(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024144835
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】ウレタン(メタ)アクリレート系化合物、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、およびウレタン(メタ)アクリレート系化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 18/67 20060101AFI20241004BHJP
C08G 18/36 20060101ALI20241004BHJP
C08G 18/75 20060101ALI20241004BHJP
C08F 299/06 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
C08G18/67
C08G18/36
C08G18/75 010
C08F299/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056975
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142309
【弁理士】
【氏名又は名称】君塚 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】堤 由佳
【テーマコード(参考)】
4J034
4J127
【Fターム(参考)】
4J034BA03
4J034BA07
4J034BA08
4J034DA01
4J034DB04
4J034DB05
4J034DB07
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4J127AA01
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4J127CA01
4J127EA12
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4J127FA14
(57)【要約】
【課題】過度な高粘度化の抑制と、形成される塗膜の伸び、弾性率、強度等の物性を両立できるウレタン(メタ)アクリレート系化合物、およびそれを用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】平均官能基数2.0超のポリオール(a1)、ジイソシアネート(a2)および水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)の反応生成物からなるウレタン(メタ)アクリレート系化合物であって、前記ポリオール(a1)は、水酸基が結合している炭素鎖の1つ以上が分岐を含むこと、及び2級水酸基を含むことの少なくとも一方を満たすポリオールを含み、前記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の不揮発成分全体に対する前記ポリオール(a1)由来の構造単位の割合が45質量%以上である、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均官能基数2.0超のポリオール(a1)、ジイソシアネート(a2)および水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)の反応生成物からなるウレタン(メタ)アクリレート系化合物であって、
前記ポリオール(a1)は、水酸基が結合している炭素鎖の1つ以上が分岐を含むこと、及び2級水酸基を含むことの少なくとも一方を満たすポリオールを含み、
前記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の不揮発成分全体に対する前記ポリオール(a1)由来の構造単位の割合が45質量%以上である、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物。
【請求項2】
60℃における粘度が1000~400000mPa・sである、請求項1に記載のウレタン(メタ)アクリレート系化合物。
【請求項3】
前記ポリオール(a1)が、ひまし油由来のポリオールを含む、請求項1に記載のウレタン(メタ)アクリレート系化合物。
【請求項4】
前記ジイソシアネート(a2)が、イソホロンジイソシアネートを含む、請求項1に記載のウレタン(メタ)アクリレート系化合物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のウレタン(メタ)アクリレート系化合物を含有する、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
平均官能基数2.0超のポリオール(a1)、ジイソシアネート(a2)および水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)を反応させることを含むウレタン(メタ)アクリレート系化合物の製造方法であって、
前記ポリオール(a1)は、水酸基が結合している炭素鎖の1つ以上が分岐を含むこと、及び2級水酸基を含むことの少なくとも一方を満たすポリオールを含み、
前記ポリオール(a1)、前記ジイソシアネート(a2)および前記水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)の合計量に対する前記ポリオール(a1)の割合を45質量%以上とする、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物、およびそれを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、ならびにウレタン(メタ)アクリレート系化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルジオールやポリエーテルジオール等のジオール化合物、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物、およびヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を反応させたウレタン(メタ)アクリレート系化合物は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として知られており、塗料やコーティング剤、接着剤等の用途に使用されている。
【0003】
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の原料のポリオール成分としては、耐熱性や硬度等の物性の向上が期待されることから、平均官能基数が2.0超であるひまし油を用いることが提案されている(例えば特許文献1~4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-138812号公報
【特許文献2】特開2000-26555号公報
【特許文献3】特公昭58-5949号公報
【特許文献4】特開平1-113478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1~4のような従来のウレタン(メタ)アクリレート系化合物では、粘度が高くなり過ぎることを抑制しつつ、形成される塗膜の伸び、弾性率、強度等の物性を両立させることが困難である。
