するメンブレン211の一部の引力は、電極1022bに対するメンブレン211の近隣部分の引力と同相で発生する。
図2に示されるメンブレンクリーニング装置200の電圧源205によって提供されるパルス電圧と同様に、電圧源1005によって供給される電圧の時間的特徴は、メンブレン211の望ましい周波数レンジ(すなわち、望ましい励起スペクトル)の振動を誘起するように構成され得る。
図2、
図3、及び
図4を参照しながら上記で詳細に説明したように、電圧源1025によって提供されるパルス電圧は、所定のレンジ内のサイズを有するパーティクル210を除去するように調整された、励起スペクトルを生み出すように構成され得る。
【0358】
[000352] メンブレンクリーニング装置1020は、電極1022a、1022bに対するメンブレンアセンブリ208の位置を制御するための機構を備え得る。使用中、メンブレンアセンブリ208は、メンブレン211の様々な部分がメンブレンクリーニング装置1020を使用してクリーニングできるように、電極1022a、1022bに対して移動可能である。追加又は代替として、2つの電極1022a、1022bは、メンブレン211がサポート1023によって支持されているとき、メンブレン211の表面にわたってスキャンできるように、サポート1023に対して移動可能であり得る。
【0359】
[000353] 次に、本発明の第8の実施形態に従ったメンブレンクリーニング装置1040を、メンブレンクリーニング装置1040を介した断面を示す
図10cを参照しながら説明する。
【0360】
[000354]
図10cに示されるメンブレンクリーニング装置1040は、
図10aに示されるメンブレンクリーニング装置1000と共通のいくつかの特徴を共有している。
図10cに示されるメンブレンクリーニング装置1040と
図10aに示されるメンブレンクリーニング装置1000との間の相違点のみを、下記で詳細に考察する。
【0361】
[000355] メンブレンクリーニング装置1040は、真空チャンバ1041、ワイヤ1046a、1046b、1046c、真空フィードスルー1047a、1047b、1047c、導電性サポート1044、2つの電極1042a、1042b、及び電圧源1045を備える。使用中、(メンブレン211及び概して矩形のフレーム212を備える)メンブレンアセンブリ208が、導電性サポート1044上に配設される。電極1042a、1042bは、メンブレン211の反対表面に近接して配設されるように、真空チャンバ1041内に配置される。メンブレン211の面に平行な面内の電極1042aの位置は、概して、電極1042bの位置に一致する。すなわち、本実施形態において、メンブレン211の両面における2つの電極1042a、1042bの間には、実質的に横方向のオフセットは存在しない。
【0362】
[000356] メンブレンクリーニング装置1000(
図10a)とメンブレンクリーニング装置1040(
図10c)との間の主な相違点は、更に下記で論じるように、
図10cのメンブレンクリーニング装置1040は2つの横方向に位置合わせされた電極1042a、1042bに時間的にオフセットされた電圧を印加する点である。これは、実質的に同じ電圧(時変電圧であり得る)を(
図10aの実施形態のように)2つの横方向にオフセットされた電極1002a、1002bに印加することとは対照的である。
【0363】
[000357] メンブレンクリーニング装置1000(
図10a)とメンブレンクリーニング装置1040(
図10c)との間の別の相違点は、電圧源がどのように電極及びメンブレンアセンブリ208に接続されるかである。メンブレンクリーニング装置1000において、電極1002a、1002bはどちらも電圧源1005の同じ端子に接続され、したがって同じ電圧で保持され、またメンブレン211は電圧源1005の反対の端子に(直接又は間接的に)接続される。これに対して、メンブレンクリーニング装置1040において、電極1042bは、ワイヤ1046b及び真空フィードスルー1047bを介して電圧源1045の一方の端子に接続され、電極1042aは、ワイヤ1046a及び真空フィードスルー1047aを介して、電圧源1045の同じ端子又は反対の端子のいずれかに接続される。電極1042a、1042bが、電圧源1045の同じ端子に接続され得る(及び、したがって同じ極性の電圧で保持され得る)か、又は電圧源1045の反対の端子に接続され得る(及び、したがって反対極性の電圧で保持され得る)という事実が、スイッチ1045sによって
図10cに概略的に例示される。スイッチ1045sは、この概念の例示のためのみに含まれ、本発明の物理的実施形態に含まれるか又は含まれなくてよいことを理解されよう。
【0364】
[000358] 導電性サポート1044は、ワイヤ1046c及び真空フィードスルー1047cを介して、接地に接続される。現行実施形態の変形では、この代わりに接地をメンブレンアセンブリ208に直接接続することができる。こうした変形において、導電性サポート1044は使用されず、代わりに非導電性メンブレンサポートが使用され得る。現行実施形態の別の変形において、メンブレンアセンブリ208は、(例えば、ワイヤ1046cを介して)直接、又は(例えば、導電性サポート1044を介して)間接的に、接地に近い電圧に接続され得る。いずれの場合にも、メンブレンクリーニング装置1040は、接地に近いか又は接地に等しい電圧でメンブレン211を保持するための機構を備えると言える。
【0365】
[000359] メンブレンクリーニング装置1000(
図10a)及びメンブレンクリーニング装置1040(
