(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144439
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】レジストパターン形成方法、光照射装置及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20241003BHJP
G03F 7/40 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01L21/30 571
G03F7/40 501
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024113873
(22)【出願日】2024-07-17
(62)【分割の表示】P 2020206217の分割
【原出願日】2020-12-11
(71)【出願人】
【識別番号】316011226
【氏名又は名称】AIメカテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100211627
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 穂寿
(72)【発明者】
【氏名】細田 浩
(57)【要約】
【課題】耐熱性に優れたレジストパターンを短時間で形成することが可能なレジストパターン形成方法、光照射装置及び基板処理装置を提供すること。
【解決手段】本発明の第1態様は、レジストパターン形成方法である。レジストパターン形成方法は、レジスト組成物を用いて基板に形成したレジスト膜を露光した後に、現像によりパターニングして形成されたプレパターンを硬化させる方法である。レジストパターン形成方法は、波長330nm未満の領域の光を減衰させる光学フィルタを光源に対して配置して、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光をプレパターンに照射する第1工程を含む。レジストパターン形成方法は、第1工程の後、光学フィルタを光源から外して、紫外線及び可視光線の両方を含む光をプレパターンに照射する第2工程を含む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レジスト組成物を用いて基板に形成したレジスト膜を露光した後に、現像によりパターニングして形成されたプレパターンを硬化させるレジストパターン形成方法であって、
波長330nm未満の領域の光を減衰させる光学フィルタを光源に対して配置して、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光を前記プレパターンに照射する第1工程と、
前記第1工程の後、前記光学フィルタを前記光源から外して、紫外線及び可視光線の両方を含む光を前記プレパターンに照射する第2工程と、を含む、レジストパターン形成方法。
【請求項2】
レジスト組成物を用いて基板に形成したレジスト膜を露光した後に、現像によりパターニングして形成されたプレパターンを硬化させるレジストパターン形成方法であって、
紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光を発する第1光源によって、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光を前記プレパターンに照射する第1工程と、
前記第1工程の後、前記第1光源とは異なる第2光源によって、紫外線及び可視光線の両方を含む光を前記プレパターンに照射する第2工程と、を含む、レジストパターン形成方法。
【請求項3】
前記第2工程においては、紫外線及び可視光線のうち波長230nm未満の領域を減衰させた光を前記プレパターンに照射する、請求項1又は請求項2に記載のレジストパターン形成方法。
【請求項4】
レジスト組成物を用いて基板に形成したレジスト膜を露光した後に、現像によりパターニングして形成されたプレパターンを硬化させる光照射装置であって、
紫外線及び可視光線を前記プレパターンに照射する光源を備え、
波長330nm未満の領域の光を減衰させる光学フィルタを前記光源に対して配置可能であり、
前記光源は、前記光学フィルタが配置された状態で、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光を前記プレパターンに照射した後、前記光学フィルタが外された状態で、紫外線及び可視光線の両方を含む光を前記プレパターンに照射する、光照射装置。
【請求項5】
レジスト組成物を用いて基板に形成したレジスト膜を露光した後に、現像によりパターニングして形成されたプレパターンを硬化させる光照射装置であって、
紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光を前記プレパターンに照射する第1光源と、
前記第1光源とは異なる第2光源と、を備え、
前記第1光源は、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光を前記プレパターンに照射し、
前記第2光源は、前記第1光源による照射の後、紫外線及び可視光線の両方を含む光を前記プレパターンに照射する、光照射装置。
【請求項6】
前記基板に対してレジスト組成物を含む前記レジスト膜を塗布する塗布装置と、
前記基板に塗布された前記レジスト膜を露光する露光装置と、
露光した前記レジスト膜を現像によりパターニングして前記プレパターンを形成する現像装置と、
請求項4又は請求項5に記載の光照射装置と、を備える、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジストパターン形成方法、光照射装置及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の上に樹脂等のレジスト材料を用いてレジスト膜を形成し、レジスト膜に対して露光を行い、現像により、レジスト膜に所定形状のレジストパターンを形成する方法が知られている。例えば、特許文献1には、レジスト組成物を用いて基板に形成したレジスト膜を露光した後、現像によりパターニングしてプレパターンを形成する工程(1)と、紫外線及び可視光線の一方又は両方を照射してプレパターンを硬化させる工程(2)と、を有するレジストパターン形成方法が開示されている。工程(2)は、紫外線及び可視光線のうち波長300nm未満をカットした光でプレパターンを照射する操作を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、耐熱性に優れたレジストパターンを短時間で形成する上で改善の余地がある。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明は、耐熱性に優れたレジストパターンを短時間で形成することが可能なレジストパターン形成方法、光照射装置及び基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様は、レジストパターン形成方法である。レジストパターン形成方法は、レジスト組成物を用いて基板に形成したレジスト膜を露光した後に、現像によりパターニングして形成されたプレパターンを硬化させる方法である。レジストパターン形成方法は、波長330nm未満の領域の光を減衰させる光学フィルタを光源に対して配置して、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光をプレパターンに照射する第1工程を含む。レジストパターン形成方法は、第1工程の後、光学フィルタを光源から外して、紫外線及び可視光線の両方を含む光をプレパターンに照射する第2工程を含む。
【0007】
本発明の第2態様は、レジストパターン形成方法である。レジストパターン形成方法は、レジスト組成物を用いて基板に形成したレジスト膜を露光した後に、現像によりパターニングして形成されたプレパターンを硬化させる方法である。レジストパターン形成方法は、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光を発する第1光源によって、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光をプレパターンに照射する第1工程を含む。レジストパターン形成方法は、第1工程の後、第1光源とは異なる第2光源によって、紫外線及び可視光線の両方を含む光をプレパターンに照射する第2工程を含む。
【0008】
本発明の第3態様は、光照射装置である。光照射装置は、レジスト組成物を用いて基板に形成したレジスト膜を露光した後に、現像によりパターニングして形成されたプレパターンを硬化させる装置である。光照射装置は、紫外線及び可視光線をプレパターンに照射する光源を備える。光照射装置は、波長330nm未満の領域の光を減衰させる光学フィルタを光照射部に対して配置可能である。光源は、光学フィルタが配置された状態で、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光をプレパターンに照射した後、光学フィルタが外された状態で、紫外線及び可視光線の両方を含む光をプレパターンに照射する。
【0009】
本発明の第4態様は、光照射装置である。光照射装置は、レジスト組成物を用いて基板に形成したレジスト膜を露光した後に、現像によりパターニングして形成されたプレパターンを硬化させる装置である。光照射装置は、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光をプレパターンに照射する第1光源を備える。光照射装置は、第1光源とは異なる第2光源を備える。第1光源は、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光をプレパターンに照射する。第2光源は、第1光源による照射の後、紫外線及び可視光線の両方を含む光をプレパターンに照射する。
【0010】
本発明の第5態様は、基板処理装置である。基板処理装置は、基板に対してレジスト組成物を含むレジスト膜を塗布する塗布装置を備える。基板処理装置は、基板に塗布されたレジスト膜を露光する露光装置を備える。基板処理装置は、露光したレジスト膜を現像によりパターニングしてプレパターンを形成する現像装置を備える。基板処理装置は、第3態様又は第4態様の光照射装置を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、耐熱性に優れたレジストパターンを短時間で形成することが可能なレジストパターン形成方法、光照射装置及び基板処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第一実施形態のレジストパターンの形成方法に用いる光照射装置の断面図である。
【
図2】第一実施形態の第一照射工程で用いる光のスペクトルの一例である。
【
図3】第一実施形態の第二照射工程で用いる光のスペクトルの一例である。
【
図4】第一実施形態のプレパターンを形成する工程(1)の説明図である。
【
図5】
図4に続く、第一実施形態のプレパターンを硬化させる工程(2)における第一照射工程の説明図である。
【
図6】
図5に続く、上記工程(2)における第二照射工程の説明図である。
【
図7】
図6に続く、基板に形成したレジストパターンの説明図である。
【
図9】比較例のオゾン発生のメカニズムの説明図である。
【
図10】第二実施形態のレジストパターンの形成方法に用いる光照射装置の断面図である。
【
図11】第三実施形態の基板処理装置の平面図である。
【
図12】第四実施形態のレジストパターンの形成方法に用いる光照射装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX方向、水平面内においてX方向と直交する方向をY方向、X方向及びY方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ方向とする。
【0014】
<第一実施形態>
<レジストパターン形成方法>
第一実施形態のレジストパターンの形成方法は、レジスト組成物を用いて基板に形成したレジスト膜を露光した後、現像によりパターニングしてプレパターンを形成する工程(1)と、紫外線及び可視光線の一方又は両方を照射してプレパターンを硬化させる工程(2)と、を有する。なお、レジスト組成物についての詳細は後述する。