【0006】
本発明は、過度な高粘度化の抑制と、形成される塗膜の伸び、弾性率、強度等の物性を両立できるウレタン(メタ)アクリレート系化合物およびその製造方法、また前記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物を用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の態様を含む。
[1]平均官能基数2.0超のポリオール(a1)、ジイソシアネート(a2)および水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)の反応生成物からなるウレタン(メタ)アクリレート系化合物であって、
前記ポリオール(a1)は、水酸基が結合している炭素鎖の1つ以上が分岐を含むこと、及び2級水酸基を含むことの少なくとも一方を満たすポリオールを含み、
前記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の不揮発成分全体に対する前記ポリオール(a1)由来の構造単位の割合が45質量%以上である、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物。
[2]60℃における粘度が1000~400000mPa・sである、[1]に記載のウレタン(メタ)アクリレート系化合物。
[3]前記ポリオール(a1)が、ひまし油由来のポリオールを含む、[1]または[2]に記載のウレタン(メタ)アクリレート系化合物。
[4]前記ジイソシアネート(a2)が、イソホロンジイソシアネートを含む、[1]~[3]のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレート系化合物。
[5][1]~[4]のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレート系化合物を含有する、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
[6]平均官能基数2.0超のポリオール(a1)、ジイソシアネート(a2)および水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)を反応させることを含むウレタン(メタ)アクリレート系化合物の製造方法であって、
前記ポリオール(a1)は、水酸基が結合している炭素鎖の1つ以上が分岐を含むこと、及び2級水酸基を含むことの少なくとも一方を満たすポリオールを含み、
前記ポリオール(a1)、前記ジイソシアネート(a2)および前記水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)の合計量に対する前記ポリオール(a1)の割合を45質量%以上とする、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、過度な高粘度化の抑制と、形成される塗膜の伸び、弾性率、強度等の物性を両立できるウレタン(メタ)アクリレート系化合物およびその製造方法、また前記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物を用いた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
特許請求の範囲および明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルあるいはメタクリルを意味する。また、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
「~」で記載される数値範囲は、その前後の数値を下限および上限として含む範囲を意味し、例えばA~BはA以上B以下と同義である。
【0010】
[ウレタン(メタ)アクリレート系化合物]
実施形態に係るウレタン(メタ)アクリレート系化合物(以下、「ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)」ともいう。)は、以下の(1)~(3)を満たす。
(1)平均官能基数2.0超のポリオール(a1)、ジイソシアネート(a2)および水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)の反応生成物からなる。
(2)ポリオール(a1)は、水酸基が結合している炭素鎖の1つ以上が分岐を含むこと、及び2級水酸基を含むことの少なくとも一方を満たすポリオールを含む。
(3)ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の不揮発成分全体に対するポリオール(a1)由来の構造単位の割合は、45質量%以上である。
【0011】
実施形態に係るウレタン(メタ)アクリレート系化合物は、前記した(1)~(3)の条件を満たすことにより、過度な高粘度化の抑制と、形成される塗膜の伸び、弾性率、強度等の物性を両立することができる。特にポリオール(a1)由来の構造単位の割合が45質量%以上であることで、ジイソシアネート(a2)由来の構成単位の割合が相対的に少なくなるため、一定の硬度を保ちながら、伸び、加工性に優れた塗膜を形成できる傾向がある。
【0012】
ポリオール(a1)、ジイソシアネート(a2)および水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)には、未反応のポリオール、ジイソシアネート、水酸基含油(メタ)アクリレート等の揮発成分が含まれ得る。
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の不揮発成分全体に対するポリオール(a1)由来の構造単位の割合は、45質量%以上であり、好ましくは45質量%以上である。ポリオール(a1)由来の構造単位の割合が前記下限値以上であれば、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の粘度が高くなり過ぎず、また、伸び、強度および弾性率に優れた塗膜を形成できる。未反応ポリオールが残存することによる、樹脂の保存安定性低下による高粘度化や硬化塗膜の強度低下を抑制する点では、前記ポリオール(a1)由来の構造単位の割合は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下である。前記ポリオール(a1)由来の構造単位の割合の下限と上限は任意に組み合わせることができ、45~55質量%が好ましい。
【0013】
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の不揮発成分全体に対するジイソシアネート(a2)由来の構造単位の割合は、20~40質量%が好ましい。前記ジイソシアネート(a2)由来の構造単位の割合は、より好ましくは25質量%以上である一方、より好ましくは35質量%以下である。ジイソシアネート(a2)由来の構造単位の割合が前記下限値以上であれば、未反応ジイソシアネート残存することによる、樹脂の保存安定性の低下による高粘度化を抑制できる。ジイソシアネート(a2)由来の構造単位の割合が前記上限値以下であれば、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の粘度が過度に高くなり過ぎず、また、伸び、強度および弾性率に優れた塗膜を形成できる。
【0014】