図10c)において、電圧源が電極及びメンブレンアセンブリ208にどのように接続されるかは別として、2つのメンブレンクリーニング装置1000、1040は、それ以外では同様であり、同様の様式で働くことができる。
【0366】
[000360] メンブレンクリーニング装置1040(
図10c)は、
図10aを参照しながら上記で詳細に説明したパルス静電クリーニング方法と同様の方法を使用して、メンブレン211からパーティクル210を除去し得る。すなわち、メンブレン211内に振動を誘起するために、電極1042a、1042bの各々に時変電圧が印加され得る。時変電圧は、複数の時間的に離間したパルスを含み得る。しかしながら、メンブレンクリーニング装置1000とは対照的に、メンブレン211は、電極1042a、1042bが保持される電圧とは反対の電圧で保持されない。むしろ電極1042a、1042bは、大きさが実質的に等しい(及び、同じ極性又は反対極性の)電圧で保持され、メンブレンアセンブリ208(及びメンブレン211)は、(電気的)接地で保持される。更に、メンブレン211の面に平行な面内で、電極1042a、1042bは通常、位置合わせされる。すなわち、2つの電極1042a、1042bの間に横方向のオフセットは存在しない。
【0367】
[000361] 電圧が電極1042a又は電極1042bのいずれかに印加されるとき、その電極1042a、1042bに近接するメンブレン211の一部は、その電極に引き付けられる。電極1042a、1042bは通常、共位置合わせされるため、電極1042a、1042bの両方に同時に電圧が印加されると、電極1042a、1042bの各々によってメンブレン211に及ぼされる静電引力は通常、バランスを取り、メンブレン211は変形しない。したがって、メンブレン211内に振動は誘起されない。
【0368】
[000362] 有利なことに、電極1042aに印加される時変電圧のパルスは、(電極1042bに印加される時変電圧のパルスに対して)時間遅延1049を受ける。すなわち、2つの電極1042a、1042bに印加される時変電圧の極性が等しいか又は反対であるかに関わらず、電極1042aに印加される時変電圧のパルスは、電極1042bに印加される時変電圧のパルスとの実質的な位相外れを生じさせる。したがって、電極1042aに近接するメンブレン211の一部の引力は、電極1042bへのメンブレン211の同じ部分の引力との実質的な位相外れを生じさせる。したがって、電圧源1045によって生成される単一の電圧「パルス」において、電極1042bに近接するメンブレン211の一部は電極1042bに引き付けられ、次いでその後(時間遅延1049の後)、メンブレン211の同じ部分が電極1042aに引き付けられる。コンポーネント1049は、電極1042aに印加される電圧と電極1042bに印加される電圧との間の時間遅延を概略的に例示するためのみに、
図10cに含められていることを理解されよう。特に、この時間遅延を制御するための機構は、電圧源1045の一部を形成し得る。
【0369】
[000363]
図2に示されるメンブレンクリーニング装置200の電圧源205によって提供されるパルス電圧と同様に、電圧源1045によって供給される電圧の時間的特徴は、メンブレン211の望ましい周波数レンジの振動(すなわち、望ましい励起スペクトルを)を誘起するように構成され得る。
図2、
図3、及び
図4を参照しながら上記で詳細に説明したように、電圧源1045によって提供されるパルス電圧は、所定のレンジ内のサイズを有するパーティクル210を除去するように調整された励起スペクトルを生み出すように構成され得る。
【0370】
[000364] メンブレンクリーニング装置1040は、電極1042a、1042bに対してメンブレンアセンブリ208の位置を制御するための機構を備え得る。使用中、メンブレンクリーニング装置1040を使用してメンブレン211の様々な部分をクリーニングできるように、メンブレンアセンブリ208は電極1042a、1042bに対して移動可能である。追加又は代替として、2つの電極1042a、1042bは、メンブレン211が導電性サポート1044によって支持されているとき、メンブレン211の表面にわたってスキャンできるように、導電性サポート1044に対して移動可能であり得る。
【0371】
[000365] 次に、本発明の第9の実施形態に従ったメンブレンクリーニング装置1060を、メンブレンクリーニング装置1060を介した断面を示す
図10dを参照しながら説明する。
【0372】
[000366]
図10dに示されるメンブレンクリーニング装置1060は、
図10cに示されるメンブレンクリーニング装置1040と共通のいくつかの特徴を共有している。
図10dに示されるメンブレンクリーニング装置1060と
図10cに示されるメンブレンクリーニング装置1040との間の相違点のみを、下記で詳細に考察する。
【0373】
[000367] メンブレンクリーニング装置1060は、真空チャンバ1061、ワイヤ1066a、1066b、1066c、1066d、真空フィードスルー1067a、1067b、1067c、1067d、サポート1063、2つの電極1062a、1062b、電圧源1065、及び、2つの補助電極1070a、1070bを備える。使用中、(メンブレン211及び概して矩形のフレーム212を備える)メンブレンアセンブリ208が、サポート1063上に配設される。電極1062a、1062bは、電極1042a、1042bが真空チャンバ1041内に配置されるのと同じ、共位置合わせ構成で、真空チャンバ1061内に配置される。
【0374】
[000368] メンブレンクリーニング装置1040(
図10c)とメンブレンクリーニング装置1060(