【0015】
<工程(1)>
工程(1)では、レジスト組成物を用いて支持体(基板)に形成したレジスト膜を露光した後、現像によりパターニングしてプレパターンを形成する。なお、本発明において「プレパターン」とは、工程(1)で形成されるレジストパターンをいう。プレパターンの形成は、例えば以下のようにして行うことができる。
【0016】
まず、支持体上に、レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、ベーク(ポストアプライベーク(PAB))処理を、たとえば90~130℃の温度条件にて、好ましくは40~120秒間、より好ましくは60~90秒間施してレジスト膜を形成する。その際、レジスト膜の厚さは、0.5~2.5μm程度が好ましく、より好ましくは1.0~2.0μm程度である。
【0017】
次に、該レジスト膜に対し、紫外線を発光する光源、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ等を用い、所定のパターンが形成されたマスク(マスクパターン)を介して選択的露光を行う。
【0018】
次に、露光後のレジスト膜を現像処理する。現像処理は、例えば、1~10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液のようなアルカリ性水溶液を、支持体の一方の端部から他方の端部に液盛りする、又は、中心付近の上部に設置された現像液滴下ノズルより支持体表面全体に行き渡らせることにより行う。そして、50~90秒間程度、静置して現像する。
【0019】
現像処理後、好ましくはリンス処理を行う。リンス処理は、例えば、プレパターン表面に残った現像液を、リンス液(純水、有機溶剤など)を用いて洗うことにより行う。また、現像処理後又はリンス処理後、加熱(ポストベーク)処理を施してもよい。以上のようにしてプレパターンを得ることができる。
【0020】
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
【0021】
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系及び/又は有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や多層レジスト法における下層有機膜等の有機膜が挙げられる。ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層有機膜)と、少なくとも一層のレジスト膜(上層レジスト膜)とを設け、上層レジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層有機膜のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。すなわち、多層レジスト法によれば、下層有機膜により所要の厚みを確保できるため、レジスト膜を薄膜化でき、高アスペクト比の微細なパターン形成が可能となる。多層レジスト法には、基本的に、上層レジスト膜と下層有機膜との二層構造とする方法(2層レジスト法)と、上層レジスト膜と下層有機膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法(3層レジスト法)と、に分けられる。
【0022】
露光は、特に限定されず、例えばg線、h線、i線等の放射線を用いて行うことができる。また、放射線としては、g線、h線若しくはi線の単独光、又は、これらのうち任意の2種以上の混合光などを採用できる。混合光を採用することにより、露光時間を短縮できる。各光線のスペクトル強度は、基板の種類等により適宜選択可能である。
【0023】
現像処理は、アルカリ現像に限定されず、有機溶剤を含有する現像液(有機系現像液)を用いて行う溶剤現像も挙げられ、レジスト組成物に合わせて選択すればよい。アルカリ現像処理に用いるアルカリ現像液としては、例えば0.1~10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液が挙げられる。溶剤現像処理に用いる有機系現像液が含有する有機溶剤としては、レジスト組成物中の基材成分を溶解し得るものであればよく、公知の有機溶剤の中から適宜選択できる。具体的には、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、ニトリル系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤、又は炭化水素系溶剤等が挙げられる。
【0024】
<工程(2)>
工程(2)では、紫外線及び可視光線の一方又は両方を照射してプレパターンを硬化させる。ここで、「紫外線」とは、波長範囲の下限が1nm程度、上限が可視光線の短波長端の光を意味し、「可視光線」とは、波長範囲の下限が360~400nm程度、上限が760~830nm程度の光を意味する。工程(2)は、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光でプレパターンを照射する第一照射工程と、第一照射工程の後、紫外線及び可視光線の両方を含む光でプレパターンを照射する第二照射工程と、を含む。
【0025】
<光照射装置>
図1は、第一実施形態のレジストパターンの形成方法に用いる光照射装置1の断面図である。例えば、光照射装置1は、第一実施形態のレジストパターンの形成方法における工程(2)で用いる。
図1に示すように、光照射装置1は、基板2に対して紫外線及び可視光線の一方又は両方を照射する光照射部3と、光照射部3を制御する制御部4と、を備える。制御部4は、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光で基板2を照射する第一照射制御と、第一照射制御の後、紫外線及び可視光線の両方を含む光で基板2を照射する第二照射制御と、を行う。ここで、第一照射制御は第一照射工程を行うための制御であり、第二照射制御は第二照射工程を行うための制御である。
【0026】
光照射部3は、光源10と、波長330nm未満の領域の光を減衰させる光学フィルタ11と、光源10に対し光学フィルタ11を着脱する着脱機構12と、を備える。紫外線及び可視光線の一方又は両方の光照射の光源としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、LEDランプ等が挙げられる。光学フィルタ11は、光源10の下面に着脱可能に取り付けられている。例えば、着脱機構12は、光学フィルタ11を把持可能なロボットハンドと、ロボットハンドを移動可能なロボットアームと、を備えるロボット機構であってもよい。
【0027】
光照射装置1は、チャンバ20、基板加熱部30、基板支持部31、基板吸着部32、照射窓40、窓支持部41、光源支持部42、シャッタ開閉部43、ガス供給部50及び熱排気部51を更に備える。制御部4は、光照射装置1の構成要素を統括制御する。
【0028】
チャンバ20の内部には、基板2を収容可能な収容空間19が形成されている。チャンバ20は、下方に開口する箱状に形成された上部構造体21と、上部構造体21の下部に連結された下部構造体22と、を備える。
【0029】
上部構造体21は、板状の天板21aと、天板21aの外周縁に繋がる枠状の周壁21bと、を備える。下部構造体22は、上下方向に開口する枠状に形成されている。下部構造体22の外周縁は、上部構造体21の周壁21bの下端に連結されている。下部構造体22には、不活性ガスをチャンバ20内に供給するためのライン(ガス供給配管50a)が設けられている。
【0030】
基板加熱部30は、下部構造体22の開口内に設けられている。基板加熱部30は、下端から外方に張り出す張出し部を介して下部構造体22の下面に連結されている。基板加熱部30は、基板2を下方から支持可能である。基板加熱部30の上面は、基板2の下面に沿う平面状に形成されている。例えば、基板加熱部30は、ホットプレート等の熱源を備えていてもよい。
【0031】
基板支持部31は、基板加熱部30に内蔵されている。基板支持部31は、基板2を把持可能な基板把持部31aを上部に有する。基板把持部31aの上面は、基板加熱部30の上面から露出している。基板支持部31は、基板把持部31aによって基板2の下面中央を支持可能である。
【0032】
基板吸着部32は、基板加熱部30に設けられている。基板吸着部32は、基板加熱部30の上面に複数開口する真空引きのライン32aを有する。例えば、真空引きのライン32aには、真空ポンプ(不図示)が接続されている。基板吸着部32は、基板2の下面を真空引きにより吸着する。
【0033】
照射窓40は、光源10と基板2との間に配置されている。照射窓40は、水平に延びる板状に形成されている。例えば、照射窓40は、合成石英(例えば、四塩化ケイ素を原料として製造された合成石英ガラス)、又は天然石英(例えば、天然水晶を原料として製造された溶融石英ガラス)等により形成されている。照射窓40は、窓支持部41の上面に着脱可能に取り付けられている。例えば、着脱機構12は、照射窓40を把持可能なロボットハンドと、ロボットハンドを移動可能なロボットアームと、を備えるロボット機構であってもよい。
【0034】
窓支持部41は、下部構造体22の上面に設けられている。窓支持部41は、照射窓40の外周部を下方から支持可能である。窓支持部41の上面は、基板2の上面よりも上方に配置されている。窓支持部41には、不活性ガスをチャンバ20内に供給するためのライン(ガス供給配管50a)が設けられている。
【0035】
光源支持部42は、天板21aと窓支持部41との間に設けられている。光源支持部42の外周部は、周壁21bに連結されている。光源支持部42は、上下方向から見て基板の外形よりも大きい支持開口部42aを有する。光源支持部42は、支持開口部42aにより光源10を基板2の上方に支持可能である。
【0036】
シャッタ開閉部43は、光源支持部42と窓支持部41の間に設けられている。シャッタ開閉部43は、不図示の駆動機構等を介してチャンバ20に連結されている。シャッタ開閉部43は、光源10を遮蔽する遮蔽位置(
図1に示す位置)と光源10を露出させる露出位置(不図示)との間で移動可能である。
【0037】
ここで、遮蔽位置は、上下方向から見てシャッタ開閉部43が光源10と全体的に重なる位置を意味する。露出位置は、上下方向から見てシャッタ開閉部43が光源10と重ならない位置を意味する。例えば、シャッタ開閉部43が遮蔽位置に位置する場合、光源10からの光はシャッタ開閉部43により遮られ、基板2に光は照射されない。一方、シャッタ開閉部43が露出位置に位置する場合、光源10からの光はシャッタ開閉部43により遮られることなく、基板2に光が照射される。
【0038】
なお、
図1においては、光学フィルタ11が光源10の下面に設けられ、シャッタ開閉部43が光学フィルタ11の下方に設けられている例を示しているが、光学フィルタ11及びシャッタ開閉部43の配置は
図1の例に限定されない。例えば、光学フィルタ11及びシャッタ開閉部43の配置が
図1の例とは逆であってもよい。例えば、光源10の下方にシャッタ開閉部43が配置され、シャッタ開閉部43の下方に光学フィルタ11が配置されていてもよい。すなわち、光学フィルタ11及びシャッタ開閉部43は、光源10よりも下方に配置されていれば、どちらが光源10の下面側に配置されていてもよい。
【0039】
ガス供給部50は、収容空間19に窒素(N2)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)等の不活性ガスを供給可能である。ガス供給部50は、下部構造体22及び窓支持部41に接続されたガス供給配管50aを含む。
図1においては、2つのガス供給配管50aを示しているが、ガス供給配管50aの設置数は限定されない。また、ガス供給配管50aは、収容空間19に不活性ガスを供給可能に接続されていればよく、ガス供給配管50aの接続部位は限定されない。
【0040】