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の不揮発成分全体に対する水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)由来の構造単位の割合は、5~30質量%が好ましい。前記水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)由来の構造単位の割合は、より好ましくは10質量%以上である一方、より好ましくは20質量%以下である。水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)由来の構造単位の割合が前記下限値以上であれば、(メタ)アクリレート官能基数の増加による硬化塗膜の伸びの低減を抑制できる。水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)由来の構造単位の割合が前記上限値以下であれば、(メタ)アクリレート官能基数の減少による硬化塗膜の強度の低減を抑制できる。
【0015】
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の数平均分子量(Mn)は、好ましくは500~15000である。ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)のMnは、より好ましくは800以上、さらに好ましくは1000以上、特に好ましくは1200以上、殊に好ましくは1500以上である一方、より好ましくは13000以下、さらに好ましくは10000以下、特に好ましくは8000以下、殊に好ましくは5000以下である。Mnが前記下限値以上であれば、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)を用いた樹脂組成物の特性、例えば粘着剤とした場合の粘着物性が向上する傾向がある。Mnが前記上限値以下であれば、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)を用いた樹脂組成物の粘度が高くなりにくく取り扱い性に優れ、ゲル化しにくい傾向がある。
【0016】
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1000~100000である。ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)のMwは、より好ましくは2000以上、さらに好ましくは3000以上、特に好ましくは4000以上である一方、より好ましくは80000以下、さらに好ましくは60000以下、特に好ましくは50000以下である。Mwが前記下限値以上であれば、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)を用いた樹脂組成物の特性、例えば粘着剤とした場合の粘着物性が向上する傾向がある。Mwが前記上限値以下であれば、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)を用いた樹脂組成物の粘度が過度に高くなりにくく取り扱い性に優れ、ゲル化しにくい傾向がある。
【0017】
なお、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、標準ポリスチレン分子量換算による数平均分子量、重量平均分子量である。例えば高速液体クロマトグラフ(Waters社製、「ACQUITY Advanced Polymer Chromatography(APC)システム」)に、カラム:ACQUITY APC XT 450×1本、ACQUITYAPC XT 200×1本、ACQUITY APC XT 45×2本の4本直列を用いることにより測定される。
【0018】
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の60℃における粘度は、1000~400000mPa・sが好ましい。前記粘度は、より好ましくは5000mPa・s以上である一方、より好ましくは200000mPa・s以下である。前記粘度が前記下限値以上であれば、塗工性が低下する傾向がある。前記粘度が前記上限値以下であれば、取り扱い性が低下する傾向にある。
なお、粘度はE型粘度計によって測定される値である。
【0019】
以下、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の各成分について説明する。
【0020】
<ポリオール(a1)>
ポリオール(a1)は、水酸基が結合している炭素鎖の1つ以上が分岐を含むこと、及び2級水酸基を含むことの少なくとも一方を満たすポリオールを含む、平均官能基数が2.0超であるポリオールである。
ポリオール(a1)としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
耐熱性に優れ、硬度が高い塗膜を形成しやすい傾向があることから、ポリオール(a1)の平均官能基数は、好ましくは2.1以上、より好ましくは2.3以上、さらに好ましくは2.5以上である。一方、反応中のゲル化を抑制しやすく、反応後の保存安定性が向上する傾向があることから、ポリオール(a1)の平均官能基数は、好ましくは6.0以下、より好ましくは5.0以下、さらに好ましくは4.0以下、特に好ましくは3.0以下である。
【0022】
ポリオール(a1)全体に対する官能基数が2.0超であるポリオールの割合は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上、最も好ましくは99モル%以上である。
【0023】
ポリオール(a1)としては、2級水酸基を含む平均官能基数が2.0超であるポリエステル系ポリオール(a11)、水酸基が結合している炭素鎖の1つ以上が分岐を含む平均官能基数が2.0超であるポリエステル系ポリオール(a12)が好ましい。
【0024】
ポリエステル系ポリオール(a11)としては、例えば、2級水酸基を有する脂肪酸と多価アルコールとのエステル化合物であるポリエステル系ポリオールが挙げられ、2級水酸基を有する脂肪酸を含むグリセリン脂肪酸エステルを含むことが好ましく、ひまし油由来のポリオールを含むことがより好ましい。ひまし油由来のポリオールには、ひまし油に加えて、ひまし油から誘導されるポリオールが含まれ得る。
【0025】
ひまし油は、リシノレイン酸とグリセリンとのトリエステル化合物を含む油脂である。ひまし油のトリエステル化合物を構成する脂肪酸の約90モル%は2級水酸基を有するリシノレイン酸であり、その他は水酸基を有さないオレイン酸、リノール酸、リノレン酸等である。そのため、ひまし油は、2級水酸基を含む平均官能基数が約2.7のポリオールである。ひまし油は植物由来であり不純物が多いため、蒸留等により精製されたものを使用することが好ましい。
【0026】
ひまし油はリシノレイン酸等の不飽和結合を有する脂肪酸を含むため、水添されたひまし油を使用することも好ましい。
ポリエステル系ポリオール(a11)としては、ひまし油を部分脱水したもの、リシノレイン酸の一部をオレイン酸等の水酸基を有しない脂肪酸に置換したもの、リシノレイン酸の水酸基をモノカルボン酸により部分エステル化したものなどを用いてもよい。
【0027】