図10d)との間の主な相違点は、どちらのメンブレンクリーニング装置1040、1060も、接地に近いか又は接地に等しい電圧で、メンブレン211を保持するための機構を備えるが、それらの機構は異なるという点である。メンブレンクリーニング装置1040とは対照的に、メンブレン211はサポート1063上に配設されているとき、接地又は低電圧に(直接又は間接的のいずれでも)物理的に接続されていない。更にメンブレンクリーニング装置1040とは対照的に、メンブレンクリーニング装置1060は2つの補助電極1070a、1070bを備える。
【0375】
[000369] 補助電極1070a、1070bは、メンブレン211の反対表面に近接して配設される。補助電極1070a、1070bは、通常、平坦又は平面的であり得、メンブレン211の大部分のエリアの近隣に延在し得る。補助電極1070a、1070bは、メンブレン211の面に概して平行であるように配置され得る。補助電極1070a、1070bは、各々がアパーチャを備え得る。補助電極1070aは、電極1062aが補助電極1070aのアパーチャを介して突出するように配置され得る。補助電極1070bは、電極1062bが補助電極1070bのアパーチャを介して突出するように配置され得る。
図10dに示されるメンブレンクリーニング装置1060の例示的実施形態において、補助電極1070a、1070bの各々は、1066c、1066d及び真空フィードスルー1067c、1067dを介して、それぞれ設置に接続される。現行実施形態の変形において、補助電極1070a、1070bは、接地に近い電圧に接続され得る。現行実施形態の別の変形において、複数の補助電極をメンブレン211の2つの表面の各々に近接して提供することができる。したがって、接地に近いか又は接地に等しい電圧でメンブレン211を保持するための機構は、メンブレン211の面の各側に近接して1つ以上の補助電極を備えるとして記述され得、1つ以上の補助電極は接地に近いか又は接地に等しい電圧で維持される。
【0376】
[000370] メンブレン211は(メンブレンクリーニング装置1060内にメンブレンアセンブリ208が提供されているとき)、流動的である(すなわち、事前に定義された電圧を伴ういずれのコンポーネントにも物理的電気的に接続されていない)と説明することができる。補助電極1070a、1070bとメンブレン211との間にはキャパシティブカップリングが存在し得る。補助電極1070a、1070bは、このキャパシティブカップリングを介して、接地に近いか又は接地に等しい電圧でメンブレン211を保持するように作用し得る。特に補助電極1070a、1070b、電極1062a、1062b、及び電圧源1065は、メンブレン211と電極1062a、1062bとの間の電界の大きさが、メンブレン211と補助電極1070a、1070bとの間の電界の大きさの少なくとも10倍以上であるように構成され得る。補助電極1070a、1070b、電極1062a、1062b、及び電圧源1065は、メンブレン211と電極1062a、1062bとの間の電界の大きさが、メンブレン211と補助電極1070a、1070bとの間の電界の大きさの少なくとも100倍以上であるように構成され得る。
【0377】
[000371] メンブレン211と電極1062a、1062bとの間の電界、及び、メンブレン211と補助電極1070a、1070bとの間の電界の大きさは、メンブレン211と、電極1062a、1062b及び補助電極1070a、1070bのそれぞれとの間のキャパシティブカップリングに依存することを理解されよう。メンブレン211と電極1062a、1062b、1070a、1070bとの間のキャパシティブカップリングは、通常、メンブレン211と電極1062a、1062b、1070a、1070bとの間の重複エリア及び離間に依存することを、更に理解されよう。
【0378】
[000372] メンブレン211がメンブレンクリーニング装置内でクリーニングされるとき、メンブレン211の電圧を接地に近いか又は接地に等しく維持することが望ましい場合がある。しかしながら、例えば、メンブレン211の脆弱性、及び/又は、メンブレンアセンブリ208上に蓄積する相対的に非導電性の層に起因して、メンブレン211と別のコンポーネントとの間の良好な電気的接触を達成することは、困難であり得る。更に、メンブレンアセンブリ208を別のコンポーネントに電気的に接続するプロセスは、不利なことにそれ自体が汚染パーティクル210を生成する可能性がある。有利なことに、
図10dに記載の接地に近いか又は接地に等しい電圧でメンブレン211を保持するための機構(補助電極1070a、1070b)は、メンブレンアセンブリと任意の他のアセンブリとの間にいかなる物理的接触も必要としないため、前述の問題を克服する。
【0379】
[000373] 補助電極1070a、1070b及びメンブレン211は、キャパシティブディバイダを形成するものと見なされ得る。
【0380】
[000374] 補助電極1070a、1070bは、更なる利点を提供する。特に、補助電極1070a、1070bとメンブレン211との間のキャパシティブカップリングは、電極1062a、1062bによって生成される電界を、メンブレン211の特に局所的なエリアに集中させることができる。これは有利なことに、結果として、より精密、より効率的な、メンブレンクリーニング装置1060を使用するメンブレンクリーニングの空間局在化を生じさせ得る。
【0381】
[000375] 電圧源1065、スイッチ1065s、時間遅延1069、ワイヤ1066a、1066b、真空フィードスルー1067a、1067b、及び電極1062a、1062bは、それぞれ、メンブレンクリーニング装置1040(