ガス供給部50により、収容空間19の雰囲気の酸素濃度を調整することができる。収容空間19の雰囲気の酸素濃度(質量基準)は、低いほど好ましい。具体的には、収容空間19の雰囲気の酸素濃度を、100ppm以下とすることが好ましく、20ppm以下とすることがより好ましい。例えば、基板2に形成したプレパターンを硬化するときの雰囲気において、このように酸素濃度を好ましい上限以下とすることにより、プレパターンの硬化を進行しやすくすることができる。
【0041】
なお、図示はしないが、チャンバ20内の圧力(すなわち、収容空間19の雰囲気の圧力)を調整可能な圧力調整部(例えば、チャンバ20に接続された真空配管)が設けられていてもよい。これにより、収容空間19を所望の圧力条件とするよう調整することができる。
【0042】
熱排気部51は、天板21aに設けられている。熱排気部51は、チャンバ20内の熱(すなわち、収容空間19の熱気)をチャンバ20の外部に排出可能である。熱排気部51は、天板21aに接続された排気管51aを含む。
図1においては、1つの排気管51aのみを示しているが、排気管51aの設置数は限定されない。また、排気管51aは、収容空間19の熱気(ガス)を排出可能に接続されていればよく、排気管51aの接続部位は限定されない。
【0043】
<第一照射工程>
図2は、第一実施形態の第一照射工程で用いる光のスペクトルの一例である。
図2に示すように、第一照射工程では、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光でプレパターンを照射する。
図2の例では、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域が概ねカットされた光についてのスペクトルを示している。
【0044】
例えば、第一照射工程では、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させる光学フィルタ11(
図1参照、例えばバンドパスフィルタ)を設けることにより、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光でプレパターンを照射する。例えば、第一照射工程では、紫外線及び可視光線のうち波長350nm以上450nm以下の領域を含む光(紫外線及び可視光線のうち波長350nm未満及び波長450nm超過の領域を減衰させた光)でプレパターンを照射することが好ましい。
【0045】
例えば、
図1に示すように、着脱機構12は、第一照射工程の前に、光学フィルタ11を光源10の下面に取り付ける。これにより、第一照射工程では、光源10からの光は光学フィルタ11を介して基板2に照射されるため、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光(
図2参照、好ましくは波長350nm以上450nm以下の領域を含む光)で基板上のプレパターンを照射することができる。
【0046】
<第二照射工程>
図3は、第一実施形態の第二照射工程で用いる光のスペクトルの一例である。
図3に示すように、第二照射工程では、第一照射工程の後、紫外線及び可視光線の両方を含む光でプレパターンを照射する。
【0047】
例えば、
図1に示すように、着脱機構12は、第一照射工程の後かつ第二照射工程の前に、光学フィルタ11を光源10の下面から取り外す。これにより、第二照射工程では、光源10からの光は光学フィルタ11を介さずに基板2に照射されるため、紫外線及び可視光線の両方を含む光で基板上のプレパターンを照射することができる。例えば、第二照射工程では、紫外線及び可視光線のうち波長200nm以上600nm以下の領域を含む光(
図3参照、紫外線及び可視光線のうち波長200nm未満及び波長600nm超過の領域を減衰させた光)でプレパターンを照射することが好ましい。
【0048】
なお、第二照射工程では、紫外線及び可視光線のうち波長230nm未満の領域を減衰させた光でプレパターンを照射することが好ましい。
図3の例では、紫外線及び可視光線のうち波長230nm未満の領域を減衰させた光についてのスペクトルを実線、紫外線及び可視光線のうち波長230nm未満の領域を減衰させていない光についてのスペクトルを破線でそれぞれ示している。
【0049】
例えば、
図1に示すように、着脱機構12は、第一照射工程の後かつ第二照射工程の前に、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させるための照射窓40(例えば、合成石英により形成された窓、以下「合成石英窓」ともいう。)を窓支持部41から取り外し、紫外線及び可視光線のうち波長230nm未満の領域を減衰させるための照射窓40(例えば、天然石英により形成された窓、以下「天然石英窓」ともいう。)を窓支持部41に取り付ける。すなわち、着脱機構12は、第二照射工程の前に、合成石英窓を天然石英窓に交換する。これにより、第二照射工程では、光源からの光は天然石英窓を介して基板2に照射されるため、紫外線及び可視光線のうち波長230nm未満の領域を減衰させた光で基板上のプレパターンを照射することができる。
【0050】
工程(2)での、特定の波長範囲の光でプレパターンを照射する操作は、加熱しつつ行うことができる。本発明においては、プレパターンを硬化させる際の温度条件を120℃以下とすることが好ましく、60~120℃とすることがより好ましく、70~120℃とすることがさらに好ましく、80~120℃とすることが特に好ましく、100~120℃とすることが最も好ましい。該温度条件を好ましい上限値以下とすることで、昇華が起きにくくなり、機器汚染がより抑制される。一方、好ましい下限値以上であれば、パターンの硬化がより進行しやすい。
本発明でいう「プレパターンを硬化させる際の温度条件」は、プレパターンに加えられる全熱量が考慮され、支持体が配置されるホットプレート等の加熱手段の設定温度を示すのではなく、ホットプレート等や光照射の輻射により加熱されるプレパターン自体の温度を示す。プレパターン自体の温度は、例えば熱電対を用いることにより測定できる。
【0051】
本発明では、工程(2)において、プレパターンの硬化を、露点-50℃(水分濃度38.8ppm質量基準)以上、-5℃(水分濃度4000ppm質量基準)以下の雰囲気で行うことが好ましく、露点-50℃(水分濃度38.8ppm質量基準)以上、-14℃(水分濃度1791ppm質量基準)以下の雰囲気で行うことがより好ましく、露点-40℃(水分濃度126.7ppm質量基準)以上、-20℃(水分濃度1020ppm質量基準)以下の雰囲気で行うことがさらに好ましい。該プレパターンの硬化を行う雰囲気の露点(水分濃度)が好ましい上限値以下であれば、パターンの硬化がより進行しやすい。一方、好ましい下限値以上であると、作業性等が向上する(装置の運用がしやすい、コストメリットがある等)。
【0052】
プレパターンの硬化を行う雰囲気には、乾燥ガスとして窒素(N2)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)等の不活性ガスを供給することができる。この不活性ガスの供給により、雰囲気の露点を制御でき、雰囲気内の水分濃度が調節される。また、工程(2)において、プレパターンの硬化を行う雰囲気の酸素濃度(質量基準)は、低いほど好ましく、具体的な酸素濃度は1000ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましい。該プレパターンの硬化を行う雰囲気の酸素濃度が好ましい上限値以下であれば、パターンの硬化がより進行しやすい。
【0053】
<その他の工程>
本発明のレジストパターン形成方法は、上記の工程(1)及び工程(2)以外の工程を有していてもよい。例えば、工程(2)の後に、硬化後のレジストパターンに対して加熱処理を施す工程を設けてもよく、加熱温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは100~300℃である。この加熱処理を施すことで、所定の形状にパターニングされたレジストパターンが確実に硬化され、耐ドライエッチング性などに優れる。
【0054】
(レジスト組成物)
本発明のレジストパターン形成方法に用い得るレジスト組成物は、工程(1)での露光及び現像により、露光部が溶解除去されてプレパターンを形成するポジ型レジスト組成物であっても、未露光部が溶解除去されてプレパターンを形成するネガ型レジスト組成物であっても用いることができる。かかるレジスト組成物としては、例えば、以下に例示するレジスト組成物(r1)~(r4)が挙げられる。
【0055】
なお、本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。「フッ素化アルキル基」又は「フッ素化アルキレン基」は、アルキル基又はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。「置換基を有していてもよい」と記載する場合、水素原子(-H)を1価の基で置換する場合と、メチレン基(-CH2-)を2価の基で置換する場合との両方を含む。「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
【0056】
<レジスト組成物(r1)>
レジスト組成物(r1)は、アルカリ可溶性樹脂と、感度向上剤として特定のフェノール化合物と、感光性成分としてキノンジアジドエステル化物と、を有機溶剤に溶解してなるポジ型レジスト組成物である。
【0057】
レジスト組成物(r1)において、アルカリ可溶性樹脂は、被膜形成物質として通常用いられ得るものの中から任意に選ぶことができる。例えば、ポジ型レジスト組成物の被膜形成用樹脂として知られているフェノール樹脂、アクリル樹脂、スチレンとアクリル酸との共重合体、ヒドロキシスチレンの重合体、ポリビニルフェノール、ポリα-メチルビニルフェノール等が挙げられる。これらの中でも、特にフェノール樹脂が好ましく用いられ、中でも膨潤することなくアルカリ水溶液に容易に溶解し現像性に優れるノボラック樹脂が好適である。
【0058】
フェノール樹脂としては、フェノール類とアルデヒド類との縮合反応生成物、フェノール類とケトン類との縮合反応生成物、ビニルフェノール系重合体、イソプロペニルフェノール系重合体、これらのフェノール樹脂の水素添加反応生成物等が挙げられる。
【0059】
縮合反応生成物におけるフェノール類としては、例えばフェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、2,3-キシレノール、2,5-キシレノール、3,5-キシレノール、3,4-キシレノール等のキシレノール類;m-エチルフェノール、p-エチルフェノール、o-エチルフェノール、2,3,5-トリメチルフェノール、2,3,5-トリエチルフェノール、4-tert-ブチルフェノール、3-tert-ブチルフェノール、2-tert-ブチルフェノール、2-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2-tert-ブチル-5-メチルフェノール等のアルキルフェノール類;p-メトキシフェノール、m-メトキシフェノール、p-エトキシフェノール、m-エトキシフェノール、p-プロポキシフェノール、m-プロポキシフェノール等のアルコキシフェノール類;o-イソプロペニルフェノール、p-イソプロペニルフェノール、2-メチル-4-イソプロペニルフェノール、2-エチル-4-イソプロペニルフェノール等のイソプロペニルフェノール類;フェニルフェノール等のアリールフェノール類;4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール等のポリヒドロキシフェノール類などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのフェノール類の中では、特にm-クレゾール、p-クレゾール、2,5-キシレノール、3,5-キシレノール、2,3,5-トリメチルフェノールが好ましい。
【0060】