ポリエステル系ポリオール(a12)は、水酸基が結合している炭素鎖の1つ以上が分岐を含むものであれば、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合重合物であってもよく、環状エステル(ラクトン)の開環重合物であってもよい。また多価アルコール、多価カルボン酸および環状エステルの3成分による反応物であってもよい。
ポリエステル系ポリオール(a12)としては、3官能以上の多価アルコールおよび3官能以上の多価カルボン酸類の少なくとも一方を用いて合成された平均官能基数2.0超のポリエステル系ポリオールが好ましい。
【0028】
ポリエステル系ポリオールに用いる多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、2,2-ジメチロールヘプタン、1,3-テトラメチレンジオール、2-メチル-1,3-トリメチレンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタメチレンジオール、水添ビスフェノールA、ヒドロキシアルキル化ビスフェノールA、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジオール、イソソルビド、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール等のジオール、グリセロール、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ヘキサントリオール、1,2,4-ヘキサントリオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミン、トリス(ヒドロキシエチル)アミン、トリス(ヒドロキシプロピル)アミン、ペンタエリトリトール、ジグリセロール、トリグリセロール、ポリグリセロール、ビス(トリメチロールプロパン)、トリス(ヒドロキシメチル)イソシアヌレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グルコース等の糖類、ソルビトール等の糖誘導体等の3官能以上の多価アルコールが挙げられる。
【0029】
ポリエステル系ポリオールに用いる多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等のジカルボン酸、トリメリット酸類、ピロメリット酸類、トリメシン酸類等の3官能以上の多価カルボン酸類等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等が挙げられる。脂環式ジカルボン酸としては、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸等が挙げられる。
【0030】
ポリエステル系ポリオール(a12)の具体例としては、例えば、分岐ジオール由来の水酸基を含むポリエステル系ポリオールが挙げられ、3官能以上の多価アルコールとジカルボン酸を用いた3官能以上のポリカルボン酸化合物に、分岐ジオールを反応させて得られるポリエステル系ポリオールが好ましい。
分岐ジオールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等が挙げられ、3-メチル-1,5-ペンタンジオールが好ましい。
【0031】
ポリオール(a1)としては、ポリエステル系ポリオール(a11)、ポリエステル系ポリオール(a12)の他にも、例えば、平均官能基数2.0超のポリカーボネート系ポリオール等が挙げられる。
ポリカーボネート系ポリオールとしては、例えば、3官能以上の多価アルコールとホスゲンとの反応物に分岐ジオールを反応させて得られるポリオール、3官能以上の多価アルコールと炭酸エステルとのエステル交換反応物に分岐ジオールを反応させて得られるポリオール等が挙げられる。
【0032】
ポリカーボネート系ポリオールに用いる多価アルコールとしては、例えば、ポリエステル系ポリオールに用いる多価アルコールとして例示したジオールや3官能以上の多価アルコール等が挙げられる。
ポリカーボネート系ポリオールに用いる炭酸エステルとしては、例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ-n-プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートおよびジフェニルカーボネート等が挙げられる。
【0033】
<ジイソシアネート(a2)>
ジイソシアネート(a2)としては、例えば、脂肪族系ジイソシアネート、脂環族系ジイソシアネート、芳香族系ジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族系ジイソシアネートとしては、例えば、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族系ジイソシアネートとしては、例えば、水添化キシリレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香族系ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
ジイソシアネート(a2)としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0034】
これらの中でも、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の熱安定性の点では、脂肪族系ジイソシアネート、脂環族系ジイソシアネートが好ましく、脂肪族系ジイソシアネートがより好ましく、イソホロンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートがさらに好ましく、イソホロンジイソシアネートが特に好ましい。
【0035】
<水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)>
水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)としては、例えば、エチレン性不飽和基を1個含有する水酸基含有(メタ)アクリレート、エチレン性不飽和基を2個含有する水酸基含有(メタ)アクリレート、エチレン性不飽和基を3個以上含有する水酸基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0036】
エチレン性不飽和基を1個含有する水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、脂肪酸変性-グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0037】
エチレン性不飽和基を2個含有する水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイル-オキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
エチレン性不飽和基を3個以上含有する水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらは1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
【0038】