図10c)の、電圧源1045、スイッチ1045s、時間遅延1049、ワイヤ1046a、1046b、真空フィードスルー1047a、1047b、及び電極1042a、1042bと同じタイプであり得、同一の機能を実施し得る。
【0382】
[000376] メンブレンクリーニング装置1060(
図10d)は、
図10cのメンブレンクリーニング装置1040を参照しながら上記で詳細に説明したパルス静電クリーニング方法と同様の方法を使用して、メンブレン211からパーティクル210を除去し得る。すなわち、メンブレン211内に振動を誘起するために、電極1062a、1046bにわたって時変電圧が印加され得る。
【0383】
[000377] 電圧が電極1042a又は電極1042bに印加されるとき、その電極1042a、1042bに近接したメンブレン211の一部は、その電極に引き付けられる。電極1042a、1042bは通常共位置合わせされるため、電極1042a、1042bの両方に同時に電圧が印加される場合、電極1042a、1042bの各々によってメンブレン211上に及ぼされる静電引力は通常、バランスを取り得、メンブレン211は変形しない可能性がある。したがって、振動はメンブレン211内に誘起されない可能性がある。
【0384】
[000378] 2つの電極1062a、1062bにわたる時変電圧の極性が等しいか又は反対であるかに関わらず、電極1062aに印加される時変電圧のパルスは、電極1062bに印加される時変電圧のパルスとの実質的な位相外れを生じさせる。したがって、電極1062aに近接するメンブレン211の一部の引力は、電極1062bへのメンブレン211の同じ部分の引力との実質的な位相外れを生じさせる。
【0385】
[000379]
図2に示されるメンブレンクリーニング装置200の電圧源205によって提供されるパルス電圧と同様に、電圧源1065によって供給される電圧の時間的特徴は、メンブレン211の望ましい周波数レンジの振動(すなわち、望ましい励起スペクトル)を誘起するように構成され得る。
図2、
図3、及び
図4を参照しながら上記で詳細に説明したように、電圧源1065によって提供されるパルス電圧は、所定のレンジ内のサイズを有するパーティクル210を除去するように調整された、励起スペクトルを生み出すように構成され得る。
【0386】
[000380] メンブレンクリーニング装置1060は、電極1062a、1062bに対してメンブレンアセンブリ208の位置を制御するための機構を備え得る。使用中、メンブレンアセンブリ208は、メンブレン211の様々な部分をメンブレンクリーニング装置1060を使用してクリーニングできるように、電極1062a、1062bに対して移動され得る。追加又は代替として、2つの電極1062a、1062bは、メンブレン211が導電性サポート1063によって支持されているとき、メンブレン211の表面にわたってスキャン可能なように、サポート1063に対して移動可能であり得る。
【0387】
[000381]
図10aから
図10dを参照しながら上記で説明した実施形態によれば、電圧源に接続された電極の配置は、メンブレン211がメンブレンサポートによって支持されているとき、2つの反対表面の近くに電界を生成するように動作可能な、電界生成機構として説明され得る。メンブレン211の2つの反対表面の近くの電界は、通常、反対方向である。
【0388】
[000382]
図10aから
図10dを参照しながら上記で説明した実施形態によれば、電界の大きさはメンブレン211の両側で実質的に等しいものであり得る。
【0389】
[000383]
図10aから
図10dを参照しながら上記で説明した実施形態によれば、電界は少なくとも100kV/mの大きさを有し得る。大きさは少なくとも1MV/mであり得る。
【0390】
[000384]
図10aから
図10dを参照しながら上記で説明した実施形態によれば、メンブレン211の2つの反対表面に印加される静電圧力は、複数の時間的に離間したパルスにわたって平均化され、大きさは同様であり、方向は反対であり得る。特に、メンブレン211の2つの反対の表面に印加される静電圧力の時平均された大きさの間に、最大でも50%の差が存在し得る。メンブレン211の2つの反対の表面に印加される静電圧力の時平均された大きさの間に、最大でも10%の差が存在し得る。経時的に平均化されたメンブレン211の一部に印加される静電圧力は、実質的にゼロであり得る。10usから10msの間の時間期間にわたって平均化されたメンブレン211の一部に印加される静電圧力は、実質的にゼロであり得る。
【0391】
[000385] メンブレンのパルス静電クリーニングを使用する前述の実施形態によれば、個々の電圧パルスは、10usより短くてよい。個々の電圧パルスは、1usより短くてよい。これが結果として、メンブレン211内に振動の効率的な誘起を生じさせ得る。これが結果として、有利なことに、効率的なパーティクル210の除去を生じさせ得る。
【0392】
[000386] メンブレンのパルス静電クリーニングを使用する前述の実施形態によれば、電圧パルス列は、10msより短くてよい。電圧パルス列は、1msより短くてよい。電圧パルス列は、パルスの「バースト」と記述してもよい。電圧パルスのバーストのデューティサイクルは、50%より下であってよい。電圧パルスのバーストのデューティサイクルは、10%より下であってよい。こうしたバースト内にパルスを提供することによって、メンブレン211の望ましくない加熱が防止され得る。有利なことに、これがメンブレン211の破断を防止し得る。いくつかの実施形態において、電圧パルス列のデューティサイクルは、例えば、0.1から10ms程度の時間尺度で、メンブレン211において0.3から30W/cm2より上の電力損失を回避するように制限され得る。相対的に高周波数での連続パルス印加は、メンブレン211を加熱し、損傷を(直接、又は熱膨張に起因する張力損を介するかの、いずれかで)生じさせる可能性がある。有利なことに、パルスの列(又はバースト)を使用することで、メンブレン211の過熱を生じさせることなく、メンブレン211内に機械的振動を励起させることができる。