縮合反応生成物におけるアルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、トリメチルアセトアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、シクロヘキサンアルデヒド、フルフラール、フリルアクロレイン、ベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α-フェニルプロピルアルデヒド、β-フェニルプロピルアルデヒド、o-ヒドロキシベンズアルデヒド、m-ヒドロキシベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、o-メチルベンズアルデヒド、m-メチルベンズアルデヒド、p-メチルベンズアルデヒド、o-クロロベンズアルデヒド、m-クロロベンズアルデヒド、p-クロロベンズアルデヒド、ケイ皮アルデヒド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのアルデヒド類の中では、入手のしやすさからホルムアルデヒドが好ましく、特に耐熱性を向上させるためにはヒドロキシベンズアルデヒド類とホルムアルデヒドとを組み合わせて用いることが好ましい。
【0061】
縮合反応生成物におけるケトン類としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジフェニルケトン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。フェノール類とケトン類との組み合わせにおいては、ピロガロールとアセトンとの組み合わせが特に好ましい。
【0062】
フェノール類とアルデヒド類又はケトン類との縮合反応生成物は、酸性触媒の存在下、公知の方法で製造することができる。酸性触媒としては、塩酸、硫酸、ギ酸、シュウ酸、パラトルエンスルホン酸等を用いることができる。このようにして得られた縮合反応生成物は、分別等の処理を施すことによって低分子領域をカットしたものが耐熱性に優れているので好ましい。分別等の処理は、縮合反応により得られた樹脂を良溶媒、例えばメタノール、エタノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン等に溶解し、次いで水中に注ぎ沈殿させる等の方法により行われる。
【0063】
上記の中でも、特に全フェノール系繰り返し単位中、p-クレゾール系繰り返し単位を60モル%以上含有し、かつ、m-クレゾール系繰り返し単位を30モル%以上含有し、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が2000~8000のノボラック樹脂が好ましい。p-クレゾール系繰り返し単位を60モル%以上とすることで、加熱処理時の温度ムラに対する感度変化を起こりづらくすることができ、また、m-クレゾール系繰り返し単位を30モル%以上とすることで、良好な感度を得ることができる。
【0064】
アルカリ可溶性樹脂には、キシレノール系繰り返し単位や、トリメチルフェノール系繰り返し単位などの、他のフェノール系繰り返し単位を含有していてもよい。特に好ましくは、p-クレゾール系繰り返し単位60~70モル%と、m-クレゾール系繰り返し単位40~30モル%とからなる2成分系のノボラック樹脂であり、フェノール類の2核体(2個のフェノール核を有する縮合体分子)含有量がGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)法において10%以下であるような、フェノール類の低分子量体含有量の少ないノボラック樹脂が好ましい。2核体は、高温(例えば130℃)のプリベークやポストベーク中に昇華して炉の天板などを汚し、更にはレジスト組成物を塗布したガラス基板を汚して、その歩留まりを下げる原因となることから、その含有量が少ないノボラック樹脂が好ましい。
【0065】
レジスト組成物(r1)において、感度向上剤としては、下記一般式(I)で表されるフェノール化合物が挙げられる。
【0066】
【0067】
[式中、R1~R8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、又は炭素原子数3~6のシクロアルキル基を表し;R9~R11はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基を表し;Qは水素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、R9と結合して炭素原子鎖3~6のシクロアルキル基を形成する基、又は下記の化学式(II)で表される基
【0068】
【0069】
(式中、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、又は炭素原子数3~6のシクロアルキル基を表し;cは1~3の整数を示す。)を表し;a、bは1~3の整数を表し;dは0~3の整数を表し;nは0~3の整数を表す。]
【0070】
レジスト組成物(r1)における感度向上剤としては、トリス(4-ヒドロシキフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフェニル)-3-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,4-ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフェニル)-3,4-ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,5-ジメチルフェニル)-2,4-ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3,4-ジヒドロキシフェニルメタン、1-[1-(4-ヒドロキシフェニル)イソプロピル]-4-[1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1-[1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)イソプロピル]-4-[1,1-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、2-(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)-2-(2’,3’,4’-トリヒドロキシフェニル)プロパン、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-2-(2’,4’-ジヒドロキシフェニル)プロパン、2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(4’-ヒドロキシフェニル)プロパン、2-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-2-(3’-フルオロ-4’-ヒドロキシフェニル)プロパン、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-2-(4’-ヒドロキシフェニル)プロパン、2-(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)-2-(4’-ヒドロキシフェニル)プロパン、2-(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)-2-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジメチルフェニル)プロパン、ビス(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4-ジヒドロキシフェニル)メタン、2,3,4-トリヒドロキシフェニル-4’-ヒドロキシフェニルメタン、1,1-ジ(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,4-ビス[1-(4-ヒドロキシフェニル)イソプロピル]-5-ヒドロキシフェノール等が挙げられる。
【0071】
これらの中でも、感度向上効果に特に優れることから、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、2,4-ビス[1-(4-ヒドロキシフェニル)イソプロピル]-5-ヒドロキシフェノール、1,1-ジ(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1-[1-(4-ヒドロキシフェニル)イソプロピル]-4-[1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン等が好ましい。感度向上剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。感度向上剤の含有量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して5~25質量部が好ましく、より好ましくは10~20質量部の範囲である。
【0072】
レジスト組成物(r1)において、感光性成分としては、下記一般式(III)で表されるキノンジアジドエステル化物(感光性成分1)、下記一般式(IV)で表されるキノンジアジドエステル化物(感光性成分2)、上記一般式(I)で表されるフェノール化合物と1,2-ナフトキノンジアジド-5(又は4)-スルホニル化合物とのエステル化物などが挙げられる。
【0073】
【0074】
[式(III)中、R14は、独立に炭素原子数1~5のアルキル基を表わし、Dは、独立に水素原子、又は1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホニル基を表し、Dの少なくとも1つは1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホニル基を表し、l、mは、それぞれ独立に1又は2を表す。式(IV)中、複数のDは、それぞれ独立に水素原子、又は1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホニル基を表し、Dの少なくとも1つは1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホニル基である。]
【0075】
感光性成分1の平均エステル化率は、40~60%が好ましく、より好ましくは45~55%である。この平均エステル化率が40%未満では、現像後の膜減りが発生し易く、残膜率が低くなりやすい。一方、60%を超えると、著しく感度が劣る傾向がある。感光性成分1としては、比較的安価で、感度、解像性、リニアリティに優れたレジスト組成物を調製できる点で、ビス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)-3,4-ジヒドロキシフェニルメタンの1,2-ナフトキノンジアジト-5-スルホニル化合物によるキノンジアジドエステル化物が好ましく、このなかでもエステル化率50%のものが最も好ましい。
【0076】
感光性成分2の平均エステル化率は、50~70%が好ましく、より好ましくは55~65%である。この平均エステル化率を上述の範囲とすることで現像後の膜減りの発生の抑制と保存安定性の向上をバランスよく図ることができる。感光性成分2としては、非常に安価で、感度に優れたレジスト組成物を調整できる点で、2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノンの1,2-ナフトキノンジアジト-5-スルホニル化合物によるキノンジアジドエステル化物が好ましく、このなかでもエステル化率59%のものが最も好ましい。
【0077】
感光性成分は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。感光性成分の含有量は、アルカリ可溶性樹脂と感度向上剤との合計量100質量部に対して15~40質量部が好ましく、より好ましくは20~30質量部の範囲である。
【0078】