これらの中でも、特に粘着剤用途に用いる場合には、粘着物性の点から、エチレン性不飽和基を1個含有する水酸基含有(メタ)アクリレートが好ましく、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、アルキル基の炭素数が1~4のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートがさらに好ましく、2-ヒドロキシエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートが特に好ましい。
【0039】
[ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の製造方法]
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)は、ポリオール(a1)、ジイソシアネート(a2)および水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)を反応させることにより得られる。
実施形態の一例のウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の製造方法としては、ポリオール(a1)、ジイソシアネート(a2)および水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)を反応させることを含み、ポリオール(a1)、ジイソシアネート(a2)および水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)の合計量に対するポリオール(a1)の割合を45質量%以上とする方法が挙げられる。
【0040】
ポリオール(a1)、ジイソシアネート(a2)および水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)の合計量に対するポリオール(a1)の割合は、45質量%以上であり、好ましくは45質量%以上である。前記ポリオール(a1)の割合が前記下限値以上であれば、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の粘度が過度に高くなり過ぎず、また、伸び、強度および弾性率に優れた塗膜を形成できる。反応ポリオールが残存することによる、樹脂の保存安定性低下による高粘度化や硬化塗膜の強度低下を抑制する点では、ポリオール(a1)の割合は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下である。前記ポリオール(a1)の割合の下限と上限は任意に組み合わせることができ、45~55質量%が好ましい。
【0041】
ポリオール(a1)、ジイソシアネート(a2)および水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)の合計量に対するジイソシアネート(a2)の割合は、20~40質量%が好ましい。前記ジイソシアネート(a2)の割合は、より好ましくは25質量%以上である一方、より好ましくは35質量%以下である。ジイソシアネート(a2)の割合が前記下限値以上であれば、未反応ジイソシアネート残存することによる、樹脂の保存安定性の低下による高粘度化を抑制できる。ジイソシアネート(a2)の割合が前記上限値以下であれば、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の粘度が過度に高くなり過ぎず、また、伸び、強度および弾性率に優れた塗膜を形成できる。
【0042】
ポリオール(a1)、ジイソシアネート(a2)および水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)の合計量に対する水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)の割合は、5~30質量%が好ましい。水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)の割合は、より好ましくは10質量%以上である一方、より好ましくは20質量%以下である。水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)の割合が前記下限値以上であれば、(メタ)アクリレート官能基数増加による硬化塗膜の伸びの低減を抑制できる。水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)の割合が前記上限値以下であれば、(メタ)アクリレート官能基減少による硬化塗膜の強度の低減を抑制できる。
【0043】
ポリオール(a1)、ジイソシアネート(a2)および水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)を反応させる方法としては、例えば以下の(i)~(iii)が挙げられる。
(i)ポリオール(a1)、ジイソシアネート(a2)、水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)を反応器に一括または別々に仕込んで反応させる方法。
(ii)ポリオール(a1)とジイソシアネート(a2)とを反応させ、得られた末端イソシアネート基含有ウレタン系化合物(a12)に水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)を反応させる方法。
(iii)ジイソシアネート(a2)と水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)とを反応させ、得られた反応生成物(a23)にポリオール(a1)を反応させる方法。
【0044】
方法(i)~(iii)のなかでも、反応における副生成物の低減等の点では方法(ii)が好ましく、反応の安定性の点では方法(iii)が好ましい。
例えば、反応系の残存イソシアネート基含有率が0.1質量%以下になる時点で反応を終了させることにより、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)を得ることができる。
【0045】
方法(i)~(iii)の反応においては、反応を促進する目的で触媒を用いることが好ましい。
触媒としては、例えば、有機金属化合物、金属塩、アミン系触媒、ビスマス系触媒等が挙げられる。触媒は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用することができる。
【0046】
有機金属化合物としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、トリメチル錫ヒドロキシド、テトラ-n-ブチル錫等が挙げられる。
金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸コバルト、塩化第1錫、塩化第2錫等が挙げられる。
アミン系触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ベンジルジエチルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-ブタンジアミン、N-エチルモルホリン等が挙げられる。
ビスマス系触媒としては、例えば、硝酸ビスマス、臭化ビスマス、ヨウ化ビスマス、硫化ビスマス等の他、ジブチルビスマスジラウレート、ジオクチルビスマスジラウレート等の有機ビスマス化合物や、2-エチルヘキサン酸ビスマス塩、ナフテン酸ビスマス塩、イソデカン酸ビスマス塩、ネオデカン酸ビスマス塩、ラウリル酸ビスマス塩、マレイン酸ビスマス塩、ステアリン酸ビスマス塩、オレイン酸ビスマス塩、リノール酸ビスマス塩、酢酸ビスマス塩、ビスマスリビスネオデカノエート、ジサリチル酸ビスマス塩、ジ没食子酸ビスマス塩等の有機酸ビスマス塩等が挙げられる。