【0393】
[000387] いくつかの実施形態において、時変電圧は、時間的に離間したパルスの複数の順次列を含み得、こうした列内でのパルスの繰り返し周波数はレンジ内で変化し得、例えばこのレンジを介してスイープされる。
【0394】
[000388]
図9、
図10bから
図10dを参照しながら上記で説明した、メンブレンクリーニング装置の実施形態は、メンブレン211の電圧を、接地に近いか又は接地に等しい電圧で維持するように構成され得る。例えば、
図9、
図10bから
図10dを参照しながら上記で説明した、メンブレンクリーニング装置の実施形態は、メンブレン211の電圧を、-100Vから+100Vの間で維持するように構成され得る。メンブレンクリーニング装置のこの実施形態は、メンブレン211の電圧を-10Vから+10Vの間で維持するように構成され得る。
【0395】
[000389] 本明細書で説明する本発明の実施形態(例えば、
図10aから
図10dを参照しながら上記で説明した実施形態)によれば、電極(
図10dの補助電極以外)は、電極とメンブレン211との間の最大距離が5mmであるように位置決めされ得る。電極は、電極とメンブレン211との最大距離が0.5mmであるように位置決めされ得る。
【0396】
[000390] 本明細書で説明するメンブレンクリーニング装置の実施形態によれば、真空チャンバ内の環境は、相対的に低い圧力で維持され得る。メンブレン211に近接した圧力は、相対的に低い圧力で維持され得る。メンブレン211に近接した圧力は、10-3mBarより低く維持され得る。メンブレン211に近接した圧力は、10-5mBarより低く維持され得る。
【0397】
[000391] 静電圧力は、メンブレンクリーニングの有効性を定義し得る。すなわち、メンブレン211により高い静電圧力が印加されることは、より高いメンブレンクリーニングの有効性に対応し得る。したがって、メンブレンクリーニング装置の場合、相対的に高い静電圧力をメンブレンに印加することが望ましい。しかしながら、メンブレン211に印加される力が大きいほど、メンブレン211を破断させるリスクも高くなる。したがって、メンブレン211に相対的に低い力のみを及ぼしている間に、メンブレン211に相対的に高い圧力を印加させる、メンブレンクリーニング装置を構築することが望ましい。発明者等は、これが、(
図10aから
図10dを参照しながら上記で説明したような)メンブレンに近接した相対的に小さなサイズを有する電極を使用することによって、達成し得ることを了解した。こうした電極を使用することの更なる利点は、こうした電極を使用してメンブレン211内に振動を誘起することで、結果として(メンブレン211内に振動を誘起する際に大きな電極を使用することに比べて)相対的に少ない量のメンブレン211の加熱を生じさせられることである。これによって、有利なことに、クリーニングの間のメンブレン211内の張力の再分散を最大にすることができ、これによってメンブレンクリーニング装置のクリーニング有効性を最大にすることができる。(
図10aから
図10dを参照しながら上記で説明したような)いくつかの実施形態において、メンブレン211に最も近い各電極(例えば、電極、1002a、1002b、1022a、1022b、1042a、1042b、1062a、1062b)の表面積は、メンブレン211の面積よりも小さくてよい。メンブレン211に最も近い各電極(例えば、電極、1002a、1002b、1022a、1022b、1042a、1042b、1062a、1062b)の表面積は、1cm
2より小さいか又は1cm
2に等しい、例えば、10mm
2より小さいか又は10mm
2に等しくてよい。
【0398】
[000392]
図10aから
図10dを参照しながら上記で説明した実施形態において、電極(例えば、電極、1002a、1002b、1022a、1022b、1042a、1042b、1062a、1062b)に印加されるパルス電圧の繰り返し率は、30kHzから30MHzのレンジ内であってよい。
【0399】
[000393]
図10aから
図10dを参照しながら上記で説明した実施形態において、電極1002a、1002b、1022a、1022b、1042a、1042b、1062a、1062bは励起電極として作用する。いくつかの実施形態において、これらの電極1002a、1002b、1022a、1022b、1042a、1042b、1062a、1062bは、コレクタ電極としても作用し得る。
【0400】
[000394] 図に示されるいずれの配線も、単に本発明の原理を例示するためのものであり、決して制限するものではないことを理解されよう。本発明に従ってメンブレンクリーニング装置を構築するとき、本発明の原理を順守し、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にありながら、図示された配線に改変を行うことが可能である。
【0401】
[000395] 「パーティクルサイズ」及び「パーティクル質量」という用語は、上記では言い換え可能に使用できることを理解されよう。より大質量のパーティクルは、通常、より大きなパーティクルに対応し、通常、これらの用語間の区別は意図されていない。