レジスト組成物(r1)において、有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2-ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、又はこれらのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルもしくはモノフェニルエーテル等の多価アルコール類およびその誘導体;ジオキサンのような環式エーテル類;乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、炭酸メチル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル等が挙げられる。有機溶剤は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。上記のなかでも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)が、レジスト組成物に優れた塗布性を与え、基板上でのレジスト被膜に優れた膜厚均一性を与える点で好ましい。PGMEAは単独溶媒で用いることが好ましいが、PGMEA以外の有機溶剤もこれと混合して用いることができる。そのような有機溶剤としては、例えば乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどが挙げられる。
【0079】
レジスト組成物(r1)中の、アルカリ可溶性樹脂と感度向上剤と感光性成分との総量は、支持体への塗布性に優れる点から、該組成物の全質量に対して30質量%以下が好ましく、より好ましくは20~28質量%である。この場合、後述の任意に用いられる添加剤の量も勘案して、有機溶剤の含有量は、該組成物の全質量に対して50~90質量%が好ましく、より好ましくは65~85質量%であり、さらに好ましくは70~75質量%である。
【0080】
レジスト組成物(r1)においては、必要に応じて、ハレーション防止のための紫外線吸収剤、例えば2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、4-ジメチルアミノ-2’,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、5-アミノ-3-メチル-1-フェニル-4-(4-ヒドロキシフェニルアゾ)ピラゾール、4-ジメチルアミノ-4’-ヒドロキシアゾベンゼン、4-ジエチルアミノ-4’-エトキシアゾベンゼン、4-ジエチルアミノアゾベンゼン、クルクミン等を用いることができる。また、レジスト組成物(r1)には、ストリエーション防止のための界面活性剤、例えばフロラードFC-430、FC431(商品名、住友3M株式会社製);エフトップEF122A、EF122B、EF122C、EF126(商品名、トーケムプロダクツ株式会社製);XR-104(製品名、大日本インキ化学工業株式会社製)、BYK-310(製品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等を用いることができる。また、レジスト組成物(r1)には、ベンゾキノン、ナフトキノン、p-トルエンスルホン酸等の保存安定化剤;さらに必要に応じて付加的樹脂、可塑剤、安定化剤、コントラスト向上剤等の慣用の添加剤を必要に応じて添加含有させることができる。
【0081】
<レジスト組成物(r2)>
レジスト組成物(r2)は、下記の一般式(1)で表される繰返し単位及び一般式(2)で表される繰返し単位を有する共重合体と、感光性成分と、を含有するポジ型レジスト組成物である。レジスト組成物(r2)によって形成されるレジスト膜を、例えばマイクロレンズに適用した場合には、耐熱性、耐薬品性の良好なマイクロレンズを形成することができる。
【0082】
【0083】
[式(1)、(2)中、R0は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。R21は、単結合又は炭素数1~5のアルキレン基を表す。R22は、炭素数1~5のアルキル基を表す。R23は、熱架橋性を有する1価の有機基を表す。pは1~5の整数を表し、qは0~4の整数を表し、かつ、p+qは5以下である。但し、繰返しにおける複数のR0同士およびR22同士は、互いに異なっていてもよい。]
【0084】
・一般式(1)で表される繰返し単位
一般式(1)で表される繰返し単位(以下「繰返し単位(1)」ともいう。)は、アルカリ可溶性を示す。式(1)中、R0は、メチル基であることが好ましい。R21における炭素数1~5のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、tert-ブチレン基、ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基などが挙げられ、なかでも、メチレン基、エチレン基が好ましい。繰返し単位(1)が有するベンゼン環には、少なくとも1つの水酸基が結合している。水酸基の結合数を示すpは、1~5の整数であり、製造上の点から1が好ましい。また、ベンゼン環において、水酸基の結合位置は、その少なくとも一つは、「-C(=O)-O-R21-」の結合位置を1位としたとき、4位の位置であることが好ましい。さらに、繰返し単位(1)が有するベンゼン環には、R22として、炭素数1~5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が結合していてもよい。このようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、工業的にはメチル基またはエチル基がより好ましい。qは、0~4の整数を表し、0であることがより好ましい。
【0085】
繰返し単位(1)は、1種または2種以上混合して用いることができる。繰返し単位(1)及び繰返し単位(2)を有する共重合体における、繰返し単位(1)の含有量は、該共重合体を構成する繰返し単位の合計に対して20~50モル%であることが好ましい。この範囲にすることにより、現像時のアルカリ可溶性を確保することが容易となる。
【0086】
・一般式(2)で表される繰返し単位
一般式(2)で表される繰返し単位(以下「繰返し単位(2)」ともいう。)は、熱架橋基(R23)を含む。式(2)中、R0は、メチル基であることが好ましい。R21における炭素数1~5のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、tert-ブチレン基、ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基などが挙げられ、なかでも、メチレン基、エチレン基が好ましい。式(2)中、R23は、熱架橋性を有する1価の有機基(以下この有機基を「熱架橋基」という)を表す。熱架橋基は、熱を加えることにより、架橋する基である。R23としては、エポキシ基、オキセタニル基のいずれかを含む有機基であることが好ましい。これらの中でも、R23は、熱処理による架橋効率を向上させることができる点で、エポキシ基を含む有機基であることがより好ましい。
【0087】
繰返し単位(2)は、1種または2種以上混合して用いることができる。繰返し単位(1)及び繰返し単位(2)を有する共重合体における、繰返し単位(2)の含有量は、該共重合体を構成する繰返し単位の合計に対して50~80モル%であることが好ましい。該共重合体において、繰返し単位(2)の含有量を好ましい下限値以上とすることにより、加熱処理による透過率の低下を軽減できるとともに、熱硬化性を確保することが容易となり、一方、好ましい上限値以下とすることにより、現像時の残渣の発生をより抑えることができる。
【0088】
繰返し単位(1)及び繰返し単位(2)を有する共重合体は、ランダム重合又はブロック重合のいずれからなるものでもよい。上記のように、繰返し単位(1)と繰返し単位(2)との異なる繰返し単位を有する共重合体とすることにより、アルカリ溶解速度のコントロール、耐熱性のコントロールが容易となる。該共重合体の質量平均分子量(Mw:ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)のスチレン換算による測定値)は、好ましくは10000~30000である。該共重合体のMwが、好ましい下限値以上であることにより、耐熱性が向上し、例えば共重合体を用いてマイクロレンズを形成する場合に、マイクロレンズを硬化させるための焼成処理時もレンズ形状を容易に維持することができる。一方、好ましい上限値以下にすることにより、現像時の残渣の発生を抑えることができる。加えて、レジスト組成物(r2)は、好ましくは、繰返し単位(1)と繰返し単位(2)とを有し、Mwが10000~30000の共重合体を含有することにより、ガラス転移温度が高く、高温に曝された場合でもその形状を維持可能な耐熱性を有するレジスト膜を形成できる。さらに、レジスト組成物(r2)は、熱架橋基(R23)を含む繰返し単位を有している共重合体を含むため、硬度が高く、かつ、耐薬品性に優れたレジスト膜を形成することができる。
【0089】
レジスト組成物(r2)は、上記の繰返し単位(1)及び繰返し単位(2)を有する共重合体とともに、該共重合体以外の樹脂成分を併用してもよい。かかる樹脂成分としては、アクリル樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、ノボラック樹脂などが挙げられる。
【0090】
レジスト組成物(r2)に用いられる感光性成分は、上述したレジスト組成物(r1)に用いられる感光性成分と同様のものが挙げられる。この感光性成分は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。レジスト組成物(r2)中、感光性成分の含有量は、レジスト組成物(r2)の固形分に対して10~40質量%の範囲内であることが好ましい。感光性成分の含有量を好ましい下限値以上にすることにより、パターンを良好に形成することができる。レジスト組成物(r2)をマイクロレンズ形成に使用した場合には、現像時に良好にレンズ形状を形成できる。一方、感光性成分の含有量を好ましい上限値以下にすることにより、現像性を向上させ、現像時における残渣の発生を抑制することができる。
【0091】
レジスト組成物(r2)においては、繰返し単位(1)及び繰返し単位(2)を有する共重合体、及び感光性成分以外の成分を、必要に応じて用いることができる。レジスト組成物(r2)には、例えば、支持体への塗布性の点から、界面活性剤が配合されていてもよく、又は、増感剤、消泡剤などの各種添加剤が添加されていてもよい。レジスト組成物(r2)は、該共重合体と、感光性成分と、必要に応じてこれら以外の成分と、を有機溶剤に溶解することにより調製できる。
【0092】
<レジスト組成物(r3)>
レジスト組成物(r3)は、アルカリ可溶性樹脂と、酸発生剤と、を含有する化学増幅型ネガ型レジスト組成物である。レジスト組成物(r3)において、アルカリ可溶性樹脂は、一般にネガ型の化学増幅型レジスト組成物のベース樹脂として用いられている樹脂を、露光に使用する光源に応じて、従来公知のものの中から任意に選択して使用することが可能である。例えば、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。アルカリ可溶性樹脂は、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、アクリル樹脂などをそれぞれ単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。上記アルカリ可溶性樹脂の含有量は、例えばレジスト組成物(r3)がアルカリ可溶性樹脂と酸発生剤と後述の可塑剤とを含有する場合、アルカリ可溶性樹脂と酸発生剤と可塑剤との固形分総量100質量部に対して30~99質量部が好ましく、より好ましくは65~95質量部の範囲である。
【0093】
レジスト組成物(r3)において、酸発生剤としては、光の照射により直接若しくは間接的に酸を発生する化合物であれば特に限定されず、従来公知のものの中から任意に選択して使用することが可能である。酸発生剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。レジスト組成物(r3)中、上記酸発生剤の含有量は、レジスト組成物(r3)の固形分総量100質量部に対して0.01~5質量部が好ましく、より好ましくは0.05~2質量部、さらに好ましくは0.1~1質量部の範囲である。
【0094】
レジスト組成物(r3)においては、アルカリ可溶性樹脂、及び酸発生剤以外の成分を、必要に応じて用いることができる。例えば、アルカリ可溶性樹脂、及び酸発生剤に加えて、可塑剤を配合してもよい。可塑剤を配合することにより、クラックの発生を抑制できる。可塑剤としては、アクリル樹脂、ポリビニル樹脂などが挙げられる。
【0095】