これらの中でも、ジブチル錫ジラウレート、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセンが好ましい。
【0047】
方法(i)~(iii)の反応においては、イソシアネート基に対して反応する官能基を有しない有機溶剤を用いてもよい。
有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族類等が挙げられる。
【0048】
反応温度は、好ましくは30~90℃、より好ましくは40~80℃である。
反応時間は、好ましくは2~12時間、より好ましくは3~10時間である。
【0049】
[活性エネルギー線硬化性樹脂組成物]
実施形態に係る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)を含有する。
実施形態に係る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)に加えて、エチレン性不飽和モノマー(B)および光重合開始剤(C)の少なくとも一方を含有することが好ましい。
【0050】
<エチレン性不飽和モノマー(B)>
エチレン性不飽和モノマー(B)としては、1分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和モノマーであればよく、例えば、単官能モノマー、2官能モノマー、3官能以上のモノマー等が挙げられる。ただし、エチレン性不飽和モノマー(B)には、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)は含まれない。
【0051】
単官能モノマーとしては、エチレン性不飽和基を1つ含有するモノマーであればよく、例えば、スチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、α-メチルスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールプロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルフタレート等のフタル酸誘導体のハーフエステル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、2-ビニルピリジン、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートモノエステル等が挙げられる。
【0052】
前記の単官能モノマーの他に、アクリル酸のマイケル付加物あるいは2-アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステル、オリゴエステルアクリレートも挙げられる。
アクリル酸のマイケル付加物としては、例えば、アクリル酸ダイマー、メタクリル酸ダイマー、アクリル酸トリマー、メタクリル酸トリマー、アクリル酸テトラマー、メタクリル酸テトラマー等が挙げられる。
2-アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステルとしては、例えば、2-アクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2-メタクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2-アクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2-メタクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル、2-メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル等が挙げられる。
【0053】
2官能モノマーとしては、エチレン性不飽和基を2つ含有するモノマーであればよく、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートジエステル等が挙げられる。
【0054】
3官能以上のモノマーとしては、エチレン性不飽和基を3個以上含有するモノマーであればよく、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0055】
エチレン性不飽和モノマー(B)として、ポリイソシアネート系化合物および1個の水酸基を含有する(メタ)アクリレート系化合物を反応してなるウレタン(メタ)アクリレート系化合物や、ポリイソシアネート系化合物、1個の水酸基を含有する(メタ)アクリレート系化合物およびポリオール系化合物を反応してなるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(ただし、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)を除く。)を用いてもよい。
【0056】
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を粘着剤用途に用いる場合には、粘着力の観点から、エチレン性不飽和モノマー(B)として単官能モノマーを用いることが好ましく、脂環族系の単官能モノマーがより好ましく、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートがさらに好ましく、イソボルニル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
これらエチレン性不飽和モノマー(B)は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0057】
エチレン性不飽和モノマー(B)は、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)に別途配合してもよく、一部または全部をウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の製造時に反応系に存在させてもよい。また、エチレン性不飽和モノマー(B)は、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の製造時に反応溶媒として用いたものであってもよい。
【0058】
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中のエチレン性不飽和モノマー(B)の含有量は、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)100質量部に対して、好ましくは20~400質量部、より好ましくは30~300質量部、さらに好ましくは40~200質量部、特に好ましくは50~150質量部、殊に好ましくは60~100質量部である。エチレン性不飽和モノマー(B)の含有量が前記範囲内であれば、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を粘着剤として用いた場合に充分な粘着力が得られやすい傾向がある。
【0059】
<光重合開始剤(C)>
実施形態に係る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー線による硬化をより効率的に行うために光重合開始剤(C)を含有することが好ましい。