【0402】
[000396] 前述のメンブレンクリーニング装置200、500、600、800、820、850、900、1000、1020、1040、1060のいずれにおいても、メンブレンアセンブリ208は、EUVリソグラフィ装置内で使用するためのペリクルであり得ることを理解されよう。特に、メンブレンアセンブリ208は、
図1に示される(フレーム17上に載置された薄いメンブレン16を含む)ペリクル15を備え得る。
【0403】
[000397] 前述のメンブレンクリーニング装置200、500、600、800、820、850、900、1000、1020、1040、1060のいずれにおいても、メンブレンアセンブリ208のメンブレン211には、任意選択として、高導電性コーティング209が提供され得る。高導電性コーティング209は、例えば、金属製又は導電性セラミックのコーティングを含み得る。高導電性コーティング209は、メンブレン211の少なくとも一方の側に塗布され得る。高導電性コーティング209は、メンブレン211のいずれかの側に塗布され得ることを理解されよう。いくつかの実施形態において、メンブレン211はこうした高導電性コーティング209を有さない可能性があることを更に理解されよう。例えば、メンブレン211自体が十分良好な導体であり得る(例えば、メンブレン211は、ドープされた多結晶シリコンなどの、非ゼロの導電性を伴う材料から形成され得る)。
【0404】
[000398] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。考えられる他の用途は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。
【0405】
[000399] 本明細書ではリソグラフィ装置に関連して本発明の実施形態について具体的な言及がなされているが、本発明の実施形態は他の装置に使用することもできる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、又はウェーハ(あるいはその他の基板)もしくはマスク(あるいはその他のパターニングデバイス)などのオブジェクトを測定又は処理する任意の装置の一部を形成してよい。これらの装置は一般にリソグラフィツールと呼ばれることがある。このようなリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を使用することができる。
【0406】
以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることは理解されよう。上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。
【0407】
1.メンブレンからパーティクルを除去するためのメンブレンクリーニング装置であって、
メンブレンを支持するためのメンブレンサポートと、
メンブレンがメンブレンサポートによって支持されているとき、メンブレンの近くに電界を生成するための電界生成機構と、
を備える、メンブレンクリーニング装置。
2.電界生成機構が、
1つ以上のコレクタ電極と、
メンブレンサポートによって支持されるメンブレン、及び、1つ以上のコレクタ電極又は1つ以上のコレクタ電極の各々にわたって、電圧を印加するための機構と、を備える、条項1に記載の装置。
3.メンブレンがメンブレンサポートによって支持されているとき、メンブレン内に機械的振動を誘起するための機構を備える、条項1又は2に記載の装置。
4.メンブレン内に機械的振動を誘起するための機構は、メンブレンがメンブレンサポートによって支持されているとき、
励起電極と、
励起電極及びメンブレンサポートによって支持されるメンブレンにわたって時変電圧を印加するための機構と、
を、備える、条項3に記載の装置。
5.メンブレンがメンブレンサポートによって支持されているとき、メンブレン内に機械的振動を誘起するための機構であって、
メンブレンがメンブレンサポートによって支持されているときにメンブレンの表面に近接して位置決め可能な2つの電極と、
2つの電極にわたって時変電圧を印加するための機構と、
を備える、条項3に記載の装置。
6.時変電圧が、複数の時間的に離間したパルスを含む、条項4又は条項5に記載の装置。
7.時変電圧が、一般的形状を有し、所望の励起スペクトルを達成するために選択(及び変更)可能な1つ以上のパラメータを有する、電圧波形を含む、条項4から6に記載の装置。
8.時変電圧が、時間的に離間したパルスの2つの順次列を含み、パルスの2つの列の極性は逆である、条項4から7のいずれか一項に記載の装置。
9.時変電圧を印加するための機構が、少なくとも10kV/mの大きさを有するメンブレンの近くに時変電界を生成するように動作可能である、条項4から8のいずれか一項に記載の装置。
10.時変電圧が10%未満のデューティサイクルを有する、条項4から9のいずれか一項に記載の装置。
11.メンブレンがメンブレンサポートによって支持されているとき、メンブレン内に機械的振動を誘起するための機構が、
メンブレンサポートによって支持されているメンブレンの少なくとも一部に入射するパルス放射ビームを生成するように動作可能な、放射源、
を備える、条項3に記載の装置。
12.機械的振動を誘起するための機構が、メンブレンの局所部分にのみ振動を誘起するように動作可能である、条項3から11のいずれか一項に記載の装置。
13.機械的振動を誘起するための機構が、ある周波数レンジで振動を誘起するように動作可能である、条項3から12のいずれか一項に記載の装置。