また、レジスト組成物(r3)には、アルカリ可溶性樹脂及び酸発生剤に加えて、又は、アルカリ可溶性樹脂と酸発生剤と可塑剤とに加えて、架橋剤を配合してもよい。かかる架橋剤としては、アミノ化合物、例えばメラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、グリコールウリル-ホルムアルデヒド樹脂、スクシニルアミド-ホルムアルデヒド樹脂、エチレン尿素-ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられ、特にアルコキシメチル化メラミン樹脂やアルコキシメチル化尿素樹脂等のアルコキシメチル化アミノ樹脂等が好適に使用できる。
【0096】
レジスト組成物(r3)には、上記各成分に加えて、塩基解離性基(好ましくは、フッ素原子を含む塩基解離性基)を含む構成単位を有する含フッ素高分子化合物を必要に応じて配合してもよい。「塩基解離性基」とは、塩基の作用により解離し得る有機基である。すなわち、「塩基解離性基」は、アルカリ現像液(たとえば、23℃において、2.38質量%のTMAH水溶液)の作用により解離する。塩基解離性基がアルカリ現像液の作用により解離すると、親水性基が現れるため、アルカリ現像液に対する親和性が向上する。つまり、含フッ素高分子化合物は、疎水性の高い「フッ素原子を有する高分子化合物」であるが、同時に、「塩基解離性基」をも有しているため、アルカリ現像液の作用により、アルカリ現像液に対する親和性が向上する。したがって、該ネガ型レジスト組成物を用いることにより、浸漬露光時には疎水性であって、現像時にはアルカリ現像液に良好に溶解するレジスト膜を形成することができる。
【0097】
レジスト組成物(r3)には、上記各成分に加えて、必要に応じてトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジブチルアミン、トリエタノールアミン等の第二級又は第三級アミン等のクエンチャー;界面活性剤、接着助剤として官能性シランカップリング剤、充填材、着色剤、粘度調整剤、消泡剤などを添加することもできる。レジスト組成物(r3)は、アルカリ可溶性樹脂と、酸発生剤と、必要に応じてこれら以外の成分と、を有機溶剤に溶解することにより調製できる。
【0098】
<レジスト組成物(r4)>
レジスト組成物(r4)は、アルカリ可溶性樹脂と、カチオン重合開始剤と、増感剤と、を含有するネガ型レジスト組成物である。レジスト組成物(r4)において、アルカリ可溶性樹脂としては、多官能エポキシ樹脂が挙げられる。多官能エポキシ樹脂としては、厚膜のレジストパターンを形成するのに充分なエポキシ基を1分子中に有するエポキシ樹脂であれば、特に限定されず、多官能フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、多官能オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、多官能トリフェニル型ノボラック型エポキシ樹脂、多官能ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。また、該アルカリ可溶性樹脂として、光硬化性を有するアルカリ可溶性基材も用いることができる。
【0099】
レジスト組成物(r4)において、カチオン重合開始剤は、紫外線、遠紫外線、KrF、ArF等のエキシマレーザー、X線、又は電子線等の照射を受けてカチオン部を生じるものであり、そのカチオン部が重合開始剤となり得る化合物である。このカチオン重合開始剤としては、従来公知のものの中から任意に選択して使用することが可能である。カチオン重合開始剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。レジスト組成物(r4)中、上記カチオン重合開始剤の含有量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して0.5~20質量部であることが好ましい。カチオン重合開始剤の含有量を0.5質量部以上とすることで、充分な光感度を得ることができる。一方、20質量部以下とすることで、レジスト膜の特性が向上する。
【0100】
レジスト組成物(r4)において、増感剤は、上記の多官能エポキシ樹脂と架橋形成可能な、ナフタレン誘導体又はアントラセン若しくはその誘導体からなるものが好ましい。このような増感剤の増感機能により、レジスト組成物をさらに高感度化することができる。その中でも特に、水酸基を2つ有するジヒドロキシナフタレン、又はアントラセンからなる増感剤を含有することが好ましい。これらの増感剤は、複数の芳香環を有することから、レジストパターンを高硬度化することができる。増感剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。レジスト組成物(r4)中、増感剤の含有量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、好ましくは1~50質量部である。
【0101】
レジスト組成物(r4)においては、アルカリ可溶性樹脂、カチオン重合開始剤及び増感剤以外の成分を、必要に応じて用いることができる。例えば、レジストパターンの硬化性をより高める点から、オキセタン誘導体を用いることが好ましい。また、上述したカチオン重合開始剤以外の、感光性樹脂組成物用の光重合開始剤も用いることができる。加えて、露光時の硬化不良が生じ難く、充分な耐熱性を得やすいことから、光重合性化合物を配合してもよい。
【0102】
さらに、レジスト組成物(r4)には、所望により、混和性のある添加剤、例えば、レジストパターンの性能を改良するための付加的樹脂、可塑剤、安定剤、着色剤、カップリング剤、レベリング剤等の従来公知のものを適宜配合することができる。レジスト組成物(r4)は、アルカリ可溶性樹脂と、カチオン重合開始剤と、増感剤と、必要に応じてこれら以外の成分と、を有機溶剤に溶解することにより調製できる。
【0103】
<レジストパターンの形成方法の各工程の説明>
図4は、第一実施形態のプレパターンを形成する工程(1)の説明図である。
図5は、
図4に続く、第一実施形態のプレパターンを硬化させる工程(2)における第一照射工程の説明図である。
図6は、
図5に続く、上記工程(2)における第二照射工程の説明図である。
図7は、
図6に続く、基板に形成したレジストパターンの説明図である。
【0104】
図4に示すように、工程(1)では、レジスト組成物を用いて基板に形成したレジスト膜を露光した後、現像によりパターニングしてプレパターンを形成する。
図4においては、台形形状のプレパターンを示している。工程(1)の後、工程(2)に移行する。
【0105】
図5に示すように、工程(2)では、まず、第一照射工程において、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光(
図5の矢印L1参照)でプレパターンを照射する。例えば、第一照射工程では、光源に対し波長330nm未満の領域を減衰させる光学フィルタを設けることにより、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光でプレパターンを照射する。第一照射工程の後、第二照射工程に移行する。
【0106】
図6に示すように、第二照射工程では、紫外線及び可視光線の両方を含む光(
図6の矢印L2参照)でプレパターンを照射する。例えば、第二照射工程では、光源から光学フィルタを外すことにより、紫外線及び可視光線の両方を含む光でプレパターンを照射する。例えば、第二照射工程では、天然石英窓を設けることにより、紫外線及び可視光線のうち波長230nm未満の領域を減衰させた光でプレパターンを照射する。
【0107】
図7に示すように、第二照射工程を経ることにより、プレパターンが硬化する。これにより、基板にレジストパターンを形成することができる。なお、必要に応じて、第二照射工程の後に、レジストパターンに対して加熱処理を行ってもよい。
【0108】
<作用効果>
以上のように、本実施形態のレジストパターン形成方法は、レジスト組成物を用いて基板に形成したレジスト膜を露光した後、現像によりパターニングしてプレパターンを形成する工程(1)と、紫外線及び可視光線の一方又は両方を照射してプレパターンを硬化させる工程(2)と、を有するレジストパターン形成方法であって、工程(2)は、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光でプレパターンを照射する第一照射工程と、第一照射工程の後、紫外線及び可視光線の両方を含む光でプレパターンを照射する第二照射工程と、を含む。例えば仮に、波長254nmの紫外線でプレパターンを照射すると、プレパターンの表層部に部分的に硬化層が形成される場合がある。この場合、プレパターンに紫外線を照射しても硬化層に遮断されてしまい、プレパターンの内部は硬化が進展しにくい。これにより、内部が十分に硬化していないレジストパターンが形成される可能性がある。レジストパターンの内部が十分に硬化していないと、加熱処理の際にレジストパターンにシワ状の荒れ等が発生する可能性が高い。また、プレパターンの内部の硬化を進展させるために単に紫外線照射を続けるだけでは、レジストパターンの形成に時間がかかる可能性が高い。なお、波長254nmの紫外線でプレパターンを照射すると、プレパターンの表層部に部分的に硬化層が形成される理由としては、波長254nmの強いエネルギーの紫外線(
図8に示す矢印Lx参照)でプレパターンを照射すると、有機膜に長波長を通しにくいエチレン基(-C=C-)を発生させるため、波長365nmの紫外線が通過しにくくなるためと考えられる。そのため、プレパターンの表層部分は高分子化されるが、プレパターンの内部は高分子化が進みにくくなっていると考えられる。紫外線照射後に加熱処理を行う場合、シワ状の荒れ等が生じる理由は、レジストパターンの内部が十分に高分子化されていないことに起因すると考えられる。これに対し本実施形態によれば、第一照射工程では、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光でプレパターンを照射することで、プレパターンの表層部に部分的に硬化層が形成されることを抑制することができる(
図5参照)。そのため、第一照射工程の後の第二照射工程では、プレパターンの表層部に硬化層の形成が抑制された状態で、紫外線及び可視光線の両方を含む光でプレパターンを照射することができる(
図6参照)。これにより、第二照射工程では、光が硬化層に遮断されることが抑制されているため(プレパターンの内部に光が入りやすくなっているため)、プレパターンの内部の硬化を短時間で十分に進展させることができる。そのため、表層部及び内部が十分に硬化したレジストパターンを形成することができる(
図7参照)。その結果、加熱処理の際にレジストパターンにシワ状の荒れ等が発生することを抑制することができる。したがって、耐熱性に優れたレジストパターンを短時間で形成することができる。ところで、基板に高融点金属(例えばタングステン等)を蒸着により配線する場合がある。この場合、基板には高熱がかかり、結果としてレジストパターンは高温(例えば160℃以上の温度)となる。本実施形態によれば、耐熱性に優れたレジストパターンを形成することができるため、基板に高融点金属を蒸着する場合であっても高温に耐えることができる。
【0109】
本実施形態において、第二照射工程では、紫外線及び可視光線のうち波長230nm未満の領域を減衰させた光でプレパターンを照射することで、以下の効果を奏する。例えば仮に、第二照射工程において紫外線及び可視光線のうち波長230nm未満の光でプレパターンを照射すると、オゾン(O3)が発生する場合がある。この場合、オゾンにより、プレパターンの表層部に形成された硬化層が破壊される可能性がある。なお、上述の通り波長254nmの紫外線でプレパターンを照射すると、プレパターンの表層部に部分的に硬化層が形成されるが、同時に230nm未満の強いエネルギーの紫外線がオゾン(O3)を発生させ、形成した硬化層を分解し始める可能性が高い(