光重合開始剤(C)としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、アシルフォスフォンオキサイド類等が挙げられる。光重合開始剤(C)は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0060】
アセトフェノン類としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル等が挙げられる。
【0061】
ベンゾイン類としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
ベンゾフェノン類としては、例えば、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-N,N-ジメチル-N-[2-(1-オキソ-2-プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4-ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等が好ましい。
【0062】
チオキサントン類としては、例えば、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、2-(3-ジメチルアミノ-2-ヒドロキシ)-3,4-ジメチル-9H-チオキサントン-9-オンメソクロリド等が挙げられる。
アシルフォスフォンオキサイド類としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0063】
光重合開始剤(C)を用いる場合、さらに助剤を併用してもよい。
助剤としては、例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、2-ジメチルアミノエチル安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸(n-ブトキシ)エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、2,4-ジエチルチオキサンソン、2,4-ジイソプロピルチオキサンソン等が挙げられる。助剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0064】
助剤としては、ベンジルジメチルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインイソプロピルエーテル、4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オンが好ましい。
【0065】
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中の光重合開始剤(C)の含有量としては、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)およびエチレン性不飽和モノマー(B)の合計100質量部に対して、好ましくは0.1~40質量部、より好ましくは0.5~20質量部、さらに好ましくは1~10質量部である。光重合開始剤(C)の含有量が前記下限値以上であれば、硬化が良好になる傾向がある。光重合開始剤(C)の含有量が前記上限値以下であれば、塗工とした際に析出が生じにくく溶液安定性に優れ、脆化や着色の問題が起こりにくい傾向がある。
【0066】
なお、活性エネルギー線硬化性組成物を製造するにあたり、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)、エチレン性不飽和モノマー(B)、光重合開始剤(C)の混合方法については、特に限定されるものではなく、種々の方法により混合することができる。例えば、各成分を一括混合してもよく、任意の成分を先に混合した後に残りの成分を混合してもよい。
【0067】
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、表面調整剤、レベリング剤、重合禁止剤等を配合してもよい。
表面調整剤としては、特に限定されず、例えば、アルキッド樹脂等が挙げられる。アルキッド樹脂は、塗工時の造膜性を付与する作用や、金属薄膜面との接着性を上げる作用を有する。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0068】
レベリング剤としては、塗液の基材への濡れ性付与作用、表面張力の低下作用を有するものであれば、公知一般のレベリング剤を用いることができ、例えば、シリコーン変性樹脂、フッ素変性樹脂、アルキル変性の樹脂等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0069】
重合禁止剤としては、例えば、p-ベンゾキノン、ナフトキノン、トルキノン、2,5-ジフェニル-p-ベンゾキノン、ハイドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、メトキシフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、モノ-t-ブチルハイドロキノン、p-t-ブチルカテコール等が挙げられる。なかでもメトキシフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾールが好ましい。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0070】
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、各種用途に供するに際して、各種基材、あるいは部材上に塗工し、有機溶剤を含有する場合は乾燥した後に、活性エネルギー線を照射することにより硬化される。
【0071】
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の塗工方法としては、特に限定されず、例えば、スプレー、シャワー、ディッピング、ロール、スピン、カーテン、フロー、スリット、ダイ、グラビア、コンマ、ディスペンサー、スクリーン印刷、インクジェット印刷等のようなウェットコーティング法が挙げられる。
【0072】
上記の塗工に際しては、必要に応じて、有機溶剤を配合し、粘度を調整してもよい。
有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、トルエン、キシレン等の芳香族類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、ジアセトンアルコール等が挙げられる。これら有機溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0073】
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が固体、あるいは高粘度液体の場合は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を加熱し、粘度を低下させた後に前記方法により塗工するホットメルト法等も挙げられる。
【0074】
照射する活性エネルギー線としては、例えば、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が挙げられる。硬化速度、照射装置の入手のしやすさ、価格等から紫外線照射による硬化が有利である。