14.機械的振動を誘起するための機構が、30kHzから30MHzの間で振動を誘起するように動作可能である、条項3から13のいずれか一項に記載の装置。
15.機械的振動を誘起するための機構が、0.5から5umの間の寸法のパーティクルをメンブレンから除去するように動作可能である、条項3から14のいずれか一項に記載の装置。
16.メンブレンの少なくとも一部の温度を制御するための機構を更に備える、条項1から15のいずれかに記載の装置。
17.メンブレンの少なくとも一部の温度を制御するための機構が、メンブレンに放射を提供するように動作可能な放射源を備える、条項16に記載の装置。
18.メンブレンの少なくとも一部の温度を制御するための機構が、メンブレンを加熱するように動作可能な誘導加熱器を備える、条項16に記載の装置。
19.電界生成機構が、メンブレンがメンブレンサポートによって支持されているとき、メンブレンの2つの反対表面の近くに電界を生成するように動作可能であり、メンブレンの2つの反対表面の近くの電界が、反対方向である、条項1又は2に記載の装置。
20.電界が、メンブレンの面の両側に配設された2つのコレクタ電極によって生み出される、条項19に記載の装置。
21.電界の大きさが、メンブレンの両側で実質的に等しい、条項19又は条項20に記載の装置。
22.メンブレンの2つの反対表面の近くの電界が、少なくとも100kV/mの大きさを有する、条項19から21のいずれか一項に記載の装置。
23.1つ以上のコレクタ電極の少なくとも一部に絶縁コーティングが提供される、条項2に依存するとき、条項19から22のいずれか一項に記載の装置。
24.プラズマ生成機構を更に備える、条項1、2、又は19から23に記載の装置。
25.プラズマ生成機構が、メンブレンサポートによって支持されているメンブレンと、1つ以上のコレクタ電極又は1つ以上のコレクタ電極の各々との間に、プラズマを生成するように動作可能である、条項2に直接又は間接的に依存するとき、条項24に記載の装置。
26.メンブレンサポートによって支持されているメンブレン、及び1つ以上のコレクタ電極又は1つ以上のコレクタ電極の各々にわたって、電圧を印加するための機構が、メンブレンサポートによって支持されているメンブレン、及び1つ以上のコレクタ電極又は1つ以上のコレクタ電極の各々にわたって、パルス電圧を印加するように配置される、条項25に記載の装置。
27.パルス電圧が1%以下のデューティサイクルを有する、条項26に記載の装置。
28.パルス電圧が、1Hzから10kHzの間の周波数を有する、条項26又は27に記載の装置。
29.パルス電圧のパルス持続時間が1ms未満である、条項26から28のいずれか一項に記載の装置。
30.パルス電圧の大きさが少なくとも100Vである、条項26から29のいずれか一項に記載の装置。
31.パルス電圧の各パルスが、第1の極性を有する第1の部分と、第2の反対の極性を有する第2の部分とを備える、条項26から30のいずれか一項に記載の装置。
32.プラズマ生成機構が、プラズマが、パルス電圧の後続のパルス間でオンに切り替えられ、パルス電圧のパルス中にオフに切り替えられるように配置される、条項26から31のいずれか一項に記載の装置。
33.チャンバと、チャンバ内部の圧力を制御するように動作可能なポンプ装置とを、更に備え、メンブレンサポートがチャンバ内部に配設される、条項1から32のいずれかに記載の装置。
34.パーティクルをメンブレンから除去するための方法であって、
メンブレン内に機械的振動を誘起すること、及び、
メンブレン上のパーティクルとコレクタ電極との間に静電力を及ぼすように、コレクタ電極を使用してメンブレンの近くに電界を生成すること、
を含む、方法。
35.メンブレン内に機械的振動を誘起することが、支持されるメンブレン及び励起電極にわたって時変電圧を印加することを含む、条項34に記載の方法。
36.メンブレン内に機械的振動を誘起することは、メンブレンの表面に近接して位置決めされる2つの電極にわたって時変電圧を印加することを含む、条項34の方法。
37.時変電圧が10%未満のデューティサイクルを有する、条項35又は36の方法。
38.メンブレン内に機械的振動を誘起することは、メンブレンの少なくとも一部をパルス放射ビームで照射することを含む、条項34に記載の方法。
39.誘起される機械的振動が、ある周波数レンジでの振動を含む、条項34から38のいずれか一項に記載の方法。
40.誘起される機械的振動が、30kHzから30MHzの間の振動を含む、条項34から39のいずれか一項に記載の方法。
41.誘起される機械的振動が、0.5umから5umの間の寸法のパーティクルをメンブレンから除去するのに適切である、条項34から39のいずれか一項に記載の方法。
42.メンブレンの少なくとも一部の温度を制御することを更に含む、条項34から41のいずれか一項に記載の方法。
43.メンブレンの少なくとも一部の温度を経時的に変化させることを更に含む、条項42の方法。
44.メンブレンの少なくとも一部の温度を制御することが、放射を使用して少なくとも一部を照射することによって達成される、条項42又は条項43の方法。
45.方法が、条項1から18のいずれか一項に記載の装置を使用する、条項34から44のいずれか一項に記載の方法。
46.メンブレンからパーティクルを除去するための方法であって、
メンブレンの2つの反対表面の近くに電界を生成することを含み、メンブレンの2つの反対表面の近くの電界は反対方向である、
方法。
47.方法が、条項19から33のいずれか一項に記載の装置を使用する、条項46の方法。
48.メンブレンからパーティクルを除去するための方法であって、
パーティクルに荷電するためにメンブレンの少なくとも1つの表面の近隣にプラズマを提供すること、及び、