図9参照)。同時にエチレン基(-C=C-)を発生させるため、波長365nmの紫外線が通過しにくくなり、結果として、プレパターンの表層部分は高分子化されるがそれほど強くなく、プレパターンの内部は高分子化が進みにくくなっていると考えられる。これに対し本実施形態によれば、第二照射工程では紫外線及び可視光線のうち波長230nm未満の領域を減衰させた光でプレパターンを照射することで、オゾンの発生を抑制することができる。したがって、プレパターンの表層部に形成された硬化層が破壊されることを抑制することができる。
【0110】
本実施形態において、第一照射工程では、光源10に対し波長330nm未満の領域の光を減衰させる光学フィルタ11を設けることにより、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光でプレパターンを照射し、第二照射工程では、光源10から光学フィルタ11を外すことにより、紫外線及び可視光線の両方を含む光でプレパターンを照射することで、以下の効果を奏する。第一照射工程及び第二照射工程において共通の光源10を用いることができる。
【0111】
なお、本実施形態の光照射装置1において、光照射部3は、光源10と、波長330nm未満の領域の光を減衰させる光学フィルタ11と、光源10に対し光学フィルタ11を着脱する着脱機構12と、を備え、第一照射制御では、光源10に対し光学フィルタ11を設けることにより、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光で基板2を照射し、第二照射制御では、光源10から光学フィルタ11を外すことにより、紫外線及び可視光線の両方を含む光で基板2を照射する。
【0112】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について、
図10を用いて説明する。第二実施形態では、第一実施形態に対して、光照射部の構成が特に異なる。
図10において、第一実施形態と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図10は、第二実施形態のレジストパターンの形成方法に用いる光照射装置201の断面図である。
【0113】
図10に示すように、光照射部203は、第一光源210Aと、第一光源210Aとは異なる第二光源210Bと、第一光源210Aと第二光源210Bとを交換する交換機構212と、を備える。例えば、第一光源210Aは、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光を発する光源である。例えば、第二光源210Bは、紫外線及び可視光線の両方を含む光(波長330nm未満の領域を減衰させていない光)を発する光源である。例えば、交換機構212は、第一光源210Aまたは第二光源210Bを把持可能なロボットハンドと、ロボットハンドを移動可能なロボットアームと、を備えるロボット機構であってもよい。
【0114】
例えば、交換機構212は、第一照射工程の前に、第一光源210Aを光源支持部42の支持開口部42aに取り付ける。これにより、第一照射工程では、第一光源210Aからの光が基板2に照射されるため、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光(好ましくは波長350nm以上450nm以下の領域を含む光)で基板上のプレパターンを照射することができる。
【0115】
例えば、交換機構212は、第一照射工程の後かつ第二照射工程の前に、第二光源210Bを光源支持部42の支持開口部42aに取り付ける。すなわち、交換機構212は、第二照射工程の前に、第一光源210Aを第二光源210Bに交換する。これにより、第二照射工程では、第二光源210Bからの光が基板2に照射されるため、紫外線及び可視光線の両方を含む光で基板上のプレパターンを照射することができる。例えば、第二照射工程では、紫外線及び可視光線のうち波長200nm以上600nm以下の領域を含む光(紫外線及び可視光線のうち波長200nm未満及び波長600nm超過の領域を減衰させた光)でプレパターンを照射することが好ましい。
【0116】
以上のように、本実施形態によれば、第一照射工程では、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光を発する第一光源210Aを設けることにより、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光でプレパターンを照射し、第二照射工程では、第一光源210Aに換えて第一光源210Aとは異なる第二光源210Bを設けることにより、紫外線及び可視光線の両方を含む光でプレパターンを照射することで、以下の効果を奏する。第一照射工程と第二照射工程との間で光源210A,210Bを交換するだけで済むため、光学フィルタを交換する場合と比較して、交換作業が容易となる。
【0117】
なお、本実施形態の光照射装置201において、光照射部203は、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光を発する第一光源210Aと、第一光源210Aとは異なる第二光源210Bと、第一光源210Aと第二光源210Bとを交換する交換機構212と、を備え、第一照射制御では、第一光源210Aを設けることにより、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光で基板2を照射し、第二照射制御では、第一光源210Aに換えて第二光源210Bを設けることにより、紫外線及び可視光線の両方を含む光で基板2を照射する。
【0118】
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態について、
図11を用いて説明する。
図11は、第三実施形態の基板処理装置300の平面図である。
図11において、上述した実施形態と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0119】
図11に示すように、基板処理装置300は、基板2に対してレジスト組成物を含むレジスト膜を塗布する塗布装置360と、基板2に塗布されたレジスト膜を露光する露光装置361と、露光したレジスト膜を現像によりパターニングしてプレパターンを形成する現像装置362と、紫外線及び可視光線の一方又は両方を照射してプレパターンを硬化させる光照射装置301と、を備える。塗布装置360、露光装置361、現像装置362及び光照射装置301は、基板2の搬送方向において順に配置されている。
【0120】
基板処理装置300は、基板2を搬送させるための搬送装置363と、基板処理装置300の各部を統括的に制御する制御装置364と、を更に備える。例えば、搬送装置363は、基板2を把持可能なロボットハンドと、ロボットハンドを移動可能なロボットアームと、を備えるロボット機構を備えていてもよい。
【0121】
塗布装置360は、基板2にレジスト膜を塗布する装置である。例えば、塗布装置360としては、回転式塗布装置、ノンスピン式塗布装置、スリットノズル塗布装置等が挙げられる。なお、塗布装置360よりも-X側には、基板2を待機させておくための待機装置365、基板2の洗浄を行う洗浄装置366、基板2を脱水する脱水装置367等が設けられていてもよい。
【0122】
露光装置361は、塗布装置360よりも+X側に配置されている。露光装置361は、基板2に塗布されたレジスト膜を露光する装置である。なお、露光装置361よりも-X側には、基板2にプリベーク処理を行うプリベーク処理装置368が設けられていてもよい。
【0123】
現像装置362は、露光装置361よりも-X側に配置されている。現像装置362は、露光後の基板の現像処理を行う装置である。なお、現像装置362の+X側には、ベルトコンベア等の搬送機構369が設けられていてもよい。
【0124】
光照射装置301は、現像装置362よりも-X側に配置されている。例えば、光照射装置301としては、上述した第一実施形態の光照射装置1(
図1参照)又は第二実施形態の光照射装置201(
図10参照)を設けることが可能である。なお、光照射装置301よりも-X側には、基板2にポストベーク処理を行うポストベーク処理装置370が設けられていてもよい。
【0125】
以上のように、本実施形態の基板処理装置300は、基板2に対してレジスト組成物を含むレジスト膜を塗布する塗布装置360と、基板2に塗布されたレジスト膜を露光する露光装置361と、露光したレジスト膜を現像によりパターニングしてプレパターンを形成する現像装置362と、紫外線及び可視光線の一方又は両方を照射してプレパターンを硬化させる光照射装置301と、を備える。本実施形態によれば、光照射装置301として上述した光照射装置1(
図1参照)又は光照射装置201(
図10参照)を設けることにより、耐熱性に優れたレジストパターンを短時間で形成することができる。
【0126】
<第四実施形態>
次に、本発明の第四実施形態について、
図12を用いて説明する。第四実施形態では、第一実施形態に対して、光照射部の配置が特に異なる。
図12において、第一実施形態と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図12は、第四実施形態のレジストパターンの形成方法に用いる光照射装置401の断面図である。
【0127】
図12に示すように、光照射装置401は、チャンバ420と、チャンバ420の外部に設けられた光照射部403と、を備える。チャンバ420は、基板2を密閉空間で収容可能に構成されている。チャンバ420内には、基板2を加熱する加熱機構430が設けられている。加熱機構430は、基板2と略同じ平面視サイズの矩形板状を有する。加熱機構430は、基板2を下方から支持するように配置されている。加熱機構430は、ステージ431に取り付けられている。加熱機構430は、不図示のヒータ等を含む。
【0128】
チャンバ420の天板には、光源410A,410Bからの光を透過可能な透過部423が設けられている。例えば、透過部423は、石英、耐熱ガラス、樹脂シート、樹脂フィルム等により形成されている。
【0129】
チャンバ420の下方には、基板2をZ方向に移動可能な昇降機構460が設けられている。昇降機構460は、Z方向に延びる複数のリフトピン461を有する。ステージ431、チャンバ420の底板、及び加熱機構430には、リフトピン461を挿通可能に開口する複数の挿通孔が設けられている。リフトピン461は、チャンバ420内に収容される基板2を支持しつつチャンバ420内のZ方向に移動可能である。
図12の例では、複数のリフトピン461の先端が各挿通孔を介して基板2の下面に当接すると共に、複数のリフトピン461が上昇することによって、基板2が加熱機構430から上方に離反している状態を示している。なお、昇降機構460において複数のリフトピン461を昇降させる駆動源462は、チャンバ420の外部に配置されている。
【0130】
光照射部403は、第一光源410Aと、第一光源410Aとは異なる第二光源410Bと、第一光源410A及び第二光源410Bを移動させる搬送機構412と、を備える。例えば、第一光源410Aは、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光を発する光源である。例えば、第二光源410Bは、紫外線及び可視光線の両方を含む光(波長330nm未満の領域を減衰させていない光)を発する光源である。
【0131】
搬送機構412は、X方向に延びるレール413と、レール413に沿って摺動可能な2つの門型フレーム414A,414Bと、を備える。レールは、チャンバをY方向両側から挟むように一対設けられている。門型フレーム414A,414Bは、チャンバ420をY方向に跨ぐように門型に形成されている。門型フレーム414A,414Bは、光源410A,410Bを保持可能に上方に窪む凹部を有する。光源410A,410Bは、凹部に収容されている。光源410A,410Bのうち照射面(下面)を除く部分は、凹部を形成する門型フレーム414A,414Bの壁部によって覆われている。
【0132】
例えば、門型フレーム414A,414Bは、光源410A,410Bからの光を遮蔽する部材によって形成されている。これにより、光源410A,410Bから光を照射する際に、光が門型フレーム414A,414Bの側方に拡散することを回避することができ、光源410A,410Bからの光を下方(チャンバ420内の基板2)に向けて照射することができる。なお、