なお、実施形態に係る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、電子線照射を行う場合は光重合開始剤(C)を用いなくても硬化し得る。
【0075】
紫外線照射により硬化させる方法としては、例えば150~450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、LED等を用いて、30~3000mJ/cm2程度の照射を行う。
紫外線照射後は、必要に応じて硬化を完結させるために加熱を行ってもよい。
【0076】
硬化後の塗膜の膜厚は、好ましくは1~300μm、より好ましくは2~250μm、さらに好ましくは5~200μmである。
【0077】
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗工する対象である基材としては、例えば、フィルム、シート、カップ等の樹脂成型品、金属基材、ガラス、それらの複合基材等が挙げられる。
樹脂成型品を構成する樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
金属基材としては、例えば、金属蒸着層、金属板(銅、ステンレス鋼(SUS304、SUSBA等)、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム等)等が挙げられる。
【0078】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の用途は、特に限定されず、例えば、塗料、保護コーティング剤、アンカーコーティング剤、ハードコート用コーティング剤、インク、磁性粉コーティングバインダー、サンドブラスト用被膜、粘着剤、接着剤、粘接着剤、版材等、各種の被膜形成材料として非常に有用である。
【実施例0079】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。なお、以下の記載における「部」、「%」は、特に断りのない限り質量基準を意味する。
ウレタン(メタ)アクリレート系化合物の数平均分子量、重量平均分子量、粘度は、後述の方法にしたがって測定した。
【0080】
[原料]
(ポリオール(a1))
・ELA-DR:豊国製油社製、ひまし油(水酸基価161.0mgKOH/g、平均官能基数2.7)
・F-1010:クラレ製、ポリエステルポリオール(トリメチロールプロパンとアジピン酸の反応物に3-メチル-1,5-ペンタンジオールを反応させて得られるポリオール、水酸基価167.8mgKOH/g、平均官能基数3)
(ポリオール(比較対象))
・OD-X-2630:DIC製、ポリエステルポリオール(トリメチロールプロパンとアジピン酸の反応物に1,6-ヘキサンジオールを反応させて得られるポリオール、水水酸基価263mgKOH/g、平均官能基数3)
(ジイソシアネート(a2))
・IPDI:イソホロンジイソシアネート
(水酸基含有アクリレート(a3))
・HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート
【0081】
[実施例1]
内温計、撹拌機、冷却管を備えたフラスコに、ジイソシアネート(a2)としてイソホロンジイソシアネート(IPDI)323.0部、ポリオール(a1)としてELA-DR506.4部、反応触媒としてジブチル錫ジラウレート0.6部を加え、70℃で反応させた。残存イソシアネート基が7.36%以下となった後、水酸基含有アクリレート(a3)として2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)170.6部、重合禁止剤として2,6-ジ-tert-ブチルクレゾール0.4部を加え、70℃で反応させた。残存イソシアネート基が0.1%以下となった時点で反応を終了し、ウレタンアクリレート系化合物を得た。
【0082】
[実施例2および比較例1、2]
用いる原料の種類および仕込量を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にしてウレタンアクリレート系化合物を得た。
【0083】
[数平均分子量、重量平均分子量および分散度]
ウレタンアクリレート系化合物の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、高速液体クロマトグラフ(Waters社製、「ACQUITY Advanced Polymer Chromatography(APC)システム」)に、カラムとしてACQUITY APC XT 450を1本、ACQUITYAPC XT 200を1本、ACQUITY APC XT 45を2本の合計4本を直列で用いて、標準ポリスチレン分子量換算による値として測定した。
【0084】
[粘度]
E型粘度計を用いて、各例で得たウレタンアクリレート系化合物の粘度を60℃で測定し、以下の基準で判定した。
<判定基準>
○:5000mPa・s以上70000mPa・s未満。
△:70000mPa・s以上100000mPa・s未満。
×:100000mPa・s以上。
【0085】
[引張試験]
(1)引張試験用硬化塗膜サンプルの作製
各例で得られたウレタンアクリレート系化合物を、重剥離PET上にアプリケーターを用いて、乾燥後の膜厚が100μmとなるように塗工し、60℃で30分間乾燥し、高圧水銀灯ランプ1灯を用いて、18cmの高さから5.1m/minのコンベア速度で2パスの紫外線照射(積算照射量800mJ/cm2)を行い、硬化塗膜を形成した。次いで、この硬化塗膜をダンベルで打ち抜いて、幅15mm、長さ75mmとなるように短冊状サンプルを作製した後、PETフィルムから硬化塗膜を剥離し、評価用サンプル片とした。
(2)引張試験による伸度、弾性率および強度の測定
温度23℃かつ湿度50%RH下で、引っ張り試験機「AG-X」(島津製作所社製)を用い、JIS K 7127に準拠して、上記評価用サンプル片の引張試験を行った。引張速度は10mm/minで、塗膜の破断点における伸度(%)、塗膜の伸張変形の変位1~2%の領域における弾性率(MPa)、および塗膜の破断点における強度(MPa)を測定した。
(3)判定方法
測定した伸度、弾性率および強度について、以下の基準で判定した。
<伸度(%)>
○:40%以上。
×:40%未満。
<弾性率(MPa)>
〇:500MPa未満。
×:500MPa以上。
【0086】
実施例および比較例におけるウレタンアクリレート化合物の製造条件と評価結果を表1に示す。
【0087】
【0088】
表1に示すように、水酸基が結合した炭素鎖に分岐があるポリオール(a1)を45質量%以上用いた実施例1、2のウレタンアクリレート化合物は、粘度が低く、また形成した塗膜の伸び、強度および弾性率が優れていた。
一方、ウレタンアクリレート化合物に用いたポリオールが、水酸基が結合した炭素鎖の分岐も2級水酸基も含まない比較例1では、ウレタンアクリレート化合物の粘度が高く、また形成した塗膜の物性も劣っていた。また、ポリオール(a1)の割合が低い比較例2では、形成した塗膜の物性が劣っていた。
本発明に係るウレタン(メタ)アクリレート系化合物は、例えば、コーティング剤、塗料、インキ、粘着剤、接着剤等、各種の用途に適用できる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の原料として有用である。