これらの荷電されたパーティクルをメンブレンから離すために、メンブレンの少なくとも1つの表面の近くに電界を生成すること、
を含む、方法。
49.電界が、1つ以上の電極、及び1つ以上の電極にバイアス電圧を印加することを使用して、生成される、条項48に記載の方法。
50.バイアス電圧がパルスバイアス電圧である、条項49に記載の方法。
51.パルス電圧の各パルスが、第1の極性を有する第1の部分と、第2の反対の極性を有する第2の部分とを備える、条項50に記載の方法。
52.メンブレンの少なくとも1つの表面の近隣にプラズマを提供することが、プラズマが、パルス電圧の後続のパルス間でオンに切り替えられ、パルス電圧のパルス中にオフに切り替えられるようなことである、条項50又は条項51に記載の装置。
53.方法が、条項24から33のいずれか一項に記載の装置を使用する、条項48から52のいずれか一項に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メンブレンからパーティクルを除去するためのメンブレンクリーニング装置であって、
前記メンブレンを支持するためのメンブレンサポートと、
前記メンブレンが前記メンブレンサポートによって支持されているとき、前記メンブレンの近くに電界を生成するための電界生成機構と、
前記メンブレンの少なくとも1つの表面の近隣にプラズマを生成するように動作可能なプラズマ生成機構と、
を備える、メンブレンクリーニング装置。
【請求項2】
前記電界生成機構が、
1つ以上の電極と、
前記メンブレンサポートによって支持されるメンブレン、及び、前記1つ以上の電極又は前記1つ以上の電極の各々にわたって、電圧を印加するための機構と、を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電界生成機構が、
励起電極と、
前記励起電極及び前記メンブレンサポートによって支持される前記メンブレンにわたって時変電圧を印加するための機構と、
を、備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記時変電圧が、複数の時間的に離間したパルスを含む、請求書3に記載の装置。
【請求項5】
前記時変電圧が、一般的形状を有し、所望の励起スペクトルを達成するために選択(及び変更)可能な1つ以上のパラメータを有する、電圧波形を含む、請求項3又は請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記時変電圧が、時間的に離間したパルスの2つの順次列を含み、前記パルスの2つの列の極性は逆である、請求項3から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記メンブレンサポートによって支持されている前記メンブレンの少なくとも一部に入射するパルス放射ビームを生成するように動作可能な、放射源、
を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記電界生成機構が、前記メンブレンの局所部分にのみ振動を誘起するように動作可能である、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記電界生成機構が、前記メンブレンが前記メンブレンサポートによって支持されているとき、前記メンブレンの2つの反対表面の近くに電界を生成するように動作可能であり、前記メンブレンの前記2つの反対表面の近くの前記電界が、反対方向である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項10】
チャンバと、前記チャンバ内部の圧力を制御するように動作可能なポンプ装置とを、更に備え、前記メンブレンサポートが前記チャンバ内部に配設される、請求項1から9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記プラズマ生成機構が、前記メンブレンサポートによって支持されているメンブレンと、前記1つ以上のコレクタ電極又は前記1つ以上のコレクタ電極の各々との間に、プラズマを生成するように動作可能である、請求項2に記載の装置。
【請求項12】
前記メンブレンサポートによって支持されている前記メンブレン、及び前記1つ以上のコレクタ電極又は前記1つ以上のコレクタ電極の各々にわたって、電圧を印加するための機構が、前記メンブレンサポートによって支持されている前記メンブレン、及び前記1つ以上のコレクタ電極又は前記1つ以上のコレクタ電極の各々にわたって、パルス電圧を印加するように配置される、請求項2に記載の装置
【請求項13】
前記パルス電圧が、1Hzから10kHzの間の周波数を有する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記パルス電圧のパルス持続時間が1ms未満である、請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記パルス電圧の大きさが少なくとも100Vである、請求項12から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記パルス電圧の各パルスが、第1の極性を有する第1の部分と、第2の反対の極性を有する第2の部分とを備える、請求項12から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記プラズマ生成機構が、前記プラズマが、前記パルス電圧の後続のパルス間でオンに切り替えられ、前記パルス電圧のパルス中にオフに切り替えられるように配置される、請求項12から16のいずれか一項に記載の装置。
【外国語明細書】