図12の例では、門型フレーム414Aに保持された第一光源410Aが透過部423の直上に配置された状態を示している。
【0133】
例えば、搬送機構412は、第一照射工程の前に、光源410A,410Bを保持する門型フレーム414A,414Bをレール413に沿って移動させ、第一光源410Aを透過部423の直上に配置する。これにより、第一照射工程では、第一光源410Aからの光が基板2に照射されるため、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光(好ましくは波長350nm以上450nm以下の領域を含む光)で基板上のプレパターンを照射することができる。
【0134】
例えば、搬送機構412は、第一照射工程の後かつ第二照射工程の前に、光源410A,410Bを保持する門型フレーム414A,414Bをレール413に沿って移動させ、第二光源410Bを透過部423の直上に配置する。すなわち、搬送機構412は、第二照射工程の前に、第二光源410Bを透過部423の直上に配置する。これにより、第二照射工程では、第二光源410Bからの光が基板2に照射されるため、紫外線及び可視光線の両方を含む光で基板上のプレパターンを照射することができる。例えば、第二照射工程では、紫外線及び可視光線のうち波長200nm以上600nm以下の領域を含む光(紫外線及び可視光線のうち波長200nm未満及び波長600nm超過の領域を減衰させた光)でプレパターンを照射することが好ましい。
【0135】
以上のように、本実施形態によれば、第一照射工程では、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光を発する第一光源410Aを透過部423の直上に配置することにより、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光でプレパターンを照射し、第二照射工程では、第一光源410Aとは異なる第二光源410Bを透過部423の直上に配置することにより、紫外線及び可視光線の両方を含む光でプレパターンを照射することで、以下の効果を奏する。第一照射工程と第二照射工程との間で光源410A,410Bを移動するだけで済むため、光学フィルタを交換する場合と比較して、作業が容易となる。
【0136】
なお、本実施形態の光照射装置401において、光照射部403は、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光を発する第一光源410Aと、第一光源410Aとは異なる第二光源410Bと、第一光源410Aと第二光源410Bとを移動させる搬送機構412と、を備え、第一照射制御では、第一光源410Aを透過部423の直上に配置することにより、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光で基板2を照射し、第二照射制御では、第二光源410Bを透過部423の直上に配置することにより、紫外線及び可視光線の両方を含む光で基板2を照射する。
【0137】
<変形例>
なお、上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。例えば、上記実施形態の光照射装置又は基板処理装置を含む基板処理システムに本発明を適用してもよい。例えば、基板処理システムは、工場などの製造ラインに組み込まれて用いられ、基板の所定の領域に薄膜を形成するシステムである。図示はしないが、例えば、基板処理システムは、上記光照射装置又は基板処理装置を含む基板処理ユニットと、処理前の基板を収容した搬入用カセットが供給されると共に空の搬入用カセットが回収されるユニットである基板搬入ユニットと、処理後の基板を収容した搬出用カセットが回収されると共に空の搬出用カセットが供給されるユニットである基板搬出ユニットと、基板処理ユニットと基板搬入ユニットとの間で搬入用カセットを搬送すると共に、基板処理ユニットと基板搬出ユニットの間で搬出用カセットを搬送する搬送ユニットと、各ユニットを統括制御する制御ユニットと、を備えている。この構成によれば、上記光照射装置又は基板処理装置を含むことで、基板処理システムにおいて、耐熱性に優れたレジストパターンを短時間で形成することができる。
【0138】
なお、上記において実施形態又はその変形例として記載した各構成要素は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わせることができるし、また、組み合わされた複数の構成要素のうち一部の構成要素を適宜用いないようにすることもできる。
【実施例0139】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0140】
本実施例にて使用したレジスト組成物(1)を以下に示す。
レジスト組成物(1):下記のアルカリ可溶性樹脂100質量部と、感度向上剤10質量部と、感光性成分23質量部と、を有機溶剤429質量部に均一に溶解した後、これを孔径0.2μmのメンブランフィルターを用いてろ過し、レジスト組成物を調製した。
【0141】
アルカリ可溶性樹脂:m-クレゾール35モル%とp-クレゾール65モル%との混合物に、シュウ酸とホルムアルデヒドとを加え縮合反応して得られた質量平均分子量(Mw)4000のクレゾールノボラック樹脂、に分別処理を施して得られた、Mw=4500、フェノール類の2核体含有量が約6モル%のクレゾールノボラック樹脂を使用した。
感度向上剤:下記化学式(V)で表されるフェノール化合物。
感光性成分:下記化学式(VIII)で表される化合物1モルと、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリド(以下「5-NQD」と記述する)2.34モルと、のエステル化物(エステル化率59モル%)。
有機溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート。
【0142】
【0143】
<評価>
上記のレジスト組成物(1)を用い、以下のようにしてレジストパターンを形成し、各評価を行った。
【0144】
[レジストパターンの形成]
(実施例1)
工程(1):レジスト組成物(1)を、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施した6インチシリコンウェーハ上に、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で110℃、90秒間プレベークして乾燥させることにより、膜厚2.5μmのレジスト膜を形成した。次いで、露光装置(商品名G7E、株式会社ニコン製;NA0.54)により、所定のマスクパターンを介して露光した。その後、温度23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で65秒間のアルカリ現像を行った。その結果、ライン&スペースのプレパターンが形成された。
【0145】
工程(2):次に、上記プレパターンに対して紫外線及び可視光線の両方を含む光を照射し、該プレパターンの硬化を行った。工程(2)は、紫外線及び可視光線のうち波長330nm未満の領域を減衰させた光(このうち波長365nmを基準とした波長350nm以上450nm以下の領域を含む光)でプレパターンを照射する第一照射工程と、第一照射工程の後、紫外線及び可視光線のうち波長230nm未満の領域を減衰させた光(このうち波長254nmを基準とした波長230nm以上600nm以下の領域を含む光)でプレパターンを照射する第二照射工程と、により行った。かかる光照射による硬化の条件を以下に示す。
装置:紫外線照射装置(東京応化工業株式会社製)。
光源:160W/cm 高圧水銀ランプ
照射窓:板厚25mmの天然石英窓
照射時間:180秒間
プレパターンを硬化させる際の温度(プレパターン自体の温度):100℃、基板ステージに熱電対を設置し、カット光を照射中に測定。
基板ステージの加熱温度:100℃に調整。
装置内の雰囲気:N2ガスを供給、露点-35℃(水分濃度600ppm質量基準)、酸素濃度1000ppm質量基準。
なお、プレパターン自体の温度は、基板ステージ(ホットプレート)による加熱と、光照射の輻射による加熱と、により決まる。かかる光照射による硬化の条件では、基板への熱吸収による温度低下と、光照射の輻射による温度上昇と、の相互の影響によって、プレパターン自体の温度が基板ステージの加熱温度付近になる。また、第一照射工程では、光源に対し、波長330nm未満の領域の光を減衰させるバンドパスフィルタを設けた。第二照射工程では、光源から前記バンドパスフィルタを外した。実施例1においては、第一照射工程の照射時間を10秒間、第二照射工程の照射時間を170秒間とした。
【0146】
実施例1においては、工程(1)及び工程(2)により、ライン幅1.5μm、ピッチ幅3.0μmのライン&スペースのレジストパターンを得た。
【0147】
(実施例2~4)
第一照射工程の照射時間及び第二照射工程の照射時間を変更した以外は、実施例1と同様の操作(工程(1)及び工程(2))を行い、レジストパターンを得た。実施例2においては、第一照射工程の照射時間を30秒間、第二照射工程の照射時間を150秒間とした。実施例3においては、第一照射工程の照射時間を60秒間、第二照射工程の照射時間を120秒間とした。実施例4においては、第一照射工程の照射時間を120秒間、第二照射工程の照射時間を60秒間とした。
【0148】
(比較例1)
工程(1):レジスト組成物(1)を用い、実施例1と同様にして、ライン&スペースのプレパターンを得た。
【0149】
工程(2):次に、得られたプレパターンに対して、紫外線及び可視光線の両方を含む光(光源から前記バンドパスフィルタを外した状態)を照射し、該プレパターンの硬化を行った。かかる光照射による硬化の条件を以下に示す。
装置:紫外線照射装置(東京応化工業株式会社製)。
光源:160W/cm 高圧水銀ランプ
照射窓:板厚25mmの天然石英窓
照射時間:250秒間
プレパターンを硬化させる際の温度(プレパターン自体の温度):100℃、基板ステージに熱電対を設置し、カット光を照射中に測定。
基板ステージの加熱温度:100℃に調整。
装置内の雰囲気:N2ガスを供給、露点-35℃(水分濃度600ppm質量基準)、酸素濃度1000ppm質量基準。
なお、プレパターン自体の温度は、基板ステージ(ホットプレート)による加熱と、光照射の輻射による加熱と、により決まる。かかる光照射による硬化の条件では、基板への熱吸収による温度低下と、光照射の輻射による温度上昇と、の相互の影響によって、プレパターン自体の温度が基板ステージの加熱温度付近になる。
【0150】
比較例1において、上述した操作により、ライン幅1.5μm、ピッチ幅3.0μmのライン&スペースのレジストパターンを得た。
【0151】
[耐熱性の評価]
実施例1~4及び比較例1でそれぞれ得られたレジストパターンの状態(光照射後の状態)を観察した。また、各レジストパターンが形成されたシリコンウェーハを、150℃及び160℃の各温度でホットプレート上に置き、それぞれ5分間加熱した。そして、加熱後の各レジストパターンの状態を観察し、耐熱性を評価した。かかる耐熱性の評価結果を表1に示した。なお、下記の評価基準に基づいて評価した。
評価基準
5点:全面が鏡面であり、シワ等は全く認められなかった。
3点:シワは認められないが、部分的に僅かな浮きが認められた。
2点:部分的に浮きが認められた。
1点:部分的にシワが認められた。
0点:全面的にシワが認められた。
【0152】
【0153】
その結果、実施例2~4で得られたレジストパターンの加熱後の状態では、比較例1及び実施例1で得られたレジストパターンには認められない、全面的なシワ、部分的なシワが認められた。これより、実施例1で得られたレジストパターンは、実施例2~4で得られたレジストパターンに比べて、耐熱性が高いことが確認できた。このことにより、実施例1で得られたレジストパターンは、その内部まで全体が十分に硬化していると考えられ、耐ドライエッチング性も高いといえる。さらに、実施例1で得られたレジストパターンの耐熱性は、比較例1で得られたレジストパターンの耐熱性と比較して遜色ないことが確認できた。以上により、実施例1の第一照射工程及び第二照射工程の条件は、耐熱性に優れたレジストパターンを短時間で形成することができる条件であることが分かった。